男「安価でバイト決める」(34)
家、リビング
姉「お帰りー……あれ? 早くない?」
男「あーうん。今日はね、ほら、あれだったから」
姉「あれってなに?」
男「……あれだよ、定休、臨時? 臨時定休、みたいな」
姉「臨時定休?」ジトー
男「あ、いや、そのー」
姉「なに?」
男「……」
姉「バックれたの?」
男「いいえ」
姉「バックれたんだね」
男「はい」
姉「またかぁ」ガク
男「ごめん」
姉「じゃあこういう仕事はどう? ほら、求人広告切り取っておいたよ」
男「いつもありがとう。ええっと……>>2?」
姉「そう、>>2。頑張ってきなさい」
男娼館
店長「あらー、可愛い顔してるじゃない!」
男「あ、はい。どうも」
店長「うちとしては是非働いて貰いたいんだけどぉ。そもそもここがどういうお店かって分かってる?」
男「……ゲイバー?」
店長「っははは! もう、違うわよぉ。ゲイは私しか居ません」
男「……」ホッ
店長「簡単に言うとねー、女の人とセックスをして貰います」
男「え?」
店長「セックスをして貰います」にっこり
男「……あー……」
店長「えーっとお給料は日当が最低5000円保証で、後は4:6ね。うちって結構優良店なのよぉ?」
男「よんろく、ですか?」
店長「売上の4割はお店が貰って、残りはあなたのお給料ってことよん」
男「な、なるほど」
店長「じゃあ次は休憩室を案内するわねぇ。今日はキャストが全員揃ってるから丁度良いわ」
男「……あの、先にトイレを借りてもいいですか?」
店長「はーい! 入り口の手前よぉ」
男「はい」スタ、スタ
店長「……」
店長「遅いわねぇ。流し方が分からないのかしら」
店長「男くーん? 大丈夫ー?」コンコン
店長「……あれぇ? ちょっとー。入っちゃうわよー?」にっこり
店長「男くーん」コンコン
店長「……」
ガチャ
店長「……居ねぇじゃねぇか」
※レコード
職種(男娼)
勤務時間(12分30秒) レコード更新!
バックれ理由(童貞は好きな人に捧げたい。あと店長が怖い。なにより店長が怖い)
使用技(トイレダッシュ)
称号:裏切りのバックれ師
家、リビング
男「ただいまー」コソー
姉「おかえりー。って早すぎでしょ! 家を出てから2時間も経ってないわよ!?」
男「……あー……ほら、あれだよ」
姉「なに?」
男「ほら、あれだって。もう、人決まっちゃってたらしい」
姉「バックれたのね」ニコ
男「ごめん」
姉「どうしていつもバックれちゃうのかなぁ」
男(今回は仕方ないでしょ)
姉「なあにその顔は」ニコ
男「なんでもないです」
姉「本当に仕事する気あるの?」
男「……」
姉「返事」
男「とっても仕事がしたいです」
姉「良かった。一応もう一つ求人広告を取っておいたよ、はいこれ」スッ
男「>>10……?」
別れさせ屋
別れさせ屋・事務所
社長「じゃあ今日からよろしくな。こんな業種だから社員は少ないが、代わりに結束は強いから安心してくれ」
男「結束ですか」
社長「そうだ。誰かのミスは全員でフォローをする」ニカ
男「はあ」
社長「週末はみんなで飲みにいくしな。まあ、切っても切れない関係ってことだ」ニカ
男「はい」
社長「ってこんなこと別れさせ屋が言うことじゃないわな! がっはっは!」
男「はい」
社長「よし! 後十分位でクライアントが来社する予定だから、早速俺と一緒に応対してみるか!」
男「よろしくお願いします」
20分後
社長「――それで、相手が別の女性と婚約ですか」
OL「はい……許せないです」
社長「なるほど。では、電話にてお伝えした必要書類と相手の情報を頂けますか?」
OL「ええ」ゴソゴソ
社長「男君、お客様にお茶のおかわりを」
男「は、はい!」ガタ
OL「お構いなく」
社長「いやぁ、長い話になりますから」ニカ
男「……粗茶? をお持ちいたしました」カタカタカタ
OL「どうも」
男「どうぞ……あっ」バシャーン
OL「熱っ!! なんですか!?」
男「あ、ごめ、すいません」オロオロ
社長「男君っ!!」
男「あ、これで拭いて下さい」
OL「これ雑巾じゃない!!」
社長「も、申し訳ございません!」
5分後
社長「……あー、やっぱり帰っちゃったか」
男「あ、あの」
社長「気にするな! 誰にだってミスはある!!」ニカ
男「社長さん……」
社長「まだマシなほうさ! 俺なんか転んで客にダイビングヘッドしたことあるぞ。がっはっは」
男「すいませんでした」
社長「いいよ。なに、少し経てば笑い話になるさ!」
男「ありがとうございます」
社長「じゃあ気を取り直して次の仕事にかかるかっ。まずはこの封筒をポストに入れてきてくれ」
男「はい。今度こそミスしないでやり遂げます」
社長「おう、その意気だっ! ポストは事務所を出て左に折れたらあるからな。よろしく頼むよ」
男「行ってきます」
ガチャ、バタン
社長「……ふう」
30分後
社長「……遅いなぁ。もしかして迷ったのか? 携帯に電話してみよう」ピ、ポ、パ
社長「……電源切れてるじゃねえか」
※レコード
職種(別れさせ屋)
勤務時間(1時間05分43秒)
バックれ理由(社長の優しさが怖い。毎週打ち上げは辛い)
使用技(お使いバックホーム)
称号:恩知らずの逃亡者
家
男「……」コソコソ
姉「……」ジー
男「……あ」ビク
姉「バックれたの?」ニコ
男「……いや?」
姉「……」ギロ
男「バックれました」
姉「はあ」
男「ごめん」
姉「……どこで教育を間違えたんだろう」
男「悪気はないんだよ」
姉「あったら張っ倒してるわよ!!」
男「ごめんなさい」
姉「はあ……多分こうなると思ったからまた求人広告を取っておいたわよ」スッ
男「……」
姉「受け取りなさい」ニコ
男「はい……今度は>>19か」
姉「そうよ。今度こそ頑張ってきなさい」
なろう作家の助手
なろう作家の仕事場
なろう作家「よろしくー。出版が決まって忙しかったから助かるわ」
男「はい」
なろう作家「いやーほんと忙しいわ。あいつら俺の小説好き過ぎだろって。はは」
男「あいつら、ですか」
なろう作家「読者だよ」
男「ああ、なるほど」
なろう作家「じゃあ仕事はじめるかー!」
男「よろしくお願いします、なろう作家さん」
なろう作家「先生」
男「え?」
なろう作家「先生って呼んでくれる?」
5分後
男「……」ペラ、ペラ
なろう作家「そこ実は伏線になってるんだよ! 気づいた?」
男「あ、いえ」
なろう作家「やっぱりなー。はは」
男「あ、あの。仕事は……?」
なろう作家「これが仕事だよ。忌憚のない意見が欲しいんだよね」
男「きたん?」
なろう作家「ははは。ごめん、素人には分からないか! ようするに遠慮せずになんでも言ってくれってことだ」
男「はあ。ええっとじゃあ……こういう小説って、最近よくあるっていうか」
なろう作家「は?」
男「え?」
なろう作家「よくあるってなに? なにがよくあるの? 具体的にどの部分がどのくらいよくあるの? ソースは?」
男「あ、いえ。最近も同じような設定のアニメがあったような気がして」
なろう作家「全然違うだろ!! ほら、こことか! ここも!!」
男「ぼ、僕が間違ってました」スタ、スタ
なろう作家「分かってくれたらいいんだよ」ニッコリ
男「すいません」スタ、スタ
なろう作家「よし、じゃあ次の章を読んで貰うかな」
男「はい」スタ、スタ
なろう作家「次の章は冒頭でいきなり一人死ぬん――ん、どうしたの? 廊下になにか用?」
男「いえ、別に」スタ、スタ
なろう作家「別にって、何処に行くんだよ」
男「何処にも行きませんよ。さあ次の章を」スタ、スタ
なろう作家「そこ玄関だぞ? おい、なに靴を履いてるんだよ」
男「え?」ガチャ
なろう作家「おい! ま――」
バタン!
※レコード
職種(なろう作家の助手)
勤務時間(7分)レコード更新!
バックれ理由(僕は必要ないと思う)
使用技(威風堂々問答無用ダッシュ)
称号:勇気あるバックれリスト
家
男「ただい――」
姉「はい、次の求人」スッ
男「……」
姉「はい」スッ
男「……」
姉「どうぞ」ニコ
男「……」ニコ
次の職、安価>>25
マグロ漁船
港
漁師「おらぁ! さっさと船に乗れ馬鹿野郎共!!」
多重債務者「はい」トボトボ
ギャンブル狂い「お、おさないで下さいよぉ」トボトボ
金歯「おやっさん、今回もこいつらのこと頼んますわ」ニカ
漁師「おう! しっかり働かせるからな!」
金歯「だそうだ。指吹っ飛んでも金稼いでこいよ!? クズ共が!!!」ドカ
風俗好き「ヒイッ!」
男「……」
漁師「……ん? もしかしてお前が求人をみて電話をかけてきた男って奴か?」
男「いえ、ただの観光です」
漁師「そうか」
職種(マグロ漁船)
勤務時間(00:00:05)レコード更新!
バックれ理由(恐い)
使用技(秘技・面接ダッシュ)
称号:名もなきバックれリスト
家
男「……」スタ、スタ
男「……あれ? 玄関の戸になにか貼ってある……」
求人広告
男「……」
家の中「行ってらっしゃい!」
男「……はい」
次の職、安価>>30
寒い安価ばっかりだな
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