ルイーダ「ごめんなさい。今人いないのよ……」(57)

勇者「そうですか…」

ルイーダ「とりあえず今、商人だけはいるんだけどどうする?」

勇者「じゃあ、折角なんでその人お願いします」

ルイーダ「分かったわ。商人さーん。勇者さんがお呼びよー」

商人「はーい!」テテテ

商人「どーもどーも!商人です。よろしくお願いしますねぇ」

勇者「あっ、こちらこそ」ペコリ

商人「それじゃあ早速なんですけど、この契約書にサインを…」ピラッ

勇者「契約書?」

商人「はい!雇用登録書です!」

勇者「へー」チラッ


契約書


1.毎月きちんと給料を払うこと

2.契約期間は半年。連続して雇いたい場合は更新期間内に手続きを
  済ませること。手続きがなされていない場合は契約解消とみなします

3.商人に戦闘など無茶な要求はしないこと

4.その他、人権にかかわるような指示は受け付けません
  不当な扱いを受けた場合、商人の方から契約を解消することがあります


商人「以上の内容に納得されたらハンコを…」

勇者「えっと……戦闘はしてくれないの?」

商人「商人ですから♪」

勇者「そうですか。……あの、ルイーダさん」チラッ

ルイーダ「残念だけど商人もその人だけなの」

勇者「……」

商人「どうします?別に私はどっちでも良いんですけど」

勇者「うーん…」

勇者(でも、いきなり一人旅するっていうのもなぁ…)

勇者「ちなみに、毎月給料払うことって書いてますけど
   幾らぐらいなんですか?」

商人「そうですねぇ。本当なら定額制の方が良いんですけど…」チラッ

勇者「う…」

商人「勇者さん、あんまりお金持ってなさそうですしねぇ」

勇者「たはは…」

商人「こういうのはどうでしょうか。勇者さんが私にお金を払う
   期日になったら、そのときパーティーが所持しているお金の
   1割をもらうということで」

勇者「つまり…お金がないときは安くて済むけど、たくさん持ってると
   支払う量が増えると?」

商人「そうそう!そういうことです」

勇者「……」

勇者(魔王を倒す旅なんだから、お金は貯まらないだろうし
   まあいいのかな?)

勇者(ちなみに今持ってるのは…)チラッ

勇者(100Gか…)

勇者「うーん……よし!じゃあその条件でいいです」

勇者(やっぱり初めっから一人旅は不安だもんね。別の街で新しく
   仲間になってくれそうな人がいたら解約すれば良いんだし)

商人「毎度ありがとーございまーす♪ではでは、ここにハンコを」

勇者「はい」ポン

勇者「これで良いですか?」

商人「ええ、それでは私は今からあなたの従者です。なんなりと
   御用をお申し付けくださいませー♪」

勇者「あ、うん。こちらこそヨロシク」

商人「それでは早速、どうしましょう?」

勇者「そうだね。とりあえず街で必要なものを揃えたら次の目的地に
   向かいたいんだけど」

商人「目的地はお分かりで?」

勇者「えーっと……たしかここから東に旅の扉があって、そこから
   別の大陸に行けるって王様から聞いたんだけど…」

商人「左様ですか。ではでは大急ぎで旅の支度と参りましょうか!」

勇者「うん!」

~~1時間後~~


勇者「……」

商人「ま、こんなトコですかね」

              デデーン!!!

勇者「す、すごい。たった100Gでこんな大荷物が出来上がるなんて…」

商人「ま、商人の腕の見せ所といったら値引き交渉ですから♪
   貴重なアイテムを格安で仕入れて来ました♪」

勇者「あ、ありがと。最初は不安だったけど、これならちゃんとした
   旅が出来そうだ」

商人「いえいえ~、じゃそろそろ行きましょうか?」

勇者「そうだね。夜になる前には着きたいし」

そんなわけで街の外


勇者「うぅ…やっぱり街の外は不気味だ…」

商人「ですねー」

勇者「その割には平気そうな顔してるけど?」

商人「そりゃー、仕入れとかする時に出慣れてますからー」

勇者「そうなの!?」

商人「そーですよー!街に店とか構えてる商人は危ないから
   外に出たがらないんですけど、私みたいな店を持ってない
   商人は外で仕入れなきゃ商売にならないですもん」

勇者「仕入れ?街の外で?」

商人「そーですねー」キョロキョロ

商人「あ!ほらあそこ!」

勇者「なに?草?」

商人「これ、薬草と毒消草です」ササッ

勇者「え?」

商人「店の道具屋は自家栽培したり他の店から買い付けたり
   してますけど外にもちゃんと自生してるんですよ♪」

勇者「へ、へー」

商人「ま、商売用に作られたんじゃないんで効果は薄いんですけどね」

商人「それでも薬草は薬草に間違いないですし、毒消草だってちゃんと
   毒の治療が出来ますから、旅するなら街で買うより外で調達しちゃった
   方が断然お得です!」

勇者「たしかに…」

商人「そんなわけで私はいつも…」


???「ピギー!」


商人「!」

勇者「モンスター!?」バッ

スライム「ぴぎっ、ぴぎー!」

勇者「くっ…」チャキ

商人「慌てないでください。大丈夫ですよ」

勇者「いや、でも…」

スライム「ぴぎー!!!」ダンッ!

勇者「あ、危ないっ!」


       バチバチバチバチ!!!


スライム「ぎゃん!?」プシュー

勇者「……え?」

商人「ほらね」

勇者「ど、どうなったの?スライムが商人に体当たりしたと思ったら
   突然火花が…」

商人「その答えは、これです」チャプン

勇者「香水?」

商人「いいえ、聖水です。これを身体にふりかけておくと弱いモンスター
   は聖なる力で近付けないんですよ」

勇者「……」

商人「ちなみに強いモンスターにかけても一応ダメージは与えられる
   んですけど、それはちょっともったいないかもしれないですね」

勇者「……」プルプル

商人「どうしました?」

勇者「す、すごいじゃないか!酒場で契約書見せられた時は
   ぼったくりじゃないかと思ったけど意外に使える!」

商人「は、はあ…」

勇者「これなら安心して旅が出来るよ!ありがとう!」ガシッ

商人「い、いえ、こちらこそ…」

勇者「よーし!じゃあ旅の扉目指してしゅっぱーつ!」

商人「おー!」

~~5時間後~~


勇者「……」

商人「……」

勇者「ここ、どこ?」

商人「さあ…」

勇者「うわぁぁぁぁぁ!?旅をはじめて一日も経ってないのに迷ったぁぁぁぁぁ!?」

商人「勇者さんがいけないんですよ!?街道から外れたら迷いやすいって
   忠告したのにっ!」

勇者「そんなっ!?商人だって「珍しいアイテムあるかもー♪」とか言って
   着いてきたくせに!」

商人「いいえ!勇者さんが「勇者とは未知に挑戦する者なんだ!」とか
   カッコつけてずんずん進むからこうなるんです!」

勇者「全部ぼくの所為だって言うの!?」

商人「違うんですかー?」

勇者「ぐぬぬぬぬぬぬ…」

商人「むむむむむむむむ…」

         ぐー

商人「あ…///」

勇者「ぷっwww怒ったってお腹の音は正直だね」

         ぐー

勇者「あ……」

商人「にひひひひ…勇者さんだってお腹すいてるんじゃないですか!」

勇者「ぬぬぬぬぬ…」

商人「むむむむむ…」

          ぐー     ぐー

勇者「……」

商人「……」

勇者「ねえ」

商人「はい」

勇者「どっちが悪いとか不毛な争いだと思うんだ」

商人「ですね…」

勇者「とりあえずお腹すいたんだけど、何か食べる物持ってる?」

商人「持ってたらとっくの昔に食べてますよ」

勇者「だよねー」

商人「あはははははは…」

勇者「商人なんだったら旅に出る前に水と食料くらい用意しといてよ!」ダン

商人「たった100Gで用意なんて出来るワケないじゃないですか!」ダン

勇者「そんなこと言ったら、次の目的地ついたってお金ないんだから
   結局宿にも泊まれないし食事もなにも出来ないじゃないか!」

勇者「その大きな袋につめこんだ荷物ちっとも役に立ってないんだけど
   どういうことなの?」

商人「や、役に立たないとは心外ですね!これでも色々厳選して旅に役立ち
   そうなのだけ揃えてきたのに!」

勇者「爆弾や笛なんてあってもお腹は膨れないんだよ!」

商人「う…」

勇者「というより、そもそもキミの袋に入ってるアイテムって旅に必要
   なさそうものばっかりじゃないか!」

勇者「次の街に着いたら売るからね、それ」

商人「や、やめてくださいよ!せっかく骨董市で安く仕入れたのに!」

勇者「骨董市?」

商人「あ……」

勇者「なるほど。つまりキミは魔王を倒すための軍資金を趣味の骨董に
   費やしてしまったと…」

商人「いや、あの…」

勇者「売る。ぜったい売る!全部売る!」

商人「いやぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇ!?」

勇者「キミには給料も払うんだ。旅の軍資金を趣味に使わせる
   わけにはいかない」

商人「そんなぁ…」

勇者「まったく。魔王を倒す旅をなんだと……ん?」

商人「どうしました?」

勇者「あれ、村じゃない?」スッ

商人「えっ、ここらに村が?……って本当だ!良かったー♪」

勇者「とりあえず、今日はあそこで休もう」

商人「さんせー!」

勇者「それから…」ズイッ

商人「あっ!」

勇者「お金と袋はぼくが預かっておくから」

商人「そ、そんなー」シクシクシクシク

勇者「泣いたってダメ!これからの旅は経済的に行かせてもらうよ」

商人「私、商人なのにぃー」シクシクシク

学生が書いたようなSSだなぁ。
せめて契約書くらいきちんと勉強して書こうよ、これが商人とは思えない。

>>23

どんな契約書だったら良いんでしょうか?

本当は分からないからって無理しなくて良いですよw

そんなわけで村の中


勇者「じゃ、ぼくこの袋のアイテムお金に換えてくるから
   情報でも集めといてくれる?」

商人「はーい…」シクシクシク

勇者「……」

商人「うっ、うっ…」

勇者「…そんなに泣かないでよ。これじゃどっちが悪いか
   分かんなくなるじゃないか」

商人「だってぇぇぇ」シクシクシク

勇者「…はぁ。じゃ、このアイテムの中から一つだけこれは売られたくない
   って奴選びなよ。それだけは残しとくからさ」

商人「え?」

勇者「けど、一つだけだからね?そうじゃないと今日の宿代だって
   出るかどうか疑問なんだから」

商人「あ、ありがとっ♪」

勇者(やれやれ、ぼくも甘いな…)

商人「うーんとねー……それじゃあ、コレ!」

勇者「爆弾?そんなんでいいの?」

商人「うん!他のは似たようなのありそうだけど、この爆弾だけは
   1個しか置いてなかったし!」

勇者「ふーん。ま、それが良いならそれでも良いけど」

それから2時間後


勇者「ふぅ…」

商人「あっ、お帰りなさーい。どうでした?」

勇者「……」スッ

商人「えっ、7Gですか?くれるんですか?」

勇者「あげるワケないでしょ。袋の中のアイテム全部売っても
   これだけにしかならなかったんだよ」

商人「う、うそ!?」

勇者「ほんと」

商人「そんなぁ……100Gもしたのに…」シクシクシク

勇者「まあ、そんなワケだから宿も一人分しか取れなかったよ」

商人「え?」

勇者「つまり、ベッドは1つってこと!」

商人「……ありがとう、勇者さん!私の為に野宿するなんて!」

勇者「なんて都合のいい頭なんだ…」

勇者「残念だけど、ぼくは譲るつもりはないからね」

商人「ふっ……良いんですか、私にそんなこと言っても?」

勇者「なにっ?」

商人「私にはこの契約書がある限り最低限の人権は…!」バッ

勇者「あっ…!」

商人「ふふふふふふ…」

勇者「な、なんてことだ…」

商人「それが分かったら大人しく野宿の準備でもしてくるんですねぇ!
   ふふふふふふふふふっ」

勇者「ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬぬ…」

商人「……とまあ、冗談はこれくらいにして行きましょっか、宿」

勇者「え?」

商人「バカですねー。ベッドが1つしかないんだったら二人で一緒に
   寝たらいいじゃないですか」

勇者「え?えぇ?」

商人「それともまさか、女の人と一緒に寝るのが恥ずかしいんですか?
   勇者なのにぃ?」

勇者「そ、そんなことないさ!」

商人「だったらいいじゃないですか、ね?」

勇者「……しょ、商人は平気なの?男と一緒に寝て……」

商人「勇者さん、何かいたずらでもするつもりなんですか?」

勇者「し、しないよっ!」ブンブン

商人「だったら大丈夫ですよ」ニコッ

勇者「う……」

やど!



勇者「……」ドキドキドキドキドキ

商人「じゃあ私、先にお風呂借りて汗落として来ますね」

勇者「う、うん。どうぞ…」ドキドキドキドキドキ

商人「それじゃお先にぃ」ガラッ

勇者「……」ドキドキドキドキドキ

勇者「お、落ち着け…落ち着くんだ…大丈夫…変に意識することなんてない。
   だって仲間じゃないか。仲間が同じ宿に泊まるのになにも変なこと
   なんてない。これは普通、普通なんだ。それにぼくは勇者だ。これくらい
   で動揺なんかしてどうする。たかが女の人といっしょのベッドで……
   いっしょのベッドで……」

勇者「……………………」

勇者「はっ!?ち、ちがう!違うから!ぼくはエッチじゃないぞ。
   エッチなんかじゃないぞ!ぼくは…」ブツブツブツ




商人「なに独り言呟いてるんです?」

勇者「しょ、商人?早かったね!?」

商人「そうですか?1時間くらい入ってたと思うんですけど…」

商人「そんなことより勇者さんも汗落として来た方が良いですよ。
   明日も旅は続くんですからしっかり休まないと」

勇者「そ、そうだね。そうする」

商人「んじゃ、私は村で集めた情報をノートにまとめて
   大まかな旅の計画立てときますね。今日みたいに
   迷子になるのはもう勘弁ですから」

勇者「うん。よろしく」

商人「はーい♪」

30分後


勇者「ふー、いいお湯だったぁ。お待たせ商人」

商人「zzzzz…」

勇者「商人?」

商人「zzzzz…」

勇者「疲れて寝ちゃったのか。ペン持ったまま寝ちゃってる」

商人「zzzzz…」

勇者(……こうやって寝顔見てると、商人ってかなりの美人だよね)

勇者(今日は迷子になったりいろいろと大変な目にもあったけど、
   商人がいてくれたおかげでけっこう助かったのも事実なんだよな)

勇者(ぼく1人じゃ途中にモンスターに襲われて、この村まで
   たどり着けたかどうかも怪しいし…)

勇者「……ありがと」ボソッ

商人「どう…いたしましてぇー…ムニャムニャ…」

勇者「…………もしかして起きてる?」

商人「むにゃむびゃ…」クカー

勇者「…………えいっ」ツンッ

商人「zzzzzz…」

勇者「寝てる、よね?まったく、無防備だなぁ…」プニプニ

商人「むがっ……!」

勇者「あはは、変な顔ーwww」

商人「うぅぅぅっ!」ガバッ

勇者「う、うわわわわわわっ!?」

勇者「ちょ、ちょっと商人!?ぼくが悪かったよ!もう顔突かないから
   どいてぇー!?」

商人「zzzzzz…」

勇者「うぅ…重い…」

商人「zzzzz…」

勇者(けど、なんか良いにおいするな…)ムクムクムク

勇者「げ……や、やば!」

勇者(お、落ち着け!気持ちを静めて冷静になるんだ!)

商人「zzzzz…」ぎゅー

勇者(だ、だめだぁぁぁぁぁぁぁ!?)ガビーン

勇者(胸が押しつけられて気持ちを鎮めるどころじゃない!)

勇者(で、でももしここで手を出したりなんかしちゃったら…)


  商人「勇者さんって最低ですね。旅の仲間に手を出すエロがっぱだったなんて」

  村人「うわぁー、勇者様ってむっつりだったんだぁ…」

  王様「おお!勇者よ仲間に手を出すとは情けない!」

  母「…………」


勇者(そ、それだけはダメだぁぁぁ!勇者としての威厳がぁぁぁぁ!!!)

商人「うへへへへー…」ぎゅー

勇者「な、なんとか耐えきるしかない…がんばれ、自分!」

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