モバP「南条光の正体がサキュバスだった」 (30)

アイドルマスターシンデレラガールズ、南条光のR-18SSです。苦手な方はご遠慮下さい。


 担当アイドルの南条光が倒れたのは、およそ三十分前のことだ。

 児童養護施設を兼ねたミッションスクール、その大聖堂にてLIVEを終えた直後、光は糸が切れたようにへたりこんでしまった。

 顔は熟れた果物より赤く、呼吸は浅く、その憔悴ぶりは明らかに尋常のそれではない。

 今になって思い返すと、光は今日のチャリティーLIVEに日頃以上の力を注いでいた。

 〝正義のヒーロー〟という趣旨で活動してるから、子供の期待に応えるべく追い込みをかけていたのだろう。

 アイドルのイメージを守ることに張り切りすぎる傾向は知っていたし、本人もそのことは理解していて、意識的に休憩を取るようにしていたのだが。

 打てば響くように育つ彼女に絆され、俺は必要以上の自主練を許してしまっていた。

 少年のように有り余る活力を目にして、より成長した姿が見たくなり――そう意欲に甘え、適度な休憩だけではケアしきれないほど疲労を蓄積させてしまった結果が、この現状だ。

 バーンアウトに陥った原因は俺の判断にあるのだから、体調を取り戻せるように看病しないといけない。

 肩で息する光を担ぎ、休める場所を探し出す。

 大聖堂からしばらく離れた休憩室には、幸い先客は居なかった。

 清潔なベッドに彼女を寝かし、冷汗シートや生理食塩水の買い出しに出かける。

 道中で事務所への諸連絡を済ませ、赤いブローチを着けた修道女から部屋を借りたことの事後承諾を得た。

 その他庶務も片付けて休憩室に戻り、ドアノブを握ると、部屋からくちゃくちゃと微かな音。

 踏みとどまってドアに耳を当てると、苦しげな呻きがして焦燥を煽られる。

 まさか、光の容態が悪化したのではないか――強い不安に駆られて、俺は部屋へと踏み入った。

「光、体調は大丈夫、……か……?」

「……えっ! あっ、ぷ、プロデューサー、もう、戻って……!?」

 酷く動揺して応じた声は、間違いなく南条光のもの。

 けれど眼前で佇んでいるのは、光であって光でなかった。

 LIVE時のスマートな衣装に代わり、ランジェリーとボンテージが設けた不義の子を想起させる薄布が、滑らかな白肌を締め付けている。

 両側頭部からはヤギを連想させる皺深い角が生えていて、ハート型の弧を頭頂に彩っていた。

 露出した下腹にもまたハートの模様が彩られていて、デフォルメした子宮を連想させられる。

 明らかに人から逸脱した装いは、古来より語られるサキュバスそのものだ。

 愕然として凍り付いた彼女は、しなやかな細腕を引き締まった両脚の間に伸ばしている。

 部屋に入る前にした水音、上気した頬、内側へ折り曲がったしなやかな指。

 誰だろうと誰からも隠すことをしているのは、誰の目からも明らかだ。

 最悪のミスを犯したと気付き、思考停止して立ち尽くす。

 もっとも、一番最悪と思っているのは、俺より彼女の方だろう。

「……み、みっ、見ないで、見ないでくれっ!
 何もっ、何も見ていない! そうだろっ!?」

 矢継ぎ早に少女が羞恥を叫び、『あっちに行け』のジェスチャーを繰り返す。

 突然の出来事に何も考えられなくなって、命じられるがまま踵を返した。


 しばし経ち、ようやく思考を取り戻した頃。

 向こうも整理が付いたらしく、扉から手だけ出して呼び寄せてきた。

 入室して謝意を表明してから、光に事情の説明を求める。

「光がサキュバス、……なぁ」

「コスプレじゃあないぞ。ほら」

 真剣さが滲む声色と間逆に、光の矮躯が軽快に翻る。

 腰まで伸びた黒髪をうなじが露出するまで掻き上げると、肩胛骨の肩胛骨の付け根ではコウモリ型の羽根がはためいていた。

 尻の付け根には黒く細長い尻尾が生えていて、なめし皮のように照り返しながら、クネクネと縄跳びのようにしなっている。

 示された証拠が事実を証明しているが、受容できるかという気持ちの問題は否だ。

 かたや男を誑かして命を啜る、淫靡と頽廃の吸精魔。

 かたや無垢かつ元気が取り柄な、夢にひたむきな南条光。

 対極同然な両者を、どうしても等号で結べない。

 戸惑って硬直する俺を眺め、光はわざとらしく頬を掻いた。

「本当は……ずっと、隠しておきたかったんだ。
 けど、最近疲れちゃっててさ、限界を見誤ってたんだ。
 いつもの格好が一番楽だったから、なっちゃってさぁ」

 殊更に鷹揚な仕草を見せるのは、人を不安がらせたくない時にする悪癖。

 それが不調や問題を隠す所作だということを、まったく知らない俺ではない。

「もしかして、教会に来るのが負担だったりしなかったか。
 この場所には魔除けの効果があるから、とか」

 いわゆる聖域といった場所には、退魔の加護というものがあるのだろう。

 体に合わない場所で過ごせば体調は崩れてしまうもので、それはサキュバスとて変わりないはず。

 その苦痛は人間に例えれば高山病に近いのだろうか、それとも、瘴気が立ちこめる山川を歩き回るようなものだろうか。

 人の身にあっては想像もつかないが、尋常ならざる負荷であるとは推測できた。

「そんなところだな。聖堂の十字架から少し離れたから、もうほとんど辛くないけどね。
 ……けど」

 言い淀んだかと思えば目を伏せ、碧眼が俺を射竦める。

 身を強ばらせた俺の方へ、光が一歩ずつ近づいてくる。

「もう、限界なんだ……見られちゃった以上、仕方ないし……
 プロデューサー……ううん、プロデューサーさん。頼みがあるんだ……!」

 距離が縮まっていくに比して、嫌な想像が胸中で膨らみゆく。

 消耗を極めたサキュバスがにじり寄ってくる意味なんて、考えるまでもない。

 命を保つために精が必須なら、人が食事を通して命を摘み取るのと同じように、自然の摂理として仕方ないのだろう。

 しかし俺を補食しようとしているのは、性と縁遠かった南条光だ。

 いや、そんな無垢じみた彼女像すら、もしかしたら芝居だったのだろうか。

 俺の存じぬ所で男を貪り、浅ましく性に溺れていたのか。

 確証無きはずの疑念が左胸を縛り、捩じ切られそうなほど痛みが走った。

「何を、手伝えばいいんだ」

 神経をがりがりと削られて、声を裏返さないだけで精一杯。

 固唾を飲んで彼女を見やると、じっと俺を見返してきた。

「……見張っていて欲しいんだ。
 誰かを襲ってしまったりしないように、アタシを監視して欲しい!」


 想定と真反対の要求を耳にし、体がひどく硬直する。

 静寂が続き、光がだんだん不安げな雰囲気を放ち始めたのを悟って、ようやく話す内容が浮かんだ。

「……襲わない、のか」

「た、食べないって!」

 ちっちゃな拳をきゅっと握り、光が否定を訴えた。

「えっと、というかだな、正しくないだろ。えっちな、ああいや、恥ずかしいこと……いや違う、フケツなことをお付き合いしてもいないのにするのってさ……
 というか、欲望に打ち勝って乗りこなして見せてこそヒーローはヒーローっていうか……」

 しかしその威勢は次第に弱まり、消え入りそうな程に声量が萎んだ。

 いかにも年相応に戸惑った態度は、淫魔を名乗るには似つかわしくない。

「……今まで我慢してたんだけど、本能として欲望が強いって言うか……もう、我慢が苦しくて。
 このままだと、本当に人を襲っちゃいそうなんだ」

 相槌を打って告白を傾聴し、受け取った情報を総括する。

 光は淫魔として生まれたというのに、宗教家でもその敬虔ぶりに呆れてしまうような禁欲生活を送っていたようだ。

 過去には本性を受け入れて精を捕食し、折り合いをつけることも考えたという。

 それでも、社会の規範たるヒーロー像への憧れを捨てられず、命を削る生活を選んだらしい。

 かと言って意志では魔力の欠乏は埋められなくて、限界が訪れたのが事の顛末だったそうだ。

「ごめん、アタシの心が、身体が強くなかったせいで、秘密を守りきれなかった。
 けど……プロデューサーさんが見てくれている間なら、きっと、理想と良心を失わずにいられると思うんだ」

 罪を犯したことを悔い、許しを乞うような口振りで願う。

 弱音を吐きたがらなかったヒーロー少女が、嗚咽を堪えて人に縋るだなんて――理想への挑戦を諦めない気高さに、すっかり感服させられた。

「俺で良いなら、引き受けさせてくれ」

 策略を疑った事への後ろめたさは残っているし、監視役をする資格なんて無いだろう。

 それでも、光が心強いと言ってくれるなら、付き添ってあげたいとも思っていた。

「ほ……本当か?
 沢山迷惑をかけると思う。それでも、見張っていてくれるのか?」

 首肯すると、光はみるみる笑みを取り戻した。

 少年のように闊達な姿が、LIVEで見せるそれよりも眩しく映る。

 どれだけ特異な存在であっても、その笑顔には見る者に力をもたらす活気があって、気付けば俺も頬を緩めていた。

「ただ、だな」

「うん?」

「疲れるならその格好のままで良い。ただ……」

 谷間まで露な胸元から目を逸らし、かねてから懸念してたことを耳打ちする。

 休憩室へ担ぎ込んだ時以上に光は赤面し、ベッド上に飛び乗った。

「み、見苦しい物を見せてごめんっ! 今どうにかするから、ちょっと待ってて! 変身!」

 ポーズを取ることもなくそう叫ぶと、光の体が薄桃色に輝くベールに包まれた。

 痴女の装いから瞬く間に私服に戻るのを目の当たりにして、そういう仕組みかと、どうしてか落ち着いて納得していた。


 かくして約束をしたのはいいが、順風満帆かと言えばさもあらず。

 二ヶ月ほど期間を過ぎた頃には、大きな問題が露呈していた。

 光はサキュバスであるにもかかわらず、男の目をまるで意識しないのだ。

「ワン、ツースリー、フォー、たん、たん、たた、たんっ♪」

 たとえば、レッスンの最中などがそう。

 元気よく振られるぷにぷにした二の腕と、脇へ滴る珠の汗。

 レッスン着の隙間から垣間見える、体格の割にふっくらと実った谷間。

 無駄な肉が一切無い綺麗な脚と、子鹿を思わせる踝が形作る愛らしい曲線。

 誰に媚びるということもしない光は、それらに向けられる視線を一切気にしていなかった。

 約束通り光が人を襲いそうな傾向に注意を払っているのだが、率直に言って目に毒だ。

 呼吸が荒くなったり、肌が真っ赤に火照っていたりなど――レッスン後には見慣れていた光景が、酷く妖しく映ってしまう。

 もちろんその多くはただの疲弊で、監視が的外れだったことの方が多い。

 が、およそ七回に一度ほどの頻度で、本当に発情寸前だったこともあった。

 淫気に警戒する生活が続いてからというもの、何気ない所作ですら気になって仕方ない。

 最初は新たな魅力を見つけられて喜びもしたが、長期間こんな姿を見せられて、今では悶々とした感情が勝っている。

「へへっ、ダンスクリアっ!
 なぁ、何処か改善点とか無かったかな、プロデューサーさんっ!」

 そう俺が悶えてる間に、光は練習を終えた。

「指先に視線を集めさせて、そこからマイク、口元に誘導させるのに気を配ってるみたいだな。
 この完成度なら……来月のLIVEには完成していそうだ。
 指摘される前に自分からそれを始めるなんて、大した奴だよ、お前は」

「おおっ、気づいてくれたのか、ありがとう! ふっふっふっ、進行も順調ぉー♪」

 上機嫌に鼻歌を歌って、光が少年みたいに破顔する。

 LIVEや写真集で見る笑顔よりも魅力的なそれは、この前の出来事が悪い嘘であったと思わせるほど爽快で軽やか。

 こんな少女に自分は何を見ているのだと思うと、息も苦しいほどに喉が詰まる。

 鉛のように重い後ろめたさに蝕まれてると、不意に光が身構えた。

「いつも見守ってくれて、ちょっとしたことにも気づいてくれて……
 アタシの相棒役はもう、プロデューサーさんしか考えられないな! とぉっ!」

 小柄な五体に似つかわしくないバネで跳ね、ぴょん、と胸元に抱きついてきた。

 慌てて受け止め、共倒れにならぬよう踏ん張ってみると、胸板にむにゅっと柔い感触。

 ゴム鞠を思わせる若々しい弾力を、スーツ越しにはっきりと感じた。

「! 急に飛びつかないでくれ、危ないだろう。
 それより、シャワーを浴びたらどうだ。あれだけ踊ったんだし、汗が気にならないのか」

「あ、それもそうだな。じゃあ行ってくる!
 次はもっといいパフォーマンスを見せることを約束するからね! それじゃっ!」

 そう言って俺からぱっと飛び退き、荷物を片づけてレッスンルームを退出した。

 跡には汗の残り香が置いてけぼりで、なるべく嗅がないよう心がける。

 が、息すれば否応なく肺に流れて、シャンプーと汗が混じった少女らしい甘酸っぱさが、鼻腔をじんじんと麻痺させた。

 視界が霞がかかってきて心拍が騒いで、こうなるのも今日が初めてじゃない。

 事務室に戻って業務に手を着けたが、朦朧として遅々として進まない。

 限界だ、こんな状態から早く逃げたい――手近な写真集を掴み、休憩時間にトイレに駆け込む。

 便座に腰掛けて開いたページは、悪い偶然にも、自信気に親指を突き立てた水着の光。

 脳芯がかっと茹だるような錯覚と共に何も考えられなくなって、反射的にそのグラビアで処理してしまった。

 宗教絵画を安ペンキで汚損するような罪悪感が胸中で渦巻き、立つことも出来ずしばらく座り込んだ。

 こうも薄弱な俺であっては、いつか光を傷つけるかもしれない。

 胸にのし掛かる息苦しさと対話して、担当を降りることも考えた。

 が、もしそんなことをしたら、困難を分かつ仲間を求めていた光が孤立してしまう。

 俺よりずっと強い衝動に抗っているはずの彼女を見捨てて、どうして俺一人逃げてよいのか、いやよくない。

 正体を話せる人間を失ったとき、光はどれだけ悲しむか――そう思えばいくらか耐えられはしたが、限界は目前に控えている。

 逡巡のあまり不眠に陥り、LIVE前の多忙も相まって、俺は仮眠室の常連となっていた。

 当日まで考えていても解決策は見つからず、途方に暮れたまま舞台を鑑賞。

 光がスポットライトを浴びて宝石のように輝きを反射し、客席に向けて煌びやかな栄気を送り届けていた。

「みんな、アンコールありがとうっ! じゃあ、次で今度こそ本当のラストだぁーーっ!」

 叫び、床を力強く踏みならす。

 合図に合わせて曲が流れ、腕を突き上げて強烈にシャウト。

 連日積み重ねたレッスンの成果が表れた一挙手一投足を観て、ファン達は時折嘆息を漏らし、またある時は熱狂を吼えた。

 あらゆる好ましい感情を浴びて倍返しする光は、まさしく生きた太陽のよう。

 そんな彼女に卑しい視線を向ける男なんて、日の当たらない場所にいるべきなのだ。

 以前なら積極的に彼女の前から排除していた存在に成り果ててしまったことに、ひたすら自己嫌悪を覚えていた。

 心の淀みに足を取られるうちに、大盛況のLIVEは無事閉幕。

 諸関係人物への挨拶を済ませ、一仕事終えたヒーローを回収し、車を出して女子寮に送った。

「じゃあプロデューサーさん、おやすみなさい! 最近顔色悪かったから、しっかり寝て欲しい!」

「ああ、おやすみ。
 一徹もすれば作業も片づくから、その後ゆっくりそうさせてもらう」

「作業って、経費の計算とか、ブロマガとか、だよな……。
 お気楽なことを言っちゃったかな」

 「そんなことはない」とだけ告げて別れ、車を走らせて事務所に戻る。

 そうしてデスクについたはいいが、言ったようには作業が進まない。

 頭蓋骨に蒸気が篭もったように思考が霞掛かり、簡単な作業から片付けようにも、五分と集中が続かない。

 睡魔に脅かされて船を漕ぐ有様に陥っていると、隣席から不安そうな声で提案。

「あの、一度休んだ方がいいんじゃありませんか?
 今日までずっと働きづめでしたから……少し息抜きしないと、能率だって悪くなっちゃいます」

 作業を手伝ってくれている千川ちひろ事務員の声ですら、聴覚が鈍ってるのか水中から訊いているようだった。

「お気遣いありがとうございます。
 また、借りていいですか」

 仮眠室を指さす、渋りつつも首肯してくれた。

「……ほどほどにしてくださいね? プロデューサーさんが倒れちゃったりしたら、事務所の皆も悲しくなっちゃいますから」

 申し訳なく思いながらも、気力を振り絞って区切りがいい所まで片付ける。

 PCを落として仮眠室に入り、スーツも脱がず大の字になってベッドに倒れ込んだ。

 暗闇に包まれて、眠ることだけを考えて瞼を閉じる。

 しばらくすると弛緩した手足が暖気を帯びて、身動きする力が萎びていく。

 いつ眠りに落ちたのか、それともまだ起きているのか――微睡みの狭間をたゆたっていると、下腹から微弱な振動と重み。

 小柄で不可解なそれからは、みちゃみちゃ粘ついた音が鳴っている。

 何事か訝んで重い瞼を開くと、人影が俺に跨がっていた。

「はぁ、あ、んっ……」

 サキュバスの姿に戻った光が、焼けた息を吐いて下半身を擦り付けている。

 窓から差し込んだ街灯が照らした顔は、欲望に蕩けて男を知り尽くしてるよう。

 スーツの上から勝手に素股し、女陰から生ぬるい蜜を垂らしている。

 なぜ光がここにいるのか、ただの見間違えではないのか。

 まさかLIVEを終えた開放感でタガが外れて、欲望に膝を屈したのか。

 サキュバスは夢魔という名前の通り、夢の世界にも表れるそうだし、まさか今を補食の好機と見たのか、それともあの告白すら芝居なのか。

「溜めすぎは身体に毒だよ、プロデューサーさん……」

 一句一句を噛み含め、薄い唇を舌でぬめらす。

 じっと見据えてくる瞳は虚ろで、闇以外何も映していない。

「ね、いいよね? これ、アタシにちょうだい。
 カラダに悪いからさ……プロデューサーさんのおちんちん、助けさせてよぉ」

 すっかり勃ちきったものを掬い上げて、幼い繊手でしごいてくる。

 ズボンから漏れだしたカウパーと愛液が混じり、くちゃくちゃ音を立てて指を汚す。

 耐えきれず苦悶する無様な俺を、光は心底楽しそうに見ている。

 口を半開きにして、目は伏せていて、吐息には艶めかしい甘味が混じる。

 淫靡そのものなだらしない顔で、男を弄ぶ楽しみを堪能している様子だった。

 抵抗しなければ――そう思っても、金縛りが如く力が入らない。

 まさか、いわゆる魔術の類か。

 理屈はどうであれ、サキュバスがその手の不可思議な手段を使えても不思議ではない。

 ただ、光がそんなことをしたりするのか。

 するわけがない、なら眼前の光は誰だ、行き来しても考えは纏まらない。

 混乱する間も責めは続いて、亀頭を押し潰すように掌で圧される。

 強すぎる刺激が前立腺液をたっぷり引きずり出し、次いで短い悲鳴まで絞り出された。

 すると、俺に跨がる夢魔とは別の方から、珍妙な慌て声が響いてくる。

「わひゃっ!?」

 明瞭なその声の方向を見ようとして、目をしっかりと開くと、そこにはただの天井しかなかった。

 カーテンの隙間から射す陽光を見るに、どうやら一睡してしまったらしい。

 さすれば、さっきのは夢で確定だ。

 風呂に入らず、スーツを脱がなかった疲労も相まり、この上なく目覚めが悪い。

 欲望を切っ掛けに起床したせいで、身体が熱くてたまらない。

 とはいえ、このまま二度寝するわけには行かないだろう。

 備え付けの時計が示す時間によれば、早朝とはいえそろそろ誰か来てもおかしくない。

 もっともそれは、余程早く出社してしまう労働意欲が強すぎる人種に限られるが――と、気怠く半身を起こすと、脚の間に不審な小山。

 寝る前にシーツの盛り上がりなんて無かったことは覚えている。

 端っこを掴んでシーツを奪い取ると、虚を突かれたように見開かれた碧眼に見返された。

「わぁっ!?
 ……あっ、えっと……お、おはよう、プロデューサーさん! よく、眠れたか!
 徹夜するって言ってたから起こそうかって思ってたんだけど、あはは、驚かせるつもりだったのに、アタシがびっくりしちゃった、はは……」

 サキュバスの格好ではない、シャツと短パンの無防備な光が、頬を掻いて焦りを取り繕ろう。

 ありきたりな仕草で胸元がはだけ、成長期の稜線が露わになる。

 情欲漬けで曇った脳を灼くには、それだけの刺激で充分すぎた。

「なら、股の間に入る必要はないよな。
 ……それとも、興味を引く物でもあったか?」

 悪事を責めるように詰問すると、図星を突かれたように顔をしかめる。

「そっ……そんなわけ、無い、だろ。えっちなことは絶対したくないって、話をしたじゃないか」

「誰もエロいこととは、今言ってないよな」

 指摘されて唖然とした光の胸元が、段々と朱色を帯びているのに感づくと、もっと秘密を暴きたくなる。

 欲望と疲労に蝕まれきった脳は、道徳の手綱を弛めている。

 半ば衝動的にジッパーに触れると、かちゃ、と僅かに金属音。

 緩慢と降ろして取り出した中身は、夢精寸前だったせいか我慢汁でべったべたに濡れていた。

 額を射抜くようにまっすぐ張り詰めているものを見て、光はおっかなびっくり口を開いた。

「……な、なにをしてるんだ、プロデューサーさん。そんなのは、その、閉まってくれ。
 今なら、見なかったことにするからさ」

 そう正論を述べてるくせに、『そんなの』から目を背ける気配がない。

 サキュバスという種族の性か、股座に視線を注いでる。

 半開きになった口を慌てて引き結ぶと、ごくっ、と溜飲があからさま。

 顔つきはやがてとろりと惚け、呼吸のスパンも短くなった。

「ズボン越しに朝勃ちを見てたんだよな。
 教会でオナってたぐらいだし、我慢しっぱなしで、溜まってたんだよな」

「なっ! そんなわけない! アタシはただ、本当に、起こそうと……」

 羞恥に顔を赤らめて後ずさりし、今更顔を手で覆う光。

 そのくせ指の隙間から見てきて、そんなに関心が高まってるのか。

 口調も徐々に緩慢となって、むっつりスケベを隠せていない。

 視線に炙られて血潮が煮沸し、骨髄から脳の奥まで蒸し焼きになる。

 もうだめだ、抑えられない、もう何もかも知ったことか。

 エロに抵抗があるのに興味を捨てきれない無防備サキュバスを、どうして抱き潰してはいけないのか。

 本能に命じられるがまま身を起こし、軽く光を押し倒した。

 何が起きたのかわからない様子で、光の両目が白黒する。

 やがて事態を理解したか、表情を強ばらせて弱々しく言った。

「や、やめるんだ、プロデューサーさん……! 落ち着いてくれ。正気を、取り戻すんだ……」

 細くしなやかな腕を突き出し、胸板に押しつけて抵抗する。

 折れそうなぐらい華奢な女にそんなことをされて、征服欲がひどく煽られる。

 若くて健康なヒーロー少女が、もう生殖の対象にしか見られない。

 機先を制して唇を塞ぐと、腹の舌の光が目を丸くする。

 唇を噛んで抗するかと思えばさもあらず、頭が真っ白になったか身を強ばらせている。

 拳骨を胸板にやだやだと押しつけて、無力さが愛らしい。

 キスを続けるうち抵抗も弱まり、力の入らない腕でシーツを掴んでもがくばかり。

 唇を割り開いて舌先を差し込み、柔らかい歯茎を丁寧になぞると、光も舌を押し当ててきた。

 追い出すつもりで差し向けられただろう舌を舐め返し、根本が触れ合うまで絡ませあう。

 幼い皓歯をじゅるじゅると嬲ると、奥からこんこんと濃いツバが沸く。

 ボーイッシュな印象に反して長い舌ごと唾液を啜ると、咽せるほど甘く粘ついている。

 淫魔の体液には媚薬作用が含まれている――そう説明されたら納得してしまう極上の甘露を味わうと、脳漿まで甘く味付けられそう。

「!? ちゅむ、ちゅ、んむっ……!?」

 ツバの鳴る下品な水音を立てて、純真な光の耳を犯す。

 頭蓋でちゅっぱちゅっぱと猥音が木霊し、興奮で視界が狭まってくる。

 より蹂躙したくて掴んだ頭は、小動物のように小さくて柔い。

 最初は俺を退けようとしていた細腕が、今は俺の手に重ねられている。

 酸欠を訴えて握り締める力が、愛おしいぐらいなよなよしている。

 無視して舌を優しく食むと、光の矮躯がびくっと跳ねた。

 何か言いたげに涙目で睨むが、俺が塞いでるせ
いで内容は不明。

 ただはっきりと理解できるのは、この中学生はキスだけで達したということだ。

 さすがサキュバスと感心しつつ、唇を離せば唾の橋。

 見下ろした光はぽやんと惚けて、口元も拭わずに俯いていた。

「や、やめて……
 いまなら、わすれる、から……だから、だからぁ……」

 そう抗議する瞳は物欲しげに濡れ、首元は火照って桜色。

 本当に嫌なら叫べばいいのに、なぜ甘え声をあげて見上げてくるのか。

 光だってもう空腹の極地で、一時の感情に流されたいのではないか。

 人がいないとはいえ仕事先、そんなベッドで自慰に及んでしまう欲求不満サキュバスが色欲に染まりつつあるのを目の当たりにすると、どす黒い感情が煮沸する。

 短パンを剥ぎ取っても涙目で足をこじらせるだけで、ほとんど無抵抗と変わらない。

 白ショーツは既にぐっちゅぐちゅの惨状で、綱渡りな節精性活の末路を証明する。

 半開きの脚を開いて局部に触れると、指に生ぬるい蜜汁がべったりと絡んだ。

 一度イって愛液まみれになった肉丘を指圧すると、マシュマロみたいに指を跳ね返しなら雌の匂いがする水を吐く。

 べっちゃちゃになったエロ女相手に、我慢も加減も出来るわけがない。

 抑えつけながらショーツを抜き取り、小さな女性器を露わにする。

 ぴったりと閉じた大陰唇を掻き分け、ほとびた膣口に男性器の先端を宛てがい、狭い穴に体重を緩慢と掛ける。

 握り潰されるような肉圧を押し返しながら篏入すると、やがて先端の半分ほどが膣内に潜んだ。

「や、やっ、やめて……嫌ぁ、やだ、……!」

 今更やめられるはずがない――蚊の鳴くような声で喚く光があまりにも可愛すぎて、衝動的に奥まで刺し貫いた。

 みちみちと膜が裂ける感触と共に、鮮やかな紅色が会陰を染める。

 猟奇的興奮を煽られて竿を行き来させると、処女血の潤滑が陵辱を助けた。

 ロストヴァージンの痛みはさほどでは無いのか、光は僅かばかり眉を顰めたのみ。

 いや、淫魔という来歴ならば、処女膜の断裂で感じてもおかしくはない。

 必死に蠢いて竿を引き込む女性器に抱かれてると、そんな都合がいいことも事実に思える。

 勢いを付けずに隘路を押し広げ、奥深くの弾力を執拗に捏ねると、光の苦鳴に甘みが混じった。

「な、なに、これ……!
 やだ、ここ、こんなの、知りたくない、やぁ……!」

 そうだな、確かに知りたくないよな。

 いけないことだってたくさん我慢して、一人では触れられない場所を無視してきたのだから。

 ならば教えねば、俺のせいで教えられるのだ。

 露悪的な支配欲が喉奥で噴出し、脳を真っ黒に染め上げる。

 獣欲に突き動かされて胎奥を押し上げ、光の下腹部を男で満たす。

 行き場を失った膣液がごぷごぷ漏れて、ベットリとシーツに汚れを作る。

 潤滑液がもたらす滑りを活かして繰り返し小突くと、光は啜り泣きながら背を逸らし、腹筋をぴくぴくさせながら腹を持ち上げた。

 ヒーロー少女の無垢な女陰が、処女の癖に感じられるサキュバスまんこだったという事実が、燃え上がる背徳に薪をくべる。

 光はもしかしたら一生絞精を我慢できたかもしれないのに、その可能性を今から俺が踏み躙る――罪悪と快感で思考が乱れて、セックスする以外何も出来ない。

 募りに募った射精欲を解き、ぎちぎち締めてくる生膣に中出ししたくなる。

 衝動を抽送の加速から気取ったか、ふにゃふにゃになりながらも光が唸った。

「! だ、だめ! アタシ、せーし、たべたくない、いらない……!
 プロデューサーさんだって、たいへんになる、なっちゃうからぁっ……!
 だから、だめ、にゃか、おちんちん、だめっ、禁止、ちんちんきんしぃ……!」

 いかにも女の子らしい甲高い声で、必死に膣内射精を拒む光。

 やはり男の心理を知らないみたいで、それでは狩猟欲を焚きつけるだけなのに。

 そして、光は光自身すら理解していない。

「なら、脚をどけてくれ」

「ふぇ……!?」

 四肢が力強く俺に絡んでいて、これでは種付けを避けられない。

 だいしゅきホールドの事実を告げられて光が戸惑い、眉根を潜めて淫悦を堪える。

 いじらしいほどか弱い抵抗も、一突きする都度に力無く崩れる。

 綺麗な瞳はトロンと弛み、日頃のキリッとした印象は完全に消えてる。

 いつもの光を知ってるからこそ、腹の下で乱れてる女の子がエロすぎる。

 ましてその正体が吸精魔と知れば、種族の役目を果たさせてやりたくなる。

 ヒーローでいられなくなった可愛い処女淫魔を汚損し尽くしたくて、ひときわ奥へ竿を突っ込みながら射精した。

「……! いい、いぃ、いぐ、せーし、ナカ、れてる……!」

 頭をガクガクと振り乱して、非常に気持ちが良さそうに光も果てる。

 精子を効率良く賞味する為の本能か、イキ膣がぎゅううっと根本から締めてくる。

 射精途中に絞られると終わりが刺激される度に引き延ばされて、陰嚢からザーメンを直吸いされる感覚。

 眩暈がするほど快感に灼かれて、瞼が白熱電球に触れたように熱い。

 中学生の子宮なら初潮は済んでいるだろうか、それとも人とサキュバスでは受精卵が着床しないのか。

 避妊せず精液を注ぎながらでは、脳がまるで働かない。

 最後の一滴を流し込むまで、光が逃げないよう矮躯にのし掛かる。

 それでもどこか物足りなくて、痙攣する膣内で腰を振り、残り汁を絞り出すように竿をしごく。

 入念に処女膣を犯し抜いてから、粘ついた男性器をねちねちと引き抜いた。

 ぽっかりと開いた膣口は初めてなだけあり、元の形状に戻ろうと収縮する。

 蠕動して入りきらなかったザーメンがごぷっと押し出され、泡立った淫液や破瓜血と混合。

 ぴくぴく悶えてる充血した陰唇に、陵辱の証拠がべったりと纏わりついていて、こんなものを見たら萎えられない。

 一方の光は吸いきれない呼吸をしながら、身を転がせないぐらいぐったり虚脱。

 珠の汗を流してびしょびしょに濡れ、おっぴろげた股からザーメンを垂れ流す凄惨な姿が、あまりに頽廃的で目を離せない。

 収まりが付かない衝動に任せ、もう一度セックスしようかと思った矢先。

 忘我から魂を取り戻しつつあるらしい光が、ぼうっとした声で告げてきた。

「酷いよ、……酷いよ、プロデューサーさん……!
 ……やめてって言ったのに……こんな、こんなことされたら、アタシ、もう……」

 もう、なんなんだ――そう言って覆い被さろうとしたら、急に視界がひっくり返る。

 俺が押し倒されたのだと理解したのは、枕の柔らかさを後頭部で感知してからだった。

 起きあがろうとするも力が入らず、手間取っている間に光が跨がってくる。

 腰の上に征服するみたいに乗り、あの透視するような瞳で見下ろしてきた。

 淫欲の濁りが煮詰まった瞳は、正気の輝きを失している。

 妖華を思わせるほど艶めかしい視線に、抵抗の意志が吹き飛ばされた。

 目尻を垂らし、舌舐め擦りして、心底楽しそうに微笑み、嫣然と一言。

「――キモチイイアタシに、なっちゃったぁ♡」

 荒い息を吐き、尻を持ち上げ、騎乗位の姿勢で膣を亀頭に押し付ける

 焦って何度か滑ったりするも、一度填まれば殆ど抵抗無く竿が飲み込まれていった。

 一度目のセックスでほぐされた肉筒は、どろどろと蕩けていて非常に挿れやすい。

 それでも先刻まで処女だった締め付けは失われていなくて、収縮して亀頭に吸い付いてくる。

 光が跳ねて竿が抜かれると、肉襞が元の形に戻ろうと膣奥へ向けてぎゅうぎゅう蠢き、我慢汁より濃いもの執念じみて吸引してきた。

 ピストンするごとにじゅるるっと鳴って、膣奥から汁を零しながら俺を貪る。

「はぁ、はぁ、いい、い゛い゛……!
 やだ、いい、おまんこ、い゛い゛、さいこぉおッ……!」

 抑制が利かなくなった欲望に突き動かされて、光は俺を組み伏せて騎乗位に没頭。

 快楽を喰らうことに必死そのもので、跳ねすぎるあまりベッドが壊れそう。

 暴力の如く丸尻を打ち下ろし、恥骨を鳴らすように押し付けてくる。

 貪欲を体現した上下動をして、獣じみた啜り泣きを浅ましく吼えてる。

 激情を打ち据えるようなピストンに溺れ、光は自らの弱点をゴリゴリと擦り潰した。

 無駄な脂肪が付いてない四肢の筋肉を盛り上がらせて、白目を剥きながらアクメ声を絞り出して、それでも満足できずに飢餓感を叫んでる。

 濁った唸りの声量に比して、肌が薄桃色の光を纏う。

 瞬く間に彼女の容姿が変わり、本来の姿を取り戻していく。

 少年的なシャツは姿を消して、エナメル質をした痴女の薄布へ。

 背中から翼を生やし、尻尾をくねらせ、完全にサキュバスの姿を露わにしていた。

「光、お前……!?」

「だ、だって……!
 こんなおいしいの食べちゃったら、も、もどれにゃくなっ、ほお゛っ、お゛ほぉお゛っ……!」


 ベッドが不穏な悲鳴を軋ませ、尻と腰からパシパシ破裂音。

 愛液が混ぜられる音まで混じって、淫らな合奏が耳に絡む。

 発情期のライオンみたいに交尾しているのに物足りない様子で、人差し指と中指で両方の乳首を挟み、くにくに刺激して淫悦を欲している。

 尋常を越えて官能を求める姿は、ヒーローや、アイドルや、まして少女からもかけ離れている。

 無限の恍惚を絶えなく欲する、淫奔で妖美な吸精魔そのものだ。

 淫売に堕落しきった女に興奮を煽られて、こんなのもう絶えられない。

 奥へ導くように蠢く肉襞にぢゅるるっと扱かれると、意識ごと精を啜られる心地。

 生精子を強請るように張り付かれると、腰が融けそうな電流が走る。

 挿入し易くて抜き難い肉筒に絞り上げられ、ぷにゅぷにゅした子宮口に鈴口を沈められながら精を放った。

「! グゥ……!」

「あ゛ッ……! しゃせい、きた、きたきた、い、いひぃ゛ぃ゛ッ……!!」

 仰け反り、舌を突き出し、おとがいを逸らす。

 金切り声と断末魔の間を行き交う、まるで正気じゃない濁ったイキ声。

 髪が抜けそうな程頭を掻き毟って悶絶しているのは、精から啜る魔力で潤っているからか。

 赤熱した鉄芯を尿道から引き抜かれたような射精感に支配されて、事実を考える余裕がない。

 二回目にもかかわらず多量の精液を吐き出して、血中のアドレナリンが焦げ付く気分。

 凄まじい快楽に痙攣して呼吸もできないのに、そんな俺に構うほど、光に余裕は残っていない。

 放精が一段落するのも待たず、絶頂に身悶えつつ騎乗位を継続。

 舌をこぼして唾液を撒くばかりだった唇が引き結ばれたかと思うと、ぶつぶつと何か詠唱を始めた。

 呪文かと訝んだら、すぐに結果が返事する。

「びゅうっ!」

 たったそれだけ唱えられた途端、尿道からマグマじみた熱が迸る。

 亀頭から腰の奥深くにまで樹木が如く根を下ろした至悦を容赦なく引き抜かれる錯覚を覚えつつ、耐える間もなく吐精した。

 逆レイプの余韻が抜ける間もなく絶頂を強いられて、視界で星が明滅する。

 射精を強制する魔法――僅かばかり残った思考で推論した頃には、全てが手遅れだった。

「どぴゅッ! どぴゅッ! びゅぅッ! どぴゅッ! びゅるるるッ! どぴゅうぅうッ!」

 叫ばれた回数とぴったり一致して、脳裏で星が何度も爆ぜ散る。

 淫欲に飢えていたヒーロー淫魔はそれでも空腹が満たされないらしく、より多くを欲して卑猥に叫んだ。

「びゅぅッ! びゅッ! びゅうッ! びゅるるッ!
 びゅうッうッ! びゅッ! びゅる! びゅう! びゅうゥウううーーーッ!」

 狂乱して唱えられる猥雑な反芻で、噴き零れるスペルマの勢いが増す。

 抑制が利かない繁殖欲に光自身も翻弄されていて、体を暴れさせながら狼狽を見せてる。

 それでも止めることを選べなくって、夢中で呪文を連呼する。

 一方的に流し込まれる甘ったるくて重苦しい快楽に押し流されて、意識を離れて射精する。

 エクスタシイが無数に体内で弾けて、悶えるあまり息が吸えない。

 何かしらに助けを求めたいのに、掠れた悲鳴すらあげられない。

 このままでは魂を全て引き抜かれてしまう。

 ザーメンの味を覚えたサキュバスに、人間性も残さず啜られてしまう。

 数え切れないほど突き抜ける絶頂の光が、脳をぶすぶすと焼き焦がす。

 やがて意識は光芒に飲まれ、視界が白一色に塗り潰された。

 その後も光は加減をせずに、何回も精を啜ってきた。

 意識が落ちれば快感で起こされ、目覚めれば絶頂でまた落ちる――搾取と同種の強制セックスを、何度も何度も繰り返された。

 誰かが来る前に満足し、平時の様子を少しだけ取り戻して会話に応じてくれるようになったのは、本当に運の巡りがよい。

 急いで部屋の後始末をして、今後について話し合う。

 こんなことが起きてしまった以上、これまでの関係は保てないし、無理して維持すればまた同じ事が起きかねない――そういった結論に達して、約束を更新することにした。

 内容は単純明快で、予定日を決めて精液を補給することで魔力回復を計り、俺以外は襲わないようにするというだけだ。

 定めた当初は光も困惑していたが、一ヶ月も経った頃には、淫魔アイドルの健康維持には欠かせない予定となっていた。

 かの教会にて再びLIVEを開いた際、胎内に精を泳がせながら歌うことで聖域の浄化力に打ち勝つことに成功して以降、光の中にある交歓への嫌悪感は少しずつ失われていった。

 かと言って万事解決とはならず、欲望とは雪だるま式で膨らみゆくもの。

 特に敬虔なヒーロー少女にあっては、長年の禁欲の反動が現れていた。

 最初のうちはこっそりノーパンで営業に出掛けたり、誰もいない事務所で盛りあう程度の、可愛いリスクの取り方だったのだが。

 気付けば露出や青姦を求める程にタブー破りの味に酔い痴れ、気付けば予定日は何処へやら、連日セックスを求めている。

 遊びを知らない、または避けていた人間は、もし覚えたときには程度を知らないが故にのめり込んでしまう――そんな文言の典型に陥っていた。

 そして、それは俺も例外ではない。

 連日肉食動物みたいに交わって職業意識は枯れ死に、ちびっ子じみてる癖にむっちりと肉付いた女体を愉しむことに関心が支配されきっていた。

 だから、今日も彼女を連れて服飾店へ。

「ぷ、プロデューサーさんっ!
 こんな格好、ヘンタイっぽすぎないかなっ……!?」

 試着室から現れた光を、足先から頭まで視線で舐め上げる。

 小さなホットパンツが肉尻をタイトに覆っていて、むっちりと肉付きつつある曲線を明らかにしている。

 白い尻たぶの下半分は露出していて、弓矢と男性器を象った桃色のシールタトゥーが下品さを強調。

 飾りを施しているのは下腹部もそうで、美しい程引き締まった腹筋に、ハート型にデフォルメされた子宮の紋様が淫らに浮かぶ。

 幼弱さが残る腰骨上を紅い見せパンの細糸が食い込み、白い肌との陰影がハリを強調する。

 局部のみを隠して乳房は露出させてる――いや、もじもじするだけでズレて桜色が見え隠れしてしまう極小ビキニなんて、男を漁る以外には何にも使えない。

 セックスを覚えてからよりムチムチ膨らんだおっぱいを下からキツく抱き上げ、強調された谷間に汗粒が滴る。

 紐同然のホック一本を除いて丸裸な背中は、腰まで伸びた艶やかな髪で隠しているものの、反社会的な印象を正すには焼け石に水だ。

 側頭部から生えた角は、折り曲がりながら頭にハートを象っている。

 ちびっ子とお茶の間に愛されるヒーローなんてイメージが一瞬で破壊されてしまう、淫売や援交少女そのものな格好をして、サキュバスアイドルは身を捩りながら身体を抱いている。

「いいじゃないか、ヘンタイらしくって。
 ほら、最後に帽子とサングラス」

 変装用の小道具を着けさせて下拵えは完了。

 会計は事前に済ませておいたので、全裸より下品な服飾で店外へ連れ出した。

 しばらく繁華街を歩いていると、明らかなどよめきが周囲でおこる。

 露骨に視線を逸らす親子連れや、注意するべきか困惑している若手警官を無視し、見せびらかすようにそのまま直進。

 客引きですら光を避けるそぶりを見せるのは、俺が隣にいるからという理由だけではないだろう。

「な、なぁ、こんなの、……バレたりしない……?」

 不安そうな小声で囁き、ちっちゃな手で俺の裾を掴む光。

 指間にはじっとり汗が滲み、子供の代謝では済まされない異常な熱が籠もる。

「今更何を。
 お前が誰かなんて気付かれないし、それに、どうせコスプレにしか見えないさ」

 俺だって初見ではコスプレに見えたのだから、況や通りすがっただけの市民が、眼前の異常な女があの南条光に似てると感じたとして、淫売とは思っても、正体が淫魔とまで考えるはずがない。

 ましてヒーローアイドル南条光は、社会の公器たる正義の味方だ。

 そんな人物が売春婦同然の格好で男とイチャついたりするだなんて、そもそも想像されるはずがない。

 責め立てる視線を地肌で浴びて、光の白肌が羞恥に火照る。

 胸元や首がピンクに燃えて、夢魔の性フェロモンがむわっと薫る。

 エロくて可愛い小動物露出ショーを堪能してたら、ふと光は小声で詠唱を始めた。

 一句読み上げられるごとに視界がぼやけ、脇や首筋から粘った汗が噴き出る。

 心臓が高鳴り、体温が上がり、熱病のような遊離感でまっすぐ歩くのもひどく苦しい。

 やはりサキュバスという魔物娘は、催淫の魔術を使えるらしい。

 像でも発情する危険な代物なので普段は自制しているそうだが、そんな物を今この場で使う意味は、考えるまでもない。

 とはいえ、ここからラブホまでは距離がある。

 ムラついてた所に明け透けに誘惑されて、繁殖欲を強制的に引きずり出す秘術を使われたらもう我慢ならないのに、まさか衆人環視の中盛る訳にもいかない。

 いや、もし光が記憶を操る魔術を使えるのなら、今ここで新品の服を破り捨ててレイプし、俺の女が受精する瞬間を見せつけることも出来る。

 朦朧とした意識でそんなことを考えつつ周囲を見渡すと、付近に公園の入口がある。

 入園して進んでいくと人も減り、お誂え向きの場所に公衆トイレ。

「ん、こんなとこで、しちゃうのか。まったく、大胆だなぁ……ふふ」

 白々しく非難したりして、光は俺の手を拒まない。

 男子トイレの一室に二人でしけ込み、備えてあった掛札を張り付けた。

 『清掃中』と書かれたそれさえ張っておけば怪しまれない、なんてことは考え難く、気休めにすらなりはしない。

 声を抑えればマシかもしれないが、見境が無くなるまで発情した吸精魔の特技はザーメンと苦鳴を絞ることだし、手早く欲望に一段落つけて、ラブホ探索に戻らねば。

 本来セックスにはまったく適さない、薄暗くて不衛生な環境で盛る異常な行為は、さっさと終わらせてしまわないと。

 そんな考えはお構いなしに、光が股間をカチャカチャまさぐってくる。

 羞恥は道中で捨ててきたらしく、ムネを擦り着けながらじゃれてきた。

 乳腺の発育に身体の成長が追いついてない、ピチピチ突っ張ってそうな中学生おっぱいに挟まれたら、どれだけ気持ちいいか――そう唾を呑んだ瞬間を、ヒーローサキュバスは見逃さない。

「んふふ、やっぱりプロデューサーさんは、おっぱいが好きなんだなぁ……♪
 魔力の匂いが最近どんどん強くなって、注意しなくたってわかっちゃうぐらいになってたけど……今日なんてもう、クラクラしちゃうぐらい強烈だよ。
 こんなスゴいのぷんぷんさせといて、その気はないとか言わせないからな」

 目を細めて舌舐め擦りする光に迫られて、断る手段なんてない。

 指示されるがまま便座に腰掛け、勃起しきった男性器をズボンから晒す。

「オンナノコを犯すことばっか考えてる悪者は……へへ、お胸で成敗してあげよう……♪」

 今やロリ巨乳と表して差し支えない谷間に、汗塗れの竿が埋まっていく。

 吸精を堪えるのを止めてからというもの、光のムネは肥大する欲望を吸うが如く性徴が増している。

 まだ成長途上なのが末恐ろしい乳房の肌触りは滑らかで、ただ撫でられてるだけで気持ちいい。

 欲情が溶け込んだどろどろの唾液を垂らされて、左右違いに乳房を弾まされたりすると、それだけで屈服させられそうだ。

 亀頭に吸い着くほどキメ細かい乳肌がみちぃっと変形し、竿の形に合わせてぴったり張り付く。

 未成年特有の弾力にカリ首を責め擦られると、我慢汁を抑えられない。

 綺麗な乳肌にカウパーが付着し、ぬちゃあっと橋が架かり退廃的。

 猥雑な汁でヌメヌメしたおっぱいに扱かれるのが呻きそうなぐらい気持ちよくて、必死に唇を噛み締める。

 抵抗を踏み荒らしたそうな上目遣いを向けてくるのは、サキュバスという種族の気性だろうか。

 小刻みに両方の胸を擦り上げ、亀頭だけ徹底して愛撫してきた。

 粘液と乳房とカサが絡んで、にゅちにゅち品が無い液音が響く。

 パイズリに夢中な淫魔にとって、目立つ可能性なんて些事らしい。

 ぎゅっぎゅっと乳房を左右から抱え、精液とカウパーを根本から搾っている。

 完成しきってない母乳の通り道に汚液が染み込むのを見て、首筋から火が吹き出そう。

 コリコリした乳腺に愛されていると、この成長期に男の味をもっと徹底的に覚えさせて、よりエロいおっぱいに育ててやりたくなる。


 男の肉欲に気付けないほど、光はもはや無垢ではない。

 妖艶に唇を吊り上げてニタニタ微笑し、俺を追いつめた事実に破顔する。

「へへ、本当に気持ちよさそうだね。
 ……けど、これで終わりじゃないぞ。とっておき、見せちゃうからな」

 言うと、光はそれぞれの乳房を強く握った。

 胸元から乳頭の方へ押し絞るように手で扱くと、先端からぷくりと白い雫。

 まさか、と訝む間もなくして、放射状に液体が迸る。

 甘ったるい匂いを放つエキスは、まごうことなく母乳だった。

「! 光、これは……?」

「見ての通り、んっ、おっぱいだろ?
 角を引っ込めたり淫紋を隠したりできるんだから……ムネの中身を魔術で弄るのなんか、簡単だよ。ちょっとくすぐったいけどな」

 至極当然といった態度で、光は驚く俺を嗤う。

 妊娠して出来たミルクではない様だが、母になってもいないのに母乳というのは釈然としない。

 いや、それよりも。

 特殊なプレイを楽しみたいが為に身体改造に手を染めるとは、光の欲望はどれだけ昏いのか。

 無論プレイ毎に身体を弄るのは、魔物娘にとっては常識かもしれない。

 仮にそうであれ、今まで守ることを公言していた世間の倫理よりも、吸精魔としての常識をあの光が選ぶことの意味を考えると。

 熟した果実がその重みで枝を離れるように堕落していく少女に釘付けで、扇情されるあまり気が狂いそう。

 いや、実際に淫奮が尋常ではなく高められていて、骨髄液が蒸発するぐらい身体が熱い。

 乳臭い臭気を吸えば鼓動が速まり、理性が削られて欲望が育つ。

「汗とか涎とかおまんこのお汁とか、呪文でもえっちになる効果はあるけど……うん、一番はコレ、みたいだね。
 さぁて、ムラムラきすぎて無理やりれいぷしちゃうとか一生出来なくなるまで、いーっぱい、いただくからな」

 真っ白な乳汁が断続的に漏れ出し、谷間と竿がべたべたに汚れる。

 潤滑を増したのをこれ幸いと、前のめりになって胸を押しつけてきた。

 ぷりぷりした乳肌に母乳が滲み、ちゅるちゅる滑って竿を擦る。

 子供を育む為のミルクが子作りでもない遊びに浪費されてると思うと、背徳で背筋が総毛立つ。

 まして淫蕩な娯楽を見いだしているのは、子供の味方なヒーロー少女だ。

 勇敢な彼女を知ってるからこそ、子種を搾り取る遊技に執心する光がいやらしい。

 湿潤に満ちたおっぱい同士が吸い付き合って、乳肉がにゅるにゅる絡んでくる。

 胸骨に触れるほど乳の奥深くに亀頭が滑り、竿から亀頭まで念入りに扱かれる。

 押し潰されるように猛烈に愛されて、無理やり高められて敏感になりすぎた裏筋を撫でられたら、もう耐えられない。

 ぴちぴちした肌が重なる乳間へ向けて――媚薬ミルクに粘膜を酔わされて、吸い込まれるように精液を撃ち出した。

「……! あは、出た、すごい、すごい……!
 これ、おっぱいがきもちいいーってなって、どびゅどびゅしちゃってるんだよね……射精って、すっごくえっちだなぁ」

 頭蓋骨を揺さぶる快感の轟音を響かせて、長い射精が訪れる。

 人智を越えた妖術に誑かされて味わう快感は、背筋が仰け反るほど強烈の限り。

 尋常ではない絶頂に比例し、漏れ溢れるザーメンの量も異常そのもの。

 溺れ尽くさんばかりの白濁が、我先にと光に降り注がれた。

 ぼとぼとと重い音を立てて胸元に滴るのが、本日一度目の吐精の凄まじさを物語る。

 最後まで放たれるまでぎゅううっとムネで抱き締められるものだから、鈍痛を覚えるほど陰嚢を酷使してるにもかかわらず、数滴は余分に精を吐き出してしまう。

 ようやく一段落がついて、光が満足げに嘆息を漏らす。

「うわぁ……顔、重い♪」

 法悦にうっとりと蕩けた顔には、ダマが浮いたザーメンが臭気を放ちながら固着している。

 黄濁している一本繋ぎの汚液を摘み、細指の間でにちゃあっと弄んだ。

 足が地に着かない素振りで、一回りして細腕を扉に突く。

 媚びた顔で振り向き、腰を突き出し、雌らしく膨らんで子供の産み安さを主張する美尻を、フリフリと振って誘ってくる

 新品ホットパンツの局部は既に変色し、すべすべしたフトモモの上に淫蜜を漏らしている。

 露出散歩とパイズリ搾精で興奮して、それだけで突っ込めそうなぐらい仕上がったのか。

 だらしなくて濡れやすい中学生の下品な誘惑で、媚薬作用も相まって下半身に血が凝集する。

 ましてその中学生は担当アイドルであり、人智を越えた存在でもある。

 肉情に目覚めた淫魔の術中に絡め取られて、怪しいミルクを粘膜経由で流し込まれて、逃げる選択などありはしない。

 精を蓄えた獲物として扱われ、情動を操られる以外道はない。

 もはや脱がせることも億劫で、くいっと引っ張って挿入部だけ露出。

 淫肉の割れ目は蜜液に満ちて、蠕動して唾をあやめかしく垂らす。

 生え揃ってもいないくせに陰唇が捲れて、まるで二人の秘め事を暗示するよう。

 表向きは親御さんの覚えもめでたいちびっ子の憧れなのに、生殖器だけはヤりすぎでビラビラが肥大し、見た目も感度もすっかり大人。

 雌の臭気を漂わせて雄を呼び寄せ、奥から吃音と粘液をどぽどぽ零して、快美に狂う準備を済ませてる。

 もう我慢も思考もできない。

 丸く肉付いた尻を握り潰し、腰を掴み、膣肉の弾力を押し退けながら挿入した。

「……! き、きたぁ! おチンポ、きたぁ……!」

 待ちわびたかの如く喜声を張り上げ、光の背筋がぴんと強ばる。

 性器が歓待されてるようにずぶずぶと膣肉の奥へ侵入し、引きずり込まれる感触を味わう。

 びっしょびしょに潤びた隘路は柔く、妖美にほぐれて抜き差しが容易。

 なのに締め付けは猛烈そのもので、腰を引こうとすると、膣口から中身が飛び出る寸前まで竿に吸着して外へ逃げることを許してくれない。

 セックス漬け生活で膣の筋肉が鍛えられたか、あるいは種族の性質か――余計なことを考える余裕も、隙間無く粘膜に張り付かれては保てない。

 一枚一枚がぢゅめぢゅめと蠢く肉襞に、魔の母乳漬けにされて敏感になった亀頭を執念深く嬲られて、立っていられないぐらい鋭敏な電流が腰から脊髄を駆け巡った。

 即死を恐れて押し込むだけの挿入に切り替えるも、淫膣が竿を媚び締めて魔力供給を急かすから逆効果。

 胎奥へ向けて肉筒がざわめき、生じた真空に陰嚢の中身を吸われそうになる。

 自制心を捨てたミニ淫魔の膣は、捕まり易くも抜け難い蟻地獄へと変身していた。

「ふ……! ひ、しゅごい、ちょーいい、さいこぉ……!」

 光も媚肉が収縮する淫楽に狂って、手で声を蓋しつつ白痴に悶えてる。

 腕の力を失して壁に凭れる有様で、それでも自分から尻を押しつけて気持ちよくなってる。

 痛みと快感にただ翻弄されていた破瓜直後の光を思い返すと、感慨で胸中が甘く灼き付く。

 もっと乱れさせて、欲望で汚して、淫蕩の泥濘に溺死させたい。

 折れそうな腰と内曲がりの角を乱暴に掴み、光を壁に押しつけた。

「……!? ぷ、プロデューサーさん、にゃにを……」

 さすがの不意打ちに対しては、妖魔でも驚いた顔を見せるらしい。

 聞く耳持たずで後背位で責め、薄い扉を突き破るぐらい追い詰める。

 力余って光の身体を浮かせてしまうが、おっぱいごと扉に押し付ける。

 ザーメンまみれの胸が張り付いて変形し、壁に粘液を擦り付けながら柔らかくたわむ。

 コリコリに膨らんだ乳首も潰されて、ぴゅうっ、と勢い噴乳。

 ピストンに合わせて乳房が揺れて、乳首の軌跡を母乳が描いた。

 ミルクの飛沫が宙にて煌めき、壁を滴って密室を乳臭さで満たす。

 子供を養う大切な雫を汚いトイレに撒き散らしてると思うと、胸中でどす黒いマグマが噴煙を上げて込み上がる。


 俺と扉の間に挟まれ、圧迫されながらも光は感じ入る。

 自分から気持ちよくなろうと尻をぎこちなく押し当て、乱雑な交尾の受容を試みてる。

 積極的に振る舞える余裕なんて、奪ってしまわないと気が済まない。

 小学生より小さなカラダで母乳を垂れ流す異常な女は、頭から爪先まで支配しないと。

 使命感に駆られて包むように覆い被さると、首筋から芳醇な匂いが薫る。

 揮発した汗の匂いは熱帯の花に似て、ねっとりと甘酸っぱくも野性的にすえていた。

 髪で濃縮されていた発情臭で肺を一杯に満たすと、繁殖欲以外の全てが弾け飛ぶ。

 身体がぶつかり合う音、陰部の絡み合う水音、光の艶声――猥褻なコーラスが脳をトランスに導き、人として積み上げた道徳を捨てさせる。

 半ば光を組み敷いて、汚い床に押し倒しているも同然の体位になっていても、征服願望は燃え上がる一方。

 暴力的な情交を為す獣欲の源は、魅了の魔術と支配欲。

 有無を言わさず引きずり出された愛欲が、凶暴な性行為を実行させる。

 犯せ、壊せ、汚せ、孕ませ――脳裏を指令の叫喚が埋めて、愛情と破壊欲の区別が付けられない。

 光曰く、精子は魔力として食しているから、サキュバスに避妊はほぼ不要らしい。

 その理屈が正しいのなら、食いきれない量を注げば良いのだ。

 光を食べ尽くしたい感情で破裂しそうで、自制なんて一切出来ない。

 まして光以外の女なんかいらない。

 光を味わい続けられるなら他は全部捨てていい。

 激情の赴くまま潰れるぐらい光を抱き締め、子宮口を鈴口で抉り広げながら射精した。

「うぉ゛……! こ、こりぇ、やっぱ、あ゛っ……!」

 絶頂に達して膣道がうねり、根本から万力じみた力で男性器を圧搾。

 貪欲な子宮口にぢゅうぢゅう精液を直飲みされながら、竿を押し潰しながら痙攣する膣肉に扱かれて、放精に終わりが訪れない。

 じっくり開発された子宮が精液漬けになって、光の細い身体が病的にわななく。

 唇を抑えることすら忘れて、遠吠えながら忘我の向こうへ旅立っている。

 悲鳴とも断末魔ともつかない絶叫が狭い個室に木霊する現状、トイレの外にまで漏れてるのは間違いない。

 訪れた時、近辺に人影は無かったが、今はどうなっているのだろう。

 身の破滅が間近に迫っているが、光の小さな子宮を孕ませる悦楽に比べたら至極どうでもいい。

 そして、それは光にとってもそう。

 涎を垂らしながら白痴に悶えて、日だまりのようだった少女は甘え声で淫術を利用した。

「びゅうッ……びゅうッ……びゅぅッ、びゅッ、 びゅるる、どぴゅ……♪
 ぴゅッ、どびゅびゅッ、びゅるる……どぴゅうぅう~~~……♪」

 譫言のように連呼される淫語に合わせ、俺の意志を離れて精が爆ぜる。

 尋常ならざる体液と快楽に打ちひしがれ、なおも続く痴悦の渦に溺れる。

 今日までの人生における吐精体験がこの一瞬に集約されるような、無数の射精感が一本の男性器に折り重なる。

 快感、快感、光の裸、あの光のハダカ、射精、射精、陰茎から射精、精液を射精、子宮に射精、光に射精、孕ませる射精、卵子を汚す射精――

 淫蕩が滞積した白濁の淀みとなりてその流れと同化し、人間として培ってきた物を押し流される幻覚が、絶え間なく続く絶頂の中で溢れ輝く。

 既知の限界を越えた絶頂の麻薬が全身を駆けて、海面体の収縮の度に脳の一番深くから鈍痛が走る。

 ようやく種付けが一段落した時、互いの身体は限界に達していた。

 全身から粘った汗を噴き出して、肩が上下し、鼓動は完全に乱れている。

 失った酸素を取り戻したくて深呼吸するが、こひゅーっ、と嗄れた音が鳴るばかり。

 光も酸素交換が間に合ってない様子で、余韻に囚われたまま帰ってこない。

 壁に力無く寄っかかり、ぽっかり穴が開いてザーメンを零しっぱなしにしている膣を拭いもしない姿には、好青年じみたボーイッシュ少女の面影もない。


 しかし。

「……まぁらぁ……たりなぁい……」

 ぐったりと憔悴に沈みながらも、舌っ足らずに光は言った。

 あれだけ執着じみた搾精をして、これでも充足しないらしい。

 食い殺される恐怖に脅かされた途端、一方の股座は期待に隆起。

 死を前にして生殖本能が活性化するといった類の現象とは思えない。

 かと言ってサキュバスの魔術とも感触が違って、内側から力の源泉が噴き零れるようだ。

 使った筋肉が発達するように、毎日使っていたから精力が増したと言うことなのだろうか。

 サキュバスが言う魔力といったものや、密教で取り扱われるというタントラなるものの流れを、皮膚感覚として知覚できていた。

 なぜ違いを感じ取れたのか――錯覚の類ではないとして、俺の身に何が訪れているのか。

 何回も何回もオーガズムに破壊された脳回路だからこそ、自身が変質するような原初的恐怖に足が竦む。

 しかし、そんなことより重要なことは。

「ん……ぷろでゅーさーさん、すぐきれーにしたげうかりゃ、まっれれ。……あーむっ」

 人には出来ない手段で吸精の限りを尽くした淫魔が、一歩も動けなくなった俺をまた便座に腰掛けさせ、股座に滑り込んで口淫し始めたことだ。

 咥えながら欲望に曇った上目遣いを向けられて、がっちがちに復活してた亀頭がもうカウパーを吐液。

「んふ……しゅけべなんらかふぁあ」

 微笑む仕草は妖魔の貌。

 笑みの艶めかしさにまったく違わず、入念なお掃除フェラには慈悲がない。

 淫魔らしくでろりと延びた長い舌を、竿に這わせて汚れを舐め上げてくる。

 熱い唾液と舌肉をじゅるじゅる絡ませながら扱かれると、あれだけ出した後なのにもう限界が見えてくる。

 そう焦る俺を愉しそうに見て、光がクスクス嘲笑する。

 カリ首に唇を引っ掛けながら亀頭だけを舐め回し、半端な電流を粘膜に流す。

 綺麗な細指を竿に絡ませ、唾液と愛液と精液の混合液をぐっちゃぐちゃ鳴らして小刻みに手コキされたらもう屈しそうになるのに、中途半端で手心を加えられる。

 気が狂いそうなほど生殺しされて、手足の筋肉が自然と突っ張る。

 カウパーに白い蜜が浮かぶまで追い詰められた時、ようやく解放のそぶりを見せた。

「いーっぱい、濃ゆぅくなったから……じゃ、いたらきまぁふ」

 待ち望んでいた映画がついに上映されると知ったような機嫌で、口先で親指と人差し指の輪を形作る。

 亀頭をしゃぶり、唇を窄めて竿に張り付かせ、緩慢と頭が降りてきた。

 たっぷりの唾液で解れきった喉の奥まで、男性器の全てが丸飲みされる。

 子供体温が伝わってくる熱い口内に包まれてると、溶けて飲み込まれそうなぐらい気持ちいい。

 髪を振り乱しながら頭を振られると、じゅっぱじゅっぱいうおしゃぶり音が卑猥。

 厚い喉肉がぐぽぐぽ鳴りながら竿を絞め、粘液塗れの熱い食道が亀頭を握りながら扱いてくる。

 ファンに笑顔をもたらすために、誰よりも磨いた自慢の喉――日頃光がそう自慢していた商売道具が、男を悦ばせる遊びに酷使されてる。

 真っ白でたおやかな喉がピクピクと震えて、背徳で首筋に鳥肌が立つ。

 口先を突き出したひょっとこ顔で強烈に吸い込んで、その光景はまさしく捕食。

 娼婦でもしない程浅ましいフェラが、彼女の性技の卓越を物語る。

 口先をすぼめてカリ首を擦ったり。

 じゅっぱじゅっぱと音を鳴らして、わざとらしく耳を辱めてきたり。

 サキュバスの本能に由来しているだろう淫技を使い尽くされて、産まれながらに妖美な生物に還ってしまうような心地がする。


 このままでは魂を全て引き抜かれる――夏日に晒されたアイスのように、しゃぶり続けられて消えてしまう。

 口腔に精液を吐き捨てる快感に、俺の存在が飲まれてしまう。

 寒気に駆られて、頭皮に指が食い込むぐらい頭を掴み、叫びながら銃を乱射する新兵の心地で咽頭に差し込んだ。

「う゛っ!? っ、お゛ぉ……!?」

 楽しげにお掃除フェラを堪能してた光が一転、畜獣の断末魔じみた声で苦鳴。

 快感の押し売りという最高の享楽を堪能していたのに反撃されて、動揺するのは当然だ。

 だが、それは配慮する理由にならない。

 側頭部の両角を折れるほど握って、絶対に逃げられないようにしながら喉オナホを強姦する。

 脳を口腔から擦り潰すつもりで、食道の奥まった所を亀頭で殴打。

 抉られる度にえづいてる光は、目を裏返らせて白目を剥いている。

 命の危機を訴えてる有様なのに、一方の右腕は女陰を刺激。

 しなやかな指で膣口を掻き混ぜ、左腕では母乳を飛沫かせる乳頭を擦り潰して、快楽を必死に追い求めてる。

 卑蜜とザーメンが混じった汚液が、排水溝に水が吸い込まれる時の聞き苦しい音を立てながら床に垂れる。

 強制イラマチオで酸欠になりながらもオナニーを止められず、公共トイレを白く汚す正義の味方の凄まじい痴態を刮目していると、急にその姿態がぴんと強ばった。

 背筋を逸らして腕を突っ張って、断続的に喉肉が波打つ。

 間違いなく光は、喉を犯されながら絶頂を迎えていた。

 責めてるのではなく責めさせられてるだけで、光が気持ちよくなるための淫具として利用されていただけだ――沸き上がる隷属者の怖気を振り払いたくて、穿つように腰を叩きつける。

 責め立てる側に立って、狂乱に落ちて、もう何も思考したくない。

 もはや俺に意志は残されていなかった。

 光の肉欲に服従して腰を動かす、衝動の奴隷に貶められていた。

 荒々しい抽送を繰り返せば、当然に射精感が目前に迫る。

 胃の方向へと喉壁が蠕動し、捻じ切られそうなほど絞り上げられてそのまま射精した。

「! んぶっ、んぐぅ、んうぅ゛……!」

 光は頬を膨らませて受け止めているが、それでも飲み切れない量が鈴口から迸る。

 大半は食道から胃に直射しているはずなのに、それでも白濁液が口端や鼻先から漏れ出てる。

 肉厚な喉肉に竿を締め上げられて、陰嚢の奥の備精まで引き抜くように吸引されて、射精しながら射精する感覚。

 自分を貪られる感覚に溺れて、また気をやりそうな程俺は身悶えた。

 竿の痙攣が落ち着いたのを見計らって腰を引くと、ぬぼぼぉっと吃音を立てて喉肉が吸い付く。

 緩慢と食道から口腔を逆順に擦り上げて引き抜いた男性器は、濃い唾液でふやけて半萎えになっていた。

 ほかほかと湯気を上げる竿を放心して見つめて、光は犯されたての口をかぱっと開く。

 歯や舌の裏に残留したザーメンはゼリー状で、あれだけ射精した後なのが自分でも信じられない。

 白く淫らな跡に魅入られてる俺に、聞こえるようにうがいを始めた。

 唾液を半固形の精液と撹拌し、薄めつつ口中に広げている。

 雄の臭いをわざわざ立たせて、光は陶然と頬を撫でた。

 本来とても食えたものじゃないゲルを奥歯で噛み締め、最上の美味を味わうように賞味。

 下劣な咀嚼音をぐちゃぐちゃ立てて、少しずつ子種を嚥下し始めた。

 綺麗で若い喉の中を俺の精子が汚損していると思うと、この上無く嗜虐願望が満たされる。

 その一方、遺伝子達が弄ばれて噛み殺されることに、自分がいたぶられる錯覚も覚えた。

 なめらかな喉の筋肉が上下し、ごきゅ、ごきゅっ、ずゅるるっと溜飲の音。

 自慢げにニマっと唇を開くと、ピンクの歯茎に白い筋が少しへばりついていたのみで、残りは全て飲み干されていた。

「やっぱりプロデューサーさん、変わっちゃったんだなぁ……」

「……かもな。以前ならこんなこと、お前とやるなんて思ってなかった」

「違うよ、そういう意味じゃなくってさ。もっと直接的だって」

 不審なことを言って、光が俺の下腹部に触れる。

 手早くシャツが開かれると、そこには矢を模した紋様が刻まれていた。

 光の下腹部に浮かぶ淫紋に似たそれを軽く引っ掻くが、剥がれ落ちる様子がない。

 入れ墨の類かと訝んだが、その手の趣味はないし覚えもない――たった一つ、身体を幾らでも改造できる悪魔の存在を除いては。

 背中に氷の針が突き刺さる錯覚をしていると、光が一言。

「言ったよな……プロデューサーさんもただじゃ済まなくなるって」

 理性を取り戻してきたらしい瞳が、美しい青色の輝きを放つ。

 宝石を想起させる煌めきの奥に、誰にも飲み込めない存在が潜んでいると思えてならない。

 詳しく説明を求めたところ、次のようなことであるらしい。

 人間はサキュバスと交わるうちに、身体に魔力を蓄えやすくなる。

 エネルギーに慣れ親しんだ身体は変化を繰り返し、ある一定以上に順応したとき、人は人の姿を保てなくなる。

 そうして妖魔へと堕ちた存在は男性型サキュバス、あるいはインキュバスと呼ばれており――性衝動を象徴する刻印を刻まれることによって、俺はその存在に成り果てた。

 今日ここで重ねた交歓によって、最後の一線が踏み抜かれたのだ。

「通りで力が出ると思ったら……そういうことだったのか」

「心当たりがあるみたいだな……。
 精液の味が人とインキュバスじゃ違うからすぐわかるって聞いてたけど……本当だったみたい」

 綺麗な顎に残っていたザーメンを細指で摘み、ちゅぱちゅぱしゃぶりながら蠱惑的に言う。

「しゅっごく……おいひかったぁ♡」

 舌舐め擦りするその表情は、俺が知る光の中で、最も人を惹き付けて放さない美しさを漂わせている。

 もう、俺たちは取り返しの付かないところまで来ていた。

 満たされない欲望に突き動かされて精を啜る光と共に、何処までも陶酔に堕ちるしかない。

 もし光を襲ったあの日、俺が少しでも堪えてたのなら、こんな結果にはならないはずだ。

 例え今からあの頃に戻れるとしたって、もうその選択をする気になれない。

 インキュバスの精力をもってして光を貪り続けられる一生と普通の一生を比べたら、当然前者に決まってる。

 人としての死を告げられたはずなのに、ただ納得しか抱けなかった俺では、そんな結論しか導けない。

 いいや、納得だけではなくって、期待も抱いているかもしれない。

 もう人間の倫理に拘る理由がないと思うと、急に気が楽になってきた。

「……あ、もうがっちがちになってる。インキュバスになって、まだまだえっちしたりないみたいだな……へへ。
 けど、ここはすぐ出た方がいいし、そろそろ次の場所も考えた方が良さそうだ。
 最初のホテルもいいけど……ガマンできなくなったら、また別のトイレにする?」

 ピクニックの日程を決めるような気軽さで、上目遣いで訪ねる光。

 その計画は確かに魅力的だが、もっと色々できる気がしていた。

 例えば商店街までこの格好で向かって、光のエロい姿を見せながらセックスするとか。

 いっそ市民に魔術を使って、乱交サバトを起こしてしまうとか。

 そこまでの非常識をする気はまだ無いが、これから毎日光と子作りしていくうちに変わっていくかもしれない。

 ただ、そんな先のことより、今光をどう犯すかの方が、ずっと大切な懸念事項だった。

 刹那的に快楽に狂う日々が、今後も続いていくのだろうか。

 それでも良かったし、むしろそれ以外は嫌だ。

 もうお互いに互い無しでは生きていけないし、より深くに溺れていけるのならそれ以上はない。

 職業意識と人倫の両者が、光みたいな美少女と堕ちていける幸福に飲み込まれていった。

以上です。元ネタは某隔離スレより。依頼出してきます。

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