モバP「…俺も、悪かった」 (52)


愛海「…」

モバP「正確には俺とちひろさんも、だがな」

モバP「…確かに、主にちひろさんが金に目がくらんだ事は認めよう」

愛海「…」

モバP「黒井社長の胸なんざ揉むのはさぞかし辛かった事だろう」

凛「…?」

モバP「ジュピターさんもお前の事をとても心配してくれていた」

モバP「本当に、すまなかった」

愛海「あ、いえ…」

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モバP「…でも、だ」

モバP「今回の事で、俺はお前に反省して欲しかったんだ」

愛海「はい…」

モバP「揉むなら時と場所と相手を考えろ」

モバP「お前に何度も、言い聞かせた言葉だな」

モバP「ちゃんと覚えてるか?」

愛海「もちろんです…」

凛「…」

モバP「じゃあ、窓の外を見てごらん?」

愛海「…」チラッ

ワイワイ  ガヤガヤ

モバP「あれは何だろうな?」

愛海「…近所の人達、です」

モバP「そうだ」

モバP「事務所の近隣住民の皆様だ」

モバP「なんで事務所に来てると思う?」

愛海「…」

モバP「…なんで来てると思う?」

愛海「…私が揉んだから、です」

モバP「そうだ、揉んだからだ」

モバP「見ろこの行列!」

モバP「俺もびっくりだよ」

愛海「…すみません」

モバP「…とりあえず、ちゃんと確認とるから、いいな?」

愛海「はい…」

モバP「…そういうわけで、わざわざすいません、渋谷さん」

凛「…あ、いえ、こちらこそ」ペコッ

モバP「それで、揉んでいたのはうちの愛海で、間違いはないですか?」

凛「はい、テレビで見る人が近くにいたので、ビックリしたのを覚えてます」

モバP「そっくりさん、というわけではないんですね?」

凛「多分…違うと思います」


モバP「…そうですか、ありがとうございました…」

凛「はい…えっと、私は店の手伝いがあるので、これで」

モバP「…わざわざ、ありがとうございました」

愛海「…ました」

凛「…じゃあ、失礼しました」バタン

愛海「…」

モバP「……はぁ」

モバP「…あの人に見覚えはあるな?」

愛海「…はい」

モバP「じゃ、間違いないな…」

モバP「…いつもいつも、なんでお前は揉む相手を考えないんだ?」

愛海「…フィーリングと直感で、手が動くんです…」

モバP「…フィーリングと直感で、つい手が出ちゃったの?」

愛海「はい…」

モバP「犬に?」

愛海「はい…」

モバP「…」

愛海「…」

モバP「…散歩中、通りすがりに揉みしだかれたという話だが、お前だな?」

愛海「…ちゃんと確認はとりました…」

モバP「…近所で野良猫追っかけ回してたそうだな?」

愛海「はい…」

モバP「…我那覇さんとこのいぬ美も揉んでたらしいな?」

愛海「はい…」

モバP「…近所の犬猫その他諸々、揉みしだいて何か得られるものはあったか?」

愛海「…いえ…」

モバP「俺はな、わんこの胸をいじくって何が楽しいのかさっぱりわからん」

モバP「楽しかったか?」

愛海「…あんまり」

モバP「そうだろう?お前は本当に何がしたいんだ」

モバP「刑務所をここに建てたいの?」

モバP「警官コスプレなんざ菜々で見飽きてるぞ?」

愛海「…すみません…」

モバP「…事務所の電話が昨日から鳴りっぱなしなの、知ってるか?」

モバP「今、事務所総出で対応してるんだぞ?」

モバP「見ろ、杏までせっせとお茶を運んでる、明日はきっと嵐だ」

モバP「一体なんなんだこの状況は」

愛海「すみません…」

モバP「…結局、何も進歩してなかったって事だ」

モバP「むしろ退化してるじゃないか」

モバP「次は宇宙人でも揉みに行くか?え?」

愛海「すみません…」

モバP「…俺は長いこと、愛海と仕事してきたが、お前の事を何も分かって無かったんだな」

モバP「…それが一番、ショックだった」

愛海「…すみません」

モバP「これまでの俺の認識が甘かった」

愛海「…また、揉み禁ですか」

モバP「…もうな、揉み禁はだめだ」

モバP「揉み禁期間に比例して爆弾作ってるようなもんだ」

モバP「誰で、むしろ何で爆発するか分かったもんじゃない」

愛海「…すみません」

モバP「今回は、今回こそは俺も腹を据えることにする」

モバP「愛海、アイドル辞めたいか?」

愛海「…!」ビクッ

愛海「……それは…」

モバP「…そうだろうさ、愛海の側に長くいたから分かる」

モバP「アイドルになろうと必死に努力を重ねた愛海を俺は知ってる」

モバP「愛海が本気でアイドルやってることも重々承知だ」

愛海「……うぁ…」グスッ

モバP「…だからな、俺はよーく考えてみた」

愛海「……あぃ…」グスッ

モバP「いいか、本当に大変だとは思うがよく聞くんだ」

モバP「ちひろさんと社長とも相談して決めた事だ」

愛海「……うぁ…い…」グスッ

モバP「愛海、お前な、これからずっとお客様の対応をしろ」

愛海「……あぃ…」

モバP「今な、来てもらった人に整理券配って並んでもらってる」

愛海「………は?」

モバP「近隣住民の声だ」

モバP「『愛海さんに揉んでもらったおかげでうちの犬が元気になった』」

モバP「『揉んでいる最中、愛海さんが何やら不思議がっていたので獣医に診てもらったところ、重大な病気を早期発見する事ができた』」

モバP「などなど…」

モバP「…お前にはきっと何かの才能があるんだな、愛海」

モバP「事務所の前の人達、愛海にまた揉んでもらおうと思って来てくれたそうだ」

愛海「…え?え?」

モバP「…どうやら整理券が100番台までいったらしいから、早くしないと日がくれるぞ」

愛海「へ?いや…え?」

モバP「ネット予約も埋まってきたし、これで当分、嫌というほど揉み続けられる」

モバP「事務所の方だが、近々隣のビルの空きテナントを借りるから安心してくれ」

モバP「お金とってるんだから、ちゃんと丁寧に揉んでやるんだぞ」

モバP「じゃあ1番の人から呼んでくるから、頑張れよ、愛海」

愛海「はぁああ!?」


終わり

どこかの花屋

凛「…」ナデナデ

ハナコ「…クーン?」

凛「…アイドル、か」

凛「アイドルって、凄いなぁ…」

凛「…ねぇ、ハナコ」

凛「私にアイドル、出来るかな?」

ハナコ「ワフッ!」

凛「…そうだね、やってみようか」

凛「私も、棟方さんみたいになれるかな?」


ほんとに終わり

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