藤原肇「良き人とふたり、桜の下で」 (30)


ヤマなしオチなし、肇ちゃんとP夫妻のお花見の話

・独自設定多め
・一応、シリーズ物ですが、今作からでも大丈夫です
(どの話も色んなシチュで肇ちゃんとPがイチャつく内容です)

↓関連作、肇ちゃんとP夫妻が布団でのんびりする話

 藤原肇「夫婦の時間」
藤原肇「夫婦の時間」 - SSまとめ速報
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【公園】


ワイワイ…ガヤガヤ…


P「うわー…改めて見渡すと凄い人の数」


肇「徹夜で場所取りをする方も多いらしいですよ」


P「徹夜か…若いなあ。もうそんな体力ないや」


肇「ふふ、Pさんこそまだまだお若いじゃないですか」


P「はは、肇にそう言って貰えると嬉しいよ。まあ、俺たち夫婦は、隅っこで慎ましく花見しようか」


肇「そうですね。それでは早速、どうです?一杯」クイ


P「…肇、ホントに楓さんに似てきたな…」


肇「私の憧れの人ですから。お酌しますよ?」


P「…よし!折角だし、いただくよ。昼間から外で飲む酒もオツだろう」


肇「そうこなくっちゃですね!では…」トクトク


P「ありがとう。じゃあ、お返しに酌を」


肇「ありがとうございます。でも、私はお水で」


P「え、飲まないの?」


肇「ええ。今日はちょっと、ご遠慮しようかと」


P「…体調悪かったりする?」


肇「いえ、すこぶる元気ですよ。ただ、今日はお水の気分なんです」


P「?…そうか。なら、水で」トクトク


肇「ありがとうございます」


P「そういえば子どもの頃、酒を飲む気分を味わってみたくてお猪口で水を飲んだなあ」


肇「ふふ、Pさんらしいですね」


P「俺らしい?」


肇「とっても、可愛らしいなって」


P「か、可愛らしいって…」


肇「本当ですよ?」


P「…あー、この話やめ!乾杯しよう!」


肇「ふふ、はい♪」


P「それじゃあー」


P・肇「「乾杯」」チン


P「…」コク


肇「…」コク


P「はー…美味いなコレ。口当たりもいい」


肇「そうでしょう、そうでしょう。楓さんにお勧めされたお酒なんです」


P「それなら間違いないな」


肇「ふふ…それにしても、晴れて良かったですね」


P「そうだな。ポカポカしてて、絶好の花見日和だ」


肇「桜も満開で、本当に綺麗ですね…」


P「…ああ、本当に綺麗だ」ジー


肇「…あの、私ではなく、桜を見て下さいよ」


P「桜を見てる肇が見たい。花より肇」


肇「……えっと」


P「肇は桜が似合うなあ。流石、夜桜小町だ」


肇「……」


P「おお、肇の頬っぺたも桜色に」


肇「か、からかわないで下さい…!もう酔っ払っているんですか?」


P「んー…というより、久しぶりのデートだからな。はしゃいじゃってるんだよ」


肇「はしゃぐと口説き文句を言うんですかPさんは。いつも恥ずかしがるくせに」


P「たまにはちゃんと口説かせてくれよ。いつも肇にリードされてばかりなんだから」


肇「それはPさんがだらしないからです」


P「えー…」


肇「えーじゃありません」


P「…夜は俺がリードしてるのにな」


肇「っ!そ、外でなんて事言うんですか、あなたは!」バシバシ


P「いてて…別に誰も俺たちの事なんて見てないよ」


肇「そういう問題ではないんです!まったくもう…」


P「機嫌直してくれよ肇。ほら、桜綺麗だぞ?」ナデナデ


肇「……もう」


P「結局すぐ許してくれるから肇は優しいよな」


肇「惚れた弱みです…」


P「はは、ありがとう、肇。それと…いつもごめんな」


肇「…何がですか?」


P「なかなかふたりの時間取れなくて。ようやく夫婦になったのに…」


肇「ふふ、そんな事ですか」


P「え?」


肇「あなたに嫁ぐ前から、Pさんがお忙しい方なのは承知の上です。私のプロデューサーだったんですから。それに、どんなに忙しくても私の事を愛してくれているのは、きちんと伝わっています」


P「…本当に、ありがとう。肇」


肇「いえいえ…」


P「…今担当している子がもう少しで軌道に乗りそうなんだ。そうしたらひと息つけるから、ふたりで久しぶりに旅行にでも行かないか?」


肇「ええ、是非…あ、でも、もしかしたら」


P「ん?」


肇「……その頃にはふたり、ではなく三人に、なっているかも」


P「え?……それって、もしかして」


肇「…」


P「…」


肇「…」コクン


P「!……マジか」


肇「……マジです」


P「あ、さっき酒を飲まなかったのも!」


肇「そういう、事です」


P「…凄いタイミングで発表するな…びっくりした…」


肇「いつ言おうか考えていて…「ここだ!」と…」


P「そうか…」


肇「…」


P「…」


肇「……嬉しくない、ですか?」


P「え!?そんなわけないだろ!嬉しいよ!すっごく…ただ、ちょっとびっくりしちゃってて……そっか、俺、お父さんになるのか…」


肇「…はい。私は、お母さんに」


P「そっか…そっか…!」ギュウ


肇「あ…」


P「おめでとう、肇…!そっか…そっか…!俺たちの子どもが、ここにいるんだな…!」サスサス


肇「お腹が大きくなるのはこれかららしいですが…喜んでいただけて良かったです…!」


P「喜ばないわけないだろ?よーし、ますます仕事頑張らなきゃな!生まれてくるこの子の為にも!」


肇「くれぐれも、体を壊さないようにしてくださいね?…この子の為にも」


P「わかってるって」


肇「ふふ、後でみんなに報告しないと」


P「あ、もしかして俺が最初か?」


肇「勿論です。夫なんですから。それにわかったのは一昨日ですし……ふふっ、みんな、きっと喜んでくれます」


P「ああ、 そうだな!…肇のおじいちゃんに、ようやくひ孫の顔を見せてやれるな?」


肇「ええ。おじいちゃん、とても楽しみにしているんですよ。「ひ孫の顔を見るまでは死ねん」なんて」


P「はは、ウチの両親も大喜びだろうな…それに、事務所のみんなも。たまに聞かれるんだよ、「子どもはまだなの?」って…」


肇「あはは…」


P「男の子と女の子、どっちだろうな?」


肇「わかるのはもう数ヶ月先みたいです」


P「そっか…楽しみだなあ」


肇「Pさんは、男の子と女の子、どちらが欲しいですか?」


P「ん?俺か…どっちでも嬉しいけど…強いて言えば、肇みたいな可愛い女の子、かな。肇は?」


肇「私は、Pさんのようなカッコいい男の子、ですかね」


P「嬉しい事言ってくれるなこいつめ」


肇「ふふっ、こちらこそ」


P「…幸せな家庭にしような」


肇「…はい」


P「気の早い話だけど、どんな子に育つんだろうなあ…」


肇「きっと、あなたに似て、とても優しい子になりますよ」


P「それなら肇に似て、感受性豊かな子にも育って欲しいな。色んな事に興味を持ってさ。自然とか、芸術とか、スポーツとか。あとー」


肇「陶芸とか♪」


P「はは、やっぱり陶芸をやらせるのか?」


肇「強制はしませんが…興味を持ってくれたら嬉しいですね。私が受け継いだ、備前の心が籠もった器たちをこの子も好きになってくれたら、とは」


P「ああ、そうだな…でも、肇の子だ。きっと陶芸も好きになるさ。あ、それなら、もうひとつ」


肇「?」


P「アイドルにも、興味を持ってくれたら嬉しいな。俺と肇が出会ったのも、アイドルがきっかけだったしな」


肇「ふふ、お父さんのお仕事がプロデューサーですしね」


P「そうそう。この子には、俺が夢のある素敵な仕事をしてるってわかって欲しいしな」


肇「私と同じで、きっとプロデューサーのお仕事を頑張るPさんを好きになりますよ。自慢のお父さんです」


P「それを言うなら、アイドルとしてたくさんの人に夢を与えた肇もだろう」


肇「あー…でも、アイドルだった頃の私の映像や写真を見られるのは、ちょっと恥ずかしいかも」


P「何だ、隠すつもりなのか?」


肇「隠せ…ないでしょう。楓さんや藍子ちゃんたちがきっと会いに来てくれるでしょうし、そうしたらいずれ私がアイドルだった事もわかるでしょうし」


P「自慢のお母さんだな?」


肇「ふふ、そうだといいですね…でもこの子が育つ頃には、もう私もおばさんですよ。ちょっと、恥ずかしいかなって」


P「何言ってるんだ。肇はきっと何年経っても綺麗だよ。この子が大きくなる頃でもな」


肇「そ、そうでしょうか…」


P「美人で優しい、俺の自慢の奥さんだからな!」


肇「…もう、お上手なんですから」


P「はは、もし女の子だったら「お母さんみたいなアイドルになる!」って言い出すかもしれないぞ?」


肇「それは、気恥ずかしいですね…ちなみに、もしそうなったらPさんはどうされるのですか?」


P「んー?まあ、厳しい世界だしどれくらい本気なのか確かめたりはするだろうけど…きっと、応援しちゃうだろうなあ。この子の夢がアイドルに限らず。甘やかし過ぎないように気をつけなくちゃ」


肇「ふふ、そうですね」


P「あー…楽しみだなあ!」


肇「Pさん、まるで子どもみたいです」


P「そりゃそうだろ。肇と俺の子どもが生まれるんだから!…子育て、楽しみだなあ」


肇「一緒に頑張りましょうね?」


P「おう!いずれはさ、家族で釣りに行ったりしてさ」


肇「それは、素敵ですね…!」


P「親子でキャッチボールしたりさ!」


肇「女の子でもですか?」


P「子どもとキャッチボールって夢だったんだよ」


肇「ふふ、なら私は、そうですね……うーん……これから考えます」


P「ああ。時間はたっぷりあるしな」


肇「…あ、ひとつ、思いつきました」


P「お、何だ?」


肇「家族で、お花見をしたいです。今日みたいな、ポカポカとした日に…」


P「花見か…うん。いいな、それ」


肇「この公園の桜の思い出、生まれてくるこの子が大きくなってもずっと刻んでいきたいです」


P「…ああ。考えてみれば、この公園の桜の思い出、たくさんあるなあ。付き合いはじめてから毎年、デートでこの公園の桜を見ながら散歩したっけ」


肇「最初にこの桜を見たのは、私がまだアイドルになりたての頃で」


P「早苗さんが酔っ払って大変だったなあ」


肇「ふふ、何が大変って、薫ちゃんに見せないようにするのが大変でした」


P「はは、確かにあの時の早苗さんは教育によろしくなかったかもな…そう言えば、あの時の写真もまだ残ってるぞ」


肇「そうなのですか?」


P「ああ。あずきとふたりで桜を見てる肇とか、手を器にして桜を受け止めてる肇とか」


肇「あ…そういえばPさんに撮られた記憶が」


P「あれを見て夜桜小町のイメージが湧いたんだ。肇は桜が良く似合うよ。さっき桜を見てる肇を見てたのも、本気で見惚れてたからなんだぞ?」


肇「あ…ありがとう、ございます」


P「はは、また肇の頬っぺたが桜色になった」


肇「…」プクー


P「拗ねるなよ、はじはじ〜」


肇「〜!」プクー


P「はは、ハムスターみたい」ツンツン


肇「……意地悪」


P「ごめん、ごめん」


肇「反省の色が見えないんですから……そんな意地悪な人がお父さんじゃ、この子に嫌われちゃいますよ?」


P「えっ…」


肇「もし女の子だったら反抗期になって、「お父さんの服と一緒に洗濯しないで!」とか言われてしまうかも…って」


P「…」ズーン


肇「ほ、本気で落ち込まないで下さい!冗談ですから…!」


P「でも、そんな事言われたら俺…あ、女の子だった場合、どこの馬の骨かわからない男を急に連れてきて…!?」ヒエー


肇「あー、もう!シャキッとして下さいよ」


P「だって…」


肇「ちょっと意地悪なPさんに仕返ししようとして冗談を言ったのは謝ります。でも、あなたもダメージ受け過ぎですよ。大丈夫。きっとPさんの事を、ずっと大好なお父さんだと思ってくれますよ」


P「そうかな…」


肇「そうですそうです。ふたりで愛情を目一杯注いで育てれば、きっと素敵な子に育ちます」ナデナデ


P「…うん。ありがとう…」


肇「…でも、さっき私に意地悪したのはまだ許してませんよ?」


P「えー…それは許してくれよ」


肇「駄目です。どうせまたすぐ繰り返すんですから。ぷんぷんです」


P「どうしたら許してくれる?」


肇「……そうですね、では……キス、して下さい」


P「えっ…」


肇「む。嫌なんですか?もうすでにPさんの愛情はまだ見ぬ我が子にそっちのけですか」


P「い、いや、そんなんじゃないけどさ」


肇「けど、何ですか?」


P「周りにたくさん人がいるのに、キスは少し恥ずかしいかなーって」


肇「抱き合っておいて、今更何を恥ずかしがりますか。それに、誰も私たちの事なんて見ていないとおっしゃったのはPさんです」


P「いや、そうだけどさ」


肇「Pさん、私の事を好きならキスしなさい。思いっきり抱き締めて」


P「さらっと抱き締めるオプションが追加されてるんだけど」


肇「んっ!」


P「そんな両手を広げなくても…わかったよ」ギュウウウ


肇「よろしい。ささ、早くPさん♪」


P(…お義母さん…あなたの言った通り、僕はすっかり肇に尻に敷かれてしまっています…)


P「…よし。肇、愛してるよ…」


肇「ん…」


P「……」


肇「……」グイッ


P「!?ちょ、ちょっとはじ…!んー!」


肇「…………ぷはっ」


P「……お前、いくら何でも大胆すぎるだろ…」


肇「ふう……意地悪なPさんへのお仕置きですから。ちゅーとはんぱなキスでは許してあげませんよ?ふふっ♪…」


P(…楓さん。最近肇はどんどん憧れのあなたに似てきています、手強いです…それでもやっぱりー)


P「……おーい、肇、どうして目を逸らすんだ?」


肇「………」プイッ


P「…もしかして、勢いで大胆な事をしてしまったけど、冷静になって思い返してみたら恥ずかしくなってきちゃったり?」


肇「………うるさい」


P(ー肇は、昔と変わらず、可愛いです)


P「…」ナデナデ


肇「…うぅ、私はなんてはしたない事を…」


P「はは、積極的な肇もいいものだな」


肇「忘れてください、恥ずかしいです…!」


P「ヤダ」


肇「うぅぅぅ〜……」


P「大丈夫だって、誰にも見られてないからさ」


肇「本当ですか…?」


P「ホントホント。ほら、こっち向いて」


肇「…はい…」クルッ


P「よしよし。可愛かったぞ」ナデナデ


肇「………ばか」


P(茹でダコみたいになってる…)


P「…肇」


肇「…何ですか?」


P「膝枕、してくれない?」


肇「膝枕ですか?別に構いませんが…急にどうしたんですか?」


P「んー…何となく。膝枕して欲しいなって」


肇「…Pさんは甘えん坊さんですね」


P「それに膝枕してたら顔背けられないだろ?」


肇「えー…」


P「駄目か?」


肇「…それを聞くのはズルいです…どうぞ」


P「ありがと。それじゃ、失礼して…」ゴロン


肇「もう。本当に子どもみたいなんだから…」ナデナデ


P「この子が生まれたらしっかりするよ。それまで甘えさせてくれ」


肇「はいはい…あ、でも」


P「んー?」


肇「私に甘えるのは、この子が生まれてもやめなくていいですからね」


P「え、いいの?」


肇「勿論です。私だって、Pさんに甘えさせてもらいますから」


P「…そっか」


肇「そうですよ…Pさん?」


P「何だ?」


肇「愛しています」


P「あ…うん。俺も、愛してる」


肇「ふふ、私から言われるのは恥ずかしいですか?」


P「まあ、少しな…」


肇「…出会って十年。私たちの関係も、大分変わりましたね」


P「…そうだな」


肇「ただのアイドルとプロデューサーから、恋人同士になって、あなたと夫婦になって」


P「ここに至るまで、色々あったなあ…」


肇「あなたを好きになった時は、まさかこんな素敵な関係になれるとは思いませんでした」


P「俺もだよ」


肇「ふふ…そして今度は、生まれてくるこの子と親子に。どんどん新しい関係になっていきますね」


P「肇も大分変わったよな」


肇「そうですか?」


P「背も伸びて、顔立ちも大人びたな。よく冗談も言うようになったし、色んな表情を見せてくれるようになった。それに」


肇「それに?」


P「素敵な女性になったな。本当に、俺にはもったいないくらいの奥さんだ…誰にも渡さないけどな」


肇「ふふ、ありがとうございます。そんなあなたも、素敵な旦那さんですよ。私だけの、Pさん」


P「…そういう恥ずかしい台詞もサラッと言えるようになったな」


肇「あなたにやられっぱなしなのは悔しいですから」


P「負けず嫌いだなあ」


肇「おじいちゃん譲りですから」


P「はは、そうだったな?」


肇「ええ♪…ちなみに、変わらないものもちゃんとあります」


P「何だ?」


肇「あなたへの想い、です」


P「あ…」


肇「Pさん。私は、これまでも、これからもずっとあなたを、愛しています」


P「…何だか、改めて告白されたみたいだな…」


肇「ふふ、告白ですか。それなら、Pさんのお返事が聞きたいですね?」


P「…決まってるだろ。俺も、肇を愛してるよ。これまでも、これからも」


肇「はい!」ニコッ


P「…その素敵な笑顔も変わらないな」


肇「ふふ、そのお上手なところこそ、お変わりないですね?」


P「はは、でも本心だからな…あ、そうだ。さっき、ちょっと子どもの名前考えてみたんだ。男の子と女の子、ひとつずつ」


肇「本当ですか?是非、聞いてみたいです!」


P「うん。まず、男の子だったらさ……」


肇「ええ……」



肇(ーこれからは三人で、もっと幸せになりましょうね、Pさん♪)



藤原肇ちゃんに今年こそ声を!もし良かったら一票でも入れてくれると嬉しいです(小声)
次回は、この前書いた楓さんとP姉弟、時々義妹の肇ちゃんな話をまた書きたいなと思っています。

それでは今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。

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