藤原肇「夫婦の時間」 (30)


肇ちゃんとP夫妻が布団に入りながらのんびりイチャつく話

・独自設定多め
・一応、シリーズ物ですが、今作からでも大丈夫です
(どの話も色んなシチュで肇ちゃんとPがイチャつく内容です)

前作  藤原肇「何気ない、素敵な日々の階段を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490712214

一作目 藤原肇「はじめる新しい関係、変わらない想いと共に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489405860

それでは、よろしくお願い致します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490882917


【寝室、布団の中にて】


チク、タク…チク、タク…


P「……………」


P「……………肇」ボソ


肇「……………何ですか、Pさん?」


P「あ、まだ起きてたか」


肇「ええ。どうしました?」


P「いや、何となく、まだ起きてるかなーって」


肇「そうですか」


P「うん。あのさ、もし良かったら、少し話さないか」


肇「私は構いませんが…Pさん、お疲れじゃないんですか?遠征ロケの付き添いから帰ってきたばかりなのに」


P「帰りのロケバスの中でたっぷり寝たから大丈夫。肇こそ、家事で疲れてないか?」


肇「疲れはしますが…楽しいですから。充実感のある、素敵な疲れです」


P「凄いなあ」


肇「アイドルと同じですよ」


P「ん?」


肇「アイドルにとってレッスンやライブの疲れが、応援して下さる方の為だと思うと、充実感のある、素敵な疲れに感じるように…今は、あなたの妻として、あなたの為だと思って家事をしていますから。これもまた、素敵な疲れです」


P「…そっか」


肇「…そうですよ。あなたがお忙しいプロデューサーのお仕事を楽しそうにしてらっしゃるのと同じです。そう、若い女の子をひっかけるお仕事を」


P「…何か、毒があるような」


肇「楓さんからお聞きしましたよ。新人の子たちから、随分、慕われているそうですね?」


P「あー…そうなのかな…でも、安心してくれ。俺は肇一筋だから。それに、その若い女の子をひっかける仕事をしてたから、肇と出会えたんだぞ?」


肇「…ふふ、冗談ですよ。あなたの事、心から信じていますから。私とPさん、ふたりでひとつ、でしょう?」スリスリ


P「…いい奥さんだなあ」ナデナデ


肇「そうでしょう、そうでしょう♪…手放しちゃ、駄目ですよ?」


P「ああ、頼まれたって、離してやるもんか」ギュウ


肇「ん……この温もり、数日ぶりですね」ギュウ


P「そうだな……恋しかったよ…」


肇「私もです…」


P「…」


肇「…」


P「はー……落ち着くなあ…」


肇「私も…」


P「…肇、いい香りがする」


肇「ふふ、シャンプー変えてみたんです。わかりますか?」


P「いや、それはわからないけど…」


肇「…」


P「…肇、今、ぷくー顔してるだろ?」


肇「…正解です」


P「はは、真っ暗でもわかるもんだなあ」


肇「…相変わらず無粋なんですから」


P「ごめんて」


肇「…もう。お詫びに、もっと強く抱き締めて下さい。手も繋いで」


P「かしこまりました」ギュウ


肇「よろしい……手、あったかいです」


P「ああ、俺、体温高いからさ」


肇「ふふ、心の暖かさがあなたの手にまで伝わっているんでしょうね」


P「…」


肇「…何か言って下さいよ」


P「あ、ごめん…いや、また無粋な真似して申し訳ないんだけどさ…」


肇「何ですか?」


P「確か、それって「手が冷たい人は心が暖かい」じゃなかったっけ?」


肇「えっ…」


P「あ、知らなかったのか…」


肇「…」


P「…」


肇「…心が暖かい人だっていていいじゃないですか。手が暖かくても」


P「…はは、そうだな…肇の手も、暖かいしな」


肇「そうですそうです」


P「そうだな…」


肇「…」ギュウ


P「…」ギュウ


P「…ところで、明日って、何時頃に家出るんだっけ」


肇「そうですね、大体10時頃でしょうか」


P「なら、8時くらいに起きればいいか…そうだ、タイマーかけないと」


肇「私が起こしますよ。5時には起きますから」


P「いいって。肇もたまには一緒にのんびり寝ようぜ」


肇「でも…」


P「起きようとしても俺が離さないから抵抗しても無駄だぞ?…たまにはいいだろ、そういうのも」


肇「…それもそうですね。では、タイマーをかけましょうか」


P「ん。ついでに今の時間知りたいしな…んー…あれ、届かないか」ググッ


肇「あ、多分、私の位置からの方が…んーっ」ググッ


肇「取れたっ…きゃっ!?」



ポフン



P「んむ!?」


肇「あ、ご、ごめんなさい…!体勢を崩してしまいました…」ササッ


肇「え、えーと…今、深夜0時30分…ですね。タイマーもかけて…よし」


肇「……あ、あのPさん、すみませんでした…痛くなかったですか?」


P「いや、痛くないどころか…柔らかかったけど」


肇「え?……あ」


P「思いっきり胸が顔に…あんな漫画みたいな現象本当に起こるんだなあ」


肇「…スケベ」


P「えー…俺が悪いの?」


肇「知りませんっ」


P「…納得いかないなあ……あのさ、肇?」


肇「……何です?」


P「…肇、胸、少し大きくなった?」


肇「何ですか急に…セクハラですよ?」


P「いいだろ、夫婦なんだから」


肇「もう……おかげさまで、旦那様がやたらとこねくりまわしてくれたせいで」


P「あー…いや、違うんだよ」


肇「何がどう違うんですか」


P「ほら、陶芸の練習になるかな、なんて思って。柔らかくて触り心地がいいから…」


肇「陶芸ナメないで下さい。備前焼でブン殴りますよ。ああ、ご心配なく。備前焼はそれくらいでは壊れませんから」


P「俺は壊れてもいいと?」


肇「力加減は任せて下さい。手先は器用ですから」


P「おおう、肇も言うようになったなあ。昔なら顔真っ赤にしてただろうに」


肇「女は日々成長して前に進むんです」


P「ススメ☆オトメ〜♪」


肇「こら」


P「ごめんなさい」


肇「…あなたは、日々子どもっぽくなっていきますね」


P「仕事の時に気張ってるだけで、素はこんなんだよ」


肇「お付き合いしている時も、気張っていたんですか?」


P「そうじゃないけど、なんだろうなあ……そうー」


P「ー甘えられるようになったって感じかな」


肇「甘えられる…ですか?」


P「うん。今までも肇に支えてもらった時は沢山あったけど、恋人以前に、あくまでも肇のプロデューサーだったからな。どこか「甘えるわけにはいかない」と思ってたというか。それが、肇が引退して、夫婦になった事で、遠慮なく肇に甘えられるようになったって感じかな」


肇「…そう、ですか」


P「こんな俺は、嫌か?」


肇「意地悪な質問をするんじゃありません…そういう事なら、今までの分、たくさん甘えて下さい……ただし、エッチなのはダメです」


P「えー…」


肇「えーじゃありません」


P「はーい…」


肇「…その、たまになら、いいですけど」


P「…………ほう」


肇「…………やっぱり、忘れてー」


P「忘れません」


肇「ですよね…」


P「…」


肇「…」


P「…ぷっ!」


肇「…くすっ」


P「あはは!」


肇「ふふ、もう…はじめの内はいいムードだったのに」


P「5分ともたないなー…」


肇「もちませんでしたねー…」


P「…明日、まあ、今日だけど、楽しみだな?」


肇「ええ。あなたと夫婦茶碗を作る日が来るなんて思いませんでしたから」


P「肇が事務所に行くのも久しぶりだな」


肇「そうですね。結婚のお祝いを改めて皆さんがしてくれた時以来ですね」


P「ああ、じゃあまだ半年くらいか」


肇「もう半年、ですよ…陶芸セット、本当に片付けなくて良かったのですか?」


P「あー、いいのいいの。何てったって何でも物が揃ってる事が自慢の「ハンズ事務所」だし、家じゃ流石に陶芸は出来ないだろ?…それに」


肇「それに?」


P「肇の影響で、事務所でちょっとした陶芸ブームが起きてる」


肇「え!」


P「相変わらず楓さんがちょいちょいいじってるし、新しく入った子で肇のファンだった子たちとかも。「これが肇さんが使っていたろくろですか…!」だってさ」


肇「…少し、気恥ずかしいですね…」


P「はは、そうだろうな…そうだ、最近、楓さんに教えて貰いながら、薫がやってる姿を見かけるな」


肇「薫ちゃんが?」


P「「肇さんに会いたいなー!」だってさ。今日、事務所で会えるといいな」


肇「そうですね!…それにしても、「肇さん」かあ…」


P「俺も「せんせぇ呼びは流石にもう恥ずかしいよ」って言われちゃったよ…ちょっと、寂しいな」


肇「薫ちゃんも、もう大学生ですものね…」


P「…ああ…肇と出会ってそろそろ10年、か。本当に、今から振り返るとあっという間だったな…」


肇「懐かしいですね…」


P「ウチの事務所の面子も大分様変わりしたしなあ…アイドル以外の、歌手やモデル部署もできて、そっちにシフトする人も増えたし」


肇「…引退なさった方も、増えましたね…」


P「そうだな…みんな、新しい夢を見つけて欲しいものだ」


肇「…また、みんなに会いたいですね…」


P「そう思って、ありすちゃんのプロデューサーに同窓会のセッティングを頼んでみるつもりだ」


肇「是非、お願いします」


P「ああ。任せとけ」


肇「…あ、そういえば、藍子ちゃん、本格的に喫茶店を開くための準備をはじめるそうですよ」


P「お、いよいよか。事務所の近くに建てたいんだって?」


肇「はい。「いつも忙しい事務所のみんながまったり過ごせるようなカフェに」と」


P「藍子のゆるふわっぷりなら大丈夫だろう」


肇「ふふ、私もそう思います。一緒に行きましょうね?…そうそう、昨日偶然、聖來さんにお会いしたんですよ」


P「え、セーラに?あいつは事務所でたまに顔合わせるけど相変わらず元気だよなあ。今では優秀なダンストレーナーだ」


肇「アイドル時代と変わらずお若いですよね。それに、お綺麗です」


P「「童顔言わないで!」って言われるけど…今だに女子大生くらいなら通せそうだもんな」


肇「本当に…楓さんといい、若さと美しさを保つ秘訣は何なのでしょう…?」


P「お、気になるか?」


肇「…少し」


P「肇は大丈夫だろ。お義母さんだって今でもあんなにお綺麗なんだから。それに、見かけで俺の想いは変わらないよ…というか」


肇「?」


P「肇、最近ますます美人に磨きがかかってるよ。この前も、「肇ちゃんは、あんたに勿体無いくらいの器量好しなんだから、大事にしなさいね」って電話で母さんに言われた」


肇「お義母さんが…」


P「まあ、俺もそう思う」


肇「そ、そんなことは…」


P「おいおい、自信持てよ、はじはじ〜」ツンツン


肇「…むぅ、はーじーめーでーすー!」


P「何だよー、結婚してもはじはじ呼びは解禁してくれないのか?」


肇「はじはじ呼びは未央ちゃんの特権ですから」


P「えー…」


肇「それに」


P「?」


肇「…あなたには、肇と、呼んで欲しいんです。大好きなおじいちゃんに付けて貰った名前だから。あなたには、肇と呼んで欲しいんです」


P「…」


肇「…」


P「…そう真剣に言われると、照れるな」


肇「…私もです。電気、消しててよかったですね」


P「そうだな……ありがとう。本当に嬉しいよ「肇」」ギュウ


肇「…はい♪」ギュウ


P「…でも、このノリ楽しいからたまにはじはじ呼びしてもいいか?」


肇「…実は、私もちょっと楽しんでいます。まあ、たまになら…」


P「ん……で、話を戻すと、この前母さんと電話で話した時に、「本当に美人で優しくて、いいお嫁さんを貰ったわね。肇ちゃんに感謝しなさい」なんて事を延々聞かされてさ」


肇「…ふふ、嬉しいです」


P「早く孫の顔が見たいぞーなんて…あ」


肇「!」


P「…」


肇「…」


P「…えーと…」


肇「…じ、実は、私も…」


P「え?」


肇「お母さんから、似たような事を…おじいちゃんも、ひ孫の顔を見たがってるそうで…」


P「そ、そうか……まあ、結婚してそろそろ1年になるしな…」


肇「ええ……」


P「…」


肇「…」


P「………作るか?」


肇「えっ?」ドキッ


P「ああ、いや、今夜は、寝坊しちゃうだろうから、あれだけど………ちなみに、肇は、欲しいか?俺との、子ども」


肇「私は…欲しいです。Pさんは?」


P「…欲しいに決まってるだろ」


肇「!…ふふ、そうですよね」


P「当たり前だろ?……考えてみれば、結婚してしばらくはお互いバタバタしてて、そんな事するヒマほとんど無かったもんな…」


肇「ええ…もしかすると、お付き合いしていた頃の方が、回数的には、していたかも…」


P「…面目無い」


肇「私の方こそ…」


P「いや、夫の俺がもっと…」


肇「いえ、妻の私が…」


P「…」


肇「…」


P「…これ、キリないやつだな」


肇「そうですね…」


P「…明日、夕飯はうなぎでも食べるか…」


肇「が、頑張りましょう…!」


P「よ、よし…!」


肇「ええ…!」


P「…」


肇「…」


P「…そ、そろそろ、寝ようか?」


肇「…そ、そうですね…あ、最後に…」


P「うん?」


肇「もう一度、抱き締めてくれませんか?手も、繋いで」


P「ああ、お安い御用だ」ギュウ


肇「…ふふ、ありがとうございます。幸せです」


P「こちらこそ…肇は、俺の胸の鼓動の音を聞くのが好きなんだっけ」


肇「はい…こうしていると、私が告白したバレンタインデーで、あなたに抱き締められて聞いた鼓動の音を思い出します」


P「心臓バクバクだったよなあ。お恥ずかしい」


肇「でも、とても嬉しかったです。実らないのを覚悟での告白でしたから…」


P「…鈍感さんめ」


肇「ふふ、そうですね…あなたの鼓動の音から、あの時のような高揚感は無くても、あの時以上に私を愛してくれているのが伝わります」


P「…やっぱり、わかっちゃうか」


肇「奥さんですから」


P「敵わないなあ…」


肇「ふふ…それと、こうして手を繋ぐのも好きなんです」


P「ん?」


肇「私、アイドルになりたての頃は、陶芸で少し荒れた手がコンプレックスでしたから。それでも、陶芸をやめる気はありませんでしたが…一度、ご相談したのを覚えていますか?」


P「……ああ、まだ出会って1年も経っていない頃だっけか」


肇「はい。あなたは言ってくれましたね。「この手も藤原肇という器の大事なひとかけらだろ?誇りに思っていいんだぞ」って…」


P「…俺、いい事言ったんだなあ」


肇「ふふ、あなたは何の気無しに言ってくれたのでしょうが…だからこそ、嬉しかったです。それが本心なのは、きちんと伝わりましたから」


P「まあ、お世辞は言えないタチだしな…」


肇「あの時から私はアイドルとしてコンプレックスだった自分の手が大好きになりました…だから、こうしていると、あなたの温もりと、あなたとの大切な思い出をいっぺんに感じられて、胸がいっぱいになります」


P「…なるほどな」


肇「はい。正直にお話しするのは少し恥ずかしいですが…真っ暗で顔を見られない今ならお話ししてもいいかと思いまして」


P「…電気つけてもいい?」


肇「…絶対に、認めませんっ」


P「だと思った…」ナデナデ


肇「ふふ…♪」


P「…肇」


肇「何でしょう」


P「…寝る前に、キス、しないか」


肇「…はい。喜んで」


P「流石にこの時間に邪魔も入らないだろうしな」


肇「ええ。今ここは、ふたりだけの世界です」


P「…ああ。それじゃ…」


肇「ん…」


P「…………」


肇「…………」


P「…………」


肇「……!…んぅ…!」


P「……………ぷはっ」


肇「…はあっ……ふぅ……もう、急に、舌を入れないでください…びっくりしました…」


P「ん。すまんすまん」


肇「まったく…」


P「続きは、今日の夜に取っておくよ」


肇「……バカ」


P「あはは………肇」


肇「………何ですか?」


P「……愛してるよ」ギュウ


肇「……私も、愛しています」ギュウ


P「ずっと、一緒だからな…」


肇「ええ、これからも、ずっと…」


P「お休み…」


肇「ええ、お休みなさい…」



肇(…これからもずっと、あなたとの、幸せな日々が続きますように…)



肇ちゃんは絶対素敵なお嫁さんになる(確信)
次回は、このシリーズのPと楓さんが実は姐弟で、楓さんが肇ちゃんのお義姉さんになったら、みたいな話を書こうかと。

それでは、今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。

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