弱くてニューゲーム (3)
何もない白い空間には木製の椅子とそれに座っている男しかいない。
男「…つまらない」
男は小さく呟いた。
男は世界で一番強く、そして不老不死である。
一万年生きた男は人の身でありながら、人を超え、魔王を超え、神よりも強くなった。
自身と対等に戦える者がいない世界は男にとって酷く退屈だった。
男は闘うの好きだった。
自身よりも弱い相手とではなく、自身よりも強く、あるいは対等に闘える者と死力を尽くして闘うのが好きだった。
余りに退屈過ぎて暇潰しに神の封印術にわざわざかかったがこんなモノは5秒もあれば抜け出せる。
男「チッ…何の用だ?」
気配を感じ男は振り向く。
神「封印した君をどうするのか?ちょっと思案していたのだけれど、ようやくいい方法が浮かんできてね」
神「それで最後に君に会いにきたわけだよ」
神「それよりもなぜ?君は椅子に座れているんだい?」
神「ここには僕が許可した物質以外は存在できないはずだけど」
男「なるほどな…椅子がある理由は簡単だ、俺が作った」
男「で、俺をどうするんだ?おまえ程度の力でどうにかなるとでも?」
神「僕の力で君をどうにかする事なんて出来ないさ」
男「……?」
神「だけど君が協力してくれれば、君をこの世から消すことができる」
男「何を言ってんだ?俺を殺そうとする奴の協力なんてするはずないだろ?」
神「別に殺そうとは考えていないよ、ただ君をはこことは別の世界に追放してあげる」
神「男?この世界は退屈なんだろ?僕はもちろん君以上に強い奴らがごろごろいる世界に飛ばしてあげる」
神「僕にとっても厄介者の暴れん坊を消すチャンスだし、君はつまらない日常から解放される」
神「どうだい?のるかい?」
神は白い世界に異世界に続くゲートを出現させた。
男「ふは、面白い…いいぜ!お前の思惑に乗ってやるよ!」
男は躊躇なくゲートに足踏み入れ一歩一歩しっかりとした足取りでゲートの向こうへ消えた。
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