肇ちゃんと結婚する事になったPのお姉さんが楓さんだったら、な話
・独自設定多め
・いつもの肇ちゃんSSのパラレルワールドの話です
いつもの前作 藤原肇「夫婦の時間」
藤原肇「夫婦の時間」 - SSまとめ速報
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↓肇ちゃんが楓さんにPとの恋愛話を根掘り葉掘り聞かれる話
藤原肇「も、もうかえっでください…!」
藤原肇「も、もうかえっで下さい…!」 - SSまとめ速報
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それでは、よろしくお願い致します。
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【Pの部屋】
肇「…」ドキドキ
P「…肇」
肇「…」ドキドキ
P「おーい、肇?」
肇「…ハッ!?あ、す、すみませんPさん、何でしょう?」
P「いや、緊張している様子だったから…そんなに固くならなくてもいいんだぞ?」
肇「は、はい…わかってはいるのですが…」
P「何だか、俺の両親に挨拶した時よりも緊張してないか?」
肇「だ、だって、Pさんのお姉さんに会うのですから…」
P「ウチの両親も大喜びしてただろ?「まさかあの肇ちゃんがPのお嫁さんに!」って。姉さんだって、絶対に喜んでくれるよ」
肇「…その、お義母さまから、モデルのように綺麗な方だとお聞きしたので…それに、いつもお仕事でお忙しい方だとか…」
P「…あー…綺麗なのは否定しないけどさ」
P(親バカ…)
肇「…何より」
P「ん?」
肇「Pさんの事を、とても溺愛していらっしゃると…」
P「…ああ、まあ、そうだな…」
肇「…きっと、Pさんのお姉さんなのですから、とても素敵な方なのでしょう。私の事を、認めていただけるのか、仲良くなれるのか…そう考えていたら、緊張してしまって…」
P「真面目だなあ…大丈夫だよ。きっと肇の事を気に入るから」
P(というか、既に大のお気に入りだけど)
肇「…そう、でしょうか」
P「そうそう。それに、アイドルって仕事への理解も深い人だし(当たり前だけどな)…肇はいつも通りに振舞っていればいいんだよ。俺が大好きな、いつもの肇のままで」
肇「いつもの、私……ありがとうございます。何だか、気が楽になりました」
P「ん。そりゃ良かった」
肇「…私、頑張ります…!」
P「はは、ライブ前みたいだなあ」
肇「ライブ前……そう、気取らず、気負わず、私らしく…ですね」
P「ああ、その意気だ」ナデナデ
肇「ふふ…」
ピンポーン
肇「!」
P「あ、姉さん来たみたいだな。じゃあ、連れてくるから、ちょっと待っててくれ」スタスタ
肇「は、はい…!」
肇(…うぅ、今更になってまた緊張してきた…)ドキドキ
肇(…いけない!浮ついた姿でお会いするわけには…!目を瞑って、深呼吸して…)スゥー…ハァー…
肇(…気取らず、気負わず、私らしく…落ち着いて、イメージして…)
P「肇、連れてきたぞ」
肇(!…よし!)
肇「…はい!」パチッ
肇「お義姉さん!はじめまし…………か、楓さん?」
楓「はーい、お義姉さんでーす♪」
肇「…………」←思考停止中
楓「…」ニコニコ
肇「…………?」←思考再起動中
楓「…」ニコニコ
肇「……………」←思考整理中
楓「…」ニコニコ
肇「……………!」←思考終了
肇「えっ……………えええええーーーーーーー!?!?!?」
楓「やった!びっくりしてくれましたねPくん♪」
P(肇のあんな声はじめて聞いたなあ…)
ーーーーーーーーーーーーー
楓「さあさあ、お酒とお料理も揃いましたし、姉と弟と義妹(いもうと)で、3人仲良く乾杯しましょうか♪」ウキウキ
P「料理を作ったのは俺と肇だけどね」
楓「その代わりにいいお酒を持って来たんですから、ね?」
P「俺、酒弱いんだけど…」
楓「まあまあ、介抱はしてあげますから。今日は、解放してあげませんよ?」
P「…スルーで。まあ、今日は姉さんに付き合うよ。大事な日だしな」
楓「そうこなくっちゃですね。それにしても、Pくんのお料理をいただくのは久しぶりですね〜あ、肇ちゃんのお料理ははじめてかも?ふふっ♪」
P「はいはい、お上手お上手」
楓「…むぅ、Pくん、私のダジャレに対して冷たくなりましたね…昔はあんなに笑ってくれたのに」
P「記憶の改竄が行われてるね?」
楓「肇ちゃんを見習って欲しいですっ、最近は、私の後継者として……あら?肇ちゃん?」
肇「………あ、す、すみません…まだ、少し、頭で理解はしていても、心が追いつかないというか……」
P「…まあ、無理もないよな。俺ももっと早く言っておきたかったんだけど、姉さんが駄目だって…」
楓「どうせなら、びっくりさせたいじゃないですか♪」
肇「……あの、ドッキリとかでは」
楓「ないです♪」
肇「あ、ないですか……」
P「まあ、本当に姉弟だったって方がドッキリだと思うけどな」
肇「そうですね……あの、ちなみに、事務所でPさんと楓さんが姉弟なのを知っているのは…」
P「社長とちひろさんくらいかなあ…」
楓「Pくん、絶対にバラさないようにしていましたものね」
肇「どうしてです?」
P「アイドルの身内って立場も案外、身動きが取りづらいんだよ。それに、恥ずかしいだろ姉のプロデュースをする弟って」
楓「私は別に知られても良かったのですけど、Pくんがそう言うものですから。だから、ふたりきりの時以外はお互い「プロデューサー」と「楓さん」と呼び合っているんです」
P「「Pくん」って呼ばないように説得するのも大変ったよ。そう呼ぶ人も事務所にはいるけど、姉さんが言うと親しみが込められすぎるんだよ」
楓「それはそうですよ。大好きな弟ですもの♪」
P「はいはい…こんな感じだから、知らない人に誤解されて、あらぬスキャンダルの元になったら困るし」
楓「あら、肇ちゃんに手を出したPくんがそれを言いますか?」
P「うぐっ…」
楓「ふふふー、まだまだお姉さんには敵いませんね?」
肇「……あれ?でも、少し待ってください?」
P「どうした?」
肇「楓さんの名字は「高垣」、でも、Pさんの名字はー」
楓「「高垣」って、芸名なんですよ」
肇「え!?」
楓「正確に言うと、母の旧姓、ですね。Pくんと姉弟なのがバレないように、と…」
P「姉さんがアイドルになった時にそうしてもらったんだ」
肇「な、なるほど……あ、で、でもPさんのご実家のリビングに写真立てがいくつかありましたが、楓さんが写ってる写真なんてー」
楓「肇ちゃんが実家に来ると聞いて、お母さんに私が写ってる写真立てを隠してもらったんですよ。びっくりさせたかったので♪…ちなみに、証拠写真が見たければ、私のスマホに…ほら」
肇「…た、確かに、ご両親と、Pさんと楓さん…ですね…」
P「今思えば、挨拶に行った時に言えば良かったんだけど…姉さんに似て、母さんも悪戯好きだから」
肇「……」ボーゼン
楓「ふふ、でも、ちゃんとヒントはあげていたんですよ?」
肇「え?」
楓「「私、プロデューサーの事を可愛い弟、肇ちゃんの事を可愛い妹みたいに思ってるんですよ」って、前々から言っていたでしょう?Pくんの方は弟「みたい」と言った事は一回も無いんですよ」
肇「あ…!そ、そんな伏線が…!」
P「俺も姉さんに言われて、ちょいちょいヒントはあげてたんだ。「ひとつ上の姉がいる」とか、「和歌山に実家があるんだよ。楓さんと同じだな」とか…」
楓「お母さんに私の事を「モデルのように綺麗で、いつも仕事が忙しい人」なんて言ってもらったり…ちょっと、自分から言わせるのは恥ずかしかったですけど」
P「俺もさっき、「アイドルって仕事への理解も深い人」って」
肇「ああ…!どんどん伏線が回収されていく…!な、何なんですかあなたたちは!いいお芝居ですか!」
P「いや、俺たちはいいお芝居じゃないけど…」
肇「知ってます!」
楓「ふふ、想像以上にびっくりして貰えて、良かったです」
肇「びっくりしますよ…!Pさんも、何も言って下さらないし…」
P「言いたかったけどさ、言ったら姉さん、後で拗ねそうだったから…」
楓「あら、よくご存知で」
P「弟だもの」
楓「ふふっ♪」
肇「…しつこいようですが、本当の本当に、姉弟なんですね…?」
P「うん」
楓「ええ♪」
肇「…わかりました。私も、これ以上ジタバタするのはやめにします」
肇「…」スゥー…
肇「…改めまして、この度、Pさんに嫁がせていただく、藤原肇と申します。ふつつか者ですが、よろしくお願い致します!」
楓「はい、こちらこそ末長く〜♪」
P(ノリ軽っ)
楓「さあさあ、堅苦しいのは抜きにして、早く乾杯しましょうよっ、私、すっごく楽しみだったんですから♪」
肇「はい!…お、お義姉、さん…?」
楓「ふふ、今まで通り「楓さん」でいいですよ?これからは義理の姉妹同士、もっともっと仲良くしましょうね」
肇「…はいっ!」
P「…よし!それじゃあ、酌を」
肇「あ、私にやらせて下さい。楓さんの分も」
楓「あら嬉しい♪」
P「ありがとう、肇」
肇「いえ……」トクトク
P「…ん。それじゃあ、肇の分は俺が」
肇「ありがとうございます」
P「いえいえ…」トクトク
P「…じゃあ、乾杯しようか?」
肇「はいっ」
楓「ええ♪」
P・肇・楓「「「乾杯」」」チン
P「…」コクッ
肇「…」コクッ
楓「…」コクッ
P「あー…美味い」
肇「本当、美味しい…」
楓「ふふ、せっかくのお祝いですから。奮発させていただきました」
P「…ありがとう、姉さん」
楓「礼には及びません。姉として当然の事ですから…それにしても…」
楓「…」ジー
P「?」
肇「?」
楓「…可愛いカップルですねえー!」
グイッ
P「おわっ!?」
肇「きゃっ!?」
楓「んふふ〜両手に花、です」
P「肇はわかるけど、俺も花なの?」
楓「ええ、勿論♪可愛い弟ですから」
肇「ふふ、楓さんは本当にPさんの事が好きなんですね」
楓「肇ちゃんにも負けませんよー?」
肇「何の、私こそ、です♪」
P「……」コクッ
楓「あ、照れてますね」
肇「照れるとお酒を飲んでごまかす癖ですね」
楓「可愛いでしょう?」
肇「可愛いですね」
楓・肇「「ねー♪」」
P「う、うるさい…!」
楓「ふふ…それにしても、Pくん」
P「……何?」
楓「素敵なお嫁さんをゲットしましたね?」
肇「そ、そんな…!」
P「……それは、否定しない」
肇「Pさん…!」
肇「……」
楓「あ、肇ちゃん、顔、赤いですね」
P「照れてるな」
肇「お、お酒に酔ってしまっただけです…!」
楓「お酒、強いのにね?」
P「照れると酒のせいにする癖だな」
楓「可愛いですね?」
P「ああ、可愛いだろ?」
肇「うぅ…」
肇(楓さんとPさん、手強いです…)
楓「…ふふ、やっぱりふたりとも、可愛い人ですね。いい夫婦になれそうで何よりです」
P「…そ、そうかな…」
肇「あ、ありがとうございます…」
楓「…Pくん、肇ちゃんをきちんとプロデュースするんですよ?今度はアイドルとしてではなく、奥さんとして。全力で、幸せにしてあげるんですよ?」
P「…ああ、任せろ」
楓「よろしい♪…肇ちゃん。Pくんを、支えてあげて下さいね。頑張り屋さんでとっても優しい人ですけど、自分の事をおろそかにしてしまう時がありますから…」
肇「…はい!任せて下さい!」
楓「……ふふ、安心しました。本当に、本当に……」グスッ
P「!姉さん…涙が…」
楓「…あ…ごめんなさい。嬉しくて…つい。私も、お酒が回ったのかもしれませんね?」
肇「…楓さんも、可愛いですね」
P「…ああ、そうだな。本当にありがとう、姉さん」ナデナデ
楓「えへへ…」
肇(…Pさんと楓さん。素敵なふたりだなあ…)
楓「…も、もう頭撫でなくていいですよ?いい年なんですから…それに、肇ちゃんに、妬かれちゃいます」
肇「ふふ、私は構いませんよ?後でPさんにたくさん撫でていただきますので♪」
P「だってさ。じゃあ、続行で」ナデナデ
楓「さ、流石に恥ずかしいですから…!も、もう大丈夫です!」
P「はは、最初から素直に言えばいいのに。変なところで恥ずかしがり屋だよな、姉さん」
肇(それはPさんもです…)
楓「もう、意地悪なんですから…流石、数多の美女をひっかけた敏腕プロデューサーですね?」
P「言い方」
楓「だって、そうでしょう?早苗さんに藍子ちゃんに…実の姉までスカウトして、果ては未来のお嫁さんまでオーディションで採用して」
P「いや、別に肇はお嫁さんにする為に採用したわけではー」
肇「楓さんもPさんにスカウトされたんですか?」
楓「ええ、そうですよ♪あれは、まだ私と一緒のお部屋に住んでいた頃でしたね…」
肇「ど、同棲していたんですか!?」
P「べ、別にいいだろ!?弟なんだから…!ふたりともこっちの大学だったから、お金も無いしって事で俺より1年早くこっちに来てた姉さんが住まわせてくれたんだよ……悲しい話、お互い恋人もできなかったしな」
楓「都会に馴染むのに時間がかかりましたね……でも、ふたりで鍋をつついたり、Pくんの成人を祝ってお酒を飲んだり、お金がないなりに安く作れるメニューを開発したり…楽しかったですねえ…」
肇「……いいなあ」ボソッ
楓「ふふ、肇ちゃんはこれからふたりきりでたくさんラブラブできるじゃないですか♪」
肇「え!聞こえてましたか!?」
楓「バッチリと。あ、まだ同棲はしていないのでしたっけ。ふふ、楽しみですね?」
肇「……とっても、楽しみです」
P(すこぶる恥ずかしい)
楓「それでは、私しか知らないPくんのお話、たくさん話してあげましょうか?」
P「姉さんしか知らない?何だよそれ」
楓「そうですねえ、例えば……本棚2段目の「あの」本とか?」
P「!!!!!」
肇「あの本?」
楓「ふふ、Pくんのカモフラわかりやすいですから。奥に隠しても、バレバレでしたよ」
肇「楓さん、それってどんな本…」
P「わー!わー!いいから!何でもないから!」
肇「…………あっ」
肇「………………」ジトー
P「し、仕方ないだろ?大学生の男なんだから…」
楓「あ、そうそう。Pくん、本棚裏に隠していたDVD、1枚回収し忘れてましたよ?」
P「姉さん!!」
肇「Pさん?」ジトー
P「……すみません……」
肇「……ま、まあ、若い男性の方のそういうのを否定はしませんが…まさか、今も、持ってたりは」
P「しない!しないから!あと姉さんそれ処分して!」
楓「いいですよ♪……それにしても、Pくんはああいうのが…」
肇「どういうのがお好きなんですか?」
P「いいから!掘り下げないで!」
楓「他にも、大学時代の様子から、Pくんがよく言っていた寝言まで、そんなお話でよければいくらでもありますよ?」
肇「是非!」
P「もういい!もういいから!この話終わりっ!閉廷!」
肇「あっ!ズルいですPさん!おじいちゃんから私の子ども時代の恥ずかしい話をたくさん聞いてるくせに!」
P「あー!あー!聞こえない!」
肇「むぅ…!」
楓「ふふ、あまりいじめるとPくんが拗ねちゃいそうですから、話を元に戻しましょうか?」
肇「…仕方ないですね」
楓「…後で、たくさん教えてあげますよ♪」ボソッ
肇「!…はい♪」
P「何、こそこそ話してるんだ?」
楓「別に何も?」
肇「話してませんよ?」
楓・肇「「ねー♪」」
P(この義姉妹、手強い…)
楓「ーそれで、話を戻すと、私がPくんにスカウトされた話、でしたね?」
肇「はい、聞いてみたいです」
楓「あれは、Pくんが就職、つまり、プロデューサーになって半年ほど経った時でしたねえ…」
ーーーーーーーーーーーーー
【楓とPの部屋】
楓『ーなるほど。つまり、Pくんは今、可愛い女の子をひっかけるお仕事をしているんですね』
P『言い方。スカウトって言ってくれない?』
楓『でも、大変でしょう?アイドルになってくれる女の子を探す、なんて』
P『まあね。不審者扱いされそうになったりもしたし』
楓『くれぐれも姉と両親を悲しませるような事はしちゃダメですよ?』
P『わかってるって』
楓『大変ですね、本来のプロデューサーのお仕事と平行して未来のアイドルのスカウトだなんて』
P『確かに、慣れない事も多くて大変だけど…でも、楽しいから』
楓『楽しい…ですか。お仕事にワークワークできるなんて、素敵ですね。ふふっ♪』
P『…姉さんは』
楓『?』
P『モデル、楽しくないの?』
楓『…楽しくないわけじゃないですが…』
P『…』
楓『…』
P『…姉さん』
楓『はい?』
P『…実は、今さ、スカウトしたいなあって思ってる人がいるんだ』
楓『そうなんですね』
P『うん。でも、正直、断られるかもしれない』
楓『アイドルになる、なんて決断、なかなかできるものじゃないかもしれませんね。でも、やってみなくちゃわかりませんよ。Pくんの真剣な気持ち、きっと伝わるはずです』
P『姉さんは、そう思う?』
楓『ええ♪』
P『…わかった。ありがとう、姉さん』
P『……姉さん』ギュッ
楓『?どうしたんですか、急に手を握って…』
P『姉さん』
楓『は、はい』
P『アイドルに、なってみませんか?』
楓『……え?』
P『俺は姉さんに、アイドルに、なって欲しい』
楓『……じょ、冗談でしょう?』
P『本気』
楓『…ど、どうして、私、なのですか?…あ、まさか、スカウトにノルマがあってとかー』
P『違う』
楓『な、なら、どうして』
P『…姉さんに、もっと楽しんで欲しいんだ』
楓『え?』
P『姉さんがモデルをやってる雑誌、全部読んでるよ。その、こんな事言うのも気恥ずかしいけど、いつも思うんだ。「本当に楽しんでる姉さんなら、もっと素敵な表情できるのに」って…違ってたら、違うって言って欲しいんだけど…その、モデルの仕事、楽しい?…好き?』
楓『……嫌い、ではないですが…私は、自分の考えを伝えるのが苦手なので…何も言わず指示に従っていればいいモデルのお仕事が向いている、と言いますか…』
P『…弟の、勝手でワガママな言い分だけど、俺は、そんな姉さん見たくない。姉さんには、心から楽しんで、笑っていてほしい』
楓『…』
P『…姉さん、俺は、本当の姉さんが。マイペースで掴み所がなくて、シュールなダジャレを言ったり悪戯好きだったり、やたらと温泉に行きたがってたりしている姉さんが好きだよ…心から楽しそうに笑っている、姉さんが』
楓『…』
P『それに』
楓『…それに?』
P『俺、歌を歌ってる姉さんが好きだ。前に言ってたよね。「歌を歌っていると自由になれる気がして楽しいです」って』
楓『…』
P『姉さんは、「自分に自信がない」って言うけど、本当はとっても素敵な人なんだよ。20年以上弟やってるんだからわかる。俺の、自慢の姉だ』
楓『…そんな』
P『…先輩に言われたんだ。「こんな自分なんて、そう思ってる子に君は素敵だよって教えてあげる。広い世界へ連れて行ってあげる。それが、俺たちの仕事なんだ」って。俺、真っ先に、姉さんが頭に浮かんだ』
楓『私が…』
P『姉さんがもし、モデルの仕事を心から楽しめてないのなら、絶対にアイドルにしてやる。そう決めた…姉さん、俺を信じてくれないか?絶対に、姉さんが心から楽しいと感じる世界に連れて行くから』
楓『…でも、アイドルは、もっと、綺麗な人がー』
P『モデルをやっておいて姉さん、自分を綺麗じゃないと思ってるの?…昔、クラスの男子に言われたよ「お前の姉さんすっごい美人だな」って』
楓『…で、でも、私がアイドルとしてやっていける強みなんて』
P『歌が、あるだろ?…気づいてないのかもしれないけど、姉さん、めっちゃ歌上手いからな。それに…姉さんの歌声には不思議な力がある。俺、歌を聴いて泣きそうになったのはじめてだったんだよ?絶対に、アイドルとして通用する。させてみせる』
楓『…で、でも、でも、アイドルは、その、人気商売でしょう?私に、ファンなんて…』
P『俺が、いるだろ』
楓『え…』
P『普通、自分の姉をアイドルにスカウトなんてどうかしてるよ。それでも、俺は姉さんをアイドルにしたいと思った。させたいと姉さんが俺に思わせたからだ。勿論、姉さんに心から楽しんで欲しいっていうのもあるけど、それ以上に、何というか……そう、社長がよく言う「ティンときた」ってヤツかな』
楓『ティンと…?』
P『つまり、可能性を感じたって事。姉さんが、その歌声でたくさんの人たちの心を動かす姿が見えたんだ。「姉さんなら、トップアイドルも夢じゃない」そう思った時から、俺は姉さんのファンになったんだよ。弟としてではなく、ひとりのプロデューサーとして』
楓『…』
P『姉さん。俺を、信じて欲しい』ジッ
楓『…』
P『…あー、言っとくけど、別にシスコンとかそういうのじゃないから』
楓『……くすっ、わかっていますよ……Pくんには、敵いませんねえ…』
P『!それじゃあ…!』
楓『私、どこまでやれるかわかりませんけど……Pくんを、信じてみます。だからー』
楓『ーよろしくお願いしますね?私の「プロデューサー」さん』
ーーーーーーーーーーーーー
楓「ーというわけで、私はアイドルになり、今に至るというわけです」
肇「そんな事があったのですね……今の楓さんからは、想像もつきませんね」
楓「私は本来、家族以外にはとても人見知りしてしまう性格でしたから。でも、アイドルになった時にPくんが「ありのままの、俺が大好きな姉さんをきっとみんなも好きになるよ」と言ってくれたので、少しづつ頑張ってみたんです」
P「……俺、そんな口説き文句みたいなセリフを吐いてたの?」
楓「Pくんはいつもこんな感じでしたよ?」
P「は、恥ずかしい……実の姉相手に…」
楓「格好良かったですよ。お母さんも言っていましたが、Pくんは相手をジッと見つめて話す時の顔がキリッとしていて…」
P「も、もういいから!」グイッ
楓「あら、いい飲みっぷり♪」
肇「…Pさん、プロデュース業に熱心なのはわかりますが、あまり、女の子を勘違いさせるような言動をとっちゃダメですよ?楓さんが実のお姉さんだからよかったものの…」
P「わ、わかってるよ…というか、個人的にはそんな言動とってないと思うんだけど…」
肇「そうなのですか?では、私とお付き合いしはじめた頃、レッスンが上手くいかなくて落ち込んでいた藍子ちゃんに…」
P「…あ、あれは、違う!」
肇「私、とっても不安だったんですからね?藍子ちゃんに目移りしてしまったのかと…」
P「そんなわけないだろ!俺はずっと肇一筋だから!!……あ」
楓「…」ニコニコ
P「…姉さん、今の忘れて」
楓「こういうセリフを、素直に言えちゃうところが、Pくんのズルいところですよね」
肇「…素直にときめいてしまう私も私です…」
楓「ふふっ、ところで、何やら面白そうなお話ですね?Pくんのタラシエピソードですか?」
肇「あ、そ、そうなんです!聞いてください、楓さん!Pさんったら…」
P「も、もうやめろー!」
…………………
………………………
……………………………
P「………………zzz」
楓「Pくん、お酒弱いのにあんな早いペースで飲むから…ちょっと、いじめ過ぎましたかね?」
肇「いつも私がいじめられてますから。たまにはいいんですよ」
楓「Pくんも、私に似て好きな人にちょっかいをかけるのが好きですからね」
肇「ふふ、そうですね」
楓「それにしてもPくん、肇ちゃんの膝枕で寝れて幸せそうですねえ…」
肇「Pさん、寝相が悪いんですよ。すぐゴロゴロするから、こうして頭を押さえてないと…それに抱きつきグセも」ナデナデ
楓「へーえ…」
肇「…?どうしました?」
楓「どうして肇ちゃんは、Pくんの寝相の悪さや抱きつきグセを知っているのかなーと」
肇「…っ!あ、いえ、これは、その…!」
楓「ふふ、隠さなくてもいいんですよ。若い男女なのですから。当然そういう関係にもなるでしょうし?」
肇「うぅ…」
楓「甥っ子か姪っ子の顔が拝めるのもそう遠くないかもしれませんねー♪」
肇「か、楓さん!酔ってますね!?」
楓「んふふー♪」
肇「…もう、今日は、Pさんをいじめる日です!」
楓「でも、Pくん寝ちゃいましたし」
肇「起きてください、Pさん」ユサユサ
楓「あらあら♪」
P「ん……んぅ?……はじめ……?」ムク
肇「はい、おはようございます、Pさん」
P「おはよございます……」ウツラウツラ
P「…………」ジー
肇「もう、寝惚けてるんですね?大変です。楓さんの標的が私になりました。ですので、Pさんが…ひゃあ!?」
P「…」ギュウウウ
肇「ちょ、ちょっとPさん!か、楓さんが見てますよ!」
楓「…」パシャ
肇「撮らないで下さい!じ、事務所を通して下さい!!」
P「はじめー……すきだー……」グイッ
肇「んむぅっ!?……んー!んー!」
楓「あらあら…流石に、身内のディープなキスはちょっと見ていて複雑な気持ちになりますね…」
肇「れいふぇいにほへんほひはひてふらふぁいっ!!(冷静にコメントしないで下さいっ!!)」
P「………ぷはっ……んー……」ゴロン
肇「…な、何事もなかったかのように私の膝に…!」
楓「ふふ、すっかり肇ちゃんにデレデレですね。流石にちょっとびっくりしちゃいました」
肇「お…お恥ずかしいところを…」
楓「いえいえ。誰かに思い切り甘えるPくんが見れてよかったです…私はいつも、Pくんに甘えてばかりでしたから」
肇「…」
肇「…そんな事、ないですよ?」
楓「え?」
肇「Pさん、よく楓さんの事をおっしゃっています。「楓さんがいてくれて良かった」って。「事務所の雰囲気を明るくしてくれて、結束力を強めてくれて。たくさんの人の心を突き動かして、夢を見させて。俺は本当に凄い人をプロデュースさせてもらってるな。誇りに思うよ」って。楓さんの事を話しているPさん、とっても楽しそうです」
楓「Pくんが私を…」
肇「「からかわれるから内緒で」って言われてましたけど…Pさんも、楓さんに甘えていたのだと思います。Pさんなりの甘え方、姉弟を越えた、アイドルとプロデューサーとして…少し、羨ましいです」
楓「肇ちゃん…」
肇「私も、Pさんにそんな風に信頼され、甘えられるようになりたいです。今度はアイドルとしてではなく、妻として。そしていつか、Pさんと楓さんのような、絆で結ばれた素敵な家族に…と」
楓「…ありがとうございます。肇ちゃん」ナデナデ
肇「いえいえ、どういたしまして、お義姉さん?」
楓「んー…ちょっと、こそばゆいですね」
肇「ふふ、そうですね」
楓「…私は幸せ者ですね。大好きなふたりが家族になって、共に歩む姿を見れて」
肇「楓さんも、一緒ですよ?」
楓「あら、いいんですか?」
肇「勿論です。私にもPさんにとっても、楓さんは大好きな、大切な人ですから」ジッ
楓「…そういうところ、Pくんに似てきましたね?」
肇「そういうところ?」
楓「いえいえ、こちらの話です♪」
肇「?」
楓「…♪」
肇「…あ、そうだ。Pさんと同棲していた頃のお話、聞かせて下さい!」
楓「あら、やっぱり、興味あります?」
肇「勿論!」
楓「いいですよ。ではまず、大学生活編からお話しましょうか」
肇「はい!…も、もしよければ、Pさんの子ども時代のお話なども…」
楓「ふふ、それも、いいですよ」
肇「やった♪」
楓「と、その前に、もう一度乾杯しましょう?…長い夜になりそうですし♪」
肇「そうですね!では…どうぞ、楓さん」トクトク
楓「ありがとうございます♪私も、お返しに…」トクトク
肇「…と。ありがとうございます」
楓「Pくんは…寝かせておきましょうか?」
肇「そうしましょう。Pさんに内緒で、Pさんが恥ずかしがってしまうような話、たくさんしちゃいましょう♪」
楓「肇ちゃんもワルですね?」
肇「楓さんこそ…」
楓「…ふふ」
肇「…くすっ」
楓「…それでは、Pくんと肇ちゃんの幸せな未来を願ってー」
肇「大好きなPさんと楓さんに心をこめてー」
楓・肇「「乾杯♪」」チン
楓・肇「「ねー♪」」 が書きたかった。肇ちゃんにボイスがついたら実現してください何でもしまむら!
ところで、ネタのストックが尽きました(絶望)。「こんな話が読みたい」というご要望があれば書き込んでいただければ…!
あ、楓さんとPの姉弟話はまた書きたいです。
それでは、今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。
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