三船美優「私を、最後に選んでくれるのなら」 (13)

 ……やめてください、プロデューサーさん。

 伏せないで。

 泣かないで。

 謝らないで。

 そうして足を付いて頭を下げて、涙に濡れた顔をそんなふうに歪ませて、そうやって謝るのはやめてください。

 そんなことをしていただく義理はありません。

 そんなことをしてもらう必要はありません。

 そんなことを受け取る気はありません。

 貴方のそんな姿と行為を、私は欲してなんていませんから。

 望んでいません。願っていません。祈っていません。欲してなんて、いませんから。

 ……え?

 ああ、なるほど。そんな意味に取ってしまったんですね。

 大丈夫。……ふふ、大丈夫ですよ。

 大丈夫ですし心配はいりません。私にそんな意図は、ありません。

 私が貴方を捨てるなんて。

 私がプロデューサーさんを見限るなんて。

 この私が貴方を、プロデューサーさんを嫌いになるなんて……別れたいと、そんなふうに願うなんて。

 そんなことはありません。

 大丈夫です。

 大丈夫ですよ、プロデューサーさん。

 私は何も怒っていません。

 何も気にしていないし、何も憤ってなどいません。

 貴方が私以外の方と睦み合った。そのことについて、

 求め合い愛し合い想い合ったという、そのことについて、

 私は何も、貴方に対して負の想いなんて持ち合わせてはいませんから。

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