風見雄二「死んだ世界戦線?」3 (59)


風見雄二「死んだ世界戦線?」

風見雄二「死んだ世界戦線?」2 の続きになります。

グリザイアの果実とAngel Beats!のクロスです。
両作品のネタバレがあります。



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誰であっても、失敗することはある。それは、勿論俺も例外ではない。

生前の仕事では、一瞬の判断で取り返しのつかない事態に陥ることがあった。その結果、命を落とした奴らのことも、俺はこの目でしっかりと見てきた。

たった一発の銃弾が世界の運命を変えることだってあることを、俺は十分に理解していたはずだ。

そう、理解していたはずだ…


~自室~


雄二「何…だと…?」

俺は今、生徒会の名簿を見ている。

先日ゆりに、この世界をもっと知るようにと、学校の資料をいくらか渡されたので、寝るまでの暇潰しとして学校の資料を読んでいた。

そして、生徒会なる組織の資料に目を通した時、俺は愕然とした。

生徒会名簿の一番上に書いてある、生徒会長の名前の欄に、“立華かなで“と書いてあるのだ。

天使である“あいつ”が生徒会長であることに今更衝撃は受けない。

問題は、“立華かなで“という字面だ。

ゆり『……“かなで“?』

日向『“かなで“って…天使のことか?』

野田『待て、“かなで”だと?それは誰のことだ?』

ゆり『“かなで”は天使の名前よ』


もしかして俺は、ずっとあいつの名前を間違っていたというのか…?


雄二「……うおー!!!!」

日向「ッ!?」ビクッ

雄二「くそっ!くそう!!」

日向「か、風見!?急にどうした?」ガバッ

二段ベッドの上で漫画を読んでいた日向が、驚きながら下のこちらを覗き込む。

雄二「日向!お前は天使の名前が“立華かなで”であることを知っていたのか!?」

日向「いや、知ってるけど…それはお前も知ってただろ?」

雄二「俺はあいつのことを、“橘 奏“だと認識していたんだ!」

日向「ん?それってどう違うんだ?」ハテ

雄二「字面が!漢字が違うんだ!!」

日向「…ああ、そういうことか」

雄二「……ハッ!?」

俺は不意に、かつて高松とした会話を思い出す。

高松『何故風見さんが天使のことを名前で呼んでいるんですか?』

雄二『何だ?天使の名前を呼ぶだけでも、この世界から消えてしまうのか?』

高松『…そうではありませんが、天使は我々戦線の敵ですよ?』

雄二『敵であるからこそ、“より正確な呼称“であるほうがいいとは思わないか?』


雄二「……うぉぉぉおおおおお!!!」

日向「か、風見!?」

雄二「くそう!くそう!!」ガンガン

日向「ちょっ!?壁に頭を打ちつけるな!!別にそこまで気にすることじゃないだろ!?」

雄二「黙れ!!あの時俺は、最善を尽くしていたはずだ!しかし、それは大きな間違いだった!!」

雄二「何故あの時、“かなで”に字面を聞かなかった!?くそっ!!」

雄二「くっそぉぉぉおおおお!!!」ガンガンガンガン

日向「ばっ!やめろって!?風見ぃぃいいいいい!!!」ガーン!!

俺は、しばらく全力で頭を壁に打ちつけ続けた…


日向「……落ちついたか?」

雄二「ああ…俺としたことが、冷静さを欠いていた。もう大丈夫だ」

日向「…にしても、風見も失敗することがあるんだな…」

雄二「当たり前だ。失敗しないやつなんているはずがない」

日向「いや、でも風見はなんつーか、すげぇじゃん?」

日向「ギルド降下作戦の時は、最後まで生き残った挙げ句、天使と互角に渡り合ったり…」

日向「この前だって、男子寮から体育館にいる岩沢のギターだけを狙撃したんだろ?」

雄二「…そんなの大したことじゃない」

日向「いや、充分大したことだと思うぜ?」

雄二「…フム」

日向「…ぶっちゃけ俺は、お前のことを超人か何かだと思ってたんだ」

日向「だから、風見でも失敗するってことが、なんかちょっと嬉しいんだよ」フッ

雄二「…お前なかなかいい性格をしているな」

日向「別に深い意味はないさ」キリッ

雄二「…尚更いい性格してるな」



俺がこの世界に来てからというもの、日向と飯を食べたり、こうして他愛ない話をすることが多かった。

日向は、俺がこの世界に来た時から、実に親切にしてくれている。

雄二「……」

俺はこんな“歓迎“のされ方を美浜学園で経験している。

この世界にいる時点で、日向も普通ではないはずだ。

あいつと同じ“何か“があるんだろうな…

そんなことを頭の隅で考えつつ、俺は消灯まで血で汚れた壁の掃除をするのだった。


健全な精神は健全な肉体に宿る。
こんな言葉は、戦後を生き抜いた大人が振りかざす、ただの精神論だと一笑に付すのは簡単だ。

しかし、実際のところ、適度な運動には向精神作用があるというのは、きちんと裏付けされたデータがあるらしい。

この俺にしても、最後に物を言うのは基礎体力という教えで育ってきた身であるため、身体を動かすことに異論はないのだが…


~戦線本部~


ゆり「明日は球技大会よ!!」デーン!!

大山「そっか、もうそんな時期だったかぁー!!」

藤巻「くそ、たりぃ…」チッ

雄二「球技大会…そんなものがあるのか」

ゆり「そりゃあるわよ。普通の学校なんだから」

雄二「俺達も参加するのか?」

ゆり「ええ、参加するわよ」

雄二「授業を受けることは禁止で、球技大会はいいのか?」

ゆり「もちろん正式な方法では参加しないわ。…ゲリラ参戦よ」

雄二「なるほど」フム

ゆり「皆もいい?これまで通り、メンバーを集めてチームを作りなさい」

ゆり「そして、見事活躍してみせなさい!」ビシッ

雄二「もし、活躍できなかったらどうなるんだ?」

ゆり「安心なさい。NPCにも劣る成績を収めたチームには、とってもきつい罰ゲームが待っているわよ」ニコッ

日向「今年もかよ!?」ガーン!!

TK「crazy for you…」

ゆり「では、みんな頑張れー!!」

こうして、俺達は明日の球技大会に出場することになった。


会議が終わると、俺は日向に話しかけていた。

雄二「これは恒例行事なのか?」

日向「ああ。毎年この時期になると球技大会に参加させられるのさ」

雄二「何か目的でもあるのか?」

日向「ゆりっぺ曰く、日々の鍛練のチェックだってさ」ハァ

雄二「なるほど、理解した」フム

日向「俺達は、なんとしても罰ゲームだけは回避しなきゃいけない。そこで…!」ガシッ

日向「風見。俺にはお前が必要だ」キリッ

雄二「……やはり」

日向「違いますから!!」ビシッ

雄二「まだ何も言ってないんだが…」

日向「どうせホモだって言うんだろ!?違いますからっ!!」

雄二「…フム、まあ同じチームになることは構わんが…」

雄二「種目は何だ?」

日向「野球だ」

雄二「となると、あと7人か…」

日向「そうなるな」

雄二「フム………岩沢」

俺は、戦線本部から出ていこうとしている岩沢に声をかける。


岩沢「何?」

雄二「お前はもう入るチームが決まっているのか?」

岩沢「そうだな…今のところはガルデモメンバーだけかな」

雄二「なら、俺達のチームにガルデモごと加入してくれないか?」

日向「そりゃいい考えだ!岩沢、是非とも俺達のチームに入ってくれ!」

岩沢「いいけど、あたし達かなり弱いぜ?」

雄二「何、いいハンデだ」フッ

岩沢「ったく、毎度失礼なやつだな…まあ、それでもいいならいいよ」

日向「よっし!まず4人ゲットだぜ!!」

こうして、ガルデモが仲間に加わった。


雄二「残りのメンバーはどうするか…」

日向「後は俺に任せな」フッ

雄二「当てがあるのか?」

日向「ああ!俺は人望だけで生き抜いてきたような人間だ」

日向「最強のチームを作ってやるぜ!!」デーン!!

岩沢「死んでるくせによく言うよ…」ハァ

雄二「その自信は頼もしい限りだが、誰から誘うつもりなんだ?」

日向「まずは、リーダー格の松下五段を誘うつもりだ」フンス

雄二「松下か。いい考えだと思うが、もう他の誰かに誘われてるかもしれんぞ?」

日向「あいつは俺を待っててくれるさ。なんつーか、マブダチなんだ。照れるな、ははっ」

雄二「なるほど。マブダチか」

岩沢「決まったのなら、早く行こうぜ?」スタスタ

俺達は、戦線本部を後にすると、松下の稽古場に足を運んだ。


日向「よう、松下五段!」

松下「ん?日向に風見に岩沢とは珍しい面子だな。何の用だ?」

日向「明日の球技大会、俺達のチームに入ってくれるよな?」

松下「チーム?ああ、それなら竹山のチームに入った」

日向「はああぁぁぁーー!?」ガーン!!

松下「別に断る理由もなかったしな」

雄二「…大したマブダチだな」

岩沢「……」ハァ

松下「マブダチ?」

雄二「ああ。つい先程日向が、お前との熱い友情を俺達に説いていたんだ」

日向「ばらすなよぉぉおおおっっ!!!」


岩沢「さっそく失敗したな」

雄二「次はどうするんだ?」

日向「…次はTKだ。頼むぜ…」

岩沢「あいつか」

雄二「そういえば、何故TKと呼ぶんだ?」ハテ

日向「昔に野田が名付けたんだよ。とにかく狂ってるの略だ」

雄二「なるほど。悪くないセンスだ」

日向「だが、あいつは悪いやつじゃねぇ。俺も奴のことは信頼してる」

俺達がTKを探して廊下を歩いていると、藤巻とTKが握手している現場に遭遇した。

藤巻「…ってなことで、明日よろしくな!」

TK「OK!!」フゥー!!

日向「ガッデム!!」ガーン!!

雄二「……」

岩沢「……」


日向「次いくぞ…くそー…」

岩沢「なぁ。その前に、そろそろひさ子達と合流したいんだけど…」

雄二「…そうだな、一度ガルデモメンバーと合流するのも悪くないんじゃないか?」

雄二「もしかしたら、メンバーの当てがあるかもしれん」

日向「…そうだな。そうすっか…」

俺達は、一旦メンバー集めを中断し、岩沢達の部室へと向かった。


岩沢「ただいまー」ガラッ

ひさ子「おかえり。結局ゆりの呼び出しは何だったんだ?」

岩沢「毎年恒例の球技大会に参加せよ、とのことだ」

ひさ子「ふーん。で、日向と風見がいるってことは…」

雄二「察しの通り、俺達もお前らと同じチームに加わるつもりだ」

日向「俺は生前野球部だったし、風見も運動神経は悪くないはずだぜ?」

雄二「日向、野球やってたのか?」

日向「…まあ、“そこそこ”な」

ひさ子「風見はギルド降下作戦で、唯一ゆりと最下層まで辿り着いたって話は聞いてるし…」

ひさ子「岩沢を男子寮から狙撃するなんて離れ業までしたんだ。信用するよ」

関根「あの時は本当にビックリしましたよ」ジー

入江「うん。いきなり岩沢先輩の弾いてたギターが、ばきっ!ってなったもんね…」

雄二「…フム」

岩沢「まあ、あたしの相棒を1㎞先から見るも無惨な姿に変えたこいつなら、きっと大活躍してくれるさ」

雄二「…実は結構気にしていたのか?」

岩沢「さぁ?どうだろうな」フッ

関根「おや?何やら怪しい雰囲気が…」ゲヘヘ

入江「しおりん!」

ひさ子「…とにかくわかったよ。とりあえず頑張ってみるか」

関根「他のメンバーはどうします?」

入江「わたし達に日向さんに風見さんってことは…」

岩沢「あと3人だな」

雄二「誰か誘う当てがあるやつはいるか?」

関根「えーと、去年のメンバーだったNPCでよければ、あと3人ぐらい余裕ですね」

日向「いや、関根。ここは俺にまかせろ!」

ひさ子「日向で大丈夫なのか?」ウーン

日向「大丈夫ですから!絶対に最強のチームを作ってみせますから!」

俺達は意気込む日向の後ろについていった。


日向に連れられ、俺達は体育館の倉庫の前にいた。

雄二「この中に入るのか?」

日向「こういう所に居そうなのがひとりいるんだよ」

関根「そんな恐い人とはあまり友達になりたくないんですが…」

引き戸を開けて、中に入っていく。中はほとんど光源がなく、薄暗い。

そして下を見ると、何故か床にマグロの人形が転がっていた。

ひさ子「何だこれ?」

入江「魚ですね…」

雄二「魚というかマグロだな」

日向「でも、これがここに転がってるってことはビンゴだ…」

日向「椎名っち、探したぜ」

椎名「…何用だ」

奥の暗闇から声だけが聞こえてくる。

日向「椎名っち。お前さ、運動神経いいじゃん?」

椎名「さぁな。測ったこともない」

日向「絶対いけるって!野球しようぜ?」

関根「中島か」

入江「しおりん!」

関根「おっと」

雄二「……フム」

確かに身体能力の高い椎名がチームに加われば、勝利に近づくことができるかもしれない。

そして幸いにも、“これ“が好きなやつとの交流の方法は、美浜学園で学んでいる。

仕方ない、ここは俺が一肌脱いでやるとするか…

雄二「……カルビ」

椎名「……ッ!?」

雄二「……カルビ…カルビ!カルビ!」

椎名「……赤身!赤身!赤身!」

岩沢「え?風見?」ボーゼン

日向「おい、何してるんだ…?」

雄二「ハラミ…ハラミ!ハラミ!」

椎名「トロ…トロ!トロ!」

ひさ子「こいつら…何キメてんだ…?」ガタガタ

関根「パねぇっす…パねぇっすよ…風見さん…!!」ガクガク

入江「怖いよぉぉぉ!!」ガーン!!

こうして、椎名が仲間に加わった。


俺達が次なる仲間を求めて廊下を歩いていると、目の前に高松が立ちはだかった。

高松「……」

雄二「…む?」

日向「どうした?高松」

高松「私をあなた達のチームに入れてください!!」デーン!!

日向「…いや、こっちは大歓迎だけど…なんでまた?」

高松「それは…」

ちらり、とガルデモの方を見る高松。

そういえば、告知ライブの時、最後までガルデモを心配していたのは高松だったな。

雄二「なるほど、そういうことか」

高松「っ!?風見さん、あなたまさか…」

雄二「心配するな。何もしないさ」

高松「そっ…そうですか」

雄二「ああ。歓迎する」

高松「ありがとうございます!」

ひさ子「…こんな簡単に決めていいのか?」

岩沢「ま、いいんじゃない?これで8人になったんだし」

日向「そうだな!残すはあと1人だ!」

俺達は最後の1人を探すため、校舎を歩いた。


日向「くっそー…最後の一人が捕まらねぇ…」

雄二「もうNPCでも誘うか?」

日向「うーん…最悪それしかないな」

???「お困りのようですな」

振り返ると、何処ぞのピンク頭がニヤリと笑いながら立っていた。

ひさ子「ん?誰だ?」

日向「ただのバカだ」

雄二「そうだな、ただのバカだ」

ユイ「誰がバカだごらぁぁぁ!!!」

ひさ子「喧しいやつだな…」

日向「で?何の用だよ」

ユイ「メンバー足りてないんでしょ?あたし戦力になるよぉ?」

自信満々の表情で近づいてくる。

日向「当たり屋?デッドボールを顔面で受けて危険球。ピッチャー退場か…」

日向「よし、採用!」

ユイ「お前いっぺん死にやがれぇぇぇぇーーーっ!!!」

日向の後頭部にハイキック一閃。

日向「ぐはっ!!…おまっ!俺一応先輩だからなっ!!」

ユイ「おっと…先輩も一度息の根をお止めになってはいかがでしょうか?」

ぽこっとチョップ。

日向「ふざけんなぁぁぁ!!」

ユイ「ぐぎゃぁっ!」

日向がユイにキックを食らわす。

ユイ「痛いです…」

日向「俺だっていてーよ!!」

雄二「でも、見事なハイキックだったな」

ユイ「はい!ユイにゃんにおまかせ!!」

日向「あん?…もう一度言ってみろ」

ユイ「ユイにゃん♪」

日向「そっっっいうのが一番ムカつくんだよっ!!」

ユイに卍固めをキメる日向。

ユイ「ぎゃああああああああ!!!」

こうして、ユイが仲間に加わった!



日向「さって、メンバーも集めたことだし、野球場で練習するぞ!」

日向の意向により、俺達は野球場に来ていた。

日向「早速だが、風見。ピッチャーをお願いできるか?」

雄二「……俺か?」

日向「ああ!任せたぜ?」

ひとまず、日向に言われた通りにキャッチャーである高松のミットを目掛けてボールを投げる。
何度か投げると、そのままバッティング練習となった。

バッターをローテーションして行き、打ち終わったら守備にまわるといった具合だ。

それから、数時間練習が続き、凡フライが日向の守るセカンドに上がった。

簡単に取れるボールだったが、日向は何故か立ちつくしたままでいた。

雄二「日向!セカンドフライ!」

日向「え?うおっと!?」

落ちる寸前のところでグローブを差し出し、なんとか受け止めた。

雄二「どうした?」

日向「…いや、悪い。なんでもなねぇ」

ユイ「ぼーっとしてんじゃねーぞー!?このヘボがぁぁぁ!!」

日向「お前にだけは言われたくねぇーー!!」

ユイ「ぎゃあぁぁぁぁあ!!」

日向がユイに卍固めをくらわせる。この練習中に何度も見る光景だったので、俺は気にせず別のことを思案していた。

雄二「……」


練習が終わり、シャワーを浴びた後、日向と二人で自室に戻ると俺は日向に声をかけた。

雄二「日向。ちょっといいか?」

日向「ん?別にいいけど。何だ?」

雄二「お前生前は野球部だったと言っていたな」

日向「…ああ、そうだよ。それがどうした?」

雄二「話したくなければ話さなくてもいい。だが、事と次第によっては、明日お前がこの世界から消えてしまうかもしれない」

日向「…消える?いきなり何言ってんだよ」

雄二「天使から聞いた。この世界は理不尽な過去と決別するための場所だと」

雄二「そして、無事過去と決別することができたなら、この世界から“成仏“して次の人生が始まると」

日向「……まじかよ」

雄二「まじだ。だから、日向の過去の中で野球に関する悔いがあるのなら、それを聞かせてほしい」

日向「……」

雄二「会って間もないが、お前は俺の友と呼べる存在になった」

雄二「お前にはまだ消えてほしくないんだ」


日向「……ぷっ」

雄二「ん?」

日向「もしかして、風見。お前ホモなのか?」

雄二「…違いますから?」

日向「そこはもっと大きな声で言ってほしかったな」フッ

雄二「フム、次は気をつけよう」

日向「…そうだな。わかった。話すよ」

雄二「いいのか?」

日向「いいさ」

日向は、自分の人生を話し始めた。


日向「そうだな、何処から話したもんか…」

日向「さっきも言ったけど、俺野球部でさ。みんなで甲子園目指してたんだ」

日向「俺達のチームの、特に三年生にとっては最後の夏だったし、すげー練習してきててさ…」

日向「夜にも練習できるように、町ぐるみで募金を募ってライト設置したり、応援団まで親たちが作ってくれて、最強の年だって騒がれたりしてさ…」

日向「そんな最後の地方大会の最終回、俺は守備固めでさ…」

日向「その回からセカンドにいて、ランナーが二塁三塁にいて…」

日向「そこで簡単なセカンドフライが上がったんだ」

日向「少し後ろへ下がれば、悠々取れるボールだった」

雄二「……」



日向「死にそうに暑くて、口ん中、泥の味しかしなくて…吐きそうで…そういうのは覚えてる」

日向「ただ、そのフライを捕れたのか、落としちまったのか、それだけは思い出せねぇんだ…」

雄二「……」

日向「いや、捕れてたんなら、忘れてるわけねぇよな」

日向「きっと捕れなかったんだ」

日向「…町全体で応援するような、すげー大事な試合だったんだぜ?」

日向「それを、俺ひとりが全部台無しにした」

日向「どこにも居場所がなかったから、逃げるように野球をやってたのに…結果は正反対になっちまったってわけだ」

雄二「……」


日向「その後はどこに云っても疫病神扱いでさ…」

日向「もうどんなツラ下げて生きていけばいいのか、わかんなくなって…」

日向「親切そうに俺の前に現れたOBに手を出してはいけないものを渡された」

日向「一度でいいから試してみな。それで楽になれるからって」

雄二「……」


日向「格好の逃げ道だったんだ」

日向「最高に都合がよかった」

日向「でも、人としてはおしまいだ」

日向「…俺の人生ってのはそこで終わっちまったんだ」


雄二「……」

日向「俺は簡単に逃げちまった」

日向「だけど、そんな軽蔑されるべき生き方をした俺でもさ…」

日向「この世界では、誰かのために居られてんのかなって、いつも不安でさ…」

日向「だから、お前にも必要以上に構っちまった。今まで悪かったな、風見」

雄二「…いや、気にしなくていい。俺も助かっていたのは事実だ」

日向「そっか…」

雄二「ああ」

日向の親切の理由はやはり過去が原因だった。

初対面にもかかわらず、俺に馴れ馴れしく接し、そのくせ俺の過去をあまり気にする様子もなかった。

そんな都合のいい奴がいるわけないのだ。

日向「まあ、そんな訳だから明日俺が消えることはねぇよ」

日向「そんな“簡単に消えてくれるもん“じゃないのさ」

雄二「…そうか」

日向「あと、お前さっき、俺に消えてほしくないって言ってくれてよな?」

日向「あれ、すげー嬉しかったぜ」

雄二「ああ…」

日向は俺に生前の話をしてくれた。

だが俺は、日向の話を聞いて“気になること“が一つあった。

日向が話さなかった以上、深く聞くことはしないが、それは日向にとって、“簡単に消えないもん“なのだろう。

日向「さあ、もう今日は寝ようぜ?」

雄二「そうだな…」

そして、俺と日向は明日に備えて早めに就寝することにした。


そして、球技大会当日。
見事に空は晴れ渡っていた。

ゆり「素晴らしい天候ね!」

ゆり「みんな、罰ゲームを回避するために必死に頑張れー!!」キャー!!

野球場に足を運ぶと、周りから大歓声が聞こえてくる。

雄二「…すごい盛り上がりだな」

日向「そりゃ、NPCのほとんどが自分のクラスを応援するために集まってるからな」

俺達は掲示されているトーナメント表を見る。

ユイ「おおー!我らが戦線チーム、どこも順調に勝ち進んでいってますね!」

日向「ここで負けたら罰ゲーム確定だかんな。気合い入れねーと!」

ひさ子「打順はどうするんだ?」

日向「1番は足の速い風見」

雄二「俺か」

日向「で、2番が俺。3番が椎名っち」

日向「そして一番ボールを遠くに飛ばせる力を持った高松が4番だ」

高松「ふっ…いいでしょう」メガネクイッ

関根「え?この人が一番遠くにボールを飛ばせるんですか?」

日向「こいつは着痩せするタイプなんだよ…」

関根「???」

日向「で、5番がひさ子。6番が岩沢」

日向「7番が関根で8番が入江」

日向「9番ユイでいく」

関根「なんか舐められてる…」チッ

入江「まあまあ、バンドならまだしも、野球に関しては、とやかく言えないよ…」

日向「じゃ、7点差以上でコールドだ。天使が来る前に片づけちまおうぜ」

日向「じゃ、いくぞ?」

日向「ふぁい、おーっ!」

全員「「おーっ!」」

こうして、俺達の試合が始まった。


主審「プレイボール!」

雄二「……」

コールド狙いなら、まずは俺が塁に出ないとな…

キャッチャーがミットを構え、ピッチャーがセットポジションからボールを投げる。

雄二「ふっ!」カキン

初球に狙いを定め、バッドを振る。
俺が打ったボールは、一二塁間を抜けていった。

日向「おおっ!」

岩沢「さすがだな」

次に日向がバッターボックスに立つ。

日向も初球を振り抜くと三遊間を真っ二つに。

3番椎名は、見事にボールを捉え、セカンドの上を越えていった。

椎名「…あさはかなり」カンコーン

椎名は悠々と一塁に辿り着く。

高松「……私の筋肉を使う時が来ましたね」

高松「フッ!!」カィン!!

4番高松の打った球はライナーでフェンス越え。
スリーランで3点を先制した。

雄二「これなら罰ゲームの心配はないだろう…」

その後ガルデモメンバーも活躍し、相手を0点で抑きってコールド勝ちすることができた。


日向「よっしゃ勝ったぁぁ!!」

俺達が、グラウンドを出ようとしていると野球部のユニフォームを来た連中がぞろぞろとこっちに向かってやって来た。

雄二「フム…」

その先頭に立つのはジャージを羽織った“かなで“だった。

ひさ子「出やがったな…」

岩沢「…野球部を引き連れて何のご用で?」

天使「…あなたたちのチームは、参加登録をしてないわ」

日向「別にいいだろ?参加することに意義がある」

直井「生徒会、副会長の直井です」

かなでの横にいた、帽子を被った男子生徒が言葉を発する。

直井「我々は生徒会チームを結成しました」

直井「あなた達が関わるチームは、我々がフェアに排除していきます」

日向「何、そっちはメンバー全員が野球部のレギュラーってわけ?」

こくん、と頷くかなで。

関根「まじっすか…」

日向「いくら何でも勝てるわけねぇじゃん…」

直井「それでは、失礼します」フッ

天使率いる生徒会チームは俺達を背にして去っていった。


そして迎えた、生徒会チームとの対決。

最終回、生徒会チームの攻撃。

俺達戦線チームが2点リードしているものの、状況はギリギリだ。

しかし、この状況は…

雄二「タイム!」

俺は、あることを思い出し、日向の方を見る。
すると、日向の様子がおかしいことに気づいた。

どこか、ぼーっとしている。

雄二「…日向?」

日向「あの時と一緒だな…」

雄二「何?」

日向のグラブを持つ手が震えていた。

雄二「……」

嫌な予感がした。
この感覚は、“あの時“と似ている。

雄二「お前…もういいのか?」

日向「…え?」

はっと顔を上げる日向。

雄二「お前は、この試合に勝って“成仏“したいのか?」

日向「馬鹿、そんなんじゃねぇよ…はっ…なんでっ……」

雄二「……」

日向「ずっとこの世界にいるんだ。こんなことで消えるかよっ」

日向はそう言って無理に笑う。

雄二「…そうか」

日向「ほらっ、最後のひとりだ。抑えて勝とうぜ?」

日向に背中を押され、マウンドへ向かう。

雄二「……フゥー…」

俺は呼吸を整える。目の前のバッターを見据える。

大丈夫だ。俺がこいつ打たれなければ、こいつが打ちもらさなければいいだけの話だ。

雄二「……ッ!!」

俺はボールを投げた。

かぃん!!

バッターが完全に詰まらせた。

平凡な“セカンドフライ“

雄二「嘘だろ……ッ!!」

俺は振り返って、日向の方を見ると、日向は清々しい顔でグラブを掲げていた。

雄二「……日向ッ!!」

日向はこちらを一瞥すると、微笑みを浮かべながら、聞こえるか、聞こえないかの声で言葉を発した。

日向「風見…ありがとな」フッ

雄二「待てッ!!とるな!!日向!!!」

俺の叫びも虚しく、ボールは日向の持つグラブに収まり、俺達は生徒会チームに勝利した。


俺には、家族が居た記憶がない。

物心付いた時には、すでに母の兄の家で暮らしていた。

義父には、二人子供が居て、両親はもちろん自分の子供に愛を注いだ。

そして、俺はいつも壁を作られて育てられた。

俺は、そんな親と離れるために、完全寮制の高校にスポーツ推薦での入学を決めた。

学校から推薦が通ったと知らされた時、手をぐっと握りしめた。

よし、逃げ出せた、と。



そもそも俺が野球を始めたのも、ただ家に居たくなかったからだった。

それだけだった。

そして、“そんな“野球が俺の一番打ち込めるものになって、いつしか、生きることが野球をすることにすり替わっていた。

俺は、まるで野球をするロボットみたいになった。

人として、大事なものを失っていた。


ある日、学校のグラウンドに一匹の犬が迷いこんできた。

放っておけば、そのうち何処かに行くだろうと、皆その犬を無視して練習を続けた。

でも、翌日も犬はグラウンドに居た。

これは問題だということになり、飼い主を探そうということになった。

チラシを作ったり、そのチラシを近所の家に配ったりもした。

だけど、俺にはその行為の意味がさっぱり理解できなかった。

この犬の飼い主が見つかったところで、内申が良くなるのか?

野球のセンスが磨かれるのか?

俺からすれば、犬は練習の邪魔でしかなかった。



飼い主が見つからない中、マネージャーがあることに気づいた。

その犬は、まともに歩けなかったのだ。

常に、右足を引きずるようにして歩いていた。

マネージャーが、その犬を動物病院に連れていったら、それは治らないと言われた。

そして、これもさっぱり理解できないのだが、この犬をどうするか、というミーティングが行われることになった。

そして、その犬の面倒を野球部でみることになった。

はぁ?何故?馬鹿じゃないのか?

俺はまだその時はまともな人間の仮面を被っていた。

だから、流されるまま同意した。

だけど、部員の誰もが犬の世話に気をとられるようになって、野球部の練習が大いに乱れた。

どうしてこんな下らない存在に野球部の士気を奪われなくてはならないのか?

みんな正気なのか?催眠術にでもかかってるんじゃないのか?

俺は、みんなの目を覚まさせてやることにした。


簡単だ。

犬がグラウンドに現れた時のように、犬を何処かに置いてくればいい。

この犬はまともに歩けない。

それなら、山にでも捨てれば、まず帰ってこれないだろう。

俺は犬を抱いて、学校を抜け出し、適当な山に犬を置き去りにした。

清々した。

俺はその日、久しぶりによく眠ることができた。



犬を置き去りにした、翌日。

すぐ犯人が俺だとバレた。

何故か?

俺だけだったのだ。

俺だけ、犬が居なくなったことに動揺できなかったのだ。

俺は皆に糾弾された。

俺は、おかしいのはお前らだと反論もした。

返ってきたのは、水を打ったような静けさと、マネージャーの言葉だった。

『あなた、それでも人間なの!?』



……いや、わかってるよ。

俺はお前達とは違う生き物なので。

心のないロボットなので。

それだけで。

なんで、こんなに責められなくちゃいけないわけ?




理不尽だ。




俺は逃げた。
親から逃げた。
部員たちから逃げた。
逃げ続けた人生だ。

そして、最終的には人生から逃げた。





そうやって、全てから逃げたと思ったけど、気づいたら俺はこの世界にいた。

そして、俺はゆりっぺに会った。


ゆり『あなた、この世界にいるってことは死んだのよ?』

日向『…はぁ?何言ってんの?つーか、あんた誰?』

ゆり『あたしはゆり。よろしく』

日向『げ…ゆりっておふくろと同じ名前なんだけど……』

あの大嫌いなおふくろと。

ゆり『知らないわよ。どうしても嫌なら別の呼び方を考えたら?』

日向『……ゆりっぺとか?』

ゆり『センスの欠片もないわ…』ハァ

日向『それは悪うございました…』チッ

ゆり『ま、いいわ。ところで、聞いてほしい話があるんだけど…』

日向『…なんだよ?』

ゆり『この世界で人は死なないらしいの』

ゆり『なら、もしこの世界で人が死んだら、どれくらいの時間で生き返れるものなのか、知りたいと思わない?』

日向『……は?何言ってんの?』

ゆり『思うわよね?じゃ、いっぺん死んでみよーか?』ニコッ

日向『はぁ!?まじで何言って……』

ゆり『行くぞー?よーい、どーん!!』ゲシッ

日向『うわっ!?ちょ!!ふざけんなあああぁぁぁ!!!』ヒュー…


俺は、ゆりっぺに屋上から蹴り落とされた、あの時に“この世界に生まれた“。

俺は、この世界では赤子同然だったんだ。

この世界で生まれて、ゆりっぺという家族に出会った。

そこから始まったのが、俺の新しい人生だったんだ。

俺は何十年と、ゆりっぺ達と共に歩んで、取り戻していったんだ。

人の心を。


今ならわかる。

あの犬を思うみんなの気持ちが。

何故俺は、あんなことをしてしまったのだろう。

俺は本当にどうしようもない人間だ。

でも、どうしようもなくても。

ロボットから、人間に戻れた俺になら、何かできることがあるはずだ。

誰かのために、動けるはずだ。


雄二「……日向ッ!!」

風見が、マウンドから俺を呼んでいる。

この世界に来てからずっと、飄々としていて、常に自分のペースを崩さなかったあいつが、今は必死になって、俺を呼びかけてくれている。

雄二『話したくなければ話さなくてもいい。だが、事と次第によっては、明日お前がこの世界から消えてしまうかもしれない』

雄二『会って間もないが、お前は俺の友と呼べる存在になった』?

雄二『お前にはまだ消えてほしくないんだ』

家族なんて、いなかった。
友達なんて、ありえなかった。

でも、風見は俺のことを友達だって言ってくれた。

本当に…いいやつだ。

日向「風見…ありがとな」フッ

お前と出会えてよかった。


雄二『お前…もういいのか?』

雄二『お前は、この試合に勝って“成仏“したいのか?』


…まだ。

まだ終われない。

こんな俺を、少しでも必要としてくれる奴等がいる限り、俺はそいつ等を残していきたくない。

もう、置き去りになんてするもんか。

最後まで一緒にいる。

それが、俺の人生だ。

だから…

雄二「待てッ!!とるな!!日向!!!」



今までの俺とはさよならだ。





雄二「日向…?」

セカンドフライを捕った日向は、消えることなく俺達の前に居た。

そして、驚いている俺とは対称的に、ニヤニヤと笑顔を浮かべている。

日向「そんなに焦って、どーしたよ?」

雄二「…何故消えないんだ?」

日向「いや、消えませんから!というか、何気に結構酷いこと言ってますよね!?」ガーン!!

雄二「いや、すまない。そうだな。確かに消えない方がいいかもしれんな」

日向「何その感想!?傷つくんですけど!?」

雄二「フム」

日向「フムって!!お前それ好きだよなぁ!?…おい、岩沢も何か言ってやれよ!!」

岩沢「フム」

日向「お前もかよ!?」ガーン!!

ひさ子「……で?何故こいつは異様にテンションが高いんだ?」

ユイ「ついに脳ミソぶっ壊れましたかね?」

日向「…いや、むしろ逆だ!」

ユイ「逆?」

日向「そうだ!俺は今、ニュー日向になったんだ!!」デーン!!

雄二「…すまない。誰かこいつが何を言ってるか、わかるやついるか?」

高松「皆目見当もつきませんね…」メガネクイッ

日向「まあ、わかんなくていいんだよ!とりあえず、これからの俺をよろしくってことで!!」

ひさ子「…なんかよくわかんないけど、生徒会チームに勝って、罰ゲームを回避できたからいいとするか」ハァ

岩沢「そう?あたしはちょっと分かる気がするけど」クスッ

関根「え!?あの音楽キチの岩沢先輩が日向先輩の心情を察している…だと…?」

入江「失礼だよ、しおりん!」

雄二「……」


実のところ、俺は日向が今日消えるとは、ほとんど思っていなかった。

何故なら、日向の過去に“気になること“が一つあったからだ。

日向にも野球を始めたきっかけがあると言った。

しかも、岩沢と同じで日向は何かから逃げるように野球を始めたと言っていた。

ならば、それと向き合うまで日向が消えることはないだろうと、考えていたのだ。


ひさ子「ま、とりあえず本部に戻ろうぜ?」

高松「そうですね。我々は天使率いるチームに勝ちましたから…」

ユイ「何かご褒美でもあるんですかね!?」

皆が意気揚々と戦線本部を目指し、歩いていく。

俺も行くか、と考えてた時、前を歩いていた日向が振り返り、俺に言った。

日向「ほら、行くぜ?“相棒”」

雄二「相棒…?」

日向「ああ。お前は俺にとっての唯一無二の相棒になったのさ!」キリッ

雄二「……」

日向「あれ?やっぱり嫌だったか…?」

雄二「言って後悔するぐらいなら、最初から言わなければいいだろう」ハァ

日向「…ははっ、悪い。そうだよな」

雄二「ああ。次からは気をつけてくれ、“相棒“?」

日向「!!!」

日向「おう!!任せとけ!!」

雄二「……」


日向は、あのセカンドフライを捕ったことで、岩沢と同じように自分だけにしかわからない、“何か“を見つけたのだろう。

片や俺は、まだ自分の人生について、“何か“を見つけることができていない。



そもそも俺は、何故この世界にやって来たのだろう?

凄惨な人生だったから?

理不尽な人生だったから?

ふざけるな。

俺は、そんなクソみたいな人生の中でも、もがいてみせた。抗ってみせた。

そして、大切な物を見つけてみせた。

だから、俺はこんな中途半端な救済装置を用意されたところで、ただ腹立たしいだけなのだ。


本当に神が俺をこの世界に招待したのか?

招待状に名前が書いてないどころか、招待状すら存在しない状態では、誰が俺をこの世界に連れてきたのか判断することはできない。

しかし、もし誰かが作為的に俺達を集めているとしたら…?

だとしたら、そいつはいったい何を考えている…?

……

……フム。

…何か、考えるの面倒くさくなってきたな

麻子『馬鹿かお前?面倒クセェのが人生だろ?楽しめよ』

…そうだな、麻子。

雄二「まあ、面倒だけど、考えてみるよ」

俺は過去の麻子を思い出し、一人呟くと、まずはゆり達が待つ戦線本部を目指すことにした。


これでまた、区切りにします。

読んでくれた人、コメントしてくれた人は、本当にありがとうございます。

グリザイアSSもっと増えてほしいですよね。


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