七海「サンタさん…?」 (81)
日向「……もしかして七海、サンタクロースを知らないのか?」
七海「サンタクロース……誰?外国の方?」
九頭龍「……世間知らずだとは思っちゃいたが、まさかサンタも知らねーとはな…」
ソニア「ええっ!?皆さんお知りなんですか!?そのサンタサンという方を!?」
ソニア「余程著名な方に間違いありません!一度会って手合わせ願いたいものです!」
左右田「貴方も知らないんですかソニアさん!?」
七海「それで、そのサンタさんがどうかしたの?」
日向「あ、えーっと……聞いたことないか?クリスマスイブの夜にサンタクロースが家にやって来て、皆にプレゼントを配ってるって話。」
七海「プレゼントを?」
日向「ああ。クリスマスの朝に枕元を見ると、何故か自分の欲しかった物が置かれてるんだよ。」
日向「サンタクロースは良い子にしていた子に、一年のご褒美としてプレゼントを渡すんだ。」
七海「……。」
七海「…不思議な人なんだね、サンタさんって。」
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西園寺「そうなの?私はサンタさんはクリスマスの夜に駆けずり回ってるって聞いてたし、実際プレゼントはクリスマスの次の日に置かれてたよ。どういう差なんだろうね、アレって。」
終里「まぁオレの所には来なかったな、サンタなんて。枕元に居るとしたら借金取りばっかだったぜ」
七海「あれあれ?来ない人もいるんだ?」
日向「お、おい終里!」
狛枝「とにかくクリスマスにはそんな素敵な話があるってことなんだ。分かってくれたかな七海さん?」
七海「うーん、謎多き人物ってことは分かったかな。」
日向(よ、良かった……これでまた七海が世間知らずだとか思われなくて済みそうだ)
弐大「それで、何故こんな話になったんじゃったか?」
罪木「た、確か九頭龍さんが『サンタなんて居ない』って言ったのがキッカケで……」
九頭龍「そうだ!サンタなんてこの世には存在しない!分かったかテメーら!」
左右田「いやテメーらって言われてもな…。」
西園寺「そう言うからには、何か根拠があるんだよね!?」
九頭龍「おお、当たり前じゃねーか!耳かっぽじってよく聞いてろよ!第一にだな……」
日向(まぁこの調子で、俺が七海に色々と教えていければ……)
七海「?……結局サンタさんって居ないの?」
日向()
日向(し、しまったぁああ!!七海が折角知ったばかりのサンタの存在を疑い始めている!)
日向(駄目だって九頭龍!そんなこと七海の前で言っちゃ!少しは周りを見てくれよ!話は後で聞いてやるからさ!)
七海「ねぇ、日向くん?」
日向(ぐっ…!と、とりあえずこの場を何とかしないと…!)
日向「――く、九頭龍!それは違うぞ!!」
九頭龍「…ああ?何だよ日向。まさかテメーもサンタなんて信じてんじゃねーだろうな?」
日向「そ、そのまさかだ。サンタクロースは確かに存在するんだよ。」
九頭龍「……何言ってんだよ?あの怪しさ満点の赤服おやじが現実にいるってんのか!?…だったらそう言い切る証拠だってあるんだろうな!?」
日向「も、勿論だ。何て言ったって俺は……」
日向「サ、サンタクロースと知り合いだからな!!」
全員『……』
左右田(うわぁ)
弐大(うわぁ)
罪木(うわぁ)
九頭龍「……ああ?知り合いだぁ?」
日向「そ、そうだ知り合いだ!!小さい頃からの知人で家にも遊びに行ったことがあるぞ!」
九頭龍「家にだと!?」
日向「そっ、それにトナカイに乗ったことだってあるぞ!真っ赤な鼻の!」
九頭龍「マ、マジかよ…!」
狛枝(乗るのはトナカイじゃなくてソリだよ……テンパりすぎだよ日向クン)
日向(――よ、よし!とりあえずコレで九頭龍がこの場は退いてくれれば…!)
九頭龍「だ、だったらよ…」
日向(…ゴクリ)
九頭龍「ほ、欲しいものとかサンタに直接伝えられんのか…?」
日向「……」
日向「えっ」
九頭龍「ち、ちげーぞ!俺はサンタなんてちっぽけも信じてねー!マジでだからな!」
九頭龍「た、ただな、利用できんなら利用してやろうっつーか、最近は望んでるモンじゃねーのが置かれてることが多いっつーか…」
九頭龍「それだけだ!!それだけだからな!」
日向「……お、おう」
日向(九頭龍の奴、内心サンタのことを信じてるんだな…。)
狛枝「…それで?」
日向「え…?」
狛枝「日向クンは本当に出来るの?サンタクロースに欲しいものを伝える、なんて芸当。」
七海「」ワクワク
日向(な、七海が見てるんだ…失望なんてさせられない…!)
日向「な、何言ってんだバーロ!!当ったり前だろ!」
日向「ちょっとばかし走って伝えてきたっていいんだぞ俺は!?」
狛枝「へー、そっかそっか…。」
狛枝「皆聞いたー!?日向クンが欲しいもの何でも一つくれるんだってー!!」
日向「こ、狛枝!?」
狛枝「サンタクロースに直接伝えてくれるんだってさー!!こんな面白……もとい素敵なチャンス見逃す手はないよねー!!」
日向「おい狛枝」
狛枝「いや待ってよ!ボクはみんなに事実を淡々と伝えただけだよ日向クン。……あと出来ることなら首絞まってるから放してくれないかな日向クン。」
澪田「面白そうなことやってるっすね創ちゃん!!」パリーン
日向「うおっ澪田!?いきなり窓から入ってくんなって!」
十神「話は聞かせてもらったぞ……どういうことだ!?説明しろ日向!」ガラッ
田中「ふっ、空を飛ぶトナカイとは…我が部下になるに相応しい、まさに闇道化の珍獣!」ザッ
花村「クリスマスといえば僕!ジャバウォック島のサンタと言われるこの僕も参加しちゃっても大丈夫だよね!?」
小泉「やれやれ…また変なこと始めたんじゃないでしょうね?ま、仕方ないから付き合ってあげるけどさ」
狛枝「ほら、みんな話を聞いて集まってきちゃったみたいだよ。」
狛枝「まさか今更出来ないだなんて言い出さないよね?それじゃあ超高校級の名も泣くってもんだよ…。……あと本当に死んじゃうからさ、そろそろ手、放してくれないかな?」
七海「」ワクワク
ソニア「」ワクワク
日向「――あああもう分かったよ!!!みんな紙に欲しいもの一つ書いて俺に渡してくれ!!」
日向「クリスマスの朝、枕元を見て驚くなよ!!」
ワーワー
ヤイノヤイノ
辺古山「…ええと、その何だ……あまりに大変なら協力するぞ?」
日向「……ああ、気持ちだけ受け取っとくよ…。」
【12月24日/深夜】
日向「――ってなことがあったんだ。」
ウサミ「……それで全身サンタクロースの格好をして、白い袋を担いで、丁寧に髭まで付けてるんでちゅね…。」
日向「ああ。あいつらに大見得切った以上、妥協は出来ないしな。」
日向「それにサンタはいるんだって七海に信じてもらえるよう、全員の枕元にプレゼントも置いてかないとな。」
ウサミ「経過はともかく行動力だけは凄いでちゅね。」
日向「とりあえず、皆が欲しがるようなものは予めスーパーから持ってきたんだ……よっと」ガッシャン
ウサミ「あれれ?皆さんに書いてもらった紙は見ておかなかったんでちゅか?」
日向「それなら大丈夫だって。これでも全部の通信簿は埋めたんだ。大体どんな奴がどんなものを欲しがってるかなんて俺には分かるよ。」
ウサミ(どうみても前途多難な感じしかしないでちゅ)
ウサミ「……それで、あちしは皆さんのコテージの鍵を開ければいいんでちゅね?」
日向「ああ。やっぱり枕元にプレゼントを置かないとサンタクロースって感じがしないだろ?」ニコッ
ウサミ(一番楽しんでるのは日向くんの気がしてきまちた)
日向「よし、ちゃっちゃと配ってちゃっちゃと終わらすぞ!」
日向「えーっと、まずは簡単な部類から……終里と十神からにするか。」
ウサミ「2人とも食欲に関しては目を見張るものがありまちゅよね。」
日向「ああ。だから多分2人とも『旨い飯』だとか『肉』とかだろうな」ペラ
『弐大のおっさんに勝てるような必殺技!! 終里』
『これが自分だと言える個性が欲しい 十神』
日向「」
ウサミ「」
日向「いやいやいや待てって、そんなモノ、この日向サンタにはハードルが高いぞ?届けられないぞ?」
日向「大体あいつら、サンタに現物じゃないもの書くなんて反則だろ…。」
日向「まず何なんだよ必殺技って!!俺にはコトダマ+αと脳内スケボー位しかないんだぞ!?」
日向「それになんだよ個性が欲しいって!!そんなの俺だって欲しいんだよ!!」
ウサミ「しー!静かに!みんな起きちゃいまちゅよ!」
日向「あ…悪い、ついつい熱が入った…」
ウサミ「と、とりあえず…2人には何かをプレゼントするんでちゅよね?」
日向「そうだな、サンタはいるってことを全員に証明しておきたいしな…」
日向「……まぁ終里にはコレでいいか。」
⊃《キック力増強シューズ》
ウサミ「…持ってたんでちゅね。」
日向「紳士のたしなみだからな。」
ウサミ「でも確かに凄い威力の蹴り……じゃなくて必殺技が作れそうな気がするでちゅ」
日向「あとは十神か。十神は……」
《十神のコテージ》
ガチャッ
十神「ZZZ...」
日向「」コソコソッ
ウサミ「」コソッコソッ
日向「」コクッ
⊃【鉄串】スッ
日向「よし!あと13人!先を急ぐぞ!」
ウサミ「ちょっと待ってくだちゃい」
ウサミ「何で十神くんに鉄串なんでちゅか!?トラウマ蘇らせるつもりでちゅか!?」
日向「ちょっ、ちょっと待ってくれって……何で怒ってるんだよ?」
ウサミ「いや、何でって…」
日向「いいか?ウサミ、個性なんて他人から押し付けられて出来るものじゃないんだ。」
日向「個性を観測するのは本人より他人の方が上手いかもしれないけれど、個性を創造するのは最終的には自分自身なんだよ。」
ウサミ「……分かりまちゅ」
日向「だから俺は十神が個性を生むきっかけになれればと思って…鉄串を枕元に置いた。」
ウサミ「そこなんでちゅって!!そこが分かんないんでちゅよ!」
日向「何でそこまで聞いて解らないんだよ!?つまり十神には『超高校級の鉄串』だとか『超高校級のシュラスコ』だとかに目覚めてくれればと思ってだな……」
ウサミ「まともに話したのがダメでちた。次行きまちゅよ次。」
日向「ちょっ、ちょっと待ってくれ!俺だって個性が無いのが嫌だったから『超高校級の相談窓口』とか『超高校級のアンテナ』って個性を頑張って身に付けてだな……」
ウサミ「…それじゃあ、次は誰にするんでちゅか?」
日向「そうだな……あと予想が付きそうなのは花村とかだな。」
ウサミ「花村くん…確かにそうでちゅね」
日向「ああ。アイツなら多分アビリルラビーンな本を欲しがってる筈だぞ。」ペラ
『こう、股間が熱くなりそうなマッハな本プリーズ!!』
日向「ほらな?言った通りだろ?」
ウサミ「あれれ?待ってくだちゃい、何だか続きがありまちゅよ?」
日向「え?」
『いや、やっぱり僕を心体暖めてくれた日向くんで!!』
ウサミ「でちゅって。」
日向「」
日向「…ん?いや、まだ続きがあるぞ!!」
『でも出来ることなら母ちゃんの病気を治してほしい……かな。 花村』
日向「」
ウサミ「」
ウサミ「……どうするんでちゅか」
日向「え?いやどうするって言ったって…」
ウサミ「花村くんの願い叶えてあげてくだちゃいよ!日向サンタさん!」
日向「……。」
《花村のコテージ》
ガチャッ
花村「ZZZ...」
日向「」コソコソッ
ウサミ「」コソッコソッ
日向「」コクッ
⊃【鉄串】スッ
日向「よし!あと12人!先を急ぐぞ!」
ウサミ「ちょっと待ってくだちゃい」
ウサミ「だから何で鉄串なんでちゅか!?流石にどうかと思いまちゅよ!?」
日向「分かる、言いたいことは分かる、けれど聞いてくれ。」
日向「花村に鉄串をプレゼントした意味……それは生きるという意思をアイツに持たせるためなんだ。」
ウサミ「……はい?」
日向「ウサミ。何で花村は狛枝を殺そうとし、十神を殺したと思う?」
ウサミ「ちょっ、ちょっと日向くん!?何でそのことを…」
日向「いいから答えてくれ。」
ウサミ「……この島から逃げ出したかったからじゃないでちゅかね?」
日向「確かにそれも一理あるだろうな。でも別にもう一つ理由があるだろ?」
ウサミ「そ、それって一体…?」
日向「生きたかったからだ。花村は、アイツは生きて母親の安否をその目で見たかったからなんだ。」
ウサミ「……。」
日向「殺人は許されてはいけない行為だ。例え何があったとしても。」
日向「でも生きようとしたその意思は、なくしちゃいけない。」
日向「きっと花村の生きようとする意思は、決意は、母親にも伝わってる筈だ。」
日向「そしてそれが一番の特効薬の筈だからな…花村の母親にとっても。」
日向「あの鉄串は、そういう意味を含ませて枕元に置いたんだよ。」
ウサミ「……。」
日向「……。」
ウサミ「いやいや全く納得できてないでちゅからね?あちしは」
日向「そう思うなら未来機関の方で保護してくれよ。俺にはこれが精一杯なんだ。」
ウサミ「分かりまちた、マスターにお願いしてみまちゅ……ってあれ?何だか乗せられてる気がするのはあちしだけ?」
すみません、一度離れます。
レスくださった方、読んでくださっている方、ありがとうございます。
日向「ともかくあと12人だ!確実に数をこなしていかないとな。」
ウサミ「そ、それで次は誰にしまちゅか?」
日向「狛枝と罪木はひとまずパスしよう……危ない気がする」
日向「例えば……辺古山なら基本常識人だし、無理難題は言わないだろう」ペラ
『坊っちゃんの健康 辺古山』
日向「…うん。まぁまだ想定内だな。」
ウサミ「今までのに比べるとそうでちゅね。」
日向「ついでにもう2人ほど見ておくかな…。左右田とソニアはどんな感じなんだ?」ペラ
『そりゃ何つったってロケットだろ!! 左右田』
『サンタサン、貴方という人物を知ってみたいです! ソニア』
日向「……なるほどな。」
ウサミ「軽いジャブのように思えまちゅね。」
日向「いやそこまで軽くはないけどな。普通ならフック位の威力はありそうだけどな。」
日向「えーっと、だったら左右田には……これでいいだろ」
⊃《ロケットの模型》
ウサミ「何だか段々適当になってまちぇんか?」
日向「し、失礼な!俺はいつだって全力投球だぞ!?」
ウサミ「ま、まぁ間違ってはいまちぇんから大丈夫だとは思いまちゅけど。」
日向「あと、同じ要領でソニアにも…っと」
⊃《サンタの縫いぐるみ》
ウサミ「…何だか娘の欲しいものを買ってあげられなくて苦心するお父さんを見てるみたいでちゅ。」
ウサミ「ゲームボーイカラーを買ってあげられなくてワンダースワンを与えているような…そんな感じでちゅよね」
日向「良いと思うぞワンダースワンも。ゲームボーイじゃデジモンのゲーム出来なくて、友達のワンダースワンに憧れたもんだろ?」
ウサミ「そうでちゅか?」
ウサミ「それはともかく日向くん、あと辺古山さんが残ってまちゅよ」
日向「健康かぁ…。サプリメントとか健康器具は持ってきてないぞ…」ガサゴソ
日向「あ、コレとか良いかも知れないな。」
⊃《青汁》
ウサミ「……何でサプリメントとか無い代わりに青汁は持ってるんでちゅか」
日向「……紳士のたしなみってやつだな。」
ウサミ「うわー絶対嘘だぁーコレ狛枝くんにあげようとしてたとしか考えられないー」
日向「わ、分かってるならワザワザ聞くなよ!」
日向「ところで思ったんだけど、ウサミが俺と手分けして配ってくれればスグに終わるよな。」
ウサミ「確かにそうでちゅね。」
日向「と、いうわけでコレを頼む。」ドサッ
ウサミ「……左右田くんの分と辺古山さんの分でちゅね?」
日向「ああ。代わりに俺はソニアの寝顔……じゃなくて枕元に縫いぐるみを置く作業を堪能してくる!!じゃあな!」
ウサミ「あっ日向くん」
ウサミ「……行ってちまいまちた。」
ウサミ「一番危ないのはソニアさんの気がするんでちゅけど……まぁ気のせいでちゅよね。」
《ソニアのコテージ前》
日向「すぅー……はぁー…」
日向(な、何を緊張しているんだよ俺は。ただ枕元にプレゼントを置いてくるだけだろ?……よし)
ガチャ
日向「」コソコソッ
日向(…よし、ベットの横まで来たぞ。)
日向(さて、この縫いぐるみを枕元に……ってあれ?)
日向「ソニアが、いない…?」
ガタッ
ソニア「ちぇりおー!」
日向「うわぁあああ!!?」バチバチバチ
日向(な、何だ!?身体が動かない…!)
ソニア「ふふっ、思った通りです!」
ソニア「聖夜に寝床を襲い、血の惨劇を生むというサンタ=サン……」
ソニア「今日こそお縄について貰います!」
日向「は、はぁ!?ソ、ソニア、一体何を言って……」
ソニア「お黙りなさい!!その赤い服は、今までに手を下した人々の返り血に決まっています!」
ソニア「そしてその大きな袋!きっとバラバラにした死体を運ぶためのものに違いありません!」
日向「おっ、おちけつ、落ち着けソニア!」
ソニア「それに決定的な証拠があります!」
日向「決定的な証拠!?」
ソニア「はい。ビックリ仰天なことに『サンタ』を並び替えれば答えはすぐに出てしまうのです!」
日向「サンタを並び替える…?」
日向(もしかして……)
《謎解きアナグラム――開始!》
ピコーンピコーンピコーン
『サ』『タ』『ン』
日向『……そうか解ったぞ!!』
日向「いや何も解らないって!!あまりにもこじつけだろソレは!」
日向(――お、ようやく暗闇に目が慣れてきた)
ソニア「いいえ、こじつけなどではありません。サンタ=サンの真名はサタン=サン……つまり貴方の正体は悪魔にも劣らぬ、サイコキラーなのですね!?」
日向(そう言いきるソニアの姿は……あまりに異様だった。)
日向(右手にはスタンガン、左手には捕獲ネット。)
日向(体には…ノヴォセリック王国のものだろうか?鎧を身に付け、首には十字架の首飾り。)
日向(目には暗視スコープ、腰には巨大な鉄鎚。そして背中には――大きくて立派な木の杭を背負っていた)
日向(……ヤバい。)
ソニア「さぁ、話していただきます!!今までに犯したサイコな体験と貴方の真実を!」
日向(ソニアは……本気だ。)
日向「――うわぁあああ止めろソニアぁああ!!」
日向(ヤバいって殺されるって!!捕まったら絶対殺られる!)
ソニア「逃がしません!!身体の細胞や中身をくまなく見ることで、その人の全てが見えてくるのだとこの間聞きました!」ガシッ
日向「それって赤い箱になるやつだろ!ガラスの箱に全身入れられちゃうやつだろ!」
日向「いや駄目だってソニア!!杭は本当に洒落にならない…や、止め……!」
アッー!
ウサミ「……それで何とか逃げてきたってわけでちゅね」
日向「はぁ…はぁ…」コクコク
日向「お、追ってきたんだ…コテージから逃げ出しても、まだ追ってきたんだ……」
ウサミ(何だかトラウマを植え付けられてまちゅね)
日向「ふっ、ふふふふ……」
ウサミ「ひ、日向くん?」
日向「今なら何でも出来る気がする…!狛枝だろうが罪木だろうが何でも来いよー!!」
ウサミ(遂に吹っ切れまちたね)
日向「次、狛枝!お前が望むものは何だ!!」ペラ
『希望。あ、でもそんじょそこらにあるような希望じゃなくて、どんな絶望にも負けない、絶対的な希望かな。
まぁ分かってるって、日向クンにはこのお題は少し難しいってこと位はさ。超高校級の皆でも絶対的な希望を造り出すのは容易じゃないんだ。アハッ、日向クンなら尚更かな?でもだったらせめて日向クンにボクの才能を分けてあげたいな……なんてね。
あ、気を悪くしたらゴメンね。別に日向くんが嫌いだとかそういう訳じゃないんだよ。超高校級の才能が何なのか分からないのは不安材料だけど、大丈夫。日向くんの隠された才能はボクが一緒になって探してあげるからさ、安心して。
ボク自身は皆の希望の踏み台にでもなれれば幸せかな 狛枝』
日向「……」
ウサミ「ひ、日向くん…?」
グシャッ
ウサミ「ひっ!」
日向「ははっ、そうかそうか。狛枝は踏み台が欲しいのか。へー、変わってるなアイツも。」
ウサミ「え?いや…」
日向「……何か言ったか?」
ウサミ「いや、何でも…」
ウサミ(こ、恐いでちゅ!養豚場のブタでもみるかのように冷たい目でちゅ!)
日向「全く仕方ないなぁアイツも。後で狛枝のコテージに脚立でもぶちこんでやろう。さぞかし喜ぶだろうなー。」
ウサミ(闇堕ち感が凄いんでちゅけど)
ウサミ「と、とにかく次にいきまちゅよ!次!」
日向「次…」
ウサミ「ああええっと、この人なんてどうでちゅか!?」
日向「……西園寺?確かに想像は付きやすいけど…お菓子とかか?」ペラ
『従順な下僕(日向おにぃ)が欲しーい 西園寺』
日向「……。」
ウサミ「……。」
モノクマ「……ほほぉ」
日向「うわっモノクマ!?いつの間に!?」
モノクマ「それスキ有り!!おりゃっ!」バキッ
日向「痛っ!!」
ウサミ「あっ、手紙が!」
モノクマ「へへっ、久々に腕がなっちまったぜ。このスリの達人、モノクマスリ様のな!」
日向「語呂悪すぎだろ!あと今のはスリじゃなくて強盗だ!」
ウサミ「いいからその手紙を返すでちゅ!」
モノクマ「うるさーい!!ボクをこんな面白そうなイベントに誘わなかった罰だよ!」
モノクマ「何を隠してたのか知らないけど、今ここで読んじゃうもんね!なになに……」
『日向さんが欲しいです!! 罪木』
『強いて言っても言わなくても創ちゃん!唯一無二のバンド仲間として、是非是非お迎えに上がりたい所存っすよー! 唯吹』
モノクマ「」
モノクマ「ケ、ケーッ!何だよ何だよ!結局ハーレムかよ!世の中不公平だぜ全く!」
日向「え、えーっとその何だ……落ち着けよ、な?」
モノクマ「これが落ち着いてられるかってんだ!この未来厨に何か仕返ししてやんないと、ボクの気が治まらないよ!」
日向「そ、そう言うなって…」テレテレ
モノクマ「そうその顔!!そのちょっと嬉しそうな顔だよ!それが一番ボクを奮い立たせてるの!」
日向「そうだ。お前も考えてみてくれよ、何をプレゼントしたらこの3人を喜ばせてやれるかをさ。」
モノクマ「えっええ、ボクも?面倒だなぁ…」
ウサミ「まぁ三人寄れば文殊の知恵っていいまちゅし、文句言わずに協力しなちゃい!」
日向(端から見たら一人と二匹だけどな)
モノクマ「てか簡単な話じゃないの?」
日向「え?」
モノクマ「日向くんを三等分すればいいじゃない」
日向「」
ウサミ「なるほど~、それはナイスアイデアでちゅ。モノクマの癖にやりまちゅね」
日向「え、いや!?どこがナイスアイデアなんだよ!?思考停止してるだけだろ!」
ウサミ「そうと決まれば……これが必要でちゅよね!」
テッテレテッテッテー
ウサミ「口にするのもはばかられる対艦チェーンソー(大山のぶ代ボイス)」
日向「」
モノクマ「わお。今ここで解体作業なんて手が早いのね奥さん!」
ウサミ「『分割する』と心の中で思ったなら!その時スデに行動は終わっているんでちゅ!」キュイーン
日向「ちょっ、ちょっと待ってくれ!!まずは落ち着いて話し合おう!な!?」
ウサミ「それもそうでちゅね。日向くんは縦切り横切り、どっちがいいでちゅか?」
日向「いやそうじゃなくって!!」
ウサミ「なーんて、冗談でちゅよ冗談!」
日向「な、なんて心臓に悪い冗談だよ……」
ウサミ「でも日向くんを三等分するって考えは悪くないでちゅよね」
日向「……え?」
ウサミ「というわけで…」
ウサミ「日向くんのアンテナを三等分して、枕元に置いてきまちた!」
日向「無い…無い…俺のアンテナ……」ウロウロ
モノクマ「…だ、大丈夫アレ?何か前後不覚になってない?」
ウサミ「大丈夫でちゅよ!この間好奇心に負けて、日向くんが寝てる時にアンテナ抜いたんでちゅけど、いつの間にか生えてまちたから!」
日向「俺のアンテナは……俺のアンテナはどこだよ!!ねぇよぉおお!!」
モノクマ「人格変わっちゃってるんだけど」
ウサミ「大丈夫でちゅよ!きっとアンテナが外れた解放感を楽しんでるだけでちゅから!」
モノクマ(絶対そうは思えない)
ウサミ「ほわわっ!気がついたらこんな時間に!」
ウサミ「そろそろ急がないと日が昇っちゃいまちゅよ日向くん!」
日向「……アンテナ……俺のアンテナ返せよぉ…」
ウサミ「いつまでメソメソしてるんでちゅか!早く行きまちゅよ!」ズルズル
日向「や、やめろよぉ……もう恥ずかしくてお嫁に行けない…」
モノクマ(なにこれ)
書き溜め分終了です。
恐らく明日には完結すると思います。
それでは。
日向「――ハッ!……ここは…?」
小泉「んっ……zzz……」
日向「えっ、こっ、小泉!?何で…!」
ウサミ(シーッ!静かに!起きちゃいまちゅよ!)ヒソヒソ
日向(……お前かウサミ!何で俺を小泉のコテージに連れ込んでるんだよ!)ヒソヒソ
ウサミ(時間がもうないからでちゅよ!小泉さんのプレゼントを置いたら急いで次にいかないと日が昇っちゃいまちゅ!)
ウサミ(どうせプレゼントはその袋の中から選ぶんでしょ。早くしてくだちゃい)
モノクマ(……ボクは止めたんだよ?でもウサミが聞かなくって…)
日向(……。)
日向(……はぁ、もう分かった分かった…。)
日向「……とりあえず小泉にもプレゼントを渡さないとな。」
日向「小泉の欲しいものは…っと」ペラ
『みんなの笑顔、かな。 小泉』
日向&モノクマ『なん……だと……?』
ウサミ「え?どうしまちた?」
日向「あ、いや……まさか七海じゃなくて小泉が『みんなの笑顔』枠を取るとは思ってなくてさ。」
ウサミ「……はい?」
モノクマ「こういうのは大体、登場人物の中でも天使な子が書くものなんだ。」
モノクマ「『〇〇ちゃんマジ天使』……そうなる筈なんだ」
日向「俺はな、その、『七海マジ天使!』……そう思ってたんだ。」
日向「でも違ったんだな…。小泉こそが天使だったのか…。」
ウサミ「……言ってる意味が分かりまちぇんけど。」
モノクマ「考えるんじゃない!感じるんだよ!」
ウサミ「ますますもって意味が分からないでちゅ!」
日向「……。」
日向「……大丈夫だ、大丈夫だよ小泉。」
日向「この先どんな未来が待っていたとしても、俺がみんなの笑顔を守ってみせる」スッ
日向「例え、この先何があるとしても、ずっとな。」ポス
小泉「んん……」
ウサミ「日向くん…。」
モノクマ「……うぷぷぷぷ。いつまでそんなカッコ付けが続くのか、今から楽しみだよ。」
日向「モノクマ、聞いておいてくれ。」
日向「いいか。どんな未来が待っていたとしても、俺が皆を絶望なんかに堕とさせやしない。」
日向「皆が笑って過ごしていけるよう俺がしてみせる。必ずだ。」
モノクマ「……ふぅん。」
日向「……さぁ、残りもあと少しだ!ロスタイムした分を取り戻して早く終わらせるぞ!!」
『強いて言うならば、疲れを知らぬ強靭な肉体かのぉ 弐大』
日向「次は…弐大だな」ペラ
日向「強靭な肉体を作りたいっていうなら、やっぱりコレだよな…」ガサゴソ
⊃【ギャグボール】ドン
ウサミ「……へ?」
日向「そうそう、あとコレも必要だよな」
⊃【動くこけし】ドン
モノクマ「あ、あのねぇ、日向くん……」
モノクマ「オッサンがギャグボール咥えて動くこけし使ってる姿なんて誰も見たくないんだよ、分かってる?」
日向「モノクマ、それは違うぞ!!」
モノクマ「……はい?」
日向「普段ギャグボールを口にくわえて生活することで、肺が鍛えられて肺活量を増やすことが出来るだろ?」
日向「筋肉にとって大事なのは酸素なんだ。肺活量を増やすことは強靭な肉体への近道になる。」
日向「そして動くこけしは疲労した筋肉に使うにはぴったりな代物だ。バイブ機能が凝った筋肉を癒してくれる筈だぞ。」
モノクマ「……えー…。そんな『筈だぞ(キリッ』って自信満々に言われてもなぁ……」
ウサミ「納得できてないのはあちしもでちゅよ、モノクマ。」
日向「よし、弐大へのプレゼントの目処は立った!次!!」
『いい加減オレの背を伸ばしやがれ! 九頭龍』
日向「九頭龍の奴、まだ身長について気にしてたのか…。」
ウサミ「うーん、ありきたりでちゅけど牛乳とかどうでちゅか?」
日向「駄目だ。アイツは腸が弱くて牛乳は飲めないんだよ。」
日向「それに、枕元に牛乳があったとしてもガッカリするだけだろ?」
モノクマ「え?どの口が言ってるのそれ?」
日向「だから……これなんてどうだ?」
⊃【竹馬】
日向「これを使えば九頭龍の身長は一気に高くなる。」
日向「それにバランス感覚も鍛えられる。まさに一石二鳥だな!」
ウサミ「ねぇ、それ袋に入りまちぇんよね?今どこから出したんでちゅか?」
モノクマ「というか竹馬が枕元にプレゼントされててもガッカリでしょ!牛乳と何が違うのさ!?」
日向「よし、九頭龍へのプレゼントの目処は立った!次!!」
モノクマ「あ、ダメだこれ。聞く耳持ってないよコイツ。」
『世にも奇妙であり戒められた獣を俺様に捧げよ、闇の人形師サンタよ。 田中』
日向「世にも奇妙で戒められた……なるほどな。」
ウサミ「……はい。」
モノクマ「ウサミ?何で日向クンに縄を渡したの?って日向クン?何でボクの方に近づいて……」
モノクマ「…えっ、ちょっ、ダメだって!!いくらボクが魅力的だからってそんな…!」
モノクマ「つ、慎みたまえ!!君はジャバ王の前に……ってねぇ聞いてる!?」
……
モノクマ「~~!!~~!!」
日向「世にも奇妙であり戒められた獣……モノクマでも間違いじゃないよな!」
ウサミ(今だけは同情しまちゅよモノクマ)
日向「さて、田中の枕元にモノクマを置いてくるとして、……最後だな。」
ウサミ「残すは七海さん、ただ一人だけでちゅね。」
日向「ああ。」
日向「さぁ来い七海!どんな欲しいものもこの日向サンタが届けてやるぞ!!」ペラ
『一度でいいから雪を見てみたい……かな。 七海』
日向「……」
日向「……七海…。」
日向「ジャバウォック島は常夏の島だ。それに雪どころか雨さえも一度も降ったことがない。」
日向「そうか、今まで雪を見たこともなかったのか七海は…。」
日向「……。」
日向「……なぁウサミ…」
ウサミ「無理でちゅよ…」
日向「え?」
ウサミ「いくらマジカル☆ステッキがあっても、天候をいじるのは無理なんでちゅ…。」
日向「な、何でだよ?そのステッキがあれば何でも出来るんじゃないのか?」
ウサミ「いいでちゅか日向くん。雪を降らせるっていうのは大変な作業なんでちゅ。」
ウサミ「一粒の雪を精製するのは大したことありまちぇんが、それを毎秒100単位,1000単位で広範囲に降らせないといけないんでちゅよ」
ウサミ「そもそも天候をいじる必要はないと思われてか、天候に関するプログラムは根本から作られてないんでちゅ。」
ウサミ「モノクマのような外部のウイルスによってなら持ち込まれるかもしれまちぇんけど……新世界プログラム自体には備わってない機能なんでちゅ」
ウサミ「分かりまちたか、いくらあちしでも『晴れ渡った常夏の島』という前提を引っくり返すのは無理なんでちゅよ…。」
日向「そ、そんな…」
日向「……いや、まだ諦めるには早いんじゃないか?」
ウサミ「…日向くん?」
日向「ようは作れればいいんだろ?雪を降らせるためのプログラムをさ。」
ウサミ「そ、それはそうでちゅけど……む、無理でちゅよ!!素人がどうにかして作れるものじゃありまちぇんって!」
日向「いや、一人だけいるんだよ。それをどうにかできる奴が。」
ウサミ「え…?」
日向「ほら…いるだろ?俺たちにとってのとっておきのジョーカーがさ。」
【12月25日/朝】
西園寺「うーん…朝…?」
西園寺「…ん?枕元に何か……」
西園寺「」
西園寺「か、髪の毛!?何で!?」
西園寺「何!?キモい!何なのこれー!!」
……
罪木「ひぃい!か、髪の毛!?何でですか!?」
罪木「き、きっと日向さん、私のこと嫌いになって……ひうぅ……」
罪木「……あ、でもコレ、日向さんの匂いがします…。」
罪木「は、早く消毒して永久保存、永久保存…///」
……
小泉「な、何これ…サンタ帽…?」
十神「鉄串……だと……?」
辺古山「な、何故よりによって青汁なのだ…?」
九頭龍「竹馬……オ、オレのことおちょくりやがったなサンタのヤロー…!」
花村「え!?何で鉄串!?日向くんってそんなにシュラスコ好きなの!?」
弐大「コレはどう使うもんなんじゃ?頭に付けておけばいいんじゃろうか」
終里「お!?コレは日向のキック力増強シューズじゃねーか!」
澪田「うーむ、朝、目を覚ましたら枕元に髪の毛が散乱していた。何が起こったか分からねぇが唯吹的には意表を突いてきたので良しとするっす!!」
ソニア「今回は逃げられてしまいましたが……来年こそは更に装備を調えて捕まえてみせます!待ってなさいサタン=サンさん!」
左右田「ロケットの模型か…。でも枕元にプレゼントあるってのは中身が何にしろワクワクするよな!」
田中「貴様……何故俺様の枕元にいる!?」
モノクマ「~~!!~~!!」
田中「ふん、真っ正面からでは敵わないとみて俺様の寝床を襲いに来たか…。」
田中「だがしかし甘い甘い甘い!!俺様自らの手でもって返り討ちにしてやろう!死の贖罪をくれてやる……」
モノクマ「~~!!」
七海「……んぅ?」
ムクッ
七海「ふぁー……」
七海「……。」
七海「あー、ねみぃ…。」
七海「……ちょっと寝過ぎちゃったかな…。」
七海「うーん、それにしても何だかみんな騒がしいような…」
七海「!!」
日向「ふぅ…。」
七海「おーい!日向くーん!」
日向「おお。おはよう七海。」
七海「す、凄いよ凄いよ!起きたらまさか本当に……」
七海「一面銀世界になってるなんて!!」
七海「これってサンタさんのお陰なんだよね!?そうだよね!?」
日向「……ああ。」
七海「凄い…まるでゲームみたい…」
七海「うん、雪って冷たい…けど、凄く暖かくもあるんだね…。」
日向(……良かったな、七海。)
狛枝「お疲れ様、日向クン。」
日向「狛枝。いきなり悪かったな、あんなこと頼んで。」
狛枝「本当だよ!夜中に突然コテージの窓を破って脚立が飛び込んできたと思ったら、『狛枝、ちょっと手伝ってくれ!』だもん。」
狛枝「事故には慣れてるボクでも流石にビックリしちゃったよ」
日向「そうかよ…」
ウサミ「ちょっ、ちょっといいでちゅか?」
日向「ん?どうしたウサミ?」
ウサミ「……日向くんに渡されたプログラムは、確かに雪を降らせるためのプログラムでちた。」
ウサミ「プログラム自体も問題なく作動しまちた。」
ウサミ「でも言った通り……素人にはとても作れるものじゃない筈でちゅ。」
ウサミ「一体二人はどうやって…?」
狛枝「なぁんだ、そんな簡単なこと?」
ウサミ「か、簡単…?」
狛枝「うん。ボクがそのプログラムを作ったってことになるけど、ボクはただ適当にキーボードを打っただけなんだ。本当に適当にね。」
ウサミ「そ、それって…」
狛枝「そう。『適当に打ち込んだ文字列が天候変換プログラムになる』というボクの運の良さを使ったに過ぎないんだよ。」
狛枝「だけどその代わり、日向クンからは色々と教えてもらったけどね……」
狛枝「『超高校級の絶望』とは何なのか、世界に何が起こっているのか、そして……何故ボク達は今ここにいるのか。」
ウサミ「ふぇっ!?ちょっ、ちょっと日向くん…!」
日向「……でもそれにしちゃ落ち着いてるよな、狛枝。」
狛枝「……ふふっ」
狛枝「うん。実は自分でも不思議なくらい落ち着いてるんだ。」
狛枝「以前のボクだったなら、……きっと『超高校級の絶望』であったキミ達を――勿論ボクも含めて――皆殺しにしようと考えていただろうね。」
狛枝「でもね、今のボクはそうじゃない。別の考えを持ってる。」
狛枝「きっとキミ達となら、どんな絶望が待っていようとも乗り越えられる、ってね。」
日向「こ、狛枝、お前…。」
狛枝「……あはっ、何だかボクらしくなかったかな。」
狛枝「ほら日向クン!今日もパーティーがあるんでしょ、旧館に急がないと!」
日向「お、おい狛枝!まったく……」
ウサミ「日向くん!!」
日向「うわぁウサミ!?どうしたんだよその顔!?」
ウサミ「あちしは……あちしは感動しまちた!」
ウサミ「あんなにいがみ合ってた日向くんと狛枝くんが、和気あいあいとらーぶらーぶするなんて!!」
日向「別にらーぶらーぶはしてないだろ…」
ウサミ「でもどんな心情の変化でちゅか?今の日向くんなら、こことは違う世界で何があったのか知ってる筈でちゅのに…。」
日向「え?ああ……」
日向「信じてみようと思ったからだ。」
ウサミ「信じて…?」
日向「俺は七海から教わった。信じるには疑うことも必要だって。」
日向「疑いもしないで信じるなんて……そんなのは嘘っぱちだってな。」
日向「でもさ、疑って疑って疑い続けて…それで信じるに値したと思ったら、今度はこっちから腹割って話すのが筋ってものだろ?」
日向「……まぁ狛枝に全てのことを話したのは俺自身、安直だったかと思ったけど、」
日向「今のアイツを見ていたら……そんな心配もいらなそうだな。」
ウサミ「……。」
日向「…ウサミ?」
ウサミ「日向くん!!あちしは……あちしは感動しまちた!」
日向「うわぁ!?分かった、分かったから!」
左右田「おーい日向!何やってんだよ、もうパーティーは始まってんぞー!」
日向「あ、ああ!今行く!」
日向(……そうだ。アイツらとなら、これからも。)
日向「…おーい、みんなー! 俺を忘れてんじゃないだろうなー! おいおい、待ってくれってー! 俺も混ぜてくれよー!」
十神「まったく……いつまで待たせるつもりだ。せっかくの料理が冷めてしまうぞ。」
花村「んふふ、どう?僕が腕によりをかけて作ったこの料理の数々は!!」
終里「すんげー…!すんげーうめーぞ!!」モグモグ
左右田「いやもう食ってんのかよ!?」
小泉「赤音ちゃん!乾杯してから乾杯してから!」
澪田「そいじゃ乾杯の音頭は……キミに決めた!!創ちゃん!!」
日向「お、俺かよ!?」
狛枝「バシッと決めてよ、日向クン。」
日向「お、おう。それじゃあ……」
ガタァン
罪木「ひゅう!!こ、転んでしまいましたぁ!!」
ソニア「だ、大丈夫ですか罪木さん!」
西園寺「ぷークスクス。ゲロ豚の奴、また転けてるよ!」
九頭龍「オメーらうるせーぞ!!オレはいま気が立ってんだ!」
辺古山「ま、まぁまぁ坊っちゃん、落ち着いて……」
弐大「ガッハッハ!!何だか賑やかな席じゃのう!」
田中「……ふっ。たまにならこのような宴も悪くない…。」
七海「さ、気を取り直して……始めよっか、日向くん。」
日向「……ああ!」
日向「よしお前ら!!今日は思う存分食べて飲んで騒ぐぞ!」
全員『おー!!』
日向「それじゃあ、乾杯!!」
全員『かんぱーい!!!』
END
以上です。
私用があり長々と放置になってしまいました。本当に申し訳ないです…。
レス下さった方、そして読んで下さった方、ありがとうございました。
それでは、皆様よいお年を。
このSSまとめへのコメント
素晴らしかった!