二宮飛鳥「カニか」 柳瀬美由紀「カニだよ!」 (12)

梨沙「パパのお友達が漁師やってるんだけど、カニがいっぱいとれたからアタシの家に送ってきてくれたの」

梨沙「でもほんとにたくさん送ってきたから、パパが事務所におすそ分けしなさいって」

梨沙「てことで、食べる? カニ」

心「スネ夫君かよ☆」

飛鳥「唐突な喩えだ」

梨沙「へへ、悪いわね飛鳥。このカニ三人分なのよ……ってなに言わせんのよ!」

心「さすが梨沙ちゃん、ナイスノリツッコミ!」

飛鳥「そもそも三人分ならなんの問題もないんだが」

梨沙「じゃあ今日の夜に飛鳥の部屋集合ね! カニ食べましょ!」

心「調理担当は任せて♪」

飛鳥「そして当然のようにまたボクの部屋か」

心「へへ、悪いね飛鳥ちゃん。キミの部屋三人用なんだ☆」

飛鳥「過去現在未来いずれにおいても一人用だよ」




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心「にしてもカニかあ♪ 久しぶりに食べる高級食材だあ♪」

飛鳥「ひとくちにカニと言っても、値打ちはピンキリだと思うけど」

心「でも梨沙ちゃんのパパさんの友達が送ってきたやつなんでしょ? たぶん高級よ高級☆」

飛鳥「ほぼ赤の他人なのに信頼しているのが不思議だ……」

梨沙「カニで思い出したんだけど、アタシ殻むくの苦手なのよねー」

心「へえ、そうなんだ」

梨沙「一気にむけずに、なんかぐちゃっとなっちゃうし、手もべちょべちょになるし。難しいわ」

飛鳥「ボクも似たようなものだ。食べる機会が少ないということもあって、なかなかコツがつかめない」

心「はぁとは殻むき得意だぞ☆ ちょちょいのチョイよ♪」

飛鳥「手先の器用さが要求される類のことは大抵できるんだね、心さんは」

心「まあ、はぁとは海と一緒に育ったみたいなところあるからねえ♪」

梨沙「長野県に海ないでしょーが」

心「バレたか♪ よく知ってたな♪」

梨沙「バカにしないでよね! この前社会の授業で習ったもん!」

飛鳥「カニの殻むきといえば、確かこの事務所にそれを得意とするアイドルが――」


美由紀「おはようございまーす!」

飛鳥「っと。噂をすれば影、というヤツだね」

心「美由紀ちゃん、おはスウィーティー☆」

美由紀「おはすいーてぃー☆」

心・美由紀「いえーい!」

梨沙「朝からテンション高いわね」

心「いやあ、はぁとのおはスウィーティーにちゃんとノリよく返してくれる子は貴重だわ♪」

美由紀「えへへ」

心「美由紀ちゃん14歳だよね? 確か近くに同じ14歳の子がいたような……」

飛鳥「やらない」

心「ちぇー」プクー

梨沙「飛鳥の言ってた、カニの殻むきが得意なアイドルって、美由紀のこと?」

美由紀「うん! 得意だよ。でもどうしてそんなこと」

心「あ、そうだ。なんなら美由紀ちゃんも来る? 今夜のカニパーティー」

美由紀「カニパーティー! なんだかすごく魅力的な響き!」

美由紀「でもいいの? 人数増えちゃったらみんなの食べる量がへっちゃうよ?」

梨沙「いいのよ、どうせいっぱいあるんだし」

飛鳥「3人も4人もさして変わらない。どのみちボクの部屋的にはキャパシティオーバーだ」

心「そのかわり、そこのふたりに殻のむき方のレクチャーしてあげて♪」

美由紀「そのくらいお安いご用だよ! よーし、みゆきお姉ちゃんにおまかせあれ!」

梨沙「あんまりお姉ちゃんって感じしないわね」

美由紀「がーん!」

飛鳥「ボクは別に独学でも」

美由紀「がーーん!」

心「ホントかわいくないなあ、この妹ども☆」

美由紀「………」

美由紀「みゆきがお姉ちゃんじゃ、だめ………?」

梨沙「うっ」

飛鳥「………っ」


梨沙「しょうがないわね! 今回は妹になってあげるから、ちゃんと教えなさいよ!」

飛鳥「………」コクリ

美由紀「やった!」

心「でもピュアな子に弱いんだよねえ、この妹ども☆」


その日の夜


美由紀「ここをこうして……こう! はい、むけました~♪」

飛鳥「……速い」

梨沙「もっかい! もっかい見せて!」

美由紀「じゃあもう一回やってみせるから、よく見ててね!」


心「おー♪ 結構いいお姉ちゃんしてるじゃん、美由紀ちゃん♪」

P「案外、先生役とか向いているのかもしれないですね」

心「かもねえ」

心「ところでプロデューサー、さらっとカニパーティーについてきたね♪」

P「いや、だって……俺もカニ食べたいですし」

心「素直でよろしい♪ ご褒美に殻むいてあげよっか?」

P「自分でできますよ。いくつだと思ってるんですか」

心「でもはぁとより遅いじゃん」

P「心さんが速すぎるんですよ。なんですかそのスピード」

心「佐藤家の食卓は早い者勝ちがルールだから、さっさとむかないとどんどんカニ取られちゃうんだよね♪」

P「スウィーティーのかけらも感じられませんね……」

心「プロデューサーも早いとこ慣れとかないと大変だぞー?」

P「……どうして俺が佐藤家の食卓のスピードに慣れる必要が」

心「………」

心「察しろバーカ」

飛鳥「………」

梨沙「………」

飛鳥梨沙「できた!」

美由紀「うんうん、ふたりとも上手になったね!」

梨沙「美由紀の教え方、わかりやすかったわ」

飛鳥「あぁ。キミのおかげで、一歩先へ進めたよ」

心「一皮むけたってやつだな♪ 殻むきだけに♪」

飛鳥「少しうまい」

梨沙「う~ん、カニおいしい♪」ニコニコ

美由紀「いっぱいむいたぶん、いっぱい食べようねー」

P「しかし、やっぱり一人用の部屋に5人入ると狭いな」

飛鳥「まあ、当然の結果だね」

P「でもうれしそうだな、飛鳥」

飛鳥「あぁ。独りの時間ももちろん大切にしたいところだが……こういう騒がしい時間も、貴重なものだ」

飛鳥「どちらも大事にしていきたい、ということかにゃ」

P「今噛まなかったか?」

飛鳥「噛んでない」

P「『かな』と『かに』が混ざったみたいな語尾に」

飛鳥「混ざってない」

心「混ざってないかにゃー☆」

飛鳥「………」ポカポカ

心「あたた、叩かない叩かない♪」

P「ははは」


梨沙「もぐもぐ♪」

美由紀「もぐもぐ♪」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
美由紀ちゃん誕生日おめでとう

シリーズ前作:佐藤心「飛鳥ちゃんって絶対授業真面目に受けてないでしょー♪」

その他過去作
栗原ネネ「まってちがう」
渋谷凛「お内裏様と」 佐城雪美「お雛様……」

などもよろしくお願いします

乙。

カニなあ……
食ってねえなあ……

生きたサワガニ(と活きドジョウ)を鮮魚コーナーで見なくなったのはいつのころからか

佐藤家の食卓……
なんか毎週7時くらいに放送されてそう

おつおた

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