Ⅴ「これは世界各地で発生している気がする入れ替わり病だな」

ベクター「入れ替わり病？」

Ⅴ「そうだ。文字通り入れ替わるんだ…ほらブームになってるだろ」

ベクター「ああ…おれがあいつであいつがおれで…だろ？」

アリト「君の名は。じゃね？」

ギラグ「そういやナッシュは見てねえんだよな」

ベクター「悪りいかよ」

ミザエル「しかしよりにもよってベクターとは、不運としか言い様が無い」

ドルべ「発生しているという事は何か対処法でも」

Ⅴ「気がするだけで世界では初だろう」

璃緒「言ってる事が違いますわ」

Ⅴ「私は医療免許を持っていない」

ドルべ「そういう問題じゃないぞ。そんな嘘をつくなんて」

ベクター「そういやベクターは！」

アリト「目の前に居るぜ」

ベクター「違う！俺だ！俺は何処に居るんだ！？」

アリト「だから目の前に居るじゃねえか」

シャーク「いいもんだぜ！起きたらナッシュになってるなんてよぉ～！」

「凄え！何だあいつ！？」

「一気に6人もぶっ倒しちまってるぞ！」

シャーク「お？何だ何だ」

「はぁはぁ…絡むのは勘弁してくれないか？」

「て、てめえ！」

「ハァッ！」

「グハッ！？」

シャーク「こりゃ凄えわ」パチパチ

「？」

シャーク「今のは拳法か？」

「激獣ジャガー拳というんだ」

シャーク「ふーん…けど終わったな。そいつらチーム炎星のもんだぜ？目をつけられたら終了だぞ」

「俺は不良じゃないんだ。君の名は？」

シャーク「見てねえよ」

「そうじゃなくて…まあいいか」

シャーク「ありゃ彼女か？」

「ああ」

ベクター「ベクター！返事しろ！！」

アリト「居るぞ」

ベクター「いい加減にしろ！俺だって言ってんだろ」

アリト「俺じゃねえか」

ベクター「バカかと思ってたが底無しとはな…」

カイト「凌牙」

ベクター「あ？俺が分かるのか！？」

ミザエル「さすがカイトだな」

ギラグ「何かコツでもあるのか」

カイト「雰囲気で感じ取った」

ドルべ「そんな芸当ができるのは君ぐらいだぞ」

カイト「流行りに便乗して入れ替わりか？暇なやつだ」

ベクター「簡単にできるわけねえだろ！」

璃緒「ベクター…凌牙を見なかった？」

カイト「映画館の前で突っ立っていたぞ」

ギラグ「行こうぜ！」

ベクター「俺の身体で悪さしたらタダじゃ済まさねえぞ！」

カイト「…」

ベクター「居ねえぞ」

カイト「何処かに移動したんだろ」

遊馬「何やってんだ？」

小鳥「みんな揃って？」

ベクター「ベクター知らねえか？」

遊馬「お前だろ？」

ベクター「俺だよ俺」

遊馬「目の前にいるぜ」

ベクター「お前もアリトと同じか！俺だって言ってんだろ！！」

ドルべ「メラグ」

璃緒「あのね2人とも」

ベクター「どいつもこいつも」

ミザエル「ナッシュの説明が悪い」

ベクター「察せよ」

ミザエル「無理な話だ」

ベクター「ミザエル…前から言うと思ってけどな、俺とお前は相性最悪だな」

ミザエル「だろうな」

ベクター「チッ、これだからドラゴン使いは」

遊馬「入れ替わり！？」

ドルべ「ああ」

遊馬「勘弁してくれよ…入れ替わりって見るだけで嫌になるぜ」

アリト「何か嫌な思い出でもあるのか？」

遊馬「休みの日になると毎回毎回、小鳥に捕まって映画見させれるんだぜ？あり得ねえだろ」

アリト「あ？」

遊馬「君の名は。これで6回目だぞ？そりゃ少し間隔空いて見るなら文句ねえけどさ」

ギラグ「おい！俺なんてアリトと見に行ったんだぞ！！」

アリト「周りはカップル！俺らだけだぞ！？野郎2人で見てたんだからな！何が悲しくてモヒカンとチビのコンビで行かなきゃダメなんだ！」

小鳥「璃緒さんと行けばいいじゃない」

ミザエル「メラグはⅣと見に行ったそうだ」

璃緒「シッ！」

ベクター「何だと！？璃緒！あの野郎と行ったのか！？」

璃緒「誘われて…仕方なく」

アリト「嘘だ！」

ギラグ「かなりめかし込んでたぞ！」

ベクター「まさか俺だけか？知らねえの」

ドルべ「すまない。君に言うと烈火の如く激怒しそうだから」

ベクター「てめえも気をつけろよ？ハルトにⅣみたいな虫付くかもしれねえ」

カイト「ハルトの女は俺が厳選する」

ベクター「…」

ドルべ「こう固まっては埒が明かない」

璃緒「別れましょう」

ミザエル「私は帰る」

ベクター「おい」

ミザエル「騒がずともベクターは帰ってくるだろ。奴の帰る場所なんて我々の家しか無いんだからな…それに奴は追えば追うほど逃げるタイプだ」

ベクター「じゃあ俺は」

カイト「…」

ベクター「てめえかよ？何でカイトと俺なんだよ」

カイト「余ったからだろ」

ベクター「帰ってもいいんだぜ」

カイト「乗りかかった船には降りん主義だ。お前と違って泳ぎが得意ではない」

ベクター「なわけねえだろ」

アリト「見つけたらどうするんだ？」

ベクター「縛り付けて家に持って帰れ」

アリト「おお！」

シャーク「んなに面白えのか？」

「いや…まあな」

シャーク「あれか？おれがあいつであいつがおれで…だろ？」

「違うぞ」

「お友達？」

「どうやら映画が終わるまで待っていたようだ」

シャーク「知ってるか？ハートランドシティにはカップルは6組しか居ねえんだぜ？」

「そんなバカな」

シャーク「お前達はレアなんだぜぇ～？ヒャハハハハハハハハ」

「…」

「…」

シャーク「そーんなにドン引きするなよ？レアなんだから誇りを持ってくれよぉ～！」

「君は俺達と同い年ぐらいか？何処の学校で」

シャーク「ハートランド学園1年…名前はねえよ」

「無い？どうして？」

シャーク「そりゃ俺が俺じゃねえからよ」

「どういう意味？」

「サッパリだ」

ベクター「あいつ絶対何かやってるぞ？」

カイト「そうか」

ベクター「例えば強盗だ」

カイト「やれば警察が騒いでるだろ」

ベクター「あいつは手癖も悪いし足癖も悪いからよ…心配だぜ」

カイト「ベクターの心配か」

ベクター「俺だよ！」

カイト「…」

ベクター「ベクター！出て来い！」

カイト「…」

ベクター「ビビってんじゃねえぞ！」

カイト「出るわけがない」

ベクター「クソ…あいつは何処で時間を潰してやがるんだ？カイト！」

カイト「俺が知るわけないだろ」ピピッ

ベクター「何か鳴ってるぞ」

カイト「俺だ…ああ分かった」

ベクター「は？」

カイト「ハートランド公園だ」

シャーク「来た来た」

男「さっきの」

「てめえか！ウチのもんボコボコにしてくれたのは！？」

「ああ…俺が」

シャーク「俺だよ」

男「君！」

シャーク「な？潰しに来たろ」

「ベラベラ喋ってんじゃねえぞ！」

シャーク「おーいおい！人間様が喋ってる間に割り込むなんていけないんじゃないのォ？」

「はあ！？」

シャーク「最近売り出しのチーム炎星ってどーんなのが居るかと思って蓋を開けたら、あらまビックリ！家畜の集まりじゃねえか？牛も居るし豚も居るし…芝でも食ってろよ」

「て、てめえ…！」

シャーク「あそこに芝があるぜ？ほら食いに行けよ」

男「待ってくれ」

シャーク「女連れだろ？さっさと行けっての」

男「しかし！」

シャーク「しかしもヘチマもねえっての」

「ぶっ殺せ！！！」

ベクター「おい！何でオボットの通信を最初からしねえんだ！！」

カイト「人間と違って暇じゃないからな。これは奥の手だ」

ベクター「探す手間が省けるじゃねえか！大体てめえは」

カイト「何だあいつら」

女「大丈夫なの！？あの子！」

男「やはり俺が戻って」

ベクター「おい」

男「何だ君は」

ベクター「こんな髪型の奴知らねえか？絶対に居ねえレベルの奇抜な髪型の…生まれつきだけどな」

男「彼の知り合いなのか！？」

ベクター「知り合いどころか俺だ！」

男「待ってくれ！君の名は…彼と君は何て言うんだ！」

ベクター「見てねえよ！」

男「同じ返しだ…」

カイト「さっさと帰った方がいい」

男「しかし俺が招いたんだ…だから俺が」

カイト「なら好きにしろ」

男「…」

シャーク「おお…痛え痛え」

「俺らはてめえらと違って意地で生きてるんだよ！わかるか？こんな事ができるのは10代のガキまでだぜ！」

「舐められたら終い…それが俺らの世界なんだわ！」

「天下統一してやるよ…行く末は全国制覇だ！」

シャーク「こういう連中はなーんで全国制覇だの何だのって言いやがるんだ？意味ねえってのに」

ベクター「だから伊達や酔狂でツッパってんじゃねえんだよ。俺らはな」

シャーク「ナッシュ？何で居るんだよ」

ベクター「売られた喧嘩は買うし目と目が合えば睨み合い…バカで力の出し方がわからねえから俺らは意地になってグレてんだよ」

シャーク「スマートじゃねえし一生わかんねえわ」

ベクター「捻くれ者のお前が1番分かってる癖によ。こいつらの気持ちが」

シャーク「俺は裏で悪さすんのが好きなんだよ…しかし始めてナッシュ絡みで運が良いなって感じたぜ」

「あ？」

シャーク「ジャンジャジャ～ン！今明かされる衝撃の真実ゥ！」

ベクター「出やがった…クソムカつく長話」

シャーク「知ってるか？プライベートで反りが合わねえ奴らがコンビ組むと強えって」

「そうがどうした！」

シャーク「察せよ？俺とこいつがコンビ組めば誰にも負けねえって事をな！行くぜナッシュ！！」

ベクター「は？お、おう！」

「痛えな…」

「どうします？」

「こういう根性者は相手にしてると一生付き纏ってくるからな放っておくのが1番だ」

シャーク「…」

ベクター「…」

「総長！会合の時間っすよ！」

「チーム十二獣の連中は時間にうるせえっすよ！」

「あいつらと組めば全国制覇は間違いねえですぜ」

「おう！てめえらも入れてやるぜ？どうだ」

シャーク「お、一昨日来やがれ…」

ベクター「お、俺らは7人で十分なんだよ…ラッキーセブンって言うじゃねえか」

「…そうか」

「総長！」

「安心しろよ。お前らの根性に免じて手は出させねえからな」

ベクター「だとよ」

シャーク「袋叩きにしやがって…何カッコつけてやがるんだ…」

ベクター「けど10人はぶん殴ったぜ…へへへ」

シャーク「てめえのパンチは軽すぎるんだよ…」

翌日

シャーク「！」

璃緒「あ、起きた」

シャーク「俺か？俺だな！」

璃緒「鏡見る？」

シャーク「必要ねえよ！感覚でわかるから」

璃緒「カイトが2人を運んでくれたのよ？ボロボロだったし」

シャーク「あいつが…」

ベクター「起きたかよ」

シャーク「ああ」

ベクター「じゃあ学校行こうぜ」

シャーク「今日は休みだ。あんだけボコられて」

ベクター「あれれ～？あんだけで立てねえの？」

シャーク「んなわけねえだろ！準備しろ！」

ドルべ「みんな出来てるぞ」

シャーク「早えんだよ」

ミザエル「先に行くぞ」

シャーク「待て！」

アリト「しかし不思議だよな？入れ替わりって」

ギラグ「そうか？No.に比べりゃ不思議じゃねえだろ」

ミザエル「だろうな。No.に比べたら風邪や突き指と同じぐらいだろう」

男「…」

ベクター「何だお前か」

シャーク「…」

ドルべ「…先に行ってるぞ」

シャーク「ああ」

男「すまなかった」

ベクター「はあ？何が」

男「いや…昨日の」

シャーク「そういうノリだったんだよ。礼なんて必要ねえよ」

男「…君達の名は」

シャーク・ベクター「見てねえよ」

男「君ではなく君達だぞ！」

シャーク「バリアン七皇の神代凌牙…シャークって名を出せば通用すると思うぜ」

ベクター「同じくベクター…またの名を純粋無垢な真月零だぜ」

男「覚えておくよ。君達2人の名を」

シャーク「無垢じゃねえだろ」

ベクター「無垢だろ？」

シャーク「何処が無垢なんだよ」

ベクター「へっへっへ…100人中100人は真月零は純粋無垢な少年だって答えるぜ」

終わり