首相「我が国は難民を受け入れます」(33)


支援者「やったー!」

支援者「これで多くの人達が救われる!」

右側「馬鹿な!? 狂ったのか首相!?」

支援者「この人種差別主義者!ざまぁwww」

右側「犯罪者が増えるだけだ!」

右側「EUを見ろ!酷い有様だぞ!?」

支援者「知るかバーカ!」

支援者「人道主義は人間として当たり前の行動だ!」


首相「そういう方をお待ちしておりました」

支援者「へ?」

首相「まず、我が国は難民を受け入れましたが」

首相「それ専用の施設を作るには時間が必要なのです」

首相「予算も組まなくてはなりません」

首相「そこで、その間、難民受け入れ支援者の皆さんで一時的にホームステイ等で」

首相「難民を預かって欲しいのです」

支援者「あ、預かる……え?」

首相「右側の様な人達から、難民の皆さんを守る為にもお願いします」

支援者「!」

支援者「……そうですぅね」

支援者「分かりました!」

支援者「人道主義に基き、預かります!」

首相「感謝します」


難民「kjjhsじhtふぁzxl、mんjひfrdっこんgf?」

難民「ぎおぽkhbンdxzsっさあdj;khgggdd;:。」

支援者「えと、何言ってるのか分からないけど」

支援者「よろしくね!」

難民「おきkhっでゅgfき」

難民「sjgdふぃtzsjtfb?」

支援者「ん?ご飯……かな?」

支援者「わかったよ」

支援者「……あれ?」

支援者「俺が食費とか払うの?」

難民「sjgdふぃtzsjtfb?」

支援者「あーはいはい」


時は流れ


難民「シエンシャ=サン」

難民「ゴハンクレ」

支援者「はいはい」

難民「モグモグ」

支援者(……あれからずい分経つのに)

支援者(国からの支援は一切無い)

支援者(いったいどうなってるのか……)


支援者「あ、あの、首相さん」

首相「はい?」

支援者「難民の事なんですが……」

首相「ああ、すみません」

首相「土地の確保すら難航していて……」

支援者「ええ!?」

首相「もう少し、お願いします」

支援者「そ、その!」

支援者「出来ましたら、食費だけでもいただけたら、と……」

首相「残念ですが、人道上の理由で出来ないんですよ」

支援者「はあ!?」


首相「人種差別撤廃に関する国際条約で」

首相「人種による差別はいけない事になっています」

支援者「それは当たり前ですが……」

支援者「それと何の関係が?」

首相「難民だからと言って彼らを優遇するのは」

首相「人種差別になるからです」

支援者「」

支援者「はあ!?」

首相「日本国に在住・定住する外国籍者は」

首相「国から何の支援も無く生活をしています」

支援者「し、しかし!」

支援者「難民は、突然に迫害を受けたりして難民になるわけでして……」

支援者「そういった事情は考慮されても良いのでは!?」


首相「ええ。ですから、今、在住に向けた土地収用などを行っています」

首相「ですので、もう少しお待ちいただきたい」

支援者「もう少しって……」

支援者「いったい何時までですか!?」

首相「さあ……その辺りは何とも」

支援者「」

首相「では、私はこれで」

支援者「しゅ、首相さん!」

支援者「……」

支援者「そ、そんな……」

支援者「……」


店主「あー支援者さん」

支援者「え?」

支援者「あ、近所のスーパーの店主さん」

支援者「どうしました?」

店主「どうした、じゃないよ」

店主「あんたのところの難民さんがウチの商品を盗み食いしてね」

支援者「ええ!?」

難民「シエンシャ=サン」

難民「コレ ウマウマ」

支援者「」

支援者「す、すみません」

支援者「お金は払いますので……」

店主「金さえもらえれば良いと言うもんじゃない」


店主「あんたが面倒見てるのなら、そういう社会のルールも教えてやってくれよ」

支援者「そ、それは……はい、そうですね」

店主「ったく……」

支援者「……」

支援者「……なんで……俺が……」

難民「シエンシャ=サン」

難民「ゴハン」

支援者「……」


さらに時は流れ


支援者「こんにちは」

難民「コンニチハ」

支援者「ありがとう」

難民「アリガトウ」

支援者「うん、言葉もだいぶ上手くなったね」

難民「シエンシャ=サンノオカゲ」

支援者「ははは、どういたしまして」

難民「シエンシャ=サン」

難民「ゴハンホシイ」

支援者「う、うん」

難民「サイキン、ゴハン、量、スクナイ」

支援者(もう……貯金も底をついた)

支援者(これ以上は無理だ……)


支援者「首相さん!」

首相「はい、何でしょう?」

支援者「あの、難民の事なんですが!」

首相「その事でしたら、もう少し……」

支援者「もう俺も限界なんです!」

支援者「何とか、難民特別法とかで対応して」

支援者「食費の支援だけでもして頂けませんか!?」

首相「は?特別処置ならすでにしていますが?」

支援者「え!?」

首相「一部税金の免除です」

首相「本来なら納税義務のある住民税、市民税などを免除しています」

支援者「し、しかし!」


首相「すみませんが、これ以上は人種差別になってしまいますので」

首相「もう少しそちらで対応して頂けますか?」

支援者「た、対応って……どうすればいいんですか!?」

首相「難民の方に働いてもらうとか」

支援者「」

支援者「そ、そんな! 彼らは、片言の言葉しか話せないんですよ!?」

首相「そう言われましても……」

首相「とにかく、お願いしますね」

支援者「あ! ま、待って!」

支援者「……」

支援者「……どうすれば」


難民「ハタラク?」

支援者「う、うん」

支援者「難民だからといって、何もしないままはルールとしてやっちゃダメなんだ」

難民「イママデデキタ」

支援者「今までは俺が何とかしてたんだ」

支援者「でも……もう限界で……」

難民「……ソウカ」

難民「オレハタラク」

支援者「頼むよ」


店主「……ウチは客商売だからね」

店主「言葉が不自由だとちょっと」

オーナー「こっちも接客業だからね……」

工場長「俺んとこは字が読めないとねぇ」

運送業者「運転免許が絶対条件」

支援者「」

暗黒業者「ちょいとキツくていいのなら」

暗黒業者「俺んとこで雇おうか?」

支援者「!」

支援者「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」

暗黒業者「なーに」


難民「シエンシャ=サン」

難民「ハタラクツライ」

支援者「我慢してくれ……」

支援者「こっちもいっぱいいっぱいでさ……」

難民「……」

難民「ワカッタ……」


難民「給料デタ」

支援者「おー良かったね」

支援者「いくらもらったの?」

難民「コレダケ」

支援者「……」

支援者「!?」

難民「ゴハンイッパイタベレル?」

支援者「ちょ、ちょっと待ってね」

支援者(め、明細書……)

支援者(……)

支援者(なんだよ……この特別雇用費って……)


支援者「暗黒業者さん!」

暗黒業者「ん?なんだい?」

支援者「この特別雇用費って何なんですか!?」

支援者「いくら何でも天引きしすぎじゃないですか!?」

暗黒業者「嫌なら辞めてもらってもいいぜ?」

支援者「!」

暗黒業者「こっちは行き場のねぇ難民を雇ってやってんだ」

暗黒業者「これくらい我慢しろよ」

支援者「明らかな労働基準法違反だ!」

支援者「訴えてやる!」

暗黒業者「ああ、別に良いぜ」

支援者「!?」


暗黒業者「訴えられた瞬間に廃業して、別業者になるだけだからな」

暗黒業者「やりたきゃ好きにすればいい」

支援者「」

暗黒業者「さっきも言ったが、辞めたきゃ好きにしろ」

暗黒業者「また仕事を探してやるんだな」

暗黒業者「くっくっくっ」

支援者「……」


難民「シエンシャ=サン」

難民「ハタラクヤメタイ」

難民「給料スクナイ」

難民「ゴハンイッパイニナラナイ」

支援者「わ、わかってる……」

支援者「他も探してるんだけど……どこも無くて……」

支援者「もう少し、我慢してくれ」

難民「……」

難民「……ワカッタ」


さらにさらに時は流れ


首相「支援者さん」

首相「お待たせしました」

支援者「え?」

首相「難民の皆さんを受け入れる施設が完成しました」

支援者「!」

支援者「ほ、本当ですか!?」

首相「今まで本当にありがとうございました」

首相「人道に基き、難民の皆さんが生活できる環境も整え」

首相「今日を持って、難民特別法は解除し」

首相「難民の皆さんも他の外国籍者と同様に扱います」

支援者「……」

支援者「え?」


首相「つまり」

首相「これからは、住民税・市民税など免除していた税金を納税して頂きます」

支援者「あ……」

首相「人種差別は良くありませんからね」

首相「さ、難民の皆さん」

首相「こちらの施設へどうぞ」

支援者「……」

難民「シエンシャ=サン」

難民「オセワナリマシタ」

支援者「う、うん」

支援者「元気でね」



国は、難民受け入れ施設を構築した。
難民は住処を得たが、同時に外国人と同様の扱いを受ける事になった。

難民は自力で就職先を見つける事は困難で
難民専用の職業支援を行い、難民は主に農業に従事する様になった。

また、難民に支払わせる税金は入国した時期に遡って徴収され
家賃や光熱費と共に給料から天引きされた。


難民「……」

難民「……仕事ツライ」

難民「生活……楽ニナラナイ」

難民「お金……溜マラナイ」

難民「……」

難民「シエンシャ=サン……」

難民「……」



ある日、施設を抜け出し、盗みを働く難民が出た。
いや……

これを皮切りに続出した。


右側「何が人道支援だ!」

右側「国は自国民の安全を優先しろー!」

右側「犯罪者は祖国へ返してやれー!」

首相「強制送還します」

支援者「ええ!?」

首相「残念ですが、犯罪を犯す人を我が国に置いておく事はできません」

支援者「ま、待ってください!」

支援者「難民達の国はまだ紛争が絶えなくて……」

支援者「そんなところへ送り返すなんて、あんまりです!」


首相「我が国としては、精一杯、難民を人種差別無く受け入れたのですが」

首相「犯罪を犯す人間は難民と認めません」

支援者「」

右側「その通りだ!」

右側「難民として受け入れられている国で犯罪を犯すなんて」

右側「恩を仇で返す行為だ!」

右側「強制送還で妥当だ!」

支援者「い、いや! 難民達にも何か理由が!」

首相「平和と言うモノは、タダで手に入るものでは無いんですよ」

首相「彼らも我が国に来たからには、我が国のルールに従ってもらわないと」

支援者「だからって強制送還はやりすぎだ!」


首相「難民条約は次の様な条件で適応から除外されるとあります」


平和に対する犯罪、戦争犯罪及び人道に対する犯罪に関して規定する
国際文書の定めるこれらの犯罪を行った事。


支援者「窃盗がこれに当たるのかよ!?」

首相「我が国の国民が暴力に晒されました」

首相「人道に対する犯罪と認定します」

支援者「横暴すぎる!」

首相「どこが横暴なのですか?」

首相「我が国の国民の安全の為、私は心を鬼にしてそうするのです」

首相「それとも支援者さんが身元引受人になっていただけるので?」

支援者「そ、それは……」

支援者「……」


さらにさらにさらに時は流れ


右側「難民受け入れ反対!」

右側「国は犯罪者予備軍を入国させるなー!」

右側「人道を言うなら、まず自国民の生活向上を優先しろー!」


テレビ「国は連日続く難民受け入れ反対デモに対し」

テレビ「受け入れ条件を厳しくする方針を固め、午後にも発表する模様です」


支援者「……」

??「シエンシャ=サン」

支援者「え?」


支援者「!」

支援者「あなたは、難民さん」

難民「ヒサシブリ」

支援者「え、ええ……久しぶりですね」

支援者「お元気でしたか?」

難民「……」

難民「アナタ、イッタ」

難民「ワタシ、スクウト」

難民「ココクレバ安心ダト」

支援者「……」


難民「タシカニ命キケンナイ」

難民「イキテイケル」

難民「デモ、ラクジャナイ」

支援者「それは……俺も同じだよ」

支援者「この国は君も俺も何らかの犠牲を払って生きているんだ」

支援者「ある程度の我慢は必要なんだよ」

難民「……」

難民「シエンシャ=サン」

支援者「……」

難民「ナゼ、ソレ、先ニイワナイ?」

支援者「え?」

難民「コンナ国ダトシッテイレバ、コナカッタ」

支援者「で、でも……」

難民「シネ」



グサッ


支援者「がっ……!?」

難民「……」

難民「ワタシノ国、ウソツキハ死刑」


ザクッ グサッ ドスッ


支援者「ぎっ! あああっ! や、やめっ……」

難民「シネ、シネ、シネ」


ドサッ…


支援者「……」

支援者(どうして……コンナ……事……に……)

支援者「」


暗黒業者「支援者が死んだそうですぜ」

首相「そうか」

暗黒業者「で、やったのはまた難民」

暗黒業者「これでまた難民の受け入れが厳しくなるねぇ」

首相「まあ騒ぎたい連中は騒がせておけばいい」

首相「安価な労働力は、我が国には必要不可欠だからな」

暗黒業者「奴隷って言った方がいいんでない?」

首相「何を言う」

首相「彼らは大切な『安価な労働者』だよ」

首相「死なない程度に可愛がればいい」

暗黒業者「おーこわっ」

首相「甘い汁を吸いまくってる君に言われたくないな」

暗黒業者「へへっ」


暗黒業者「それではいつもの……」

首相「名前は変えて献金してくれよ?」

暗黒業者「分かっていますって!」

闇黒業者「それじゃ、俺はこれで……」

首相「うむ」

首相(さて、受け入れた難民がどうなろうと知った事ではないが)

首相(難民の国が終戦した後は、その処理も必要になる……)

首相(まあ、それは次の首相に頑張ってもらおう)

首相(くっくっくっ……)


終了

あくまでフィクションです。

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