【艦これ】艦娘とその娘たち (53)

艦隊これくしょんのSSです
重婚している設定なのでご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1487342280

こんごう編


金剛「提督ぅー!3時のティータイムにスコーンを焼いてきました!」

金剛「今日は一緒にアフタヌーンティーにしまショウ!!」

こんごう「ママ、そうはいかないわ!」

金剛「こ、こんごうちゃん?!」

こんごう「ママは昨日もパパと紅茶を飲んでたでしょう?だから今日は、私がパパにお茶を入れてあげる日です!」

金剛「でも、もうスコーンを焼いてきてしまいました。しかもジャムまでホームメイドデース」

こんごう「そ、そんな手にはもう引っかからないわ!スコーンは私がパパと食べる。うん、それがいいでしょう!」

こんごう「というわけで、スコーンはいただいていくわ」

金剛「ノー!そんなのダメに決まってマース!」



比叡「――また始まっちゃったみたいだよ、お姉さまとこんごうちゃんの司令の取り合いが」

榛名「普段はとってもいい子なのに、提督が絡むといつもこうですからね……」

霧島「最近は金剛お姉さまのティーパーティに対抗するために、鳳翔さんにお茶の入れ方を教わってるみたいですから」

金剛「そもそも、スコーンをグリーンティーと一緒に食べるのはおかしいデス!」

金剛「スコーンにはジャムを付けて食べるのがトラディショナル。グリーンティーには合いまセン」

こんごう「確かにジャムを付けてしまえばお茶には合わないわ。でも、他にもスコーンの食べ方はある……」

金剛「ま、まさか……!」

こんごう「そう、蜂蜜!これもスコーンの伝統的な食べ方の一つ。これはママから教わったことよ!」

金剛「……!!」

こんごう「そしてさらに、鳳翔さんに教わったスコーンをお茶といただくための新兵器!!」

金剛「こ、これは……!黒蜜きな粉?!」ガーン

こんごう「観念したようねママ。大人しくその焼きたてスコーンをこちらに渡しなさい!」

金剛「……フフフ、いくらスコーンを和風にアレンジしても、スコーンはスコーン」

金剛「イギリスの伝統的なスイーツであることに変わりはありまセーン」

こんごう「くっ……」

金剛「確かに黒蜜きな粉をかけたスコーンは美味しいでショウ。抹茶味もいいかもしれまセン」

金剛「でもそれは、まんじゅうにジャムを塗って食べるようなモノ!」

金剛「やはりスコーンには紅茶に限りマース!」


こんごう「……確かにまんじゅうにジャムを塗って食べてもあまり美味しくなさそうね」

こんごう「でも、日本の黒蜜きなこは違う。美味しいに決まってるわ!」

金剛「むぅ……」

こんごう「黒蜜きな粉なら、例えコンクリートや英国料理ですら美味しく食べられるはずよ!」

金剛「ワッツ?!!」

金剛「今のは聞き捨てなりまセーン!イギリスにだって美味しい料理はありマース!」

こんごう「……確かに英国のブレックファストやお菓子は美味しいと思うわ」

金剛「フフフ、そうでショウ?」

こんごう「でも、他に美味しいのはローストビーフくらい。フィッシュアンドチップスだって天ぷらのほうが美味しいもの」

金剛「ノー!!言っちゃいけない事を!」


こんごう「そもそもママは、いつまでも英国文化を重んじすぎです!」

金剛「べ、別に悪いことじゃないはずデース……」

こんごう「悪いとは言ってないわ。でもお茶は紅茶以外飲まないし、いつまでも英語なまりが抜けないし……」

こんごう「ママが英国から日本に来たのは何年前か知らないけど、そろそろ日本に馴染んだら?」

金剛「ノーーー!!」大破


榛名「あぁー……言ってはいけないことを」

比叡「子供は容赦無いとはいえ、金剛お姉さまにとってこれは辛いでしょうね」

霧島「確か、今年でひゃく……」

比叡「霧島、それ以上は言っちゃダメ。私達も大差ないんだから」

金剛「……」大破

こんごう「……ママ、ごめんなさい。ちょっと言い過ぎたかも」シュン

金剛「……」大破

こんごう「……」



こんごう「……」小破



比叡「……さてと、そろそろ助け舟を出しますか」

比叡「あのーお姉さま、こんごうちゃん?ちょっと言いにくいんですけど……」

霧島「二人が言い争っている間に、司令はビスマルクさんが淹れたコーヒーを飲んでますよ?」

金剛「ワッツ?!」

こんごう「そんな?!」

金剛「待ってください提督ぅ!よりによって泥水……いや、コーヒーだなんて!!」

こんごう「そうです、日本男子は日本茶を飲むべきです!」

ギャーギャー!!


榛名「こうしてみると、金剛お姉さまもこんごうちゃんも似たもの母娘って感じですね」

霧島「間違いなく似たもの同士ですよ。司令の事になると暴走しちゃうところも」

比叡「うーん、娘すらライバルとは、流石お姉さまです!」

榛名「しかし、あの二人の板挟みだなんて……提督は大変でしょうね」

比叡「う、羨ましい……」タラ

霧島「比叡お姉さま、鼻血出てますよ」

かが編


赤城「どうしたんですか加賀さん、相談というのは」

加賀「赤城さん。実はかがの事で悩みがあって……」

赤城「かがちゃんの事で?」

加賀「えぇ、もうすぐ子供たちにとって初めての作戦が予定されているでしょう?」

加賀「かがは、その作戦に空母として参加することが決まっているのだけれど……」

赤城「なるほど、親としては心配で仕方ないと」

加賀「えぇ、あの子は私と違って、とても弱気で、臆病で……」

赤城「確かに彼女は、加賀さんというよりは羽黒さんや潮さんに近いような性格ですからね」

加賀「ま、まさか……提督が浮気を……?!」

赤城「落ち着いて加賀さん。あなたがお腹を痛めた子でしょう?」

赤城「それに提督はジュウコンしてるんですから今更ですよ」

加賀「それもそうでした」

加賀「……私はあの子に『油断するな、慢心するな』と常に言い聞かせてきました」

加賀「ミッドウェーでの大敗。あのような悔しさを、あの子には味わわせたくなかったから……」

加賀「その甲斐もあってか、あの子は決して油断も慢心もせず鍛錬に励む、立派な空母に成長したわ」

加賀「でもそれは、裏を返せばどれ程の鍛錬を積んでも、自分に自信を持てないという事……」



加賀「空母としての能力については心配していません。演習でも素晴らしい結果を残しています」

加賀「ただ、あの子の性格では、実戦でちゃんと力を発揮し切れないのではと思ってしまって……」

赤城「……演習を繰り返し行ったことで様々な局面に対応できるだけの力は付いているはずです」

赤城「後はただ、実戦の空気に慣れさえすれば自信を持って戦えるようになると思いますが」

加賀「そうだといいのだけれど……」

加賀「でも、あの子が自信を持てずに悩んでいる姿を見ると、私の教えは正しかったのかと……」

赤城「……大丈夫ですよ加賀さん。彼女はあなたが思っている程、弱くはないですから」

赤城「実は私、かがちゃんからも相談を受けたんです。『強くなって、お母さんを安心させてあげたい』って」

加賀「……!!」


加賀「……そうでしたか、あの子がそんな事を」

赤城「初の実戦を間近に控え、余裕も無いはずなのにですからね。本当に心優しく強い子に育ったと思います」

加賀「だとしたら、私の杞憂に過ぎなかったのかもしれません」

赤城「えぇ、それに、今のかがちゃんには『あの人』がついてますから!」

加賀「……?」

――演習場――


瑞鶴「よし、次は航空戦で劣勢だった時の対応よ!」

かが「は、はい!師匠!!」


加賀「師匠……?まさかあの子、瑞鶴に弟子入りを?」

赤城「えぇ、勝手だとは思ったけど、彼女がどうしてもと言うので紹介させてもらいました」

加賀「確かに瑞鶴なら葛城さんたちの指導経験もあるけど、どうして今になって……」


赤城「……先程も言いましたが、かがちゃんは弱くなんてありません。空母としては、最早演習で学ぶことは少ないでしょう」

赤城「ですが、『自信を持って戦う』ための心の強さ、『空母』としてでなく、『艦娘』としての強さが必要なのは事実です」


赤城「私も空母としては新人に負けるつもりはありませんし、指導だって出来ます」

赤城「でも、心の強さ、艦娘としての強さを鍛えるのなら、私よりも瑞鶴さんの方が適任でしょう」

加賀「艦娘としての強さ、ですか……」

赤城「それは加賀さんにも分かるはず。誰よりも瑞鶴さんを認めているあなたなら」

加賀「……そうですね。瑞鶴は本当に強くなりました」

加賀「と言っても、まだまだ子供っぽい部分も多いです。負けず嫌いで怒りっぽく、恥ずかしがり屋で、不器用で……」

加賀「ふふっ、自分で言ってて誰の事だか分からなくなってしまいました」

赤城「実は似た者同士だったりして?」

加賀「かもしれません」


加賀「でも瑞鶴は、どんなにつらいことからも逃げずに、まっすぐに向き合う事ができる」

加賀「……過去に囚われて、いつまでもくよくよしている私とは大違い」

加賀「あの子だけでなく、私も瑞鶴を見習うべきなのかもしれないわね」

赤城「確かに加賀さんはもう少し素直になってもいいと思いますよ。特に、瑞鶴さんに対しては」

加賀「……考えておきます」

赤城「とはいっても、瑞鶴さんも加賀さんに対してだけは素直じゃないですけどね」

加賀「……やはり、似た者同士なのでしょうね」

かが「――お母さん、赤城お姉ちゃん!」

赤城「かがちゃん、お疲れさま!」

加賀「……かが、瑞鶴に弟子入りしたのね?」

かが「黙っててごめんなさい。お母さんに心配をかけたくなくて……」

瑞鶴「ごめんね加賀さん、秘密にしててって頼まれちゃってさ。あははは……」

加賀「…………」


瑞鶴「うわっ、やっぱ怒ってる?」

かが「お、お母さん、悪いのはわたしで……」

赤城「加賀さん、チャンスですよ」ヒソヒソ

加賀「……」

加賀「……いいのよ、瑞鶴になら安心してあなたを任せられるわ」

かが「ありがとう、お母さん!!」

瑞鶴「……えっ?」



加賀「瑞鶴、かがのことをお願いします」ペコリ

加賀「あなたならかがを立派な空母……いえ、立派な艦娘へと鍛える事ができるでしょう」

瑞鶴「う、嘘でしょ?加賀さんが私に頭を下げてこんな事いうなんて……!」

加賀「……これでも私、あなたのことをそれなりに認めてはいるのよ?」

瑞鶴「うっ……」





瑞鶴「う、嘘だーーーっ!!私の知ってる加賀さんは、例え深海棲艦になってもこんなこと言わないもの!」

瑞鶴「き、きっと頭をぶつけたのよ!いや、食欲に負けて磯風の料理でも食べたんじゃ……?」

加賀「せっかく人が、めずらしく素直にしようと思ったら……」イライラ


加賀「かが、一つ忠告しておきます。瑞鶴の弟子になったのなら、牛乳だけはちゃんと飲みなさい」

加賀「もし体型まで師匠に似てしまったら、あまりに不憫ですからね」フッ

瑞鶴「な、なんですってえぇーっ?!!」

加賀「わー、ドラム缶が喋ったー(棒)」

瑞鶴「今日という今日は許さないわ、今すぐ焼き鳥屋に転職させてやる!」

加賀「七面鳥なら今すぐ用意できますが」

瑞鶴「言ったなーっ!!」


ギャーギャー!!


かが「お母さん、いつもは瑞鶴師匠のこと褒めてるのに。どうして顔を合わせると……」

赤城「やれやれ、これではどちらが子供だか分かりませんね」

そうりゅう編


蒼龍「そうりゅう、初めての任務で緊張してない?大丈夫?」

そうりゅう「大丈夫だよ。他のお姉ちゃんたちも一緒に来てくれるし!」

そうりゅう「それに、あさしおちゃんも一緒だから!」

蒼龍「でも、絶対に無理しちゃダメだからね?あなたは一番年下なんだし、お姉さんたちの指示に従うこと!」

そうりゅう「はーい!」


飛龍「よーし!作戦が無事に終わったら、お姉ちゃんが間宮でなんでも奢ってあげるから!」

そうりゅう「あさしおちゃんも誘っていい?」

飛龍「もちろん!なんなら他の娘も連れて来ちゃって。みんなの分出しちゃうから!」

そうりゅう「ホント?!飛龍おねえちゃん、絶対だよ?!」

飛龍「じゃあ約束ね。ゆ~びきりげんまん……」

そうりゅう「嘘ついたら三式弾飲~ます!」

飛龍「ゆびきった!」

飛龍「ケガだけはしないようにね?危なくなったらすぐ逃げていいんだからね?」

蒼龍「イムヤ、そうりゅうたちのこと、お願いします」

伊168「任せといて。何があっても必ず無事に帰してみせるわ!」

あさしお「そうりゅうちゃん、一緒にがんばりましょう!」

そうりゅう「うん、あさしおちゃん!」


そうりゅう「えへへ、じゃあ行ってくるねー!」

飛龍「大丈夫かなぁ、怪我とかしてないかなぁ……」

飛龍「あぁ~やっぱり、今からでも彩雲飛ばしたほうが……!」

蒼龍「そんなに心配したって仕方ないでしょ」

飛龍「でも仕方ないでしょ?あの子は半分私の娘みたいなものだし」

蒼龍「実際そうだけど、血縁的には飛龍っておばさんに近いんじゃ……」

飛龍「お、お姉ちゃんって呼ばれてるから!おばさんって年じゃないから!!」



飛龍「あ、おはよう朝潮ちゃん!」

朝潮「おはようございます飛龍さん、蒼龍さん。いつも娘がお世話になっています」

蒼龍「おはよう朝潮ちゃん。こちらこそ、そうりゅうと仲良くしてもらってありがとうね?」

蒼龍「それに、今日はうちの子が初めての任務でお世話になってるから……」

朝潮「いえ、あさしおも妹ができたようだと喜んでますから」

飛龍「……どちらかと言うと、あさしおちゃんが朝潮ちゃんの妹みたいだけどね」

朝潮「よく言われます」

飛龍「あぁ~でも、駆逐艦の娘にだって娘がいるのに、なんで私にはいないんだぁ~っ!!」

朝潮「明石さんによると、子供を授かるかどうかは艦の魂が影響してる可能性があると……」

蒼龍「それって青葉ちゃんの新聞に書いてあったやつだよね?」

飛龍「私もその記事みたよ。授かる娘はすぐだけど、そうでない娘はいつまでたっても……」ズーン

蒼龍「あ、自爆した」



蒼龍「まぁ、私だって運良く子供を授かることはできたけど、何故か艦種は空母じゃなくて潜水艦だったからね」

朝潮「私も、てっきり駆逐艦だと思ってたら潜水艦だったので驚きました」

蒼龍「やっぱり、その艦の魂ってのが影響してるんだと思うよ」

蒼龍「だからあの子の前じゃ言えないけど、ホントは加賀さんとかすっごい羨ましくて……」

朝潮「娘と艦種が違うと、勝手が違うのでいろいろ大変ですよね」

蒼龍「そうなんだよね。訓練とかも全部潜水艦の娘に任せっぱなしだし……」

蒼龍「それに、一緒に発着艦訓練とかもしたかったなぁ。あの子も艦載機積めたら良かったんだけど」

朝潮「私も、もしあの子が駆逐艦だったら、一緒に遠征とか行ってみたかったですね」

飛龍「な、なんて贅沢な悩みなんだ……!」



飛龍「あ~あ、私も子供ができたら、女の子ならひりゅう、男の子なら多聞って名前つけようと思ってたんだけどなー」

蒼龍「……昔の男の話は男性に嫌がられるって雑誌に書いてなかったっけ?」

飛龍「い、いやいや!多聞丸はお父さんみたいな存在だし、そもそも私が鉄の塊だった頃の話だから!」アセアセ

飛龍「そ、それに、艦娘の子供って女の子しか生まれないみたいだし!」

蒼龍「あはは、冗談だって」

飛龍「んもーっ!!」

飛龍「う~ん、でもやっぱり羨ましいなぁ……」

飛龍「……そうだ!!蒼龍、私にそうりゅうちゃんをちょうだい!!」

蒼龍「そんなの無理に決まってるでしょ?!」

飛龍「じゃああさしおちゃんを……」

朝潮「えぇっ?!」

蒼龍「はいはい、真面目な朝潮ちゃんにそういう冗談言わないの」

飛龍「えぇ~?半分冗談じゃないのに」

蒼龍「余計にたちが悪いわよ!」スコーン

飛龍「あいたっ」



蒼龍「もう、そんなこと言わなくたって、飛龍はあの子にとって二人目のお母さんなんだから」

蒼龍「だからそうやって、朝潮ちゃんたちに迷惑かけるの禁止!わかった?!」

飛龍「ご、ごめんね朝潮ちゃん……」

朝潮「いえ、妹達のおかげでこういうのは慣れてますから」

飛龍「……でも、二人目のお母さんかぁ」

蒼龍「あの子が生まれた時から、ずーっと三人一緒だもんね」

飛龍「あはは、ちょっと変な感覚だけど嬉しいなあ」

飛龍「本当はお父さんが一緒ならいいんだろうけど、提督には他の娘たちとの時間も必要だからね」

飛龍「私があの子のそばにいて、お父さんがいない分を埋めてあげなくちゃ!」

蒼龍「……飛龍、その気持ちはすっごく嬉しいけど、あなたはあの子にとって、提督の代わりじゃないってことだけは忘れないでね?」

飛龍「それは大丈夫!私みたいな美少女にお父さん役はできないもん」

蒼龍「そういう意味じゃないから……」



朝潮「あ、でも、私は飛龍さんならかっこいい系でも行けると思いますよ?」

蒼龍「うーん、木曾ちゃんには程遠いけどいけなくはないかなぁ」

飛龍「えっ、ホント?!」

飛龍「じゃあ、二人目のお母さんってのもいいけど、やっぱりお父さん役になっちゃうってのも悪くないのかな?!」

蒼龍「なんでそうなるのよ?!」

飛龍「これからは胸にサラシをキツ目に巻いて、ダンディでちょいワルなおやじを目指そうかなー?なーんて!」



蒼龍「……でも、そうりゅうに反抗期がきた時に『お父さんなんてキライ!』とか言われるかもしれないよ?」

飛龍「うっ……!」中破

蒼龍「他にも『洗濯物を一緒にしないで!』とか『ご飯は別々に食べるから!』なんて言われちゃったりして……」

飛龍「うぅ……うぇえええん!!」大破

蒼龍「もう、想像しただけで泣くくらいならそんな事言わないの!」

飛龍「そうりゅうにそんなこと言われたら、私轟沈しちゃう!!」大破



朝潮「そう考えると娘がたくさんいる司令官は大変そうですね」

蒼龍「子供たちはみんな年も近いし、深海棲艦も真っ青な連撃が見れそうね……」

せんだい編


川内「ねぇせんだい、夜戦しに行こう?」

せんだい「ヤダ!!ゼッタイに夜戦なんて行かない!!」

川内「えぇー……夜戦って楽しいのにー」

せんだい「夜戦なんてキライ!全然楽しくないもん!!」

川内「うーん……」





川内「――って事があってさぁ」

利根「うむ、まさか川内の娘が夜戦を嫌がるなんて思いもしなかったのう」

川内「私だって、自分の娘がそうなるなんて思わなかったよ」

利根「しかし、曙の娘なんぞは親と正反対で、とても素直な娘に育っておるようじゃからの」

利根「見た目はどの母娘も瓜二つじゃが、性格や好みまで似るとはやはり限らんようだな」

川内「利根さんが言ってもあまり説得力はないけどね」

利根「……とねのやつは、我輩をそのまま小さくしただけなどと言われておるからな」

利根「吾輩はあんな子供っぽくないと思うのじゃが……」

川内「とねちゃんも似たようなこと言ってたよ」

利根「うぅ……」

川内「で、そのとねちゃんは最近どうしてる?」

利根「筑摩に取られてしまっておる。筑摩のやつ、あの子をちっとも離そうとせんからのう……」

利根「以前はとねが『筑摩お姉ちゃん』と呼ぶだけで気を失っておったが、最近はなんとか耐えるようになってな」

利根「それからはもう、常にべったりで、もはやどちらが母親か分からなくなってしまいそうじゃ……」

川内「筑摩さんはお姉ちゃんっ子だもんね」

利根「あれをお姉ちゃんっ子で片付けて良いのかとは思うが」

川内「まぁ、龍田と比べたらマシじゃない?」

利根「……天龍は母娘揃って龍田のおもちゃじゃからのう」

利根「……話を戻すが、せんだいが夜戦嫌いになったのには、なにか理由があるのだろう?」

川内「まあね、その理由自体はもう分かってるんだ」



川内「ちょっと前に、子供たちにとって初めての作戦があったでしょ?」

利根「うむ、とねも参加したからよく覚えておる」

川内「初実戦とはいえ十分に余裕があったから、経験を積ませるために夜戦に突入したんだけど……」

川内「そこでせんだいに敵の魚雷が直撃。完全に大破しちゃってさ」

利根「なるほど、それで夜戦を怖がっておるのか」

川内「艦娘だから艤装が壊れるだけで済んだけど、軍艦だったら間違いなく沈没だったろうからね」



利根「うーむ、だが、怖がるのは仕方ないと思うがのう……」

利根「吾輩だって初めて大破した時は『これで沈むのか!』と思ったものじゃ」

川内「私だってそうだったけど、今は艦娘なんだからある程度耐えられる訳だし、慣れておかないと」

川内「それに、子供たちはみんな高性能だから、練度が上がれば出番も増えるはずだし」

利根「確かに夜戦がトラウマになってしまえば、主力としてはちと厳しいな」

利根「じゃが、別に艦娘だからといって、深海棲艦と戦わなくてはならない事はないのだぞ?」

利根「遠征や哨戒だって立派な仕事じゃ。なんなら海に出ずに明石たちのように裏方に専念しても良いじゃろう」

川内「う~ん、どうしても夜戦が無理なら、それも考えておくけど……」

利根「……やはり、夜戦好きとしては残念か?」

川内「それはもちろん。だけど、親として心配って気持ちのほうが勝ってるかなぁ」

利根「おや、意外じゃのう」



川内「だって、どんなに臆病な娘でも、戦える艦娘はちゃんと作戦には参加してるでしょ?」

川内「そんな中で一人だけ『痛いのが怖いから参加しません』ってのは通用しないと思うんだよね」

利根「トラウマなら仕方ないし、皆もある程度理解してくれると思うが」

川内「でも私だって、自分の娘じゃなかったら『根性ないなぁ』って思ってたかも知れないし、他の艦娘がどう思うかは分からないでしょ?」

川内「艦娘って今でこそ『今どきの女の子』って感じだけど、水兵さんが精神注入棒で気合入れられるのが当たり前って時代も経験してるわけだし」

川内「そう考えると、なんだかんだで気合でなんとかするタイプの娘が多いように思うし、いじめられたりしないか心配だよ……」

利根「あまり仲間を疑うのは感心せぬが、気持ちは分からんでもないな」



利根「しかし、まだ夜戦がトラウマになったとは限らぬし、トラウマは克服できる事もあるという」

利根「ここはひとつ様子を見つつ、しっかり話し合っていくしかないと思うぞ」

川内「……そうだね、ちょっと焦りすぎて、先のことまで心配しすぎたかも」

川内「まだまだ時間はあるし、ゆっくりと話し合ってみるよ」

利根「うむ、それがいいじゃろう!!」

――ニ週間後――


せんだい「やーせーんー!!やーせーんー!!」

とね「やーせーんー!!やーせーんー!!」



利根「どうしてこうなったのじゃ……」

川内「いや~、実はあの子、あの後すぐに別の作戦に参加したんだけどさ」

川内「今度は夜戦に突入する前に、敵戦艦の攻撃をまともに食らって大破しちゃって……」

川内「話を聞いてると、遠距離戦の多い昼戦だと大破しないって勝手に思い込んでたみたいなんだよね」

利根「……それで、昼戦でも大破することが分かって、夜戦が怖くなくなったと?」

川内「そういうことじゃないかな?」

利根「はぁ……」



利根「じゃが、それだけで夜戦好きになったりせんじゃろう?!それに、なぜとねまで夜戦好きに……」

川内「そこはほら、あの子には夜戦の英才教育を施してきたし。せんだいととねちゃんって仲いいし」

利根「友達は選べとはよく言ったものじゃな……」

川内「あっ、ひどーい!」

利根「おぬしは慣れっこかも知れぬが、とねが騒げば怒られるのは我輩なのじゃぞ?!」

川内「まぁ、親ってのはそういうものだと思うよ」

利根「……そんな事をいうのはこの口かあ~っ!!」グニィ

川内「いべべべ!!」



神通「あ、川内姉さん。こんなところに居たんですか」

川内「どうしたの神通、何か用?」

神通「いえ、私ではなく、筑摩さんが用があるみたいです」

利根「筑摩のやつが?」

神通「えぇ、精神注入棒を片手に、姉さんのことを探しまわってるみたいですが……」

川内「あは、あははは……」

利根「どうやら、トラウマを抱えるのはおぬしの方になりそうじゃのう」

ひゅうが編


ひゅうが「母上、ちょっとよろしいですか?」

日向「どうした?」

ひゅうが「先ほど、赤城さんから『正規空母の会』に入らないかと声をかけられたのですが……」

日向「あぁ、その話なら赤城から直接聞いている」

日向「他の艦娘と親睦を深めるのは大切な事だ。そういった会にはぜひ入っておくと良いだろう」

ひゅうが「ありがとうございます。かがさんも誘われているらしいので一緒に入ろうと思います」

日向「うむ、それがいいだろう」

ひゅうが「……そういえば、母上は『瑞雲の会』という会で、会長を務めているのでしたよね?」

日向「まぁ、元々は私と最上で立ち上げた会だからな」

ひゅうが「その瑞雲の会では、一体どのような活動をしているのですか?」

日向「そうだな……活動内容自体は、正規空母の会や他の会とさして変わらないはずだ」

日向「定期的に集まって、一緒に訓練に励んだり、食事会などで親睦を深める……と言ったところだな」

日向「だが『水上機を扱えるなら艦種は問わない』という点が、他の会との大きな違いになる」

ひゅうが「なるほど。でも、それだと結構な人数になりそうですね」

日向「30名以上在籍しているからな。それなりの規模と言えるだろう」



ひゅうが「あと、会の雰囲気はどのようなものですか?」

日向「自分で言うのもなんだが、かなり良いと思うぞ。艦種を問わずみんな仲良くやっている」

ひゅうが「そうですか」ホッ

日向「……もしかして、正規空母の会に入るのが心配なのか?」

ひゅうが「はい、実は……」

ひゅうが「先輩たちは賑やかな方が多いですし、お酒も嗜むようなので、会に馴染めるのか心配で……」

日向「まぁ、君もかがも、母親に似て大人しいからな」



日向「だが、そう思い悩む必要はないだろう。うちも、正規空母の会もみんな仲良くやっている」

日向「確かに正規空母の会はうちと比べると騒がしいが、あれは二航戦と瑞鶴の周りだけだ」

日向「それに、あの雲龍ですら馴染んでいるんだ。そう思えば大丈夫だとは思わないか?」

ひゅうが「そうですね。そういわれると安心しました」

ひゅうが「やはり、母上に相談して良かったです」

日向「なに、この程度で良いのならいつでも相談に乗るぞ」

ひゅうが「本当は母上も一緒に入ってくれれば心強かったのですが、正規空母しか入れないですからね」

日向「……そうだな」



ひゅうが「そういえば、母上は航空戦艦なのに、娘の私はどうして空母なのでしょうか?」

日向「さぁ、何故だろうな。なにか理由があったとしても、私たちには知る由もないが」

日向「そもそも艦娘のことすらよく分かっていないんだ。その娘ともなれば尚更だろう」

ひゅうが「確かに……」

日向「……だが、君が空母として生まれたのは、私が空母になりたいと思っていたからかもしれないな」

ひゅうが「えっ?」



ひゅうが「空母になりたかったって……母上にとって、航空戦艦であることは誇りなのでは?」

日向「もちろん誇りに思っているさ。だが、それは今の話だ」

ひゅうが「……???」



日向「少し、昔話をしよう」

日向「――私は戦艦として生を受けたが、その頃にはすでに戦艦の時代は終わりつつあった」

日向「だから私と伊勢は、失った赤城たちの穴を埋めるために空母へと改装される予定だったんだ」

ひゅうが「予定だった?」

日向「そうだ。だが、当時は全面改装をしている余裕など無くてな」

日向「そこで考案されたのが、戦艦の火力と耐久力を残しつつ、航空戦力も運用できる『航空戦艦』だったわけだ」



日向「私と伊勢は航空戦艦に改装され、私たちのための新しい航空部隊も編成されたのだが……」

日向「結局、私たちが航空戦艦として艦載機を運用することは最後まで無かったよ」

ひゅうが「……!!」

日向「私はその頃から、次代の主戦力を担うであろう空母に憧れを……いや、嫉妬していたんだと思う」



日向「その後、私たちは長い眠りを経て、艦娘として生まれ変わった」

日向「着任当初の私は、『いまさら戦艦など何の役に立つのだ』などと、提督や伊勢につらく当たる事も多くてな」

日向「それでも提督は、そんな私にも活躍の場を与えてくれ、私と伊勢は前世で叶わなかった航空戦艦の有用性を証明することができたんだ」

日向「……今では、自分が航空戦艦であることを誇りに思っているよ」

ひゅうが「父上と伊勢姉さんのおかげで、自分に誇りを取り戻すことができたんですね」

日向「まぁ、そうなるな」

日向「だから、君が空母として生まれた時は驚いたものだ」

日向「私はてっきり、君も航空火力艦として生まれてくるものだと思っていたからな」

ひゅうが「母上を見ていると、とても航空火力艦以外の子供が生まれそうにないな、とは思います」

日向「ふふふ……まぁ、自分でもそう思っていたからな」



日向「でも、そんな私から、空母である君が生まれたんだ」

日向「やはり、次代の戦力の核となるのは、戦艦や航空火力艦ではなく、空母だという事なのかもしれん」

日向「だが、もしかしたら、私は心のどこかで未だに空母に憧れていて――」

日向「――その気持ちが、君を空母にしたのかも知れないな」

ひゅうが「母上……」

日向「……だが、私は空母に負けるつもりはないぞ、ひゅうが」

日向「君も新型の空母とはいえ、装備や艦載機は深海棲艦に唯一通用する大戦時代の物を運用している」

日向「相手が深海棲艦のうちは、まだまだ航空火力艦の時代は続くはずだ」

ひゅうが「もちろんです。母上にはずっと越えられない壁であってもらわないと!」

日向「あぁ、楽しみにしているぞ」





ところで、明後日に控えている作戦なんですが……

そういえば、同じ艦隊で出撃するのは初めてだったな



伊勢姉さんやいせさんも同じ艦隊で――

どれ、航空火力艦の真の力、みせてやろう――

――三日後――


いせ「――だから、私たちも主砲を装備できると思うんです!」

ひゅうが「正規空母の航空戦力に加えて、戦艦の主砲を装備すれば最強の艦娘に……」

明石「だから、何度言われても主砲を積むスペースなんて――」



伊勢「……娘の前だからって、ちょっと張り切りすぎちゃったかもね、日向」

ひゅうが「まぁ、練度評価150超えの航空戦艦が二人もいればこうなるさ」

伊勢「だからって、全部MVPかっさらうのはどうなのよ?」

ひゅうが「航空火力艦の時代だからな、仕方ない」



明石「あぁもう!二人とも、そんなこと言ってないで助けてくださいよぉ~!!」

駆逐艦の娘たち編


いかづち「ママー、おなかすいたー!」

はつゆき「まだ晩ご飯まで時間があるし、我慢したほうがいいと思う……」

いかづち「ええー、おやつたべたーい!」

はつゆき「今おやつを食べちゃうと、晩ご飯が食べれなくなるから……」

いかづち「でも、はつゆきちゃんのママは――」



初雪「……美味しい」ボリボリ

はつゆき「……」



曙「アンタねぇ、娘たちがおやつ我慢してるってのに、なに目の前で平然とおやつ食べてるのよ!」

初雪「私はおやつを食べてもちゃんと晩ごはん食べれるし……」

敷波「子供たちと比べてどうすんのさ……」

雷「ほら、子どもたちが欲しがるから、これでおしまいにしときなさい。回収回収ー!」ヒョイ

初雪「あぁ……お気に入りのおかきなのに……」ズーン

曙「はぁ……まったく、どうしてこんなのから、はつゆきちゃんみたいな良い子が生まれたのよ」

敷波「ほんと、はつゆきちゃんが居ると助かるよね。面倒見いいし」

初雪「さすが私の娘……」

雷「母親がぐうたらだと、しっかりしてないと生きていけないのよ。きっと」

敷波「それもあるかもだけど、吹雪とか白雪の影響も大きそうだよね」

初雪「吹雪型はみんな真面目だから……」

曙「アンタがいうな!」

敷波「その一方でいかづちちゃんは……」

曙「ほーんと極端よね。あんなに甘えん坊になるなんて」

敷波「雷が遠征でいない時なんて、はつゆきちゃんに着替えから歯磨きまで全部手伝ってもらってたもん」

初雪「……誰かさんが甘やかしすぎたせい」

雷「うっ……」グサリ

雷「し、仕方ないじゃない。あんなにも可愛いんだもの!」

敷波「確かにそれは仕方ないよね。うん」

初雪「司令官との子供だし。可愛いのは当然……うん」

曙「ほら、相手がクソ提督でも、子供は可愛いっていうか――」

あけぼの「あーっ!またお母さんがお父さんのことクソ提督って言ってる!」

曙「げっ、あけぼの……」

あけぼの「お母さんも意地なんて張らずに、二人きりの時みたいに『だ~いすき』って言えばいいのに……」

敷波「ぶふっ」

曙「ちょ、ちょっと、聞いてたの?///」アタフタ

あけぼの「うん。仲良くしてるか心配だったから――」



初雪「ある意味、あけぼのちゃんが一番極端……」

雷「あけぼのちゃんはほんと素直でいい子よね。いつも笑顔でステキよ!」

敷波「曙とは正反対だよね」

曙「うっさい」



曙「まぁ、素直に育ってくれた事は嬉しいんだけど、まさか私のホンネを代わりに言うようになるなんて……」

雷「あ、ホンネって認めちゃうんだ?」

曙「……まあね」

敷波「まぁ、曙の教育の賜物だよね。自分みたいなへそ曲がりには育ってほしくないんだってさ」

曙「よ、余計なこと言わないでよ!」

敷波「あはは、ごめんごめん。でも、私も素直じゃない方だし、気持ちは分かるかな」

初雪「でも、その割にはしきなみちゃんは敷波そっくりだよね。性格も見た目も……」

雷「しきなみちゃんのほっぺた、すっごい柔らかくて病み付きになるのよね」

初雪「いつも誰かにぷにぷにされてるし」

敷波「……ほっぺたはともかく、よくそっくりだって言われるかな」

曙「ほんっとそっくりよね。見た目だけなら私たちも子供と瓜二つなところあるけど――」

曙「性格まで同じなのを見てると、はつゆきちゃんといかづちちゃんって本当にあんたたちの子供なの?って思うもの」

雷「性格だけで言うならあけぼのちゃんもそうじゃないかしら」

曙「まあね」

初雪「……実は、はつゆきは海で拾った子だから私の子供じゃない……とか?」

敷波「あはは、それってただの野良艦娘じゃん」


ガターン!!


雷「なになに?!どうしたの?」

はつゆき「…………」グスッ

敷波「あっ……」

雷「これはまずいわよ……」



はつゆき「……私って……お母さんの子供じゃなかったの?」グスッヒグッ

雷「は、初雪!!」

初雪「う、うそだから。ちゃんと私が産んだ子供だから……」

曙「馬鹿!はやく謝りなさいよ!!」ガバッ

初雪「嘘でしたすいませんでした」ドゲザー



あーもう、間宮券って残ってたかしら?

あー、あたし持ってるから――





あけぼの「…………大人って、全然子供よね」

しきなみ・いかづち「……うん」

てんりゅう編


てんりゅう「パパー、ママー!」

龍田「あら、てんりゅうちゃん」

天龍「…………」



天龍「おい待ててんりゅう、お前のとーちゃんは誰だ?」

てんりゅう「えっと……パパの名前は天龍パパです!」

天龍「はぁ……あのなぁ、とーちゃんは提督だろうが」

てんりゅう「……違うの?」

天龍「あぁ、お前のとーちゃんはオレじゃねえ。提督だ」

てんりゅう「……でもね、ママはね、天龍パパがパパだって言ってたの」

天龍「じゃあかーちゃんは誰だ?」

てんりゅう「ママはね、龍田ママだよ?」

天龍「…………」

天龍「おい龍田、いい加減に本当のことを教えてやってくれよ!」

龍田「あら、私はちゃんと本当のことを教えてるつもりだけど」

天龍「いやいやおかしいだろ、とーちゃんは提督なんだからよ」

龍田「……確かに提督が父親とも言えるわよね」

天龍「いや、そうとしか言いようが――」



龍田「ホント、提督には感謝してるわ~。『代理父出産』を引き受けてくれるなんて」

龍田「おかげで天龍ちゃんそっくりのと~~~~っても可愛らしい女の子を授かることができたんですもの」

龍田「男らしい天龍ちゃんがパパで、私がママ。いつも3人一緒でいつまでも幸せに暮らすの」

龍田「フフ……ウフフフフフ…………」

天龍「ッーーー!!」ゾワゾワッ



天龍「わ、わかったよ、でも提督がとーちゃんってことにしてやってくれよ。頼むから……」

龍田「う~ん。確かにママが二人っていうのも悪くないかもしれないわね……」

天龍「あと、最近てんりゅうのやつが木曾に憧れてるみたいでな」

天龍「できれば今みたいなフリフリの可愛い服以外も買ってあげて欲しいんだが……」

龍田「ダメよ」

天龍「そ、即答かよ……」



龍田「男らしい天龍ちゃんにはフリフリの可愛い服を着せる。てんりゅうちゃんは女の子らしく育てておいて男装させる」

龍田「――これが私の唯一の正義よ」

天龍「何言ってんだお前」

龍田「それに、恥じらってる姿もいいけど、可愛らしい服を着てるてんりゅうちゃんを見ていたいってのもあるし」

天龍「それには同意するけどよ……」

龍田「だからダメ♪」



龍田「でももし、天龍ちゃんが私の用意した服『だけ』を毎日着てくれるなら考えなくもないけど……」

天龍「ほ、本当か?!」

天龍「で、でも、龍田が選んだ服を毎日着ることになったら……だが、てんりゅうのためにも――」

天龍「ぐぬぬぬぬ……」



龍田「あぁ、なんて幸せなのかしら。幸せすぎて頭がおかしくなっちゃいそう!」

龍田「ホントに感謝してるわよ、提督♪」


ウフフフ、アハハハハハ…………



木曾「すげーな龍田のやつ……」

球磨「母娘揃って完全におもちゃクマ」

多摩「……それよりも木曾も逃げたほうがいいと思うニャ」





夜戦END

以上で投下完了になります
最後まで読んでいただきありがとうございました

元ネタ
こんごう型ミサイル護衛艦 DDG-173こんごう
いずも型ヘリコプター搭載護衛艦 DDH184かが
そうりゅう型AIP潜水艦 SS-501そうりゅう
はるしお型改AIP潜水艦 SS-589あさしお
あぶくま型護衛艦 DE-232せんだい
あぶくま型護衛艦 DE-234とね
ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦 DDH-181ひゅうが
むらさめ型護衛艦 DD-105 いなづま
あやなみ型護衛艦 DD-106 しきなみ
むらさめ型護衛艦 DD-108 あけぼの
はつゆき型護衛艦 DD-122 はつゆき
てんりゅう型訓練支援艦 ATS-4203 てんりゅう

※艦種は対深海棲艦用に改装されたって事でおねがいします

おつ
提督との絡みも見たかったな

おまけ


ひゅうが「……最近、母上が私に構ってくれないのです」

伊勢「あー……ほら、新しい弟子を取ったばかりで、今はちょっと忙しいみたいでさ!」アセアセ

伊勢「日向って不器用なとこあるし、慣れないうちは手が回らないっていうか……」アタフタ

ひゅうが「はるなさんですか……」

伊勢「まぁ、あの子は新しい世代の航空火力艦だから……」

伊勢「やっぱり航空火力感の元祖みたいな存在の私たちにとっては嬉しくて、つい舞い上がっちゃって!」

伊勢「他の艦種と違って、航空火力艦は私たちの世代で終わりかなーって思ってたから、余計にさ」



ひゅうが「ですが、この二週間もの間、ほとんど会話すら――」

伊勢「だ、だよね!!流石にそれはどうかと思うから、私からも言ってるんだけど。ちょっと指導に熱が入りすぎちゃってるみたいで――」

伊勢「あは、あははははは……」



ひゅうが「……もしかして、母上は副砲しか装備できない空母には興味が無いのでしょうか?」ズーン

伊勢「いやいや、そんな事はないってば!!」

ひゅうが「やはりここは明石さんにもう一度お願いして、私も主砲を搭載して……」

ひゅうが「いや、逆にカタパルトを搭載して水上機を……」ブツブツ

伊勢「あぁーもう!どうすればいいのさ、日向!!」

ってことで今度こそおしまいです
ありがとうございました

提督「あれ?…パパである俺は!?」

重婚している父親とか子供の人間性への悪影響半端無さそうだけどどうなんやろ
あと男の子が生まれたらどうする気だったの?

>>41>>46
提督は出さないほうがいいかなと思ったので、残念ながら出番はありませんでした
だれか提督パパの子育て奮闘記SS書いてください、おねがいします

>>47
そうりゅう編で『艦娘の子供は必ず女の子になる』という都合の良い設定を飛龍がしれっと説明していましたが
その設定はなかったほうがいろいろ想像する余地があって良かったかもしれませんね

>>31で伊勢と話しているのって母親の方の日向だよね?

>>52
その通りです、ご指摘ありがとうございます
ひゅうが編は最後に完成したので見直しが甘かったようです
以下の二つはひゅうがではなく日向のセリフとなります

ひゅうが「まぁ、練度評価150超えの航空戦艦が二人もいればこうなるさ」
ひゅうが「航空火力艦の時代だからな、仕方ない」

また、おまけの航空火力感は勿論誤変換で、正しくは航空火力艦です

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom