走る。
不知火と榛名が。
不知火「……雷さんは……」
榛名「……撒きましたね……!」
よし、と片手で小さくガッツポーズを取りながらも、足は止めない。
榛名「……さて、これからどうしますか?」
不知火「そうですね……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485958505
艦これ二次創作ss、オリジナル設定多数、長編です。
一節
【艦これ】提督「…さて、と」
【艦これ】提督「…さて、と」 - SSまとめ速報
(http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1425115147/)
二節
【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」
【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」 - SSまとめ速報
(http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1429367001/)
三節
【艦これ】加賀「……さて、と」
【艦これ】加賀「……さて、と」 - SSまとめ速報
(http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1435589523/)
の直接の続編となります。
大変間が開いてしまいましたが、また頑張って書いていきたいと思います。
よろしくおねがいします
一先ず建物の陰に隠れ、息を整える二人はしかし、警戒は怠らない。
不知火「……鳳翔さん、何処に居ると思います?」
榛名「鳳翔さん……ですか……うーん」
顎に指を当てて小首を傾げる。
榛名「撒きましたよね……」
榛名は目を細めた。
伏せられる長い睫毛が、鋭い瞳を隠す。
榛名「……雷さんが寮に居た、という事は……あの3人は散って待ち伏せしていた可能性が高い……」
不知火「足柄さんは……船渠、ですかね。火を使えるのはあそこか工廠ですし」
榛名「足柄さんはそこが濃厚ですね。
工廠と船渠を抑えてないはずが無いので……雷さんは寮に居ましたし。
……となると鳳翔さんの選択肢は二つ」
不知火「島中に潜んでいるであろう我々を炙り出す為に探索する。或いは、キッチンに戻るか……」
榛名「そう。そして……追う前に恐らくキッチンないし食堂は封鎖しているはず」
不知火「逃げ場を減らすために」
榛名「そうですね。
であれば……鳳翔さんは探索に出ているでしょう」
不知火「その理論が正しいとなると……」
榛名「島中に身を潜めるのは悪手かも知れません」
ふむ、と不知火は考え込む。
不知火「まさか無線までは持ち込んで無いでしょうし……島中に隠れるのが其処まで悪い手だとは……」
榛名「私も無線は無いと思いますが……
鳳翔さんの嗅覚が少し、怖いですね」
不知火「嗅覚?」
榛名「ええ。純粋に、あの人、凄く鼻が利くじゃ無いですか」
不知火「……それは、まぁ……でも、そんなにですか?」
榛名「……私は、わりと……恐れてます……隼鷹さんは隠れても毎回見つかってたし……」
不知火「確かに……しかし、ならばどうします?」
榛名「キッチンへ向かいましょう」
不知火「キッチン?封鎖されてるのでは……」
榛名「強引に突破します」
不知火「え、えぇ……正気ですか……」
榛名「勿論正気です」
不知火「……しかし、どのようにして封鎖されているのかもわかっていませんよね?」
榛名「行けばわかります」
不知火「ええー……」
榛名「際は投げられました。行きますよ!」
その言葉とともに榛名は走り出した。
不知火「ちょ、待って下さい!」
慌てて追いかける不知火。
◇
榛名「さて……」
不知火「着きましたね……」
やや荒い息を整えながら、二人は食堂の入口へと歩み寄る。
目の前にある扉は果たして、固く閉ざされていた。
榛名「やはり……」
不知火「……どうするんですか……」
不知火は半目で榛名を見ながら、大きくため息をついた。
不知火「中に入れないとなると、不味いですよ」
榛名「そんなことはわかっています」
榛名は壁に近寄ると上を見上げた。
不知火「……?一体何を見てーー」
その視線の先にあるのは、少しばかり空いた窓。
しかしそれは、2階だ。
不知火「まさか、」
榛名「そのまさかです」
不知火「……どう登るおつもりで?」
榛名「屋根から雨水を流す配管が向こうにあります。まずはそこから屋根に上り、上から逆にぶら下がることで中に入れると思いますよ」
不知火「スパイか何かですか、私たちは……」
榛名「いいから行くんですよ。いつまでもこんなところに居てられません」
そう言うと、榛名は持っていた『ケーキ』を頭の上に乗せた。
そのまま両手を離してもケーキは頭の上でバランスを保つ。
不知火「……すごい特技ですね」
榛名「艦娘ですから」
しれっという榛名に対し、不知火はまたもや半目になった。
不知火「まるで艦娘なら全員出来るかのような言い方ですねぇ……私には無理なのでーー」
ちらりとあたりを見渡す不知火。
不知火「――かなり見つかりづらい場所に、鍋は隠しておきます」
榛名「急いで下さいね」
そそくさと鍋を隠しに茂みへ向かった不知火を目端に捉えながら、榛名は己の服の袖を裂き始めた。
不知火「――ちょ、何やってんですか」
片側が半袖と化した榛名を見て、戻ってきた不知火は驚く。
榛名「ベルトが無いので」
不知火「ベルト?」
榛名「――まさか、素手でパイプに登るつもりですか?」
不知火「え、ええまぁ……」
榛名「登れることに私は驚きを隠せません……猿ですか?」
不知火「怒りますよ」
眉の吊り上がった不知火を見て、ふっと笑う榛名の手には、服を破いて作った紐が握られている。
それを持ったまま榛名はパイプへと近付いた。
当然だが、建物の壁と雨樋パイプの間には隙間がある。
榛名「これを――」
つぶやきながら榛名はその隙間に紐を通した。
榛名「こうして」
次いで、その紐の端同志を結び、輪を作る。
その輪の中に入りながら、榛名は不知火の方を向いた。
榛名「こうすると、簡単にのぼれますよ」
不知火「……?」
紐で作った輪の中に、榛名とパイプ。
まるで榛名がパイプを相手に電車ごっこをしているかのようだ。
榛名「まぁ、見ててください」
そう言うと、榛名は輪を両手に持ったまま胸の位置まで上げ、後ろ歩きでパイプとできる限り離れた。
パイプと向かい合う榛名。
当然、紐はピンと張り榛名の背中に食い込む。
そのまま紐に全体重を預けるようにして、榛名は地面から足を離し、代わりに壁に足をついた。
軋む雨樋。
だが、持ちこたえて。
壁を踏む力により、パイプに掛けられた輪が榛名を支えた。
不知火「おお……」
感心する不知火を尻目に、榛名はその姿勢を維持したままスイスイとパイプに沿って壁を蹴って進んでいく。
無論『ケーキ』は頭の上に乗せたままだ。
榛名「不知火さんは……登れるんですよね?」
一瞬止まり、榛名は下を向いて不知火に問いかけた。
不知火「……ええ、まぁ……」
不知火はパイプに近づく。
そのままガシッとそれを掴むと、普通によじ登り始めた。
榛名「おお……やはり……」
不知火「……なんですか?」
普通に独力で登り切った不知火に対し、榛名は熱い視線を送ったが、頷いただけで何も言わなかった。
やや不服そうな不知火を置いて、榛名は先へ進む。
榛名「よし……降ります」
先程雨樋から回収した紐を、榛名は不知火に渡した。
榛名「この紐を屋根から垂らして窓に入ります。
不知火さん、しっかりお願いしますよ」
不知火「……待って下さい。私が紐を持つんですか?で、榛名さんが降りると」
榛名「はい。私が窓に到達したら、不知火さんは飛び降りて下さい。
受け止めます」
不知火「……ああ……成る程……大丈夫ですかね……?」
不安げな顔になる不知火。
榛名「余裕ですよ。ケーキは片手で持って、もう片方で降ります」
不知火「いえ、私は……その……」
榛名「……?」
不知火「……」
案外、重いので……と暫しの沈黙の後に続けた。
赤面する不知火に、少しびっくりしたようになった榛名。
しかし、直ぐに微笑み。
榛名「大丈夫ですよ。軽かったです。蹴り飛ばしましたから」
不知火「……そう言えば、そうでしたね」
はぁ、と溜息をついて、不知火は腕を捲った。
不知火「わかりました。やりましょう」
榛名「お願いします」
不敵な笑みと共に、榛名はケーキを頭上から左手に移した。
◇
サセン島、執務室
提督が誰かと電話をしている。
相手が何かを告げ。
提督は目を伏せると、答えた。
提督「……わかった」
そして、ガチャン、と電話を置く。
ふぅ……とため息をつくと、提督はしばらくその姿勢のままでいた。
提督「……今夜、か……」
意味深な呟き。
やがて、くぅ、と大きく伸びをしてから、提督は立ち上がる。
提督「……しかし、もうすぐだ……もうすぐで、俺は……」
窓の前へ歩み、ふぅ、と再び深い嘆息。
外を覗き込み、強い日差しに顰められた双眸は、向かいの建物のシルエットを写した。
正確には、建物のシルエットと、その屋上に立つ何者かのシルエットだが。
その姿は逆光でよく見えない。
提督「……?」
怪訝な顔になる。
提督「屋上に人?……誰だ……?」
窓に近寄り、目を凝らす。
と。
屋上の影が、飛び降りた。
提督「……?!」
予想外の事に、声が出ない。
飛び降り自殺?誰が?何故?という疑念が胸中に渦巻く。
が。
提督の動揺とは裏腹に。
飛び降りた人物は、地面に激突はせず。
途中で伸びてきた腕にしっかりとキャッチされ、そのまま建物の陰に吸い込まれていった。
提督「……」
唖然としていた提督は、しかしすぐに落ち着きを取り戻した。
一息ついて。
提督「……成る程な」
頷く。
どうやら、シルエットの正体に見当がついたようだ。
フッ、とキザに決めて。
提督「ーースパイか」
違う。
◇
不知火「あぁぁぁ……死ぬかと思いましたよ……!」
榛名「ちゃんとキャッチしたじゃないですか!」
不知火「そうですけど!艦娘は空を飛ぶようには出来て無いと言うことがよくわかりました……」
榛名「それは……まぁ……」
二人は話しながらも走っていた。
目指す先は、キッチン。
不知火「しかし……無理矢理入ってしまうとは……
大丈夫ですかね……」
榛名「何がです?」
不知火「何がって……色々ですけど」
榛名はキョトンとした顔になる。
榛名「大丈夫なわけないじゃないですか」
そう言いつつ、破いた袖を見せる。
不知火「ですよねー……」
榛名「現段階で既に、鳳翔さんに捕まったら地獄しか見えないから逃げてる訳で……
お仕置きは確定してるんですよね」
不知火「逃げた分だけ怒りのボルテージ上がりそうですけど……」
榛名「まぁ、そこらへんは大丈夫ですよ」
不知火「大丈夫……?」
榛名「はい」
ニッコリと笑って。
榛名「既に最大ボルテージだと思います!」
不知火「いやまぁ……そうですね……」
榛名「それに最悪でも死ぬだけです!」
不知火「それは本当に最悪ですからね。大丈夫じゃないですからね」
等と、話している間に二人は食堂に到着した。
キッチンは目の前だ。
不知火「では……私は鍵を開けて鍋を取ってきます」
榛名「私はキッチンで最終確認を!」
頷く。
不知火「鍋を回収したら、私も合流します。
また、後程」
さっと片手を挙げ、不知火は榛名と別方向へと走っていった。
榛名「よし……厨房に何かありましたっけ……」
いそいそと厨房に入り、ケーキの飾り付けを始める榛名。
榛名「色合いを可愛い感じに……してっと……」
様々な粉末を駆使し、段々と華やかになってゆくケーキ。
しかし、華やかなのは色合いだけだ。
全体にかかっている青い粉末が一体何なのか、知りたい者は居ないだろう。
榛名「♪~」
ご機嫌に作業を続ける榛名。
榛名「よし!
最後に……チョコレートソースなる物があれば……
見栄えがするのですが……」
足柄「チョコレートソースは無いわね~」
榛名「ですよね……」
はぁ、と溜息。
仕方ないですねーと呟いて、榛名はオイスターソースに手を伸ばした。
榛名「これでいけますね」
足柄「えぇ……」
榛名「えぇ……じゃないですよ!
見てくださいこのデザインを、足柄……さ……ん?」
足柄「ん?」
榛名「?!」
いつの間にか隣に立って、料理をしていた足柄に驚く榛名。
榛名「いつの間に……ッ!」
足柄「あら?最初からいたわよ」
榛名「そんなはずは……!」
身構える榛名。
榛名「……っ。ここは退散です!」
足柄「……」
無言の足柄に構わず、榛名は退こうとした。
が。
榛名「?!……足が……!」
動かない。
正確には、靴が。
床に張り付いている。
榛名「な、なんですかこれは?!」
足柄「フッフッフ……気付くのが遅かったわね……」
榛名は何とか足を持ち上げようとするが、靴はかなり強い力で接着されている。
足柄「そう……粘着トラップよ!その名も……ゴ○ブリホイホイ……!」
榛名「何てネーミングセンス……ッ!……じゃない!何で厨房にッ……!」
足柄「そりゃゴキ○リホイホイは厨房に仕掛けるでしょ」
榛名「そう言うことではなくて……!」
足柄「ま、ーー」
ウィンクしながら。
足柄「ーーあなたの行動なんて、読めるわよ」
榛名「ーーッッ!」
ギリ、と歯を食いしばっても、何も解決しない。
榛名「ならば……靴を放棄するまで!」
靴を脱ぎ、榛名はケーキを持って厨房の入り口へ跳んだ。
足柄「……」
しかし。足柄は反応しない。
己の調理を続けている。
榛名「……」
まさか、と思う榛名。
榛名(足柄さん、自分の粘着トラップで動けないのでは……)
だとしたら。
完全なアホである。
榛名「この勝負、貰いましたーー」
ニヤリと笑い、榛名はその場を離脱しようとして。
声を聞いた。
鳳翔「そうは問屋が」
底冷えのするそれは。
鳳翔「卸しません」
目の据わった鳳翔の音。
彼女の右手には、ぐったりとした不知火が握られていた。
不知火「すみま……せん……榛名さん……」
榛名「……!!」
鳳翔「もう逃げられませんよ」
観念なさい。と告げる鳳翔。
榛名はそれでも逃げようとして、反転した。
が。
雷「ここは通さないわ!」
目の前にドヤ顔の雷。
榛名「……読まれていましたか」
雷「厨房を封鎖したのに、なぜ窓の鍵は空いているのか。考えるべきだったわね!」
榛名「罠……軽率でしたか」
万事休す。
榛名の頬を汗が伝う。
雷「まぁそんなアホな事を本当にやるとは思ってなかったけどね……」
榛名「……」
肩を落とす榛名に、死神は歩み寄る。
鳳翔「榛名さん。わかっていますねーー」
榛名「ひ、ひぃぃ……」
絶対、絶命。
榛名は死ぬ。
かと。
思いきや。
誰かが食堂へ走りこんできた。
提督「おい!スパイを見なかったか、お前達!
……?……一体ケーキを持って何をしているんだ?」
提督である。
◇
食堂
提督「なんだ、スパイじゃなかったのか……」
窓から侵入するなんて、スパイしか無いだろ……とガックリと肩を落とす提督。
足柄「何をガッカリしてんのよ……」
半目になって溜息をつく足柄に、提督は首をすくめて見せた。
足柄「……と言うか。良いのね?あたし止めたからね」
ちらりと横を見つつ、足柄は提督に確認する。
その視線の先には、正座させられた榛名と不知火。
提督「ま、何かを作って貰えると言うのは、ありがたい話だしな?」
足柄「その何かが本当に問題だと思うのよね……」
はぁ、と深い溜息。
そう。
提督は、榛名と不知火、2人の作った物を食べると言い出したのだ。
鳳翔「私は一刻も早く、罰を与えたいのですが……」
冷たすぎる鳳翔の声と目線に、不知火と榛名は体を震わせる。
提督「落ち着け。食ってからでも遅くは無いだろう」
カラカラと笑う提督。
提督「ほら、順番に出してみろ」
榛名「……はい!では私から!」
すくっと立ち上がり、榛名はケーキ的な何かを提督の前に差し出した。
提督「ほう……」
まずは眺める。
提督「……ショートケーキ……か……?」
顎に手を当て、頷く。
完璧に近いショートケーキ。
真っ青な事を除いては。
雷「……どうだか……ね……」
半目の雷は、腕組みして溜息を吐いた。
提督「……では、頂こう」
神妙な面持ちで鉄のフォークを握る。
そして、そのフォークは。
青いクリームでコーティングされたケーキへと差し込まれた。
そして。
ガギン。
と硬いもの同士がぶつかる音がした。
提督「……?」
もう一度、強めに刺す。
また、ガギンと言う音と強めの反力を手に感じる。
提督「……いや、意味がわからん」
なんだこれは……と思わず呟く。
外側のクリームは恐らく本物だ。
しかし、中に恐ろしく硬いものがある。
提督「……」
提督はフォークで表層のクリームを除去した。
そして現れるセメント。
しかも所々コゲている。
提督「……榛名、これは違う……これはケーキじゃない」
提督は首を振りながら言った。
提督「これは、焼きセメントだ」
ガッガッっとフォークで突き刺そうとするが、焼きセメントはビクともしない。
提督「何故セメントを混ぜた……」
榛名「勿論歯ごたえの為に……」
提督「待て。セメントは食い物では無いぞ」
榛名「案外いけますよ!」
提督「何を言ってるんだ。お前まさか食ったのか」
恐ろしい物を見るような顔で榛名を見る提督。
提督「……とにかく、これはダメだ。固すぎる」
フォークを皿の横に置き、提督は首を横に振った。
榛名「そ、そんな!せめて一口!」
提督「一口も何も、切れない以上全部食う事になるんだが。しかもセメントブロックを」
榛名「じ、じゃあ切れたら食べますよね?!榛名に任せて下さい!」
提督「やめろ!例え切れても食わんぞ!」
提督の制止も聞かず、榛名は焼きセメントを提督から取り上げ、床に置いた。
提督「一体何をーー」
榛名「破ッ!!」
裂帛の気合いと共に、榛名は己の拳をケーキに打ち落とした。
雷「ぎゃー!」
雷の悲鳴と共に。
焼きセメントは粉々に砕け散る。
クリームをそこら中に撒き散らしながら。
榛名「どうぞ!」
提督「どうぞじゃない!粉々じゃないか!
もうただのセメントの破片だぞこれは……!」
榛名「……そんなバカな……!ケーキの筈が……」
提督「何故そんな愕然と出来るんだ……」
呆れて溜息をつく提督の前に、榛名は崩れ落ちた。
鳳翔「諦めなさい……」
その榛名の頭を、ガッと片手で掴む鳳翔の声音は冷たい。
榛名「いやぁぁぁ……」
アイアンクロー。
抵抗虚しく、榛名はそのままどこかへズルズルと連れて行かれた。
提督「……連れて行かれたな」
足柄「……そうね」
雷「南無阿弥陀仏……」
不知火「くっ……私はこうはなりませんよ……!」
取ってくるので待ってて下さい、と言い残して消える不知火。
提督「不知火か……
あの榛名を見てからだと怪しいな……」
足柄「だから止めたのに……」
雷「もっとやばいわよー」
提督「……」
提督が複雑な心境に陥っていると、不知火が帰ってきた。
不知火「栄養満点スープですよ……!」
自信満々に鍋を持って近付いてくる不知火。
だが。
提督「待て」
不知火「?」
提督「めちゃくちゃ臭いんだが」
不知火「雷さんがですか?確かに少し……」
雷「なんで?!少しって何?!」
提督「お前の鍋だよ……」
不知火「ああ、鍋ですか。まぁ、良薬は口に苦しと言いますし、多少は我慢して下さい」
そういいながら、鍋を提督の目の前に置いた。
そして蓋に手をかける不知火。
提督「待て、やめろ!開けるな!」
不知火「?」
提督「この匂いはヤバイ……凄まじい刺激臭なんだが、一体何なんだ……?」
不知火「鉄分や各種ミネラルのスープですよ」
提督「ほう……?サプリか……?」
不知火「いえ。素材の鮮度を生かすために直接入れました」
提督「……こいつは一体何を言っているんだ」
不知火「まぁまぁ……開けますよ」
カパッと鍋の蓋を取る不知火。
足柄「臭っ!前はこんな臭いしなかったのに……!」
提督「がはっ……な、んだ……これは……
塩酸か……?」
不知火「流石提督ですね。でも違います」
提督「そ、そうか。流石に俺の食う物に塩酸を入れたりはしないーー」
不知火「ええ。王水です。色々溶かしました」
提督「……こ、こいつ……結構なバカだぞ……」
雷「怖いわ……」
不知火「フッ……ささ、提督」
提督「ささ、じゃないぞ……食えるか!」
不知火「案外いけます」
提督「こいつらの案外は一体何を意味しているんだ……俺は恐ろしい」
戦々恐々とする提督。
尚も食べる事を渋っていると……。
鳳翔「……もうよろしいでしょうか?提督」
不知火「ひっ?!」
鳳翔がいつの間にか食堂に戻っていた。
全身を朱に染めて。
血のせいかその頬は上気しているように見えた。
雷「血……血塗れ……?」
不知火「ま、まさか榛名さんは……もう……」
ひぃ、と小さく悲鳴を上げて慄く二人。
鳳翔「次はあなたが血の海に沈むのです……」
死の宣告。
不知火「てててて、提督……!」
溜息をついて、提督が発言した。
提督「……それは血なのか、鳳翔?」
その問いに。
キョトンとしてから。
鳳翔「まさか。これはーー」
フルフルと首を振って。
鳳翔「ーー絵の具です」
提督「絵の具らしいぞ、不知火」
不知火「今嘘付きましたよぉぉこの人……三秒前に血の海って言ってましたよぉぉ」
地団駄を踏み始める不知火。
不知火「い、嫌です!嫌ですよ!て、提督……!せめて、せめて一口……!」
足柄「滅茶苦茶言ってるわね……この子……」
提督「……」
はぁ、と溜息を吐いて。
提督「雷。スプーンを」
雷「え……正気なの……」
提督「……」
提督は無言でスプーンを受け取った。
提督「さて……一口か……一口な……」
はぁ、と再び溜息。
全員が固唾を飲んで見守る中、提督は嫌そうな顔をしながらスプーンをスープの中に突っ込んだ。
スープに突っ込んだスプーンの先が一瞬で溶けて無くなった。
提督「ーー鳳翔」
鳳翔「はい」
不知火「いやぁぁぁぁ……」
そして不知火は何処かへ連れて行かれた。
提督「……」
三度溜息を吐く提督。
提督「……雷。この産業廃棄物二つを処理しておいてくれ」
雷「……わかったわ!」
提督「やれやれ……余計疲れたぞ……」
足柄「お疲れ様」
コトン、と水を差し出す足柄。
提督「……どうも、すまんね」
足柄「軽食、用意してあるけど。食べる?」
提督「助かる」
足柄は先程作っておいたサンドイッチを持って来た。
足柄「……最近、大変そうだけど」
提督「……まぁな」
サンドイッチを口の中に放り込みながら答える提督。
足柄「朝も機嫌最悪だったそうじゃない。鳳翔さんが落ち込んでたわよ」
提督「そうか……悪い事をしたな」
それきり無言になってしまう。
足柄「……何か、私達がすべき事は?」
提督「平常通りで行け。俺の多忙は関係ない」
足柄「……そ。わかったわ」
またも落ちる沈黙。
それは提督がサンドイッチを平らげるまで続いた。
提督「ごっそさん。美味かったよ」
足柄「お粗末様」
提督「俺は部屋に引き上げる。連中の後始末は任せるぞ」
足柄「はーい。……。
……ねぇ」
足柄は提督の背中に声を掛けた。
提督「……何だ」
足柄「……また、余裕出来たら。鳳翔さんの話とか聞いてあげてよ」
提督は振り返らず。
提督「……そうだな。そうしよう。
ただ……今は、忙しい。すまない」
そう。
答えて去った。
残される足柄一人。
◇
夕方、食堂
鳳翔「はぁ……」
雷「はぁ……」
足柄「はぁ……」
ぐったりとした三人組の姿があった。
足柄「無駄に疲れたわ……」
雷「全くね……」
鳳翔「しかも何一つ解決してませんね……」
はぁ、と溜息。
雷「でもでも、案外提督、元気だったじゃない?」
足柄「……まぁ、ね」
鳳翔「スパイが何とか仰ってましたね……」
足柄「何かガッカリしてたわねー……」
雷「意味がわからないわ……!
ま、元気なら良いんだけど!」
鳳翔「そう、ですね……」
足柄「……」
俯きながら微笑む鳳翔に、足柄は視線を向ける。
足柄「ま、時が解決してくれるわよ。別に、避けられたりしてなかったじゃない?」
鳳翔「……それはまぁ、そうですけど。
キッチンを破壊された怒りのあまり、きちんと提督とお話出来なかったのが……」
雷「普通に会話出来てたし大丈夫、大丈夫!」
鳳翔「……そうですか。あまり考えすぎても、良くないですね」
足柄「そそ。提督も落ち着いたら話す、みたいな事言ってたし。
誰にだって落ち着かない時はあるし、すれ違いは仕方ないわ」
雷「うんうん!」
鳳翔「……ありがとうございます、気を遣っていただいて」
足柄「どーってことないわ」
雷「ね!」
鳳翔「ふふ……。……それじゃ、晩御飯の支度でも、しましょうか。
何かまともな物を作って差し上げたい所です」
足柄「そうね。何か用意しましょ」
雷「そうと決まれば、早速取りかかるわよ~!」
鳳翔「……はい」
鳳翔の笑顔と共に、サセン島の食堂に、少し明るさが戻った。
◇
その日の。
深夜。
食堂。
提督「……」
執務室から出てきた提督が居た。
提督「……用意してくれてたんだな」
机の上に置かれた、冷めた料理を見やって呟く。
横に、丁寧な字で『温めて下さいね』と記された紙片が添えられていた。
提督「……」
提督は、しかし、その食事には手を付けずに、建物の外へ。
夜の海風に吹かれ、上着の裾が踊った。
昼のうだるような暑さとうって変わり、冷えた空気が肌を撫でる。
提督「……」
満天の星空だ。
それを視界の端に捉えつつ。
無言のまま。
歩く。
そうして。
着いた先は島の港。
哨戒の交代時間ではない。
何故、この深夜に提督はここへやってきたのか。
それは。
提督「おい。
……居るんだろうーー」
呼び掛ける。
提督「ーー夕張」
夕張「はーい」
視界の外から声。
其方を見ると。
艤装を付けたままの艦娘が水面に立って居た。
夕張「久しぶりね!提督」
夕張だ。
月に薄く照らされる顔は、緩やかな笑みを湛えている。
提督「……ああ」
対する提督の表情は厳しい。
夕張「こうして顔を見るのは何年振りかしら~?」
提督「……さぁ、な。3年か4年か5年か」
夕張「随分と適当な返事ね。つれないんだから!」
やれやれ、と肩をすくめる夕張を提督は無視した。
提督「頼まれた物は、用意しておいた」
夕張「ありがとうございます、提督。助かるわ!」
彼女はあくまでにこやかだ。
提督「……一人か?」
夕張「……どう思う?」
訝しげな提督の問いに、クスクスと笑う夕張。
提督「……俺の依頼した物は、どこだ」
その態度に、苛立つ提督。
夕張「ま!そんな恐ろしい声を出さないで、提督。怖がってしまうわ」
夕張は大袈裟に首を振ってみせる。
提督「……怖がる?」
訝しむ提督を見つめたまま。
夕張「おいで」
夕張は呼んだ。
目の前の水上で。
ザバーッと言う音と共に、輸送用潜航艇が浮かび上がる。
が。
人が乗る物では無い。
提督「……運貨筒」
そう。
運貨筒だ。
そして。
その影から。
「は、はじめまして……」
申し訳なさそうに、小さな艦娘が浮上してきた。
運貨筒をけん引してきた者だろう。
しかし、やけに小さい。
提督「……夕張。この艦娘は」
その潜水艦娘を見つめながら訊く。
提督「何者だ」
そう。
見覚えが無いのだ。
夕張「……ふふ」
夕張は答えない。
代わりに、微笑むばかり。
提督「見たことが無い……まさかとは思うがーー」
提督の鋭い目線が潜水艦娘を貫き、彼女はビクッと体を震わせた。
提督「ーー伊400型か?」
「……ッ!」
目を見開く潜水艦娘。
そして。夕張は。
夕張「あははははは!」
爆笑していた。
夕張「伊、伊400って最新型よ……ふふふふ!
よかったわねー!」
笑い過ぎて目尻に涙が溜まる。
夕張「ねぇ……ふふふ……まるゆ?」
くっくっく、と笑いの治らないまま、夕張は潜水艦娘に呼びかけた。
まるゆ「ま、まるゆはまるゆです……」
対するまるゆは縮こまるばかりだ。
提督「……まるゆ……?……聞いたことが無い名だな」
夕張「そうでしょうね」
提督「……」
夕張「まぁ、良いじゃない?まるゆが『何か』なんて。
提督には、もうーー」
微笑みながら。
夕張「ーー関係無いよね?」
月光を受け。
妖しく光る双眸。
夕張「荷物だけ受け取っておけば良いの」
告げる。
提督「……」
一拍おいて。
提督「……そうだな」
提督は同意した。
提督「まるゆ、でいいか。ドックに運貨筒を入れてくれ。積荷を揚げる……付いて来い」
◇
深夜、ドックにて
提督「……そこでいい。止めろ」
まるゆ「は、はいぃ……」
そのまま提督は小型クレーンの電源を入れた。
夕張「ふっるい設備ね。……まるで出会った頃のみたい」
提督「……まぁな」
夕張「懐かし!本土で拾われたのが始まりでしたっけ」
提督「……昔話は良いだろう……おい、ハッチを開けてくれ」
夕張「はーい!」
上機嫌な声。
夕張は艤装を外し、陸に上がった。
そのまま運貨筒に近寄ると、手際よくハッチを開ける。
提督はその場から動かず、クレーンは勝手に荷物を引き出し始めた。
夕張「そいえば、演習で太郎の所に勝ったって?」
提督「……まぁな」
夕張「提督って馬鹿なのかしら?」
にこやかに。
罵倒する。
突如として場の空気が剣呑になった。
提督「……」
はぁ、と提督は溜息。
これが、嫌だった。
夕張「目立ってどうするんですか」
提督「勝ってしまったんだ。……仕方が無いさ」
夕張「……あなたの考えている事は何となくわかるけど、ね?」
はぁ、とわざとらしい溜息をついて。
夕張の顔から笑顔が消えた。
夕張「その独り善がりで此方にまで、迷惑掛けないでね?」
鋭い目線。
提督「……善処しよう」
夕張「お願いしますよ、提督」
再び夕張の顔に笑顔が戻った。
提督「……ああ」
渋い顔で答える提督。
その後は無言のままに作業を続ける。
夕張「……しっかし、起きてこないんですね。ここの艦娘達」
手持無沙汰になった夕張がドック内をうろつき始めた。
提督「その方が都合がいいだろう」
夕張「でも、結構音してるじゃない?」
提督「深夜だぞ。生活リズムが安定してるんだよ……お前と違ってな」
提督の返しに、夕張は薄ら笑いを浮かべながら鼻を鳴らした。
夕張「平和ボケしてるんじゃないの?……私と違って」
提督「……」
夕張は無言の提督に歩み寄る。
夕張「ねえ提督、さっきの演習の話もそうだけど。
一体どうするつもりなの?」
提督「……どう、とは」
夕張「あなたのしようとしてる事とーー」
チラリとクレーンを見ながら。
夕張「あなたの艦娘に対する態度はーー」
トントンと提督の胸をつついて。
夕張「矛盾してるわよね?」
目を覗き込んだ。
提督「……そんな、ことは無い」
しどろもどろの提督に。
目を細めて応じる夕張。
夕張「ほんと?嘘付かなくていいわよ」
自分に。と付け足す。
提督「……これはーー」
クレーンが自動で運び出している荷物を険しい顔で見ながら。
提督「ーーただの、保険だ」
絞り出すように。
夕張「……ふーん?保険、保険ねえ……」
少し顎に手を置いて思案する。
夕張「あぁでも確かに、やってることは本質的には同じなのかしら……」
提督「……何を、」
夕張「提督は」
言葉を遮り。
夕張「艦娘にとって『いい提督』みたいな事言って。振舞って」
ぐるぐると提督の周りを歩き回りながら喋る。
夕張「優しい言葉を囁いて?大事に扱って?」
提督「……」
夕張「”自分”で考えさせる?」
カツン、と歩みが止まった。
夕張「それさ、洗脳って言うんじゃないかしら?」
提督「……。……そんな訳がないだろう……」
そんな提督をよそに。
夕張は冷ややかな笑みを浮かべたまま。
続ける。
夕張「そんな事いくらしても、赤城の代わりは生まれないわよ?」
提督「……っ」
夕張「足柄も。鳳翔も。隼鷹も。赤城にはなれない」
提督「……違う、俺はそんな事を望んでいるわけでは無い……」
夕張「主張派が失墜してから。南方所属の艦娘を育て始めたのも。赤城の影を追い求めたからでしょう?」
提督「……違う……っ」
夕張「金剛も。北上も。大井も。赤城になれなかったから……太郎にあげたんでしょう?」
提督「やめろ……!」
夕張「弱い不知火を連れているのだって。不知火が赤城を知る艦娘だからってだけで。
不知火が赤城に『なる』かもって期待してるからでしょう?」
ふふっと笑って。
夕張「なれる訳が無いのに!」
提督「夕張ぃぃぃぃ!黙れぇっ……!」
衝動的に夕張の襟首を掴む提督。
だが、飽くまで夕張は冷静だ。
夕張「図星?」
提督「……違うっ……」
ギリッと歯が鳴る。
夕張「『お前は俺の手を離れた』」
提督「……」
夕張「覚えてる?提督が私に言った言葉ですよ」
提督「……っ」
パン、と夕張は提督の手を振り払って笑った。
夕張「だから……ふふ……提督のいう事は聞けないわね」
提督「夕張……お前は……」
夕張「……あら。揚陸が終わってますよ」
クレーンの動作が止まっている事に気が付くと。
提督の言葉を最後まで聞かず、夕張はくるりと彼に背を向けた。
夕張「じゃ、この荷物貰っていくわね!」
提督の用意していた『物資』の箱を蹴って示す。
そんなに量は無い。
提督「……。……ああ……」
夕張を見ず、バツの悪そうに返事をした。
夕張「一人でも積めそうねー……」
そう一人ごちながら夕張が手際よく荷物を運貨筒に放り込む間。
気まずい沈黙があたり一帯を支配していた。
まるゆはあまりの居辛さに体を海へ沈めて、頭だけを水面から出している。
夕張「よしーー、と。積載完了!
まるゆ、そろそろ出るわよ!準備して」
まるゆ「はぃぃ……」
提督「……」
夕張「……あ、そうそう提督」
外した艤装に手を掛けながら、夕張は懐から何かの小箱を取り出し、提督に向かって投げた。
受け取ったそれは。
提督「……たばこ?」
夕張「艦娘は鼻が利くの。だからそれはーー」
カラカラと笑って。
夕張「ーーただの、保険よ」
提督「……」
艤装を装着した夕張は海面に降り立つ。
夕張「……さて、まるゆ!いくわよ!」
まるゆ「は、はいっ」
夕張は最後に振り返り。
夕張「ねぇ、提督」
笑みと共に。
夕張「あなたが私をこうしたのよ」
言葉を残して。
夕張「シンギュラリティは、近いわ」
闇に消えた。
提督「……」
残される提督一人。
ここまで
読んでくださってる方、大変長らくお待たせしました...一度に投稿するにしては分量がすごいことになってますが...
やはりコンスタントにやっていかないとだめですね
夕張は出したい出したいと思ってたんですけどもう出しました
強引ですが
頑張って話進めます。
またみていただけると幸いです。
このSSまとめへのコメント
失踪しなくて良かった・・・
私生活が落ち着いたのかな?
何はともあれ完結頑張って!
待ってました!
あらま、きたのか
さてはイベント備蓄で暇あるんやな
続きありがたい。
待ってたぞ!
ぎゃー
一気読みして時間がない!
長い!
待ってましたぁ!!
同志達よ!開戦の時がキタァア!!
なかなかこんねー
まあ待つけど
まだかー…
コレとハルピュイアの奴くらいしかみてないけどなかなか続きこない…
好きだから待つけども
更新待っとるぞー
続きが楽しみ!更新待ってます!
私まーつーわいつまでもまーつーわ
更新まだかなー続きが気になる
続きをはよ
続き頼んます
続きをお願いします
戻ってきていて嬉しい
また気軽に待ちます
続きが読みたい
頼む続いてくれー
頼む帰ってきてくれ
保守
更新楽しみにしてます
まだ待ってます
主よぉ!帰ってきてくれよぉ!(血涙
まだまだ待つ!
ここまで来たらずっと待ってる
一気に読んでしまうくらい面白かった
更新期待
まだ待っとるで
帰ってきてー!
待ってる
シンギュラリティは、近い
プリーズかむばっく
イッキ読み不回避ですね、、
まだ待ち
まだ?
シンギュラリティ(失踪)は近い
まだ?
もうすぐ6年か…
早く続き書け