サキュバス「生きやすい時代になったなぁ」 (18)
魔族と人類が争っていたのも今は昔。
両者の混血も増え、争いの種は未だにままあれど、比較的平和と呼べる時代。
しかし、法の整備や取り締まりはまだまだ甘く、ある所では通用するやり取りがまたある所ではそうではない。
ある種戦乱の時代よりも混沌としているとさえ思われた。
そんな世の中を、今では少なくなった純血種のサキュバスの女性は嬉々として謳歌しようとしている。
彼女は今、とある大規模な都市の城門に繋がる街道を歩いていた。
サキュバス(前の街で聞いた話だと、ここは犯罪を取り締まるべき組織が逆に加担しているような、とんでもない所らしい)
サキュバス(サキュバスとして本能の求むるままに活動できるかも知れない・・・・楽しみだ)
大規模な都市と言うだけあって、周囲は高い壁で覆われていた。
入り口は北と南の大きな門だけで、平常時は南だけが開いており、兵士が入国者に対して検問をしている。
悪い噂の多い国だけあって、入国待ちの列は短く、すぐにサキュバスの番がやってきた。
「おう、ようやく例の女が来たぞ」
「バカ、もっと声を低くしろ。逃げられたらどうするんだ」
「はっ、尚更いい口実が出来るじゃねぇか」
サキュバスの前で検問所の兵士達が小声で不穏な会話を交わす。
噂通りのろくでもない組織のようで、サキュバスは内心喜んでいた。
サキュバス「あの、よろしいでしょうか」
聞こえなかった風で話しかけると、兵士達はにやけながら先ず事務的な問いかけをしてきた。
入国の目的や滞在期間、出身はどこか。
次に持ち物の検査をすると言うので、旅行鞄を渡した。
サキュバスの前で中身をひっくり返し、極ありふれた傷薬を見つけると笑みを深くしてサキュバスに告げる。
「これは我が国では取引も持ち込むのも禁止されている薬ですねぇ」
「ちょっと裏で話を聞く必要がありそうだ。ご同行願えますか?」
そんなバカな話があるか、と普通なら抵抗するところだろうが、先程から感じていた男達のまとわりつく視線に期待していたサキュバスは、思わずこぼれそうになった笑いを飲み込んで、男達の指示に従うことにした・・・。
検問所の裏へ、と案内されたのは、薄汚い、明らかに検問を続ける雰囲気の場所ではない、兵士達の寝所であった。
案内の兵士が一人と、仕事を自分達より下の人間に引き継がせて遅れてやってきた一人。
合計二人の兵士に壁を背にして囲まれる形となる。
「まずは危険物を所持していないか確認しないとな」
「そうだった。両手を頭の後ろに組んでじっとしていて貰おう。身体検査だ」
言われた通りにすると、一切の躊躇も遠慮もなく、男達はサキュバスの身体に手を伸ばした。
一人はサキュバスの豊満な胸を両手で鷲掴みにした。
「胸は本物のようだなぁ」
そのままおっぱいの形がどこまで変わるのか試すように、何度も何度も揉みしだく。
もう一人の男はサキュバスの下半身を担当するようで、ブーツの中を改めるといって長靴を脱がして逆さまに振り、何もないのを確認すると後ろへ放り投げる。
次に尻の肉をズボンの上から思うままに弄び、太ももから足の付け根へと、何が検査なのかとても理解のできない手つきで揉み尽くすと、相方の兵士に話しかけた。
「たが、服の裏地に違法薬物を隠して持ち込もうとする輩もいるぞ。ここは一つ、衣服を全て預かり検査するべきかもな」
「確かに。では今この場で服を脱いでもらおうか。あんたも身の潔白を証明したいだろ?」
もちろん、サキュバスが抵抗する訳もない。
コート、シャツ、ズボン、下着、ソックス。
全てを兵士達に差し出して、言われた訳でもなくまた両手を頭の後ろで組んでみせた。
サキュバス「どうぞ、検査を」
それが差し出した服に対しての言葉だとは、この場にいる誰も考えやしなかっただろうし、事実としてその通りだった。
女性にしては高めの身長に旅の中で程良く締まった肉体、しかしその胸と尻は女性としてしっかりと男を誘惑する形をしている。
そんな女が自分達に全てをさらけ出して、好きにしてくれと言っているのだ。
すっかり興奮した二人の兵士は、服の検査もおざなりに、女の胸を、腰を、尻を、好き勝手に触りだした。
思い出したかのように「魔法で幻覚させているだけではないか確認する」と後から言っていたが、当然誰も聞いてはいない。
女の乳首をこねくり回し、無駄毛の一切ない恥丘を撫でる。
サキュバス「あの」
「な、なんだ?」
「これも検査、検査・・・だぞ」
サキュバス「はい、わかっています。ですので、私の身体の中は検査なさらないのかと」
「は・・・?」
もどかしさにサキュバスが我慢できずに言い放った言葉に二人が硬直する。
サキュバス「女の身体には物を隠せる穴もありますので・・・」
自ら脚を大きく開き、前屈みになって腕を一人の兵士の腰に回しながら上目遣いで続ける。
サキュバス「棒か何かで検査をされるものかと思ったのですが?」
こいつはそういう女なのだ、やってしまっていい相手なのだ、と、兵士達に理解させるには、それで十分であった。
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──
体内に男達の迸りを大量に収め、下着姿となってサキュバスが入国したのは、検問を受けてから翌日の昼の事だった。
「よぉ、泊まりに困ったらいつでも来いよ」
相手をした兵士の一人に手を振って返しながら、サキュバスは衣服を積めて重くなった鞄を担ぎ直し、歩き出した。
結局、二人の兵士達の他に検問所に詰めていた兵達全員の相手をしたサキュバスは、肉体を酷使されたにも関わらず、満ち溢れた魔翌力によって入国する前よりも健康的になっていた。
下着姿で歩いているのは服が検査に引っかかったからではない。
信じられないことに、この街では特定の許可のない者の場合、入国して二日は門から入って直ぐの『下層区』に留まらなければならず、更にそれが女の場合は首にはめられた輪と下着以外の着用が認められていないのだそうだ。
男達の視線を集めながら通りをずっと歩いていると、確かにほんの数人、自分と同じ出で立ちの女を見かける事ができた。
サキュバス(本当に、前の街に比べたらろくでもないを通り越してトチ狂った街だけど)
門を抜けてから途絶える事なく感じる男達の下品な視線やヒソヒソ声に、サキュバスは悦びから思わず身震いした。
サキュバス(私にとっては今までになく向いている街だ)
続きはまた今度
サキュバス(食事を取ろう)
サキュバスのエネルギーは主に男性の精液だが、それだけで他の栄養全てを賄えるものではない。
肉体を維持する為には、人間と同じ食事も摂取する必要があった。
ふらふらと道行く男達からの視線を浴びながら通りを歩いていると、何かの料理の絵が描かれた看板が目に入った。
扉を開けると、中からは空腹をほどほどに刺激する美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
店内には何とも奇妙な光景が広がっていた。
壁に沿うようにして椅子とテーブルがぐるりと店の中央がよく見えるように工夫して並べられ、入り口の扉から反対には厨房らしいスペースがある。
奇妙なのは、椅子とテーブルに囲まれた中央に敷かれた汚れたカーペット、その上で四つん這いになり、犬のように餌皿から舌で食事らしき物を舐め続ける半裸の女達だった。
新しい客に椅子に座り食事を取る男達が一斉に目を向けて、それが女だと見るや一応に卑しい笑みを浮かべた。
ここがどういった店なのか何となく予測をつけながら、それでも食事を取ろうとサキュバスは厨房に隣接した受付から声をかける。
「ん?見ない顔だな。うちは初めてか?」
野菜を切っていた手を止めて、いかつい顔つきのコックが応対した。
サキュバス「はい。こちらで注文して、そこのカーペットの上で食べれば良いのでしょうか?」
「うちの雌豚用の餌を食いたいなら、そうだ」
サキュバス「他に何か?」
「女には割増料金になるが、他の客と同じくテーブルで普通の料理も食えるぜ」
サキュバスは四つん這いの女達を見回してから、一つ気づいた事を訊ねてみた。
サキュバス「下着も何も着ていない女性は?」
コックは苦い顔をして答える。
「豚の餌にも金を払いたくない女だ。他の客から何されても関知しない代わりに、タダで振る舞ってやってるのさ」
「うちとしゃ汚れたカーペットを毎日替えるのが厄介極まりないんだが、これでいい儲けを出してるもんでな」
サキュバス「なるほど」
サキュバスは黙って下着を脱ぎ、
サキュバス「豚の餌で」
記念すべきこの国最初の料理を注文した。
豚の餌として出された皿には、具の入っていないシチューに細かく千切られたパンが入っていた。
肉付きのいい赤毛の女性の横に膝をつけると、皿を置いて他の女性達と同じように四つん這いになる。
どのようにして食べるのか、しばし他の女性達を観察してから、これまた同じように舌だけでシチューを舐め始めた。
思いの他餌皿からシチューを舐めとるのは難しく、鼻先や口の周りが汚れてしまうのだが、誰も気にしていない様子だったので、サキュバスも気にしないことにした。
「んっ・・」
しばらくそうしていると、隣の赤毛の女性が声をあげた。
「おぉ、何だよ。ぬるっと入ったぞ。お前もすっかりここの雌豚に仕上がってきたなぁ、リィナ」
リィナ「そうかい?そりゃ嬉しいね・・・」
リィナと呼ばれた赤毛の女性は餌を舐めるのを止めて、男のピストンを受け止める為に体勢を変えながら、少しつらそうに答えた。
「へへ、腕突っ張っても乳が床についてらぁ。お前だけはいつも六つん這いだよなぁ」
リィナ「ぁっ、はっ!ふっ、み、店のルール違反かい?何なら旦那があたしのおっぱい引っ張り上げて、矯正してくんなよぉ」
「そうさなぁ・・・」
腰を振りながら、男は腕に巻いたバンドから何かを外して、リィナの乳首に細工する。
リィナ「ぃぎっ!?」
両方の乳首の先をクリップのような物で挟むと、間を繋ぐ紐をリィナの口元に引っ張り、噛ませた。
「今日は頑張って自分で引っ張り上げててくれや。俺様もその分頑張って腰を振ってやるよぉ」
そう言うと、男は食い込まんばかりにリィナの腰を掴み、更に勢いよく腰を打ち付け始めた。
リィナ「んひぃ!ぃっ!んんんっっ!!」
従順にもリィナは紐を口から離さず、必死に男のピストンに耐えている。
性行為に肯定的なサキュバスですら、その様子には些かの心配をしてしまう程だった。
「っは、そ、そろそろイキそうだ!」
男がそう叫んだのはサキュバスがそろそろ餌を食べ終えるという頃だった。
その間に早漏の男が一人、サキュバスの膣内に遠慮なく精を放っており、その股間からはトロトロと精液がこぼれ落ちている。
一瞬、リィナを犯している男がサキュバスの餌皿に目をやると、勢いよくリィナの尻を叩いてペニスを引き抜いた。
「ァっ!アァア゛!!」
それによりリィナも完全に絶頂を迎えたようで、汗だくになり涙まで浮かべながら咥えていた紐から口を離し、ベタリと汚れたカーペットの上に倒れ込む。
男はそんなリィナにお構いなしにサキュバスの前にしゃがみ込むと、サキュバスの餌皿目掛けて思う存分に精を解き放っていった。
「ふぅーーー・・・、ふぅ、はぁーぁ」
男はまだ少し硬さの残るペニスをサキュバスの鼻先にやると、
「はぁー、そら、おかわりのサービスだ。残さず食えよぉ」
満足げにそう言った。
サキュバスはどうしたものかと一瞬考え、
サキュバス「ありがとうございます」
と土下座するように頭を下げてから、突きつけられた男のペニスを丁寧にしゃぶって綺麗にしてから、同じく一滴も残さないつもりでより白濁を増したシチューに舌を伸ばした。
リィナ「んぅ・・・」
横からリィナの羨望のような、慈愛のような、判断のつかない視線を浴びながら。
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リィナ「ねぇ、ちょっと」
ぐったりと寝そべっていたリィナより先に店を出たサキュバスを、まだ少し荒い息のリィナが呼び止めた。
長い布を後ろで縛っただけのブラとも呼べない代物と、踊り子の前掛けに似た服で局部をおざなりに隠した格好だった。
サキュバス「何か?」
リィナ「貴女って、私の同類だったりする?」
サキュバス「それは私が淫乱な女なのかという意味なら、そうだと思いますけど」
リィナ「えっと、そうじゃなくって、その・・・」
リィナ「ちょ、ちょっとこっち来て!」
口ごもったリィナは、サキュバスの手を掴んで人気のない所へと走り、誰か他に聞いている者はいないかと周囲を確認した後、サキュバスの肩を掴んで小声で語った。
リィナ「私ね、お父さんがオークで、お母さんの・・えぇと、つまりは私のおばあちゃんが・・・」
リィナ「サキュバス・・って言う種族だったらしいの」
リィナ「貴女も、もしかして私と同じ人・・かな?って・・」
砂漠の中で砂金を見つけたかのように輝いた瞳に見つめられて、サキュバスはしばらく何も答える事が出来なかった・・・・。
今日はここまで
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