八幡「俺の知らない俺がイル」 (127)

八幡「どうなってんだよこれ……」

いろは「何言ってるんですか、先輩?」

八幡「いや、今言ったセリフをもう一度頼む」

いろは「はい?」

八幡「いいから」

いろは「今って……、だから、先輩はわたしの彼氏じゃないですか」

八幡「…………」

いろは「この前、先輩から告ってきたんじゃないですか」

八幡(一色の目にふざけてるような意志は見られない)

八幡(となるとふざけているのは俺の方か?)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485157987

いろは「それでー、今日はどこへデートに行きます?」

八幡「ちょっと待て、落ち着くための時間をくれ」

八幡(俺が一色に告る?)

八幡(確かに悪い奴だとは思っていないが、だからと言って恋愛感情を抱いたような覚えはない)

いろは「先輩?」

八幡「……すまん、ちょっと体調が悪いみたいだ。家に帰らせてくれ」

いろは「確かに普段よりいっそう顔色が悪いですね」

八幡「ほっとけ」

いろは「でもそんな弱ってる先輩も……」ポッ

八幡「」

――

――――

八幡「本格的になんなんだこれは……」

八幡(そもそも一色の様子がいつもと全くと言っていいほどに変わってしまっている)

八幡(普段から掴み所のない女子だった。こんなに『わかりやすい』感情を俺に向けることなんて……)

八幡「お、由比ヶ浜だ」

結衣「ヒッキーじゃん。やっはろー!」

八幡「おお……」

結衣「あれ? 今日はいろはちゃんと一緒じゃないんだね」

八幡「……やっぱ、そういうことになってるのか」

結衣「えっ?」

八幡「まぁ、ちょっといろいろな」

結衣「じゃあ部室来るの?」

八幡「ん、あ、ああ……」

八幡(どうやら一色の妄言というわけでもなさそうだ。だとしたらおかしいのは俺の方なのか?)

八幡「うぃーす」

八幡(部室の扉を開ける)

ガララー

キィィンッ!

八幡「?」

八幡(……なんだ、今の?)

結衣「あ、ヒッキーじゃん! やっはろー!」

八幡「……は?」

八幡(今の今まで由比ヶ浜は俺の後ろにいたはずだ)

八幡(なのに、どうして――)

八幡「どうしてお前がそこにいる!?」

八幡(反射的に後ろを振り返るが、そこには誰もいなかった)

結衣「な、なんでって言われても……」

八幡「さっきまで後ろにいただろ! そ、そこの廊下で会って、俺と一緒にここまで来たよな?」

結衣「えっ? あたしはずっとここにいたよ?」

八幡「…………」

八幡(もう、わけが、わからない)

八幡(あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!)

八幡(後ろを歩いていたはずの由比ヶ浜がいつの間にか部室の中にいた!)

八幡(何を言ってるかわからねーと思うが……って、冷静になれ)

結衣「どうしたの? 顔、真っ青だよ」

八幡「あ、ああ……。そう言えば雪ノ下は? まだ来てないのか?」

結衣「ゆき……の……した……?」

八幡(いやな、予感がした)

結衣「それ、誰?」

八幡「はっ?」

結衣「ねぇ、ヒッキーてばっ」

八幡「ふ、ふざけてんのか?」

結衣「ね、ねぇ……、顔、怖いよ……」

八幡「怖いのはお前の方だっ!」

結衣「ひっ!?」

結衣「ヒッキー、疲れてるんだよ! 早く家に――」

八幡「じゃあこの奉仕部の部長は誰なんだ?」

結衣「ひ、ヒッキーじゃん……」

八幡「俺……?」

結衣「一年の時にここに入って、その時の三年の先輩が卒業しちゃって……ってヒッキー!?」

八幡「どうなってやがる……!」

八幡(いても立ってもいられなくなり、俺は走り出した)

八幡(脳内が完全にパニック状態だ。この現状の理解が追いつかない)

八幡(とりあえず今は外に出たかった)

八幡(部室の扉を開ける)

ガララー

キィィンッ!

雪乃「……あら、比企谷くん。こんなところにいたのね?」

八幡「雪ノ下……!?」

雪乃「もう、勝手にいなくならないで欲しいわ。別に夜の学校なんて、全然怖くないのだけれど」

八幡「夜?」

八幡(窓から外を見ると、そこは黒の色に染められていた)

八幡(……いや、月が浮かんでいるのが見える。これは夜空だ)

八幡「夜? 夜だと?」

八幡(一色と話していた時から由比ヶ浜と部室に来るまで、まだ日は沈んでいなかったはずだ)

八幡(しかし部室から出た瞬間、世界は夜へと変貌していた)

八幡(部室の中には案の定、由比ヶ浜の姿はない)

八幡「……なんで、こんな時間にこんなところにいるんだ?」

雪乃「あら、あなたが言い出したことじゃない。夜の学校で、そ、その……で……」

八幡「?」

雪乃「デート、しようって……」

八幡「えっ?」

八幡(雪ノ下はこの薄暗い校舎内でもわかるくらいに真っ赤に頬を染めている)

八幡(普段の彼女からは想像もつかない仕草だ)

八幡「……俺が、言い出した?」

雪乃「ええ。もしかして、覚えていないの?」

八幡(覚えているも何も、俺は言っていないし、素面でそんなことを言うようなキザな男じゃない)

八幡(なんなら酔っていても言わない自信がある)

八幡「それ、本当に俺か?」

雪乃「……えっ?」

八幡(俺の言葉に雪ノ下は絶句する)

雪乃「それ、どういう意味かしら?」

八幡「俺は、そんなことを言うようなやつなのか……?」

雪乃「そんな、こと……?」

八幡(雪ノ下の語気が強まるのを感じる)

雪乃「なら、私からも言わせてもらうわ」

雪乃「あなたは、誰なの?」

八幡(俺は、比企谷八幡だ)

八幡(それ以外の何者でもない)

八幡(……のはずなのに)

八幡「わからねぇ……」

八幡(俺ではない誰かを皆が『比企谷八幡』という)

八幡(俺という存在からあまりにもかけ離れた人物を『比企谷八幡』と呼んでいる)

八幡(民主主義的に言ってしまえば、俺以外の人間全員が認めている以上、そいつが『比企谷八幡』なわけだ)

八幡(なら、だとしたら……)

八幡「俺は、誰なんだ?」

この世界には、

俺の知らない俺がいる。

ここまで。
八幡が異世界を飛び回るお話。

スレタイはそれで大丈夫です。
それでは更新します。

八幡(それから雪ノ下から逃げるようにして俺は近くの教室の扉を開けた)

ガララー

キィィンッ!

八幡「やっぱりか。予想通りだ」

八幡(どこでもいいから扉を開き、くぐると別の世界へ移動するらしい)

八幡「今度は何が……」

小町「はちまーん!」スパアアアアンンッ

八幡「ごふっ……!」

小町「こんなとこで何やってんのー?」

八幡「何やってんのはお前だ……! 抱きつこうとしてミゾ入ったぞ、ミゾ」ゲホッゲホッ

小町「その口の聞き方はなに?」

八幡「えっ?」

小町「お前、じゃないよね?」

八幡「……?」

小町「お姉ちゃん、でしょ?」

八幡「えっ?」

八幡「あれ、小町お前、妹じゃ、あれ?」

小町「実の姉にお前呼びした挙げ句、さらには呼び捨てとはね! お姉ちゃん的にポイント低いよ!」

八幡「は、はぁ……」

八幡(確かに言われてみると、俺の知ってる小町より大分大人びて見える)

八幡(小町は妹だからこそ、と思っていたが、姉もありか……、っていやいやいや!)

小町「なにーその顔? まるで妹が姉になったみたいな顔して」

八幡(エスパーか? エスパーなのか?)

小町「そんなことよりほら、行くよ」

八幡「えっ? どこに?」

小町「八幡が言ったんじゃん! 今日は可愛いお姉ちゃんとデートしてくれるって」

八幡「自分で可愛いって言うな。っていうかデート?」

小町「忘れちゃったのー? ひどいなぁ。あんなにキリッとした目でカッコ良く『お姉ちゃん、デートしよう』って言ってくれたのに」

八幡「誰がそんなこと言うか」

小町「バレた?」

八幡「嘘かよ」

小町「ハメられた! ズルい!!」

八幡「ズルかねぇよ。騙されるお前が悪いし、何なら先に騙そうとしたのそっちだろ」

小町「お前?」

八幡(あ、ここは地雷なんですね)

八幡「つーか、また変なところに来ちまったな」

小町「ん?」

八幡「いや、なんでも」

八幡(ここも俺の知る世界とは違う。どうやったら元の世界に戻れるのだろう)

八幡(扉をくぐり続ければ、いつかは戻れるのだろうか?)

八幡(……考えても仕方がない。次だ)

八幡(姉になった小町というのも捨てがたいが、やはり小町は妹の方がいい)

八幡(こんな世界は『偽物』でしかない)

八幡(『偽物』がどんなに理想的であったとしても――)

八幡「それでも俺は『本物』が欲しい」

ガララー

キィィンッ!

八幡「……ここは?」

八幡(見たことがない場所に出た。何もない、原っぱだ。どこか現実離れした――)

??「グルル……」

八幡「!?」

八幡「な、なんだ!?」

??「キシャーッ!」バッ

八幡「ぬぉぉっ!?」サッ

八幡「モ、モンスター!?」

八幡(この世のものとは思えない外見、動き)

八幡(それはまるで、RPGに出てくるモンスターのような物体だった)

八幡「くっ!」

??「やぁっ!!」ザシュッ

モンスター「ギャンッ!?」

八幡「えっ……?」

??「もう、あんなのに何やってるのよ」

八幡「……はっ?」

??「ほら、戻るわよ。次の戦いの作戦会議が始まるんだから」

八幡「ま、まさか、ここは……」

八幡(よく考えてみれば見覚えがある。この場所に。何度も目にした場所だ)

八幡(……テレビの中で、だが)

八幡(改めて自分の姿を見てみると、案の定コスプレ紛いの格好をしていていた)

八幡「ありえねぇ……。こんなの……!」

八幡(そしてこの少女にも見覚えがある)

八幡(俺の目の前にいるのは『あの有名ヒロイン』のアス――)

モンスター「キシャーッ!」

??「きゃっ!?」

八幡「くそっ!」バシッ

モンスター「ギャアンッ!!」

??「まだ生きてたのね……。って、その手!」

八幡「はっ?」

??「酷い傷……。素手で戦おうとしたって意味ないってわかってるでしょ? どうしてソードスキルを使わないの?」

八幡(……間違いない。この世界はソードアー……いや、そんなの……)

八幡(早く町に戻ってドアを探さないと、こんなのはやってられない)

??「でも、ありがとね」

八幡「?」

??「そんなになってまで、私のことを助けてくれて」///

八幡「」

――

――――

ガチャッ

キィィンッ!

八幡「……今度は普通みたいだな。また学校か」

八幡(町に着いて身近にあったドアを開けると、予想通り世界を移動したらしい)

八幡(あの世界にあるドアがどれもスライド式じゃないせいで若干不安があったが、扉であればなんでもいいらしい)

八幡(しかしさっきの少女や一色、雪ノ下にしても、どうしてあんなにも『ベタ惚れ』なのだろうか)

八幡(まるで『好き』という『記号』が貼り付けられているみたいだ)

八幡(人からの好意は純粋に嬉しいもののはずだ)

八幡(そのはずなのに、そこに薄ら寒さにも似た浅はかさを感じてしまうのはなぜだろう)

八幡(ただ俺が疑心暗鬼になってしまっているだけか、それか好意の対象が俺ではなく彼女たちの知る俺の知らない『比企谷八幡』だからなのか)

八幡(それとも……、いや、今は深くは考えまい)

八幡「願わくは今度こそ――」

陽乃「比企谷くんはろはろー!」

八幡「ゆ、雪ノ下さん!?」

陽乃「どう? 『偽物』の世界は?」

八幡「えっ?」

八幡「雪ノ下さん、何を……?」

陽乃「ふふっ。それはね、内緒♪」

八幡「内緒って……」

陽乃「でも一つだけ、言っておくね」

八幡「はぁ」

陽乃「君は『偽物』だと思ってるみたいだけど、そんなことを言ってもいいのかな?」

八幡「はい?」

陽乃「とりあえず今はそれだけかな。じゃあねー」

八幡「ちょっと待ってください、雪ノ下さ――」

キィィンッ!

八幡「――ん……」

八幡「今の音、また変わったのか……?」

八幡(俺は扉を開けていない。なのに変わったということは、やはり陽乃さんが何かしたというのが妥当なところだろう)

八幡「よくわからねぇな……」

八幡「…………?」

八幡「……なんだ? この雰囲気の悪さは?」

書き溜めが切れたのでここまで。
八幡の抱き枕欲しかった。

――

――――

八幡A「…………」カチッカチッ

いろは『……れ?……しか……て比企谷……ぱい……すか?』

八幡A「…………」カチッカチッ

八幡B「また読んでるのかそれ」

八幡A「別に良いだろ。好きなんだから」

八幡B「飽きないのか?」

八幡A「良い物語は何度読んでも味わいがあるものだ」

八幡B「そうかい」

八幡A「……平和だったよな」カチッカチッ

八幡B「なにが?」

八幡A「この頃」

八幡B「あぁ、そういうことか」

八幡A「今じゃあんなんだぞ」チラッ

ワーワー ギャーギャー

八幡B「嘆いたって無駄な話だろ」

八幡B「諸行無常、盛者必衰」

八幡B「みんなが通ってきた道だ」

――

――――

八幡「…………」トボトボ

八幡(校内の生徒たちの表情が心なしか暗く見える。明るさがウリのリア充どもも、一言も言葉を交わさず目が血走っていた)

八幡「今度は何だってんだよ……」

男「!」キッ

八幡「ひっ!?」

男「チッ」 

八幡(俺の独り言に過剰とも言えるほどの敵意をあらわにし、それからわざとらしい舌打ちとともに去っていく)

八幡(どうやらまた、俺は元に戻れないようだった)

八幡(何なんだよ。校内でバトルロワイヤルでもやってんの? 2の途中で監督死んじゃうの?)

八幡「ある意味これまでのどれよりも長居したくないな。早く扉を……」

八幡(ここからなら部室が近いか)

八幡「なんだかよくわからんがさらば、この世界」ガララー

八幡「…………」

八幡「……あれ?」

雪乃「ひっ!? ひ、比企谷……くん……!」

八幡「なんか……あれ……?」

八幡(これまで世界を移動する時に感じていた感覚が、今回は何もなかった)

八幡(と言うよりも……)

八幡「変わって……いない……?」

雪乃「どうして、あなたが、ここに……」

八幡「はっ?」

雪乃「もう、ここには来ないって言ったのは……、あなただったでしょう……? なのにどうして……? どうして……?」

八幡(そう言う雪ノ下の顔は今にも泣き出しそうなくらい弱々しい)

八幡「俺が、ここに、来ない?」

雪乃「どうして? もうあなたは私を、私たちを許してくれないのに、どうしてここにいるの?」

八幡「雪ノ下? 何を言って――」

雪乃「足りないの? 不十分なの? こうなってもまだ、罰が足りないとあなたは言うの?」

雪乃「ねぇ、どうして、どうして、どうして、どうして、どうしてどうしてどうしてどうして」

八幡(弱々しいというのは違ったようだ。この雪ノ下はそうとう精神的にキてる)

八幡(その原因が俺にありそうな感じでもあるが……)

八幡(俺がもうここに来ない、と雪ノ下は言った。とりあえず雪ノ下から話を聞けなければ現状を打開する手だても思いつかない)

八幡「俺はどうしてここに来ないと言ったんだ?」

八幡(我ながらふざけた質問だな、これ)

雪乃「あなた、何を言っているの?」

八幡「いいから、答えろ」

雪乃「……修学旅行の時のことが、原因だと言っていたじゃないの」

八幡「修学旅行?」

八幡(全く予想外の単語が飛び出してきた。それでどうして俺が奉仕部へ行かない理由になる?)



雪乃「あなたが問題を解決したのに、私たちがあなたに酷い言葉を浴びせて、それで怒って……じゃ、ないの……?」



八幡「…………」

八幡(開いた口がふさがらない、とはまさにこういうことを言うのだと、俺は思った)

八幡(スマホを開き日付を確認する)

八幡(年は、越えてるよな。……てことは、え、マジか)

八幡「なんだそりゃ!?」

八幡(思わず声がひっくり返る)

雪乃「えっ?」

八幡「そんなんでここに来なくなったのか!?」

八幡(考えるほど頭痛がしてくる。そんなんじゃ自分の非を認めているも同義だし、てか逃げと一緒じゃね?)

八幡「幼稚とかそんなレベルじゃ……」

雪乃「えっ、えっ?」

八幡「すまん、あまりにもあれで頭痛くなってきた。ちょっと外出てくる」ガララー

雪乃「比企谷くん!?」

バタン

八幡「くそ……!」

八幡「予想以上に頭が悪くて幼稚な話だった……!」

八幡「勘弁してくれよ、俺がそんなことをしたのかよ……!」

八幡「てかもう恥ずかしくて人前に出られねぇ! 死にてえ!」

八幡(何やってくれてんの!? ここの俺!?)

八幡(少なくともあれはああするしかなかったけど、それでも最低の手段だろ!)

八幡(それを咎められて挙げ句の果てに拗ねて逃げるって、ああああああっ!! 恥ずかしい! てかもう痛い!!)

八幡「もう嫌だ、元の世界に帰りたい……」

――

――――

八幡A「そういえばあいつは? どうなった?」

八幡B「今か? 今は……」

八幡『あああああああ……っ!!』

八幡B「悶絶してる」

八幡A「だろうな」

ここまで。

生存報告だけしておきます

――

――――

八幡「こっからどうしろと」

八幡(他のやつにも、由比ヶ浜とかに聞いてみたが、得られた情報は雪ノ下のと寸分変わらない)

八幡(そしてさらなる驚くべき事実)

八幡(この世界の人間はそんな俺の言動を肯定しているようだ。なんやて!?)

八幡「あまりにもいろいろ都合良すぎんだろ……」

八幡(人間の欲求を努力なしに悪い方向で忠実に叶える世界、と考えるとどこか納得がいく)

八幡(そういえば前に授業で欲求には階層があるなんて話を聞いたな)

八幡(その論法だと第三以上の階層が入り組んだ欲求が現出している世界とも言えるのかもしれない)

八幡(哲学用語使うと何だか賢く見えるな。今の俺、超マズロー)

??『君は、誰だ?』

八幡「はぁ?」

八幡(誰かに声をかけられたような気がしたが、周りを見渡しても人影一つ見えない。なに、今度は幻聴? なにそれやばい)

??『そっちじゃない、右、右』

八幡「右……?」

八幡「!!!」

八幡(向いた先にあるのは、一枚の鏡。そしてそこに写っているのは、どういうわけか――)

??『どうして君がいるんだ?』

八幡「それは俺のセリフだ」

八幡(――葉山隼人だった)

八幡(鏡に本来俺がいるべき場所に葉山がいる。さっきから突拍子もないことばかり起こるせいであまり驚きはなかった)

葉山『その感じ……、君は比較的まともな方なのかな』

八幡「お前は何やってんだよ」

葉山『多分君と同じだよ』

八幡「はっ?」

葉山『君もいろんなところを飛び回ってるんだろう?』

八幡「!!」

八幡「ということはお前も!?」

葉山『君が飛び回っているのは、ヒキタニ君にとって都合の良い世界だろう?』

八幡「……あれを都合の良いというかはわからんがな。」

葉山『俺は君とは正反対だよ』

八幡「正反対?」

葉山『どこへ行っても、俺に待っているのは悲惨な世界だ』

八幡「いや、結構俺も悲惨なんだが」

八幡(そう言うと葉山は嘲るような笑みを浮かべた。彼のこんな表情を見たことがない)

葉山『そうか。なら、そうなんだろうな』

八幡「?」

葉山『まぁ、不幸自慢は好きでもないしこの辺りにしておこう』

八幡「おぉ……」

八幡(それにしてもこの葉山は普段のこいつらしくない。鏡の中にいるとか関係なしに酷くやつれていて、比喩的ではなく本当に今にも死んでしまいそうだ)

葉山『これは君が仕組んでいるのか?』

八幡「仕組む? 俺が? むしろお前が何かしてるんじゃないのか?」

葉山『俺が仕組んでいる? そうか、そうなのかもしれないな。これが俺に相応しい罰なのかもしれないな』

八幡「どうしたんだよ。お前らしくもない」

葉山『俺らしいって何だ? この惨たらしい姿が俺らしいのか? なぁ、比企谷。どうして君はそんなに恵まれているんだ?』

八幡(会話が成り立っていなかった。葉山は俺と話しているはずなのに、どこか別の誰か、いや、別のナニカと話しているようだった)

葉山『俺が何をしたって言うんだ? これほどの罰を受けるほどの罪を犯したのか? 君と俺の根本に差異があっただろうか』

八幡「お、おい。どうしたんだよ……」

葉山『俺たちのいる世界の神様は物事を短絡的に見ることしかできないらしい。罪も罰も幸福も不幸も正義も悪も酷く独善的で、ご都合主義にまみれている』

八幡(目の焦点すら俺に合わなくなっている。俺の目を見ているはずなのに、俺を見ていない。ずっと奥にある他のナニカを睨みつけているようだ)

葉山『何も見えていない。人は物事を自分の見たいように、望むようにしか認識できない』

八幡(かつて俺が似たようなことを口にしたことがある。しかしその時以上の皮肉と恨みが込められている)

八幡「葉山、お前に一体何があったんだよ?」

葉山『そこにいる俺に聞けばいい。きっと本質に大差はないからね。……生きているかどうかも怪しいけど』

八幡「はっ?」

葉山『一つの事実が示すのは一つの真実じゃない。むしろ多数の側面を孕んでいる』

八幡(葉山の声がかすれ始める。何か、他の声が混ざっている)

葉山『俺という事象もまた同じだ。俺は俺であって俺でない。君も同じだ。君も君であって、君ではない。誰もがその人たり得る。しかし本物ではない』

八幡(混ざり始めた声が鮮明になりつつある。そして同時に葉山の声と姿が薄れ始め、別の人影が形作られていく)

葉山『その意味では俺も君も本質的には同じ偽りから生まれた存在だ。俺の知らない俺も、君の知らない君も、俺自身も、君自身も』

??『その意味では俺もお前も本質的には同じ偽りから生まれた存在だ。俺の知らない俺も、お前の知らないお前も、俺自身も、お前自身も』

八幡(徐々におぼろげな影がその正体を明らかにする)

八幡「お前は……っ」

??『なら俺の存在に一体何の意義を見いだせばいいんだ? この世界に、この現象に、何の意味があるんだ?』

??『なら俺の存在に一体何の意義を見いだせばいいんだ? この世界に、この現象に、何の意味があるんだ?』

八幡「俺……?」

八幡『『なぁ、一つだけ聞く』』

八幡『『もしも自分の周りがすべて偽物なら』』

八幡『どうして、自分だけが本物だと言えるんだ?』

八幡(いつの間にか鏡に映る人物は、俺自身へとすり替わっていた)

――

――――

八幡B「…………」スッスッ

八幡A「お前何読んでんの?」

八幡B「ん、これ」

八幡A「げっ、俺がダメなやつだ。よく読めるな、そんなの」

八幡B「勧善懲悪ものが好きだからな」

八幡A「勧善懲悪って……。物は言い様だな」

八幡B「それに……」チラッ

ギャピーワキークズヤマーウォーセイサイーワキャー

八幡B「もっと面白いものも見れるしな」

八幡A「……歪んでるよ、お前」

ここまで。
間を空けたせいで何を書きたかったのか忘れて迷走中。

――

――――

八幡(気付けば鏡の中の自分は元に戻っていた。右手を挙げれば左手を挙げるし、変な顔をすれば一人でにらめっこもできる)

八幡「……なんだったんだ、今のは?」

八幡「葉山も相当酷い状況のようだが……」

八幡(とりあえず探しに行くとしよう。あの話からすると鏡の中の彼とは別人のようだが、それでも現状の把握は必要だ)

八幡「ドア開けても変わらねぇしな」

八幡(しかしどれだけ探しても葉山の姿は見つからなかった。時間的に放課後の今はグラウンドにいるはずだが、サッカー部の中にその姿は見えない)

八幡「……なんか嫌な予感がするな」

戸塚「あっ、八幡だ。何してるの?」

八幡「おお、よう。あれ、部活じゃねぇの?」

戸塚「今は休憩中だよ。そしたら八幡が歩いてたから」

八幡(わざわざ休憩中なのに話しかけてきてくれるとかマジ天使。結婚した……いや、戸塚は男だ戸塚は男だ)

八幡「いや、ちょっと葉山を探しててな。見なかったか?」

戸塚「えっ?」

八幡(俺が『葉山』という名前を口にした瞬間、戸塚の顔が凍り付いた。この反応は雪ノ下がいなかった時の由比ヶ浜のにも似ているが、しかしながらどこか違う)

戸塚「なんで八幡がそんなことを聞くの……?」

八幡「な、なんでって」

戸塚「忘れられるわけ、ないのに、どうして……」

八幡「戸塚……?」

戸塚「ごめんね、ちょっと……もう」ダッ

八幡「お、おい、戸塚!?」

八幡「なんだっていうんだよ……」

八幡(嫌な予感が頭の中に膨らんでいき、そしてある事実を確かめに俺は向かった)

八幡(俺たちのクラス、2年F組の教室へ)

八幡「こんなの、バカげているよな……」

八幡(そこにあるクラス名簿を手に取る。そこにはここに在籍している生徒の名前は全て書いてあり、もちろん彼の名前も記されているはずだ)

八幡「……っ!」

八幡「嘘だ……ろ……?」

八幡(何度も何度も一覧の中を見渡した)

八幡(しかしどれだけ探しても、葉山隼人の文字は記されていなかった)

三浦「ヒキオ……?」

八幡「!?」

三浦「何してんの?」

八幡「いや、少し……」

三浦「……ふーん」

八幡「一つ、聞いてもいいか?」

三浦「なに?」

八幡「どうしてここに葉山が載っていないんだ?」

三浦「あんたね……っ!」

八幡(俺が聞いたその瞬間、三浦の目の色が変わった)

三浦「全部、ヒキオがやったんでしょ!」

八幡「俺が……?」

三浦「しらばっくれるんじゃないよ!!」

八幡(三浦の声は有無を言わさぬと言わんばかりだった)

三浦「あんたが、全部……! だから隼人は……っ!」

八幡「ちょ、ちょっと待ってくれ」

三浦「あーしは忘れない! 他のみんなは自業自得だって言うけど、あーしだけは知ってる! ヒキオが何をしたのかも何もかも!」

八幡(聞く耳を持たずに俺の胸ぐらを掴み、言葉を吐きかける。今にも殴りかからん勢いで思わず身がすくんでしまう)

??「はーい、ちょっとストップー」

三浦「あんた……、雪ノ下の……」

陽乃「うん、お姉ちゃんだよ♪」

八幡「雪ノ下さん? どうしてここに」

陽乃「面白かったから見てたけど、ちょっとヒートアップし過ぎかな。君も、気持ちはわからなくないけど――」

三浦「あんただって!!」キッ

陽乃「あ、そうか。ここだと私も一枚噛んでることになってるんだっけ。随分なキャラ崩壊な気がするけど」

三浦「はぁ? あんた何言ってんの?」

陽乃「まぁ、君が隼人の恨みをこの比企谷くんにぶつけるのは筋違いだよ。だからもらってくね」

三浦「ちょっと。あーしがヒキオと話してる最中なんだけど?」

八幡(なんか目の前で軽く修羅場ってませんこれ? でもどうしてだろう。全く嬉しくない)

陽乃「でも、警告しておくね。ここにいる人間なら比企谷くんに恨みを買うようなことをしちゃダメだよ? 隼人みたいになりたくないならね」

三浦「はっ?」

陽乃「まぁ、この比企谷くんには何しても問題ないからこれはノーカンだけど」

三浦「ねぇヒキオ、この人何言ってるの?」

八幡「いや、俺もわかんねぇよ」

八幡(普段から意味不明なことを言う人だが、今回はそれに輪をかけてさらにわからない)

陽乃「じゃあ、バイバイ」

キィィンッ!

――

――――

八幡B「しかしながら考えてみたんだが」

八幡A「なんだ?」

八幡B「どうして空想の物語において勧善懲悪が王道なんだろうと」

八幡A「まぁ、確かに王道だな。映画でも小説でも漫画でも、王道と言えば最後は主役の勝利に終わるものを指すし」

八幡B「ではなぜか」

八幡A「何となく想像がつくが、なんでだ?」

八幡B「現実がそうじゃないからだ」

八幡A「そう言うと思ったよ」

八幡B「現実は必ずしも正義が勝つと限らない。……いや、違うな。『自分』が勝つとは限らない」

八幡A「おい、かなり意味が変わったぞ」

八幡B「いいんだよ、んなことは。だからこそ空想の世界の主役と自分を同一視して、虚構の勝利を疑似体験することによって幸福感を得るんだ」

八幡A「バッドエンドものが嫌われる理由もそれか」

八幡B「そう。そもそもの需要と供給的な時点で存在すべきじゃない。……それを好む変人が一定数いるのも否定できない事実なんだが」

八幡A「お前、今結構な数の人間を敵に回したぞ」

八幡B「どうしてわざわざ嫌な話を聞いて、気分を害したがるのか、全く理解できない」

八幡A「その辺にしておけ!」

八幡B「さて、話を戻すと。勧善懲悪というものは現存し得ない。故に空想の中で実現するためには、現実を歪める必要があるよな」

八幡A「つまり現実離れしたキャラクターや事象なしにそれは有り得ないってことか」

八幡B「その通り」

八幡A「言いたいことはわかった。でもそれに何の問題があるんだ? それはずっと昔からあることだろ」

八幡B「見てみろよ」

ワーギャーキマシタワーワァーッ!!

八幡A「ん? ああ、あれか」

八幡B「恨みや妬み、怒りや苦しみから生まれた歪んだ勧善懲悪を是とする輩。今はもうそんなのばかりだ」

八幡A「それ以外にもなんか変なのも混ざってたような……」

ガンガンガンッ!

八幡A「ひっ! ……これもう時間の問題だよな」

八幡B「負の感情を発端とした現象は際限なく肥大化していく。自己顕示欲が伝染して集団的に他者に害を為し、時にはある特定の個人を死に追いやるように」

八幡A「赤信号みんなで渡ればなんとやらってやつだな」

八幡B「思想が人から人へと伝染するように、空想もまた伝達され他者の空想を染める。自己の承認欲求が満たされないことが根幹にある精神の集合体の中で、自らの欲求の充足を目的としたそうした傾向が生じるのはむしろ自然な話だろう」

八幡A「じゃあ空想が人に害を為すって?」

八幡B「空想は形になった途端にはっきりとした実体を持って出現する。その時点でそれはもう危害を与える現実の存在と何一つ変わらない。実際にそれで何人の物語が、いくつの空想が打ち壊されていった?」

八幡A「…………」

ガチャンッ、グシャリッ、バリィンッ!

八幡B「もう終わったんだよ、俺たちは。正確に言えば『これから終わることが決まった』んだ。今までと同じように、寸分変わらずに」

八幡A「……なぁ」

八幡B「なんだ?」

八幡A「本来『比企谷八幡』という人間は、ああやって徒党を組んで、って言うのを嫌っていたはずなのに。そのフォロワーが今こうやって集団となって自分達にとっての『敵』を攻撃している。皮肉な話だと思わないか?……」

八幡B「あいつらにとっての『比企谷八幡』はそういうものなんだろ」

八幡A「何を見てきたんだろうな」

八幡B「そういう見方だってあるってだけだ。人の感性を自分の考えで否定するのは傲慢な考えだぞ」

八幡A「……そうかよ」スッ

八幡B「最後までそれ読むのな」

八幡A「……どうしようもないもんな」

ガチャンッ

――

――――

キィィンッ!

八幡「……ここは?」

陽乃「どこだと思う?」

八幡「学校……のはずですけど、何かが……」

陽乃「変?」

八幡「…………」

八幡(言葉を返す気はなかった。何かを口にすることで心の中を見透かされるのが嫌なのだ。無駄な抵抗な気がしなくもないけど)

陽乃「無視かー。面白くないのー」

八幡(何かがおかしいのはわかっている。それがどこにあるのか、視界の端に映る窓の外なのは、わかっていた)

八幡(しかし直視するべきでないと本能が告げていた。そこにあるのはこれまでとは比べ物にならないほどの異様な光景であると直感している)

陽乃「……ふふ、やっぱり比企谷くん面白いね」

八幡(困惑する俺の姿が滑稽で仕方ないのだろう。わかる。体育で準備運動組む相手がいなくて挙動不審なやつとか超面白いもん)

八幡(いや、撤回。それ俺じゃん)

陽乃「さてと♪」

八幡(陽乃さんは唐突に足を止めた。しかし何も発さない。ただ黙って振り向くこともせず時間が過ぎていくのを楽しんでいる)

八幡(窓の外を見ろ)

八幡(陽乃さんの背中が、態度がそう告げていた)

八幡「……くそ」

八幡(どちらにしろ逃げられないのは確定だ。この現象を起こしているのが陽乃さんであるならば、巻き込まれている俺にできることは服従以外にない)

八幡「……えっ?」

八幡(何が起こっていても驚かないつもりでいた。例え窓の外の世界が滅びていようと、戸惑うまいと)

八幡「なんだよ……これ……っ!?」

陽乃「ふふっ♪ 予想通りの反応だね」

八幡(陽乃さんの言葉が耳を通り抜ける)

八幡(だってそうだろう?)

八幡(誰が予想するものか)

八幡(窓の外に、何万もの自分がいるなんて)

八幡(そこに俺以外の人間は皆無だった。全てが俺)

八幡(どこを見ても俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺。)

八幡(俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺)

八幡(俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺)

俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺。

俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺。



俺の知らない俺がイル。



八幡「う、うわぁぁぁあああああああああああぁぁぁっっ!!!!!」

八幡(俺が、俺が、どこを見ても、俺が、世界を埋め尽くしている。異常だ。異様なんて可愛いものじゃない。異質なんて生易しいものじゃない)

八幡(俺しかいない、世界)

八幡「何なんだ……これは、何なんだよっ」

陽乃「全部『君』だよ。『比企谷八幡』くん」

八幡「あり得ない……! こんなの……これは……っ!」

陽乃「まぁ、ちょっと嘘だけど」

八幡「はっ?」

陽乃「みんな『君』であって、『君』ではない。……もっとわかりやすく言うなら『比企谷八幡』のなり損ないってところかな」

八幡「なり損ない……?」

八幡(クローンとかで大量増殖したの俺?)

陽乃「『比企谷八幡』になりたい人みんなが『比企谷八幡』という器を使った結果だよ」

八幡「器……?」

八幡(陽乃さんの言っていることが何一つ理解できなかった。文法的な間違いなんてどこにもないのに、何も頭の中に入ってこない)

陽乃「でも人は自分自身以外にはなれない。だからなり損ないなんだよ、『比企谷』くん」

八幡(目の前の陽乃さんが紡ぐ言葉が意味不明すぎて、最早彼女の存在そのものも俺にとっては恐怖となっていた。逃げるように視線を泳がしてもその先には無数の俺の姿がある)

八幡(全く同じ人間が、しかもそれも自分が闊歩している。それがそこでは普通に行われているのが逆に不気味さを増していた)

八幡「……ん?」

八幡(ふとしたところで何かが目に止まる)

八幡(絶え間なく動く中、唯一微動だにしない人影があった。いや、二人だから唯一というのは間違っているかもしれないが)

八幡「……うっ!」

八幡(動かないのも当然だ。あんなにされて人間が動くわけがない)

八幡(全身を滅茶苦茶に打ちのめされて真っ赤な血で染まった二つの『俺』の死体が、街頭の中心に横たわっていた)

ここまで。

今日の23時くらいに更新します。
できるように頑張ります。

八幡「雪ノ下さん……あれ……!」

陽乃「んっ?」

八幡「俺が、二人……、あそこに、倒れ……」

陽乃「んん? んー、あー、あれね。うん。よくあることだよ」

八幡「えっ?」

陽乃「あっちを見てみて」

八幡(陽乃さんの指差す先へと目を移すと、そこには『俺』が何百人も集まった集団があった。会合のようなものを開いているようだ)

陽乃「ああいうのがたくさんいるからね。ちょっとでも余計なことをしたら、ああなっちゃうんだよ」

八幡「それにしたってあんなのは……」

陽乃「あれだけじゃないよ。もっとよく見てごらん」

八幡(言われたとおり窓の外をじっくりと俯瞰する。自分が大勢いるという状態に慣れつつあるせいか、冷静になってみることができる)

八幡(俺がたくさんいるとは言っても、そこには若干の違いが見て取れる。顔かたちや髪の色、背の高さなどが様々だ)

八幡(てか、なんて五人に一人くらいメガネかけてんの俺。一度もかけた記憶ないんだけど)

陽乃「ね、違うでしょ?」

八幡「……メガネ率たけぇ」

陽乃「比企谷くんの腐った目を隠せばモテるって思ってる人が多いからね。もっと本質的なところがアレなのに」

八幡「それ何のフォローにもなってないんですが」

陽乃「事実だし」

八幡「事実ですけど」

八幡「……何やってんだあれ」

陽乃「どれのこと?」

八幡「何かに石とかをひたすら投げている集団がいるような」

陽乃「よくあることだよ。前にも言ったことなかったっけ? 集団を団結させる存在の話」

八幡「明確な敵、でしたっけ」

陽乃「そう。よく見てみて?」

八幡「? ……あ、投げたものがすり抜けている……っ!?」

陽乃「実体があるかどうかなんてもうどうでもいいんだよ。それで団結している集団が存在していると、自分たちがそこに属していると錯覚ができれば」

八幡「存在しない敵を攻撃するために団結しているって……?」

陽乃「ある意味合理的じゃない? 誰も傷つかない世界の完成だよ?」

八幡(なんでそれ知ってんのこの人)

八幡「……それにしたって端から見たら」

陽乃「それは言っちゃいけない約束だよ、比企谷くん」

八幡「……というか、恨む相手がなんであれなんですかね」

八幡(彼らが一心不乱に投げる先にあるのは巨大な円筒形だ。上面に突起物がついているのが見える)

八幡(あれはまるで……)

八幡(……いや、皆まで言うまい。野暮な話だし、意味も理由もわかりたくない)

陽乃「外で充電切れにでもなったんじゃない?」

八幡(言っちゃったよこの人!)

八幡「……いろんなのが、いるんですね」

陽乃「だから言ったでしょ? 『なり損ない』だって」

八幡「…………」

陽乃「でも、みんな『比企谷八幡』になりたいって、そう願ったが故のこの現状なんだよ」

八幡「でもこんなの……っ」

陽乃「『俺』じゃないって?」

八幡(ああ、またか。この人にはすべてお見通しなのか)

陽乃「じゃあ君は誰なの?」

八幡「質問の意味がよくわかりませんが……」

陽乃「そんなに難しいことを聞いたつもりはないよ。シンプルな質問」

八幡「比企谷八幡、というのが望んでいる答えですか?」

陽乃「うん、そうだね」

八幡「俺が別人とでも言いたいんですか? 顔も声も何もかもが俺ですし、それに人は自分自身以外にしかなれないって言ったばかりじゃないですか」

陽乃「比企谷くんの言っていることは何一つ間違っていないよ。でもね」

八幡「はい?」

陽乃「今の君は比企谷くんじゃないよ?」

葉山「はっ? ……ってあれ?」

陽乃「確かに比企谷くんの言う通り、個人を個人たらしめるのは多くのものが必要で、否定するにはそれら全ての否定が必要だよね」

葉山「俺は……!? どうしてこんな……っ」

陽乃「ではそれは不可能かと問われればそうでもない。人がその人であるのは他人による認識が必要不可欠なんだよ。聞いたことない? 『人は二度死ぬ』ってセリフ」

葉山(聞いたことがある。昭和の作家の言葉だったはずだ)

葉山(一度目は肉体が滅んだ時で、二度目は人から忘れ去られた時。某少年マンガのおかげで知名度も高い文句の一つだ)

陽乃「ある個がその自我を保つとは、その個以外の存在から異なるものであるということを認識され、承認されること。そしてここはそもそもが第三者の認識によって成り立っている場所」

葉山「何が……言いたいんですか……?」

葉山(俺はついさっきまで『比企谷八幡』だったはずだ。なのに今の俺はなぜか『葉山隼人』だ)

葉山(なんと言えばいいんだろう。自分で自分の定義ができない)

葉山(俺が『比企谷八幡』だったという記憶は存在しているのに、俺の認識は自分が『葉山隼人』だと言っている)

陽乃「その認識は記号一つで簡単に瓦解しちゃうからね。キャラクターのアイデンティティなんてものは、作為的な錯誤によって容易に消えてなくなっちゃうくらいに脆弱なんだよ。だから――」

雪乃「こんなこともできるわ」

葉山「!?」

葉山(目の前の雪ノ下さんの姿が何の前触れもなく雪ノ下へと変わった。姿形や声も何もかもが雪ノ下雪乃そのものだ)

雪乃「世界なんて結局は実在しているわけではなく、あなた自身の脳内で形成された幻に過ぎないもの。だからその取っ掛かりが変わってしまえば世界なんて」

平塚「簡単に変わるんだ」

葉山「……っ!」

葉山(最早言葉にすらならない。目の前にいる人間が次々と別の人物へと成り代わっていく)

いろは「じゃあ先輩はそんなところでどうやって自分を自分であると言うんですか?」

小町「今、小町の前にいるのは誰なのかな?」

結衣「ヒッキー? それとも隼人くん?」

葉山「なんなんだよ……っ! これは……、こんなの……っ!」

陽乃「あーあ、めんどくさくなっちゃった。元に戻ろっと」

八幡「……!?」

八幡(唐突に全身に懐かしい感覚が戻る)

八幡(今の俺は、自分が『比企谷八幡』であると自覚できる)

八幡(それでも別人になった奇妙な感覚がへばりついていて気分が悪い)

陽乃「認識によって成り立っている世界は、別のものだと錯覚させてしまえば途端に輪郭がぼやけちゃう」

陽乃「実際そうでしょ? この世界を記号によって知覚し脳内で形成している君ならわかると思うけど」

陽乃「そうだよ。君に、話しかけているんだよ」

八幡「雪ノ下さん……?」

陽乃「あ、ごめんね。ちょっと別の人と話してた」

八幡「別の人……?」

八幡(辺りを見渡しても当然誰もいない。ここには俺と陽乃さんの二人以外、誰もいないのだ)

陽乃「まぁ比企谷くんには関係ない話だよ。さてと、話を戻すとね」

八幡「は、はぁ……」

陽乃「こんな風にちょっとしたことで君は誰にでもなれる。そんな数バイトで定義される不安定な存在の君は、はたして本物なのかな?」

八幡「本物って……、そうじゃなかったら何だって言うんですか」

陽乃「わかってるくせに。本物じゃないならそれは、偽物だよ」

八幡「偽物……」

陽乃「そう」

八幡「俺が、偽物……。……何を言っているんですか」

陽乃「じゃあ逆に聞くけどね。今君は隼人になった。目の前にいる私はいろんな別人になった。そんな超常現象を体験している君が、本物の『比企谷八幡』なの?」

八幡「そんなの……っ」

陽乃「本当は全部わかっているくせにー」

八幡「そんなこと……」

八幡(ああ、わかっている。何ならこの異世界漂流の途中から薄々気付いていたまである)

八幡(それでも気づかないフリを続けたのはなぜか。原因は一つに収束する)

八幡(恐怖だ)

陽乃「本物の比企谷くんがこんな目に遭うわけがないでしょ? ファンタジーの世界の住人でもないのに」

八幡「…………」

八幡(そんなの、当たり前の話だ。本来の俺はもっと現実的な世界に生きる、もっとひねくれた性格を持った高校生だ。こんな世にも奇妙な物語にもなりそうな事件に巻き込まれることは、到底あり得ない)

陽乃「そんな偽物の比企谷くんと話している私も同じように偽物だし、関わってきた人間もみんな偽物なんだよ」

八幡「みんな偽物……」

陽乃「そう。君が嫌った嘘と欺瞞の存在なんだよ」

八幡「……う」

陽乃「ん?」

八幡「……違う」

陽乃「えっ?」

八幡(この異変に巻き込まれてからずっと考えてきた)

八幡(どれだけ認めたくなくても、思考することはやめてくれなかった)

八幡(もしも俺が偽物であったとして、はたしてそれで俺の存在が嘘であると言えるのか)

八幡(否。『俺が今ここにいる』という事実は、決して否定し得ない)

八幡(俺は本物の『比企谷八幡』ではないのかもしれない。それでも『俺』という意識が存在していることは紛れもない事実だ)

八幡(『我思う、故に我あり』)

八幡(懐疑主義の泥沼に陥ったデカルトが見つけた唯一無二の真実)

八幡「『俺』が今ここにいることは嘘じゃない」

陽乃「でも、君は本物じゃないんだよ? なりたがってなり損なった、あの辺にたくさんいるのと同じ偽物」

八幡「……確かに、俺は本物の『比企谷八幡』じゃないのかもしれません」

八幡「でも、この世界にとっての『比企谷八幡』は俺なんですよ」

陽乃「?」

八幡「この世にも奇妙な物語にありそうな世界の中では俺は本物なんです」

八幡「逆にここにオリジナルがいたとしたら、そのオリジナルこそ偽物と言われるべきでしょう?」

陽乃「発想の転換だね。屁理屈とも言えるけど」

八幡「でも、事実じゃないですか」

陽乃「君は偽物は嫌いだとばかり思ってたけど」

八幡「別に好きじゃないですよ。でも俺に関係ないところの話ならわざわざ躍起になって否定なんてしません」

陽乃「ならなおさら、今の君は君自身が最も嫌う存在なんじゃないの?」

八幡(そうだ。自己矛盾を起こしてしまっていることは自覚している)

八幡「でも俺が、この世界が俺を『比企谷八幡』であると定義すれば、この世界にとっての俺は本物なんです」

陽乃「……?」

八幡「雪ノ下さんの口振りから察するに、この世界にとっての唯一無二の『比企谷八幡』は俺なんですよね?」

陽乃「……それは、あの有象無象と比較して言っているの?」

八幡「そうですよ」

陽乃「それはまぁ、この書き方はそうなんだろうね」

八幡「物事の真偽を相対的に決定するのだとすれば、俺らの世界を、俺を偽物と言及できるのは、その外部にある本物によってのみ」

八幡「つまりそれを抜きにして単体の、ある個体として考えればこれが本物なんです」

八幡(あまりにもムチャクチャな暴論だ。徹頭徹尾破綻してしまっている。でもそうでもしないと現状の肯定なんて無理難題はできやしない)

陽乃「へぇ。君ってそんな相対主義だったっけ?」

八幡「……どうでしょうね」

陽乃「ふぅん……。なるほどねぇ。同意はできないけど否定もしないよ」

八幡「でも……」

陽乃「でも?」

八幡「……いえ、なんでもないです」

陽乃「元の世界に戻りたい?」

八幡「!」

陽乃「いいよ、別に」

八幡「…………」

陽乃「ま、それも――」

八幡「偽物でも構わないですよ」

陽乃「……そう。君はそういう風に捉えるんだね。うん、わかった」

八幡「いいんですか?」

陽乃「見たいものは見れたからね。いろんな状況に陥って混乱する姿!」

八幡「そんな嬉々として言うことですか」

陽乃「もうちょっと本当のことを知って驚いて欲しかったけどな。ヒントを出し過ぎちゃった。失敗だね」

陽乃「じゃ、バイバイ」

八幡「雪ノ下さんは――」

陽乃「『私』はいないよ? こんなことができる『雪ノ下陽乃』は君の偽物にはいないからね」

八幡「……そうですか」

陽乃「同情とかしてるならそれは君の勘違いだよ?」

八幡「……!」

八幡(まただ。しかしもうここまでやられると驚きはしない)

陽乃「じゃ、そっちの私と雪乃ちゃんによろしくねー」

八幡「まっ――!」

キィィンッ!

――

――――

八幡「……ん」

結衣「あ、ヒッキーやっと起きた!」

八幡「ここは……部室?」

雪乃「寝ぼけているのかしら。あなた、ずっとここで寝ていたのよ」

八幡「寝てた……」

結衣「そうだよ。何だかうなされているみたいだったけど、怖い夢でも見たの?」

八幡(夢……だったのだろうか。今までの出来事は全部)

八幡(徐々に思い出してくる。そうだ、放課後俺はここに来て、珍しく他に誰もいなくて、昨日の夜更かしが原因の睡魔に襲われて……)

八幡(……と同時に夢の内容が薄れていく。さっきまで俺は――)

八幡「……さぁ、もうよく覚えてねぇよ」

雪乃「そう。夢なんてそんなものよね」

結衣「あたしもすぐに忘れちゃうなー。たまに良い夢だったりすると残念って思う!」

八幡(もしもあれが夢でなく現実だったとしたら……)

八幡(……いや、今となってはもう無意味だ。胡蝶の夢と何ら変わりない空想でしかない)

八幡(同様に今の世界や俺自身が偽者であるかどうかもまた判断し得ない)

八幡(まぁ、どちらにしても変わらないが)

雪乃「ねぇ、葉山くん」

葉山「えっ?」

八幡「今、なんて……」

雪乃「どうしたのかしら、ヒキガエルくん。そんな比企谷くんに飲まれたような顔をして」

八幡「もはや訳がわからないんだが」

八幡(……今一瞬、変な感じが)

八幡(気のせいか……?)

雪乃「はい、紅茶。冷めちゃうからあなたの分は入れてなかったの」

八幡(そう言って雪ノ下が『紙コップ』にポットの中身を注ぐ。)

八幡(良い香りだ。その心地よさにさっきまで考えていたことがどこかへ飛んでいってしまった)

八幡(紅茶を口に含み何となく窓の外へと視線を移す)

八幡「もう冬も終わりだな」

結衣「そうだね。あっ、今度みんなでお花見しようよ!」

八幡(花見か、悪くない。それには是非戸塚を呼ぼう。小町も呼んで、いやあいつは呼ばなくてもついてくるか)

八幡(あとは平塚先生に逗子に藤沢に、……材木座も来ちゃうなそれ)

八幡「ま、行けたら行くわ」

八幡(そんな来るかどうかもわからない未来に胸を馳せながら、俺はもう一度紙コップに口をつけた)



以上で終わりです。
長い間お付き合い頂きありがとうございました。かなり迷走しましたがやりたいことは全部やれました。
最後に過去作載せますので、よかったら読んでみて下さい。

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている」

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」いろは「特別編ですよ、先輩!」

八幡「はぁ、だりぃな……」葉山「やった!!」

八幡「はぁ……」戸塚「どうしたの?」葉山「やった!!」

八幡「嘘だろ……小町が……?」

八幡「はぁ、小町……」??「やった!!」

八播「誰かが俺のことを呼んでいる」??「ねぇ」【俺ガイル】

八幡「気の向くまま過ごしてた二人だから」雪乃「そうね」

雪乃「安価で比企谷君を更生させましょう」 八幡「はぁ?」

【俺ガイル×世にも】八幡「諸行無常……ってそれは違うだろ」

いろは「私、先輩のことが、好きです」八幡「……えっ?」

八幡「一色が死んだって……?」

結衣「うたかた花火」

八幡「その時には俺は死んでいた」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年02月13日 (月) 15:51:04   ID: bFl0WCp7

gado死ね

2 :  SS好きの774さん   2017年04月04日 (火) 21:04:36   ID: vwm5FJnG

こいつ、名作も作るけど迷作も作るなぁ…

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