伊織「双海姉妹英会話教室」 (26)

伊織「またあの二人は休日に人を呼び出して…」

伊織「こっちの身にもなりなさいっての」

ガチャ

亜美「来たないおりん!」

真美「ようこそ!」

亜美真美「FUTAMI英会話教室へ!!」

伊織「……」

伊織「はぁ…」

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亜美「ささ、こちらへ」

真美「遠慮せず座っちゃってよ~」

伊織「はいはい…」

亜美「さて今日はどういったご用件で?」

伊織「あんたらが呼んだのよ!!」

真美「まあまあ落ち着いて」

亜美「じゃあ説明に入らせていただきます」

真美「うちは会員制になってましてですね」グググ

亜美「お客様の英語力に合わせて6つのコースが…」グググ

伊織「いやまず……」


伊織「痛いしくるしいんだけど…あんたら机押してるでしょ!!」

真美「あー!ごめんごめん!」

亜美「うっかりいおりんの胴体を真っ二つにするとこだった!」

伊織「うっかりで殺されてたまるか!」

真美「さて」ズズズ

亜美「気を取り直して…」ズズズ




真美「亜美、大変だ…」

真美「今度はこっちが苦しい…」

伊織「机下げすぎよバカ!」

伊織「それにしてもなんで唐突に英会話教室…?」

亜美「よくぞ聞いてくれました!」

真美「えぇ、私たち双海姉妹は将来のことを必死に考えた結果…」

亜美「話せる言語が日本語だけってのは不自由すぎる!不便だ!」

真美「……と思ったわけですよ」

亜美「ほら、亜美達海外進出も近いし~?」

伊織「はぁ~…」

亜美「だから教える側に立ちながら英語のノウハウを学んでいこうってこと!」

伊織(教えられるのかしら……無理よね)

真美「わかっていただけたかな?」

伊織「まぁね…」

伊織「でもなんで私なのよ?」

亜美「……」

真美「……」

伊織「私、英語は喋れるんだけど……あ」

伊織「あんたら……」

亜美「さ、はじめよっか!」

真美「まずは…」

伊織(素直に言ってくれれば教えてあげるのに…)

伊織「あ、ちょっと待って」

亜美「ん?」

伊織「いやあんたらから貰ったパンフレットに外国人教師多数って書いてあったんだけど」

亜美真美「ギックーッ!」

伊織「は?」

亜美(どうしよう真美?!外国人教師なんていたっけ?!)

真美(うぅ~ん…外国人に見えないことも……)

亜美「え、えぇ~っと、外国人教師は50万…」

真美(50万は多すぎっしょ亜美ぃー!)

伊織(ご、50万?!)

亜美「いや10人かな……」

伊織「へ、へぇ、10人もいるのね…」

伊織「で、その10人の名前は?」

亜美(バリバリ疑ってるっしょー!!)

真美(ど、どうしようか…!!)

真美「う、ウォントさんって人がいるよ!」

伊織「ウォント?ふーん、じゃあ他は?」

真美「げっ」

亜美「他9人はフレデリカさんで統一されています」

伊織「きゅ、9人もフレデリカさんが?!」

真美(ナイス亜美!)

亜美「うん、みんな敏腕だよ!」

伊織「へぇ……」

伊織(絶対いないでしょ外国人教師……)

真美「でも今日はウォントさんしかいないんだよね~」

伊織「ウォントさん…ねえ……」

亜美「ウォンウォンはすっごい英語が上手でおにぎりが大好きなんだよ!」

伊織「う、うん……」

真美「今呼んでくるねー」

真美「ウォンウォーン、得意の英語でバシッと挨拶よろよろー!」




ガチャ


美希「ババロア」
バタン

亜美「……」

亜美「英語はアレだけどほんっとにおにぎりが大好きな人なんだよ……」

真美「おにぎりの次にイチゴババロアが好きで…」

伊織「いや教師の英語がアレじゃダメでしょ…」

伊織「やっぱ私帰るわ」

亜美「あ、こら待て!いや待ってください!」

真美「もうこの際入会金タダでいいから!」

伊織「あんたら金とる気だったの?!」

亜美「それに亜美たちのサインもあげちゃう!」

伊織「別にいいわよ…」

真美「ウォンウォンのサインもあげるからー!」

伊織「わかったわかったわよ!帰らないから席につきなさい!」

亜美真美「いおりん大好き!」

亜美「さて、これでめでたく会員になったねいおりん」

真美「君の英語力はどれほどのものなのかな?」

伊織「だから私は話せる程度には……」

ガチャ

美希「」ビュン!!

伊織「?!」

バタン
<イエス!!

亜美「んじゃ初心者ってことだねぇ」

伊織「い、いや、今美希が…ここにあったおにぎりを…」

伊織(……?なぜ机におにぎりが?)

真美「Aコースが上級者、Bコースが中級者、Ωコースが初心者だよー!」

伊織「なによΩって!Cコースでいいでしょ?!」

亜美「し、し、Cなんて///」

真美「エロエロだねいおりん///」

伊織「ぶっ殺すわよませ双子」

亜美「そんなえろりんにおすすめなのがこれ!」ダン!

真美「英会話入門テープ!」

伊織「それどこに持ってたのよ!てかなんで今どきテープ……」

亜美「チョー楽しいお話を英語で楽しめるイケイケテープ全14巻!」

真美「14巻でお値段なんと30万円!!やっすぅい!!」

伊織「たっかぁい!!誰が買うのよ!」

亜美「いやいやいおりんの力ならこれくらい余裕で買えるっしょー」

伊織「あんたら英語教えてもらう側のくせに入会金+インチキテープで金巻き上げようとはいい度胸ね」

真美「でもでも!第一巻は会社のお金使いまくり事務員が他の職員の金で飲みに行きまくる話で…」

伊織「なんでそんな不愉快な話で英語学ばせようとするのよ!」

亜美「んじゃこのアメリカ人と同じ脳波になるヘッドギア!」

真美「これも今なら30万円!買って!!」

伊織「いやよそんな怖いもの!」

伊織「もう汚い商売はやめなさいよ…」

亜美(ちぇ、こっちは新発売のゲーム買いたくてお金が欲しいんだ!)

真美(買えよいおりーん!略してかえりん!」

伊織「声に出てるわよ」

伊織「もういい…帰る!!」

亜美「うあうあ~!待ってよいおりん!」

真美「別にこっちだって好きでホウガイな値段ふっかけてるわけじゃないんだよ!」

亜美「実を言うと…このままだとウォンウォンにお給料払えないんだよ!」

真美「ゲームどころじゃないんだよ!」

伊織「そんなこと知るか!帰るったら帰る!」

亜美「ふん!だったらもういいもん!」

真美「えらいおっちゃんたちにカラダうっt」
伊織「あー!わかった!わかったからもう言うな!!」

伊織「とりあえず美希には給料ちょっと待ってって言えばいいでしょ」

亜美「うぇー?!ウォンウォンにそんなこと言ったらどうなるかわかんないよ!」

真美「ブチ切れて最悪おにぎり投げてくるよ!」

伊織「キャッチなさいそれくらい…」

亜美「無茶言うな!」

伊織「まぁ、さっきおにぎりとっていったときのダッシュは何か鬼気迫るものがあったわ…」

真美「それだけじゃないんだよ!」

亜美「このまえ気づいたんだけど亜美たちが油断してるとき…」

真美「すごい速さでジャグリングしてるんだよ!」

伊織「なぜ……」

亜美「あ!そうだ!いおりんが言ってよ!」

伊織「え?」

真美「真美たちじゃ怖くてお給料待ってなんて言えないからいおりん言ってきて!」

伊織「は?!なんで私?!」

亜美「だって怖いしぃ~」

真美「怒られたくないしぃ~」

伊織「……」

伊織「はぁ~…怒られたら守ってあげるから言ってきなさい……」

亜美「ホント?!」

真美「いおりん大好き!」

亜美「ウォンウォーン、ちょっとお給料について話が…」ガチャ

亜美真美「?!」

伊織「…ダンスレッスンしてる……」

真美「な、なんでこんなところでダンスレッスンを…?」

美希「もうこのダンスはカンペキなの!」

美希「ミキ、二人が頑張ってるのは分かってるの」

美希「だからお給料ちょっと待ってあげるためにアイドルとして成功を収めるの!」

亜美「じゃ、じゃあ!亜美たちのために…?」

真美「う、うぅ…ウォンウォン……」

亜美真美「ありがとー!!」ダキ

美希「HAHAHA」

伊織「なに今更それっぽい笑い方してんのよ…」

美希「」シュッシュッシュッシュッシュ

伊織(ハッ?!高速でジャグリングしてる!!)

亜美「いおりんのお陰でウォンウォンとより一層シンボクを深められたよー!」

真美「ありがとね!いおりん!」

伊織「よかったわね」

亜美「これで亜美たちちゃんと英語を学べる気がするよ!」

真美「だから……」

真美「もうヘンなの売りつけたりしないから…」

亜美「また、来てくれる……?」

伊織「いやよ」

亜美「ウォンウォン!」

真美「やれっ!」

美希「ナノっ!!」ビュン!!

伊織「?!」

伊織「キャッチぃ!!」ガシッ

亜美真美「?!」

亜美「ウォンウォンの超高速おにぎりを……」

真美「キャッチした……?」

美希「……」

伊織「……」

美希「なかなかやるの」

伊織「……あんたもね」


怪しい英会話教室を通して二人の奇妙な友情が芽生えた瞬間であった。



おわり

おまけ

亜美「お腹すいたねー」

真美「ねー」

亜美「たまにはパーッとお寿司でもどう?」

真美「でもゲーム買うためにお金貯めないと……」

亜美「うーん…」

真美「ウォンウォンは今一番何食べたい?」

美希「ババギリ」

亜美「……」

真美「……」

亜美「?」

真美「なに、それ……」

美希(いちごババロア+おにぎり)



おわり

終わりです
元ネタはギャグマンガ日和の英会話入門 トーマスの素顔です

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