提督「鈴谷が可愛すぎてつらい」 (76)

提督「コラ鈴谷ぁっ! 待たないかぁっ!」ダッ

鈴谷「うっわ!? 怒った怒ったぁ~♪」

提督「また俺のパンツにタバスコを染み込ませたな!?」

提督「このイタズラ小娘め!」

鈴谷「気づかない方が悪いんじゃん?」ニヤニヤ

提督「なんだと!? このおぼこ重巡め!」

鈴谷「お、おぼこじゃないし! 提督キモい!」





翔鶴「あのお二方はまたはしゃぎまわって・・・」

瑞鶴「あーあー、放っておきなさいよ」

瑞鶴「ほんと、毎度毎度うるさいわね」

翔鶴「ふふ・・・仲が良い証拠よ、瑞鶴?」

瑞鶴「あんなんでもケッコンカッコカリした仲なんだよね」

瑞鶴「傍から見たらバカ親子にしか見えないわ」



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― 執務室 ―


鈴谷「ちょっと提督! なんで鈴谷がオロ○イン買ってくるハメになるの!?」

提督「うるさい! お前があんなアホみたいなイタズラをするからだ!」

提督「あいたたたた・・・!」ヒリヒリ

鈴谷「・・・だって構ってほしかったんだもん」ボソ

提督「あ? なぬ? 聞げねじゃは?」

鈴谷「・・・だって、提督怒ると面白いじゃん!」ニヤニヤ

提督「なにぃっ!? とんでもない艦娘だなお前は!」

提督「まったく! ほら、さっさとその書類を片づけてくれ!」

鈴谷「はいはい、やりますよぉ~」


― 食堂 ―


鈴谷「それでさぁ、そのときに熊野がさぁ」ヒョイ

提督「・・・・・・」

鈴谷「ウォシュレットの強さ上げ過ぎちゃってさぁ」ヒョイ

提督「・・・・・・」

鈴谷「便器が真っk」

提督「・・・なぁ、鈴谷」

鈴谷「え? どったの?」

提督「何故俺の皿にプチトマトを乗っけてくるんだ?」

鈴谷「え・・・えーと・・・」

鈴谷「ほ、ほら! 提督もっと栄養あるもの食べないと力がでないよ!」

提督「ほほぉ、俺のことを気遣ってくれたのかぁ」

提督「鈴谷は良い子だなぁ~? ん?」

鈴谷「えっへん! 鈴谷は褒められて伸びる子なんでs」

提督「でも俺は大丈夫だから、鈴谷が食べなさい」

鈴谷「え」

提督「鈴谷は育ち盛りなんだから、栄養のあるものを食べないとな?」

鈴谷「え・・・あの・・・」

鈴谷「あー・・・鈴谷、もうお腹いっぱいかなぁ~って・・・?」

提督「・・・食べられないんだろ?」

鈴谷「うっ・・・」

提督「・・・なぁ鈴谷」

提督「これは非常に困ったことになったぞ」

鈴谷「え?」

提督「・・・・・・俺もプチトマト、嫌いなんだ」

鈴谷「!?」

鈴谷「あっはははははは!!wwwwそ、そんな厳つい図体で」

鈴谷「プチトマトが嫌いとかwwwww」

提督「うるさい! とにかくこれはお前のだからな!」

提督「お前が責任をもって食べるんだ!」

鈴谷「い、嫌だし!」

提督「なんだとこのワガママ重巡!」





瑞鶴「なんなのあのアホ共は」

加賀「見てはダメよ、前頭葉が退化するわ」


― 提督自室 ―


提督「まったく鈴谷の奴は・・・!」スゥー

提督「今日も余計に疲れたぞ・・・」フゥー

提督「(明日も早い、早く寝るか・・・)」ジャリジャリ

提督「(最近、歳の所為かどうにも無理がきかなくなってきたな・・・)」

提督「(寝つきは悪い、眠りは浅い、夜中にトイレに起きる、尿の出が悪い・・・)」

提督「(俺もすっかりオンヅサンになったものだ・・・)」ガチャ





鈴谷「 ば ぁ 」





提督「うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ビクビク

鈴谷「」ビク

鈴谷「そ、そんなに驚かなくても良いじゃん・・・」

提督「お前は一体ここで何をしている!?」

鈴谷「え、えーと・・・」

鈴谷「(仄暗い○の底を熊野と一緒に見て)」

鈴谷「(怖くて眠れないなんて言えない・・・)」

鈴谷「(ま、ましてや一緒に寝てほしいだなんて・・・///)」モジモジ

提督「・・・あぁ、そうかそうか」

提督「さては、お前また熊野とホラー映画でも見たんだな?」

鈴谷「うぇっ!?」

提督「それで怖くなって気を紛らわしに来たんだろ?」

鈴谷「ち、違うし!」

提督「もう寝なさい、熊野と一緒に寝るんだろう?」

鈴谷「えっと・・・その・・・///」

提督「ん?」

鈴谷「・・・熊野ってさ、一度寝たら中々起きなくてさ」

鈴谷「よ、夜中にトイレに行きたくなったら怖いじゃん!」

提督「つまり誰かに一緒についてきてほしいと?」

鈴谷「///」コク

提督「・・・お子様」ボソ

鈴谷「う、うるさいし! キモいキモい!///」

提督「わかったわかった」

提督「はーいすずやちゃん? こんやはおじちゃんといっしょにねーねーしようねー?」

鈴谷「言い方卑猥!」

期待
岩手出身?

>>12
!?

提督「」スッ

鈴谷「」スッ

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「・・・ねぇ、提督」

提督「ん?」

鈴谷「頭・・・撫でて?」

提督「・・・・・・」

提督「」ナデナデ

鈴谷「・・・んふふ」

提督「・・・ふふ、可愛い奴め」ナデナデ

鈴谷「手、ギュッてして?」

提督「鈴谷はいつからこんなに甘えん坊になったのかなぁ?」ギュッ

鈴谷「いつからでも良いじゃん?」

提督「まったく・・・」

鈴谷「(落ち着く・・・)」

鈴谷「(提督・・・・・・)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「・・・ZZZ」

提督「・・・・・・」


― 翌朝 ―


鈴谷「・・・・・・ん」パチ

鈴谷「」ムク

鈴谷「もう朝・・・」

鈴谷「(ダルいぃ~・・・)」チラ

鈴谷「・・・?」

鈴谷「あれ? 提督いないじゃん・・・」

鈴谷「(鈴谷を置いていくなんて・・・酷いし!)」

鈴谷「あーあ・・・もうあと5時間は寝ていたいなぁ・・・」スッ

鈴谷「?」





ぬいぐるみ『』





鈴谷「(ぬいぐるみ・・・?)」

鈴谷「なんで提督の部屋にこんなものが・・・?」

鈴谷「え・・・提督ってまさかこういう趣味が・・・?」

鈴谷「ちょwwwwwwwww」

鈴谷「あーあ・・・あ、でも結構可愛いかも」ジー















提督「 鈴 谷 」










鈴谷「」ビクッ




鈴谷「あ、て、提督いたんだ・・・」





提督「おはよう」

提督「鈴谷」

提督「やっと」

提督「起きたのか」





鈴谷「う、うん・・・」

鈴谷「(あれ? 提督、怒ってる・・・?)」

提督「・・・・・・」

提督「・・・それはな?」

提督「俺の」

提督「娘のなんだ」

鈴谷「え? 娘・・・?」

鈴谷「提督既婚者だったの?」

提督「あぁ」

提督「以前に」

提督「言っていなかったか?」

鈴谷「ううん・・・何も・・・」

提督「そうか」

鈴谷「そっか・・・結婚、してたんだ・・・」

鈴谷「・・・っ!」ズキ

提督「・・・?」

提督「鈴谷」

提督「どうした?」

鈴谷「・・・ううん、何でもないよ!」

鈴谷「すぐに準備して執務室に行くね!」

提督「あぁ」

提督「わかった」

提督「待っている」

鈴谷「(・・・・・・)」










バタン・・・・・・










提督「・・・・・・」





― 執務室 ―


提督「・・・・・・」カキカキ

鈴谷「・・・・・・」カキカキ

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(・・・提督、結婚してたんだ)」

鈴谷「(そっか、歳考えればそうだよね)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(なんで提督は鈴谷と仲良くしてくれるんだろう?)」

鈴谷「(娘さんのような感じ・・・なのかな?)」

鈴谷「(娘、か・・・)」

鈴谷「(少し寂しい・・・かな?)」





提督「・・・・・・」





― 夜 提督自室 ―


提督「」グビグビ

提督「・・・はぁ」

提督「何がダークラムだ・・・」

提督「何の味もしねぇよ・・・」トクトク

提督「」グビグビ

提督「鈴谷め・・・ぬいぐるみなんか見つめやがって・・・」

提督「本当にあいつそっくりだ・・・」

提督「・・・・・・」

提督「・・・っ!」グビグビ

提督「(クソッ・・・また・・・まただ・・・)」

提督「(また思い出してきた・・・)」

提督「(気分が悪い・・・もう過ぎたことじゃないか)」

提督「・・・・・・」





『わぁ! かわいいおにんぎょうさん!』

『パパありがとう!』





提督「・・・・・・」

『今日ね! 今日ね! いっぱいお友達できたんだ!』

『見て見て! パパの似顔絵書いたの!』

『パパ! テストで100点取ったんだ! すごいでしょ?』

『じゃじゃーん! 制服似合ってるでしょ? ん~?』

『そうだねぇ、高校どうしようっかなぁ~?』

『え? 彼氏? いないよ?』

『だってパパが思う存分甘えさせてくれるもん!』





提督「・・・・・・」

提督「・・・・・・」

提督「・・・・・・っ!!」バン

提督「クソォッ!! クソクソクソクソッたれがあぁぁぁぁぁぁっ!?」ガンガン

提督「なんであいつが死ななきゃならなかったんだ!?」

提督「俺でも良かっただろうが!」

提督「なんで・・・なんであの子が・・・!」ポロポロ

提督「うぅ・・・! 畜生・・・畜生め・・・!」グビグビ

提督「なんで娘が死ななきゃならねぇんだ・・・!」

提督「こんなの・・・間違っているだろ・・・」ポロポロ















鈴谷「(・・・・・・!!)」




鈴谷「(え・・・?)」

鈴谷「(娘が・・・死んだ・・・?)」

鈴谷「(どういうこと・・・?)」

鈴谷「(今日も甘えようと思ったら・・・とんでもないこと聞いちゃった・・・)」

鈴谷「(ど、どうしy)」ガタ





提督「!?」

提督「誰だ!?」ガチャ





鈴谷「」ビク

提督「鈴谷・・・?」

提督「お前一体ここで何を・・・?」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・・・・」

提督「・・・・・・聞いたのか?」

鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「」コク

提督「・・・・・・」

提督「・・・っ!」グイ

鈴谷「きゃっ!?」

提督「盗み聞きとは感心しないな・・・?」

鈴谷「す、鈴谷はそんなつもり・・・!」

提督「どうだ? 大の男が泣いている姿を見て嘲笑っていたんだろう!?」

提督「あぁそうさ! いつまでも過去に縛られている情けない男さ!」

提督「どいつもこいつも自分勝手なことを言いやがって!」

提督「俺の悲しみなんて誰にもわかりはしない!」

鈴谷「て、提督落ち着いて!」

提督「黙れ黙れ黙れぇっ!!」

提督「えぇい酒だ! もっと酒を飲まなくては・・・!」

鈴谷「もうやめてよ提督!!」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・偶然とは言えさ、聞いちゃったのは悪かったと思ってる」

鈴谷「ゴメン・・・」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・でも」

鈴谷「もし、提督が良いなら」

鈴谷「鈴谷にも・・・少しでも良いから・・・」

鈴谷「話してくれない・・・?」

提督「・・・・・・」

鈴谷「余計なお節介だってわかってる」

鈴谷「不謹慎で、無遠慮で・・・」

鈴谷「提督のこと、わかったつもりになってるかもしれない・・・」

鈴谷「でも! 提督・・・すごく辛そうだった・・・ううん」

鈴谷「すごく辛いんだと思う・・・」

鈴谷「詳しくはわからないけど・・・提督の悲しい思いは」

鈴谷「ものすごいものだと思うんだ・・・」

提督「・・・・・・」

鈴谷「少しでも・・・少しでも提督の力になりたいの!」

鈴谷「いつも提督に叱られてばかりだけど・・・」

鈴谷「提督は鈴谷にとって、大切な人だから・・・」

鈴谷「これ以上、提督には辛い思いをしてほしくないの・・・」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・ゴメンね?」

鈴谷「勝手なことばかり言ってさ・・・」

鈴谷「こんなとき、どうすることもできないだなんて・・・」

鈴谷「鈴谷って、本当に無力だね・・・」

提督「・・・・・・」





提督「・・・・・・娘はな」





鈴谷「!」

提督「交通事故で死んだんだ・・・」

鈴谷「・・・!!」

鈴谷「交通・・・事故・・・?」

提督「あぁ・・・飲酒絡みの事故だったんだ・・・」

鈴谷「え・・・?」

提督「あの男・・・運転手は酒を飲んだにも関わらず」

提督「無責任にハンドルを握り」

提督「横断歩道を渡っていた娘を轢き殺したんだ・・・!」

鈴谷「っ・・・!」

提督「娘はほぼ即死だったらしい・・・」

提督「ブレーキ痕も一切なかったことから」

提督「相当の速度が出ていたらしい・・・」

鈴谷「ひ、酷い・・・!」

提督「人1人殺したとて、ブタ箱に入るのは数年・・・」

提督「その間、あの男はのうのうとタダ飯を食らい続け・・・!」

提督「やがてシャバに解き放たれ、平然と生きてんだ・・・!」

提督「何度あの男を殺してやろうかと思ったことか・・・!」

提督「何が”申し訳ございませんでした”だ!」

提督「謝って娘が還ってくるとでも思っているのか!?」

鈴谷「(こんな・・・こんなのって・・・!)」

提督「その後は・・・妻も精神病にかかってな・・・」

提督「それからすぐ・・・後を追うように・・・」

鈴谷「うっ・・・!」

提督「・・・お前が見ていたぬいぐるみはな?」

提督「娘のものだったんだ・・・」

提督「あぁ、これはもう言ったか・・・」

鈴谷「(今でも提督・・・あのぬいぐるみを・・・)」

提督「あいつ・・・高校生にもなって」

提督「俺が昔に買ってあげたものを、大事にとっていたんだ」

提督「はは・・・まったく、いつまで経っても子供だよな・・・?」

提督「・・・・・・」

提督「・・・なぁ、鈴谷」

提督「どうして神様は俺を殺してくれなかったんだろうな?」

提督「なんで娘を殺したのか・・・」

提督「残酷だよな・・・?」

提督「いや・・・残酷だなんてものじゃない・・・」

提督「鈴谷・・・実はな?」

提督「お前は・・・お前は・・・」

鈴谷「・・・?」





提督「死んだ娘に瓜二つなんだ・・・」





鈴谷「え・・・!?」




提督「最初に・・・この艦隊にお前が来たときは驚いたさ・・・」

提督「まるで生き写しだ・・・」

提督「姿も・・・性格も・・・声も・・・」

提督「仕草だってそっくりだった・・・」

鈴谷「・・・・・・」

提督「しばらくして、お前が秘書艦を務めることになったな?」

提督「複雑な気持ちだったよ・・・」

提督「辛さと・・・嬉しさの混じった、ドロドロしたものだ・・・」

提督「あいつのことを思い出してしまう反面」

提督「まるで・・・あの子と過ごした日々を巡っているかのような気分だ」

提督「ははっ・・・本当、俺ってバカだよなぁ・・・?」

提督「あいつは・・・佳奈はもう二度と戻ってこないのに・・・」

鈴谷「提督・・・」

提督「照れながらも甘えてくるお前は可愛かった・・・」

提督「あぁ、それはそれはもう・・・本当に可愛過ぎてな・・・?」

提督「そして・・・」





提督「お前は・・・娘に似過ぎていた」

提督「そんなお前を見るのは・・・辛いんだ」

提督「辛くて辛くて・・・たまらないんだ・・・!」





鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「・・・提督」

鈴谷「話してくれて、ありがとう」

鈴谷「ゴメンね? 辛い記憶を掘り起こしちゃって・・・」

提督「いや、良いんだ・・・」

提督「寧ろ、少しだけ楽になったような気がするよ」

提督「俺は・・・無意識に他人を敵にしていたのかもしれない」

提督「本当は・・・本当は俺の気持ちを誰かに伝えて」

提督「理解してもらいたかったのかもしれない・・・」

提督「ははっ・・・本当に・・・俺はダメな人間だ・・・」

提督「軍人としても・・・父親としても・・・な・・・?」ポロポロ

鈴谷「提督・・・」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(こんなのって・・・こんなのってないよ・・・!)」

鈴谷「(なんで提督がこんな目に・・・!)」

鈴谷「(鈴谷にとって、提督は・・・提督は・・・!)」





提督『ん? この書類の書き方か? これはな・・・』

提督『どうだ鈴谷、この艦隊にはもう慣れたか?』

提督『良いか? 決して無理をするんじゃないぞ?』

提督『お前も大切な部下の1人だからな?』

提督『そうかそうか、鈴谷は熊野と仲良しさんなんだな』

提督『まったく! お前はいたずらばかりするな本当に!』

提督『コラ鈴谷! また俺が寝ている間に鼻の下にガムをつけたな!?』

提督『お前の唾液とガムでベトベトだ!』

提督『まったく・・・お前は素直に甘えれば可愛いものを・・・』





鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(・・・何とかしなきゃ)」

鈴谷「(鈴谷が・・・鈴谷だけが提督を救える・・・)」

鈴谷「(鈴谷が提督を救わなきゃ・・・)」

鈴谷「(提督は鈴谷を見ると辛い・・・忌まわしい記憶は消えない・・・)」

鈴谷「(失った娘さんは還らない・・・提督を助けたい・・・)」

鈴谷「(どうすれば・・・?)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(・・・・・・・・・)」

鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「・・・提督」

提督「・・・?」





鈴谷「」ギュ















お 父 さ ん










提督「!!!!」




提督「す、鈴谷・・・? お前何を言って・・・!?」

鈴谷「提督・・・ううん、お父さん?」

鈴谷「お父さんは・・・もう十分辛い思いをしてきたんだよ・・・?」

鈴谷「もう乗り越えるときが来たんだよ?」

提督「!?」

鈴谷「今度は・・・私が、貴方の娘の佳奈になるの」ニコ

提督「な、何を馬鹿なことを・・・!?」

鈴谷「馬鹿なことなんかじゃないよ?」

鈴谷「ねぇお父さん?」

鈴谷「親子の繋がりって何だと思う?」

鈴谷「血の繋がり? カタチ? 思い?」

鈴谷「親子は1組しか存在してはいけないの?」

鈴谷「お父さんと私はアカの他人だからダメなの?」

鈴谷「どう足掻いても無理なの? だからと言って諦めるの?」

鈴谷「常識に囚われるから辛いんじゃん?」

鈴谷「ね?」ニコ

提督「うあぁぁ・・・!?」ガタガタ

鈴谷「私はお父さんのことが大好きだから・・・」

鈴谷「もうお父さんの悲しい顔は見たくないの」

鈴谷「私が佳奈・・・貴方の娘になって」

鈴谷「お父さんを助けるの」

鈴谷「ね? お父さん、良いでしょ?」

鈴谷「今ここで・・・お父さんの築いてきた過去の家族の歴史を」

鈴谷「全て焼き払うの!」

提督「やめろぉ・・・やめてくれぇっ!!」

鈴谷「やめないよ! 多少残忍なことでも乗り越えなきゃならないの!」

鈴谷「泣かないで! 悲しまないで!」

鈴谷「ほら? 佳奈はここにいるよ?」

鈴谷「もう離さないから・・・ずっと一緒だからね?」

提督「あぁ・・・あぁ・・・!?」ガクガク

鈴谷「もう何処にも行ったりしないから・・・」

鈴谷「お父さんも、うんと私に甘えてね?」

鈴谷「私もうんっと! お父さんに甘えるからさ・・・」

鈴谷「一緒に・・・思い出いっぱい作っていこう?」

鈴谷「ね?」ニコ





提督「あぁ・・・! あぁ・・・!!」

提督「佳奈・・・佳奈ぁ・・・っ!」ポロポロ





鈴谷「うん・・・うん・・・」ギュッ

提督「会いたかったよ・・・! 今までゴメンな・・・?」

提督「もう何があっても離さないぞ・・・!」





鈴谷「うん・・・」

鈴谷「もう」

鈴谷「大丈夫だから・・・」ナデナデ

鈴谷「(これから何があっても・・・)」

鈴谷「(鈴谷・・・ううん、私はお父さんを支えていくの)」

鈴谷「(理屈じゃない・・・親子の歴史を刻んでいくの)」

鈴谷「(私は今生まれ変わった、お父さんの娘・・・)」

鈴谷「(そう・・・私とお父さんは)」















鈴谷「 ( 親 子 な ん だ か ら ) 」










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









提督「はは、佳奈は本当に可愛いなぁ」ナデナデ

鈴谷「えへへ/// もっと褒めてお父さん!///」

提督「何か欲しいものはないか?」

提督「父さんが何でも買ってやるぞ?」

鈴谷「私はお父さんがいるだけで満足だよ?」

提督「なんと! そうかそうか、佳奈は良い子だなぁ」ナデナデ

鈴谷「///」





熊野「・・・・・・」

鈴谷「・・・それでさ、お父さんの下着と一緒に洗わないでって言ったらさ!」

熊野「・・・・・・」

鈴谷「洗剤代と水道代、手間がかかるからダメって言われてさ!」

熊野「・・・・・・」

鈴谷「本心でそんなこと言ったんじゃないんだよ?」

鈴谷「あの慌ててる顔、面白かったなぁ・・・」ニヤニヤ

鈴谷「んでね! んでね! あと中庭に落としa」

熊野「・・・鈴谷」

鈴谷「ん?」

熊野「もう・・・終わりにしていただけませんこと?」

鈴谷「え?」

熊野「貴女・・・一体どうされてしまったのです?」

熊野「提督に何をしたのですか?」

熊野「最近のあなた方は異常です」

鈴谷「・・・・・・」

熊野「鈴谷、何故提督を”お父さん”とお呼びになられるのです?」

熊野「遊戯にしては少々過ぎませんこと?」

鈴谷「・・・・・・」

熊野「大体提督も提督です、良い歳をして一体何をしてi」















鈴谷「 は ? 」










熊野「」ビク




鈴谷「あのさぁ」

鈴谷「どうしてそんなこと言うの?」

熊野「す、鈴谷・・・?」

鈴谷「お父さんはね・・・? 今までさぁ?」

鈴谷「すんごい辛い思いしてきたんだよ?」

鈴谷「熊野はさぁ? お父さんに死ぬまで苦しんでいてほしいんだ?」

熊野「そ、そんなことはありませんわ!」

熊野「って! いい加減その”お父さん”と言うのは・・・!」

鈴谷「私とお父さんが誰に迷惑をかけたって言うの?」

鈴谷「どうして親子の仲を引き裂こうとするの?」

熊野「な、何を言って・・・!」

鈴谷「ねぇ、どうしてそんな酷いこと言うのさ?」

鈴谷「熊野はそんなこと言わない」

鈴谷「ね?」

熊野「あ、あの・・・!」





鈴谷「お父さんを馬鹿にしないでよ!!!!」バン





熊野「ひっ!?」ビク




鈴谷「私はお父さんの娘なの!」

鈴谷「よくも親の悪口を本人の目の前で言えるよね!?」

鈴谷「私だって熊野だって、お父さんの全てを理解できてるわけじゃない!」

鈴谷「そんなこと知ってるよ!」

鈴谷「でも! お父さんのことを支えてあげられるのは私だけなの!」

熊野「す、鈴谷落ち着いて・・・!」オロオロ

鈴谷「今からいっぱい思い出作れば良いじゃん!」

鈴谷「お父さんの記憶を・・・運命を・・・!」

鈴谷「今ここで! 私が全部塗り替えるの!」

鈴谷「もうこれ以上お父さんに辛い思いをしてほしくないの!」

鈴谷「何が悲しくてそんな道を歩むのさ!?」

鈴谷「誰だって幸せになりたいじゃん!」

鈴谷「それの何が間違ってるって言うのさ!」

鈴谷「お父さんには私が必要なの!」

鈴谷「親子の絆は簡単に崩れ去るものじゃない!」

鈴谷「酷い酷い酷い酷い!!」バシッ

熊野「うぐっ・・・!?」ドサ

鈴谷「熊野は鬼だよ!」

鈴谷「なんであんなこと言ったのさ!?」

鈴谷「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バシィッ

熊野「いやっ! やめてっ!」ポロポロ

鈴谷「嫌い嫌い嫌い嫌い!!」バシィッ

鈴谷「酷いこと言う熊野なんていらない!!」バシィッ

熊野「うぅ・・・っ! だ、誰か・・・!」ポロポロ

鈴谷「はぁ・・・はぁ・・・!!」

熊野「酷い・・・酷いですわ・・・」グス

鈴谷「・・・どっちが酷いのさ?」

鈴谷「まぁ良いや、もし今度お父さんに酷いこと言ったら」

鈴谷「姉妹とはいえ、舌を引き抜いて」

鈴谷「犬の餌にするから」ニコ

熊野「ひっ!?」ビク

鈴谷「私、素直で協力的で」

鈴谷「優しい熊野は大好きだからさ」

鈴谷「これからもよろしくね?」ニコ

熊野「」ビクビク

鈴谷「んじゃ、またあとでね」










パタン・・・・・・











熊野「・・・・・・」




熊野「・・・・・・・・・」

熊野「(・・・あれは)」

熊野「(一体何ですの・・・?)」

熊野「(事もあろうに上官と部下が!)」

熊野「(あんな退廃的な父娘姦淫の紛い事をして!)」

熊野「ぐっ・・・うぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・っ!!」

熊野「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ガン

熊野「何なのよぉぉぉぉっ!? ムカつくムカつく!!」ガンガンガン

熊野「(提督と一緒に過ごした時間はわたくしの方が断然長いというのに!)」

熊野「(鈴谷がこの艦隊に後から来て・・・秘書艦をやりたいと言われて・・・)」

熊野「(慣れさせる為に譲れば、こんな・・・こんなぁ・・・っ!)」

熊野「(これではまるで泥棒ではありませんの!?)」

熊野「(鈴谷は大切な姉妹! 提督は大切なお方!)」

熊野「わたくしはどうすれば良いんですの!?」ポロポロ

熊野「わたくしだって・・・わたくしだってあのお方が・・・!」ポロポロ

熊野「・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ガンガンガン

熊野「はぁ・・・はぁ・・・!!」ワナワナ

熊野「(い、いけませんわ・・・わたくしとしたことが)」

熊野「(こんなに取り乱すだなんて・・・)」

熊野「(・・・顔を洗って来ましょう)」


― 女子便所 ―


熊野「・・・・・・」

熊野「・・・こ、これは」

熊野「拳銃ですの・・・? どうしてこんなところに・・・?」スッ





拳銃『』





熊野「(確か提督は銃器の所持はなさっておられなかったはず・・・)」

熊野「(とすれば、憲兵の紛失物・・・?)」

熊野「(憲兵隊の中にも、少数であれど女性の方はいらしたはず・・・)」

熊野「こ、これは大変なことですわ!」

熊野「よりにもよって、こんな危険な物を落としていくだなんて・・・!」

熊野「(インシデント発生として、提督に報告しなくては!)」

熊野「まったく! 平和ボケにも程がありますわ!」

熊野「・・・・・・」

熊野「」チラ





拳銃『』















熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





― 執務室 ―





扉『』コンコン





提督「ん? 誰だ?」





「熊野ですわ」





提督「おぉ、熊野か、入りなさい」

熊野「失礼します」ガチャ

鈴谷「」チラ

鈴谷「お」

鈴谷「熊野じゃん」

鈴谷「ちーっす」

熊野「えぇ」ニコ

提督「熊野、何かあったのか?」

熊野「・・・・・・」

熊野「・・・えぇ」

熊野「少々」

熊野「提督に」

熊野「報告しなければ」

熊野「いけないことが」

熊野「ありますの」

提督「報告? なんだ?」

熊野「少々」

熊野「厄介で」

熊野「重大な」

熊野「ものですの」

提督「な、なんだそれは・・・?」

鈴谷「えぇ~? なにそれぇ~?」

鈴谷「私は今からパパの膝の上で思いっきり甘えようと思ってたのにさ!」

提督「ははは、佳奈は本当に甘えん坊さんだな」ナデナデ

鈴谷「///」

熊野「」ニコニコ

提督「それで、一体何g」















「 え ぇ 」





「 お 手 洗 い に 」





「 こ ん な も の が 」





「 落 ち て い ま し た の 」










― 終わり ―


鈴熊サンドって美味しそうですよね


新年明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします


徐々にほのぼのからホラーになって怖かった(小並感)
過去作もあれば是非読みたい

>>66
前に榛名と翔鶴が近江屋事件with罵詈雑言ごっこしてるSSを書きました
もっと前に八幡と雪乃がドライブしてるSSを書きました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年04月21日 (金) 10:13:45   ID: qWzlc6Rp

鈴谷に甘えてほしい

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