モバP「二人旅は風任せ」 (22)
モバマスSSです。
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事務所
芽衣子「何見てるの?」ヒョコ
P「世界の車窓から」
芽衣子「あー、いいよねー」
ちひろ「もうそんな時間ですか。早いですねぇ」
P「今日は撮影が長引いてしまったので」
ちひろ「もう帰りますか。流石にテッペン超えたくないので」
P「送りますよ」
ちひろ「芽衣子ちゃんを先に送るならお願いします」
芽衣子「ちひろさんが先でもいいよ?」
ちひろ「アイドル優先ですから」
芽衣子「そっか。ありがとね!」
P「芽衣子も悪いな。こんな時間まで事務所にいさせて」
芽衣子「んー。私は好きで残ってただけだから気にしないでよっ!」
P「まぁ、それならいいが……」
ちひろ「それにしてもいい景色ですねぇ…どこでしょう?」
P「分からないですけどいいですね。こういう所に行く時間がないんで旅行した気分になってます」
ちひろ「纏まったおやすみは中々取り辛いですからね…」
P「実家帰ったり何かしてるとあっという間ですしね」
芽衣子「二人ともそんなこと行ってないで一緒にどっか行こうよっ!」
P「旅慣れしてる芽衣子となら楽しそうだな」
ちひろ「鼻唄歌いながらどんどん先に行きそうな気がしますけどね」
芽衣子「うっ!そんなことないからっ!」
芽衣子「……多分」
車内
ちひろ「そう言えば、さっき旅行の話してましたけど」
P「どうかしましたか?」
芽衣子「うん?行く気になった?」
ちひろ「行くなら温泉とかいいですね。ゆっくりしたいです」
P「そうですねぇ。サウナ入ってから、牛乳飲みつつ扇風機に向かってアーって言いたいです」
ちひろ「それはきっとそこら辺の銭湯でも出来ますね」
芽衣子「プロデューサーのイメージする旅行のスケールって……」
P「身近なことに幸せを感じるって言ってくれ」
芽衣子「まっ、チルチルミチルの青い鳥だって近くにいたもんね!」
芽衣子「私の青い鳥はどこにいるのかな? 日本でも海外でも行っちゃうよ!」
P「もし海外ロケだったらパスポート取り直さないとなぁ……」
ちひろ「頻繁に使う人じゃなきゃったら忘れちゃいますよね。期限」
芽衣子「二人共しっかり取っておいてよ!」
P「まぁ、必要があれば」
ちひろ「タイミングが合えば……」
ちひろ「あ、それでなんですけど」
P「そう言えばどうされました?」
ちひろ「最近行楽シーズンみたいで旅行会社の前を通ったらパンフレット一杯置いてありましたよ」
芽衣子「四季折々色々な場所に色々な見どころがあっていいよね!」
P「ロケとかで行った場所がピックアップされてると少し感慨深いな」
P「あと、ロケに行った後にその場所のガイドブックとか読むと先に読んどけば…って気持ちになることがある」
ちひろ「ま。観光目的ではないですから」
P「そうですが、少しくらいかこつけても罰は当たらないかと」
芽衣子「役得って奴だねっ!」
P「ロケの仕事をしてるアイドルに感謝しつつという形ですね」
ちひろ「でも、ああいうパンフレット見てると旅行に行った気になりますね」
P「あぁ、少し分かります」
芽衣子「その気持ち分かるけど、やっぱり行ってみて空気を感じると格別だよっ!」
ちひろ「確かに空気感…っていうんですかね。それはやっぱり行かないとですね」
P「そうですねぇ」
芽衣子「うんうん。写真もプロのカメラマンが撮ったのを見るのもいいけど」
芽衣子「あんまり構図とか良くなくても自分で撮った奴の方が色々感慨深いし」
P「言われてみれば修学旅行とかまさにそうだな」
P「泊まった部屋の写真だけで盛り上がれるしな」
芽衣子「そうそうそんなカンジ!」
芽衣子「あ、もう着いちゃった…」
P「あっという間だったな」
芽衣子「もう一周しない?」
P「アトラクションじゃないし、遅いからダメだ」
芽衣子「むぅ……夜はこれからだよっ!」
P「修学旅行か」
芽衣子「プロデューサーもちひろさんも部屋に来ても良いからっ!トランプでもしよっ!」
ちひろ「ウノとかも流行りましたね」
P「また今度な」
芽衣子「んー…約束だからね」
ちひろ「分かりました分かりました」
芽衣子「うんっ!おやすみー!」
車内
P「元気でしたね」
ちひろ「こっちも元気貰えましたよ」
P「頑張らないとですね」
ちひろ「そうですね。ただ、今は休息が必要です」
P「お疲れ様です。ずっと事務作業は辛いですよね」
ちひろ「そこは人によりけりですね。外で誰かと話すのよりかはラクかもしれません」
ちひろ「直接的に誰かに影響を与える訳でもないので」
P「仕事が円滑に進むのはちひろさんのおかげですよ」
ちひろ「そう言って頂けると幾分か救われますね」
P「嘘じゃないですから。本当に芽衣子と温泉にでも行ってきたらどうですか?」
ちひろ「前向きに検討してみます」
数日後
事務所
芽衣子「プロデューサー!今って時間ある?」
P「丁度一段落着いたとこだな」
沙紀「お、芽衣子さんお疲れ様っす」
芽衣子「あ、沙紀ちゃんもお疲れっ!」
沙紀「お疲れ様っす」
芽衣子「そうだ。折角だか沙紀ちゃんも見てよ!」
沙紀「何がっすか?」
芽衣子「この間プロデューサーと話してて、
行く時間はなくても旅行のパンフレット見て計画でも立てようかなって持ってきたの!」
沙紀「あー、こういうのってココ見てココ見てって決めるの楽しいっすよね」
沙紀「学校の修学旅行に似てる気がするっす。今年はどこだったかな…」
芽衣子「プロデューサーと似たようなこと言ってるね」
芽衣子「それじゃあ折角だから沙紀ちゃんに選ばせてあげる!さぁどこに行こっか」
沙紀「せ、責任重大っすね」
P「ゆっくり出来る所がいいな」
芽衣子「ワイワイ出来るとこがいいなー」
沙紀「いや、まるっきり反対っぽいこと言わないで欲しいんすけど…」
沙紀「どこがいいんすかねぇ……」
沙紀「お、コレなんかいいんじゃないすかね」ヒョイ
P「お?神奈川?」
芽衣子「沙紀ちゃんの御膝元!」
沙紀「何の気なしに選んだんすけど、そう言われると少し恥ずかしい気がするっす」ポリポリ
P「まぁ、いいんじゃないか?」
芽衣子「うんうん。オッケーオッケー!」
沙紀(これ、何選んでも良かったパターンすね)
芽衣子「さっ、ここからは沙紀ちゃんのプランニングが試されるね!」
沙紀「ゆるーく行くっす」
沙紀「えーと、やっぱりここはこうで――」
芽衣子「ふんふん」
沙紀「あと、折角ならここも行きたいなぁって」
芽衣子「なるほどなるほど♪」
沙紀「それで、夜はここら辺で食べて」
芽衣子「わー、お洒落」
P「こういうトコよく行くのか?」
沙紀「い、行く訳ないじゃないっすか!行く相手もいないっす」
芽衣子「ここにいるじゃん」
沙紀「へ?あ、うん?」
芽衣子「あ、なんでもないない。続けて続けて」
沙紀「えっと…最後は宿っすよね……」ンー
芽衣子「ちなみに三人で泊まる予定?」
沙紀「へっ?いや、別々に……」
芽衣子「プロデューサーと沙紀ちゃんの二人かな?きゃー♪」
沙紀「なっ、なんすかその振り分け!」カァァ
P(芽衣子一人になるんだけどいいのか…?)
沙紀「Pさんも何か言ってやって欲しいっす」
P「あ、悪い。考えことしてた」
沙紀「……想像したんすか?」
芽衣子「沙紀ちゃんとダブルで寝るのを?」
沙紀「……だからぁ!」カァァ
沙紀「はー……ドッと疲れたっす」ハァ
芽衣子「充実してたねっ!」
沙紀「あはは…。でも楽しかったすね」
芽衣子「あとは沙紀ちゃんの計画を実行に移せれば完璧だね!」
P「それはまた今度の機会だな」
沙紀「……」
芽衣子「そーだね」
P「そろそろ、沙紀はレッスン。芽衣子は仕事行くぞ」
沙紀「あ、もうそんな時間っすか」
芽衣子「もうそんな時間?早いね」
沙紀「あ、Pさんちょっといいすか?」グイッ
P「ん?」
芽衣子「先行ってるよー」
P「お、分かった」
P「どうした?」
沙紀「……せ、せめて、ツインで」
P「ん?」
沙紀「い、いやっ!何でもないっす!」
沙紀「はぁ…もう疲れたッす」
P「元気出していこうな」
車内
芽衣子「人のプランを聞くの楽しいね♪」
P「個性が出るからな」
芽衣子「それにその人が誰かを楽しませようと作るから魅力的なんだろうね」
P「なるほどな」
芽衣子「うん。私はそう思うんだー」
芽衣子「沙紀ちゃんのプランは目的地に着いてからのお話だったけど」
P「ん?」
芽衣子「ちょっと遠出する所だったらそこまでの過程を考えるのも楽しいよね」
P「と言うと?」
芽衣子「例えば、誰かの運転で行ったりするのか特急使って行くのかとか、場所によって飛行機もいいよね」
P「あぁ、なるほど」
芽衣子「目的地に着く。って結果は一緒だけど、そこまでのプロセスはプランを考える人次第ってこと!」
P「確かに楽しいな。予算と睨めっこしたりしながら考えるのは楽しそうだ」
芽衣子「だよねだよね」
P「しかしそう考えると……」
芽衣子「難しい顔してどうしたの?」
P「いや、プロデュースもそれに似てるのかなぁと」
芽衣子「どういうこと?」
P「いや、シンデレラって目的地に行くプランは人それぞれだろ?」
P「オーディション発シンデレラ行の道筋は一杯ある訳で」
芽衣子「長い長い二人旅だね」
P「たまには寄り道もしたいしな」
芽衣子「綺麗な景色に目移りするのも大事だよね。いい経験になるだろうし」
P「たまに立ち止まるし」
芽衣子「思い出に浸る時間も大事だよね。思い出話とか!」
P「最初と思ってたように行かないこともある」
芽衣子「旅に変更はつきものだよね!風に吹かれて、その場のノリってやつ。修学旅行のしおりにも自由時間ってある訳だし」
P「そうだな。そんなもんだな」
芽衣子「そうそう、私とプロデューサーの二人旅はそんなカンジだねっ!!」
芽衣子「だからさ、いつかプロデューサーのプラン教えてね。行先はプロデューサー任せで!」
芽衣子「安心して。どこにだって私は付いていくよ♪」
終わりです。
読んで下さった方ありがとうございました。
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