男「一言しゃべるたびに声が大きくなる?」 (22)

医者「うん。今はまだ普通なんだけどね、これからはしゃべるたびにビックリマークが一個ずつ増えていくから気を付けてね?」

男「はあ、なんですかそれ!?」バンッ

医者「説明しろって言われてもねぇ……。今も言ったけど、これからは喋るたびに声が大きくなっていくんだよ」

男「いやですから、その意味が分からないんです!! 俺は病気か何かなんですか!!?」バンバン

医者「ああもう、うるさいなコイツ……看護師」パチン

看護師「はい先生」スッ

男「な、何を……モガッ!!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480474193

医者「ああ、それとね……これからは小声とか出せないだろうから、それにも気を付けてね?」

男「モガガッ!!!!?」

医者「看護師の手にさえぎられてるのにこの声量か……これじゃあうるさくて仕方ないなぁ。看護師、その子を連れてって」

看護師「はい」

医者「あっ、玄関で騒がれたら客減っちゃうかな……看護師、その子はどっか遠くで適当に捨てといてね」

看護師「はい」グイッ

男「モガガーッ!!!!!」ズルズル

医者「……やあっと静かになった、さてと、次の金ヅルの相手をしよっかな」ペラッ

?「失礼します」

医者「君の病気は、っと……」


翌日


男(はあ……しゃべるたびに声が大きくなるってなんだよ……これじゃあまともに会話もできないじゃないか……)

「お~い……」

男(ん……?)

友「よっす、男! どうしたよ、朝から辛気臭えツラして」

男(なんだ、友か)

男「おはよう!!!!!!」ビクッ

友「」ビクッ

学生「」ビクッ

犬「」ビクッ

全裸コートのおっさん「」ビクッ

男(しまった、大声なのを忘れてた……!)

友「お、おい……お前、どうしたんだよ……?」

男(ごめん、友……今は何も言えないんだ……意思を伝えられる何かがあれば……あっ)

友「お、男? 道端でノートなんか取り出して一体……」

男「…………」カキカキ、バッ

友「え? 俺はしゃべるたびに声が大きくなる、原因不明の病気にかかった……? なんだそりゃ?」

男「…………」

友「と、とりあえずここ道だし、学校着いてから話聞くわ。行こうぜ」


「お巡りさん、あいつです!」

警官「なっ、なんだあいつは……!? クッ、これは本官一人では手に余る案件と見た! ここは急いで救援を……!」

全裸コートのおっさん「ウェーイwwwwww」タッタッタッ

警官「あっ、待て!」

『……どうしましたか?』

警官「マルヘン発見、マルヘン発見、至急応援求む……!」タッタッタッ

学校


友「へぇ……そんでさっきはあんな大声だったのか」

男「…………」コクリ

友「ふーん、なるほどなぁ……」

女「おはよ~」ガラッ

女友「あっ、おはよ~女」

友「……あ、いーいこと思い付いたわ」ニヤッ

男(な、なんか嫌な予感が……)

女友「神さま女神さま女さま~、どうかわたくしめに宿題のプリントを恵んで下され~」

女「もう、女友……また忘れたの? はあ、仕方ないなぁ」ガサ

女友「やった、ありがと女。愛してますぞよ~」

女「調子いいんだから……」

友「よー、女さん、女友」

女「あっ、友くん。おはよう」ニコッ

女友「な~に~? 言っとくけど、このプリントは私のだから渡さないわよ?」

友「はっ、俺ぁ宿題ぐらい自分でやるっての。一緒にすんな」

女友「でも男くんにいつも借りてんじゃない」

友「そりゃお前、俺だって忘れる日もあるさ」

女友「週に何回?」

友「週四だな」

女友「毎日じゃん」

女「あはは……」

友「っとそうだ……おーい、男! 一人で座ってないでこっちに来いよ」ニヤッ

男(っ!?)

女「あっ、男くんもおはよう」ニコッ

男「っ!?」

女友「男くん、おはよ~……って、ありゃ?」

男(と、友……俺が大声しか出せないのを分かってて、遊んでるのか……? 二人の挨拶に返事はできない……けど、俺にはノートがあるんだ)スッ

友「おっと、手が滑った~」バシッ

男(あっ、ノートが吹っ飛んで……)

友「ダメだろ~男~? ちゃーんと声に出して返事しなきゃ……」ニヤニヤ

男「」ブチッ

男(いいんだな、友。俺は今……加減できないからな?)

男「…………」スウ

女「……男く??」

男「おはようッ!!!!!!!」

女「」ビクッ

友「」ビクッ

女友「」ビクッ

クラスメイト「」ビクッ

学校の変態「」ビクッ

友「あー……耳が変だ」

男『友の耳元で言ったからね』

女「え、と……それでけっきょく、男くんはしゃべるたびに声がおおきくなっちゃったの?」

男『はい』

女友「なんで敬語……?」

男『や、なんとなくだけど』

女友「あれ?あたしは普通だ……」

友「はは、お前の何をうやまうんだよ?」

女友「

女友「そりゃ内面なら優しさ、見た目はこんなにスレンダーで……」

友「よっ、貧乳っぷりは日本一!」

女友「なんだとお! 貧乳はステータスって知らないの!?」

女「ま、まあまあ……」

男『二人とも落ち着いてよ』

友「はーいはい、分かったよ」

女友「ぐぬぬ……!」

女「でも男くん、しゃべれないって大変だよね……私に手伝えることがあるなら言ってね?」

男『はい』

女友「敬語……」

アフロ「おい、大変だっ!」バンッ

友「おーアフロ、どうした?」

アフロ「あー、ったく! 上だ上、空を見ろ!」

女「空……?」

女友「さっき見たけど、ただの青空じゃ……って、ええっ!?」

友「なんだよ、これ……」

女「空に……何か浮いて……」

男(あれは……まさか……)

アフロ「ああ……UFOだ」

【ワレワレ。ウチュウノタミ。ワレワレノホシ。シゲン、コカツ。コノホシ。シゲン、ユタカ。ワレワレ。シンリャクシャ】

友「ぐっ、なんて声のデカさだ……」

【ワレワレノタタカイ。コエ、オオキイホウ。カチ。ワレワレ。コノホシノナニヨリ、コエ。オオキイ】

女友「え……? 声が大きい方が勝ちって、これより大きな声出せる人なんているわけないじゃん……」

【タタカイ。オワルマデ。アト、スコシ。ワレワレ、カッタラ。コノホシ。イタダク】

女「そんな……このままじや私たちの地球が……」

男(みんな、落ち込んでる……友も、女友も、女さんも……でもしょうがない……あのUFOより大きな声が出せる人なんて……いるわけ……)

看護師「男様」

男「うわっ!!!!!!!!」

女「」バタッ

友「」バタッ

女友「」バタッ

アフロ「」バタッ

クラスメイト「」バタッ

学校の変態「」バタッ

街の変態「」バタッ

男「えっ、あっ、みんなが倒れて!!!!!!!!!」

女「」

友「」

女友「」

アフロ「」

クラスメイト「」

学校の変態「」

街の変態「」

県内の変態「」

看護師「以前よりも声が大きくなられたようですね。何よりでございます」

男(くっ、俺がしゃべったばっかりにみんなが……ごめん!)

看護師「男様、医者様がお呼びです。ついてきていただけますか?」

男『医者さんが?』

看護師「はい」

男(……あの人、詳しい説明もしないで俺をほったらかしにしてしてたのに……今さら何を?)

看護師「……まあ、嫌と申されましても連れて行きますが」プスッ

男「」バタッ

看護師「……いささか手荒ですが無事に確保できましたし、急いで医者様の元にお連れしましょうか」タッ

?「うぅ……おと、こ……!」モサァ

男(う、うぅ……はっ、そうだ! みんなは!?)バッ

医者「……やっと目を覚ましたね」

男「あ、あなたは!!!!!!!!!!」

医者「看護師」パチン

看護師「はい」バッ

男(口をガムテープで塞がれた……)

医者「さて……男くん、今世界に未曾有の危機が訪れているのは知っているね?」

男(聞かれても答えられないんですけど……)

医者「ん? あぁ悪いね。看護師、彼に紙とペンを渡してやれ」

看護師「はい」スッ

男『危機って、あのUFOのことですか?』

医者「そうだね。どうやら彼らは地球侵略に来た宇宙人みたいだね……そして、声の大きさで戦いの勝敗を決めているらしい」

男『そうみたいですね』

医者「でも彼らは、あの声の大きさだ……各国首脳が先ほど緊急会議をおこなったけど、恐らく無条件降伏という形をとるだろう」

男『……ですよね。あれより大きな声を出せる人なんているわけない』

医者「うん? いるじゃないか」

男『え?』

医者「君は今、話すたびに声が大きくなる状態なんだよね。そしてその限界は今のところないみたいだし」

男『そ、そうか!』

医者「でも……問題もある」

男「……?」

医者「君の声は、今のところ出せば出すほど大きくなっているんだよね……つまり、君があの宇宙人たちより大きな声を出せるようになった時……君はもう、満足に話すことは不可能になってしまうんだね」

男「…………」

医者「個人的には君しか救えないと思っているけどね……あくまで、最終的な判断は君に任せるよ」

男「…………」ペコリ

医者「いや、なに、感謝することはないさ。ボクも一応、医者だからね」

医者「さて……とはいえ、期限はもう迫っているからね。急かすようで申し訳ないけど、答えを聞かせてもらえるかね?」

男『俺、やります。実感ないけど……俺にしか世界を救えないなら、俺がやります』

医者「そうかい……看護師、彼のガムテープを外してやれ」

看護師「はい」ビリ

男『じゃあ行ってきます。色々と、ありがとうございました』ペコリ

医者「気をつけてね」

男『はい……それじゃ、また』ダッ

医者「……ふう、それじゃボクたちもいこうか」

看護師「どちらへ」

医者「決まってるじゃないか。あんな大声で叫ばれたらたまらないからね……ブラジルかな? 行き先は」

看護師「なるほど。さすが医者様でございます」

男(ふう……ここがUFOの真下か)

男(まさか俺の病気が、こんな時に役立つなんて……)

男(友、女友、医者さん、看護師さん、アフロ……そして、女さん)

男(みんな、待っててくれ……平和な世界は必ず、俺が取り戻すよ……)

【シタノ、ニンゲン。ソコ、ワレワレ、オリルトコ。ドケ。ツブスゾ。ゴミムシメ】

男「」ブチ

男「やってみろやコラァ!!!!!!!!!!!」ビリビリ

日本「」バタッ

男(これなら……UFOよりも大きかったはず……)フラフラ

【フッ】

男「っ!!!!!!!!!!!!?」

【オマエ。ナカナカ。コエ、オオキイ。デモ。マダマダ。サッキマデ、ワレワレ。アソンデタ。コレガ、ホンキ】

男「っ……」

【ウオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア】グワァン

男「」バタッ

男(ち、くしょう……)

百年後


子供「パパー、それでそれで? どうやってぼくたちのご先ぞさまはウチュージンにかったの?」

父親「うーん……それはね、白衣のお医者さまと看護師さんが宇宙人とお話しして帰ってもらったとか」

父親「アフロの高校生が、しゃべるたびに髪の毛が増える力を神様からもらってUFOを宇宙に押し返したとか……」

父親「全裸におじさんが宇宙人を恐怖のどん底に叩き落としたとか、色々あるんだけどね」

子供「えー、なにそれ、つまーんなーい」

父親「ははっ、そうかもねー」

『すみませーん、子供くんいますかー!』ピンポ-ン

子供「あっ、子供友くんだ! パパ、行ってくるね!」

父親「ああ、行っておいで」ニコッ

子供「うんっ」バタバタ

父親「気をつけるんだぞー……ふぅ、長い話をして少し疲れたかな……」


父親「……すぅ……すぅ……」

「…………」ガチャ

父親「……ん? 子供じゃないか、遊びに行ったんじゃないのかい?」

子供「…………」

父親「……? どこか具合悪いのかい? お医者さまに診てもら??」

子供「あのね、声、大きくなっちゃったの!!!!!!」

父親「」ビクッ


終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom