永遠の高校二年生 (29)

この世界が誕生する前

宇宙が存在せずビッグバンさえ起こっていない時

そこには何が存在していたのだろうか

完全な無だったのだろうか

神が存在していたのだろうか

はたまた一枚のカードから始まったのだろうか

答えはどれでもない

全ての源流、そこには一人の女子高生が存在していた

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479443286

彼女はいつの間にか存在していた

彼女がいつ生まれたのか、なんのために生まれたのか

それを知るものはただ一人としていない

もちろん、彼女自身も知らない

だが、彼女は自分の使命を理解していた

この世界の製作である

彼女はまず時間という概念を作った

彼女の時間を他の全ての物に分け与える形でこの世界の時間が動き出した

彼女は歳を取らなくなった

次に彼女は世界を作り始めた

かの有名なビッグバンである

そして宇宙ができ、無限の時が、無限の空間が広がり始めた

宇宙が誕生したことで、彼女以外の物質が存在することになった

そして彼女は宇宙が安定するまで、長い長い眠りについた

彼女は孤独だった

自分の周りにあるのは星、塵、氷、そして無限の空間だけだった

彼女は仲間を欲した

自分とよく似た、自分の意思で行動し、自分と共に過ごしてくれる者を

彼女は太陽系を作り始めた

最も身近に存在した恒星、太陽の周りに少しずつ氷や岩石を誘導していった

途中、幾度も手直しを加えながら現在の太陽系を完成させた

なんの気まぐれか彼女はひとつの惑星を気に入った

今の地球である

彼女は地球を見守ることにした

地球の変化は時に緩やかに、時に激しく行われ、彼女を満足させた

地球が安定し始めた頃、彼女はひとつの賭けに出た

自分の一部をこの地球に捧げてみたのだ

安定しているといえどこの時の地球は全てが水に覆われた、正しく水の惑星だった

何を得ようとこの行動が行われたのか

彼女が仲間を得ようと必死に考え抜いた結果だったのかもしれない

彼女の一部は奇跡を起こした

彼女がこの地球に産み落としたそれは、幾度とない分解、結合を繰り返し、この世界で初めての有機物を作り出した

その変化に彼女は気づき、その奇跡に涙した

そして、その涙もまた奇跡を起こした

その有機物が化学変化を周りに呼び掛けるかのように、凄まじい勢いで水中の有機物が増加していった

彼女の祈りは奇跡を起こし、彼女の力は奇跡をさらなるステージへと昇華させていった


地球では有機物から生命体と呼べるほどの物が誕生した

この地球における最初の生命である

彼女はそれにほんの少しの力とほんの少しの愛を与えた

そしてまた彼女は長い眠りにつく

彼女が次に目覚めたのはある程度陸が見え始め、エディアカラ動物郡が現れ始めた頃だった

この頃になると彼女は一部の生物とのコミュニケーションに成功していた

どの時代、どの生物にも天才と呼ばれる個体が存在する

全ての始まりである彼女の一部を色濃く受け継いだ生物こそそれなのである

彼女はその天才たちに惜しみない援助を行った

彼女は気兼ねなく意思を交わせる相手を必要としていたのだ

天才たちとの意思疏通は彼女にとってとても楽しいものだった

彼女はより高位の存在と心を通わせたいと願った

彼女は進化を促進させた

その時代の天才たちに意図的な変化を与えて、次の世代の足掛かりとした

彼女の思いと彼女の行動は本来ならあり得ないような進化をさせていく

初めてのセキツイ動物を作り、魚類、両生類、爬虫類、そして哺乳類がこの地球に現れた

それらの中の天才たちとも意志疎通をし、彼女はさらなる高みへと進んでいた

だがまだ足りない

決定的な何かが足りないと彼女は次第に気づくようになっていった

そしてついに哺乳類がこの地球に誕生した

彼女の探求心はさらに加速し進化もさらに加速していった

多種多様な生物たちは彼女を飽きさせることなく変化を続けていく

そして今から約700万年前

とうとう人類の始まりがこの世界に誕生した

かなり自分に近い存在の誕生は彼女にさらなる希望と好奇心を与えた

彼らはそれまでの生物と全く違った生命体だということを彼女に知らしめていた

彼女はこれからの自分の力はこの生物の進化に使うことを決意した

そしてその生物が進化する

その生物は今までなかったあらゆるものを作り出した

それらは彼女を満足させ、また新たな次元へと人間や彼女をレベルアップさせていった

そして次第に歴史が刻まれ、一年また一年とこの世界が膨らんでいった

彼女は楽しくてしかたがなかった

バージェス町とアノマロカリス村があります

人類が誕生してからの一年は彼女にとっての数万年に値した

彼女はこれまでの様々な天才たちとの日々を思いだし、時に涙した

彼女はこの人類が誤った方向へ進まないように、より発展するようにある種の天才たちといつも交流していた

世界は進み、彼女もまた変わる

時に大規模な疫病が起こり

時に大規模な殺しあいが起こり

人類に期待していた彼女はすこし悲しくなった

この世界は発見にあふれていた

彼女は少なくとも普通の人間と同じではなかった

彼女は歳を取らない

彼女の時計は17歳のまま永遠に動くことはなかった

そして彼女が死ぬことはない

死ねないのだ

だが、彼女が人間と違うのはそれぐらいのものだった

この世界、この人類が誕生してからしばらくして、彼女は普通の人間と同じような生活をしてみていた

自分によく似た人類に少しでも近づこうと思ったのだ

時によって名前を変え、住みかを変えて何千年もの間この地球に人類として生活してきた

幸いなことに女性というものは、ある程度成長してしまえばしばらくは変化しないものである

高校生一年生だと言っても大学生だと言ってもだいたいは信じてもらえた

ある程度の周期で高等教育を受け直したりしているらしい

そんな彼女であるがつい最近うんめいてきな出会いがあった

それは生命の誕生から一度も見たことがないタイプだった

だというのにまるで何億年も待ちわびていたかのような出合いだった

偶然、ありとあらゆる因果が絡み合い見つかったその人間

少女はその男に賭けてみようと、まるで自身がこの太陽系を選んだときのように、また地球を選んだとき、人類を選んだときと同じように

瞬く間にその男の力で、彼女は世間に知られるようになった

世界を産み出すほどの彼女の力、そして魅惑、不思議と惹かれる彼女の謎

少女には、男は少女の全てを知り尽くしているのではないかと思えた

少女はその男に初めての感情を抱いた

自分を理解してくれていた天才たちはどの世にもいた

この男はそれを遥かに超越した存在だったのだ

これから始まるのは少女と男の禁断の恋愛劇

ありとあらゆる世界を見てきた彼女

ここから先は彼女にさえわからない

彼女の名は










安部菜々「ナナでーす!」








ある時「永遠の十七歳が十七歳を保っているのは自分の一年をみんなに分け与えているから」
という毒電波をウサミン星からのムーンウェーブで受信したので書きました
ウサミンさんにしたのは17歳のイメージがあったからです
要素が最後の一行にしかないこれをモバマスssといって良いかは分かりませんが初ssです
楽しかった
html依頼してきます

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