【艦これ】提督「最高練度に達した艦娘が、ことごとく無気力になっている」の設定を使用しています。
独自の設定がいくつかありますが、気にしないでください。おねがいします。
・独自の設定、解釈があります。
・ハーレム提督です。
・喫煙描写があります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479140994
鎮守府の屋上。
マッチをすり、
提督「ん・・・」
くわえたタバコに火を点ける。
提督「すぅー」
ゆっくりと煙を吸い込み、
提督「えっほ!うえっほ!えほっえほっえほっ!!」
むせた。
提督「ひぃー、ひぃー・・・、あーくそ・・・」
呼吸が整うまで数分がかかり、提督が悪態をつく。
提督は、タバコが苦手だった。
ずっと以前に、初めて参加した提督会議。
なりたてだった提督は、初期艦の叢雲を連れて参加した。
他の提督たちは、着飾った巡洋艦、戦艦を連れていた。
制服での参加は、叢雲だけだった。
子連れと笑われた。
夜の宴会でも、酒も飲めずタバコも吸えないことで、笑われた。
ガキ扱いだった。
駆逐艦しかいない鎮守府の、子連れのガキ。
力、酒、タバコ、女。
古く偏った男達の価値観では、なめられるには十分だった。
叢雲は「仕方ないわね」と笑っていた。
今なら解る。
あれは悔しさを飲み込んでいたのだ。
何も知らない自分の提督に、余計な負担をかけないために。
今回の会議では、なめられるわけにはいかない。
これまでの挽回、それもある。
が、一番の目的。
大淀をもらう。
出向の身分である大淀を、本来の所属から転属させる。
そのために、少しでもなめられる要素は省きたい。
戦果はともかく、戦力は十分。
秘書艦として高雄と愛宕に頼み、皆の了承をもらっている。
あとは、酒とタバコ。
提督「くだらねーよなー・・・」
付き合いと称する、謎のコミュニケーションツール。
酒とタバコの練習を、提督はしていたのだ。
朧「身長差ハグです!」
朧「提督! こちらでしたか!」
屋上のドアを開け、提督を見つけた朧が笑顔を見せる。
とてとてと走り寄る朧は、走り回ったのか、軽く汗をかいていた。
提督「ごめん、探したよね」
朧「いいえ、大丈夫です」
生真面目な朧は、提督の前まで来ると、姿勢を正して報告を始める。
朧「報告が、」
と、言葉を切り、
朧「タバコ・・・、ですか?」
怪訝な表情をする。
彼女が知る限り、提督はタバコを滅多に吸わないはずだ。
提督「ああ、うん、ちょっとね」
言葉を濁し、灰皿に捨てる。
提督「ごめんね、臭うよね」
朧「・・・」
朧「いいですよ」
提督「ん?」
朧「タバコ、吸ってください」
提督「・・・」
朧「朧、見ていますから」
てすりに頬を寄せて、提督を見上げる。
朧「ね」
にっこり。
提督「・・・うん」
続けて吸うつもりはなかったが、なんとなく、吸わなければいけない気がする。
再びタバコをくわえて、マッチをする。
タバコに火を点して。
やはり苦手なことが顔に出る。眉間に皺が寄る。
提督(うう・・・やっぱりきついな)
朧(厳しい顔。 提督、辛そう・・・)
朧(なんだか、どきどきする・・・)キュンキュン
むせないように、ゆっくり吸って、ごまかすように上を向く。
軽く涙ぐんで。
提督(むせる、むせる!煙が目に染みる!)
朧(遠くを見て・・・、あ、涙・・・。 なにか、思い出してる・・・のかな)キューン
同じように空を見上げて。
朧(提督と、あたし、ふたりだけの空)
空と、提督と、自分しかいないような錯覚。
こうやってると、タバコの臭いも、気にならない。
いや、ふたりで共有したいとも思う。
朧(しあわせ)
なんだか、たまらなくなって。
朧「えいっ」
とん。
提督に、抱きついた。
提督「とと、危ないよ」
あわててタバコを遠ざけ、朧を受け止める。
朧は提督に抱きつき、顔を胸の辺りに埋めて、動かない。
提督「臭い、うつっちゃうよ」
軽く離そうとするが、
朧「・・・」
ふるふる。
顔を提督の胸に埋めたまま、首を振る。
提督「いいの?」
朧「・・・」
こくん。
抱きついたまま、離れない。
離れたくない。
提督「そっか。 ・・・朧は、小さいなあ」
軽く朧を抱きしめ、その髪を撫でながら提督は笑う。
朧「・・・むー」
子ども扱いされてる。
朧(朧だって、キスくらいできるんですよ!)
朧(朧が背伸びして、提督が屈んでくれれば・・・)
その姿を想像して、想像して、想像して・・・。
朧(ひゃああああ!)
朧「んんん・・・!」
ぎゅううう。
恥ずかしさを振り払うように、強く、抱きつく。
提督「あ、ごめん、ごめん苦しい」
全然苦しそうじゃない声で笑いながら、朧の背をぽんぽんと叩く。
ギブアップ。
朧「もう!」
ちょっと怒った顔で離れる。
でも、すぐ笑顔に変わる。
楽しい。
こんな小さなことでも、楽しくてたまらない。
提督「タバコの臭い、うつっちゃったでしょ?」
少し心配そうに。
皆が嫌がるから。
朧「いいんです!」
くるりと回って。
朧「提督と、朧だけですから!」
提督を、ひとりじめ。
朧「他の子には、うつしちゃダメですよ?」
朧「みんなの、ために」
提督「朝潮たちとの演習、見事だったね」
先日の駆逐艦同士の演習。
朝潮、大潮、満潮、荒潮 対 朧、曙、漣、潮。
朝潮たちに挟撃するように誘導し、旗艦の朝潮を孤立させ、大破判定での勝利。
朧「いいえ、あれが実戦なら、戦闘が継続されたなら、私たちの負けです」
朝潮が大破とはいえ、3人は健在。
対して、曙大破、漣中破、潮中破。
朧「私たちは、練度は最高に達しました。
・・・でも、それは機動や艤装の操作が上手くなっただけです」
頑張って、努力して、それでも。
朧「私たちは、未熟です。
それは、提督も同じです」
朧「だから」
実力以上のものを。
朧「勝つために、何でもします。」
考えて、考えて、それでも。
悔しい。
皆が無事な作戦が思いつかない。
朧「最善のために、最悪を選ぶことも、」
朝潮を追い込むために、大潮たち3人を曙が1人で迎え撃った。
そんなことが、出来るわけが無い。
提督「でも、朧はそれを選んだ」
朧「・・・はい」
自分は酷い指揮官だ。
出来もしない作戦を立てて。
自分は部下を――
提督「朧は、皆を信じてるんだね」
朧「・・・っ」
涙が出そうになる。
提督「その選択が出来たのは、信頼の証だ」
朧「・・・」
目をぎゅっと力いっぱい閉じる。
そうしないと、涙が出るからだ。
提督「それは、朧の、七駆の誇りだと思う」
朧「う~~~」
ぼふ。
もう一度、提督の胸に飛び込む。
今度は、涙を、泣いている顔を見せないために。
提督「皆も、一生懸命で頑張り屋さんの朧を信じている」
温もりを分けるように、朧を抱き寄せ。
提督「もちろん、私も」
朧「・・・」
提督「ありがとう」
朧「う、う、う~~」
今なら。
提督に見られていない今なら、泣いても大丈夫。
提督は優しく抱きしめ、朧が離れるまでずっと髪を撫でていた。
曙「くんくん・・・」
朧「え、えへへ・・・?」
曙「タバコのにおい・・・?」
漣「なんと! 朧ちゃんが不良に!?」
朧「ち、違うよ! 提督に・・・はっ」
漣「かかったなアホがっ!」
曙「なんで、クソ提督のにおいが、朧に、ついてるの?」
潮「曙ちゃん、おちついて・・・」
朧「違うの、待って」
漣「イチャイチャでスリスリですか~?」
朧「・・・」
漣「黙秘キタコレ!」
朧「違うのー!」
朧「って、あれ?曙は」
漣「曙ちゃんなら、とっくに出て行ったよ」
朧「あああ・・・」
\クソテイトクー!/ \アケボノチャンマッテー/
潮をひきずったままの曙の飛び蹴り(手加減)からの尋問により、提督の屋上でのタバコ練習が露見。
以後、提督と4人だけの秘密となりました。
今日はここまで。
コレジャナイ感はキニシナイ。
喫煙描写ってまずいんでしたっけ、ご指摘あればよろしくお願いします。
多分喫煙描写云々は読者が嫌がるとかじゃなくて板のローカルルールに抵触するか否かってことじゃないの?
>◆SS速報VIPは全年齢向けの掲示板です。R18表現を含む作品は「SS速報R」で立ててください。
このR18表現の中に喫煙描写が含まれるか否かってことだけどそもそも喫煙はR18ではなくR20だからね
広義で飲酒喫煙を含めて未成年禁止をR18ということもあるかもしれんけどLRで示してるR18表現はえっちぃ描写を想定してると思う
そもそもこのLR作られた理由が広告の関係でアダルト広告の表示有無関連のためだったと記憶してる
あと蛇足だけど子供の喫煙ならともかく大人が喫煙することに対して問題があるとは思わない
ご指摘ご意見ありがとうございます。
たまに「Rでやれ」というレスを見かるので、>>26さんご指摘の板ルールが心配でお伺いしておりました。
思い返せば飲酒描写を以前にしているので、何を今更ですが。
喫煙飲酒自体に賛否があるのは承知しておりますが、なるべく控え目に、継続します。
鎮守府の屋上。
ベンチに座り、提督がタバコを吸っている。
提督「あー・・・、まっず」
ようやく慣れたとはいえ、良いところが見つからない。
提督「ま、いいんだけど」
ポーズだけだし。
提督「遠征が戻るまで、あと1時間ちょっとか」
こうやって、「ひとり考える時間」を作るのも、悪くない。
提督(この前の演習・・・、霧島怒ってたよなぁ)
先日の駆逐艦同士の演習。
朝潮、大潮、満潮、荒潮 対 朧、曙、漣、潮。
朝潮を孤立させるために、大潮、満潮、荒潮を曙が一人で引き受けた。
結果、朝潮を大破させて勝利したとはいえ、曙自身も大破。
味方を犠牲にしての勝利、そう見えた。
そう見えたがために、霧島は激怒した。
以前の所属地で。
敵を足止めし、足止めした味方ごと敵をすり潰す作戦。
その作戦で囮とされた比叡と霧島は、味方の攻撃で沈みかけた。
艦隊運営を任される霧島は、味方を犠牲とする作戦は絶対に立てない。
そうされる悔しさ、怒り、悲しみを知っているから。
霧島『二度と、このような作戦は行わないように』
誰よりもつらいはずの部隊指揮官の曙に、静かに、それでも怒気を込めて霧島は言った。
提督(あれは怖かったなぁ・・・)
霧島の気持ちは、解る。
だが、朧の選択も否定したくない。
提督(曙はどう思ってるのかな)
それだけは、確かめたいと思う。
曙「ひざまくらよ! し、仕方ないわね」
曙「こらクソ提督!」
提督「うぇっ!?」
突然、目の前に曙があらわれた。
提督「え? あれ? なんで?
遠征が戻るまでまだ1時間以上あるでしょ!?」
驚く提督に、曙は心底呆れた目を向ける。
曙「はあ? ちゃんと定刻に戻ったわよ」
時計を見る。
たしかに帰投時間、どころかとっくに過ぎている。
提督(うわー、時間が吹っ飛んだみたいな気分)
曙「出迎えが無いから、みんな心配してたわよ」
提督「あー・・・、しまったなぁ」
曙「どうせここだと思ったから、皆は解散させといたわ」
はい、と報告書を手渡し。
曙「寝てたの?」
提督「そうみたいだね。 気付いたら今、みたいな?」
そういえばタバコを手に持っていたはずだ。
指を見ると、火傷をしていた。
提督「うわー、手の中でタバコが燃え尽きてるわ」
曙「はあ!? それは寝たんじゃなくて、気・絶・!っていうのよ!」
驚きで目を見開き、次にじっとりと睨みつける。
曙「ちゃんと、夜寝てる?」
提督「・・・そういえば」
目をそらし、話題を変えようとして。
曙「寝てないのね」
提督「・・・」
即座に見破られる。
曙「まったく、だからクソ提督って言われんのよ」
ためいきをつき、提督の隣に座る。
提督「そう呼ぶのは曙だけで・・・」
曙「なに?」
提督「なんでもないです」
曙「もう・・・、ほら!」
ぽんぽんと自分の膝を叩き。
曙「頭、こっち貸して」
提督「・・・」
ひざまくら。
提督「いや、今ちょっと寝たし」
曙「それは気絶! ちゃんと横になりなさい」
15分でいいから、と。
曙「横になって、休んで、・・・お願いよ」
提督「・・・わかったよ」
帽子をとり、曙の膝に頭を乗せる。
曙「どう? 全然違うでしょ?」
提督「そうだね・・・」
急速に意識が薄れてきて。
提督「ありがとう・・・、ぼのちゃん」
曙「ぼのちゃん言わないの」
軽く耳を引っ張り、抗議をする。
提督「すやぁ・・・」
曙「・・・もう寝ちゃった?」
ひざまくらをしてから、1分も経っていない。
余程安心したか、居心地がよかったか。
どちらにしろ、膝を貸した側としては誇らしく思う。
曙「子守唄を唄う暇も、なかったわね」
曙(クソ提督がこんなに近いのって、いつ以来だっけ)
自分自身、提督にくっついていくようなことはしない。
そういうところは、戦艦や空母のほうが上手だと思う。
提督の髪を撫でながら、記憶を辿る。
提督を蹴ったとき。
提督を殴ったとき。
提督に噛み付いたとき。
曙(・・・)
曙(だめじゃん)
ずーんと沈む。
もっとこう、いい思い出は無いか。
曙(そうだ、初めて会ったときはどうだっけ)
『こっち見んな!』
曙(・・・)
曙(こっちもだめだった)
ずずーんと沈む。
曙(よくもまぁ、こんなのに指輪を渡そうなんて思ったもんね)
思い出す。
あの構内放送を。
『口は悪いけど真面目で一所懸命だし!』
嫌われてなかった。
疎まれてなかった。
ちゃんと、見てくれていた。
曙「ふふ・・・」
あの放送を思い出すと。
あの後の、提督の照れた顔を思い出すと。
自然と笑顔になる。
曙「あんたはクソだけど」
優しく、優しく、膝の上で寝入る、愛しい人を撫でて。
曙「一番マシなクソよ」
個人的に最高級の褒め言葉を、送った。
曙「みんなの、ために」
提督「この前の演習、どう思う?」
曙「どうって?」
提督「霧島も怒ってたし・・・」
曙「ああ・・・」
提督「曙は、不満は無いのかな」
朧の立てた作戦。
曙一人で、三人の攻撃に耐えた。
曙「勝ったから、いいじゃない」
提督「それは、そうだけど」
霧島は、味方を犠牲にする作戦を許さない。
そして、作戦を実行した朧自身もまた、深く傷付いていた。
曙「はぁ・・・」
ため息をつき。
曙「朧が『全責任は自分にあります!』とか言うから黙ってたけど」
提督「・・・うん?」
曙「言いたいことが、三つあるわ」
曙「まずひとつ、あの作戦を提案したのは、あたしよ」
提督「へっ?」
戦いは数だ。
自分が複数受け持てば、それだけ有利になれる。
曙「危険だと渋る朧を、説き伏せたのも、あたし」
演習だから、と甘えることもない。
全ては実戦として考える。動く。
だからこそ指揮官として姉として、朧は反対した。
だがその朧の心配をはねのけて。
任せろと、大丈夫と、曙は言い切ったのだ。
曙「だから、納得するとか、不満があるなんて話じゃないのよ」
提督「・・・そうか」、
曙「そして、ふたつめ」
『二度と、このような作戦は行わないように』
曙「霧島さんはああ言ったけど」
強い意志を込めて、絶対に退かない意志を込めて、宣言する。
曙「あたしは、必要だと思ったら、もう一度、やる」
多数の敵の前に立つ。立ちふさがる。
曙「何度でも、やる」
提督「・・・」
曙「あたしは、みんなを、守る」
ずっと以前の作戦。
金剛、叢雲、七駆での侵攻作戦。
練度不足、最低限の装備、少ない情報での未熟な作戦。
潜水艦の奇襲を受け、艦隊が壊滅した。
初撃で吹き飛ぶ姉妹を見て、自分が何を叫んだかも聞こえなかった。
ただ、姉妹を助けたかった。
助けに向かおうとして、自身も魚雷を受け、大破した。
痛くなかった。
動かない体が、もどかしいだけだった。
ただ、姉妹が心配なだけだった。
強い力が欲しいわけじゃない。
そんなものは、きっと持て余す。
欲しいのは、皆を守る力。
目の前で沈む姉妹を、仲間を、見たくない。
それだけを思い、鍛えてきたのだ。
みんなを守る。
それは、曙にとっては、誇りであり、誓いなのだ。
曙「みっつめ」
曙「これは、提督も霧島さんも、朧も勘違いしてるんだけど」
腕を組み、胸を張り、提督を見上げる。
曙「あたしは、誰も犠牲になんかしないわよ」
提督「あ・・・」
提督の背筋に震えが走る。
提督の肌が粟立つ。
曙「そりゃ、今回はちょっと食らい過ぎたけど」
提督の頭の中で、曙の言葉がかちりかちりと組み上がっていく。
曙「でもね、被害の判定は”自力航行は不可だが、沈没の恐れなし”よ」
組み上がった言葉が、輝くひとつの結論に達する。
提督「・・・そうか、そうなんだな」
この強くて優しい駆逐艦は。
”みんな”の中に、当然のように自身が含まれているのだ。
沈む仲間を見るのは、頭がおかしくなるほど悲しく。辛く。苦しい。
なら、沈む自分を見る仲間も、きっとそうだ。
そんな目に遭いたくない。遭わせたくない。
誰も犠牲にしない。もちろん、曙自身も。
曙「次は、もっとうまくやってみせるわ」
ああ、強くて優しい駆逐艦は。
もっと強く、もっと優しくなろうとしているのだ!
提督「はは、はははは」
曙「な、なによ急に」
提督「曙! お前はなんてすごいんだ!」
嬉しくて堪らない提督が、曙を抱き上げて振り回す。
曙「ひゃああ! 高い!高い!」
そのままぐるぐると回る。
提督「ぼのちゃんサイコー!」
曙「だからぼのちゃん言うなって高い怖い振り回すなー!」
漣「ぼのちゃん、いいブツがあるんですが」
曙「ぼのちゃん言わないの・・・、って、何よブツって」
漣「ほい、この写真」
曙「・・・んなっ!?」
屋上で、提督をひざまくらしてる時の写真。
曙「い、いつの間に」
漣「演習終わったら皆を解散させて全力ダッシュですからね~、ピンときたわけで」
漣「こう、こっそりパシャリと」
みゅふふふと悪い顔で笑いながら。
漣「いい笑顔だねぇ~」
曙「ち、ちが、あのクソ提督が寝てないって言うから、仕方なく、」
曙「ってあれ、みんなは」
漣「とっくに出て行ったよ」
曙「あああ・・・」
\テイトクー!/ \オボロチャンマッテー/
漣「ちなみに写真は、提督にも渡してますんで」
曙「ギャー!?」
漣「可愛いって褒めてたよ~」
曙「え、ほんと?」
漣「おやぁ~? 満更でもないキブン?」
曙「ぐっ・・・、うっさいうっさーい!」
朧の泣きそうな心配顔に負け、提督のタバコ練習には誰かが付いていくことに決定しました。
もちろん、七駆の独占の秘密です。
今日はここまで。
コレジャナイ感はキニシナイ、キニシナイ。
あとおふたり、誰かは秘密ですが載せる予定です。
>>47
漣「演習終わったら皆を解散させて全力ダッシュですからね~、ピンときたわけで」
↓
漣「遠征終わったら皆を解散させて全力ダッシュですからね~、ピンときたわけで」
>>46
ああ、強くて優しい駆逐艦は。
↓
ああ、この強くて優しい駆逐艦は。
保守
うまくまとまらず進んでおりません
もうすこしお待ちください
鎮守府の屋上。
壁にもたれて、提督がタバコを吸っている。
隣に立つのは、漣。
楽しそうに鼻歌を歌いながら、提督を見上げている。
ひとりで考える時間がいいと思った。
漣「ふーんふんふー」
即興の歌。
提督(良いなぁ)
この時間も、悪くないと思う。
きっと自分は、自分で思っている以上に、寂しがり屋なのだろう。
漣「ふふんふー にゃーふーふふにゃふー」
サビに入ったようで、熱が入ってくる。
その歌声を心地よいと感じながら、先日の演習のことを思う。
先日の駆逐艦同士の演習。
朝潮、大潮、満潮、荒潮 対 朧、曙、漣、潮。
朧が斬り込み、朝潮を孤立させた。
朧と漣に挟み込まれた朝潮は、即座に反転して逃げようとした。
その際にばらまいた、苦し紛れの弾幕。
それを食らった漣が怯み、朝潮は離脱を止めた。
漣を倒し、合流しようとしたのだ。
その結果、朝潮は潮に狙われ、大破判定を受けた。
朧が斬り込み、曙が防ぎ、潮が撃った。
残った結果は、それだ。
漣は「余計な被害を受けたドジ」としか記録に残らない。
それに気付いたのは、霧島だけだった。
離れた場所から、高い場所から、全体を俯瞰していたからこそ、気付いた。
霧島『あれは、わざと受けていますね』
わざと怯んで見せた。
朝潮の離脱を防ぐために。
こいつは倒せる、と思わせるために。
提督を「ご主人様」と呼ぶ、不思議な艦娘。
提督(やっぱり、演じてるのかなぁ・・・)
提督自身、演じている。
そうありたい、と目指す提督像を。
手始めに、未熟で甘えた自分を戒めるため、自分を「私」と呼ぶようにした。
些細で、無意味なことだ。 だが、そうすることによって少しだけ考える時間が延びた。
漣も、そうだとすれば。
提督(もし、そうだとすれば)
にこにこと微笑んでる漣を見て、
そういえば彼女の笑顔しか見たことがないことに気付く。
提督(会ってみたいな)
演じていない彼女に。
漣「壁ドンキタコレ!」
漣「ご主人様、タバコっておいしいですか?」
漣が提督を見上げ、尋ねてくる。
しかし、とてもタバコに興味があるようには見えない。
提督が吸っているから、ただそれだけなのだろう。
提督「ダメだよ」
漣「むぅー」
即座に却下されて、頬をふくらませて抗議する。
漣「いいですか、ご主人様は子ども扱いされてますけどね! 私たちは酒もタバコも禁止されてないんですよ!」
提督「前にお酒をなめた時、漣はどうなってたっけ」
漣「おぼえてません!」
提督「即座に寝ちゃったんだよ」
漣「た、たまたまでは」
提督「朧も、曙も、潮も寝ちゃったよ」
漣「ぐぬぬぅ」
提督「きっと体に合わないよ」
提督が胸ポケットからポッキーの箱を取り出し、封を開ける。
提督「はい、あーん」
漣「あーん」
提督「みんなには、こっちのほうが似合うよ」
漣「んー」ポリポリポリ
ごく自然に差し出されたポッキーをごく自然に食べる。
たしかに、こっちのほうが自分には合ってると漣も思う。
提督「あーん」
漣「あー・・・、ん」ポリポリポリ
しかしこの子ども扱いはいただけない。
どうしたものかと思考する漣が、以前に読んだマンガのシーンを思い出す。
漣「ふぉっふぃーふぇーふっふぇふぃっふぇふぁふふぁ」
提督「・・・食べてから喋ろうね」
漣「んー・・・、ん」ポリポリポリ
漣「ポッキーゲームって知ってますか?」
提督「・・・いや、知らないなぁ」
漣「こう、チョコのついてない部分をくわえて」
ポッキーをくわえて、差し出す。
漣「ふぉふぉのふいふぇふぁ」
提督「食べてから喋ろうね」
漣「んー」ポリポリポリ
漣「もう一人が、チョコの部分を食べるんです」
漣「チョコがより少なくなるように食べたチームが、勝ちです」
提督「・・・なんでそんなことするの」
漣「ギリギリを楽しむんです!」
提督「ギリギリ」
漣「ちゅーしちゃう?あと2センチ!ちゅーしちゃうの!?」
提督「おー・・・」
漣「というハラハラドキドキを楽しむギリギリです」
提督「なるほどなー」
漣「それを踏まえて」
漣の瞳がキラリと輝く。
漣「やってみますか?」
提督「・・・いや、私は」
躊躇。
というか、ごく自然に、ビビる。
どれだけ接近するんだよ!と。
漣「んー」
ポッキーをくわえて、目を閉じ、壁にもたれたまま、おねだり。
提督「・・・あ」
思い出す。
漣から借りた、マンガ。
いたずら心が、湧き上がる。
提督(たしか、こう、壁際で・・・)
どん!
漣の顔の脇に、手をつく。
漣「ふおっ」
閉じていた目を開くと、視界いっぱいに提督の顔。
漣(かかかか壁ドン!?)
この距離は未経験だ。
しかも不意打ち。
提督「動くなよ」
じりじりと迫る提督に、漣の焦りがピークに達する。
漣「んんんん!」
想定外の展開に、思考が追いつかない。
ぶんぶんと首を振り、ノーを主張するが、
提督「・・・お前は、俺の、女(モノ)だろ・・・?」
耳元で、若干トーンを下げた声で囁かれて。
漣「ふぁ・・・」ズキュウウン
なんだか、今までに知らない感情。
漣「・・・ふぁい」
おとなしく、顔を上げて。
差し出した。
目を閉じて、顔を上げて、提督を待つ。
ぽり。
自分に迫る熱を感じる。
漣(近・・・)
ぽり、ぽり。
前髪に、提督の前髪が触れる。
漣(ふおおおおお)
ぽり。
鼻の頭に、ちょんと触れる。
漣(鼻が触れ・・・!)
もうその距離を、想像することも出来ない。
ぽり。
漣(――― )
何も考えられない。
呼吸すら出来ない。
提督「ふー」
ようやく、提督が離れる。
大きな安堵と、ほんの少しの寂しさを感じながら、漣はへなへなとへたり込んだ。
漣「・・・・・・・・・・・・・・・なんも言えねえ」
提督「ほら、漣」
提督が指差したのは、漣が落としたポッキーの欠片。
提督「チョコは全部食べたよ」
漣「うう・・・」
敗北感。
提督をからかうつもりで、してやられた。
提督「しかしこれ、恥ずかしいな」
漣「なんだとう!」
自分をこんな目に遭わせて。
こんな恥ずかしい目に遭わせて。
この最愛の男は、ニコニコと笑ってやがる!
漣「ううう~~~!!」ポカポカ
ぐるぐるパンチ。
怒りと恥ずかしさと敗北感がごっちゃになって、復讐のビーストと化す。
提督「はっはっは、どすこいどすこい」
漣「うううう~~~!!」ポカポカ
提督「ぐふっ ちょ 待って 待って」
漣「ううううう~~~!!」ポカポカ
提督「待っ ぐっ うっ がっ ・・・きゅう」
漣「・・・あ」
漣「やっちまった」
提督「やら・・・れて、ない、・・・がくり」
漣「ご主人様ーー!」
漣「みんなの、ために」
提督「演習のこと、なんだけどさ」
漣「あー、漣がミスったことですかー」
提督「・・・」
漣「あれがなかったらもっとかっこよく勝利宣言出来たんですけどねー、ほら漣ってドジだから」
まくしたてる漣を遮る。
提督「・・・やっぱり、わざとなんだね」
漣「・・・なんで」
提督「私はわからなかったよ。 でも、霧島がね」
漣「あー、霧島さんかぁー・・・、うまく出来たと思ったんですけど」
提督「どうして」
漣「提督」
聞こうとする提督を、今度は漣が遮る。
漣「私たちは、勝つために、何でもします」
漣「朧は辛い作戦を選び、曙はその身を盾にして、潮は全てを捨てて一瞬を狙う」
漣「その皆の選択を活かすため、漣に出来ることを、します」
漣「やられたフリ、死んだフリ、逃げるフリ、何だって」
擬傷。
地上に巣を作る鳥が、傷を負って飛べないフリをして、巣を狙う動物の注意を引き、卵や雛から遠ざけようとする行動。
もちろん、敵の注意を一手に引き受ける、危険な役目だ。
漣のそれに釣られた敵方旗艦の朝潮は離脱を止め、足止めに成功した。
漣「何だって、します」
提督「でも、それじゃ」
それじゃ、漣は報われない。
評価されない。
理解して、もらえない。
漣「提督だって、言ってたじゃないですか」
漁港で”地蔵”と呼ばれる、仕事もせず釣りをしている軍人。
『サボってるとか、バカ扱いされるのは仕方ないね』
漣「肝心なところでポカする、なんて評価は」
漣が、誇るように胸を張る。
漣「望む所です!」
提督「・・・そうか」
やはりこの艦娘は、自分を抑えて、演じているのだろう。
提督として背伸びしている自分は、艦娘の皆に助けてもらっている。
甘えさせてもらっている。
では、この艦娘は?
これまでずっと抑えて、演じて、背伸びして。
これからも、ずっと、そうなのだろうか。
それは、ひとりぼっちだ。
漣がそれでいいとしても、提督として、男として、このままでは嫌だと思う。
提督(・・・よし)
提督「漣」
漣「なんですか、ご主人様」
目の前で膝を突いた提督が、目線を合わせてくる。
滅多に見ない、真剣な顔で。
提督「提督、って呼んでほしい」
漣「!!」
息が止まる。
自分の中の、一番硬い殻で覆ったところに触れられた。
優しく、触れられた。
演じる自分のキーワード、「ご主人様」を否定された。
漣「で、でも」
提督「ふたりで居る時だけでも、いいから」
素の自分を見せろと言ってくれた。
わかってくれた。
わかってくれた!
漣「・・・いいん、ですか」
でも、怖い。
姉妹にも、見せていない。
提督「うん」
漣「朧ちゃんより頑固かも」
提督「うん」
漣「潮ちゃんより内気かも」
提督「うん」
漣「曙ちゃんよりツンツンしてるかも」
提督「・・・・・・うん」
嬉しい。
嬉しい!
漣「いまは、まだ、むりです」
提督「うん」
漣「でも、いつか」
提督「うん」
漣「まって、くれますか」
提督「待つよ」
即答。
そして、笑顔で。
提督「これから、ずっと、一緒だしね」
漣「あ・・・、はい!」
そうだ。
ずっと一緒と、約束してくれた。
それなら。
いつか、きっと。
漣「提督にソレを無理やりくわえさせられて~」
漣「それで、壁ドンされて~」
朧「・・・」
漣「ご主人様に迫られて」
曙「・・・」
漣「ああ、私はこの人の女(モノ)なんだなーって」
潮「はわー・・・」
ぐねぐねと体をひねり、若干誇張して自慢してみる。
あの時を思い出すと、演技にも熱が入るというもの。
漣「お?」
我に返ると、誰もいない。
\テイトクー!/ \クソテイトクー!/ \マッテー/
漣「んふふ~」
漣「頑張ってね」
漣「・・・てい、とく」
朧、曙、潮に責められるところに金剛が通りかかり、ポッキーゲームが一大ブームになりかけたが、
愛宕の持ち込んだ「全チョコポッキー」により、全員が恥ずかしオーバーヒートを起こして逃亡。
事態は収束を迎えた。
提督「助かったよ」
愛宕「あらー、私は別にこれでもいいのよ?」
高雄「だ、め、で、す!」
今日はここまでです。
まあ、愛宕さんも全チョコポッキーだと熱暴走バタンキューしちゃうんですけどね。
漣がなぜ「ご主人様」と呼ぶかを考えてみました。
間が空きましたが、あと一人書く予定です。
>>65
にこにこと微笑んでる漣を見て、
↓
ニコニコと微笑んでる漣を見て、
>>74
漣「提督」
↓
漣「ご主人様」
>>75
漣「提督だって、言ってたじゃないですか」
↓
漣「ご主人様だって、言ってたじゃないですか」
>>78
提督「助かったよ」
愛宕「あらー、私は別にこれでもいいのよ?」
高雄「だ、め、で、す!」
↓
提督「助かったよ」
愛宕「あらー、私は別にこれでもいいのよ?」
提督「じゃあ早速」ズイッ
愛宕「そうだ用事があったんだわちょっと失礼するわね」スタコラサー
提督「・・・逃げられた」
高雄(そりゃそうよね、あの子の経験なんてみんなと差がないんだもの)
鎮守府の屋上。
ベンチに座って、提督がタバコを取り出す。
すぐ傍に立つのは、潮。
ベンチに座ることもなく、もじもじとしている。
提督は、潮は二人きりになることを拒むと思っていた。
事実、これまでそうなったこともない。
間が、もたないのだ。
引っ張る朧、曙。
かき混ぜる漣。
受け止める潮。
積極的に動かず、やはり受け側にまわる提督とは相性が良くない。
が、屋上に付いてきてくれた。
提督(せっかくだから・・・)
少しでも、話したいと思う。
指輪を受け取ると言ってくれた、このちょっとだけ内気な艦娘と。
潮「これが・・・、あすなろ抱き!」
潮「あ、あの!」
提督「んあ?」
マッチを手にした提督が、顔を上げる。
顔を真っ赤にして、拳を握り、それでも提督の目を見て、潮が勇気を振り絞る。
潮「ひ、火を、おつけします!」
提督「ん・・・? タバコの?」
潮「はい!」
提督「・・・」
たぶん、今思いついたことじゃない。
きっと、前々から考えていてくれたのだ。
ふたりになったら、こうしてあげたい、と。
提督「うん」
嬉しかった。
避けるどころか、一所懸命考えていてくれたのだ。
提督「おねがい、するよ」
マッチ箱を、潮に渡して。
潮「はい!」
潮「で、では!」
マッチ棒を側薬に押し付け・・・
潮「えーい」
すかっ
たゆーん
提督「・・・」
着火失敗。
そして、謎の擬音と共に揺れる何か。
潮「あれ・・・?」
もう一度。
潮「えーい!」
すかっ
たゆーん
提督「・・・」
提督(同じスペックのはずなのに・・・、こんなに違うんだ)
揺れる何かを見て、謎の感想を漏らす。
潮「あれぇ・・・」
泣きそうになる。
ちゃんと練習もしたのに。
全然うまくいかない。
潮「おかしいな・・・」
提督「潮」
潮「す、すみません!すぐ点けますから!」
提督に背を向け、
潮「えーい!」
すかっ
たゆーん
潮「どうしてぇ・・・?」
点かない。
だめ、我慢できない、泣いちゃう。
ほら涙が
提督「潮」
ふわり。
潮「ふあっ」
提督が、潮を後ろから抱きしめる。
提督「うしお、おちついて」
そして、ゆっくり、ゆっくり話しかける。
提督「いっしょに、やろう」
潮「・・・はい」
いきなり抱きしめられ、びっくりして涙がひっこんでしまった。
それどころか、この暖かさにうっとりとしてしまう。
潮(あれ、これって・・・マンガで読んだ・・・)
あすなろ抱き。
後ろから抱きしめ、強引に迫る。
潮(でも・・・)
強引さは感じない。
優しく、優しく、包まれている。
潮(提督・・・)
安心する。
そもそも提督は、艦娘との距離に戸惑っているようだった。
初めて会った時は、目線も合わなかった。
最初は、提督から触れることはなかった。
抱きつかれて、支える程度。
次第に馴れ合い、近づいたが。
頭を撫でるにも、恐る恐る。
艦娘を恐れる、普通の人だと思った。
避けられてる、とも思った。
そうじゃなかった。
怪我をして帰った、あの時。
泣いてくれた。
痛みを、解ってくれた。
小破以下のかすり傷でも、抱き上げてドックまで走ってくれる。
今も、泣きそうになったら、抱きしめてくれた。
自分と同じ、ただの照れ屋なのだ。
それが解れば、いつもの一歩下がる態度も、可愛く思える。
潮「ふふっ・・・」
提督「どうした?」
潮「いいえ・・・」
提督「じゃ、やるよ」
潮「はい」
思わずこぼれた笑いをひっこめ、キリリと気を引き締める。
そうだ、今は重要な任務の途中だった!
マッチを持つ手を提督に支えられ、耳元で囁かれる提督に声に、なんだかぽわぽわする。
恥ずかしいけど、離れたくない。
潮(共同作業・・・)
全然関係ないケーキとナイフが脳裏に浮かんでくる。
あわてて消す。
提督「箱のほうは動かさず」
潮「動かさず」
提督「棒のほうだけ」
潮「棒のほうだけ」
提督「すりつける」
マッチ棒を持つ潮の手を、提督の手が包み込んで。
手首を返すように。
しゅっ
ぼっ
潮「わ」
提督「ね」
潮「はい!」
潮「あの、もう一回」
提督「よし」
潮の要望により、マッチ着火の練習は20回を超えました。
潮「で、ではっ」
今度こそ。
ひとりで。
潮「潮、いきます!」
提督「うん」
潮「えーい!」
すかっ
たゆーん
潮「ええー!?」
提督「あはははは!」
マッチが尽きたため、本日のタバコ練習はとりやめになりました。
潮「ごめんなさい・・・」
しょんぼりと謝る潮だが。
提督「いいもの見られたし、全然大丈夫だよ」
潮「・・・? はい」
よくわからないが、提督はご機嫌のようでした。
潮「みんなの、ために」
潮「私が、MVPでよかったんでしょうか」
先日の駆逐艦同士の演習。
朝潮、大潮、満潮、荒潮 対 朧、曙、漣、潮。
確かに旗艦を撃破したのは潮だが。
本人は、納得がいってないようだ。
潮「朧ちゃんが斬り込んで、曙ちゃんが食い止めて。
漣ちゃんが朝潮ちゃんを誘導して」
提督(漣・・・、”やられたフリ”はバレてるっぽいぞ)
潮「みんなで勝ったのに。 ・・・評価は、潮だけなんて」
提督「そうだ」
潮「・・・提督?」
提督「みんながそれぞれの役割を果たし、勝った」
率いる朧。
守る漣。
誘う漣。
その三人が、全幅の信頼を寄せるのが、狙い撃つ潮だ。
姉妹で最も不器用な潮だが、そのために皆の何倍も訓練をしている。
その積み重ねを、姉妹は認めているのだ。
誰も、損をしているとは思っていない。
提督「潮も、誇ってほしい」
潮「・・・はい」
提督「勝利も、敗北も、つらいことも、たのしいことも。」
提督「皆の、ものだ」
提督「私の、誇りだ」
潮「はい!」
演習よりももっと以前に、潮が工廠で明石に頼んだ物。
自分専用の、装備。
明石『錨を、海底に打ち込みたい?」
潮が明石に頼んだのは、自身を固定するための錨。
明石『できなくはないけど・・・、動けないよ?』
潮『はい』
明石『うーん・・・、わかった、作ってみるよ』
潮『おねがいします』
明石『あなた達は皆、面白いものを頼んでくるよねぇ』
潮『・・・皆、ですか?』
明石『朧ちゃんは緊急制動機。曙ちゃんは大盾。漣ちゃんは大型電探」
潮『・・・』
明石『本来の艤装のバランスが崩れるような物ばっかり!
こっちは設計するだけでハラハラだよ」
明石『・・・でもね』
明石『皆の気持ちが、解るから。 何がしたいか、解るから。 断れないの』
潮『・・・はい』
明石『明石さんの弱音、皆には内緒だよ!』
そして、演習の時。
演習だから、と甘えることもない。
全ては実戦として考える。動く。
出来ることは、なんでも、全部、やる。
勝つために。
『演習、開始』
緊急制動機を使った朧が突っ込み、朝潮を孤立させる。
朧『無理は、承知、でも、お願い』
潮「投錨」
射出型の錨、明石命名「パイルアンカー」を海底に打ち込む。
波の影響を受けないよう、体を固定する。
潮「機関、停止」
艤装の機関を止める。
狙い撃つには、機関の振動すら邪魔だ。
『15秒経過』
曙が、大盾を構えて、大潮荒潮満潮を食い止める。
曙『一分稼いでやるわ、頼むわね』
潮「ふぅぅー・・・」
膝を落とし、右手の砲を構える。
息を吐き、止める。
呼吸も、邪魔だ。
『30秒経過」
離脱しようとした朝潮だが、被弾した漣を追って反転する。
漣『潮ちゃんにおまかせ~』
潮「――― 」
意識を、朝潮の挙動に集中させる。
集中して、集中して、時間が、間延びしていく。
音も聞こえない。
『45秒経過』
朝潮は漣に注意を向けるあまり、潮の存在を忘れている。
朝潮が旋回する。
徐々に、艤装の、機関部を晒している。
機関部の継ぎ目、弱点が見えてくる。
潮(あと、すこしで)
一秒が十倍にも二十倍にも感じる、潮の世界。
ゆっくりゆっくり朝潮が動く。
その時。
被弾。
曙の防御をかいくぐった荒潮の砲撃。
潮(左腕に、直撃)
砲を支える左腕が、動かなくなる。
だが、関係ない。
右手で構えた砲は微動だにしない。
被弾。さらに被弾。
潮(左足。機関部)
関係ない。
とっくに機動は止めている。
痛みは感じない。
感じている暇は無い。
そして。
潮(見えた、ここ!)
潮「てーっ!」
潮「そしたら、提督が後ろから抱きしめて」
朧「・・・」
潮「あったかくて」
曙「・・・」
潮「恥ずかしくって、でも離れたくなくって」
漣「んふふ~」
潮「・・・あれ、朧ちゃんと曙ちゃんは」
漣「とっくに出て行ったよ~」
\テイトクー!/ \クソテイトクー!/
漣「行こっか」
潮「う、うん」
提督の前で反転、背を見せて待機するが、気付いてもらえず噛み付く曙。
遅れてきた漣が、マッチ着火の練習というパクリにて、あすなろミッションクリア。
泣きそうな曙を見て、ようやく気付くボンクラ提督でした。
そして、無事に大淀が転籍して。
朧「・・・」
曙「・・・」
漣「・・・」
潮「・・・」
執務室に報告に来た四人の前に、秘書艦に復帰した大淀と、提督。
提督「大淀さん、この資料は・・・」
大淀「提督、ダメですよ」
大淀「大淀、とお呼びください」
提督「ああ、そうでしたね」
提督「大淀」
大淀「はい、・・・もう一度」
提督「大淀」
大淀「提督」
提督「大淀」
大淀「提督」
朧(・・・なんでしょう、この胸の中のザワザワは)
曙(あたしが一番って言ったくせに!)←言ってない
漣(なんでイチャイチャを見せられてるのかな~・・・)
潮(いいなあ・・・)
呼び合うたびに近づくふたりに、四人が同時に一歩踏み出す。
更に同時に、二歩。
艦娘の身体能力なら、二歩あれば全速が出せる。
飛ぶ。
「「だめクソこんにゃろやー!!!」」
大淀「ひらり」
提督「あ痛ーー!」
数時間後、廊下で正座する四人の姿が目撃されました。
バケツをかぶり、罪状を書いた看板を下げています。
霞「わたしたちは、しつむしつで、あばれました」
「「・・・」」
満潮「バッカじゃないの」
「「・・・とほほ」」
朧「朧、行きます!」
曙「曙、出撃します!」
漣「漣、出るっ!」
潮「潮、まいります」
自分のため、姉妹のため、仲間のため、人のため。
そして、あの人のため。
戦う。
そして、戦う以外の、恋も。
「「負けません!」」
終わりです。
えらく間が空いてしまった。
このペースでは、続きは厳しいかも。
待ってくれて
保守してくれて
ありがとうございました。
>>100
率いる朧。
守る漣。
誘う漣。
↓
率いる朧。
守る曙。
誘う漣。
おかしいな下書きではちゃんと曙なのに
ペースは遅いですがもう少し続けます。
変なこと書いてすみません。
保守すまぬすまぬ
あらすじはできてるんじゃ
時間さえあれば・・・ぐぬぬぅ
保守してもらってるのが申し訳ない
ほんと時間が無いです
といいつつカタパルトはひとつもらいました
伊勢さん用にもうひとつ欲しいな
SSは続きを書きつつ外伝を作ってます
とりあえずそっちを完成させるかなと思ってます
二ヶ月ぶりにここを見て、保守してくれているのを見て本当に申し訳ないです。
自分は書いて、読み返して、修正して、を繰り返すので、二晩あれば・・・とおも思うのですが
環境の激変で厳しいのです。
でも、気持ちをいただいたので、がんばりたいです。
このSSまとめへのコメント
良い。
こーゆーの好きだなー