提督「ケッコンカッコカリ後の惚気話を同僚達から度々聞かされる」
提督「秘書艦の際は仕事が捗るとか」
提督「ご飯は手作り最高とか」
提督「夜は良いよねぇ夜はさぁ、とか」
提督「表面上は『ほう、そうかそうか』と平静を保っているが……」
提督「正直少し羨ましい」
提督「無論、こちらの嫁艦達が劣っているなど考えたこともないが……」
【ケッコンカッコカリ リスト】
大井
比叡
筑摩
千代田
山城
龍田
提督「まさか彼女達が『オコトワリ勢』と呼ばれていたとは思わなかった」
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提督「無論、指輪はちゃんと受け取ってもらえた」
提督「そのお陰で彼女達は限界を超えて日々強くなっている」
提督「しかし他から聞くような甘い新婚生活など皆無」
提督「不憫に思われたのか、代わりに彼女達の姉がかなりの頻度で来てくれるが……」
提督「一日でも良い。ケッコンをした娘達と過ごしてみたいものだ」
提督「…………もしかして彼女達に無理矢理受け取らせてしまっていたのだろうか」
明石「お話は分かりました!!」ドアバーン!!
提督「……何だ明石。ノックもせずに入って来るんじゃない」
明石「まあ細かいことは置いておいて、どうやらケッコンでお悩みのようですね提督」
提督「むっ……まあ少しな」
明石「恥ずかしがらなくても良いですよ。提督に指輪を売った身としては、私も今の状況は心苦しいんです」
提督「うむ。人数分揃えるのは大変だった」
明石「そこでですね、私がお手伝いさせて頂きます!」
提督「手伝い? 何をだ?」
明石「勿論、提督が夢見てる甘い新婚生活ですよ!」
提督「それはありがたい話だが、どうするんだ」
明石「簡単なことです。彼女達の想いを解放してあげるんです」
提督「と言うと?」
明石「彼女達がオコトワリした理由は、大事なお姉さんがいるから。もしくは北上さんがいるからですよね」
提督「後半は大井一人だけだが、まあそうだな」
明石「信じられないかもしれませんが、提督は彼女達に凄い想われてるんですよ?」
提督「えっ……彼女達にそんな素振りなど無かったと思うが」
明石「錬度がその証拠です。とある研究では、錬度は私達艦娘の強さを示すと共にあることも示しています」
提督「何だそれは?」
明石「ズバリ……提督への愛情です!」ババーン!!
提督「」
明石「ちょ、何ですかその顔は! 信じてませんね!」
提督「いや、あまりにも突拍子が無さ過ぎるだろう。現にお前はどう思ってるんだ?」
明石「私ですか? 大好きですよ提督」←錬度97
提督「あっけらかんとし過ぎてて信憑性に欠けるな」
明石「と、とにかく私のことは良いんです! 後日私に指輪を渡して確認するとして、今は提督のことです!」
提督「さりげなく指輪を要求された……」
明石「明石に策有り、です。お姉さん+北上さんで蓋をされた提督への想い、開放してみせましょう!」
提督「あんまり乱暴なことはするなよ……」
【大井編】
明石「場所を変えまして、ようこそ『明石の工房』へ」
提督「お前の言う通り夜まで待ったが、一体何をするんだ?」
明石「無論、この時間が狙い目だからですよ。最初のターゲットは大井さんです」
提督「大井か……彼女は私じゃなく北上への想いに溢れてるんじゃないか?」
明石「でも指輪を受け取りましたよね? 付けてもくれてますよね?」
提督「うむ。ケッコンの際、裏切ったら沈めるとか言われたが……」
明石「あれ? 提督重婚してますよね? 裏切りなのでは?」
提督「いや、大井がケッコン予定の面子を見て――」
大井『ああ、この人達なら別に構いません』
提督「って言っていたからな。裏切りではない……と思う」
明石「ちゃんと許可取ったんですね……」
提督「最初に指輪をあげたからな」
明石「では発表します。大井さんに仕掛けるのはコレ!」
『指輪は何処へ!? ~無くして気付く貴方への想い~』
提督「……何ともコメントし辛い作戦名だな」
明石「一生懸命考えました!」
提督「よしよし」アタマナデナデ
明石「えへへへへ……って違います! 嬉しいけど違います!」
提督『深夜の川内なみにテンション高いなぁ……』
明石「今の時間、みんな楽しみお風呂タイムです。大井さんが北上さんと一緒に入ろうとする時間帯の情報は入手済みです」
提督「何処から仕入れたのか聞くのは野暮なのだろうな……」
明石「これから私も現場に行きまして、大井さん達とお風呂に入ります」
提督「ふむ……」
明石「流石に指輪を付けたまま入る訳にはいきませんからね。脱衣所ではきっと指輪取ります!」
提督「…………」
明石「そこでちょこっと指輪を私が拝借しまして「盗む気か!」違います! 借りるんです!」
提督「全く。乱暴な方法はやめろと言っただろう」
明石「ですが提督、これぐらいのショック療法で無ければ想いを自覚出来ませんよ。お嫁さんが居なければ寂しいでしょ?」
提督「むむむ……し、しかし大井が風呂場まで指輪を付けているとは限らんだろう」
明石「ああ、その点も大丈夫です。大井さんは絶対付けてますから」
提督「お前のその自信は何なんだ……」
明石『だって、ねえ……提督に指輪を貰ってから大井さんが外してるとこ見たことないですし』
明石『この前の出撃の時なんか誰にも見られてないと思ってやったのでしょうが……』
明石『指輪にキス、してましたもん……嬉しそうに』
明石『提督がそう思い込んでいるだけで、大井さんは所謂“提督love勢”なんですよねえ』
明石『ただ素直になれないだけで、北上さんを隠れ蓑にしてるだけなんですよ。うん』
提督「どうした明石。ボーッとして」
明石「いえいえ、何でもありません、では提督、吉報をお待ち下さい! 明石、出撃します!」
提督「お、おう……」
提督「…………」
提督「ここで何して待てば良いんだろうか」
妖精さん「オハナシスルー?」
提督「うん。ありがとう妖精さん」
今日はここまで。ありがとうございました
少し時間がありますので投稿
-大浴場-
大井「あら? 明石さん」
明石「どうも。大井さんに北上さん」
北上「明石さんがこの時間にお風呂なんて珍しいねえ」
明石「いやぁ~、装備の開発してたら何時の間にかこんな時間になってまして……」
北上「何というか相変わらずだねえ~。その集中力は」
大井「提督が無茶させてるんですか? 全くあの人は……」
明石「いえいえ、提督からは予め無理するなと言われてます。私が勝手にやってることです」
明石「それに提督は工作艦である私も積極的に運用してくれますからね。自然とやる気が出ますよ」
北上「ああ~、そう言えば明石さんて錬度最大までもうすぐなんだっけ」
明石「えっへん。ここまでの錬度の工作艦はなかなかいないですよ?」
大井「」ピクッ
大井「ま、まあ最大錬度までが長い道のりですから無茶はしちゃ駄目ですよ?」
北上「と、危機感を感じた最初のケッコン艦が申しております」
大井「き、北上さん!」
明石「あはは、大丈夫ですよ。提督がそんな無茶な出撃させるとは思えませんしね」
大井「そ、そうですね……」
【艦娘入浴中…】
明石『さてさて、二人より先にお風呂からあがりましたが……』
明石『幸い脱衣所には私以外誰もいない。ということで!』
明石『大井さん、ごめんなさい。ちょっとお借りしますね?』
明石「お待たせしました提督。明石、帰還しました!」
提督「お帰り。目的は……聞かなくても分かるな。その顔見れば」
明石「もうバッチリです! では早速ここから大井さんの様子を見てみましょうか」
提督「ん? どうやって見るんだ?」
明石「ここに各所の監視カメラのリモコンがあります。先ずは脱衣所の「ちょっと待てい!!」何ですか?」
提督「何てところにカメラ仕掛けてるんだ! 彼女達にバレたら殺されるぞ!」
明石「防犯のためです! それに見るのは同性の私だけ、提督は目隠しをどうぞ。様子は私が実況しますから」
提督「あ、ああそう……」
明石「期待しました?」
提督「……してない」
明石「ちなみに音声をあえて切ってるのは脱衣所での赤裸々な会話を」
提督「聞いてないから」
明石「失礼しました。さてさて、様子はどうでしょうか?」
提督「大井なら冷静に対処すると思うが……」
大井『…………』
明石「北上さんと着替えながら談笑してますね」
提督「まだ気付いてないのか」
明石「そろそろだとは思いますが……」
大井『……ッ! ……ッ!! ……ッ!?』
明石「あ、気付きました。指輪がないことに気付きましたよ!」
明石「音声が無くても分かります。明らかに凄い動揺してます!」
提督「え」
明石「不審に思った北上さんを誤魔化してますね。これは何でもないと言ってますね」
明石「二人が脱衣所から出ます。大井さんが物凄く残って探したそうな顔してます!」
提督「信じられん……」
明石「あ、カメラ切り替えますので目隠し取って大丈夫ですよ。二人で通路歩いてますね」
提督「大井の顔が見てられないぐらい沈んでるんだが……」
明石「音声出しましょうか」リモコンヲポチッ
北上『大井っちどうしたの? さっきから様子が変だけど』
大井『な、何でもありません。大丈夫です、大丈夫……』
提督「どう見ても大丈夫じゃないだろうに」
大井『あ……北上さん、私忘れ物しちゃったみたいなんです。ちょっと取りに戻っても良いですか?』
北上『ありゃ、大井っちにしては珍しいね。ここで待ってようか?』
大井『いえ、北上さんは先に姉さん達の部屋に戻って下さって構いませんので……』
北上『そう? んじゃ先に戻ってるね』
大井『はい』
明石「ダッシュで戻りましたねえ」
提督「島風もビックリの速さだな」
明石「まあ指輪はここにあるので、忘れ物は見つからないのですが」
提督「お前がえらい鬼畜に見える」
明石「酷いッ! と、まあカメラは球磨ちゃん達のお部屋に切り替えましょう」
提督「一体何台カメラを鎮守府に仕掛けてるんだ……」
明石「協力者は青葉さんです」
提督「青葉ァァァァ!」
北上『ただいま~』
球磨『お帰りだクマ』
多摩『ニャ!』
木曾『大井姉さんはどうしたんだ?』
北上『何か忘れ物したからってお風呂場に戻ったよ』
多摩『珍しいこともあるものニャ』
球磨『明日はきっと雨が降るクマ』
木曾『いや、大井姉さんも忘れ物ぐらいするだろう』
北上『ん~……でも様子がおかしかったんだよねえ。着替えの時から』
球磨『クマ? 具合が悪そうだったクマ?』
北上『いや、そんな感じじゃ――』
大井『ただいま……』
北上『うわっ、ビックリした! 音も無く入って来ないでよ大井っち……』
木曾『お、お帰り大井姉さん』
多摩『ニャ? 何でそんな元気が無いのニャ?』
球磨『マジで具合が悪いクマ? 無理せず布団に……』
大井『う、う……』
球磨『く、クマ?』
大井『うええええええええん……!?』
『『『『』』』』
提督「」
明石「」
可愛いけど罪悪感も凄い、あとで思いっきり怒られたい
あと違ってたらすまんけど最後の台詞の「!?」は間違いかな?
>>41さん 御指摘ありがとうございます。うっかり付けてしまいました。
大井『ない、ないんです……うえええええん……』
球磨『おおおおおおおお落ち着くクマ大井ッ!』
多摩『何ニャ! 何を無くしたのニャ!』
提督「私は夢を見てるのだろうか……」
明石「安心して下さい。現実ですよ?」
提督「マジ泣きじゃないか!? あれが本当に私の知る大井か!? まるで別人だぞ!」
明石「女の子はいくつもの顔を持っている……勉強になりましたね提督」
提督「やかましい!」
明石「あ、球磨ちゃん達が何とか話せる程まで落ち着かせたみたいですよ」
球磨『ほら、涙と鼻水拭いて。一から話すクマ』
大井『』コクン
大井『北上さんと一緒にお風呂に入って、出て着替えようとしたら指輪が見当たらなくて……』
大井『見落としたかもしれないと思って、また戻って調べてみても無くて……』
大井『提督から貰った指輪……ゆびわがなくなってて……なくなってぇ……』
木曾『ああ姉さん。タオルでほら、拭いてくれ』
北上『どうりであの時大井っちの様子が変だったわけだ』
多摩『まあでも罰が当たったのかもしれないニャあ』
球磨『多摩ッ!』
多摩『提督からのお誘いも北上を理由に受けない。ケッコンしたのに態度を変えない』
多摩『オマケに一緒の時間もロクに過ごさない。代わりに多摩達が提督のところに行っている始末』
多摩『提督も不憫だけど、提督のことが真剣に好きな娘達からすればケッコン艦なのに……と不満爆発の状況だニャ』
多摩『正直言って、遅かれ早かれ……痛いッ!』
球磨『言い過ぎだクマ! 確かに大井にも反省すべき点はあるけど、今言うことじゃ……』
大井『ふ、ふふふふふ……そうですよね』ハイライトoff
北上『お、大井っち……?』
とりあえずここまで。戻って夜に更新出来たら再開します。
戻りました。再開します
大井『多摩姉さんの言う通りです……。初めて男性を好きになったからって……どうして良いか分からないからって……』
大井『自分の気持ちに素直にならなかった罰が当たったんですよね……。指輪を貰ったからって調子に乗り過ぎたんですよね……』
大井『提督にも不謹慎な態度を取り、寂しい想いをさせてしまいました……。ふふ、ケッコン艦失格。艦娘失格です……』
木曾『ね、姉さああああああん! しっかりしろ! まだ間に合う! 姉さんがその事に気付いたのならまだやり直せる!』
北上『そ、そうだよ大井っち。元気出しなって』
球磨『二人の言う通りだクマ。こうなったら球磨達も一緒に探してやるクマ』
大井『えっ……』ハイライトon
球磨『一人で探したんじゃ見落としもあるかもしれないクマ。姉妹全員で探せばきっと見つかるクマ』
大井『球磨姉さん……』
球磨『妹の泣き顔を黙って見過ごすお姉ちゃんじゃないクマ。なあ多摩』
多摩『うっ……さ、さっきは言い過ぎた。ごめんニャ。多摩も探すの手伝うから元気出すニャ』
大井『多摩姉さん……ありがとうございますぅ……!』
多摩『ああもういい加減泣くんじゃないニャ!』
木曾『ふう。やれやれ』
北上『探してみますかぁ。あたし達全員で』
明石「良い話ですね」
提督「こんな状況じゃなければな」
木曾『どうするんだ? 今から行くか?』
球磨『今はもうお風呂場が混み始める頃だろうし、もうちょっと経ってからだクマ』
多摩『でも空き始める頃には消灯時間になって、提督が鎮守府の見回りを始めてしまうニャ』
北上『ああ、最近駆逐艦と川内さんの夜更しが酷いからって始めたんだっけ。厄介だなぁ』
木曾『見つかったら反省文だぞ』
大井『だ、駄目です! 提督に見つかるのは絶対駄目ッ! 無くしたなんて知られたくないです……』
大井『知られたら絶対嫌われます……指輪手に入れるの苦労したって言ってましたし、合わせる顔が無いです……』
北上『大丈夫だよ大井っち。提督がそんなことで嫌うわけないじゃん』
木曾『ああ、あいつがそんな小さな器なわけない。姉さんが惚れた男じゃないか』
球磨『二人の言う通りだクマ。もしそんなことになったら球磨がクマパンチお見舞いするクマ』
多摩『多摩のネコパンチも追加ニャ。猫じゃないけど』
大井『…………はい』
明石「愛されてるじゃないですか提督。このこの~」
提督「茶化すな。だが私はもう少し彼女達の気持ちを読み取る努力が必要かもしれん」
提督「だがもう十分だ。大井の気持ちも分かったし、指輪を返してきてやれ明石」
明石「へっ? 何言ってるんですか? 仕上げは提督が大井さんに返しに行くんですよ?」
提督「お前は鬼かッ! 今さっき私に合わせる顔がないと本人が言ってただろ!」
明石「好きな人が自分の無くした指輪を持って来てくれるんですよ? 最高のシチュエーションです」
明石「その際には『もう落とすなよ?』って言いながら付け直してあげて……キャー!」
提督「お前の言ってることが分からん」
明石「とにかく、球磨ちゃん達が探索し始めたら提督はすぐにその場へ向かって下さい。指輪を持って」
明石「これさえ済めば夢の甘い新婚生活はもう眼の前です。ファイトですよ提督!」
提督「ああ……すまん大井」
明石「提督が現場へと向かいましたね」
明石「球磨ちゃん達は脱衣所の中を懸命に探しましたが、当然見つからず……」
明石「泣きながら必死に探す大井さん……可愛いと思うと同時に今更ながら罪悪感がヤバイ」
明石「おっと、脱衣所を出るようですね」リモコンポチッ
球磨『無かったクマ』
多摩『多摩の鼻を持ってしても駄目だったニャ。猫じゃないけど』
大井『』ズーン
北上『大井っち、元気出して』
木曾『ああ、まだ望みが潰えたわけじゃない。ひょっとしたら鎮守府落し物箱に届けられてるかもしれないぞ』
球磨『指輪をわざわざそんなところに入れるとは思えないけど、駄目元で行ってみるかクマ』
提督『何処に行くんだ?』
『『『『『』』』』』
明石「提督キター!」
北上『こ、こんばんわ~提督』アワアワ
提督『挨拶はいい。何してるんだこんな時間に。消灯時間は過ぎてるぞ』
明石「おお~。若干台詞が棒読みですが、演技出来てますね提督」
球磨『お、大井がちょっと脱衣所に忘れ物したのを思い出したから取りに来たんだクマ!』アワアワ
多摩『そうニャ。大井が暗いところは一人じゃ心細いって言うから球磨型全員で来たんだニャ』アワアワ
木曾『そそそそそそその通りだぜ提督』滝汗
提督『ふむ。その大井は……』
大井『うう……』
提督『泣きそうな顔で北上の後ろに隠れているわけだが……』
北上『提督がいきなり出てくるからビックリしちゃったんだよ』
提督『そうか。まあ事情が事情だ。今日のことは不問にするから早く部屋に戻って休め』
球磨『了解だクマ……』
提督『ああ、それと大井』
大井『は、はい……』ビクッ
提督『も、もう落とすなよー(棒)』ユビワ
『『『『えっ?』』』』
大井『あっ……』
明石「棒読みと同時に指輪キター!!」
木曾『提督ッ! 何処でそれを!』
提督『お、落ちていたのを拾ったのだ(棒)』
球磨『…………?』
北上『でも提督、どうしてそれが大井っちのだって思ったのさ?』
提督『簡単なことだ。送る時には指輪の内側に相手の名前を彫ってもらっているんだよ』
多摩『あ~成る程ニャあ』
提督『落としたりした時はすぐに見つかるし、何より……』
提督『送った相手を大切にしたいし、これも大切にしてほしいからな』
大井『て、提督……』キュン
木曾『ふっ……やっぱり提督は大した男だな』
提督『茶化すな。大井、手を出してくれ』
大井『はい』
提督『……うん、ピッタリだ。当たり前だが』
大井『提督……私、少しの間とは言え、指輪を無くしてしまって、その……』
提督『良いんだ大井。お前は何も悪くないんだ。謝る必要はない』カメラチラッ
明石「ですねえ」
提督『私は見回りに戻る。お前達は早く部屋に戻れよ』
北上『は~い。お疲れ様提督』
明石「ふう~返却成功ですね」
多摩『ニャア~、とりあえず一件落着だニャ』
球磨『クマ。じゃあさっさと部屋に『みんな!』大井、どうしたクマ』
大井『私……もう迷いません。自分に素直になります』
大井『今まで出来なかったこと、過ごさなかった時間、取り戻します』
大井『もう二度と無くしたくないですから……』
北上『おお……大井っちが吹っ切れた』
木曾『大井姉さん……良かったな。輝いてるぜ』グスッ
大井『うふふ……提督、提督……』ハート目
球磨・多摩『輝いている……?』
明石「」
明石「あれ? 開放し過ぎた?」
書き溜めた分はこれで終わりです。またある程度書き溜めたら再開します。ありがとうございました!
少しだけ投稿。次回はヒエーの予定です。
【数日後…】
明石「提督、あの後どうですか? 何か変化はありました?」
提督「…………うむ」
明石「心なしか、何だか疲れてません?」
提督「あの後少ししてな……大井と初夜を過ごしたんだ」
明石「わあ、おめでとうございます!」パチパチ
提督「初めてなので優しくしてください、と彼女は微笑みながら言ったんだが」
提督「搾り取られるとはああいうことを言うのかと身に刻まれた……」
明石「……わーお」
繋がりにくかったので、昨日の続きを
提督「その後は連日大井が秘書艦を希望してくれてな。執務は滞りなく進んでいる」
明石「流石は大井さん。仕事とプライベートはキッチリ分ける、デキる娘ですね!」
提督「その分、ギャップが凄いがな……」
明石「是非とも詳しく聞かせて下さい!」
提督「朝は大井が起こしに来る。その時にはもう朝食が出来上がっていて、ア~ンと食べさせてくれるのだ」
提督「執務中は私の考えを先読みするかの如く必要な書類を出し、喉が渇いたかと思えばお茶が用意されている」
提督「一息つくための昼食は隣同士に座って食べる。無論ここでも大井は食べさせようとしてくる」
提督「気持ちは嬉しいのだが、他の娘達の視線が痛いので自重してもらいたい。贅沢な悩みかもしれないが」
明石「提督が一言告げれば終わりそうですけど?」
提督「悲しそうな表情でごめんなさいと言う大井に耐えられる自信が無いのだ」
明石「ヘタレですねえ」
提督「何とでも言え。そして執務が終わる夜、夕食は大井の手作りだ。ここで性の付く物が多ければ……」
明石「夫婦だけの夜戦開始の合図ですかー(棒)」
提督「連日だと流石に身体にクるものでな……」
明石「ラブラブなのは良いことですけど、駆逐艦の娘達が居るってことも考えて下さいね?」
明石「それにちゃんと家族計画立てないと駄目です。今は戦時中なんですから」
提督「分かっている。それと今回の件だが」
明石「バレました? 大井さんに」
提督「いや、誰にも言っていない。多少乱暴なやり方だったが、お前は私のことを思ってやってくれたわけだし」
提督「計画に乗った私も共犯だ。大井には告げず、今後の計画も含めて墓場まで持って行くことにしたよ」
明石「そ、そうですか。制裁を受けるのは覚悟してたんですけど……」
提督「お前だけを悪者にしない。バレて制裁を受けるなら私も一緒だぞ」
明石「提督……」
提督「だが球磨だけは少し感づいているようだった。まあ私の下手な演技が原因かもしれないが」
明石「えっ、ホントですか!?」
提督「ああ、今日挨拶がてら言われたんだ」
球磨『何をしたか知らないけど、提督と大井の様子が喜ばしいのであえて追求しないでおくクマ』
球磨『大井のこと大切にしてほしいクマ。球磨は優秀且つ空気が読める球磨ちゃんだクマ』
明石「流石は長女。鋭いですねえ」
提督「あいつにはこれから頭が上がらんな」
大井「提督」
提督・明石「「!」」
大井「ここにいらしたんですか提督。もう探し回りましたよ?」
提督「すまない。明石と大事な話をしていたんだ」
大井「そうですか。でも次からは行き先を告げてから出掛けて下さいね。夕食が冷めちゃいますから」
明石『よ、良かった~。今の話聞かれてなくて……』
提督「ああ。大井の料理は美味しいから楽しみだな」
大井「お世辞は良いです。私明日は出撃で居ないんですから、寂しくならないよう傍に居て下さい」
提督「分かった」
明石『これは今日も寝不足ですかねえ』
提督『Orz』
大井「それじゃ明石さん、私達はこれで」テイトクトウデクミ
明石「あ、は~い。ごゆっくり~」
大井「フフッ…」ニヤッ
明石「ッ!」
明石『お、大井さんの眼が肉食獣のそれに見えたような……!』
明石『て、提督ぅぅぅ!? 横、すぐ横ぉぉぉ!』
書き溜め分終わりです。ありがとうございました。
明日更新出来るか分からないので、今日少しだけでも。
【比叡編】
金剛「ふぅ、姉妹揃ってのティータイムはやっぱり最高ネー」
榛名「お姉様の手作りスコーンも美味しいです!」
金剛「ありがとネー、榛名」
霧島「最近は色々と忙しかったですから。このような一時は良いものです」
金剛「イエスッ! 提督も良ければ……提督も……」
榛名「お、お姉様それは……」
金剛「うえ~ん。最近は提督をお誘い出来ないから寂しいデース!」
霧島「大井さんが凄いですからね。まさに誰も寄せ付けないといった感じですから」
榛名「最初に見た時は別人かと思いました。榛名は今でも信じられません」
金剛「榛名、それはきっとここにいる誰もが一度は思ってるデスよ……」
金剛「ぬぬぬ……私の提督へのバーニングラブは誰にも負けないと自負してますが」
金剛「大井はとっても強敵ですネ。バーニングラブより上のスーパーバーニングラブを感じます」
霧島「まあ大井さんは司令とケッコンされてますからね」
金剛「ノオオオオ! それは言っちゃいけないお約束ヨ霧島!」
榛名「で、でも本当に何があったんでしょうね。大井さんは」
金剛「乙女心は複雑ネ。ちょっとした出来事でもあって、提督へのラブを自覚したのヨ」
霧島「そうですね。出来ればこちらも、そういった心境の変化は欲しいところですが……」チラッ
榛名「ええ……」チラッ
金剛「ん~比叡? 今までの話を聞いてましたカー?」
比叡「」ボーッ
比叡「えっ……あ、はいっ! 今日の夕食は張り切ってカレー作りますね!」
金剛「oh……」
榛名「比叡お姉様、榛名もお手伝いしますから」
霧島「重症ねコレは」
明石「ふむふむ」リモコンポチッ
明石「比叡さんのこの様子だと、今回は簡単に行けそうですね」
明石「大井さんのグイグイアプローチが功を成すとは……恐るべし」
明石「ではでは提督に連絡っと」
-執務室-
提督『むっ、明石からPCにメールか』クリック
提督『今回のターゲットは比叡……作戦名は【恋する比叡はデレデレする司令を見てると胸がチクチクしちゃうの~だってケッコン艦だもん~】長い……』
大井「提督? どうかしましたか?」
提督「いや、どうやら迷惑メールだったようだ。執務中に水を差されたよ」
大井「全く。忙しい提督にそんなメールを送るなんて暇な人は嫌ですね」
提督「ハハハ……」
提督『大井のことも考え、今後明石とはメールでのやり取りになったが』
提督『正直彼女が傍にいる分、隠れてやっている感が強くて余計にハラハラするな』
提督「すまない大井。喉が」
大井「お茶ですね。すぐに淹れてきますから待ってて下さい」
提督「ああ、頼む」
大井「ふふっ」
提督『……よし、メールの続きを読もう』
提督『作戦内容は……出来るだけ比叡の前で大井と共に行動しているところを見せること、か。そんなことで良いのか』
提督『まあ大井の時のような乱暴な方法では無さそうだし、やってみるとするか』
大井「はい。お待たせしました」
提督「ありがとう。……うん、美味いな」
大井「日々練習していますから」ニッコリ
提督「ありがたいな。もうすぐ昼になることだし、一緒に食べるか?」
大井「勿論です。断る理由がありません」
提督「以前のお前だったら真っ先に北上の名前が出ていただろうな」
大井「も、もう! その時のことは忘れてください!」
提督「忘れんよ。それも含めて私の大切な大井だからな」
大井「……ッ!」キュンキュン
大井『だ、駄目よ大井ッ! しっかりしなさい! 今はまだ執務中、執務中だから!』
大井『あ~! でも今すぐにでも、今すぐにでも提督の胸に飛び込みたい!』
大井『やっぱり私達の錬度が強さ=愛情っていう噂は本当だったのね!』←錬度130
大井『抱き付きたい……ッ! スリスリしたい……ッ! スンスンしたい……ッ!』
提督「大井?」
大井「はい」キリッ
提督「だ、大丈夫か? 何やらボーッとしていたが……」
大井「大丈夫ですよ? 私に全く問題ありません」キリッ
明石「」リモコンポチッ
明石「これはアカンですわ」
ここで切り、です。ありがとうございました。沢山のレスありがたいです!
見ない内になんか書き込みが凄いことに…。
ちょっとだけ続きです。
-食堂-
ザワザワザワザワ…
アイカワラズラブラブナノネ!
ア、アーイウノハヘヤデヤッタホウガイイシ!
ヒャッハー!!
大井「はい提督、ア~ンして下さい」
提督「」アーン
提督「大井……その、だな。私だけじゃなく自分の分も食べなさい」
大井「ちゃんと食べますよ。でも今は提督が優先ですから。はい、ア~ン」
提督『……視線が痛い』アーン
提督『作戦はちゃんと上手くいっているだろうか』モグモグ
霧島「相も変わらず、ですね。司令と大井さんは」
榛名「この場合って愛も変わらず、なのかしら」
金剛「クッション一枚なこと言ってる場合じゃないネ。ムムム、しかし羨ましいデース」
霧島「しかし意外です。お姉様は現状にもっと慌てるかと思っていましたが、冷静ですね」
霧島「その、今ではあんな状態ですが、比叡お姉様や他の人達に先を越されているのに……」
金剛「大好きな提督の決めたことだからネー。自分の魅力、アピール、錬度が及ばなかったのは素直に反省しマス」
金剛「でもね霧島。私はこの程度でダウンするほど、提督への想いは生半可なものじゃないのヨ!」
金剛「マリッジリングは欲しいけどネ、私はケッコンカッコカリの先を目指しマス!」
榛名「カッコカリの先……お姉様、まさかそれは……!」
霧島「流石は金剛お姉様……その名に恥じぬ心の持ち主ですね」
金剛「フッフーン! 最終的に提督のハートを掴むのは、私デース!」
比叡「」ボーッ
大井「うふふ」
提督「……ははは」
比叡『何でだろう。司令と大井さんが仲良くしてるのを見てから……』
比叡『胸が凄いチクチクする。司令が嬉しそうにしてるのは良いことの筈だよね……?』
比叡『うん、そうだよ。私には金剛お姉様が居るから、司令の気持ちには応えられない……』
比叡『だから司令の隣には居られないんだ。……居られない筈なのに』
比叡『司令聞いて下さい! 今日の出撃、私頑張りましたよ!』
提督『ああ、報告は聞いている。よくやってくれたな比叡』
比叡『はいッ! 頑張った甲斐がありました!』
比叡『どうして司令の隣に居ることを想像してるんだろう……?』
金剛「Hey? 比叡」
比叡「……あ、はい。何ですかお姉様」
金剛「ん~お姉ちゃんの勘違いなら良いんですが……」
金剛「胸の辺り、もしかしてチクチクしてませんカー?」
比叡「ッ!? お姉様流石です! よく分かりましたね」
金剛「大事な妹のことだからネー。お姉ちゃんは大抵のことはお見通しヨ?」
比叡「……ええそうなんです。最近提督と大井さんが一緒に居て、仲良くしているところを見ると……」
比叡「胸がチクチク痛むんです。酷い時には、ちょっと泣いてしまいそうなぐらいに……」
比叡「私こんなこと初めてで……お姉様はこれの原因が何か分かるんですか?」
榛名「やっぱり……比叡お姉様」
霧島「まあ最近の様子を見るに、大体想像はついてましたが……」
比叡「えっ! 榛名と霧島も何か分かるの?」
金剛「比叡、私の思っていることと二人の思っていることは多分一緒デス」
金剛「答えを言うのはとてもベリーイージー。でもネ、これは比叡自身が気付かないとダメなことデス」
比叡「私自身が、気付くこと……?」
金剛「本当に分からなければ答えを教えるヨ。けれど私から答えを聞いても比叡自身認められないと思いマス」
金剛「けれど私は信じてマス。比叡は可愛くて、大事で、頑張り屋さんな妹デスから」
比叡「金剛お姉様……」
金剛「ふふ、それに比叡が気付いてくれないとお姉ちゃん張り合いがありませんからネー」
比叡「?? は、はい。気合入れて気付いてみせます!」
榛名・霧島『金剛お姉様……』
明石『ほうほう、金剛さんが良い具合に背中を押しましたね』
明石『後は比叡さんが自分の気持ちに気付くだけなんですが、どうなるかなぁ』
明石『……そう言えば他のケッコン相手の人達はどんな様子なんだろ』
扶桑「山城」
山城「はい。何でしょうか姉さま」
扶桑「提督は、とても幸せそうね」
山城「ええ、正直甘ったるくて見ていられませんが」
扶桑「……貴方はそれで良いの?」
山城「何のことでしょうか……」
扶桑「その指輪を付けていて、提督の幸せそうな姿を見て……貴方は何も思わないの?」
山城「私は、別に……姉さまが居てくれれば……それで……」
扶桑「山城。これだけは覚えておいて」
扶桑「貴方が私の幸せを願ってくれているように、私も貴方の幸せを願っているのよ?」
山城「…………」
利根「提督の奴、幸せそうじゃのう」
筑摩「ええ、とても……」
利根「筑摩は良いのか?」
筑摩「私は良いんですよ。利根姉さん」
利根「筑摩も大井には負けんと思うがなぁ。何せ吾輩がお世話されているからな!」
筑摩「勝ち負けは関係ありませんよ姉さん」
利根「ふむ……筑摩よ。前から言っておるが、提督にも少し、その、気を配ってやるのじゃぞ?」
筑摩「大丈夫ですよ。大井さんがいますから」
筑摩「今更……遅いですよ。もう……」
千歳「あーあ、大井さんと幸せそうね提督」
千代田「……も、もうさっきから何なのよ千歳お姉は!」
千歳「何なのよって、何が?」
千代田「私のことニヤニヤしながら見てきたり、大井と提督の様子を逐一呟いたりとか……」
千歳「だって私の目の前に提督の奥さんが一人居るからね。旦那さんの様子は気にならない?」
千代田「正式に受けてないから! 指輪は戦力強化のために付けてるだけで、別に提督は関係ないし……」
千代田「私は奥さんじゃないし、提督は旦那さんじゃないし……本当に関係ないし……」
千歳『後半声が小さくて聞き取れなかったわ……』
千歳『姉想いの良い娘なんだけど、もう少し自分自身の幸せにも気付いてくれればねえ』
天龍「あのよ……龍田」
龍田「ん~? なあに天龍ちゃん」
天龍「いや、その、コップにヒビが入るのそれで五個目……」
龍田「あらあら~食堂のコップってこんなにモロかったかしら?」
天龍「……もう一個貰ってくるわ」
龍田「ゴメンね~天龍ちゃん」
天龍「別に構わねえけどさ……少し落ち着けよ?」
龍田「私は落ち着いてるよ~? 変な天龍ちゃん」イライラ
天龍『ふふ……怖い』
明石『ふむふむ、良い感じに刺激されてますね』
明石『一部危ないかなって人がいますが、まあ何とかしてくれるでしょう』
明石『これからの作戦がスムーズに進めば良いんですが』
ここで切ります。遅い時間にお付き合いいただき、ありがとうございました。
扶桑「貴方だけ幸せになるなんて絶対許さないからね?」
山城「わかっています、お姉様……」
こうじゃなくて本当によかった
ひっそりと続きです。
比叡「と、言うわけで司令。よろしくお願いします!」
提督「……ま、まて比叡。いきなり執務室に飛び込んで来てそんなことを言われても訳が分からん」
比叡「あう、すいません。私って思い立ったら一直線なので……」
提督「まあ行動力の速さはお前の良いところの一つだからな」
比叡「あ……えへへ。久し振りに司令に褒められちゃいました」
提督「久し振りと言うか、指輪を渡した途端にここに来なくなったのは何処の誰だったか」
比叡「うう、それはどうか今は忘れて下さいよ……」
大井「……コホンコホン」
比叡「ん?? 大井さんどうしたの? 風邪?」
大井「ええ、気付いてくれてどうもありがとうございます比叡さん。それで提督にどういった御用ですか?」
比叡「あっ、そうだった。司令、私実は金剛お姉様に相談したんです」
提督「相談? その内容は私が聞いても良いものなのか?」
比叡「はい。司令にとても関係のあることなので」
提督「ほう」
大井『何だか嫌な予感が……』
比叡「金剛お姉様に相談した内容っていうのは、その……」
比叡「最近司令と大井さんが一緒に居るところを見ると胸がチクチクするっていうものでして」
提督「え……」
大井「」
明石『まさかの本人暴露キターッ!』
比叡「でもお姉様はこのチクチクする原因を教えてくれませんでした。いえ、あえて教えなかったんです」
比叡「このことは私自身が気付いて、自覚しないと意味がないことだって……」
比叡「ですから、今日からお二人の傍に居てチクチクの原因を探りたいと思います!」
比叡「痛いのはちょっと嫌ですけど、私このままの状態が続くのはもっと嫌なんです」
比叡「勿論ただ傍にいるだけじゃありません。出来ることがあればお手伝いさせて頂きます!」
比叡「と、言うわけです。司令、大井さん。気合入れて頑張りますのでよろしくお願いしますね!」
提督「…………お、おう」
大井「」シロメ
提督「お、大井。大丈夫か?」
大井「」シロメ
提督「大井ッ!」
大井「」ハッ!
大井「す、すいません。不意に意識が飛んでしまって……」
大井「私ったらこんな昼間から幻聴が聞こえてしまいました」
提督「幻聴?」
大井「はい。比叡さんが私と提督二人っきりの執務室に入り浸るという内容でして……」
比叡「あっ、概ね間違いではないです。でも、もしよろしければ執務室以外でも居れたらなぁって」
大井「」シロメ
提督「大井ッ!?」
-夜-
ドアガチャ
球磨「おー、お帰りだクマ」
大井「球磨姉さ~ん……(涙目)」
球磨「……お帰り下さいクマ」
大井「何でですか!」
球磨「うっせークマ。夫婦喧嘩は犬も食わないっていうクマ。クマはクマだから食うどころか吐き出すクマ!」
大井「そ、そんな……提督と夫婦だなんて。まだカッコカリですから」デレデレ
球磨「めんどくせークマ! こういう時に限って何で北上達は風呂なんだクマ!」
大井「球磨姉さんでも良いから聞いて下さい! 私にライバルカッコカリが現れたんです!」
球磨「知ーらーんークーマー!」
霧島「そ、それで比叡お姉様は司令にそんなお願いを……?」
比叡「うん! 司令からは許可貰ったし、すぐにでもチクチクの原因に気付けそうだよ」
榛名「アハハ……比叡お姉様は真っ直ぐですね」
比叡「うん。ありがとう榛名」
金剛「oh……」
金剛『こ、これは私のせい……? いやでも可愛い妹の比叡のためを思えば……』
金剛『今一番のライバルとは言え、ゴメンなさいネ大井』
提督「……明石」
明石「はい」
提督「これもお前の作戦の内か?」
明石「いえ、正直比叡さんの暴露は予想外でした。これからどうなるか予想がつかないですね」
提督「そうか……」
提督「まあ元は私のボヤキから始まったことだ。私も上手く立ち回るとしよう」
明石「無理しない程度に頑張って下さいね?」
提督「ああ……」
明石「そう言えば今日は大井さんはいいんですか?」
提督「流石に比叡の宣言が衝撃的だったらしくてな。今日は球磨達の部屋へ戻った」
提督「だからこうしてお前のところに来ているわけだが」
明石「成る程、どうりで」
提督「だが部屋を出て行く時に物凄く寂しそうな顔をしていたのでな」
提督「比叡が戻った後、少しばかり抱きしめて落ち着かせてやった」
明石「落としますね~ホントに」
提督「……何のことだ」
明石「いえ別に……」
明日は早いのでここまでで。スローペースですが、これからもお願いします。
ジリリリリリリリリ!
大井「……ん」メザマシストップ
大井「朝ね。用意しなきゃ……」
カオアライ
ハミガキ
カミノケトトノエ
大井「ふふ、こうしてあの人を起こしに行くのも特権よね」
ドアガチャ
球磨『甲斐甲斐しいクマ……』
多摩『甲斐甲斐しいニャ……』
木曾『生き生きしてるな大井姉さん……』
北上『あっ、やっぱみんなこの目覚ましで一度起きるんだ……』
大井「今日の朝食は何がいいかしら。提督は和洋どちらも好きだし」
大井「朝はお味噌汁に卵焼き、王道も良いわね」
大井「……そうね。おにぎりも作ろうかしら」
比叡「あっ、大井さん。おはようございます!」
大井「おはようございます。…………えっ?」
比叡「どうしたんですか? そんなお化けでも見たような顔をして」
大井「ど、どうして比叡さんが提督の私室の前に? それもこの時間に」
比叡「ああ、青葉から大井さんはいつもこの時間に司令を起こしに来てるって教えてもらいまして」
比叡「チクチクの原因解明のため、気合入れて早起きして待ってました!」
大井『……あのパパラッチめ。酸素魚雷食らわせたろか』
大井「ね、熱心で良いことですね」
比叡「ふふーん、この調子で頑張りますよ。さっ、早く司令を起こしましょう!」
大井「ちょ、ちょっと待って下さい。私がいつも通りやりますから比叡さんは大人しくしてて下さい」
比叡「あっ、すいません。言われてみれば大井さんの方が慣れてるだろうし……うん、お任せします」
大井「ええ、どうぞ私に全て任せて下さい」スッ
比叡「それってここの鍵ですか?」
大井「合鍵ですけどね。提督に任せてもらいました」ガチャ
大井「私のことを信頼してくれてる証拠です。うふふ」
比叡『あっ……またちょっとチクッとした』
大井「て・い・と・く~。大井が来ましたよ~(小声)」
比叡『今にもスキップしそうな足取りで入っていった……』
比叡『そう言えばこんな早くに司令の部屋に入るなんて初めて……』
比叡「お、お邪魔しま~す……(小声)」
大井「先ずは邪魔者を止めて……」メザマシストップ
比叡『慣れた手付きで目覚まし時計止めた……』
大井「んふふふ……相変わらず可愛い寝顔だわ」
比叡「あ、あの~大井さん? 司令を起こさないんですか?」
大井「しっ! 静かにして。ここに来て最初は提督の寝顔を眺めるのが日課なの」
比叡「えええ……」
比叡『わ、私もやった方が良いのかな……』
大井「ふう、補給完了ね。次は朝食の準備よ」キラキラ
比叡『凄いキラキラしながら台所に向かっていった……』
比叡「…………」チラッ
提督「zzzzz……」
比叡「…………」ジーッ
提督「zzzzz……」
比叡「お、お邪魔しま~す……(小声)」
比叡『わ~……司令の寝顔だぁ。初めて見た』
比叡『……可愛い、のかな? 大井さんは可愛いって言ってたけど』
比叡『それにしてもよく眠ってるなぁ。司令っていつも執務で急がしそうだし、しょうがないよね』
比叡『……私が来なくなって司令に負担かけたりしたのかな』
比叡『謝ってなかったなぁ。急に顔を見せなくなってゴメンなさいって……』
比叡『謝って、チクチクの原因が分かったら……また前のように司令のとこへ行けるかな?』
比叡『前の、ように……』
比叡『…………』カァー
比叡『な、何でだろ……ッ! 急に顔が熱くなってきちゃった……!』
大井「ひ・え・い・さ~ん?」ユラァ
比叡「ヒエッ!?」
大井「提督の寝顔を見るのはその辺にして、こちらを少し手伝ってくれませんか?」
比叡「わ、分かりました……」
大井「全く……私だってあれぐらいの時間で我慢しているのに」
比叡「すいません……」
大井「ほら、お皿やお茶碗を出しておいてくれますか」
比叡「はい。あっ、良ければ私も何か作りましょうか?」
大井「貴方……ご自分の料理の腕前をご存知ですよね? あの人を朝から腹痛に苦しませる気ですか?」ギロッ
比叡「ヒエ~……ッ! い、いや私はカレー以外なら得意なんです。ホントですよ!」
大井「ええ……(疑いの目)」
大井『いえ、待ちなさい大井。ここで比叡さんに作らせなかったら……』
大井『ふう、出来ました』
比叡『わ~美味しそうですね。じゃあ私は司令を起こしてきますね!』
大井『あ、ちょっ!? 比叡さん待ちなさい!』
大井『やる。絶対にやる。周囲の空気をあまり気にしない比叡さんならやりかねない……!』
大井『ここはあえて頼み、傍で変な物を作らないか見張りつつ、行動を封じましょう』
比叡「卵焼きですね。気合い、入れて、作ります!」
大井「静かにして下さい」
比叡「あっ、ゴメンなさい」
【気合い、入れて、調理中】
比叡「出来ましたッ!」エッヘン
大井『所々焦げてるけど、作る過程は問題無かったわね……』
比叡「どうぞ大井さん。味見してみて下さい」
大井「……頂きます」パクッ
大井『ッ! あ、味も問題ない! 見た目が悪いこと以外大丈夫だわ……』
大井「嘘ではなかったようですね。カレー以外は得意だって言葉」
比叡「えへへ……」
大井「何はともあれ朝食は出来ましたね。では提督を「はい。司令を起こしましょう!」ちょ!?」
比叡「司令ッ! おはようございます! ご飯が出来てますよ~」
大井「待ちなさい比叡さん! それは私の役目……比叡コラッ!」
提督「起こしに来てくれたのは嬉しいし、朝食も文句なしに美味しい」
比叡「えへへ。大井さんと一緒に頑張った甲斐がありました」
提督「うむ。だが当の大井だが……」
大井「私の……私の役目だったのに……わざわざ見張りまでしたのに……」ズーン
提督「何故今にも轟沈しそうな勢いで落ち込んでいるんだ?」
比叡「さあ……?」
大井「次こそ、次こそは……!」グヌヌヌ
今日はここまで。ありがとうございました
-執務室-
提督「む……」
大井「はい提督。こちらの書類ですよね?」
提督「ありがとう大井。助かる」
大井「ふふ、いつも見てますから」
比叡『司令が何かを言う前に大井さんが先に行動してる……』
比叡『しかも外してない。百発百中って……』
比叡『私も出来るかな?』
提督「…………」チラッ
比叡「ッ! 司令、こちらの書類ですか!」
提督「ん……」
大井「違うわ。提督、お茶のおかわりですね?」
提督「ああ、頼めるか?」
大井「ええ、すぐにお持ちしますね」
大井「…………フッ」ドヤァ
比叡『ドヤ顔された!』ムカッ
大井『甘いですね比叡さん。このスキルは簡単に身に付くものじゃありませんよ』
大井『提督のことを心から愛し尚且つ初夜も済ませた私だからこそ可能なんです』
大井『ふふ、ここは譲れません』
比叡『くっ……加賀さんみたいなことを……』
比叡『て、て言うか初夜って……』カァー
大井『初心ねえ。そんな調子じゃこの先私と提督の傍に居られませんよ?』
比叡『むむむ……』イライラ
大井「お待たせしました提督。お茶をどうぞ」
提督「ありがとう」
大井「比叡さんもどうぞ」
比叡「あ、ありがとうございます」
比叡『私にああ言いながら気遣いも完璧。司令も大井さんを頼りにしてるみたい』
比叡『大井さんからも司令のこと大好きって気持ちが凄い伝わってくる』
比叡『あっ、お茶美味しい……』ズズッ
比叡『…………お茶美味しいけど、またあの痛みが』チクチク
大井「提督、ここの箇所が間違ってますよ?」
提督「ん、ああそうだな。すぐに修正しよう」
大井「もう。私が居ないと駄目ですね」ニコッ
比叡『あれ? 私もしかしてお邪魔虫、なのかな……』チクチク
提督「大井にはいつも助けられてばかりだな」
大井「助けるのは当然です。秘書艦で、ケッコン艦ですから」
比叡「ッ!」
比叡『何してるんだ私。チクチクの原因解明しなきゃ、しなきゃ駄目なのに……』チクチク
比叡『朝は平気だったのに何で……! 今、ここに居るのが凄く辛い……!』チクチク
比叡『司令と大井さんを、見ていられない……!』ガタッ!
提督「? 比叡、急に立ち上がってどうしたんだ?」
比叡「あ、あの……その……!」ジワァ
大井「比叡さん貴方、泣いて……」
比叡「あっ……あっ……す、すいません!」
提督「比叡ッ!」
大井「……提督はここで執務を続けて下さい。彼女は私が」
提督「だが……」
大井「私もちょっと意地悪し過ぎました。彼女の気持ちには気付いていたのに……」
大井「ですからお願いします」
提督「…………分かった。比叡を頼む」
大井「はい」
-鎮守府近くの海辺-
比叡「思わずこんなところまで来ちゃった……」
比叡「私からお願いしたことなのに……あ~もう私の馬鹿ッ! 司令の私への印象最悪だよぉ……」
比叡「……でも、あそこに居たくなかったなぁ」
提督『ありがとう大井。助かる』
大井『ふふ、いつも見てますから』
大井『提督、ここの箇所が間違ってますよ?』
提督『ん、ああそうだな。すぐに修正しよう』
大井『もう。私が居ないと駄目ですね』ニコッ
提督『大井にはいつも助けられてばかりだな』
大井『助けるのは当然です。秘書艦で、ケッコン艦ですから』
比叡「だって分かっちゃったんだもん……」
比叡「司令とお姉様が一緒に居て、楽しそうに会話してるのを見た時にも同じ気持ちだった」
比叡「その時は司令に対してだったけど、今は大井さんに対して抱いてる……」
比叡「…………嫉妬だ」
大井「……やっと自覚したみたいね。自分の気持ちに」
比叡「ッ!? ……大井さん」
大井「提督だと思いました? 残念ですが、不器用なあの人に今の貴方を慰められるとは思いません」
大井「それに同じ立場である私の方が話しやすいかと思いまして。……隣、失礼しますね」
比叡「はい、どうぞ……」
大井「それで、どうなの?」
比叡「何がですか?」
大井「提督のこと、好きなの?」
比叡「…………」カァー
大井『まあ改めて聞くことでもないけどね。この様子じゃ』
比叡「……私、もしかしたら心の何処かでとっくに気付いてたのかもしれません」
比叡「でも、気付かないフリをしてました。気付くわけにはいかなかったんです」
大井「どう言うこと?」
比叡「私は金剛お姉様の妹です。それでもって、榛名と霧島のお姉さんです」
比叡「お姉様の司令に対する気持ちは知ってます。榛名と霧島だって恐らくは司令のこと……」
比叡「なのに私は三人よりも先に指輪を貰いました。想いが強いお姉様を差し置いて……!」
比叡「私はお姉様みたいに素直じゃない。榛名みたいに可愛くないし、霧島みたいに頭も良くない」
比叡「こんな私が、司令の隣に居れるわけないじゃないですか……! 指輪を貰う資格だって……!」
比叡「だから、私、お姉様を……お姉様をいい訳に……」
大井「えい」グーパン
比叡「ヒエッ!? い、いきなり何をするんですか!?」
大井「さっきから聞いてりゃあ情けないことをグチグチ並べて……!!」
比叡「何が情けないことなんですか! 私なりに一生懸命考えて……!」
大井「それが馬鹿だって言ってんのよ! 耳の穴かっぽじってよく聞きなさい!」
比叡「は、はい……!」
大井「人を好きになるのに小難しい理屈なんかいらないのよ! 何時の間にか好きになってんの!」
大井「それに金剛さんが提督と万が一、もしくは奇跡が起こって結ばれたとして!」
大井「妹が遠慮したから、妹に譲られたと知ったらどう思うかしら!」
比叡「ッ! そ、それは……」
大井「姉として、女としてこれほど屈辱的なことはないわよね。自分が好きな人にちゃんと選ばれてないんだもの」
大井「それなら真正面から堂々とぶつかり合って、キッパリ振られたほうが百万倍マシよ」
大井「貴方、大好きなお姉さんや妹達にそんな惨めな想いをさせる気?」
大井「それに加えて、自分自身が一生後悔する気なのかしら?」
比叡「…………」
大井「私はゴメンよ。そんな誰も幸せにならない選択肢は」
大井「身近に居る人、身近な幸せがそこに必ずあるとは限らない。気付いた時には居なくなってる」
大井「素直になることでそれを掴めるなら、私は自分の気持ちに素直になるわ」
大井「人目も気にしないぐらい泣いて思い知りましたからね。このことは」
比叡「泣いたんですか? 大井さんが……」
大井「ええ、泣きましたとも。提督から貰った大事な指輪を無くしたと思ってね」
比叡「指輪……」
大井「貴方も大事だから今まで身に付けてたんでしょ。そうでなければ戦闘や訓練以外じゃ付けませんよね?」
大井『まあ他のケッコン艦も当てはまるわけですが……』
大井「さあ戦艦比叡、もう一度聞くわよ。貴方は提督のこと好きなの?」
比叡「…………」
比叡「……ふふ」
比叡「大井さんは凄いですね。自分の気持ちに正直で、周囲にも遠慮なしで」
大井「ふん。たとえ球磨姉さんや北上さん相手だとしても、私は堂々と行くわ。遠慮は失礼よ」
比叡「私、私も……間に合いますかね。今からでも」
大井「どうかしらね。今日見て分かったと思うけど、だいぶ私と差がついてるわよ?」
比叡「そこは嘘でも『きっと間に合うわ』って言うところじゃないですかねえ」
大井「正式なライバルとなった今、遠慮は無し。現時点での正妻は私よ」フフン
比叡「いいえ、まだ分かりません!」
比叡「大好きな司令の隣は貰います! 大井さんには恋も戦いも負けません!」
比叡「勿論お姉様にも! 榛名と霧島、そして他の人達にも負けませんから!」
大井「やってみなさい。正面から堂々と勝ち抜いてやるわ」
提督「…………」←心配でやっぱり見に来た。
提督「怪我の功名、か……?」
提督「何にしても掴み合いとかにならずに良かった」ホッ
提督「大井が戻ってくるまでに執務室に戻らなければ」
ここで切ります。次回で比叡編終わり、でしょうか。大井編のように後日談的なのも書いていきたいです。
リストの順番的に次は筑摩ですかね。ありがとうございました。
忙しくなりそうなので、ちょっとだけ続きを
【数日後…】
明石『あれからどうですか?』メール
明石『今回私の出番無しで何とかなったみたいですが』メール
提督『……今眼の前で一騒動起こっている』メール返信
比叡「だーかーらー! 秘書艦を私にもやらせて下さいよ!」
大井「一度貴方にやらせたら執務が物凄い滞ったじゃない! 絶対に駄目よ!」
比叡「あ、あれはその……久し振りに司令と二人っきりになったせいでテンション上がっちゃって」
比叡「でも今度は大丈夫です! 気合入れて秘書艦をやります!」
大井「信用できません」バッサリ
比叡「酷いッ!?」
提督『比叡もあれから吹っ切れてな、積極的に執務室や私の部屋に来るようになった』
提督『金剛達からも改めて比叡をよろしくと言われたよ』
明石『比叡さん自身もきっと金剛さん達に言ったんでしょうねえ』
提督『その……去り際に金剛に言われたのだが』
金剛『これで本格的に提督の隣を狙っていけマース。戦いが終わった後、提督の隣とハートは私が頂くからネ?』
金剛『勿論、カッコカリのマリッジリングも狙っていくヨ!』←錬度98
榛名・霧島『…………』←期待に満ちた目
明石『流石は金剛さん。足柄さんに勝るとも劣らぬ肉食系艦娘ですね!』
提督『正直大井に伝えるのが怖い……新たに指輪を渡して良いものかと』
明石『酸素魚雷でnice boatしないで下さいね?』
提督『流石にそれはない……と思いたい』
明石『そ、それで比叡さんと初夜は迎えたんですか((o(^∇^)o))わくわく』
提督『何だその表現は』
提督『比叡とは……その……迎えたことは迎えたんだが』
明石『ほうほう』
提督『大井としている最中に乱入してきてな、二人がかりでやられた』
明石『まさかの3P……ですと……!』
提督『思い出させるな! 枯れる寸前だったんだ……』
明石『勢力増強剤でも作りましょうか? これから必要になりそうですし』
提督『いらん! ……と言いたいとこだが、検討しておく』
大井「提督ッ!」
比叡「司令ッ!」
提督「ッ!? な、何だ……?」
大井「何を関係ないみたいな顔をしてパソコンをいじってるんですか?」
比叡「もうこのままじゃ埒が明かないので司令が決めて下さい」
提督「何を決めるのだ?」
大井「今日の秘書艦に決まってるじゃないですか!」
比叡「今日から真剣にやります! だから私を選んで下さい司令ッ!」
大井「いいえ、ここは経験豊富な私以外にありえません」
大井・比叡「「どっち!」」
提督「む、むう……」
明石『あらあら……メールが来ないということは一騒動に巻き込まれたみたいですね』
明石『お嫁さんの機嫌を損ねないように頑張って下さいね。提督』
短くてすいませんが本日はここまで。
次回からチクマー編ですね。利根ネーサンにも出張ってもらおうかな
つーづーきー
【筑摩編】
提督「……こんな夜中に呼び出すとは。何事だ明石」
明石「すいません提督。比叡さんを落としてから日にちも経ったのでそろそろ次のターゲットに移ろうかと」
提督「うむ。だが落とすとは……人聞きが悪くないか?」
明石「実際落としまくってるので説得力が皆無なんですがそれは」
提督「…………夜一人にすると嫁が拗ねるから手短に頼む」
明石「あれ? ベッドに大井さん、比叡さんの二人を加えて寝てるんですか?」
提督「いや、話し合った結果秘書艦と一緒でローテーション制になった。今日は比叡だ」
明石「な~るほど。比叡さんは人一倍寂しがって拗ねそうですしね」
提督「大井の場合は夜に出掛けようとすると付いてくるんだがな」
明石「(こ、怖い……)っと、話が逸れましたが、次のターゲットは筑摩さんにしようと思います」
提督「筑摩か……姉である利根へ尽くす姿は微笑ましくあるな」
明石「その分、今までのターゲットよりも遥かに強敵だと予想されます」
明石「なので、私だけでなく協力者を二人ほど募ってきました」
提督「協力者?」
明石「はい。事情を話したら快く協力を承諾してくれました。それではどうぞ」
青葉「夜分遅くにどーもです提督。青葉です」ジャーン!
提督「出たなパパラッチ」
青葉「出会い頭に酷いッ!」
提督「取材の為とはいえ、監視カメラを鎮守府のあちこちに付けるんじゃない。特に脱衣所とか」
青葉「いや~……明石さんが言ってくれたと思いますが、あれは防犯目的もありましてですね」
提督「だが限度ってものがあるだろう。事が終わったら監視カメラの数を減らしなさい」
青葉「は~い……」
明石「あはは~……二人目の協力者さんです。どうぞ!」
利根「うむ! 吾輩が利根である。筑摩のことなら吾輩に任せておけ」
提督「まさかの姉が協力者!?」
明石「はい。利根さんも筑摩さんの現状に悩んでいたそうなので」
利根「その通り。ケッコンしたというのに今の筑摩と提督のベッキョカッコガチは姉として見過ごせぬ」
利根「提督よ、心配するな。吾輩が居れば二人をケッコンカッコガチラブにしてみせようぞ!」ドヤァ
明石『まあぶっちゃけガチラブがこれ以上増えると提督が腹上死しそうですもんね』
明石『ここは献身的かつお淑やかに支えるタイプが欲しいところですが』
提督『真剣に精力増強剤を明石に頼んでみようか……』
青葉「自信満々なのは良いですが利根さん。今回ばかりは言い訳にカタパルト使えませんよ?」
利根「わ、分かっておるわそのぐらい!」
利根「で、具体的に吾輩達は何をすれば良いのじゃ?」
明石「はい、それでは今回の作戦を発表します。作戦名はこちら!」
【大切な姉にケッコン相手の提督を~筑摩の物は利根の物、利根の物は利根の物~】
提督「……またこれはロクでもない感じがプンプンするぞ」
青葉「これは昼ドラですね! まさかの包丁を持ち出す事態に!」
利根「吾輩こんなジャイ○ンではないぞ!」プンスカ
明石「いや、あくまで作戦名なので深く追求はしないで下さいね」
提督「まあ一応聞いておこう。どういった作戦だ」
明石「はい。この作戦の成否は利根さんの行動にかかっていると言っても過言ではないでしょう」
利根「わ、吾輩にか!」
青葉『……大丈夫かな?』
明石「と言ってもやることは簡単です。筑摩さんに提督と一緒に過ごした時間、してもらったことを嬉しそうに話してもらえば良いんです」
利根「なぬ? そんなことで良いのか?」
提督「……成る程な。筑摩の嫉妬心を煽るのか」
明石「その通りです」
青葉「でもそれだと利根さんに嫉妬すると言うより、大切なお姉さんを独り占めしてる提督に嫉妬しそうじゃないですか?」
明石「その点も問題ありません。話し終わった最後に一言付け加えれば良いんですよ」
利根「それは何じゃ?」
明石「『でも自分には指輪が無いからなぁ』、『指輪、良いなぁ』とかですよ。この時に羨ましそうな目線を忘れちゃダメです」
提督「ほう……」
明石「利根さんにはない自分と提督だけにある絆を筑摩さんに再確認させ、優越感を持たせるんですよ」
青葉「ふむふむ。優越感を持ちつつも今までの自分の手前、提督には甘えられないから利根さんの報告を聞くしかないわけですね」
明石「そして第二段階として利根さんからのお願い攻撃です。少しだけで良いから指輪を貸してもらえないか、と」
利根「いやいや、いくら筑摩でもそんなお願いが通じるとは思えぬ。そもそもそんな無粋なお願い吾輩はせぬわ」
青葉「でも普段から利根さんを甘やかしてる筑摩さんなら聞きそうですよね実際」
利根「むむむ……」
明石「見事に指輪を貸してもらったら最終段階です。利根さんが提督に筑摩さんの代わりにケッコンしてと迫ります」
提督「」
利根「……えっ」
青葉「キャー! 略奪愛ですね! 記事が捗ります!」
提督「いや、いやいやいやいやいや」
利根「ば、ばばばばばバカを言うな! 妹のケッコン相手を寝取るなど、そんな不埒なことを……!」
明石「フリ、ですからね? お芝居ですから本気にしないで下さいね」
利根「むう……しかし提督に迫る、か……」チラッ
提督「そうだぞ明石。いくら何でも利根の素直な性格上、この手の芝居は荷が重いんじゃないか?」
利根「ムカッ! 荷が重いとは何じゃ! 吾輩とて芝居の一つや二つこなせるわ!」
提督「何故ムキになるんだお前は……」
明石「青葉さんは作戦の最終段階に移る前に、筑摩さんの耳に色々とお話を入れてもらいます」
青葉「分かってますよ。筑摩さんの嫉妬心を煽るようなものですね?」
明石「ええ、すれ違い様とかにフッと耳に届くような感じでお願いします」
明石「溜め込んだ利根さんへの嫉妬心と提督への不満が、二人のイケナイ関係を目撃することで爆発する筈です」
提督・利根「「いかがわしく聞こえるからその表現やめい」」
青葉「ほっほーう。いやいやこれは面白くなりそうですね!」
提督「全く面白くなりそうにないんだが……」
利根『提督と筑摩のためとはいえ、悪女になるのは気が引けるのじゃ……』
明石「では皆さん、作戦通りよろしくお願いしますね!」
ここで切ります。次回はちょっと仕事の都合上、遅くなりそうです。ありがとうございました。
-利根型の部屋-
利根『挑発に乗って引き受けてしまったが……』チラッ
筑摩「? 姉さんどうかしました?」
利根「いやいや、何でもないのじゃ。うん、筑摩の作るご飯はいつも美味いのぉ」
筑摩「うふふ。姉さんにそう言ってもらえると、妹冥利に尽きますね」
利根『筑摩が嫉妬に狂うところなぞ想像出来ん……!』
利根『いつもニコニコしておるし、冷静じゃしなぁ。優秀な妹を持って鼻が高いのじゃが……』
利根『その優秀さが今は恨めしい。吾輩に付け入る隙はあるのかのぉ』
利根『……とりあえず軽く話を振ってみるか』
利根「提督も可愛そうじゃのう。筑摩を嫁に貰っておいてこんな美味しいご飯を食べられるぬのは」
筑摩「もう。姉さんたら……」
利根「ホントのことを言ったまでじゃ。今度提督にも作って持っていったらどうじゃ?」
筑摩「ハア……そんなことしたら大井さんと比叡さんに睨まれてしまいますよ」
利根「いやいや、筑摩もケッコン艦なのじゃから気兼ねすることはないんじゃぞ?」
筑摩「私は姉さんに食べてもらえれば十分ですから。それに提督は毎日大井さんと比叡さんの手作り料理を食べているでしょうし」
利根『比叡の手料理を毎日は地獄な気がするのじゃ……』
筑摩「私の入る隙はきっとありません。ですから気にしないで下さい」
利根「むう……」
利根『わ、話題が終わってしまったのじゃ。でもこれで諦めるわけにはいかん!』
利根「そ、そういえばのぉ筑摩。先日提督の部屋に遊びに行ったのじゃが――」
-利根ネーサン奮闘中-
利根「――という感じで、提督と遊び通したのじゃ! いや~あれは楽しかったのぉ」
筑摩「…………姉さん」
利根「筑摩も次は吾輩と一緒に「姉さん!ッ」わわっ!?」
利根『筑摩の雰囲気が変わった! これはもしや……!』
筑摩「…………もうダメですよ? 提督の部屋に遅くまでいたら大井さんと比叡さんに嫉妬されてしまいますから」ニコッ
利根「あっ、はい……」
利根『て、手ごわい……。しかしここで折れては姉としての威厳が無くなるのじゃ!』
利根「あ、あ、あー……いや~しかしいつ見ても筑摩の付けている指輪は綺麗じゃのう」
筑摩「もう急にどうしたんですか? 今日の姉さんは何だか変ですよ?」
利根『うっ……さ、流石に短時間で提督関連の話をし過ぎたか。しかしここで退くことは出来ぬ』
利根「べ、別に変じゃないのじゃ。女子であればあくせさりーに興味を持つのは当然じゃろ?」
筑摩「姉さんもケッコンカッコカリの指輪が欲しいんですか?」
利根「そういうわけではない……が、筑摩と提督の間にある絆が羨ましいのは確かなのじゃ」
筑摩「私と提督の絆、ですか……?」
利根「吾輩はお前よりも後に着任したからの。錬度も他の艦より圧倒的に高かったのも覚えておる」
利根「錬度の高さは強さの証明でもあるが、同時に何度も苛烈な戦場へと赴いた結果でもある」
利根「それはコイツに任せておけば必ず海域攻略をしてくれるだろうという信頼の表れじゃからの」
利根「じゃからその証たる指輪が羨ましい。提督との確かな絆がの」
筑摩「…………」
少なくて申し訳ないですがここで切ります。仕事が忙しい……
筑摩「…………」
筑摩「姉さん。これは羨ましがられる物じゃありませんよ」
筑摩「これは私みたいな艦娘には苦しいもので……でも、ある意味嬉しい物なんです」
利根「? どういう意味じゃ?」
筑摩「そうですね……姉さんもいずれ分かる時が来ると思います」
利根『むむむ……この雰囲気だとこれ以上話を振るのは止めた方が良さそうじゃの』
利根『苦しいけど嬉しい……どういうことじゃ?』
-明石の工房-
利根「――と、言うわけなんじゃがどう思う?」
明石「ふむふむ。意味深で気になりますね」
青葉「おおっ! 青葉ビビッと来ましたよ!」
利根「何がビビッと来たんじゃ?」
青葉「青葉の推理ですと、そこに筑摩さんが提督とベッキョカッコガチしている理由がありそうですね」
利根「なぬ! そうなのか!」
青葉「ええ、真実はいつも一つ。青葉のじっちゃんの名にかけて探ってみましょう!」
明石「……あー、青葉さん本来の任務も忘れないで下さいね?」
青葉「分かってますって。ジャーナリストの青葉任三郎でした」
利根「うむ。青葉一コナン任三郎頼んだぞ!」
明石『どんな事件も解決しそう……』
-翌日-
青葉『まあ探ると言いましても、青葉は探偵ではないので……』
青葉『ここはやっぱり青葉の十八番で行きましょう!』
青葉「貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます!」
筑摩「丁度時間を持て余していたところですから、気にしないで下さい」
青葉「そう言って頂けるとありがたいです。では早速取材を行いますね」
筑摩「ところで何をお聞きになりたいんですか?」
青葉「むふふ、ズバリ! 最近鎮守府を騒がせている提督のことです!」
筑摩「…………提督ですか?」ウツムキ
青葉『んん? ちょっと顔を伏せましたね。嫌なのかな?』
青葉「そうです。最近になって大井さんと比叡さんが提督の隣を奪い合ってますよね?」
筑摩「そうですね」
青葉「そこで現状をどう思っているかを今だ行動を起こさないケッコン艦の皆さんにお伺いしているんですよ」
青葉「あ、勿論大井さんと比叡さんにも取材しますよ。騒ぎの中心であるお二人は最後ですが」
筑摩「長くなりそうですもんね。取材時間」
青葉「そうなんですよ。特に大井さんなんか惚気話で終わりそうで……って脱線してしまいましたね」
青葉「では改めまして筑摩さん。現状についてケッコン艦の貴方はどう思っていますか?」
筑摩「そうですね……とても……」
青葉「とても?」
筑摩「憎たらしく思いますね」ニコッ
青葉「ふむふむ、憎たらしいと…………えっ?」
筑摩「憎たらしく思います」ニコッ
青葉「な、何故でございますでしょうか……?」ガクブル
筑摩「先ず秘書艦だからといってあんなにくっ付く必要はないと思うんです。
提督も抵抗せずに受け入れるから大井さんも比叡さんも調子に乗ってしまうんですよ。
大井さんは人目も気にせず食堂で提督と食べさせ合い、時々触れ合いをしています。
比叡さんは出撃結果を報告しているにも関わらず、提督の膝の上に乗ってのんびりしています。
先程も言いましたが、提督は少しばかり抵抗をして現状を変える努力をした方が良いと思うんです。
周囲の娘達もそうですが、ケッコンカッコカリをした娘達からすれば堪ったもんじゃないんですよ
錬度の高さをナメてますよね? もう心がモヤモヤしてしょうがないんです。今すぐ代わりたいんです。
大井さんでも比叡さんでも良いから、すぐにそこを無理矢理にでも代わって提督を甘やかしたいんです。
こう見えて尽くす女なので、私抜きじゃもう生きていけないってぐらいに甘やかしたいんです。
ケッコンてそういうものですよね? そういうものなんですよ。好きな人は誰でも独り占めしたいんです」
青葉「はい、そうですね……」ガクブル
筑摩「ですから独り占めが難しいのなら、いっそ依存させて……うふふ」ニッコリ
青葉『ヒ、ヒィィィィ!? その笑顔怖いです!』
筑摩「……って、昨日食堂でご一緒した龍田さんが言ってました」
青葉「へっ……た、龍田さんが?」
筑摩「ええ。龍田さんが」
青葉「あ……そ、そうですか。アハハ……てっきり青葉は」
筑摩「てっきり、どう思ったんですか?」ニッコリ
青葉「てっきり……その、筑摩さんの言葉かと」
筑摩「うふふ。そんなわけないじゃないですか」
青葉「ですよねー? アハハハハ……」
筑摩「取材の答えですけど、提督と大井さん達はもう少し節度あるお付き合いをした方が良いと思います」
筑摩「私は確かにケッコン艦ですが、私の入る隙は無さそうなので様子見です」
筑摩「何より私には姉さんがいます。姉さんはずっと傍にいてくれる」
筑摩「例え結ばれても提督はきっと私から離れてしまうから……」
青葉「えっ、あの、それってどういう……?」
筑摩「はい、ここで終わりです。私はこれで失礼しますね」
青葉「……行ってしまいました」
青葉「提督が離れていく? どういうことなんでしょうか」
青葉「提督の人柄からしてそんなこと出来るとは思えないけれど」
青葉「う~ん。とりあえずこの録音を提督にも聞かせてみましょうか。心当たりがあるかもしれないし」チラッ
青葉「ッ!?」
青葉『青葉、見ちゃいました。不意に視線に入った、掲示板に貼られている遠征表……』
青葉『そこに龍田さんの名前があります。龍田さんは昨日から天龍さんと遠征に出ていました』
青葉『…………龍田さんが言ってました、って言ってたのって本当は』ガクブル
ここで切ります。寒くなってきたので皆さん御身体に気をつけて下さい。
例によって、また遅くなりそうです。まとまった休みが欲しい……
-執務室-
青葉「――というわけ何ですが、これを聞いてどう思いますか提督」
提督「」ガクブル
青葉「なりますよね? そうなりますよね? 青葉も最初聞いた時はそうでしたから」
提督「私は何時の間にか筑摩をこんなにも病ませてしまったのか……orz」
青葉「そのコメントから察するに提督に全く心当たりはないわけですね?」
提督「全くないな。…………いや、私が気付いてないだけで筑摩を傷付けていたのかもしれん」
青葉「提督が離れていくっていうのも?」
提督「馬鹿を言うな。私がここの提督でいる限り、誰一人路頭に迷わせたりするものか」
提督「それが嫁艦なら尚更だ。ケッコンを申し込んだ本人である私が先に離れるわけがない!」キリッ
青葉「あ……」キュン
提督「……まあ、相手が本気で別れるのを望んでいるなら私も潔く身を引くが」ショボン
青葉「う~ん。筑摩さんを見てると本気でって感じはしないんですが……」
提督「その言葉を聞くだけでも救われるな」
青葉「とりあえず青葉はまた調べつつ、明石さんからのミッションをこなしますね」
提督「あまり無理はするなよ」
青葉「ありがとうございます。ところで今日の秘書艦の大井さんは?」
提督「うむ。お前が来る前に比叡がここに来てだな……」
比叡『もうすぐお昼ですよ司令! 特製比叡カレーを気合入れてご用意します!』
提督「と言って行ってしまったのだ。大井は何も言わず、ただニッコリと笑顔を浮かべて同じく出て行ったよ」
青葉『流石は自称正妻……何も言わずに察したんだきっと』
青葉「ファ、ファイトですよ提督!」
提督「……ありがとう」
青葉「で、では青葉はこれで失礼しますね」ドアガチャ
提督「ああ」
提督『……さて、カレーが来るまでに書類を片付けておいてしまおう』
提督『大井に頼り過ぎなのも考えものだからな。前までは殆ど私だけでやっていたんだから大丈夫だろう』
ドアガチャ
提督「ん? どうした青葉。まだ聞きたいことでも……」チラッ
筑摩「青葉さんじゃないですよ」ニコッ
提督「」
筑摩「どうしたんですか提督。急に固まってしまって」
提督「あ、あー……いやすまない。少し驚いてしまった」
提督『先程までの噂の中心人物が来れば仕方があるまい』
筑摩「もう酷いですよ。さっき擦れ違った青葉さんにも驚かれてしまいましたし」
提督『それはなぁ……』
提督「と、ところで筑摩は何のようだ?」
筑摩「はい。執務中なのは重々承知していますが……」カギカケ
筑摩「提督と少しお話がしたくて」ニッコリ
提督「……何故鍵を閉める?」
筑摩「その、二人だけでお話がしたいんです。出来れば誰にも聞かれたくなくて……」
提督「そ、そうか……」
提督『よ、予想もしなかった展開だ。通信手段があれば明石に何か助言を頼みたいところだが……』
提督『ええい、日本男児がこんなことで怯んでどうする! 誠心誠意向き合えば何てことはない!』
提督「ならそこのソファにでもかけようか。お前と仕事以外で話すのは久し振りだし、長くなりそうだしな」
筑摩「うふふ、ありがとうございます。お茶を淹れますね」
提督「ああ、頼む」
提督『誰にも聞かれたくないか。やはり青葉に話した件か?』
筑摩「…………」ニコニコ
提督『お茶を淹れる後ろ姿も様になっている。利根が自慢の妹と言うのも分かるな』
筑摩「……提督。あまり女性をジッと見つめるのは感心しませんよ?」
提督「ん、ああ。すまない」
大井『もう提督! そんなに見つめられると恥ずかしくて緊張しちゃいます!』
提督『大井の時は喜んでいた? ようだったが、筑摩は違うのか』
筑摩「お待たせしました。どうぞ」
提督「ありがとう」
提督「……」ズズッ
提督「美味い」
筑摩「ありがとうございます」
提督「ケッコンする前は、こうしてお前がよくお茶を淹れてくれていたな。秘書艦でない時も」
筑摩「腕が落ちていなくてホッとしました」
提督「利根相手にも淹れていたんだろう?」
筑摩「提督と姉さんの好みは違いますからね。淹れ方も工夫を凝らしてるんですよ」
提督「そうだったのか。知らなかったよ」
筑摩「はい。…………ケッコンしてから変わってしまいましたから」
提督「……そうだな」
筑摩「ええ……」
提督・筑摩「「…………」」
提督「それで筑摩、話と言うのは?」
筑摩「あ、すいません提督。お話というのはですね……」
提督「うむ」
筑摩「姉さんや青葉さんを使って何か企んでいませんか?」
提督「」
筑摩「それと真面目な提督にこんな器用な真似が出来るとは思えないので、協力者もいますよね?」
提督「」
提督『バ、バレたーッ!?』
筑摩「沈黙は肯定と受け取りますよ提督」ニッコリ
提督『お、お、お、落ち着くんだ私。これは沈黙ではなく、言い訳を考えているんだ。決して肯定ではない』
提督『だ、だが眼の前の筑摩に下手な言い訳など絶対に通用しない。あの笑顔で分かる』
筑摩「提督?」
提督『駄目だ何も思い付かない。何を言っても墓穴を掘る未来しか浮かばん……』
提督『仕方がない。ここは日本男児らしく……』
提督「す、すまなかった……お前の言う通りだ」
提督『素直に謝る』
筑摩「全くもう……本当に仕方のない人ですね」
ここで切ります。ありがとうございました。皆さん体調管理には気をつけましょう
提督「その通りで言葉も出ない……」
筑摩「それで何をしようとしていたんですか?」
提督「……実は」
-かくかくしかじか-
筑摩「なるほど。最近の大井さんと比叡さんの変わり様はそういうことだったんですか」
提督「全ては私の我が儘によるものだ。明石はそれを察して協力してくれたに過ぎない」
筑摩「姉さんと青葉さんもですか?」
提督「二人はお前の件だけだ。青葉は興味本位かも分からんが、利根は純粋にお前のことを考えてのことだ」
筑摩「はあ……もう姉さんたら。他に話すことはないですか?」
提督「もう無いな。やろうとしていたことと今までのことは全て話した」
筑摩「そうですか」
提督「お前が不快な気分になったというのなら、甘んじて罰を受けるが……」
筑摩「罰なんか考えてません。でもあえてするなら…………えい」
提督「おおっ」
提督『デコピンされた……』
筑摩「提督のお気持ちも分からなくもないですから、これで良しとします」
提督「…………お前には一生敵わない気がしてきた」
筑摩「ふふっ」ストン
提督「おっ」
提督『笑顔で隣に座ってきた……』
筑摩「提督。今の私の気持ち分かりますか?」
提督「……まだ少し怒っているか?」
筑摩「それもちょっとありますけど……今はドキドキして、嫉妬してます」
提督「今?」
筑摩「どうしてそこで意外な顔をされるんですか?」ニッコリ
提督「い、いや、その、だな。普段冷静沈着で笑顔を絶やさないお前からは想像も出来なくてな」
筑摩「なら今覚えちゃってください。私こう見えてかなり嫉妬深くて……」チラッ
筑摩「提督のこと、ケッコンするずっと前から好きだったんです」
提督「えっ……」
-執務室前-
大井「」シロメ
比叡「」シロメ
筑摩「うふふっ、ビックリしましたか?」
提督「あ、ああ。今日は驚くことが多すぎて何が何やら……」
提督「そんな素振り今まで見せていたか?」
筑摩「私なりに当時はアピールをしていたんですけど、やっぱり気付いていなかったんですね?」
筑摩「好きでもない人の為に、お茶を淹れるのに工夫を凝らしますか? 秘書艦でない時も執務室に来てお手伝いしますか?」
提督「……言われてみればそう、だな」
筑摩「はあ……でもそうですね。好意に敏感な人ならこんなことはしないですもんね」ジトメ
提督「うっ……面目ない。だが、それなら何故ケッコンした途端に離れていったんだ?」
筑摩「……提督は何故だと思いますか?」
提督「その、お前が指摘した通り好意に鈍感だからだろうか……」
筑摩「そんなことで嫌いになったりしません」
提督「ジュウコン?」
筑摩「それも関係ありません」
提督「……すまん。分からない」
筑摩「私が来る前に青葉さんがここに居たということは、私の取材内容を聞いたと思いますが……」
提督「俺が先に離れていく、という奴か?」
筑摩「はい。それが答えです」
提督「やはり分からない。俺が筑摩から、お前達から先に離れるわけが――「提督」」
筑摩「私達は艦娘です。人の形はしていても、人間とは違うものなんです」
筑摩「そして提督、貴方は人間です。ごく普通の」
提督「だからそれは…………そうか」
提督「寿命か。お前が言っているのは」
筑摩「正解です。提督」
筑摩「私達艦娘は妖精さん曰く日々の整備と点検を怠らなければ病気になることはほぼ無いそうです」
筑摩「年も重ね、成長もしますが……人間と違って極端に遅く、長生きするそうですよ」
提督「…………」
筑摩「でも提督は違います。一緒になったとしても、絶対に提督が先に離れていってしまう」
筑摩「好きな人が先に死んでしまって、自分が取り残される……それがとても怖かったんです」
提督「……だから、利根が心配すると言って私から離れていったのか?」
筑摩「はい。姉さんも私にとって大事な人です。姉さんは同じ艦娘で、私と同じ時を歩めるって思いました」
筑摩「けれど浅はかでした。指輪は外せず、大井さんと比叡さんは楽しそうに提督と一緒にいる……」
筑摩「そんな二人を見て嫉妬して……でも貴方に近づきたくても近づけない。怖くて、苦しくて……」
提督「筑摩」ダキッ
筑摩「あっ……」
提督「すまなかった。お前がそんなにも苦しんでいたのに察することも出来ず、話しかけてやることも出来ず……」
筑摩「提督が気に病むことじゃありません。私が勝手に離れていったんです」
提督「それでも、だ。私が不器用で無ければ、お前の悩みを軽くする一言でも言ってやれるのだが……」
筑摩「言ってくれないんですか?」
提督「すまない。こうしてお前を抱きしめてやることぐらいしか出来ん」
筑摩「……しょうがない人」
提督「お前が好きになった男は、そういうしょうがない男だ」
筑摩「そうですね。……ねえ提督」
提督「何だ」
筑摩「もしここで私が貴方を殺して私も死ぬ、と言ったら受け入れてくれますか?」
筑摩「先に離れるのなら、取り残されるなら、いっそ今一緒に……」
提督「すまないが、それは受け入れられない」
筑摩「どうしてでしょう」
提督「未だ深海棲艦との戦いは終わっていない。この鎮守府は必要とされているし、お前達の力も必要だ」
提督「今ここで私とお前が死ねば、悲しむ者がいる。何よりお前は自分が恐れていることを他人にするのか?」
提督「好きな人が死んでしまうことと、置いていかれるということを……」
筑摩「またしても浅はかでした。申し訳ありません……」
提督「いいんだ。それよりも一緒に考えよう。お前の悩みを少しでも軽くする方法を」
筑摩「…………私、また貴方の傍にいても良いんですか?」
提督「ここまで話しておいて今更何を言うのか」
筑摩「私、言いましたけど嫉妬深いですよ?」
提督「分かっている」
筑摩「提督が想像しているよりも重い女かもしれないですよ?」
提督「ドンとこい」
筑摩「寂しくないように、子供は沢山欲しいです」
提督「……が、頑張ります」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!
提督「ッ!? な、何だッ!?」
筑摩「うふふっ。もう我慢の限界みたいですね」
提督「な、何の話だ?」
筑摩「それはですね……」カギアケオープン
大井「…………」ギリギリ
比叡「ぐぬぬぬ……」ヒエイカレー装備
筑摩「こういうことです」ニッコリ
提督「」シロメ
筑摩「ということですから、これからよろしくお願いしますね?」ニッコリ
大井「何がよろしくなのかしら? 筑摩さんはこれまで通り、利根さんに付きっきりで構わないですよ?」ピキピキ
筑摩「そういう訳には。これから姉さんとあの人もお世話しないといけませんから」
大井「いえいえ。お世話は指輪を、一番最初に貰った、私が率先してやりますからご心配なく」
筑摩「最初に貰ったからと言って、有利ってわけでもないですよね?」
大井「ああ?」
筑摩「ふふっ」
提督『これが修羅場か……』ゲンジツトウヒ
比叡「司令、司令ッ!」コソコソ
提督「比叡か……」
比叡「はい、昼食の比叡カレーです! 大井さんに手伝ってもらいました」
提督「ありがとう。頂くよ……」
比叡「どうぞ!」
提督「…………」モグモグ
提督「美味い、美味いよぉ……」
比叡「やった!」ピース
提督『こんな状況でなければゆっくり味わえたのに……』
これで切ります。次は筑摩編後日談、嫁艦三人の提督取り合い小話、千代田編の順で書く予定。
明石活躍させられなくて申し訳ない。小話や千代田編で必ずや……!
『』は心の声なら()の方が読みやすいかも
>>335 ご指摘ありがとうございます。
本作は心の声はこのまま進めようと思います。
今日もゆっくり更新していきます。
【数日後…】
明石「いつもなら私と提督で結果を報告し合うわけですが……」チラッ
利根「筑摩……筑摩は末恐ろしい妹になってしまったのじゃ……」ガクブル
青葉「こ、怖い……筑摩さん怖い……!」ガクブル
明石「何このカオス」
提督「な、何だ何だ。一体何が起きてるんだ?」
明石「あ、いらっしゃいませ提督。見ての通りですよ。工房に来た途端この有様です」
提督「……お前達どうしたんだ?」
利根「提督よ。吾輩は可愛い妹の為と思って協力したが……とんでもない物を目覚めさせたかもしれぬ」
青葉「あ、青葉もです。これからは下手に筑摩さんに取材出来ません……!」
提督「ああ……確かにとんでもなかったよ」トオイメ
明石「提督も筑摩さん関連で何かあったんですね」
提督「うん。報告の前に明石、一つ頼みがある」
明石「はい何でしょう」
提督「前に言っていた精力増強剤を作ってくれないか?」
明石「あっ……(察し)」
提督「出来るなら早めに頼む。間に合わなくなっても知らんぞ」
明石「この報告が終わり次第作りますね」
提督「ありがとう」
提督「……この歳で腹上死などしたくない」ボソッ
明石「さてさて、三人ともそれぞれ報告があるみたいですが……」
明石「ここはやはりお姉さんたる利根さんからしてもらいましょうか」
利根「うむ……ではいくぞ」
明石「お願いします」
利根「提督と筑摩が本当の意味で結ばれたのは本当にめでたい。姉として嬉しい限りじゃ」
利根「自室でも料理の練習をしていたり、吾輩に提督はどうお世話すればもっと喜んでくれるか等の相談をしてきたり……微笑ましいと思わんか?」
明石「通い妻もしくは押しかけ女房的な感じを目指してるんですかね」
利根「まあここだけ聞けばな……」
青葉「えっ……何かあるんですか?」
利根「その、どうやら今回の計画に加担したとして、ちょっとしたお返しを受けたのじゃ」
提督「お返し?」
利根「あれは本当に怖かったのじゃ……」ガクブル
利根『良かったのぉ筑摩。これで安心して吾輩も日々を過ごせるというものじゃ』
筑摩『今まで心配掛けてゴメンなさい姉さん』
利根『よいよい。終わりよければ全て良しなのじゃ』
筑摩『ありがとうございます。では明日から姉さんはもう提督の部屋に通わなくても大丈夫ですよ』
利根『そうじゃのう。これからは偶に部屋へ遊びに行く程度に『大丈夫です』えっ……』
筑摩『これからは私が姉さんのお世話をしつつ、提督のお世話もします』
筑摩『ですから姉さんはもう一人で提督の所へ行かなくてもいいんですよ』
筑摩『もし提督の所に行きたくなったら私もお供しますから、ね?』ニッコリ
利根『いや、でも二人でゲームぐらいは『ねっ?』はい……』
利根「直接口には出さぬが、あれは提督と二人っきりにはさせませんと目が言っていたのじゃ……」ガクブル
明石「あー……大井さんと同じ症状ですねえ。蓋をしていた分、取った瞬間想いが溢れて止まらないと」
利根「治す方法はあるかの。提督が絡まなければいつもの優しい筑摩なのじゃ」
明石「それはもう提督が色々と満足させてあげるしかないですよ」
利根「提督ッ!」
提督「……頑張る」
青葉「では次の報告は青葉でよろしいですか?」
明石「どうぞ」
青葉「あれは青葉が自室で鎮守府通信を作っている時でした……」
筑摩『青葉さん、今お時間良いですか?』
青葉『筑摩さんじゃないですか。時間なら大丈夫ですからどうぞこちらに』
筑摩『ありがとうございます。実は貴方に届ける物がありまして……』
青葉『はい。何でしょう』
筑摩『これです』ジャラ
青葉『えっ……(大量の何かの残骸が袋に入ってる)』
筑摩『提督の私室と執務室に仕掛けてあったカメラと盗聴器です。邪魔なので片付けておきました』
青葉『…………』ダラダラ
筑摩『執務室はまあ防犯のこともありますから分かりますけど、提督の私室にカメラと盗聴器は必要ないですよね?』
青葉『え、えっと、筑摩さんもご存知の通り提督は人気者ですから、この鎮守府に所属する艦娘は提督の最新情報を知りたがっておりまして……』
筑摩『そうですね。あの人はとても人気者です。ですが人気者だからと言ってコレを仕掛けて良い理由にはなりませんよね?』
青葉『あわわわわ……』ガクブル
筑摩『これからは私にしたようにちゃんと時間を取って、提督に取材を申し込んで下さいね?』
青葉『ワカリマシタ……』
筑摩『分かってくれたようで嬉しいです。ああ、執務室のちゃんとした防犯カメラは残してありますから心配しないで下さい』
筑摩『今回は邪魔で余計な物を取り外しただけなので』ニッコリ
青葉『』
筑摩『では私はこれで。次から余計な物を付けちゃ駄目ですよ?』
青葉『ハイ……』
青葉「まさか全てを発見されるなんて思わなくて……筑摩さんはとても恐ろしいです」
提督「青葉、一ヶ月鎮守府のトイレ掃除」
青葉「何でですかッ!?」
提督「いや、お前の今までの所業を思い出せ」
青葉「ううっ……鎮守府通信読者限定の提督通信がもう組めない」
提督「何それ怖い」
明石・利根『今までの発行分を持っているとは言えない……』
明石「さて、最後は提督。お願いします」
提督「ああ……おい青葉、取材用のメモをすぐさま出すんじゃない」
青葉「ちぇ~」
提督「……筑摩に言おうかな」ボソッ
青葉「ゴメンなさいorz」
利根『完全にトラウマになっているのじゃ……筑摩ァ……』
提督「コホン。まあ改めて言うと筑摩とは新しいスタートを切ることが出来た」
明石「おめでとうございます」パチパチ
提督「夫婦間でやることもやっている。……今思えばこの報告は必要なくないか?」
明石「何言ってるんですか。今時の女の子に甘いお話を隅々まで聞かせてくださいよ」
利根「筑摩が……わひゃ~」カオマッカ
青葉「おお、本人の口から聞くと尚更赤裸々ですねえ」
提督「だが……大井と筑摩が熾烈な争いを繰り広げていて怖い」
青葉「詳しくッ!」
提督「詳しくと言ってもな……」
大井『提督、お茶を淹れました』
筑摩『私のもどうぞ?』
大井『どうして今日秘書艦じゃない貴方がここに居るのかしら?』
筑摩『あら。秘書艦じゃなければ執務室に居れないということはないですよ?』
筑摩『それにお手伝いもしてはいけない、なんてこともないですしね』
大井『私一人でも十分に回ります。今までも、これからも』
筑摩『必ずそうなる、とは限らないですよ。何が起こるか分かりませんから』
大井『…………』ギリギリ
筑摩『…………』ニコニコ
提督『空はあんなに青いのに……』トオイメ
明石「その二人は予想してました。というか出来てました」
利根「比叡は加わらんのか? 正妻争いに」
提督「彼女は二人が争っている隙に、という感じでな」
明石「なんと小悪魔的な」
提督「ハア……残りのケッコン艦を迎えるまで私の身体は保つだろうか」
青葉「近々胃薬が必要になるかもしれないですね」
提督『ただでさえ精力増強剤を頼んでいるというのに……』
ここで終わります。次回は番外編で小話を書こうと思います。
小話【嫁艦達との一時】
大井「お待たせしました」エプロン姿
比叡「わ~い! 今日は大井さんの手作りの日でしたね」
提督「うむ。食欲をそそるな」
筑摩『大井さんのレパートリーは驚くほどに豊富』
筑摩『正直料理は今の私の錬度では敵わない。今はただ食べて学び取るのみ』
大井『――とか考えている顔ね。筑摩さん』
大井『ふふっ、けど甘いわね。貴方が吸収している間に私は先に進むわ』
大井『この人の、提督の隣は譲れないのよ!』
筑摩『――と、今思っているんでしょうね大井さん』
筑摩『けれど私をナメないで下さいね。提督と姉さんのことを思えば、私は一を聞いて百を知ることが出来る』
筑摩『貴方が進んだ先に私が立っていてみせましょう!』
比叡「司令ッ! この肉じゃが美味しいですね!」
提督「ああ、美味い。俺好みの味付けにしてあるのは流石は大井、と言ったところか」
大井「そんな、恥ずかしいです。それに提督のことはいつも見ていますから味付けぐらい何てことないですよ」
提督「男の身としては嬉しい限りだな」
比叡『なるほど~。司令はこの味付けが好みなんですね』メモメモ
筑摩『和食の勉強ならば独学だけでなく、鳳翔さんに習うのも良いかもしれませんね』
筑摩『でも今は……』
筑摩「提督?」
提督「ん? 何だ筑摩」
筑摩「あ~ん、してあげます」
提督「ッ!」
大井「ッ!?」ガタッ
比叡『私でも出来るかな? いや、ここは鳳翔さんに教えてもらうのも……』ムムム
提督「い、いきなり何だ」
筑摩「こういうの憧れていまして、一度やってみたかったんです。大好きな男の人に対して」
筑摩「私が作った料理ではないのでおこがましいとは思いますが、受けてくれませんか?」
大井『くっ……! 申し訳無さそうな顔をしてるけど、この人が断りにくい状況を完璧に作り上げている……!』
提督「全く……そんな顔を浮かべて、そう言われたら男として断れないではないか」
筑摩「ふふっ、ありがとうございます」
筑摩『ごめんなさい大井さん。私もやられっぱなしは嫌なんです』チラッ
大井『ぐぬぬぬぬ……!』
筑摩「はい提督、あ~ん」
提督「あ、あ~ん」
提督「…………」モグモグ
筑摩「どうですか?」
提督「美味いな。当然だが」
筑摩「ふふっ、次は私の手料理でしてあげますから楽しみにしていて下さいね?」
提督「あ、ああ。よろしく頼む」
大井『ちゃっかり予約しちゃって~!!』
大井「提督ッ! 私も、私にもさせて下さい!」
提督「わ、分かった。だから落ち着け大井」
比叡『うん、習いに行く前に一度自分で作ってみよう。それでお姉様達に味見してもらおう』ウンウン
比叡『……って、あれ?』
大井「貴方は一度あ~んをやったからもう良いでしょう。後は作った私がお世話します」
筑摩「同じ人をお慕いしてるのですから、あ~んは交代しながらでも良いと思うんです」
提督「私は皆で仲良く食べたいと思うのだが……」
比叡『何だかみんなで面白そうなことやってる……私も混ざりたい』
比叡「司令ッ!」
提督「何だ比叡」
比叡「私にもお願いします! はい!」アーン
提督「えっ……お前に私がするのか?」
比叡「何か間違ってましたか?」
提督「くっ……ハハハ! いや、何も間違っていないぞ」
大井・筑摩『逆パターンがあったか!』
提督「ほら、口を開けろ」
比叡「はい!」アーン
比叡「…………」モグモグ
比叡「とっても美味しいです!」キラキラ
提督『尻尾があればブンブン振っていそうだ……』
提督「比叡は可愛いなぁ」ナデナデ
比叡「ひゃっ……司令、いきなりは嬉しいけど恥ずかしいです」
大井・筑摩『可愛い』ホノボノ
今回はここまで。喉が痛い……
【千代田編】
明石「あの~……」
筑摩「はい?」ニッコリ
明石「どうして筑摩さんが工房に居るのでしょうか?」
筑摩「提督が書類を片付けながら呟いていたんです。『そろそろ次のターゲットの話が来る頃か』と」
筑摩「なので私が代わりに聞きに来ました。事情を詳しく知っているので協力出来ると思いますよ?」
筑摩「それに明石さんだけズルイと思うので……」ボソッ
明石「えっ? 何ですか? 最後の方が聞き取れなかったのですが……」
筑摩「うふふ。気にしちゃメッ、ですよ?」
明石「そ、そうですか? では次のターゲットですが……千代田さんです!」
筑摩「あら。私と同じ姉が大好きな娘ですね」
明石「はい。なので彼女もまた筑摩さんと同じく強敵になるのではと思われます」
筑摩「……私、強敵だったんですか?」
明石「ええ、(色々な意味で)強敵でした」
明石「ですが日々、提督と嫁艦の皆さんが自重せずにイチャイチャしているのを見てモヤモヤしているとも推測されます」
筑摩「私と同じようにですか?」
明石「いや、筑摩さんと同じようには……なっていないと思いたいですが」
千代田『ねえ提督……私もう我慢出来ない』ハイライトOFF
千代田『最初は千歳お姉が居れば満足出来たけど、もう満足出来なくなっちゃったの』
千代田『私って欲張りなんだ。お姉と提督二人が居ないと駄目になっちゃった……』
千代田『私の傍で他の娘とイチャイチャ……頭では素直になれない自分の自業自得だって分かってる』
千代田『でもやっぱり我慢出来ない! 耐えられない!! 納得出来ない!!!』壁ドン
千代田『ねえ提督……まだ大井さん達との間に子供いないんだよね?』
千代田『千代田が一番になりたいな……出来た子供を提督と千歳お姉と私で育てるの』
千代田『三人で育てて、幸せに暮らす……えへへ。良いよねえ?』
千代田『ああ、千歳お姉と子供を作っちゃ駄目だからね? いくら提督でも、千歳お姉でも許さない』ギリッ
千代田『子供なら私がいっぱい産めるもん。千歳お姉が産む必要がないぐらい、ね?』
明石『筑摩さんと同じならこんな風よね?』シロメ
明石『でも駄目よ! これ以上ヤンデレが増えたら提督の身が本当に危ない』
明石『というかオコトワリ勢の人達ヤンデレ属性似合い過ぎなんですけど!』
筑摩「明石さん? 今失礼なことを考えていませんか?」
明石「とんでもございません!」
筑摩「全くもう……それで明石さん。作戦が何かあるんですか?」
明石「勿論。作戦と言っても単純なものですよ。筑摩さん、千代田さんとよく鳳翔さんのお店でお酒を一緒に飲むんですよね?」
筑摩「ええ。お互いの姉について可愛いところとか……よくご存知ですね」
明石「ふふ~ん。私の情報網をナメないで下さい!」
筑摩「青葉さんですか?」
明石「申し訳ないですが、情報提供者に関しては極秘ということで」
筑摩「提督の私室と執務室の監視カメラ、それと鎮守府中の監視カメラ、必要な物以外撤去した筈ですが……」
明石「ご、極秘ですので……」
筑摩「今軽く言葉に詰まりましたね? 後日青葉さんも含めてジックリ話し合いしましょう」
筑摩「これはていと……鎮守府中のプライバシーの問題に関わりますから」ニッコリ+威圧
明石「ハイ」
筑摩「話の腰を折ってすみません。作戦の続きをどうぞ?」
明石「はい。筑摩さんは千代田さんに提督との生活を話してほしいんですよ。出来れば羨ましがるような感じで」
筑摩「なるほど。ケッコンは良いもの、提督は素敵な人だと思ってもらうんですね?」
明石「ですね。まあ指輪を受け取って身に付けている時点で意識しているとは思うんですが」
筑摩「そこはまあ、女の子の心ですし。私も似たようなものでしたし、ね」
明石「作戦名は名付けて『千歳お姉ゴメン、私ダメになっちゃう~抗えない提督との生活の誘い~』です」
筑摩「……どことなく如何わしさを感じる作戦名ですね」
明石「実は、その、この作戦名を考えるのにも協力者の方がおりまして……」
筑摩「え」
明石「極秘ですが、コードネームだけでも教えておきましょう。オータムクラウドさんです」
筑摩『もうそれで大体の人が分かると思うんですけど……』
明石「いやぁ、私名付けのセンスがあまりないので。提督には私が考えてるって見栄を張っちゃいましたが」
ここで切ります。体調が悪いと進みが遅いですね……。申し訳ないです
筑摩「そんないらない見栄を張らなくてもいいのに」
明石「コホン。とにかく筑摩さん、よろしくお願いしますね!」
【次の日の夜…】
千歳「あら千代田、こんな時間に何処に行くの?」
千代田「鳳翔さんのとこ。飲まないかってお誘いがあって」
千歳「……もしかして提督?」
千代田「ち、違うから! 筑摩から誘われたのよ珍しく」
千歳「へえ~筑摩さんからねえ」ニヤニヤ
千代田「腹立つッ! そのニヤニヤ顔腹立つッ!」
千歳「ふふっ、ゴメンね。でも良い機会じゃない。筑摩さんからコツを聞いてみたら?」
千代田「何のコツよ」
千歳「提督とはどうやって今の関係に収まったのか、とか?」
千代田「べ、別にそんなのどうでも良いし!」
千歳「どうでも良くないわよ! 妹の幸せを想って何がいけないの」
千代田「あ~もう! この話は終わりッ! 私行くからね!」
千歳「あっ、ちょっと千代田…………行っちゃった」
千歳「はあ、意地っ張りはただの損なのに……」デンワモチ
千歳「……あ、隼鷹? 千代田が出掛けて今部屋に一人なの。これから一緒に飲まない?」
千歳「えっ? 那智さんにポーラもいるの? 良いわね。久し振りに盛り上がりそう!」
千代田『全くお姉は……人の気も知らないで』
千代田『そりゃあ私だって少しは思うし……』
千代田『そもそもその気が無ければ指輪を受け取ったり、付けたままにしないし』ユビワチラッ
筑摩「千代田さ~ん」
千代田「ゴメンね筑摩。待たせちゃった?」
筑摩「いいえ。全然待ってませんから大丈夫ですよ」
千代田「そう。なら良かった。じゃあ入りましょう」
筑摩「あっ、もうちょっと待ってもらえますか? あと一人呼んでいる人がいるので」
千代田「私以外にも? ホント珍しいわね」
筑摩「人数が多いほうが会話が弾むと思いますので」
千代田「……ちなみに提督?」
筑摩「ううん、違いますよ。女性同士で話せることもありますし、仮に誘ってもあの人はこちらを気遣って断ると思います」
千代田『あの人ね……』
明石「す、すいません! お待たせしました!」
千代田「明石! もう一人って貴方なの?」
明石「あ、はい。今の今までお誘いを受けてたのをすっかり忘れてて……整備に夢中になってました」
千代田「だから顔の所々が汚れてるのね。いくらなんでも慌てすぎでしょう」
筑摩「仕方ないですね。中で鳳翔さんに手拭いを貸してもらいましょうか」
明石「ホントに申し訳ないです……」
明石『まさかこういった作戦は初めてだから傍に居てもらえませんかって筑摩さんから頼まれるとは思いませんでしたもん』
千代田「鳳翔さ~ん。こんにちわ~」
鳳翔「いらっしゃい。あら? 何だか珍しい組み合わせね」
筑摩「私と千代田さんはいつも通りですが、今日は明石さんが居ますからね」
千代田「ゴメン鳳翔さん。手拭い貸してもらえますか? 明石の顔が……」
鳳翔「あらあら。ちょっと待っててね」
明石「すいませ~ん」
筑摩「ふう、それにしてもここの雰囲気は何時来ても落ち着きますね」
鳳翔「ありがとう。お客さんにそう言ってもらえるのは嬉しいわ」
鳳翔「はい明石ちゃん。お湯に浸したから気持ち良いわよ」
明石「ありがとうございます! んん~……汚れが取れて気持ちが良いッ!」カオフキフキ
千代田「あんたもうちょっと身だしなみに気を使いなさいよ。陸奥さんに相談したら?」
明石「瞬く間に着せ替え人形にされそうなので遠慮します……」
筑摩「それなら鈴谷ちゃんや那珂ちゃんも良いかもしれないですね」
千代田「あ~あの二人もメイクとか熱中してるよねえ」
明石「整備の仕事にメイクは必要ないと思いますけど……」
鳳翔「女の子は何時でも綺麗でいたいと思うものよ。特に身近な男性が一人だけの時とかね」
筑摩「ふふっ、そうですね」
明石「まあ分かる気はしますが」
千代田『自分のことはホント無頓着なのね……』
鳳翔「今日はどうする? 熱燗で良いのかしら?」
筑摩「お願い出来ますか。最近寒くなってきましたし」
千代田「お姉や飲兵衛共とは違って、ゆったり飲むのが私達流だもんね」
鳳翔「明石ちゃんはお酒平気?」
明石「これでも人並みには飲めますから大丈夫です」
【数十分後…】
千代田「でさ~お姉はもう少し自重してほしいんだよね。あれだけ隼鷹達と飲んでると身体が心配なのよ」
筑摩「そうですねえ。姉さんも煽られるとムキになってラッパ飲みしようとしますし」
明石「そうなる前に利根さんを止めてあげて下さい!?」
筑摩「でも煽られてムキになる姉さんが可愛いですし、ラッパ飲み無理って涙目な姉さんも可愛くて……」
鳳翔「筑摩ちゃんは相変わらず利根ちゃんのことが大好きなのね」
明石「そういう次元の話なのか疑問に思えるのですが……」
筑摩「あ、勘違いしないで下さいね? 姉さんは大好きですが、提督のことは愛してるので」
千代田「勘違いどころか聞いてすらいないんだけど……」
明石『おっ? ここは話の振りどころですかね』
明石「ところで筑摩さん。提督との生活はどうですか?」
筑摩「充実してますよ。姉さんと提督、二人のお世話が出来て幸せです」
千代田「せめて片方に集中したら? 利根なんか妹離れする時なんじゃない?」
筑摩「私、こう見えて欲張りなんです。二人のお世話がしたいんです」フフン
鳳翔「筑摩ちゃんの意外な一面ね」
筑摩「将来的には子供も欲しいですから」ニコニコ
千代田「ブフォ……!」
鳳翔「まあ……何だかこちらが恥ずかしくなってくるわね」
筑摩「でもまだ戦争中ですからね。夫婦の営みはしていますが、子供のことは対策してます」
明石「何人ぐらい欲しいんです?」
筑摩「提督が頑張ってくれれば良いんですけど、そうですね……大井さんに負けないぐらいには」
鳳翔「あらあら。競い合うのは良いけど、あんまり提督を困らせちゃ駄目よ?」
筑摩「心配要りません。その辺りの匙加減は私も大井さんも分かってますから」
千代田『赤裸々な会話過ぎるでしょ! ケッコン艦の!』
千代田『私もケッコン艦だけどさ……』
筑摩「それに最近比叡さんが可愛く思えてきたんですよ」
明石「同じケッコン艦なのにライバルではなく可愛いとは……」
筑摩「妹のような、小動物のような……何でしょう?」
鳳翔「どれも癒してはくれそうね」
千代田『幸せそうだなぁ筑摩』
ここで切ります。ありがとうございました!
お久し振りです。続きをゆっくり再開します。
千歳『筑摩さんからコツを聞いてみたら?』
千代田『コツ……幸せになるコツ、か』
千代田『ま、まあお酒の席での話だし。別に後学のためとかではないし』
千代田「ねえ筑摩。一つ聞きたいんだけど」
筑摩「何でしょう?」
千代田「あんなに利根大好きだったあんたが、提督とどうやってあんな関係になったの?」
明石『おおっ! 千代田さんが突っ込んできた!』
筑摩「そうですねえ……意地を張らず、自分の気持ちに素直になることでしょうか?」
筑摩「結局のところ、今提督の周りにいるケッコン艦の皆さんは私を含めて素直になった娘達ばかりですから」
千代田「自分の気持ちに素直に……」
筑摩「後は優しさで包んであげるとかでしょうか。……胸で」
千代田「胸ッ!? まさかの胸ッ!?」
筑摩「だって提督が今までケッコンを申し込んだ艦娘って――」
大井:巨乳
比叡:美乳
筑摩:巨乳
千代田:巨乳
山城:巨乳
龍田:美乳
筑摩「――って感じですから」
千代田「そんな身も蓋もないことを……」
明石『でも言われてみれば…………』ペタペタ
鳳翔『提督ったら……』ペタペタ
鳳翔・明石『私も辛うじて美乳よね?』
筑摩「まあ冗談は置いておいて。この調子で行くとまだケッコン艦が増えそうなんですよね。それが今の悩みの種でして」
鳳翔・明石「」ギクリ
千代田「流石にそこまで提督は節操無しじゃないんじゃ……」
筑摩「でもあの人優しいですから、強引に迫られたりすると承諾しちゃいそうなんですよね」
筑摩「なので正妻のポジションは確保しておきたいんですよ。強敵揃いですが」
千代田「あっ、まだ決まってないんだ」
千代田『ということは私にも……って違う違う! 何考えてんだ私!』
筑摩「ふふっ……」ニヤリ
明石『うわぁ……筑摩さん悪い顔してるわ~』
鳳翔「あら、お酒が切れてしまいましたね。もう一本飲みますか?」
千代田「お願いします。ああもう、筑摩の惚気とためにならない話で酔いたい気分ですから」
筑摩「ためにならない?」ニヤニヤ
明石「ほほう、ためにならない話とな?」ニヤニヤ
千代田「腹立つッ! そのニヤニヤ顔、お姉以上に腹立つッ!」
鳳翔「あらあら」
~ブレイコォタイム~
千代田「ふえ~……」
筑摩「すっかり酔い潰れてしまいましたね」
鳳翔「ゴクゴク飲んでましたからねえ。明石さんも付き合わされてすっかり……」チラッ
明石「ふにゃあ……」
筑摩「すいません鳳翔さん。私は千代田さんを部屋まで運ぶので明石さんをお願い出来ますか?」
鳳翔「仕方ありませんね。止められなかった私にも責任はありますから」
-提督の私室-
提督「で、それでどうして私の部屋に来るんだ?」
筑摩「申し訳ありません。ちゃんと千歳さん、千代田さんの部屋に行ったんですけど」
千歳『』グデーン
那智『』グデーン
ポーラ『あはははは~♪』
隼鷹『ギャハハハハ…!』
筑摩「とても寝かせられる状況じゃなくて」
提督「…………」アタマカカエ
筑摩「ですので提督、千代田さんをお願いしますね?」
提督「いや待て。お前と利根の部屋でも良いのでは?」
筑摩「もう提督、千代田さんもケッコン艦なんですから遠慮はいりませんよ?」
提督「いや、遠慮とかそういうんじゃなくて……」
筑摩「と言うかハッキリ言ってしまうとですね、さっさとケッコン艦の皆さんを素直にさせちゃって下さい」
提督「随分とストレートに言ったな……」
筑摩「大井さんのようにライバルはハッキリさせておきたいんですよね。何人増えても負ける気はしないですが」
提督『何だろう……筑摩からボス級な風格が凄い漂っている』
筑摩「仕込みはしておいたので、後はお願いしますね提督」
提督「仕込みッ!? 仕込みって何なんだ!」
千代田「う~ん……ていとく~」ダキッ
提督「ちょっ、千代田……!」
筑摩「隠れた本音が出ますから、お酒の力は偉大ですねえ。では」ガチャ
提督「筑摩……ッ! 行ってしまった……」
千代田「ていとく~……♪」
提督「はあ……とりあえず寝かせよう。このままじゃ色々と危ない」
筑摩『さてどうなるでしょう……今日は譲りますが、明日からは譲れませんよ千代田さん』
提督「酒の臭いが凄いな。どれだけ飲んだか知らないが、千代田も千歳に負けず劣らずの酒豪らしいな」
千代田「えへへ~……ていとく、おみずのみたいなぁ」
提督「分かった分かった。ほら、ベッドに横になって待っていなさい」
千代田「い~や~だ~! はなれちゃいやだ~!」
提督「面倒な酔い方してるなこの娘は! 普段とは違う一面で可愛いけど!」
一旦切ります。ありがとうございました。
少しだけ続きです
千代田「もうかわいいだなんて~……うふふ」
提督「ああもう! とにかく離れるんだホラ!」グイグイ
千代田「い~や~ん~」グイグイ
提督「やっと離れてくれた。ふう……酔っ払いは手強い」
提督「お~い。千代田、水持ってきたぞ」
千代田「ありがと~ていとく。ねえ、のまして~?」
提督『何か幼児退行してないか? これはもう千代田じゃなくて“ちよだ”だな』
提督「水ぐらい自分で飲みなさい。飲ませるとか難しいからね」
ちよだ「ん~♪」
提督「……何で口を突き出してるのかな? タコのマネかな?」
ちよだ「くちうつし~♪ ケッコンしてるんだからもんだいないわ」
提督「いや、まだケッコン艦の誰にもしたことないよ」
ちよだ「ならわたしがはじめてってことで……ん~♪」
提督『これはもう口移しで飲ませないと収まらないのでは……』
提督「わ、分かった。ジッとしていろよ……ん」ミズフクミ
ちよだ「ん……」
~口移し中~
千代田「んふふふ」ドキドキ
提督『未知の体験だった……舌も絡み合った気がする』ドキドキ
千代田「ははっ、本当にしてくれるとは思わなかったわ」
提督「お前……いつから酔いが醒めていたんだ?」
千代田「ううん、まだ酔ってるわ。酔ってないと……こんな風に出来ないもん」ダキッ
提督「うおっ……!」
千代田「筑摩があんまりにも惚気話するから腹立ったのよね。だ~か~ら~さっ!」
千代田「私が酔ってる間に色々したり、しちゃってもいいよ。ケッコン艦ですから」
提督『ぬう……普段の千代田とはギャップがあり過ぎて可愛いな』
提督「……ほ、本当に良いのか? 無理しているのなら「無理してない!」うっ……」
千代田「千歳お姉や筑摩に色々言われて、お酒を燃料にしてようやっと心を固めてきたんだから!」
千代田「私がここまで言ってるんだからさ……受け入れてよ」ウワメヅカイ
提督『据え膳食わぬは男の恥、か……』
提督「一つ聞いて良いか?」
千代田「な、何よ……」
提督「酔いが醒めたらもう終わりなのか?」
千代田「……馬鹿。言わせないでよ」
提督「了解した」ガバッ
千代田「あっ……♪」
~ショヤタイム~
大井「朝来てみたら……」
提督「」スイミンチュウ
大井「全裸で寝る提督とお酒臭い部屋……」
大井『あと微かに女の匂いがする……これは比叡さんでも筑摩さんでもないわ』
大井『この人にケッコン艦以外の娘を連れ込む度胸はない。と言うことはライバルがまた増えたのね』イライラ
大井『まあ負ける気は全くしないんだけど』ドヤッ
大井「とりあえずは換気ね。それから朝食を……」チラッ
提督「」
大井「朝食作る前に……提督が風邪を引かないようにしないと駄目よね」ゴクリ
筑摩「……何、しようとしてるんですか?」
大井『――い、いつの間にッ!?』
筑摩「提督に毛布を掛けてあげるんですよね? 寒そうですもんね?」
大井「も、勿論です。提督が風邪など引いたら鎮守府に影響が出ますから」
筑摩「それじゃあお願い出来ますか? 私は朝食を作りますので」
大井『くっ! 私のやろうとしていたことを!』
大井「利根さんは良いんですか? 彼女にも朝食を作ってあげなければいけないのでは?」
筑摩「心配には及びません。作ってから来てますから。ここに」
大井『あくまでも正妻のポジションを奪うつもりなのね』ゴゴゴゴ
筑摩『うふふふふ。私、欲張りなんです』ゴゴゴゴ
ここで今日は切ります。
次回以降は千代田編後日談、そして山城編です。
長らくお待たせして申し訳ないです。
比叡「失礼しま~す! 司令、朝ご飯を――」
大井・筑摩「ああ?」
比叡「ひええ……し、失礼しました」
-千歳・千代田の部屋-
千代田「人が良い気分で戻って来てみれば……」
千歳『』グデーン
那智『』グデーン
ポーラ『』グデーン
隼鷹『』グデーン
千代田「はあ……もう何なのよコレ」
千代田「とりあえず換気して全員起こそう。お酒臭い……」ガララ
千代田「これでよし。それじゃあ……」ナベ+オタマ
千代田「起きろーッ! 酔っ払い共ッ!!」ガンガンガン
四人「――ッ!?!?」
那智「な、何だ敵襲か!?」
隼鷹「て、敵……ッ! ウッ、急に起き上がったから込み上げるモノが……!」
ポーラ「あら~おはようございます~。とりあえず目覚めにワインを一杯……」
千歳「お、おはよう千代田。とても良い朝ね」
千代田「酒の臭いが充満した部屋での目覚めが良い朝ねえ」
千歳「ア、アハハハハ……」
那智「何だ、敵襲ではなかったのか。痛ッ……! これぐらいで頭痛とは情けない」
隼鷹「あの、誰か、私を色々とスパーキング出来るところに連れてって……」
千代田「ちょっと!? こんなところで胃の中身を放出しないで!?」
那智「ほら隼鷹、トイレに連れてってやるぞ」
隼鷹「あ~……あんまり急かさないで。マジでスパーキングするぅ……」
ポーラ「ワイン♪ ワイン♪」
千代田「あんたはまだ飲む気か!」
千歳「ポーラはブレないわね。……あら?」
千代田「ん? 何よお姉」
千歳「千代田、首筋のところに赤い何かが……」
千代田「首筋……?」サグリサグリ
千代田「……ハッ!」カオマッカ
千歳「えっ? 何で顔赤くしてるの?」
千代田「な、なななななな何でもない! 何でもないから!?」
千歳『首筋の赤い痣で顔真っ赤……? まさかそれってベタなアレ……?』
千歳「ふ~ん」ニヤニヤニヤニヤ
千代田「何か前よりも三割り増しで腹立つそのニヤニヤ顔ッ!」
千歳「昨日はお楽しみだったのね。千代田」
千代田「は、ハア!? 別に提督とお楽しみだったわけじゃ……はう!?」
千歳「ほほう。提督とは言ってないのにねえ」ニヤニヤニヤニヤ
千代田「~~~~~ッ」カオマッカ
那智「何やら面白い話題が聞こえてきた」
隼鷹「同じくッ!」スッキリ
ポーラ「ワインでも飲みながら聞きましょうか~」
千代田「来んな飲兵衛共ッ!?」
千歳「それでそれで、提督は優しかった? 激しかった?」
千代田「お姉うるさいッ!」
【数日後…】
明石「さてさて、恒例の報告会ですが……」
提督「うむ」
明石「心なしか、疲れてませんか?」
提督「いや、大丈夫だ……うん大丈夫」
明石「そうですか。では提督、千代田さんとはどうでしょう?」
提督「うむ。とても良好なのだが、その、あいつが素直になる合図が……」
明石「合図?」
提督「酒なんだよ。一緒に飲まないかって誘いの後、夜戦て感じで」
明石「ああ、酔わないとまだ素直になれないんですね」
提督「酔うと言っても本当に酔っているか定かじゃないんだ。コップ一杯飲んだだけで――」
千代田『あ、あ~あ、何だか酔っちゃった。私とっても酔っちゃった』
千代田『今なら、その、色々してあげたり、してあげちゃったりしても良いかなぁ』チラチラ
明石「うわぁ……何ですかその面倒なイエス・ノー方式は」
提督「言うな。千代田も必死に考えたんだろう」
少しの更新ですが、ここで切ります。ありがとうございました
提督「しかし私自身、あまり酒を飲む方ではないからな。連日だと結構クるものがある」
明石「精力剤と一緒に栄養ドリンクでも支給しましょうか?」
提督「いや、大井と筑摩がしじみの味噌汁等を作ってくれるから心配いらない」
明石「ほほう、尽くされてますねえ」
提督「つくづく私には勿体無いほどの嫁艦だ」
明石「ちなみに比叡さんは?」
提督「比叡は……あれだ。元気な笑顔を浮かべ、傍に居てくれるだけで癒してくれるから問題ない」
明石『流石に料理関連はまだ修行中なのね』
明石「千代田さんはそれからお部屋に来るんですか?」
提督「大井達ほどじゃないがな。千歳とセットで来ることもある」
明石「千歳さんも妹さんのケッコン生活が気になるんでしょうかね」
提督「恐らくそうなんだろうな。そして千歳がいると高確率で鎮守府の飲兵衛共もやって来るんだ」
明石「あっ(察し)」
提督「そうなるとな、一瞬で私と千代田が取り囲まれて色々詰め寄られるんだ。正直参っているよ」
提督「特に夜戦関連の話を振られた時は千代田が真っ赤な顔で泣きそうになってな。見てられなかった」
明石「千代田さん……」
提督「だが最終的に千歳がなだめて丸く収まるんだ。その点はやはり姉として、飲兵衛同盟には敵わん」
明石「仲間、そして姉妹ですからねえ。夫婦でも超せない絆がきっとあるんですよ」
提督「そうだな。ケッコンをしても彼女達には仲良くしてほしいものだ。他の嫁艦達にも言えることだが」
長くなってきたので幕間として
-人物まとめ-
・提督
主人公且つ不器用な男。オコトワリ勢をオコトワリ勢と知らずに指輪を次々に送った猛者。
他の鎮守府の提督から惚気話を聞かされて今回の一件を起こす。最初こそ渋ったが、徐々に乗り気に。
本人の知らぬ内に嫁艦以外の艦娘(金剛、鳳翔、明石)からも好意を寄せられている。
・明石
鎮守府のド○えもん。彼女に依頼すれば大抵の物は作ってもらえる。今回の一件の立案者。
嫁艦との甘々生活を夢見る提督を応援するため、全面協力をする。密かに指輪を狙っている。
・大井
被害者第一号。指輪を送られてから強大な提督LOVEへと変貌した。自称正妻。
料理の腕は抜群。提督のことは本人曰く「いつも見ている」為、秘書艦時には行動を先読み出来る。
・比叡
被害者第二号。指輪を送られて以降自分の気持ちに戸惑っていたが、大井に叱咤激励されて嫁艦入り。
周囲が争っている間、美味しいポジションを無自覚で確保する。料理は一人だと壊滅、サポートがあればそれなり。
・筑摩
被害者第三号。大井に匹敵するほどの提督LOVE(+姉LOVE)。正妻の座を虎視眈々と狙っている。
利根曰く「とんでもないものが目覚めた」らしく、ヤンデレ疑惑がある。料理の腕は大井の見て、食べて吸収し、着実に上げている。
・千代田
被害者第四号。千歳と筑摩に背中を押されて嫁艦入り。提督との夜戦後、胸がまた大きくなり始めた。
大井達ほどではないが、提督の私室にはそれなりに通っている。酔わないといまいち素直になれない。
・山城
・龍田
これからの被害者達。
【山城編】
明石「さて残すところターゲットは後二人になりました」
筑摩「そうですね」
明石「もう筑摩さんが普通に居ることに違和感を感じなくなりました」
筑摩「今日の秘書艦は大井さんですからね。下手に提督が抜け出すと付いて来てバレちゃいますよ」
明石「そ、それは仕方がないですね。では今回のターゲットである山城さんですが……」
扶桑「山城のこと、お願いします。姉の扶桑です」
筑摩「あっ、もう扶桑さんに協力要請したんですね」
明石「今までの経験上、やはり姉妹艦の協力があればスムーズに事が運ぶと思ったので」
筑摩「でも千代田さんの時には、千歳さんに要請してませんでしたよね?」
明石「千歳さんはまあ……お酒が入るとボロが出そうだったので止めたんです」
筑摩「その一言で納得出来てしまいました……」
扶桑「あの、すみません。山城のことで私が呼ばれたのは分かるんですけど、どうして……」チラッ
天龍「…………」ズーン
扶桑「天龍さんが居るんでしょうか?」
筑摩「あっ、それは私も聞きたかったんです」
明石「いや、あの、何処から聞きつけたのか、お二人が来る前に天龍さんが来られまして――」
天龍『頼むッ! 龍田の奴を早く楽にしてやってくれ!!』
明石「――と、泣きながら頼まれてしまいまして……」
天龍「泣いてねえよ! 慌ててここに来たもんだから、その、汗を流しただけだし!」
筑摩「ベタな言い訳ですね」
天龍「ベタとか言うな! お前ホント最近性格変わったよな!」
扶桑「それで龍田さんがどうかしたんですか?」
天龍「もうな、姉としてあいつを見てられなくなっちまったんだ……」
扶桑「と、言いますと?」
天龍「ここに居る奴等なら全員知ってると思うが、龍田はマジモンのドSだ」
明石「そうですね」
筑摩「はい。知ってます」
扶桑「……天龍さん限定では?」
天龍「俺限定じゃねえよ! 少なくとも提督もぜってぇ入ってる!」
天龍「ああもう、話戻すぞ。最近提督の周囲に指輪送られた奴等が集まり始めてるだろ?」
明石「ええ。ここに来たということはご存知かもしれませんが、私が提案してやってます」
天龍「別に責めるわけじゃねえ。提督の気持ちも分かるし、姉として龍田には幸せになってほしいんだ」
扶桑「そうですね。同じ姉として、天龍さんの気持ちは分かるわ」
天龍「けどなぁ!! せめて一番初めは龍田から狙いに行けよ! 毎日怖いんだよ!?」
筑摩「毎日が怖い……?」
天龍「飯を食ってる時はイライラしててよ、大井と提督がイチャついてる時は食器にヒビ入りまくりなんだ」
扶桑『食堂の間宮さんが最近涙目だったのはそのせいね』
天龍「演習の時にケッコン艦と当たった時は殺気出しまくりで同伴の駆逐艦のガキ共がチビりやがるし」
筑摩『そう言えばこの前龍田さんに演習で一撃大破させられたわ。改二の装甲を抜いたのは当たり所が悪かっただけじゃなかったのね』
天龍「寝る前にはどっから手に入れたか知らねえ提督の写真を見て――」
龍田『提督~……私、そろそろ限界かも。早く来て~……』ハイライトOFF
天龍「て言っててよぉ……」ガクブル
明石『アカン』
扶桑『山城が即未亡人の危機ッ!?』
筑摩『写真欲しい……』
今日はこれで終わります。ありがとうございました!
天龍「あいつ最初にケッコン断っておいて、提督を焦らしまくった挙句泣き付いてくるのを心待ちにしてたみたいでな……」
明石「流石はドS」
扶桑「龍田さん……そんな思惑があったのね」
筑摩「でも今回それが裏目に出てしまった訳ですね」
天龍「そうなんだよな……」タメイキ
明石『あれ? そうなると龍田さんて元々提督のこと……』
天龍「後生だから何とかしてくれ! 姉妹艦で同室だから毎日がホラーなんだよ!!」ナミダメ
明石「え、え~……」
明石『下手に手を出すとこちらが提督共々轟沈されそうなんですけどぉぉぉぉ!?』
扶桑「あの~……私は今回龍田さんでも構いませんよ? 山城のことも何とかして頂けるのなら」
筑摩「どうしますか明石さん」
明石「ううう……」
天龍「…………(切実な表情)」
明石「わ、分かりました。龍田さんを何とかしましょう」
天龍「ホントか!」パア
明石「但しッ!」
筑摩「?」
明石「山城さんも同時に何とかします!」
扶桑「え、えっ!?」
筑摩「それ……大丈夫なんですか?」
明石「提督は勿論、この場にいる全員の協力もなくてはなりません。今までにない強敵です」
扶桑「それって主に龍田さんのような気が……」
明石「最悪の事態に備えて、筑摩さんと天龍さん、それぞれお願いしますね?」
天龍「自信はあまりねえが……姉の意地だ。やってやるぜ」
筑摩「言われるまでもなく、あの人の身は守りきってみせます」
筑摩『それ以前に提督に手を出すようなら……』ハイライトOFF
扶桑「同時に相手取るのはかなり難しいと思います。明石さん、何か作戦があるんですか?」
明石「……一つだけあります。天龍さんの話から予測したことなんですが……」
天龍「俺の話?」
明石「はい。龍田さんはドSですが、打たれ弱いと思うんですよね」
筑摩「龍田さんが打たれ弱い?」
天龍「おいおい……んな馬鹿なことあるかよ。そんなところ俺見たことねえぞ」
明石「そうでしょうか? 龍田さんの今までの行動は、攻めている筈の提督から相手にされず動揺しているからこその行動だと私は思います」
天龍「う、う~ん。言われてみれば……あれ、そうなのか?」
扶桑「私に聞かれても……」
明石「ドSは打たれ弱い! 偉い人の誰かが言ったような言わなかったような気がします」
筑摩「そんな曖昧な……」
明石「とにかく! 龍田さんさえ何とか出来れば山城さんも大丈夫です。提督の手腕を信じます」
筑摩「ほぼ対龍田さんになってますね……」
扶桑「山城……何となく不幸だわ」
天龍「……ホントに大丈夫なのかよ」
【山城編】改め【山城&龍田編】
筑摩「――という形で話は纏まりました」
提督「そうか……龍田の奴。天龍にも可哀想なことをしたな」
筑摩「あまり思いつめないで下さいね? 何とかなりますよ」
提督「そうだな。ここまでやってこれたんだものな」
筑摩「それに何かあっても私がちゃんと守りますから。利根姉さんと一緒に」
提督「ははは。頼もしいな」
大井「……筑摩さんと提督。二人で何をそんな親密に話してるんですか?」
提督「うおっ! お、大井か……」
筑摩「あら」
大井「そんなに驚かなくても……夕食の支度が出来ましたので呼びに来たんですけど」
提督「そ、そうか。ありがとう」
筑摩「ふふっ、残念」
大井「むむ……」
千代田「ちょっと比叡、そこの食器取って」
比叡「あ、は~い!」
提督『嫁艦四人と夕食か。少し前までは想像すら出来なかったが……』
大井「で、一体何を話してたんですか?」
筑摩「あえて言うなら……これからのことについてでしょうか」
筑摩『嘘ではないわよね』
大井「なっ!? くぅ~……そ、そんなことをコソコソと」
提督『良いものだ。うん』
五人「いただきます」
大井「寒い日が続きますので鳥鍋にしてみました」
比叡「美味しい上に温まる~! 流石は大井さんですね」
千代田「うわっ! ホントに美味しい……」
千代田『これじゃ提督の胃袋なんかとっくに掴まれてるわね……』
筑摩『やっぱりこの味も提督の好みの味付けなのかしら』
提督「うむ。美味いな」
大井「うふふ。気に入ってもらえたようで良かったです」
提督「大井の料理はバリエーション豊富だな。食事が楽しみになる」
大井「そ、そんなに褒めてもらっても何も出ませんよ」デレデレ
千代田『嬉しさは溢れんばかりに出てるわね。やられっぱなしも癪だし、私も……』
千代田「ねえ提督、お姉に内緒でお酒持ってきたんだけど飲まない?」
提督「日本酒か……そうだな、一杯貰おう」
千代田「じゃあ注いであげるわね」
千代田「貴方、今日もお仕事お疲れ様でした」
三人「ッ!?」
提督「おいおい、何だいきなり」
千代田「えへへ、なんちゃってね。つい言ってみたくなったの」
提督「どちらかと言えば鳳翔さんが似合うなそれは」
千代田「もう何よそれ。人がせっかくやってあげたのに」
提督「すまんすまん」
大井『わ、私としたことが失念していたわ。お酒を注いで夫を労う……正妻の特権じゃない!』
比叡『司令嬉しそうだったなぁ。次は私もやってあげようかな』
筑摩『千代田さん……侮れないですね。あっという間に二人だけの世界を作り上げたわ……』
千代田「じゃあ次は私に注いで。労いの言葉を忘れずに」
提督「分かった分かった。やれやれ……」
今日はここまで。ありがとうございました!
【翌日…】
提督「……ふむ。そろそろ一息つくか」
比叡「気付けばもうお昼ですね。司令、食堂に行きませんか?」
提督「そうだな。一緒に食べるか」
比叡「はいッ!」
比叡『司令と二人でお昼だ。やったぁ!』
-食堂-
提督『筑摩からの説明では龍田に出来るだけ構えば良いのだったな……』
提督『更にその様子を山城に見せられれば尚良しとの事だったが……』
提督『むっ……あそこの席に天龍と龍田が居るな。天龍も協力者と言っていたし、連れて来たのか?』
比叡「お昼時はやっぱり沢山人が居ますね!」
提督「ああ。早いとこ注文して席に座ろう」
天龍『おっ、提督が来やがったな。比叡も居るが、まあ大丈夫だろ』
龍田「天龍ちゃん? どうかしたの~?」
天龍「い、いや、何でもないぜ」
龍田「そう? 食べて少ししたら遠征なんだからちゃんと食べなくちゃ駄目よ~?」
天龍「おい、俺が姉なんだぞ。ガキみたいな注意するんじゃねえよ」
天龍『これ以上怪しまれないよう自然に提督を誘わなくちゃな』
提督「比叡は特製間宮カレーか」
比叡「はい! 美味しいカレーを自分で作るなら先ず、色々なカレーを自分で食べなきゃ駄目だと思いまして」
提督「確か鳳翔さんから修行を受けているんだったな」
比叡「そうなんです。司令にも近々修行の成果をお見せしますね!」
提督「楽しみにしていよう」
天龍『今だッ!』
天龍「お~い、提督」
龍田「ッ!」
天龍「こっち空いてるから座れよ」
比叡「あっ、天龍に龍田さん。そこ座っても良いんですか?」
提督「ここはお言葉に甘えさせてもらおう。邪魔するぞ天龍」
比叡「ラッキーでしたね司令!」
龍田「…………」ジーッ
天龍『うおお……! 見られてる、すげぇジッーと俺を見てきやがる……!』
提督「隣、座るぞ龍田」
龍田「え、ええ……どうぞ~」
比叡「お邪魔しま~す!」
天龍『コイツは能天気過ぎるだろ……』
龍田「良いんですか~? 私の隣よりも、比叡ちゃんの隣の方が良かったんじゃないの?」
提督「何故だ?」
龍田「何故って……比叡ちゃんはケッコン艦じゃない。もう忘れちゃったんですか~?」
提督「……それはお前もじゃないのか?」
龍田「…………あう」カオマッカ
天龍『自爆しやがった……』
比叡「間宮さんのカレーはやっぱり美味しいです!」
龍田「ひ、比叡ちゃんは良いの? 提督が私の隣に座っても」
比叡「えっ? 龍田さんも指輪を司令から貰ってるんですから同じ仲間ですし、特に何も……」
龍田「うっ……」
天龍「なあ提督、比叡の奴はいつもあんな感じか?」ヒソヒソ
提督「そうだな。他のケッコン艦に嫉妬するよりも、尊敬して学ぼうとしてるようだ」ヒソヒソ
天龍「あいつって意外に勉強家なのか……俺と同じで勉強嫌いだと思ったのに」
比叡「それで龍田さんはいつごろ司令の私室に来られるんですか?」
龍田「へっ……?」
比叡「だって最近ケッコン艦の皆さんが集まってますし、みんなで食べるご飯は美味しいんですよ」
龍田「そ、そうなの?」
比叡「はい。ですから龍田さんも早く一緒に集まりましょうよ。山城さんも来ないかなぁ」
天龍「おいおい、何だか比叡が龍田を押してねえか?」ヒソヒソ
提督「天然のような気がするが……丁度良い。私も加わろう」
今日はここで切ります。
話の展開に賛否両論あると思いますが、最後までお付き合い頂けると幸いです。
ありがとうございました。
提督「……皆で食べるご飯は美味い。それは私も比叡と同意見だな」
龍田「貴方もコロッと自然に加わらないでくれるかしら~?」
提督「だが事実だ。私は嫁艦全員を大事にし、これまで以上に頑張っていきたい」
龍田「どうせ同じようなことを他の娘にも言っているんでしょう?」
提督「……否定はしない」
龍田「しょうがない人ね~。前にも言ったけど、私には天龍ちゃんが――」
天龍「あ、俺のことは抜きで」
龍田「」
提督「昼食を食べながら、と言うのも変だが……」
提督「龍田、お前の本当の気持ちを聞かせてくれ」メトメガアウ-
龍田「うっ……」メトメガアウ-
天龍『言え! 言っちまえ! そして俺を解放してくれ!』
比叡「……ひえ~」ドキドキ
コクハク! コクハクカモッ!
ピャー! ダイタン!
アドミラルモヤルワネ!
レディハコクハクヲシズカニミマモルワ!
龍田「あ、あの~……」
提督「うむ」
龍田「天龍ちゃんのことは置いておくと、私の気持ちは――」
山城「不幸だわ……」
提督・龍田「ッ!」
天龍・比叡「ッ!!」
扶桑「山城……ッ! も、申し訳ありません。突然飛び出してしまって止められず……」
山城「ああ、何て不幸なのかしら……」
山城「せっかく姉さまに昼食に誘って頂いたのに、来てみれば告白会が始まっているなんて……」
山城「成功すれば残るは私一人。ふふふ、龍田さえも落としてしまうなんて提督は恐ろしいわ」
山城「やっぱり姉さまを守るためには、私が提督のところに行かないと……でないといつか姉さまも……」
龍田「…………」イライラ
提督『な、何というタイミングだ……龍田が邪魔されて怒っている』
天龍『いや、そんな生易しいものじゃねえ……!』
提督『何だと?』
天龍『見てみろ、龍田の頭の輪っかを』
提督『ッ!! 物凄い速さで回転し、赤くなっている!』
天龍『あれは龍田がマジでキレている証拠だ。早いとこ落ち着かせねえと大変なことになるぞ』
提督『わ、分かった!』
山城「ああ、私ってやっぱり不幸だわ……」
龍田「ねえ山城ちゃん。一人不幸自慢は終わったかしら~?」
山城「何ですって……!」ギロリ
龍田「不幸自慢が終わったのなら扶桑さんと何処かへ行ってくれないかしら? 私は提督と大事な話があるのよ~」
山城「そう……やっぱり提督の想いを受けるのね」
龍田「貴方には関係のないことでしょう」
提督「龍田、一旦落ち着いて――」
龍田「黙っててくれるかしら~?」ギロリ
提督「うっ……ぐ……」
天龍『な、何て威圧だよ……!』
比叡「ひえ~……しょ、食堂の皆さん! すぐこの場から離れて下さい!」
北上「んん? 何の騒ぎだろうね」
大井「さあ? みんな慌てて出てきて……って、提督! 一体どうしたんですか!」
北上「あっ、ホントだ提督だ」
北上『ってか何あそこの面子。睨み合う龍田さんと山城さん。膝をつく提督……』
北上『……あっ(察し)』
大井「提督、しっかりして下さい!」
提督「お、大井ッ! 遠征から戻ったのか」
大井「はい。予定より早く戻れたので、北上さんと昼食をと思って……」
提督『何と間の悪い……』
大井「それよりこれは一体どういうことなんですか?」
龍田「あら大井ちゃんじゃない。提督から離れてもらえるかしら? 山城ちゃんが終わったら提督と大事なお話があるの」
大井「はい? 貴方にそんなこと命令されたくありませんね。提督のことを心配して何が悪いんですか?」
山城「また増えた……はあ」
扶桑『あああ……メチャクチャになっていく』
出掛けるのでここで切ります。ありがとうございました。
明石「騒ぎを聞いて来てみれば……」アチャー
筑摩「何やらややこしいことになっていますね」
利根「いや筑摩、お前は影からコッソリ見ておったろう。提督を」
筑摩「姉さん? 余計なこと言っちゃメッ、ですよ?」
利根「す、すまぬ」ガクブル
筑摩「とにかく提督を避難させましょう。あの場に居ては何をされるか分かりませんし」
明石「ええっ! 筑摩さんも危ないんじゃ……」
筑摩「勿論姉さんと明石さんも手伝って下さいますよね?」
明石「無茶言わないで下さいよ!? 私限界突破してませんもん!」←錬度97
利根「吾輩もだ」←錬度98
筑摩「それじゃあ援護だけでも良いのでお願いしますね」←錬度135
明石・利根『役に立てる気がしない』
龍田「早く二人とも何処かへ行ってくれないかしら~」
山城「まだ姉さまと昼食も食べていないのに……不幸だわ」
龍田「なら扶桑さんのところへ戻ったらどう? 彼女困り果ててるわよ~」
山城「…………」
大井「はあ、お二人こそ何処かへ行ったらどうですか? 提督は私が引き取りますから」
龍田「何を言っちゃってるのかしらねえ」イライラ
山城「抜け駆けするのね」ボソッ
大井「ハアッ!? 今まで提督に対して素直になれなかった人達が何を言ってるんだか」
山城「あ、貴方だってつい最近までそうだったでしょ!」
山城『私だって姉さまが連日提督のことを持ち出さなければ別に……!』
大井「ええ確かに私もそうでした。でも今は違いますよ。今はハッキリ口に出して提督のことを愛してると言えます!」
龍田「最初に口説き落とされたからって調子に乗らないでね~?」
大井「あらあら、取り残された方々の惨めな泣き言が聞こえますね」
龍田「ああ?」
大井「やりますか? 負ける気がしませんが」
山城「やってやろうじゃないの!」
北上「提督さぁ、何したの? 大井っちガチギレだよ」
提督「私としても想定外のことでな……」
天龍「どうすんだよ……このままだと艤装展開しそうだぞ」
扶桑「本当にゴメンなさい。私が山城を止めていれば……」
比叡「とんだ昼食になっちゃいましたね」
筑摩「三人とも、そこまでです!」
提督「――ッ! 筑摩か!」
天龍「それに明石と利根も居るぞ」
明石『怖くて逃げ出したいんですけど~!?』
利根『しかし逃げれぬ! 奴等も怖いが、筑摩も怖い!』
大井「何ですか筑摩さん。邪魔をするんですか?」
山城「次から次へと……」
龍田「もう何人でも良いわよ~?」
筑摩「提督、この場は姉さんと明石さんと一緒に逃げて下さい。危険ですから」
提督「し、しかし……」
龍田「駄目よ。提督は連れて行かせないわ」
大井「提督は私が守ります。筑摩さんの出番はありません」
山城「もうこのムカムカした気持ちを晴らせれば何でも良いわ……!」
筑摩「あら? こう見えても私、強いんですよ?」←錬度135
大井「それはこっちも同じよ!」←錬度130
山城「指輪がこんな時に役に立つなんてね……」←錬度128
龍田「うふふふ、笑っちゃうわね~」
大井「何がよ!」
龍田「貴女達が提督とイチャイチャしている間にぃ」
龍田「私はもっと強くなってるんだからぁ」←錬度155
ここで切ります。そろそろ終わりが近いですかね。
ありがとうございました!
大井・山城・筑摩「――ッ!?」ゾワッ
天龍「何……だと……!」
北上「えっ!? 傍にいて気付いてなかったの!?」
天龍「いや、あいつ錬度のこと言わなかったし、雰囲気も普段と変わらなかったし……」
提督「もう既にカンストしていたのか……」
比叡「す、凄い……龍田さんから圧倒的な力を感じます……!」ヒエー
明石「でも逆に言えば提督への想いがカンストしているんですよね」
利根「で、この事態をどう収めるのじゃ提督ッ!」
提督「ちょ、お前等いつの間にこちら側に来たんだ」
扶桑「あの様子では鎮守府にいる全艦娘の力を結集しなければ難しいかもしれません」
天龍「深海棲艦のボス以上かよ……」
提督「…………」
提督「私が何とかする」
北上「提督本気? あれはマジでヤバイよ?」
提督「だとしても行くしかない。これ以上嫁艦同士が争うのを眺めているわけにはいかない」
提督「何よりも指輪を送った者として、任せきりなのも情けないからな」
比叡「司令……」
明石「提督……」
提督「では、行ってくる」
扶桑「提督ッ!」
龍田「うふふ。覚悟はいいかしら~?」
大井「撃ち合うまでもなく分かる。この人強い……!」
筑摩「演習の時、一撃大破したのは実力差だったということですか……」
山城「戦艦が軽巡に手も足も出ないなんて……」
龍田「単純に想いの差ということね。それじゃあ――」
提督「止めろッ!」
龍田「提督ッ! 邪魔をするなら……」
提督「龍田、もう止めるんだッ!」ダキシメ
龍田「はわっ!?」ダキシメラレ
大井「て、提督ッ!?」
筑摩「何で龍田さんを抱き締めてるんですか……?」
提督「いや、最高錬度の龍田をとにかく止めようと動いたらこうなった」
山城「ええっ……(困惑)」
龍田「はわ、はわわわわ……!?」
天龍「すげぇ! 龍田の頭の輪っかが逆回転して、ピンクと黄色交互に光ってやがる!」
利根「あの意味が分かるのか天龍!」
天龍「当たり前だろ。あれは龍田の脳内が嬉しさと困惑が入り混じったものになってやがんだよ」
北上「そうなのかー(棒)」
提督「頼む。もう争いは止めてくれ」
提督「私はお前達と幸せな生活を望んだが、争いは望んでいない」
提督「龍田、山城。結果的にお前達が最後になってしまったが、決してお前達を蔑ろにしていたわけじゃない」
提督「私は中途半端な気持ちで指輪を送ったりしない。私はお前達を愛している。だからこそ指輪を送ったんだ」
山城「うっ……」カオマッカ
大井「提督ぅ……」ハート目
筑摩「提督……」ウットリ
龍田「あっ……あっ……」ビクビク
提督「この争いが止まるのなら、回りくどいことは無しだ。想いを伝える」
提督「私はお前達を愛しているッ! 心の底から愛しているッ!!」
龍田『ダメェ……そんなこと耳元で叫ばれたらぁ……』
龍田『最高錬度の状態で叫ばれたらぁ……』
龍田『私ダメになるぅぅぅ……』ビクビク
北上「うわぁ……」カオマッカ
利根「提督にあれほどの度胸があったとはの……」カオマッカ
比叡「司令……」ハート目+ウットリ
明石「ここにも一人撃ち抜かれた人が一人居ますが」
天龍「つーか龍田の奴、あの様子はまさか……」
明石「その先は言わないでおきましょう。龍田さんの名誉のために……」ナミダメ
扶桑「山城……幸せになるのよ」
青葉「そうですね。記事名は鎮守府の中心で愛を叫んだ提督、でしょうか」
明石「青葉さんッ!?」
青葉「どもども、青葉です。面白いことになりましたねえ」
青葉「これは大変なことになりますよぉ」ニヤニヤ
【数日後…】
明石『あの後は本当に大変でした』
明石『青葉さんの書いた鎮守府通信【鎮守府の中心で愛を叫んだ提督】は瞬く間に売れていきました』
明石『何よりケッコン艦ではないものの、金剛さんを筆頭とする提督Love勢の彼女達を焚きつけたのがこの見出し』
【提督の爆弾発言。私はお前達を愛しているッ! 心の底から愛しているッ!!】
明石『これは本来ケッコン艦の皆さんに言われたことなのですが、これではそのまま受け取られても仕方がないでしょう』
明石『そして今日も提督はケッコン艦に囲まれ、提督Love勢からアプローチを受けながらも執務をこなしています』
提督「…………明石、何を黄昏ているんだ」
明石「あはは、今日も我が鎮守府は賑やかだなぁと」
一旦切ります。ありがとうございました。
山城はたぶん「私の不幸が提督に及ばないように」が理由だろうからな
提督が「それでも構わない」といえば即オチだろ
提督「はあ……頼むから真面目に書類制理を手伝ってくれないか」
明石「あ、はい了解です。ところで何で私を? ケッコン艦の誰かを秘書艦にすれば良いのに」
提督「互いに牽制し合うからいつまで経っても決まらなくてな。最後の時まで協力者だったお前にしたんだ」
明石「なるほど」
提督「それにしても……千代田ぁ」
明石「ちょっと提督、言った傍から落ち込まないで下さいよ」
提督「彼女が怒って出て行ってからもう三日だ。せめて少しでも話がしたい……」
明石『提督の食堂での告白が、まさか帰還中の千代田さんの耳に届いていたなんてなぁ』
明石『さんざん周囲からからかわれたって言って別居宣言しちゃったんですよねえ』
明石『まあでもまだ三日ですから家出レベルです。提督もすっかり愛妻家になりました』
明石「でも提督、千代田さんのことばかりで悩んでいられませんよ? 提督LOVE勢の方々はどうするんですか?」
提督「……この間金剛に戦争が終わったらプロポーズすると宣言されてしまってな」
明石「えっ! まさかの奪いに行きます宣言ですか!」
提督「よりによって龍田が居た時にしたから宥めるのに苦労したんだよ」
明石『ああ、だからあの時提督ゲッソリしてたんだ……』
提督「だが金剛の真剣な想い、無下には出来ない。返事はキチンとするつもりだ」
明石「ですね。けど今更ながら提督も艦娘泣かせですね。モテモテじゃないですか」
提督「青葉の記事に突き動かされた感が否めないんだが……」
明石「ふむ。なら確かめますか?」
提督「…………まさか彼女達の気持ちを?」
明石「はい! 確かめましょう!」
提督「もう勘弁してくれ……」
End
これにて本編終了です。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
私としては本編であまり動かせなかった龍田と山城の番外編を書いて本当に閉めたいと思っています。
龍田ファン、山城ファンの方々、申し訳なかったです。
番外編【山城】
山城「ねえ提督」
提督「何だ?」
山城「どうして私が提督の想いを最初断ったと思う?」
提督「……さあな。扶桑がいるからというのは……」
山城「あれは単なる苦しい言い訳。姉さまを利用したのは心苦しかったわ」
提督「私のことは心苦しくなかったのか?」
山城「……意地悪言わないで」
提督「すまん。当時のことを思うとつい、な」
山城「もう。……話を戻すけど、本当に思いつかない?」
提督「そうだな。情けないが」
山城「……私の不幸に貴方を巻き込みたくなかったからよ」
提督「…………なるほどな。そう考えると私は愛されていたのだな」
山城「さあどうでしょう。あの時の私は単純に巻き込むと面倒なことになりそうって思ってたかもしれないわ」
提督「例えそうでも、今は違うのだろう?」
山城「……そうね」
山城「でもこうして今も、私は貴方を不幸に巻き込んでるわ」ソラミアゲ
提督「天気予報では一日晴れだったんだがなぁ」ヤレヤレ
山城「大雨ね。初めてのデートなのに不幸だわ……」
提督「だが心配はいらん。傘は調達済みだ」
山城「流石に手際が良いわね。こうなることを予想してたのかしら?」
提督「さてな。ほら、行こう」
山城(相合傘……)ホホソメ
山城「こんな雨の中を出掛けるなんて……物好きね提督も」
提督「だが躊躇わずに傘の中に入るお前も人のことは言えないだろう」
山城「当然よ。他の連中を押し退けて得た時間だもの。楽しみにしてたんだから……」
提督「私もだよ」
山城「濡れると冷たいし、もっと寄り添って良いかしら?」
提督「ああ。遠慮せずに寄り添うと良い」
山城「無駄に男らしいわね……」
山城(不幸……ではないわね)
山城(幸せだわ)
番外編【山城】その2
扶桑「聞いて下さい提督。最近山城が可愛いんですよ」
提督「唐突に執務室に入ってきたと思ったらなんだ急に」
提督「まさかお前も山城のように……?」
扶桑「ああ、違いますよ。私は純粋に妹が可愛らしいなぁと思っているだけです」
扶桑「決してシスコンなどではありませんよ?」
提督(本当だろうか)
扶桑「話を戻しますが……山城が可愛いんです」
提督「それはもう聞いた。山城が可愛いことなど改めて言われるまでもないぞ?」
扶桑「料理を真剣に勉強し始めたと聞いてもですか?」
提督「鳳翔さんが最近弟子が増えましたって笑いながら困ってたよ。金剛とか比叡とか千代田とか」
扶桑「編み物も始めたんですよ」
提督「ああ、だからマフラーをしているのかお前は」
扶桑「試作品らしいです。完成品を楽しみにしてて下さいね提督」
提督「そうしよう」
扶桑「あと……秋雲ちゃんから、その……エッチな本を借りてるみたいです」
提督「何それ初耳。お前も知っているなら止めてあげなさい」
扶桑「でもその、提督との夜の営みを勉強しているかと思うといじらしくて……」
提督「逆に秋雲の創作活動のネタになっているから今すぐ止めなさい」
扶桑「分かりました。……ところで提督、先程から食べているそれは何ですか?」
提督「山城が持ってきた手作り弁当だ」ハートが描かれたご飯+盛り沢山のおかず
扶桑「見ているだけでお腹がいっぱいになりますね。色々な意味で」
提督「だから言っただろう。山城が可愛いことなど知っていると」
ここで今日は切ります。ありがとうございました。
番外編【龍田】
龍田「今日はバレンタインね」
提督「バレンタインだな」
龍田「相変わらずモテるわね~」ジトーッ
提督「…………皆良い娘達だからな」チョコ山盛り
龍田(この中のどれが義理なのかしらね~)
龍田「まあでも一際輝きと言うか、目立ってるのが数個あるわね」
提督「ケッコン艦だからな」
龍田「と言うわけでコレ」
提督「何だその小さな機械は」
龍田「明石ちゃんに作ってもらった検査機よ。これを当てると……」
提督「おいおい、変な物でも入ってるっていうのか? 彼女達に限ってそんな――」
龍田「大井ちゃんと筑摩ちゃんのチョコからは媚薬の反応があるわね」ギルティ
提督「」
龍田「千代田ちゃんのは……お酒か。まあこれは見逃してあげましょう」
提督「そんなことまで分かるのか」
龍田「比叡ちゃんと山城ちゃんのは市販の物ね。意外だけど」
提督「ああ、それは本人達から自己申告があってだな……」
比叡『奇抜なチョコを作ろうかと思ったんですけど、失敗しちゃいました。来年こそは気合入れて成功させますね!』
山城『すぐそこで転んで手作りのは粉々に砕けたわ……ゴメンなさい。不幸だわ……』
龍田「それは……しょうがないわね~……」
提督(龍田が哀れむほどとは……)
提督「皆のチョコを調べているが、肝心のお前はくれないのか?」
龍田「あら、こんなに貰ったくせに私のも欲しいの? 欲張りさんね~」
提督「当然だ。ケッコン艦だからな」
龍田「けど残念でした。用意してないわよ」
提督「何……そうなのか」
龍田(分かりやすいぐらいに落ち込むわね~)
龍田「ふふ。なら代わりに私を貰ってって言ったらどうする?」
提督「貰おう(即答)」
龍田「…………」
提督「…………」
龍田「……な、なんちゃって。ちゃ、ちゃんと用意してあるから……」カオマッカ
提督(かわいい)
龍田「あまり期待しないでね~……」サッ
提督(シンプルなハート型か。だがそれでも嬉しい)
提督「早速頂こう」
龍田「い、いきなりなのね……」
提督「うむ……」モグモグ
龍田「…………」ドキドキ
提督「甘くて美味しいな。疲れが取れる」
龍田「…………」ホッ
提督「お前も食べるか?」
龍田「自分で作った物だけどね~。貴方が良いなら」
提督「では……」ヒョイパク
龍田「えっ、何でチョコを口に含んで……んんっ!?」チュー
提督「」チュー
龍田「んん! んん!!」チュー
龍田「ん……! ん……!」ディープ
龍田「………ん、ん……」ビクビク
提督(天龍に龍田と居る時は少し強引に迫った方が良いとアドバイスを受けたからしてみたが……)
龍田「ハア……ハア……ハア……」ハート目
提督(少しやり過ぎたようだ)
番外編【龍田】その2
提督「バレンタインの日から龍田がな……」
天龍「ああ」
提督「よくキスをお願いしてくるようになった」
天龍「ブホッ……! い、いきなり何を言い出すんだよ!」
提督「お前のアドバイスを参考にな、ちょっと頑張ってみたんだよ」
天龍「妹をそこまで変貌させろとは言ってねえ……!」
天龍(つーか最近妙にリップクリーム付けたりして唇を気にしてたのはそのせいか)
提督「まさか龍田がキス魔に変貌するとは思いもよらなくてな」
天龍「安心しろ。俺も驚いてるよ」
提督「出撃前にキスするとキラキラするようにもなった」
天龍「アイスや最中よりも低コストだな」
提督「試しにディープな奴をしてみたら出撃前に大破、彼女に押し倒されて夜戦突入しそうになったよ」
天龍「バッ……お前等馬鹿だろ! 馬鹿夫婦! ああ~……龍田がドンドン俺の知らない奴に変わっていく~!」
提督「心配するな。彼女が変わるのは少なくとも俺の前だけだ」
天龍「ああ、そうかよ」
天龍「……だがよ提督」
天龍「俺の前にいる、お前にしなだれかかって胸に指でハートマーク描いてるのは何処の天龍型2番艦だ?」
龍田「ん~♪ 提督、口が寂しいんだけど~」
提督「…………」ジーッ
提督「龍田だな」
天龍「嘘だッ!!」
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。今度こそ本当に終わりです。
HTML化の申請をしてきます。また次の作品で。
このSSまとめへのコメント
うーん、のりがありがちすぎてなんか飽きた
そのコメントに一体何の意味があるの?
俺は好きだよ(直球)
普通に面白いし期待してます!頑張って下さい!
別に作品に対してのコメントならなんでもいいだろ(笑)
感想なんかそれぞれだ。
こういうのは似たり寄ったりにならのはしかたないだろ、でも他の作品ででてないキャラとがでると面白いしいくらでも書かれれば良いと思うな。
まあ援護するわけじゃないが好みは人それぞれだな、俺は超好きなので更新待ってます
めっちゃ面白かった。
お疲れ様
こういう系統の話は大好物です。
続きを楽しみにしています。
ちなみに、個人的には山城の回が楽しみです。
作品に対してのコメントならなんでもいい、なんてことはないと思いますよ
こういう場での批判コメントは冷やかしにしかなりませんから
作品に対し否定的なコメントをしたいのならば楽しんでいるユーザに配慮して、自分のブログやSNS上で好きなだけすればいいのですよ
それぞれのケッコン艦の反応にバリエーションがあって楽しいです
いや、批判コメを否定しちゃ駄目でしょ、ただの馴れ合いになる
あ、ssは面白いです
続きはよ!
面白いから続き待ってます
これ、未完で終わったのか……。
残念だな。楽しみにしてたんだけど。
切りますって打ち切りにするってこと?続きめっちゃ気になるんだけど
いつ山城編になるか楽しみにしてたのに…。ホントにやめちゃうの?
いつ山城編になるか楽しみにしてたのに…。ホントにやめちゃうの?
比叡かわいい
龍田放っておいたら筑摩以上に面倒なことになるんじゃないか?フフ怖さんの本当に洒落にならない方だし。
大井はお断り勢ではないのでは…?
龍田を止められるやつなんてどこにも…いや一人だけ心当たりがある…!
比叡はあほかわいい
ありがちなのを見に来てるというか、テンプレって安心感があって良い
ssってそういうもんでしょう
俺もこのSSすごいすきだったぁぁ次回作にしろ前作にしろあったら読みてぇなぁ
ふぅ……