飛鳥「十四才と行楽シーズン」 (14)


飛鳥「…今年って秋ってあったかな?」

晶葉「は?」

飛鳥「いや、暑かったと思ったらもう寒くなるじゃないか、季節の変わり目とはかくも忙しないものだったかと、ね…」

蘭子「元より斯様なものではないのか?」

飛鳥「もう少し過ごしやすい、インターバルは無かったかな…もう少し暖かい…」

光「…それ、『無かったかな』とかじゃなくて、飛鳥がそうしたいだけじゃないのか?」

飛鳥「うーん……」





飛鳥「そうかもしれない」

光「そうだよ」

晶葉「昨日はちゃんと寝たか?」

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蘭子「昨夜はまた電波の囁きに耳を傾けていたわ…私が闇に帰る頃まで」

光「ダメだぞー!ちゃんと寝ないと」

飛鳥「失敬な、前よりは断然寝ているさ」

晶葉「何時間?」

飛鳥「ギリギリ七時間…弱」

蘭子「ギリギリ…」

晶葉「勝った、大体七時間強」

飛鳥「あまり見栄を張れば魂を穢すだけだよ」

晶葉「うるさい、私だっていろいろと変わるものがあるんだ」

飛鳥「この前テストが若干アレだっただけだろうに…」

晶葉「うぐ、別にそれだけじゃない…」

蘭子「…どんぐりの背比べ」

飛鳥「ひどい」

光「そんなので大丈夫なのか…?寝ないとあんまり成長しないし、頭もさえないし、オハダにも悪い!」

飛鳥「成長の話は信憑性に欠けるけどねー…っ」ウリウリ

光「あっ!そこには触れないお約束だろーっ!」

蘭子「ククク、アナタにはアナタの『個』があるものよ…」

光「笑ったなーっ!そういうのよくないぞーっ!」

晶葉「成長……」ジッ…

蘭子「む、我が肉体に何か」

晶葉「イヤ…」プイ



飛鳥「胸の話なら一理あるけどね」

晶葉「おい、今私があえて言わなかったんだぞ」

飛鳥「言ったろう、見栄は張らない」

晶葉「虚しくはならんのか」

飛鳥「なる」


飛鳥「秋と言えば行楽シーズンだね」

光「雑っ」

晶葉「逃げるのはいいのか」

飛鳥「行楽シーズン」

蘭子「ふーむ?…なんで秋なのかな?」

飛鳥「知らない」

光「知らない」

晶葉「知らない」

光「ええー、天才~…」

晶葉「ロボ以外は割と普通だ!私は!」

飛鳥「しょうがないなあ、誰かスマホでも持ってないのかい?」

光「そういう飛鳥は持ってないの?」

飛鳥「ボクはアレに縛られるのが嫌いなんだ」

晶葉「らしいことを言う」

飛鳥「キミたちはどうなんだい?」

晶葉「……ああ、多分ラボだな」ゴソゴソ

光「あれっ…あぅ?」ゴソゴソ

飛鳥「ふふ、大概キミ達も自由人だね」

光「ちょっと待って!アタシは飛鳥とは違う!」

晶葉「そうだぞー、私は飲めないコーヒーをブラックで飲んだりしない」

飛鳥「フッ…遠慮が無くていい事だ…」

蘭子「ククク…」スッ

晶葉「あっ」

飛鳥「流石だ蘭子」

光「カバーカッコいいね!」

蘭子「ハーッハッハッハ!我が威光にひれ伏せい!……」



蘭子「……携帯はちゃんと持たないとだめっ!」

光「ぐえー」

晶葉「怒られたー」


飛鳥「はやく検索してみてくれないか」

蘭子「むぅ、我は悠然を尊ぶぞ…」

光「見せて―」ヒョコ

蘭子「んー…」



蘭子「紅葉とか、温泉とか、そういう季節だから…」

飛鳥「考えてみればわかることだったね」

晶葉「なんかつまらないな」

光「言わないのー」

飛鳥「ボクはあんまりピンとこないんだけどね、行楽シーズンなんて言われても」

晶葉「奇遇だな」

蘭子「…二人とも結界の守護者だからでは?」

飛鳥「真理だ」

晶葉「だが自宅警備員みたいな言い方は止してほしいな…」



晶葉「しかし、そういえば旅行ってあんまり行ったことないな…?」

光「家族旅行とかは?」

飛鳥「そこは家庭に依るだろう、ボクもあんまりだし」

蘭子「フフ…我ら一族はよく下界を遊覧したもの…」

晶葉「…んんっ!そういえば飛鳥にはそんなこと言わせられないぞ!」

飛鳥「うん、言ってて思った、海外旅行二回もやってるね」

光「オーストラリアとハワイ?いいなぁ…」

飛鳥「言っても仕事だけどね」

蘭子「照れ隠しを。そなたの彼の地での振る舞いは我が友より聞いておるわ」

光「飛鳥ばっかズルい!」

飛鳥「うーん、この話では味方はいないのか…」

晶葉「私は仲間外れだぞ、遠足でも無きゃ旅行なんて行ったことない」

飛鳥「今行楽シーズンって話をしてたんじゃないか、いい機会だと思わないかい?日帰りとかでも」

晶葉「おかげさまで暇ではないからな!」

光「それどっちの意味で言ってる?」

晶葉「ポジティブな方にしておこうか」

飛鳥「まぁ、行かなくて困るものでもないしね…」

蘭子「…なんかイヤミっぽい」

光「飛鳥の立場だとなーっ」

飛鳥「つくづく味方はいないのか…」

晶葉「ちょっとした贅沢税だと思って、思い出話でも聞かせてくれればいいんだ」

光「アタシも聞きたい!ハワイの話!」

飛鳥「ええ…?キャラじゃないんだけどな…」

蘭子「言霊に身をゆだねてみよ!」

飛鳥「ボク読書感想文とか嫌いだし…」

晶葉「無駄に表現力あるくせにか…」

飛鳥「んー、ちょっと、じゃあ、何から話そうかな」

光「わくわく」

飛鳥「…………」





飛鳥「…イルカ」

光「イルカ」

飛鳥「イルカが………」






飛鳥「……………イルカが可愛かった」


「「「………………」」」


飛鳥「…………」









飛鳥「………///」









蘭子「飛鳥ちゃんが可愛いっ!」ギュッ

飛鳥「だからキャラじゃないって言ったんだっ!」

光「かわいいかわいいー」ギュッ

晶葉「素直になれるんじゃないか」ギュッ

飛鳥「ええいやめろやめろ!」

飛鳥「ボクは拗ねたぞ、これ以上は何も出ない」

光「ええーダメか?もっと聞きたいのにー」

飛鳥「そうやってボクをからかうつもりなんだろう」プイ

蘭子(この反応も可愛いなあ…)

晶葉「謝れ蘭子」

蘭子「むぅ!?」

光「ここは正直になった方が良いと思うな」

蘭子「むむぅ!?我を生贄にささげるか!?」

晶葉「主犯は蘭子だった」

光「アタシたちは計画に従っただけだった」

蘭子「おのれ正義の者とは思えぬ主業…!!」

光「たまには休業するもーん」

晶葉「悪い子に育ってしまったなぁ」

光「えへへー」

蘭子「…仕方あるまい…」





飛鳥「………」ムスッ

光(かわいい)

晶葉(静かにしような)

蘭子「ええと、……飛鳥ちゃん……」

飛鳥「………」


蘭子「……ごめんね?」

飛鳥「………」











飛鳥「今回だけだよ」ギュッ

蘭子「飛鳥ちゃん!」ギュッ

晶葉「ちょろい」

光「素直でいいな!」


光「それでハワイの話はー?」

飛鳥「それはダメだ」

光「ええー」

飛鳥「またボロを出してしまっては困るからね、まったく油断ならない…」

晶葉「ただの自爆だろ」

飛鳥「うーるーさい。悠貴あたりにでも聞いておけばいいだろう」

光「あっ、そういえばなんか手を繋いだとかなんとか聞いた!」

飛鳥「前言撤回、悠貴に聞くのも禁止だ、この件は闇に葬らせてもらう」

晶葉「頼子」

飛鳥「禁止」

蘭子「あやめちゃん」

飛鳥「禁止」

光「プロデューサー」

飛鳥「もっとダメだ」

晶葉「………」








晶葉「お前どんだけ可愛がられてきたんだ」

飛鳥「はっ!?」

蘭子「みんな飛鳥ちゃんの可愛いところ見たんだ…いいなぁ…」

飛鳥「だ、誰もそんなこと言ってないだろう…」

光「飛鳥って結構ポーカーフェイスできないよね」

蘭子「プロデューサー以外にもお話聞いておけばよかった…」

飛鳥「禁止だからね、禁止。全く誰だ旅行だの行楽だのの話を始めたのは…」

晶葉「お前だろ」

飛鳥「じゃあボクの話は終わり、キミたちはどうなんだ、行きたい場所とかないのか」

光「あっ!アタシ温泉とか行きたいな!」

蘭子「うむ、アレは良きもの…」

光「アタシあの時結局レイナに自慢されちゃってさー、それから時々行きたいなーって思うんだ」

飛鳥「というか、その時は蘭子も一緒に撮影に行ってたね」

蘭子「うん、私はかな子ちゃんと一緒にいたけど…」

飛鳥「仲良く体を流してもらったんだったね」

蘭子「……妬いてる?」

飛鳥「別に」ツーン

晶葉「ン、そういえばその時の話というとな」

光「うん?」

晶葉「レイナのヤツ、結局マトモな土産は買ってこなかったのかと」

光「無かった。どう作ったのかわざび温泉まんじゅうとか持ってた」

蘭子「これもある種の信頼か」

飛鳥「食べ物だろうに、粗末にして勿体ないなぁ」

晶葉「うん、イタズラにしてもな、その辺は弁えてほしいな」



光「………えっ?」

飛鳥「ん?」

蘭子「その反応は…?」

光「粗末になんかしてないぞ?」

晶葉「え?だって、わさびだろう?」

光「……ああ!」








光「全部自分で食べさせた」

飛鳥「うっぷ」

蘭子「よ、容赦なき正義の鉄槌…」

光「いやまあ、アタシもかわいそうだと思ったけど、清良さんが…」ナイテタシ

晶葉「この事務所の正義は盤石だな」

飛鳥「いや、それでまだイタズラの気力を失ってない麗奈も麗奈だと思う」

蘭子「むむ、悪姫や魔王の名を一度捨てるべきか…」

晶葉「わさびで撃退される魔王」

飛鳥「日本妖怪の退治方法みたいだ」

蘭子「ブリュンヒルデは北欧の存在なるぞ!」


光「…外国人ってわさび平気なのかな」

蘭子「がいくこじん」マチガッテナイケド

飛鳥「うーん?確かわさびを使ってるのは日本ぐらいだったね?」

晶葉「あのツンと来る感じは、もしかしたら慣れないかも知れないなぁ」

蘭子「ぐ、傷ついた悪姫はそのようなものに屈したりはせぬ…」


飛鳥「ん?」

蘭子「へ?」

飛鳥「今言ったね?」

蘭子「え?」

飛鳥「わさびになんか屈さないって」

蘭子「えっ…」

飛鳥「じゃあちょっと持ってこようか」







蘭子「むぅ~~~~~~~~っ…」

晶葉「いじわるしてやるな」

飛鳥「ふーん、意趣返しさ」

光「許したんじゃなかったのか?」

飛鳥「ま、傷ついた悪姫はさび抜き派だという事でこの場は収めておこう」

蘭子「お寿司は平気だもん!さび抜きしないもん!」

晶葉(…ノーコメント)

光「イカ以外だったら平気だぞ!」

飛鳥「なんでイカだけ?」

光「イカだけわさびが強いんだ、なんでだろうね?」

晶葉「寿司のわさびは抗菌を期待していたのが由来だと聞くから、なんかその辺じゃないか」

光「ええっ…もしかしてイカってばっちいのか…」

蘭子「しかし、今の英知の時代、そのような術法に頼らなければならない事などあろうか?」

飛鳥「へえ、イカって辛いのか…」

晶葉「興味あるのか?」

飛鳥「イヤ、むしろ逆かも知れないね」







飛鳥「………」








飛鳥「…やっぱりちょっと気になるかもしれない」

光「わさびが食べれたらカッコいいのかな?」

晶葉「ブラックコーヒーほどスマートな感じはしないが」

飛鳥「ボクの判断基準がいつでもそういう場所にあると思ったら間違いだからね?」

飛鳥「怖いもの見たさがあったら悪いのかい?」

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