マッチョ「オレもっと強くなりてえんだ!」友「まずは細マッチョになれ」 (21)

マッチョ「もうすぐ、いよいよ世界格闘大会だ!」

マッチョ「前回はベスト8だったが、今回こそ優勝してえ!」

マッチョ「だけど正直いって、オレは今限界を感じてる……」

マッチョ「オレもっと強くなりてえんだ! どうすればいい!?」

友「んなこといわれてもなぁ……オレ、格闘技なんかやってないし」

マッチョ「頼むぅ!」

友「うーん、そうだな……」ペラ…ペラ…

友「まずは細マッチョになれ」

マッチョ「細マッチョ!?」

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マッチョ「どうしてだ!?」

マッチョ「筋肉を細くしたら、弱くなっちまうような気がするが……」

友「この本によると、筋肉の肥大したマッチョは“かませ率が高い”らしいんだ」

マッチョ「なに!?」

友「だから、美しく整った『細マッチョ』ぐらいの方が勝率が上がるんだってさ」

マッチョ「なるほど! やってみるぜ!」

細マッチョ「どうだ、細マッチョになったぜ!」ムキッ

友「おお、すごいすごい。引き締まってる」

細マッチョ「筋肉を落とすってのも結構キツイ作業なんだな……大変だったぜ」

細マッチョ「だが、たしかに余計なものを落とせた感じがするぜ!」

細マッチョ「見ろ、このスピードとしなやかさ!」ビュバババッ

友「前より動きが洗練されてるじゃないか」

細マッチョ「だが、オレはこれだけじゃ満足してねえぜ」

細マッチョ「これでも優勝するにはまだ足りねぇ! もっともっと強くなる方法を教えてくれ!」

友「しょうがないな」ペラ…ペラ…

友「じゃあ、こんなのはどうだ?」

友「もっと目を細めて『糸目』になるんだ」

細マッチョ「糸目だと!? これじゃ前が見えにくくないか!?」

友「だけど、糸目のキャラクターは強いことが多いらしい」

友「だからこれをマネすれば、お前も強くなれるかもしれないぞ」

細マッチョ「ようし、やってみるぜ!」

糸目細マッチョ「どうだ!?」パチ…

友「おお、目が細くなってる」

糸目細マッチョ「視界を狭くしたことで、第六感が鋭くなったような気がするぜ!」

糸目細マッチョ「さあ、次だ! 次はどうすればいい!?」

友「そうだなぁ……」ペラ…ペラ…

友「サラサラの『銀髪』のキャラは勝率が高いらしいぞ」

糸目細マッチョ「銀髪だな!? よーし、髪を染めてやる!」

銀髪糸目細マッチョ「美容院で染めてもらってきたぜ!」ギンギン

友「おお、ギンギラギンになってるじゃん」

銀髪糸目細マッチョ「しかもさりげないぜ!」

銀髪糸目細マッチョ「だいぶ強くなった気がするが、まだ優勝には届かねえ!」

銀髪糸目細マッチョ「次はどうすりゃいい!?」

友「『オッドアイ』なんかがいいかもしれないな」

銀髪糸目細マッチョ「オッドアイ?」

友「左右の目の色が違う人のことさ。こういうキャラは特殊な能力を持ってることが多いらしい」

友「カラーコンタクトでも入れてみたら?」

銀髪糸目細マッチョ「ありがとよ!」

銀髪糸目オッドアイ細マッチョ「カラーコンタクトを入れたぜ!」パチッ

友「おお、糸目だから分かりにくいけど、バッチリ赤と黒のオッドアイになってる」

銀髪糸目オッドアイ細マッチョ「へへへ、糸目とオッドアイを両立させるのは苦労したぜ」

銀髪糸目オッドアイ細マッチョ「次はどうすりゃいい!?」

友「うーん……」ペラ…ペラ…

友「今お前は裸にパンツ一丁なわけだけど……」

銀髪糸目オッドアイ細マッチョ「おう、昔からこの格好で戦ってきたからな! プロレススタイルだ!」

友「もっと『オシャレ』にした方がいいと思う」

銀髪糸目オッドアイ細マッチョ「オシャレか……やったことないけど頑張るぜ!」

銀髪糸目オッドアイオシャレ細マッチョ「頑張ったぜ!」シャレッ

友「おお、かっこいい! 格闘家なんてやめて、モデルにでもなれば?」

銀髪糸目オッドアイオシャレ細マッチョ「バカいえ! オレは格闘家だぜ!」フフンッ

友(とかいいつつ、ちょっと喜んでるし)

銀髪糸目オッドアイオシャレ細マッチョ「あと……なんかすべきことはあるか?」

友「喋り方を変えた方がいいかもな」

銀髪糸目オッドアイオシャレ細マッチョ「喋り方?」

友「乱暴なしゃべり方より、『敬語キャラ』のが強い傾向にあるんだってよ」

銀髪糸目オッドアイオシャレ細マッチョ「敬語か……いいだろう!」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ふふふ、いかがです?」

友「喋り方を変えるだけでずいぶん印象が変わるもんだなー」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「でしょう?」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ですが、私はまだ満足していません」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「私はもっともっと強くなりたいのです」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「しかし、いちいちあなたに聞くのもまどろっこしい」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「というわけで、あなたの本を貸してもらいますよ」バッ

友「あっ!」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ほう……この本は『強いマンガキャラの法則』というのですか」

友「あちゃ~、バレちゃった」

友「すまなかったな。オレは強くなる方法なんか知らないから、その本でアドバイスしてたんだ」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「いえ、かまいませんよ」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「この本はなかなか参考になりそうです」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ちょっと読ませてもらいますよ」ペラ…

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ふむふむ……『盲目キャラ』は強いのですか」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ではあとで視力を失わせる手術をしましょう」

友「え」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「あと、『老人キャラ』も強いのですね」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「全身を老人風に整形することにしましょう」

友「え、え」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「あと……『病気持ち』や『隻腕キャラ』も強いのですか」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「ならば病気になり、片腕も切断してしまいましょう」

友「おいおいおい……よせよ……」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「やめるわけがないでしょう?」

銀髪糸目オッドアイオシャレ敬語細マッチョ「フハハハハハ、これで私は最強になれるッ!」

友「とんでもないことになっちまった……」

――

――――

ワァァァ……  ワァァァ……

実況『今回の世界格闘大会、ダントツ優勝を飾ったのは、この選手だぁぁぁ!』



銀髪糸目盲目オッドアイオシャレ病気持ち隻腕敬語細マッチョ老人「ふぉふぉふぉ、ワシは最強の格闘家です!」



友「すげえ……すげえよお前……!」





<終わり>

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