トイレの中で考えた話(11)

通学途中に鳩が死んでいた

誰も目を合わせずにどこかへ行く

何週間後かあと、鳩の屍骸は羽を残して消えていた


嫌だった中学校も終わり、ようやく高校というときだ

祖父が亡くなった

心筋梗塞だ

私は意味が分からなかった

周りは「あんないい人が・・・」という悲嘆に明け暮れていた。

祖父は鳩ではなかった

ならばと、私はビルの最上階から落ちた

私は祖父になりたかったのだ

尊敬され、悲しまれるような存在に

しかし落ちた瞬間気づいてしまった


「あれ、これあとのことわからんよな」



ブチャ


―――・・・―――――

声が聞こえる。

――――かし――――

懐かしい感じだ

――たかし!―――――

ハッ!



周りを見渡す

見たことがないような場所だ

和室の一室に布団が三つ

隣には女性が寝息をかすかに立てている

奥には子供が・・・


それらの顔はかすかに違いながらも私の知っている人物でもあった。

―――なるほど―――――


私の仮説があっているとは限らない。

たとえ。


子供の顔が昔の私にそっくりという点であっても。

隣の女性が写真でしかみたことのない若い頃の祖母だったとしても。


確実とはいえない。

私は立ち上がり洗面台へと向かった。

そこには。

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