キャンディアイランドの毒にも薬にもならないおしゃべり (19)


・初投稿
・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです




----事務所----

ガチャ
かな子「お疲れ様でーす……あれ?」

智絵里「誰もいませんね……」

杏「あぁー……疲れたー」パタリ

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かな子「ふふっ。お疲れさま、杏ちゃん」

杏「まったく、相変わらずプロデューサーは杏達を働かせすぎだよう……」グデー

かな子「杏ちゃん、今日の撮影も大活躍だったもんね」

智絵里「あ……その、ごめんなさい……。わたしが何回もフォローさせちゃったから……」

杏「んー、いいのいいの。そういう意味じゃないからさ。気にしないで」

智絵里「うん……ありがとう、杏ちゃん」

杏「ま、智絵里ちゃんがどーしても気にするっていうのなら、ご褒美の飴玉ぐらい貰ってあげなくもないよ?」

智絵里「えぇっ……!? あ、飴玉は持ってないから……こ、これぐらいしか」ナデナデ

杏「おおう、そう来るかー……」

かな子「じゃあ、私から二人にご褒美をあげちゃおうかなっ」

杏・智絵里「?」

かな子「じゃーん♪ 今日はザッハトルテを作って来たんだ!」

杏「当然のように事務所の冷蔵庫からケーキが出て来た」

智絵里「うわぁ……!」

かな子「切り分けてくるから、ちょっと待っててね」

杏「かな子ちゃんってさ、もう普通にそっちの道で食べていけそうだよね」

智絵里「かな子ちゃんがケーキ屋さんやるなら、毎日でも通っちゃいそうです」

杏「杏はそこで養ってもらうよ」

智絵里「杏ちゃんは、ウエイトレスさんをやればいいんじゃないかな? お店の看板娘で」

杏「うーん。杏、スプーンより重いものは持たない主義だからなぁ」

智絵里「マイクの方がスプーンより重たいと思うけど……」

かな子「二人とも、お待たせー」コト

杏「よっ、待ってました」

智絵里「ありがとう、かな子ちゃん。いただきます」

かな子「……どうかなぁ? 上手に出来てるといいんだけど」

杏「うん、美味しくないわけがないよねー」モグモグ

智絵里「チョコレートの濃厚な甘味と、中に挟んであるジャムの酸味がちょうどいいですね……♪」モグモグ

杏「おお、食レポだ」

かな子「よかったぁ! よーし、私も食べようっと」モグモグ

智絵里「かな子ちゃん。これ、何のジャムが入ってるの?」

かな子「アプリコットのジャムだよ」

杏「アプ……って、アンズかこれ。知らないうちに共食いしていた……」

智絵里「へぇ……。アンズのジャムって、初めて食べたかも」

杏「アンズ自体、正直わざわざ買って食べるような果物じゃないよね」

かな子「お祭りの縁日なら、アンズ飴ってあるよね」

智絵里「アンズ飴……聞いたことはあります」

かな子「智絵里ちゃん、食べたことない?」

智絵里「うん」

杏「微妙にマイナーだしねー。ちっちゃい頃、よく親にねだったなぁ」

かな子「あはは。杏ちゃん、子供の頃から飴が好きだったんだね」

智絵里「さすが、キャンディアイランドの一員ですっ」

杏「まーね」

智絵里「わたしは、わたあめとかよく買ってたなぁ」

かな子「わたあめも甘くて美味しいよねぇ」

杏「智絵里ちゃんにわたあめ……なんか想像つくっていうか、似合うなぁ」

かな子「いつか三人で、お祭りに行けたらいいね!」

智絵里「うん! もし叶ったら素敵だね!」

杏「お祭りはいいけど、人混みは出来れば避けたいなぁ」

智絵里「そっか。わたしたち、一応アイドルだから、騒ぎになると困るもんね」

杏「いや、普通に疲れるじゃん」

かな子「あはは……杏ちゃんらしいね」

杏「ふー、おいしかった。ごちそうさまー」ゲフ

かな子「お粗末さま。喜んでもらえてよかったよ」

杏「なんかさ、『ザッハトルテ』って、スイーツ界じゃトップクラスに中二病心をくすぐられる響きだよね」

かな子「ちゅうにびょう?」

智絵里「えと、ゲームや漫画と、現実との区別がつかなくなる……みたいなの、だったっけ?」

杏「大体そんな感じかな。要はそういうフィクションめいた言動をやりたがるっていう」

かな子「『闇に飲まれよ!』とか?」

杏「そうそう。やみのまやみのま」

智絵里「でも、それは最近みんな普通に使ってるよね、やみのま」

かな子「慣れちゃったよね」

杏「『この甘美なる黒き秘宝……ザッハトルテ! とくと味わうがよい!』……なんて、蘭子ちゃんめちゃ言いそうじゃない?」

智絵里「あー……」

かな子「違和感が見当たらない……!」

杏「でしょ? もうこれ、ケーキなんだか何なんだか分かんないよ」

智絵里「『勇者ザッハトルテ』とか、いたら強そうだね」

杏「ほう、人名もアリだな」

かな子「じゃあ、『究極魔法・ザッハトルテ!』とか……」

杏「杏的には、敢えて地名を推すかなぁ」

智絵里「地名?」

杏「『城塞都市・ザッハトルテ』」ドヤ

かな子「すごい……! 何故か、凄く大規模な軍隊とかが配備されてそう……!」

智絵里「奥が深いね、ザッハトルテ」

杏「声に出して言いたいスイーツ、最優秀賞だね」

智絵里「かな子ちゃん、本当はどういう意味なの? ザッハトルテ」

かな子「うーん、言葉の意味までは分からないよ」

杏「……智絵里ちゃん、既にちょっとクセになってるでしょ」

智絵里「えへへ……少し。ザッハトルテ」

かな子「『トルテ』は確か、ドイツ語でケーキみたいなホールの焼き菓子のことを指してたはずだけど」

杏「ドイツ語か……。どーりで中二成分が強いと……」

智絵里「『ザッハ』は何だろう? ちょっと調べてみるね」スマホポチ

杏「そんなに気に入ったなら、うちらのユニット名も『ザッハトルテ・アイランド』にしちゃう?」

かな子「あははっ。た、確かにすぐ覚えて貰えそうだけど……っ!」

杏「持ち歌も『ザッハ×2 days』でさ」

かな子「あっ、ふ、ふふっ、想像したら、お、お腹が……っ!」

智絵里「あっ、ありましたっ」

杏「お。どうだった?」

智絵里「人の名前みたいです。ザッハさんっていう人が、初めて作ったんだって」

かな子「はぁ、はぁ……へぇ、そうなんだぁ」

杏「じゃあ智絵里ちゃんの人名説が当たってたんじゃん」

智絵里「勇者じゃなくて、コックさんでしたけどね。ふふっ」

杏「かな子ちゃんもさ、オリジナルのケーキ作って名前付けようよ。歴史に名を残せるよ?」

かな子「ええっ!? そんな、ケーキに自分の名前付けるなんて、恥ずかしいよ……!」

杏「持ち歌に自分の名前がついてるアイドルだっているんだよ!」

智絵里「……杏ちゃん、ホントは恥ずかしかったりする?」

杏「恥ずかしかったら、そもそもあんなメチャクチャな歌出してないよ」

かな子「メチャクチャって、自分で言っちゃうんだ……」

杏「ともあれ、この役目はかな子ちゃんしかいないよー。 ほら、私だとただのアンズケーキになるしさ。アンズ飴と大差無いし」

智絵里「わ、わたしも、ただのチェリーケーキみたいになっちゃう……」

かな子「ふ、二人ともずるい……!」

智絵里「じゃあ、せっかくだから私たち三人をモチーフにしたケーキなんて、どうかな? アンズやチェリーを散りばめて……」

かな子「それぐらいなら、なんとか……」

杏「なるほどー。そうなると、かな子ちゃん要素も必要だよね。なんだろう、マシュマロ?」

智絵里「いいですね!」

かな子「あとはキャンディアイランドだし、飴細工でデコレーションして……」

杏「おお、結構いい感じになりそうじゃん?」

智絵里「今度プロデューサーさんに、そういうお仕事が無いか聞いてみようか」

杏「うっ、仕事か……。杏としたことが、自ら働くことを提案するような真似をしてしまうとは……!」

智絵里「お仕事に積極的な杏ちゃんかぁ。新境地だねっ」

杏「うぅ、杏のアイデンティティがクライシスだよー……」

かな子「その言い回し、なんだか聞き覚えがあるような」

杏「……ん? でも待てよ。 もし本当にどこかのケーキ屋さんとのコラボ商品として売り出して、それがバカ売れしたら、売り上げの何割かはこっちにも入ってくるかな?」

智絵里「ど、どうだろう……」

かな子「確かに、私はお菓子作りが大好きだし、そういう仕事も出来れば素敵だと思うけど……でも」

杏「でも?」

かな子「せっかくこうやって三人でユニットとして活動出来てるんだし、まずはアイドルとして名前を残せるように頑張りたい……かな」

智絵里「かな子ちゃん……!」

杏「はー……ずるいなぁ、そういうこと言っちゃうの」

かな子「ごっ、ごめんね! ちょっと大袈裟というか、出過ぎたこと言っちゃったかな?」

杏「いーんじゃない? むしろかな子ちゃんや智絵里ちゃんは、それぐらい強気で丁度いいと思うよ」

智絵里「えへへっ。これからも一緒に頑張ろうね、かな子ちゃん、杏ちゃん!」

かな子「うん!」

杏「しょうがないなぁ」


ガチャ
卯月「お疲れさまですっ」



智絵里「よぉし、三人で、アイドル界のザッハさんを目指そう!」

かな子・杏「おー!」

卯月「えぇ!? ざ、ざっはさんって誰ですか!?」



おわり

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