みほ「寝起きドッキリ?」 (125)
優花里「みなさん、こんばんわー」
優花里「今、午前3時です」
優花里「なんと、今日は西住みほ殿のお部屋に潜入しようと思っています!」
優花里「早速会長からお借りしたスペアキーで、お部屋をあけますね」
カチャッ
優花里「空きましたー、それでは中に入ってみたいと思います」
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優花里「失礼しまーす……おーっとこれは!」
優花里「西住殿が使った歯ブラシですね……」
優花里「いけません、いけません。これは西住殿が使った歯ブラシです。私のような不束者が」シャコシャコシャコシャコシャコ
優花里「しゅ、しゅごいでふぅ!さすが西住殿の歯ブラシ!虫歯菌が全部死滅しました!」
麻子「いや、意味がわからんぞ」●REC
沙織「ゆかりん、次行って次!」
優花里「こ、これは西住殿の食べかけのパン!」
優花里「い、いけません。これはさすがに」
優花里「私、人の物を取ってはいけないと母から厳しく指導されてきましたので」
優花里「例え食べかけのパンでもいただくわけには」パクパクパク
優花里「お、おいしい!!西住殿の味がしますぅ!」
華「秋山さん、さっきからリアクションが同じですよ」
優花里「す、すみません。五十鈴殿から手厳しいダメ出しをいただいてしまいました」
優花里「それではついに、お休み中の西住殿とご対面しましょう!」
みほ「zzz……」
優花里「うーん、可愛い+美しいを2で割らないような寝顔ですよみなさん!」
優花里「それでは武部殿、準備はよろしいでしょうか?」
沙織「おっけーい」親指グッ
優花里「西住殿!!おはようございまあああああす!!」
みほ「え!?なになに!?」
ドカーン!!
みほ「ひぃっ!なに!?」
優花里「おはようございます西住殿!寝起きドッキリですよ!」
みほ「えぇー……もう、ちょっと勘弁してよみんなぁ……」
沙織「はいこれ持ってこれ」
優花里「せーの」
みほ優花里華沙織麻子「どっきりだいせいこーう!」
麻子「はい、オッケー」●REC
みほ「で、なんなのこれ……」
杏「いやーおはよう西住ちゃん」
杏「実は戦車道協会からPR動画自由に作ってくれって言われてね」
杏「普通に作ってもつまんないから寝起きドッキリやったんだ」
杏「試合中の凛々しい西住ちゃんとのギャップで更にファン増えちゃうかもね!」
みほ「会長……この旅行ってそのためだけだったんですか?」
杏「うぅん!これはおまけで本当に慰安旅行だよ!」
みほ「はぁ……ってか煙すごっ」ケホケホ
沙織「ごめん、分量間違えたかも」
優花里「すみません、お騒がせして。おやすみなさい」
みほ「いやもう目冴えたから!」
――――――
―――
――
桃「えーみんな、大会のリフレッシュは出来たか」
桃「格安で提供してくれたこちらの宿への感謝を忘れないように!」
桃「各自忘れ物はないか確認しろ。準備が出来次第帰るぞ!」
みほ「あれー?あれ……ない、ないないない」
沙織「みぽりんどしたの?」
みほ「家の鍵がないの……あれ自転車の鍵とか全部つけてるからないと困るんだけど…」
優花里「あぁ、これですか?」
みほ「あ、それ!どこにあった!?」
優花里「道に落ちてましたよ」
みほ「本当!?ありがとう優花里さん!」
優花里「いえ、お役に立てたようで嬉しいです!」
優花里「……」ニヤリ
―――
夜、西住家
みほ「ふぅ、疲れたけど楽しかったなぁ」
みほ「お風呂入って寝よっかな」
――外
優花里「……」
優花里「お風呂に入られたようですね」
優花里(私は今、西住殿の部屋のすぐそばにいます)
優花里(西住殿へのこの気持ち、どうしても抑えることが出来ません)
優花里(かと言って本人に伝えるわけにもいかず……)
優花里(そこで私は西住殿のお宅に内緒でお邪魔することに決めました)
優花里(襲うとか変な写真を撮って脅すとかそういうことが目的ではありません)
優花里(ただ、素の西住殿をもっと知りたいと思っただけなんです)
優花里(旅行中に西住殿の部屋の鍵を拝借いたしましてスペアキーまで作ってしまいました)
――1時間後
優花里「……」
優花里「あっ!」
優花里(電気が消えました)
優花里(西住殿はお風呂に入った後ストレッチをしてホットミルクを飲んで寝るのが日課です)
優花里(おやすみなさい、西住殿)
優花里(さて、あと数時間待ちましょうか)
……3時間後
優花里(もう深い眠りについているでしょう)
優花里(スペアキーと暗視ゴーグルを使って)
優花里(お邪魔しまーす……)
カチャンッ
優花里()ドキドキドキドキ
優花里(緊張します。バレたら警察行きです)
優花里(さすがに笑って許してくれませんよね。寝起きドッキリなんて生易しいものじゃありません)
優花里(だってガチのストーカー行為なんですから)
優花里(もう一生、友達には戻れないかもしれません)
優花里(ネットでも同性の部屋に忍び込んだ変態ストーカーとして一生名を残すでしょう)
優花里(……もう!覚悟は決めてきたはずなのに!)
優花里(後戻りは出来ません。もう鍵空けちゃったんですから)
優花里(でももしトイレに起きてたら……寝付けないでスマホイジッてたら……)
優花里(そ、そうだ一回LINE送ってみましょうか)
秋山優花里:西住殿、まだ起きてらっしゃいます?
……
…
優花里(既読、付きませんね)
優花里(西住殿は寝る時スマホの電源は切らないタイプですから。起きていたらすぐに反応してくれるでしょう)
優花里(あぁ、でもこのLINEの音で深い眠りから浅い眠りになってしまったら……)
優花里(……あああああ!もう迷うのやめた!行く、行きます!)
ギィィ
パタンッ
優花里(ついに、ついに一線超えてしまいました)
優花里(これで私も犯罪者です)
優花里(でもこのまま捕まるわけにはいきません)
優花里(とりあえず今日は初回ですからミッションを一つ達成したらすぐに帰りましょう)
ミッション1、私物を持って帰る
ミッション2、寝顔の写真を撮る
ミッション3、Tシャツを持って帰る
ミッション4、口にキス
ミッション3、履いてるパンツを自分のと交換する
優花里(ボールペンでもキーホルダーでもなんでもいいのでとにかくいただいて今日のところは帰りましょう)
みほ「ん・・・」
優花里()ビクッ
優花里()ドキドキドキ
優花里(お、起きてないですよね)
優花里(よし、この綿棒を一つ頂戴して……)
優花里(ミッション達成!離脱します!)
ギィッ
パタンッ
カチャッ
優花里(やった……やった!!)
優花里(しかし、この疲れに対して対価が綿棒一本とは……)
優花里(いえ、たかが綿棒一本、されど綿棒一本です)
優花里(西住殿の耳の穴に入る予定だった綿棒を手に入れることが出来たんです。大満足です)
優花里(今日は枕を高くして眠れそうです)
――翌日
優花里「はぁ……」
華「どうかしたんですか?さっきから暗い顔とため息ばかりですが」
麻子「綿棒がどうかしたのか」
優花里「あぁ、すみません。なんでもありません」
みほ「優花里さん、何か悩みがあるなら言ってね?」
優花里「…いえ、悩みなんてそんな大層なものじゃありませんよ。気を遣わせてしまって申し訳ないです」
沙織「……」
みほ「そう?ならいいけど……」
優花里「はぁ……」
麻子(なんかあったのか?)
華(さぁ?)
すみません、最後のはミッション5でした
―――
沙織「ゆかりん」
優花里「はい?なんでしょうか」
沙織「私は全部お見通しだよ」
優花里「えぇ!?ななな、何の話ですか!?」
沙織「その綿棒……」
優花里「ち、違います!これはその……」
沙織「綿棒オナにハマっちゃったんでしょ?」
優花里「はぁ?」
沙織「わかるよー、気持ちいいもんね。抜け出せなくなるよね」
優花里「あのですねえ、そんな低俗なレベルの話をしないでもらえますか」
沙織「なーんだ違うの?」
優花里「違います!私はもっとセンチメンタルな悩みを抱えてるんです!」
沙織「そんな時はオナって忘れちゃいなよ」
優花里「その話続くんですか……」
沙織「すっごいよ、クリちゃん掃除するみたいにイジったり中に突っ込んだりするんだけど」
優花里「……」
沙織「本当に30秒くらいでイッちゃうの」
優花里「……」ゴクリ
沙織「飽きたらもう一個の方でお尻の方いじくり回すの」
優花里「……」
――――
みほ「ねえ沙織さん、優花里さん何か言ってた?」
沙織「ゆかりん?んーなんか深刻そうな顔してたけど特に何も言ってなかったよ」
みほ「昨日夜中にLINE来ててさ、もしかしたら優花里さん夜眠れてないんじゃないかな」
沙織「そうかなー、あれはただ構って貰いたいだけだと思うけどね」
みほ「えーそうなの?」
沙織「うん、私もたまにあんな態度取るからよくわかる」
みほ「本当かなぁ……」
沙織「気にしないでいいって!」
――夜、秋山家
優花里「……」
優花里「ダメです。綿棒は耳掃除の為に作られたものです、それ以外の用途では……」
??(優花里さん、優花里さん)
優花里「この声は西住殿!?」
みほ(こっちにおいで、耳かきしてあげる)ポンポン
優花里「は、はい!わかりました!」
みほ(じゃあまずは右からね)
優花里「はい」
優花里「西住殿の太もも、柔らかいですぅ……」
みほ(もーう優花里さん、股間に顔うずめたらどっちの耳も掃除できないよ)
優花里「す、すみません、つい!ではお願いいたします・・・」
……
…
優花里「ふぅ」
優花里「私はこの麺棒で耳かきをすることを選びました」
優花里「結果として直接的に性欲を発散させるより何十倍も快楽を得られたと思います」
優花里「さて、今日も行きましょう。こういうのはダイエットと一緒で継続しないとやめてしまいますから」
――西住家、前
優花里「西住殿の睡眠時間は大体11時から6時」
優花里「7時間睡眠、実に健康的です」
優花里「たまに夜更かしをしていますが翌日のことを考慮して12時にはお休みになります」
優花里「現在は10時45分」
優花里「コーヒーでも買ってきましょうか」
……
ピッ
ガシャン
カシャッ
ゴクゴク
優花里(時間まで今日の目標を設定しておきましょう)
優花里(今日はミッション2、寝顔の撮影を試みます)
優花里(この暗視カメラアプリを使って撮影します)
優花里(それと部屋の探索、出来ればスマートフォンの中身も拝見したいですね)
優花里(西住殿は1DK、風呂トイレ別のお部屋に住んでいます)
優花里(不動産屋のHPで間取りは確認済み、最悪の場合は風呂場に逃げ込みます)
優花里(そして西住殿のスマホの指紋認証は右手の親指です)
優花里(暗証番号も見当はついていますが、失敗した場合バイブしてしまうので指紋認証にしましょう)
優花里(出来ればパソコンの中身も拝見したいのですが……そこまでは不可能でしょう)
優花里(11時5分、そろそろ部屋の前に戻りますか)
―――11時半
ふっ
優花里(消灯確認、2時間後に突入します)
――1時半
優花里(よし、行きますか)
カチャン
ギィ
パタン
優花里(失礼しまーす)
優花里(なんでしょう、緊張はしていますが昨日ほどではありません)
優花里(慣れ、でしょうか)
優花里(さて長居は出来ません。粛々と仕事を進めましょう)
みほ「んががが・・・」
優花里(西住殿、イビキをかいていますね)
優花里(お疲れでしょうか、でもこちらとしては起きるリスクが低いのでありがたいのですが)
みほ「んごーーー」
優花里「……」
優花里(ちょっと録音しておきましょう)
優花里(この音声を寝る時に聞けば一緒に寝ているような感覚になれるかもしれません)
●REC
みほ「んがああああ」
みほ「がっ」
みほ「……」
みほ「……」
優花里(に、西住殿息してない!?)
優花里(ど、どうしましょう、これは起こした方がいいんでしょうか)
優花里(いやダメです!起こして私がいたら意味わかんないです!)
優花里(西住殿!息をしてください!)
みほ「ぷはっ」
みほ「ごごごごごご」
優花里(良かった!息を吹き返しました!)
優花里(焦りました……)
優花里(それはそうと、さっそく仕事に取り掛かりましょうか)
優花里(暗視カメラアプリを起動っと)
優花里(ちょっとお布団失礼しますね……)ゴソゴソ
優花里(普通の顔バージョンと口を開けたバージョンの2パターン欲しいですね)
優花里(まずは普通バージョン、いきまーーす)
カシャッ
優花里「!?」
みほ「んっ・・・」
優花里(あれぇぇぇ!?なんで!?消音アプリも入れて設定しておいたはずなのに!)
優花里(あぁ!さっきアップデートしたから設定が初期に戻ってしまったんですね!)
優花里(この暗闇で設定を戻すのは危険です……かといってフラッシュを炊くなんてのは厳禁)
優花里(口を開けておバカそうに眠る西住殿の写真、欲しいのにいいい!)
優花里(このまま行きますか?いやでもさっきの音で起きかけてるとしたら……)
優花里(ああああ!この迷う時間が無駄です!今日は諦めます!)
みほ「んがががががが」
優花里(とりあえず次は部屋の探索に入りましょうか)
……
…
…
優花里(とりあえず台所に来てみました)
優花里(あっ、西住殿が使っていたであろうコップがあります!)
優花里()ベロベロベロベロベロ
優花里()チュパチュパチュパチュパ
優花里(ふふっ、西住殿の唾液が私の体内に……)
優花里(次は洗濯機、今日はまだ洗濯してないみたいですね)
優花里(西住殿は一人暮らしですから洗濯は3日に1回程度の頻度です)
優花里(ということは、3日前に着ていた汗だくで未洗濯の服がこの洗濯籠に入っているというわけですね)
ゴソゴソ
優花里(一番奥に入ってるのは自然と古い服ですから…)
優花里(これだっ!西住殿お気に入りのボコTシャツ!)
スーハースーハースーハースーハー
すうううううう
はああああ
優花里(や、ヤバいですこの匂いだけでイケそうです)
優花里(どんな田舎の空気よりも全然おいしいです!)
優花里(これはお持ち帰りしたいですが、さすがにお気に入りのシャツを盗むわけにはいきませんよね)
優花里(くんくん、んっ!ここは……腋の部分ですね)
優花里(やはり……少し前から思っていましたが)
優花里(西住殿、体育の後は少しスパイシーな匂いがするんです)
優花里(この腋部分の濡れ方、匂い、総合すると西住殿はワキg)
優花里(いえ!お友達をそんな風に言うのはよくないです!)
優花里(私はワキガの西住殿も大好きです!あっ、ワキガって言っちゃった)
優花里(これは……本棚ですね)
優花里(数学ⅡB、現代文、化学、政治経済)
優花里(よくわかる!戦車道戦術入門書、リーダーがすべき100のこと、嫌われる勇気)
優花里(すごいです。まさに文武両道、トップに立つ器です!)
優花里(んっ?これはブックカバーがしてありますね、小説でしょうか)
優花里(失礼しまーす)
優花里(これは……タイトルから察するに女の先輩からエッチなことをされちゃう小説でしょうか?)
優花里(もうちょっと探してみる必要がありそうですね)
ゴソゴソゴソ
……
優花里(エッチな本すげーいっぱいありました……)
優花里(姉妹同士でエッチしちゃう漫画、マグロの女の子とエッチする漫画、おしとやかな女の子と過激な野外プレイをする漫画)
優花里(なんで私をモチーフにしたエロ漫画はないんですか!)
優花里(まあいいです。とりあえずタイトルを控えてamazonで全部購入しましょう)
優花里(時間は、2時……まだいけるでしょうか)
優花里(目標はあとスマートフォンの中身チェックだけですが)
優花里(今日も大満足です。ここで撤退しましょう。楽しみは後に取っておくのも悪くないです)
優花里(失礼しましたー)
ギィ
バタンッ
カチャッ
翌日、お昼休み―――
沙織「私はねー代官山のオシャレなレストランで食事した後、彼の六本木のマンションで初体験ってのがいいかなー」
麻子「生意気な。そんな金持ちが沙織と付き合うわけないだろう」
華「さすがに現実感なさすぎですね」
沙織「なんでよー!わかんないじゃん!」
麻子「沙織はバイト先で知り合った35歳のフリーターと付き合って満足しとけ」
沙織「ふざけないでよ!絶対嫌!」
沙織「ねえねえみぽりんはどんな初体験がいい!?」
みほ「えー、私はそんなの考えたこともないなぁ」
沙織「高校2年生5人組が全員彼氏いないってちょっとおかしいよ」
華「中学時代の友達はみんな彼氏いるっていってますからね」
麻子「みんなどっか欠陥があるんだろうな」
沙織「麻子は性格だね、だって男の人の前だと何にも喋んないじゃん」
麻子「う、うるさい。何喋っていいかわからないんだよ」
沙織「本当露骨に口数減るもんね」
華「付き合うとかの前に圧倒的に異性との触れ合いが少ないのかもしれませんね」
麻子「沙織は理想の高さだろう。年収はいくら必要なんだ?」
沙織「2000からかな、まぁ1500でギリ?」
華「婚活おばさんみたいなこと言わないでくださいよ」
みほ「それで笑えるのはあと10年だね」
沙織「専業主婦じゃなきゃ結婚しないしね!」
麻子「16歳で何言ってんだ」
優花里「五十鈴殿はやっぱ高翌嶺の花感が強すぎるんでしょうね」
華「そんなことはないと思いますけど」
沙織「いや、ある!私が男だったら俺なんかが付き合えないって思っちゃうよ」
麻子「全部絞り取りそうだもんな、五十鈴さんは」
沙織「え、下ネタ?」
麻子「あぁ、そうだ。大食いの人は性欲もすごいっていうだろう」
優花里「じゃあラグビー部とか柔道部の人はどうでしょう。ゴリゴリに相手してくれますよ!」
華「すみません、人を性欲モンスターみたいに言わないでくれます?」
沙織「みぽりんはねー、うーん、欠点ないかな?」
麻子「そうだな。普段は静かだけどやる時はやる。で、ちょっと天然で抜けてる」
優花里「まず可愛いってのが大前提にありますから!最初が200点スタートですから!」
みほ「ちょっとみんな褒め過ぎ……私そんな大層な人間じゃないから」
優花里「いえいえ、ご謙遜なさらずに!」
沙織「ゆかりんはやっぱりそこだよね」
優花里「そこ、とは?」
麻子「愛が重すぎるところかな」
優花里「えっ、そ、そうですかね」
華「確かにその傾向はあるかもしれませんね」
沙織「なんか喧嘩して別れ話とかしたら相手刺しちゃいそうな感じ?」
優花里「ちょっと!人をなんだと思ってるんですか」
麻子「もしくはストーカーとかしそうな感じ」
優花里「し、してませんよ!西住殿、してませんよ?してませんからね!」
みほ「わかってるよ優花里さん、さすがの優花里さんでもそこまではね」
優花里「……」
沙織「あっ、昼休み終わっちゃう。次体育だよ!」
――夜
11時、西住家前
優花里(今日の学校では楽しいことが二つありました)
優花里(まずは西住殿が猫を被っていたことがわかったことです)
優花里(あんなにエロ漫画たくさん読んでるのに自分のこと考えてないなんて嘘ですよね)
優花里(そしてもう一つは西住殿のワキガを確認できたことです)
優花里(最近暑くなってきて体育が終わると汗でベトベトなんですが)
優花里(デオドラントスプレーでも隠し切れなかったワキガ臭を西住殿から感じ取ることができました)
優花里(鼻がいい五十鈴殿はとっくに気付いてそうですけれど)
優花里(明日、なんとなく探りを入れてみますか)
優花里(それと一つ気になったのは冷泉殿のストーカー発言)
優花里(まさかですけど気付かれてないですよね?)
優花里(まあいいです。楽しいことの前に余計なことを考えるのはやめましょ
2時半―
優花里(今日も行きましょうかね)
優花里(もう全然緊張しないです。だって西住殿起きないですもん)
優花里(今日はスマートフォン、パソコンなどの履歴チェック、ブックマークチェック、写真チェックに入りたいと思います)
優花里(あとデジカメなんかがあったら最高ですね)
優花里(さて、鍵を使ってっと)
カチャン
ギィ
優花里(失礼しまーす)
優花里(西住殿寝てますかー?)手スッスッ
みほ「zzzz……」
優花里(はい、お休み中です。じゃあこちらのスマホを失礼して)スマホスッ
Touch ID またはパスワード入力
優花里(出ましたね。暗証番号は危ないので西住殿、右手失礼します)
……
やり直す
やり直す
やり直す
優花里(あれーおかしいですね。上手く読み込まない)
優花里(じゃあ暗証番号で入りましょうか)
優花里(この1ヶ月西住殿がスマホに暗証番号を入力している瞬間をガン見し続けた結果)
優花里(011まではわかったのですが続きがわかりません)
優花里(で、調査の結果西住小次郎、つまり西住殿のひいおじいさんの誕生日が1月13日なんですね)
優花里(勿論、西住殿はひいおじいさんと面識はありませんから思い入れは全くないはずなんですが)
優花里(もしかしたらネットでひいおじいさんのことを調べて何か思うところがあったのかもしれません)
優花里(じゃあ入力してみましょう、最悪間違っても10通り入れればいいだけですから)
0113
優花里(……入れました!)
優花里(とりあえず今LINEやメールが来ると危ないので機内モードにしてっと)
優花里(あっ!しまった!)
優花里(LINEに接続するのにも暗証番号がいるんだった!)
優花里(メールは……お母さんとお手伝いさんくらいとしかしてないみたいですね)
優花里(やはり同年代との連絡手段は全部LINEですよね……)
優花里(こっちも0113でしょうか)スッスッス
パスコードが間違っています
優花里(ええええ!?どうしましょう……)
優花里(西住殿の誕生日は10月23日ですから1023?)
パスコードが違います
優花里(ああああもうわかんないわかんない……)
優花里(LINEは諦めます!カメラロールを見ましょう!)
優花里(……ボコの写真が半分、戦車の写真が3割、あとの2割は空の写真っと……)
優花里(旅行の写真とか自撮り写真とかはデジカメの方でしょうか?それともあんまりそういう写真を撮る人ではない?)
優花里(そういえばこの前の旅行の時写真撮りまくってはしゃいでた武部殿に苦笑いしてたような……)
優花里(あーもう!じゃあお気に入りの画像やスクリーンショットの方は……)
優花里(あっ、これはお姉さんから送られてきた写真でしょうか)
優花里(犬と戯れているお姉さん、パンツァージャケットで自撮りしてるお姉さん、水着姿のお姉さん)
優花里(お姉さんは結構自撮りする方なんですね)
優花里(だったらみほも送ってくれ、みたいな流れになりませんかね?)
優花里(はっ!もしかして西住殿、自分の顔が映った写真は送ったらすぐ消す人なのでは?)
優花里(ということは……)
最近削除した項目
優花里(うおおおおおお!!!お宝の山だあああ!!!)
優花里(ご飯食べてる自撮り、水着姿、パンツァージャケットの自撮り、これは、下着姿ですか?誰に送っているんでしょう…)
優花里(とりあえず全部復元した後メールで私のケータイに送りましょう)
………
…
優花里(さて、えっもう4時!?)
優花里(ヤバいです、私もそろそろ帰らないと)
優花里(原状復帰は完璧ですね、送信メールも全部消したし画像も再び全部消しました)
優花里(スケベな自撮りは完全に削除しておきましたよ、私みたいな犯罪者がまだいるかもしれませんからね)
優花里(じゃあ、お休みなさーい)
ギィ
パタンッ
カチャッ
翌日、朝――
優花里(ふふっ、私はこの炭酸を飲んでたら、むせちゃった西住殿のvineが一番好きですね)
優花里(あっ、西住殿だ)
優花里「西住殿!おはようございます!」
みほ「あぁ、ゆかりさん。おはよう」
優花里「今日も暑いですね」
みほ「だねー、本当にあっついよ」パタパタ
優花里「」くんくん
優花里(ワキガの臭いはしませんね)
みほ「あっ!」
優花里「どうかされました?」
みほ「私のクラス今日体育あるんだった……体操着忘れちゃって」
優花里「じゃあ私が貸しましょうか?」
みほ「いいの!?でも、臭くなっちゃうから……」
優花里「大丈夫ですよ。私のクラスもう今週体育ないですから」
みほ「じゃあ借りていいかな?絶対洗って返すから」
優花里「いいですよそんなことしなくて。それだったら今度私が忘れた時に貸してください」
みほ「そう?じゃあお言葉に甘えて」
優花里「ちなみに今日の体育は何やるんですか?」
みほ「真夏にマラソンだよー、もう地獄だよ」
優花里「そうですか、じゃあ後で貸しますね」
優花里(……)
優花里(なんでしょう、とても嬉しいんですが)
優花里(私のしてきたことがこんな2分くらいの会話ですべて無駄になったというか)
優花里(いえ、喜びましょう。西住殿に貸しを作ることも出来ましたし)
ピポン
みほ「あ、LINEだ」
秋山優花里:マラソン頑張ってください!
みほ「え、優花里さん!?なんでLINEで言ったの!?」
優花里「えへへ、なんとなくです」
みほ「???」
優花里(……1238)
優花里(なんの語呂合わせでしょうか?12月38日?1238年?)
―
みほ「優花里さん、ありがとー、体操着」
優花里「いえ、お役に立ててうれしいです」
みほ「優花里さんちで使ってる洗剤すごくいい匂いするね」
優花里「本当ですか!?」
みほ「うん、なんか心地よい香りに包まれたよ」
優花里「洗剤プレゼントしましょうか!?」
みほ「えー、いいよ。でも次買う時それ使ってみたいから教えて」
優花里「はい!是非!」
優花里「西住殿は洗濯自分でされてるんですよね」
みほ「うん、一人暮らしだからね。」
優花里「洗濯大変じゃないですか?私もお手伝いでたまにしますけど」
みほ「私は結構楽しいかな」
優花里「西住殿はかわいらしい服たくさん持ってそうですから、洗濯も楽しいですよね」
優花里「私はお父さんのパンツとか干すからテンション下がっちゃいますよ」
みほ「私、服っていっぱい買うんだけどあんまり着ないで結局捨てちゃうんだよね」
優花里「じゃあ服、交換しませんか?私の趣味が西住殿に合うかわかりませんけど」
みほ「えーホント!?嬉しいなあ」
みほ「あんまり着てないやつだったらあげてもいいよ」
優花里(本当は着て着て着倒して腋に黄ばみがある服が欲しいんですけど)
優花里「是非!今度おうちに伺ってよろしいですか?」
みほ「うん、じゃあ今度の土曜日にうちおいでよ」
優花里「はい!」
優花里(しゃあああああ!!)
優花里(はい、合法!合法で西住殿の服がもらえる!)
優花里(ついでにブラとパンツもくれないかなぁ)
夜、秋山家――
優花里(1238……わかりませんね。西住殿とこの番号のつながりが)
優花里(もしかして黒森峰時代の学籍番号でしょうか?1年2組38番)
優花里(でも「に」で38番ってことはありえるんでしょうか?)
優花里(まぁそれはおいておいて)
カチッカチッ
ヤフオク!
1円スタート!ボコミュージアム限定Tシャツ
入札5件残り時間3時間
現在価格5000円
現在の最高入札者 ali**_in_bo**worldさん
優花里(あぁ、また値段上がってる)
優花里(そんなに希少なんでしょうか、あのTシャツ)
優花里(欲しい!けど5000円以上は出せないですね……)
優花里()クンクン
優花里(あぁー西住殿が着た私の体操着、本当にいい匂いです…)
優花里(特に汗を吸ってる首の周りと腋のところは本当にヤバイです)
優花里(これはもう永久保存にして新しくもう一着買いましょう)
優花里(そんなことをしていたらもう11時です)
優花里(早く支度をしないと)
優花里(今日は西住殿のLINEが見れる日なんですから!)
12時半、西住家前――
優花里(さて、行きましょうか)
カチャッ
ギィ
パタンッ
優花里(失礼しまーす)
みほ「zzz」
優花里(西住殿ー!寝てますかー!)手スッスッ
みほ「・・・z」
優花里(はい、今日もお休みです!)
優花里(じゃあスマホ借りまーす)
優花里(0113、1238と)
友だち(60人)
グループ15
あんこうチーム
大洗学園戦車長連絡用
黒森峰1年生
家族
……
…
友達 60
優花里さん
沙織さん
華さん
会長
アンチョビさん
ダージリンさん
麻子さん
ミカさん
お姉ちゃん
ノンナさん
小梅さん
……
…
優花里(ふふふ、友達の一番上が私です!)
優花里(じゃあ次はトークの方を……)
ピポン
優花里(しまった!機内モードにするの忘れ)
みほ「うーん…」モゾ
優花里(!?)
優花里(ヤバい起きる!!)
優花里(とりあえずスマホ置いてお風呂場に避難!)
みほ「あれ?スマホどこ?」
みほ「あっ、あった」
みほ「……」
みほ「おしっこ」モゾモゾ
優花里(ああああ!こっち来る!)
ギシッギシッギシッ
ギィッ
…
チョロチョロチョロ……
優花里(来ないで……こっち来ないで……)
ジャー
みほ「ふぅ」
みほ「朝の為にお風呂入れておこうかな」
優花里(!?)
優花里(やだっ、ダメ……お願い、来ないで……)
みほ「あー、シャワーでいいや」
モゾモゾ
みほ「zzz……」
優花里(ね、寝た?)
優花里(早く部屋から出ないと)
優花里(ダメ、今出たらまた鉢合わせになるかも……)
1時間後――
優花里(もう、寝ましたよね?)
優花里(ミッション失敗!離脱します!)
ギィ
バタンッ
カチャッ
優花里(危なかった、本当に死ぬかと思った)
優花里(ヤバいですね、これは完全に油断してました)
土曜日――
優花里(今日は西住殿のお宅にお邪魔する日です!)
優花里(絶対お泊りします。まず西住殿に時計を全く意識させないように喋りまくる、楽しい会話で場を盛り上げる)
優花里(今何時かな。えっ、もう7時!?今日泊まっていきなよ~的な流れに持っていきます)
優花里(そうすればお風呂も西住殿の家で入りますし、一緒のベッドで寝られます)
優花里(勿論着替えも明日の服も持っていきません)
優花里(行きは秋山、帰りは西住の言葉通り西住殿のシャツ、パンツ、スカートを着て帰るのが最終目標です)
優花里(さて、待ち合わせは2時でしたね。もう行きましょうか)
西住家前――
優花里(これ猫被って家知らないふりしといた方がいいかもしれませんね)
優花里(毎日来てるので迷うことはないんですが)
秋山優花里:すみません、道に迷ってしまったみたいです(泣き顔のスタンプ
西住殿:今どこにいるの?
秋山優花里:3丁目のサンクスなんですが……すみません、西住殿の住所のメモをなくしてしまいまして
西住殿:じゃあ迎えに行くよ(親指立てたスタンプ
優花里(えっ!)
優花里(思わぬ収穫です)
優花里(このコンビニから西住殿の家までは大体歩いて5分といったところです)
優花里(それまでにコンビニでなんか買っておきましょう)
――5分後
みほ「優花里さーん」
優花里「あぁ、西住殿!すみません、お手間を取らせてしまって」
みほ「うぅん、全然。私もコンビニ行きたかったから」
優花里(そうだ、西住殿はコンビニ大好き人間でした)
優花里(一緒に買い物した方がよかったかもしれませんね)
みほ「ちょっと買い物していっていい?」
優花里「はい!でもお菓子ならもう買いましたよ?」
みほ「もしかしてそれウチで食べる用?」
優花里「はい、新作のお菓子が出ていたので」
みほ「えー、じゃあ優花里さんのセンス確かめさせてもらおっかな」
優花里「はは、怖いですねえ」
みほ「嘘嘘!私洗剤買っていくから待ってて。あっ、そうだ優花里さんちで使ってるの教えてよ」
優花里「はい、わかりました」
優花里(なんか、すごくいいです)
優花里(普通に会話して、ちょっと冗談も言い合って)
優花里(私と前した会話も覚えてくれていて)
優花里(あの西住みほ殿とお友達になれたってことをなぜか今とても実感しています)
――2時半、西住家
みほ「優花里さんの好みに合う服あるかなぁ」
みほ「あっ、開けてない引っ越しの段ボールも3箱くらいあるからそれも見ていいよ」
優花里(明るい時間に西住殿の部屋に初めて来たのですが)
優花里(意外と汚いですね)
優花里(私が来るので多少片づけた形跡があるので汚部屋とまでは言いませんが)
優花里(出したら片づけない、そのままというのが目立ちます)
優花里(ちなみに本棚は……)
優花里(エロ漫画はどこかに隠したみたいですね)
優花里「じゃあ服見させてもらいますね」
ゴソゴソ
優花里「これは……」
みほ「それ小学生の時に買ったやつだ、もうギリ着られないかも」
優花里「これは?」
みほ「それは中1の時買って1回も着てないやつ」
優花里「じゃあこれ」
みほ「あれー、こんな服持ってたっけ」
優花里「……西住殿、ちょっとお部屋片付けませんか?」
みほ「そう?結構片付けたつもりなんだけどな」
優花里「いらないものが多過ぎます!後飲んだり食べたりしたら冷蔵庫に戻す!」
優花里「メイク道具は終わったら仕舞う!服は元あったところにかける!」
みほ「ゆ、優花里さん?」
優花里「こんなことしてたら結婚できませんよ!」
みほ「それは困る……」
優花里「とりあえずゴミは全部捨てて、いらないものといるものに分けていきますよ!」
みほ「えー今から?」
優花里「私がいないとやらないでしょう!」
………
……
…
優花里「ふぅ、大分片付きましたね」
みほ「すごいね優花里さん。菊代さんみたい」
優花里(そこでお母さんって例えが先に来ない西住殿はやっぱりお嬢様なんですね)
優花里(部屋の掃除とか、料理とか、一人暮らしするまでやったことなかったんでしょうね)
優花里「じゃあ私は帰りますから。また汚くなった時に来ますよ」
みほ「ちょっと待って優花里さん、服いらないの?」
優花里「え?あ、本来の目的を忘れてました。じゃあ選ばせてもらいます」
ゴソゴソ
優花里「これは……ゴスロリ!?西住殿こんな服着るんですか?」
みほ「あーそれは黒森峰の時友達と一緒に買ったやつ」
優花里「これ貰っていいですか!?」
みほ「ごめん、ダメ。それ大切な服だから」
優花里「す、すみません」
みほ「他のだったらなんでもいいから」
優花里「は、はい。わかりました」
優花里(なんか地雷踏んだんでしょうか?)
優花里「じゃあ、これとこれこれとこれとこれと」
みほ「け、結構持っていくね」
優花里「西住殿が今着てる服全部ください」
みほ「えぇ!?今着てるやつ!?」
優花里「冗談ですよ。じゃあ私はそろそろ」
みほ「もう8時だよ!?お腹のすいたでしょ、泊っていきなよ」
優花里「えっ、いいんですか(棒)」
みほ「うん。掃除の手伝いしてもらったからご飯ご馳走するよ」
優花里「やったー、西住殿のご飯が食べられる~(棒)」
みほ「あっ、でも着替えとか下着とか持ってきてないよね。じゃあさ」
優花里「……」ゴクリ
みほ「買い物行こうか。食材も買わないといけないし」
優花里「……」ズッコケ
――
みほ「やっぱりお泊りと言ったらカレーだよね」
優花里(西住殿、まさかお米を洗剤で洗ってたり、手切ったりしないですよね……)
みほ「じゃあ私カレー作るから優花里さんご飯炊いてね」
優花里「はい、わかりました」
みほ「……」サクサク
優花里(おおお、ちゃんとジャガイモの芽を取ってます!)
優花里(ピーラーもちゃんと使えてます!)
優花里(玉ねぎも涙を流さずに切れてます!)
優花里(なんかはじめてのおつかいみたいなノリになってますね)
……
…
みほ「ごちそうさま~」
優花里「ごちそうさまでした」
みほ「じゃあお風呂入ろうか」
優花里「そうですね、西住殿お先にどうぞ」
優花里(お風呂入ってる最中にLINE見せていただきますけど)
みほ「一緒に入ろうよ」
優花里「え、一緒にですか!?いいんですか!?」
みほ「うん、うちお風呂二人くらいだったら入れるよ」
優花里(知ってます。すごく知ってます)
優花里「わかりました。じゃあ西住殿下着貸していただけますか?」
みほ「さっき買わなかったの?」
優花里「ええ、せっかくなので西住殿にお借りしようと思いまして」
みほ「うん、いいよ。でもサイズ合うかな」
優花里「合わせます!多少胸の方がきつくても空気読んで黙ってますから!」
みほ「いいよその空気は読まなくて!」
―――
バシャーン
みほ「ふぅ……」
優花里「シャンプー借りまーす」
みほ「はい、どうぞ」
優花里「……」ゴシゴシゴシゴシ
みほ「優花里さんって家の仕事手伝ったりするの?」
優花里「手伝いですか?」
みほ「うん。シャンプーの手つきがプロっぽいから。お客さんの髪切ったりしてるの?」
優花里「いえ、私は資格持ってないので髪切れないですよ」
みほ「え!?そうなの!?」
優花里「そりゃそうですよ。だったら理容師の子供は学校行く必要ないじゃないですか」
みほ「あぁ、そうかぁ~」
優花里「でもわかりますよ。西住殿は子供の頃から当たり前に戦車に乗る環境だったんですから」
みほ「うん。操縦は今でもちょっと苦手だけどね」
優花里「なんか感動だなぁ~、西住殿と戦車道が出来てるなんて」
みほ「何が?」
優花里「だって西住殿はこれからプロになってもっと有名になっていくじゃないですか」
優花里「私はそこまで行けないですから。理容師の専門学校に進んで、せいぜい床屋の店長ですよ」
みほ「そんなことないよ。私だってまだ何物でもないただの高校生だよ」
みほ「優花里さんだって優勝メンバーなんだから、大学の推薦とか」
優花里「無理なんですよ!!!」
みほ「…」ビクッ
優花里「私も、西住殿も、もう進む道は決まってるんです。変えられないんです」
優花里「推薦なんて来ませんよ。大学でやったとしても、レベルに差がありすぎてすぐに辞めちゃいますよ」
優花里(……)
優花里(あっ)
優花里(一番気付いてはいけないことに気付いてしまったかもしれない)
優花里(私は西住殿が好きだったわけじゃないのかもしれない)
優花里(私は西住殿になりたかったんだ。変わりたかったんだ)
優花里(戦車道の名家に生まれて、子供の頃から戦車道漬けだった西住殿が)
優花里(羨ましかっただけなんだ。コンプレックスに感じていたんだ)
優花里(でもそれを好きだってことにして隠してただけなんだ)
みほ「……優花里さん」
優花里「すみません。もう上がります」
バシャー
優花里(私が上がった数分後、西住殿もお風呂を上がり、その後私たちはほぼ会話をせずにすぐに寝ました)
優花里(そして日曜日)
優花里(西住殿は前日のことをなかったことにしてくれるように明るく振る舞ってくれました)
優花里(私も出来るだけ昨日のことを忘れて会話をしようとしましたがうまく続かず)
優花里(お昼前には西住殿のおうちを出ることになってしまいました)
優花里(そして月曜日)
杏「えー、戦車道履修者全員に集まってもらったのにはわけがあってねー」
杏「ちょっと西住ちゃんから発表がありまーす」
杏「じゃあ西住ちゃん」
みほ「はい」
みほ「えーっと、本当に勝手で申し訳ないんですけど……」
みほ「来月から黒森峰に戻ることになりました」
えええーー!?
マジ―!?
来年はどうするんですかー?
ざわざわざわざわ
優花里(……え?)
優花里(ええええええええええ!?)
優花里(西住殿が?なんで?)
杏「まあまあみんな落ち着いて」
杏「まー急だから驚いたよね」
杏「でも西住ちゃんはお家の人と仲直りして」
杏「お母さんもお姉さんももう戻ってきたらって言ってくれてて」
杏「正直経済的なこと考えたら一人暮らしより実家暮らしの方が楽だし」
杏「大学進学とか、これからの人生のこととか考えてたら黒森峰にいた方がいいんじゃないかってなって」
杏「まー悲しいけどこればっかりはしょうがないよね」
みほ「……はい、みなさん申し訳ありません」
……シーン
たいちょー!謝らないでー!
大洗を救ってくれてありがとー!
みぽりん来年も決勝で会おうねー!!
パチパチパチパチ
優花里(ちょっと……ちょっと待ってください!なんでみんな送り出す空気になってるんですか!)
優花里(嫌だ、やめて……やめてやめて)
杏「で、隊長の公認なんだけど」
杏「秋山ちゃんにやってもらおうと思ってまーす」
優花里「私ですか!?」
杏「うん、西住ちゃんの一番近くにいたしさ。多分秋山ちゃんがやるのが一番だと思う」
杏「ってなわけで隊長退任式兼、新隊長就任式はじめまーす」
優花里「無理です!無理無理!」
みほ「無理じゃないよ。優花里さんなら出来る」
優花里「私は西住殿とは違います。人を引きつける力もないし、ただ戦車のオタクなだけです」
みほ「大丈夫、みんなが支えてくれる。優花里さんがしたいようにすればいいの。私みたいにしようなんて思わなくていい」
優花里「……はい、わかりました。やれるかわからないですけど、やってみます!」
沙織「ちょっと待った!」
優花里「はい!?」
沙織「本当にそれでいいの?もうみぽりんと会えないかもしれないんだよ?」
優花里「いや、でも来年の決勝で会おうって……」
沙織「何言ってんの!みぽりんいなかったら普通に一回戦負けだよ!」
優花里「えぇ!?武部殿二重人格なんですか?」
華「秋山さん、本当にみほさんのことを考えたら黒森峰に行かせてあげるべきですよ」
優花里「そうですよね……ってなんなんですか!私の感情をどうしたいんですかお二人は!」
麻子「秋山さんが引き止めれば西住さんは転校を考え直すかもしれないぞ」
優花里「えー……そうなんですか?西住殿」
みほ「うん。考え直すよ」
杏「で、どうすんの!?ホラ!」●REC
優花里「い、い、い」
優花里「行かないでくださあああああああい!!!」
おおおおおお!!!
杏「で?本当に言いたいことは?」●REC
優花里「は、はい。西住殿!好きです!世界中の誰よりも愛してます!!」
きゃーー!!!
言ったあああ!!
ひゅーひゅー!!
優花里「私のくだらない嫉妬で西住殿に強く当たってしまって本当にごめんなさい!」
優花里「でもあれからずっと西住殿のことで頭がいっぱいでした!」
優花里「私も西住殿と同じところに行きます!操縦も通信も射撃も全部覚えます!」
優花里「だから、結婚してください!」
……シーン
沙織(バカ!間すっ飛ばしてなんで結婚なの!)
麻子(おいおい、どうすんだこれ)
華(……)
杏「でー?西住ちゃん、答えは!!」●REC
みほ「……はい、よろしくお願いします」
うおおおおおおおおおおおお!!!
結婚!結婚!結婚!
お幸せにいいいい!!
……
…
…
(かりさん、ゆかりさん)
みほ「優花里さん!」
優花里「あぁ、すみません。ちょっと寝てたら昔の夢を見てました」
みほ「今日はオリンピックの決勝だよ?大丈夫?」
優花里「はい、大丈夫です。私は西住殿についていくだけですから!」
みほ「西住殿って。優花里さんも西住殿だよね」
優花里「え?あ、そうだった。ごめん、みほさん」
みほ「その呼び方なつかしっ」
優花里「そうだね」
みほ「あ、時間」
優花里「よーし。金メダル、取ろうね!」
みほ「うん!」
終わり
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