提督「という訳なんだ、うむ」 ビスマルク「……」 (894)

艦これSS、二次・三次創作、エログロ、駄文注意です

良ければ読んでいってください

どうぞよろしくお願いします

提督(ビスマルクは目を閉じて腕を組み、仁王立ちのまま瞑想するかのように俺の弁解を聞いていた)

提督(しかし、その体は怒りからか小刻みに震えていた。どうしてこうなってしまったのか……)

提督(俺はすべての始まりを思い出していた)



提督「……ふぅ。いやぁ最高だったな、ワルイユ○。艦これNTR同人の中でも最高レベルだ」

提督「さて、執務に戻るかなっと……」

コンコン

提督「うん、誰が戻ってきたのか?どうぞ!」

ビスマルク「アトミラール、今戻ったわ!」ニコッ

提督「っ!!出たなクソビッチめ!!お前のような人間の屑、俺は知らん!!」

ビスマルク「……は?」ギロリ

提督「ま、待て!貴様、上官に手をあげるのか!?」

ビスマルク「……」

提督「だ、誰かー!!誰かいないか!?」

ビスマルク「……黙りなさ、いえ、落ち着きなさい」プルプルプル

提督「止めろ!!人殺しめ!!」

ビスマルク「黙りなさいといっているでしょう!!」

提督「は、はいっ!!」ビクッ

ビスマルク「……なにがあったの?」

提督「……はい?」

ビスマルク「何があったのかって聞いているのよ。私にはビッチなんて言われること、身に覚えがないわ」

提督「え、えっとそれは……」

ビスマルク「……それは?」

提督「それは……お前がキモデブ整備士に整備だって騙されていろいろエロい事されて開発されてるし」

ビスマルク「!?」

提督「一目惚れしていた提督に妻子がいると知って自暴自棄になって、キモデブのマジカル☆ちん○拒まなくて挿入されるし」

ビスマルク「……」プルプルプル

提督「そいつにさんざん突れて専用まん○に調教されて、そのうち自分から腰振り始めて最後には妊娠して快楽堕ちしかけちゃうし」

ビスマルク「っ!!」ガーン

提督「けどそこで提督の妻子がもう亡くなっているって言われて再婚を申し込まれたら、お腹の子がどちらの子かは考えないようにしたとか言って受けちゃうし」

ビスマルク「……っ」ウルッ

提督「そうしたと思ったら提督とのSEXが全然イケなくて、妊婦検診の時に現れたキモデブを拒めずに受け入れたと思ったら快楽堕ちするし」

ビスマルク「……」ポロポロ

提督「そこで割って入った提督の目の前で挿入して、貴方じゃいけない。私はこの人専用だしお腹の子もこの人の子とかのたまうし」

ビスマルク「ぐすっ……ぐすっ……」

提督「最終的に提督を捨ててそいつと結婚とかするような対魔忍に勝るとも劣らないビッチ具合だろお前」

ビスマルク「うぅ……うううう!!ふぅぐぅ……!!うわああああん!!」ボロボロボロ

提督「ちょ、ビスマルク!?どうしたんだいきなり!!」

ビスマルク「私は!!そんなことしてないわよぉ!!ぐすっ……意味わからないわよぉ!!」

提督「ま、待て!!違うんだこれは!!」

ビスマルク「アトミラール!!私はそんなことしてないからぁ!!信じて!!嫌いにならないで!!」

提督「落ち着けビスマルク!!話を聞けって!!」

ビスマルク「私は知らない男に抱かれたり、そいつの子供を妊娠したりなんて絶対しないわ!!」

ビスマルク「私が体を許すのは貴方だけだし、身籠るのは貴方の赤ちゃんだけよ!!絶対に!!」

提督「……」ムラッ

提督「ってそんな場合じゃない!どうすれば……!!」

ビスマルク「私はビッチじゃない!!うわああん!!」

提督「そうだ!ビスマルク!!」ダキッ

ビスマルク「ああああん!! っ!!」ハッ

提督「落ち着け、ビスマルク」ナデナデ

ビスマルク「うぅ……アトミラール……」

提督「全部現実じゃない。ウ=ス異本の内容なんだ!」

ビスマルク「……ウ=ス異本?」

提督「これだ!」つエロ同人

ビスマルク「これ?……ナニコレ?」

提督「ウ=ス異本だ!」

ビスマルク「……詳しく話してくれるかしら?」ギロッ

提督「ひっ!!」

提督説明中

提督(こうして、冒頭のやり取りに戻るのだ)

提督「という訳なんだ、うむ」

ビスマルク「……」

提督「ごくっ」

ビスマルク「つまり、私はこの下劣なウ=ス異本とやらに書かれた誰かの妄想の私がした、頭の中にウジ虫でも詰まってるみたいな行動について避難された訳?」

提督「妄想!?ふざけるな!!これはな……可能性のひとつだろうが!!あり得るかもしれない世界だろうが!!」

ビスマルク「……」バンッ

提督「っ!」

ビスマルク「……黙りなさい」

提督「ちょっ!!待て!!落ち着け!!話せばわかる!!」

ビスマルク「貴方は私が本当にそんなことするかもしれないと思っているのかしら?」

提督「かもしれないわけないよなぁ!?分かってるぞ!!」

ビスマルク「はぁ……だいたい世の中に、そんな風にNTRなんてされるやついるわけないでしょ?」

提督「なんだと…… じゃあ浮気やら不倫やらはどう説明するんだ?そうだな……」



赤城《私は赤城、愛する夫と幸せな家庭を築いています。私の人生はまさに順風満帆、幸せの絶頂です!》

赤城《そんな私は今、同窓会に出席しています。かつての級友たちと会えてとても懐かしい気分に浸っています》

男級友A『カンパーイ!!』

『『『『カンパーイ!!』』』』

ワイワイ ザワザワ

女級友A『赤城って専業主婦なんだっけ?』

赤城『ええ、そうですよ』

男級友B『そうだったの!?残念だったなぁ、オタク!お前のあこがれの赤城さんはもう結婚してるってよ!』

オタク『え、あ……』

女級友B『えー!!オタク君って赤城のこと好きだったの!?』

オタク『えっと、その……』

男級友B『残念だったな!まあ、お前はもっと痩せてそのダセエ身なりを何とかする所からスタートしなくちゃいけないけどなw』

女級友B『男級友Bひどーいwww』

オタク『……』

赤城『……あの、オタク君。お気持ち、うれしかったですよ。ありがとう』ニコッ

オタク『赤城さん……!!』



男級友A『さて、とりあえず今回はここでしめようか!二次会とかは各自でね!』

女級友A『赤城ー、私達カラオケ行くけど来る?って無理そうか』

赤城『かりゃおけですかー?けどおっとがまっているのでー、こんかいはかえらせてもらいますー……』フラフラ

男級友B『あちゃー、飲ませすぎたなこれ……誰かタクシー拾ってやんなくちゃな』

オタク『そ、それなら僕がやるよ。僕も今日はこのまま帰るし』

女級友A『え……オタク君が……?』

女級友B『いいじゃん!!最後の思い出作ってきなよー!』

男級友B『よし、じゃあ頼んだわ!』

オタク『う、うん……』ニタァ

女級友A『……よかったのかな。何か変な事したりしない?』

女級友B『大丈夫でしょー。あいつに何かできるような度胸ないって。ネクラだしw』



オタク『ふう……ようやく帰って来たぞ』

赤城『すぅ……すぅ……』

オタク『赤城さん……結婚したと聞いたときは絶望したけど……ようやく取り返すチャンスが来た……!!』

オタク『とりあえず下着姿にして、起きても抵抗できないように手錠をして、と』シュルシュルシュル ガチャン

オタク『っ!!なんて背徳的なんだ!!もう待ちきれない!!赤城さん!!』ブチュゥ

赤城『ん……ふぅ……』

オタク『むちゅ……にゅち……ずちゅ……ぷはぁ……僕のファーストキス、赤城さんに捧げられた……!!』

オタク『ふひひ!……さて、じゃあ下着を脱がそうかな……』

赤城『ん……すぅ……』スル

オタク『ああ……赤城さんのブラに……赤城さんのパンツだ……!!飾り気のない純白なんて、やっぱり赤城さんは天使だよ!!すーはーすーはー』

オタク『すごい……とても大きくて柔らかそうなおっぱいに……桜色のまん○だ……!!』シコシコシコ

オタク『赤城さん赤城さん赤城さん赤城さん赤城さん!!うっふぅ……』ビュルルルル

赤城「んぅ……すぅ……すぅ……」

オタク『すごい……僕のが……赤城さんに……!!』

オタク『よし、次はおっぱいとまん○を虐めて気持ち良くさせてあげる……!!』

オタク『すごい柔らかい!そしてすごく熱い!』モミモミ クリクリ クチュクチュ

赤城『あ……ふぅん……』ピク ピク

オタク『!! たってきたし、濡れてきた……!!ちゅば……あぁ、これが赤城さんの……!!おいしぃ!!』

オタク『赤城さんの蜜壺、もう我慢できない!!ぶちゅぅ』

オタク『レロレロレロレロ、じゅるるるる』

赤城『んっ……ふぅ……はぁ……!』ピクンピクン

オタク『ずちゅ、にゅるるるる、ぺろぺろぺろ』モミモミ クリクリ

赤城『ん……ふぅ……ぁ、ぁああん!!』ビクンビクン

オタク『!? 赤城さん……イったんだね!!』

赤城『うぅん……あれ、ここは……オタク君?』

オタク『おはよう、赤城さん』

赤城『おはようございます……え?手が……!? わ、私なんで裸で!!……!!これって……!!』

オタク『うん、僕のザーメンだよ』

赤城『嘘……いや!!止めてください!!』ガシャガシャ

オタク『無駄だよ!』

赤城『うぅ、なにこれ……っ!!』ハッ

赤城《手錠されているんだ!!どうしよう……怖い……》

赤城『だ、誰か!!助けて!!あなたぁ!!』

オタク『っ!!僕の前で他の男を口にするな!!塞いでやる!!』

赤城『んむぅ!!んーーーー!!』

オタク『むちゅ、レロレロレロ』

赤城《強引に、こんな野獣みたいなディープキス……!!オタクの唾液が私の中に入ってくる……!!》

オタク『ぷはぁ、待っててね、すぐまた気持ち良くさせてあげるから。ちゅぅ』

赤城『っはぁ!!ぺっ!!ぺっ!!いやぁ!!んむぅ!!』

オタク『にゅるにゅるにゅる』クチュクチュクチュ サワサワサワ

赤城《あ、あそことお尻を……いや!!気持ち悪い、はずなのに……!!》

赤城『んぅ……!!んふぅうううう!!んん……!!んんんん!!んふぅ……!!』ジュン

赤城《どうして……あの人より……うまい……きもちいい……!!》

赤城『んふぅ……んぁああああ!!』ビクンビクン

オタク『ぷはぁ……どうだい、凄いだろう……ネットでずっと勉強していたんだ』

赤城『誰が……気持ち悪いだけです!!』

オタク『なっ!?じゃあどうしてこんなに大洪水になっているんだい!?本当のことを言いなよ!!』

赤城『本当に気持ち悪いだけです!!だれがあなたなんか!!』

オタク『そうかい、素直にならないんなら……コレで素直にさせてあげるよ!!』ボロン

赤城『!?』

赤城《お、大きい……あの人の倍ぐらいあるかも……》ゴクン

オタク『僕が唯一自分の体で誇れるところさ!』ブルン

赤城『お、夫の方が大きいわ!』

オタク『そ、そんな……!!け、けど、テクは僕の方が上だ!!高いラブドールで鍛えたんだ!!』

赤城『気持ち悪い!!そんなことしてる暇があればまっとうに自分を磨いたらどうなの!?この犯罪者!!』

オタク『黙れええええ!!』ガシッ ピトッ ズプン

赤城『いやぁ!!止めて!!放しっ!? かっはぁ……!!』ズチュン ビクンビクン

赤城《……一番奥の、あの人も届かない所まで、貫かれちゃった……刻み込まれちゃった……》

オタク「黙れ黙れ黙れ!!」ズチュンズチュンズチュンズチュン

赤城『あぁ、くぅ、ふぅ、つぅ!!』

オタク『どうだ赤城!!僕のテクは!!』グリングリングリン ズッチュズッチュズッチュ

赤城『んふぅ!!あぁん!!あ、ああああ!!』ピクンピクン

オタク『ほ、ほら!!見てみろ!!感じてるんだろ!!分かるぞ!!』

赤城『だ、誰があああ!!ふ、ふぅう!!くぅうう!!』ギリッ

オタク『我慢するなよ!!認めろ!!僕の方があいつよりでかいしうまいだろ!!』ドチュンドチュンドチュン

赤城『みと、めないわぁ!!あの人の方が、いいんだからぁ!!』ピクンピクン

赤城《悔しけど、オタクのモノは今まであの人が届かなかったところを侵略したばかりか、私の中の形まで拡張して、占領してしまった》

赤城《それからずっと、オタクは正常位で私を責めたてた。激しく動き、手で私の陰核や胸、そしてその先端の突起を指や口で虐める》

赤城《この人……本当にうまい……》

赤城《夫とのSEXでは感じたことがなような、激しく新しい快楽に押しつぶされる》

赤城《永遠のような時間を快楽漬けにされて、何度も絶頂させられて、女としての本能がオタクを受け入れ、欲して、好きになってしまっていた》

赤城《けど、心はまだあの人への愛が勝っており、頭では肉欲より理性が勝っていた》

赤城《あなた……私は……負けないからね……》ギリッ

オタク『うっ……そろそろ……でる……』

赤城《やっと終わる……っ!!ま、まさか中で出すつもりじゃ!?》

オタク『だめだぁ、耐えられない!!でる、でちゃう!!』パンパンパンパン

赤城『だ、だめ!!中に出さないで!!外に出してぇ!!』ジタバタ

オタク『嫌だ!!一番奥でだす!!赤城の子宮まで僕で染めるんだ!!』

赤城『いやああああ!!やめてええええ!!』

オタク『孕んで、赤城!!僕の子供を産んで!!』

赤城『やだやだやだやだ!!ていとくの!!あのひとの赤ちゃんじゃないとやだあ!!』

オタク『い、いく、いくぅ!!』ドチュン ビュルルルルルルルル

赤城『あっだめぇ!!いやああああああん!!』ビクンビクン

オタク『はぁ……はぁ……いっぱい出たね……!!』

赤城『あっはぁ……うぅ……ぐすっ……』ブピュッ タラァ

赤城《オタクが絶頂を迎えるとともに、ひときわ強く押し込まれ、その衝撃で私もまた、達した》

赤城《私の子宮口にオタクの亀頭が押し付けられ、直接その精液を受け入れていれてしまった》

赤城《それでも入りきらなかった分が私の膣を満たし、秘所からあふれ出る》

オタク『ふぅ……さて、次いくよ』ギンギン

赤城『ぐすっ……!?そ、そんな……!!』ビクッ

赤城《男の人って、一度出したらしばらくはできないものじゃないの!?あんなので今もう一度されたら、私……!!》

赤城『いやぁああああ!!もういやああああ!!たすけてあなたぁ!!』ズリズリズリ

オタク『ふひ!やっぱり僕の方が良かったんだね!安心して、朝までたっぷり愛して、全部僕で上書きしてあげるから!!』ガシッ

赤城『あなたぁああああああ!!』ボロボロボロ



チュンチュンチュン

赤城『あん!あん!あん!あん!』ヌチャッヌチャッヌチャッ

オタク「も、もうすぐ出るよ……!!」

赤城『あぁん!きてぇ!!私の中、貴方で満たしてぇ!!』

オタク『うっでる!!』ドチュン ビュルルルルルルルル

赤城『んはぁああああ!!』ビクンビクン プシャァッ

オタク『はは、あこがれの赤城が僕に足と手で絡みついて、僕の精液を受け入れたぞ!!』

赤城『はぁ……はぁ……だって……すごいんだもん……んっ』ヌポッ ブプッ タラァ

オタク『……!! ……赤城、口で綺麗にして』ゾクゾク

赤城『ん、はい……むちゅ、れろれろれろ、じゅるるるる』

オタク『赤城、僕とお前の夫、どっちが上手い?』

赤城『じゅるる、ぷはぁ。……あなたです///』

オタク『じゃあ、僕とあいつ、どっちが好きだい?』

赤城「それは……あなたです……///」

オタク『よし、じゃあこれからもずっと愛してあげよう!!』

赤城『はい!赤城を末永くよろしくお願いしますね///たくさん愛してください///』



提督『よし、じゃあ行ってくる』

赤城『はい。いってらっしゃい、提督』

提督《……数か月前から、赤城が俺の呼び方を提督にもどした。理由を聞いたら、今はまだ提督だからということだった》

提督《見送りも前までは玄関前まで出てきてくれて、見えなくなるまでずっと手を振ってくれていたのに。今では玄関までだ》

提督《ひどいときにはリビングから出てきてくれないこともある……って普通はそんなものか?》

提督《それにキスも夜も全然してくれなくなった。普段の態度は変わらないんだが、何か怒らせるような事でもしただろうか?》

提督《身に覚えがないんだが…… すこし、いや、とても悲しい》

提督《けど、いいこともあった。赤城が妊娠した!》

提督《この前、一度だけ体を許してくれた時があった。それでも一回で終わってしまったんだが、まさかそれが中るとは!》

提督《今日はあいつの好きなケーキでも買って帰るとしよう。早く機嫌を治してもらいたいからな》



ピンポーン

赤城『!! はい!!』

オタク『ただいま、赤城』

赤城『おかえりなさい、旦那様!むちゅっ』

オタク『んっ、にゅる、れろお』

赤城『……ぷはぁ。あなた、お腹の赤ちゃんが安定期に入りました!』

オタク『そうか!俺たちのかわいい子供だ!生まれてくるのが楽しみだ!』

赤城『はい!……それで、その///』

オタク『分かってるよ。今日は久しぶりにいれてあげよう。ふひひ!』

赤城「ありがとうございます///」ジュン

オタク『それにしても、あの男も哀れなものだな。自分の妻がとっくに快楽堕ちして、NTRれているのに。おまけにお腹の子も自分の子じゃないときた』

赤城『大丈夫ですよ。あの人は、そこらへんは鈍いので。本当に、仕事しかできない哀れな人……』

オタク『すまないな。本当は君とちゃんと結婚してやりたいんだけど……』

赤城『あなたの手を煩わせるわけにはいけませんから。耐えられます』

オタク『最近は子供を育てるのにもお金がすごくかかるからなぁ……』

赤城『あの人、稼ぎだけはいいですから。私達家族のために、せいぜい稼いでもらいましょう』

オタク『そうだな、よし!じゃあ寝室へ行くか』

赤城『はい///』



提督「このクソアマがぁ!!ふざけやがって!!何が私は負けないからねだ!!負けてるじゃないか!!」

提督「本当に愛してるなら、そもそも同窓会で泥酔しないよう気を付けろ!!あと夫より上手いぐらいで心まで堕ちるな!!ってか体も堕ちるな!!」

提督「挙句の果てには哀れな人だとぉ!?お前の頭の方が哀れだわ!!犬の方がまだ賢いし律儀だね!!」

提督「自分が悪いのに相手のせいにしてる感があるところも気に食わない!!この狂おしいほどの憤怒!!どうしてくれようか!?」

ビスマルク「……」タジッ

提督「はぁ……はぁ……こんのぉ……!!赤城いいいいいい!!」

赤城「提督、呼びましたか?」

提督「貴様!!亭主を軽んじるどころか卑劣な裏切りをしておいてあの態度は何事だ!!」

赤城「は、はい!?み、身に覚えがありません!!そもそも、私はまだ結婚していませんよ!!」

提督「なんだとぉ!?では人違いだ!!すまなかった!!これで好きなものを食べてきてくれ!!」つ間宮券

赤城「ええ!?いったい何なんですか…… まあ、とりあえずこれは頂いておきますね」サッ

提督「うむ」

赤城「提督、もし何か御用がありましたら、いつでもお申し付けください。一航戦の誇りにかけて、期待に応えて見せます」

提督「それは心強い。頼りにしているぞ!」

赤城「はい!……では、失礼します」

提督「ご苦労だった。……どうだ、ビスマルク?こういったことがありえないのか?そんなわけないだろう!」

ビスマルク「……そうね、そういった本にならありふれているのかもね。けど、現実と妄想を混同しないようにした方がいいわ」

提督「何故だ!ではどのようにして女は不倫やら浮気やらするんだ!」

ビスマルク「……愛が尽きていて、きっかけがあればそうなるんじゃない?そうね……」



加賀《私は加賀、専業主婦よ。夫とは恋愛結婚だったけれど、熱かったのは最初だけ。彼は仕事ばっかりで、私のことなんて忘れているみたい》

加賀《そんな私は今、同窓会に出席している。久しぶりの級友たちとの再会に、最近沈みがちだった気分も晴れる》

イケメン『やあ加賀さん。久しぶり』

加賀『ああ、イケメン君。久しぶりね、元気だった?』

イケメン『ああ、それなりに元気でやっているよ』

加賀『そう、それは良かったわ』

イケメン『はは、ありがとう。……本当に結婚したんだね』

加賀『ええ、まあ……』

イケメン『……もしかして、あまりうまく行ってない感じ?』

加賀『……なんでそう思うの?』

イケメン『……あまりうれしそうじゃなかったから』

加賀『そんなことないわ。あの人は良くしてくれるし、生活も安定しているし』

イケメン『そうなんだ……俺さ、加賀さんのこと、好きだったんだよね』

加賀『!?』

イケメン『驚いた顔、初めて見たかも。やっぱり美人はどんな表情でも映えるね』

加賀『……からかっているのかしら?』

イケメン『そんなことないさ……けどさ、俺、実は君が好きだったんだよね。結婚の話も信じられなかった』

加賀『……そう』

イケメン『加賀さん、俺、君が好きだ。君が幸せそうなら大人しく身を引こうと思ってた。けど、そんな憂いを帯びた顔してるんなら……』

イケメン『俺が、それを笑顔にしたくなる。どうか考えてみてくれないか?』

加賀『分からないわ……そんな事、急に言われても』

幹事『じゃあそろそろお開きにして、二次会とかは各自でお願いしまーす!』

イケメン『……いい店を知ってるんだ。行かないかい?』

加賀『でも……』

イケメン『行こうよ、もっと話したい』テツナギ

加賀『あっ……』



加賀《今の生活に対する不満、なのかしら。ともかく、イケメン君が私を好いてくれていることを悪く思わなかった》

加賀《そして少しの躊躇い、いえ、それすらもただのポーズで、本当は強引にそうされたかっただけ》

加賀《私はイケメン君につれられるがままに、彼のお気に入りのおしゃれなバーに入る。そして……》

イケメン『加賀さん……いや、加賀、好きだ。キスしたい』

加賀『駄目よ、私には夫が……』

イケメン『嫌なら、抵抗して』スッ

加賀『あ、だ、だめ……んっ』チュッ

加賀《彼の唇が優しく私の唇を愛撫する。抵抗したという免罪符のために閉じていた唇が開かれ、舌と舌が絡み合う。心と理性が溶けていく》

加賀《彼のキスを受け入れた。そこからはもう、理性の歯止めが消え去った》

加賀《つれられるがままにホテルへ入る。無言のままシャワーを浴びた。そして、彼がシャワーを浴びている間に指輪を外して財布にしまう》

イケメン『灯り、常夜灯はつけていていいかな』

加賀『……』コクン

イケメン『ありがとう。……加賀、顎あげて』

加賀『……んっ』クイッ チュッ

加賀《優しく、しかし力強いキスから始まった。決して強引ではない、私を思いやったキス。けど、とても丁寧で彼の私が好きだという意志の強さを感じる》

イケメン『……』ギンギン

加賀『……///』

加賀《しばらくキスを交わして、離れる。そして、彼に後ろから抱きかかえられた。お尻に彼の大きくたったアレがあたる。それがさらに私を興奮させた。》

イケメン『……』モミモミ

加賀『んっふぅ……』ピクッ

加賀《後ろから抱きしめるように腕を回され、胸を愛撫される。丁寧な手つきは変わらないけれど、存在を主張している先端をあえて触れずに焦らしてくる》

加賀『あ……ぁあ……手馴れて……いるわね……』ピク ピク

イケメン『そうかな』スー

加賀『ふぅ……くっ……あ、そ、それは……あん!』ビクン

加賀《そして、彼の指が私の胸からお腹を通って、とうとう私のはしたなく濡れてしまっている秘所へ到達した。達しそうになったところで止められ、体勢をかえられた》

加賀『これでいい?』

イケメン『ああ、ありがとう』

加賀『……すごい、恥ずかしいわ』

イケメン『暗いからよく見えないよ』

加賀『でも……んはぁ、ひぁ……』ピクンピクン

加賀《彼の舌が私の秘所をチロチロと舐め、一番弱いところを責め立てる》

加賀『だ、もうだめ……!!イケメン君、まって……!!』

イケメン『……』ペロペロペロ ジュルル

加賀『あ、はぁああ!!ふぅうううう!!』ビクンビクン

加賀《イってしまった私は、ベッドの上で荒い息をついていた。久しぶりの絶頂とその余韻を堪能する》

イケメン『加賀、足開いて』

加賀『……』

イケメン『頼むよ、加賀』

加賀『…………』スッ

イケメン『……ありがとう。いくよ』ピト

加賀『……んっ……はぁっ!!』ズププププ

イケメン『加賀、動くよ』

加賀『……』コクン

イケメン『ふっ……う……』ズリュ ズリュ ズリュ

加賀『あっはぁああ……んん……!!』ピクンピクン

加賀《ゆっくりと動き始め、徐々に激しくなっていく。いつのまにか唇を重ね、舌を絡み合わせる。互いの体を貪りあう、最近ずっとしていなかった情熱的なSEX》

イケメン『加賀、愛してる!おかしくなりそうなほどに!』パンパンパン

加賀『ふっ!はぁ!つぅ!』ギュッ

イケメン『俺のこと、好き……!?』

加賀『ぁん!ええ!好きよ!』

イケメン『加賀!!じゃあ俺と結婚してくれ!!今の夫と別れて!!』

加賀『つぁ!!ふぅ!!くぅ!!ああっ!!』

イケメン『くっ、締ま、でる……!!』ビュルルルル

加賀『ああああ!!はぁあ……!!』ビクンビクン

イケメン『加賀、愛してる……』ギュッ

加賀『……』ギュッ チュッ

加賀《私は、どうすればいいのか分からなかった。彼を抱きしめ、唇を貪る。そのまま数回混じりあって、彼の腕に抱かれながら眠りに落ちた》

チュンチュン

加賀『……』

イケメン『これ、俺の連絡先』スッ

加賀『……』カサッ

イケメン『……ごめん、怒ってるよな。けど、俺は本気なんだ。いつでも連絡してくれ。ただ会うだけでもいい』

加賀『……』

イケメン『……そろそろ、出ようか。駅までタクシーでも捕まえるよ』

加賀『……』



加賀《私は、少しだけ後悔していた。なんだかんだ言って夫のことを愛していたのだ。無言で駅まで一緒に行き、無言で別れた》

加賀『ただいま』

提督『ん、泊りとは聞いていなかったが?』

加賀『……女友達の家でつもる話をしていたら、終電なくしちゃって。止めてもらっていたわ』

提督『そうか』

加賀『……』

加賀《同窓会に行って、泊りで帰って来たのに少しも疑わないの?それどころかそもそも気にしていないみたいだわ》

加賀『……ねえ、あなた。久しぶりに今日の午後、買い物に行かないかしら』

提督『勘弁してくれ。疲れてるし、重要な作戦会議があって明日朝早いんだ。行くなら一人で行ってくれよ』

加賀『そう……』

加賀《私は言われた通り一人で買い物に出かけた。新しい、とびっきり派手な下着とピル、そして新しい化粧品を購入した。そして喫茶店に入ってコーヒーを注文する》

加賀《席について一口コーヒーを飲んでから、スマホを手に取り番号を入力する。相手は数コールですぐ出た》

イケメン『もしもし、加賀?』

加賀『ええ。その、……次の週末に食事でもどうかしら?』



加賀《その一回目を皮切りに、私はイケメン君と月に数回会う関係になった。食事だけの時もあれば、肌を重ねるときもある》

加賀《会う回数はだんだん増えて行く。外出が増える私に、夫はやはり無関心の様だった。女友達と出かけると言えばもう追及してくることはない》

加賀『ちょっと出かけてくるわね』

提督『友達と食事か?』

加賀『ええ、女友達とね』

提督『そうか、いってらっしゃい』

加賀『……行ってきます』

加賀《……女友達と一緒にでかけるだけで、こんなに着飾って化粧するわけないじゃない》

加賀《なんで気がついてくれないの?私を見ていないの?あの頃は口紅をかえただけでもすぐ気がついてくれていたのに……》ジワァ

イケメン『加賀!』

加賀『イケメン君』

イケメン『あれ、口紅かえた?』

加賀『……!!』

イケメン『あ、あれ?ごめん、違ったかな』

加賀『……いえ、かえたわ』

イケメン『やっぱり?薔薇色も良かったけど、そういう桜色も似合ってるよ』

加賀『……』ジワァ

提督【口紅をかえたのか?前のピンクも良かったけど、その紅の方が似合っているよ】

加賀【そ、そうかしら……///】

加賀『ぐすっ』ポロポロポロ

イケメン『か、加賀!?大丈夫かい!?』

加賀『っ!!』ダキッ

イケメン『!!……どうしたの?』ナデナデ

加賀『しばらく……そうしていて』



加賀《私はまだあの人を愛していると思う。でも、その愛は少しずつ、いや、かなりのスピードでイケメン君の方に流れている》

提督『おや、新しいイヤリングを買ったのか?』

加賀『!!』

イケメン【これ、あげるよ】

加賀【イヤリングかしら】

イケメン【いい感じでしょ?絶対に似合うと思ってさ】

加賀【そう……ありがとう】

加賀『……ええ』

提督『そうか』

加賀『……』

提督【君にプレゼントだ。どうか受け取ってくれ】

加賀【あ、ありがとう/// これは、イヤリング?】

提督【君に似合うと思ったら、いつの間にか買っていたんだ】

加賀【そう///】

加賀『……!』ブーンブーン

携帯画面『加賀、次の土曜日会えないかな?』

加賀『……』ポチポチ

携帯画面『よろこんで。楽しみにしているわ、イケメン』

加賀《夫への愛が尽きて、彼の元へ行くのか。それとも、夫がまた私を気に掛けるようになるのか。どっちが早いのかは分からない》

今夜はここまでです
読んでいただけているのであれば幸いです
明日の夜も投下できるように頑張ります

加筆、修正していますが、基本の流れは変わりません。たぶん

指摘や感想があれば言っていただけると幸いです
よろしくお願いします



ビスマルク「これなら違和感のない不倫ね」

提督「なるほどな……ってただ夫がクズなだけじゃないか!」

ビスマルク「そうよ。浮気やら不倫ってのは、愛し合っている二人には起こりえないのよ」

提督「加賀は愛しているって言っていただろ!!」

ビスマルク「愛し合っているっていったでしょ?提督の方は愛していなかったじゃない」

提督「まあな……だが態度に出さなかっただけじゃないかもしれないだろ?不倫に走る前にもっと直接かつ強引に甘えろ、加賀!!」

ビスマルク「女がどんな時も自分に尽くしてくれるとは考えない方がいいわよ?特に愛について不安がある時は試したくなるものよ」

提督「そうなのか……って重要なのはそこではない!!そんなことはどうでもいいんだ!!」

提督「要は女なんて、結局は気持ちよければ相手がイケメンだろうがキモデブや汚っさんだろうが関係ないんだろう!?違うのはそこに至る過程だけだ!!」

ビスマルク「何言ってるのよ!?イケメンならまだしもキモデブとか汚っさんだとかそんなのはごく一部の頭のおかしいマゾビッチだけよ!!それで女性を一括りにしないで!!」

提督「いいや、口では愛だ愛だ言っておきながら結局は快楽に勝てない、浅ましく愚かな存在なんだ!!お前だって加賀だってきっとそうだ!!」

加賀「呼んだかしら?提督」

提督「加賀!!お前、もし自分の愛する人よりはるかにSEXが上手いキモデブや中年のおっさんに強姦されてイかされ続けたら、そいつを好きになるか!?」

加賀「……頭がおかしくなったようね?そんなわけないでしょう。そもそも、人を好きになることに、その……せ、SEXの上手さは関係ないわ」

加賀「人を好きになる時に大切なのは、その人の人柄と日頃の行いよ。……まあ、取り繕わなければ外見もそれなりに重要だけど」

ビスマルク「……」ドヤァ

加賀「ともかく、SEXなんて痛くなくて気持ちよければいいなって程度よ。ヘンに上手くて遊んでそうな人よりも一緒にステップアップしていける人の方が嬉しいわ」

加賀「SEXが上手ければ女は堕ちるとか下劣なことしか考えていない愚かな男には、そのことをよく知っておくことをお勧めするわ。まあ、貴方はそんな人じゃないと思っているけれど」

提督「そうか……ああ、そうだ。もちろんだ。変なことを聞いたな。悪かった、加賀」

加賀「……どうやら疲れているようね。……提督、私は感情表現が苦手だけど……あなたにはとても感謝しているわ」

提督「それは光栄だ」

加賀「だから、もし何かあるのなら遠慮せずに相談して頂戴。きっとあなたの力になるから」

提督「ありがとう。とても心強いよ」

加賀「……では、何もなければ失礼するわ」

提督「ああ、じゃあな。……まさか。そんなことがありえるのか……?」

ビスマルク「だから、少なくともそのマンガみたいにキモデブやら汚い中年やらに無理矢理されて、その人が好きになるなんてありえないわ」

提督「っ!!じゃあ痴漢されたらどうなる!?」



ガタンゴトン ガタンゴトン

翔鶴《買い物をしていたらすっかり帰宅ラッシュに巻き込まれてしまったわ……すごい人ね》

キモデブ『……』サワッ

翔鶴『……!?』

翔鶴《この感じ……いや、でも、こんなに混んでいるんだし……わざとじゃないのかも……》

キモデブ『……』ニヤァ サワサワ

翔鶴『うぅ……』カァッ

翔鶴《……やっぱりおかしいわ。手が……クロッチにあたりそう……こんなの、そのつもりじゃないとそうそう当たらないもの》

翔鶴『あ、あn』

キモデブ『おっとごめんよ、この混み具合だからね。手があたって……』

翔鶴『えっ!?あ、いや……大丈夫ですよ』

キモデブ『こんなデブがくっついて暑苦しいよね……ごめんね……』

翔鶴『いえ、そんなこと……』

翔鶴《あれ?やっぱりきのせいだったのかしら……》

プシュゥー ゾロゾロゾロゾロ

翔鶴『きゃっ』

キモデブ『おっとっと』

翔鶴『!!』

翔鶴《多くの人が下りたり乗り込んできたりしたせいで、私の体勢は大変なことになっていた》

翔鶴《ドアに押し付けられて、太った男の人と面と向かって抱き合ってるような体勢だ……》

キモデブ『今日はすごい混むねぇ……』サワサワ

翔鶴『ひゃん……!』

翔鶴《男の人の手が私のお尻を鷲掴みにしている!どうやら袴がめくれて下着が丸見えになってるみたい……》

キモデブ『う~ん。ドアと挟まっているみたいで手が抜けないや。よいしょっと』サワサワサワ

翔鶴『んっ……やぁ……!!』

翔鶴《男の人指が私のお尻を揉みしだく。けど手を抜こうとしているみたいだし……》

キモデブ『ごめんねぇ、抜こうとしているんだけど……』

翔鶴『あん、も、もういいですから!』

キモデブ『そうかい?ならしかたないねぇ』

翔鶴《指が下着の中に入り込みそうになり、慌てて男の人を制止する。今や私の下着は食い込んでおり、Tバックのようになってしまっている》

翔鶴『ふぅ……!!んっ……!!』

キモデブ『大丈夫かい?苦しそうだけど』

翔鶴『あ、大丈夫です』

翔鶴《電車の揺れがダイレクトに私の秘所に伝わってきて変な気分になる。男の人の手が触れているのも落ち着かない》

ブーン ブーン

翔鶴『はぁん……!!』

キモデブ『おっと……電話かな?困ったなぁ電車の中なのに……』

翔鶴《男の人の胸ポケットに入っているらしい電話が激しく振動する。設定をかなり高くしているみたい……》

翔鶴《背丈や体勢の関係でそれがちょうど私の胸に押し付けられていた。その先端の少し硬くなり始めていた突起に鋭い快感を与えてくる》

キモデブ『仕方がないなぁ……キャンセルしようっと……あれぇ?』

翔鶴『っ!!』

翔鶴《男の人の手が道着の隙間から入ってきた。ブラ越しに胸を揉まれる》

キモデブ『おかしいなぁ……何だろうこれは、凄く柔らかいぞぉ?』ニヤニヤ

翔鶴『ちょっ、待ってください……!!』

キモデブ『ああ、ごめんねぇ……』

翔鶴《震える声で何とかそれだけ伝える。男の人はすぐに気がついてくれたみたいで、手を引き抜いてくれた》

キモデブ『よいしょっと……ふう、とれたとれた』

翔鶴『んぁあ……はぁ……!!』

翔鶴《とるのに苦労したみたいで、服越しに胸を触られているような感覚がしばらく続いた。特に先端の突起はもう完璧にたってしまっていて、鈍い快感を伝えてくる》

キモデブ『よし、キャンセルっと。さっきみたいになるのは良くないからズボンのポケットにしまおうか』

翔鶴『……っ!!あ、その……っ!!』

翔鶴《け、携帯が秘所に押し付けられている……!!パンティ越しにちょうど……スジに挿し込まれるようになってる……!!》

キモデブ『う~ん?どうかしたかい?』

翔鶴『け、携帯が……そこは違いmひゃぁん!!』

ブーンブーン

キモデブ『また着信かな?大丈夫かい、君?すごい声出したけど』

翔鶴『だ、だいじょう……あぁん!!』

翔鶴《秘所に思いっきり押し付けられた携帯が再び激しく振動する。それだけでもまずいのに、引き抜くためにスライドされたことで、信じられないほどの快楽が私を襲った》

キモデブ『うーん、もう電源を切っておこう……おやぁ?ケータイがなんか濡れてるなぁ……?』ニタァ

翔鶴『……!!』カァッ

キモデブ『うーん、まあいいかぁ。ちゃんとポケットを確認しないと。どこかなぁ?』クチュクチュクチュ

翔鶴『ふぅぁ……はぁん……んぁあ……!!』

翔鶴《男の人の手が下着の中に滑り込んできて、秘所を虐めてくる。こんな、電車の中で周りに人がたくさんいる状況ということも私をおかしくした》

翔鶴《気がついたらドアとお尻に挟まれていた手まで私のお尻を愛撫してきたり、下着を食い込ませてきたりする。挙句の果てにふつうに引き抜いてブラの中に突っ込み、胸を揉んできた》

翔鶴《でも、おかしくなっていた私は、指摘することも周りに助けを求めることもできない。いつもより感じやすい体は快楽を求めていた。そして》

翔鶴『ふぅっ!!!!』ビクンビクン プシッ

キモデブ『おやぁ……?本当に大丈夫かい?ちょっと次の駅で降りて休憩しようか?』ダキッ

翔鶴『ぅぅ……』

翔鶴《ついに達してしまった私は、男の人に駅の公衆トイレに連れ込まれた。そこで……》

翔鶴『あん!!はぁん!!だ、だめぇ!!イく!!イっちゃうからぁ!!』パンパンパンパンパン

キモデブ『こんな可愛い子と!!生ハメできるなんて!!幸せだなぁ!!ほら、そろそろ中に!!出すからね!!んふぅ!!』ビュルルルル

翔鶴『ああああああん!!』ビクンブクン

キモデブ『ふぅ……さて、二回戦目と行こうか』ギンギン

翔鶴『らめぇ……おかしく……なっひゃう……ぁあん!!』ピクッ ピクッ ズプゥ

翔鶴《その後、私はあの人にたくさん気持ちいいことをしてもらって、ホテルにまで連れ込まれてしまった。けど、とてもすごかった……///》

キモデブ『いいよぉ、もっと腰でのの字を書くようにグラインドさせてみなぁ?』

翔鶴『ひゃ、ひゃい……んっ!!ふぅ!!……はぁん!!』グリングリン

キモデブ『うっ僕もそろそろ限界だ。このまま突き上げて中で出すよ』ドチュン

翔鶴『なからし!!なからしいいのぉ!!すごいのぉ!!ふぁああん!!』グリングリン パンパンパンパンパン

キモデブ『こんな美人が僕の上で腰振ってるなんて最高だねぇ!!おっぱいもいい形で大きいし!!』モミモミモミ

翔鶴『おっぱいらめぇ!!こわれちゃう!!』プルンプルン パンパンパン

キモデブ『イくよ……ふぅっうううう!!』ビュルルルル

翔鶴『んぅううううう!!はぁあっ!!ああ……』ビクンビクン ヌポォ ダラリ

キモデブ『おいで、翔鶴ちゃん』

翔鶴『はぁい……んっふぅ……むちゅう……にゅるにゅる』

キモデブ『……ふぅ。だしただした』

翔鶴『あっ///まだ大きい……!!』

キモデブ「おやぁ?まだ満足できないかい?エロい子だなぁ」

翔鶴『だって……気持ちいいんですもの///』

キモデブ『よし、じゃあ翔鶴ちゃんが僕の性奴隷になってくれるなら好きな時にいつでもやってあげる』

翔鶴『ほ、本当ですか……!?』

キモデブ『その代わり、もう二度と僕以外の人とエッチできないけど、いいよね?』

翔鶴『はい!!なります!!貴方様のおちん○奴隷にしてください!!』

キモデブ『いいよぉ!!じゃあさっそく入れてあげよう』ゾクゾクゾク

翔鶴『はぁい!!……きたぁ!!』ヌププププ

翔鶴《女としての悦び、今までに味わった事のないほどの快楽を与えられた私は、あの人の性奴隷になる事を喜んで受け入れた》



提督『おや、しまったな……コーヒーを切らしてしまった。少し遠くだが、お気に入りのあの店でブレンドを買ってくるかな』

翔鶴『でしたら、私が行きますよ』

提督『そうか、毎回すまないな。だが、今度は寝過ごして終点まで行かないようにな』

翔鶴『はい、気を付けます。ふふっ』ピッピッピッ

携帯画面[今日は抜け出せそうです。5時にこの前のホテルでどうですか?プレゼントして下さった下着も着て行きますよ///]

提督『うん?どうしたんだ翔鶴?やけに機嫌がよさそうだな』

翔鶴『そうですか?』ブーブー

携帯画面[分かったよ。今日は夜までずっと愛してあげるからね。次はアナ○も教えてあげよう]

翔鶴『そうかもしれませんね……!!』ジュン

一日空いてしまいましたが再開します
毎日更新は無理ですね……
書き溜めはあるんですが、閃いて追加した分が書きながらなので……
努力しますが、間が空いてしまうかもしれません
どうかご容赦ください

そうですよね
現実ではありえないと思っていても変な魅力がありますよね
私もNTR物を読むときは、小学生の頃寝れなくなると分かっていても学校の怪談を読んでしまうような感覚になります

提督「ってなるのが当たり前だろう!!」

ビスマルク「本気で言ってるの?そんなのこうなるに決まってるじゃない」



翔鶴《……やっぱりおかしいわ。手が……クロッチにあたりそう……こんなの、そのつもりじゃないとそうそう当たらないもの》

翔鶴『あ、あn』

キモデブ『おっとごめんよ、この混み具合だからね。手があたって……』

翔鶴『えっ!?あ、いや……大丈夫ですよ』

キモデブ『こんなデブがくっついて暑苦しいよね……ごめんね……』

翔鶴『いえ、そんなこと……』

翔鶴《あれ?やっぱりきのせいだったのかしら……》

プシュッゥー ゾロゾロゾロゾロ

翔鶴『きゃっ』

キモデブ『おっとっと』

翔鶴『!!』

翔鶴《多くの人が下りて、乗り込んできたせいで私の体勢は大変なことになっていた》

翔鶴《ドアに押し付けられて、太った男の人と面と向かって抱き合ってるような体勢だ》

キモデブ『今日はすごい混むねぇ……』サワサワ

翔鶴『ちょっと、止めてください。今、貴方は明らかに意図的に触りましたよね?』

キモデブ『い、いや、違うよぉ……混んでるからちょっと当たっちゃっただけだよぉ……』

翔鶴『そうですか。なら、貴方の左手が私のお尻に触れているので早急にどかしてください』

キモデブ『いや、混んでて抜けな』

翔鶴『いわけないですよね?少し手を動かすだけですよ。もぞもぞと動かせるのなら抜けるはずです。それとも、わざとですか?』

乗客A『おい、痴漢だって?』ヒソヒソ

乗客B『マジかよ!?あのすごい美人さんにか!?許せねえな!!どいつだよ?』ヒソヒソ

キモデブ『ち、違うよぉ!ほら、抜けた抜けた!ね?痴漢じゃないでしょ?』

翔鶴『そうですね、疑って申し訳ありませんでした。ありがとうございます』



提督「馬鹿な!!あの翔鶴がそんな強い対応できるわけない!!」

ビスマルク「ショーカクって言ったら芯の通ったしっかり者じゃない。むしろ最初に触れられた時点で警戒してもおかしくないわよ」

提督「嘘だ!翔鶴は優しすぎて、たとえ相手がどんなに怪しくても強く出れないはずだ!だってあの翔鶴だぞ!?」

翔鶴「あの……お呼びでしょうか?」

提督「翔鶴、いいところに来た!君はもし電車で痴漢に会ったらどうする!?」

翔鶴「ど、どうしたんですかいきなり……?」

提督「答えるんだ、翔鶴!」

翔鶴「は、はい!捕まえて警察を呼びます!」

提督「ば……かな……」

翔鶴「えっと……提督?」

提督「もう退出していい…… 翔鶴、君は普段は遠慮がちで優しい女性だが、必要とあれば毅然と振舞うこともできる大和撫子の鏡だ」

翔鶴「は、はい!ありがとうございます!……提督、何かあったんですか?」

提督「いやなに、私の常識が音を立てて崩壊していっているのさ」

翔鶴「そうですか……提督、もし私の助けが必要ならどうぞ遠慮なく申し付けください。微力ながらお役に立ちたいと思います」

提督「翔鶴、ありがとう。君にはずっと助けられているよ」

翔鶴「いえ、そんな事は……では提督、失礼します」

提督「ああ、ではまた」

提督「……」

ビスマルク「さて、これで納得したかしら?」

提督「っ!!いや、待て!!脅迫されたらどうだ!?」



瑞鶴『ふんふんふーん♪ お、これ新しいのだ!』

瑞鶴《私はコンビニが好きだ。何でもあるし、新しい商品を探して見ているだけでもすごく楽しい!》

瑞鶴『へ~なかなかよさげ!でも今日はアイスの気分だからまた今度ね』

汚っさん『……!!』

瑞鶴『さ~て、ど・れ・に・し・よ・う・か・な?……ってパピコの抹茶味がでてる!!へぇ~!!』

瑞鶴『ふむふむ、なるほどなるほど……提督さんって抹茶アイス好きだったよね?』

瑞鶴【はい、提督さん!パピコの新しい味出てたからあげる。一緒に食べよ】

提督【お、抹茶味か!いいセンスだ】

瑞鶴【抹茶好きだったでしょ?ん~……うん、おいしい!】

提督【よし、頂こう!…………うむ、おいしかった】

瑞鶴【えっ!?もう食べ終わったの?】

提督【知らないのか?パピコは揉んで少し温めてから食べれば一瞬で食べ終えることができるんだぞ?】

瑞鶴【いや、そんな事常識みたいに言われても……アイスの早食いなんて興味ないし】

提督【そうか。……うーん。やはりパピコの弱点はそのサイズだな。あと二倍は欲しい】

瑞鶴【これで十分でしょ……あ、駄目だよ!これは私のだから!】

提督【一口ぐらいいいだろう?上官命令だぞ】

瑞鶴【拒否します!んちゅ~~。っ!!あたまいたーい!!】

提督【アイスクリーム頭痛だな】

瑞鶴【いたい~!もう、最悪……ほら、残りはあげるわよ】

提督【ありがたいが、しかし俺もアイスクリーム頭痛になりそうだからなぁ……そうだ、ならもう温まっているのを頂こうか】

瑞鶴【え、どういうこtんっ!!】チュッ

提督【……うん、堪能した】

瑞鶴【い、いきなり何をしてるのよ!】

提督【嫌だったか?】

瑞鶴【嫌じゃないけどさ!もっとこう……あるじゃん!】

提督【そうか、悪かった。お詫びにこのアイスを食べさせてやるから許してくれ。ん】チュー

瑞鶴【え!それってもしかして……!?】ドキドキ

提督【ん】

瑞鶴【あ……ちゅぅ……ふぅ……】

提督【……どうだ?】

瑞鶴【……甘かった】

提督【そうか。もう一口、どうだ?】

瑞鶴【……】コクン

瑞鶴『えへへ……』

汚っさん『すいません』ガシッ

瑞鶴『いっ!!な、何よアンタ!!って店員さん?』

汚っさん『はい。そうです』

瑞鶴『えっと……何か御用ですか?』

汚っさん『さっきそこの棚で万引きしたよね』

瑞鶴『万引き!?していません!!』

汚っさん『そうかい、分かった。じゃあ荷物検査しても問題ないよね?』

瑞鶴『ええ、もちろんです!!』

汚っさん『じゃあ、ちょっと裏の事務所に来てもらえる?』

瑞鶴『はい』

おっさん《ひひ!うまくいったぞ!今日この時間帯はもう一人のバイトがバックレたおかげで俺一人だけだ!》

汚っさん《この時間帯じゃ客も来ないし、いよいよ計画を実行するときだ!》

汚っさん『じゃあ、ちょっと見せてもらうね』

瑞鶴『どうぞ……っ!?嘘!!』

汚っさん『これは……新商品のグミだね。ちょうどさっき君が立っていた所にあったものだよ?』

瑞鶴『そ、そんな……なんで……』

汚っさん『うん?この身分証は……君は艦娘なのかい?』

瑞鶴『は、はい……』

汚っさん『駄目だよ、軍人さんがこんなことしちゃあ……とりあえず警察に電話させてもらうね』

瑞鶴『うぅ……』

汚っさん『きっと君の基地にまで話がいって大変なことになるんだろうね……司令官が罷免されたり』

瑞鶴『提督さんが!?』

汚っさん『……そうだよ?君のせいで提督さんが路頭に迷うことになるかもね……』ニヤァ

瑞鶴『そんな!私、何もやっていないのに!!』

汚っさん『嘘はダメだよ~実際にここに証拠があるんだから』

瑞鶴『お、お願いします!!どうか警察には通報しないでください!!お金ならいくらでも払いますから!!』

汚っさん『そんなこといわれてもね~』

瑞鶴『何でもしますから!!』

汚っさん『何でも、ねぇ……じゃあ、』サワッ

瑞鶴『な!?』

汚っさん『こういうことでもいいなら、通報しないであげるよ』

瑞鶴『っ……!!好きにしなさいよ……!!』

汚っさん『じゃあ、下着姿になって』

瑞鶴『……!!くっ……!!』シュル シュル

汚っさん『いいねぇ~』サワサワ

瑞鶴『んっ……!!』ピクン

汚っさん『さすが若い子だ。風俗のババアとは肌の質が違うね』モミモミモミ ナデナデナデ

瑞鶴《このエロオヤジ……!!そいつは私の下着の上から暫く秘所や胸を愛撫してきた。気持ち悪いくて吐き気がする》

瑞鶴『んっ……くっ……』ピクンピクン

汚っさん『う~ん、瑞鶴ちゃんって結構控えめな胸だね』クリクリクリ クチュクチュクチュ

瑞鶴『チッ!!うるさいわよ!!黙ってできないの!?』

汚っさん『なんだい、偉そうに……その気になれば俺は通報することも可能なんだよ!?』

瑞鶴『っ……』

汚っさん『それに見ろよ!!こんなにはしたなく濡らしやがって!!本当は悦んでいるんだろ!!』

瑞鶴『ちがっ!!それは生理現象で……』

汚っさん『言い訳するなよ!!社会はそんなに甘くないぞ!!分かったらさっさとやるべきことをやったらどうなんだ!?』

瑞鶴『……や、やるべきことって?』

汚っさん『目上の人間には敬語で話しなよ!!謝罪するんだよ!!』

瑞鶴『は、はい……すいませんでした……』

汚っさん『そんなんじゃだめだよ!!私は万引きして警察に通報されるのを止めてもらうかわりに体を許すビッチで、今もはしたなく感じています。ごめんなさいって言いな!!』

瑞鶴『うぅ……くっ……ぐすっ……わ、私は、万引きして、警察に通報されるのを止めてもらうかわりに……か、……うぅ』ポロポロポロ

汚っさん『通報されたいみたいだね』

瑞鶴『い、いいます!!……ぐすっ……か、体を許す……び、ビッチですぅ……今も、はしたなく、感じています……ごめんなさい……ぐすっ』

汚っさん『ほう、じゃあお詫びのしるしに口でやってもらおうかな?』ボロン

瑞鶴『ひっ!?』

瑞鶴《こ、これが男の人のアレなの……!?こんなんがあそこに入るなんて無理よ!!》

汚っさん『さあ、早く!!』

瑞鶴『む、無理よ……できない……!!』

汚っさん『はぁ……仕方ないな。噛むなよ?』ズボォ

瑞鶴『な、何を……んふぅ!?んんんんんん!!』

瑞鶴《こいつはため息をついて私に近づくと、戸惑う私のツインテ―ルを掴み、強引に口の中に押し込んできた》

瑞鶴《大きすぎるソレが私の喉奥まで突き刺さり、吐きそうになる。まるでセックスのように私の口のなかを前後する》

瑞鶴『んふぅ!!お、おごぉ!!んはぁ!!んん!!』ブチュッ ブチュッ ブチュッ

汚っさん『おお、うまい舌使いじゃないか!いいぞ!』

瑞鶴《ひどく生臭いオスの匂いが私の咥内と肺、そして脳を犯す。頭がボーっとしてきた》

汚っさん『うっ……そろそろイいきそうだ……くっでる!!』ビュルルルル

瑞鶴『んぐっ……んぐっ……んぶぅ!?おええええ!!ぇ……げほっげほっ!!』

汚っさん『ふぅ、本当の強制イマラチオってのは癖になる。……鼻からザーメンたらしてる美少女ってのもなかなかいいものだな』

瑞鶴『うぐぅ……ぐすっ……』

汚っさん『ふむ、濡れ具合はまだまだってところか。仕方ない』

瑞鶴『もうヤダぁ……提督さん……っ!?や、やめてええええ!!』

汚っさん『じゅるるるる!!じゅばっ!!れろれろれろ』

瑞鶴『あっふぅん!!あ、やぁ……だめぇ……!!』ピクンピクン

瑞鶴《呆然として涙を流していた私に、そいつは下着をずらして私の秘所に吸い付いた。一番敏感な場所が無造作にいたぶられる》

瑞鶴《心で嫌がっていても、体は感じる。だってそういう風にできているんだから。自分の意志じゃどうしようもない》

瑞鶴『やめてぇ……!!だめぇ……!!ああっ少しでいいからぁ!!止まってぇ!!い、いちゃう!!イっちゃうからぁああああ!!』ビクンビクン

汚っさん『ふぅ……十分に濡れたね。じゃあそろそろ本番にしようか』スゥ

瑞鶴『はぁ……はぁ……はぁ……』

汚っさん「ふんっ……おー、処女だったのか!素晴らしい締まりだ!」ズプン

瑞鶴『はぁ……いっつ!!……え?え、え!?いやぁああああ!!』ニチィ トロォ

瑞鶴《提督のためにとっておいた私の処女は、この卑劣なオヤジに散らされた。刺すような痛みは耐えられても、その事実には耐えられなかった》

汚っさん『痛いかい?大丈夫、すぐに気持ちよくなるよ。んちゅ』ズップズップズップ

瑞鶴『嘘よぉ!!こんなの!!悪い夢だ!!んぅう!!んんんんんん!!』

瑞鶴《ファーストキスだったのに……この人に奪われちゃった》

瑞鶴《激しく突かれ、舌に口内を蹂躙され、痛みはいつのまにか快楽にかわっている。いつのまにか喘ぎ声を上げ始めている自分に気がつき絶望する》

瑞鶴《こんなの!!こんなのが初エッチだなんて認めない!!感じたりしないんだから!!》

瑞鶴『あっ!ああ!あん!あん!はぁん!』

瑞鶴《全部終わって帰ったら、すぐにうがいしてお風呂に入るんだ!!それで今日のことはなかったことにする!!》

汚っさん『うっふぅう』ビュルルルル

瑞鶴『はぁあん!!……え?』

瑞鶴《この感覚……まさか……》

汚っさん『いやぁ……年甲斐もなくたっぷり生中出ししちゃったよ。まあ、責任は取るからね』

瑞鶴《な か だ し さ れ た》

瑞鶴『う、嘘……嘘……!!うぅ……ふぐぅ……!!』

汚っさん『もう年だなぁ……一回で限界だ』

瑞鶴『もう……帰らして……』

汚っさん『いいよ』

瑞鶴『えっ!?』

汚っさん『じゃあ次にできるのはいつだい?』

瑞鶴『……はっ?』

汚っさん『まさかこれで終わりだとでも思ったのかい?あれを見なよ』

瑞鶴《そこにあったのは、防犯カメラだった》

瑞鶴『……』

汚っさん『今日のことは全部録画してあるからね。もし君が逃げたりしたら、これをネットにアップするからね。提督さんにも送ってあげよう』



瑞鶴《その日は、それで帰った。寮について、お風呂に行く。シャワーでうがいして、体を流した》

瑞鶴《ベッドで布団に包まる。涙があふれてきて止まらなかった。目が覚めたら全部なかったことになっていればいいのに》



瑞鶴『提督さん、終わったよー!!』

提督『おお、ありがとう瑞鶴。ちょうどこっちも終わったところだ。今日はもう終わりにしようか』

瑞鶴『本当!?やったぁ!!……!』ブーンブーンブーン

提督『? どうした?なにかあったのか?』

瑞鶴『いや、何でもないよ!あはは……じゃあ私、コンビニ行ってこようかな。なんか買ってきてあげようか?』

提督『え、うーん……じゃあ何かオススメのアイスでも買ってきてもらおうかな』

瑞鶴『うん、まかせて』

提督『おう、気を付けてな!……やれやれ、いつになったらディナーに誘えるようになるのか……』



汚っさん『来たね、早速始めようか』

瑞鶴『……』キッ



汚っさん「はぁ、はぁ、はぁ、うっでる!!」ビュルルルル

瑞鶴『んっ……くぅ……!!』ビクンビクン

汚っさん『ふぅ……ひくひく痙攣してるよ?イけるようになってきたみたいだね。開発のした甲斐があってよかったよ』

瑞鶴『っ……!』



瑞鶴『……あ、コンビニ』

瑞鶴《そういえば提督さんがアイス欲しいって言ってたっけ。正直、もうコンビニなんて嫌だ。行きたくない。けど買ってきてあげるって言っちゃったし》

店員『いらっしゃいませー』

瑞鶴『……あ、パピコ』

提督【ありがたいが、しかし俺もアイスクリーム頭痛になりそうだからなぁ……そうだ、ならもう温まっているのを頂こうか】

瑞鶴【え、どういうこtんっ!!】チュッ

提督【……うん、堪能した】

瑞鶴『……』

汚っさん【はぁ……仕方ないな。噛むなよ!?】ズボォ

瑞鶴【な、何を……んふぅ!?んんんんんん!!】

汚っさん【うっ……そろそろイいきそうだ……くっでる!!】ビュルルルル

瑞鶴【んぐっ……んぐっ……んぶぅ!?おええええ!!ぇ……げほっげほっ!!】

汚っさん【ふぅ……鼻と口からザーメンたらしてる美少女ってのもなかなかいいものだな】

瑞鶴『提督さんと……一緒に食べたかったな……私の口、もう汚されちゃったよ』ポロポロ

瑞鶴《結局、普通のカップアイスを買って帰った。提督さんが喜んでくれてよかった》



瑞鶴『……来たわよ』

汚っさん『ようこそ。じゃあさっそく楽しもうか』



瑞鶴『んっ!あぁ!はぁう!つぅ!』パンパンパンパンパン

汚っさん『ふひひ、喘ぎ声を隠さなくなったね』

瑞鶴『っ!!』



汚っさん『うーん。やっぱブルマはいいねぇ……』

瑞鶴『こんなの、いまどきどこも使ってないわよ。変態じゃないの』

汚っさん『おやぁ?その割には君も嫌がらなかったけどねぇ』

瑞鶴『それはっ……』



瑞鶴《とうとうホテルにまでついて行くようになっちゃった。二人でお風呂なんて……すごいドキドキする》

汚っさん『んっちょっと催してきたな……そうだ瑞鶴。お前、俺の小便のめよ』

瑞鶴『はぁ!?そんなの嫌よ!!本当に頭おかしいんじゃない!?』

汚っさん『……ちっ』

瑞鶴『!!わ、分かったわよ……飲めばいいんでしょ、飲めば……』

汚っさん『よし、じゃあ口開けろよ。……お、出るぞ』ズポッ チョロロロロ

瑞鶴『んぐっ……おごぉ!!うぐぅ!!』ゴクンゴクン

汚っさん『ふぅ……俺の小便まで飲むとか。お前本当は俺のこと好きなんじゃないか?』

瑞鶴『げほっ……だ、誰があんたのことなんか……』

汚っさん『ふーん。そんなこと言うのか。頭にきた。じゃあ今日は罰として生ハメだから』

瑞鶴『な、生ハメ……』



汚っさん『くっ、出そうだ……!!お前のマン○に俺の濃厚なザーメンをぶちまけてやるからな!!』ドッチュドッチュドッチュ

瑞鶴『いあやぁ!!やめて!!妊娠しちゃう!!』

汚っさん『うっ!!ふぅ……』ビュルルルルルルルル

瑞鶴『あああああああ!んはぁ…… で、出てる……私の中に……濃いのがたっぷり……』ビクンビクン

汚っさん『これからは生ハメしていくから妊娠したくないならちゃんとピル飲んでおけよ?まあ、責任とってやってもいいけど』

瑞鶴『はい……』

瑞鶴《とうとう最後の砦まで堕ちちゃった……私の全部、あいつのものにされちゃった……》



提督『お、瑞鶴。またコンビニか?』

瑞鶴『提督さん!うん、そうだよ』

提督『気を付けてな』

瑞鶴『ありがとう! ふふふふふ~ふふ~ふふふ~ふふ~ん♪』

提督『瑞鶴の奴、元気なくて心配したけど、元気になったみたいだな。よかった』



瑞鶴『あっ!!あっ!!あっ!!あっ!!』ズチュッ ジチュッ ズチュッ

汚っさん『おいおい、俺は腰を振ってないぞ?』

瑞鶴『い、言わせないでよ!!気持ちいいのよ!!』

汚っさん『アナ○が気持ちいいとかお前もどすけべになったな』

瑞鶴『そんなのないんだから!!私はどすけべじゃないもん!!』

汚っさん『鏡見てから言えよ。……ふぅ、でる!!』ビュルルルル

瑞鶴『ああああん!!はぁっ!!んふぅ……』ビクンビクン

汚っさん『ふぅ……瑞鶴』

瑞鶴『ん……むちゅっ、れろれろれろ』

汚っさん『そんな愛おしそうな顔でお掃除フェ○するようになるとはな。どうだ?そろそろ俺の彼女になるか?』

瑞鶴『れろれろれろ……ちゅぽん。そんなの、絶対にお断りよ///』

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提督「ってことになるだろう!?そうだろう!!」

ビスマルク「……あり得るわけないじゃない」ジトォ

提督「嘘だそんなことぉ!!」

ビスマルク「こうなるわよ」



汚っさん『きっと君の基地にまで話がいって大変なことになるんだろうねぇ……司令官が罷免されたり』

瑞鶴『提督さんが!?』

汚っさん『……そうだよぉ?君のせいで提督さんが路頭に迷うことになるかもねぇ……』

瑞鶴『そんな!!私、何もやっていないのに!!』

汚っさん『嘘はダメだよぉ~実際にここに証拠があるんだから』

瑞鶴『お、お願いします!!どうか警察には通報しないでください!!お金ならいくらでも払いますから!!』

汚っさん『そんなこといわれてもねぇ~』

瑞鶴『何でもしますから!!』

汚っさん『何でも、ねぇ……じゃあ、』サワッ

瑞鶴『な!?』

汚っさん『こういうことでもいいなら、通報しないであげるよ』

瑞鶴『っ!!ダメ!!』バッ

汚っさん『なっ!?いいのかい!?警察に通報するからな!!』

瑞鶴『っ!!で、でも!!それだけはダメ!!それをしていいのは……提督さんだけなんだから……』

汚っさん『この万引き犯め!!提督がどうなってもいいみたいだな!?』

瑞鶴『万引犯じゃない!!私、やってないもん!!絶対に!!……そうよ、やってないわ!!だから警察でも何でも呼べばいいじゃない!!』

汚っさん『こいつぅ!!』

瑞鶴『私も提督に連絡するから!!』

汚っさん《なんだと!?くそ!!予想外の展開だ!!大事になったら監視カメラの映像をチェックされて、俺が入れたのがばれてしまう!!》

汚っさん『ふざけるな!!やめろ!!』

瑞鶴『なんでよ!!別に逃げたりしないから!!こっちは国家に属する組織なのよ!?』

汚っさん『わ、分かった!!もういい!!今日の所は勘弁してやるからもう帰れ!!二度とやるんじゃないぞ!!』

瑞鶴『!?……あやしい!!』

汚っさん『はぁ!?』

瑞鶴『いきなり態度が変わりすぎじゃない!!もし私が本当にやったと思っているなら警察を呼べばいいだけだわ!!』

汚っさん『だ、だから勘弁してやるって言ってるだろ!?』

瑞鶴『すぅ~はぁ~。ふぅ…… なんでいきなり勘弁したのよ?何か警察を呼んだら困る事でもあるのかしら?』

汚っさん『な、何もねぇよ!』

瑞鶴『ないなら、提督を呼んでも構わないわね?』

汚っさん『くっクソアマめ!!』スッ

瑞鶴『止まれ!!』

汚っさん『!?』

瑞鶴『私は毎日のように深海棲艦と戦ってるのよ?艤装の力が無くても一般人なんかに負けるわけがないでしょう?』スッ

汚っさん『ひい!?』

瑞鶴『分かったら大人しくしていなさい。いい?』

汚っさん『わ、分かりました……』



提督『うん?電話か?瑞鶴からか』モーシモーキーミーガー

提督『もしもし?』

瑞鶴『提督さん?私だけど、ちょっとコンビニまで来てくれない?』

提督《声の調子がおかしい……何かあったのか?》

提督『分かった。すぐに行く』

瑞鶴『ありがとう!提督さん……私、万引きしたって言われて……けどやってないの!!本当だよ!!』

提督『なに?馬鹿な。お前がそんな事するわけないってわかってるよ』

瑞鶴『提督さん……!!私、怖くて……警察に通報されたくなければ……エッチな事させろとか言われるし……ぐすっ』

提督『なん、だと…… すぐに行く!!電話はつないだままにしておけ!!』

瑞鶴『提督さん……!!うん!!』

提督『吹雪!!警察の手配を頼む!!すぐそこのコンビニだ!!』

吹雪『えぇ!?は、はい!!分かりました!!』



瑞鶴『提督さん!!』ダキッ

提督『瑞鶴!!』ダキッ

瑞鶴『怖かったよぉ……!!警察に通報したら提督さんが路頭に迷うことになるとか言われて、私、どうすればいいか分からなくて……!!』ポロポロポロ

提督『もう大丈夫だ……で?うちの瑞鶴が何をしたって?』

汚っさん『そ、その……万引きを……』

提督『ほぅ……で、証拠はあるのか?』

汚っさん『いえ、その……カバンの中からグミが出てきて』

提督『本当か?』

瑞鶴『うん……でも、本当にやってないの!!』

提督『そうか、分かった。……それでは、監視カメラの映像を見せてもらおうか?』

汚っさん『い、いくら軍人とはいえ、見せるわけにはいきません…… 警察でもないと……』

警察『すいませーん!!通報があって来ましたー!!』

提督『いいタイミングだ。じゃあ監視カメラの映像を見せてもらおうか』

汚っさん『は、はい……』

瑞鶴【ふーん♪】

汚っさん【……】スッ

提督『……決まり、みたいだな』

汚っさん『……』

警察『はい、午後8時54分36秒、脅迫罪及び強制わいせつ罪で現行犯逮捕』

瑞鶴『提督さん、提督さん!!』ギュッ

提督『瑞鶴、怖かったろうな。今日はもう帰ろう。アイスなら俺が買ってやる。どれがいい?』

瑞鶴『うん、ありがとう!!じゃあその抹茶パピコをお願い』

提督『なんとまあ!!抹茶味が出たのか!?俺も買おうかな』

瑞鶴『あ、大丈夫だよ、パピコだし。二人ではんぶんこしてたべよ?』

提督『瑞鶴……ああ、分かった』

瑞鶴『……♪』スリスリ



提督「……自分の好きな人が路頭に迷うと言われたら、受け入れざるを得ないものではないか?」

ビスマルク「いや、普通に助けを求めるでしょう。それしかないのならそうするかもしれないけど」

提督「普通に助けを求めるだと……?しかし、助けを求めるなら警察を呼ぶと言われても呼ぶと思うか?」

ビスマルク「ええ、もちろん。一万円払ってもらおうかとかなら払う子もいるかもしれないけど。それが体の関係ともなれば受け入れる子なんていないわよ」

ビスマルク「女としての一番大切なものが危機にさらされているんだから、頼れる男性に助けを求めるのは当り前よ。そもそも、身に覚えがないしね」

提督「!! じゃあ身に覚えがあるならどうだ!?」

ビスマルク「はぁ?貴方、ズイカクがそんな事すると思っているの?」

提督「まさか!!たとえばの話だ!!」



瑞鶴《ほんの出来心だった。ただ、悪いことをしてみたいとか、そういった特に意味のない理由からだった》

汚っさん『何か弁解することはあるかい?』

瑞鶴『……』

瑞鶴《まさかこうなるなんて……》

汚っさん『何もないかい?じゃあ警察に通報させてもらうね』

瑞鶴『……』

汚っさん『はぁ、それにしても提督さんも可哀そうに。これで処分確定だな』

瑞鶴『え!?』

汚っさん『……もちろんそだろう。部下が犯罪行為をしたなら、それが上司の教育が悪かったにつながるのはごく自然だ』

瑞鶴『そんな……け、警察へ通報するのだけは止めてください!!』

汚っさん『へぇ……じゃあ、もしおじさんとセックスするなら通報しないでいてあげる』

瑞鶴『セックス!?』

汚っさん『どうする?俺はどっちでもいいよ?』

瑞鶴『お金払うじゃダメなの……!?』

汚っさん『もちろん』

瑞鶴『……っ!!分かったわよ……』

汚っさん『いいね!ふひ!じゃあさっそくやろうか』

瑞鶴『っ……!!』



提督『ほら、これなら隙が無い!!』

ビスマルク『……うーん。かもね。けど、こういった事で関係を持っても、心まで靡かないから』



汚っさん『ふぅ……でたでた』

瑞鶴『……終わったのなら帰るわよ?』

汚っさん『もう?』

瑞鶴『だって、貴方と話すことないし』

汚っさん『瑞鶴ちゃん、もっと仲良くなろうよ~』

瑞鶴『お断りね。私が貴方に抱かれるのは、提督さんの為だけだから』

汚っさん『え~コレの虜になるのはいつなんだろう』ボロン

瑞鶴『ならないわよ。多少平均より大きくても、いれた具合はそんなに変わらないから。大切なのは愛でしょ』



提督「そんなバカな……!?」

ビスマルク「それからこうつながるわね」



汚っさん『ふぅ……何度抱いても飽きないね』

瑞鶴『……』

汚っさん『……それで、次に会えるのはいつなんだい?』

瑞鶴『これが最後よ、ケダモノ』

汚っさん『……は?』

瑞鶴『最後って言ったの。もう二度と会わないわ』

汚っさん『自分の立場が分かってないの?』

瑞鶴『それは貴方の方でしょ?』

汚っさん『はぁ?』

瑞鶴『あれからもう一週間。少し調べたけれど、防犯カメラの記録はもう上書きされてるでしょ』

汚っさん『なるほどねぇ……まあ、考えたみたいだけど。生憎、個別に保存してあるから』

瑞鶴『私が万引きしたところを?それとも、強姦しているところを?』

汚っさん『あれは和姦だろ?』

瑞鶴『音声なしで、そう思ってくれるかしらね?』

汚っさん『……』

瑞鶴『まあ、どちらにせよ、大切なのはコンビニの関係者がもうその映像を確認できない事だから』

汚っさん『つまり?』

瑞鶴『もうあんたに従う必要はないってこと』

汚っさん『いいのか?俺が保存している動画を使うぞ?』

瑞鶴『そうすればお前も破滅するわよ?防犯カメラの映像を勝手にコピーしたり、私に脅迫や強姦したりしたんだもの』

汚っさん『なっ……!?』

瑞鶴『一週間、付き合ってあげたでしょ?このことはなかったことにするわ。互いにとって悪くない取引でしょう?私にとっては、これでもう自由になる』

瑞鶴『お前にとっては、一週間私を自由に楽しんだうえに、何のリスクもなく手を引けるのよ?』

汚っさん『……』

瑞鶴『ここが潮時よ。どうすればいいかは一目瞭然だと思うけど』

汚っさん『……ちっ。分かった。もう終わりにしてやろう』

瑞鶴『交渉成立ね。じゃあさようなら』



提督「……なんとまあ。いや、確かにそうなのか?しかし……そんなわけ……」

ビスマルク「少なくとも、ヤられ続けるようなことはないわね」

瑞鶴「提督さーん、ピノ買って来たんだけど一つ食べない?」

提督「瑞鶴!!ちょうどいいところに!!お前、もし万引きしたことを隠す代わりに汚っさんバイトにセックスさせろって言われたらどうする?」

瑞鶴「はぁっ!?って、え?せっ……何!?」

提督「ちなみに、もし警察に通報されるとお前の愛する人まで一緒に破滅するとしたらだ」

瑞鶴「意味不明よ!!本当にどうしたのよ!?」

提督「大事な質問だ。答えてくれ」

瑞鶴「わ、私……そんなことしたことないよ?本当に。何かあったの?」オドオド

提督「いや、本当に仮定の話だ。ただ自分の意見を言ってくれればいい」

瑞鶴「……わかった。そうね、もし、万引きがばれて提とkゴホン!!……愛する人を破滅させるか、相手の言いなりになって体を許すとしたら……」

提督「……!」ゴクン

ビスマルク「……」

瑞鶴「……目撃者を殺してなかったことにする。かな……」クスッ

提督&ビスマルク「「!?」」ゾクッ

瑞鶴「なんて!冗談だよ、あはは!考えてみたけどそういうことはよくわからないから、力になれないわね」

提督「そ、そうか。ははは!驚いたぞ」

瑞鶴「うふふ!提督さんが変な事聞くからいけないんだからね!罰としてピノはお預けです!」

提督「一つくらいいいだろう」

瑞鶴「駄目です!」

提督「……仕方ないか。すまなかったな、瑞鶴。特に意味はないから気にしないでくれ」

瑞鶴「分かった。じゃあ、失礼するね」

提督「うむ」

瑞鶴「……」チラッ

ビスマルク「……」

提督「……? ビスマルク?瑞鶴?どうしたんだ」

瑞鶴「……何でもない。じゃね」

提督「あ、ああ。……何だったんだ?」

ビスマルク「……さあ?ともかく、これで脅されてもそういうことはないってわかったわね?」

提督「くっ!まだだ!まだ終わらんよ!合コンでチャラ男にNTRれるのはどうだ!?」



ギャル『マジでお願い~!!このまえ大和っちの写真見せたらみんなが呼べ呼べうるさくてさ~人助けだと思ってお願い!』

大和『しょうがないなぁ……分かったわ』

大和《昔の友人から強引に合コンに誘われた私は、つい断れず参加することにしてしまった》

大和《高校デビューしてから雰囲気が変わって近づき難くなり、艦娘になってからは疎遠になっていた子だ。今頃連絡してくるとは思わなかった》

大和《私は合コンが初めてだ。けど、実は少女漫画で読んだことで、ちょっと興味を持っていた。少しだけ楽しみだったけど……今は後悔している》

キャハハ エーマジ? マジマジ オレッテマジワルイヤツダカラサァ

大和『……』

大和《私以外の人は、男も女もみんな遊んでいるって一目見れば分かる外見だった。この場のノリにもついて行けない》

大和《やっぱり漫画とかにあるようにはならないよね。いや、帰りが遅い私を心配して提督が来てくれたりするかも》

チャラ男『そろそろ頃合いだわ。ちょっと大和ちゃん堕としてくる』

ヤンキー『マジやべーわwいけたら画像送れよw』

チャラ男『おう、任せろよw』

大和『……そろそろ帰ろうかな』ズズズ

チャラ男『大和ちゃーん飲んでるぅ?さっきからちょっと静かだよねぇ?おしとやかな子な感じ?』

大和『え?あ、チャラ男さん。いえ、ちょっとこの雰囲気に慣れなくて』

チャラ男『あ~分かるわぁ~大和ちゃん真面目そうだもんねぇ~けど、こういう時ぐらいハメ外した方がいいって』

大和『あははは……』

チャラ男『お、これただのジュースじゃん!俺が奢ってあげるからさ、これ飲んでみなよ』

大和『いや、悪いですから…… なんですか、これ?』

チャラ男『これ?スクリュードライバーっていうの。オレンジジュースみたいなもん!アルコールも強くないし、試してみ?』

大和《それは本当にただのオレンジジュースみたいで、少し興味のあった私は飲んでみることにした》

大和『じ、じゃあいただきます。ん……っ!』

チャラ男『どう?うまいっしょ』

大和『はい、お酒ってこんなに美味しいものなんですね』

チャラ男『カクテルはマジでいろいろな味あるから好みの奴探してみ?ほら、こっちはカシスソーダ。炭酸大丈夫?』

大和『大丈夫ですよ。なんかワインみたい』

チャラ男『ワインベースのカクテルもあっからさ、今日はいろいろ試してみて好みの奴見つけようぜ』

大和『へぇ~すごいですね』



大和『ひっく……』クラクラ

チャラ男『よし、一丁できあがり。じゃあオレこの子介抱して家に送っから先抜けるわ』

ヤンキー『やべーwマジでやりやがったw』

ギャル『気を付けてね~』

チャラ男『大和ちゃ~ん立てる~?』

大和『は~い、たてますよぉ~大和はぁ~大丈夫ですぅ~』

チャラ男『じゃあ肩貸してあげるから行こうか~』



ズッチュズッチュズッチュ

大和『んぅ……』

大和《あれ、私どうなったんだっけ?頭とあそこがじんじんする……》

大和《……え?あそこ?》パチッ

チャラ男『ふぅ……!!ふぅ……!!』ズッチュズッチュズッチュ

大和『……え?え!?』サァ

チャラ男『お、ほぉっ……!!起きた大和ちゃん?』

大和『な、あん!なんで……!!』ピクン

チャラ男『どう?感じるようになってきたっしょ?初めてでもちゃんと前戯してローション使えば普通に気持ちよくなれっから』

大和『そ、そんなことどうでもいいです!なんでこんなことになって……!?』

チャラ男『え~何でって俺ら付き合い始めたじゃん。あっ別に突き合うとかけてるわけじゃないからな?』

大和『何を言って……そんな事言われても知りません!!』

チャラ男『知らないって傷つくわ~まあ、証拠はあとで見せてあげるからとりあえず一回イかせて』ズチュズチュズチュズチュ

大和『や、止めて!!止めてぇ!!』

大和《私の初めて。提督にあげたかったのに、奪われちゃった…… 意識のないうちになんて…… 大切に、守ってきてたのに……こんな……!!》ツゥ

チャラ男『くぅ、出る』ビュルルルル

大和『っ!?いやぁああああ!!』

チャラ男『うっ……ふぅ……いやぁ気持ちよかったわ~大和ちゃんまじ名器、顔も胸も今までの女の中で最高だし、ついてるわ~』

大和『うぅ……ぐすっ……!!』ポロポロポロ

チャラ男『おいおいおい、泣いちゃうそこ?せっかく彼女を悦ばそうと思って頑張ったのにガチで傷つくわ』ズルッ ドロッ

大和『彼女!?……な!?……ひ、避妊せずに……ぐすっ……したんですか!?』

チャラ男『だって俺、そんなつもりなかったからゴム持ってきてないし。アフターピル飲めば大丈夫っしょ』

大和『なんて無責任な!!』キッ

チャラ男『……さっきから被害者ぶってっけどさ、そもそも誘ってきたのはそっちだからな?』

大和『嘘ですよ!!そんなことする訳ありません!!』

チャラ男『じゃあこれ見てみろよ』つスマホ

大和『!!??』

大和《そこに写っていたのは、どこかの道端でこの男とキスしている私だった。全く記憶がない》

大和《私は提督さんにそうしたいと妄想していたように、首に手を回して唇を重ねている。いや、それだけじゃない》

大和《開いた口からして、とても濃厚なディープキスをしているとしか思えない。ありえない》

大和《こんな肌を焼いて金髪に染めてピアスを付けたような奴!!私の好みはアトミラールさんのような真面目で誠実な人なのに!!》

大和『こんな、酔ってr』

チャラ男『これだけじゃねぇからな?ほら』

大和『なっ!!そんな……!?』

大和《その男が見せてきたのはありえない写真の数々だった》

大和《その男に胸を揉まれている私、スカートをたくし上げて下着を露出している私、チャックを下ろして露出している猛った男の性器を手で握っている私》

大和『言っとくけどこれ全部お前が自分からやってきたんだからな?動画もとってあるから見ろよ』

大和『……』マッサオ

チャラ男【はい、じゃあもう一度どうぞ~】

大和【はい!私は、貴方が好きです!あなたがしたいことなら何でもします!】

チャラ男【マジで?エロい事も?】

大和【ウェルカムです///】

チャラ男【いいねぇ~じゃあそういう時はどうすればいいんだっけ?】

大和【こういう時は、あそこにあるホテルでぇ、少し休んでいきませんか?】

チャラ男【マジか~そうなったら俺、我慢できなくなるかもしれないけどいいの?】

大和【はい!もちろん!】

チャラ男【おほっ!!実は俺もお前のこと結構かわいいと思ってたんだよねぇ!】

大和【嬉しいです!私も会った時からカッコいい人だなって思っていました!……私と付き合ってくれませんか?】

チャラ男【余裕でOKだわ。じゃあ行こうか】

大和【あ、ありがとうございます!】

チャラ男『ここで終わりなんだけどさ、まだいうことなんかある?』

大和『そん……な……』

大和『はぁ~マジで傷ついたわ。ぜってー許さねえから。ギャルに頼んでこの事周りに言いふらさせるからな?もちろんお前の今のダチとかにも全員な?』

大和『や、止めて!!』

チャラ男『ふざけんなよ。お前自分がそういうことされたら許せるのかよ』

大和『そ、それは……お酒のせいで……』

チャラ男『酒のせいにすんのかよ。マジで最悪だな。分かったらさっさとどっか消えろよ』

大和『……』グスッ

チャラ男『……んだよぐすぐすぐすぐすと。うぜえから早く消えてくれない?』

大和『ごめんなさい……お願いですから許してください……酔ってたんです……』

チャラ男『だからぁそれで許せるわけないっての!!さっさと消えろよもう』

大和『何でもしますから!!何でもしますから言いふらすのだけは止めてください!!』

チャラ男『何でもかよ……じゃあ俺と付き合ってくれる?』

大和『えっ……』

チャラ男『俺もさ、ああ言われてカッとなっちまったけど、酒の間違いってのはまあ分かるわけよ』

チャラ男『でも俺は大和ちゃんのことマジで好きになったからさ、はい、そうですかで見逃せないわけ』

大和『……』

チャラ男『だからこれから一ヵ月俺と付き合ってくれよ』

大和『えっ一ヵ月?』

チャラ男『そう、一ヵ月。その間に俺は大和ちゃんを惚れさせてみせるからさ、だからその間だけ俺にアピールさせてくれよ』

チャラ男『もし一か月たっても俺のことが好きになれなかったらその時はまあ別れるのも仕方ねえからさ』

大和『一ヵ月……』

チャラ男『な、悪くないだろ?』

大和《ここで断れば、こんな痴態をみんなに知られちゃう……お酒に呑まれた私の自業自得よね……こんな奴に惚れるとありえないし、受けるしかない》

大和『分かりました……それでお願いします』

チャラ男『よっしゃ!!じゃあさっそく二回戦突入しようか』

大和『え!?』

チャラ男『付き合ってるオトコとオンナは、ヤるのが当たり前だろ?』

大和『……っ!!……分かりました』

チャラ男『よし、じゃあ気持ちよくさせてやっから期待してな』

チャラ男《うまくいったぜ!あの画像は泥酔しててよくわかってないところでああやってとっただけだからなぁ》

チャラ男《動画も大和ちゃんが好きな提督とかいう奴が喜ぶからやってみ?俺が練習相手になってやるよって撮ったやつだ》

チャラ男《記憶がとんでなかったらどうしようかと思っていたが、うまくいったな》

チャラ男『にしてもホント大和ちゃんって理想の女だよなぁ。顔はもちろん、体つきも最高!挙句の果てにはこういった評価が下がりやすい所まで完璧だもん』サワッ

大和『っ……』

大和《そういうと男は私の恥丘に薄く茂った陰毛を撫でつける。こんな所まで見られて、悲しみと羞恥に打ちのめされる……》

チャラ男『脱毛してるような面白味のない奴とは違うし、ケツの穴の周りまでびっしりなゴリラ女でもない。剃らずにこれなの?それともちゃんと処理してるの?』

大和『……処理は、していません。もともとそんな生えない体質みたいで』

チャラ男『いいねぇ~最高だよ』クチュッ

大和『んっ……はぁ……ああ……』

大和《男はひとしきり私を褒めると、おもむろに私の秘所を愛撫してきた。生理的な現象はどうしようもなく反応してしまう》

大和《一番気持ちのいいところをあえて放置するいやらしい触り方、悔しいけどこいつは上手い。自分で触るのとは比べものにならないぐらいに昂る》

大和『はぁ……つぅぁ……ああん!!』ピクン

大和《声が漏れちゃう!!こんなの……駄目なのに》

チャラ男『おし、十分焦らしたっしょ。イかせてやるよ。普通にやった時とは比べものにならないから期待してな』クチュクチュクリクリ

大和『んっ!!はぁあ!!だ、だめええええ……!!』ビクンビクン

チャラ男『おっと、まだ終わりじゃねえぞ?』ジュプジュプジュプ

大和『ああああ!!イったばかりだから!!イったばかりだからやめてぇ!!』

大和《ただただ女をおかしくするだけが目的の乱暴な指使い。敏感になっている私の肉芽に無造作に快楽を送り込んでくる》

大和『いやぁああああ!!おかしくなっちゃう!!おかしくなるぅ!!』プシャァア ビクンビクン

大和《そのまま再び絶頂を迎えるまでされてしまった。脱力して何もできなくなってしまう》

チャラ男『どう?気持ちよかったっしょ?』

大和『……知りません』

チャラ男『いやいや、潮吹いてたのに強がっても無駄だからw』

大和『……!!』ギュッ

チャラ男『おし、じゃあ今度は俺が気持ちよくしてもらおうかな』ビンビン

大和『!?』

大和《これが男性のあれ……!!なんて大きさなのかしら……こんなのがここに入っていたなんて信じられない》

大和『……』ゴクン

チャラ男『ガン見し過ぎだだろw まあ、俺のはすげえでかいから気持ちはわかるわ。今までの女も虜になってたし』

大和『そ、そんな事!!じゃあなぜ貴方に彼女がいないのかしら?』

チャラ男『あ?ああ、それは俺が振ったから』

大和『……なぜ?』

チャラ男『俺って結構純情だからさ、体の関係が第一とか無理なんだわ。けど今までの女はこれの虜になっちまってセックスばっか求めてきやがんの』

チャラ男『だから振ってやった。まあ、どうしてもっていうからセフレ程度にはしてやってっけどなw』

大和『なんてことを……最低です!!私は、そんな人に惚れたりなんてしません!!』

チャラ男『怒んなってw 被害者は俺だから。まあ、大和ちゃんは違うって信じてっから安心だけど』

大和『当たり前です!!私はそんな風にはなりません!!』

チャラ男『分かってるって。とにかく待ちきれねぇからさ、続けようぜ?早くしごいてくれよ』

大和『っ……こ、こうですか?』ナデナデナデ

チャラ男『うーん、悪くはねえけどやっぱ物足りねえなぁ。もっと強く握って緩急着けろよ』

大和『……』シュッシュッシュッシュッ

チャラ男『おほ!!いいわこれ!!後は裏スジとかカリ裏とかも忘れずにな?』

大和『……』グニグニグニ

チャラ男『やっべぇ……すげえよコレ……そのまま、そのまま……うっ!!』ビュルルルル

大和『きゃあ!?』ビチャ

チャラ男『ふぅ……すっげぇ良かったわ。じゃあ舐めてもう一度たたせて』

大和『うぅ……顔だけじゃなくて、髪にまで……はっ!?何、言ってるのよ!?』

チャラ男『普通だから!フェ○ぐらい普通だから!はやくしてくれよぉ。じゃないと皆に言いふらすぞ?』フリフリ

大和『くっ……あむ』

チャラ男『ちゃんと根元まで咥え入れろよ?それで舌と唇で愛撫すんの。……あぁ、そこそこ。それいいわ』

大和『ちろちろ……んじゅっじゅるるるる、ずちゅぅ、ぶちゅう』

チャラ男『おしおしおし……おし、ストップ』

大和『んはぁっ……ぺっ』

チャラ男『行儀わりいなぁ。じゃあこっち来いよ。俺の膝の上に向かい合ってまたがれ』ギシギシギシ ボスン

大和『……』

大和《そういうと、男はベッドの端に腰かけ、膝を叩いてくる。従わざるを得ない。黒光りする猛々しいアレがぴくぴくと痙攣している》

チャラ男『あ、普通に足は俺にまわせよ?あと何があっても俺を抱きしめて手をはなすな。危ないからな』

大和『えっ……何をするつもりなの?』

チャラ男『快感で頭ぶっ飛ばしてやろうとしてんの。ほら、はやく。自分でいれろよ』

大和『……んっはぁ』ギシッ ジュプププ

チャラ男『おほっ……よし、じゃあ行くぜ?』ズチュンズチュンズチュンズチュン

大和『んっふぅ!?はぁん!!ああああ!!だめぇええええ!!』

大和《男はベッドのスプリングを利用して、ばね仕掛けの人形のようにありえない激しさで私を突き立てる》

大和『しきゅう!!しきゅうこわれちゃうからぁ!!』

チャラ男『大丈夫だって!!怖がらないで受け入れな!!ポルチオ覚え込ましてやるよ!!』パンパンパンパンパン

大和『いやぁああああ!!』

大和《今まで感じたことのない、疼くような快楽を一番奥で感じる。長く太いアレが私の子宮を突き上げ、膣の中をそれの形に拡張していく》

大和《体が作り替えられていることを感じた。この男専用の女になっていくことに抗えない。すでに手遅れだ。耐え難い快楽に思わず男を強く抱きしめてしまう》

チャラ男『ノってるみたいだねぇ!!んちゅ』

大和『んぅ!!ふぅん!!はぁ!!れろおれろおれろお、じゅるじゅる』

大和《唇を重ねられ、舌が侵入してくる。私は自分の舌を絡ませ、熱いディープキスを交わす》

男『んはぁ……やべえ、そろそろ出るわ……!!大和!!お前を孕ましてやる!!』パンパンパンパンパン

大和『はぁん!!染まっちゃう!!全部あなたに染まっちゃう!!』

チャラ男『染まれ!!大和!!俺に染まれ!!くぅ!!』ビュルルルル

大和『ああああああああ!!』ビクンビクン

チャラ男『ぅ……ふぅ……最高だったわ』

大和『あひぃ……』ビクッ ビクッ

チャラ男『な?どうだったよ。めっちゃ良かったろ?俺の彼女になるってもう決めねぇ?』

大和『ら、らめぇ……まだ決められないのぉ……』

チャラ男『そうかよ。まあ、あと一ヵ月あるし、じっくり考えてくれや』



提督『大和、ちょっといいか?次の出撃についてなんだが』

大和『提督、はい。大丈夫ですよ』キラッ

提督『よし。……ん?お前、ピアスなんてしてたのか?』」

大和『え?あ、はい。ちょっといいなって思って』

提督『そうか……それで次の出撃なんだが』



ザワザワザワ

提督『ん?重巡たちが騒いでるな……どうした?』

筑摩『あ、提督さん。こんにちは』

利根『おお、提督!なに、大和の下着がえぐいって話をしとっただけじゃ』

提督『!?』

古鷹『ちょっと利根!!提督さんとは言え男の人なんだから!!』

利根『む、確かにのう……済まんが忘れてほしいのじゃ』

提督『いや、無理言うな』

青葉『まあまあまあ!図らずとも提督に知られてしまったわけですし、この際これが男性からしてみてどの程度のレベルか聞きましょうよ』

古鷹『青葉!』

加古『まあいいんじゃない?ちょっと気になるし』

衣笠『確かに』

青葉『決まりですね。じゃあこれを見てください』スッ

提督『全く。盗撮は止めろとあれほぶほっ!!??』

筑摩『盛大に吹き出しましたね……やはりあれは男性としてもなかなかえぐい一品の様ですね』

利根『まあ分かってたのじゃ』

提督『まさか……あの大和がこんなのを?』

提督《青葉が渡してきたのは、大和のスカート内の盗撮画像だった。大和が穿いているのは……かなりえぐい下着だった》

提督《そもそも、下着としての役割を果たしていない。青葉の手で黒く塗りつぶされてはいるが、実際は秘所が露出しているだろう》

提督 《男を興奮させる以外の目的が全く分からない。そんな下着をあの大和が穿いているなんて……》

衣笠『少し前までは普通だったのにねぇ……』

加古『ははぁ~ん……これは男でもできたかな』

提督『なん……だと……』



大和『提督、艦隊が帰投しました』

提督『ご苦労様!ゆっくり休んでくれ。……ん、肩になんかついてるぞ?ってお前、入れ墨してるのか?』

大和『え、あ、はい。そうですよ?』

提督『いつからだ!?』

大和『少し前からです。……えっと、駄目ですか?』

提督『……いや、そういうわけではないが』

大和『そうですか、良かった。じゃあ失礼しますね』

提督『ああ』



武蔵『提督』

提督『武蔵か。どうした?』

武蔵『貴様は口が堅いと思ってるがどうだ?』

提督『なんだ藪から棒に……まあ、約束は破らんよ』

武蔵『では、これから相談することは絶対に秘密にしてくれ』

提督《あのいつも凛々しい武蔵がこんな不安そうにするなんて!何があったんだ……?》

提督『分かった。話してくれ』

武蔵『ああ。……提督、これは私も信じがたいのだが』

提督『……』ゴクッ

武蔵『大和がピアスをしている』

提督『……ピアスゥ!?そんなの一か月くらい前からだろ』

武蔵『それは耳につけている奴だろう?』

提督『そうだ』

武蔵『私が言っているのはそれではない。……大和は、乳首にピアスをしているんだ』

提督『はぁ!?』

武蔵『私も信じられなかった!だがそれが真実だ。誰かに変に影響されたに違いない!』

武蔵『あいつは誰にも言っていないみたいなんだが、誰か男が出来たという話は聞いているか?』

提督『……いいや、聞いていない』

武蔵『そうか……なあ、提督。私はどうすればいい?あいつがおかしくなってしまったようで……とても嫌だ』

提督『……とりあえず、明日にでも大和と話をしてみよう』



提督『大和!!』

大和『はい?なんですか?私この後出かけるんですけど』

提督『出かけるってどこへだ?』

大和『どこでもいいじゃないですか。それより、何のようなんですか?』

提督『っ!?……お前、最近何か変わったことはないか?』

大和『はぁ?特にないですけど』

提督『……お前が胸にピアスのようなものをつけているという話を聞いてな』

提督『以前のお前からしてみたら考えられない行動だったから気になったのだ。そんなものつけてないよな?』

大和『そんなものぉ!?ちっ!!提督、マジでうざいですよ!!』

提督『!?』

大和『イかしてるじゃないですか。これだからダサイ連中は……』

提督『大和……?』

大和『とりあえず私は急いでいるのでこれで失礼します』

提督『待て!!何処へ行くんだ!?』

大和『……しつこい!!関係ないでしょ!?』

提督『っ』

大和『ふん!!』タッタッタッ

提督『ま、待て!!』

提督《追いかけたが、鎮守府のすぐ外に泊まっていた趣味の悪い改造車に乗り込んでしまい追いかけることができなかった》



提督《その後、大和は二日間の休暇の間、戻ってくることはなかった。そして》

大和『提督、失礼します』

提督『あ、ああ、大和か。戻ったか』

大和『はい、ただいま戻りました。そして、もう二度と戻って来ません』つ辞表

提督『……は?』

大和『私、妊娠したんで結婚することにしたんです』

提督『妊……娠……?結婚??』

大和『はい。チャラ男くん、来て』

チャラ男『おうおう、マジで偉い人じゃんw やっべぇ~わw』

提督『何だお前は?』

チャラ男『はっ?お前とか初対面の人間に言う言葉じゃなくね?』

提督『質問に答えろ……!!』ギロッ

チャラ男『ちっ……分かったよ。俺はこいつの夫。わかる?夫!』ガシッ クチュクチュ

提督『!!??』

大和『あん!!ダメだよ、人前じゃん///』ピクン

チャラ男『この失礼な奴にお前が誰のモノか知らしめてやんの』

大和『大丈夫だよ。私あんな礼儀のなってないダサい奴とかマジで無理だし』

チャラ男『おいおいw 面と向かって言っていいのかよ?好きだったんだろw』

大和『止めてよ!私が世間知らずだっただけだからw』

提督『やま……と……』

チャラ男『うわぁひでぇw まあ、とりあえずそういうわけだから。二度とこいつにちょっかい出すなよ。行くぞ』

大和『うん///』

提督『そんな……馬鹿な……』



提督「ぐわああああ!!」ガン ガン

ビスマルク「ちょっ!?何やってるのよ!?」ガシッ

提督「はぁ……はぁ…… ふざけるなよ大和ぉ……貴様そんなクソ野郎に靡くだけでなく、命を懸けて戦っている皆を置いていくのか……!?」

提督「いや、しかしそれは……解体申請は艦娘の権利……だが、こんなこと……おのれぇ……大和ぉ……!!」

提督「そもそも提督のことが好きでチャラい奴は嫌いじゃなかったのか!?そんな奴を好きになるとかお前まで頭のネジとんでるぞ!!」

提督「やはり、ただ快楽があればいいだけのクソビッチだったんだ!!これだから女は信用ならない!!」

ビスマルク「お、落ち着いて提督!!それもあなたの妄想だから!!ありえないから!!」

提督「何がありえないんだ!?」

ビスマルク「そんなことになれば普通に警察沙汰だからね!?ほら、こうなるわよ!!」



チャラ男『だからこれから一ヵ月俺と付き合ってくれよ』

大和『えっ一ヵ月?』

チャラ男『そう、一ヵ月。その間に俺は大和ちゃんを惚れさせてみせるからさ、だからその間だけ俺にアピールさせてくれよ』

チャラ男『もし一か月たっても俺のことが好きになれなかったらその時はまあ別れるのも仕方ねえよ』

大和『一ヵ月……』

チャラ男『な、悪くないだろ?』

大和《ここで断ればこんな痴態をみんなに知られちゃう…… けど一ヵ月付き合うなんて、そんなのいや…… とりあえず受けると言って油断させよう》

大和《そしてこのまま帰ったら全部提督に言うんだ。提督は話に聞くような強姦されたからっ穢れたとか言う人間じゃない》

大和《そうだ、提督なら助けてくれる!提督なら……提督……ぐすっ……助けてよぅ……!!》

大和『分かりました……それでお願いします』

チャラ男『よっしゃ!!じゃあさっそく二回戦突入しようか』

大和『え!?』

チャラ男『付き合ってるオトコとオンナは、ヤるのが当たり前だろ?』

大和『……っ!!そんなの!!そもそも付き合ったその日になんていうのが異常です!!』

チャラ男『そんなの古いってwいいからやろうぜ。それとも、やっぱり言いふらされるのがいいのか?』

大和『っ!!……や、やります』ポロポロポロ

チャラ男『よし、じゃあ気持ちよくさせてやっから期待してな』



チャラ男『染まれ!!大和!!俺に染まれ!!くぅ!!』ビュルルルル

大和『ああああああああ!!』ビクンビクン

チャラ男『ぅ……ふぅ……最高だったわ』

大和『あひぃ……』ビクッ ビクッ

チャラ男『な?どうだったよ。めっちゃ良かったろ?俺の彼女になるってもう決めねぇ?』

大和『ら、らめぇ……まだ決められないのぉ……』

チャラ男『そうかよ。まあ、あと一ヵ月あるし、じっくり考えてくれや』

大和『あふぅ……』



提督『……』カキカキカキ

コンコン

提督『どうぞ』

大和『……』ガチャッ

提督『ん?大和?どうしたんだ?』

大和『提督……』

提督『大和?』

大和『ぐすっ……ふぐぅ……うぅ、うううううううう!!』ボロボロボロ

提督『ど、どうしたんだ!?』

大和『提督……!!私、汚されちゃいました……!!』エグエグ

提督『何……だって?』



ヤンキー『うほっやべえw』

チャラ男『だろw今までで一番の女だわ』

ヤンキー『今度俺にもやらせろよ』

チャラ男『はっ?普通に無理だからw』

バンッ

憲兵A『動くな!!憲兵だ!!』

ナ、ナンダヨ キャァアー ウタナイデクレ

ヤンキー『え、な、なんなんだよこれ……』

チャラ男『け、憲兵?』

提督『……!!』キョロキョロ ハッ

ヤンキー『……なんかこっち見てね?』

提督『……? ……』ボソボソ

チャラ男『あ、ああ。何だよあいつ……誰と通話してるんだ?』

提督『……』コク ボソボソ

憲兵隊長『……? …… 道をあけろ!!』

ヤンキー『こっちに来るぜおい……!?ホントになんなんだよ……』

チャラ男『知らねえよ!そんなのこっちが聞きてえよ……』

提督『お前がチャラ男か?』

チャラ男『えっ?は、はい……』

提督『貴様には強姦罪、脅迫罪、暴行罪、名誉毀損罪の疑いがある。ついてきてもらおうか?』

チャラ男『な、何なんだよ……ふざけやがって!!任意同行かよ!?ついて行くわけねえだろ!!』

提督『はっ……はははははは!!』

憲兵隊長『はははははは!!』

憲兵『『『『はははははは!!』』』』

チャラ男『何、笑ってんだよお前ら!!あぁん!?ぶっ殺すぞ』

憲兵隊長『構え銃!!』カツン

カチャカチャカチャ

ヤンキー『ひっ!?』

チャラ男『ひ、ひいいいい!!??』チョロチョロチョロ

提督『憲兵が警察と同じだとでも思ったか?今回の件では必要とあれば発砲や殺害も許可されている』

憲兵隊長『来い、人間の屑め。お前はしてはならないことをしたのだ』

チャラ男『ま、待てって!!いや、待ってください!!俺が何をしたって言うんですか!?』

提督『自分の行いを顧みてみろ。心あたりがあるだろう?』

チャラ男『ないです!!本当に何もないんです!!』

憲兵隊長『こいつを連れていけ!!』

憲兵A『了解であります!!』

チャラ男『や、やめてくれええええ!!』

提督『……隊長』

憲兵隊長『はい?』

提督『改めて言うが、射殺は許可されている。必要とあれば容赦するな』

憲兵隊長『はい、分かりました。分かったな?発砲をためらうな』ニヤッ

憲兵A『はい!!』

チャラ男『ひっ!?ま、待ってくれ!!助けてくれヤンキー!!あの女なら抱かしてやるから!!』

提督『ほぅ……お前も関係者か?』

ヤンキー『ち、違います!!』

提督『本当か?怪しいな……隊長』

憲兵隊長『はい。こいつも連れていけ!!』

憲兵B『了解です!!』

ヤンキー『はああああ!?ふざけんなよお前!!ぶっ殺すからな!!ひぃ!?違います!!本当に何も知らないんです!!』

提督『よし、後は任せたぞ』

憲兵隊長『分かりました、お任せください』



提督『大和!!』

大和『提督……』メマッカ

提督『奴は無事に逮捕された。国家機密に関わる事だからな。しばらくは、もしかしたら二度と出てこれないだろう』

大和『……提督、本当にありがとうございました』

提督『当たり前だろ?お前のためなら何でもしてやれる』

大和『提督……私、提督が好きです』

提督『!!』

大和『本当はずっと前から好きでした。けど、恥ずかしかったのと、断られたらあの関係が壊れちゃうと思って。……言い出せませんでした』

提督『大和……』

大和『提督と二人で笑い合っていたあの時間が好きでした。ずっと続けばよかった。……けど、私は穢された』

大和『提督とがいいって思っていた初めてのキスも、純潔も。全部奪われちゃいました』ポロポロ

大和『こんなに汚い私ですけど……どうか私を選んでくれませんか?私と結婚を前提にお付き合いをしてくれませんか?』ジッ

提督《大和は震える声でそう告げる。上目遣いの目は涙に溢れており、肩が弱々しく揺れていた。もう限界だった》

提督『大和!!んっ……』

大和『!?んふぅ……ちゅ……』

提督《大和の唇を強引に奪う。驚いた大和は目を見開いたが、やがて求めるように唇を押し付けてくる》

大和《求める私に対して、提督はゆっくりと口を開く。私も恐る恐ると口を開いた。舌を伸ばすと、提督の舌に触れる》

提督《本当に、ファーストキスのような初々しい舌使い。何度か確かめるように舌で触れ合う》

大和《自然と舌を絡ませる。あの男にされたような、乱暴で蹂躙するようなものとは違う愛に溢れたキス》

提督《……》

大和《あっ……》

提督《しばらくしてから唇をはなす。大和の口から名残惜しそうな吐息が漏れた。紅潮した頬と、先ほどとは違う意味でうるむ瞳でこちらを見つめる》

提督『大和』

大和『はい』

提督『結婚してくれ』

大和『……!!!!はい……はい!!提督、愛しています!!どうか大和を末永くよろしくお願いします!!』ダキッ



ビスマルク「ふぅ……ちょっと気分がのりすぎちゃったけど。だいたいこんな感じの流れよ」

ビスマルク「泥酔からの強姦とか普通に警察沙汰だからね、あと何度でも言うけれど快楽堕ちとかないから」

提督「そんなの、お前の妄想だろ!!分からないじゃないか!!」

ビスマルク「なっ!?そう言う!?あなたn」

提督「ともかく!!この胸の奥にたまったどす黒い感情をどうしてくれようか!?うぐぅうううう……!!大和ぉおおおおおおおお!!」

大和「はい、提督!!大和ただいま参りました!!何か御用事でしょうか?」

提督「大和!!貴様、あんなゲスを好きになってその子供を産むのか?結婚するのか!?ええ!?」

大和「えっ……えっと」

ビスマルク「ちょっ、アトミラール、止めて。それは貴方のm」

提督「黙っていろ、ビスマルク!!……私がウザイか。お前たちのためを思って小言を言うこともあるから、それは覚悟している」

大和「そ、その……」

ビスマルク「アトミラーr」

提督「ダサいか!まあ、それは否定できないかもしれん!そんなつもりはないが、もしかしたらそうかもな!だが下品なピアスがいけてるなら俺はダサいままでいい!」

大和「ぴ、ピアス?あの……」

ビスマルク「ちょっと!」

提督「礼儀のなってないか!!そうか、まあ至らぬこともあるだろうがな!!だが少なくともお前の夫とやらよりはましなはずだがな!!」

大和「夫!?な、何の話なんですか!?」

提督「黙れ!!……失せろ、売女め。二度と私の前に姿を見せるな……!!」

提督「黙れ!!……失せろ、売女め。二度と私の前に姿を見せるな……!!」

大和「……っ!!うっ……ぐすっ……ふぐぅ……!!」ポロポロポロ

ビスマルク「アトミラール!!」

提督「っ!!……俺は、何を」

ビスマルク「貴方、本当にどうしちゃったのよ!?おかしいわよ!?」

提督「すまない……俺はなんてことを…… 大和、すまない。今のはつい妄想のせいで自分を見失ってしまっただけなんだ」

大和「ぐすっ……妄想ですか?」

提督「君が、肌を焼いて金髪に染め、タトゥーを入れているようなチャラチャラしたゲスに……泥酔している間に犯されてしまって……」

提督「それで快楽に堕ちて、いつのまにか子供まで作って、……俺をののしって出ていくというやつだ」

大和「……私はそんな事、絶対に、絶対に、ぜーったいにしません!!」

大和「そんなやつの前で泥酔なんてしませんし、もし襲いかかってきたら叩き潰してやりますから!!」

提督「そうか、そうだよな。ああ、そうだ。君がそんな事するはずがない。すまない、俺がおかしかったんだ」

提督「何故だろうか。子供の頃に何か悪いことをしたときのように、変に興奮してしまったんだ。実に恐ろしきはNTRの怪しい魅力だな」

大和「提督……おかしくなってしまったのは、その子のせいじゃないですか?」キッ ハイライトオフ

ビスマルク「……!!」

提督「何!?それは違うぞ!!俺が自爆しただけだ!!……ビスマルクだって、さっき俺が巻き込んでしまっただけなんだ」

大和「でも!!」

提督「大和!!」ダキッ

ビスマルク「!」

大和「あっ!?……提督?」

提督「すまなかった。もう大丈夫だ。だから落ち着いてくれ」ナデナデナデ

大和「あふぅ……提督、本当にどうしちゃったんですか?どうか一人で抱え込まないで私に話してください」

大和「私なら……大和ならきっと提督の力になります。だから!」

提督「ああ、分かってる。だがな、これは俺が決着させなくてはならない、いわば決戦なんだ。危険すぎて君を巻き込むわけにはいかない」

大和「そんなに危険なら、それこそ私を頼ってください!!」

提督「大丈夫なんだ、本当に。これは普通の戦いじゃない。君まで私と同じ業を背負う必要はないんだ」

大和「業……」

提督「それに私にとっては、危険はそこまでない。必ず打ち勝って戻ってくる。だから、それまで少し待っていてくれ」

大和「……必ず、ですか?」

提督「ああ、約束する」

大和「……」チラッ

ビスマルク「……」ジッ

大和「……では、もう少しだけ待ちます。ですが、本当にもう少しだけですよ?」

提督「ありがとう、大和」

大和「はい。……では、失礼しますね」

提督「うむ」

ビスマルク「……さて、どうやって言い訳するのかしら?」

提督「滅相もない……」

ビスマルク「最初に私が入ってきたときも興奮しておかしくなっていたわね?もうやめた方がいいんじゃないかしら」

提督「……実は、俺もそれを望んでいるのかもしれない。もうやめたいんだ、こんなことは。……だが、止められない!」

提督「俺のこの狂った妄想は、誰かに完膚なきまでに否定されることでしか止まらない!このおぞましい魂の牢獄から抜け出すにはそれしかない……」

提督「そうか、俺は解放されたいんだ。だが、ここで逃げてしまっては、俺はまた最奥に囚われてしまう」

提督「だから、今ここでどんなに苦しくても戦わなくてはならない。……ああ、今わかった。俺は君に倒されるために今ここにいるんだ」

ビスマルク「アトミラール……」

提督「どうか俺を倒してくれ。そして背徳の茨に囚われた俺の魂を救ってくれ。それだけが俺にとっての救いだ」

ビスマルク「……ええ、必ず」

提督「ふっ、ありがとう、ビスマルク…… ともかく、これでDQNに泥酔レイ○からの調教を受けての快楽堕ちNTRは、否定された……!!」

提督「だから、次に行くぞ。この俺に打ち勝って見せろ!!」

ビスマルク「かかって来なさい、アトミラールに巣食う狂気の幻影よ。もはや貴方は救いようあないけれど、せめて私の腕の中で息絶えるがいいわ」

ビスマルク「そしてその時こそ目を覚ましてね、アトミラール……」

>>140の訂正です。誤字スイマセン……

ビスマルク「かかって来なさい、アトミラールに巣食う狂気の幻影よ。もはや貴方は救いようはないけれど、せめて私の腕の中で息絶えるがいいわ」

どうも作者です。実は後日談も一応考えてあります
というか書いてる間にできてしまいました
という訳でありえた世界の話ということでおまけ的に書いてみたいと思います

ありえた世界の話

加賀(イケメンと別れ、家へ向かう帰り道、足取りも気分も重い。会話もなく、ただただ無言が続く空間だ)

加賀(最近は、なんであの人と結婚したのか分からなくなってきた。愛していたことさえ忘れそうになる)

加賀(私の心はもうイケメンに流れていた。いつ離婚を切り出そうかということまで考え始めている)

加賀(あの人は何をしてもまったく私の変化に気がついてくれない。髪を少しだけ茶に染めても、いつの間にか結婚指輪をつけていなくてもだ)

加賀(あの人は私に興味がない。だから私も興味がない。すべてが冷めきった崩壊した家庭)

加賀(そんな家に帰るのに、どうして気分がよくなろうか)

加賀「ただいま」

提督「……お帰り、加賀。大事な話があるんだ」

加賀「!?……何かしら」

提督「まあ、ついてきてくれないか」

加賀「……はい」

加賀(いつもと違う反応。心がざわつくのはやはり悪いことをしたせいか。落ち着いて、まだそうと決まった訳じゃないわ)

加賀(バレるわけない。今まで気がつかなかったもの。きっと何か別の話よ。そう、例えば出張で家を空けるとか。きっとそう……)

加賀(提督は普段使わない和室へ入る。何があるというのか。いぶかしげな私に振り向いた提督は何故か儚い笑みを浮かべる)

提督「これだ、気に入ってくれると嬉しいのだが」

加賀「……!!」

加賀(そこにあったのは見事な色留袖だった。青と白、あの頃の私の装いを彷彿とさせる、本当に見事な色留袖)

加賀(さらに足袋や裾除け、肌襦袢、長襦袢、衿、丸帯、帯揚げ、帯締め、簪、草履、扇子など。正装が一式すべて用意されていた)

加賀「……綺麗」

提督「本加賀友禅の色留袖だ。君に絶対に似合うと思ってな。かの人間国宝に頼み込んで作ったものだ」

加賀「……!」

提督「……向こうで待ってる。着てみてくれないか」

加賀「……はい」

加賀(提督は無言で外に出ていく。留袖は何度か着る機会があったが、ここまでの逸品は初めてだった)

加賀(恐る恐ると触れると、今まで触れてきたものとはまるで別物の肌触り。足袋をはいて、裾除けと肌襦袢を身につける)

加賀(補正をして、上から長襦袢を着た。小物の類いまですべてが最高級品、いったいいくらかかったのか)

加賀(そしていよいよ留袖に袖を通し、丸帯を二重太鼓に締める。手が震えるのを何とか抑える)

加賀(帯揚げと帯締めを結んだ。ようやく着付けられたところで簪を手に取る)

加賀(美しい青い螺鈿の格調高いもの。正式な髪にしようか迷ったが、いつも通りに左で垂らして、簪を合わせた)

加賀(帯に扇子をさして、鏡を見る。そこにいたのは確かに私だった。かつて海で戦っていたころ、あの頃の幻影が見えた)

加賀(だからこそ目立つ違和感、暗い茶色に染まった髪。今すぐ黒に染めたくなった)

加賀(そこでふと気がつく。一つ大きな漆の千両箱があった。何が入っているのだろう?)

加賀「……!!」パカッ

加賀(中に入っていたのは札束、おそらく二百万はくだらないだろう。それに加えて一枚の手紙が入っていた)

[まずはご無礼をお許しください。ただその価値のみを目的として私の作品を求める輩が多く、私の誇りに賭けてその様な人間に作品を渡すわけにはいかないのです。

しかしあなたは違いました。他のそういった類の人間が諦めるような高値を提示した私に対して、貴方様は何も言わずただその金額を払っていきました。

私は自らの浅はかさに顔から火が出んばかりでした。貴方様のような方に私の作品を選んでいただけたことは無上の喜びです。

ここに多くいただいた分のご料金を返金致します。

貴方様の最愛の奥様へとのことでしたので、ふさわしい作品になればと微力を尽くさせていただきました。

キャンセルされた紋入れの方も、必要とあればいつでも入れさせていただきます。
また和服が入用でしたら、どうぞご連絡下さい。]

加賀「……」ジワァ

加賀(頭の中が真っ白になった。最愛の奥様……最愛の…… 涙が溢れ、嗚咽が漏れそうになる。駄目だ、泣いてはいけない)

加賀(何とかして今すぐこの髪を染めたくなる。けど無理…… はっと気がつき、財布からこのところつけていなかった結婚指輪を出す)

加賀(暫くじっと耐えて、平静を取り繕えるようになる。覚悟を決めてリビングへ、提督の元へ向かう)

加賀「提督、着替え終わったわ。失礼するわね」

提督「ああ。……とても似合っているよ」

加賀「あ、ありがとう」

提督「気に入ったか?」

加賀「ええ、とても。……けど、良かったの?とても高かったと思うけれど」

提督「まあな。これのために君のことを疎かにしてしまった。本末転倒だ」

加賀「……なんで、買ったの」

提督「君に似合うと思ったら、いつの間にか買っていたんだ」

加賀「っ!!」

加賀《いつかの提督とシンクロする。あの頃の気持ちが蘇ってきて、酷い裏切り行為をした自分への嫌悪感と怒りが湧きたつ》

加賀「てい……とく……」

提督「最後に、君のその姿が見れてよかった」

加賀「えっ」

提督「全部俺が悪いことは分かってる。寂しい思いをさせてすまなかった。慰謝料や財産分与については全部君の言う通りでいい」

加賀「な、なに……を……」

提督「これを。あとは君のサインだけだ」スッ

加賀「ぁ……」ドクン

加賀《そうして提督から渡されたのは緑色の紙、離婚届だった》

提督「名前は知らないが悪い奴ではないらしいじゃないか。俺と違ってきっと君を幸せにしてくれる」

加賀「あ……その……」ガクガクガク

提督「もしそれに紋を入れたければ、私が頼んだところに君が頼んでくれればやってくれる。本当に上等なものだ。大事にしてくれると嬉しい」

加賀「て、提督……」ウルッ

提督「俺は明日から最前線の基地へ移動することになる。この家も君のものだ。このまま住み続けるなり、売るなり好きにしてくれ」

加賀「ま、まって……」ジワッ

提督「申し訳ないが列車の時間がある。今サインをしてくれないか?これは俺が提出したいんだ」

加賀「まってぇ!!ぅ、ぐすぅ……」ポロポロポロ

提督「……」

加賀「……ごめんなさい、ごめんなさい。知らなかったの……私は、っく、貴方が……私のことをどうでもいいと思っていると思って……」

提督「加賀」

加賀「ぐすっ……」

提督「俺が君のことをそんな風に思うとでも思っていたのかい」

加賀「!!ごめんなさぁい……!!ごめんなさぁい……!!お願い、どうか許して……!!」

提督「それは俺のセリフだ。甲斐性が無くてすまない。どうか許してくれ」

加賀「違う!!違うの!!全部私が悪かったの!!」

提督「違う。君があの日、朝帰りしてきたときに話をしていればこんなことにはならなかったのかもしれない」

提督「すまなかった。君がそういうことをするなんて思っていなかったし……思いたくなかったんだ。恐ろしかった」

加賀「うぅうううう……!!ふぐぅうううう……!!」ボロボロボロ

提督「俺にもう少し勇気があれば……黙って背中で語るだけが男ではないな。だがそれが俺の信じた道だ。最後まで貫かせてもらう」

加賀「お願いします!!どうか、どうかそんなことを言わないで!!もう二度とやりません!!絶対に!!」

加賀「イケメンとももう二度と会いません!!もう二度とあなたを疑いません!!だからそんなことを言わないでください……!!」

提督「……そう言われても、困る」

加賀「私が愛しているのは貴方だけなんです!!お願いです!!分かってください!!」

提督「……そうか、なら、俺の願い事を聞いてくれるかい?」

加賀「はい!!何でもします!!」

提督「なら、俺と離婚してくれ。そしてどうか君は君の幸せを追いかけて、手にしてくれ」

加賀「っ!!うぅ!!いやぁああああ……!!」

提督「どちらにせよ、俺は明日からラバウルだ。激戦続く最前線には何があっても君を連れてはいけない」

加賀「ぅあああああん!!ていとくぅ!!捨てないでくださいぃ!!お願いですぅ!!」

提督「馬鹿な、捨てる気なんてないさ。少なくとも、俺から君を捨てるようなことはしてないよ」

加賀「ふぐぅ……!!ど、どうすれば……!!ゆ、許してくれますか!?」

提督「もうとっくに許しているよ」

加賀「ならぁ!!くっ……ど、どうすれば!!あ、貴方と別れずに……済みますか……!?」

提督「……それは無理だ。俺はもう決断してしまった。俺たちは、もう終わったんだよ」

加賀「わああああ!!あああああ!!」

提督「……」

提督(泣くという行為はすべてをリセットさせる。そのうち加賀も落ち着くだろう。しばらく待つ)

提督(かなり長い間加賀は号泣していたが、それもようやく収まった。今はもうすすり泣き程度だ)

提督「……加賀、落ち着いたかい」

加賀「……はい」

提督「……書けるかい?」

加賀「……どうしても、なの?」

提督「ああ」

加賀「……何があっても断りますと言ったらどうするのかしら?」

提督「書いてくれるまで何を対価にしても頼み続ける」

加賀「……書きますから離婚しないで、やり直させてくださいと言ったら?」

提督「それは……できない」

加賀「っ……なら、書くぐらいなら死んでやるって言ったらどう?」

提督「死なせないさ。それでも死にたいのなら先に俺が死ぬ。君が死ぬところは見たくない」

加賀「……どうしても、終わりなんですか」

提督「俺のせいだ。恨んでくれて構わない」

加賀「……書かないと、駄目なんですか」

提督「書いてくれないと困るな。頼むよ」

加賀「……分かりました」

加賀(もはや何もできることはなかった。私がこの人のためにできることは唯一つ。……離婚届にサインして、この人を解放することだけだった)

加賀(手が震えてうまく字が書けない。吐き気が酷くて今すぐにでも戻してしまいたい。冬の日本海にいるように心も体も凍えていた)

加賀(全部が悪い夢のようだ。それなら早く醒めてくれないだろうか。そんな意味のないことを考える)

加賀(何とか書き終えた書類を提督に手渡す。提督は軽く確認した)

提督「よし、いいぞ。ありがとう。」

加賀「……死にたい気分」

提督「たぶん俺よりはマシさ」

加賀「……」

提督「そうだ、忘れていた。これを君にあげよう」

加賀「!!」

加賀(そう言って、提督は左手薬指の結婚指輪を引き抜き手渡ししてきた。指にくっきりと残る指輪の跡。私の指輪をしていたのか分からない指と比べて、また泣きたくなった」

提督「売ればいい値段になる。役立ててくれ」

加賀「……売れるわけ、ないでしょう」

提督「そうかな?いいものなのだが」

加賀「分かってないわ」

提督「……そっちの意味かい?なら、私にとっては聞くまでもないのだが」

加賀「っ」

提督「では、お別れの時だ、加賀。良い人生を。どうか元気で」

加賀「まって!最後に……抱きしめて、くれませんか?」

提督「悪いが……それは無理だ。君の愛する人に頼んでくれ」

加賀「だから頼んだの」

提督「ははっ、いいジョークだ。かなり笑えたよ。……さようなら。ずっと愛していたよ」

加賀「……」ストン

加賀(寂しく笑ったあの人の横顔が脳裏に刻まれる。足に力が入らずに座り込んでしまった。待ってという声さえだせない)

加賀(もう何も考えたくない。ただ一つ言えるのは私の愚かさのせいで本当に大切なものをすべて失ってしまったということだった)

加賀(掌の、あの人の指輪に残るあの人の温もり。私はそれを握りしめる。堪えられなくなった涙と嗚咽、悲しみと絶望に押しつぶされた)

書き溜めて一気に読ませたほうがいいかも
間があくと提督の基地害ぶりが気になる

>>152
なるほど……
もしそういう意見が多いいならとりあえずそうしようかなって思います
ご意見いただけるとありがたいです

どうも作者です
更新遅れてすいませんでした……
とりあえず、あまり間が空きすぎる良くないので投下していこうと思います

ありえた世界の話は後回しにして、本編を先に終わらせます
ですので、いったん加賀の話は中断して提督とビスマルクの問答にもどりますね

よってここからは>>140からの続きです

提督「では参る。残念ながら、世の中には上司に騙されたり脅されたりすることでNTRれるような頭の緩いビッチがいるそうだ。そう、例えばこんな奴だ」



提督『では、行ってくるよ』

長門『ああ。いってらっしゃいだ、貴方……』シュン

提督『そんな悲しそうな顔をしないでくれ。たった一週間だ』

長門『そうだな……退役してから弱くなってしまったみたいだ。貴方がいないとダメだ』

提督『そういわれると男冥利に尽きるな。愛いやつめ』ナデナデ

長門『ん/// ……早く帰ってきてくれよ?』

提督『ああ。ちゅっ、じゃあ行ってくるよ』

長門『んふ。行ってらっしゃい』フリフリ

長門《私は長門、誇り高いビッグ7の一角、戦艦長門の艦娘だ。2ヵ月ほど前に憎からず思っていた提督にプロボーズされて、それを受けた》

提督【長門、俺と結婚してくれないか】

長門【っ!!……はい///】

長門《ほどなくして籍を入れ、今では銃後を守っている。まさか、提督が私を選んでくれるとは思っていなかった》

長門《艦隊には金剛や鳳翔といった私よりも女らしくてかつ提督を好いていた者も多く、女らしくない私なぞと半ば諦めていたのだ》

長門《だが、選ばれたのは私だ。この幸福に勝るものはない!!こうして私は提督と幸せな新婚生活を送っていた》

長門『これから1週間か……寂しい日々になりそうだ』

長門《今日、提督は一週間の出張に出かけて行ってしまった。新しい作戦のための会議だ。少しでも離れたくないが、仕方がない》

長門《それに、これはチャンスでもある。女らしいことに疎かった私はこれを機会に女らしさを磨くのだ》

長門《とりあえず、編み物や裁縫、料理といったことをもっと学ぶ。もちろん、裁縫と料理はそれなりにはできる》

長門《だが、手作りのかわいい感じの小物が作れた方がいいに決まっているし、誰に見せても恥ずかしくないような愛妻弁当をつくってあげたい》

長門《編み物は初めてだったが、手編みのセーターでペアルックや長いマフラーを二人で巻くとかそういうことをしてみたい///頑張らなくては》

長門《それに加えて、恋愛ものの映画やドラマを見てみる。私は恥ずかしながら手を握るタイミングやら腕を組むタイミングがよく分からないからだ》

長門《恋愛とかそういうのに興味は持っていても、経験がなかったのだから仕方がない。はずだ。果たして意味があるのかはよくわからないが、やらないよりましだろう》

長門『よし。では早速適当なものを見つつ編み物を始めるか。あの人が帰ってくるまでに、せめてマフラーぐらい作れるようになりたいな』

長門《提督、喜んでくれるだろうか。……きっと喜んでくれるよな》

長門『……』モクモク



アァン ハァン

長門『!?』ギョッ

長門《編み物に集中していたら、いきなり聞こえる嬌声に驚く。見ると映画が濡れ場に差し掛かっていた》

長門『ごくり……///』

長門《もちろん、私とて女であるし、人だ。そういったことに興味がある。……だが果たして私は、提督を喜ばせてあげられているのだろうか?》

長門《ちゃんと女らしくできているか?体に何か変なことはないだろうか?筋肉質すぎはしないだろうか?》

長門《っ!!そうだ!!私の胸は果たしてちゃんと柔らかいのか!?》

長門『ん……///』モミモミ

長門《……たぶん柔らかいはずだ。だが、これが一般的な柔らかさから見てどうなのかは判断しかねるな》

長門《愛宕や加賀のように、すごく柔らかいというわけではない気がする……気になるぞ……!!どうやって調べればいいのだ!?》

ピンポーン

提督『!? あっ、は、はい!』

長門《端から見たら自慰をしていると思われかねない行為中に鳴り響くインターホン。心臓が飛び出そうになった。あわてて玄関まで行き、扉をあける》

長門『どちら様でしょうか? ……!! 元帥閣下!!』

元帥『やあ。久しぶりだね、長門くん』

長門《恰幅のいい体型を窮屈に軍服に押し込めた、少し禿げ上がった中年の男性は元帥閣下だ。私たちの結婚式でもスピーチをしてくださった方だ》

長門《しかし、元帥ともあろう方がいったい何の用なのだろうか?身に覚えがない……》

長門『一体どうされたのですか?……まさか、夫に何か!?』

元帥『少しな。何、安心してくれ。君が思っているようなことではないはずだ』

長門『そうですか……』

元帥『ここで話すのもあれだ。少し上がらせてもらえるかね?』

長門『あっ、申し訳ありません!どうぞお上がりください』

元帥『うむ』

長門《元帥を客間まで通す。お茶を入れて、茶菓子と共に持っていく》

長門『どうぞ、粗茶ですが』

元帥『おお、ありがとう。……そうだ!実はいい羊羮を持ってきているんだ。これも出してくれないか?』つ間宮羊羹

長門『これは……!ありがとうございます。切り分けて来ますので少々お待ち下さい』

長門《間宮羊羮は久しぶりだ!アイスの方が恋しいが、羊羮もまた嬉しい♪》スタスタスタ

元帥『……』ニヤッ キュポン トポポポポポ

長門『……お待たせいたしました。元帥、どうぞ』

元帥『いやあ、ありがたい!復員してから間宮の羊羮は食べる機会がなかっただろう?恋しいかと思って持ってきたんだ』

長門『そうですね。しかしこれは、前線で戦う者のためにあるべきものですから』

元帥『素晴らしい考え方だ。けどまあ、今回は棚ぼたと思って堪能してくれ』

長門『はい、ありがとうございます。あむ……♪』フニャァ

元帥『喜んでもらえたようで何よりだ』

長門『これは!お恥ずかしいところを見せてしまいました……』カァッ

元帥『なに、年頃の女性なら当たり前のことだろう』

長門『……そう言ってもらえると、幸いです』モジモジ

元帥『ははは!持ってきたかいがあるというものだ。最近は戦況もいいからな』

長門『そうなのですか?』

元帥『ああ、南方では~』

長門『なるほど、では~』

長門《最近の戦況について話し合っているうちに、気がついたら時間がたっていた。話が一区切りついたころには、お茶も飲みほしてしまっていた》

長門『おや、もう空いてしまいましたね。新しいお茶を用意してきます』

元帥『いや、大丈夫だよ』

長門『そうですか。……それで元帥、本日は何用でいらっしゃったのですか?』

元帥『ああ、それか。いや、本当に身構えることじゃない。ちょっと提督に相談されてね』

長門『相談ですか……?』

元帥『まあ、少しテレビでもつけようか』ピッ

長門『あっ!!ちょっとお待ちください!!』

元帥『これは……』

長門『っぁ!!』カァッ

長門《テレビに映っていたのは先程見ていた映画だった。そう、つまりは濡れ場だ》

長門《落ち着け、これはただの映画だし、濡れ場なんてちょっとだけだ!けして変な目的で見ていたわけではない》グルグルメ

長門『こ、これは映画でして、決して何かいかがわしいものでは!!』アタフタ

元帥『ふむ……』ピッ

元帥《これは……欲求不満なのか?ともかく、悪くないぞ。もしかしたらことはすんなりいくのかもしれない》

長門『!?』

長門《元帥が映画を再生させる。なんて気まずいのだ!?しかもこの映画、なんで濡れ場がこんなに濃くて長い!?》

長門《最悪だ……元帥に絶対、変態だと思われてしまった……こんな屈辱、耐えられん……》マッシロ

元帥『驚いたな。まさか君がこのようなものを見るとは』

長門『ち、違うんです!!男女の関係に疎いので、それを何とかしたいと思い恋愛ものの映画やドラマを見て勉強しているんです!!』

長門『これもその一つで、たまたまこういうシーンがちょっと激しくて長いだけなのです!!決して変な意味で見ていたわけでは……!!』

元帥『そうか。……時に長門くん、君たちの夜の生活はどうだね?』

長門『……はい?』

元帥『夜の生活だ。まあ、平たく言ってしまえば、セックスだよ』

長門『なぁ!?』

長門《いきなり何を言っているんだ、この人は!?》

元帥『おっと、誤解しないでくれ。実は提督に相談されたことというのは、そのことなんだ』

長門『えっ!?』

元帥『どうやら、君とのセックスが物足りないらしくてね』

長門『……!!』ガーン

長門《馬鹿な……!!そんなこと、一言も言ってくれなかったじゃないか……!!》

長門【んっふぅ……はぁん……ていとくぅ……気持ちいいか……?】ズチュズチュズチュ

提督【くぅ……ああ……すごくいいぞ、長門……!!】

長門《なんでちゃんと言ってくれないのだ……?あれは嘘だったのか?》

長門【提督、その……は、初めてなんだ。不手際があると思うが、いろいろ教えてくれ。貴方のためならどんなことだってして見せる///】

提督【そ、そうか……わかった……】ゴクリッ

長門《言ったじゃないか。経験がないから、どうすればいいか分からない。いろいろ教えてくれと》

元帥『性生活の不一致は、離婚の原因になる事もままある。それに、提督は周りに魅力的な女性が多いからな』

長門『ま、まさか……!!』

元帥『誘惑に負けて他の子に手を出さないとも限らない』

長門『そんな!!提督に限ってそんなこと!!ありえません!!』

長門《そうだ!!ありえない!!いや、しかし……》



金剛【テイトク……便利な女でもいいネ……私を抱いてくれませんカ?】ウルウル

提督【な、なにを……!!】

金剛【迷惑をかけたりしまセン。ただ、ほんの少し。本当にほんの少しだけ、ティースプーン一杯ほどのお情けがほしいだけなんデス】ハラリ

提督【こ、金剛!!】ガバッ

金剛【あっ……テイトク///】



金剛【テイトク……私、今とっても幸せデス】

提督【金剛……すべてなんとかする。だから、俺と結婚してくれないか】

金剛【えっ……!?で、でも……テイトクは長門と……】

提督【何とかすると言っただろう?俺は自分の本当の気持ちに気がついたんだ】

金剛【嬉しいですケド……長門に悪いデス……】

提督【すべてのしがらみ、業は俺が背負うから。君は君の気持に素直になってくれ】

金剛【テイトク……!!わ、私も結婚したいデス……!!】

提督【金剛……!!ちゅっ】ダキッ

金剛【んふぅ……ん……】ギュッ



長門《まさか!!ありえない!!だが、私は提督を満足させられているか確証が持てない……もしかしたら……》ブルブルブル

元帥『信じられないのも分かる。しかし、男というのは女には滅法弱い。本能がそうできているのだ』

長門『本能……!!』

元帥『しかし、儂も目をかけている大事な部下が、万が一そんな理由で破局を迎えてしまったらと思うと不憫でならない』

元帥『そのためには君が提督を満足させられるようになるしかない。だから、何か力になれないかとここへ来たのだ』

長門『元帥……』

元帥『何でもいい。何か心当たりなどはないか?』

長門『心当たり……』

長門《このような事、いくら元帥とはいえ赤の他人に話すなど……しかし、もはや四の五の言っていられない……》

長門『……実は、私はそういった経験が全くなくて……提督を満足させられているのか分からないのです……』カァッ

長門『それに、私は女らしくありませんし……この体も鍛えぬいていて、決して恥ずかしい体ではありません』

長門『だからこそ、そういう観点からするとよくないのかもしれません……』

元帥『なるほど……なら、まずは君たちのセックスの流れを教えてくれ』

長門『え!?流れですか……?』

元帥『恥ずかしいだろうが、必要なことだ。何か間違っていたり、おかしな点があるかもしれない』

長門『……分かりました』

元帥『うむ、では頼んだぞ』

長門『そういうことは、まずキスから始まります。大体、ベッドの上でです』

長門『……初めは軽く唇を合わせるだけのライトなものですが、だんだん舌を絡ませ合ったディープなものになります』

元帥『ほぅ……』

長門《なんていう辱めだ、これは……もう……穴があったら入りたい……》

長門『そ、そこで提督が、その……私の体に……触れ始めます』

元帥『体というのは、具体的にどこだ?』

長門『えっ!?そ、その……初めは顔とかお腹とかなのですが……じょ、徐々に……胸とか、お尻とか、……せ、性器に移っていきます……』カァッ

元帥《羞恥に顔を赤らめ、瞳を潤わせている長門か……素晴らしいな。特にどうすればいいのか分からないという表情と上目遣いが最高だ》

元帥『ふむ。続けたまえ……』

長門『そのあたりで、提督が私の服を脱がし始めて、体を愛撫し続けます。……そ、そのうち、提督が私の体を舐めたりしてくれます……』

元帥『なるほど。舐められるのは?』

長門『……先ほどと同じです』

元帥『続けて』

長門《な、何故だ……体が熱い…… 火照りと疼きが耐えがたいほどだ……》ジュン

長門《こんな、男性の前で自分の情事について話すことで興奮しているとでもいうのか……?ばかな……》ドキドキ

長門『それで、私の準備ができたら、いよいよ本番になります』

元帥『準備ができたらというのは?』

長門『そ、それは!!……私のアソコが、濡れたらです……』

元帥『ふむ。では、本番というのは?』

長門『わ、分かるでしょう!?』

元帥『察しはつくがね。だが、確証はない。もしかしたら考えていることが全く違うかもしれない』

長門『っ!……て、提督が服を脱いで、だ、男性器を私の女性器に、……挿入します』

元帥『それで?』

長門『……提督が動いて、限界を迎えるまでそのまま、その……性行為を続けます』

元帥『限界とは?そして性行為とは?恥ずかしいのは十分わかっているが、これは重要なことだ。報告は明確かつ分かりやすく頼む』

長門『は、はい……限界というのは、提督が、しゃ、射精することです。……性行為というのは、提督が腰を動かして、……男性器をピストンさせること、です……』ドキドキドキ

元帥『よろしい、続けたまえ』

長門『はい……そして、限界を迎えた後は、日によります。そのまま軽く体を愛撫し合って少し話をして終わる日もあれば、二回目を始めることもあります』

長門『最大では……四回ほどしたことがありますね。流れは大体そんな感じです』

元帥『ふむふむ。……ちなみにだ、長門くん。君は提督に愛撫しているかね?』

長門『えっ?それは……あまりしていませんね。たまに体に触れる程度です』

元帥『なぜだ?』

長門『それは……するべきだと思わなかったからです』

元帥『なんと信じがたい……君は自分が愛撫されて気持ちいいし、うれしい、愛されていると感じることがあるだろう?』

長門『!!はい……』

元帥『それは男も同じなのだ。女性に愛撫されることで快感と愛されているという自覚を得る。君の話では、提督は今までそういった感情を得られてはいないということになるな』

長門『……!!』ガーン

元帥『話を変えるが、挿入時の体位はどうなんだ?』

長門『……たいい?』

元帥『体位も知らんのかね!?挿入しているときの互いの姿勢だ!!まさかずっと正常位、正面から君が覆いかぶされるようになっているのか?』

長門『ああ、そういうことですか。大体はそうです。たまに私が四つん這いになって後ろから、その……挿入されることもあります』

元帥『なるほどな。おおよそは掴めた。提督が不満を感じるのは当たり前だ。はっきり言って、子供レベルのお粗末なセックスだ』

長門『そんな……提督…… 元帥、どうすればいいのですか!?』ウルッ

元帥『その前にもう一つだけ確認しよう』

長門『……な、何をですか?』

元帥『君の体つきだ。服を脱いで、そこに立ってくれ』

長門『そ、それは!!それは少々やり過ぎなのではないでしょうか……?』

長門《提督の、旦那様の前以外で肌をさらすなど!!できるわけがないし、したくない!!》

元帥『何を言っているのだ!!ちゃんと今確認しないでどうする!?あとで後悔してからでは遅いぞ!!』

長門『!!』

元帥《……まだそこまでは早いか?いや、今日中に楔をうちこんでおきたいな。よし、まずは……》

元帥『無論、全裸になれと言っているわけではない。下着姿になれということだ。そうすれば大体わかる』

長門《それぐらいなら……これも提督のためだ》

長門『……分かりました。けど、せめて脱ぐのは別室でさせてください』

元帥『……わかった』

長門『あ、ありがとうございます!』



長門『……』シュルシュル

長門《体の火照りが収まらないばかりか、むしろひどくなってきている……正直に言うと、性的に非常に興奮している……》

長門《まさか私はそういう趣味が……?いや、そんなことない!!馬鹿なことを考えるな!!》

長門『……何だこれは!?』

長門《ばかな。ショーツがこんなにシミになるほど濡れている…… と、とりあえず拭いて新しい下着に変えなくては!》

長門《……この白の飾り気のない奴がいいだろう。万が一濡れても、シミが目立たないしな……》

長門《……よし、これで大丈夫なはずだ。行くとするか》



長門『し、失礼します。準備ができました』

元帥『どれ……!!』

元帥《なんという美しい肉体なのだ!!しなやかに引き締まった体はだらしないところが一か所もない!!》

元帥《しかしながら決して筋肉質すぎるわけではなく、女性的な柔らかさとの調和が素晴らしい!!》

元帥《胸と腰回りの丸みと、胴体の引き締まり加減はまさに女体の黄金律と言うべきか!!》

元帥《飾り気のない清楚な白下着に包まれた、つんと張った釣鐘型の胸とプリッとした尻は儂が期待していた通りだ!!目をつけていてよかった!!》

元帥《だからこそ、あの若造に掻っ攫われたことが口惜しい!!この肉体を味わったのが許せん!!》

元帥『よし、気を付けだ。いいというまでそのままだ』

長門『っ!!……はい』

元帥『ふむふむ』

長門『……!!』カァッ

長門《み、見られている……私の肌が提督以外の男に……っ!!》

元帥『……』ギンギン

長門《あ、あれはまさか……しかし、そうだとしたらなんという大きさなのだろうか……?》ジュン

長門《わ、私の体を見てああなったのか?っ!!いや、くそ!!変なことを考えるな!!今日の私は何かがおかしい!!》ドキドキドキ

長門『はぁ……はぁ……』ジッ

元帥『!』

元帥《明らかに儂のモノを凝視しているな。それに荒い息に上気した肌、おまけに熱っぽい瞳だ。あの薬が効いてきたようだな》ニタァ

元帥『……』ピトッ

長門『あふん……っ!!元帥、何を!!』

元帥『いやなに、君の体の柔らかさを調べるのだよ。提督のためだ、たえるんだ』

長門《て、提督のため、か……なら、なら仕方がないよな……?》

長門『……は、はい』

元帥《よしよし!いいぞ!》

元帥『よろしい。……』ツゥー

長門『んぅ……ふっ……はぁ……!!』

長門《あたまがぼんやりとする……すごく気持ちがいい……!!》

元帥『ふむ、長門くん』

長門『つぅ……っ!は、はい』

元帥『……どうやら君の体は十分女性的だ。問題はない』

長門『ほ、本当ですか……!?』

元帥『ただし、見える所だけだ。全部確認してほしかったら下着も脱いでもらおうか』

長門『え、それは……』

長門《もっと触れてほしい……この体の疼きを快感で鎮めてほしい……けど、提督以外の男になど……》

元帥『無論、強制しているわけではない。君次第だ。……しかし、ここまでしたのだからな。全部しておくべきではないか?勿論、提督のために』

長門『提督のため……そうだ、提督のためだ……』

元帥『そうとも』

長門『提督のためだから……問題ないな……』シュルシュル

元帥『いいだろう。では、調べさせてもらう』サワサワ

長門『あん……はぁ……んふぅ……』ピク

長門《元帥は私の胸に息がかかるくらいに顔を寄せ、その手が私の胸に触れる》

長門《撫でまわされ、それが段々と胸の中心へと近づいてくる。気たるべき快楽を想像し、震えた》

長門『はぁ……はぁ……んぅ……ぁあ、ああん!!』ピクン

長門《とうとうそこへ到達した手は、まるで私を悦ばそうとしているかのように先端の突起へ快楽を与えてきた》

元帥『よし、胸は問題ない。次はこっちだな』グニッ

長門『んああ!!はぁ……はぁ……あぁっ!!』ビク

長門《さんざん私の胸を虐めつくした元帥は私の後ろに回りこんで、屈んだ。覆うものがなくなった私の秘所が丸見えだろう》

長門《手が私の腰回りにまわされ、無遠慮にお尻の肉を掴まれる。いけないことをしているということが私をさらに興奮させた》

元帥『ふむ、素晴らしい。問題ないぞ。次はこっちだ』キュッ クニクニ

長門『ふぁああ!!』

長門《元帥が前に回り込み、とうとうその手が私の秘所に触れる。いきなり敏感な突起をつままれ鋭い痛みのような快楽が体を貫く》

長門『ああ……んはぁ……くぅ……んふぅ……!!』

長門《そして一転、今度は焦らすようにそこ以外を責め立ててくる。じんじんとした性感がいっそう私を高ぶらせ、先ほどのような激しい快楽を要求する》

長門《とうとう元帥は指を私の中に差し入れ、内側からも私を責めたてた。大洪水になっている自覚がある。こんな快楽は知らなかった》

元帥《よし、もう勝ちは確定だ。一回イかせておくとするか》クチュクチュクチュ

長門『あ、ま、待って……!!あん、ふぅう!!くぅううううう!!』ビクンビクン

元帥『よし、終わった。大丈夫だ。君は全身余すことなく女性的で魅力的な体だった』

長門『んはぁ……はぁ……はぁ……ありがとう……ございました……』

元帥『だが、長門くん。儂が確認している間に君は感じていたな?挙句の果てには絶頂したとみる』

長門『そ、それは……元帥がそうさせるから……』

元帥『私はそんなつもりはなかった。君が頼むから確認しただけだった』

長門『でも……』

元帥『だが勘違いしないでくれ。責めているわけじゃない。むしろ逆だ。そこまで乱れる素養があるのならば、絶対に提督を満足させられるようになる』

長門『ほ、本当ですか……?』

元帥『もちろん。しかし、そのためにはそういった技術、性技の習得が必要だ』

長門『性技……』

元帥『それを教えてあげてもいいのだが、こればっかりは実際にやって見なくては劇的な向上は見込めない』

元帥『どうする?君が望むのなら、このまま続けて私が知るすべてを教え込んでやるが?』

長門『そ、そんな事……』

長門《駄目だ、これ以上は絶対に。これ以上すると戻れなくなる。提督への明確な裏切り行為、浮気だ》

元帥『さてと……』ボロン

長門『!!』

長門《なんという……!!服を脱ぎ、全裸になった元帥の、いきり立った男性器はありえない形をしていた。提督の倍近くはあろうかという巨根は、まああり得る》

長門《しかし、その巨根の陰茎にはぶつぶつとした異様な膨らみが浮き出ている。よく知りはしないが、少なくとも医学的な書物にそのようなことは書いていなかった》

元帥『ああ、これが気になるか?』

長門『えっ……いや……』

元帥『これはね、シリコンボールだ』

長門『シリコンボール?』

元帥『要するに、セックスの時に相手を悦ばせることを目的に整形したということさ』

長門『整形……』

元帥『誰でも初めて見るときは驚くが、実際に味わってみれば癖になっていたよ』

長門『……ごくっ』

元帥『さあ、どうする?まあ、提督のためを思えば答えは分かるが。悦ばせたいのだろう?』

長門《!! そうだ。これは提督のためなのだ……だから、浮気にはならない。けして私がしたいからという訳ではないのだ》

長門『よ、よろしくお願いします』

元帥『さあ、まずは男に対する愛撫だ。基本的には体をなでるがちゃんと性感ポイントを押さえておくんだ』

長門『性感ポイント?』

元帥『君で言うと女性器や尻、胸、脇腹だ。性的快感を得ただろう』

長門『……は、はい』

元帥『男も大体は変わらん。流れも一緒だ。キスから体を愛撫し、どんどんと触れる場所を性感ポイントへ移す。自分がやられたようにやってみろ』

長門『はい。んちゅ……ん……はっ。こうですか?』なでなで

元帥『そうだ……』

長門《ベッドに寝そべった元帥にキスをする。そして手でわき腹や背中を愛撫した。口を離し、胸を撫でつけ、揉み、乳首を刺激する》

長門《しばらくすると、元帥も私を愛撫し始めた。まるで恋人同士のように愛撫し合う》

長門『男も乳首がたつのか……』

元帥『よし、まて』

長門《そんな感動を覚えつつ、手がいよいよ元帥の性器に触れたところで声をかけられる》

元帥『乳首を舐めたり吸ったりして、刺激しつつ扱け。扱くときはワンパターンにならないよう緩急をつけて裏スジ、カリを重点的に刺激するようにしろ。玉も忘れるな』

長門『はい……ちろちろ、ちゅぅちゅぅ』シコシコシコシコ

元帥『うっはぁ……いいぞ、その調子だ』

長門《言われたようにする。手がねとねとし始め、元帥の喘ぎ声が男の人を悦ばせているという事実を認識させてくれる》

長門《細かい指示に従いつつ、必死に元帥へ奉公する。ビクビクと痙攣するソレは火傷しそうなほど熱い》

元帥『よし、いいぞ。次はフェラチ○だ。そこに跪け』

長門『分かりました……ごくっ』

長門《ソファに足を開いて座った元帥の目の前の床に跪く。二十数センチはあろうかというソレに目が釘付けになる》

長門《雄の生臭い匂いをまき散らし、先端から少し白みがかった透明な液体をたらすそれは、提督のものとはまったく違う》

元帥『よし、これを咥えろ。最初は亀頭へ口づけしてそれを口に含んで唇と舌で愛撫するように。カリと裏スジが重要だぞ』

長門『はい。んちゅ……はむぅ……れろれろ』

長門《口いっぱいに雄の味がひろがり、肺がそれの匂いで満たされる。思考が溶けそうだ。元帥の指示に従ってソレに奉公する》

長門《こうして私は男を悦ばす性技を仕込まされた。元帥のモノがビクビクと快感に震えるのを感じる》

元帥『よし、そこまでだ。そろそろ本番だ』

長門『あの……避妊を』

元帥『ああ、何、心配いらんよ。もうすでに種がないからね』

長門『えっ?あっ……』

元帥『よし、じゃあいこうか』ズドブン

長門『はぁああああん!!』ビクンビクン

長門《思考をすべて焼き尽くされる。散々いじめられ、じらされていた秘所は太く、熱く、長く、そしてシリコンボールの入った肉棒に貫かれた》

長門《一番敏感な突起はもちろん、膣壁、そして子宮までがズダズダにされ、押しつぶされ、マグマのような快感を伝えてくる》

元帥『くぉ……!!これは、素晴らしい締まりだ。流石に鍛えているだけあるな』ズリズリ

長門『やぁ!!お、押しつぶされちゃう!!しきゅうおしつぶされちゃう!!』ビクンビクン

元帥『よし、では動くか』ドチュン ドチュン ドチュン

長門『んはぁああああああああ!!』ギュウ

長門《もはや快楽地獄だった。元帥はただただ自分の性感を優先させた乱暴な突き方をしている。ただただ女をモノのように扱う性行為》

長門《何度達していしまったのだろうか。かすかに残っていた理性がすべて押し流されてしまった頃に、いきなり元帥は動きを止めた》

長門『げ、げんすい……?』

元帥『長門くん、されるがままじゃなくてちゃんと自分でも動くんだよ。ほら、止まっていてやるからやってみな』

長門『はい。んっ……こ、こうですか?』クリグリグリ

元帥『そうだ。くっ……素晴らしい。見事なグラインドだよ』

長門『あ、ありがとうございます』

元帥『さらに自分や相手に愛撫しなさい。自分にするときは男を誘うように艶めかしく、相手にするときは愛しむように』

長門『分かりました。んっ……はぁん……!』

元帥『ぐっ……いいぞ、そのまま続けろ。儂も動き出そう』ドッチュ ドッチュ

長門『くぅうううう!!はぁ!!やぁ!!』グリグリ モミモミ

長門《元帥が動きだし、私も天井知らずの快楽を求めて言われた通りに自分でも動き、愛撫する》

長門《もはや私の頭に提督のためという免罪符は残っていなかった。今はただ、この雄として優秀な人に雌として愛されたい》

長門《互いに快楽を貪りあう淫らな混じり合い。私の心と体は歓喜に震えた》

元帥『くっ……そろそろ、イくぞ!!』

長門『わ、私もイきそうです!!』

元帥『くっ!!孕め!!』ドチュン ビュルルルル

長門『ああっ!!はぁああああああ!!くはぁ……はぁ……』ギュ ビクンビクンビクン

元帥『ふぅ……よかったよ長門くん。これで大分改善されたはずだ』

長門『えっ?……あっ、はいぃ…… ありがとうございますぅ……』

元帥『よし、では二回戦目だ。コレを舐めてもう一度たたせるんだ』

長門『わ、分かりました///あむ』

長門《こうして口淫で元帥の立派な男根をもう一度臨戦態勢にする。私の胸は来るべき快楽に震えた》

元帥『次はバックを教えてやろう。と言っても普通のバックは経験済みか。なら立ちバックだ』

長門『たちばっく?』

元帥『そこに立って壁に手をついて腰を突き出せ』

長門『えっと……こうですか?』グイ

元帥『もっと深く……よし、いいぞ。ぶち込んでやろう』ガシッ ズプン

長門『き、きたぁああああ///』ビクン

元帥『ふっ……ふっ……自分でも腰を振れ。さっきよりやりやすいだろ』パンパンパンパン

長門『はぁいい!!んはぁ!!ああん!!』パンパンパンパン

長門《容赦なく腰が打ち付けられ、立っていることが困難なほどの快楽に襲われる。いつのまにか私は、壁にしなだれかかり、元帥もまた私の胸を揉んでいた》

元帥『……くっでるぞ!!お前の中を満たしてやる!!』

長門『たてない!!もうたってられにゃい!!おかしくなっちゃう!!』ガクガクガク

元帥『うっ……はぁ……!!』ビュルルルル

長門『にゃああああああ!!』ビクンビクンビクン

長門《絶頂を迎えた私は壁と元帥に挟まれ、潰された状態で快楽を流し込まれた。そのまま元帥に抱え込まれ、唇を奪われる》

長門『んちゅ……れろれろれろ』

長門《まるで恋人同士のように濃厚なディープ。求め合うように唇を絡ませる》

長門《そしてベッドの上で愛撫し合った。互いを労わるように撫でまわす》

元帥『ふぅ……さて、今日はここまでだ。また明日お邪魔するよ』

長門『は、はいぃ……』



長門『……』グスッ

長門《きのう、私はとんでもないことをしてしまった。まさか、元帥と肌を重ねてしまうなんて……》

長門《明白な裏切り行為だ。許されない愚行だ。提督に……なんといえばいいのだ……》

ピンポーン

長門『!!』

長門『……はい?』

元帥『やあ、長門くん。来たよ』

長門『げ、元帥……』

元帥『早速今日のレッスンを始めようか』

長門『元帥……もう、止めましょう。こんなこと、許される事ではありません』

元帥『……と、言うと?』

長門『提督に申し訳なくないのですか!?貴方はあの人のことを大事にしていると言っていたではありませんか!!』

元帥『そうだとも。だから君が彼をセックスで満足させられるようにレッスンしてあげているのではないか』

長門『こんなこと!!不貞と何が違うのですか!?』

元帥『全く違うとも。私は彼のためを思ってしているのだ。……まあ、はしたなく濡らしてしまう君は違ったのかもしれないが』

長門『なあ!?』

元帥『ばれていないとでも思っていたのかね?まあいい。こんな話、ここでしていたらお互いよくないのではないか?』

長門『っ!!……おあがりください』

元帥『うむ』



長門『……』トポポポポポ

長門《とにかく、こんなこともうやめにしてもらわなくては!!私はお茶を入れながらそう決意した》

長門『……どうぞ、粗茶ですが』

元帥『ありがたい。そういえば間宮アイスを持ってきたのだが、今は食べている暇が無いようだ。あげるから冷凍庫に仕舞ってきなさい』

長門『!!……ありがとうございます』

元帥『うむ。……』ニヤッ キュポン トポポポポポ



長門『くぅ……はぁ……!!』パンパンパン

元帥『いいぞ、騎乗位はそうするんだ。艶めかしく胸を揉んで見せるのもいい』

長門《なんでこんな事に……お茶を飲んで昨日の話をしていたら、また体が熱くなってしまって……》

長門《下着を濡らしていることがばれてしまい、強引に迫られて、流された結果がこの現状だ》

長門《私は全裸で同じく全裸の元帥の腰にまたがり、その立派な男性器を女性器で包み込んでいた》

長門《はしたなく腰が動くのが止まらない。頭が焼ききれそうになる。いや、もう焼き切れているのだろう》

長門《ただただ、抗い難い快楽への渇望という本能と、その本能を満足させる快楽に支配されている》

長門《もはや私は、そしておそらく元帥も提督のためだなんて、これっぽちも思ってはいないだろう》

長門《互いを満足させるためだけに腰を振り、快楽を与えあい、本能をむき出しにしている》

長門《ただ罪悪感や抵抗感をなくすためだけの免罪符だ。しかし、そんなものでも、なくては私は壊れてしまう》

元帥『そろそろイくぞ……くぅ!!』ビュルルルル

長門『あ、いやぁ、きたああああああ!!す、すごいの……きたぁ……んむぅ』ビクンビクン

長門《絶頂の余韻のままに、元帥へしなだれかかり、濃厚なキスを交わす。もはや罪悪感や嫌悪感は消え去り、幸福感や元帥へ対しての恋慕の感情すら抱き始めていた》

元帥『ぷはぁ……長門くん、よかったよ』

長門『はぁい……ありがとうござます……』

元帥『強引にしてしまってすまない。けど、これも君たちのためを思ってなんだ』

長門『……』

元帥『誰だって何かを上達させたかったら練習するだろう。セックスだって同じだ』

長門『練習……』

元帥『君の心は提督のモノだろう?だから問題ない。これは浮気じゃなくて提督への愛ゆえの行動なのだ』

長門『提督への……』

元帥『だから深刻に考えるな。ただのレッスンだと割り切ってくれ』

長門『……はい。分かりました』

元帥『よろしい、ではこれからも一緒に頑張っていこうではないか。提督のために』

長門『はい。提督のために……///』



提督『ただいま、長門!』

長門『提督、お帰りなさい』

提督『寂しい思いをさせてしまったな。申し訳ない』

長門『大丈夫だ。私も子供ではないからな』

提督『そうか。長門、こっちにおいで』

長門『どうしたんだ?』

提督『んちゅ……』

長門『んふ……』

提督『……』サワ

長門『っ!!ま、待って!!』

提督『な、長門?』

長門『その、……せ、生理なんだ!申し訳ないが今日はできない……』

提督『そ、そうか。それはすまない……』

長門『こちらこそだ……そのかわり、今日はごちそうを作るから期待していてくれ!』

提督『それはいい!!期待して待っているよ!!』

長門『ああ、では料理に戻るよ』

提督『分かった』

長門《危ないところだった……今肌を重ねてしまったら、元帥の精液に気がついてしまうだろうしな……》ブピュッ トロォ



長門『では、行ってくる』

提督『ああ、先生の所だっけ』

長門『そうだ。花嫁修業を頑張ってこよう』

提督『先生にもよろしく伝えておいてくれ。行ってらっしゃい』

長門『ああ』



元帥『ふっ……そうか……よろしく言っていたか……くっ……』パンパンパン

長門『はぁい!!そういってましたぁ!!』

元帥『じゃあ今日は念入りにやっておくか』

長門『あぁん!!ありがとうございますぅ!!』ビクンビクン



提督『よし、じゃあ行ってくるよ』

長門『ああ、行ってらっしゃい。それにしても、提督もとうとう中将か。胸が熱くなるな』

提督『えっ!?俺、君に言ってたっけ!?』

長門『うん?ああ、酔っていたから記憶がないのか。昨日寝る前に嬉しそうに話していたじゃないか』

提督『あっちゃぁ……サプライズで驚かせようと思ていたのに……』

長門『そうだったのか。ははっ』ニコッ

提督『ともかく、行ってくるよ』

長門『気を付けて』



ピンポーン

長門『!! お帰りなさい、元帥!!』

元帥『ただいま、長門。さっき鎮守府で会った提督が君へのサプライズへ失敗したとか言っていたぞ』

長門『ああ、それですか。貴方から聞いていたのでつい言ってしまって。危うく怪しまれるところでしたよ』

元帥『次から気を付けたまえ。罰として今日は一日これを付けたまま暮らしてもらおうかな。もちろん、あの若造が帰ってきた後もだ』ブーン

元帥『もちろん、これも彼のためだ。彼を満足させられるように快楽に堪えるレッスンだからな』

長門『はい///んっふぅ……』ピクン

元帥『では、本レッスンを始めようか』

長門『よろしくお願いします///』

長門《これは裏切りじゃない。提督のためなんだ。私が気持ちよくなるのはたまたまあった副産物だ。けして快楽のためにしているわけではない》

長門《今日は一体何を教えてくれるのだろうか?そう考えると心身が昂り、期待に心臓が早鐘を打った》

長門《まるで恋人同士のように絡み合い、愛し合う。たぶん肌を重ねた回数ではとっくに提督より元帥の方が上だ》

長門《けど、問題ないな。だって、これは提督のためなのだから》

元帥『長門、愛しているよ』

長門『私もあなたが好きだ///愛している……んはぁ!!』ズチュン



提督「なんという裏切り!!何が提督のためだ!!ようは自分の不貞行為を正当化したかっただけだろう!!」

提督「だがな、本人がどう考えていようとそれは間違いなく唾棄すべき裏切りなのだ!!低俗な雌豚め!!地獄で己の罪業を知り、永遠に苦しみ続けるがいい!!」

提督「それに、よく考えたら愛していると言いやがったな最後!!どういうことだ!?ええ!?そのうち完堕ちするんだろうが!!」

提督「そして最後にはそいつの子供を孕んだりするんだろう!!そうなんだろう!!そうなんだろう!?どうなんだビスマルク!!」

ビスマルク「……安心しなさい、ありえないんだから。こうなるに決まってるじゃない」



元帥『信じられないのも分かる。しかし、男というのは女には滅法弱い。本能がそうできているのだ』

長門『本能……!!』

元帥『しかし、儂も目をかけている大事な部下が、万が一そんな理由で破局を迎えてしまったらと思うと不憫でならない』

元帥『そのためには君が提督を満足させられるようになるしかない。だから、何か力になれないかとここへ来たのだ』

長門『元帥……』

元帥『何でもいい。何か心当たりなどはないか?』

長門『心当たり……』

長門《このような事、いくら元帥とはいえ赤の他人に話すなど!!と、とりあえず元帥には帰ってもらおう。ありがた迷惑という奴だ》

長門《そして陸奥に相談しよう。あいつなら適確なアドバイスをくれるはずだ。私よりもそういったことに詳しいからな》

長門『……特にはないですね。大丈夫です。元帥のお手を煩わせはしません』

元帥『し、しかし!このままでは提督が浮気をしてしまうかもしれないんだぞ!!それでもいいのか!?』

長門『!?……よくはありませんが、私は夫を信じています。それに、いくら元帥とはいえこのようなことを話すのは良くないかと』

元帥『なっ!?』

長門『ご心配いただきありがとうございました。このことは私達で解決します。どうぞご安心ください』

元帥『し、しかし……!!』

長門《なんだ……どうしてここまで強引なのだ?普通は引き下がるべき場面ではないのか……》

長門『げ、元帥?どうされたのですか?どうしてそこまで……』

元帥《ま、まずいな……怪しまれている……これ以上強引にいくのは危険か。ここは引いておこう》

元帥『いや、なに。それだけ提督を気にかけているのだ。離婚歴はよくないからな、ははっ…… すまない、熱くなり過ぎたようだ』

長門『いえ、大丈夫です。それだけ目にかけて貰って、夫は幸せ者です』

元帥『そう言ってもらえると助かるよ。さて、今日はこれで失礼しようか』

長門『お見送りします』



提督「馬鹿な……その発想はなかった……」

ビスマルク「むしろその発想しかないわよ。大体、職場の上司、しかも男性に自分たちの性生活を相談する女なんていないから。強引に聞いてくるならセクハラ事案ね」

提督「いるかもしれないだろう」

ビスマルク「自分から言うならまだしも、相手から聞かれて答える女はいないわよ。その後は、たぶんこんな感じになるわ」



陸奥【もしもし、長門?】

長門【……陸奥か】

陸奥【そうよ。貴女が掛けてきたんじゃない】

長門【陸奥……むつぅ……ぐすっ】

陸奥【ちょっ!?どうしたのよ!?】

長門【て、提督が……離婚するかもしれない……ひくっ】

陸奥【はぁ!?どういうことなの……】チラッ

提督『よし、これだ!』

曙『はぁ!?本気で言ってんの!?長門さんがそんなの貰ったって喜ぶわけないじゃない!!第一、何よ盆栽セットって!!』

提督『いや、植物を育てるのは手軽だし、心が和むだろ』

漣『いや、そりゃそうだけどさ……そこで盆栽セットを選ぶってところがご主人さまのセンスの無さですわこれは。やべぇ、脳が震える……!!』

提督『なん……だと…… 長門は大和撫子だからこれの方がいいんじゃないか?』

潮『あの、こっちのチューリップとかの方がいいんじゃないかなって思うんですけど……』

朧『沢蟹飼育セットとかおすすめですよ。かわいいし、見ていて和みます。そして植物と違って動きますし』

陸奥【……そんな事ないと思うけど、どうしてそう思ったのよ?】

長門【今日元帥が来て、提督が私との……セックスに不満を言っていたと言われたのだ……】

長門【このままじゃ提督に愛想をつかされてしまうかもしれない……陸奥ぅ……どうすればいいのだ……?】

陸奥【元帥……?元帥か…… 長門】

長門【なんだ……ぐすっ……】

陸奥【その元帥はね……】



ビスマルク「こうして元帥の本性を知ったナガトは提督に相談したりして、少なくとも貴方の言うようなNTR展開にはならないから」

ビスマルク「もしムツがそういう噂を知らなくても、どうにかして提督とナガトは話をするでしょう。そうなればNTR展開にならない事だけは変わらないわ」

提督「馬鹿な……だが、不安に思って相談しちゃうぐらいはあるんじゃないか?」

ビスマルク「……もしそうしたとしても、服を脱いで体を確認とかはしてもらわないわよ。言葉で説明ぐらいね」

提督「くっ……馬鹿な!!信じられん!!」

長門「提督、失礼する。少し話があるのだが」

提督「長門!!お前好きな人はいるか!?」

長門「なぁっ……!?」ボンッ

提督「いるのか!?」

長門「ど、どうしてそんなことを聞くのだ!?」カオマッカ

提督「大事なことなんだ!!頼む、答えてくれ!!」

長門「あぁ……うぅ……くっ……い、いるぞ……///」モジモジ

提督「よし、ではそいつと君が結婚したとしよう!!」

長門「!!??」

提督「しかしある日、夫がいない間に中年の上司が家にやってきて、夫から君との夜の生活に不満を持っていると言われた」

長門「えっ……」

提督「そして上司が君たち夫婦のために何かしてやりたいと言ってきた。どうする!?」

長門「ほ、本当にどうしたのだ!?どうしてそんなことを……!?」

提督「大事なことなんだ!!頼む、長門……!!俺の、魂をかけた戦いなんだ……!!」

長門「……!!……分かった。いや、よくわかりはしないのだが、とりあえず貴方にとって大事な問であることは分かった」

提督「長門……!!」

長門「全力で答えさせてもらおう。……そう、だな。 例えば、夫の好みを聞くとかだな」

提督「なるほどな……では、例えば自分の体が魅力的か不安を覚えていたら、そのことを確認してもらったりするか?」

提督「そこで触られて感じてしまい、雰囲気に流されて性技を仕込んでもらったりはどうだ?」

長門「なに!?まさか!!そんなことはするわけない!!」

提督「なん……だと……」

長門「第一、そんなの浮気ではないか!!それにいくらアレがあまりうまくないからと言って、他人とそういうことをされるよりはずっとマシだろう!!」

提督「そ、そうだ!!」

提督(……だが、それをちゃんと分かっているだと!?)

長門「て、提督……まさか、貴方は私がそんなことをするとでも思っていたのか……!?」ウルッ

提督「いや、違う!!違うぞ!!」

長門「ではなんでそんなことを聞くのだ……!?納得のいく答えを言ってもらう!!」

提督「……ふ、不安になったんだ」

長門「……不安?」

提督「分かっていても言葉で確認したい時があるだろう……?」

長門「……」

提督「……すまない、俺は今、少し不安定なんだ。理由は分からないのだが。本当に申し訳ない」

長門「……提督。一体何があったというのだ?普段の貴方からは全く想像がつかない状態だぞ」

提督「……分からないんだ。すまない」

長門「……私にできることがないだろうか?この長門、貴方のためにならできることは何でもする」

長門「だから、もっと私を頼りにしてくれていいのだぞ?私もその方が嬉しい」

提督「長門…… ありがとう。だが、今は大丈夫だ。いつか助けが必要になったら頼らせてもらおう」

長門「っ……!! ……分かった」

提督「本当にありがとう。……それで、話というのは何だ?」

長門「いや、また今度にする。今はそれどころじゃなさそうだからな。では、失礼する」

提督「そうか、分かった。ありがとうな。じゃあまた後で」

ビスマルク「……ほらね?分かったかしら?」

提督「ああ、ここは俺の負けだ。だが、まだだ。まだ終ってない」

どうも作者です
長らく遅れてすいません……
続きを投下していきます

提督「……よし、では次にいこうか。……教師とは聖職だ。未熟な子供たちに、一人前の大人になるための術を教える者たちだ」

ビスマルク「……そうね」

提督「しかし、世の中にはそんないたいけな少女を欲望のままに貪るような輩がいる……!!」

提督『そして哀れな少女たちも調教され、快楽に溺れ、取り返しのつかない娼婦になってしまう!!たとえばこんな感じだ!!』



川内『提督ー!!』

提督『……川内、戻ったか』

川内『ただいま!!大勝利だよ!!』

提督『うむ、素晴らしい。だがな……』

川内『ん?なに?』

提督『朝四時に叩き起こすのは止めてくれ……』

川内『えー!?愛しの川内ちゃんが戻ってきたんだよ!?もっと喜びこそすれ、それは酷いんじゃないの!?』

提督『もちろん嬉しいが、眠気には勝てぬ……』

川内『もう!!』

提督『ほら、おいで』グイッ

川内『おお!?』ボスッ

提督『一緒に寝よう』

川内『んっ仕方ないなぁ……すごく暖かい』

提督『君のために温めておいたんだよ』

川内『そっか。ありがとね、提督……』

川内《暖かい布団の中ですぐにまどろむ。ふわふわしていて、とても気持ちがいい》

川内《提督と付き合い始めて一ヵ月ほどたつ。夜戦帰りはこうするのが習慣になった》

川内《布団の柔らかさと提督の温もりと匂いに包まれて眠りに落ちていく。至福の一瞬だ》



提督『……だい、起きろ。川内』ユサユサ

川内『んっ……提督?』モゾモゾ

提督『そうだ。そろそろ時間だぞ。食事と身支度を済ませておけ』

川内『時間……?ああ、あれか』

提督『そうだ。教育プログラムだ』

川内『【学校】ね、分かった。……あと5分』

提督『駄目だ』

川内『ケチ……じゃあおはようのキスは?』

提督『!……』チュッ

川内『んっ……よし、目が覚めた』

提督『食事は運んである。シャワーも使っていいぞ』

川内『ありがとうね、提督』

川内《今日から教育プログラム、通称【学校】が始まる。これは、勝利は目前の戦況を踏まえて政府から戦後に向けての、艦娘の復員支援のプログラムだ》

川内《私達艦娘は、本来なら学校に通っている年齢だ。けど、前線で戦っているのだから一般の学校で学ぶようなことを学んでいない》

川内《このままでは戦後に困るということで、年齢的に必要な学力を【学校】で獲得する。そして、終戦後に一般人たちと同じ学校へ戻ることができるようにするらしい》

川内《正直、私はそこまで学校に行きたいわけじゃない。どちらかといえばこのまま軍に残って提督を支えたい》

川内《しかし、普通の生活を体験してからでも遅くないという提督の助言で、とりあえず行ってみることにした》

川内『もぐもぐ……おいし』

川内《まあ、それなりにやっていくとしようか。そろそろ12時だ。夜戦に出ていた私は午後から参加なのだ》

川内『神通たちが午前から受けてたっけ。話を聞いてみよ』



川内『ただいま!!』

提督『おお、川内、お帰り。どうだった?』

川内『んーまあまあかな?数学とかは簡単だけど理化社会が意味不明だよ……あんなの知らなくても問題ないでしょ』

提督『そんなことない。雑学が増えるぞ』

川内『そんなの欲しくないし……』

提督『まあ、そう言うな。俺も学生の頃はそう思っていた。皆が通る道だ』

川内『んー……』

提督『ほら、頑張った川内へプレゼントだ。これをあげよう』

川内『間宮アイスじゃん!!いいの!?』

提督『その代わり授業をがんばれよ』

川内『うん、頑張るよ!!だから、あーんして?』

提督『しょうがないな……ほら、あーん』

川内『あむ……んー!!おいし!!』

提督『ほれ、もう一口』

川内『はむ!ほうだ、へいほふほはへはほ(そうだ、提督も食べなよ)』

提督『え、何だって?んっ』

川内『んちゅ……れろれろれろ……はぁ、おいしかった?』

提督『……今まで食べてきた物の中で一番だ。もう一口頂こうかな』

川内『どうしようかな~ あむ!?んふぅ!!ん……』

川内《提督に口の中へアイスを突っ込まれる。そして間髪入れずに唇が重なって、入ってきた舌が私の口の中のアイスを舐めとっていく》

提督『……癖になりそうだ』

川内『しょうがないにゃぁ……いつでもやってあげてもいいよ?』

提督『頼もうか』

川内《提督と一緒にいるときが一番安心する。この人のことが世界で一番好きだ。そんな人と両想いになれるなんて、私は何て幸せ者なのだろう》

川内《そんな提督が私に普通の生活を知ってもらいたいなら。とりあえず体験してみるのも悪くはないかも》

川内《あまり気乗りしなかったけど、学校頑張ろう。一番の成績をとって提督に喜んでもらうんだ》



ゴリマッチョ『ほぅ……アレが艦娘か。美人だらけじゃねえか。軍隊は見た目で採ってるんじゃないか?』

ゴリマッチョ《体育科の教師として鎮守府で教えろと言われた時はどうなるかと思ったが、こいつはついてるな》

ゴリマッチョ《今まで何人もの女子生徒を喰ってきたが、これほどの上玉はそうそう見たことねえ》

ゴリマッチョ《とりあえず今のうちはまだ値踏みの段階だな。いただくときが楽しみだ》

ゴリマッチョ『時間か……全員集合!!これより体育の授業を始める!!』

『『『『はい!!』』』』

ゴリマッチョ『まずは基礎体力テストからだ。お前たちの体力を見させてもらう!!』

『『『『はい!!』』』』



川内『提督!!聞いて聞いて!!』

提督『ん?お帰り川内。どうしたんだ?』

川内『ただいま!!あのね、提督。私、陸上の大会に出るかもしれない!!』

提督『何?どういうことだ?』

川内『なんか体育の先生がね、有名な陸上の先生だったんだ。それで体力テストの時、50m走やった後に100m走も走ってみろって言われてね?』

川内『だから走ったら、陸上の才能があるって言われたんだ!!それで、次の全国大会を目指してみないかって言われたの!!』

提督『なんとまあ!けど、お前はまだ艦娘だぞ?許可は下りるだろうか。それにそういう大会に出るには実績がないとダメなんじゃないか?』

川内『それがね、なんか偶然プログラムの視察に来てたお偉いさんたちが見てたらしくてね』

川内『海軍のイメージアップにちょうどいいって許可出してくれたんだ。陸上の人も先生の推薦であれば特例で許可するって』

川内『だから出ようと思えば出られるよ!!すぐに提督にも連絡が来ると思う』

提督『そうか、分かった。川内は出たいのか?』

川内『もちろん!!……これで優勝したら、きっと私も胸を張って提督の隣にいられるようになるから』

提督『川内……?』

川内『もちろん誰かにそう言われたわけじゃないよ?けど、やっぱり金剛さんとかと比べると私ってさ、釣り合ってないかもって』

提督『そんなことない!気にするな』

川内『気にしないようにしたいけどさ、やっぱ無理だよ。けど、優勝できればそれが私の自信になるから』

川内『だから、応援してくれると嬉しいなって。……ダメかな?』

提督《正直に言って、川内がそう考えていることが納得できないというか……悲しい気分になる。けど、それが川内にとって重要なことならば……》

提督『……もちろん応援するよ。頑張れ』

川内『提督……!うん、頑張る』ダキッ

提督『……』ナデナデ



ゴリマッチョ『よし、今のはなかなかよかったぞ。その調子でいくんだ』

川内『はい』

川内《あれから数週間。私は【学校】で授業を受け、放課後は夜まで練習に打ち込んだ》

那珂【えー!!それってもう普通の人と変わらない生活じゃん!!いいなー!!】

川内《那珂たちはそう言ってうらやましがるけど、私はあまり楽しいとは思わなかった》

川内《戦場で戦っているときの高揚感、特に夜戦の時のあのゾクゾクした感じが懐かしい。生きるか死ぬか。うっとりする》

川内《最初の頃は新鮮でよかったけどね。でも今は、退屈な勉強に毎日のように繰り返される練習。もううんざりだ。何の楽しみもない》

川内《タイムが少しずつ上がってきてもそこまで嬉しくはない。なんでこんなことに打ち込む人が大勢いるのか》

川内『提督のためじゃなきゃ、こんなことやってられないや……』ボソッ

ゴリマッチョ『……』サワッ

川内『きゃあ!?』ビクッ

川内《いきなりお尻を触られた!!振り向くとコイツがいた》

川内『っ!!やめて!!』

ゴリマッチョ『勘違いするな。これはお前の筋肉を調べているだけだ』

川内『何言ってるの!?こんなのセクハラじゃん!!』

ゴリマッチョ『違う。俺はお前が真剣に取り組んでいるのを見て、できる限りのことをしてやろうと思っただけだ』

川内『なにそれ!!意味わかんないから!!』

ゴリマッチョ『ふん、まあいい。片付け終わったら俺の部屋に来い。それと教師に向かって話すときはちゃんと敬語を使えよ』

川内『チッ』

川内《最初の頃は気がつかなかったけど、コイツの私を見る目は獲物を見定めているようで気に食わなかった。いやらしい目で胸やらお尻やら脚を見てくるし!》

川内《とうとう本性を現したか、このエロオヤジめ!次やったら許さないから!》



ゴリマッチョ《やれやれ、一番センスがあるうえに美人だったから選んだが、性格に難ありだったな》

ゴリマッチョ《だが、そんなじゃじゃ馬を堕とすのもまた醍醐味だ。予定通り今日にでもしかけるか》



川内『……』コンコン

ゴリマッチョ『入れ』

川内『失礼します』ムスッ

ゴリマッチョ『教師に随分な態度だな。筋肉を確認しただけだと言ったろうが』

川内『どうだか。セクハラ教師にはこれで十分でしょ?』

ゴリマッチョ『まったく。ともかく、ほれ。これが全国大会の詳細の書類だ。ちゃんと確認しておけよ』

川内『……分かりました』ブスッ

川内《ちょうど一か月後か……うえ、明後日から大会まで合宿!?》

川内『合宿って……聞いてない!!』

ゴリマッチョ『今頃、他の選手たちはみんな合宿や激しい練習に打ち込んでいるんだ。夏休みだからな』

ゴリマッチョ『それに、お前はここでしか走ったことがない。ちゃんとした競技場の雰囲気にできるだけ慣れてもらう』

川内『きょ』

ゴリマッチョ『もちろん許可は取ってあるからな』

川内『っ……!!』

ゴリマッチョ『それと川内、マッサージしてやるからジャージを脱げ』

川内『はぁっ!?何よマッサージって!!絶対セクハラ目的でしょ!!』

ゴリマッチョ『馬鹿を言うなよ。さっき確認したがやはり筋肉が固まってる。そのままじゃ怪我するぞ』

川内『っ!!でも……』

ゴリマッチョ『ふん、そうか。俺はお前が真剣に頑張るから見てやっているのに、やれセクハラだのでもだの。もういい』

川内『!』

ゴリマッチョ『才能はあるがそんな態度じゃもう無理だ。お偉いさん方に話をして、このことはなかったことにしてもらう』

川内『!!』

川内《そんな……それだけは駄目!!提督だって応援してくれているのに!!》

川内『ま、待って!』

ゴリマッチョ『……なんだ?』

川内『分かった!マッサージ受けるから!』

ゴリマッチョ『セクハラだの言われるのはこりごりでな』

川内『っ!!……す、すみませんでした。お願いですからこれからもよろしくお願いします……』ペコリ

ゴリマッチョ『……はぁ、仕方がない。ならこれからも指導してやろう。ただし、俺の指導にはちゃんと従えよ?』

ゴリマッチョ『今回の件では俺のメンツもかかってるんだ。これで無様な成績を残したりすればこれからに響く』

川内『分かりました……』



川内『くっ……ふぅ……』ピクン ピクン

ゴリマッチョ『こわばっているぞ、リラックスしろ』グイ グイ

川内『っ!!はぁ……』ビクッ

川内《何がリラックスしろだ……際どいとこばっかり触って……ほとんどお尻どころか、一番大事な所に触りそうじゃん……!!》

川内『んっふぅ……』

川内《っ!!もし触ったら、問答無用で殴り飛ばしてやるっ……!!》

ゴリマッチョ『どうだ、気持ちがいいだろう?そうやって素直に俺の手を受け入れろ』

川内『はぁ……はぁ……き、気持ちよくなんか……くぅ……ないから……』ピクン

ゴリマッチョ『……強情な奴め。次は仰向けになれ』

川内『は、はい……』ゴロン ギシリ

ゴリマッチョ『よし、いくぞ』グニグニ

川内『はぁ……つぅ……』

川内《胸……揺れちゃう……こんな……熱いよ……》

川内《扇風機だけじゃなくて……クーラーつけないの……?汗で濡れて……ウェアが引っ付いて……気持ち悪い……》

川内《なんか頭がぼぅっとしてきて……でも体が敏感になってきて……すごく変な気分》

川内《こんなエロオヤジに全身まさぐられてるのに……気持ち悪いのに……気持ちいいなんて……おかしいよ……》ゾク

ゴリマッチョ『……川内、お前』ズル

川内『えっ?』プルン

ゴリマッチョ『感じているな』ニヤリ

川内『なっ……!?』カァッ

川内《ボーっとしていた所を突然レーシングトップを上にずらされる。胸を丸出しにされた》

ゴリマッチョ『ほう……発展途上にしてはなかなか……こんなに乳首をたたせて、俺は真面目にマッサージしてやっていたというのに』モミモミ

川内『は、離せ変態!!っ!?』

川内《て、手が足で抑え込まれていて動けない!?そんな……このままじゃ!!》

川内『どけぇぇぇぇ!!』ジタバタ

ゴリマッチョ『お前らが、艤装とやらを展開していなければ身体能力が普通の人間に戻るのは知っているんだよ』

川内『こんなことして、ただで済むと思ってるの!?』

ゴリマッチョ『勘違いするなよ?これも指導だ。性欲がたまってたら集中を妨げる。だから俺が一肌脱いで発散させてやろうってんだよ』クリクリ

川内『ひゃんっ!!やっ……やめっ……ぇ……!!』ビクン

川内《か、体に力が入んない……!!いつの間にこんな体が……まずい、こんなの……!!》

川内『あっあん……ふぅ……んぁ……!!』

ゴリマッチョ『気持ちいいみたいだな?だんだんと大人しくなってきやがって』

川内『ち、違う!!そんなんじゃ……あん!』

ゴリマッチョ『さて、もっと女を悦ばせるのには、やはりこれしかないな』ボロン

川内『!?』

川内《な、なにそれ……男の人のあれって、そんな大きくなるの……?わ、私で興奮してるの……?》

ゴリマッチョ『初めて見るのか?まあそうだろうな。よく見ておけ。これがお前を子供から女にするんだ』

川内『……』ゴクリ

ゴリマッチョ『お前の胸なら挟めそうだな。ほれ、ついでに男を悦ばす技も教えてやろう』ピト ギュッ

川内《クソオヤジは私の胸の谷間にあれを挟むようにした。そして私の胸を左右から谷間を作るように押し付け、あれを圧迫するようにする》

川内《胸に感じる熱いモノ、それはぬめっていて、とても臭い。汚い、穢らわしい。そんなものが、私の胸に挟まれてる……》ゾクゾク

川内『な、なにを……』

ゴリマッチョ『ほら、こうして挟んで胸で扱く。これがパイズリだ。今は俺が動いてるが本来はお前が動いて扱くんだからな』ピタンピタンピタン

川内『うぅ……ふぅ……こ、これが……?』ドキドキドキ

川内《肉と肉がぶつかる音が響く。か、体がおかしい……こんなの変だ……あそこが疼く……》キュン キュン

川内《これが……エッチなの……?こんな大きいのが……あそこに入るの……?》

川内《そ、そんなことされたら……私……どうなっちゃうの……?》

ゴリマッチョ『ふんっふんっ』ピタンピタン

川内『!!』ピト

川内《先生のアレが私の唇に触れた。何か熱い、とても臭い液体が唇にくっつく。私、今あれにキスしちゃったんだ》

ゴリマッチョ『いいぞぉ……まずは一発目、浴びせてやる!!うぅ……!!』ビュルルルル ギュッ

川内『うあっ!!ぷはっ、あっ、くぁああああ!!』ビチャ ビクンビクン

川内《白いどろりとした液体が先端の穴から吹き出てきた。顔一面に飛び散って、口にまで入ってくる》

川内《汚された。けど、なぜかその事実が私を変に興奮させた。先生のが私の口に……酷い味、酷い匂い。これが男の人のせいえきなんだ……》

川内《初めてする男の人とのエッチなこと。自分がそれをしていて、相手の男の人をイかせたという事実が私を興奮させる》

川内《それに加えて、強くつままれた私の胸の先端が鋭い痛みと焼き切れるくらいの快感を伝えてきた》

川内《気がついたら、イっていた。頭の中が真っ白になっている。今までに感じたことのない感覚に意識が飛びかける》

川内『あふぅ……はーっ……はーっ……』ピクンピクン

ゴリマッチョ『強引にパイズリされて、乳首を抓られ、顔射されてイくか。お前はかなりのマゾだな』

川内《嘘だ……こんなこと……私は、マゾじゃない……!!》

ゴリマッチョ『よし、次は本番だ。お前をメスガキから女にしてやる』ギシッ

川内『や、やだぁ!もう、やめて……!!』バッ

川内《こいつがどいて動けるようになる。私は少し戻った理性で逃げることを選択した》

川内《私の好きな人は提督だ。こういうことは提督としたい!!絶対にこんな筋肉ダルマのエロオヤジなんかとなんていや……!!》

ゴリマッチョ『初めてなのにバックがいいのか?まったく。マゾなうえに変態か』ガバッ ガシッ グリグリ

川内『やぁ!ちがうっ……!!』

川内《けれど力が入らない。這って出口まで逃げようとするけど、ベッドから逃げる前にのしかかられてしまう》

川内《勃起したこいつのアレがレーシングショーツ越しに私のお尻に押し付けられる》

ゴリマッチョ『ほら、川内。もう少し腰を浮かせろ』グイッ

川内『んはぁ……ふぅ……!!』

川内《ランニングパンツがずらされる。あそこが丸見えになってる。こんな奴に見られちゃった……》

川内『そんなモノ押し付けるなぁ……!!私はそんなの入れられたくない……!!初めては提督とだもん……!!』

ゴリマッチョ『好きな奴がいるのか?だが認めろ、川内。お前の体はこれを入れられたくてたまらないんだよ。その証拠に大洪水じゃないか』ネチョ ネチョ トロリ

川内『ふぅ……!!くぅ……!!』ピク ピク

ゴリマッチョ『川内、これは指導だ。ここで終わらせればお前はさらに悶々として今まで以上に練習に身が入らなくなるだろう』

ゴリマッチョ『そうならないためにも、ここで俺とセックスして性欲を解消しないといけないんだ。そうしなきゃ全国大会で戦うことは不可能だ』

川内『はぁ……はぁ……』

ゴリマッチョ『それにな、これはお前とその提督とやらのためでもある』

川内『何言って……』

ゴリマッチョ『処女ってのは嫌われるんだ。痛がったり手際が悪かったりして面倒だからな』

川内『……!』

ゴリマッチョ『だからここで俺がお前をそういう意味でも指導してやる。そうすればきっとそいつとのセックスでもうまくいくぞ?』

川内『……』

ゴリマッチョ『俺はお前の教師だ。お前がどう思おうと教師に従うのが生徒だろう。俺のいうことは聞かなくちゃならん。殺気もそういったはずだ。……あとは分かるな?』

川内『はぁ……はぁ……』

川内『っ…………』クイッ

川内《何が決定打となったのかは分からない。優勝の為?提督の為?先生の言うことだから?それとも……》

川内《ホントは、期待してたから?》ドクン ドクン

ゴリマッチョ『そうだ、それでいい。お前は俺の指示に従っていればいいんだ』ツプ グッ ズブッ ヌププププ

川内『っ……うっ、ぎぃ……はっあぁ!!うぁああああっ!!』ビクンビクン

川内《先端が当たるのを感じた。ぬるりとそれが私の中を押し開きながら入ってくる。一瞬の痛み、だけど、それよりも興奮が勝る》

川内《そしてそれが私の体の奥へ到達した。こんっと叩かれたような感じ。熱い異物感がソレを自覚させるさせる》

ゴリマッチョ『処女喪失おめでとう。これでお前は俺の女だ』モミモミ クチクチ

川内『なっはぁん!!ああ!!くぅ……!!』

川内《手で胸とクリトリスをいやらしく責められる。頭が飛びそうだ。おかしい、ヤバイ、このままじゃ……》

ゴリマッチョ『よし、そろそろ動き始めるぞ。お前の中を俺の形にしてやる』ズップズップズップ

川内『んっ!!あっ!!あぁ!!やぁ!!』パンパンパン

川内《激しく突かれ、理性が消し飛ぶ。ただこの快楽が欲しい。もっと、もっと!》

川内《先生は私の理性が消え去った後もずっと激しく腰を打ち付けてきた。まるで、私に自分を刻むこむように》

ゴリマッチョ《このよがり具合、こいつはもう堕ちたな》ニヤリ

ゴリマッチョ『俺ばかりに任せるな。お前も腰を使え。ピストンするだけじゃなくて円を描くようにしてみろ』

川内『はぁん!!あっ!!あっ!!あぁん!!』グリン グリン

ゴリマッチョ『そうだ、いいぞ。だが、忘れるなよ川内。これは指導だ。ちゃんと返事しろ』

川内『は、はいぃ……ありがとうございますぅ……んぁ!!』ゾクゾク

ゴリマッチョ『ほら、気持ちいいように動くんだ。相手に任せっきりになるな』

川内『はぁい!!んはぁ!!あぁん!!』

川内《自分が支配されていくのを感じる。この人を悦ばせるために、指示に従う。私がこの人のモノにされていく》

川内『ふぅ……くぅ……いやぁ……だ、あっ、だめ、だ、んはぁああああ!!』ビクンビクン

ゴリマッチョ『イったか。……よし、次は騎乗位だ。俺が横になるから自分で入れてみろ』

川内『あぁ……はぁ……』ピクンピクン

ゴリマッチョ『ほら、休んでる暇はないぞ。早くしろ』

川内『はい……んぅ……ふぅう!!』ツプ ズブブブブ

ゴリマッチョ『よし、この体位はお前がメインで動くんだ。やってみろ』

川内『はぃ……んふぅ……はぁ……あぁん……!!』ズリズリズリ

ゴリマッチョ『違う。もっとピストンを使え。こうだ』ヌボッヌボッヌボッ

川内『あぅ!!はぁん!!んぁあ!!』

川内《頭がおかしくなっちゃった。この人の指示に従うのがたまらなく気持ちいい。ぞくぞくする。興奮する》

川内《もっとしてほしい。もっと私を犯して、汚く穢してほしい。この人のモノにされるのが、従わされることが快感になる》

ゴリマッチョ『発情しきった顔だな。俺に犯されてよかっただろう』パンパンパン

川内『はい!』

ゴリマッチョ『ほら、こっちに倒れてこい。キスだ』

川内『はぁい!んふぅ……んちゅ、れろれろれろ、くちゃくちゃ』

ゴリマッチョ『この瑞々しい弾力のある胸に、引き締まった体。そしてこの締まり具合。最高だ……!!』

川内『ありがとうございますぅ……!!』キュン

川内『っぁあ!!だ、駄目……またイっちゃう!!イっちゃう!!おかしくなっちゃう!!』

川内《淫らに絡み合い、新しく覚え込まされた快楽を求め続ける。激しい行為に、再び私の体が絶頂を迎えそうになった》

ゴリマッチョ『もう限界か?仕方ない、俺もイってやろう……もちろん中出しだ。嬉しいか?』

川内『はぁい!!』

ゴリマッチョ『よし、中で出されたら孕むかもしれんぞ?俺の子種でお前の卵子が受精するんだ』

川内『あぁん!!』

ゴリマッチョ『つまり俺はお前を征服する。お前に好きな人が居るとしても、それは俺になる。いいな?』

川内『そ、それはぁ……!!』

ゴリマッチョ『俺のモノになればこれからもこうして満足させてやる。だから俺のモノになれ。いや、お前が何と言おうとお前は俺のモノだ』

川内『あぁ!!はぁっ!!は、はいぃ!!分かりましたぁ!!私は、先生のモノですぅ!!』

ゴリマッチョ『よく言った!くっ……一番奥で……出してやる……ぞぉっ!』ビュルルルルルルルル

川内『あぁ、んふぁぁああああ!!ふぅぁああああ……!!』ビクンビクン

ゴリマッチョ『くっ……ふぅ……』ズルリ

川内『あん……はぁ……はぁ……』ピクンピクン

ゴリマッチョ『これは本当にできたかもしれんな。だがまだお前には妊娠してもらうわけにはいかない。あとでこれを飲んでおけ』ポイッ

川内『はぁい……』

ゴリマッチョ『さて、明後日からは合宿だ。明日中に準備を済ませておけよ。合宿中はつきっきりでサポートしてやる。ありがたく思え』

川内『ありがとうございますぅ……』

ゴリマッチョ『もちろん、マッサージもしてやるつもりだが、お前しだいだ。考えておけよ。あと、俺はポニーテールの方が好みだ』

川内『はぁ……はぁ……』



提督《川内が全国大会出場とその直前合宿のために鎮守府を離れてから約一ヵ月、大会本番まであと数日だ》

提督《あいつのことだからケロッとしているのだろうが、心配なことに変わりはない。電話でもしてみるか。通じればいいが……》

提督《実は何回か電話したのだが一回も通じなかった。昼間は練習に忙しいのかもしれない。だが、夜にでもかけなおしてほしかったのだが……》

提督《まあ、練習に疲れてすぐに寝ているのだろう。仕方のない事だ》

提督《……あいつの声を聴きたい。大会を目指し始めたころから練習ばかりでまともに会話できていなかったからな》

提督『……』ピッ プルルルル プルルルル プルルルル プルルルル プルルルル

提督《……長いな。もう寝ちゃったかな……っ!!》

川内【も、もしもし?】

提督【川内、俺だ】

川内【っ……提督。どうしたの?】

提督【何、声が聞きたくなってな。最近、君も練習で忙しくてな】

川内【そう、なんだぁ……】

提督【川内?どうかしたのか?随分と苦しそうだが】

川内【そ、そんなことないよ……ちょっと今日の練習で、張り切り過ぎただけ。んっ……】

提督【そうか、ほどほどにな】

川内【あ、ありがとう……】

提督【川内、忙しいのは分かるが、たまには電話したりできると嬉しい】

川内【提督、私、た、大会に集中したいから、さ……っ】

提督【そうか、分かった…… そういえば、近くに新しいカフェができたんだ。今度戻ってきたら一緒に行かないか?】

川内【……提督】

提督【なんだ?】

川内【私達、さ…… 別れよう】

提督【……何だって?】

川内【……別れよう】

提督【……っ!!すぅー、はぁー…… な、何故なんだ。いきなり、こんな……】

川内【私達、はぁっ、急ぎ過ぎたんだよ。もっと慎重に考えるべきだった……】

提督【意味が分からないぞ!】

川内【んぅ……ごめんね。もう切るよ。れ、練習と大会にぃ、集中したいからさ。もうかけてこないで】

提督【せ、川だ】ブツッ プープープー

提督『川内!?おい!!くそっ……いったいどうしたっていうんだ!!』



ゴリマッチョ『よく言ったぞ、川内』クチュクチュクチュ

川内『んっはぁ……!!せ、先生……!!もうだめぇ……!!入れてください……!!』ピクンピクン シコシコシコ

ゴリマッチョ『いいだろう。ご褒美だ。ほら、足をあげろ』

川内『はい///……あぁ!!んはぁ!!』ツプッ ヌプププププ

ゴリマッチョ『くぅ……相変わらずいい締まりだ。この締まりといいすべすべの肌といい、やはり教え子を喰うのは止められんな』グリグリグリ

川内『んぁ……はぁ……うぅ……くぅ……』ギュッ

ゴリマッチョ『よし、ではご褒美本番だ。今日は提督と正式に別れて俺の女になった記念の日だからな。朝まで犯してやろう』

川内『あ、ありがとうございますぅ……んぁあ!!はあぁ!!あぁん!!』ズチュズチュズチュズチュ



提督《今日、川内が戻ってくる。長かった。本当に長かった……》

提督《大会はテレビでも中継されていた。戦闘に臨むときのような真剣な横顔、スタートしてからゴールするまでの華麗な身のこなし》

提督《そしてゴールし、見事自分が新記録を出しての1位であることを知った時の、喜びの表情。本当に素晴らしかった》

川内【全部先生の教え方が良かったおかげです!先生にはとても感謝しています!】ニコッ

提督《インタビューの時の彼女の花のような笑顔。かつてそれが自分へ向けられていたころが懐かしい》

提督《複雑な気分だった。いまだに信じられないという気持ちがほとんど。理不尽な別れへの怒りと悲しみがそれなりだ》

提督『……!!』

提督《向こうから歩いてくる、スーツケースを引いた川内を見つける。いろいろと悩んでいたすべてが吹き飛んだ》

提督《川内は俺に気がつくと暫し迷った後、はにかんで見せた。目頭が熱くなるのを何とか抑える》

提督『川内、会うのは久しぶりだな。っていうかお前、髪型変えたんだな』

川内『提督、久しぶり。うん、そうだよ』

提督『そうか……まあ、お帰り』

川内『うん、ただいま』

提督『なんか大人びたな。本当に……』

川内『そうかな』

提督『……あの時のこと、話し合わないか?』

川内『……いや、話し合うことは無いよ』

提督『っ…… いきなり、なんでなんだ?』

川内『言ったじゃない。私達、ちょっと急ぎ過ぎだたんだよ』

提督『……どうしてそう思ったんだ?俺はお前と一緒にいて楽しかった。それ以外に何もいらないってほどに』

川内『私も楽しかったよ。けど、世の中にはそれ以上に楽しいこともあるんだよ。私はそれを知ったの』

提督『それは何なんだ……!?』

川内『いろいろだよ……もうこの話は終わりにしよう。これ以上話し合っても意味ないよ』

提督『川内……』

川内『これから提督と私は、ただの上司と部下だよ。それ以上でも、それ以下でもない。帝国海軍の艦娘、軽巡川内として提督の命令に従います』

提督『……』

川内『私は、提督のことが嫌いになったわけじゃないから。だから、仲良くしてくれると嬉しいかな』

提督『……わかった。改めて、お帰り川内。これからもよろしく頼むぞ』

川内『はい、よろしくお願いします』ニコッ



神通《姉さんは陸上の大会に出てから変わりました。もちろん、かつての面影は残っていますが、だいぶ大人っぽくなりました》

神通《夜に騒がなくなったし、普段の生活でも落ち着いている感じです。瑞鶴さんたちも感心しています》

神通《ですが、前まではずっと務めていた提督の秘書艦を全く務めなくなりました》

神通《提督との関係も少し違和感があるようです。別れたという話もありますが、何があったのでしょう……》

神通《そして、以前はまったく取らなかった休暇をよく取得するようになりました》

神通《休暇の間にはどこかへ行っているようなのですが、果たしてどこへ行っているのか……》

神通《ともかく、いい事か悪い事か一概には言えませんが、陸上の経験は姉さんに何らかの変化をもたらしたようです》

神通《姉さんは今でも陸上を続けています。週に3.4回ほど先生が来られて練習を見ていてくれているようです》

神通『姉さん、先生が来られましたよ』

川内『ホント?行かなくちゃ。じゃあ後お願いね、神通』ニコッ

神通『はい。……』



川内『先生』

ゴリマッチョ『川内。ちゃんと自主トレはしたんだろうな?』

川内『もちろん。ほら……///』ズリッ ヴィィィィ

ゴリマッチョ『よし、いいだろう。えらいぞ』

川内『切なくて、おかしくなるところだった』トロン

ゴリマッチョ『それにしても、こんなものずっとつけていたとか救いようのない変態になったな』

川内『そうしたのは先生じゃん。セキニン、とってよね』

ゴリマッチョ『完全にメスの顔になったな。安心しろ。今日はたっぷり扱いてやるからな』グイッ ブチュッ

川内『はい、お願いします。……んちゅぅ///』ジュン



提督「ははは、馬鹿みたいだ!好きなのは人じゃなくて快感だろう?女なんぞそんなものだ!」

提督「結局はそういうことだろう?恋愛感情なんてまやかしだ!ただの勘違いだ!だから対象がころころ変わる!」

ビスマルク「確かに好きな人は変わったりするわ。けど、それは決して人を好きという心が勘違いだからじゃない!」

ビスマルク「そして何より、こんなセクハラどころか強姦までするような奴に女性は靡かないわよ!」

ビスマルク「普通に警察へ通報とか……ともかく、そういうことになるわ!そうね、この場合には……」



ゴリマッチョ『……川内、お前』ズル

川内『えっ?』プルン

ゴリマッチョ『感じているな』ニヤリ

川内『なっ……!?』カァッ

川内《ボーっとしていた所を突然レーシングトップを上にずらされる。胸を丸出しにされた》

ゴリマッチョ『ほう……発展途上にしてはなかなか……こんなに乳首をたたせて、俺は真面目にマッサージしてやっていたというのに』モミモミ

川内『は、離せ変態!!っ!?』

川内《て、手が足で抑え込まれていて動けない!?そんな……このままじゃ!!》

川内『どけぇぇぇぇ!!』ジタバタ

ゴリマッチョ『お前らが、艤装とやらを展開していなければ身体能力が普通の人間に戻るのは知っているんだよ』

川内『こんなことして、ただで済むと思ってるの!?』

ゴリマッチョ『勘違いするなよ?これも指導だ。性欲がたまってたら集中を妨げる。だから俺が一肌脱いで発散させてやろうってんだよ』クリクリ

川内『ひゃんっ!!やっ……やめっ……ぇ……!!』ビクン

川内《か、体に力が入んない……!!いつの間にこんな体が……まずい、こんなの……!!》

川内『あっあん……ふぅ……んぁ……!!くそぉ!!放せええええ!!』ジタバタジタバタ

ゴリマッチョ《チッ、案外本気で抵抗してきやがるな。流石は軍人と言うところか?だが所詮少女だ。なんとでもなる》

ゴリマッチョ『川内、これは指導だ。ここで終わらせればお前はさらに悶々として今まで以上に練習に身が入らなくなるだろう』ガシッ

ゴリマッチョ『そうならないためにも、ここで俺とセックスして性欲を解消しないといけないんだ。そうしなきゃ全国大会で戦うことは不可能だ』グググググッ

川内『ふざけるなぁ!!何が指導だぁ!!』グググググッ

ゴリマッチョ『それにな、これはお前とその提督とやらのためでもあるぞ?』

川内『な、何言ってぇ……!!』

ゴリマッチョ『処女ってのは嫌われるんだ。痛がったり手際が悪かったりして面倒だからな』

川内『はぁ!?』

ゴリマッチョ『だからここで俺がお前をそういう意味でも指導してやる。そうすればきっとそいつとのセックスでもうまくいくぞ?』

川内『ふざけるなぁ!!提督はそんな人じゃない!!そもそも、好きな人以外とそんな事するわけないでしょ!!』

ゴリマッチョ『聞き分けのないやつめ!!俺はお前の教師だ。お前がどう思おうと教師に従うのが生徒だろう。俺のいうことは聞かなくちゃならん。分かるな?』

川内『知るかそんな事!!死んでもいや!!お前が言っていることは全部でたらめだ!!』

ゴリマッチョ『クソ、強情なメスガキが!!大人しくしていろ!!』

川内『やめろぉ!!放せ!!放してぇ!!』

川内《強姦魔は私の腕を強引に掴んでくる。鍛えていると言っても、同じく鍛えている大人の男に勝てるはずもなかった》

川内《奴は私の手を縛ると、今度は口に布を噛ませてくる。大声で叫んでいた私はされるがままに口を塞がれる》

ゴリマッチョ『よし、これでいいだろう。さて、観念したらどうだ?』

川内『んーーーー!!んんーーーー!!ふーーーー!!ふーーーー!!』ギロリ

ゴリマッチョ『ふん、ベッドの支柱と手を結ばれては、いくら艦娘といえどもなにもできないようだな?』

川内『っ!!』

ゴリマッチョ『さて、大人の階段をのぼる時だぞ、ほぅ……生えかけといった所か』シュルシュル

川内《下着を下ろされ、一番大切な所が晒されてしまう。やだ……絶対……!!このままじゃ……助けて、提督……!!》

ゴリマッチョ『安心しろ。すぐにお前もコイツの虜になる』ビキィィィィン

川内『んふっ!?んん……!!んんーーーーーー!!』ブンブン

ゴリマッチョ『涙流すほど嬉しいか?まあ俺ほどの巨根は、そうそういないだろうがな。ついでに言うと絶倫でもあるぞ』

川内『……!!』ギロリ

川内《よくも私にこんなことを……殺してやる……!!殺してやる!!》

ゴリマッチョ『よし……ではそろそろいただくとするか。……ふんっ』ガシッ ピトッ ズプン

川内『んっふぅ……!!っ……!!』ズキン

ゴリマッチョ『くっ、いい締まりだ……鍛えているだけあるな?今は痛いだろうがすぐに良くなる。楽しみにしていろ』

川内『……!!』キッ

川内《絶対に声をだしてやるものか……!!絶対に!!何があっても……!!》



川内『……』グッタリ ピクン ピクン

ゴリマッチョ『ふぅ……どうだった?初めてのセックス……絶頂の感覚は?初めてにしてはイキやすかったが……』

ゴリマッチョ『よほど一人遊びが好きだったようだな?ははは!まあ、これからは俺が付き合ってやるよ』

川内『……』

ゴリマッチョ『頭がまわらんか?まあいい。だが忘れるなよ。お前は最後にはよがり狂っていた』

ゴリマッチョ『お前を女にしたのはこの俺だ。……安心しろ、俺に任せていれば大会も優勝させてやるし、これからも悦ばせてやる』

川内『……』チラッ

ゴリマッチョ『……誰かに言いふらしたりするんじゃないぞ?お前も自分の初体験が全世界に公開されたくはないだろ?』

川内『……』スッ

ゴリマッチョ『目を逸らす、か。ふん……まあいい。誰かのおさがりなんて知られたら大好きな提督に嫌われることになるぞ』

川内『っ』

ゴリマッチョ『分かったな?明後日は朝六時に正門に来い。車を出す』

川内『……』ツゥー

ゴリマッチョ『……遅れるなよ?じゃあな』ガチャン

ゴリマッチョ《一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったな。合宿中に調教して俺の女にしてやろう!》



川内『……』ツゥー

川内《強姦された。受け入れがたい事実を前に、涙があふれるのを堪えきれなかった。純潔は提督に捧げるはずだったのに……》

川内《穢された……絶対に許さない。何よりも、あんな奴に強姦されたのにイってしまった自分が許せない》

ゴリマッチョ『……遅れるなよ?じゃあな』ガチャン

川内『……!』バッ

川内《奴は出て行った。すぐにそこらにあったタオルで軽く体を拭く。何度擦っても汚れが取れない気がして……最悪の気分だ》

川内《適当に切り上げて、そして脱がされたユニフォームを素早く着た。流石に全裸で追いかけるわけにはいかない》

川内『報いを受けさせてやる……!!逃がさない……どこだ?どこに行った?』ガチャン ハイライトオフ



神通『あ、先生、こんにちは。姉さんを探しているのですが、どこにいるかご存知ですか?』

ゴリマッチョ『神通だったな?川内は今ストレッチ中だ。悪いが用事なら後にしてやってくれ』

神通『そうですか。分かりました』

川内『……死ねぇ!!』バギッ

ゴリマッチョ『っ!?』

神通『なっ!?姉さん!?』

神通《ありのまま今起こったことを話すと、『すぐそこの曲がり角を飛び出て音もなく走り寄ってきた姉さんが、先生を本気で殴り飛ばした……』》

神通《何を言っているのか分からないと思いますが、私も何があったのかわかりません……》

川内『死ね!!死ねぇ!!』バキッ バキッ

神通『ちょっ!!姉さん!!待ってください!!どうしたというのですか!?』ガバッ

川内『放して神通!!こいつだけは!!こいつだけは殺さないとダメなの!!』ハーッ ハーッ

ゴリマッチョ『……』ピク ピク

神通『意味が分かりません!!止めてください姉さん!!このままでは本当に殺してしまいますよ!!』

川内『いいの!!殺すためにやってるんだから!!こんな奴!!よくも……ぶっころしてやる!!』

神通『姉さん!?っ、錯乱しきっているようですね……致し方ありません。御免!!』グイッ

川内『あっ!?ぐぅ……じ、神通……放……せ……!!』

神通『放しません!!一度眠って冷静になってください!!』

川内『うっ……てい……とく……』ガクッ

神通『……いったい、何がどうなっているの?』



川内『っ!?』バッ

提督『起きた?』

川内『……? 提督?』

提督『君は何があったのか覚えているかい?』

川内『何が……あったのか…… っ!!』ビクッ

提督『川内!?』

川内『うっ……おえぇ……』ゲボッ

提督『川内!!大丈夫か!?』ダキッ ナデナデ

川内『おげぇ……げほっげほっ……うぅ……提督……提督!!』ガシッ

提督『川内、どうしたんだ……?』

川内『私……私、穢されちゃったよ……!!』グスグス

提督『!!??』



ビスマルク「こうして無事に強姦魔は逮捕されて『めでたしめでたし』よ。まあ、めでたいと言えるかは微妙だけど……とにかく、過程が変わっても結論はそれ以外ありえないわ」

提督「馬鹿な……!!女は巨根と絶倫と快楽には勝てないんじゃないのか!?」

ビスマルク「……もし本当にそうならそもそも生身の男よりもそういう……あの、何て言えばいいのかしらね……」

ビスマルク「……そう!大人の玩具!ああいうののほうが良いに決まってるじゃない」

ビスマルク「そういう行為に大切なのは何よりもまず愛だから。好きでもない人としても何の意味もないわ」

提督「嘘だ!!ならなんで不倫やら略奪愛が存在するんだ!?」

ビスマルク「だから言ったでしょう?それはそういう下地があってこそのモノよ!!」

ビスマルク「そんなよくわからない、しかも汚い中年やらチャラい男やらなんかに何されようとも女性は靡かないわよ!!」

提督「何をっ!!」

川内「提督?今ちょっといいかな?」コンコン ガチャッ

提督「川内!!君は自分の先生が教育だとかいってセクハラしてきたらどうする!?」

川内「!?ホントにおかしなこと言ってるんだね……それで、何だって?」キロッ

提督「っ!?う、うむ……教師からセクハラされたらどうするって聞いたんだが……」

川内「……もちろん通報してやるに決まっているじゃん」

提督「なっ」

川内「何か問題でもあるの?当たり前でしょ?それとも……何か別の答えが欲しかったの?」

提督「!? い、いや……そういう訳じゃ……」

川内「……ところでさ、次の作戦の準備は出来てるの?また攻勢作戦の指揮を執るんでしょ?」

提督「そ、それはもちろん順調に進んでいる。任せてくれ」

川内「作戦の資料、見せてもらってもいいかな?」ニコッ

提督「っ!! ……構わない。これがそうだ」ゾクッ

川内「ありがと。……」ジッ ペラ ペラ

提督「……」チラッ

ビスマルク「……」チラッ

提督「何か川内がすごい怖いんだが……」ボソボソ

ビスマルク「そんなの、あなたがおかしなことを言ってるからじゃない」ボソボソ

提督「おかしなことか……だが俺よりも簡単にNTRれる女の方がおかしいと思わないか?」ボソボソ

ビスマルク「……」

川内「……うん!」

提督&ビスマルク「「!」」ビクッ

川内「さすが提督だね!やっぱ私なんかじゃ思いつかないぐらい良い作戦だよ!これを一から練り上げられるのは本当にすごい」

提督「そうか、そう言ってもらえるとありがたい」

川内「だからさ……すごい気になるんだよね。提督……本当に何があって、どうしてそんなおかしなこと言い始めたの?」

提督「え!?いや、それはだな……」

川内「……」ジッ

提督(なんて説明すればいいのだろうか……それに、よく考えたら川内は年齢的にはそう言うのはダメじゃないか……)

提督「っ……!!」

川内「……」ウルッ

提督「!? どうした川内!?」

川内「本当に……何があったの?教えてよ。きっと助けになるよ……?」ツゥー

提督「川内……?」

川内「前まではすごくカッコよくて、とても頼りになるって思ってたのにっ!!突然おかしくなっちゃったじゃん……」ポロポロ

川内「よくわからないけど、何かあったのなら一人で抱え込まないで話してよ!!私は絶対に提督の味方だから!!」

提督「……」

川内「……そんなに私は頼りにならない?」ズキン

提督「そういう訳じゃないんだ。だが……」

川内「なら!!」

提督「……(年齢的に)君に話せない事なんだ、すまない」

川内「っ!!……そう、なんだ。……っく……ど、どうしてか、聞いてもいい?」ギリッ

提督「……君を巻き込むわけにはいかない」

川内「……分かった。じゃあ、失礼するね。……っ」 ダッ

提督「川内!!……」

ビスマルク「……まだ、納得できないの?」

提督「……この場合はそうなるのだろうな。ああ、川内も言った通りだ。通報だよな、ははっ……俺が、おかしいんだ」

ビスマルク「だったら!」

提督「待て。……じゃあ、義父はどうだ?接する時間は長いし、そういう間違えが起こっても不思議ではないだろう」

ビスマルク「っ……」

提督「そう、こんな感じだ」



提督『では頼むよ、愛宕』

愛宕『はぁい、任せてぇ』

愛宕《私は愛宕。元艦娘で今は提督のお嫁さんになったわ。幸せな新婚生活を送っています。と言いたいところだけど、提督の仕事が忙しいのが残念ね……》

愛宕《結婚したのだからもう少し一緒の時間があってもいいと思うのだけど、今が一番大切な時だからってあの人は仕事にかかりっきり……》

愛宕《もちろん、終戦間際の今こそ気を引き締めてかからなくちゃいけないのは分かるんだけど……寂しい》

愛宕《子供が欲しいわぁって伝えても、今は忙しくて君一人に家事を任せっきりになってしまうからって断られちゃうし……》

愛宕《私の事を考えてくれてるってのはよくわかるけど、それでも悲しいわ……》

愛宕《夜の回数も最近凄く減ったし、私の事を心配してくれるのならもっと私の事を考えてこんな寂しい思いをさせないで欲しいわねぇ……》

愛宕《そんなことを考えながら家事をこなして、時計を見たらもうお昼前だった。お昼御飯を軽く済ませて準備をする》

愛宕『さて、じゃあ私も行くとしましょうか……』

愛宕《これから向かうのは提督のお父さんの家。この前、倒れて救急車で病院に搬送されてしまったの》

愛宕《入院するほどではなかったけれど、夫に頼まれて完全に回復するまで私が週に一度お義父さんのところへ行くようにしたの》

愛宕《とても陽気で元気な人だったからまさか倒れるなんて思っていなかったわ。早く良くなってくれるといいのだけれど……》



義父『おお、愛宕さんか。どうぞどうぞ』

愛宕『はぁい、お邪魔しますねぇ~お義父さん』

義父『いやぁ~すまないねぇ……迷惑をかけてしまって……』

愛宕『いえ、そんなこと言わないでください』

義父『ありがたい。ささ、上がって上がって』

愛宕『失礼しまぁ~す』スタスタスタ

義父『……』ネットリッ



愛宕《まず初めにたまった洗濯物を洗う。それが終わったら部屋を掃除して、終わった頃にはちょうど洗濯物を干す頃合い》

愛宕『ふん~ふんふんふん~』

義父『……』コソッ

愛宕『あら、電気のひもスイッチが上に上がっちゃってるわね……えい!えい!』ピョンピョン ユサユサ

義父『おぉ……』

愛宕『えい!よし、戻ったわね。さてさて、続き続きと』

義父『愛宕さん、いつみてもいい体をしている……』ボソリ



愛宕《全部終わったらお買い物に行って、帰ってきたらお風呂を洗っていつでも沸かせるように準備しなくちゃ》

愛宕『よいしょよいしょ』ゴシゴシ フリフリ

義父《おお、たまらん!あの大きな尻を鷲巣かみにしてやりたい。あんなに振って誘っているんじゃないか?》

愛宕『ふぅ……よし!』



愛宕『ずずっ……ん、美味しい!義父さんがお風呂に入ってる間に終わらせられそうねぇ』

義父『愛宕さん、すまないが来てくれないかい!?』

愛宕『あ、はぁ~い!今行きますよ~』

愛宕《この声、お風呂からかしら?》

愛宕『お待たせしました、どうしましたぁ?』

義父『いやぁ、弱ったことに手が痺れて動かなくてね……背中を流してくれないかい?』

愛宕『背中ですか?分かりましたぁ』

義父『おお、ありがたい!』

愛宕《今日はズボンだし、靴下を脱いで裾と袖を捲れば大丈夫よね?》

愛宕『失礼しますねぇ~』

義父『よろしく頼むよ』

愛宕『はぁ~い……っ!?』

義父『うん?どうかしたかい?』ギンギン

愛宕『い、いえ……なんでもありませんよぅ?』

愛宕《やだ、お義父さんの……たってる……気がついてない、訳ないわよねぇ……?》

愛宕『じゃあ洗いますよ』

義父『お願いするよ』

愛宕『……』ゴシゴシ

義父『あぁ~いいねぇ~』

愛宕『……はい、終わりましたよぉ』

義父『ありがとう。……おっと』

愛宕『どうしましたぁ?』

義父『ちょっと調子が悪いみたいだね……すまないが、全身をお願いできないかい?』

愛宕『えっ!?』

義父『頼むよ、手が思い通りに動かないんだ』

愛宕《それはちょっとだけど……でも、仕方ないわよね。病気のせいなんだし……困っているんだもの》

愛宕『……はぁい、わかりましたぁ』

義父『おお、ありがとう!では頼むよ」

愛宕『じゃあ失礼しますねぇ……』

義父『……おっと、いやぁ申し訳ない。恥ずかしいところを見られてしまったね……愛宕さんほどの美人といるとちょっとねぇ……まあ、気にしないでね』

愛宕『あははは……はぁい……』

愛宕『……』ゴシゴシ

義父『あぁ~いいねぇ~』

愛宕《体を洗って、それから腕、脚を綺麗にする。そして……》

愛宕『……さすがにここはちょっとアレですよねぇ?動くようになりましたぁ?』

義父『うーん……ちょっと無理そうだ……頼めるかい?』

愛宕『そ、そうですかぁ、分かりましたぁ』

愛宕《……仕方ないわよね》

愛宕『……』ゴシゴシ

義父「ふぅ……」ピクッ ピクッ

愛宕『っ!?』ジッ

愛宕《やだ……これって……それにしても、大きいわねぇ……お年なのにちょっと意外……》ドキドキ ゴクリ

義父《おやおや、興味津々のようだね。息子は忙しくて、帰りが遅いどころか泊まり込むことも多いいそうじゃないか》

義父《この反応からして間違いない。愛宕さんは欲求不満だ。そうと分かれば……》ニヤッ



愛宕《ちょっとアレだったけど入浴介助も無事に終わらせて、食事の準備もできた》

義父『おお、今日もおいしそうだ!本当にありがとう』

愛宕『うふふ、当たり前のことをしただけですよぅ』

愛宕《そして食事も終わって食後のお茶を入れる。さて、そろそろ帰らなくちゃ》

義父『今日も本当にありがとうね、愛宕さん』

愛宕『どういたしまして。そういってもらえて私も嬉しいですよ』

義父『……ところでだね、聞きたいことがあるんだが』

愛宕『はい?なんですか?』

義父『この前来てくれた時のことなのだがね』

愛宕『この前、ですかぁ?』

義父『息子の部屋の掃除をしてくれていた時だよ』

愛宕『あぁ、あの時ですかぁ……』ピクッ



愛宕【へぇ~ここがあの人が子供の時に過ごしてた部屋なのねぇ……あら、アルバム。見ちゃいましょうかぁ~】スッ

愛宕【やぁん!可愛い~!……このころになると今の面影が出てくるわねぇ。……高校生の時のあの人ってこんな感じだったんだ】ペラ ペラ

愛宕【……もしこの世界が平和で、このころに会えていたら私達ってどうなってたのかしらねぇ】ボスッ ゴロン

愛宕【……この布団、あの人の匂いがする】クンクン

愛宕【……】ムラ

愛宕≪お義父さんは下だし。体の調子が悪いから上まで来たりしないわよね?≫

愛宕【……んっ】スルリ クチュッ

愛宕≪少しだけ……少しだけだから……≫クチュクチュ

愛宕【んっ……あなたぁ……寂しいよぅ……】



愛宕『それで、あの時がどうかしましたかぁ?』

義父『愛宕さん、息子の部屋で何をしていたんだい?』

愛宕『っ!?えっ?そ、それは……もちろん部屋の片づけをしていただけですけど……?』ドキン ドキン

義父『……いや、隠さなくてもいい。実は見てしまってな……』

愛宕『……っ!!そ、その……あれは……』カァッ

義父『愛宕さん……息子とセックスはちゃんとしているのかい?』

愛宕『はい!?せっ……なんて言いましたぁ!?』

義父『セックスだよ』

愛宕『そ、そんなこと……!!』ボンッ

義父『あれは何かに夢中になると他を疎かにするからね。愛宕さんに寂しい思いをさせているだろう』

愛宕『っ……』

義父『あんな風に儂がいるところで自慰してしまうほど溜まっているのだろう?だからね、愛宕さん』

愛宕『な、なんですかぁ……?』

義父『儂に愛宕さんを慰めさせてくれ』ガシッ

愛宕『な、何を言っているんですか!?駄目ですよそんな事!!』

義父『愛宕さんだってその気があるからああしてこの家でオナ○ーしていたんじゃないかい!?』ガバッ

愛宕『違います!!ちょっ!!やめてください!!』

義父『ここまで来てしまったら止められないよ!!ぶちゅ』

愛宕『んふぅ!?んー!!』

義父『じゅるじゅる……』モミモミ クチュクチュ

愛宕《お義父さんに強引に押し倒され、キスされて舌をねじ込まれる。手がお尻と秘所を愛撫してきた》

愛宕《経験の差なのかしら?夫よりも上手くて、あっという間に体ができあがってしまう》

愛宕《……もともと溜まっていた私は、久しぶりの快楽に抵抗する力を奪われてしまった。そしてついには……》

義父『ほれ、見てみなさい!!こんなにはしたなく濡らして……大洪水じゃないか!!』クチュクチュ

愛宕『あぁん!!ダメです!!止めてくれないと!!私……っぁああああ!!』ビクンビクン プシャッ

義父『盛大にイったね。見事な潮吹きだったよ』

愛宕『あぁ……ふぅ……』

義父『さて、では本番といこうか』

愛宕『そ、それは本当に駄目です!!』

義父『頼むよ愛宕さん、一回だけだ!!一回だけ!!このままじゃ生殺しでおかしくなってしまう!!』

愛宕『あの人に言いますよ!?』

義父『そんなことをしたらあいつも悲しむぞ!!儂とはもちろん絶縁するだろうし、裏切られたと感じたあいつは愛宕さんとも離婚するかもしれない!!』

愛宕『そんな……止めてください!!お願いですから……!!』

義父『嫌よ嫌よも好きのうちというだろう?抵抗しなかった愛宕さんも実は望んでいたんじゃないかい?』

愛宕『そんな事……っはぁああ!!』ズプププ

義父『おふぅ……なんという締まり……まるで処女じゃないか……!!こんな別嬪さんとできるなんて男冥利に尽きるわい!!』

愛宕『抜いてください!!っはぁん!!』

義父『ほれ、儂のは息子より大きいだろう?上書きしてやろう。きっとあれじゃ満足できなくなるぞ』パンパンパン

愛宕『いやぁああああ!!』

義父『元はと言えば愛宕さんを顧みないアレが悪い。ほら、素直になりなさい』ズッチュズッチュ

愛宕『止めてええええ!!』



義父『……どうだい、愛宕さん?』パンパンパン

愛宕『はぁい!!気持ちいですぅ!!』

義父『ふぅ……くぅ……出るぞぉ……!!』ビュルルルル

愛宕『ぁああああん!!っぷはぁ……はぁ……はぁ……』ビクンビクン

義父『愛宕さん』

愛宕『……はぁい』

義父『これからは来る日を増やしなさい』



提督『大丈夫かい、愛宕?』

愛宕『大丈夫よぉ』

提督『親父を気にかけてくれるのは嬉しいけど、君の負担を増やしたくない』

愛宕『むしろ週に一度の方が一度にやることが多くて大変よぅ。ほら、夏休みの宿題とかもそうでしょ?』

提督『なるほど……それもそうだな。じゃあよろしく頼むよ』

愛宕『任せておいて!』



義父『どうぞ』

愛宕『失礼します。……んふぅ!?むちゅ……』

義父『じゅるじゅる……れろれろ……』カチャカチャ スッ

愛宕『んっ……脱がされちゃう……こんな、玄関でですかぁ?』スルリ パサッ

義父『愛宕さんも期待していただろ?』ギンギン

愛宕『もぅ……んはぁ///』ヌプププ



提督『悪いな……よほど苦労を掛けているみたいだ』

愛宕『大丈夫よぉ。どうせあなたが帰ってくるまでやることもないし、ならお義父さんの所に行った方が何かあった時も安心でしょう?』

提督『ああ、本当にありがとう』チュッ

愛宕『んっ……いってらっしゃい』



愛宕『んちゅ……じゅるじゅる……んぐぅ!!』

義父『おふぅ……っはぁ……よし、そろそろこっちの準備もできたか』ズプッ

愛宕『こくん……あっ……本当にそっちでするんですかぁ?』

義父『癖になるぞ?』

愛宕『う~ん……』



愛宕『あんっ!!はぁん!!だめぇ!!おかしくなっちゃうぅ!!』ピクッ ピクッ

義父『どうだい?こっちの処女を失った感想は?』パンパンパンパン

愛宕『サイコーですぅ!!んはぁあ!!』

義父『くっ……出るぞ……!!』ビュルルルル

愛宕『あぁん!!』ビクンビクン

義父『ふぅ……愛宕、良かったぞ……』ナデナデ

愛宕『んはぁっ……えへへへ……///』



提督『とうとう最後の作戦か……つかの間の休息だな。やれることは全部やったし、これで長かった戦争もきっと終わる』

愛宕『ねぇ、提督』

提督『愛宕、どうした?』

愛宕『あの……久しぶりにどうかしら……?』

提督『!……そうだな、ああ。いいアイデアだ』



提督『そろそろ……かな。ゴムゴムっと』クチュクチュ

愛宕『あ、提督!その……そろそろ戦争も終わりでしょう?……赤ちゃん欲しいなぁ……なんて……』

提督『愛宕……』

愛宕『今授かればきっと全部終わった頃にちょうどいいタイミングになってるわ。だから…… ダメ、かしら……?』

提督『……分かった、愛宕』

愛宕『!!』パァッ

提督『愛しているよ』

愛宕『私もよ……本当に』



提督『っく!!はぁ……!!』ビュルルルル

愛宕『んふぅ……つぅ……』

提督『愛宕……』チュッ

愛宕『んっ……』

提督『愛してるよ、誰よりも』

愛宕『うふふ、ありがとう……』ニヤッ



提督『ただいま愛宕!!』

愛宕『提督、お帰りなさぁい!!』

義父『おお、帰ったか』

提督『親父!?来てたの!?』

義父『ああ、こんな日だからな』

提督『そうか……やっと終わったよ。長く苦しい戦いも、これで終わりだ』

愛宕『おめでとうございます、提督!!』

義父『よくやった』

提督『ありがとう……!!』

愛宕『それでぇ、私からも一つ報告があります!』

提督『報告?』

愛宕『ぱんぱかぱーん!!私、妊娠しましたぁ!!』

提督『!!そうか……そうか!!』

愛宕『戦後処理で忙しいかもしれないけど、そう言うのが一段落つく頃にはきっと生まれてくるわ!!』

提督『ああ、しかしいろいろと大変だろう?なるべく帰ってくるようにするから』

義父『安心しなさい、愛宕さんにはお世話になったからね。全快した今、私が愛宕さんの面倒を見よう』

提督『親父……ありがとう』

義父『気にすることは無いよ』

提督『うん、じゃあ荷物を置いてくるよ』スタスタスタ

愛宕『はぁい、リビングで待ってるわ。……んちゅぅ!?んふぅ……』ダキッ

義父『ずちゅ……れろれろれろ……ちゅぽっ……ゆっくり休んで、疲れを癒しなさい。儂とお前との子供のためにも、な』ギュッ



提督「死n」

ビスマルク「もちろん!!……ありえないからね?」ジッ

提督「っ!?」



義父『儂に愛宕さんを慰めさせてくれ』ガシッ

愛宕『な、何を言っているんですか!?駄目ですよそんな事!!』

義父『愛宕さんだってその気があるからああしてこの家でオナ○ーしていたんじゃないかい!?』ガバッ

愛宕『違います!!ちょっ!!やめてください!!』

義父『ここまで来てしまったら止められないよ!!ぶちゅ』

愛宕『んふぅ!?んー!!』

義父『じゅるじゅる……』モミモミ クチュクチュ

愛宕《お義父さんに強引に押し倒され、キスされて舌をねじ込まれる。手がお尻と秘所を愛撫してきた》

愛宕『んー!!……っ!!』ガリッ

義父『っぐ!?』バッ

愛宕『ぷはっ……はぁ……はぁ……お義父さん、このことは報告させてもらいますからね?』ギロッ

義父『つぅ……この!!』ガバッ

愛宕『んっ!!』グイッ ゴロン

義父『ぐはっ!?』ドサッ

愛宕『巴投げぐらい知っていますよね?私は艦娘ですよ?つまりは軍人です。……言いたいこと、分かりますよねぇ?』

義父『うっ……ぐぅ……』

愛宕『では、失礼しますね』

義父『ま、待ってくれ……!!』

愛宕『……何ですかぁ?』

義父『儂が悪かった、謝る……!!だから、許してくれ……!!どうか息子には言わないでくれ……!!』

愛宕『……』

愛宕《……もしこのことを知ったら、あの人はきっと悲しむわ。だって、実の父親がこんなことするなんて。私なら知りたくなかったって思うほど嫌だもの》

愛宕『はぁ……分かりました。けど、次はありませんからね?それと、もう私がここに来る必要はないとちゃんと言ってくださいね?』

義父『し、しかしだね?儂はまだ』

愛宕『……』ニコッ

義父『っ!!わ、分かった……』ガクリ

愛宕『あは、ありがとうございますねぇ?ではそういうことでお願いします。お義父さんが約束を守る限り、私も夫には言わないでおくと約束しますから』



ビスマルク「ってなるわね。いくら欲求不満でも、無理矢理されて断れないとかないから」

提督「っ!!っ……!!」

ビスマルク「いい加減認めたらどうなの?そんなことはありえないんだって」

提督「……」

愛宕「ちょっと提督?今いいかしら?失礼するわよ」ガチャッ

提督「愛宕!!」

愛宕「っ!!……許可前に入室したことを怒ってるのかしら?それは悪かったわよ……けど私だって怒っているのよ!?」

提督「それについては後で話を聞く!!質問に答えてくれ!!」

愛宕「っ!?……な、何かしらぁ?」

提督「……君が結婚したとしよう」

愛宕「えっ!?……誰と、かしら?」カァッ

提督「君が一番好きな人間だ」

愛宕「そう……それ、で……?」ドキドキ

提督「その人間は君を心から愛している。だが、仕事が忙しくて夜の営みができないとする。君はそれについてどう思う?」

愛宕「よ、夜の営みって……/// な、なんで私にそんなことを聞くのよ?もしかして……?」モジモジ

提督「深く考えないでくれ。君はどう思う?」

愛宕「そ、そうね、分かったわ。んー…… それはもちろん寂しくて嫌だけど……頑張って耐えるわ!」

提督「そうか。そこで君は、夫の父から息子の代わりに慰めてあげたいと強引に迫られる。……どうする?」

愛宕「……はぁい?」

提督「義父から迫られたらどうするんだと聞いているんだ。関係を持って、そっちを好きになってしまうのか?」

愛宕「……何言ってるのよ。そんなわけないじゃない」ワナワナワナ

提督「……じゃあ、どうする?」

愛宕「もちろん突っぱねるわよ!!そして夫に相談するわ!!」

提督「……そうか、分かった」ガクッ

愛宕「何のつもりなのよ!?どうしてそんな変なことを言うの!?私は真面目な話をしようと思ってここに来たのに!!」

提督「……真面目な話か、なんだ?」ジロッ カスレゴエ

愛宕「っ!……提督、川内ちゃんに何かしたでしょ?」ビクッ キッ

提督「……かもな」

愛宕「かもなって……川内ちゃんは泣いていたわよ!?何をしたのよ!!」

提督「川内が、俺に何か助けになれないかと聞いてきたんだ。それを断ったら、泣いて去ってしまった……」

愛宕「……なんで断ったのよ?」

提督「……川内は、巻き込むわけにはいかないんだ。川内は幼すぎる」

愛宕「……なら、私ならどう?私なら大丈夫じゃない?……もう、結婚できる年齢よ?」

提督「……いや、やっぱり年齢は関係ないな。そうだ。誰であろうと、みだりに巻き込むわけにはいかないんだ」

愛宕「っ!!なら!!どうしてその子は巻き込んでいるのかしら!?」ビシッ

ビスマルク「……」

提督「ああ、ビスマルクは秘書艦だからな。迷惑をかけさせてもらっている」

愛宕「ビスマルクは秘書官だからなって……意味わかんないわよ!!どういうこと!?何の関係があるの!?秘書官はいいなら私が秘書官になるわ!!」

提督「……その気持ちは本当にありがたい。だが、遠慮させてもらう」

愛宕「っ!!どうして……?何がダメなの……?提督にとって私は……私たちはそんなに信用に足らない存在なの……?」

提督「違う!!……それだけは本当だ。信じてくれ。俺は、本当に君たちを巻き込みたくないだけで……」

愛宕「貴方の様子がおかしいのを、黙って見てなんかいられないわ……!!ここにいる皆がそう思っているのよぉ?」

提督「……ありがとう」

愛宕「……けど、頼る気はないってことかしらぁ?立場が逆だったら、あなたはどう思う?」

提督「俺ならなんとかしようとするが、一つ大事なことを忘れている。君たちはか弱い少女で俺は大人の男だ。……わかるだろう?」

愛宕「そんなの、些細な問題よ!!」

提督「そうか…… 愛宕、本当に君の助けが必要となったら、迷わず頼らせてもらう。だから……だから今は見守っていてくれ」

愛宕「っ!!……」

提督「……」ジッ

愛宕「……ぜったい?」

提督「もちろんだ」

愛宕「……分かったわ。だけど、その時を間違えないでね?手遅れだったって言うのは、絶対に嫌よ?」

提督「俺も、そんなのは嫌だよ」

愛宕「……じゃあ、失礼するわね」

提督「ああ」

ビスマルク「……アトミラール」

提督「ふっ、ふふふ……ふはははは!!」

ビスマルク「ど、どうしたのよ?」

提督「清々しい気分だ……素晴らしい、心のモヤモヤが晴れたようだ……!!」

提督「これ以上、これ以上俺はそういったシチュエーションを考えることができない!!あっても誤差の範囲だ!!」

提督「俺が問題にしたかったのは、その気がないのに無理やりされてという奴だからな!!お前が言ったような双方からというのではない!!」

ビスマルク「!じ、じゃあ……?」

提督「ビスマルク!!キモデブやら汚っさんやらにレイポゥされたとしてもそんな事には……NTRれたりはしないのだな!?」



那智『くっ!?何をする!!……な、や、止めてくれ……!!いやぁああああ!!』



那智『はぁい!!わらひはぁ!!ご主人様専用の肉便器ですぅ!!』パンパン



提督「みたいなことにはならないのだな!?」

ビスマルク「そうよ!!やられることはそうそうないし、仮にやられてしまったとしても普通に警察沙汰とかよ!!」



那智『提督……助けてくれ……私は……汚されてしまった……』ポロポロポロ



ビスマルク「この流れよ!!」

提督「その発想はなかった。だが、それが正しいのだな!?」

ビスマルク「そうよ!!あと、私はそうなる前に普通に相手を叩きのめすから」



男『お前を俺のモノにしてやる!!』ガバッ

ビスマルク『しっ!!』シュバッ ゴスッ

男『』ドサッ



ビスマルク「これが私の場合の流れね」

提督「……なるほど。もしそうできないようにされていても、それを超越するんだよな?」

ビスマルク「意味わかんないわよ。なにされたらそうなるのよ」

提督「ほら、さっき言ったろ?万引犯に仕立て上げられたり、あとは自慰してたところを盗撮されて、それをばらまかれたくなければいうこと聞けと言われるとか」



汚っさん『潮ちゃん、ちょっといいかな?これを見てよ』

潮『えっ?はい……?何ですか……っ!?』



提督「ってやつだ」

ビスマルク「超越って……当たり前のことでしょう?そこで何か性的なことをされそうになったら普通に拒否するわよ」



汚っさん『いいかい?これをばらまかれたくなかったらおじさんと恋人になってね』

潮『……!!い、嫌です!!』タッ



提督「全世界に自分の自慰の様子が公開されるぐらいなら、キスとかした方がいいとか考えたりしないんだな?そこから流れでやられたりはしないんだな?」

ビスマルク「ないわね」

提督「即答か、素晴らしい!……じゃあ、普通のか弱い女ならどうだ?そんな考えに至らないも知れないだろう」

ビスマルク「うーん……それぐらいならって考えるかもしれないけど。けどそれから強姦に発展したとしてもそいつの……///」カァッ

ビスマルク「その……アレがすごいからって『嫌だけど我慢できないの』って体から好きになるなんてないわよ!!その後警察沙汰ね」

提督「(照れて、上目遣いでぼかした言い方するのはすごく……いいな)……そうだよな?」

ビスマルク「そもそも、男だってその……女性のアレが特別凄いとか、そんなのないでしょ?」

提督「ふぅ~む……俺は経験豊富ではないが、確かにな」

ビスマルク「女だってそうよ。大事なのは愛なの。特に女にとってはね?」

提督「そうなのか……あ、じゃあ風俗で働いているのは?」

ビスマルク「肉体労働はお金という対価のために、たとえ辛くても自分の体を提供するのよ。それがものを運ぶことであれ、誰かとSEXすることであれね」

提督「なるほど、確かにな…… 最後に、これを一緒に読んでくれ」

ビスマルク「……はっ?」ギロッ ギュッ

提督「か、顔は止めてくれ!!」

ビスマルク「殴らないわよ!!っていうか何でそうなるのよ!?」

提督「これこそが、俺を狂わせた根源だ。実際に読んで、否定しきってくれ!!そうすれば俺に巣食う狂気の、最後の砦が陥落する」

ビスマルク「嫌よ、気持ち悪い…… ありえないという結論になったでしょ?」

ビスマルク「そもそも、貴方は自分がクソデブキモ女に誰かからNTRれているのを、例えフィクションでも見たいと思う?」

提督「……うへぇ。……ん?」



鈴谷『そんな、鈴谷の提督がこんなやつに……だめ!!頑張って!!いやぁ!!』

鈴谷『そんな……鈴谷のよりそんなやつの方がいいの……?鈴谷のより気持ちがいいの……?』ゾクゾクゾク

鈴谷『やめてぇ!!提督の赤ちゃんは鈴谷が産むの!!そいつじゃないのぉ!!止めてえぇぇぇぇ!!中に出さないでえぇぇぇ!!』

鈴谷『子供ができたからそいつと結婚する……?そんな……提督があんなババアにNTRれるなんて……でも、何なの?すごく体が……火照る……』ハァ ハァ

鈴谷『こんなことってぇ……鈴谷の提督があんなのにNTRれたのに……興奮するなんてぇ……!!』クチュクチュ

鈴谷『っふぅ……はぁ……はぁ……鈴谷、おかしくなっちゃったのかな?』ネトォ



提督「ほぅ……」



曙『なによ……これ…… クソ提督がこんな気持ち悪い奴と……? だめよ! クソ提督は……ぁ、あたしの提督なんだからぁ!!』

曙『何そんな事信じてるのよ!!嘘に決まってるじゃない、馬鹿!!早く誰かに知らせなさいよ!!』

曙『だめ!だめ!だめなんだからぁ!いやぁ!!そいつに挿入れないでぇ!!』

曙『ぐすっ……そんな! あたしよりキスが上手いって……大きいおっぱいって……きついまん○って……!!』ゾクゾクゾク

曙『提督……私を捨てて……そいつのものになるって……』クチュクチュ クリクリ

曙『ぅう……んっ……はぁっ……あ、あ、あ!っぅ!!』ビクンビクン

曙『クソ提督……けど、……あたしもクソだ……』ネトォ



提督「……けど、もしそれを読んで鈴谷とか曙とかが歪んだ性癖に目覚めるなら、それはそれで興奮するかもな、ははっ」

ビスマルク「……頭、おかしいんじゃない? 知り合いにメンゲレ博士っていう腕のいい医者がいるから、紹介するわよ?」

提督「だが断る」

ビスマルク「はぁ……とにかく、私は読みたいかと聞いているのよ」

提督「自分で読むとなるとなぁ…… っ!!」ピロリロリーン



提督『ほぅ……榛名はこんなものを隠し持っていたのか?』

榛名『ち、違うんです、提督!これは、その……』アセアセ

提督『何が違うんだ?』ペラッ

榛名『駄目です!!見ないでください!!』

提督『ふむふむ……これは……』

榛名『ごめんなさい……ごめんなさい……』

提督『まったく……榛名はド変態のエロエロ艦娘だったわけか』

榛名『っ!!違うんです!!榛名は……榛名は普通に提督のことが好きで……!!変態じゃありません!!』

提督『よし、榛名。ここに座れ』ポンポン

榛名『えっ!?て、提督の……膝にですか?』ドキドキ

提督『嫌か?残念だ……』

榛名『嫌じゃありません!!榛名、参ります!!』ポスッ

提督『よし。……じゃあここを読んでみろ』

榛名『えっ!?そ、そんな……』

提督『どうした?何か問題でもあるか?変態じゃないんなら、こんなの読んでも変な気分になったりはしないだろ?』

榛名『あ、ありません!!しません!!で、では……読みます……』ゴクリ

榛名『ぶふぅ……どうだい?私のお、おまん○は?お前の恋人、戦艦榛名よりもいい具合だろう?』

榛名『あぁ、いい…… 榛名よりキュッと締まって……天国みたいだ……』

榛名《提督の前で、こんな、榛名のド変態提督NTR同人誌を朗読するなんて……榛名は頭が沸騰してしまいそうです……》

提督『ふむ……』ネチョッ クニッ

榛名『んはぁ!!て、提督……?』

提督『榛名……お前は何故こんなに乳首をたてて、ここを濡らしているんだ?』

榛名『そ、それは……!!』

提督『それは、何だ?』

榛名『……わ、分かりません』

提督『本当にか?』

榛名『はい……』

提督『そうか、続けろ』

榛名『はい……っ!?提督?』

提督『……どうした?続けろ』サワッ

榛名『その……そのようにパンティやブラのトップを触られていると……』

提督『ああ、これか?大丈夫だ。これは榛名がド変態じゃないことを調べるためだ。もし榛名が変態じゃないならこれ以上たたないし、濡れないからな』

榛名『んふぅ……そ、その』

提督『それとも……嫌か?だが、そうなると自分がド変態だと自白するようなものだが……』

榛名『!?だ、大丈夫です!!』

提督『よし、よく言った。続けろ』

榛名『はい……』

榛名《いけない……変な気分になったら提督に失望されちゃう……けど……》

榛名『そうかい、だが、ここまでだ。な、何で止めるんだ。これじゃ生殺しだ。あたしゃ……愛がないのは……嫌なのさ……』

榛名《提督の前ってだけで……こんなにいけない気分になっちゃう……体が熱くなっちゃう……!!》

榛名『どうしても動いてほしいなら……は、榛名より貴女様の方が……お、女として優秀です。そんなあなたに……中出し……させてくださいと、いいな』

榛名《ああ、提督!!榛名よりも、そんな醜い化物みたいな女を選ぶんですか!?榛名より女として優秀なんですか!?》ジュン

榛名『はい。は、榛名みたいな欠陥女より、貴女様の方が……女として優秀です。そんな貴女に……な、中出しさせてください』

榛名《提督!!そんな!!そんな化物の方が榛名よりも!?榛名よりも女として優秀だと認めちゃうんですか!?榛名は女として駄目なんですか!?》ピクン ジュン

提督『榛名……』

榛名『は、はい……?』

提督『これを見てみろ』ネトォ

榛名『……!!』サーッ

提督『それにこの胸の先端の突起……お前は、やはり変態だ』

榛名『これは、何かの間違いで……!!違うんです!!提督、榛名はまともです!!』

提督『嘘を吐くな!!このどすけべ戦艦め!!』

榛名『うぅ……ぐすっ……ひっく……』メソメソ

提督『泣いても無駄だ、変態!!』

榛名『提督ぅ……ごめんなさい……許してください……』

提督『ほぅ……じゃあ認めるんだな?榛名は、自分がどすけべ変態エロエロ戦艦娘だと認めるんだな?』

榛名『そ、それはぁ……ぐすっ……』

提督『……嘘つきは嫌いなんだが?』

榛名『うぅ……そう、です……榛名は……大好きな提督が、NTRれることを妄想して興奮するどすけべ変態エロエロ戦艦娘です……』

榛名『正直に言いましたから……嫌いにならないでください……!!お願いします……!!』ツゥー ハイライトオフ

提督『……さて、どうしたものか』

榛名『お願いします!!お願いします!!榛名にできることなら何でもしますから!!』スガリ



提督「……目覚めちゃったいけない子と一緒に、相手を言葉攻めしながらとかだといいかもな。個人的には榛名みたいな真面目系がいい」

ビスマルク「……」

提督「そんな目で俺を見るな!!お前だって考えてみろ!?もし俺が、お前のそういうところを見て興奮しているとしたら!?」

ビスマルク「……百年の恋も冷めるわね」

提督「……やっぱり今のなしで頼む」

ビスマルク「はぁ……仕方ないから、読んであげるわよ」

提督「ほう……?口ではそういうことを言いながらほんとうは興味津々か?」

ビスマルク「……」ギロッ

提督「何でもない!」

ビスマルク「……まあ、貴方の性癖を知っておくべきだと思ったのよ。けど、そこら辺の変態に抱かれてこいとか言われたら本気で見損なうからね?」

提督「当たり前だ!現実でそんな事するわけない!お前は俺だけのものだ!」

ビスマルク「そ、そう……///」

提督「そうだ、誰にも渡さないぞ。もしお前を失うときが来るのなら、それはお前が自分の意志で俺の元を離れる時だ。よし、じゃあさっそく読んでいくか」

ビスマルク「分かったわ」

パラッ パラッ

ビスマルク「私達は愛に生きているってのはいいわね!ロマンティックだわ」

提督「確かに」

ビスマルク「……はい、この時点で頭おかしいわ」

提督「整備のくだりか?」

ビスマルク「ええ。明らかにおかしいでしょう!こんなことを整備だと言われても拒否するわよ」

提督「そうか?」

ビスマルク「そうよ。……ほら、このビスマルクも、もう耐えられないって拒否したじゃない。まあ、そこまで我慢する時点でおかしいけど」

提督「ふーん。でも好きでもない奴でもこういうことされたら感じるのか?」

ビスマルク「……それはまあ、誰にくすぐられてもくすぐったいのはどうしようもないわよ。けど好きになるはおかしいわ」

提督「まあこのビスマルクもまだ堕ちてないけどな」

ビスマルク「まだって……もういいわ、気分も悪いしさっさと終わらせましょう」

提督「了解」

ビスマルク「……命令されたからって何も言わずにされるがままもおかしいわ。上官にちゃんと確認しなさいよ」

提督「ここまでされて今更イかされてましたとか言えないんじゃないか?恥ずかしくて言えないとかな」

ビスマルク「だからそうなる前に拒否するんでしょ」

提督「なるほどな」

ビスマルク「……ああ、ここはまあ、そうなるわね」

提督「自分の好きな人が実は結婚してましたとか言われたらどうする?」

ビスマルク「ショックを受けるわよ、もちろん」

提督「まあ、そうなるな」

ビスマルク「むしろ、そこでそんなショックじゃないなら、その人のことは好きだったとかじゃないわね」

提督「ふむ。で、そこでこう続くわけなんだが」

ビスマルク「……まあ、確かに失恋のショックでヤケクソになって誰かに抱かれるって人もいるでしょうけど」

ビスマルク「でも、相手がこちらのことを好いていたり、凄くカッコイイ人でかつ知り合いとかじゃないとないんじゃないかしら」

提督「けど行きずりの関係でSEXする人もいるじゃないか」

ビスマルク「それでもよほど好みの人ならまだしも、こんな……言っちゃ悪いけど不細工な人は、いくらビッチでも抱かれないと思うわ」

提督「所詮、イケメンか!」

ビスマルク「男だって所詮、かわいい子でしょ?」

提督「まあな。……そういえば、相手がただのチャラ男じゃなくてイケメンだけどチャラい感じの男だったらどうなんだ?たとえばバンドマンとか(偏見)」

ビスマルク「あの人カッコイイでホイホイついて行くなら、世の中、一夫多妻制になってるでしょうね」

ビスマルク「あと、いくら見た目が良くても、遊んでるってだけで一部の売春婦みたいな輩以外からは大幅マイナスポイントだから」

提督「そして、その一部のビッチはそもそもNTRとかそういう次元じゃないと」

ビスマルク「そういうこと」

提督「じゃあそういうビッチはどうやってビッチになるんだろうか?やはり最初はNTRから始まるのでは?」

ビスマルク「いや、ただ単に軽犯罪とかを自慢してるバカの同類なだけでしょ。世の中には経験人数=ステータスと思ってるのもいるけど、普通にドン引きだから」

提督「確かにな……」

ビスマルク「さて、続き行くわよ。……日本のこういったポルノは理解できないわね。とりあえず、さっきも言ったように、こいつの形になっちゃったとかないから」

提督「けど短すぎると感じないとかはないのか?」

ビスマルク「それは……あるんでしょうね」

提督「だろう?」

ビスマルク「けど、心の快楽でなくて体の快楽が欲しいなら玩具でやった方が男のアレより気持ちいいらしいわよ」

提督「……誰から聞いたんだ?」

ビスマルク「それは別に関係ないでしょ?個人の名誉にかかわる問題だから、これ以上追求しないように。いいわね?」

提督「アッハイ」

ビスマルク「……ともかく、アレが小さいと物足りないとかあっても、それより相手が誰かが問題なの」

提督「なるほどな……」

ビスマルク「こいつ用になっちゃった……気持ちいい……何でもいいからもっとして、ねぇ……」

提督「それについての解説からのコメントは?」

ビスマルク「……バカみたい。そりゃ、強姦でも気持ちいいのかもしれないけど、それより恐怖心とかあるいは怒りとかでそれどころじゃないでしょ」

ビスマルク「挙句の果てにもっとしてぇとか自分で腰を振るとか!ありえないわね。自由に動けるなら相手をぶん殴るか逃げるわよ」

提督「なるほどな」

ビスマルク「この精液じゃないとダメとか!誰のじゃなきゃダメとか、普通に好きな人に言うセリフでしょ。それに、そんな判別できないから。心の問題よ、これは」

提督「だろうな。けど、やられたらこいつが好きになっちゃったとかあるらしいじゃないか」

ビスマルク「心に確固たる人が居るなら、たとえその人に妻子がいたとしてもそれを割り切るまではないわね」

ビスマルク「仮に好きなっちゃうとしても、それはもともと体を許す程度にはある程度好きだったんでしょ?」

ビスマルク「例えば、『こいつとは友達だと思ってたけど、やっぱ異性として好きなんだなーそうなっちゃったんだなー』てのぐらいよ」

提督「そこでなんで北上の物真似……?」

ビスマルク「……特に理由はないわ」

提督「そう……」

ビスマルク「まあ、もし仮に初対面だったとしても、やった方がイケメンでやられた方が彼氏募集中とかだったらそうなるんじゃない?そんなの、長続きしないでしょうけどね」

提督「確かにな。よし、次いくか」ペラ

ビスマルク「……こうなったら、すべて隠してなかったことにするか、正直に打ち明けるかね」

提督「結婚の下りか。隠すはまだわかるけどな。打ち明けるってのはどうなんだ?」

ビスマルク「隠し事したくないとか、後でバレると大変とかね。けどまあ、もしそう打ち明ける子がいたとしたらその子はいい子かもしれないから一回目は許してあげた方がいいわね」

提督「確かになぁ……その後浮気とか絶対にしなさそう」

ビスマルク「それか何回も繰り返す尻軽かね。もしそうだったらすぐに捨てて、新しい人を探したほうが良いわ。もっとも、男女が逆でも同じことが言えるけど」

提督「なるほど。さて、2冊目に行くか」

ビスマルク「続編があるの!?」

提督「個人的には、こっちの方が君の意見を聞きたい」

ビスマルク「はぁ……」

提督「さて、読み始めますよ」

ビスマルク「……ああ、結婚式はいいわね!女の子の夢よ!個人的には立派な教会とか、お城でやってみたいわね!」

提督「高くつきそうだな……」

ビスマルク「一生に一度なのよ?男性諸君には、多少無理しても頑張ってもらいたいところだわ」

提督「努力しよう……」

ビスマルク「あと、日本にシンゼンシキも興味があるの!そっちでもいいわね!」

提督「金髪美人は和服も似合うと彼の高名なモネ先生も証明してるからな。ビスマルクにも絶対に似合うだろうよ」

ビスマルク「そう?仕方がないから両方ともやってあげてもいいのよ?」

提督「考えておくよ」

ビスマルク「前向きに検討しておいて。……あぁ、これは……いないとは言えないわね」

提督「何とも胸くそ悪い話だろう!?」

ビスマルク「現にそういう人もいるからね。けど、強姦の果てにとかはないんじゃないかしら。例えばもともとそのつもりとかね」

提督「じゃあもし強姦されて妊娠したらどうする?」

ビスマルク「考えたくもない問題ね。それに、ほぼありえないわ。世の中にはアフターピルがあるもの。もしやられたらそれ飲むわよ」

提督「確かに。けどまあ、その話に突っ込んでいくとNTRから離れるからな。次だ次」

ビスマルク「……こうなるのなら、たぶん前戯をちゃんとやってないんじゃないかしら。少なくとも、それをちゃんとやってくれたらちゃんと感じるし、濡れるわよ」

提督「つまり、テクを鍛えろってことだな?」

ビスマルク「ええ、初めてならしょうがないけど。それでもちゃんとネットとか書籍である程度勉強するのが男の甲斐性でしょう?」

提督「俺はそういうことしたことなかったな」

ビスマルク「そうなの?けど、相手のためにもちゃんと勉強してほしいわね。男はすぐ気持ちよくなれるけど女の子はそうもいかないの」

提督「頑張ってみよう」

ビスマルク「まあ、私も少しは勉強してるからね」

提督「なんと!ビスマルクがそういうことを勉強してるとか考えるとぐはぁ!!」ドゴッ

ビスマルク「……恥ずかしいから言わないで」カァッ

提督「ああ……でも、意外だな。……っていうかそういうのって勉強したりするものじゃないと思っていた」

ビスマルク「本気で言っているの?何の知識もなかったり、付け焼刃程度で十分って思っているなら考え直して」

ビスマルク「セックスは本当に大事なことなのよ?失敗してトラウマになる人もいるんだから」

提督「聞いたことがあるにはあるが……」

ビスマルク「勉学と同じよ。上手くいくか行かないかは事前準備にかかっているの。それに、好きな女のためならそれぐらいこなして満足させなさい」

提督「なるほど、確かにな!考えを改めよう!」

ビスマルク「ま、まあこの話はここまで!次いくわよ」

提督「うむ!」

ビスマルク「……まあ、同じくらいの好きな人がいて迷っていたら、うまいほうがいいとはなるんじゃない?」

ビスマルク「けど、レイパーは論外よ。それに、眼中にも入らない不細工は、そもそもヤったりしないし選択肢に上がらないわ」

提督「幸辛い世の中だ」

ビスマルク「もし外見に自信がないなら、ちゃんとそこを磨きなさいってことね。何もせずに所詮イケメンが~って言ってるような奴、誰も相手にしないわよ」

提督「これはひどい」

ビスマルク「男だってそうでしょ?」

提督「……まあな」

ビスマルク「ふぅ……じゃあ続きを読みますか」

提督「ああ」

ビスマルク「……もし強姦魔が再び目の前に現れたら、恐怖で動けなくはなるかもね。けど目の前にアレを出されてもこんなにはならないわよ」

提督「そうかな?」

ビスマルク「そうよ。嫌悪感しか抱かないでしょうね。好きな人のなら興奮するだろうけど、不細工な強姦魔を好きになる奴なんていないもの」

提督「そうか。だが、恋人募集中で相手がイケメンなら好きになるかもだなんて、何とも……」

ビスマルク「男だって彼女がいないときに好みの子が逆レイプとかして来たら好きになっちゃうんじゃないの?」

提督「……そうかもしれないが、俺にはお前がいるからな」

ビスマルク「っ!!……次、いくわよ」ドキッ

提督「お、照れてる照れてる」

ビスマルク「うるさい!……これは、レイプされてるならチャンスね」

提督「ま、まさか……噛んだり?」

ビスマルク「いえ、噛み切るのよ」

提督「うわぁ…… でも、ナイフとか突きつけられて噛んだら殺すとか言われていたら?」

ビスマルク「その時は、仕方ないこともあるかもね。けど簡単に突っ込まれるように口をこういう風に開けたりなんてしないわよ」

提督「そうか」

ビスマルク「……味、とかはよくわからないけど。でもそんなに変わらないんじゃないの?肉とかだって、同じランクなら別の固体のものでもほとんど同じ味だし」

提督「こればっかりは想像するしかないからな……だが、俺もそう思うよ」

ビスマルク「でしょ?やっぱり心の問題ね。そして、」

提督「こんなやつので興奮したりはしない、と」

ビスマルク「そうよ。分かってきたじゃない」

提督「まあな」

ビスマルク「……上書きしてってのもよくわからないけど、レイプされた後に恋人に言うのなら違和感ないわね」

ビスマルク「だから、この場合はこの強姦魔にヤられた後に、そいつをしかるべき処刑を施してから『テイトク』へ言うのが正しい使い方ね」

提督「ってことは、この時点ではすでに提督より整備士の方が好きになっているんじゃ」

ビスマルク「そこが理解不能な点よ」

提督「なるほどね」

ビスマルク「……これなしじゃ生きられないとか。男のアレは麻薬か何かだと思っているのかしら?」

提督「実際のところどうなんだ?」

ビスマルク「好きな人のなら、そうかもね」

提督「おぉ……」

ビスマルク「ヘンな顔しないで!……ああ、ここら辺は理解不能ね。ありえないわ。普通なら助けてっていうところよ」

提督「このビスマルクの気持ち、わからない?」

ビスマルク「イミフよ、イ・ミ・フ!そもそも、愛してる人を傷つけるようなことを言う訳ないもの!!」

提督「そうなのか」

ビスマルク「……うわぁ、今更だけど、もしこんなのが好きなら、あなたすごく歪んでるわよ?うわぁ……ってプリンツ!!なんでプリンツがこんな扱いなの!?」

提督「ん?うーん……いつもビスマルク姉さまビスマルク姉さま言ってるからじゃないか?」

ビスマルク「なんですって…… はぁ……まあ、もう読み終わったし、終わりでいいでしょ?」

提督「ああ、そうだな」

ビスマルク「それで、アトミラール。貴方の中に巣食う狂気とやらは倒せたのかしら?」

提督「ああ、本当に清々しい気分だ。もう何も怖くない。もう大丈夫だよ、ビスマルク」

ビスマルク「そう?なら良かったわ。本当に、ね」

提督「変なことに付き合わせて悪かった」

ビスマルク「2回目はないから、肝に銘じておきなさい」

提督「肝に銘じるよ。……こんなことしている間にもう夕方だ。まあ、スケジュール調整すればいいから問題ない。夕食まで執務に戻るか」

ビスマルク「ん~疲れた……どうでもいいけど、こんなこと二度と止めてよね」

ビスマルク「知らない人間が何を考えていようとどうでもいいけど、あなたが変な性癖をしていたら私はすごく困るわ」

提督「安心してくれ、俺はそんなんじゃない。今回はちょっと今までに触れたことのない背徳感におかしくなっていただけなんだ」

提督「もう正気に戻ったから大丈夫だ。安心してくれ」

ビスマルク「ん。じゃあ仕事に戻りましょう。……それと、後でみんなにもう大丈夫と言っておくように!!あなたのことを心配していたんだから」

提督「ああ、本当に悪いことをした。もちろんそう伝えておくよ」

提督(こうして、俺は執務に取り掛かった。ちらりと隣を見ると黙々と書類の確認をしているビスマルクがいる)

提督(本当に馬鹿なことをしてしまった。ビスマルクにも言われたが、皆にも謝らなくてはな。そんなことを考えながら執務をこなしていく)

提督(深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。これからは気を付けよう。……夕方までまだまだ時間がある。頑張らなくてはな)



提督「……ん、そろそろ時間だな。今日は終わりにしようか」

ビスマルク「そう?じゃあお疲れ様ね、アトミラール」

提督「ああ。久しぶりにこの後食事でもどうだ?……ん?久しぶりだっけか?」

ビスマルク「……どうかしら?でも、Abendessen(夕食)は歓迎よ!」

提督「そうか……そうか!よし、じゃあレストランでも行くか!」

ビスマルク「いいわね!じゃあ準備してくるから待ってて」

提督「ああ、表に車をまわしておくからそこに来てくれ」

ビスマルク「Ja!」



川内「本当にいいんですか!?明らかに提督はおかしいですよ!!」

瑞鶴「私も川内に賛成、このままじゃまずいよ」

長門「だが、提督がもう少しだけ待ってくれと言っているのだぞ?ここはあの方を信じて待つべきだろう」

愛宕「そうよぉ、提督は約束してくれたわ。本当に助けが必要になったら躊躇わず言ってくれるって」

川内「私達に言いにくいだけかもしれないじゃないですか!!提督がおかしくなっているのは今なんですよ!?」

川内「提督は今苦しんでいるはず……!!なら、私たちが自分から動かないとダメなんじゃないですか!?」

長門「……だから動いた結果が、信じて待ってくれとのことだったのだろう」

川内「そんなの!!動いたに入るんですか!?」

翔鶴「川内ちゃん、落ち着いて!!」ガシッ

川内「っ……!!すいません……」

大和「……そもそも、提督は何であの子だけは近くに置いているんですか?どうやら提督が抱えている問題も知っているようですし……」ギリッ

加賀「そうね、それは確かに納得できないわ」

大和「ロマノフ朝のラスプーチンよろしく、あの子が提督を狂わせているんじゃないですか?」

加賀「だとしたら、一刻も早く提督を助け出さなくては……」

赤城「ちょっと、お二人とも!さすがにそれは早計ですよ。共に肩を並べて戦ってきましたが、彼女はそんな人とは思えません」

加賀「っ そう……ですね。すいません」

大和「いえ、取り繕っているだけで腹の中は真っ黒かもしれません」

瑞鶴「……まあ、けど私達より何かを知っていることは確実でしょ。これは一度話を聞いてみないと」

川内「……!!あいつ!!」グッ

翔鶴「川内ちゃん!!止めなさい!!っ!?瑞鶴!?大和さん!?」グググッ

プリンツ「……」スタスタ

大和「プリンツ・オイゲン!!」

プリンツ「!?えっ大和さん!?瑞鶴さん!?どうしたんでっ!?」

瑞鶴「……」ガシッ グイ

プリンツ「つぅ……!!」ドン

瑞鶴「貴女、何を知っているの……?」 グッ ハイライトオフ

プリンツ「くぅ……くるし……!!な、何と言われても……分かりません……!!」

大和「とぼけないで?提督がおかしい理由を知っているはずでしょう?貴女は……!!」ギロリ ハイライトオフ

プリンツ「あ、アトミラール……!?な、何も知りませんよ……」

瑞鶴「ふざけないで……!!」ギリッ

プリンツ「うっ……くっ……放して……」

瑞鶴「チッ話さないなら……!!」ギュッ

大和「……」ドスッ

プリンツ「ぐぅっ!?うげぇ……」

長門「止めろ二人とも!!」ガシッ

愛宕「落ち着いて!!」ダキッ

瑞鶴「っ!!」パッ

プリンツ「うぐっ、ごほっ!!ごほっ!!ごほっ!!」ドサッ

大和「愛宕さん!!放してください!!」ググッ

愛宕「落ち着いてくれたらねぇ……!!」ググッ

赤城「大丈夫ですか、オイゲンさん」

加賀「今のはさすがにやりすぎです。二人とも」

瑞鶴「……こいつが悪いんだからね」

大和「そうです、この女が悪いんです」

翔鶴「瑞鶴!!大和!!いい加減にしなさい!!どう考えてもいきなり首を絞めたりお腹を殴ったりする方が悪いでしょう!!」

瑞鶴「だって……」

大和「……」プイッ

翔鶴「だってじゃあありません!!大和も、何ですかその態度は!!ちゃんと謝りなさい!!」

瑞鶴「……」グスッ

大和「死んでもお断りです」

翔鶴「っ!!この……!!」

川内「……プリンツ・オイゲンさん。知っていないわけないですよね?どうして嘘なんてつくんですか?」

プリンツ「……嘘じゃないです。本当に知らないんです」フルフルフル

川内「っ!!」

赤城「待って!!……どうやらオイゲンさんも本当に何が起こっているのか知らないみたいじゃないですか」

大和「どうして分かるんですか?」

赤城「こんなに怯えて、震えて……何よりオイゲンさんの顔を見れば分かります。これが悪事を企んでいる人間がする顔ですか?」

大和「っ……」

プリンツ「本当に、知らないんです……分からないんです、私にも……」ポロポロポロ

長門「……ビスマルクなら知っているんじゃないか?彼女に話を聞きに行くべきだろう」

加賀「そうね。けど、今どこにいるのか……知っているかしら?」

オイゲン「分かりません……」

瑞鶴「どうして!?」

オイゲン「分からないんです……私だって……私だって!!何がどうなってるのか聞きたいですよ!!」

瑞鶴「!?」

赤城「……すいません、オイゲンさん。みんな提督が心配なんです。何が起きているのか分からないことがもどかしくて」ギリッ

プリンツ「……いいですよ、許します。私も同じ気持ちですから、皆さんの気持ちも分かります」

赤城「……ありがとう」

プリンツ「じゃあ、私は用事があるので。失礼します」

赤城「ええ」

大和「行かせるんですか!?許しません!!」グッ

瑞鶴「そうだよ!!絶対に知っていることを隠してる!!」キッ

長門「いい加減にしろ、二人とも!!」

愛宕「お話するにしてもぉ……一度頭を冷やしてからの方がいいわよぉ……!?」グググッ

大和「っ……!!なんで、どうして……!!みんな提督が大切じゃないんですか!?」ジワッ

瑞鶴「だって……だってぇ……!!」ポロポロポロ

翔鶴「本当にごめんなさい……」シュン

プリンツ「いいんです。では」スタ スタ

瑞鶴「提督……ぐすっ……ひっく……」

大和「提督……どうして、私を頼ってくれないのですか……大和は……っ」ボロボロボロ

長門「……」ギリッ



プリンツ「いたい……」ズキッ

プリンツ「アトミラール……ビスマルクお姉さま……辛いですよぅ……」グスッ

>>1がCrazy9愛好家なのはよく分かった

>>320
そうですね。絵柄が凄く好みですし、今でも2weiの前書きにあったビスマルクと提督のらぶらぶ幸せなんとやら、待ってます
待ってます……から、早く書いてください……!!何でもしますから!!
もし出たら必ず買いに行きますよ!!



提督「来たか」

ビスマルク「女は準備に時間がかかるものなのよ、なんてね。ごめんなさい、時間を取ったわ」

提督「気にしないでくれ、そんなつもりはない。よし、行こうか」



ビスマルク「ごちそうさま、美味しかったわ!!」

提督「気に入って貰えて何よりだ。さて、帰るか」

ビスマルク「そうね、行きましょう」

提督「今日は疲れた……」

ビスマルク「その割には仕事が進んでいないようだけど?」

提督「まあな、この後頑張らなくては」

ビスマルク「はぁ……しょうがないから、付き合ってあげるわよ」

提督「それは助かるが……いいのか?」

ビスマルク「ここで、『じゃあ頑張ってね』と言って自分だけ休む人間だと思った?」

提督「ははっそうだな、君は優しいからな。ありがとう」

ビスマルク「ん、じゃあ早く帰って片付けてしまいましょう」

提督「ああ」



提督(やれやれ、どうにか無事に仕事を片付けることができた。頑張ってくれたビスマルクのおかげだな)

提督「何とか終わらせられたな、お疲れ様。手伝ってくれてありがとう。コーヒーでも飲むか?」

ビスマルク「お疲れ様、どういたしまして。頂くわね」

提督「了解」コトッ

ビスマルク「……?貴方は飲まないの?」

提督「俺が炭酸ジュース好きなのは知っているだろう?疲れた頭によく効くからな」

ビスマルク「ああ、そうだったわね。何を飲むの?」

提督「これだ。ドイツ発祥のジュースだろ?」

ビスマルク「ファンタ!!今ではグレープ味とかいろいろあるけど、ドイツで飲まれていたのはもっと違う奴なのよ」

提督「そうなのか?」

ビスマルク「そうよ。私もコーヒーよりもそっちがいいわ!」

提督「ん?君、ジュースは甘すぎて嫌いとか言っていなかったか?」

ビスマルク「えっ、……そうだっけ?まあ、今日はそんな気分なのよ」

提督「ふむ。それで、何を飲むんだ?」

ビスマルク「何があるの?」

提督「いつでも好きなのが飲めるように、一通り揃えておいてあるって言ったろ?このマイ冷蔵庫を見るがいい!どれでも好きなのを選んでくれ」

ビスマルク「そうね、どれどれ……Ach, Gut(よし)!見ていなさい!」

提督「コーラ、スプライトそれにファンタオレンジ?そんなに出してどうするつもりだ?まさか……」

ビスマルク「あなたに本物のファンタを飲ませてあげるの。もちろん全部飲むわけじゃないわ!……あけてもいい?」

提督「ほぅ……興味深い!構わないぞ」

ビスマルク「Danke! 」

提督(そう言うと、ビスマルクはコップにそれらを4:1:4でコップ注いで炭酸が抜けないように軽く混ぜた)

ビスマルク「はい、完成!元祖ファンタよ!飲んでみなさい!」

提督「どれ、頂こうか。……なるほど、良いお手前で!!」ゴク ゴク

ビスマルク「良いオテマエ?」

提督「美味しいってことだ!!元の味がこんなんだとは知らなかったな。しかもこんなに簡単に作れるのか」

ビスマルク「ふふん!でしょう?ちなみに、スプライトも元はファンタのフレーバーの1つだったのよ?」

提督「そうなのか!?へぇ~知らなかった。よく知っているな!さすがだ、ビスマルク!」

ビスマルク「えへへ……ちょっと褒め過ぎじゃないかしら……?」モジモジ

提督「おや、謙遜するとは珍しい。明日は槍でも振るかな?」

ビスマルク「……よくわからないけど、馬鹿にしているのは分かったわ。これはお預けね」

提督「すまんすまん!謝るよ」

ビスマルク「もぅ……仕方ないわね……ほら」

提督「Danke!」



提督「……おっと、もうこんな時間か。明日は東京だ。そろそろ寝るとしよう」

ビスマルク「ええ、そうね。じゃあ私も部屋に戻るわ」

提督「ん……そうだな。お休み、ビスマルク」

ビスマルク「Gute Nacht, アトミラール。……」ニコッ

提督「……?」

提督(なぜか儚げな笑顔でこちらに微笑むビスマルク。そして一瞬、こちらを悲しげな顔で見つめた)

提督(それが気になってしまう。オーロラのような緑の瞳に、悲痛な感情が揺らめいていた)

提督「? どうした、ビスマルク?」

ビスマルク「何でもないわ、また明日」

提督「あ、ああ」

提督(……何か、凄い違和感だ。何かがおかしい。この状況に、そしてビスマルクに違和感を覚えた)

提督(訳が分からないまま帰宅し、入浴を済ませ、寝支度を完了する。一人では広すぎるベッドに入っても、ますます違和感が大きくなるばかりだ)

提督(とても寂しい感じがした。気分がとても悪くなってくる。なぜだ?……分からない)

提督(ラブクラフト全集がまずかったかな?この年でホラーにビビることになるとは……)

提督(……だめだ、こういうことは深く考えないほうが良い。早く寝よう。疲れているしな)

提督(それに明日は、東京へ行かなくては。大切な会議がある。いよいよ始まるんだ……)



提督(戦況は、我々に優位に進んでいた。敵の勢力圏はますます縮小されており、遂には珊瑚海から敵を追い出す寸前まで来ている)

提督(俺は、今からおよそ一か月後に予定されている南方海域最後の敵拠点、すなわちガダルカナルとツラギへの攻勢作戦の指揮を執る)

提督(前回のポートモレスビー攻略作戦での活躍で、中将へ昇進した上で、総司令官に抜擢されたのだ)

提督(この戦争から南部戦線が消える日もそう遠くない。俺たちが、この手で終わらせるのだ)

ビスマルク「提督、準備できてるかしら?」

提督「ああ、大丈夫だ。行くとしようか」



提督(ってなわけで作戦会議のために東京までやってきた。軍用の特別列車のおかげで列車内は快適だったが、駅構内はそうもいかない)

提督(……いつも思うが、東京の駅は入り組みすぎだと思う。もう少し何とかならなかったのだろうか)

ビスマルク「アトミラール、車は表で待っているんでしょ?早く行きましょう」

提督「ああ。すまんが、ちょっと手洗いに行ってくる。ここで待っていてくれ」

ビスマルク「そう、分かったわ。じゃあここで待っているから」

提督「頼むぞ」

提督(……それにしても本当に人が多いな。さすがは天下の帝都東京か)

提督(用を済ませ、ビスマルクの所へ向かう。すると聞き覚えのある声が聞こえてきた)

「よし、その東京ばな○を頂こうか」

提督「この声……!?やはり!!友!!友じゃないか!!」ハッ

友「お、提督か!?ひと月ぶりだな!!会えると思っていたが、まさかここでとは!!」

提督「ああ、本当に奇遇だな!!元気か?」

友「もちろん!!それにしても、今回の作戦の指揮官は貴様か。流石だな」

提督「ありがとう!!奴らを珊瑚海から蹴散らしてやるよ!!」

友「この前の作戦で、お前の艦隊は大活躍したからな。いろいろあって、心配していたが……大丈夫そうでよかった。期待しているぞ」

提督「ありがとう!貴様は東部方面、ミッドウェーの拠点への牽制を担当だったよな?近頃は敵の抵抗も激しさを増してきている。気を付けてくれ」

友「そうだな、ありがとう。だが、ここが正念場だ。やってやるさ!側面の防御は任せてくれ!」

提督「おう、頼りにしているぞ!」

飛龍「おーい!!友!!買い物、まだ時間かかるの!?早く行こうよ!!」

友「あ、ああ!!ちょっと幼馴染の親友に会ってな!!すぐ行くから、先行っていてくれ!!」

飛龍「分かった!!じゃあ先に行ってるからね!!」

友「車でな!!」

提督「ほうほう、友か……付き合っているのか?」

友「ま、まあな……」

提督「お前もとうとう身を固めるか?」ニヤニヤ

友「やめろやい!」

提督「ははっ今度ダブルデートに行こうか?」

友「今はそんな暇ないだろ!」

提督「ははは、冗談だよ!」

ビスマルク「アトミラール?何をしているの?用が済んだのなら早く来なさいよ」

提督「おお、ビスマルク!悪いな、偶然そこで友と会ってな。お前も面識があるだろう?」

友「ビスマルク……?」

ビスマルク「え、友? ……! ……おはよう、少将」

友「え、え、え? えっと……」

ビスマルク「私を忘れたかしら?ビスマルクよ」

提督「おい!?貴様、俺の彼女を覚えていなかったのかよ!?」

友「彼女!?あ、いや、すまんな……少し会っただけだったからな……」

提督「まったく。ってそうだ、すまないが飲み物を買いに行ってくる。喉が渇いてな。すぐに済むから待っていてくれ」

ビスマルク「……そう、分かったわ」

友「ああ……すまないが、俺もドクペが欲しいから買ってきてくれ」

提督「ドクペ!?ここらで売ってるのか……?」

友「向こうの売店に行けばあるかもしれん。貴様の分も奢るから、頼む」

提督「了解」スタスタ

ビスマルク「……」

友「……何、してるんだよ」

ビスマルク「……何って何よ。質問の意図が分からないわ」

友「ふざけるなよ! それとも、お前までおかしくなっちまってるのか?」

ビスマルク「……そんなわけ、ないでしょ?」

友「なら!」

ビスマルク?「けど、他に何ができるっていうんですか? 私にできることはこれぐらいしかないんですよ!」

友「くっ……どうやら、あいつは今、精神崩壊しかけているみたいだ……くそっ……お前のしているそれは、ますますあいつの心を蝕んでいっているんだよ!!」

ビスマルク?「いいえ、違います!!私はアトミラールを守っているんです!!あの人は酷く傷ついて苦しんでいるんです!!」

ビスマルク?「無理に残酷な現実を見せれば、提督を本当に壊してしまいます!!どうしてそれが分からないんですか!?」

友「ふざけるな! !そんな事、間違ってる!! ……それにな、この方法はあいつを犠牲にするだけじゃない!!」

ビスマルク?「何が言いたいんですか!?」

友「自分の顔を見てみろ!!これはお前もまた緩やかに壊れていく方法なんだよ、プリンツ・オイゲン!!」

プリンツ「っ……!! 」



瑞鶴『提督の様子がおかしいよ……顔色が凄い悪いし、無理して気丈に振舞ってる』

翔鶴『どうしたのでしょうか……』

長門『攻勢作戦が控えている。大事なければいいのだが……』

陸奥『医者を呼んだ方がいいわよ。絶対、病気だから』

赤城『もうお呼びしたのですが、悪いところはないと……』

加賀『おそらく疲労とストレスだろうとのことで、栄養剤を処方されたわ』

プリンツ《提督、具合悪いんだ。お見舞いに行こうかな。看病してあげたりとか!……って、ビスマルクお姉さまの役目か》

プリンツ《……お似合いの、二人だよね。尊敬するアトミラールとビスマルクお姉さまが夫婦だなんて、素敵》

プリンツ《だからこの気持ちは、封印しなくちゃ。そう、忘れなくちゃいけない……》



ドイツ軍将校『ビスマルクから定時連絡がない』

プリンツ『えっ本当ですか?』

ドイツ軍将校『残念ながらな。彼女の所在はどこだ?』

プリンツ『家にいると思いますけど……』

ドイツ軍将校『そうか。現在、作戦直前ということで提督と連絡が取れない。しかし、君なら可能なはずだ。確認してみてくれ』

プリンツ『Jawohl, Herr Kapitän (了解しました、大佐).』



プリンツ『提督』コンコン

提督『……入れ』

プリンツ『失礼します』ガチャッ

提督『ビスマルク!?』

プリンツ『!?』

提督『あ、いや……すまない、プリンツ。どうしたんだ?』

プリンツ『いえ、大丈夫です。ビスマルクお姉さまから定時連絡がないと本国から連絡が来たのですが……』

提督『っ!!……そうか。君には話さなくてはならなっ、おえぇぇ……!!』ゲボッ

プリンツ『アトミラール!?大丈夫ですか!?』ダッ

提督『げほっげほっぐっ……すまない、大丈夫だ……プリンツ、これからいうことには緘口令を敷く。いいな?』

プリンツ『J,Ja……』



プリンツ『……つまり、ビスマルクお姉さまは、あの整備兵と浮気……„ Seitensprung“したんですか……?お腹の子も、その人の……?』

提督『……そうだ』

プリンツ『……!!』

提督『すまないが、この件に関してはドイツ側に黙っていてほしい。こんなことを報告したら……まずいことになるだろう?』

プリンツ『……っ!!わ、分かりました』

提督『すまない、ありがとう』

プリンツ『アトミラール……』

プリンツ《嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ。そんな事、信じられない。あのビスマルクお姉さまが……?ありえないよ……どういう事……?》



提督『作戦は順調とは言い難い。敵との航空戦で我が軍は予想以上の被害を出している。敵の空戦力は予想以上だ』ゲッソリ

提督『だが、そのかわりに敵拠点及び艦隊の打撃力は低いことが判明した』

提督『そこで、俺が上層部に戦艦主体の打撃艦隊による夜襲を打診して承認され、実行することとなった』

川内『夜戦!?今、夜戦って言った!?』パァッ

神通『ね、姉さん!!静かに!!』ビクッ

提督『よって諸君には敵艦隊を蹴散らし、ポートモレスビーの敵拠点を焼き尽くしてもらう。頼んだぞ』

大和『はい!!提督が最高の司令官であること、そして我が艦隊が世界最強である事を証明して見せます!!』

提督『うむ。第一艦隊、出撃せよ!!』

大和『了解!!第一艦隊出撃!!』

プリンツ《提督……あんなにやつれてしまって……ビスマルクお姉さま!!何故なんですか……!?》



元帥『素晴らしい作戦だった!!君のおかげで作戦は無事成功した!!昇進が君を待っているぞ』

提督『はっ光栄です!!……っ』クラッ ドサッ

元帥『少将!?どうしたんだ!!』

大和『提督!?』

瑞鶴『提督!!』

プリンツ『そんな……提督!!』



プリンツ《結局、アトミラールは念のためということで数日入院することになった。作戦後のごたごたを片付けて、今日やっとお見舞いにいける》

プリンツ『アトミラール、失礼しますね』

提督『ああ、……ビスマルク?ビスマルクか。どうした、そんなにかしこまって』

プリンツ『!?』

提督『すまないな、心配をかけた。すぐに退院できるよ』

プリンツ『アトミラール……?』

提督『ん?何だ、ビスマルク』

プリンツ《アトミラール……こんなことって……神様、こんなに素晴らしい、頑張っている人にどうしてこんな仕打ちを……》

プリンツ《アトミラールのために私ができること……ひどい仕打ちを受けたこの人の、壊れそうな心を守るには……》

プリンツ『……いえ、何でもないわ、アトミラール』

提督『そうか?』

プリンツ『ええ。それより、リンゴを持ってきたのよ。剥いてあげるわ』

提督『おお、ありがたい!……迷惑をかけるな』

プリンツ『そんな事言わないで。貴方は頑張った。当然じゃない』ニコッ



プリンツ「……」



提督『その書類を取ってくれ、ビスマルク』

プリンツ『ん』

提督『ありがとう』ニコッ



翔鶴『美味しい!!さすが提督のお母さまですね』

瑞鶴『うん!!私干し柿って初めて食べたかも』

提督『そうか?最近の子は干し柿知らないのか……あ、ビスマルク!ちょうどよかった。これ食べるか?実家から送ってきたんだ』

翔鶴&瑞鶴『『!?』』

プリンツ『あら、何よコレ?』

提督『干し柿だ』

プリンツ『……食べられるの?』

提督『美味しいぞ?』

プリンツ『……!美味しい!』パクッ

提督『だろう?そうだ、書類で確認したいことがある。来てくれ』

プリンツ『分かったわ』

提督『ではまた後でな』

翔鶴『あ、はい。ごちそうさまでした』

瑞鶴『うん、また後で。干し柿ありがとうね』

翔鶴『……えっと』

瑞鶴『どういうことなの……?え?プリンツ・オイゲンってプリンツ・オイゲンだよね?』

翔鶴『ええ、オイゲンさんだと思うけど……ビスマルクって呼んでたわよね?』

瑞鶴『うん。……?』



プリンツ《私が、ビスマルクお姉さまの代わりになる。お姉さまが帰ってくるまで。……きっと、帰ってくるから》

提督『ビスマルク』

プリンツ『何かしら?』

プリンツ《私が、アトミラールを守る。アトミラールを傷つけるモノから、守り切って見せる》

提督『ビスマルク』

プリンツ『ん』

プリンツ《これ以上アトミラールが傷つけられて、苦しむところは見たくない。だって、私はアトミラールが……好きだから》

提督『ビスマルク』

プリンツ《でも、アトミラールはビスマルクお姉さまが好き。お姉さまを選んだ。今、アトミラールは私を見て、ビスマルクお姉さまの名前を呼ぶ》

提督『ビスマルク!』

プリンツ《アトミラールの目に、私は……プリンツ・オイゲンは映っていない。私は見えていない。私を通してビスマルクお姉さまを見ている》

提督『ビスマルク!!』

プリンツ《私は、存在しない。だったら……私は、何処にいるの……?私は、誰なの……?》

プリンツ《もし、お姉さまが帰ってきたら……私はどうなるの?アトミラールはどうするの?私は……》



プリンツ「っ!!」

プリンツ(駄目だ!!変なことを考えるな!!これが私にできる最善だ!!こいつの言うことに耳を貸してはいけない!!)

プリンツ「貴方に何が分かるというのですか!?知ったような口を利かないでください!!それとも、何かいいアイデアがあるんですか!?」

友「それはっ……!!」

プリンツ「Na, toll! 凄いですね、他にいいアイデアがないけどそれはダメですか?じゃあ何もせずにアトミラールを放っておけと?」

友「違う……!!俺があいつと可能な限り一緒にいる!! 近くで支えてやる!!」

プリンツ「あなたがですか!?どうやって!?少将がアトミラールと一緒にいる!?無理に決まっているでしょう!!」

友「なら……俺があいつの副官になってやる!! それなら一緒にいられる!!」

プリンツ「アトミラールのために自分の軍歴を棒に振るつもりですか!?」

友「……ああ、俺はその覚悟だ。あいつがあんな状態なら、俺の人生は色あせちまう。何ができるか分からないが、でもこんなのは嫌だ」

プリンツ「……そこまで、アトミラールのことを思っているんですか?」

友「お前にだっているだろう? 自分のことのように大切な大親友ってのは。俺とあいつはガキの頃に仲良くなってからずっと一緒だった」

友「あいつは、もし俺が助けを必要としていたら自分のことを構わず俺を助ける。そして、俺もまたあいつのためなら、自分の軍歴やらなんやらぐらいどうでもいいんだよ」

プリンツ「……あの人の心はいつまでもビスマルク姉さまのもとにあるんです。あの人が愛し、あの人が助けを求めるのはビスマルクお姉さまなんです」

友「なら、お前がビスマルクになると? 本当にそれでいいのか?」

プリンツ「いいわけ、ないじゃないですか! 私を見てほしいに決まってるじゃないですか!」

プリンツ「……私は、私はアトミラールが好きです。あの人を助けたい、支えてあげたい!でも……私じゃダメなんです……私じゃ……」ウルッ

プリンツ「もう……私じゃどうしていいかわからないんです……お姉さまもどこへ消えたのか分からないし……」ポロポロ

友「……あいつの時間はあの時から止まっている、氷のようにな。それを解かすことができるのは、人の温もりか、怒りの業火だけだ」

友「……俺は目が覚めたぜ。あいつが無理してるのに気がつかないなんて……俺が、怒りを担当してやる。だからお前が温もりを担当しろ」

プリンツ「……どうするつもりなんですか?」

友「俺の大親友に手を出したことを後悔させてやるさ。あいつから聞いた話じゃ、ビスマルクは洗脳されたみたいじゃないか」

友「調教だとか反吐が出る。しかし、ストックホルム症候群ってのがあるようにまあ実在するんだろうな」

友「簡単に洗脳されるような、頭のねじが数本とんでるクソビッチの方も問題だ。だが、どちらにせよあのクソ野郎はたとえ法律が裁けなくても俺が裁く」

プリンツ「まさか……」

友「乗り込んでやるさ、あいつらの所に。痛めつけられるだけ痛めつけたうえで、あのクソ野郎をぶっ殺してやる」

プリンツ「っ……!! 人を殺すんですか……?貴方のすべてが終わりますよ!?」

友「気にするものか。罪だというか? それもそうだろうな。俺も普通に暮らしていくうえで法律は守るべきだと思う。だがな」

友「その法律が、俺の大切なものを傷つけて守らないっていうんならそんなもの守る義理はない!!」

友「そんなもののために、大切なものを土足で踏みにじった奴がのうのうと生きているのを黙って見てるだけなんて耐えられないだろう!!」

プリンツ「大切なものを傷つけて守らないなら、守る義理はない…… 黙って見てるなんて、耐えられない……」

提督「ただいま、何を騒いでいるんだ?警備員がやってくるぞ」

友&プリンツ「「!?」」

提督「って、どうしたんだ!?……泣いていたのか?」

プリンツ「ちょっと目にゴミが入って……大丈夫よ。友とコーヒーか紅茶かで議論になって。つい、ね……」

友「あ、ああ、そうなんだ……貴様だって紅茶の方がいいよな?」

プリンツ「コーヒーに決まってるわよね?」

提督「そうだな、気分によるが……決められないな。それより、ほら、ドクペだ」

友「おお、ありがたい」

提督「さて、そろそろ行かなくてはと言いたいところなのだが、もう一度トイレに行ってくる。少し緊張しているみたいでな、ははっ」

プリンツ「大丈夫?」

友「貴様のことだ、どうせうまくやる。胸を張れよ、親友」

提督「ああ、ありがとう。……貴様が俺の親友で良かったよ」

友「どうした、いきなり。らしくなく緊張しているな?お前がそうなるのは珍s」

飛龍「友ー!!遅いよ!!話長すぎ!!」

友「飛龍!?すまない!!……悪いが、先に行かせてもらうぞ」

提督「ああ、また向こうでな。先に車まで行ってるか?ここらは人混みが凄いだろう」

プリンツ「何を言っているのよ。待ってるから早くしてね」

提督「分かった、ありがとう」



提督「待たせたな」

プリンツ「ん、行きましょう」

提督「ああ」



提督「都会に高速道路、東京って感じだ。本当に久しぶりだな……おっフェラーリ」

プリンツ「嘘、どれどれ?」スッ

提督「おい、危ないからちゃんと座ってろ」

プリンツ「いいじゃない。……あ、良い匂い。ガム食べてるの?」

提督「ああ、まあな」

プリンツ「私にも頂戴」

提督「悪いが、さっきのが最後の一個なんだ」

プリンツ「ああ、そう……残念」

提督「!とうとう来たな……総司令部だ」

プリンツ「……緊張しているの?」

提督「それはな。まあ、当たり前だろう」

プリンツ「……ん」ギュッ

提督「!!」

プリンツ「大丈夫よ、アトミラール。私がついてるからね」ナデナデ

提督「……助かる」

プリンツ「……」



提督「他にご質問が無ければ、私からは以上です」

元帥「よし、分かった。では、以上でい号作戦前の最終会議を終了する!中将、良い報告を待っているぞ」

提督「お任せください、元帥。必ずや期待に応えて見せましょう」

元帥「うむ!」

プリンツ(アトミラール!!良かった……!!)グッ



プリンツ(作戦会議も無事に終わり、会食を経て今は帰路についている。専用列車の窓から眺める空は、気味の悪い三日月だ)

プリンツ(友さんの言っていたこと、本気なのかな……?まさかそんなわけないと思うけど……)

プリンツ(『アトミラールの心をますます蝕んでいく』……そんな訳ない。それに、他にできることも思いつかない)

プリンツ(『私もまた緩やかに壊れていく』……それも違う。確かに思うことがない訳じゃないけど、私はそんなやわじゃない)

プリンツ(……ビスマルクお姉さまは、一体どうしてこんなことをしたのだろうか?未だに信じられない。信じたくない)

プリンツ(あのビスマルクお姉さまがこんなひどい裏切りを?しかも……あんな人と?冗談でしょ……連絡をとりたいけど、方法がない)

プリンツ(携帯はずっと電源が入っていない。"SNS"とかは、もともとやっていない。……そもそも、ビスマルクお姉さまはこれからどうするつもりなんだろう)

プリンツ(どっかに隠れてこそこそ暮らすのだろうか?日本とドイツのお尋ね者になって?)

プリンツ(それ以前に、定時連絡がないとすぐに問題になると分からなかったのだろうか?そんなわけないと思うけど……)

プリンツ(『作戦に関係しているから』と言って何とか誤魔化したけど、定時連絡がないのはいつまでも誤魔化せはしない)

プリンツ(……あ!いや、そういえばもっと不味いことになってるんだった……将校から呼び出しされた。おそらく、その件だろう)

プリンツ(まだアトミラールが正気だったとき、いざとなったら『提督からそう言われていた。何も知らなかった』と言えと言われたけど……)

プリンツ(……もう本当に訳が分からない。嫌だ。これ以上考えたくない。全部やめて引きこもりたい。全部夢だったらいいのに)

プリンツ(……そうだ、夢なんだ。だってビスマルクお姉さまがそんな事するわけないもの!……なんてね、意味のない事だよね)

プリンツ(とにかく、このままじゃまずい。何か考えなくちゃ。考えたくないけど、考えなくちゃ。何か打開策を……)

提督「これを食べてくれ。元気が出るぞ」

プリンツ「え?あ、HARIBO!!」パァッ

プリンツ(しかもハッピーコーラだ!!私が一番大好きな奴!!)

プリンツ「ん~おいしい!!ゴルトベーレンじゃなくてこっちを選ぶのはいいセンスね」

提督「Danke, 喜んでもらえて何よりだ。ジュースもあるぞ」

プリンツ「Super!!どうしたのよ、至れり尽くせりじゃない?」

提督「ああ、いろいろ助けてもらってるからな」

プリンツ「あら、それなら毎日こうしてもらわなくちゃ」

提督「そうするとありがたみがなくなるだろ?」

プリンツ「かもね、ふふっ」ニコッ

プリンツ(ずっとこうしていられればいいのに。……嫌なことを考えるのは、今は止めておこう。明日だ。明日から考える。そうしよう)



プリンツ(あれから数日、私は未だに何の策も考えられていない。だというのに将校と会う日だ)

プリンツ(こうなったら、作戦に関わるから言えないと強引に押し通そう。それで時間を稼ぐ)

プリンツ(そうして次の時までにいい案を考えておく。それしかない。大丈夫、きっとうまくいく)

プリンツ「……それにしても、遅いな。確か待ち合わせはこのスタバだったはずなんだけど」

「Prinz Eugen」

プリンツ「えっ?っ!?あ、貴女は……!!」

女「Guten Morgen. Ich habe dich so lange nicht gesehen. (おはよう、久しく君とは会っていなかったな)」

プリンツ「なんで……大佐はどうしたんですか……!?」

女「……一応、日本語も話せるようになったんだ。元気だよ。それにしても、よく私が昇進したことを知っているな?」

女「親友が私を気にかけてくれていたようでうれしいよ。君のほうは最近どうなんだい?」ニコッ

プリンツ「ふざけないで!!誰が親友だ!?私が聞いているのはKapitän Schneider(シュナイダー大佐)のことだ!!」

女「ああ、そういう意味か。やはり経験不足だな……周りは日本人だらけだし、いろいろと良くないからドイツ語で話そうか」

プリンツ「Wo ist Herr Kapitän!? (大佐はどこにいるんですか!?)」

女「Ach, 彼は本国へ帰還したよ。これからは私が連絡将校になる」

プリンツ「何ですって……!?貴女のような人格破綻者が……!?」ガーン

女「そんな顔をするな。さすがに傷つくぞ……」

プリンツ「マッドサイエンティストに人体実験の検体にされそうになれば、私の気持ちが分かりますよ。大佐」

女「大佐じゃなくてメンゲレと呼んでくれ。マッドサイエンティストのつもりはないんだがなぁ……」

プリンツ「人を泥酔させて人体実験をしようとした方の言葉とは思えませんね、大佐?」ジロッ

メンゲレ「……なら、せめてドクトルと呼んでくれ。あれは悪かったよ。私も、君が酔ってないときに頼むべきだったと後悔している」

メンゲレ「だが気になって仕方がなかったんだ。君が艦娘になれて、私がなれなかった理由がね」

プリンツ「……それで、ドクトルが一体何の御用ですか?定時連絡はまだ先ですけど」

メンゲレ「着任を君と祝いたくてね」

プリンツ「おめでとうございます、ドクトル。では失礼しますね」

メンゲレ「まあ待て、本題が終わったところで早速ガールズトークをしようじゃないか」

プリンツ「お断りします」

メンゲレ「ビスマルクについてだ」

プリンツ「……何ですか?」

メンゲレ「単刀直入に聞くぞ。どこまで知っている?」

プリンツ「……作戦に関わるから言えません」

メンゲレ「本当に?彼女は作戦に参加するのか?」

プリンツ「言えません」

メンゲレ「……プリンツ、君は彼女が何をしたのか知っているのか?」

プリンツ「何のことですか?」

メンゲレ「私が着任したのは二種間ほど前、ちょうど君がビスマルクは作戦の為に現在連絡できないと大佐に報告した翌日だった」

メンゲレ「かなり急なことだったよ。それこそ、君たちに前もって連絡することができないぐらいにね」

プリンツ「何が言いたいんですか?」

メンゲレ「そしてその着任当日に、ビスマルクからいわゆる『良心的兵役拒否』を希望された」

プリンツ「!!??」ビクッ

メンゲレ「……まあ、そういうことだ。だから彼女に関してはもう心配する必要はないとだけ伝えておくよ」ジッ

プリンツ「そう、ですか……」

メンゲレ「……これを飲むといい。なに、ヘンなものは入れてないし、口をつけてはいないよ」

プリンツ「……Danke」

メンゲレ「さて、それでは私は戻るとする。今度の作戦は君も出撃だろう?頑張ってくれ。ではな」スタスタスタ

プリンツ「はい、ありがとうございます……」

プリンツ(……それが貴女の選択なのですか、ビスマルクお姉さま。本当に……本当に……どうして……なんで……)

プリンツ「……」

プリンツ「……」ユラッ フラフラフラフラ

メンゲレ「……」ジッ

メンゲレ「……」クルッ スタスタスタ

個人の宗教や信教または思想上の理由から兵役を拒否することを良心的兵役拒否という。
要するに、ビス子、艦娘辞めるてよー
ということ。
で、軍や国によっては良心的兵役拒否に対して実刑がついたりする。例えばキムチとか



プリンツ(それから、私は抜け殻のようになった。張りつめていた気持ちも、空気が抜けたようだった)

プリンツ(ここ数日、ただ機械のように生きている。何の目標も喜びも見いだせない、灰色の日々。私は、壊れてしまったのだろうか?)

プリンツ(久しぶりに感じる追い詰められていないという感覚。これは、安心……いや、諦観というべきだろう)

プリンツ(たぶんそうだ。こんなものが安心であってほしくない。穏やかだが、最悪な気分)



ピピピピ ピピピピ

プリンツ「……」バンッ

プリンツ「……朝」ヌッ



プリンツ(確定したと言える。正式に良心的兵役拒否を希望したんだ……しかも、どうやら通りそうな雰囲気だ……)

プリンツ「……」ユラユラ

愛宕「あら、……おはよう、オイゲン」

プリンツ「……おはよう、愛宕」ボー

愛宕「ちょっと。大丈夫なの?すごい体調悪そうよ」

プリンツ「平気。じゃあ私、秘書艦の仕事があるから」

愛宕「ええ。……本当に大丈夫かしら」



プリンツ(ビスマルクお姉さまはもう戻ってこない。……そうだ、もう戻ってこないんだ)

提督「すまないが、この書類を纏めておいてくれ」

プリンツ「ええ、任せて」

提督「ありがとう」



プリンツ(アトミラールはどうなるんだろう?ずっとこのまま?そんなの嫌……)

提督「そろそろ昼休みだ。食事に行ってこい」

プリンツ「分かったわ。……貴方はどうするの?」

提督「忙しいからここで軽く済ませるよ。君はちゃんと休んでくれ」

プリンツ「そう……じゃあ失礼するわね」



プリンツ(もう嫌だ。何も考えたくない。吐きそうだ。気持ち悪い、気持ち悪い……)

プリンツ「……砂みたい」モグモグ

武蔵「提督、良くなったのか?変なことを言わなくなったそうじゃないか」

大和「そうね……」ボー

武蔵「そういえば、最近あいつは読書を始めたらしいぞ?暇があれば何かの本を読んでいる」

大和「そうね……」ボー

武蔵「……いい加減、立ち直ったらどうだ?一時的な配置転換という話だろう」

大和「……それでも、離れることには変わらないじゃない。提督は私を選んでくれなかった……」

大和「どうして私が東部戦線送りなの……提督の下で戦いたかった……」

武蔵「東部は少ない兵力で敵を引き付けなくてはならないからな。私達は提督に信頼されているんだ。誇りに思おうじゃないか」

大和「……それでも、好きな人と一緒にいたいのが乙女心なの!!」

プリンツ(なんて平和な悩みなんだろう。本当にうらやましい。そんなくだらないことで悩んでいられるなんて)

プリンツ「……ごちそうさま」



プリンツ「アトミラール、今戻ったわ」

提督「ああ、お帰り。じゃあ午後の仕事を始めるか」パタン

プリンツ「何を読んでたの?」

提督「アガサ・クリスティだ」

プリンツ「へえ、そう」

提督「そうだ。早速だが、この敵の戦力評価を纏めておいてくれ」

プリンツ「ん」



提督「よし、今日は終わりだ。お疲れ様」

プリンツ「お疲れ。じゃあ、私は帰るわね」

提督「ああ、じゃあな……ありがとう!」

プリンツ「……」テヲヒラヒラ



プリンツ(部屋に戻って、夕食と入浴を済ませる。いつもやっていた音楽を聴きながらのストレッチも、やる気がしない)

プリンツ(歯を磨き、寝支度を済ます。暗闇の中、ベッドに入る。分からない先のことを、考える)

プリンツ(アトミラール……私は……)

プリンツ(……決めた。私は……プリンツ・オイゲンは死ぬ。私がビスマルクとしてアトミラールと生きる)

プリンツ(良い事だよね。諦めなくちゃいけないはずだった好きな人と、一緒にいることができるんだもの)

プリンツ(私が割り切れさえすればきっと全部うまくいくから……だから……)

プリンツ「うぅ……ぐすっ……ひっく……」

プリンツ(今日だけは、泣きたい)



ザー ゴロゴロゴロ……

ピピピピ ピピピピ

プリンツ「……」パチッ ピッ

プリンツ「……おはよう、ビスマルク。今日もいい天気ね」



瑞鶴「意味わかんないよ!!どういうことなの!?」

翔鶴「落ち着きなさい!!瑞鶴!!」

大和「何を知っているんですか?赤城さん。事と次第によっては……!!」ギリッ

加賀「させません。身の程を弁えなさい、大和。誰に向かって口を聞いているの……?」メホソメ

武蔵「止めろ!!大和!!冷静になれ!!」

大鳳「加賀先輩、駄目!!抑えてください!!」

プリンツ「……おはよ、どうしたの?」

高雄「ああ、オイゲン。おはよう」

愛宕「おはよう。それがぁ……」

赤城「気を付け!!」

「「「「!!」」」」

赤城「皆さん、状況が分からないのは私も一緒です。ですが、とりあえずやるべきことはやらなくてはなりません」

赤城「どうやら、光栄なことに提督は私をひとまずの指揮官に任命したようです」

赤城「よって私には提督が戻られるまでの間、皆さんの指揮を執る義務と権限があります」

赤城「……ここで問題を起こしては、提督は処分を免れないでしょう。提督がいきなりいなくなったことにも、きっと理由があります」

赤城「今は提督を信じて、各自の義務を果たしなさい。力を合わせてこの難局を乗り切るのです。いいですね?」

「「「「了解」」」」

加賀「……分かったのなら返事をしなさい、大和」

大和「っ!!」

赤城「止めなさい、加賀!!大和、あなたが不満に感じるのも致し方ありません。ですが、どうか堪えてもらえませんか?」

大和「……了解です。赤城さんに従います。……すいませんでした」

赤城「とんでもない!ありがとうございます。どうぞよろしくお願いしますね」

プリンツ「提督がいなくなったの……!?」

愛宕「私が戻るまではぁすべての指揮権を赤城に移譲するって置手紙とぉ、指揮書を残してね」

高雄「何故いなくなったのか、何処へ行ったのか、何時戻るのか、誰にも伝えずにね。ってオイゲン!」

赤城「オイゲンさん」

プリンツ「赤城さん、おはようございます……どういうことなんですか……!?」

赤城「話は聞いているわね?私が知っていることもそれ以上のことはありません」

赤城「ですが、貴女なら何か知っていると思ったのですけど……知らないようですね」

プリンツ「はい……」

赤城「では、とりあえずプリンツさんには私の補佐をお願いします。たぶん私よりも詳しいでしょうから」

プリンツ「わ、分かりました……」

プリンツ(アトミラール……アトミラールまで……!!いったいどこに消えちゃったの!?意味わかんないよ!!)



赤城「もうこんな時間……ちょっとかかりすぎましたね。お昼休憩にしましょうか」

プリンツ「そうですね。あ」Was ich sah auf meiner Reise♪

赤城「電話ですか?構いませんよ。出てください。私は先に食堂へ行ってますね」

プリンツ「ありがとうございます。……青葉から?もしもし?」

青葉『あ~プリンツさん?お久しぶりですぅ』

プリンツ「ええ、久しぶり。どうしたの?」

青葉『それがですねぇ、何でもウチの提督がお話ししたいってあぁ!!ちょっ!?』

友『……プリンツ・オイゲンか!?』

プリンツ「友さん、そうです。もしかして提督について何か話が……!?」

友『そうだ!!あいつは今どこにいる!?』

プリンツ「それが、どこかへ行ってしまって居ないんです……」

友『くっ!!遅かったか……!!』



SS兵士「連絡です」スッ

メンゲレ「ご苦労。……」カサカサッ ジッ

メンゲレ「……『ブランデンブルク』に出撃命令を。発砲、及び交戦を許可する。必要な手段を躊躇うな。ただし、我々の仕業という証拠は残すなよ」

SS兵士「了解しました、大佐殿」

メンゲレ「さて、我々も行くとするか……」



ビスマルク「……綺麗な満月。さっきまでの嵐が嘘みたい」

元整備士「何か言った?」

ビスマルク「月が綺麗って言ったのよ。まん丸で、とても大きい」

元整備士「へえ。月が綺麗ってのは、日本じゃあなたを愛しているって意味もあるんだ」

ビスマルク「そうなの?ロマンティックね」

元整備士「だろう。それにしても、随分とおおきくなったね」

ビスマルク「ふふっ、あ、今動いたわ」

元整備士「いいねぇ。けど、僕としてはこっちの方が嬉しいけど」モミッ

ビスマルク「あん、もう……これは赤ちゃんのものよ」

元整備士「安心しなよ。飲んだ分、こっちからミルクを補給してあげるから」ナデッ

ビスマルク「あっ……」

ガチャリッ ガチャン

男「え……!?」

ビスマルク「……!!」

ビスマルク(……とうとうこの時が来たか。どうやったのか知らないけど、住人がいるのに堂々と鍵を開けて入ってくるなんて)

ビスマルク(そんな事するのは何処の誰か、考えるまでもないわ。どうにかならないかと思ったけど、やっぱりこうなるわよね。覚悟は、できてる)

カツカツカツ

ビスマルク(この足音、一人だけ?まあ私を消すのに部隊を動かすまでもないということかしら)

元整備士「な……だ……ど……」ブルブルブル

ビスマルク「……」チラッ

ビスマルク(せめて、この人だけでも守らないと……この命に代えても……)

カツカツカツ ピタッ

ビスマルク「……誰かしら?」

提督「……久しぶり、というべきか」

男「!?」

ビスマルク「!!??」

提督「……」ガチャッ

ビスマルク「アト……ミラール……!!」

提督「ビスマルク、壮健そうで何よりだ」ニコッ

ビスマルク「……っ!!それはどうも。けど何のつもりなの?いきなりドアを開けて入ってくるなんて」ハッ ギロリ

男「ふ、不法侵入だぞ……!!」

ビスマルク「そうよ。しかるべき礼をもって来るのであれば、客人として迎える。けれど、今の貴方はただの犯罪者よ?……失望したわ」

提督「奇遇だな、俺も君には失望していたんだ。何をされていたのか知らんが、性欲に負けてしまうとは」

ビスマルク「……あなたが私を満足させてくれなかったのがいけないんでしょ?男としての甲斐性で勝てないからって次は暴力でねじ伏せるのかしら?」

提督「……かもな。あまり経験がなかったんだ。あいつとは……前の妻とは互いに愛し合うだけで十分で、性技を鍛えたことなんてなかった。それに関しては、すまなかった」

ビスマルク「……謝罪に来たわけ?じゃあ許してあげるから帰って。もう二度と私たちの前に現れないで!!」

提督「ふっ……ははははっ……はははははは!!謝罪に来ただって?何を言うかと思えば……!!笑わせてくれる」

ビスマルク「……!!」ゴクリ

提督「教えてあげるよ、ビスマルク。俺が、なんのためにここに来たのかを」

ビスマルク「……復讐しに来たわけ?」

提督「いや……俺は、お前の悪夢を終わらせに来たんだよ」

失礼、元整備士=男でお願いしますね……
あと>>362さん解説ありがとうございました



提督『まったく。ってそうだ、すまないが飲み物を買いに行ってくる。喉が渇いてな。すぐに済むから待っていてくれ』

プリンツ『……そう、分かったわ』

友『ああ……すまないが、俺もドクペが欲しいから買ってきてくれ』

提督『ドクペ!?ここらで売ってるのか……?』

友『向こうの売店に行けばあるかもしれん。貴様の分も奢るから頼む』

提督『了解』スタスタ

提督《そういえば、あいつはドクペやらルートビアやらよくわからんものが好きだったな。売ってるといいのだが……ん?》

提督『おお……!!』

提督《なんとまあ!!ここの自販機はドクペがあるのか!!優秀な奴だ。俺は……ジンジャーエールにでもしておこうか》

提督《……よし、じゃあ戻るか》

プリンツ『貴方に何が分かるというのですか!?知ったような口を利かないでください!!それとも、何かいいアイデアがあるんですか!?』

提督『!?ビスマルク……?一体何を怒鳴っているんだ……!?』

友『それはっ……!!』

プリンツ『Na, toll! 凄いですね、他にいいアイデアがないけどそれはダメですか?じゃあ何もせずにアトミラールを放っておけと?』

友『違う……!!俺があいつと可能な限り一緒にいる!! 近くで支えてやる!!』

提督『!!??な、何の話をしているんだ……あいつらは……!?』



プリンツ『もう……私じゃどうしていいかわからないんです……お姉さまもどこへ消えたのか分からないし……』ポロポロ

友『……あいつの時間はあの時から止まっている、氷のようにな。それを解かすことができるのは、人の温もりか、怒りの業火だけだ』

提督『……』

提督《思い……出した……》



ジリリリリ ジリリリリ

提督【……】ガチャッ

友【もしもし、提督か?俺だ、友だ。明後日からの作戦について最終確認したいのだが】

提督【……友か】カスレゴエ

友【!?おい、どうしたんだ!?大丈夫か!!】

提督【ああ。それで、どうしたんだ】

友【馬鹿!!貴様、明らかに様子がおかしいぞ!?どうしたんだ!!】

提督【友……実は、な……】



友【馬鹿な……その、大丈夫か?】

提督【ああ。話して、少し楽になった。そんな事よりあ号作戦だ。何を確認したいんだ?】

友【あ、ああ。そうだな。俺たちの担当箇所なんだが……】



プリンツ【いえ、大丈夫です。ビスマルクお姉さまから定時連絡がないと本国から連絡が来たのですが……】

提督【っ!!……そうか。君には話さなくてはならなっ、おえぇぇ……!!】ゲボッ

プリンツ【アトミラール!?大丈夫ですか!?】

提督【ぐっ……すまない、大丈夫だ……プリンツ、これからいうことには緘口令を敷く。いいな?】

プリンツ【J,Ja……】



プリンツ【……つまり、ビスマルクお姉さまは、あの整備兵と浮気……„ Seitensprung“したんですか……?お腹の子も、その人の……?】

提督【……そうだ】

プリンツ【……!!】

提督【すまないが、この件に関してはドイツ側に黙っていてほしい。こんなことを報告したら……まずいことになるだろう?】

プリンツ【……っ!!わ、分かりました】

提督【すまない、ありがとう】

プリンツ【アトミラール……】



プリンツ【アトミラール、失礼しますね】

提督【ああ、……ビスマルク?ビスマルクか。どうした、そんなにかしこまって】

プリンツ【!?】

提督【すまないな、心配をかけた。すぐに退院できるよ】

プリンツ【アトミラール……?】

提督【ん?何だ、ビスマルク】

プリンツ【……いえ、何でもないわ、アトミラール】



友『気にするものか。罪だというか? それもそうだろうな。俺も普通に暮らしていくうえで法律は守るべきだと思う。だがな』

友『その法律が、俺の大切なものを傷つけて守らないっていうんならそんなもの守る義理はない!!』

友『そんなもののために、大切なものを土足で踏みにじった奴がのうのうとしているのを黙って見てるだけなんて耐えられないだろう!!』

提督《俺は……なんて馬鹿なことを……いくらあんなことがあったと言え、こんな状態になってしまったなんて》

提督《プリンツをビスマルクと認識するなんてひどい扱いをして、苦労を掛けたうえに泣かせ、大親友にあんなことを言わせてしまった……》

提督《自分が情けない……だが、それでも耐えがたい苦痛、絶望が俺を蝕む。ビスマルクは……クソッ、どうして……どこで俺は間違えたんだ……》



友【調教だとか反吐が出る。しかし、ストックホルム症候群ってのがあるようにまあ実在するんだろうな】



提督《っ!!ストックホルム症候群……!!……確か、被害者が極限状態で犯人と過ごすうちに、過度の好意を抱くことだ》

提督《……うぷっ!!》



ビスマルク【提督ぅ。愛してるわ…本当よ?でも、あなたとのセックス少しも気持ちよくなかった】

ビスマルク【ううん、苦痛だったの。ほら…私のここ提督の時と全然違うでしょ?】



提督《っ……!!……堪えろっ!!よく思い出してみろ、あの時のビスマルクの顔を!!》

提督《俺など眼中になかったか?違う!!俺を嘲笑していた?違う!!快楽に蕩けていた?それも違う!!》

提督《……とても、とても悲しそうな、何かをやらかしてしまって、どうすればわからないって顔だったろうが!!涙を、流していただろうがっ!!》

提督《俺は……あの時、ショックで動けなかった……だが、俺は……今なら……!!》

提督《時間が経っている?だが、行動しなくては後悔してもしきれない!!遅すぎるなど言っていては、何もできん!!》

提督《それに、あんなことは普通じゃない。これはビスマルクにとっても悪い夢だ……だから俺は!!》

提督『……』チラッ

提督《……二人には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。今すぐに正気に戻ったことを伝えたい》

提督《だが、そうなればあの二人に隠れて行動することは難しくなる》

提督《まだ何とも言えないが、場合によっては俺は……自分のすべてを犠牲にしても……》

提督《そうなれば、巻き込むわけにはいかない。これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない》

提督《心は痛むが、ここはまだ隠しておく。打ち明けるのはいつでもできる。……すまない、二人とも》

提督『……ただいま、何を騒いでいるんだ?警備員がやってくるぞ?』



提督《……耐えられると思ったが、無理だった》

提督『さて、そろそろ行かなくてはと言いたいところなのだが、もう一度トイレに行ってくる。少し緊張しているみたいでな、ははっ』ダラダラ

プリンツ『大丈夫?』



提督『おえぇぇ……げぇぇ……っ!!はぁ~……はぁ~……』

提督《何とか治まったか。とりあえず、匂いでバレたらまずい。口を濯いで、ブレスケアを買って噛んでおこう》

提督『……』

提督『絶対に負けるものか、やってやる……!!』ボソリ



提督『……』ペラ ペラ

武蔵『提督、失礼するぞ』

提督『武蔵か、入れ。どうしたんだ?』パタン

武蔵『次回の作戦、東部方面の戦力はあれでいいのか?』

提督『まわせる最大限の戦力をまわした。何か意見があるか?』

武蔵『航空母艦が二航戦のみということに疑問がある。……制空権の確保は出来るのか?』

提督『基地航空隊も頑張ってくれるはずだ。船団護衛や西部戦線、北部戦線のことも考えるとな……残念だが、これ以上は無理だ』

武蔵『そうか……分かった』

提督『安心しろ。十分制空権を確保できるはずだ。それに、君たちの対空戦闘能力も強化されている』

武蔵『提督……そうだな、この武蔵の力を見せてやろう。決して蚊トンボごときに負けはしない!』

提督『期待しているぞ。俺は貴様と大和ならやってくれると信じている』

武蔵『ああ、任せてもらおうか!ところで、本を読むのだな、貴様は。』

提督『ああ、最近の趣味だ』

武蔵『そうか。何を読んでいるんだ?』

提督『……アガサ・クリスティだよ。好きなんだ。そして誰もいなくなったとかな』

武蔵『そうか。よければ今度貸してくれ。私も読んでみたい』

提督『ああ』

武蔵『ありがたい。では、失礼するぞ』

提督『うむ……』スッ ペラ ペラ

提督《……上官がストックホルム症候群やらなんやらの本を読んでいたら心配させてしまうからな。すまん、武蔵。嘘を吐いた》

提督《アガサ・クリスティか。子供の頃はあの不気味な感じが好きだったんだ。落ち着いたらまた読んでみるか》



提督《調べた結果、ストックホルム症候群のようなものの根本的治療には、本人が自分でおかしいことに気がつかなくてはならないようだ》

提督《ビスマルクは、整備と称して調教されていたらしいが……自分が何をされてああなったのかを思い出させるのがよさそうだな》

提督《それに、帰る場所があると思えることが救いになると。心当たりは、ある。泣いていたのはもう帰れないと思ったからじゃないか?》

提督《だからアレに依存するしかないと考えたのだろう。あの時、ビスマルクが頼れたのはアレだけだったのだ》

提督《また、治療にあたっては環境を変えるのが一番いいらしい。だが、これは難しいな……》

提督《おそらく、ビスマルクのことだから意志は強いはずだ。説得に成功させないと、アレから離れようとしないだろう》

提督《状況を考えるに、チャンスは一度だけだ。そこで決めなくては……いや、決めるんだ。やってやるさ》

提督《……ビスマルクの、惚れた女のためだからな》



提督(そうだ、やってやる!!俺にならできる!!自分と、そしてビスマルクを信じろ!!)

提督(つい失望したとか言ってしまったが、気にするな!!諦めたらそこで試合終了だ!!)

ビスマルク「私の悪夢を終わらせに来た?意味が分からないわね」

提督「言葉の通りだ。お前は今、悪夢を見ている」

ビスマルク「まあ、そうね。ストーカー化した元夫が家に乗り込んできて、何をされるか分からないなんて悪夢ね」

提督「……安心しろ。暴力を振るいはしない」

ビスマルク「どうかしら?」

提督「俺の名誉にかけて誓おう。……そして、悪夢ってのはもちろんそれじゃない。君自身、本当は気がついているんじゃないか?」

ビスマルク「本当に意味がわからないわよ。貴方こそ、悪夢を見てるのじゃないのかしら?いい加減目を覚ましなさい」

ビスマルク「私は、貴方とはもう離婚するの。そしてこの人と一緒になるんだから。いつまでも昔のことを引きずっていないで!!」

ビスマルク「!そうよ、丁度いい機会だわ。そこに離婚届がしまってあるの。それにサインして、早く帰ってもらえるかしら」

提督「断る」

ビスマルク「なら、裁判かしら?日本では」

提督「それも断る。どうして愛し合っている二人が離婚などしなくてはならない?」

ビスマルク「愛し合ってないから離婚するのよ!!私が愛しているのは」

提督「そいつだというのか!?」

ビスマルク「っ!?そうよ!!この人を愛しているの!!もうすぐ私たちは親になるわ。だかr」

提督「本当に愛しているのか!?心から!?心からそう言えるのか!?」

ビスマルク「っ!!言えるわよ!!」

提督「どうかな!?思い出してみろ、ビスマルク!!初めて俺の艦隊に配属された時を!!あの時、お前が好きだったのは誰だ!?」

ビスマルク「っ!!それは……」

提督「……お前が手料理を披露したのは誰だった?一緒に祭りへ行ったのは誰だった?」

ビスマルク「……」

提督「……俺だったろう?ビスマルク。そいつじゃない。この俺だ」

ビスマルク「……」

提督「……違うか?」

ビスマルク「違わないけど、でも……」

提督「難しい事を考えるな。俺は今、自分のすべてを取り繕わずさらけ出している。だから、……惨めにもここでこうしている」

提督「だからお前も自分に素直になってくれ。お前の気持ちが何なのか、自分自身でもう一度考えてみろ」

ビスマルク「……」

提督「……今のことは聞いていない。あの時だ。あの時、お前が好きだったのは俺だった。……そうだな?」

ビスマルク「……あの時はね」

提督「そうか……!!では次にいこうか。俺たちはその後、結婚したな?」

ビスマルク「……」コクッ

提督「なぜだ?ビスマルク。どうして結婚した?」

ビスマルク「そ、それ……は……」フルフルフル

提督「俺は君が好きで、愛していたからだ。だから結婚を申し込んだ」

ビスマルク「!!」

提督「君は何故、俺のプロポーズを受けた?それは、君が俺を愛していたからじゃないのか?君が俺を好きだったから、だから受けたんじゃないのか?」

ビスマルク「ぁ……」

提督「俺はよく覚えている。君のウエディングドレス姿、美しかった。君は、笑っていたよな?」

ビスマルク「っ!!」

提督「なぜなんだ……どうして笑った……?」

ビスマルク「わ、分からないわ……あっ!?いや、そんなの、愛想……笑い……」

提督「……本当にそうなのか?」

ビスマルク「……」ギュッ

提督(ビスマルクは、自分を抱きしめるように己の肩を掻き抱く。先ほどまで俺を敵意のこもった瞳で睨み付けていた視線は、床に落ちている)

提督「俺は、嬉しかった。幸せな気分だった。だから俺は笑ったんだ。君は違ったのか?」

ビスマルク「私は……」

提督「……教えてくれ、ビスマルク」

ビスマルク「……」ブルブルブル

提督「……そうか、なら、いい」

ビスマルク「!」ハッ

提督「その後、君は俺の元から去ったな」

ビスマルク「っ!!」ビクッ

提督「君は、あの日医務室でそいつとセックスしていた」

ビスマルク「あ……ぅ……」

提督「そして俺じゃ満足できないと、お腹の子供も俺との子じゃないと言っていた」

ビスマルク「……!!」

提督「そう言ったんだ、君は。よもや、忘れたわけじゃあるまいな?」

ビスマルク「わ、私は……ええ……そ、そう言ったわ……私は……」

提督「もしそうであれば、君はいつから不貞を働いていたんだ?」

ビスマルク「ふ、不貞……」

提督「そうだ、不貞だ。俺たちが結婚する以前から、君はそいつのほうが良いと言って、そいつと愛し合っていたのか?」

ビスマルク「違っ!!っ!?……わ、私は?今、何を……?」

提督「……思い出せ、ビスマルク。そいつに何をされた?」

ビスマルク「……」サッ

提督(両手を口元に添えて、真っ青な顔で目を見開き、瞳を揺らしている。呼吸は荒く、明らかに動揺していた)

提督「思い返せ、君の気持ちを。思い出せ、あった出来事を。それを知っているのは君しかいない」

ビスマルク「……ずっとこの人を、……愛していたわ」カスレゴエ

提督「本当に?じゃあなぜ一度俺と結婚した」

ビスマルク「……」ガクガクガク

提督「あの日、お前は言ったな?私のセックスでは満足できず、苦痛だったと」

ビスマルク「っ!!」

提督「言ったな?」

ビスマルク「……ええ」

提督「だが、俺はよく覚えている。あの時の君の表情を。……なぜあんなに悲しそうな顔をしていた?」

ビスマルク「っ……!!」

提督「俺はよく覚えてる。あの時の君の言葉を。……俺を愛しているのは本当だと言ったな?」ニコッ

ビスマルク「!!!!」ハッ

提督「そいつは自分専用に調教したと言っていたが、何をされた?俺が知っている誇り高い戦艦ビスマルクから、いつ、何があって、どうしてそうなってしまった?」

ビスマルク「それ、……は……」

提督「あの時は腰を振ることに夢中でそれどころじゃなかったろうからな。だから、もう一度その冷静な頭で考えてみろ、思い返してみろ」

ビスマルク「あ……私……は……」

男「黙れぇ!!ビスマルク、そいつの言うことを聞くな!!」

ビスマルク「あなた……!!」

提督「!!ほう……女の後ろに隠れているばかりかと思っていたが。どうした、整備士?私は中将だぞ?敬語で話せ」

男「うるさい!!僕はもう整備士じゃない!!あんたの部下じゃないぞ!!不法侵入した挙句、人の妻を惑わすな!!」

提督「惑わしたのはどっちかな!?ビスマルクを騙して、嵌めるような真似をした奴に言われたくないわ!!」

男「うるさい!!お前みたいなやつは所詮、頭や顔だけだ!女を悦ばすことをできやしない!!」

提督「お前みたいに変態なわけじゃなかったんでな!!普通に愛し合うだけでいいよかったんだ!!」

男「っ!!ふん、その結果がこれだろ!!」グイッ

ビスマルク「きゃっ!」

男「ビスマルクが孕んだのは僕の子だ!!そしてビスマルクは僕の妻だ!!」ブチュッ

ビスマルク「んっふぅ……」チュゥゥゥゥ

提督「くっ……! そうして宣言していないと不安か?だろうな。俺からビスマルクを奪うときだって、まともにやったら勝ち目がなかったろうからな!!」

男「!!」

提督「だから卑劣な手段を取ったんだろ?お前が俺に勝てるのは性技くらいしかないから!!」

男「っ!!黙れぇぇぇぇ!!」ブン バキッ

提督「ぐっ!!」

ビスマルク「ちょ、止めて!!」

男「黙れ!!黙れ!!黙れ!!僕に嫁を!!寝取られた!!欠陥男のくせに!!」ドカ バキッ ドゴッ

提督「ぐっ!!がっ!!っ!!うっ!!はっ!!くぅっ!!」ドンッ

ビスマルク「止めてぇ!!あなた!!」

男「はぁ……はぁ……」

提督(クソッ……体がデカいだけあって、パワーが強いな……予想外だった)

提督「びす……まるく……すべて、まやかしだったんだ。お前はまだ、悪い夢に囚われている……!!もう自分でもわかっているだろう……?」

男「くそ!!くそ!!まだ言うのか!?黙れ!!」ゴスッ ドスッ

提督「っ!!……効かんな、雑魚め!!」ギロッ

ビスマルク「ワルイ……ユメ……」

男「っ!!くそっ!!」タッタッタッ

ビスマルク「私は……私、はぁ……!!」



男「提督……!!僕はお前みたいな野郎が大っ嫌いなんだ!!少し顔と頭がいいからって!!僕みたいな人間を見下している!!」

男「ビスマルクを取るつもりなら、もう容赦はしない!!殺してやる!!」カチリ ガラッ

男「ははっ!!こんなこともあろうかと用意しておいたんだ!!これさえあれば、あんな奴に負けはしない!!」チャキッ



提督「っ……ごほっ!!ごほっ!!がはっ!!」ゴボッ

ビスマルク「あ、アトミラール!!」サッ

提督「口が切れたかな……」

ビスマルク「そんな血の量じゃないわよ……!!窒息するから全部吐き出しなさい!!」スッ

提督(アレはどこかへ消え、残ったビスマルクが俺に駆け寄ってきた。倒れ伏す俺の上体を抱き起す)

提督(視界が若干おかしいが、久しぶりに近くからビスマルクと見つめあう)

提督(今にも泣きだしそうな表情、その一級品のサファイアのような瞳と目が会う。俺も泣きそうだった)

提督「そんな顔するな、大丈夫だ……ありがとう」

ビスマルク「アトミラール……私……私……」

提督「……もし俺が、見当違いなことを言っているのなら、申し訳がない」

提督「あいつとの結婚式の写真で、君は確かにこの上ない笑顔だった。たぶん俺とのときよりも」

提督「同封されていた手紙も、読んだ。君は、あるいは本当に幸せなのかもしれないと思った」

ビスマルク「……」

提督「もしそうなら、許されないことをした。だから、そうであるなら俺は消えるよ。君のことも、上へは俺からとりなす」

ビスマルク「!!」

提督「そして俺は二度と君の前に現れない。離婚届も書こう。そう誓う。だが……」

提督「だが、俺は君が見せたあの悲しそうな笑顔が忘れられなかった……!!もし君の魂が助けを欲しているのなら、俺はその助けになりたい」

ビスマルク「……私は、……貴方に、ほ、本当にっ……酷いことを……」ウルッ

提督「いいんだ。……俺の方こそ、気付いてやれなくてすまなかった。サインを送ってくれていたのに……」

ビスマルク「アトミラール……!!」ポロポロポロ

提督「今日、君と話して確信した。やはり君は助けを欲している。あの時のあれは、あいつにそうさせられていただけなんだ」

提督「俺は、今でも待っているんだ。だから、戻ってきてくれ。俺には君が必要だ。そして、きっと君にも俺が必要だろ?」

ビスマルク「アトミラール……ぐすっ……本当に、いいの……?わ、私は……貴方に、ひ、酷いことをして……穢されちゃったのよ……?」

提督「当たり前のことを聞くな。良いに決まってる」

ビスマルク「アトミラール……アトミラール……!!」

男「お前!!妻から離れろ!!」

ビスマルク「っ!? あなた!!何を持っているの!?本当にやめて!!」バッ

男「どけ、ビスマルク!!こいつは殺さないとダメだ!!」グイッ

ビスマルク「きゃぁ!」

提督「やめろ!!」グッ ガクガクガクガク

男「うるさぁい!!」チャキッ

提督「!!……トカレフ、いや、黒星か?銃刀法違反だぞ」

男「知るか、そんな事!!ここでお前を殺してやる!!」ギロリ

ビスマルク「止めてぇ!!」

バンッ

提督「ぐっ!?つぁああ……!!」ドンッ ズルズルズル

提督(肩を撃たれた……!!くっ……だが、致命的な所に当たらなかったことを嬉しく思わなくてはな……!!)

提督(わざとなのか、それとも単純にこいつが素人なのか……まあ、どっちでもいい……)

ビスマルク「いやああああ!!アトミラール!!」

男「……は……はははっ!!どうだ、提督!?やってやったぞ!?はははははは!!」

提督(……本来の目標は達成した、はずだ。だがこれは完全に想定外だ。迂闊だったな……こいつ、予想上の力どころか銃まで持っているとは)

提督「はぁ……はぁ……」

ビスマルク「もう止めて!!お願いだから!!」ポロポロポロ

男「黙ってろビスマルク!!お前は誰の味方なんだ!?」ハァー ハァー

提督(しかも極度の緊張状態にある。人を撃ったことのない新兵にありがちな、危険な状態だ)

提督(何かのはずみで、誰を撃っても……ビスマルクを撃ってもおかしくないぞ……クソッ!!)

ビスマルク「私は!!」

提督「っ!!おいどうした!?俺はまだ生きているぞ?臆病者」

ビスマルク「!!??」

男「な……なんて言ったお前!!」

提督「お前が撃ったのは肩だ。俺を殺すんじゃなかったのか?だったらもっと撃つべき場所があるだろう」

男「くっ……お前!!」チャキ ブルブルブル

ビスマルク「アトミラール!?何を言っているの!?止めて!!この人を刺激しないで!!」

提督「どうした、震えているぞ?この腰抜けめ。撃てよ!!」

提督(俺を撃てば落ち着くはずだ。どちらにせよ、ダメージで動けない俺にできるのは、これぐらいしかない)

ビスマルク「止めてって言ってるでしょ!!」

提督「黙ってろ!!」キッ

ビスマルク「っ!!」ビクッ

提督「……」ニコッ

提督[あ い し て る] パクパク

ビスマルク「!!!!」ハッ

男「う、うわああああ!!死ねぇええええ!!」

ビスマルク「っ!!止めてええええ!!」

ガシャーン

提督「!?」

ビスマルク「!!」

男「ええええっ!?」

ガッ カチッ カラン バンッ バキィ

男「」グシャァ

ビスマルク「……っ!!あ、貴女……?」

提督「……!!」

提督(そこに立っていたのは、全身がびっしょり濡れた、黒ずくめの、まるで死神のような少女だった)

提督(黒いロングブーツ、黒いソックス、黒いレインコート、黒いグローブ、……そして、黒いシュタールヘルム)

提督(左腕の紅い腕章を除けば、顔だけが黒に覆われていない箇所だった)

提督(月のように白い肌。日のように輝く金髪。そして、あのオーロラのように煌めく瞳)

提督(ヘルメットの縁から、髪の先から、ぽたりぽたりと滴が垂れている。こちらへ向き直り、じっと見つめてくる)

プリンツ「アトミラール……!!」

提督(背にした窓から覗く、地平線へ沈みゆく紅い月を背負ったプリンツが、俺を呼ぶ。それは、とても幻想的だった)

どうも、作者です

皆さん既にご察しかと思われますが、このSSは例の某ウ=ス異本でSAN値直葬されたことで書き始めました
なので、その物語が下地にあります
オススメなので、本当にオススメなので是非読んで欲しいのですが、
ちょっと特殊なジャンル故に某ウ=ス異本を読むのに抵抗のある方もいらっしゃると思います
また、完璧にそれから派生したわけではありません。例えば某PEちゃんですね
なので分かりずらいところがいくつかあります
よって、分かりやすくするためにこのSSの前日譚を簡単に解説させていただこうと思います

・某戦艦B(処女)は配属日?に某海軍軍人Tに一目ぼれする

・某戦艦BはキモデブSに整備と称してクン○やらなんやらを受ける

・某戦艦Bは嫌がるも、日本式整備(笑)と言われ不承不承、受け入れる

・が、やはり嫌なので某キモデブSを殴りとばして、整備を受けることを拒否

・で、某海軍軍人Tに手料理を振舞ったり一緒に浴衣で祭りに行ったりする

・しかし、やはり整備を受けないとちゃんと戦えないらしく、戦績が悪化

・某キモデブSの進言もあり、事情を知らない某海軍軍人Tは某戦艦Bに整備を受けることを命令する

・命令には従わなくてはならないので、泣く泣く某キモデブSの整備を受ける某戦艦B

・某戦艦Bは、「あんなのにイかされても、私は汚れてなんかいない(意訳)」と健気?に堪える

・が、某海軍軍人Tの前妻と子供(若い女性と赤子。ともに戦火?で死亡)の写真を見てしまい、絶望、自暴自棄に

・そして整備を受ける際に不貞寝しようとする

・そこで、某キモデブSに、「寝ているなら何をするか分からない。入れるぞ(意訳)」と言われる

・某戦艦Bは、それを聞いていたにもかかわらず抵抗しない(意味不明)

・入れる瞬間に某キモデブSに「今までの整備は全部嘘だった」と言われる

・某戦艦Bはそれを聞いて「なっ」っと驚き、飛び起きようとしたところで入れられる(処女喪失)

・何やかんやあって「ホントは某男性Tとしたかったけど、もう某キモデブSのモノになっちゃった(意訳)」と騎乗位で腰を振る某戦艦B

・中田氏され、妊娠する

・「この想いを終わらせなくちゃ」と某海軍軍人Tを覗き見ていたところ普通に見つかる

・まさかそんなことになっていると知らない某海軍軍人Tに「妻子が死亡しており、彼女たちのことを思うとなかなか踏み切れなかったがやっと決心した」とのことで告白される

・某戦艦Bは泣きながら「ワルイユメ」と零す

なんか続きなかったっけ

・その後、おそらく某キモデブSの子供を妊娠していることを確信しているのに、「悪いとは思うが、きっと忘れて幸せになれるから」(!?)とそれを黙って何も知らない某海軍軍人Tと結婚する某戦艦B(!!??)。曰く「お腹の子がどちらの子か考えないようにした」( Die blöde Sau)

・そんなことを知らない周りは祝福する。もちろんPEちゃんも

・その後も某海軍軍人Tとセックスするが、気持ちよくなれなず、某戦艦Bは某キモデブSが忘れられない様子

・仕方ないので一人で慰めるも、性欲はたまる一方

・ある日、妊婦検診を受けている最中、医者が席を外している間に某キモデブSが現れる

・たいした抵抗もせずに(心理と声だけ)犯される某戦艦B。曰く「嫌なはずなのに」「体が思い出しちゃった」

・異変を察した医者に呼ばれた某海軍軍人Tは、某キモデブSが某戦艦Bを犯している所を目撃する

・某キモデブSを殴り飛ばし、切り捨てようとしたところで某戦艦Bが止めに入る。曰く「このチン○なしじゃもう生きられない」

・ショックを受ける某海軍軍人Tに対して、某キモデブSに言うように言われた某戦艦Bは「貴方よりこの人の方がいい」と言う

・何やかんやでどうやら二人で無事逃げ果せた某キモデブSと某戦艦Bは某海軍軍人Tにタキシードとウェディングドレス姿のツーショット写真とやたら長そうな手紙を送る

・提督の精神に大ダメージ。曰く「ワルイユメ」

以上が前日譚です。その後、某海軍軍人Tは「あ号作戦」やらもあってストレス過多で精神崩壊してしまうって感じでこのSSにつながると考えてください。お願いします

私をSAN値直葬した全ての元凶たる某ウ=ス異本では、某PEちゃんの立ち位置が違うので気になる方はどうぞ読んでみてください
本当にオススメします。そしてみんなでCrazy9様にイチャラブ本を出して下さいとお願いしましょう

Crazy9様と読んで下さっている皆様に感謝を。よろしければ、どうぞ今しばらくお付き合いくださいませ

>>447 コメントありがとうございます

>>446が一冊目で>>448が二冊目です



友『くっ!!遅かったか……!!』

プリンツ「待って!!切らないで!!私にも貴方の知っていることを教えて!!」

友『悪いがそんなことしている時間h』

プリンツ「少将!!……お願いです!!どうか教えてください……!!」

友『……七時までにこれからいう場所に来られれば教えてやる。いいな?』

プリンツ「っ!!Ja!!」



プリンツ(友さんが言っていた集合場所は、今から急いで行っても間に合うか間に合わないかぎりぎりな遠く離れた場所だった)

プリンツ(私は急いで部屋に戻り、支度をする。外は強い雨が降っていて、雷もなっている)

プリンツ(通常勤務用の短靴を脱いで、黒革のブーツに履き替える。クローゼットの中を探って、官給の黒いレインコートを引っ張り出す)

プリンツ(オートバイ兵用の奴で、脛まである裾を足に巻き付けられるタイプだ。財布やスマホを入れたポーチを方から掛け、レインコートを着た)

プリンツ(すぐにバイクに乗れるようあらかじめ足に裾を巻き付けておく。そしてゴーグルをつけて、黒く塗装されたシュタールヘルムを被った)

プリンツ(最後に、少し迷ったが、左腕に軍属であることを示す赤い腕章をつける。目立つが、これで扱いは緊急車両だ)

プリンツ(今の私は、見る人が見たら卒倒するだろう。が、幸いなことにここは日本だ。気にしないようにしよう)

プリンツ(バイクのキーを握りしめ、部屋を飛び出して駐車場へ走る。運よく誰にも見つからなかった)

プリンツ(そして相棒のBMW R1200 RTに飛び乗り、エンジンをかける。すぐに体に響くエンジンの音と振動が伝わってきた)

プリンツ(よし、出発!!時間ぎりぎりなんだ。もう一刻たりとも時間を無駄にするわけにはいかない)

プリンツ(しかし、相棒に乗ったことで焦る気持ちがだいぶ楽になった。大丈夫、間に合う)

プリンツ(私の相棒、R1200 RTは最高のバイクだ。まるで車のように快適で、安定感がある)

プリンツ(もっと詳しく言うと、サイズから考えられないほど軽く感じられ、コーナリング特性が良い。この時点で素晴らしい)

プリンツ(そして、その1170ccの……正確には1169ccらしいが、ともかくそのエンジンパワーによる加速力と最高速度は圧倒的なのだ)

プリンツ(特に、空水冷ボクサー故にごく低回転域でエンジンに高負荷をかけても全くギクシャクすることは無い)

プリンツ(つまり、停止と発進を繰り返す日本のような狭く入り組んだ道の多いところに最適な子だということだ)

プリンツ(さらに高速巡行も得意で、アウトバーンでも平気で使える。もっとも、今みたいに路面が濡れているとスピード出せないけど……)

プリンツ(ライディングプロはレインに。雨の中、風と水を切り裂きながら進んでいく)

プリンツ「……寒い」

プリンツ(この季節とは思えない寒さ。そして冷たい雨、悪い視界。北海の荒れた海を思い出した)

プリンツ「アトミラール……アトミラール……!!」ギリッ

プリンツ(友さんは何を知っているのだろうか……アトミラールが心配でたまらなかった。ずっと一緒に居れば良かった)



飛龍『ええっ!?ちょっ、本当にどうしたの!?私に指揮任せるなんて……何処に行くの!?』

友『親友を助けに行ってくるんだ!!すまない飛龍!!今日だけだ!!頼んだぞ!!』

飛龍『頼んだぞって……もう!!帰ってきたらちゃんと話してもらいますからね!!』



友(訝しむ飛龍にひとまずの指揮を任せ、車を飛ばしてきた。合流地点に到着し、時計を見るともう数分で7時だった)

友(危うく俺が遅刻する所だった……満月が辺りを照らしている。日中の嵐が嘘のように快晴だ)

友(俺は集合地点に来ていた。本当は今すぐにあいつの元へむかいたいところだが、プリンツの熱意に負けてああいってしまったのだから仕方がない)

友(近くの自販機でコーラを買う。ゴクッと飲むと爽快な炭酸と甘さに脳がリフレッシュされる。少し気分が落ち着いた)

友(残りを一気に飲み干して缶を捨てた。時計を確認するともう七時だ。プリンツは来ていない)

友(まあ、どんなに飛ばしても時間的に厳しかったからな。残念だが、約束は約束だ。大事な親友が俺を待っている)スタスタスタ

ヴゥゥゥゥン キュルルルル

友「っ!?」

友(車に戻ろうと歩き出したら、一台の大型バイクが猛スピードでやってきた。そして、すぐそこにドリフトしつつ止まった)

友(乗っていたのは……ドイツ兵だ。黒ずくめの軍服に黒いロングブーツ。そして特徴的な黒いシュタールヘルム)

友(暗い上にゴーグルをしているので顔はよく見えない。腕に巻いた赤い腕章が、式典で見たドイツ軍の士官を思い出させる)

友(ドイツ兵が何でこんなところに……!?まさかビスマルクを逮捕しに来たのか!?だとしたら、あいつも巻き込まれるかもしれん!!)

プリンツ「友さん!!」

友「!?お前……プリンツ・オイゲンか!?」

プリンツ「Ja!! 来ましたよ友さん!!教えてください!!何を知っているんですか!?」

友「時間がない!!とりあえずそれをそこらに停めて俺の車に乗れ!!走りながら話そう!!」

プリンツ「っ、了解!!」

友(一瞬バイクを見て躊躇ったようだったが、すぐに降りて路肩に停める。助手席に飛び乗ってきたところで車を出す)

プリンツ「友さん!!教えてください!!」

友(プリンツはゴーグルを外し、脚に巻いたコートの裾を解きつつ、怒鳴るように声をかけてくる)

友(相当追い詰められているようで表情には余裕がない。精神的に酷く打ちのめされているようだった)

友「落ち着け!!今あいつが居るであろう所に向かっている!!」

プリンツ「っ!!すいません……そこは何処なんですか?」

友「あいつの敵の所だ……クソ整備士とビッチ戦艦の所だよ」

プリンツ「っ!?どうして……」

友「俺が知っていることを話してやる。舌を噛むなよ?」ブゥゥン



友「もうそろそろその家のはずだ」

プリンツ「……」

プリンツ(いつのまにか雨が降っていた。周りは晴れているのに、このあたりだけ雲に覆われている)

プリンツ(オレンジ色に染まった沈みかけの満月が空に浮かんでいる。不気味な夜だった)



友『あの作戦会議の後、俺はあるつてを頼って密かにあの二人の行方を捜していた。時間が経っていたうえ、工作もされていたそうだが無事に見つかった』

友『だが、それと同時に同じくその二人を追っている同業者も発見したそうだ。そいつの方が先に探していたことが幸いした』

友『俺はもちろん誰が探しているのかも突き止めるように頼んだ。予想では、お前らドイツ軍の連中だと思っていた』

友『だが違った。今朝、そのつてから連絡が来て報告を電話越しに聞いたんだ』

プリンツ『探していたのはアトミラールだったんですね……?』

友『ああ。今日の午後一時にある場所で直接会って報告しているのを確認したらしい』

友『たった一日違い、おそらくあいつは作戦会議の日までには正気に戻っていたんだろうな』

プリンツ『……』

友『運が良かった。あいつが報告を直接会って伝えるよう依頼していたこと、俺のつてが優秀だったこと』

友『いろんな幸運が俺たちを助けてくれた。一歩間違えれば、俺たちがこの事実を知るのはすべてが終わった後になっていただろうからな』

プリンツ『そうですね……』

友『あいつは恐らく一人で決着をつけるつもりだろう。だがどう考えてもまずいことになる可能性が大きい』

友『それこそ、あいつの経歴に致命傷をつけるぐらいのことをしでかすかもしれん。だから、止めなくちゃならない』

プリンツ『ぶっ殺してやるとか言っていた人の発言とは思えませんね』

友『俺ならいい。だが、これ以上クソ野郎どもにあいつをどんな方法であれ傷つけさせはしない』

友『あいつは本当にいい奴なんだ。それがどうしてこうもひどい目にあう……あんまりじゃないか……』

プリンツ『……同感です』



プリンツ「……」

プリンツ(アトミラールは、たぶんあの作戦会議の日に正気に戻ったんだ。だって、思い返せばあの日以来、私をビスマルクと呼んでいない)

プリンツ(……おそらく、アトミラールは私と友さんの話を聞いていたんだ。それしか考えられない)

プリンツ(正気に戻ってくれて本当に嬉しい。だけど、ならどうして言ってくれなかったの?そんなに私は、アトミラールにとって他人だったの?)ズキン

プリンツ(……ビスマルクお姉さまは、どうしてこんなに思ってくれているアトミラールを裏切ったの?)

プリンツ(私がいくらアトミラールを思って望んでも、いくらアトミラールに尽くしても、アトミラールは私をそれほど思ってくれることは無いのに)ズキン

プリンツ(っ!!いけない、そんな事考えちゃダメだ。そうだよ。私はただの部下で、お姉さまは提督の……好きな人なんだから)ギュッ

友「あれだ!!あそこのはずだ!!」

プリンツ「っ!!」

プリンツ(友さんの声にハッとする。慌てて顔をあげると確かにそこにはなかなか大きな家があった)

プリンツ(ひとつだけ灯りのともった窓には薄いレースのカーテンが閉まっているが、中が見える)

プリンツ「!!?? Scheiße!! 」

プリンツ(それを見た時、全身に衝撃が走る。引きちぎるようにシートベルトを外し、警告音に構わず扉の鍵を開ける)

友「あっ!?おい!!」

プリンツ(まだ走ってる車から飛び降りる。水たまりの中に落ちるが、仕方ない。受け身をとってそのままの勢いで飛び起き、駆けだす)

プリンツ「嘘だ、嘘だ、嘘だ!!信じられない!!信じられない!!」

プリンツ(窓を通して見る部屋の中には、アトミラールに向けて銃を構えたあの男が見えたのだった……)

プリンツ(私が馬鹿だった!!ずっとアトミラールについていればよかった!!間に合って!!)

プリンツ(あの男が指先に力を少し入れるだけで、最悪の結末を迎えてしまう。そんなことは絶対に嫌だ!!)

プリンツ(主よ、どうかお願いですから私を光よりも早く走らせてください!!お願いですからどうか間に合わせてください!!)

プリンツ(アトミラールまでの数十メートルの距離が、遥か彼方に感じる。アトミラールの苦悶に満ちた表情まではっきり見えるというのに……!!)

バンッ

プリンツ「……ぇ?」

プリンツ(それは唐突だった。銃口が光り、あの男の手が跳ね上がる。轟く爆音に、壁に叩きつけられるアトミラール。紅い液体が飛び散る)

プリンツ「あぁ……あぁ……」

プリンツ(そのワインのような滴の1つ1つまで見える気がした。何が起きたのか、嫌でも理解してしまう)

プリンツ「いやぁ……!!」

プリンツ(アトミラールが、撃たれた)



友『簡単に洗脳されるような、頭のねじが数本とんでるクソビッチの方も問題だ。だが、どちらにせよあのクソ野郎はたとえ法律が裁けなくても俺が裁く』

友『乗り込んでやるさ、あいつらの所に。痛めつけられるだけ痛めつけたうえで、あのクソ野郎をぶっ殺してやる』

友『その法律が、俺の大切なものを傷つけて守らないっていうんならそんなもの守る義理はない!!』

友『そんなもののために、大切なものを土足で踏みにじった奴がのうのうと生きているのを黙って見てるだけなんて耐えられないだろう!!』



プリンツ「……」

プリンツ(いつか聞いたその言葉は、今、私の心を打った。私は現代の律法に囚われ、仇を討つことをしなかった。できなかった)

プリンツ(傷ついた大切な人を癒すことも、……その命を守ることも、できなかった)

プリンツ(落雷のような衝撃に、地獄の業火のような怒りと海よりも深い悲しみ)

プリンツ(そして、たまりにたまった不満がないまぜになった、言葉にできない感情が一気に爆発する)

プリンツ(ニーベルンゲンの歌。私の好きな叙事詩に謳われる、英雄である夫を殺された美しい乙女の復讐の物語を思い出した)

プリンツ(血を啜って復讐を誓ったクリームヒルトのように、私もまたここに誓おう)

プリンツ(失われてしまった愛する者の為、何か譲れない大切なものの為、仇を討つことを何故に躊躇う必要があろうか?)

プリンツ(そうだ、愚かな私は忘れていた、私の中に流れるものを。ドクンと心臓が痛いほどに鼓動を打った。自分が変わっていくのを感じる)

プリンツ(私の中でくだらない常識が壊れ、崩れ去っていく。長い時の流れの中で眠りについていたゲルマン民族の、その苛烈で誇り高い血統が目覚めた)

プリンツ(もう躊躇わない。もう迷わない。私はあの人のために私のすべてをささげる)

プリンツ(アトミラールを傷つけたモノを、私は決して許さない。自分が何をしてしまったのか、そして誰を敵にしたのかを知らしめてやる)

プリンツ(力が抜けかけた脚に、逆に力を込めて今まで以上に強く地面を蹴る。落としかけた視線をあげた)

プリンツ「っ!!!!」ハッ

プリンツ(そして、気がついた。アトミラールはまだ生きている!!撃たれたのは肩だ!!動脈が傷ついた様子もない!!)

プリンツ(なんという幸運だろうか!!クリームヒルトは夫を失ったが、私はまだアトミラールを失っていない!!)

プリンツ(アトミラールを守れるかどうかは私にかかっている。するべきことは、分かり切っていた)

プリンツ(窓へ突進し、腕を顔の前でクロスさせる。破片対策だ。そのまま窓へ体当たり。ガラスが砕け散り、カーテンを突き破る)

ガシャーン

提督「!?」

ビスマルク「!!」

男「ええええっ!?」

プリンツ「……!!」

プリンツ(両手を広げ、構える。そのまま止まることなく、あの忌々しい男の元へ突っ込む)

プリンツ(再び銃を構えて何事か叫んでいたそいつは、驚いて振り向きかけている。弾みで撃たれなくてよかった。それだけが賭けで、私はそれに勝った!!)

プリンツ(左手でそいつの髪の毛を掴み、右手をそいつが握る銃へ伸ばす)ガッ

プリンツ(急ブレーキするも止まり切れるわけもなく、そのまま後ろから抱き付くような形となってしまった。気持ち悪い……)

プリンツ(が、ともかく無事止まって銃を下から支えるように掴むことに成功した)

プリンツ(人差し指で強引にマガジンキャッチのボタンを押し、力を入れて銃口を上へ逸らせることでマガジンを脱落させた)カチッ

プリンツ(そしてそれが落下する音を聞きつつ親指で強引に引き金を引かせ、発砲させる。弾丸は天井を貫通しどこかへ消えた)カラン バンッ

プリンツ(そして、右手を離しながら、髪を掴んだ左手を後ろへ引き、右足を前へ出して床を踏みしめる)

プリンツ「ぁああっ!!」バキィ

男「」グシャァ

プリンツ(後ろへ倒れかけるそいつの顔面に向かって、握りしめた右手をぶち込んだ。確かな感触。左手で掴んでいた髪がごっそりと抜け、そいつは吹き飛んで床に沈んだ)

プリンツ「はぁ……はぁ……!!」

プリンツ(やった……!!やった!!アトミラールを守れた!!握りしめていた手を開き、気持ち悪い髪の毛を手放す)

ビスマルク「……っ!!あ、貴女……?」

提督「……!!」

プリンツ(振り向き、改めてアトミラールを確認する。アトミラールは驚きに目を見開いていた。顔に残る殴られた跡と血痕に怒りが燃え盛る。)

プリンツ(しかし、肩の傷を含めて命に別状はなさそうだ。アトミラールと目が合う。もう何年も会っていなかったような錯覚を覚えた)

プリンツ「アトミラール……!!」

プリンツ(思わず、目が潤む。涙があふれそうだった。今すぐに抱きしめたい。アトミラールを全身で感じたい)

プリンツ(だけど、それにはまだやらなくてはならないことがある。私は頭を切り替えてもう一人の仇の方へ向き直る)

プリンツ(その醜く腹を膨らませて、驚きの表情でこちらを見上げる売女を睨みつける。私の心がまた激しい怒りの業火をともした)



プリンツ「……」ギロッ

提督(プリンツ……!?馬鹿な、なぜ彼女がここにいるんだ?どうしてこの場所が分かったんだ?)

提督「プリンツ……?」

ビスマルク「プリンツ……」

プリンツ「Du Scheißfotze(この卑しい売女め). 民族、血統の汚辱!呪われるべき裏切り者!!そんなお前にお似合いの、醜い豚。その腹の中も、醜い豚の子!!」ギリッ

ビスマルク「っ」ビクッ

プリンツ「よくも……よくもアトミラールを……!!お前を切り刻んで地獄へ落としてやる!!」ツゥー

提督(プリンツは怒りと嫌悪感をみなぎらせた眼差しでビスマルクを睨みつけていた。そして、早口のドイツ語で何かを捲し立てている)

提督(信じがたい。あのプリンツが……?俺もドイツ語は話せるが、あくまで日常会話と軍事関係のみだ。何を言っているかまでは理解できない……)

ビスマルク「アトミラール……!! そうよ!!アトミラールが撃たれて……!!救急車!!」

プリンツ「っ!!そうだ……!!救急車……私が呼ぶ!!……っ!?」クルッ

ビスマルク「……?何してるのよ!?早くして!!」

プリンツ「見られている……?っ!!」ジッ ハッ

ガチャリ カツカツカツ

提督(プリンツが窓の外を警戒し始めたところで、ドアが開く音が響く。そして足音も。誰が入ってきたんだ!?全く状況がつかめない)

プリンツ「……友さん?」

提督「友……!?あいつまで来ているのか……!?」

ビスマルク「……誰!?」

メンゲレ「……さて、諸君。積もる話もあるだろうが、そこまでだ」

友「……」リョウテアゲ

提督「!?友……!!」

プリンツ「ドクトル……!!」

ビスマルク「……!!」

提督(入ってきたのはドイツ軍の制服に白衣を纏った、プリンツと同じぐらいの年頃の少女だった)

提督(そしてその後ろには何人もの戦闘服を着た兵士が控えている。ドイツ軍の部隊だ)

提督(そしてそんなやつらが何をしに来たのか。言われなくても分かる。ビスマルクを捕まえに来たのだろう)

提督「ビスマルク……!!」ズリ ズリ

ビスマルク「アトミラール!!」ペタ ペタ

提督(俺は、残念ながら立てない。這いずりながら近づいていく。そしてビスマルクもまた顔を蒼白にしながら四つん這いで這いよってくる)

プリンツ「アトミラール!?……っ!!」ギリッ

メンゲレ「おっと、動かないで貰おうか?」チャキッ

プリンツ「っ!!ドクトル、アトミラールに銃を向けるな……!!」

メンゲレ「誰にものを言っている?と言いたいところだが、親友の頼みとあれば仕方ない。が、限度はあることを理解しておくように」スッ

提督「くっ……何者だ?」

メンゲレ「おっと、これは失礼しました。初めまして中将。私はヨゼフィーネ・メンゲレ大佐です。今月からの連絡将校を務めさせていただいております」

ビスマルク「貴女が……」

メンゲレ「さて、まずは貴方です。中将」

提督「何の用だ……?」

メンゲレ「治療ですよ。それとも、救急車でも呼びましょうか?Sanitäter(衛生兵)」

衛生兵「Jawohl. 見せてください、中将。Danke…… 深刻ではありません。応急処置をすれば移動に堪えられます」

メンゲレ「よろしい、では応急処置を」

衛生兵「了解です」

提督「待て。移動と言ったか?どこへ連れていくつもりだ?」

メンゲレ「我々の拠点、遣日ドイツ軍司令部です。そこらの病院よりよほど設備が良いですよ。それに、このことを公にするのはまずいでしょう?」

提督「っ」

メンゲレ「悪いようにはしません。ここは我々に預からせてください」

提督「……悪いようにしないとは?」

メンゲレ「このような騒ぎに巻き込まれたと知られれば、あなた方のキャリアに傷がつくでしょう?」

メンゲレ「ですから、今日のことは無かったことにします。中将と少将、そしてプリンツ・オイゲンは今日ここに居ませんでした」

メンゲレ「そして我々は、逃亡兵とその協力者を秘密裏に逮捕しました。ただ、それだけです。悪くない取引ではありませんか?」

ビスマルク「……」

提督「断る!!」

友「!?」

プリンツ「っ」

ビスマルク「!!」

メンゲレ「……何故でしょうか?」

提督「ビスマルクをどうするつもりだ?」

メンゲレ「……許可なく部隊から逃亡した士官は銃殺です。お前もその覚悟があったのではないか?」

ビスマルク「っ。……ええ」

提督「止めろ!!それは赦さないぞ!!」

メンゲレ「……なら、どうするというのですか?」

提督「この件を告発する!!そのうえで減刑を求める!!そうなれば、ビスマルクの功績からして死刑だけは避けられるはずだ」

メンゲレ「貴方のキャリアを犠牲にしてですか?痴情のもつれからこんな問題を起こしたと知られれば、未来が消えますよ」

提督「それでもいいに決まっているだろう。……」



ザワザワ

テレビ【ご覧くださいこの廃墟を!!信じられませんが、ここはお台場です!!もはや無事な建物は一つもないかと思われます!!】

「嘘だろう……?」「信じられん……」「みんな、無事でいてくれよ……!!」

提督『こんな手紙なんて……嘘だ……そんなの嘘だ……妻と子が空襲で死んだなんて……!!』グシャリ ボロボロボロ

友『提督……』

テレビ【この一連の大規模な空襲で被害を受けた都市は12都市にのぼります。死亡者数は現時点で10万人を超え、さらに増加する見込みです。この件について海軍省は~】



提督「愛する女一人守れないで、何が帝国軍人か……!!今、俺が行動すれば何とかできるかもしれないのなら、躊躇うことは無い!!」ギリッ ツゥ

友「提督……」

プリンツ「……」ギュッ

ビスマルク「アトミラール……もういいの。貴方がそう言ってくれただけで、もう救われたわ……だから、」

提督「そんなことを言わないでくれ!!君は生きたくないのか……?俺は君とこんな形で別れるなんて嫌だ!!」

ビスマルク「わ、私だって……!!けど、それであなたが犠牲になるのなら……死ぬ方がマシよ……!!」ボロボロボロ

メンゲレ「……では、貴方はどうしたいのですか?中将」

提督「ビスマルクを保護したい!!」

ビスマルク「アトミラール……!!」

プリンツ「っ、アトミラール……」

メンゲレ「なるほど……ふむ……」

メンゲレ(素晴らしいぞ……!!うまくいけば、2体も確保できる……!!)

男「……」ピクッ

プリンツ「!」

メンゲレ「つまり、この一連の出来事はなかったことにするという認識でいいですね?」

「「「「!?」」」」

メンゲレ「ビスマルクは逃亡などしていない……あなたの元から去っていない。この男はただ軍を一人で去っただけ」

メンゲレ「そして行方不明になった。そういうことでいいですね?」

提督「あ、ああ。だが、なぜいきなりそんな提案をする?」

メンゲレ「コレが不祥事を起こしたとなれば私の責任問題にもなります。それは御免ですから」

メンゲレ「ですが、誓ってもらえますね?このことは決して他言しないと。もちろん、ここにいる全員です」

提督「分かった、誓う」

メンゲレ「いいでしょう。貴方はどうですか、少将?」

友「貴様を裏切ったそいつを保護する。……本当にそれでいいのか、提督?俺は反対するぞ」

提督「いいんだ、それがいい。……迷惑をかけた。ありがとう、友」

友「……なら、もう言うことは無い。誓おう」

メンゲレ「分かりました。プリンツ?」

プリンツ「……誓いますよ」

メンゲレ「Gut. で、お前は?Versager(愚か者) 」

ビスマルク「私は」

男「ぅぅ……ビスマルク……助けてくれ……!!」

ビスマルク「っ!?」

メンゲレ「意識が戻っていたか。どうする?」

男「いいのか……?あんな奴にお前を幸せにすることなんか……悦ばせることなんかできるものか……!!」

男「お前は僕専用なんだ……!!異物を入れたって前のようになるだけだぞ……!?」

提督「っ」

男「それにお腹の子は僕の子だ!!僕はその子の父親で、お前の夫だろ!?」

ビスマルク「っ!!」

男「ドイツ人!!僕を殺すな!!僕の命を保証するなら、僕が知ることを全て話してやる!!機密まで全部だ!!」

男「僕は整備士として優秀だった!!それこそ、ビスマルクの整備を任されるぐらいに!!だから様々な機密に詳しいぞ!!」

メンゲレ「ほぅ……興味深い……」

男「僕を助けるなら知っている情報をドイツ軍に全て提供する!!だから僕を助けろ!!」

メンゲレ「ふむ……」

男「提督、言ったな!?ビスマルクが望むようにすると!!ビスマルクが僕と逃げることを選べば、お前はそれを支援すると言った!!」

提督「ああ、そうだ」

男「ならビスマルクが望めば僕たちがドイツへ逃げることを支援しろ!!」

提督「……分かった」

友「っ」

メンゲレ「なら、望むようにしようじゃないか。すべては我らが祖国、ドイツの為にだ。どうする、ビスマルク?」

ビスマルク「ぁ……わ、たし……」マッサオ

男「お腹の子だってそうしたいはずだ。ビスマルク……!!」

提督「……君が望むようにしてくれ。帝国軍人として、約束は必ず守る。例え、君が俺の元を去ってそいつと行くと言ってもだ」

ビスマルク「私、は……私はっ……」ドクン ドクン ドクン

ビスマルク「……っ!!はぁっ……!!……あ、貴方と……アトミラールといたい……!!アトミラールがいいなら……」ギュッ

ビスマルク「アトミラールが赦してくれるなら……アトミラールが受け入れてくれるなら……アトミラールといたい……ぐすっ……!!」ツゥー

男「あぁ……!!ビスマルク!!お腹の子はどうするんだ!!」

ビスマルク「っ!!そんなの!!分からないわよ!!けどアトミラールがいいの!!」

男「僕を殺すのか!?見殺しにするのか!?お前の夫だろう!!」

ビスマルク「違う……違う!!元はと言えばあなたが私を騙してっ……!!」

男「受け入れたのはお前だ!!ビスマルク!!」

ビスマルク「うるさいうるさい!!今は何も考えたくない!!けど私はアトミラールといたい!!」

ビスマルク「あなたなんか……お前なんか大っ嫌い!!」

メンゲレ「決まったな。ヴォルフガング、そいつを黙らせろ」

兵士「 Einverstanden(了解しました). 」

男「ビスマルク!!な、止めろ!!放っんん!!」

メンゲレ「……さて、睡眠薬もすぐに効くだろう。いいのだな、Versager?」

ビスマルク「勿論よ……!!」フルフルフル

メンゲレ「ふん、そいつを運び出せ。予定通りにな」

兵士「分かりました」

提督「ビスマルク!!」ダキッ

ビスマルク「アトミラール、私……!!」ギュッ

提督「もう二度と話さないからな。だから、もう二度といなくならないでくれ……!!」

ビスマルク「うん……うん……!!ごめんなさい……!!ありがとう……!!」

メンゲレ「……では、ヘリが待っていますので移動をお願いします。少将とプリンツはどうされますか?」

提督「っ!!待っててくれビスマルク」バッ

ビスマルク「ええ、分かったわ」コクリ

提督「待ってくれ!!プリンツと話がしたい」

プリンツ「!!」

メンゲレ「そうですか。では簡単にお願いしますね。貴方は負傷者ですから」

提督「ああ。……プリンツ」

プリンツ「アトミラール……」

提督「迷惑をかけた。すまない……」

プリンツ「言いたいことはたくさんあります。けど、生きていてよかった。今はそれだけ伝えられれば十分です」

提督「ありがとう、プリンツ……本当にありがとう……!!」

プリンツ「ドクトル、アトミラールはいつ戻れるのですか?」

メンゲレ「傷が癒えるのに時間はかかるだろうが、入院が必須なわけではないだろう。明日にでもな」

プリンツ「なら私が迎えに行きます」

メンゲレ「構わんよ。後で連絡する」

プリンツ「いえ、この後に話しましょう」

メンゲレ「……手短にな」

プリンツ「ええ。では、アトミラール。名残惜しいですが、傷に障ってはいけませんから今日の所はこれで」

提督「そうか……分かった」

プリンツ「ただし、明日からは覚悟してもらいますからね?」

提督「ああ、首を洗って待っているよ」

メンゲレ「終わったようですね。では、少将は?」

友「俺はもう帰るよ。車もあるしな」

メンゲレ「分かりました。では、各員行動開始。集合地点のヘリにて待機。私は少し話がある。問題発生の場合は合図して離脱しろ。私は自分で戻る」

「「「「 Jawohl. 」」」」



プリンツ(アトミラールと少将、強襲班、そして仇2人が去り、私はメンゲレと二人でいる)

プリンツ(他にこの家にいるのは証拠隠滅班だけだ。私達は別室にいて、話を聞かれる心配もない)

メンゲレ「それで、何の用かな?」

プリンツ「このことを本国に知られても貴方に不利益なんかないでしょ?」

メンゲレ「だがドイツ本国には不利益がある」

プリンツ「だとしても、こんなやり方はおかしい。やるなら有無を言わさず事故死とかにするはずなのにどうしてこんな方法を?何を企んでいるの?」

メンゲレ「……私は医者だ。常に医学の発展に力を尽くしている。なぜなら、それが今の私の目標だからだ」

メンゲレ「だが、やはり卓上で計算やら理論やらで予測したり、合法的な実験だけでは話にならない」

メンゲレ「使える検体が必要なんだ。……何をしても問題にならない、人間がな」

プリンツ「……!!」

メンゲレ「どうせ奴は処刑される。なら、是非人類の役に立って貰おうじゃないか。そう思うだろう?」

プリンツ「……」

メンゲレ「……そうだな、道徳的に考えれば難しい問題だろう。よくない事だと感じないわけではない」

メンゲレ「だが、私は割り切る。なぜならそれが一番だからだ。最善だからだ」

メンゲレ「くよくよ悩んでいても、時間の無駄だ。なら早く割り切って行動すべきだろう?」

メンゲレ「過剰な倫理観で下らん言い訳を並べて……限りある時間を無為にするのが人格者ならば、私は人格破綻者であるほうが良い」

プリンツ「……メンゲレ。私で実験しようとしたことは赦さない。けど、私は貴女のことが少し好きになったかも」

メンゲレ「!?そ、そうか……?それは嬉しい……!!それと、一つ言わせておらいたいのだが、あの時私は君を殺そうとしていたわけじゃないぞ?ただ」

プリンツ「分かってる。じゃあ私も先に戻るね。艦隊の皆が混乱しているだろうから。何時にアトミラールを迎えに行けばいい?」

メンゲレ「そ、そうか……正午に来てくれ。分かってると思うが、どういう事にするかは決まっていない。迂闊な発言には気を付けろよ」

プリンツ「当然。じゃあね、メンゲレ」

メンゲレ「!!ああ。また今度、プリンツ。……Gut!!」



プリンツ「……あ」

友「来たか」

プリンツ「友さん……どうしたんですか?何か用ですか?」

友「用があるのはお前の方じゃないか?」

プリンツ「はい……?あっ」

プリンツ(私のバイク……あの自販機のとこだ……危うく帰れなくなるところだった)

友「乗れよ」

プリンツ「待っていてくれたんですか?ありがとうございます……」

友「気にするな」



メンゲレ「待たせた。では出発してくれ」

パイロット「了解しました、大佐殿」

提督(ヘリがゆっくりと離陸していく。俺の隣の席にはビスマルクが座っていた。手を繋ぎ、互いに頭を相手にもたれている)

提督「ビスマルク……」

ビスマルク「何かしら……」

提督「いや、呼んでみただけだ」

ビスマルク「そう」

提督「……ここにいるんだな」

ビスマルク「ええ。……もう二度と離れないわ」

提督「ああ……」ギュッ

ビスマルク「ん」

提督(本当に辛い出来事だった。俺にとっても、そしてきっとビスマルクにとっても、だ)

提督(だが、終わった。決着をつけた。このことはもう忘れよう。これからはきっとビスマルクとの幸せな生活が待っているはずだ)

提督「ビスマルク……俺はもう眠い……」

ビスマルク「大丈夫?」

提督「少し、仮眠させてもらう……」

ビスマルク「分かったわ。お休み、アトミラール」

提督「ああ……」

提督(一気に疲れが溢れ、眠気に瞼が重くなる)

提督「……」

提督(ワルイユメは、もう醒めた。俺はすがすがしい気持ちで、本当に久しぶりの安らかな眠りに落ちていった)



友「そろそろ都市部に戻ってきたな」

プリンツ「……友さん」

友「どうした」

プリンツ「どう思いますか?アトミラールとアレとの……ビスマルクとのこと」

友「気に食わない。だが、あいつがそれを望んだのなら仕方ない」

プリンツ「仕方ないって……あんなひどい女に親友が引っかかっていいんですか?」

友「ひどい女か……まあそうだ。赦しがたい裏切りをしたからな。だが……あいつの態度を見て考えを少し改めた」

プリンツ「態度って……」

友「ひどく後悔しているようだったし、どうやら本当にストックホルム症候群のようなものだったみたいじゃないか」

友「あいつのクソ整備士に対する言葉を聞いて、許せはしないがまあ一回ぐらいチャンスをやってもいいかと思った」

プリンツ「……そうですか」

友「まあ、一発ガツンと殴ってやりたい気分は収まらないがな」

プリンツ「……」

友「納得できないか?」

プリンツ「ええ……あんなのより私の方がアトミラールを……」ボソリ

友「ん?何て言った?」

プリンツ「何でもないです。それにしても、今からまた六時間近くかけて戻るのはさすがに億劫ですね」

友「だろうな。バイクだと余計辛いだろう」

プリンツ「はい……」

プリンツ(……あ、ホテルだ。こんなに煌びやかで、なんかクラブとかカジノとかみたい。へぇ、休憩ねぇ。……)

プリンツ「……今日は疲れました。あのホテルで少し休憩していきたいです」

友「お前……まさかとは思うが、分かって言ってるわけじゃないよな?」



提督(遣日ドイツ軍司令部は何度か訪れたことがあったが、こんな病院があったとはな。知らなかった)

提督(無事に到着し、そこで本格的な治療を受けた俺は割り当てられた寝室へ戻る。まるで高級ホテルだ)

提督(しばらくボーっとして過ごす。今日一日が夢幻のように感じられた。すると、ノックの音が聞こえる)

提督「どうぞ」

ビスマルク「アトミラール、ただいま」

提督「事情聴取とメディカルチェックは終わったか?」

ビスマルク「ひとまずは……精神的なストレスが酷いから続きは明日からだって」

提督「そうか……い号作戦が近くて、俺は戻らなくてはならない。もし何かあれば、すぐに連絡しろ」

ビスマルク「ええ。……アトミラール、ごめんなさい」

提督「もう何も謝るな。すべて終わったことだ」

ビスマルク「けど、それでも……いいえ。こんなこと繰り返したって、自己満足でしかないものね」

提督「君は悪くないよ。悪いのは全部あいつだった。あいつが君を騙さなければ始まらなかった」

ビスマルク「……どうすれば償えるのかしら」

提督「ずっと一緒に居てくれればそれでいい。もう考えるのは止めよう。今日はいろいろありすぎた」

提督「寝て、気持ちを切り替えよう。寝支度は終わっているな?」

ビスマルク「そうね…… 終わっているわ」

提督「じゃあ、寝よう。……どうする?」

提督(俺は灯りを消し、二つ並んだクイーンサイズのベッドの1つに入る。そしてビスマルクを見る)

ビスマルク「……行ってもいいの?私……穢れt」

提督「良いに決まってる!そんなことを言わないでくれ……!来てくれないか」ポンポン

ビスマルク「!は、はい……!」

提督(ビスマルクは泣きそうな顔で躊躇っていたが、俺が声をかけるとおずおずと言った感じでベッドに入ってきた)

提督「……」スッ

ビスマルク「! ……」ギュッ

提督(手を伸ばしてビスマルクの手を取ると、握り返してくる。暗闇の中、涙を流しながら微笑んでいた)

ビスマルク「私、今とてもしあわせ……」

提督「俺もだ」

提督(俺たちは眠りに落ちるまで……いや、眠りに落ちてからもずっと手を握っていた)



提督「……んん」

ビスマルク「ん、起きたかしら?」

提督「ああ」

ビスマルク「コーヒーが入ってるけど、飲む?」

提督「ああ、頂くよ」

ビスマルク「分かったわ。……はい、どうぞ」

提督「ありがたい。……苦い、とても。君のコーヒーだ」ニコッ

ビスマルク「お口に合えばいいけれど。貴方は甘党だから」

提督「苦いのもたまにはいいさ」

ビスマルク「私も、甘いのもたまにはいいと思うわ。ふふっ」

提督(こうして俺たちは、まだ事件が起きる前の頃のような幸せな朝を過ごしたのだった)



メンゲレ「さて。では中将、武運を祈る。い号作戦の成功を信じているよ。ビスマルクも、1、2か月の間には必ずそちらへ戻らせる」

提督「任せてくれ、大佐。……いろいろと世話になった。ありがとう」

メンゲレ「どういたしまして、中将」

提督「ではな、ビスマルク。また後で」

ビスマルク「ええ、アトミラール。すぐ連絡するから。作戦、応援しているわ。頑張ってね」

提督「今、勝利を確信したよ。褒美を何にするか考えていてくれ」

提督(名残惜しそうな顔で手を振るビスマルクに手を振り返し、階段を下りていく。そのままエントランスを出た)

プリンツ「……!!アトミラール!!」ダッ

提督「プリンツ!!」

プリンツ「アトミラール!!」ダキッ

提督「!!プリンツ……?」

プリンツ「アトミラール!!アトミラール!!アトミラール!!」ギュッ

提督「プリンツ……よしよし」ナデナデ

プリンツ「アトミラールに会うまで、何かあったら……またいなくなっちゃたらどうしようって……!!ずっと怖くて……!!」

提督「……大丈夫だ、俺はここにいる。本当にありがとう。君にはなんて感謝すればいいか」

プリンツ「いえ、いいんです。アトミラールがこうして私の近くにいてくれれば…… っ!!」

提督「いや、それじゃ俺の気持ちが収まらないよ。俺にできることなら何でもする。だから、何でも言ってくれ」

プリンツ「……はい、分かりました。ありがとうございます。では、行きましょうか。他の皆さんもとても心配していますから」

提督「ああ、そうだな」

提督(最後にもう一度、二階の窓を振り返る。ビスマルクがこちらを見送っていた。俺が見ていることに気がつくと、笑顔で手を振る)

提督(微笑んで、振り返す。そして車に乗った。少し遅れてプリンツも乗り込んでくる)

プリンツ「では、出発しますね」

提督「ああ、頼む」

提督(さて、気持ちを切り替えよう。とりあえず、俺は友と緊急の作戦会議を開いていたことになった)

提督(戻ったらみんなに謝ってい号作戦の準備だ。忙しくなる……。だが、今の俺は負ける気がしない。やってやるさ)



プリンツ「……っ!!」ハッ ギロリ

ビスマルク「!」

ビスマルク(アトミラールに飛びついたプリンツが、私が見ていることに気がつくと目を見開いて驚いた)

ビスマルク(そして、嫌悪と激しい敵意を孕んだ瞳で睨みつけてきた。それこそ、憎い敵を睨みつけるように……)

ビスマルク「……」

ビスマルク(私がしたことを考えれば、当然のことだ。けど、それでもとても悲しく辛い事だった)

プリンツ「……」ジッ

ビスマルク(笑顔で手を振ったアトミラールが車に乗り込みプリンツが運転席へ乗る前、再び睨みつけられる)

ビスマルク(その表情は明らかに私を威嚇していた。食いしばられた歯に上目遣いの睨みが憎しみの程を語っていた)

メンゲレ「……さて、ビスマルク。そろそろ現実に戻る時だ。まずは一刻を争うことを話そうか?」

ビスマルク「……何かしら?」

メンゲレ「そのお腹のことだ」

ビスマルク「っ!?」

メンゲレ「どうしたい?中絶は可能だ。違法だが、ここで手術する分には問題ない」

ビスマルク「私は……」

ビスマルク(正直に言うと、本当にわからなかった。考えたくない問題だから、考えることを避けていた)

メンゲレ「……」

ビスマルク「私はっ……」タラリ

ビスマルク(本音を言うと、私は……私は……堕ろしたかった。だって、あんな男の子供だ。好きで妊娠したわけじゃない)

ビスマルク(人として最低なことを言っていることは分かっている。でも、それでも私は……堕ろしたかった)

メンゲレ「……堕胎するかしないかだろうが。早く決めろ。先送りにしても何の意味もないぞ」

ビスマルク「っ……!!はぁ……はぁ……」ブルブルブル

ビスマルク(でも、この子に罪はない。そんな子を殺してしまうことなんて、したくない。できない)

ビスマルク(でも、産みたくない。この子のことを愛せる自信がない。けど、産んであげたい。愛したい)

ビスマルク(……分からない。分からない!分からない!!どうすればいいの?どうすればいいの!?)

メンゲレ「そんなに悩むのなら、産めばどうだ?」

ビスマルク「!?」ビクッ

メンゲレ「中将も昨日君のしたいようにしろと言っていただろう?」

ビスマルク「!!」

ビスマルク(……もし、アトミラールが一緒に居てくれるなら。そしてこの子を受け入れてくれるのなら。私は……)

ビスマルク「いいの、かな……?」

メンゲレ「さあな。お前たちの問題だ」

ビスマルク「私……」

メンゲレ「だが、あれが熱に浮かされていただけのものかもしれない可能性はある」

ビスマルク「!?」

メンゲレ「お前自身も、身に覚えがあるのではないか?熱に浮かされていたらどんな馬鹿なことでも簡単にいえてしまう」

メンゲレ「だが、後で冷静になってから後悔する。そして、その場合は十中八九、手遅れだ。……覚えがあるだろう」

ビスマルク「……!!」

メンゲレ「……中将はいい男だったな」

ビスマルク「……何のつもり?」

メンゲレ「あんな人に愛されて、女として羨ましいばかりだ」

ビスマルク「何が言いたいの!?」

メンゲレ「プリンツが彼に惚れこんでいるのも分かるよ」

ビスマルク「っ!」

メンゲレ「方や一途に尽くしてくれる清らかな処女。方やほかの男に寝取られて自らの元を去ったビッチ」

メンゲレ「しかも寝取った憎い男の子供までついてくるとなれば……一体どっちが男としていいのかな?」

ビスマルク「!!」

メンゲレ「……冷静になった後の彼はどう思うのかな?プリンツが彼を誘惑したらどうなるかな?」



プリンツ『アトミラール、ずっと好きでした。結婚してください……!!私を選んでください……!!』

提督『君のことは好ましく思っているが、あくまで部下だ。俺には、ビスマルクが……』

プリンツ『……あんなビッチがどうしたっていうんですか?』ギリッ

提督『!!』

プリンツ『あいつは浮気した挙句、一度そいつと逃げているんですよ?しかも、そいつの子供もいます』ジッ

提督『だが、あいつは騙されて……』

プリンツ『騙されたとしても、事実は事実です。……あなたを裏切ったことも』

提督『っ』

プリンツ『……アトミラール、私は貴方をずっと支えてきました。あの時助けたのも私です』

提督『……ああ』

プリンツ『あの女が貴方に何をしましたか?銃で撃たれそうになった時、撃たれて負傷した時、どうしてくれましたか?』

提督『……』

プリンツ『私は一途に貴方に尽くしてきました。信じて下さい。貴方を裏切るような真似は、私はしない』

提督『プリンツ……!!』

プリンツ『この体も、誰にも触れさせたことはありません。貴方が初めてで、そして最後です』スルリ ナガシメ

提督『っ!!……プリンツ、俺は目が覚めた。……君が好きだ!!あんな奴なんて、好きじゃない。あれは、昔の想いの残滓を勘違いしていただけだった』

プリンツ『アトミラール……!!嬉しいです』ニコッ

提督『プリンツ!!』ダキッ チュッ

プリンツ『んっ……ふぅ……だいすきぃ……』ギュッ



ビスマルク「……」ガタガタガタ マッサオ

ビスマルク(そ、そんなことになったら……私……!!)

メンゲレ「……だが、やはり堕胎はよくない事だ。命を粗末に弄ぶのだからな。当たり前の選択だ」

メンゲレ「まあ、身から出た錆だろう。頑張ってくれ。きっと中将も良くしてくれるさ」

ビスマルク「待って!!」

メンゲレ「……何かな?」

ビスマルク「……して」ボソリ

メンゲレ「何だって?もっと大きな声で言ってくれ」

ビスマルク「堕ろして」

メンゲレ「聞こえんよ。もっと大きな声ではっきりと話したまえ」

ビスマルク「堕ろして!!」

メンゲレ「……罪なる人殺しめ。本当にそれでいいのか?地獄へ堕ちるぞ」

ビスマルク「……もう、堕ちてる。だから、何をしても私は……アトミラールだけには捨てられたくないの……だから、堕ろしてください……」

メンゲレ「……分かった。後で連絡しよう。ただし、一つだけ命令するぞ」

ビスマルク「……なに?」

メンゲレ「このことで悲しみ、嘆き、涙を流すことは赦さん。お前にその資格はない。ではまた後で」ツカツカツカ

ビスマルク「……っ ぐすっ……ふぐぅ……」ボロボロボロ



メンゲレ「ふふふふーん♪ふふふふーん♪ふむ、素晴らしい結果だ。さて、次の実験に付き合ってもらうぞ」

メンゲレ「ああ、そうだ。お前に加えてお前の子供も私の研究に協力してくれることになったよ。何をするかは、言わないでおいてやろう」

メンゲレ「私の望み通りの結果だ。プリンツと中将、そしてあのビスマルクに感謝しなくてはな」

メンゲレ「何、誇りたまえ。君たち親子の犠牲で、医学は発展し、きっとどこかの誰かを救う」

メンゲレ「だから安心しろ。……って、もう話せないか。まあ、生きていて、反応すればそれでいい。……十分な成果が出るまでの間な」



提督(帰るまでの道、プリンツとは様々ことを話した。俺がおかしくなっている間のこと、そして俺が正気に戻ってから今日までのこと)

プリンツ「なんで言ってくれなかったんですか……?私は、そんなに信用に足りませんでしたか……?」

提督「まさか!!俺は、君を巻き込みたくなかったんだ。場合によっては、俺はすべてを捨てることになったかもしれない」

提督「そうなった時、俺は君を巻き込みたくなかった。だから俺は言えなかった……」

プリンツ「そのすべてに、命も含まれていましたか?」

提督「っ……」

プリンツ「……一人で抱え込まないでください。私を頼って下さい。きっと私は貴方を守ります。守れます」

提督「ああ、すまなかった」

プリンツ「もう二度とこんなことをせず、私をちゃんと頼ると約束するのであれば許してあげましょう」

提督「分かった、約束するよ」

プリンツ「はい、よろしい!では許してあげます。……約束ですからね」

提督「ありがとう」

提督(……こんなにも俺を助けてくれたプリンツに、俺は何をしてあげられるのだろうか。何をしてあげればいのだろうか?)

提督(ふと、運転に集中するプリンツの横顔を見る。日の出を思い出す、金色の綺麗な長い髪を黒いリボンで留めておさげにしている)

提督(形の良い眉毛、すっと通った高い鼻。長い睫毛に彩られた大きな目はオーロラを湛えている。それらがその整った顔立ちを飾り立てていた)

提督(空高くに浮かぶ満月のような白い肌は、瑞々しくシミ一つない。分かっていたが、改めて見るととてつもない美人だ)

提督(っていかん!!俺にはビスマルクがいる!!帝国軍人たるもの、二股やら浮気など言語道断だぞ!!)

プリンツ「あ、アトミラール?」

提督「!?ど、どうした!?」

プリンツ「えっと……さすがに長い間運転して疲れちゃいました……」



友『お前……まさかとは思うが、分かって言ってるわけじゃないよな?』

プリンツ『はい?なんかおかしなことを言いましたか?』

友『そうか。ドイツにラブホはないのか』

プリンツ『らぶほ?何ですかソレ?』

友『アレだよ。あのホテル』

プリンツ『ホテル?ああ、もしかしてラブホってラブホテルの略ですか?なんかロマンティックそうなホテルですね』

友『ロマンティックねぇ……まあ、そう言えないこともないだろうがな。あれはセックスするためのホテルだ』

プリンツ『……はい?』

友『二度は言わんぞ』

プリンツ『今、聞き違いでなければセックスするためのホテルだと言いました?』

友『言った』

プリンツ『!?なんて破廉恥な!!何ですかソレ!?』

友『うるさいから叫ぶな。まあ、こればかりはな……何も言えん。だけどドイツには娼館があるだろう?』

友『愛し合う相手とする分だけ、それよりいくらか良くないか?まあ娼館も日本にもあるが』

プリンツ『だからって……!!日本じゃ、ああいうところでセックスするのが普通なんですか!?』

友『ああ。まあ、何だ。好きな相手とそういうことをするのは割と普通だし、やることやっときゃ寛容だ。キリスト教がそこまで普及していないからかな?』

プリンツ『何てこと……これが日本……!!』

友『ちなみに、さっきのお前の発言は日本語訳すると。【ねえ、ここで私といい事しようよ】になる』

プリンツ『違います!!言ってません!!そんなことは言ってません!!そんなつもりじゃありません!!』

友『知ってる。だが悪い奴に引っかかると厄介だから知っておけ。ああいうところに連れ込もうとする輩はそれが目的だ』

プリンツ『私にはもう心に決めた人が居るんです!!』

友『そうか。なら安心だな』

プリンツ『っ!!』



友『じゃあ、俺は戻る。無理はするなよ』

プリンツ『はい。少将もお気をつけて』

プリンツ《なんてことだろうか。日本とドイツでそこまで恋愛に違いがあるとは思わなかった》

プリンツ《私はバイクに乗る前に、スマホとヘッドセットを繋げる。そして青葉に電話をかけ、急発進した》

青葉【はい、プリンツさん?どうしました?】

プリンツ【青葉、日本での恋愛について教えて!!】

青葉【はい!?恋愛ですか!?】

プリンツ【そう!!】

プリンツ《深夜のおかしなテンションで青葉に尋ねる。事故を起こさない程度にバイクをかっ飛ばした》

プリンツ《あんな奴に負けてたまるものか!!私は必ずアトミラールを振り向かせて見せる。躊躇う必要はない》

プリンツ【私、絶対に振り向かせて、幸せにしてあげたい人がいるの!!どうすればいいと思う!?】

プリンツ《アトミラールを幸せにして、そして私も幸せになるんだ!!きっとやって見せる!!》



プリンツ【……つまり、その告白ってのが重要で、結婚する前にそういうことするのは寛容なんだ】

青葉【そうですよ。それにしても、欧米は恋愛に日本より積極的なものと思っていましたが……割とお堅いんですね?】

プリンツ【一線を越えるとなるとだけどね。でも本当に人によるよ?特に最近は。……そういえば、女性から男性に積極的にアピールしても問題ないんだよね?】

青葉【そうですね。ただ、さっきも言いましたが限度がありますよ?常識の範囲です。あまりはしたなく迫ったら、大抵の人は引いていきますから】

プリンツ【なるほど……じゃあさ、私が仕事で前日の夜中に六時間かけてバイクで移動していたりしてすごい疲れてるとするよ?】

青葉【はい】

プリンツ【次の日、車でその人を迎えに行く約束してるんだけど、やっぱり途中で疲れちゃっても不自然じゃないよね?】

青葉【……それって明日その人と会うってことですか?】

プリンツ【かもね。それでさ、……ら……ラブホテルの前で、『疲れたからここで休憩したいな』ってのはどう……かな……?】

青葉【!?なっ……それは……】

プリンツ【もちろん。私はラブホテルってこと知らないふりしてるよ?ただ単に休憩したいなって感じで自然に聞くの】

プリンツ【そこでいいよってなったらかなりいいかなって思うんだけど……どうかな?やっぱりはしたないかな?】

青葉【うーん……その人とは悪くない関係なんですよね?なら……けど、そんな事をするなら普通に告白した方がいいんじゃないですかね?】

プリンツ【んー……確かにそうかも。もう一度考えてみるよ。ありがとね、青葉】

青葉【いえいえ、とんでもないですよ!このお返しに期待してますからね!なんて。あはは】

青葉【ただ、あくまで私の思う一般論だったので、そこのところはよろしくお願いしますね】

プリンツ【分かった。じゃあお休み、青葉。じゃあね】

青葉【はい。プリンツさんもお気をつけて。特に事故には、ですよ】

プリンツ『……普通に告白した方がいいんじゃない、か』

プリンツ《でも、アトミラールは今あの女に……すごい誠実で素敵な人だから、私が今、普通にアピールして告白しても断るはず……》

プリンツ《それこそ、ラブホテルに入るなんて!けど、私の疲労を癒すためなら優しいあの人は……チャンスは、ある……》

プリンツ《アトミラールだってきっとあの女に裏切られたことに傷ついている!それを押し殺してビスマルクなんかに……!!》

プリンツ《あの女より私の方がアトミラールにふさわしい!!アトミラールを幸せにできる!!アトミラールのことを愛している!!》

プリンツ《アトミラールもきっとそれに気づいてくれるはず……!!きっと私を選んでくれる……!!》

プリンツ《そのためなら、私は何でもできる。だって、好きな人の為だから》



ヴゥゥゥゥン

プリンツ《はぁ……ようやく戻ってこれた。今は……深夜の二時だ。本当に疲れた……さっさとシャワーを浴びて寝よう》

プリンツ《正午にドイツ司令部に……三時間ぐらいかな。やることもあるし、準備ができたらすぐでなくちゃ》

プリンツ『……!』

プリンツ《誰か来る……》

川内『へえ、気がついたんだ。すごいね』

大和『……話してくれますよね?プリンツ・オイゲン』

瑞鶴『どこで何をしていたのか、ね?』

加賀『事と次第によっては……覚悟はできていますね?』

赤城『……とりあえず、中へ入りましょう。ゆっくり話さなくてはならないかもしれません』

プリンツ『……分かりました』



赤城『つまり、ドイツ軍司令部に呼び出されていたと?』

プリンツ『はい。緊急の呼び出しでしたので……連絡する時間もありませんでした。申し訳ありません』

瑞鶴『もしそうだとして、なんで終わった後すぐに連絡しなかったの?』

プリンツ『夜中でしたから……』

瑞鶴『……そう』

大和『内容は話せないんですね?』

プリンツ『緘口令が敷かれていますから……けど、ドイツの問題であってアトミラールに関係することではありません』

大和『……ふぅん、そうですか』

加賀『提督については何も知らないのかしら?……あなたはここ最近、ずっと秘書艦を務めていたでしょう?』

川内『そうだよ。何か手掛かりとか知らないの?いきなりいなくなるなんて、こんなの普通じゃないよ。きっと何かあるはず……!』

プリンツ『……もし知っているのなら、こんなところでじっとしていませんよ。皆さんだってそうでしょう?』

加賀『……そうね』

川内『……』ギュッ

赤城『……さて、ではこれ以上のことは分からなそうですし、今日はもう寝ましょう。提督が戻らない場合は、昼にまた話すこととします』

プリンツ『あ、赤城さん。私、また司令部へ行かなくてはならないので明日も出ますね』

赤城『そうですか、分かりました。なら後で必要書類を提出するようにお願いします』

プリンツ『はい』

赤城『では解散。皆さん、おやすみなさい』



プリンツ『ふぅ……』

プリンツ《寝支度がすべて整い、私はベッドに入った。明日のことを考える》

プリンツ『あの女が戻ってくるまで短ければあとひと月、長くともふた月。時間がないんだ……やるしかない』

プリンツ《アトミラールとホテルインする。何もなくても、それだけで関係を深められる。そしてあわよくば、私は……》



提督【プリンツ、ここがどういうとこか知っているか?】

プリンツ【えっ?ホテルじゃないんですか?】

提督【ああ、ホテルだ。だが、ただのホテルじゃない。……恋人同士が愛し合うためのホテルなんだ】

プリンツ【……!!】

提督【プリンツ……俺は、辛かった。あんなことになって……けどビスマルクを取り戻すことができた。それでいいはずだった】

提督【けど、駄目なんだ……まだ辛い。俺は、ビスマルクが好きだった。けど、それは前までだ】

提督【ビスマルクをとり返したのは、ただの復讐の為だけだったんだ……全部終わって気がついた。人として最悪だ】

提督【あいつには悪いことをしたと思ってる。でも、駄目だった……苦しいんだ……プリンツ……】

プリンツ【アトミラール……悪いのはアトミラールじゃありませんよ。あいつらが悪いんです。気にすること必要はありません】

提督【プリンツ……君は、俺が辛い時にずっと近くで支えてくれた。助けてくれた。本当にありがとう】

提督【……気がついたんだ。俺は、君が好きだ。君が欲しい】

プリンツ【……!!アトミラール……!!】ウルッ

提督【どうか、これからも一番近くで俺を支えてくれないか?】

プリンツ【はい……!!もちろんです。私も、ずっと好きでした!本当に……ずっと好きで、辛かったんです】ポロポロポロ

提督【プリンツ、目を閉じて】

プリンツ【!!……】パチリ

提督【……】チュッ

プリンツ【んふぅ……はぁ……んむぅ……】ダキッ

提督【……】ギュッ サワッ

プリンツ【!!】ピクッ

提督【嫌か……?】

プリンツ【……いいえ】ジュン

提督【プリンツ、大好きだ。愛してる】ナデナデ ツプッ クチュクチュ

プリンツ【ぁん……アトミラール……私も大好きです……はぁっ……愛してる……やぁ……!!】ピクンピクン



プリンツ『……』ムラッ

プリンツ『……』スルリ ピトッ モミ



プリンツ【ふあぁ……あとみらーる……切ないです……】キュンキュン

提督【初めてか?】

プリンツ【は、はい……】カァッ

提督【なら、優しく慣らさなくてはな。……俺を信じて、力を抜いてくれ】ピトッ

プリンツ【あとみらーる……こわいです……わたし……】

提督【大丈夫だ。俺がついてる】

プリンツ【ん……手を。手を握ってください……】コクッ

提督【プリンツ、愛してる】グイッ ブツッ

プリンツ【わたしも、っはぁああ!!くぅぅっ……!!】ギュッ

提督【っ……キツイ、な……】ズプププププ

プリンツ【ああっつぅ……!!あとみらーるのが……はいってきてる……!!】

提督【プリンツ、これでお前は俺の女だ。君一人を愛し続けると誓う。だから、俺と結婚してくれ】

プリンツ【はいっ……はい!!私、嬉しいです!!嬉しすぎて、おかしくなちゃうっ……!!】

提督【そうか……!!痛みがなくなるまで、しばらくこうしていよう。んっ】チュッ

プリンツ【んむぅ……んちゅ……はぁん……れろれろれろ……】ダキッ ギュッ



プリンツ『はぁ……はぁ……』クチュクチュ モミモミ クリクリ

プリンツ『んふぅ……』



プリンツ【あん!!はぁん!!あ、あとみ!!あとみらーるっ!!わたしぃっ!!なにか!!なにかきちゃいますぅ!!】ズッチュズッチュズッチュ

提督【俺もだっ……プリンツ……!!中で出してもいいか……!?】パンパンパンパン

プリンツ【っ……!!あ、あかちゃん……できちゃいますよぅ……?】

提督【いいんだ、そうしたい……君さえよければ……君に俺の子供を、産んで欲しい……!!】

プリンツ【アトミラール……!!私……!!産みます!!頑張って元気な赤ちゃん産みます!!】

提督【ああ……!!ああ!!くっ……はぁっ……!!】ビュルルルルルルルル

プリンツ【っはあああああ!!あっ……はぁっ……アトミラールのが……たくさん、中に出て……あつい……】ビクンビクン

提督【プリンツ……もう一回たのむ】チュッ

プリンツ【ああっ中でまた大きく……んふぅ……はむっ……ちゅぅ……】



プリンツ『っ……はぁ……はぁ……』ネトォ

プリンツ『ぅ……ティッシュ……』ガサガサ

プリンツ『寝ないと……あした遅刻しちゃう……』



ジリリリリリ

プリンツ『……』ピッ

プリンツ『……眠い。シャワー浴びないと』ノソリ

プリンツ『……あれ、メールだ。メンゲレから?……ふーん』



赤城『皆さん、集合していますね』

長門『ああ。それで、話というのは?』

赤城『提督についてです』

『『『『!!??』』』』ザワザワ

大和『赤城さん!!話してください!!』

瑞鶴『何が分かったの!?』

赤城『今朝、提督から私に連絡がありました。提督はい号作戦に関して緊急の打ち合わせがあり、友少将の元へいらっしゃっていたそうです』

大和『そ、そうなんだ……』

瑞鶴『良かった……見つかって。本当に良かった……』

長門『それで、いつ戻ってくるのだ?』

赤城『今日です。オイゲンさんがドイツ軍司令部へ行く用事があるので、彼女の車で戻ってくるそうです。時間は午後になるとのことでした』

大和『っ!!』ガーン

瑞鶴『っ……』ズキッ

赤城『ですので、お戻りになられるまでは引き続き私が指揮を執ります。以上、解散!各員の務めを果たしなさい』

『『『『了解』』』』

赤城『ではオイゲンさん。頼みましたよ』

プリンツ『はい、任せてください』



プリンツ『……このあたりかな?』

プリンツ《あの後、すぐに準備を済ませて出発した。時間は早かったけどやることがあった。それは……》

プリンツ『うーん……どこにしようかな?』

プリンツ《アトミラールと入るのにいい感じのラブホテルを探すことだ。恥ずかしいけど仕方がない》

プリンツ《もちろん、目立たないように持ってきていた私服に着替えている。軍人がこんな所をうろうろしていたら、目立つことになるから……》

プリンツ『外観はなかなかよさそうだし……位置的にもここなら自然に入れるかも。ちょっとスマホで調べてみよう……』

プリンツ《変な所は嫌だし、そういうことを考えているなんて知られたら恥ずかしくて死んでしまう。不自然にならないように気を付けなくちゃ》

プリンツ『……うん、よさげかな。ここにしよう。……あっ』

プリンツ《カフェか……ちょっとお腹すいたし、眠気覚ましにカフェインが欲しいかな。時間に余裕があるし、よっていこう》

プリンツ《車を停めて、カフェに入る。サンドイッチとカフェオレを頼んで、席に座った。そこそこイケる。束の間のコーヒーブレイクを楽しむ》

プリンツ『……おいし』

チャラ男『Excuse me?』

プリンツ《……なに、この人。英語?》

プリンツ『……Yes?』

チャラ男『こんなところで何やってんの?もしかして暇してる?』

プリンツ『いえ、そういう訳ではありませんよ』

チャラ男『そうなの?じゃあ君みたいな美人が一体なんでこんなラブホ街にいるわけ?』

プリンツ『ラブホ街?私はただカフェに入っただけですよ』

チャラ男『そうなんだ。ねえ、もしよければこの後俺といいことしない?』

プリンツ《なるほど……そういう輩か。反吐が出る。もっと他に大切なことがあるだろうに》

プリンツ『暇でないといったはずですが?』

チャラ男『少しでいいからさ?そうだ、このあたりにいいケーキ屋あるんだよね。奢ってあげるからさ、一緒に行かない?』

プリンツ『お断りします。では』ツカツカツカ

プリンツ《そう言って残りを一気に飲み干し、サンドイッチを持って店を出ようとする》

チャラ男『ちょっと待ってよ!話はまだ終わってないよ!』グイッ

プリンツ『っ!放してください』

チャラ男『いいじゃん、旅先での一夜の夢ってやつ?俺って結構うまいんだよ?試してみない?』

プリンツ『結構です!私には心に決めた人が居て、その人以外とどうこうするつもりなんて絶対にありませんから』バッ

チャラ男『っ!だから待ってって言ってるだろ!っ!?』ガシッ

プリンツ《再び肩を掴んできた軽薄そうな男の手を取り、捻りあげる。簡単な護身術だ。するとそいつは日本語で怒声をあげた》

チャラ男『痛い痛い痛い!!止めろ!!』

プリンツ『これに懲りたらさっさと失せなさい』パッ

チャラ男『んだよ日本語喋れんのかよ!!お前ただで済むと思うなよ?』

プリンツ『へえ、どうしようって言うの?』

チャラ男『シメて、俺の腕捻った分謝罪してもらうからな?逃げたって無駄だから。このあたりは俺らのたまり場だし』

プリンツ『はぁ……』

プリンツ《仕方ない。私はこれ以上面倒なことになる前に、さっさと事態を終わらせることにした。身分証をカバンから取り出し、見せる》

プリンツ『さっきも言ったけど私は先を急いでいるの。通しなさい』スッ

チャラ男『んだよ。何だそれ……っ!?ドイツ軍!?』

プリンツ『……通しなさい』

チャラ男『は、はい……』

プリンツ『どうもありがとう』

プリンツ《とても不快な気分で店を出る。私がアトミラール以外の人とそういうことをするわけがない》

プリンツ《すこし早いけど、使うホテルも決まった。もう他に用事はないし、さっさと司令部へ向かうことにしよう》



プリンツ《何事もなく司令部へ到着し、アトミラールを待つ。その時間が一日千秋のように感じられた》

プリンツ《何かあって、またアトミラールが居なくなってしまっていたりとか……ありえないはずの想像が何故か唐突に脳裏に浮かぶ》

プリンツ『……!!アトミラール!!』ダッ

プリンツ《だから、エントランスから現れたその姿に安心し、こみ上げるものがあった。昨日は、血気に逸っていたこともあって、それどころじゃなかった》

プリンツ《けど本当は、すぐにでもその旨に飛び込みたかった……全身で感じたかった……!強く抱きしめてほしかった……!!》

プリンツ《もう我慢できなかった!!》

提督『プリンツ!!』

プリンツ『アトミラール!!』ダキッ

提督『!!プリンツ……?』

プリンツ『アトミラール!!アトミラール!!アトミラール!!』ギュッ

提督『プリンツ……よしよし』ナデナデ

プリンツ『アトミラールに会うまで、何かあったら……またいなくなっちゃたらどうしようって……!!ずっと怖くて……!!』

提督『……大丈夫だ、俺はここにいる。本当にありがとう。君にはなんて感謝すればいいか』

プリンツ『いえ、いいんです。アトミラールがこうして私の近くにいてくれれば…… っ!!』

プリンツ《視界に入る、不快なもの。じっと窓からこちらを見下ろす、呪われるべき敵、なぜこいつが赦されたのか》

プリンツ《私はありったけの敵意、憎しみを込めてそいつを睨みつける。するとそいつは、傷ついたような表情をする》

ビスマルク『!』

プリンツ《ふんっまるで被害者のように振舞っているが、お前も大きな十字架を背負っていることを忘れるな!!》

提督『いや、それじゃ俺の気持ちが収まらないよ。俺にできることなら何でもする。だから、何でも言ってくれ』

プリンツ『……はい、分かりました。ありがとうございます。では、行きましょうか。他の皆さんもとても心配していますから』

プリンツ《一刻も早くあの女からアトミラールを連れて去りたかった。ここにいるだけで何か悪いことが起きそうだ》

提督『ああ、そうだな』

プリンツ『っ』ギリッ

プリンツ《笑顔であいつに手を振るアトミラール。私の心に狂おしいまでの狂気が渦巻いた》

プリンツ《車に乗る前に、もう一度あいつを睨みつける。悲しそうな顔をしていることに、むき出しの神経をなでられたような不快感》

プリンツ『では、出発しますね』

提督『ああ、頼む』

プリンツ《必ずお前の元からアトミラールを解放してやる!アトミラールと一緒に幸せになってやる!!》



プリンツ(そろそろだ、そろそろ仕掛ける時。落ち着いて、Andere Länder, andere Sitten(郷に入っては郷に従え) だ)

プリンツ(セックスは普通なことなんだ。自然に、怪しまれることなく……私ならできる。頑張れ、プリンツ・オイゲン!)

プリンツ「あ、アトミラール?」

提督「!?ど、どうした!?」

プリンツ「えっと……さすがに長い間運転して疲れちゃいました……」

提督「そうか?なら運転を代わろうか」

プリンツ「い、いや、アトミラールは肩を撃たれていますから!だから安静にしていたほうが良いですよ!」

提督「そうだな……確かにそうだ」

プリンツ「そうですよ!本来ならもっと頑張れるんですが、昨日バイクで往復12時間だったので……」

提督「バイクで往復12時間……!?そういえば、プリンツがどうやってあそこへ来たのか考えてなかった……あの天気でか……!!」

提督(プリンツ……お前はそこまでして……俺は……)

プリンツ「ですから、やはり少し休憩すべきかなって思うんですが……どうですか?」

提督「もちろんだ!お前の体が一番だからな」

プリンツ「ありがとうございます。どうしようかな……」

プリンツ(もう少しだ、もう少し……来た!!)

プリンツ「あ、見てください。なんかあのホテル、休憩なんてあるみたいですよ。ちょっとよってもいいですか?」

提督「!?」

提督(あ、あれは……!!っ…… だが、別に変なことをするわけじゃないし……)

提督「プ、プリンツ……あれはラブホと言ってな?恋人同士がそういうことをするための場所なんだ」

プリンツ「……え、えー!?そうなんですか?じゃあどうしましょうか……」チラッ

提督「……ま、まあ普通に寝ることもできるはずだ。ちゃんとしたベッドもあるしな。だからプリンツさえ良ければ……」ドキッ

プリンツ「じ、じゃあ行きましょうか!はい!居眠り運転とか危ないですしね!」

提督「あ、ああ」

プリンツ(……きた!!勝った!!これってつまり、アトミラールは既に私とこういうところに入ってもいいぐらいには私のことを……!!)

プリンツ(もしかしたら、本当に今日……私はアトミラールと、本当に……!!プリンツ・オイゲン、行きます!!)

提督(落ち着け、落ち着くんだ。プリンツはあくまで休憩したいだけだ。そもそもラブホなんて知らなかったみたいだし)

提督(誘ってるわけじゃない。勘違いするなよ、俺。……いや、それ以前に俺にはビスマルクがいる!!)

ビスマルク『アトミラール!!』ニコッ

提督(そうだ、俺には心に決めた人が居る。……だから駄目だ、そんなことは!!)

プリンツ『アトミラール……!!』ダキッ

提督(……それでも、駄目なんだ。俺は本当にビスマルクが好きなんだ。心から愛している)



プリンツ「へぇ……なんかすごくお洒落ですね。たしかに、雰囲気あるかも……」

提督「そ、そうだな。じゃあ、プリンツ。お休み。今日中に帰ればいいんだ。18時に起こすからゆっくり休んでくれ」

プリンツ「はい。ありがとうございます。けど、この服で寝るのは……あ、クローゼット。バスローブがありますね。これは……へぇ、下着まで売ってるんですか」

提督「あ、ああ。着替えるか?なら俺はトイレにでも籠るから終わったら言ってくれ」

プリンツ「……アトミラール。私、シャワー浴びてもいいですか?」

提督「しゃ、シャワーか……!?」

提督(クソ!!なんで風呂が透けてるんだ!!これじゃはっきりとは見えないがシルエットが丸見えじゃないか!!)

プリンツ「せっかくなので……駄目ですか?」モジッ

提督「……っ!!」

提督(プリンツは、恥じらうように顔を赤らめ少し俯かせている。そしてちらりと上目遣いでこちらを伺う)

提督(まるで映画やドラマで見るようなシチュエーションだ。ただし、場所が校舎裏やらで、内容が好きですという告白ならだが)

プリンツ「……」

提督「……あ、ああ。分かった。いいぞ。俺はトイレに籠ってr」

プリンツ「そんな!申し訳ないです!アトミラールなら、私は大丈夫ですから。くつろいでいてください。では」

提督「!」

提督(プリンツは俺を遮るようにそう言うと、バスローブを掴んで脱衣所に早歩きで行ってしまった)

プリンツ「……」シュルシュル パサッ

提督「……ごくり」

提督(ぼんやりと見えるシルエット。灰色の軍服が脱げていき、肌色が露わになる。この向こうでは、今、プリンツが……)

提督「……!!」ブンブンブン

提督(駄目だ駄目だ駄目だ!!落ち着け!!どうする?そうだ、歌を歌おう!!朝だ夜明けだ潮の息吹き!!うんと吸い込むあかがね色!!)



プリンツ「ふぅ……上がりました、アトミラール。失礼しました」

提督(いつもと違って髪を下ろした姿に、またどきりとした。いつものかわいらしい姿からは信じられない大人っぽさだった)

提督「そ、そうか!良かった。じゃあ一息ついて寝るか?」

プリンツ「そうですね。けど、その前に……ちょっと下着を買わないと……」

提督「!?」

提督(ということは……今、プリンツはバスローブ以外何も……!!)

プリンツ「何種類かあるんですね……へぇ……あ、アトミラールはどれが良いと思いますか?」

提督「お、俺に聞くのか!?」

プリンツ「はい。是非選んでほしいなって思いまして」

提督「……っ!!そ、そうだな、その黒いのが良いと思うぞ!?」

プリンツ「これですか?……結構、大胆な奴ですね……?」チラリ

提督(しまった!!ついとっさに好みで選んでしまった!!)

提督「あ、いや……お、思ってたのと違うな?そっちの白い奴の方がいいんじゃないか?」

プリンツ「こっちですか……?ふぅん……」

プリンツ(方や煽情的なレースの黒い下着。方やシンプルな白い下着。アトミラールの反応からして、黒い方が……)

プリンツ(でも、ここで黒いのを買うと不自然だし……そういうことを期待してるってバレるかも。なら)

プリンツ「じゃあ、こっちにしよう……かな……?」

提督「あ、ああ、それがいい!俺が買おう」

プリンツ「え、そんな!悪いですよ」

提督「気にするな。君には感謝してもしきれないほど感謝しているんだ。これぐらい当たり前だ」

プリンツ「そ、そうですか?なら……」

提督「ああ、そうしてくれ。……ほら、これで」

プリンツ「ありがとうございます。……では、ちょっと身に着けてきますね」

提督「あ、ああ」

提督(この場所の雰囲気のせいか、妙に気分が浮つく。だが、俺にはビスマルクがいるんだ。馬鹿なことはできない)

提督「気を引き締めなくては……」ボソリ

プリンツ「……おまたせしました」

提督「いや、大丈夫だ。……じゃあそろそろ寝るか?」

プリンツ「……アトミラールはどうするんですか?」

提督「俺か?そうだな……とりあえず、俺もそこのソファーで昼寝するよ」

プリンツ「えっ!?ソファーでですか?」

提督「ああ」

プリンツ「そんなの申し訳ないですよ!」

提督「だが同じベッドで寝るわけにはいかないだろう?」

プリンツ「……一人で寝るのが怖いんです」ギュッ

提督「!」

プリンツ「アトミラールが正気を失って以来、ずっと心休まる日がありませんでした……」シュン

プリンツ「本当に……本当に怖かったんです。いつか提督が本当に壊れていなくなってしまうかもしれないと思って」ウルッ

プリンツ「昨日、急にいなくなってしまったときはもうだめかもしれないと思いました。……私も限界だったんです」フルフルフル

提督「すまない……本当にすまない、プリンツ……俺は……」

プリンツ「いいんです。今、アトミラールは、正気に戻ってここにいる。だからもう大丈夫です。けど……」

プリンツ「だけどもしアトミラールさえよければ……どうか今日だけ、一緒に寝てくれませんか?……アトミラールを感じさせてくれませんか?」チラッ

提督(それは悲痛からか、あるいは別の感情か。プリンツは表情を曇らせ、目に涙を浮かべつつ上目遣いでこちらを伺っていた)

提督(俺のために、我が身も顧みずにひたすら尽くしてくれた。そして今、その緊張の糸が切れて、秘めていた自分をさらけ出している)

提督(そんな健気な少女のために、俺ができることは……)

提督「わかった。是非、添い寝させてくれ」

プリンツ「アトミラール……!!はい、ありがとうございます……!!」パァッ

プリンツ(ようやく話せた自分の気持ちに満足する。何より、アトミラールがこうも優しく受け入れてくれたことが一番うれしい)

プリンツ(アトミラールが上着と靴下を脱ぎ、ズボンと下着姿になった。目覚ましをセットする)

プリンツ(私は促されてベッドに入り、アトミラールがすぐに隣に入る。感じるアトミラールの……男の人の体温に、匂い。胸がドキドキする)

提督「お休み、プリンツ」

プリンツ「はい。……」ニギッ

提督「!……」ギュッ

プリンツ(向かい合って眠る。手を伸ばし、アトミラールの手を握ると、握り返される。本当に幸せだ)

プリンツ(どっと疲れが、精神的なものも身体的なものも全て溢れ出てきた。緊張が解けたのだと思う)

プリンツ(瞼が重くなる。……最初は、もっと肉欲的なものを求めていた。けど、今はこれでいい。そう、今だけは)

プリンツ(本当に純粋な気持ちだった。こんな気持ちになれるだなんて。私は、本当に久しぶりの安らかな眠りに落ちて行った)



プリンツ「ん……」

提督「起きたか?」

プリンツ「あ。……アトミラール?」

提督「眠ければまだ眠っていていい。時間は延長するよ」

プリンツ「いや、起きますよ。起きますから……もう少しだけ……」ダキッ ギュッ

提督「!」

プリンツ「アトミラール……すぅ……すぅ……」

提督「……」ナデナデ

プリンツ「だい……すき……」

提督「っ……」

提督(もしかしたらと考えたことがない訳ではない。いや、かなり確信していた。どうしてプリンツがこうまで俺を助けてくれたのか)

提督(プリンツの、そのあどけない寝顔を見る。文句なしの可愛い美少女だ。幼さを残しつつも大人へと成長しつつある整った顔立ちは、きっと誰もが振り向くだろう)

提督(外見も良い。だが、プリンツの一番のいいところはその優しい性格だ。彼女が居なければ、俺はきっと倒れていただろう)

提督(そんな子にここまで思われてうれしくないわけがない。もし俺が独り身なら絶対に告白していただろう)

提督(今だってその白い肌と年の割に豊かな体つき、特に腰回りとローブの胸元から覗く豊かな双丘に目が釘つけになりそうだった)

提督(漂ってくる甘い良い匂いに心臓が早鐘を打っている。……だが、俺には愛するビスマルクがいる)

提督(形の良い眉に飾られた凛々しい印象を覚える釣り目は、透き通るような蒼穹のように青く常に自信に満ち溢れていた)

提督(若々しくとも妖艶な大人の色香を纏ったその様は、あの卑しいデブが卑劣にも騙して、洗脳まがいのことをしてまで欲したのも分かる)

提督(いつだって頼りがいがあって、何があっても諦めず、ビスマルクに任せれば何とかなると思わせてくれた)

提督(そして、とても純粋で仲間を信じて戦っていたんだ。だからこそ、あの男につけ入れられてしまったのだが……)

提督(ともかく、俺はビスマルクが誰よりも好きだ。本当に心から愛している。だから、俺は……)



プリンツ(一度目が覚めた記憶があるが、結果的に二度寝してしまった……目が覚めた時にはもう夜だった)

プリンツ(予定がとても遅れてしまった。謝る私に、しかしアトミラールは優しく謝るような事じゃないと言ってくれた)

プリンツ(……それにしても、とっても気分のいい目覚めだった。幸せだった。アトミラールと一緒になれれば、きっと毎日がこんななのだろう)

プリンツ(支度をして、ホテルを出る。時間が時間だったから、イタリアンの店でディネーをとった。無事に帰還したころには、すでに23時近くだった)

プリンツ(待っていた赤城や大和、瑞鶴たちはまず提督の傷に驚き、心配した。提督は打ち合わせ通りにみんなへ説明して、なんとか納得してもらえたみたいだった)

プリンツ(アトミラールは罪悪感があるようだったけど、仕方ないことだもの。悪いのは全部あいつらだ)

プリンツ(すべてが終わった後、私は部屋に戻ってシャワーを浴び、寝支度を済ませてベッドに入った。あまり眠くないが、寝ないといけない)

プリンツ(……今日、私はアトミラールと一緒になる事の幸せを改めて知った。本当に素晴らしい、至福のひと時だった)

プリンツ(それを知ってしまった今、もう絶対に後戻りできない。必ずアトミラールと添い遂げて見せる)

プリンツ(青葉に話を聞いたことを実践する。それに、そういうサイトや本、映画やドラマでさらにいろいろ調べるんだ)

プリンツ(絶対にアトミラールを振り向かせて見せる。あんなひどい娼婦なんかにアトミラールは相応しくない。絶対に……)



ピピピピ ピピピピ

提督「っ……今日も暑いな」ピッ

提督(あの日無事に帰還してから今まで、俺はとても忙しかった。い号作戦の為だ)

提督(みんなが俺を支えてくれた。特に、プリンツはずっと付きっきりで秘書艦を務めてくれていた。本当に助かった)

提督(そして現在、俺たちはポートモレスビーに来ている。昨晩到着したばっかりだ。作戦開始まであと一週間もない)

提督(ここはとても暑く、マラリアに気を付けなくてはならない。住むのには向いていないな。しかも、作戦のために急ピッチで築かれた拠点だ。最低限なものしかないが、まあ作戦の為には十分だ)

提督(俺はこの前までおかしくなっていたとはいえ、それはビスマルクのことに関してだけだ。作戦を確認してみたが、おかしなところはない)

提督(まあ、記憶には残っていたし、作戦会議で承認されたのだからあまり心配していなかったが。それでも、良かった)

提督(きっと成功する。そうすれば、南部戦線は消滅するはずだ。勝利への大きな一歩になってくれる)

提督(俺は支度を済ますと、司令部へ向けて出発した。片道10分ほどの道のりだ)

提督「……ん?あれはプリンツか?何をしているんだあんなところで」

提督(司令部まであと半分ほどの所で、プリンツが立っている。ちょうど艦娘の宿舎への道が合流する所だ)

プリンツ「……! アトミラール!おはようございます」

提督「おはよう、プリンツ。どうしたんだ?何か用か?」

プリンツ「いえ、一緒に司令部まで行こうと思いまして」

提督「そのためだけにわざわざこんな暑い中待っていたのか!?」

プリンツ「どうしても一緒に行きたかったんです。……駄目でしたか?」シュン

提督「い、いやまさか!!……じゃあ向かうとするか」

プリンツ「ありがとうございます!!」

提督(隣を歩くプリンツに歩調を合わせる。風向きからか、かすかに漂ってくる甘い香りにプリンツの存在を感じた。思い返してみると、ここ最近いつものことだった)



[参謀本部より第十艦隊へレンラク。敵に大規模攻勢のヨチョウあり。第十艦隊は南部方面からの威力偵察をジッコウせよ]

[本作戦のモクテキは敵の攻勢方面の確認である。北部戦線では第十三艦隊が、太平洋戦線では第十二艦隊が]

[そしてインド洋方面戦線では第十五艦隊がタントウする。以上、ブウンを祈る]

[艦隊司令部よりTF109へレンラク。TF109はR-16より敵領域へ侵入、威力偵察をジッコウせよ]

[本作戦のモクテキは敵戦力及び敵の反応のカクニンである。以上、ブウンを祈る]

「サテ、やるとするゾ。TF109. カクイン、戦闘準備」

「敵はまたコウセイをするつもりなのカ……」

「今度はきっと勝てル。主戦線ヨリ戦力が引き抜かれてくるラシイ」

「南にはもうコナイデ欲しいな。ずっとゲキセン続きだ。モウたくさんダヨ……」

「キタとしてもはじき返してヤルサ。遅れずについてコイヨ?バツビョウ!!」



提督『どうやら敵も我々の動きに気がついたらしい。各戦線にて敵の威力偵察と思われる侵入が始まった』

提督『無論、我々はこれに対抗せざるを得ない。よって迎撃のために艦隊を編成する。第一艦隊は旗艦愛宕、第二艦隊は~』

プリンツ(というわけで、私は敵艦隊迎撃に出撃することとなった。提督の期待に全力で答えて、できる女アピールだ!)

プリンツ(私がいる限り、ここを抜かせはしない!と、思っていたけれど……)

プリンツ「……」

川内「……」

電「はわわわ!川内さんとオイゲンさんがなぜか険悪な雰囲気です!」ボソリ

雷「どうしたのかしら……?」ボソリ

暁「何よ。任務中に私情を挟まないで欲しいわね」ボソリ

響「困ったね……」ボソリ

プリンツ(川内はどうやら私のことを嫌っているみたい……まあ当然かもね。私の行動は事情を知らない川内達から見れば怪しい事このうえないだろうし)

プリンツ「……!」ハッ

川内「敵艦隊発見、だね」

電「え……あ!見つけました!」

電「重巡洋艦が四隻もいるわ!」

響「それに駆逐艦も二隻確認できるね。かなり強力だよ」

暁「戦力的には不利。どうするんですか、オイゲンさん?」

プリンツ「勿論、ここで迎撃するよ。戦闘準備!」

「「「「了解!」」」」

川内「大丈夫だよ、特III型駆逐艦。あんなの私たちにかかれば魚の餌だから」ニッ

プリンツ「単縦陣!遅れないで!」

プリンツ(敵もこちらに気がついた。この状況じゃ距離を詰めて戦うしかない。なら……)

川内「オイゲンさん、提案があります」

プリンツ「!……突撃?」

川内「距離をとって打ち合ってもジリ貧でしょ?駆逐艦を連れて私が突撃します。だから、援護をお願いします」

プリンツ(! さすが川内というべきかな。とても勇敢だ。Japanの軽巡洋艦には本当に驚かされる)

プリンツ「分かった、気を付けてね」

川内「了解、聞いてたねみんな!!水雷戦隊魂見せてやるよ!!」

「「「「了解!!やってやるわ(よ)(のです)!!」」」」

プリンツ(さて、目的は突撃の援護。沈める必要はない。砲塔は四基あるし、敵も四隻。簡単なことだ)

プリンツ(頭の中で、すべてが分かる。敵の動き、砲弾の軌道、私がどうすればいいのか)

プリンツ(あの日、提督が撃たれそうになった時から私は少し変わったのだと思う。戦いのときに、頭の中が切り替わる感覚)

プリンツ(負けるわけがない。必ず勝てると確信できる。……ゲルマン民族の戦闘本能とかだったら少しカッコいいかもね)

プリンツ「敵が照準してから……撃つとしたら……今」ドゴォン

プリンツ(SKC/34が火を噴き、砲弾が敵へ向かっていく。そして、吸い込まれるように……着弾)

「!?」

「……!!」

「……!?」

プリンツ(発砲前に不意の攻撃を喰らった敵は、攻撃を中止するか、的外れな方向へ誤射した。混乱ぶりが手に取るように分かる)

響「まさか……四隻それぞれに同時攻撃……!?」

雷「すごい!!こんなに練度が高かったの!?」

川内「良し、攻撃開始!!てぇー!!」

プリンツ(川内達が攻撃を開始し、砲弾と魚雷が敵を襲った。混乱している所に肉薄された敵は、しかし驚異的な反応で即座に態勢を立て直して反撃に移る)

プリンツ(駆逐艦二隻が砲撃し、魚雷を発射しながら重巡の前に躍り出た。ちゃんと狙わない攻撃は牽制にしかならない。しかし、自らを犠牲にして重巡洋艦を庇うことに成功する)

プリンツ(そのため、重巡洋艦は一隻が中破したのみで健在だ。反撃の攻撃が始まる。しかし、敵は焦りすぎた)

プリンツ(すこし待てばいいのにすぐさま発砲した。その攻撃は、敵の行く手を横切るようにして離脱していく川内達を捉えることは無かった)

川内「ははっ!チャンスだ!再装填まで時間ができた!反転して再攻撃するよ!」

プリンツ(私も舵を切って全速前進。敵へ突撃した。再装填が終わり、敵のうちの一隻に照準……発砲)

リ級A「あっ!?」ドガァン

リ級B「ヤラレタ……!?嘘だああああああ!!」

リ級C「くそ!!ハサミウチか!?落ち着け!まだ終わったわけじゃない!冷静に対処するんだ!」

リ級D「キカンの出力が上がらない!このままじゃやられる!」

川内「どこ見てんのさ!?こっちだよ!!」ニタァ

プリンツ(私の砲弾は敵の装甲を貫き、爆発、炎上した。敵は憎しみを込めてこちらを睨みつける。そこへすかさず川内達が攻撃を加えた)

暁「沈みなさい!!」

響「До свидания 」

プリンツ(砲弾の嵐と魚雷が残った敵へ襲い掛かる。今度は庇う駆逐艦が居ない。その攻撃で残りの敵がすべて撃破された。あるものは沈みゆき、あるものは炎上しつつ漂っている)

雷「やったわ!」

電「ふぅ……みんな無事でよかったのです」

リ級B「……!!」グググ

プリンツ「!!」

プリンツ(しかし、気がついた。炎上している敵、その一隻はまだぎりぎりで戦える。沈みかけの大破といったところか)

リ級B「みんなの……カタキ!!せめてイッシ報いて!!」

プリンツ(炎上しつつもその紅く発光する目をぎらつかせ、口から吐血しながら砲を構えた。その狙いは一番後ろを航行していた暁だ)

プリンツ(直感的にわかる。これは、あたる。意識する前に体が動いた。舵を切り、全速で暁のもとへと向かう)

川内「!?暁!!」

暁「えっ?っ!!」

プリンツ(横目に見える。後ろを確認した川内が事態に気がついて声をあげた。暁も自分が狙われていることに気がついたが、もう遅い)

リ級B「死ねええええ!!」ドゴォン

プリンツ(敵が発砲し、砲弾が暁へと吸い込まれる。その寸前)

プリンツ「やああああっ!!」ガギィン

プリンツ(すべてがスローモーションに感じる。間に合った私の飛び蹴りが砲弾の側面を捉えた)

プリンツ(砲弾は火花を散らして軌道をかえ、暁を掠めるように飛んで海へ吸い込まれていった)

リ級B「なっ……馬鹿な……」

プリンツ(衝撃に顔を歪めるそいつに向かって、私は着地と同時に滑りながら敵へ向き直り、砲を構えた)

リ級B「……っ!!チ、チクショオオオオオオ!!」

プリンツ「……」ドゴォン

プリンツ(事態を把握したそいつの、怨嗟の絶叫が響き渡る。再装填が完了した私は、悪夢を終わらせてあげた)

プリンツ(爆音が響き、後には静寂が残された。波の音と炎の音が静かに響き、潮の香りと硝煙の匂いが漂う)

プリンツ(周囲を確認した私は、敵が全滅していることを確認する)

プリンツ「……よし、集合!!」

「「「「……っ!!了解」」」」

プリンツ(呆然としていた川内達は、私の号令にハッとして集合する)

プリンツ「被害は?」

川内「あ、ありません」

プリンツ「良かった。……司令部へ連絡。こちら第三艦隊、戦闘終了。我が方に被害なし」ニコッ

提督『……こちら司令部。了解、よくやってくれた!帰投せよ』

プリンツ「了解、アトミラール。帰投します。……貴方のもとに。なんてね」

暁「あ、あの……オイゲンさん。ありがとうございました」

プリンツ「え?」

響「本当にありがとう、オイゲンさん。暁を守ってくれて」

雷「さすがに胆が冷えたわ……ありがとう、オイゲンさん!!」

電「ありがとうございます!!ぐすっ……本当に良かったよぅ……!!」

プリンツ「そんな!当たり前のことをしただけだよ!」

川内「オイゲンさん……ありがとうございました」

プリンツ「川内……」

川内「……ずっとひどい態度をとって、ごめんなさい。私、貴女を信用できないヤな奴だと思ってたけど、間違いでした」

プリンツ「いいよ、気にしないで。私も、あの時は誤解されるようなことをしていたからね」

川内「……ありがとうございます」

プリンツ「そんな顔しないで。アトミラールを心配していたんでしょ?……そうだ、仲直りの握手しようよ!」ニコッ スッ

川内「オイゲンさん……はい」ニコッ ガシッ

プリンツ「ん!じゃあ戻ろうか」

「「「「了解!」」」」



提督「……ん、もうこんな時間か」

瑞鶴「あれ?ホントだ。時間が経つのが早いね……」

提督「少し休憩するとしようか」

瑞鶴「あ!ならお茶入れてくるね!」

提督「そうか?ありがたい。では俺は外の空気でも吸ってくるよ」

瑞鶴「ん、分かった」

提督(そろそろ日も暮れる時間帯だ。夕陽を見に行くのも悪くないなと歩いていた俺は、珍しいものを見た)

提督(駆逐艦娘は、滅多に巡洋艦以上の艦娘とくっついて仲睦まじく何かの雑誌を読んだりはしない)

暁「ねえねえ、プリンツ!これってどう思う?」

響「子供っぽいんじゃないかな?ねえ、プリンツ」

雷「私はこっちの方がいいわ!プリンツもそう思うわうよね?」

雷「全部いいと思うけど……プリンツさんはどれがいいと思いますか?」

プリンツ「うーん……暁のも雷のも悪くないと思うけど……」

雷「あ、司令官!」

プリンツ「えっ?アトミラール?」

提督「ああ、どうしたんだ、皆?」

雷「今、皆で秋のコーデを考えているのよ!」

提督「なるほどな」

暁「それよりも聞いてよ、司令官!今日のプリンツ、とてもすごかったのよ!」

響「うん。プリンツほどすごい艦娘は見たことないね。金剛さんは裏拳でやったことがあるって聞いたこともあるけど」

暁「でも見たのは初めてだわ!しかも飛び蹴りの方がかっこいいわよ!」

プリンツ「二人とも……恥ずかしいよ……」カァッ

雷「恥ずかしがることないわよ!称賛されて当然のことなんだから!」

電「そうですよ!」

提督「何があったんだ?」

暁「今日ね、敵の重巡に私が撃たれそうになったの」

提督「!?」

雷「そしたらね!プリンツが敵の砲弾を蹴り飛ばして暁を守ったのよ!」

提督「蹴り飛ばして……!?」

響「プリンツは暁を守ってくれた恩人だよ。感謝してもしきれない」

電「私もプリンツさんのような艦娘になれるように頑張ります!」

提督「そうか……プリンツ」

プリンツ「は、はい……?」チラッ

提督「暁を守ってくれてありがとう。感謝するよ」

プリンツ「いえ!仲間を守るって当然のことをしたまでですよ」

提督「それでも、だ。そうだ、これで今度みんなで間宮でも行ってくるといい」

暁「間宮券だわ!!」パァッ

提督「これからもよろしく頼むぞ、プリンツ」

プリンツ「アトミラール……ありがとうございます。私も、これからも頑張りますから。よろしくお願いしますね」ニコッ

提督「っ!こちらこそだ。では、俺は行くよ」ドキッ

プリンツ「はい、お疲れ様です!」

「「「「お疲れ様(なの)です!」」」」

提督「……」

提督(外へ出て、少しの間夕陽を眺める。ため息が出る美しさだ。そして執務室に戻ると瑞鶴が日本茶を入れて待っていた)

瑞鶴「あ、提督さん!お帰り!お茶入ってるよ」

提督「ああ、頂くよ」グイッ

瑞鶴「ちょっ!?熱くないの!?」

提督「……少しな。瑞鶴」

瑞鶴「火傷しちゃうよ?もう……何?」

提督「とびっきり苦いコーヒーを入れてきてくれないか?」

瑞鶴「コーヒー?そっちの方が良かった……?」シュン

提督「まさか!瑞鶴のお茶は最高だ!ただ、急に苦いコーヒーが飲みたくなったんだ。入れてきてくれないか?」

瑞鶴「そうかな……?えへへ。分かったよ。じゃあ少し待っててね」

提督「ああ、頼むよ」

提督(プリンツの笑顔に、どきりとした。胸の中でモヤモヤが渦巻いている。これを消すには、おそらくそれが一番のはずだった)



提督(明後日には作戦発動だ。敵の威力偵察はもう止んだ。果たしてどのように評価したのだろうか)

提督(これは嵐の前の静けさなのだろう。だが、その静けさを利用しない手はない。皆には可能な限り休息をとるように言った)

提督(俺はと言えば、更新された天気予報や敵の戦力評価を踏まえて作戦の最終調整に忙しい)

提督「……もう昼か、食堂へ行くとしようか」



プリンツ「……そろそろかな」

プリンツ(第一の作戦『朝待ち合わせして一緒に行こう作戦』は順調に進んでいた。あの日以来、毎日朝は一緒に行っている)

プリンツ(そして、とうとう第二の作戦『手作り弁当作戦』が発動される。敵のせいで忙しくて発動が遅れたけれど)

プリンツ(この作戦はアトミラールとの関係をさらに深めるとともに、胃袋を掴む!それこそがオトコを堕とすテクニック!……らしい)

プリンツ「……!来た!」

提督「さて、今日の昼飯は何かな?」

加賀「……!提督だわ」

赤城「まあ、本当ですね。お昼休みかしら」

加賀「提t」

プリンツ「アトミラール!」

提督「ん?プリンツか。どうした?」

プリンツ「はい、これをどうぞ!」

提督「何だ、これは?」

プリンツ「お弁当です!」

加賀「!?」

提督「弁当!?いいのか?」

プリンツ「ええ、どうぞ!アトミラールのために作って来ましたから!」

提督「そうか、それはありがたい。どれどれ、何かな?」ニコッ

プリンツ「……♪」ニコニコ

プリンツ(ふふふ……知ってますよ?ちゃんと青葉に聞きましたから。日本じゃお弁当箱はただの箱じゃない!)

プリンツ(そう、それは一つの料理になると!味はもちろんのこと、見た目もまた重要!だから頑張って考えた!)

プリンツ(美味しくて栄養バランスも理想的に!かつ見た目的にも色とりどりで美しいものを!)

プリンツ(その結果、サンドイッチに決定しました!それにうさぎリンゴもつけて、飲み物の準備もバッチリ!完璧なはず……!)

提督「おお、サンドイッチか!しかも食パンじゃない。店で買うものみたいだな!」

プリンツ「日本じゃほとんど食パンですからね。コンビニとか」

提督「ああ、subwayとかに行かないとないな。……おお、それにリンゴまで!飾り切りも上手いものだ。早速いただくとしよう。いただきます!」

プリンツ「えへへ……どうぞ、召し上がれ!」

提督「どれどれ……美味しい!そこらで売ってるのよりはるかに美味いぞ!売れるんじゃないか、これは?」

プリンツ「そんなぁ……褒め過ぎですよぅ……」テレッ テレッ

提督「うむ、美味しい!……ありがとう、プリンツ。わざわざ弁当を作ってくれて」

プリンツ「どういたしまして!実は飲み物もあるんですよ?今日は紅茶です」

提督「はは、至れり尽くせりだな」

加賀「……頭に来ました」ムスッ

赤城「なるほど……弁当ですか。そういえば久しく作っていませんでしたね」



プリンツ(今日もお昼の時間がやってきた。昨日はサンドイッチだったし、今日はおにぎりだ。お米は日本人のソウルフードだからね!)

プリンツ(色彩が単調だけど、おにぎりはこんなものだから仕方ない。お新香があるからなんとかなるはず)

提督「……」スタスタスタ

プリンツ「……あ、アトミr」

加賀「提督、これを。私の自信作です」スッ

提督「おお、今日は加賀か。最近は弁当が流行っているのか?」

プリンツ「!?」

プリンツ(加賀さん……どうしていきなり……!先を越された!もしかして、昨日のを見ていたから!?)

加賀「かもしれませんね。どうぞ召し上がってみてください」

提督「ああ、頂くよ。……釜飯か!暫く食べていなかった!」

加賀「そうですか?ならよかったです。久しぶりの釜飯を堪能してください」

提督「君の料理だ、美味しいだろうな。どれ、いただきます……ああ、美味しい!さすがだな、加賀」

加賀「言ったでしょう?自信作だと。味わって食べてくださいね。丹精込めて作ったのですから」

提督「やはり日本食が一番だな。身に染みるよ」

プリンツ「っ!!」ガーン

プリンツ(日本食が……一番……!!そんな……)

加賀「でしょう?言ってくだされば、いつでもご用意しますからね」チラッ クスッ

プリンツ「!!」ハッ

提督「ありがとう、加賀」

加賀「は、はい……ふふっ」フニャッ

プリンツ「……!!」ダッ ギリッ



鳳翔「ええ!?日本食を教えて欲しいですか?」

プリンツ「はい!お願いします!まずは何かお弁当にできるものを!お弁当を作りたいんです!」

鳳翔「うーん……お弁当ですか……なら、幕の内弁当を目指しますか?」

プリンツ「まくのうちべんとう、ですか?」

鳳翔「そうですよ。日本の弁当と言えばおそらくそれを思い浮かべる人が多いでしょう」

プリンツ「! はい、是非それをお願いします!」

鳳翔「よろしい!では、ちょうど夕食も近いですし一緒に作ってみますか」

プリンツ「よろしくお願いします、先生!」



プリンツ「……」チラッ

加賀「……」メヲトジ

赤城「もぐもぐ」

瑞鶴「……?何かあったの、あの二人」

愛宕「さあぁ?分からないけれど……何か変な緊張感があるわね」

高雄「食べにくいことこの上ないわ……」

翔鶴「うっ……胃が……」

プリンツ「……っ!」ハッ タッタッタッ

加賀「……?」チラッ

高雄「あ、動きがあったわよ」

愛宕「どうでもいいから早く終わってほしいわぁ……」

提督「……へえ、日本食を勉強したのか」

プリンツ「はい!それでマクノウチ弁当を作ってみたので、食べてみてくれませんか?」

提督「分かった。ありがたくいただくよ」

加賀「!?」ガタッ

「「「「!?」」」」

プリンツ「はい、どうぞ!これです!」

提督「どれどれ、いただきます。ふむふむ……ほうほう……なるほどなるほど……美味い!」

プリンツ「ホントですか!」

提督「ああ!焼き鮭の味加減が絶妙だ!煮物も理想的な柔らかさだし、味もよくしみ込んでいる!卵焼きが甘くないのも俺好みだ!」

瑞鶴「!へぇ……提督さん、卵焼き甘くないのが好みなんだ……ふぅん」ニタァ

愛宕「甘党だから甘いのが好きかと思っていたけど……いいこと聞いたわぁ」ニタァ

加賀「……卑怯者。正々堂々勝負することもなく、このようなだまし討ちなんて。腹が立ちました」ギリッ ボソリッ

プリンツ(加賀さんは目を細め、歯を食いしばりながらこちらを睨みつけていた。大方、私がアトミラールを迎えに行ったことが気に食わないのだろう)

プリンツ(加賀さんだって、気がつけばそうできた。やらなかった自分が悪い。それに、恋は戦争。油断した奴から死んでいくんだ)

プリンツ(アトミラールを誰にも渡すつもりはない。悪く思わないでね)クスッ

加賀「……!!」ピキッ

提督「それにしても、料理が上手いものだな。どれも凄くおいしいよ」

プリンツ「あ、そうですか?昨日頑張って練習した甲斐がありました!」

提督「昨日!?一日練習しただけでこんなに美味く作れるのか……」

プリンツ「鳳翔さんのおかげですよ。鳳翔さんに習ったんです」

提督「ああ、通りで!鳳翔の面影があると思った!だが、これは君の味だな。何か工夫したのか?」

プリンツ「そうですか?うーん……もしかしたら調味料の違いかもしれませんね?」

提督「なるほど……これがドイツの味なのかもな」

プリンツ「そうですね。それに、とっておきのスパイスを使いましたから」

提督「とっておき?それは興味深い!何なんだ?」

プリンツ「……気持ちですよ。アトミラールに喜んでほしいって私の願いです」ボソリッ

提督「!?そ、そうか……!!」

プリンツ「ふふっ」ニコッ

提督(耳元でそう囁かれる。一気に味が分からなくなった。プリンツの顔が直視できない。何とか平静を装って完食する)

提督「ごちそうさま。では、仕事に戻るよ」

プリンツ「お粗末さまです。お手伝いしましょうか?」

提督「いや、明日から作戦開始だ。今日はゆっくり休んでくれ」

プリンツ「……そうですね、分かりました。ではお仕事頑張ってください」

提督「ああ、ありがとう。じゃあな」

プリンツ「はい、また後で」

提督(そうだ、明日には作戦が発動される。集中しろ。スイッチを切り替えるんだ。……失敗は許されない。人類の悲願なのだから)

提督「これよりい号作戦を発動する!第一艦隊へ連絡!突入開始!」

長門『了解!ビッグ7の力、存分に知らしめてやろう!』

提督「第二・第三艦隊へ連絡!第一次攻撃隊を発艦させろ!目標は敵艦隊及び空戦力だ!第一艦隊に道を切り開け!」

赤城『第二艦隊、了解いたしました。一航戦が世界最強であることを証明して見せましょう』

翔鶴『第三艦隊、了解です!必ずや勝利の栄光を!五航戦の活躍に期待していてください!』

提督(とうとう始まった。い号作戦が発動された。目標はガダルカナル及びツラギの敵拠点の撃破だ)

提督(少し前から東部戦線で友の指揮の陽動攻撃がAFに対して実行されている。すこしでも戦力がそっちに流れてくれればいいのだが)

提督(敵もガダルカナルとツラギを失ったらまずいことになるとは気がついている。確認された敵戦力は今までで一番強力だった)

提督(だが俺は信じている。我ら帝国海軍の前にはいかなる敵であろうとも立ちはだかることはできないのだと)



赤城『我が航空隊はソロモン海にて敵艦隊に攻撃を敢行!!現在までに判明せる戦果は~』

翔鶴『我が航空隊はアイアンボトムサウンドにて敵艦隊へ攻撃を敢行しました!!敵の損害は~』

長門『第一艦隊、突入成功!!これより敵拠点へ攻撃を開始する!!』

提督(作戦は順調だった。第一次攻撃は大変満足できる結果となってくれた。しかし、すべてが計画通りに進行しているわけではない)

提督「それは本当か?」

伊168『うん。少なくとも重巡四隻を含む中規模の敵艦隊が東部戦線からそっちへ向かったよ』

提督「分かった、報告ありがとう。引き続き偵察を頼む」

伊168『了解!任せて!』

提督「さて、どうするか……」



提督「という訳だ。現在、陸奥率いる第四艦隊と大鳳率いる第五艦隊が第二次攻撃を実行しているが、大きな障害たりうる」

長門「そうか、厄介だな……」

提督「だが、位置関係や予想される敵の航路から、今すぐ出撃すれば合流前に会敵することが可能だ」

翔鶴「なら、私が出ましょうか?第三艦隊を率いて撃破して御覧に入れましょう」

提督「いや、第一から第三艦隊までは再補給の後すぐに三次攻撃へ向かってもらう。敵拠点へのダメージはまだ足りない。計画の遅れは致命的になる」

赤城「では、どういたしますか?」

提督「各艦隊から重巡と駆逐艦を引き抜いて、臨時に特務戦隊を編成する。そうだな……編成はこれでいい。これで対処する」

長門「分かった。では各員に通達する」

翔鶴「了解です」

赤城「分かりました」

提督「うむ、頼んだぞ」



加古「ふぁ……」

古鷹「加古!居眠りしないで!」

加古「起きてるよぉ」

プリンツ(敵の増援艦隊の到着を阻止するために私達が派遣されることになった。規模は重巡四隻を含む中規模の艦隊だとか)

プリンツ(それに対してこちらは重巡四隻と駆逐艦二隻。数の差はあるけれども私たちの練度なら十分戦える)

プリンツ「!」ザワッ

プリンツ(この感覚……殺気が凄い。本当に重巡四隻が主幹なの?)

プリンツ「……敵は近いと思います」

愛宕「あらぁ。何で分かるのかしら?」

夕立「私もそう思う。けど、この感じ……」

時雨「どうしたんだい?」

夕立「重巡四隻どころじゃないっぽい……?」

古鷹「……っ!!敵艦隊発見!!」

加古「……私が寝ぼけてるだけかもしれないけどさ、戦艦四隻も見えるのは何かの間違い?」

愛宕「寝ぼけてるだけならよかったわねぇ……生憎、これは現実よ。悪夢みたいだけどね」

古鷹「情報と違う……戦艦が四隻……!?こんなの、どうすればいいの……!?」

時雨「……どうするんですか、古鷹さん」

古鷹「くっ……司令部へ連絡を。ここで食い止めなくては作戦失敗に繋がります。それに第四、第五艦隊が撃破される事態になるかもしれません……!!」

加古「ってことは……戦うの?」

古鷹「せめて戦力を削れるだけ削る!!そうすれば皆ならきっとやってくれる……!!」

夕立「うふふ。重巡四隻と駆逐艦二隻で、戦艦四隻と重巡六隻を含む敵の大艦隊と戦うとか……燃えるっぽい!!」

プリンツ「アトミラールの栄光の為、奴らの血で海を満たしましょう……!!」

愛宕「やるしかないってことかしらねぇ……高雄、私帰れないかも……」

時雨「縁起でもないことは言わないほうが良いですよ、愛宕さん」

古鷹「何も全滅するまで戦うわけじゃありません!回避を最優先にして戦えるだけ戦ったら撤退します」

夕立「えー!?そんなんじゃ勝てないっぽい!!」

古鷹「勝つのは何も敵を倒すことだけじゃないよ!!敵戦力を削ぐだけでも十分貢献になるんだから!!」

古鷹「何より、私たちが沈んだら戦力が大幅にそがれる!!そうなればこの作戦だけじゃなくて戦争全体に響く!!」

プリンツ「なら沈まなければいいだけです。そして敵も壊滅させる。両方こなさなくてはならないのが私たちの辛いところですね」

プリンツ「けど、覚悟はできてます。それに、私にならできる。突撃して皆殺しにしてやりますから、援護を」

夕立「それに賛成っぽい!!私も行くわ!!」

古鷹「ちょっ!?何を言ってるの!?」

プリンツ「最大戦速!!フルタカさん、援護して!!」

夕立「お願いします!!」

古鷹「ま、待って!!あぁ……もう!!援護射撃!!覚悟を決めるよ!!」



タ級A「ヤツら二隻だけでトツゲキしてくるぞ!!」

タ級B「愚か者メ!!他の奴はホウッテおけ!!重巡のシャテイに入ったらシュウチュウホウカで沈めてやる」

「「「「リョウカイ」」」」

タ級B「……ヨシ!Make ready (構え)! Take aim (狙え)!……Shoot (撃て)!!」ドゴォン

ドンドンドゴォンドン



プリンツ(敵が発砲する。けど、私の頭は氷のように冷静だった。敵の砲弾の軌道が見えた。数発が直撃コース)

プリンツ(敵はかなり優秀だ。初撃から当ててくるとは。私は少し進路を変え、体を逸らせて砲弾を避ける)

プリンツ(この前、暁を守った時も感じた自分以外がスローモーションになったような感覚)

タ級A「ハズシタ!?」

タ級B「マサカ。落ち着け。りろーどスルンダ」

プリンツ(敵は冷静に再装填する。早いな。けど全速力で進めば問題ない。装填が終わるまでの間に十分近づける)

古鷹「くっ……!!」

加古「あの二人で狙いにくい!!」

愛宕「もう!!」

古鷹「誤射を避けるように!!牽制できればいい!!……撃て!!」ドゴォン

ザブン ザブン ザブン

ネ級A「残りのテキがハッポウしてきました」

タ級B「カマウナ。重要なのはセッキンチュウのやつらだ」

プリンツ(古鷹たちの援護射撃が始まったけど、距離があるうえに私達が邪魔になっていて、敵に当たることは無かった)

夕立「プリンさんプリンさん」

プリンツ「ぷりん?」

夕立「皆、右利きだよ。私が面舵で回り込むからプリンさんは取り舵ね」

プリンツ「ああ、私のこと?分かった。……大丈夫?」

夕立「大丈夫だ、問題ないっぽい!!」

プリンツ「そう。じゃあよろしくね」

夕立「うん!!」

プリンツ(そうこうしているうちに、敵は再装填を終えた。照準されている。針のような視線がこちらを刺すみたいだ)

プリンツ(狙いを定めて……発砲するなら……今)グイッ

ドゴォン ブンブンブゥン

プリンツ(示し合わさなくても夕立とは分かり合っていた。敵の発砲の瞬間、弾けるように二手に別れる)

プリンツ(私たちは、敵を中心に円周をなぞるように進む。それに数瞬遅れて、鋼鉄の嵐が私と夕立が居た空間をずたずたに引き裂いた)

タ級A「バカな!?」

タ級C「フザケヤガッテ!!りろーど!!」

タ級B「Fire at will (各自で自由に攻撃)!!水雷戦隊はクチクカンを!!打撃部隊はジュンヨウカンを!!」

タ級D「ナンナンダコイツラ!!」

プリンツ(今度こそ驚きの表情を浮かべる敵だが、それでも落ち着いて展開していく。だが、)

夕立「あははっ!!さあ、ステキなパーティーしましょ!!」ドボン ドン

プリンツ「攻撃開始、Feuer!!」ドボン ドボン ドゴォン

プリンツ(魚雷を発射しつつ、牽制の砲撃を加える。相手の行動をコントロールして、魚雷へ追い込む)

リ級A「アブナイ!!」

ネ級A「ナニシテル!?止まるな!!ギョライが来る!!」

リ級A「エッ?」ゴォッシャァン

イ級A「グギャアアアア!!」ゴォッシャァン

リ級B「アッ」ゴォッシャァン

プリンツ(数本が敵に吸い込まれ、大きな水柱をあげる。沈んだのは重巡二隻に……駆逐艦二隻か。好都合)

プリンツ(肉薄したら戦艦より手数の多い巡洋艦や駆逐艦の方が怖い。私は敵の反撃を避けつつ面舵、敵へと突っ込んでいく)

リ級C「なんてヤツだ!!クルゾ!!」

ネ級A「ウテウテウテ!!」

ネ級B「ムリダ!!味方にアタルゾ!?」

リ級D「シャセンに立つな!!イドウしろ!!」

プリンツ(慌てふためく敵、なんとか反撃しようとしている。抵抗なんて、無駄なのに)

プリンツ(敵の真っただ中に飛び込んだ私に対して、敵は誤射を恐れて迂闊に発砲できない)

プリンツ(射線はすべて把握している。私はすぐそばのリ級に肉薄する)

リ級C「ウワアアアアアア!?」

プリンツ(私と目が合った獲物は、恐怖に顔を歪めて砲を構える。本能的に構えた主砲は、その練度の高さをうかがわせる正確さと素早さ)

プリンツ(私は半身になって身を逸らす。続いて砲声、風切り音。分かっていた。敵は焦っている。狙いをつけたらすぐに撃つ)

リ級C「!!??」

プリンツ(さらに接近。手が届きそう。一斉に発砲して、どれが当たればなんてのは必要ない距離)

プリンツ「グラーツ!!」ドン

リ級C「ダレカ!!タスっ」ボシュッ

プリンツ(ぎりぎりまで近づいたところで一番砲塔『グラーツ』を撃つ。リ級の首から上が消し飛び、血が噴き出す)

プリンツ(スプリンクラーのようなそれを浴びながら、崩れ落ちた首なし死体の脇を通り過ぎる。膝を曲げ、姿勢を落としつつ急ターンで振り向き)

プリンツ「ブラウナウ!!」ドン

リ級D「っ……えっ……?」シュボッ

プリンツ(こちらに狙いをつけていた別のリ級へ向けて発砲。この距離なら重巡程度の装甲は意味がない)

プリンツ(放たれた砲弾は相手の胸を貫き、膝を折った敵は不思議そうにかつて自分の胸があった箇所に手を伸ばし、触れようとした)

リ級D「……がふ。……」バシャッ

ネ級B「モラッタアアアアアア!!」ドゴォン

プリンツ(そこで、左にいたネ級が発砲。砲弾はこのままだと直撃コース。が、曲げていた膝を伸ばし、回転ジャンプ)

ネ級B「ナニイイイイイイ!?」

プリンツ(アイススケートで言うところのアクセルジャンプだ。誰かが私たちを見て水上スキーと言ったらしい)

プリンツ(だけど、それは間違っている。これはアイススケートなんだ。私達は大海原という特別な舞台で踊る戦乙女とでも言おうか!)

プリンツ「インスブルック!!」

ネ級B「あぐっ……つぅ……」バシャ バシャン

プリンツ(回転中、敵を捕らえる刹那。しかし私には長い。狙って発砲、そして着弾。腹部を貫かれたネ級は、そのまましりもちをつき後ろへ倒れ込む)

プリンツ(視界がゆっくりと回転する。飛び散る血肉、弾ける水飛沫、たゆたう硝煙。そのすべてがゆっくりな世界)

プリンツ(少し離れた所では夕立が敵の駆逐艦や軽巡相手に暴れている。この分なら問題ないだろう)

ネ級A「!!」ニタァ ドゴォン

プリンツ(そして気がつく。最後の重巡が狂気の笑みを浮かべてこちらを捉えている。着地の瞬間を狙われていた。発砲される)

プリンツ(そのうち一発がどうあがいてもよけられない。相手は勝利を確信していた。このままなすすべもなくやられる?この私が?)

プリンツ(はっ!そんなわけない。私は今、全力で恋愛しているんだ!こんなところで死んでやるものか!)

プリンツ「ウィーン!!」ドンッ

ガキィン

ネ級A「っ」バスッ ドガァン

プリンツ(敵が発砲し、事態を把握した直後、私も発砲した。砲弾と砲弾がゆっくりと近づいていき、そして激突)

プリンツ(どうしても避けられなかった一発は弾道を下にずらして海へ消えた。そして上から撃ちおろした私の砲弾はそのまま弾道を上に、つまり敵の方へずれた)

プリンツ(そして敵の砲を貫く。それが内側から破裂するように膨れ上がり、亀裂から閃光が漏れた)

プリンツ(やがてそれは大きな爆炎となり噴き出し、勝利の笑みを浮かべたままの敵を飲み込んだ)

プリンツ(私は着水し、勢いを受け流すために滑りながら何回か回転して止まる。残された戦艦四隻が呆然と立ちすくんでいた)

プリンツ(私はゆっくりとそちらへ向き直る。敵戦艦はもう少しで再装填が終わる。敵の目は私に釘つけだった)

タ級B「……お前は、ナニモノだ?シニガミなのか?」

プリンツ(震える声、話せない目線、表情は何とか取り繕っているが、恐れを感じているのは確かだ)

プリンツ「……私たちが出港するとき、誰もが私達を一目見ようとする。望遠カメラまで用意して、ご苦労様だよね」

タ級B「……?」

プリンツ「だけど、それはただの移動。観艦式でさえも行進でしかない。この戦い……いや、踊りこそが本番だと思わない?」

タ級B「何をイッテいる!?」

プリンツ「私は死神なんかじゃない、ただの恋する乙女だよ。そう、アトミラールに仕える戦乙女(ヴァルキュリヤ)!!」

タ級B「ヴァルキュリヤ!?意味がワカラナイぞ!!」

プリンツ「北欧神話って知らないか。まあいいや。これは私からアトミラールに捧げる踊りなの!」

プリンツ「だからさ、私と一緒に踊ろうよ!すべてはアトミラールのために!あの女がいなくたって、戦艦四隻ぐらい余裕で撃沈だ!」サッ

タ級B「!?アクマ!!シニガミめ!!」ガチャリ

プリンツ(敵がいよいよ再装填を完了し、撃とうとしたその瞬間、砲弾が奴らに降り注ぐ)

古鷹「オイゲンさん!!無理しないで!!」

プリンツ(古鷹さんたちの援護だ。接近してきていた艦隊の仲間が、斉射をくらわせる。完璧、予想通り)

タ級B「ナニ!?」

タ級A「ヤラレタ!?テナイ!!」

プリンツ(敵は混乱に陥り、視線を艦隊に向ける。その隙を逃さない。姿勢を低くして突撃。まずは一番近いお前だ!)

タ級C「イヤアアアアアア!!」

プリンツ(それに気がついた敵は私に狙われていることに気がつくと絶叫する。さっきと同じだ)

プリンツ(砲撃をジャンプでよけて、やつの真上へ。体をひねり、魚雷発射管を真下の敵へ。魚雷を発射する)

タ級C「ヒイッ!?」

プリンツ(向かってくる魚雷を、しかし敵はかがんで避けようとする。けどまあ、当てようと思っていたわけじゃない)

プリンツ(再装填が済んでいるのはグラーツだけだ。それじゃ足りない火力を補うための魚雷だ)

プリンツ「Bye!」

タ級C「マ、マッテ!!」

プリンツ(グラーツが火を噴き、砲弾が魚雷を貫く。爆発が他の魚雷を誘爆させ、敵戦艦を吹き飛ばした)

プリンツ(爆風で加速しつつ着水、それ以上煽られないように姿勢を低くして旋回。次の生贄はどれにしようかな。……あ)

タ級A「ホントウにバケモノだ!!」

タ級B「オチツケ!!当たればシヌんだ!!あいつさえ何とかすればカテル!!」

タ級D「ホカはザコだ!!キニスルナ!!」

夕立「それは酷いっぽい。夕立とも遊んでよ」

タ級D「ナッ!?」

夕立「うふふっ!」ドン

タ級D「ガッ!!」

プリンツ(真後ろに接近していた夕立に驚愕した敵、それに対して腹部に砲撃を加える夕立。しかし装甲を抜くことはできない)

タ級D「っ……ナメルナ!!っ!?」

夕立「歌って見せてよ……!!」ニタァ ウィィィィン

プリンツ(衝撃に前かがみになり、しかしそう怒声を張り上げて顔をあげた敵の前に突き付けられたのは点火した魚雷のスクリューだった)

タ級D「ギャアアアアアア!!」グチャグチャグチャ

夕立「あはははははは!!」

プリンツ(飛び散る骨肉、響く悲鳴と笑い声。私でも背筋が冷たくなる)

夕立「すごい!お歌が上手ね!けど残念、もう行かなくちゃ」グイッ

タ級D「オオオオオオ!!オオオオオオ!!」

夕立「じゃあね、それはプレゼントっぽい!」バラバラ

プリンツ(魚雷を相手に押し付けた夕立は爆雷を投げつける。もはや言葉を発することさえできなくなったそいつが、爆発に巻き込まれて消え去ったのはその直後だった)



タ級A「チクショウ!!アクマドモメ!!」

タ級B「ハズスナヨ!!ハズシタラオワリダ!!」

タ級B(クソッ!!コンナハズデハ……!!片や氷のヨウナ冷たいビショウの重巡!!片やクルッタようなエミをウカベル駆逐艦!!)

タ級B(キョウツウしているのは、フタリトモ仲間のチニマミレて濃厚なシノ匂いをタダヨワセテいるということだ!)ヒューン

ザブン ザブン

タ級B「っ!?」

タ級A「ぎゃあ!!」ドガン

タ級B(シマッタ!!ほかの奴らをワスレテイタ!!ここまでセッキンサレテいたか!?)

タ級A「イヤダ!!シニタクナイ!!シニタクナイ!!」

タ級B「マテ!!逃げるのかオクビョウモノ!!」

プリンツ「……うふふ」

夕立「あはは!そろそろフィナーレっぽい!」

タ級B「このワタシガ……このワタシガアアアアアア!!」ドガァン

プリンツ「……残念」ヒョイ ザパン

タ級B「……っ!あ……あなた……」

プリンツ「Feuer!!」ドゴォン

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」ドン



プリンツ「ふぅ……次……っと!?」

夕立「やったー!!プリンさーん!!」ダキッ

プリンツ(最後に何事か呟いた気がするが、気にしても仕方がない。逃げた一隻を追おうとした瞬間、夕立が飛びついてきた)

夕立「すっごく楽しかったよ!!こんなの初めてっぽい!!」

プリンツ「そう?でもあと一隻残ってるよ」

夕立「ああ、あいつはどうでもいいっぽい。もう終わってるから」

古鷹「撃て!!」ドゴォン

プリンツ「!!」

タ級A「っぁ!?」ドガァン

プリンツ(どういうことか真意を問おうとした時、砲声が響いた。古鷹さんたちだ。そして逃げていく敵に着弾し、相手は沈んでいく)

夕立「さすが古鷹さん、命中!」

プリンツ「そうだね、良かった。これでアトミラールも喜んでくれるよ」

古鷹「二人とも!!」

プリンツ「古鷹さん」チマミレ

夕立「何かしら?」チマミレ

古鷹「ひっ!?ぶ、無事で良かった……!!けど勝手に突撃するなんて!!旗艦の命令にちゃんと従って!!」

夕立「ごめんなさぁい……でも、夕立たちのおかげで大勝利っぽい!!だから褒めて欲しいかも。ね、プリンさん?」

プリンツ「けど、確かに待ってって言われたのに突撃しちゃったから……ごめんなさい。軍法会議ですか?」

夕立「えー!?そんなぁ……夕立、頑張ったのに怒られるっぽい……?」

古鷹「い、いや、そこまではしないけど……でもあんな無茶な戦い方!!」

プリンツ「ごめんなさい……」

夕立「うー……ごめんなさい……」グスッ

古鷹「……とりあえず任務も完了したし、帰還しようか。二人ともよく頑張ったけど、無茶はしない事!!」」

プリンツ「はい、ありがとう」ニコッ

夕立「ホント!?やっぱり古鷹さん優しいっぽい!!ありがとうございます!!」

愛宕「で、でも、その前にぃ……その返り血をどうにかした方がいいんじゃないかしらぁ?」

プリンツ「ああ、確かにそうだね」

夕立「うへぇ……早く帰ってお風呂に入りたいっぽい」

プリンツ(とりあえず、海の水で体を洗う。べったりして気持ち悪いけど、敵の血よりは全然いいよね)

プリンツ(私は、帰還したらアトミラールがどんなに喜んで褒めてくれるだろうかと考えながら、舵をポートモレスビーへ切った)



カ級「……!!アノTF21がたった六隻……イヤ、二隻に……!?ホンブへレンラクしなくては……」



提督「そうか……にわかには信じがたいな……」

古鷹「ですが、本当にそうだったんです」

提督「戦艦一隻及び重巡四隻の単独撃沈が確実。戦艦二隻と重巡二隻が共同撃沈。それに軽巡以下の戦果多数、か……」

古鷹「プリンツ・オイゲンは戦闘中にまるで別人のように好戦的になりました。圧倒的な戦力差に物怖じすることなく突撃していきましたから」

古鷹「以前の彼女も優秀でしたがここまででは……正直、なんといえばいいのか……何か映画でも見ている気分でした」

提督「分かった。ともかく、ご苦労だった。君たちのおかげで我々は窮地を脱した」

古鷹「はい、ありがとうございます!」

提督(プリンツが……だが、そういえばあの男を殴り飛ばした時……プリンツの動きは尋常じゃなかった)

提督(艦娘とはいえ、対人戦闘は専門でないはずなのに。組手でもそこまでの成績ではなかった。一体プリンツに何があったのだろうか?)

提督(だが、今はまだ作戦の最中だ。そんなことを考えている暇はない。そろそろ、終わりの時間のはずだった)



タ級『ソロモン海でテキカンタイとコウセンチュウ!!我らユウセイ!!ソロモン海でゲキタイできます!!』

飛行場姫「ソウカ、分かった。引き続きガンバッテくれ!」

タ級『了解!』

飛行場姫「っ……はぁ……はぁ……うふふ……タエタ……タエキッタ!!ジョウホウではこれ以上のコウゲキはない!!」

飛行場姫「ぽーともれすびーの敵艦隊はマンシンソウイ!!ソロモン海のカンタイをヌケハシナイ!!」

飛行場姫「あははははは!!ヤッタワ……!!三日三晩!!キビシイ戦いだった……けど、タエタ!!私達のショウリよ!!」

飛行場姫「皆のギセイは無駄じゃなかった!!ここは南部でのハンコウの要になるわ!!ミテいてね、皆!!」

リ級「タイヘンです!!敵の……敵のカンタイがセッキンチュウです!!」

飛行場姫「なぁっ……!?バカナ!!ドコから!?」

リ級「北カラです!!カクニンされたのはコンゴウとハルナが主幹のカンタイ!!共に太平洋戦線にイタはずの奴らです!!」

飛行場姫「バカナ……トチュウデ転進したというの……!!直援カンタイは消耗している……マモリきれそうなの?」

リ級「ザンネンながら厳しいかと……しかも、ソロモン海のカンタイは今からヒキカエシテきてもマニアイません……ドウシマスカ、りこりす様!?」

飛行場姫「ああ、ソコクよ……サイゴまで戦うしかないデショウ……!!ワレワレの誇りをミセツケテやれ!!」

リ級「リョウカイしました……!!」

飛行場姫「ゾウエンカンタイさえ……ゾウエンカンタイさえ到着していれば!!オノレ……ハイイロのアクマめ!!」



金剛「涼しいネー!対電探用の隠蔽シートはToo hot デシタ」

榛名「そうですね。ですが、その甲斐あって発見されなかったようです。敵の直援は見当たりません!有力な敵艦隊は全部ソロモン海のはずです!」

金剛「Enemyはもう勝ったつもりでしょうネ。けど、これでFinish!?な訳無いデショ!!この戦いで決めてやりマス!!提督の期待に応えるためにも、頑張りマスヨー!!」

榛名「はい、お姉さま!!榛名、全力で参ります!!……っ!!敵艦隊が出てきました!!」

金剛「Good!!敵はボロボロデース!!みんなの頑張りを無駄にしないためにも、Do our best!!やっつけますヨ!!突入!!」

榛名「はい!!勝利を、提督に!!」

金剛「Burning love!!」



提督(作戦は成功に終わった。正攻法で敵を攻撃し、撃破しきれないと判断した場合は十分な損害を与えた後、わざと敵艦隊を引き付けつつ戦場をソロモン海まで下げる)

提督(その間に東部戦線から高速艦で編成した打撃艦隊を南下させ、敵拠点に止めを刺すという内容だった)

提督(しかし、敵艦隊の戦力が予想以上だった。特務戦隊、特にプリンツの活躍が無くては作戦の成功はなかっただろう)

提督「よって金剛に乙種勲章を授与する。ご苦労だった」

金剛「ありがとうございマース!!もっと頑張るから目を離しちゃNo!なんだからネ!」

提督(そして今、勲章の授与式が行われている。皆、本当に良く頑張ってくれた。何より、戦死者がでなくてよかった)

提督「うむ。……ドイツ海軍、遣日部隊所属、プリンツ・オイゲン」

プリンツ「はい!」

提督(プリンツが大きな声で返事をする。その顔には微笑みが浮かばせ、瞳を期待にキラキラと輝かせている)

提督「君は本作戦において、非常に重要な役割を果たした。特に、特務戦隊として敵の増援部隊を撃破した際の貢献は計り知れない」

提督「よってプリンツ・オイゲンに甲種勲章を授与する。ご苦労だった」

「「「「!!」」」」

プリンツ「アトミラール……Danke schön!!とても嬉しいです!!これからも引き続き頑張ります!!」

提督(初の外国艦娘に対する甲種勲章授与にざわめく。だが、当然のことだ。それほどの活躍をしてくれた)

提督(プリンツはまるで無垢な少女のように愛らしい満面の笑みを浮かべ、そして誇らしげに胸を張って見せる)

プリンツ「……♪」ジッ

提督「っ!」

提督(微笑ましく思っていたところで、唐突にプリンツが少しだけ顎を引き、若干上目遣いの流し目でこちらを見つめる)

提督(誘うような微笑。先ほどまでの可愛らしい少女から一転、まるで妖艶な大人のような色香を漂わせる)

提督(その妖しく輝く緑の瞳に吸い込まれそうになったところで、正気に戻った)

提督「う、うむ。期待しているぞ。以上で授与式を終了する。皆、本当にありがとう。よく頑張ってくれた」

提督「短いが、皆には休暇が待っている。ゆっくりと休んでいくれ。以上、解散」

長門「敬礼!」

提督(危ないところだった。あのままプリンツを見つめていたら、一体どうなっていたのだろうか。いや、考えるな)

提督(さて、執務室へ戻らなくては。作戦の評価を纏めて提出するまでが俺のい号作戦だ)

提督(これからはまた忙しくなる。まあ、艦娘たちの命の危険がないだけで作戦中よりだいぶマシだ)



プリンツ(授与式の後、祝宴が開かれた。攻撃艦隊の皆は美味しい料理とお酒を楽しむことができた)

プリンツ(アトミラールは少し食べただけで、すぐにいなくなってしまった。お話ししたかったけど、いろいろあってできなかった)

プリンツ『アトミラー』

金剛『Hey!!提督ぅー!!お久しぶりデース!!貴方の金剛が戻って来ましたヨ!!』

榛名『提督、お久しぶりです。榛名がお酌を務めさせていただきますね』

提督『久しぶりだな、金剛、榛名。二人とも、壮健そうで何よりだ。できればゆっくり話をしたい報告書を書かなくてはならないんだ』

金剛『No!!そんなぁ……』

榛名『そうですか……そうですよね……榛名にお手伝いできることはありますか?』

提督『ありがたいが、君たちはもう十分頑張った。休暇の間はゆっくりしていてくれ。ではな』

プリンツ『あぅ……どうしよう……』

夕立『プリンさーん!』

暁『ちょっと夕立!プリンさんって何よ!ちゃんとプリンツって呼びなさい!』

雷『そうよ!失礼じゃない!』

響『プリンツ、こっちで一緒に食べないかい?皆プリンツの話を聞きたがっているんだ』

電『夕立ちゃんがとってもすごかったって!是非、お話してくれませんか?』

プリンツ『そうだね……分かった。いいよ』ニコッ

プリンツ(それもお開きになって、寝ようと思ってベッドに入った。けど、どうも体が火照っている。疼きが止まりそうもない)

プリンツ「んん……」ジンジン ムラムラ

プリンツ(たぶんこの前の戦闘で、なんというか……本能?のようなものがむき出しになったからだと思う)

プリンツ(今思い返しても、ぞくぞくする。それほどにまで興奮した。生と死の境目に立つ感覚。命を懸けて戦うということに)

プリンツ(だからなのかな。この体の疼きは本能的に異性を、アトミラールを求めていた。けど今はまだ自分で何とかするしかない)

プリンツ「んふっ……アトミラール……」クチッ クチュ クチュ

プリンツ(授与式の時、視線で誘いかけてみたらアトミラールの反応は悪くなかった。アトミラールは私を意識している。上手くいっている)

プリンツ(もうすぐ。順調に関係を深められている。きっともうすぐでアトミラールは私を選んでくれるはず……!!)

プリンツ(ああ、アトミラール……!!待ちきれない……!!……この疼きが治まるまで、まだ時間がかかりそうだった)



提督「……」カリカリ

提督(作戦後の報告書の作成や全体の評価。発生した問題点やその改善策の提案など。やることは山ほどあり、時間は全く足りない)

提督「今日も頑張らなくてはな……」

プリンツ「失礼します。アトミラール」

提督「プリンツか。どうした?」

プリンツ「手伝いに来ました」

提督「手伝い?休暇は休めと言ったろう」

プリンツ「気遣ってくれているんですよね?ありがとうございます。でも、私が前に言ったことを覚えていますか?」

提督「前に?……ああ、頼ってくれって言ってくれたことだな。覚えているよ」

プリンツ「はい。見た所、仕事の量はとても多そうですが」

提督「……プリンツ。すまないが、頼まれてくれるか?」

プリンツ「はい、喜んで!」



提督「よし、今日はここまでにしよう。手伝ってくれてありがとう」

プリンツ「いえ、当たり前のことをしただけですよ。それにしても量が多いですね。大丈夫ですか?」

提督「なに、朝から晩まで頑張れば期日までには……明々後日までには終わる。」

プリンツ「そうですか。私も手伝いますよ」

提督「今日やってくれただけでもう大丈夫だ。徹夜する必要がなくなったからな」

プリンツ「でも……」

提督「君は優しいからな。いつも助けられている。休むこともまた重要だ。気持ちだけもらっておこう」

プリンツ「……なら、私がご飯とか作りましょうか?」

提督「!?」

プリンツ「料理とかも結構時間を取りますよね?だから、それを私がやりますよ。そうすればアトミラールも少し楽でしょう?」

提督「だが……」

プリンツ「どうせ自分の分はやっているんですし。それに休暇と言っても明々後日、日本に戻るまでは特にやることがないですよ」

提督「そうか……なら頼もうかな」

プリンツ「あ、ただ……もしよろしければアトミラールの家でやってもいいですか?」

提督「俺の家で?」

プリンツ「私の所でやってもいいんですけど……どうせならアトミラールの所のキッチンを使わせてくれると楽なんです」

提督「そうか。もちろんだ。明日、合鍵を持ってくるよ」

プリンツ「いえ、今日取りに行きますよ!朝ごはんとかも作れますし」

提督「朝ごはん!?夜だけじゃないのか?」

プリンツ「夜はもちろん!朝も、昼のお弁当も任せてください!お風呂だって沸かせちゃいますよ!」

提督「し、しかし、そこまでしてもらうのはさすがに悪いだろう……」

プリンツ「いいんです!それぐらいやらせてください!」

提督(家の合鍵を渡して家事をして貰うなんて、まるで恋人みたいだな……いや、ヘンなことを考えるな!)

提督(プリンツは善意で言ってくれているんだ。それに、今は本当に忙しい。確かに助かる。この上ない提案だ!)

提督「分かった。頼むぞ」

プリンツ「はい!」



提督『とりあえず帰る前に食事でもしていくか?と言っても食堂ぐらいしかないのだが……』

プリンツ『いえ、私が作りますよ。食材はあるんですよね?』

提督『そ、そうか。それはありがたい。一応あるが、必要な物があるかは分からんぞ』

プリンツ『あるもので作りますよ。では行きましょうか』

提督『ああ、行こうか』

プリンツ(という訳で、その後アトミラールの家について行き、夜ご飯を作って一緒に食べた)

プリンツ(美味しいと笑って食べてくれた。それだけで幸せだ。そして食後はゆっくり話して過ごす。まるで夫婦のよう)

プリンツ(この幸せ、いつか必ず手に入れて見せる……!!)

提督「おっと、もうこんな時間か。さて、これが合鍵だ。家まで送ろう」

プリンツ「はい、ありがとうございます。……!」ハッ

提督「じゃあ行こうか。車を出すよ」

プリンツ「お願いしますね」ニコッ

プリンツ(そして気がつく可能性。遅くまでいると送ってもらえるが、それは明らかに手間だ)

プリンツ(ならばいっその事、泊めてもらえればいいんじゃない……!?同棲なんて……ステキ!)

プリンツ(そうと決まれば明日は着替えとかを持ってこないと。ああ、なんで持ってこなかったんだろう!)

プリンツ(もし持ってきていれば、今日から泊まり込めたのに!そしたらあんなことやこんなことが……!!えへへっ!!)

提督「……ンツ。……プリンツ?着いたぞ」

プリンツ「!?は、はい!!」

提督「じゃあまた明日。頼むぞ。……けど、朝ごはんはやはりきつくないか?」

プリンツ「大丈夫です!では、また明日お会いしましょう! Gute Nacht!」

提督「ああ、お休み」

プリンツ(……今日もちょっと発散させなくちゃダメかな。いけない、自重しなくちゃ)



プリンツ「アトミラール、起きてください。朝ですよ」

提督「……ああ、今起きる。……ってプリンツ!?何しているんだ!!」

プリンツ「何って……朝ごはんを作りに来たんですよ。はら、もうできてますよ」

提督「ああ、そうだったか……そうだった。悪いな。ありがとう、プリンツ」

プリンツ「はい、どういたしまして!」



プリンツ「食器はそのままでいいですよ。洗濯物は出しておいてください。洗濯しておきますから」

提督「洗濯までしてくれるのか!いや、さすがにそれは……」

プリンツ「気にしないでください!このかごですよね?洗濯物入れ。これに入れておいてください」

提督「っ……じ、じゃあお願いしよう」

提督(下着は別にまとめておいて、今度洗濯しよう……)



提督「では行ってくる」

プリンツ「あ、待ってください!お弁当をどうぞ!」

提督「ありがとう」

プリンツ「外まで見送りますよ。今日はいつお帰りになりますか?」

提督「そうだな……十時には戻りたいところだ」

プリンツ「分かりました。では、お仕事頑張ってきてください」

提督「ああ、行ってくるよ」

プリンツ「行ってらっしゃい!」フリフリ

提督「……」

提督(何だこれは!?まるで夫婦じゃないか!!なんというか……幸せだ。だが、いけないぞ俺!)

提督(思い出せ!ビスマルクだって最初の頃はこうして……っ!いや、思い出すな!もう訳が分からん!)

提督(……とりあえずやるべきことに集中しよう。それが一番だ)



プリンツ「ふんふんふ~ん♪」

プリンツ(よし、洗濯物も干したしお掃除も終わった!あとは夕方お買い物に行くまでは暇だな)

プリンツ(何しようかな。……そういえば、誰も居ないんだよね?そしてここはアトミラールの家……)

プリンツ(私の足は勝手に動き始めた。アトミラールの寝室の扉を開け、そこにあるベッドに目が釘つけになる)

プリンツ「……ごくっ」

プリンツ「……」キョロキョロ

プリンツ(遮るものは何もない。目撃者も誰もいない。……)

プリンツ「えい!」ボスッ

プリンツ(気がついたら飛び込んでいた。アトミラールの匂いに包まれる。まるで抱かれているみたい)

プリンツ「んはぁ……んぅ……や、やば……すごいぃ……」ゴロゴロ スリスリ

プリンツ(湧き上がる情動、火照るからだ、鈍る思考。布団に包まりながら手が伸びかける。まずい、それだけは駄目だ!バレちゃう!)

プリンツ「はぁ……はぁ……っ!!」ムラッ ガラッ ビクッ

プリンツ(……見つけてしまった。気を紛らわせるためにたまたま開けたベッドサイドチェストの中)

プリンツ(そこに透明なビニールに入れられて置いてあったのはなんと……アトミラールの下着だ!!)

プリンツ(洗濯物に下着はなかった。まあ、私に配慮して後で洗うつもり、といったところかな)

プリンツ(しかも、化粧水やらに交じってタオルまで……タオル……これを下に敷けばあるいは……)

プリンツ「……Nein. Nein nein nein…… Das ist nicht gut…(駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ……そんなことしちゃいけない……)」

プリンツ(そんなの、変態だ。しちゃいけないことだ。分かっている、そんなことは……)

プリンツ(けど、手が止まらない。震える手でビニールとタオルを取り出す。ビニールは縛られていない)

プリンツ(タオルを腰の下に敷いて、震える手で中からそれを取り出す。もはや止めることはできなかった)

プリンツ(それを鼻にあてる。濃厚な男の人の、アトミラールの匂い。まるで、麻薬のよう)

プリンツ(……私は、スカートをずり下ろし、下着も下げて指をあてがう。指が動くのが止められない)

プリンツ(気がついた時には胸元もはだけさせて、ブラのホックを外してずり上げ、空いている方の手で揉みしだいていた)



提督「ただいま」

プリンツ「あ、アトミラール!お帰りなさい」

提督「ああ、良い匂いだ!」

プリンツ「ご飯にしますか?それともお風呂ですか?」

提督「そうだな、まずは食事にしようかな」

プリンツ「分かりました。おカバンをどうぞ!」

提督「ははっ、大丈夫だよ。自分で片付ける」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督(自分の部屋に戻って、カバンを置いて部屋着に着替えよう。と思って歩いていると、プリンツがついてくる)

提督「リビングで待っていてくれていいんだぞ?」

プリンツ「いえ、お構いなく」

提督「?」

提督(……どういうことだ?不思議に思いながらも自室に戻る。すると変化に気がついた)

提督「この香り……」

プリンツ「……!」ドキッ バクッ バクッ

提督「芳香剤か?良い匂いだな」

プリンツ「そうですか……!良かったです!私のお気に入りなんですよ!」

提督「……もしかして、臭ってたか?」

プリンツ「!?まさか!!違いますよ!!ただ、何の香りもないのはちょっと寂しいかなって思って……」

提督「そうか!ならよかった。……さては、これの感想が聞きたくてついてきていたんだな?」

プリンツ「えっ、そ、そうですよ。流石ですね、アトミラール。どうですか?」

提督「甘くて、けど自然な香りだ。良い香りだな、気に入ったよ」

プリンツ「それは良かったです!」

提督「さて、食事にしようか」

プリンツ「そうですね、もうお腹ペコペコです」

提督「待っていたのか?先に食べてくれてよかったのに」

プリンツ「そんな事言わないでください。一緒に食べたかったんです」

提督「悪いな、ありがとう」



提督「さて、そろそろ帰るか?送っていこう」

プリンツ「アトミラール、一つ提案があるんですけど」

提督「何だ?」

プリンツ「アトミラールさえ良ければ、私もここに住まわせてくれませんか?」

提督「!?」

プリンツ「その方がいろいろと便利ですし、アトミラールも毎晩送っていくのは手間ですよね?」

提督「い、いや!それはまずい!年頃の女の子がみだりに男の所に泊まるなと言われただろう?それに、俺にはビスマルクが……!」

プリンツ「……それこそ、大丈夫ですよ。アトミラールはそういった間違いをする人ではありませんよね?」

プリンツ「ただ、部下を部屋に泊めるだけです。空き部屋もありましたし、ね?実はもう荷物を持ってきているんです」

提督「なん……だと……」

プリンツ「……たった二日。今日と明日だけですよ?明後日には帰国じゃないですか」

プリンツ「お仕事のために、ですから。ね?……けれど、もしそれでもとおっしゃるのであれば、送っていただかなくても結構です」

プリンツ「それこそ、その分の時間がもったいないですから。私だって、子供ではないので一人で帰れますよ」

提督(っ……ここまでしてくれているプリンツを一人で帰らせるなんてできない。それに、この関係に心地よさを感じてもいた)

提督(別に浮気ではない。ただの上司と献身的な部下だ。親しい友人と言ってもいい。それなら悪くはないだろう)

提督(プリンツだって、きっとそう思っていてくれてるはずだ。俺がビスマルクと結婚していることは知っているのだから)

提督「……分かった。その方が君にとってもいいのならそうしよう。俺は問題ないからな」

プリンツ「ありがとうございます!……では、時間も時間ですしお風呂に入りたいかと思うのですけど……先に入ります、か?」

提督「!!あ、ああ。君が決めてくれ。俺はどっちでもいい」

プリンツ「では、先にいただきますね」

提督「わ、分かった……」

提督(この前のホテルの時を思い出してしまうな……だが、落ち着け。あの時はホテルだったが、ここは普通の家だ)



プリンツ「ぶくぶくぶく……」

プリンツ(未だにアトミラールの中では、あの女が大きく居座っている。予想よりも、大きく)

プリンツ(アトミラールは一度、客観的に自分が何をされたのか考えてみたほうが良いと思う)

プリンツ(そして周りを見渡して、本当にふさわしいのが誰か早く気がつくべきじゃないかな)

プリンツ(……けど、家に泊めてくれるぐらいにまで関係は発展しているんだ。すぐに私が目を覚まさせてあげる)

プリンツ「ん、あがろ」ザパッ



提督(プリンツの助けもあって、俺は無事に帰国までに報告書をまとめることができた。それを提出し、帰国の途につく)

提督(そして直接司令部まで赴き、報告を行う。すべては滞りなく行われた。そして勝利の凱旋、観艦式が行われる)

提督(俺も挨拶などで忙しかったが、なんとか無事に終わらせることができた。ようやく休暇に入ることができる)

提督(それはつまり、連絡できていなかったビスマルクに連絡することができるということだ。きっと時間が長くかかる)

提督(俺はすぐに電話をしたい衝動を抑えて自宅に戻り、すぐさまビスマルクへ電話をかけた)

ビスマルク『アトミラール!!』

提督「ビスマルク!!久しぶり……になってしまったな」

ビスマルク『ええ。連絡してもつながらないし、確認したら作戦前で連絡が取れないって……』

提督「ああ、俺もあの時は作戦で連絡できなくなることを忘れていた……連絡できなくてすまなかった……」

ビスマルク『いいの、気にしないで。こうして、終わってすぐに連絡してくれたじゃない』

提督「そう言ってもらえるとありがたい。……声が聞けて良かった。それで、いつ戻ってくるんだ?」

ビスマルク「再来週には戻れるわ!」

提督「そうか!楽しみだ!」

ビスマルク「私もよ!……っ……あの、ね?アトミラール」

提督(声音の変化に話題が面白いものではないことを察する。一体なんだろうか?)

提督「どうした?」

ビスマルク『あのね……私、……私、ね』

提督「……ああ」

ビスマルク『私……堕ろしたの』

提督「……!!っ……そ、そうか」

ビスマルク『……』

提督「……ビスマルク。俺は、……人として最悪だが、それを聞いて……安心した。……嬉しいよ」

ビスマルク『アトミラール……ごめんなさい……そんな事言わせてしまって……私……』

提督「いいんだ!それよりも、聞いてくれ。もう知っていると思うが、い号作戦は成功した!」

ビスマルク『っ、そ、そうね!知っているわ!おめでとう、アトミラール!!』

提督「言っただろう?成功を確信したと。褒美を期待しているからな」

ビスマルク『ええ、期待していてね!きっと喜んでもらえるはずだから!』

提督(その後、いろいろと雑談をした。電話を切った時には通話時間が二時間に迫っていた。俺は、ラガヴーリンとショットグラスを持って自室へ戻る)

提督(蓋をあけようとしたところで、自分の手が震えていることに気がつく。強引に蓋をあけ、グラスに注いで一気に呷る)

提督「……」

提督(ビスマルクが堕胎を選んだというのは、俺にとって本当に衝撃的だった。まさか、そうするとは思っていなかったからだ)

提督(……俺が思ったことは、先ほどビスマルクに言ったとおりだ。そう思って当然だと思う)

提督(育てるしかないかという気持ちはあった。諸説あるが、かつてあのモンゴル帝国を築いたチンギス・ハン)

提督(その長男とされているジョチは妻が敵にさらわれた時に孕まされた子供であるという)

提督(しかし、チンギス・ハンはその子を実の息子として育て、実子たちがジョチを敵の子と罵っても自らの長男として扱ったという)

提督(俺は、歴史の偉人と比ぶべくもない。しかし、そんな心の広く寛容な男になりたいと思っていた)

提督(だが、やはり嫌なものは嫌だ。俺は、嬉しかった。せいせいしたと言わざるを得ない)

提督(堕胎なんてという人も大勢いるだろう。子供の命を何だと思っているのだと言うのもわかる)

提督(だが、それは当事者の心境を無視しているのではないだろうか?少なくとも、俺はそう思った)

提督(どちらにせよ、このことできっとビスマルクが一番深く傷ついている。そんなあの子を支えるのは俺の役目だ)

提督(震える手でもう一杯注ぎ、呷る。早く酔って、寝てしまいたかった)



プリンツ(日本での休暇が始まった。それはつまり、いつものように司令部でアトミラールに会えないということだ)

プリンツ(つまり、会うためには自分から会う予定を作らなくてはならない。けど、貴重なこの機会に焦らしもまた必要)

プリンツ(考えた私は、偶然にも一週間後にある好きなドイツのメタルバンドの来日公演にアトミラールを誘うことにした)

プリンツ(知り合いのファンが急用で行けなくなり、ペアチケットで良ければ譲るという連絡があったのだ)

プリンツ(以前にドイツで販売しているグッズを買ってあげただけの、顔も知らない人だったけど。情けは人の為ならずだ)

プリンツ(もちろん譲ってもらった。これはまさに天啓だ!主は仰られている。アトミラールをライブに連れて行けと!)

プリンツ(前に聞かせてあげた時に好きだって言ってたし!怖いのは予定が埋まっていた場合だが、それならそれで他に考えればいい)

プリンツ(一週間会わないという焦らしにもなるしね!攻めばかりが恋愛ではない!という訳で、電話する。もう遅いけど、きっと起きているはずだ)

提督『……プリンツか?どうした』

プリンツ(!……結構、酔っている?お酒を飲んでるんだ……誰と?)

プリンツ「あ、アトミラールですか?すいません、ちょっと聞きたいことがあって連絡したんですけど……酔ってます?」

提督『さあ……酔えているのなら、飲まないほうが良かったな……』

プリンツ「アトミラール……?大丈夫ですか?周りに誰かいますか?もし助けが必要ならすぐに行きますよ?」

提督『いや、大丈夫だ。今、自宅で一人呑みをしていてな。悪く酔ってしまったみたいだ。それで、何の用だ?』

プリンツ「そうですか、分かりました。……アトミラールって今週末何か予定がありますか?」

提督『今週末……いや、何もなかったと思うが。どうした?』

プリンツ「実は、私の好きなメタルバンドの来日公演があるんですよ。ほら、前に聞いた時に好きって言ってましたよね?」

プリンツ「なので、是非一緒に行きませんか?こっちじゃマイナーなんでライブハウスでなんですけど」

提督『そうか……悪いが、今はそんな気分じゃ……いや、やはり行こうかな。リフレッシュするにはちょうどいいかもしれん』

プリンツ「そうですか!Gut!では後で詳細をメールしますね」

提督『ああ、分かった』

プリンツ「私、とても楽しみです!では失礼しますね。おやすみなさい!」

提督『ああ……お休み……』

プリンツ「アトミラール、すごく元気なかったな。どうしたんだろ……でも、行く約束できた!Super!」

プリンツ(楽しみで仕方がない!それに、もしアトミラールに何か嫌なことがあって元気がないのなら、私が癒してあげられる!)

プリンツ(私はその日の予定をワクワクしながら考える。ベッドに入ってもすぐには寝れなかった)



提督(久しぶりに里帰りして両親と会い、旧友たちと親交を温めていたらあっという間に約束の日だった)

提督(ビスマルクとは毎日電話をしたが、今日ライブに行くことは話さなかった。別にそこまで悪い事ではないはずだが、なんとなく言い出せなかったのだ)

提督(さて、夕方の繁華街で待ち合わせの時間を待つ。遊びに出てきた若者たちやカップルたちの中にいると戦時ということを忘れそうになる)

提督(おそらくここにいる人たちにとって戦争とはテレビの中だけの話になっているのだろうなと思うと、複雑な気分だ)

プリンツ「あ、アトミラール!!」

提督「プリンツか。……っ!?」

提督(声をかけられ、そちらを向く。そこにいたのは確かにプリンツだったが、服装が凄かった)

提督(ブーツを履き、ガーターストッキングにミニの柄入りプリーツスカート。そして、おそらくそのバンドのモノであろうシャツを着ている)

提督(しかも、へそ出しだ。綺麗な白い肌と形の良いへそが惜しげもなく晒されている)

提督(そしてプリンツの左下腹部にはなんとタトゥーが彫ってあった。全部は見えないが、手のひらぐらいの大きさで雪の結晶のような模様だ)

提督(シャツの上には革製のジャケットを羽織り、山岳帽を被っている。色はすべて黒やそれに準ずる色だ)

提督(さらに言うと、腰にはチェーンがついており、首元には鉄十字のアクセサリーをかけている)

提督(たまにこんな感じの服装の人間を見かけるが、大体が服に負けて痛々しいことこの上ないことになっている)

提督(しかし、プリンツはスタイルが良くて美人であるためか見事に着こなしていた。圧倒的な存在感を放っている)

提督(周りは皆プリンツに見惚れており、そしてその待ち合わせ相手である俺にも嫉妬や羨望の視線が集中した)

提督「何というか……すごい格好だな。もしかしてこの格好じゃまずいか?」

プリンツ「いえ、大丈夫ですよ。向こうでシャツを買ってそれに着替えればいいんです。もちろん、私がお金出しますよ」

提督「何言ってるんだ、自分で買うよ。もちろんチケット代も出すからな。……それにしても、本当にすごい格好だ」

プリンツ「えっ、似合ってませんか……?」チラッ

提督「まさか!すごい着こなせてるよ。けど、普段の君からは想像がつかなかった」

プリンツ「そうですか?ならよかったです!今日はライブですから。普段からこんな格好しているわけじゃないですよ?」

提督「そうか。まあ、似合ってるからいいと思うが。……タトゥーしているんだな」

プリンツ「えっ?あ……もしかして、嫌でしたか?」

提督「まさか。個人的にはあまり下品じゃなければ、むしろ好きな部類かもな。それに、向こうじゃ普通なんだろ?」

プリンツ「はい。なんで日本じゃこんなに嫌われているんですかね?」

提督「分からん。柄の悪い連中がよくしているからかな。……そのタトゥーは雪の結晶なのか?」

プリンツ「これですか?いえ、Galsterですよ。ルーン文字を組み合わせたものです。日本で言うと……魔法陣っていうんですかね?」

プリンツ「願いや想いを込めてルーン文字を記号にしたものです。ヨーロッパではポピュラーですよ。これは、『守る力、挫けぬ意志、栄光ある運命』です」

提督「へぇ……なるほどな。他にもタトゥーはしているのか?」

プリンツ「え?はい、あと右肩のところにもありますよ。見ますか?」

提督「いいのか?」

プリンツ「もちろんです!ん……ほら、これですよ」グイッ

提督(プリンツは上着を脱いで、袖を捲って見せる。そこには見たことのない記号、おそらくルーン文字が彫られていた)

提督「へぇ……これもルーン文字か?」

プリンツ「はい、飾り文字になってますけど。PerthroとEhwazでPEです。Prinz Eugenですよ」

提督「なるほどな……」

提督(まあ、タトゥーも悪くないものだ。大事なのはその人自身だからな。と思っていたところで気がついてしまう)

提督「!!」

提督(捲り上げた袖から覗く脇に、気がついてしまった。俺はそんなフェチやらではないが、だが……確かに彼らの気持ちも分からんでもないな)

プリンツ「あ、あの、アトミラール?そろそろいいですか?」

提督「あ、ああ!もちろんだ!すまなかったな」

プリンツ「いえ、大丈夫です。ただ、ちょっと周りの視線が……」

提督「っ!そうだな、すまない。では行くとしよう。夜は食べてから行くのか?」

プリンツ「ええ、ライブは0時からですからね」

提督「0時!?やけに遅いな……」

プリンツ「はい、それが彼らのこだわりなんですよ。ただ、9時ころからからライブハウスは開いていて、ライブ会場以外のスペースはクラブみたいになってるんです」

プリンツ「なので夜を食べてから少し飲んで、それで9時ころからもう入っちゃおうかと思ってるんですけど、どうですか?」

提督「なるほど、分かった。ではどこで食べようか?」

プリンツ「実は行ってみたかったところがあるんです。ついてきてくれますか?」

提督「もちろんだ」



提督(プリンツの言ってみたかったところとは、回転寿司だった。と言っても一皿100円の所ではなく、上品な感じの雰囲気の店だったが)

プリンツ『すごい……!本当にお寿司が回ってますよ!私、誇張だろうと思っていました!』

提督『そうか、それは良かったな』

提督(そこで食事を済ませ、手ごろなバーに入った。軽く酒を飲んで時間を潰す。飲みすぎないように注意しなくてはな)

提督(そして、9時を少し過ぎたところでライブハウスへ向かった。広さはそこそこだが、想像よりは狭く、広めの会議室程度しかなかった)

提督(まあその広さの部屋がいくつかある時点で広いか。それぞれの部屋ではDJが音楽を流していてスモークのようなものが焚かれている)

提督(あとは酒を買うためのカウンターがあり、いくつかの机や椅子、座るためのバリカーみたいなものがある)

提督「結構人が居るな」

プリンツ「まあ、今日はライブですからね。これからもっと混んでくるんじゃないですか?」

提督「ふむ……とりあえず何か飲むか?」

プリンツ「はい!」

提督(適当に飲み物を買って、しかし席は開いていない。隅の方で音楽を聴きながら飲む)

プリンツ「アトミラール、これをどうぞ」

提督「……耳栓か?」

プリンツ「ライブの時とDJが本気で音楽を流し始めた時は、そのまま聞くと耳が聞こえなくなっちゃいますから」

提督「なんとまあ……」

プリンツ「つけてても十分聞こえますし、好きな曲の時は取ればいいんですよ」

提督「そういうものか、ありがたく受け取っておこう」

プリンツ「はい。……そろそろ向こうへ行きませんか?踊りたいです」

提督「踊る!?……何を踊ればいいんだ?まさかワルツじゃないよな」

プリンツ「あー……ワルツ踊れるんですか?なら今度一緒に踊りましょう。……まあ、リズムに合わせて体を揺らすだけでいいんですよ」

提督「そうか……」

プリンツ「適当でいいんですよ!みんな適当です!さあ、行きましょう」

提督「分かった」

提督(人だかりの中にはいっていく。混んでいるがまあ何とか進めないほどではない)

提督(いい感じの場所に来たところで、プリンツと談笑しながらリズムに乗っている。しばらくしてから、トイレに行きたくなった)

提督「すまないがトイレに行ってくる。ちょっと待っていてくれ」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督「すぐ戻る」

提督(トイレらしき方向へ向かっていく。何とか見つけたが、かなり並んでいた。とりあえず他の場所のトイレを確認してみよう)

提督(部屋を移ると、無事に空いているトイレを発見した。が、凄いものを目撃した)

提督「おお……なんて奴らだ……」

提督(それは白人のカップルだった。部屋の真ん中、割とダンスが上手い連中たちが踊っている所にいる)

提督(彼らはまるで立ちバックをしているように踊っていた。女性が男性の前に立ち、臀部を相手の下腹部に擦り付けるような感じだ)

提督(男性は男性で女性の体をなでまわし、手を握り、もはややりたい放題だ。なんて卑猥なのだろうか!)

提督「これがカルチャーギャップか……まあ、どうでもいい。トイレだ、トイレ」

提督(トイレを済ませ、プリンツの元へ戻る。すると、面倒なことになっていた)

男「いいじゃん、向こうで俺と飲まない?」

プリンツ「お断りします」プイッ

提督(プリンツが知らない男に絡まれていた。まあ、こういう場所だ。そう言う人間もいるのだろうな)

提督「プリンツ、待たせたな」

プリンツ「アトミラール!!」バッ

男「男連れかよ……そんなイケてない格好の奴より俺と遊ぼうぜ?」

プリンツ「ちっ……アトミラール、ちょっと失礼しますね」ボソッ ダキッ

提督「こういう輩と真面目に取り合わない方がいいぞ。っ!?」

男「っ!!」

プリンツ「悪いけど、私は貴方みたいな似合わないのに髪を染めてたり、ピアスをつけてたり、服に着られているような奴に興味ないから」ギュッ

プリンツ「この人みたいに、カッコよくて、凛々しくて、真面目な人が好きなの。私はこの人のモノなの」ジッ

プリンツ「分かったらさっさと失せて?邪魔だから。まあ、見ていたいって言うならそこらで覗いていれば?」チラッ

提督(プリンツは、ぼそりと俺に謝ると抱き付いてきた。そして脚を絡ませ、強く抱きしめて体を擦りつける。熱っぽい瞳で見つめられた)

提督(そして、憐れみと蔑みの混じった視線でちらりと絡んできていた男を見下す。俺は、驚きの余り固まってしまっていた)

男「こ、この……!!」

プリンツ「さあ、踊りましょ?アトミラール!」

男「待tっ!?」

提督「!!」

提督(タイミングよく流れ出す大音量の音楽、そして有名らしいDJの登場に歓声が上がる。他の場所からも人が集まってきたのか、いつの間にか大混雑だ)

プリンツ「……♪」ペロッ

提督(プリンツを見ると、いたずらっぽく微笑みながら舌を出す。そして俺に背を向けると、なんと臀部を俺の下腹部に押し付けてきた)

提督(そして手を恋人つなぎにし、体を妖艶にくねらせ、その年の割に大きな胸を揺らしながら、肩越しにこちらを振り返る)

提督(いつもの、いわば天使のようなプリンツからは想像のできない、まるでサキュバスのような微笑み)

提督(細められた目から覗く緑の瞳はキラリと光り、薄紅色のプリッとした唇は色っぽく開かれ、それを舐める舌が誘うようにチラチラと揺れている)

提督(これはさっき見た……!!いつのまにか、俺とプリンツの周りには人だかりができていた。プリンツに視線が集中する)

提督(絡んできていた男は、屈辱と嫉妬に肩を揺らして人ごみの中に消えていった。さて、俺はどうすればいいのか……)

プリンツ「っはぁ……アトミラール……触ってください……」ギュッ

提督「な、なんだって……!?」

提督(プリンツは手を放すと、両手を上げて肩越しに俺の顔に触れる。頭と全身をすりつけてくる)

提督(俺は、とりあえず片手でプリンツの頭を抱えてもう片方の手で……一番大丈夫そうなプリンツの腹部に触れる)

プリンツ「んっ……はぁ……」スリスリ

提督「……!!」ナデナデ

提督(先ほど見た白人カップルを参考に、無心でプリンツを愛撫する。もちろん、大丈夫な範囲でだ)

提督(まるでAVにでも出ている気分だ。しかし、その卑猥なダンスも曲の終了と共に終わりを告げた)

プリンツ「……の、喉が渇きましたね?ちょっと飲みにもどりませんか?」

提督「あ、ああ、そうだな……」

提督(恥ずかしさの余り部屋も変えるが、男どもがぞろぞろとついてくる。プリンツのあれに期待してだろう)

提督(くそっ……お前ら、もう少しさりげなくできないのか!?バレバレなんだよ!!)

提督(飲み物を購入し、しばし談笑。それからまた前の方に出て二人で向かい合いながら軽くリズムを取る)

提督(周りの奴らはアレを期待しているようだが、頼まれたってやってやるものか!これ以上プリンツをいやらしい目で見させるわけにはいかない)

提督(普通に踊る。周りでやっている人が居たから、何度か手を上にあげてくるりとプリンツを回転させてみた。誰よりも綺麗に回っていた)

提督(そしてライブの時間が近づき、二人で並んで待機、チケットを渡してシャツを買い、その場で着替える)

プリンツ「はぅ……すごいからだ……」ウットリ

提督「よいしょっと……ふぅ……ん?どうした?」

プリンツ「い、いえ!何でもありませんよ。では行きましょうか!」

提督「ああ」

提督(タイミングが良かったようで、入場開始と共に会場へ着いた。最前列を取ることに成功する)

提督(三十分程話しながら待って、ようやくライブが始まった。プリンツは大興奮だった)

提督(プリンツのお気に入りというジャーマンメタルの演奏を聴く。確かに耳栓があってよかったな)

提督(大きな映画館のシアターほどの広間が、人で埋め尽くされている。席などない。後ろから押される)

提督(俺はプリンツを守るために、前にすっぽりと抱きかかえるようにする)

提督(プリンツは何かを言っていたが音楽と大歓声で聞き取れない。しかし、のばされた手を握った)

提督(すべてが終わった時にはもう明け方だった。電車も動き始めている)

プリンツ「いやぁ~サイコーでしたね!」

提督「ああ、良いメロディーだった」

プリンツ「好きな曲全部演奏してくれたし、大満足ですよ!」

提督「よかったな。俺も前に聞かせてもらったのが流れて良かったよ。あれが一番良かった」

プリンツ「ああ、あれですか!あれはイントロが良いんですよね!」

提督「そうだな。ところでプリンツ、君はこの後どうするんだ?」

プリンツ「そうですね……もしよければ、これから飲みなおしませんか?目が冴えちゃいました」

提督「なるほどな。まだぎりぎりほろ酔いって感じだし、それもありだ。だが、こんな時間からどこで飲む?」

プリンツ「アトミラールの家とかどうですか?実は私、ウォークマンに曲を入れてきてるんですよ。二人でゆっくりしたところで聞きたいです」

提督「俺の家か……分かった、そうしよう」

プリンツ「っ!!Gut!!じゃあさっそく行きましょう!!」

提督(適当にタクシーを拾って自宅へ向かう。ライブの話をしていたらいつのまにか着いていた)

提督(プリンツを客間に待たせて、とりあえず酒を見繕う。何がいいか……アイリッシュ・クリームにクヘーム・ドゥ・カシス)

提督(あとはハイネケンを数本と何かワインを……ベルンカステラーがあるか。これだ)

提督(待てよ、蒸留酒がないぞ。何か……スブロッカでいいか。それにコップやソーダ、ジンジャーエール、レモン類)

提督(そして牛乳にコップをいくつか。氷、後はつまめるものを。栓抜きとコルク抜きも忘れずに)

提督(これでいいだろう。文句なし、完璧だ。案外量が多くなったが……氷を入れたワインクーラーに酒を突っ込んで、お盆でその他を運ぶ)

提督「待たせたな、プリンツ」

プリンツ「アトミラール!?……すごくたくさん飲むんです、ね?スナックまで……」チラッ

提督「っ!!」

提督(やってしまった……いや、俺は飲みたいのがないと困るなと思っていろいろ持ってきただけなんだ)

提督(決して酔い潰そうだとかそういうつもりじゃ……ってそう言えばいいじゃないか。いや、その通りじゃないか)

提督「い、いろいろあったほうが楽しめるだろう?全部飲むわけじゃないさ」

プリンツ「そ、そうですよね……あ、ドイッチュヴァイン、ドイツワインですね!」

提督「ああ、たまたまあってな」

プリンツ「へぇ……いろいろありますね!ハイネケン!ベイリーズまで!」

提督「お、知っていたか」

プリンツ「私、カルーアよりも好きですよ!」

提督「俺もだ!」

プリンツ「スブロッカ!これも爽やかでいいですよね!」

提督「ソーダもいいが、これでモスコミュールを作るのが好きなんだ」

プリンツ「へぇー!そうなんですか?」

提督「試してみるか?」

プリンツ「はい!あ、そうだ。はい、アトミラール!右耳にどうぞ!」

提督「イヤホンか。スピーカーがあるぞ?」

プリンツ「セットするのが面倒ですし、これの方がお話しやすいですよ。ほら、どうぞ」

提督「そうか、ありがとう」

提督(プリンツとイヤホンを片方ずつ使いながら音楽を聴き、酒もいろいろと試していく)

提督(好きな音楽、好きな酒、いろいろなことを話す。酔いが回り、途中から何を話しているのか分からなくなっていた)

提督(だが、それでも心休まるひと時を過ごす。これほど美味しい酒を飲んだのは久しぶりだ。幸せな気持ちで意識が溶けていった)



提督「……朝?……いや、夕方か」

提督(時計を見るともう午後6時だ。寝落ちしたのか?いや、ここはベッドだ)

提督「ん……っ!!??」ドキッ

「すー……すー……」

提督(ゆっくり起き上がろうとして気がつく。誰かに抱き付かれている。頭の中が真っ白になる)

提督「まさか……まさか、まさか……!!」マッサオ

提督(恐る恐る視線を下へ。布団の膨らみ具合は、明らかに誰かいる。……いや、寝息が聞こえる時点で分かっていた。そしてそこにいるのはプリンツしかありえない)

提督(何も考えられない。俺は……俺はなんてことを……ビスマルクとプリンツにどう償えばいいんだ……!!)

提督(震える手でゆっくりと布団を捲る。俺の胸に抱き付くようにして寝ていたのはプリンツだった)

提督(だが、ここで気がつく。服を着ている!!もちろん俺もだ!!おそらく、酔ってそのまま寝たのだろう)

提督(決して酔った勢いで朝チュンなどしてしまったわけではない!!一気に力が抜けた。俺はなるべくプリンツを起こさないように起きようとする)

プリンツ「んー……だめぇ……」ギュッ

提督(色っぽい寝言に赤面しつつ、強引にかつ丁寧に引きはがす。着替えを持って浴室へ。シャワーを浴びて食事を作る。準備ができたところでプリンツを起こした)

提督「プリンツ、もう夜だぞ」

プリンツ「んー……あとみらーるぅ……?」

提督「起きろ」

プリンツ「大好きですぅ……っ!?アトミラール!?あれ、ここ!?」

提督「俺の家だ。落ち着け」

プリンツ「あ、そっか……飲んだ後、そのまま寝ちゃったんですね」

提督「そうだろうな」

プリンツ「……今、私何か変な事口走りませんでしたか?」

提督「いや、特に言っていなかったが?」

プリンツ「そうですか……」

提督「食事を作ったんだ。腹が減っているだろう?」

プリンツ「あ、ありがとうございます」

提督「シャワーを浴びていくか?」

プリンツ「はい。あ、でも着替えがありません……」

提督「ああ、そうか……買ってくるか?車でひとっ走りしてくる」

プリンツ「!?……お、お願いします」

提督「っ!!すまん!配慮が足りなかったな……その、サイズとかは?」

プリンツ「その……ゴニョゴニョゴニョです……///」

提督「わ、分かった……///じゃあ行ってくる!!先に食べていてくれ!!」

プリンツ「あ、でも……」

提督(なんてことだ、寝ぼけていた!本当に配慮が足りなかった!自分の至らなさが申し訳ない)

提督(俺はプリンツの言葉を聞かずに車へ向かう。赤い顔を見られるのが恥ずかしかった)

提督(車を出してコンビニに向かったが、なんという不幸だろうか!最後の一個を目の前で取られるコーラを買って他の場所へ)

提督(無事手に入れられたが、店員の視線が痛い……気がする。時間がかかってしまった。すぐに戻る)

提督「プリンツ、今戻った」

プリンツ「あ、提督!このシャツ、洗濯物で畳んであったんですけど……勝手に使わせてもらってますね?」

提督「あ、ああ!気にするな!ほら、これが着替えだ!後は男物で悪いが、俺のを適当に見繕ってくれ!何でもいい!」

プリンツ「ありがとうございます」

提督(プリンツは、なんと彼シャツ状態だった。いや、俺がプリンツの彼氏なわけではないが……)

提督(サイズの大きい俺のシャツが何とかプリンツの大事な所を隠していたが、少しめくれるだけで丸見えだろう……)

提督(さらに胸元はやはりきついのかぱっつんぱっつんになっていてボタンとボタンの間から肌色が見えていた。大変よろしくない)

提督「じゃあ俺はリビングで待ってるからな!帰りは送っていく!」

プリンツ「分かりました。ありがとうございます」

提督(リビングに戻ると食事が二つとも残っていた。待っていてくれたのか)

提督(結局、着替え終わったプリンツと共に食事をとって車で送っていく。宿舎の前で別れ、楽しい時間が終わった寂寥感に浸りつつ家に戻った)



ビスマルク「えっ……」

ビスマルク(今日は提督の元へ戻る日だった。移動の車の中で、私は暇をつぶすためにI Phoneをいじっていた)

ビスマルク(それを見つけたのは偶然だった。ただ、ニュースをチェックしていて、そして気になる記事を見つけた)

ビスマルク(それはドイツのメタルバンドが初来日してライブを開いたという記事だ。たしか、プリンツのお気に入り。見てみることにした)

ビスマルク(そして、そのライブの写真。最前列にいたのはプリンツと、……プリンツを後ろから抱くように立っているアトミラールだった)

ビスマルク「……う、嘘。嘘よ、アトミラール……」マッサオ

ビスマルク(そんな事、ありえない。だって、アトミラールは私の……)

ビスマルク「……」フルフルフル

提督『すまないが、明日の夜はちょっと用事があってな。電話できないんだ』

ビスマルク『そうなの?またお友達と?』

提督『ああ、そうだ』

ビスマルク(ライブについて詳しく検索する。他に画像があるかもしれない。すると、またある記事を見つけた)

『クソエロイ金髪美女がライブ前に公衆の面前で立ちバックしてやがるwww』

ビスマルク(なんと、ライブ前に立ちバックをしていた奴がいたらしい。手が震える。まさか……)

ビスマルク(そのページを開いてみる。どうやら立ちバックではなくライブ前にセクシーダンスをしていたカップルについての記事だった)

ビスマルク(そしてアップロードされていた画像に映っていたのは、加工されていたけれど間違いない……!!)

ビスマルク「アトミラール……アトミラール……!!」ウルッ

ビスマルク(信じられない……アトミラールがプリンツと……)

ビスマルク「ぐすっ……あとみらーるぅ……」ポロポロポロ

ビスマルク(どうして……アトミラールは私の……信じられない……なんで……きっと何かの間違いよ)

提督『ビスマルク!!』

ビスマルク「っ!!」

ビスマルク(絶望に押しつぶされそうになった時、アトミラールの顔が脳裏に浮かんだ。あの、私を見つめる強い意志を持った瞳を思い出す)

ビスマルク(そうよ……!!きっと何かの間違いだわ!!あのアトミラールがそんな事するわけないもの!!電話だってずっと欠かさなかったわ!!)

ビスマルク(ただ一緒にライブに行っただけで、あのダンスだってきっと成り行きで踊ることになっただけよ!!)

ビスマルク「そうよ……絶対そうなんだから……アトミラールは、私の夫なんだから……!!」ギュッ ブルブルブル

ビスマルク(ひたすらそう信じる。そうでないと狂ってしまいそうだった。恐れていたことが実際に起きたのなら、私は……)

ビスマルク(あと一時間はかかる。それが煩わしかった。今すぐにワープでもできればいいのに)



プリンツ「……」

プリンツ(今日はあの女が戻ってくる日だ。私は、できることは全てやった。アトミラールとの関係をできうる限り深められたと思う)

プリンツ(今すぐに、となればいいけれど。きっとそうはならない。アトミラールはそういう人だから)

プリンツ(そんな簡単に済むのなら、今日までの間で手を出されていただろう。その機会はたくさんあった)

プリンツ(だからこそ好きなんだけど。けど、何もなかったとしても、もう何度も夜を共に過ごしている)

プリンツ(下地はできあがっているんだ。少しずつ、少しずつ、頑張ってきた。そして今日は前哨戦)

プリンツ(何もしなければ、アトミラールはこのままあのビッチに絆されてしまう。けど、そうはさせない)

プリンツ(ここで橋頭堡を確保する。私という存在をアトミラールに刻み込む。そうすれば私の勝利だ)

プリンツ(私とあいつの決戦になれば、勝ってみせる自信がある。私があんな浮気女に負けるわけない)



提督(今日は、ビスマルクが戻ってくる日だった。俺は、とうとうこの日が、ここでまたビスマルクと会う日が来たかと感慨深かった)

提督(もうすぐここに戻ってくる。そうしたら思いっきり抱きしめてやる。俺がどんなに寂しいと思っていたか)

提督(そしてどんなに俺が幸せかということを、どんな手段を使ってでも教えてやる。ディナーの予約も完璧、準備は万端だ)

プリンツ『アトミラール!!』

プリンツ『だい……すき……』

提督(プリンツのことが脳裏によぎる。彼女のことは好きだし、感謝している。何でもしてあげたいぐらいに)

提督(だけど、それはLikeの意味だ。俺が一番愛しているのはビスマルクなんだ。それは、変わらない)

提督(待ちきれないという気持ちと少しのモヤモヤを断ち切るように時計を確認する。もうそろそろのはずだった)

プリンツ「アトミラール、失礼します」

提督「プリンツ、どうしたんだ?」

プリンツ「……とうとう今日ですね、アトミラール」

提督「!ああ、そうだ。長かった」

プリンツ「……アトミラールは、あの女を許すんですか?」

提督「!!……プリンツ?」

プリンツ「……場所を変えましょう。ここでは誰が来るか分かりませんから」

提督「……分かった」

提督(時間が気になるが、これは避けては通れない話だ。後回しにすることも許されない)

提督(プリンツについて行き、普段は人が来ない空き部屋に入る。倉庫として使っている場所だ)

プリンツ「アトミラール……ビスマルクが何をしたのかお忘れですか?」

提督「まさか。だが、あれはビスマルクがやりたくてやったことではない」

プリンツ「何故そう言い切れるのですか?」

提督「……あいつは、泣いていたんだ。俺のもとを去る時、セックスの快感で冷静な判断ができる状態になかったにもかかわらずにな」

提督「快楽に蕩けた顔ではない。悲しそうな泣き顔だ。思えば、兆候は……あいつが助けを求めているサインはいくつもあった」

提督「だが俺は気がつけなかった、最後のあの涙の時でさえ。そこからあいつは壊れた。あの男が好きと思い込むしかなかったんだ」

プリンツ「……だとしても、あいつは穢れた存在です。それに、あんなの騙される方が愚かです」

提督「人は、時には思わぬ間違いをすることがある。周りから見ていれば理解不能でも、過ちを犯してしまうことがあるんだ」

プリンツ「それでも過ちは過ちです。あいつのせいでどんなに貴方が傷つき、苦しんだか忘れたわけではないでしょう?」

提督「……だが、それは」

プリンツ「本意でなかった?かもしれませんね。ですが、それでもあなたの傷が癒えるわけではありません」

プリンツ「失望や怒りがありますよね。あんなことをされたのだから当然です。けど、それを無理に押さえつけている」

提督「……それでも、だ。それでも、俺はビスマルクを……」

プリンツ「アトミラール。貴方のビスマルクへの想い……それは本当に愛ですか?」

提督「……何が言いたいんだ?」

プリンツ「本当にビスマルクが好きなのですか?……その気持ちは、憐れみや同情ではありませんか?かつての愛の成れの果てではないんですか?」

提督「ち、違う!!俺は本当に……」

プリンツ「アトミラール」ダキッ

提督「っ!!」

プリンツ「もし、あなたがビスマルクに対して何らかの罪悪感があるなら。……それは間違いです。決してそう思う必要はありません」

プリンツ「アトミラールは、自分の幸せのためにしたいことをしていいんです。それを咎めることなんて、誰にもできない」

提督「プリンツ……」

プリンツ「しがらみなんてすべてなくしてください。周りを見渡してみてください。きっと何か良いアイデアが浮かんでくるはずです」

提督「……」

プリンツ「……ちゅっ」

提督「!!??」

提督(プリンツの言葉に動揺していた俺に、彼女はいきなり口づけする。唇を重ねるだけの、初々しいソフトなキス)

提督(時が止まった。俺は、拒むことも、振り払うこともできなかった。ただ、その暖かさ、プリンツの熱が心地よかった)

提督(しばらくして、我に返る。プリンツは、それを察したのか自ら唇を離した)

プリンツ「……私の、ファーストキスです」ジッ

提督「な、なんで……」

プリンツ「忘れないでくださいね。私は、いつでも貴方の味方で、貴方を見ていますから」

提督「お、俺は……俺は……」

プリンツ「貴方のためなら、何でもできます。では、失礼しますね」

提督(プリンツが部屋を出ていく。俺は、ただ何もできずにいることしかできなかった)

提督(しばらくして、ようやく気力が回復する。何とかして執務室へ向かう。頭がおかしくなりそうだった)

提督(プリンツがまさかあんな行動に出るとは思わなかった。もう誤魔化せない。自覚せざるを得ない。……俺は、今やプリンツも愛している)

提督(また、彼女が言った通り、俺はビスマルクに対して確かに失望や怒りを覚えているのだ)

提督(もちろん、ビスマルクのことを愛しているのは本当だ。ああして奪い返したことに無上の喜びを感じている)

提督(もう一度、二人でやり直す。それを望んでいる。その為に、俺は自らの不満に蓋をしていた)

提督(それがプリンツの言葉で一気に膨れ上がった。バックドラフトのように大きく燃え盛る)

提督(どうしてあんな馬鹿みたいな手に引っかかったのか。どうして一度は完璧に裏切ったのか)

提督(殺してしまいたい。散々に痛めつけて、身も心もすりつぶして、自殺させてやりたい)

提督(自分が大きな罪を犯した汚い人間だと自覚させて、『ごめんなさい、赦して』と泣きすがるのを冷たく切り捨ててやりたい)

提督(もはや言葉にしきれないこのくらい感情をどうすればいいのか。どうすれば満足なのか自分でもわからなかった)

提督「……っ」

提督(そして、執務室前の廊下に来たところで気がつく。扉の前で膝を抱え、体育すわりの格好でうつむいているのは)

ビスマルク「……」

提督(俺がずっと待ち望んでいたはずの女性だった)



ビスマルク「……!!」スタスタスタスタ

大和「提督に指揮を任されたわ!!理由が理由だからちょっとアレだけど……っ!?ビスマルク……さん……!!」ビクッ

武蔵「やったじゃないか。やはり提督はお前を評価しているってどうした?っ!!ビスマルク!?久しぶりだな!!その……元気だったか?」

ビスマルク「久しぶり、二人とも。ええ、元気よ。そちらも元気そうで何よりだわ」

ビスマルク(すれ違う皆は、驚きつつもいつも通りの対応。私が何をしてしまったかは知らされていないようだった)

ビスマルク(そうよ。そこまで配慮してくれているアトミラールが、私を……捨てるなんて……ありえない!!)

ビスマルク(急ぎ足で執務室へ向かう。そして、ようやく執務室前の廊下までたどり着いた時に見たのは)

プリンツ「……」スタスタ

提督「……」スタスタ

ビスマルク「……!!」ガーン

ビスマルク(連れたって向こう側へ歩いていくアトミラールとプリンツだった。心が底なしの落とし穴へ落ちていく感じ)

ビスマルク(けど、まだ決まったわけじゃない。ただの話し合いかもしれない。いや、そうに決まってる)

ビスマルク(二人に気がつかれないように後をつける。人気のない方へ行き、確か倉庫のはずの部屋に入っていく)

ビスマルク(この時点で私の心は限界だった。震えが止まらない。耳を当てても、何を話しているのかまで聞き取れない)

ビスマルク(しばらく粘ったが、諦める。気がつかれないことを祈りながら扉を少し開けた)

ビスマルク(隙間からカメラを起動したスマホを差し入れ、中を確認する。画面に映っていたのは)

プリンツ「……」ダキッ チュッ

提督「……」

ビスマルク「…………」サァッ

ビスマルク(プリンツに抱き付かれて、唇を重ねているアトミラールだった。すべてが終わった気がした)

ビスマルク(しばらくの間、固まっていた。二人は未だに口つけを交わしている。これ以上見たくない)

ビスマルク(スマホを抜き出し、気がつかれないようにドアを閉める。ゾンビのように歩いて、いつの間にか執務室前に戻ってきていた)

ビスマルク(立っていられず、座り込む。アトミラールへの怒りが湧き上がってきた)

ビスマルク(よくも……よくもこんなひどいことを……!!殺してやる!!破滅させてやる!!)

ビスマルク(あとで後悔したってもう遅い!!謝られたって赦してやるものか!!だけど、そこで気がつく)

ビスマルク「先にそういうことをしたのは、私の方だ……」ウルッ

ビスマルク(これほどの絶望と憤怒、そして苦痛を受けて、そして私に敵意を向けられ、罵られてもなお)

ビスマルク「アトミラールはあの時、私を……自分が撃たれてまで……」ポロポロポロ

ビスマルク(もう何も考えられなかった。混沌が自分の中で渦巻いていた)



提督(俺は、ビスマルクへ歩み寄る。しかし、胸の中には複雑な感情がうごめいていた)

提督(もう気がついてもおかしくないが、しかしビスマルクは気がつかない。あるいは、あえて反応していない)

提督(そもそも、なんであんなところでああしているのか?苛立ちが募る。つかつかと歩いていき、目の前に立つ)

提督「……何をしている?」

ビスマルク「っ……」スッ ジッ ツゥ

提督「!」

提督(声をかけ、顔を上げたビスマルクは泣いていた。涙が流れ、目が赤い)

提督「……ど、どうしたんだ?」

ビスマルク「……プリンツと……付き合っているの?」

提督「!?」

ビスマルク「さっき、貴方のところへ挨拶来た時、見たわ。……プリンツが貴方と向こうへ行っているのを」

提督「……」

ビスマルク「嫌な予感がして、後を追ったの。そしたらあなたとプリンツが話しているのが聞こえたわ」

提督「っ……」

ビスマルク「何を話しているかまで聞き取れなかったから、ドアを開けて中を確認したの」

ビスマルク「そしたら、見えたわ。……貴方がプリンツとキスをしているのが」

提督「……」

ビスマルク「……何か言ってよ」

提督「っ……き、君が言うのか?」

ビスマルク「っ!!ぐすっ……言って、くれたじゃない……戻ってきてくれって。貴方には私が必要だって……」

提督「!!」

ビスマルク「あの男の所に乗り込んで、私にそう言ってくれたじゃない……だから私は、もう何もかもめちゃくちゃでも……」

ビスマルク「それでも、貴方を頼ったのよ……あなたが好き。愛してる。それが、私の本当に本当の想いなの……」

提督「どうしてっ……今更……」

ビスマルク「貴方が言ってくれたからよ……!!貴方が目を覚まさせてくれたからよ……!!」

ビスマルク「私は今、とても苦しい……胸が張り裂けそう!!貴方はプリンツを選ぶの!?」

提督「……」

ビスマルク「なら、なんで私を助けたのよ!!現実でこんな思いをするぐらいなら、たとえ歪な幸せでも、ワルイユメでも……」

ビスマルク「っ……さ、覚めないほうが良かった……!!」

提督「っ!!!!……!!」

提督(あの男を肯定するような発言に、怒りが爆発しかける。しかし、ビスマルクの、なんだかんだあっても好きな子の泣き顔がそれを抑えた)

提督(俺は、ビスマルクを取り返したかった。それは、ビスマルクの為であり、何より俺自身のためだった)

提督(憎い敵に復讐し、好きな女を取り戻すために、その女の歪とはいえ、幸せを破壊しつくしたのだ)

提督(そこで、もし俺がその女を捨てたらどうなる?彼女に残されるのは、絶望だけだろう)

提督(だが、俺の中のこの負の感情ももはや押さえつけることはできない。胃が焼けるように痛い。かすれる声で不満が漏れだす)

提督「……君はなぜ、あんなことをしたんだ?俺は、本当に君が好きで、信じていたのに……」

ビスマルク「っ……」ブルブルブル

提督(俺のその、絞り出すような声に、ビスマルクは可哀そうなほどに震える。恐怖と後悔、痛みのために青い瞳が揺れていた)

提督(口にするだけでもこうなるのか。いや、そうだろうな。ビスマルクは言葉を紡ぐのに苦労して、しかしやっとのことで語り始めた)

ビスマルク「……知ってると思うけれど、私が日本に来た時に初めて整備を担当したのがあの男だったわ」

ビスマルク「日本について何も知らなかった私は、あの男の言う日本式の整備を受けた」

提督「おかしいとは思わなかったのか……!?」

ビスマルク「もちろん、思ったわよ……!!けど、そんなことでいちいち文句を言ったりすると貴方に迷惑が掛かって、嫌われるって……」

ビスマルク「私は貴方が好きだから、万が一嫌われたらって思うと……話せなかった……我慢したわ……」

提督「それで、あの日につながると?」

ビスマルク「整備を拒否した私に、事情を知らないあなたが命令したわ。……だから、受け入れざるを得なかった」

提督「どうしてその時言わなかった!?迷惑をかけるって……整備拒否の時点でかかってると思わなかったのか!?」

ビスマルク「好きな人に、あんな男に穢されてるなんて言えると思う!?私は、……言えなかった」

提督「……」

ビスマルク「……感じたことのない快感、自分の体があの男に変えられていくのが嫌でもわかって、怖かった」

ビスマルク「でも、どうしようもなかったのよ……」

提督「……それが、どうしてあれに繋がる」

ビスマルク「……きっかけは、あなたが寝ているときに前の奥さんの写真を見た時よ」

ビスマルク「この想いはかなうことがないんだと思ったら、どうでもよくなった。全部どうでもいいと思った」

提督「それで股を開くのかお前は……」

ビスマルク「っ……ええ、そうね。結果的に、そうなったわ」

提督「……言い訳があるなら、言ったらどうだ?」

ビスマルク「……今までそういったことをしたことがなかったから、その先を知りたかったってのもあるかも。……後悔しているわ」

提督「なんでそんな馬鹿な真似を……!!」

ビスマルク「自分でも今考えると分からないの……!!けど、あの時はもうどうでも良くて、そうしてもいいって気になっちゃったのよ……!!」

提督「……それで」

ビスマルク「……あの男に抱かれて、はしたなくよがって。……きっとあの時、妊娠した」

ビスマルク「だから貴方を諦めようと思って、遠くから眺めていた時に……告白された」

ビスマルク「泣いたわ。どうしてこんなことになったんだろうって。もう私には提督と一緒になる資格がないんだって」

提督「……」

ビスマルク「……それでも、貴方が私を選んでくれたことが嬉しくて、本当にうれしくて」

ビスマルク「いけないと思っていても、断れなかった。断りたくなかった」

提督「……もしあの後でああならなかったとして、お前はあれとの子供を俺に育てさせるつもりだったのか?」

ビスマルク「……怖くて、貴方の子じゃないのなんて言えなかった。堕胎しようにも、それこそ言わなくちゃできないから……」

提督「……」

ビスマルク「そうね、たぶん悩んでいる間に取り返しがつかない所までいっちゃって、産んでたと思う……」

提督「……」

ビスマルク「……そうしたら、貴方の子供として育てていたかもしれないわ」

提督「はっ……しれないだけか」

ビスマルク「っ……していたわ、きっと……ごめんなさい……」

提督「……続けてくれ」

ビスマルク「……貴方と結ばれて、けどあの男にいろいろされた私は、……貴方の労わるような優しいセックスじゃ満足できなかった……」

ビスマルク「もっと、快楽を貪るような、獣のようなセックスじゃないとダメだったの……でも、言い出せなくて」

ビスマルク「そこにあの男が来て、私を無理矢理犯して……私も抵抗したけ……いえ、抵抗らしいこともできずにされるがままで……」

ビスマルク「久しぶりの、凄い快感を伴うセックスで、頭がおかしくなっちゃって……私を助けようとしたあなたに、あ、あんなひどいことを言っちゃって」

ビスマルク「気がついた時にはもう取返しがつかないことをしてしまった後で、もう私にはあの男しか頼れる人はいないんだって思った」

ビスマルク「だから、私は、あの男を好きになるように、努力したの……」

提督「……チッ」

ビスマルク「っ……そうね、私は頭空っぽのビッチでしょうね……」

ビスマルク「けど、やっと自分を心から騙せた頃になって貴方が私の所に来てくれて」

ビスマルク「そして、まだ間に合うって……や、やり直そうって、言って、くれたからぁ……だからぁ……!!」ウルッ

ビスマルク「かりそめの気持ちなんて吹き飛んだわ!!どんなに自分を偽ろうとしても、やっぱり無理なの……!!」

ビスマルク「お願い、何でもするわ!!だから私を捨てないで……私といて……!!」ガシッ

提督「ビスマルク……」

ビスマルク「ごめんなさい……!!私はバカでした……もう二度としませんから、赦してください」ボロボロボロ

ビスマルク「あ、貴方がいないと……私はもうダメなの……生きていけないの……!!」

提督(俺の脚に縋り付き、涙を流すビスマルク。俺は心が痛かった。……俺は、あの時ビスマルクが何を思っていたのかを知った)

提督(本人からその話をちゃんと聞いたことは初めてだった。どうしてあんなことをしたのか。それを知れて、少しスッキリした)

提督(もちろん、理屈的にはそうかもしれないと思っても心では納得できない。けど、そんなもんだろう)

提督(人の心はそういうものだ。言葉ですべてを表すことはできないだろうし、理屈ですべてを説明することはできないんだ)

提督(怒りもすべては消えていない。けど、それでも俺はビスマルクがどうしようもなく好きなんだ)

提督(だからこそ、俺は……俺は、ビスマルクを立たせる)

提督「ビスマルク、立ってくれ」スッ

ビスマルク「……ええ」グッ

提督(そして執務室の中に入れる。扉の鍵を閉めた)

提督「君は、俺を愛しているのか?誰よりも?あの男よりも?」

ビスマルク「もちろん、誰よりもよ。それに、あんな奴……あんな奴!心から愛した事なんてないわ!」

提督「俺は、気がついてしまった。俺は君に対して怒りを感じているし、報いを受けさせたいと思っている」

ビスマルク「っ!!……」ジワァ

提督「でも、それでも君に対する一番の感情は愛だ。君が、本当に、心から好きなんだ」

ビスマルク「アトミラール……!!」ハッ

提督「どうか、もう二度とあんなことをしないでくれ。ずっと俺だけを愛すると誓ってくれ!!」

ビスマルク「ええ……ええ!!もちろんよ!!もう二度としないわ!!」コクコク

提督「何事も君を失うことに比べれば遥かにましだ。恥ずかしがったりすることは無いから、何かあったらすぐに教えてくれ」

提督「たとえ、俺のセックスが下手だとかそういうことでもだ。いいな?」

ビスマルク「分かったわ。もう二度と騙されたり、付け込まれたりしない」

提督「愛している、ビスマルク。俺を支えてくれ」チュッ

ビスマルク「はい、私も愛しています……!!よろしくお願いします!!……んっふぅ」

提督(ビスマルクに口づけする。久しぶりに感じるビスマルクの味、匂い、体温、そして存在感に幸せとほんの少しの苦しみを感じる)

提督(しばらくして唇を離すと、ビスマルクは名残惜しそうに自分の唇に触れた。そして恥じらう乙女のように告げる)

ビスマルク「アトミラール……その、し足りないわ。あと、……もっとディープなのがしてほしい」

提督「……それは、つまり?」

ビスマルク「私は貴方のものだって刻み込むような、そんなキスで上書きしてほしいの……」

ビスマルク「……あれがやっていたような、下品なキスがお望みか?」

ビスマルク「げ、下品……けど、そうかもしれないわね……」

提督(あんな勘違い男がやるような、舐めまわすようなのがビスマルクの好みなのか……いや、好みにさせられたのか……)

提督「それが、いいのか……」

ビスマルク「……その、無理なら我慢するわ」チラッ

提督「……あの男の影響か?」

ビスマルク「……そう、かも」

提督(ビスマルクがあの男にここまで穢されたのかと思うと吐き気がする。だが、悦ばせるためにはそれが必要か)

提督(……なら、いいだろう。お望みならば、お望みのものをやろうじゃないか)

提督(俺の中の愛憎を全て込めたような、相手のことを考えないようなのをしてやる。まるで強姦のような、そんなやつを)

提督(かつてビスマルクのふりをしてくれていたプリンツが言ったように、そういった性技は勉強した。実験台にしてやる)

提督(だが、そうすんなりとはいかせない。焦らしてからだ)

提督「……悪いが、今はまだ我慢してくれないか。そんな気分じゃないんだ」

ビスマルク「っ……そう、分かったわ」

提督「とりあえず、ひつような手続きなどを済ませてしまおう。来てくれ」

ビスマルク「分かったわ。……」シュン

提督(俺に受け入れられず悲しそうな表情をするビスマルクに、嗜虐心がくすぐられた。もしかしたら、そういう趣味なのかも)

提督(必要な手続きと連絡を済ませる。これでビスマルクは俺の艦隊に艦娘として復帰することになった)

提督「以上で全てだ。何か質問はあるか?」

ビスマルク「ないわ」

提督「よし、では解散。これが家の鍵だ。今日はもう戻っていいぞ」

ビスマルク「Ja wohl. ……」モジモジ

提督「……何だ?」

ビスマルク「あの……今晩、暇かしら?」

提督「……何かあるのか?」

ビスマルク「何かあるのかって……久しぶりの再会じゃない?ディネーとか、付き合ってあげてもいいのよじゃなくて!!」

ビスマルク「ディネーとか、どうかしら?特別な日だし……ね?」

提督「悪いが遠慮させてもらおう。どうやら敵の攻勢が近いらしくてな。忙しんだ」

ビスマルク「あ、そう……なら、何か手伝えることはあるかしら?」

提督「ありがたいが、今はまだないな」

ビスマルク「……分かったわ。夜は帰ってくるでしょ?」

提督「先に食べていてくれ」

ビスマルク「……待つわよ。待ってるから」

提督「そうか、ありがとう」

ビスマルク「ええ……じゃあ、またね」

提督「ああ」

ビスマルク「……」トボトボ

提督(背を向け、悲しげに扉へ向かうビスマルクに気がつかれないように忍び寄る)

ビスマルク「っ!?痛っ!」ビクッ ドンッ

提督(ドアノブに手が伸びたところで、肩を掴み強引に振り向かせる。驚くビスマルクを扉へ押さえつけ、俗にいう壁ドンに近い体勢になる)

提督(軽く頭をうち、顔をしかめるビスマルクを至近距離から睨みつける)

ビスマルク「っ……んぅ!?」

提督(怯えたような表情を浮かべるビスマルクに、俺は強引に唇を重ねた)

ビスマルク「んぅ……ふぅ……れろれろ」

提督(舌をビスマルクの咥内に侵入させる。抵抗なく開かれた口の中では、熱い舌が待ち受けていた)

提督(こわばっていたビスマルクの体がリラックスしていき、舌が絡みあい、手が首へ回されそうになる)

ビスマルク「んっ!?ふぁ……んぁ……」

提督(しかし、させない。手首を掴み、壁に押し付け、拘束する。ビスマルクはされるがままだ)

提督(色っぽい吐息をつきながら、艶めかしく舌を絡ませてくる)

ビスマルク「んふぅ……にゅる……ん゛ん゛!?っ……いはいいはい!!いはいは!!」

提督(舌を引っ込ませると、逃がさないとでもいうようにビスマルクの舌が追いすがってくる。俺はそれに噛みついた)

提督(もちろん、加減はしているがそれでも痛いはずだ。案の定、ビスマルクはくぐもった悲鳴をあげて、痛みを訴える)

ビスマルク「っ……」ジロッ

提督(ビスマルクの舌を解放すると、ビスマルクは口を離して抗議の視線を向けてくる。俺は無言でもう一度ビスマルクの口を貪った)

ビスマルク「んはぁ……ふぅ……にゅる……れろれろ……」

提督(舌を入れ、お望みどおりに貪るようにビスマルクの咥内を蹂躙する)

提督(片手でビスマルクの頭を強く抱き、もう片方の手でビスマルクの背中をなで、だんだんと臀部の方へ手を伸ばす)

ビスマルク「んはぁ……んふぅ……ぁあ……」

提督(ビスマルクが色っぽく熱い吐息を吐いた。手は首にまわし、脚を絡ませ、体を擦りつけてくる)

提督(服をかきあげ、むき出しになった柔らかい尻を、ショーツの上から揉みしだく)

提督(一通り堪能した後、手を前にまわした。ショーツの上からでもわかる。濡れている)

ビスマルク「んぁっ……だめぇ……そこはぁ……っふむぅ……れろ」

提督(ショーツの中に手を侵入させる。恥丘を覆う陰毛をなでつけ、はしたなく濡らしているそこを責めた)

提督(割れ目に沿って指で撫で、固くなっているそれを摘み、こねくり回す。これだけ濡れていれば問題ないだろう。中に指を入れた)

提督(慣らす必要はなさそうだ。指の腹で手前のGスポットをスクラッチするように刺激する)

ビスマルク「んはぁ……!!んぁぁ……!!はぁむ……!!」

提督(ビスマルクの反応に合わせてスピードを速める。俺は、口を離した。唾液の糸が淫らに垂れる)

提督「どうだ?」

ビスマルク「き、気持ちいい!おかしくなっちゃう!」

提督「あの男とどっちがいい?」

ビスマルク「それはぁ!はっ……!あ、貴方ですぅ!」

提督「悩んだな?嘘を吐いただろう。あっちの方がいいと思ってる」

ビスマルク「違う!違うぅ!好きな人にされたほうが良いの!」

提督「だが、気持ちよさでは向こうが上だな?正直になれ」

ビスマルク「ぅぅ……はぁ!は、……はい」

提督「どうされるのが好みなんだ?言ってみろ」

ビスマルク「もっとぉ……!強くして!もっと深く!そぅ……はぁあ!ああ!」

提督(もはや痛くするぐらいの力で刺激する。反応が良くなり、しばらく虐めたところでさらに奥まで指を入れる)

提督(ポルチオとGスポットを責めるようにした。一度、ビスマルクをイかせてしまおう)

ビスマルク「ああ!だめ!来ちゃう!!おかしくなっちゃう!!おかしくなっちゃう!!っ……ああああ!!」

提督(ひときわ強く抱きしめられ、中が締まる。しばらくして、波が収まったらしいビスマルクは少し離れた)

提督(そして、涎をたらしながら蕩けた顔でこちらを見つめている。青い目の中にはハートマークが浮かんでいるようだ)

ビスマルク「はぁー……はぁー……」

提督「少しは上手くなったか?」

ビスマルク「はぁー……す、少しどころか……スゴクうまくなってる……どうしたの……?」

提督「そうか」

提督(俺は、質問に答えず手を振りほどく。そしてしゃがんだ。目の前に、手マ○中にショーツがずり落ちて、秘所が露わになっていた)

提督(淫らな匂いが漂っている。俺は、その秘所に吸い付いた。少ししょっぱいが、ビスマルクの秘書を舐めていると思うと興奮する)

ビスマルク「はぁっ!!つぅ……!!あぁん!!」

提督(舌で突起を刺激し、強く吸う。淫らに響く水音に羞恥を覚えるが、我慢する。ビスマルクは腰が引けるが逃がさない)

提督(舌を中にまで入れる。膣壁を舐めるようにして責める。そしてまた突起へ。立っていられないのか、ビスマルクはずるずると座り込んでしまう)

提督(だが容赦はしない。それがお前の望みのはずだ。狂うほどの快楽で俺を刻み込んでやる。ショーツを剥ぎ取り、クン○を続行した)

ビスマルク「あぁ!!あとみっ!!くぅ……!!あとみらーるぅ!!」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「わ、たしぃ!!はぁん……!!私、見たぁ……」

ビスマルク「貴方が……っ!!ふぅう!!……プリンツとライブに行ったことぉ!!」

提督「!」ジュル

ビスマルク「はぁっ……画像に映ってた……っ……セクシーダンスまでしてた……」

ビスマルク「私には……友達と予定があるって……どうして言ってくれなかったの……?」

ビスマルク「くぅ……プリンツと……セックスしたの……?」

提督「……」ジュル

ビスマルク「……なにか、言ってよ。ねぇ……」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「っ!?あっはぁあ!!ダメ!!誤魔化さないでっ!!」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「っはぁあ!!来ちゃう……来ちゃうううう!!」ビクンビクン

提督「っは……」

ビスマルク「はぁ……はぁ……はぁ……アトミラール……」

提督「……もしそうだとして、お前が俺に何を言うんだ?」

ビスマルク「……知りたいだけなの。何も言うつもりじゃないわ。ただ、気になって仕方がないの」

提督「……俺が妻以外とセックスするとでも思ったか?」

ビスマルク「!」

提督「信じられないか?」

ビスマルク「まさか。信じるわ」

提督「……そこに寝そべろ」

ビスマルク「!お、お布団がおいてなかったかしら。そっちの部屋は仮眠スペースがあったわよね?」

提督「そこに、寝そべろ」

ビスマルク「っ……はい」

提督(ビスマルクが床に寝そべる。俺はいきり立つ自分を解放して、ビスマルクのそこにあてがった)

ビスマルク「あ……」ピトッ

提督「止めたいのなら、最後のチャンスだぞ」

ビスマルク「……きて」

提督「……っ!!」ズプッ

ビスマルク「あぁ!!」ヌププププ

提督(ビスマルクの中は、とても熱くきつかった。俺は思い切り腰を打ち付け、グラインドさせ、スライドさせた)

提督(急所を責める。乱れるビスマルクは、確かに以前は見たことがなかった。初めて、ビスマルクとセックスができた気がした)

ビスマルク「だめぇ!!はっぁああ!!来ちゃうう!!」ギュウッ

提督「っ……いくぞ!!中に出してやる!!」

ビスマルク「ああ!!来て!!綺麗にして!!貴方で上書きしてええええ!!っああああ!!」ビクンビクン

提督「っ!!」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「ああ……はぁ……はぁ……」

提督「くっ……ビスマルク、綺麗にして貰おうか」

ビスマルク「!……はい。ん……あむ。じゅるじゅるじゅる、れろれろれろ」

提督「うっ……ぐっ……」

提督(気だるそうに体を起こし、這いよってきたビスマルクはためらうことなく俺のモノを咥え込んだ)

提督(これもまたあいつに調教されたのだろう。気分が悪くなるが、悲しいかな。男の性は抑えられない)

提督(性感に、再びモノが勃起する。ビスマルクは慣れたように奥まで咥え込み、頭をグラインドさせ、唇や舌で快感を与えてくる)

提督「はぁ……はぁ……くっ……ああ……」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「んぶっ!!んぐぅ……ごくん。じゅるじゅるじゅる」

提督(喉に出す。ビスマルクをまた一つ征服したと感じた。ここももうあの男のものではない。

提督「……もういい。止めろ」

ビスマルク「ん、ふぁい……ぷはっ。……どうするのかしら?」

提督「どうしてほしい?」

ビスマルク「……もっとしてほしい」

提督「何をしてほしい?」

ビスマルク「セックスを……上にのせてくれる?」

提督「……大きくしてみろ。手でな。どうせ仕込まれているんだろ?見せてみろ」

ビスマルク「っ……はい」スッ

提督(手でゆっくりと快感を与えてくる。先端や、カリ、そして竿、挙句の果てに玉まで揉まれ、まさかの指を後ろに突っ込まれた)

提督「!?」ビクッ

ビスマルク「あっ!ごめんなさい!ついいつもの癖で……」スッ

提督「いや、いい。続けろ……」

ビスマルク「はい……」シュン

提督(悔しいが、上手い。すぐに臨戦態勢になってしまう。あいつに教え込まれたんだ。それがたまらなく狂おしかった)

提督「止めろ」

ビスマルク「ん、はい」

提督「立ち上がれ」

ビスマルク「はい……終わり、なの?」チラッ

提督「そこの机に手を付け」

ビスマルク「!は、はい……えっと……」ドキドキ

提督「後ろは試したことがあるか?」

ビスマルク「!……ええ。あるわ……」

提督「そうか……初めては、全部あいつなんだな」

ビスマルク「っ!!……結婚式は、貴方が最初だったわ」ギュッ

提督「!」

ビスマルク「っ!ごめん、なさい」ビクッ

提督「……」ピトッ

ビスマルク「あ、ま、まって!洗ってないからっ、はぁああ……っ!!」ズププププ

提督(唾液や愛液で濡れたものは、ビスマルクの後ろに問題なく入った。きついが、すでに性器として作り替えられている)

提督(俺はこの気持ちをぶつけるように腰を打ち付ける。腹の方へ突き破るようにする)

ビスマルク「うっ……はぁん……つぅ……」ズップズップズップ

提督(ビスマルクは、感じているようだった。それだけ経験したのだ。耐え難い嫉妬をこうして上書きすることで沈める)

提督(後ろから覆いかぶさり、胸や顔を愛撫する。口に手を入れ、舌を弄び、胸の先端にある突起を摘み、いじくりまわす)

提督(大きな胸を揉みしだく。今、ビスマルクは俺のモノだと確認する。淫らに息を吐き、髪を振り乱し、胸を揺らして腰を振るこの女は俺のモノだ)

提督「っ、くぅ……」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「っはあああ!!はぁ……!!はぁ……!!」ビクン

提督(限界を迎え、中に出し切る。これですべてを上書きしたはずだ。……中は)

提督「ん……なんだ、綺麗じゃないか」ズルッ

ビスマルク「そ、そう?良かった……ってそういう問題じゃ!!」

提督「ビスマルク、上に乗りたいなら付き合ってやる。どうする?」

ビスマルク「!……いいの?」

提督「君はいつもどれくらいしていたんだ?」

ビスマルク「……毎日、最低一回はしていたわ」

提督「……週平均は?一日当たり何回だ?」

ビスマルク「……一、二回でしょうね。多い週は三回だったかも」

提督「そうか……分かった。俺はどうすればいい?」

ビスマルク「その……ゴム、ある?後ろに入れたから、もしあるのならした方がいいのだけど」

提督「……ない。なら、シャワー浴びるか」

ビスマルク「ありがとう」

提督(執務室の隣にある仮眠室へ移動する。泊まり込むときの為の部屋だ。もちろん、執務室からしか行けない)

提督(鍵を閉めて、風呂へ向かう。シャワーで流し、ボディーソープで軽く洗った)

提督「君も体を洗うか?」

ビスマルク「いいの?じゃあすこし浴びさせてもらうわね」

提督(二人でシャワーを浴びて、タオルで体を拭く。そして布団をだし、その上に寝そべった)

提督(そしてビスマルクのフ○ラで勃起する。今日四度目だが、頑張らなくては)

ビスマルク「じゃあ、入れるわね」

提督「ああ」

ビスマルク「んっ……ふぁ……」ズププププ

提督(ビスマルクの秘書から先ほどの精液が垂れてくる。その官能的な光景にさらに興奮した)

ビスマルク「っ……はぁ……」グッチュグッチュグッチュ

提督「っ……!!」

提督(ビスマルクのテクはすごかった。俺は、男としての誇りを守るため、ビスマルクが昇りつめるまで必死で耐えた)

ビスマルク「ああ!!いい!!いい!!来ちゃうう!!来ちゃうううう!!」ビクンビクンビクン

提督「っ!!くぁあ!!」ビュルルルル

提督(気絶するかと思った……)

ビスマルク「アトミラール……ごめんね……ごめんね……」ジワッ

提督(ビスマルクが倒れ込んでくる。抱きしめられ、涙声で謝られる。ビスマルクなりに、思うことがあったのだろうか。しばらく、放心する)

提督「ビスマルク……」

ビスマルク「はい……」

提督「良ければ、買い物にでも行かないか?」

ビスマルク「!!行くわ、もちろん!!」ハッ

提督「そうか、行くか。なら、明日にでも行くか」

ビスマルク「ええ……ええ!!」ニコッ

提督(いろいろあった。けど、もう許さなくてはならない。完璧なんてもうありえないのだから)

提督(良い気分ではない。けど、覆水は盆に返らない。あの忌々しい事実は何をしても、もう消えない)

提督(なら、ビスマルクを捨てるか?俺には……プリンツがいてくれる。お前のような売女など知らぬと言って)

提督(先に裏切ったのが悪いと言って、この子を拒絶するか?個人的には、そうしてなじられようとも俺は悪くないと思う)

提督(プリンツと一緒になれば、きっと素晴らしい日々が待っているだろう。とてもよく尽くしてくれて、俺だけを純粋に愛してくれる)

提督(あの笑顔が毎日見られるなら幸せだ。料理だってうまい。美人で、性格だって完璧だ)

提督(それに、あの肉体を味わうことができる。今思い出しても興奮する、あのセクシーダンスの時の感触)

提督(もう十分に女性らしい体つきをしているが、あれでまだ発展途上なのだ。あの瑞々しい肌に指を埋めたい)

提督(男を知らないその秘所に、己を打ち込んで征服してやりたい。誰も味わった事のない極上の女体を独り占めにしたい)

提督(なに、先にやったのはビスマルクだ。身から出た錆だろう。さようならと言われて何を悲しむのか)

提督(罵倒されようともそのままそっくり返してやる。殴り返した方より、先に殴ったほうが悪いのは一目瞭然だ)

提督(……だが、そうしたくない。もはや狂おしいこの感情は愛だとか憎しみだとかそういう次元にない)

提督(殺してしまいたい!!この世に存在するすべての何か悪いモノ、絶望を刻み込んで、すべてを呪わせて地獄へ落としてやりたい!!)

提督(穢れた娼婦、卑劣な裏切り者!!お前のせいで、俺の心に安寧などもはや二度と戻っては来ないのだ)

提督(たとえプリンツのような素晴らしい少女がいくら俺を好きで、一緒になってこの上ない幸せな人生を歩んだとしても)

提督(決してこの傷を癒すことはできない。永遠に俺を蝕むのだ!!)

提督(抱きしめたい!!この世に存在するすべての愛情表現でビスマルクを愛したい!!)

提督(どんなに酷い裏切りをされたとしても、俺は君を忘れられない。もし君が俺の手の届くところにいるなら、抱き締めずにはいられない)

提督(きっといくら言葉を尽くしても、この愛を伝えきるなんて不可能だ!!君の笑顔が見たくてどうしようもない)

提督(君に、俺の隣に居て欲しい。誰かほかの男の隣に居ることなど、見たくない!!耐えられない!!)

提督(……俺は、何が正解なのか分からない。だけど、したいことは分かる。ビスマルクの隣に居たい)

提督(そして俺のこの気持ちを知らせたい。どんなに愛していて、どんなに憎んでいるか)

提督(そして俺に全てを捧げて欲しい。心の底から愛してほしい。……そうだ、だって俺はこの人のことを)

提督(ビスマルクのことを本当に愛しているから。好きで、たまらないから)

提督(俺たちは今、布団で隣り合って寝ていた。緊急の用事はない。大和に後を任せてある)

提督(隣を見る。すると、ビスマルクと目が合った。サファイアのような青い瞳が俺を見つめる)

提督「ビスマルク」

ビスマルク「何かしら?アトミラール」

提督「あした、すごく楽しみだ」

ビスマルク「ええ、私も」

提督(ビスマルクの方に寄って、黙ってその頭を抱く。麦畑のようなサラサラのブロンドヘア)

ビスマルク「ん……」スッ

提督(ビスマルクは、片手を腰にまわしてきて、もう片手で俺の胸に触れる)

提督(密着している。ビスマルクの体温を感じた。……悪くない気分だ)



提督(約束を交わして少し寝た後、俺たちは起きてディナーに行った。ビスマルクはすごく驚いて、喜んだ)

提督『ビスマルク、ディナーに行くぞ』

ビスマルク『えっ……!?本当?』

提督『今日は特別な日だろ。何もないとでも思ったか?』

ビスマルク『アトミラール……!!アトミラール!!大好き!!』

提督(雰囲気のあるフレンチだ。と言っても堅苦しいところではない。久しぶりのビスマルクとの食事を楽しんだ後、帰宅する。そこでサプライズがあった)

ビスマルク『アトミラール。この前、ご褒美をあげるって話をしたじゃない?』

提督『ああ。……もしかして?』

ビスマルク『これ……編んでみたの。喜んでもらえれば、いいのだけれど……』

提督『これは、手編みのマフラーか!!ありがとう!これから寒くなってくるからな!』

提督『すごくうれしいよ!!頑張った甲斐があった!』

ビスマルク『良かった……!!もしよければセーターも編むからね!』

提督『ああ、是非頼むよ!」

提督(そして入浴し、寝支度を済ませて眠りについた。もちろん、同じベッドでだ。そして、翌朝)

提督「じゃあ行くか」

ビスマルク「ええ、行きましょう」

提督(車をだして、近くのショッピングモールへ向かう。駐車場が混んでいたため、近くのコインパーキングに停めた)

提督(歩いて少しの所だ。付近も店が立ち並び、瀟洒な街並みだった。何も買うものはない。だが、資金は十分にある)

提督「どこに行こうか?」

ビスマルク「何が買いたいの?」

提督「うーん……そうだな、君の新しい服なんてのはどうだ?」

ビスマルク「えっ?……いいの?」

提督「もちろんだ」

提督(……こちらの機嫌を窺うような瞳、止めて欲しい。そして浮かぶ疑問。あいつには服を買ってもらっていたか?)

提督(聞きたくなったが止めておく。意味のない事だ。いい感じの店に入り、いろいろ見てみる)

提督「どれにする?好きなのを選んでくれ」

ビスマルク「えっと……じゃあアトミラールが選んでくれるかしら?」

提督「俺が?そうだな……」

提督(ビスマルクなら大体なんでも合うが……あえて俺の好みでいかせてもらう)

提督「これなんてどうだ?」

ビスマルク「へぇ……こういうのが好きなの?」

提督「まあな。好きじゃないか?」

ビスマルク「いや、そういう訳じゃないわよ。ふーん……こういうのが良いんだ」

提督「知らなかったか?まああの頃は戦況が厳しくて、こうして服を買いに行くなんてできなかったからな……お、あれもいいな」

ビスマルク「……全く別のジャンルじゃない!何が一番好きなの?」

提督「……気分によりけり、だ」

ビスマルク「何よそれ、困ったわね……」

提督「俺の好みなんて参考程度でいいんだ。その中に気に入ったものがあればそれにすればいいし、なければ自分で見繕ってくれ」

ビスマルク「けど私、アトミラールに選んでほしいの。時間もあるし、いろいろ見て回りましょう?」

提督「……そう、だな」

提督(何で頑なに俺の趣味に合わせようとする?気にいられようとでもしているのか?)

提督(……いや、駄目だ!!それに、今日は楽しむために来たんだ。そんなこと考えるのは止めろ)

提督(心の中で首をもたげる悪い感情と戦いつつ、いろいろと見て回る。一通り試したら次の店へ)

提督(途中で昼食を挟みながら、気が済むまでそれを繰り返す。様々な服を試着して、ちょっとしたファッションショーだった)

提督「お、水着か」

ビスマルク「水着?もう夏も終わっちゃうわよ?」

提督「だが南方なら泳げるだろう。買っていこう」

ビスマルク「そう?ありがとう」

提督「さて、君のセンスを見させてもらおう。自分で選んでみてくれ」

ビスマルク「自分で?……分かったわ」

提督(ビスマルクは、なんと自然に大胆な水着売り場に歩いていく。少し悩んで一番際どい水着を選んだ)

ビスマルク「これにするわ、ちょっと試着してくるわね」

提督「あ、ああ」

提督(それはもはや、アダルトショップで売るべきではないかと思うものだった。マイクロビキニとでも言おうか)

提督(どうしてそんな際どいものをこんなにたくさんあるものの中からあんな自然に選ぶのか)

提督『知っているか?和服を着るときは下着をはかないらしいぞ』

ビスマルク『えっ!?何言ってるのよ!!そんなのはしたないわ!!』

提督『昔の話だがな。悪かったよ。……似合ってるよ、とても』

ビスマルク『あ……そ、そうかしら……///なら、よかったわ』

提督(いつか、たぶんまだそこまで穢される前。あの頃の記憶が思い返される)

提督(あんなのを選ぶようになったのもあの男の影響だと思うと、一気に気分が最悪になった。帰りたい気分だ)

ビスマルク「あの、試着できたんだけど……」

提督「そうか。……!!」

提督(ビスマルクは更衣室のカーテンを開けて、姿を見せる。少し恥じらうようにしているビスマルクの姿はすごいことになっていた)

提督(その豊満な胸の先端を少し覆い隠すだけしか役に立っていない面積の布、露わになっている見事な双丘)

提督(それ以外の豊かな膨らみは惜しげもなくその白い素肌をさらしていた。そして下半身の方)

提督(水着の試着の時、下は下着をはいたままつけるのがマナーだ。もちろん、ビスマルクだって下着をはいている)

提督(それは、ウエストの部分が見えているから確実、なはずだ。だが、かなり際どいもののはずなのにフロント部分が水着しか見えない)

提督(つまり、ビスマルクが今はいている下着はそれだけエロい奴なのだ。それもまた、きっとあいつの趣味)

提督(だが心でなんと思っていても、見とれてしまった。それに気がついて、内心で単純なものだと自分を嘲笑する)

ビスマルク「どう……かしら……?」

提督「い、いいんじゃないか?それにするか?」

ビスマルク「そ、そうね……じゃあそうしましょうか」

提督(『ずいぶんと大胆なんだな』そういった皮肉を言えないのは、そういう格好も悪くないと思っているからか。自分に腹が立つ)

提督(ともかく、水着を買って店を出る。そして服選びに戻った。結局、三着ほど買って一区切りつける)

提督「夕方だ。もう夜になる。帰ろうか」

ビスマルク「ええ、ありがとうね!」

提督「気にするな」

提督(パーキングエリアまでの道をたどる。まだ明るいが、空がオレンジ色になっている。そこで、ふと目に入る店があった)

提督「お、宝飾店か。寄ってみるか」

ビスマルク「えっなにそれ?……ジュエリーショップじゃない」

提督「ネックレスでも選ぶかい?」

ビスマルク「そんな……もう服を買ってもらったわ」

提督「いいんだ、買い物に行ける日なんてそうそうない。俺も今日は羽目を外したいんだ」

ビスマルク「でも……」

提督「いいから気にしないで、好きなものを選んでくれ。妻にプレゼントを買って、いいところを見せたいんだ」

ビスマルク「……うん、分かったわ。けど、私も貴方に何か買うわ」

提督「気にするなって」

ビスマルク「私がそうしたいの!」

提督「そ、そうか……」

ビスマルク「……私、貴方に何もかえせていないから」

提督「!……返す返さないっていうような関係じゃないだろう?それとも、君にとってはそうだったのか?」

ビスマルク「っ!?あ、ち、違うわ!!そんなつもりじゃ……」サァッ

提督「……悪かった。分かってるよ。そうだな、なら君が俺のを見繕ってくれ。俺は君のを選ぶよ」

ビスマルク「いえ、私こそ……そうね、そうしましょう」

提督(接客に出てくる店員に好きに見回りたいと伝え、ショーケースを巡る。色とりどりの宝石や金銀細工)

提督「どれもビスマルクに似合いそうで迷ってしまうな……っ!」

提督(目玉商品を入れたケースの前に来た時、一際輝くそれに目が奪われる。それは、大きなエメラルドのペンダントだった)

提督(まるでオーロラを閉じ込めているかのようなそれは美しい緑色で、キラキラと輝いていた)

プリンツ『アトミラール!!』ニコッ

提督(プリンツの笑顔が思い出される。これは彼女の色だ。きっと似合うに違いない。値段を見るとゼロの数が二つほど多い)

提督「……!!」

提督(文字通り桁が違う。そう簡単に買えるものではない。だが、俺の心は異様に引かれていた)

提督(そういえば、い号作戦の活躍に対して俺はまだ何もしていない。これを送ればきっと喜ぶだろう)

ビスマルク「アトミラール、これなんてどうかしら?きっと似合うと思うのだけれど。……アトミラール?」

提督「あ、いや、何でもない。どうかしたか?」

ビスマルク「……これを見ていたの?」

提督「ああ、まあな」

ビスマルク「さすがに値段が高すぎると思うのだけど……?」

提督「そうだな、ちょっと見てただけだよ。それで?」

提督(……結局、ビスマルクは俺にルビーをあしらったネクタイピンを買った。格調高い逸品だ)

提督(俺は、ビスマルクにサファイアのブレスレットを送った。その澄んだ蒼穹のような青がビスマルクの色だと思ったからだ)

提督(買い物を終えて、外に出ると雷鳴が響いていた。夕立だ!急いで車へ向かうが、間に合わない)

提督(土砂降りの雨で全身がずぶ濡れになる。まあ、買ったものがビニールに包まれていたおかげで無事だったのが幸いだ)

提督(急いで車に乗り込む。シートが濡れるが仕方がない)

提督「ふぅ……夕立か。運が悪かったな」

ビスマルク「ええ、そうね」

提督「ほら、タオルだっ!?」

ビスマルク「ありがとう、アトミラール。……?あ」

提督(ビスマルクの姿に目を奪われる。今日、ビスマルクは白いシャツにネイビーブルーのフィッシュテールスカートで来ていた)

提督(しかし雨に濡れたことで、白いシャツが肌にべったりと張り付いた上に少し透けていた)

提督(黒いレースのブラどころか綺麗な肌までもが見えている。俺の視線につられて自らの姿を確認したビスマルクも、それに気がつく)

提督(ビスマルクは、少し顔を赤らめるとちらりとこちらを上目使いで見る。しばし、見つめ合った)

ビスマルク「……見たいの?」

提督「っ……すまん」

ビスマルク「いいのよ、気にしないで。貴方だもの、嫌じゃないわ。……黒が好みだったものね」

提督「……」カァッ

ビスマルク「……したも、見てみたい?」

提督「!?」

提督(ビスマルクは、ゆっくりと手を伸ばしてスカートの裾を掴むと、ゆっくりとたくし上げていく)

提督(俺は、止めることができなかった。水着を試着していた時からどんな下着なのか気になっていたのだ

提督(そのままビスマルクの下腹部が露わになる。ビスマルクがつけていたのは際どいカットの黒レースだった)

提督(大事な所は守られているが、細い。そしておそらくTバックだろう)

ビスマルク「アトミラール……大きくなってるわ」

提督「っ……!!」

提督(こんなの、耐えられるわけがない。誰だってこんなものを見せられたらこうなる。俺が悪い訳じゃない)

ビスマルク「……私、貴方が欲しいわ」

提督「……家に戻ってからな」

ビスマルク「ホテルに行けばいいじゃない」

提督「!!」

提督(……ホテルなんて連れて行ったことがなかった。つまり、あいつの影響だ。よく考えたら、セックスに誘ってくるような淫乱になったのもそうだろう)

提督(その何気ない一言に一気に頭が冷える。そもそも、君はそんなことを言う奴じゃなかっただろう!!)

ビスマルク『戦艦ビスマルク、抜錨!出撃するわ!私の戦い、見せてあげる!』

提督(俺がホレタあの凛々しいビスマルクと、今目の前にいる娼婦のようなビスマルクが、一致しない)

提督「……よく、ホテルなんて知っているな」

ビスマルク「えっ……いや、その……」

提督(瞳を潤ませ、頬を赤らめ、雌の顔をしていたビスマルクから一気に表情が消える。顔が青ざめていくのが目に見えて分かった)

提督(……その反応が、また気に障った)

ビスマルク「ご、ごめんなさい……私は……」

提督「なぜ謝るんだ?」

ビスマルク「っ……あの……」

提督「……すまないが忘れものに気がついた」

ビスマルク「えっ……?どこ行くの!?雨が降ってるわよ!」

提督(このままだと、手が出そうだった。こいつと一緒に居たくなかった。無視して、車を降りる)

提督「……」

ビスマルク「っ、待って!!」

提督(すると、ビスマルクも車を降りてきた。追いかけようとしてくる。無視だ)

ビスマルク「待ってったら!!」

提督「っ!!いいから、車の中で待ってろ!!忘れ物を取りに行くだけだ!!」

ビスマルク「っ!!私も行く!!」

提督「俺の言うことを聞けないのか!?あいつの言うことは聞いて俺を侮辱したのにな!!」

ビスマルク「……っ!!……」

提督(ビスマルクは酷く傷ついた表情をした。そしてかすれる声で『分かった』とつぶやくと、車に戻る)

提督(衝動的に言ってしまったが、少しせいせいした。雨の中、先ほどの宝飾店に戻る。狂いそうだった)

店員「いらっしゃいませ。っ!?濡れておられるではありませんか!今タオルを用意いたします」

提督「いえ、結構です。濡れていて申し訳ありません。ですが、やはりあのエメラルドが欲しくなったのです。用意していただけませんか?」

提督(心配する店員に謝り、あのエメラルドのネックレスを買う。これをプリンツに渡したら、一体どんな顔をするだろうか?)

提督(きっと喜んでくれるはずだ。もしかしたら、感激のあまり泣いてしまうかもしれないな)

提督(準備ができた宝石を受け取って、車に戻る。冷たい雨にうたれながら歩いてると、落ち着いてきた)

提督(俺は、何をしているのだろうか。この前にもう忘れる、赦すと決めたばかりなのに)

提督(本当に気分が悪い。自分自身に対してだ。車の所まで来ると、ガラス越しにビスマルクが泣いているのが見えた)

提督「違う……俺は、こんなことをしたかったわけじゃ……」

提督(車のドアを開けると、ビスマルクがこちらに気がつく)

ビスマルク「アトミラール……!!」サッサッ

提督(赤い目をしたビスマルクが、ハンカチで目元をぬぐった。震える声で、言葉を紡ぐ)

ビスマルク「ごめんなさい……私、もう二度とあんなこと言わないわ」

提督「もういいんだ。俺の方こそ、すまなかった。俺は……」

ビスマルク「違うわ!!私が悪いの……私が……っ……」

提督「いや、俺が悪いんだ」

ビスマルク「違う!!それだけは、絶対に違う!!」

提督「俺が悪いと言っているだろう!!」

ビスマルク「っ!!ごめんなさい……私……」

提督(悟った。俺たちが、どうするのが一番正解なのかを。今の現状を見て、俺の想いと現実の違いを見て、悟った。そう、)

提督「俺たちは、もう駄目なのかもしれないな」

ビスマルク「!!そんな……駄目じゃないわ!!」

提督「俺は、あのことを気にしないようにしようとした。だが、君の言葉に、行動に、態度に、どうもあいつの影がちらつく」

ビスマルク「っ……どうすれば、いいの……?」

提督「それもまた、気に障る。俺が満足する答えが聞きたいかい?なら、教えてあげる。本心を話してくれ」

ビスマルク「……」

提督「……だが、その本心にも俺はまた不快になるのだろうな」

ビスマルク「……っ」ポロポロポロ

提督「……本当はこんなつもりじゃなかった。今日だって、純粋に君と楽しいことがしたいだけだったんだ。……だけど、駄目みたいだ」

ビスマルク「……私は、楽しかった」

提督「!」

ビスマルク「一緒に買い物をして、服を見て、水着を選んで。お昼だって、美味しかった」

提督「……」

ビスマルク「嫌なことを全部忘れられた。アトミラールとできなかったことをいっぱいしたいって思って、きっとできるって思った」

提督「……あいつとは買い物に行かなかったのか?」

ビスマルク「っ……行ったわ」

提督「楽しくなかったのか?いや、楽しかったはずだ。そうだろう?」

ビスマルク「けど、今日の方が良かった」

提督「何故?サファイアを買ってもらったからか?それとも、服をたくさん買ってもらったから?」

ビスマルク「貴方と、一緒だったからよ……!!」

提督「……!!」

ビスマルク「信じられないなら、今すぐお金を払うわ……そうすれば私を信じてくれるでしょ?」

提督「……あの男は、どうなったか分からないが、きっと死んでいる。あるいは、死んだ方がマシな目に遭っているかもな」

ビスマルク「……そうね」

提督「あの時、俺を選んだお前が殺したようなものだ……!!何も思わないのか?」

ビスマルク「ええ。しいて言えば、せいせいしたし、安心したわ。……これが包み隠さない私の本心。軽蔑した?」

提督「自分が愛した男に対して、その仕打ちか?」

ビスマルク「愛してなんかない。そう思うしかなかっただけ。今は、もう何も感じない」

提督「っ!!……いや、いい。それで、お前が殺した名もなき赤子はどうだ?」

ビスマルク「!」

提督「艦娘だからか?跡も残っていないが、確かにお前は堕胎した。自分と、あの男との子供を殺した」

ビスマルク「……赦される事ではないし、申し訳ないと思うわ。でも、それでも堕ろしたかったの」

提督「何故だ」

ビスマルク「……貴方と、居たかったから」

提督「何故俺の名前が出る……!!俺は堕ろしてくれなんて言っていない!!」

ビスマルク「もし、私が貴方なら、口でなんと言おうが絶対に嫌だと思うから。それに、あの男との繋がりが嫌だった」

提督「……見下げ果てた奴だ。心底軽蔑する。自分のためにあの男も、我が子も殺したのか」

ビスマルク「っ……そうよ」

提督「そこまでして、俺の隣に居たいか」

ビスマルク「ええ」

提督「何故だ!?俺に依存したいのか!?そんなの御免だ!!到底、受け入れられるものではない!!」

ビスマルク「違う。……貴方が、好きだったからよ」

提督「っ!!」

ビスマルク「……私は、貴方といたい。けど、最低の女だわ。自分の本心を言葉にしてみて、改めて分かった」

ビスマルク「貴方の隣に居るのが赦されないぐらい悪い女よね。けど、それでもいっしょにいたかった」

提督「……」

ビスマルク「……だ、だけど、もし貴方が……私といるのが嫌で、苦痛でしかないのなら」

提督(取り繕った表情は、今にも決壊しそうだった。努めて作っているのであろう無表情だが、引きつり、目には涙が浮かんでいる)

ビスマルク「それなら、……ぜ、ぜんぶおわりにしましょう。ぜんぶ、わたしがわるいから。……そ、そんなの、とうぜんだから」

ビスマルク「っ……ごめんなさい。わたしがいえたことじゃ、ないけれど。あなたのしあわせを祈っているわ」

ビスマルク「貴方がしあわせなら、それでいい。きっとすてきな人がみつかる。だって、貴方ですもの。……だから、わたしのことは気にしないで」

提督(けれども、決して目を背けることなく、そう言い切った)

提督「……」

提督(俺は、そこに戦艦ビスマルクの面影を……いや、戦艦ビスマルクを見た)

提督(そこにいたのは、確かにあの凛々しく勇ましい戦艦ビスマルクだった。サファイアのような青い瞳の中)

提督(悲しみや恐怖、後悔などの念が渦巻くその奥底で、輝く信念を見た)

提督「……そこまで。そこまで思っていてくれて、なんであんなことを」

ビスマルク「……わたしが、ばかだったから。本当にそれだけなの。……ごめんなさい」

提督「……」

提督(……なんだかんだ言って、ビスマルクはまだ子供の部類だ。ようやく成人した大学生のようなものだ)

提督(まだ周囲の大人が面倒を見なくてはならないような、そんな子供が、ここまで言うのだ)

提督(卑劣な大人に騙された哀れな子供、誰かに助けてもらいたいはずのビスマルクが、けどもういいと)

提督(俺が幸せなら、それでいいと。そう言うのであれば、それは本当に俺のことを大切に思ってくれているのだろう)

提督「……俺は、本当に君が好きなんだ。だけど、本当に君が憎くて仕方ない」

提督「でも、それでも俺は、君といたい。しかし、今日みたいに君に辛く当たってしまうこともあるだろう」

ビスマルク「……!!」

提督「もちろん、もうそうしないように努力する。だが、またやってしまうかもしれない……」

提督「それでも、いいか?それでも、居てくれるか?」

ビスマルク「もちろん……!!貴方がわたしをうけいれてくれるなら、わたしはずっと一緒に居るわ」

提督(互いに体を寄せ、抱き合う。強く抱きしめ、唇を重ねた。ずっとそうしていて、雨が上がり、周りが暗くなったところで、車を出す)

提督(そしてそのまま帰宅した。手料理を食べ、風呂に入り、寝支度を済ませる)

提督(ビスマルクは先に寝室へ行っている。俺は、書斎にいた)

提督「……」

提督(手には、あのエメラルドペンダントがあった。これをどうするか……)

プリンツ『……私の、ファーストキスです』

プリンツ『忘れないでくださいね。私は、いつでも貴方の味方で、貴方を見ていますから』

プリンツ『貴方のためなら、何でもできます。では、失礼しますね』

提督「プリンツ……」

提督(あの時の言葉が思い出される。……赦されないことだ。プリンツのことも好きだなんて)

提督(だが、あんなに俺を好いていて尽くしてくれる子に惚れるなだなんて無理だとは思わないだろうか?)

提督「……考えるのは止めだ!普通に渡そう。ただの祝いの品にしては少しあれだが、気にするまい」

提督(カバンにしまって、寝室へ向かった。明かりを消して、ビスマルクの隣に入る)

ビスマルク「アトミラール。お休み」

提督「ビスマルク」グイッ

ビスマルク「ん……ふぅ……んちゅっ……」

提督(ビスマルクにキスをする。手を下着の中に潜り込ませる)

提督「いいか?」

ビスマルク「貴方なら、いつでも……!!」

提督(ビスマルクと熱い夜を過ごす。愛撫から始まり、前戯を経てから本番へ。正常位で挿入する)

ビスマルク「ああっ!!あ!!アトミラール!!愛してる!!」

提督「っ……!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督(一心不乱に腰を振る。ビスマルクへの愛を確かめるように。そして、プリンツへの気持ちを抑えるように)

提督(結局、その後も一回では終わらずに三回してから寝た。腕の中のビスマルクが愛しかった)

ビスマルク「すぅ……すぅ……」

提督「……」ナデナデ

ビスマルク「ん……すぅ……すぅ……」

提督(俺の妻は、ビスマルクだ。……プリンツのことは、考えないようにした)



提督(一日だけの臨時休暇を終え、執務に戻って一週間。現在、ビスマルクは主に再訓練を行っているが、成績は極めて良好だ)

提督「では、開発はこのように頼むぞ」

明石「任せてください!きっといい結果をご報告しますよ!」

提督(開発の指示を出し終え、工廠から司令部へ向かいながら訓練の様子を眺める。どうやら射撃訓練中のようだ)

陸奥「用意……てっ!!」

ドゴォンドゴォンドゴォン

陸奥「弾着……今」

ザブンザブンドガァン

陸奥「長門、大和、夾叉、至近弾。ビスマルク、命中。以上、第二斉射結果」

大和「っ……!!やりますね……!!」ギュッ

長門「見事だ。ブランクを感じさせないな」

ビスマルク「運が良かったのよ。計算しつくした後、当たるか当たらないかを決めるのは運だから」

陸奥「それでも、ねぇ……驚異的な命中率よ、これは」

提督(この分ならすぐに実戦に参加することになる。……できれば、行かないでほしいが)

提督(そんなことを考えていると、司令部へ着いた。執務室へ戻る。その途中で久しぶりにプリンツとすれ違う。っといっても数日ぶりだが)

プリンツ「……こんにちは」ペコッ

提督「プリンツ」

プリンツ「……」スタスタスタ

提督(プリンツは軽く挨拶すると、そのまま歩いていく。この前まで秘書艦を務めてくれていたが、今やそれを務めるのはビスマルクだ)

提督(ビスマルクが戻って以来、プリンツと話す機会があまりない。秘書艦じゃなくなったのに加えて、よく前線に出るようになったからだ)

提督(彼女は戦闘において毎回大きな戦果をあげている。本国やドイツでもその活躍っぷりがニュースになるほどに)

提督(前までは恋b……親しい友人ぐらいの関係だったが、今では普通の上司部下に戻ってしまったようだ)

提督(ついこの間まではずっと一緒に居たのに……深い喪失感と悲しみが襲う)

提督(だが、それでいい。これが正しいあり方なんだ。俺の妻は、ビスマルクだ)

提督(そしてプリンツは、……ただの部下だ。ただ、俺が一番つらかったときに献身的に支えてくれて)

提督(そして俺のことを好いていてくれて、俺も禁断の恋心と愛情を抱いているだけの、……ただの部下だ)

提督(もちろん、俺はビスマルクのことを愛している。この気持ちは決してプリンツが言っていたような愛の残骸なんかではない)

提督(もし二人を選ぶことができればと思うが、選べるのは一人。それが道徳だ。そして俺はもうビスマルクを選んでいる)

提督(決して後悔しているわけではない。しかし、悲しいものは悲しっ!?)

提督「っ!?プリンツ……?」

プリンツ「……!!」ダキッ

提督(プリンツに、後ろから抱きしめられる。背中に当たる柔らかい感触に心臓が高鳴った)

提督「ど、どうしたんだ……?」

プリンツ「……私は、頑張ってますよね?報告書、見てくれましたか?たくさん敵を沈めました」

提督「あ、ああ……!!」

プリンツ「アトミラールの役に、立てていますか?」

提督「もちろんだ!」

プリンツ「ああ、良かったです。……これからも、頑張ります。からぁ……どうか、わ、私を……っ、見ていて、くださいね」ウルッ

提督「ああ、いつでも君を見ているよ」

プリンツ「ほ、本当ですか……っ?けど、私……さ、さびしいよ……!!アトミラール……!!」グスッ

提督「……プリンツ、来てくれ」ガシッ

プリンツ「……?」ギュッ

提督(その震える声音に、我慢できなくなった。だが、彼女を優しく抱きとめるわけにはいかない)

提督(俺たちは、決して結ばれることは無い。ここでプリンツを受け入れることは、互いのためにならないのだ)

提督(胸が苦しい。胃が痛い。だが、そうせざるを得ない。それが道徳というものだ。……けど、これだけは)

提督(これを渡すくらいは、させてほしい。そして、できれば親しい関係でありたいと思う。もちろん健全なやつだ)

提督(手を取り、執務室にプリンツを連れていく。プリンツは固く手を握っていた)

提督「い号作戦では本当によくやってくれた。……これは、そのお礼と祝いの贈り物だ」

プリンツ「えっ?これ……エメラルドですか?」チラッ

提督「まるでオーロラみたいだろう?君の色だ。きっと似合うと思って買った。どうか、受け取ってくれないか?」

プリンツ「アトミラール……!!これ、こんなに大きくて綺麗なものを……きっとすごく高かったのではないですか?」

提督「気にするな。俺の君に対する気持ちに比べれば、些細なものだ」

プリンツ「本当ですか?ありがとうございます……!!その、かけて、くれませんか?」ジッ

提督(涙の浮かんだ上目づかい。勝てるわけがなかった)

提督「分かった」

提督(姿勢を正すプリンツの首に手をまわし、ペンダントをかける。チェーンを繋いだ瞬間、プリンツに抱き付かれた)

提督「っ」

プリンツ「嬉しいです。本当に……嬉しすぎて泣いちゃいます……!!」ギュッ

提督「……プリンツ、君は俺が一番つらい時に一番近くで支えてくれていた。本当にありがとう」ギュッ

提督「感謝しても、し足りない。俺にできることは何でもする。だから、いつでも頼ってくれ」

プリンツ「ありがとうございます、アトミラール。いつか、きっといつか私を……」

提督「君、を……?」

プリンツ「……何でも、ありません。アトミラールこそ、私にできることがあれば何でも言ってくださいね」

提督「ありがとう」

提督(しばし、抱き合う。そしてどちらからともなく離れた。無言だが、心地いい空間)

プリンツ「……では、私は次の出撃の準備がありますので。失礼しますね」

提督「分かった。……プリンツ、気をつけてくれ」

プリンツ「貴方に勝利の栄光を。私は絶対に死にません。いつでも、貴方のもとに帰ってきます」

提督(プリンツが退出し、俺は仕事に戻る。……あそこで抱いてしまってはいけないと、分かっていたが耐えられなかった)

提督(自分の罪深さを考えると胃が痛い。だが、あそこで、プリンツが泣いているのにそれを冷たく切り捨てることはできなかった) 



提督(次の日、食堂でビスマルクと昼休憩を取っていた時だった。愛妻弁当に舌鼓を打つ)

ビスマルク「どうかしら?美味しい?」

提督「ああ、美味しいよ。……っ!」

ビスマルク「アトミラール?……プリンツ」クルッ

プリンツ「……こんにちは、アトミラール」

提督(プリンツが後から食堂に来た。ビスマルクとプリンツの仲は険悪なままだった。何とかしてあげたいが)

ビスマルク「……私が悪いわ。けど、やっぱりつらいわね。どうにかして仲直りしたいのだけれど」

提督「そうだな。きっとできるさ」

提督(プリンツは、あれ以来ずっとビスマルクを嫌っていた。それは彼女のビスマルクを見る目を見れば分かる)

提督(怒りと嫌悪感が込められているのがはっきりとわかる。……そこに嫉妬が含まれている気がするのは、気のせいだ)

提督(ふと、プリンツがこちらを見ているのに気がついた。視線を向けると、プリンツは妖しい微笑みを浮かべている)

提督(目が合うと、プリンツは胸元からあのペンダントを取り出した。そして……)

プリンツ「……♪」チュッ

提督「!」

提督(エメラルドに口づけする様に、どぎまぎする。いけない、そんなこと、赦されないのに)

ビスマルク「アトミラール?……?どうしたの?」クルッ ジッ

提督「いや、何でもないさ」

提督(ビスマルクは振り向いて俺の視線の先に気がつくと、少し不安そうに、そして嫉妬の怒りを込めてそう尋ねてくる)

提督(それ以外に答えようがなかった。ビスマルクはジッとこちらを見つめ、そして『そう』と呟いた)

提督「ビスマルク」

ビスマルク「何?」

提督「愛してる」

ビスマルク「私も」

提督(俺は、本心からそういった)



提督「敵の攻勢ですか……!?」

大将『そうだ、中将。緊急事態につき、私が総指揮を担当する。君たちは私の指揮下に入ってもらうぞ』

提督「分かりました、大将」

大将『そうだな……よし、君には雲竜型三隻を与える。適当な護衛艦を見繕って機動部隊を編成してもらう』

大将『トラックへ移動して、その艦隊でミッドウェーの南に陣取って援護してくれ。場合によっては君たちが要になる』

提督「しかし、一個艦隊単体でそんな敵陣深くにまで突出させるのは危険ではありませんか?」

大将『そんな事を言っていられない戦況なのはわかっているだろう。護衛艦隊は皆船渠にいる』

大将『そちらの指揮に残すのはドイツ軍の艦娘たちと送った一覧の艦娘だ。軽巡以下の水雷戦隊だが、なんとかしてくれ』

提督「分かりました」

大将『いいか、君の任務は攻撃の援護とトラックの防衛だ。厳しいことは分かっているが帝国の興亡はこの一戦にあると言っても過言ではない』

大将『皆が死力を尽くして戦う。君も頑張ってくれ。期待しているぞ』

提督「お任せください」

提督(買い物に行ってからまだ二週間もたっていない。戦況は風雲急を告げていた)

提督(敵の奇襲によりまさかの本土が空襲された。幸いなことに、敵は軍事施設以外を攻撃しなかったが)

提督(攻撃の結果、横須賀が大きな被害を受けた。鎮守府は暫く使用できないだろう。駐留していた艦隊は大きな被害を受けた)

提督(さらに攻撃を実行した機動部隊を始めとした艦隊が、ミッドウェー周辺で集結しつつある)

提督(本土か、マリアナか、あるいはトラックか。攻撃地点は分からないが、大規模な攻勢があるのは確実だ)

提督(この一大事に際して、無事だった俺たちはもちろんのこと、休暇中だった艦娘達も全員招集された)

提督(そして、攻勢が始まる前に敵艦隊に決戦を挑むことになった。大規模な機動部隊同士の、史上最大の航空決戦だ)

赤城『提督、どうかご安心ください。必ずや勝利をもたらして見せます』

加賀『鎧袖一触よ。心配いらないわ。……帰ってきたら、うんと褒めてくださいね』

翔鶴『私、頑張ります。きっとやり遂げて見せます。提督も、どうかお気をつけてください」

瑞鶴『……提督さん。私、怖いよ……お願い、抱きしめて。……あっ……ん、ありがとう。勇気が出た。……行ってくるね』

提督(……きっとうまくいく。今までもそうだった。きっと勝てる。あの子たちが負けるわけない)

提督(決戦に参加する機動部隊、その後の戦闘に備える打撃部隊の皆が出港していき、新たに配備された雲竜型が到着した)

提督(皆、緊張しているが戦意は旺盛、勝利への情熱に燃えていた。この勇敢な少女たちを死なせはしない)

提督(空母三隻の機動部隊、それに加えてトラック防衛の艦隊、配備されている艦娘で編成するとすれば……)

提督「頼まれてくれるか?プリンツ」

プリンツ「任せてください、必ずや空母を守り通して見せます」

提督「敵の主戦力はミッドウェーだ。我が軍の主力もミッドウェーへ向かう。わざわざこちらにまで手を出してくるとは思えないが、気をつけてくれよ」

プリンツ「はい。油断はしませんよ」

提督「うむ。期待している」

提督(編成を終了し、壮行会を簡単に行う。そして、出撃の時が来た。全員で機動部隊を見送る)

提督(勇ましく出港していくプリンツたちが見えなくなるまで、ずっと見守っていた)



ヨ級「シレイブへ。シニガミをカクニン。トラックよりシュッコウ。シンロは西。カノウな限りツイセキする」

司令部『リョウカイ。海域の全センスイカンにレンラク。カクジのモチバでタイキ。セッショクを試みよ』



プリンツ(出港して早々に敵の潜水艦に発見されたようだった。けどまあ、いつものことだ)

プリンツ(しかし、まだ嫌な感じがする。敵の追跡は振り切ったはずだけど、気分が悪くなる。狙われているような感覚)

プリンツ(正規空母三隻も引き連れていれば、狙われて当然だ。けど、敵にそんな戦力の余裕はないはず)

雲龍「……そろそろ位置に着くわ。艦載機の発艦準備を始めて」

天城&葛城「「了解」」

プリンツ「……!!敵機発見!!」

プリンツ(それは偵察機だった。しかも水上偵察機だ。……つまり、敵艦隊が近くにいる)

雲龍「っ!!あれは水偵……!!敵艦隊が存在する可能性があるわ!!」

プリンツ「偵察機をだしましょう。それと、アトミラールへ連絡を。もうすでに発見されています」

雲龍「ええ、そうね。何機か出して偵察させます。それと、連絡は……オイゲン、お願いできる?」

プリンツ「任せてください」

プリンツ(無線封鎖はもう意味をなさない。躊躇う必要はなかった。私は、アトミラールへ通信を開始する)

プリンツ(状況を説明したところ、援護のために艦隊を編成して送ってくれることになった。偵察の結果が出たらまた連絡することにして交信を終える)

プリンツ(そこで、悪いニュースが入った)

葛城「っ!?そんな……敵艦隊発見しました!!けど……こんなことって……」

雲龍「よくやったわ、葛城。それで、位置と数は?……どうしたの?」

葛城「っ、て、敵艦隊はここから50キロ北の地点です!!数は……数え切れません!!」

「「「「!?」」」」

葛城「少なくとも戦艦が四隻……五隻!!うち一隻はレ級です!!」

雲龍「そんな……確実なの?そう……航空隊を発艦させて!!敵艦隊に攻撃を加えます!!それと直援機もあげて!!」

天城「了解……!!どうしてこんな規模の艦隊がこっちに……!!」

葛城「トラックを責めるにしても、方向がおかしいよ……!!まるで、私たちを沈めに来たみたい……!!」

雲龍「オイゲンさん、提督へ連絡を。撤退を具申します」

プリンツ「っ!!分かりました」



提督「以上が現在の状況だ。雲龍たちを失うのは致命的な痛手となる」

提督「幸い、金剛、榛名の艦隊がトラックへ増援として送り込まれてくる。よって君たちにはすぐに出撃して機動部隊の援護に向かってほしい」

ビスマルク「分かったわ、任せて」

暁「分かったわ!あの恩、今こそ返すときね!」

響「やらせないよ、任せて」

雷「助けるわ、必ず!」

電「皆さんが心配なのです……」

明石「工作艦、明石!参ります!修理はお任せください!被害があっても私が必ずトラックまでたどり着けるように直しますよ!」

提督「頼むぞ、皆!救出はもちろん、自身のことも十分気をつけてくれ!相手にはあのレ級がいる」

ビスマルク「了解!必ずプリンツたちを助け出して見せるわ!全員、出撃準備!」

「「「「了解!!」」」」

提督「……ビスマルク!」

ビスマルク「!何かしら?」

提督「……頼んだ」

ビスマルク「任せて!……私は、プリンツと仲直りしたいの。こんなところでお別れ何てごめんよ」

提督「そうか。……きっと仲直りできる。君も十分気をつけて」

ビスマルク「ええ、必ず皆を助け出して見せるわ。……愛しているわ、アトミラール。行ってきます」

提督「俺もだ。愛してるよ、ビスマルク。帰りを待っている」

ビスマルク(愛の言葉を交わし合い、私は先に行った皆を追う。プリンツが心配だった)

ビスマルク(私は、本当にプリンツと仲直りしたかった。前みたいにってのは無理でも、普通に話せる関係に戻りたい)

ビスマルク(だって私は、プリンツのことが好きだから。きっと仲直りできる。そう信じていた)

ビスマルク(だからこそ、こんなところでお別れだなんて絶対に嫌!必ず助け出して見せる!)



プリンツ「っ、妨害電波で通信ができない……大丈夫ですか?」

雲龍「ええ、なんとか……けど、機関が損傷したみたい……」

天城「っ……飛行甲板が……!!」

葛城「私は無事ですけど、航空隊はもうほとんど全滅です……」

プリンツ「そうですか……」

プリンツ(交戦の結果、私たちは空母二隻を戦闘不能にさせられ、残った一隻も航空隊が残っていなかった)

プリンツ(だけど悪い事ばかりじゃない。戦闘機隊の活躍や朝潮と荒潮の頑張りもあって、敵もまた航空隊をほとんど失ったはずだ)

プリンツ「とりあえず、撤退しましょう。増援艦隊と合流できれば問題ありません」

雲龍「ええ、そうね。けど、私はもう無理だわ。指揮権は……オイゲン、貴方に譲渡します」

天城「そんなっ!!」

葛城「駄目だよそんなの!!」

雲龍「私は、速度が出せないの。可能な限り逃げ回って囮になるわ。それで時間を稼ぐ」

雲龍「空母を三隻も失っては、戦いは厳しいことになるわ。けど一隻なら」

プリンツ「……分かりました。ではこれより艦隊の指揮は私が執ります。いいですね?」

雲龍「ええ……妹たちをお願い」

天城「っ……うぅ……」ポロポロポロ

葛城「いやぁ!!絶対に嫌!!」ガシッ

雲龍「葛城、聞き分けなさい!!貴方だって艦娘でしょう……!!」

プリンツ「誰が雲龍さんを残していくと言いましたか?私に下された命令は、『空母三隻を護衛せよ』ですよ」

雲龍「……!?」

プリンツ「葛城さん、雲龍さんをお願いします」

雲龍「馬鹿なことを言わないで!!このままじゃ追いつかれるわ!!」

プリンツ「その時は私が時間を稼ぎます!!いいから命令に従いなさい!!」

雲龍「……!!貴女……馬鹿よ……」

プリンツ「すべてはアトミラールのためにです。口を動かす前に足を動かして。行きますよ」

プリンツ(西へ、トラックへと撤退していく。航空隊は来なかった。お願いだからこのまま逃げさせてほしい)

プリンツ(けど、脚が遅くなったこちらはいずれ追いつかれる。それは避けられない。しばらくして、水偵が後方に敵艦隊を発見した)

プリンツ(このままいけば、向こうからも目視される。そうなれば圧倒的な火力の攻撃を加えられて終わりだ)

プリンツ(私は捌き切る自信があるが、他は無理だろう。……決断の、時だった)

プリンツ「……敵艦隊を後方に発見。接近中です」

「「「「……!!」」」」

プリンツ「これより、私は一人で残って敵を食い止めます。指揮権は葛城さんに譲渡します」

葛城「っ……分かりました」

プリンツ「朝潮、荒潮、空母の皆さんを頼むね」

朝潮「必ず。必ずトラックまで送り届けて見せます」

荒潮「お任せください。責任を持って、必ず」

プリンツ「Gut. ……雲龍さん」

雲龍「……何かしら?」

プリンツ(私は、雲龍さんにアトミラールから貰ったペンダントを渡した。もちろん、死ぬ覚悟を決めたわけではない)

プリンツ「壊したりなくしたりしたら困るから、預けます。帰還したら提督に渡してください」

プリンツ「そして、伝えてください。プリンツ・オイゲンが栄光と共に取りに戻りますと」

雲龍「……」コクリ

プリンツ「では、煙幕展張!!行ってください!!」

葛城「残った艦載機を発艦させて、貴女を援護します!!……武運を祈ります」

プリンツ「ありがとうございます。では、また後で」

葛城「はい……必ず……!!」

プリンツ(味方艦隊が離脱していく。私は敵の方へと向き直った。敵が視界に入った瞬間、発砲される)

プリンツ「ふふっ……容赦ないなぁ……」

プリンツ(合わせるべき味方はいない。好き放題に暴れられる。……スイッチが、完璧に入れ替わった)

プリンツ「あはは……さぁ、一生忘れられない思い出にしよう!!」



雲龍「オイゲンは、私たちを逃がすために一隻で残ったわ……ごめんなさい……」ポロポロ

ビスマルク「……!!分かったわ」

ビスマルク(撤退中の味方艦隊と合流することに成功した私に知らされたのは、その事実だった)

ビスマルク(プリンツらしい、勇敢な判断だった。別れたのは丁度一時間ほど前らしい)

ビスマルク「まだ、間に合う……きっとまだ間に合う……!!」

明石「雲龍さんを修理しますか?」

ビスマルク「機関の修理にどれくらいかかる?」

明石「十分もかかりません!」

ビスマルク「なら修理して後を追ってきて。私は一人で先にプリンツの所へ向かうわ」

暁「私も行くわじゃなくて行きます!」

ビスマルク「明石の護衛に数が欲しいの。私は大丈夫だから、後からきて」

暁「っ……分かりました……」

明石「了解です!」

ビスマルク(艦隊と別れて、最後にプリンツと別れたという座標へ向かう。焦燥感に焼き尽くされそうだった)



ドゴォンドゴォン

レ級「あっ!?あれ!?」シュボッ

プリンツ「っ!?scheißverdammt(クソッタレ)……!!」バスン ボンッ

プリンツ(レ級とほぼ同時に発砲した。レ級の砲弾は最後まで残っていたウィーンを破壊する)

プリンツ(しかし、私の砲弾はレ級の胴体を二分した。奴は、一瞬何が起きたのか分からなかったようだった)

プリンツ(だが、事態を察すると壮絶な狂気を孕んだ笑い声をあげた)

レ級「……はは、ぎゃはははははははは!!すごく楽しかったよ!!さすが灰色のシニガミ!!」

レ級「貴女を殺すためにこれだけの部隊を編成したときは、頭おかしいと思っていたけど!!おかしいのは貴方のツヨサね!!」

プリンツ「本当に私を殺す為だけに……?」

レ級「自分が何をしてきたか振り返ってみれば、分かるんじゃない!?あなた一人に私達が一体どれだけのソンガイをだしたか!!」

レ級「届かなかったのは残念だけど、せめてイッシ報いてやったかな!?あはははははは!!」

プリンツ「黙れ、雌犬め!!」

レ級「また向こうで遊ぼうね!!先に行ってマってるよ!!あははははハハハハハ!!」

プリンツ(本当に純粋な歓喜からくる笑い声に寒気を感じる。しかし、それもレ級が海中に没したことでごぼごぼという音を最後に消え去った)

プリンツ(残りの敵は恐る恐るという様子で私を窺っていた。私は、……もう動けなかった。機関は死にかけだし、武器ももう何もない)

プリンツ(できることと言ったら、最後まで死を恐れずに毅然とした態度でいることだけだ)

リ級A「あいつの最後の砲塔がコワレタ……よな?」

リ級B「レ級までハガタタナイのか……!!」

チ級「あれだけいた味方が皆ヤラレタ……!!こいつ一人で敵艦隊数個分の戦力がアルゾ!!」

タ級「落ち着け。上層部の見立て通り危険な奴だった。レ級は辛くも敗れたが、相手は戦闘力も機動力もウシナッタ!!」

ネ級「早く殺そう!!みんなのカタキだ!!」

タ級「そうだ。 Make ready!!」

プリンツ(残った敵が、砲を構える。アトミラール……私は、貴方と結ばれたかった。涙が溢れそうだ)

タ級「Take aim!!」

プリンツ(処女で死ぬなんて嫌だな。アトミラールとしてみたかった。恐怖で心が張り裂けそう。けど、もう少しの辛抱だ)

タ級「Fiっ!?」ヒューン ドガァン

プリンツ「!?」

プリンツ(指示を出していたタ級が吹き飛ばされる。何が起こったのか)

リ級A「なっなんだ!?何がオコッタ!?」

リ級B「あれをミロ!!」

プリンツ(敵が指さす方向を見る。私の心が一気に沸騰した)

プリンツ「ビスマルク……!!」ギリッ

プリンツ(こちらへ向かって全速で進んでくるのは、あの娼婦だった。厚かましくも未だにアトミラールを束縛する、私の敵)

プリンツ(あんな奴に助けられたと思うだけで、おぞましい何かが私の尊厳を踏みにじっているように感じた)

プリンツ(けど、感情がいくら不快を訴えようとも本能がこのチャンスを逃すまいと素早く行動を始める)

プリンツ(私は、一番近くにいたネ級へと近づいていく。ビスマルクに気を取られている相手は、気がつかない)

リ級A「2人目がいたのか!?しかもセンカンだ!!」

リ級B「ムリダ!!重巡一隻相手でも特別任務部隊一個がほぼセンメツだ!!」

ネ級「とりあえず、コイツを仕留めてニゲよう!!っ!!??」

プリンツ(そう言って振り返った敵のすぐ前に、私がいる。もう武器はない。これからはナイフでも持ってこよう)

プリンツ「……!!」ガシッ

ネ級「なっナニヲ!?」グググッ

プリンツ「あぐっ!!」ガブッ ブチッ

ネ級「ぐぎゃあああああああがぼがぼがぼがぼがぼ」

リ級A「ひぃ!?」

リ級B「……っ!!」

チ級「……あは」

プリンツ(私は、ネ級の顔を掴み、上を向かせる。そして、晒された喉笛に噛みついた。そして躊躇わず食いちぎる)

プリンツ(悲鳴が溢れる血液に遮られる。激しく痙攣する体は良い盾になってくれるだろう)

プリンツ(私は口のなかに残っていた肉塊を吐き出した。喉に流れる血が私の闘争本能をいっそう掻き立てる。体が熱い燃えてしまいそうだ)

プリンツ「ぺっ!!……♪」ギロリ ペロッ

リ級A「あっあっイヤダ!!」

リ級B「くそったれのシニガミめ!!どうしてこんなやつが!!」ドゴォン

チ級「あははははは!!逃げろ逃げろ!!コロサレちゃうぞ!!あはははは!!」

プリンツ「……」ポイッ

ネ級「」ドガァン

リ級B「っ!!体を盾に……!!ま、マッテくれ!!」

プリンツ(仲間が私に食い殺されるというあり得ない光景を目撃した奴らは我先にと逃げ出した)

プリンツ(やつらの後ろ姿を睨み付けていると砲弾が降り注ぎ、何人かが倒れる。暫くして、声がかけられる)

ビスマルク「プリンツ!!無事!?」

プリンツ(私は、ゆっくりとそちらへ向き直る。狂おしい感情、その混沌の嵐におかしくなりそうだった)

プリンツ「私をそう呼ぶな。お前に助けられるなんて、これほどの屈辱は初めてだ……!!」

ビスマルク「っ…… とにかく、何とか生きてるみたいね。無事でよかった」

プリンツ「黙れ!!」

ビスマルク「っ!!……」ビクッ

プリンツ「この売女が!!穢らわしい雌豚が!!いつまでもアトミラールの心のなかに巣食う呪いの元凶が!!」

プリンツ「お前などに助けられたことがまた、私にとって呪いになる!!なんで私を助けた!!」

ビスマルク「貴方が死にそうだったからよ!!」

プリンツ「屈辱の中で生き残るより、名誉ある戦死を遂げる方が私にとって遥かにましだった!!」

ビスマルク「……!!死んでしまったら、何もかもお終いなのよ……?それでいいの?」

プリンツ「っ!!」ビクッ

ビスマルク「……私が気に食わないのは分かるわ。私も、自分が大っ嫌いだもの。でも、それでもお願いだから助けられて頂戴」

ビスマルク「私は、貴方に死んでほしくない。アトミラールだってそう思っているわ。だから、お願い」

プリンツ「アトミラール……アトミラールぅ……」ポロポロポロ

ビスマルク「プリンツ、お願いよ……!!」

プリンツ「なんで……なんであんなことをしたんですか?ビスマルク姉さま……!!」ガシッ

ビスマルク「っ!!」

プリンツ「あれさえなければ、私は……貴女が……!!」ギロリ

プリンツ(大好きなままで!!)

プリンツ「あ、アトミラールと貴女を……!!」ツゥー

プリンツ(祝福できたのに!!)

ビスマルク「……ごめんなさい、プリンツ」

プリンツ「私は……もう我慢できない。諦められない。幸せを、知ってしまったから……それを、忘れられないから……」クラッ

ビスマルク「プリンツ……?プリンツ!?」ダキッ

プリンツ「アトミラール……」

プリンツ(アトミラールに会いたい、抱き締めてほしい。優しい言葉で慰めてほしい。愛してほしい。本当に、切実に)

プリンツ(緊張の糸が切れた私は、意識が遠くなっていくのを感じた。抗おうとしたが、できなかった)

ビスマルク「プリンツ!!」

プリンツ「すぅ……すぅ……」

ビスマルク「!……良かった、プリンツ」



明石「……よし、完了!」

プリンツ「……!!」バッ

明石「うわっ!?ビックリした……」

プリンツ「……ここは?」

明石「あいにく、まだ海上ですよ」

プリンツ「……明石?」

明石「はい、工作艦明石です!とりあえず、機関と一番砲塔は応急修理しました。一応は使えるはずです」

プリンツ「ありがとう」

明石「いえ!それにしても一人でよくあそこまで戦えましたね!?正直、信じられないですよ」

電「すごく頑張ったのです!」

暁「尊敬するわ!さすがプリンツね!」

プリンツ(回りを見渡すと、アカシと第六駆逐隊の面々、そしてビスマルクがいた)

プリンツ「……わ、私は」

ビスマルク「!?敵艦隊発見!!」

「「「「!?」」」」

プリンツ(ビスマルクの声に、皆が驚愕してそちらを見る。水平線の彼方から現れたのは先ほどの艦隊と同程度の大規模な敵艦隊だった)

響「こ、これは……まずいね」

雷「どうしよう、逃げなくちゃ!!」

明石「わ、私の速力じゃ逃げきれない……」

ビスマルク「まさか、敵がこんなにこっち方面に戦力を投入しているなんて……」

プリンツ「本当に私を殺すためだけにこれだけの部隊を動かしてるの……?」

ビスマルク「っ!?どういうことなの?」

プリンツ「……さっき戦ったレ級が言ってたの。奴らの目的は、私の撃沈だって」

ビスマルク「そんなバカなことが……!!」

電「ど、どうしますか!?戦っても勝ち目がないのです!!」

暁「お、落ち着きなさい!!こういうときは素数を数えるのよ!!」

雷「そ、そすうって何よ!?」

暁「……!!」

響「1かその数字自身でしか割りきれない数字だよ」

暁「知ってるもん!!」

明石「……っ!!どうやら、ここまでみたいですね。みなさん、すぐに撤退してください」

暁「えっ……」

明石「私の速度じゃ逃げられません。敵が私に食いついている間に離脱を」

響「そ、そんな……」

プリンツ「その必よ」

ビスマルク「その必要はないわ」

プリンツ「!?」

電「ビスマルクさん?」

ビスマルク「私があいつらを足止めするから、その間に撤退を」

明石「け、けど!!そんなことしたら!!」

ビスマルク「アカシ、貴女は艦隊唯一の工作艦よ。失う訳にはいかないわ」

暁「じ、じゃあビスマルクさんは?」

ビスマルク「私があれに負けるとでも思っているのかしら?叩き潰してやるわよ」

暁「わ、私も残るわ!!帝国海軍の誇りにかけて、味方を一隻で残していくわけにはいかないもの!」

響「私もね」

雷「私もよ!」

電「私もなのです!」

ビスマルク「落ち着いて、みんな!撤退するプリンツとアカシの護衛が必要だわ。ここは本当に私一人で大丈夫よ」

暁「な、なに言ってるのよ!護衛が必要なら雷と電に任せるわ!私と響は一緒に戦うわよ!」

雷「暁こそなに言ってるのよ!私が残るからどっちかが護衛にまわりなさいよ!」

ビスマルク「静かに!」

「「「「!」」」」

ビスマルク「みんなの気持ちは嬉しいけど、もう本当に時間がないの。ここは一人で大丈夫だから、撤退して」

響「無茶だよ……死ぬつもりなんですか?」

ビスマルク「お願い、プリンツは私の親友なの。どうか助けてあげて」

「「「「……」」」」

プリンツ「親友?ふざけるな……!!」

暁「プ、プリンツ!?」

プリンツ「お前なんか、お前なんか親友じゃない。私たちの敵だ!!」

響「な、何を言って……」

プリンツ「良い人ぶって恩を売るつもり?それともあわよくば赦してもらおうとでも?」

プリンツ「ふざけるな!!お前の罪は海よりも深く、山よりも高い!そんなことで償えると思うな!」

ビスマルク「分かってるわ。そんなつもりじゃない」

プリンツ「……明石さん、Danke. これでまだ戦えます」

明石「え?あ、ああ……当たり前のことをしただけですよ」

プリンツ「私がここに残って戦う!余計なことをしないで帰れ!売春婦め!」

ビスマルク「……」

雷「ちょ、ちょっと待って!どうしたのよプリンツ!?」

電「落ち着くのです!」

ビスマルク「……プリンツ」

プリンツ「そう呼ぶな!!」

ビスマルク「……わかったわ、オイゲン。なら戦艦娘として言わせてもらうけど、いい加減にしなさい」

プリンツ「なっ!?」

ビスマルク「現状を正しく認識しなさい。私情で動くのは止めて。貴女、それでも軍人なの?」

プリンツ「……!!」

ビスマルク「旗艦として、この場で一番階級が高い士官として全員に命令する。この場は私に任せて帰還せよ。分かった?」

明石「……分かりました。皆、撤退しますよ」

「「「「……了解」」」」

ビスマルク「アカシ、ありがとう」

明石「……武運を祈ります。どうかご無事で」

プリンツ「っ……Ich kann dich nicht riechen(お前なんか大っ嫌いだ)!!」

ビスマルク「Ich hab dich lieb(私は貴女が大好きよ).」

プリンツ「っ!!」ギリッ

明石「オイゲンさん、行きましょう」

プリンツ「……はい」

プリンツ(あの女を置いて、撤退する。一度振り返ると、ビスマルクは悲しげな眼差しでこちらを見ていた)

プリンツ(どうしようもない激情に狂いそうだった。なんで……本当になんであんなことをしたの!?)

プリンツ(あんなことをするような奴がどうしてこんなことを……!!もう意味が分かんない!!)

電「プリンツさん……泣いているんですか?」

プリンツ「えっ……!?」ポロポロ

電「……」ギュッ

プリンツ(電が手を握ってくる。少しだけ落ち着いた。私は、震える手で涙をぬぐった)

プリンツ(砲声が後方から聞こえてくる。もう振り返ることは無かった。ただひたすら前進する)

プリンツ「……ビスマルク、姉さま」



ビスマルク(敵の攻撃を避けつつ、反撃する。一つのミスが致命的になりうる。恐れを捨てて、冷静かつ大胆に)

ビスマルク「沈め!!」ドゴォン

「グアッ!?」ドガァン

「馬鹿な……戦艦がイチゲキで!?」

ビスマルク(戦艦に命中、撃沈。あのフッドでさえ沈めたのだから、当然。……重巡が接近、回避、左!)

「反撃しろ!!Fire Fire Fire!!」ドゴォン

「アタレ!!」ドゴォン

ビスマルク「当たるか!!喰らいなさい!!」ドンドンドン

「クソ!!」

ビスマルク(副砲で反撃。装填……完了、奥の戦艦へ照準……)

ビスマルク「Abschieβen(発射)!!」ドゴォン

「ギャァ!!」ドガァン

「戦艦が!!早くナントカしろ!!」

「無茶を言うな!!どうしろってイウンダ!?」

「接近しろ!!数でオセ!!」

「オチロ!!」ドゴォン

「モラッタァッ!!」ドゴォン

ビスマルク「っ!!もう……!!」ガギィン

「アタッタゾ!!」

「シニガミと違って撃てば当たる!!沈めてシマエ!!」

ビスマルク(被弾、小破……!!まだいける!!攻撃を!!手数が足りない!!なら……)

ビスマルク「一基で一隻を狙う!!Feuer!!」ドゴォン

「っ!?」ドガァン

「あっ」ドガァン

「え」ドガァン

「はぁっ!?」ドガァン

「STF201が壊滅!!STF202が突撃する!!ブウンヲ!!」

ビスマルク「っ……人海戦術!!ソ連軍の得意技じゃないのかしら!?」

「怯むな!!ススメ!!」

ビスマルク「私は知らないけどね!!」ドゴォン

ビスマルク(思い出されるのは大西洋、ブレスト沖。ロイヤル・ネイビーとの戦いだ)

ビスマルク(けど、あの時と違って敵はロイヤル・ネイビーじゃない。そして私は全力を出して戦える)

ビスマルク「なら、負けるわけないじゃない……!!さあ、かかってらっしゃい!!ビスマルクの戦い、見せてあげるわ!!」



雲龍「以上で報告を終わります……」

提督「……そうか、ご苦労だった」

提督(プリンツは、敵を食い止めるために一人で残った。……いや、プリンツだ。プリンツならきっと無事だ)

雲龍「提督、これを……」

提督「これは……!!どうしたんだ……?」

雲龍「オイゲンが、提督に渡してくれと……『プリンツ・オイゲンが栄光と共に取りに戻ります』とのことです」

提督「っ……そうか」

雲龍「申し訳、ありません……私が被弾しなければ、こんなこと、にはぁ……!!」ポロポロポロ

提督「ここまで大規模な敵艦隊が存在するのは完全に予想外だった。君のせいではない」

雲龍「でも……でもぉ……オイゲンが……」

提督「プリンツならきっと大丈夫だ。あの子は強い。必ず帰ってくる。援軍も、送れるだけ送ったからな」

提督(そうだ、大丈夫だ。栄光と共にこれを取りに戻ってくるんだろう?待っているからな)



ビスマルク(どのくらい戦ったのだろうか?帰ればアトミラールにたくさん愛してもらえる。勲章だってもらえるだろう。そうすれば、きっと喜んでくれる)

ビスマルク(だから私は、こんなところで死ぬわけにはいかない。愛するアトミラールのもとへ帰らなくてはならない)

ビスマルク(そのために、この状況を何とかして打開しなくてはならない)

ビスマルク「うっ……!?」ドガァン

「いいぞ!!メイチュウした!!」

「Good job!! Good job!!」

「敵戦艦は大破しているぞ!!もうひとフンバリだ!!」

「奴をぐちゃぐちゃに噛み砕いて吐き出してヤレ!!」

ビスマルク「負けてられないのよ……あんたたちなんかに……!!っ!?」ボンッ

「!!いいぞ、奴の脚はシンダ……!!」

「フフフ……殺せ、コイツの死体を飾ってオクリツケテやろう」

ビスマルク「っ……アトミラール……!!」ギリッ ウルッ

ビスマルク(死にたく、ない……!!)

金剛「Burning Love!!」ドゴォン

「!?」ドガァン

ビスマルク「!?」

榛名「勝手は!!榛名が!!許しません!!」ドゴォン

「ぐはっ!!」ドガァン

「なんだと!?ゾウエンなんて聞いていないぞ!!」

「ミッドウェーのレンチュウは何やってるんだ!?」

金剛「ビスマルクはやらせませんヨ!!突撃デース!!」

「どうする!?コイツをシズメルか!?」

「駄目だ!!向こうへハンゲキしろ!!死にたいのか!?」

「っ……リョウカイ!!」

「撤退だ……テッタイしろ!!」

ビスマルク「……たすかったの?」ボーゼン

金剛「Hey ビスマルク!大丈夫デスカー!?Oh, いつもよりBeautifulデスネ?ウフフ」

榛名「ご無事ですか!?良かったです!提督もさぞお喜びになるでしょう」

ビスマルク「……ははっ、とりあえずアトミラールのハグとキス、それに熱々のコーヒーが欲しいわね」



提督「そうか、よくやってくれた金剛!!帰還してくれ」

金剛『Aye, aye, sir!!』

提督「ビスマルクは無事、そしてプリンツも無事だ!良かった……本当に良かった!!」

愛宕「提督、暁ちゃんたちが帰還しました」

提督「そうか!……愛宕?」

提督(良い報告のはずなのに、愛宕の顔は曇っていた。まるで報告することを躊躇うような感じだ)

愛宕「私も詳しくはまだ聞いていません。直接お聞きになってください」

提督(俺はざわつく気持ちを抑え、暁のもとへ向かう。暁は、泣きじゃくっていた)

提督(いや、暁だけでない。第六駆逐隊の面々は、あの響までもが涙を堪えられていない)

提督(明石もまた、沈んだ面持ちだ。……そして、プリンツが居なかった)

提督「……明石、報告を頼む」

明石「提督……」

暁「司令官……!!ごめんなさい……!!私が……私が弱かったから……っ!!」ボロボロボロ

提督(明石から報告を受ける。それは、撤退途中に新たな敵艦隊に遭遇し、貴重な工作艦明石を守るために……)

提督(大破したプリンツが一人で敵艦隊と交戦するために残ったということだった)



提督(結局、敵の大規模な攻勢は実行されなかった。決戦の結果、敵の戦力を十分に削ぐことができたのだ)

提督(敵がトラック方面に戦力を送らなかったらどうなっていたか分からない。敵は、プリンツ撃沈の為だけにあれだけの戦力を用意したらしい)

提督(現在、我が軍は大将の指揮でミッドウェーへ攻勢をかけていた。はからずとも敵の守備隊は弱体化しており、)

提督(我が軍の損害は十分にカバーできる範囲であったからだ。慎重論もあったが、大将が強く働きかけた結果、反攻作戦が実行されたのだ)

提督(ともかく、あの戦いから……プリンツが行方不明になってから既に数日が経過していた。……未だにプリンツの行方はわかっていない)

提督(大本営の中には、戦死したものとして扱うべしと言う意見もあった。しかし、そんなことは受け入れられない)

提督(もはや望みはないだろうと言うことはわかっても、もしかしたら生きているかもしれない)

提督(ここで捜索を止めたことで彼女の死を決定付けてしまうかもしれないと考えると、捜索を打ち切ることはできなかった)

提督(執務にも全く身が入らない。気がついたら窓から外を見ている。この前は止められたが、やはり飛行機で捜索に向かってしまおうか?)

ビスマルク「アトミラール、いるかしら?」

提督「ああ、ビスマルクか。どうしたんだ?」

ビスマルク「食事を持ってきたわ」

提督「いや、いらん」

ビスマルク「なに言っているのよ!あれ以来、ろくに食べてないじゃない!」

提督「なにか食べたくなったら勝手に食べているんだ。だから、気にしないでくれ」

ビスマルク「ふざけないで!食べている人がそんなにふらふらしているわけないじゃない!みんな心配しているわ!お願いだから食べてよ!」

提督(っ!!こいつはどうしてそんなことを言っていられるんだ!?プリンツが行方不明なんだぞ!?様々な事に対するイライラが爆発した)

提督「ちっ!!くどいぞ!!いらないと言っているだろう!!」

ビスマルク「っ!」

提督「いいから、余計なことしている暇があれば捜索に出ろ!!」

提督(俺は乱暴に当番表を取り出すと、内容を確認した)

提督「第六駆逐隊が待機になっているはずだ!!彼女たちを連れて今すぐ出撃しろ!!」

ビスマルク「なっ!?私たちは敵襲があったときのために待機しているのよ!?」

提督「ミッドウェーであれだけの戦いが起こっているんだ!!敵も防御に必死でそれどころじゃないだろう!!」

提督「金剛や雲龍たちも捜索にまわしたかったのに、大本営の命令で攻撃させているんだ!!」

ビスマルク「でも……!!」

提督「でもじゃない!!口答えするな!!いいから早く出撃しろ!!軍法会議にかけるぞ!!」

ビスマルク「っ!!落ち着きなさい、アトミラール!!あなt」

提督「お前が俺に意見するのか!?ビスマルク!!よりによってお前が俺を間違っているとでも言うつもりか!?」

ビスマルク「っ!?」

提督「少なくともそれだけ違うと断言できる!!お前なんかに私が間違っているだなんて言わせはしない!!」

提督「少しは自分の行いを省みたらどうなんだ!?ええ!?お前が誰かに間違いを指摘する権利があるとでも思ったのか!?」

ビスマルク「お、落ちt」

提督「プリンツは、お前のせいでおかしくなっていた俺を親身になって支えてくれたんだ!!」

提督「ここでこうしていられるのもプリンツのおかげだ!!さもなければ俺は廃人同然になってどこかで野垂れ死にしていた!!」

提督「俺がプリンツをお前と思い込んでいても、お前の演技までして俺を助けてくれていたんだ!!」

提督「そんなプリンツが、行方不明なんだ……!!俺はプリンツに何もしてあげられていないのに!!」

ビスマルク「……わ、分かったわ。食事はここに置いておくからね。たべ」

提督「さっさっと行け!!どうしてお前のような裏切り者が生き残って!!あんないい子がこんな目に合わなくちゃいけないんだ!!」

提督「プリンツじゃなくておmっ!?」

ビスマルク「!!」ビクッ ジワッ

提督(俺が口走りそうになった言葉に、ビスマルクがこの世の終わりを見たかのような表情になった)

提督(目を見開き、みるみる涙が満ちて、あふれだす。口元を手で押さえて、もう片方の手で胸を押さえていた。震えている)

提督「っ!!いや、違う!!俺は、そんな事……」

ビスマルク「……行ってくるわ」フルフルフル

提督「待ってくれ!!ビスマルク!!」

ビスマルク「……」タッ

提督「待てと言っているだろう!!」タッ

提督(走り去ろうとしたビスマルクは、しかしドアに阻まれた。開けている間に俺がビスマルクの肩を掴む)

ビスマルク「放して!!貴方の命令通りプリンツを探しに行くわよ!!」

提督「話を聞いてくれ!!」

ビスマルク「どうせ私は裏切り者の尻軽ビッチよ!!プリンツじゃなくて私がいなくなればよかったわね!!」

ビスマルク「そうすれば何の気兼ねもなくプリンツと仲良くできるもの!!きっとプリンツとなら」

提督「ビスマルク!!んっ……」チュッ

ビスマルク「んぅ!!嫌!!」バチン

提督「っ!?」

ビスマルク「……!!あ、ち、違う……」

提督(怒り狂うビスマルクに俺は強引に口付けした。しかし、ビスマルクは俺を押し返すと容赦のない張り手を喰らわしてきた)

提督(それはビスマルクにとっても驚きだったらしく、硬直する)

提督「……悪かった。さっきのはつい勢いで言ってしまっただけなんだ。俺は、本当に君を愛している」

提督「君の方が行方不明になれば良かったなんて、思っていない。本当だ」

ビスマルク「……けど、プリンツが、プリンツも好きなんでしょう?」

提督「……!!」

ビスマルク「気がつかないと思った?プリンツがしていたあのペンダント、あのジュエリーショップの目玉商品でしょう?」

提督「……」

ビスマルク「……私は、貴方が好き。貴方に選んでほしい。けど、貴方がプリンツを選びたいのなら、そうして」

提督「……君の言う通りだ。俺は、プリンツも好きだ。けど、君が好きなんだ。君に、一緒に居て欲しい。俺が選んだのは君だ」

ビスマルク「……分かった。捜索に出るわ」バッ タッタッタッ

提督「ビスマルク!!……くっ、ああもう!!」バンッ

提督(走り去るビスマルク、その表情は俯いていたために見ることができなかった。俺は、壁を思いっきり叩いて部屋に戻る)

提督(回らない頭で仕事をこなしていると、誰かが走ってくる音がした。そして執務室の扉が勢いよく開かれる)

川内「提督!」バンッ

提督「……川内か、どうした?」

川内「ビスマルクさんが第六連れて出ちゃったんだけど!!なんで出撃させたの!?」

提督「……手が空いていたからだ。出撃できるのなら捜索にまわすのは当たり前だろう?」

提督「プリンツがもし生き残っているなら、もうそろそろ命がつきてしまう。そうなる前に見つけなくては」

川内「だからって……!!ここの防衛はどうするの!?」

提督「阿武隈たちが警備に出ている。問題ない」

川内「ここは最前線なんだよ!?阿武隈たちは本当に警備だけで、本格的な攻撃をされたら守り切れないんだよ!?」

提督「その本格的な攻撃をしてくる敵は、もういないんだ。全部、プリンツのおかげだ。その英雄を助けるのに何を躊躇う必要がある?」

川内「……!!いい加減にしなよ!!」ギロッ

提督「いい加減にしなよだと……?ふざけるな!!何がいい加減なんだ!?」

川内「オイゲンさんがこんなことになって辛いのはわかるよ!?だからって私情で指揮をとっていいの!?」

提督「なっ!!私情だt」

川内「ビスマルクさん達は万が一ここが攻撃された時のために待機していたんだよ!!それをいきなり捜索にまわすのなんておかしいでしょ!!」

川内「提督の指揮は、この戦争の命運を左右するんだよ!!貴方のミス一つで、戦況なんて軽くひっくり返ったりするんだよ!!」

提督「っ!!」

川内「こんな時こそ冷静になりなよ!!私たちは皆、提督を心配しているんだよ……?」

川内「そこに置いてあるのも食事じゃん……!!きっと誰かが持ってきてくれたんでしょ?提督、誰になんて言われても食べないんだから!!」

提督「……っ」ギリッ

川内「っ!!……提督、ごめんね。ごめんね、役立たずで……」ダキッ

提督「!」

提督(川内に頭を抱き抱えられる。暖かい体温と川内の甘い匂いに気分が落ち着く。川内は優しい手つきで頭を撫でてきた)

川内「ごめんね、辛い思いさせちゃって。提督だけに辛いこと押し付けちゃってるよね……行方不明になったのが、私ならよかったのに」ポロポロポロ

提督「っ!!違う!!そんな事!!」

川内「……ありがとう、そう言ってくれて。私は役立たずだけど、提督のために頑張るよ」

川内「だから、少しだけ、ほんの少しだけでいいから冷静になって。今日は私も警備に出るから」

川内「もし敵が攻めてきたら、私が命を賭してここを……提督を守るよ。だから、安心して」

提督「川内……すまなかった……俺は……」

川内「……落ち着いた?」

提督「ああ」

川内「良かった。帰ってきたらまた来るからね。だから、少しだけ一人になるけど、待ってて?」

提督「……分かった」

提督(落ち着けはした。心配をかけた上に、あたってしまったことが申し訳ない。惨めな気分だった)

提督(しかし、それよりも大切なことは、やはりプリンツのことだった。彼女のことを考えると身が裂ける思いだ)

提督「プリンツ……どうしていなくなってしまったんだ……俺のためなら何でもできるんじゃないのか……?」

提督(川内も出撃し、攻撃の指揮も大将がとっている。今、俺はここで一人だ。他の要員も司令部までは来ない)

提督「なら、生きて帰ってきてくれよ……プリンツ……プリンツ……!!」ボロボロボロ

提督(誰かに見られる心配もない俺は、ひとしきり泣いた。暫くして、落ち着くことができた俺は改めて書類仕事に取りかかった)

提督(数時間かけて今回の戦いの報告書を仕上げ、関連資料などを纏める。行方不明者1名、プリンツ・オイゲンか……)

提督「……」ガタ

提督(疲れた目を休ませようと窓の外を見た時、こちらへ向かってノロノロと進んでくる灰色の影が見えた)

提督「!!!!」ドクンッ

提督(窓に飛びつき、じっと目をこらし、その影を確認する。そして涙が溢れてきた)

提督「プリンツだ……!!プリンツだ!!」

提督(間違いない、あれはプリンツだった。灰色の制服に、雪のように白い肌。そしてまばゆいばかりの金髪)

提督(エメラルドのような緑の瞳と目があったような気がする。安心しきったのか、天使のような微笑みを浮かべた)

提督「プリンツ!!」ダッ

提督(あれほど求め、しかしどこか心のなかでは諦めていた少女。俺は駆け出した。ドアへ体当たりするように開ける)

提督(誰もいない廊下を駆け抜け、階段を飛び降りる。玄関ホールを飛び出て、一目散に港へ)

提督「プリンツー!!」

提督(しかし、見える海原には彼女の影は見えない)

提督「バカな!!プリンツー!!」

提督(もう上陸したのか?いや、辺りを見渡しても彼女の影どころか、人影ひとつない)

提督「プリンツ……!!」

提督(もしかしたら、さっきのは俺の望みが生み出した幻覚か何かだったのだろうか?)

提督「そんな……」

提督(その場に膝をつき、呆然とする。もはや今生で再会することはできないのだろうか?涙が溢れそうになる。すると突然視界に青白い手が入った)

提督「……っ!?」ビクッ

提督(岸壁の下からぬっと伸びて、だん!とその端を掴む。思わずぎょっとしたが、その可能性に思い至り、大慌てで駆け寄る)

提督「プリンツ!!」

提督(その手に飛びつくと、まるで氷のように冷たい。岸壁から下を覗き見ると、虚ろな表情のプリンツいた)

提督(緊急時用の、ただコンクリートを削っただけの梯子をすぐそこまで登ってきていた)

提督「プリンツ!!プリンツ!!」

プリンツ「……」ニコッ パクパク

提督(しかし、俺と目があった瞬間、ぼんやりとした笑みを浮かべる。口がアトミラールと動いた気がした)

提督「もう大丈夫だ!!捕まえたぞ!!もう大丈夫だ!!」

提督(腕を掴み、引っ張りあげる。上半身を何とか引っ張りあげたところで脇の下に手を差し込み抱き上げた)

提督(力なく首に回された手が、プリンツがここにいるという実感をもたらした)

提督「良かった……!!本当に良かった!!プリンツ!!俺はもう駄目かと思っていたんだ……!!」グスッ

プリンツ「……」

提督(プリンツは何事か言おうとしたが、口をパクパクさせるだけで声が出ていない。衰弱しきっている!!とりあえず運ばなくては!!)

提督「プリンツ、一度下ろすぞ!!中へ運ぶ!!」

プリンツ「……」コクッ

提督(こくんとかすかに頷く。プリンツをお姫様のように抱え、揺らしすぎないように急ぐ)

提督「どうする?どうするどうする!?」

提督(この体の冷たさ、意識もはっきりしない。今日はたしか医務室に人がいなかったはず……軍医が急病でこられなかったのだ)

提督(くそっ!!どうしてこんな時に!!このままではプリンツが死んでしまうかもしれない!!)

提督「体を暖めなくては!!それと、水と食べ物だ!!」

提督(そういった類いはどこにある!?食糧庫か!?いや、俺の部屋でいい。あそこなら非常食から救急箱、そしてシャワーまである)

提督(そうと決まれば実行だ。急いで運び、敷いたままの布団に寝かせる……前に濡れた制服を脱がさなくては。それと目立つ外傷がないかチェックだ)

提督(プリンツを畳に寝かせる。艦娘が被弾したときになるように、服はボロボロだ。大変なことになっているのだがそれどころじゃない)

提督(顔は生気がなく、青白い。付着した血痕はどうやらプリンツのものではないようだが……)

提督「すまない、これは治療のためなんだ!!分かってくれ!!」

提督(プリンツの服を鋏で切り、脱がす。白い肌がまぶしくて黒い下着が目に毒だが、見とれる暇はない。改めて全身を確認する)

提督「……外傷はなし、良かった!!」

提督(さすがは艦娘というべきか!!とりあえず、すぐ近くにあった予備のワイシャツを着せる。大きすぎるが気にしない)

提督(敷布団に横たわらせ、掛布団をかける。そして食べ物などをとってこようとすると、服の裾を捕まれた)

プリンツ「……!!」キュッ パクパクパク

提督「どうしたんだ!?」

提督(口をパクパクさせるだけで声が聞こえない。口元に耳を寄せる)

プリンツ「いかないで……」

提督(小さなかすれ声。思わず顔を見ると、緑色の瞳は真っすぐ俺を見つめており、一筋の涙が溢れている)

提督「安心してくれ、食べ物をとってくるだけだ。すぐに戻る」

プリンツ「……」

提督(なおも手は離れなかったが、優しく手をとり、握りしめてから胸の上におく)

提督(棚の中から緊急食糧の箱を開けて、中を確認。乾パンと水を取り出す。ついでにいつでも使えるよう電気ポットのスイッチを入れ、すぐに戻る)

提督「プリンツ、ほら、水だぞ!」サッ

プリンツ「こく……こく……」

提督(丁寧に上半身を抱き起こし、水を少しずつ飲ませる。喉が動き、飲んでいることが分かった)

提督「よし!!」

提督(しかし、この数日間何もたべていないはずだ。長く食べていない人間に水を飲ませ過ぎると、死んでしまう。飲ませるのは少しだけにした)

提督「次は食べ物だ、乾パンだぞ!よく噛んで食べるんだ。いいな?」

プリンツ「……」

提督(包みを破って小さく割る。欠片を口に含ませた)

プリンツ「……」

提督(が、噛まない……!!いや、噛めないのか!?くっ……どうすれば…… っ!!)

提督(思い出されたのは有名な某アニメ映画。主人公が食べ物を食べられなかった時に、ヒロインは自分で噛んでから食べさせていた)

提督(プリンツの口から欠片をとりだし、それを自分の口に含む。噛んで噛んで噛みまくる。液体のようになったそれを、口移しでプリンツに食べさせる)

提督「ん……」

プリンツ「……ごくん」

提督「よし、飲んだ!!」

提督(同じ要領で一食分を食べさせた。しかしまだ意識は朦朧としているようだ)

提督「くそっ!!本当に大丈夫なんだろうな!?」

提督(このまま死んでしまうような気がして、気が気でない。だれか医者に連絡しなくては……)

提督「そうだ、電話だ!!」

提督(ハッと気がつき、携帯を出した。軍医へ連絡する。気がつかなかったらどうしようかと思ったが無事に繋がった)

提督(だいぶ体調が悪そうだったが、こちらの方が重要だ。プリンツの容態について説明し、対処を仰ぐ)

提督(すると、低血糖の可能性が高いということだった。対処法は、ブドウ糖を取らせること。つまり、炭酸飲料が最適だ)

提督(電話を切ると共に、小走りで駆けだす。部屋にある小型の冷蔵庫の中から一番好きといっていたファンタオレンジを取り出した)

提督「……冷たくても大丈夫なのか!?」

提督(そこは聞いていなかった……!!だが、明らかに体を冷やすのは良くないだろう。沸かせていたお湯を少し混ぜることで温くした)

提督「これなら大丈夫なはずだ!プリンツ、ファンタだぞ!」

提督(再び上半身を起こし、ゆっくりと飲ませる。こくこくと動く喉が愛おしい)

提督「生きているんだ……!!」

提督(改めてプリンツの生存を実感する。一度は失ったと諦めかけていた大切な存在。もう絶対放さない!!)

プリンツ「こく……こく……っ!!」パチ

提督(突然、カッとプリンツの目が開かれた。いったいどうしたのだろうか?)

提督「プリンt」

プリンツ「うわあああああああああああ!!」

提督(絶叫が響く。耳が壊れそうだ!!)

提督「っ!!プ、プリンツ!!」

プリンツ「Nein!!Nein!!Nein!!Nein!!Neeeeeeiiiiiin!!」ジタバタ

提督(プリンツは掛布団を蹴り飛ばそうとしているのか、したばたと暴れる。とりあえず布団をどかした)

提督「プリンツ!!落ち着け!!プリンツ!!」

プリンツ「Aaaaahhhh!!Was ist das!?Was läuft!?Wo bin ich!?」

提督「プリンツ!!もう大丈夫だ!!俺の部屋だ、ここは!!」ガシッ

プリンツ「あ、アトミラール!?アトミラール……アトミラール!!」ダキッ

提督「プリンツ!!そうだ、俺だ!!本当に良かった……」ギュッ

プリンツ「んちゅっ」

提督「んむ!?」ビクッ

プリンツ「んはぁ!!んちゅ、んむぅ。れろれろれろ」

提督(錯乱していたプリンツは俺を認識するとともに、少しだけ冷静さを取り戻したように見えた)

提督(何が起こっているのか分からないという表情から、何かを思い出すかのような思案顔)

提督(それから一転、今にも泣きそうな、しかし喜びの余り顔がにやけるのが止められないと言ったような、感情の爆発を湛えた複雑な笑顔だ)

提督(そして、おもむろにこちらへ抱き付き、腕を首にまわし、唇を重ねてきた。ただ、自分の愛情を伝える為だけの、乱暴なキス)

提督(強く押し付けられた唇、こちらの口をこじ開けるかのように舌がねじ込まれる)

提督(されるがまま唇を開くと、すかさず舌が侵入してくる。こちらの舌を求めるように妖しく蠢いた)

提督(そして目当てのモノを探し当てると、獲物を捕らえた蛇のように絡まってくる。首にまわされた腕も、より一層強く抱きしめてくる)

提督(あまりの衝撃に暫く放心していた。が、気を取り戻し、プリンツを落ち着かせようとする)

提督「……!!ん!!んー!!ぷはぁ!!プリンツ、落ちつ」グイッ

プリンツ「んふぅ……ぷはっNein!! いやぁ!!ダメです!!」バチン

提督「いっ!?んぶぅ!!」

プリンツ「んちゅぅ……むちゅぅ……にゅるにゅる、れろれろ、じゅるる」

提督(何とか押し戻したと思ったらまさかのダブルビンタ。そのまま顔を押さえつけられ、再び唇を交わす)

提督(とりあえず落ち着くまではこうしていようと考え、抵抗をやめる。すると、プリンツも顔を強く押さえつけていた手をはなした)

プリンツ「はむぅ……んふぅ……んぅ!んはっ……むふぅ……」グイ

提督(するりと体に手を回され、後ろに倒れる。プリンツに引っ張られるようにして覆いかぶさる)

提督(足を絡ませられ、体を擦りつけられる。服越しとはいえ、柔らかい胸と太ももの感覚に赤面する)

提督(強く求めてくるプリンツに、俺は果たしてあの戦いから今日までどのような気持ちでいたのかということに思い当たった)

提督(一人でここまで戻ってくるまでの日々、想像のできない孤独と恐怖だったのだろう)

提督(プリンツがたまらなく愛おしい。俺は、自分からもプリンツの背と頭に手を添えた。冷たいプリンツの体を温めるように抱き合う)

提督(どのぐらいの間だったろうか?ようやく唇を離したころには、プリンツの体温も十分温まっていた)

プリンツ「……アトミラール」

提督「無事でよかった。本当に。本当に良かった……!!」ギュッ

プリンツ「あっ/// Danke…… 私も、生きて帰ってこれて良かったです」

提督「本当にそうだ。もう二度と居なくならないと誓ってくれ」

プリンツ「はい。私はアトミラールのモノですから」ギュッ

提督「約束だからな?破ったらただじゃおかないぞ。……そうだ、これを返すよ」

プリンツ「はい。……!!これ、ずっと胸ポケットに入れていたんですか?」

提督「いつでも返せるようにな」

プリンツ「アトミラール……!!ありがとうございます。……アトミラール、好きです。貴方を、愛しています」

提督「!!……ありがとう」

プリンツ「……結婚、してくれませんか」ジッ

提督「!」

プリンツ「アトミラールがビスマルク……姉さまを好きなのは知っています」

提督「プリンツ……」

プリンツ「けど、こればかりは一人の女として譲れません。貴方が好きなんです。貴方を思うだけで、すべてが鮮やかに色づく」

プリンツ「心臓がドキドキします。貴方の笑顔を見るだけで私まで笑顔になれる。貴方の真剣な横顔から目が離せない」

プリンツ「貴方の隣にいる為なら何でもできます。貴方が他の女性に笑いかけているのを見ると、心が張り裂けそうです」

プリンツ「どうか私を選んでください。私のすべてを以て貴方に捧げます。貴方を助け、良き妻となれるように全力を尽くします」

提督(うるんだ瞳に、紅潮した頬、上目遣い。胸の前で組まれた手は、神に祈る聖女の様だった)

提督(俺は、プリンツが好きだ。愛していると言える。今すぐにでも結婚したいぐらいに)

提督(だが、それと同じか、それ以上にビスマルクのことを愛していた。たとえ不幸にもすれ違い、想いが穢されたとしても)

提督(俺は、どうすればいいのか分からない。何ということだ!こんな美人が俺を好いてくれているのに!)

提督(ああ、今すぐに抱き付いてキスをしたい!愛したい!結婚して、二人で幸せに暮らして、子宝に恵まれて、孫に囲まれて安らかに二人で旅立ちたい!)

提督(それを望みさえすれば手に入る!だが、悲しげなビスマルクの顔が脳裏に浮かんで離れない!)

提督(あの男さえいなければ、このようなことにならなかったのだろう!!あいつは結局、報いを受けた。当然だ)

提督(しかし、歪な形であったとはいえ、幸せを手に入れたビスマルクを自分の意志でその甘い悪夢から目を覚まさせたのは俺だ)

提督(それはもちろん、たとえ汚されたとしてもビスマルクが忘れられなかったからだ。彼女を愛していたからだ)

提督(赤子殺しの汚名を背負って、背負わせてまで彼女を選んだのは他ならぬ俺自身なのだ!!)

提督(信じがたい難問だ。俺は、今は答えが出せなかった。いや、答えはあるのだろう。だが、今それを言い出せなかった)

提督(今だけは、今だけは絶対にダメだ。短い間でいいからこの残酷な決断を先延ばしにしたかった)

提督「……プリンツ、ありがとう。本当に、心から嬉しい。けど、今はまだ決められない。すまないが、時間をくれないか」

プリンツ「……」

提督(プリンツは、少しだけ目を見開くと、俯いた。もしかしたら察してしまったのかもしれない)

提督(だが、二人と結婚するだなんて倫理的に無理だ。人の道に背く行為だ。すまない…… だが、せめてこの、心地いい空間をもう少しだけ……)



プリンツ(私は自分の敗北を察した。私のできることすべてをしたはずだった。この身もこの心もすべて捧げた)

プリンツ(自分の外見だって気にかけてきた。潮風に傷みやすい金髪も紫外線に弱い白い肌も)

プリンツ(体形だっていい感じをキープしている。プロポーションも、まだビスマルクほどではないにしろ、私には伸びしろがある)

プリンツ(性格だって、自画自賛みたいで嫌だけど……悪くないはずだ。皆とも仲良くできているし、気がきく明るい性格とよく言われるし)

プリンツ(食事だって作れるし、家事はもちろん雑用から大事な仕事まで。任されたものは全部完璧にこなしてきた)

プリンツ(進んでアトミラールに尽くしてきた。嫌々ではなく、喜んで!あの人のために何かすることが幸せだった!)

プリンツ(あの人のためにこの身を顧みず戦った!何度も死線を潜り抜けて、相手をなぎ倒してきた!)

プリンツ(それでも……それでもまだ届かないの?……アトミラールのビスマルクへの想いには!!)ギリッ

プリンツ(報われるはずと信じて今まで戦ってきた私の中で、そのことがただの幻想かもしれないと気がついた)

プリンツ(あんな尻軽女なんかが私よりもこの人にふさわしいのに!酷い裏切りをして名誉を失ったあの女なんかがこの人と?)

プリンツ(そんなのは嫌だ!!心の中に昏い感情が胎動する。なんとしてでもこの人が欲しい!!もう残された道は一つしかない)

プリンツ(この人を掠奪する。それこそが唯一の正しい選択。この人を私のモノとして、愛し尽くす)

プリンツ(決して褒められた行為ではないが。しかし、今こそそうすべきだ。でないと後悔する)

プリンツ(今ここで、この人の心を仕留める。この人のすべてを手に入れて私に染める。そこで私を捧げよう)

プリンツ(アトミラールは優しいから、ビスマルクを切り捨てられないだけだ。けど、そんなことは間違っている。悪事を犯した奴らが今こそ酷い報いを受ける番だ)

プリンツ(大丈夫、きっと上手くいくから。幸せな生活が待っている。その為には、今ここで少し乱暴になってでも、頑張らなくては)

提督「プリンツ……」

プリンツ「……そうですか、分かりました」

提督「……ありがとう」

プリンツ「ところで、アトミラール……その、頼みたいことがあるのですが……いいですか?」ジッ

提督「俺にできることなら、なんでも」

プリンツ「その……お風呂に入りたいんですけど……体に力が入らなくて……」モジモジ

提督「!?」

プリンツ「だから、その……お風呂に入れてくれたら嬉しいなって……」チラッ

提督「や、その……誰かが帰ってきた後にした方がいいのではないか?俺は男だぞ」

プリンツ「提督だからいいんです……駄目ですか?」キュッ

提督「しかし……」

プリンツ「とても寒いし、海水とかで体が汚れてて……本当に今すぐ入りたいんです。お願いします」ギュッ

提督「……」

提督(改めて、プリンツの全身を見る。恥ずかしそうに若干俯きかけの、上目遣い。涙に潤んだ緑の瞳赤く染まった頬)

提督(不安そうに肩が小刻みに揺れる。のばされた手が俺の服の裾を掴んでいた)

提督(そういえば、プリンツが身にまとっているのは俺のワイシャツと下着だけだ。噂に聞く裸ワイシャツにとても近い)

提督(男物であるがために形の良い胸が服を圧迫し、その谷間が丸見えだ。そして、裾からちらりと見えるのはプリンツの……秘所を覆う薄布だ)

提督(蠱惑的な装飾の薄布に覆われたそこは、一度も男を受け入れたことがないと思い出してしまう)

提督(今の状況を再認識し、男として興奮してしまった。だが、駄目だそんな事は!しかし、風呂に入れてあげるのは必要だろう。体も冷えているようだし……)

プリンツ「アトミラール……」ウルッ

提督「わ、分かった。しかし、タオルは巻いてもらうぞ」

プリンツ「アトミラール……!!ダンケ!!」

提督「では、行こうか。立てるか?」

プリンツ「……抱っこしてもらっていいですか?」

提督「分かった。ちゃんとつかまってくれよ」

プリンツ「はい。……あん///」

提督(プリンツをお姫様抱っこする。すると首に手を回してしがみついてきた)

プリンツ「重く……無いですか?」ササヤキ

提督(耳元で聞こえるウィスパーボイス。ぞくぞくする)

提督「羽のように軽いよ」

プリンツ「ふふっ……もう絶対放しませんからね」ギュッ ハイライトオフ

提督「何か言ったか?」

プリンツ「いえ、男らしいですねって」

提督「っ!……て、照れるな」

提督(脱衣室でプリンツにバスタオルを渡す。とりあえずアンダーウェア姿になる。別に、一緒に入るわけではないのでこれで十分だろう)

プリンツ「アトミラール、準備できましたって……それで入るんですか?」

提督「もちろん。君の手助けをするだけだからな」

プリンツ「……分かりました。お願いします」

提督「ああ」

提督(プリンツに肩を貸し、浴室へ入る。椅子に座らせ、シャワーを確認。よし、暖かい)

提督「まずは髪からかな?」

プリンツ「はい、お願いします」

提督(プリンツの指示に従う。シャワーで流しながら髪を優しく解かすように洗う。シャンプーをつけて同じようにした)

提督(触り心地がよく、まるで絹の様だ。丁寧に洗った後、泡を流してタオルで軽く拭く。そしてリンスを髪に練り込むようにする)

提督(徹夜の時に秘書艦に使われたりするため、女性用のリンスやシャンプーを置いていたことが吉と出たな……)

提督(シャワーで軽く髪を濯ぎ、俺の仕事は終わりだ。あとは途中で倒れたりした時のために近くで待機すればいい)

提督「よし、終わったぞ。後は体だが……向こうを向いているから洗ってくれ」

プリンツ「えっ?洗ってくれないんですか……?」

提督「なっ何!?」

プリンツ「背中とか洗いにくくて……お願いします」

提督「っ……わ、分かった」

プリンツ「ありがとうございます」ニコッ

提督「ああ。よし、じゃあ洗うぞ」

プリンツ「アトミラール、良ければスポンジとかは使わないで手でやってくれませんか?肌が弱くて」

提督「手で!?あ、いや、分かった。任せろ」

提督(動揺しつつもボディーソープを手にだす。バスタオルを取り払ったプリンツのヒップに向かいそうになる視線を何とかしつつ、背中をなでる)

プリンツ「ひゃん!!アトミラール、ちょっと冷たいです……」ビクッ

提督「す、すまん!!申し訳ない……」

プリンツ「大丈夫ですけど、ちょっと手のひらで温めてからしてくれると嬉しいです」

提督「サンオイルと同じだな!?任せろ」

提督(なでるようにしてプリンツの背中を洗う。しっとりとしていて滑らかな肌触りだ。ひたすら無心を貫く)

プリンツ「んぅ……ふぅ……はぁっ……///」

提督(艶めかしい声が漏れているが気にしない!……よし、こんなもんだろう)

提督「で、できたぞ。後は自分でできるか?」

プリンツ「ま、前も洗ってくれませんか?」

提督「!?」

提督(上気した肌、見返り美人のようにこちらを振り向いたプリンツがねっとりとした声音で頼んでくる)

プリンツ「お願いします……アトミラール。手を上げるのが辛いんです。力が入らなくて……」

提督「そ、そうか……分かった……!!」ゴクリッ

提督(手が震える。興奮に心臓がバクバクと脈打つ。下半身に血液が集まることを、いったい誰が咎められようか)

提督(恐る恐る手を前へ回す。お腹を優しくこすり、手はそのまま上へと移動する)

プリンツ「あふぅ……んっ……ふぁ……///」ピクン

提督(その柔らかくも弾力のある胸をしたから持ち上げるようにして、さすっていく。もちろん、そこで終わるわけではない)

提督(そこで、気がついてしまった)

提督「!?」

提督(た、たっている!!つまりは、そういうことなのか!?プリンツの張りのある、つんと上を向いた胸の先端、突起が固くたっていた)

提督(つまり、プリンツは性的に興奮している状態だ。だが、それは意図せずともなってしまう。現に、俺だって……っ!?)

プリンツ「んはっ……はぁっ……くぅ……///」スリスリ

提督「ぷ、プリンツ!?何をしているんだ!?」

プリンツ「ふぇ?さすがにここを洗ってもらうのは恥ずかしいので……洗いたかった……ですか?」

提督「あ、いや、違うんだ!!すまん、何でもない」

プリンツ「……あ、アトミラールなら、いいです、よ?」

提督「いや、いい!!そこは自分で洗ってくれ!!頼む!!」

プリンツ「はい。んっ……」スリスリ

提督(手を下腹部にあてて何かしているからと言ってそういうことを考えてしまう自分に嫌気がさした。雰囲気にあてられておかしくなっている)

提督(余計なことを考えないようにしつつそのまま上半身を洗う。腕まで洗ったところで、聞いた)

提督「下半身はさすがにあれだよな?自分でできるか?」

プリンツ「……はい、もう大丈夫です。ありがとうございました。洗い終わるまで少し待ってくれますか?」

提督「分かった……!!向こうを向いているから、気にしないでくれ!!」

プリンツ「そうですか、分かりました」

提督(言い訳のように頭で繰り返す。途中で倒れたりする危険があるし、湯船に入る時に助けが必要だ。外へ出るわけにはいけない)

提督(この生殺しの生き地獄を耐えきるために胡坐をかいて心の中で必死に軍艦行進曲を歌っていたところ、体を流す水音が響く)

提督「終わったか?……プリンツ?」

プリンツ「……♪」ダキッ

提督「!?」ビクッ

提督(背中に感じる二つの大きな存在感、そして暖かい体温。耳元に寄せられた口から熱っぽい囁きが漏れる)

プリンツ「ありがとうございます、アトミラール。お礼に、私がアトミラールを洗ってあげますよ」

提督「プリンツ……!?っ!!だ、そこは駄目だ……!!」

提督(プリンツの手が、パンツの中に入ってくる。そしていきり立っている俺のモノを優しく、しかししっかりとつかんできた)

プリンツ「……!!すごく硬くて、熱い……///大きくなってますね。私に興奮してくれたんですか……?私も、アトミラールの立派なこれにすごく興奮しています///」

提督「だ、駄目だプリンツ……!!」

プリンツ「そんなことありません。これはお礼なんですから……♪」シコシコシコ

提督(俺は、抵抗しようとした。しかし、できなかった。プリンツの手が俺のモノをゆっくりと扱き始め、その快楽に抗えなかった)

提督「っ……!!ぐっ……!!はぁっ……!!」ビクッ

提督(片手で俺のモノを扱きつつもう片方の手で俺の乳首をこねくり回す。ぞわぞわとした快感に息が荒くなる)

プリンツ「すごい……ぬるぬるしてきましたね……?気持ち良いですか?」

提督「……っ!!十分に動けるじゃないか……!!」

プリンツ「今、そんな事は重要ではありませんよ。忘れてください。それで、どうですか?気持ちいいですか?」

提督「っ……初めてとは思えないよ……」

プリンツ「そうですか……!!アトミラールに喜んでもらうために、たくさん勉強したんですよ?」

プリンツ「火照ってしまった体を自分で慰めながら、エッチな動画とか本で頑張ったんです」

提督「自分で慰めながら……!?」

プリンツ「そうですよ。そういうのを見れば、興奮しちゃいます。アトミラールに愛してもらえるまでは我慢しようと思っていたんですよ?」

プリンツ「けど、切なくて我慢できなくて。はしたないってわかっていたんですけど……耐えられませんでした」

プリンツ「アトミラールにいっぱい愛してもらうことを妄想しながら、はしたなく指がうごいてしまったんです」

提督「……!!」

提督(プリンツは俺の耳元で自分の痴態を囁く。しかし、この状況ではただただ俺を興奮させるだけだった)

提督(そうこうしている間にもプリンツの手は緩急をつけながら俺のモノを扱く)

提督(カリや裏スジ、亀頭。それに玉袋まで責める手法は上手い。だが、隠そうとしても隠しきれないぎこちなさ)

提督(そして経験のなさからくる手際の悪さは、確かにプリンツに実戦経験がないことを示していた)

提督(だが、それはむしろ興奮する材料としかならない。プリンツという純潔な少女を俺が自分色に染めているような感覚だ)

プリンツ「アトミラール……どうですか……?気持ちいいですか……?」

提督「っ……」ピクッ ピクッ

提督(気持ちいい。もちろんだ。だが、言えない。それを言ってしまうと自分からビスマルクを裏切ってしまう)

提督(抵抗していない時点で何を言うんだと思うかもしれないが、されるのとするのでは天と地ほどの差がある)

提督(俺は、言えなかった)

プリンツ「ぴくぴくしてるってことは気持ちいいんですよね……?けど、ちゃんと言ってもらえないと不安です……」

提督「……」

プリンツ「……アトミラール、こっちを向いてください」

提督「……」

プリンツ「っ!はむっ……んちゅっ……」グイッ

提督「っ!?んっ……!!」

プリンツ「んむっ……れろ……にゅるにゅる……」

提督(無言を貫き、か細い声のこっちを向いてという懇願をも無視した俺に、プリンツは俺の胸を弄っていた手で強引にそちらを向かせる)

提督(そして強引に唇を重ねてきた。肩に感じる柔らかい胸、すぐに熱い舌が絡みついてくる。それと同時に俺のモノを扱く手を激しくした)

提督(プリンツに強引に口づけされて、貪られる。激しくモノを扱かれる。ビスマルクがいるのに。背徳感が快感に変わる)

提督(そして、あのプリンツがというギャップ萌え。さらには強引にされるということの興奮。限界を迎えそうだった)

提督「っ……!!んくっ……!!」ピクンピクン

提督(そして、もう寸前というところで、ぴたりと手が止まった。唇が話され、舌が引き抜かれる)

プリンツ「ぷはっ……腰が浮いてますよ。もうイきそうなんですね?けど、駄目です。まだイかせてあげませんよ」

提督「なっ……!?なんで……!!」

プリンツ「イかせて欲しいんですか?ならそう言ってくれればイかせてあげますよ」

提督「っ……!!」

プリンツ「ただされるがままってのは、ズルいですよ。私は、便利な女じゃ満足できません」

プリンツ「欲しいんです、アトミラールが。愛してほしいんです。結婚してほしいんです。私を、選んでほしいんです」

提督「……俺には、ビスマルクがいる。君のことは好きだ。愛しているよ。けど、俺の妻はビスマルクなんだ」

プリンツ「……アトミラール、こっちを向いてください」

提督「っ!!無理だ……」

プリンツ「……なら、私が前に回りましょう」

提督「プリンツ……!?」

提督(プリンツの形の良い引き締まったヒップが視界に入る。目を逸らせない。そして目の前でこちらを向いた)

提督(剃ってあるのか、毛のないそこはピッチリとした綺麗なスジマンだ。だが、愛液に濡れている)

提督(視線を上げると、美しいお腹を経てからつんと張った大きな胸を見上げる形となる。その先端は桜色で、やはりたっていた)

提督(そして、ようやくプリンツと目が合った。緑色の瞳は爛々と輝いているようだ)

プリンツ「私の体、お気に召してくれましたか?」

提督「っ!!すまん!!」

プリンツ「もっと見てください。アトミラールだけのためにあるんですよ」

提督「俺の……!!いや駄目だ!!」ガタン

プリンツ「……素直になれないアトミラールには、素直になれるようにもっと奉公してあげますからね」

提督(必死の思いで後ろへ下がる。そんな俺に対して、プリンツは獲物を追い詰める女豹のように四つん這いになって這いよって来る)

提督(揺れる胸とヒップに魅了される。不敵な笑みを浮かべたプリンツはいつもとは別種の、正反対の魅力を放っていた)

プリンツ「目を閉じてください……?」

提督(俺は、動けない。壁がある。ただ、言われるがままに目を閉じることしかできなかった)

プリンツ「んっ……んちゅ……れろ……」

提督「んっ……!!」

提督(プリンツが唇を押し付けてきて、舌をねじ込んでくる。再び咥内を蹂躙された。唾液が混ざり合い、それが吸い出される)

プリンツ「ぷはっ……男の人は、好きなんですよね?胸でされること。んっ……」

提督「プリンツ……!!」

提督(そういうとプリンツは唾液を俺のモノにたらし、豊満な胸で挟んだ。胸で扱き、圧迫してくる)

プリンツ「んっ……ふっ……どうですか……?」

提督(さらに、谷間に挿入させられるようにして包み込まれ、固くたっている乳首で敏感な所を刺激してくる)

提督(いやらしく形を変える胸。プリンツに奉公させているという征服感と官能的な光景。男としての満足感を覚える)

プリンツ「イかして欲しいですか?言ってくれればすぐにイかしてあげますよ?」ムニュムニュムニュ

提督「くっ……俺には、ビスマルクが……」

プリンツ「……へぇ?まだ素直になってくれないんですね。こんなに腰が浮いているのに……切なさそうな顔をしているのに……」

提督「……」

プリンツ「……あは、美味しそう。アトミラールのなら、喜んでこういうこともできます。あむ」

提督「!!」

提督(プリンツはパイズリをやめると、ジッとこちらを見つめる。そして視線を俺のモノに落とすと、妖しい笑みを浮かべた)

提督(そして髪を背中に流し、ちろりと舌なめずりすると俺のモノを咥え込んだ。熱に包まれる)

プリンツ「れろれろれろ……じゅるるる、じゅる。じゅぷじゅぷ」

提督「くっ……あぁ……!!」

提督(舐めまわされ、激しく吸われ、耐えがたい快感が俺を襲う。しかし、再び絶頂を迎えようとしたところで止められる)

プリンツ「んはっ……やっぱりお野菜とかバナナとは違いますね。けど、これがアトミラールの味ですか……」

プリンツ「癖になりそうです。……どうですか?イかせて欲しいですか?」

提督「……」

プリンツ「……そうですか」

提督(俺が絶頂を迎えそうになると、フェラを止め、そう聞いてくる。それにこたえられないでいると、ジッと見つめてくるのだ)

プリンツ「……アトミラール、私、頑張りましたよね?敵との戦いも、アトミラールのサポートも」

提督「……ああ」

プリンツ「ご褒美が、欲しいです。少しでも感謝してくれているのなら、ご褒美をください」

提督「……俺にあげられるものなら」

プリンツ「アトミラールしか持っていないもの、です。……貴方の心を、愛をください。これで私を、染めてください。あむ」

提督「っ!!」

提督(見つめながら、俺の心に訴えかけてくる。少しずつ少しずつ、俺の心をこじ開けていくように)

提督(そうして、ある程度射精感がなくなるまで待ってから再びフェラを始める。しかも、どんどんとうまくなっていった)

提督「っ……!!くぁ……!!」

プリンツ「じゅるじゅるじゅる……れろれろれろ……」ジッ

提督(俺の反応をずっと観察して、学習しているのだ。最初の頃にあった手際の悪さは今や全くなくなっていた)

提督(的確なタイミングでせめてくる。俺のモノを咥えながら上目遣いでこちらを見つめてくる。その緑の瞳に吸い込まれそうだ)

提督(どうしてイかせてくれと言わないのか。共犯者に自分からなろうとしないのか。……プリンツを、名実ともに受け入れないのか)

提督(ビスマルクのことなんて忘れて欲しい。プリンツを受け入れて、選んでほしい。結婚してほしい)

提督(そう訴えられているようだった。ビスマルクの名前を出す俺に、彼女を忘れさせようとしている)

『お気をつけ下さい、将軍、嫉妬というものに。それは緑色の目をした怪物で、ひとの心をなぶりものにして、餌食にするのです。』

提督(有名な言葉が頭をよぎる。今のプリンツは、まさにそれのような気がした。だが、その怪物がここまで魅力的だとは聞いていない)

提督(繰り返される快楽と言葉責めに押しつぶされる。理性や良心が本能と欲望に塗りつぶされていく)

プリンツ「アトミラール……辛いですよね。こんなに息が荒くて、ここが痙攣して。けど、私も辛いんです」

プリンツ「アトミラールは気持ちいいかもしれませんが、私はさっきからずっと切なく疼くここを慰めることすらできていないんです」クニッ

プリンツ「貴方の手で、私を女にしてください。男の……アトミラールの味を教えてください」

提督「……かった」

提督(何度焦らされたのだろうか。ここで屈してしまった俺を、誰が責められるというのか。男なら、こんなこと耐えられるわけない)

提督(いくら愛する妻がいるからと言って、その妻を寝取られた時に自分を殺してまでずっと支えてくれていた子が)

提督(助けてくれて、好意を向けてくれているこんな可愛い子が。俺自身も確かな愛を感じている子が)

提督(その魅惑的な裸体をさらしてここまでしているのに耐えられるのであれば、尊敬する)

プリンツ「!!……何ですか?」

提督「分かった。プリンツ、……愛してる。もう限界だ……お前が、欲しい。お前の中で、果てたい」

提督(今の俺は、この焦らしに焦らされて今にも暴発しそうなこれでプリンツのはじめてを奪い)

提督(そしてプリンツの中に全てを吐き出すということしか考えられなくなっていた)

プリンツ「そうですか……そうですか!!けど、もうちょっと早くに言えば良かったですね?もうだめです」

提督「なっ!?そんな……!!」

プリンツ「ふふっそんな顔をしなくても大丈夫ですよ。冗談です。……けど、寂しくて怖かったです」

プリンツ「もし受け入れてくれなかったらどうしようって不安だったんですから。その分、たくさん愛してくださいね?」

提督「ああ、分かった。……部屋に戻ろう」

プリンツ「はい。ふあっ!……アトミラール?」

提督(俺はプリンツを両手でお姫様抱っこする。そして敷いてある布団まで運んだ)

提督(体は十分乾いていた。暖房を強く設定していたおかげで、部屋は十分に暖かい)

提督(俺はプリンツを優しく抱き下ろすとそのまま頭を抱えて唇を交わした。プリンツもまた俺の体に手をまわし、抱き締められる)

プリンツ「んちゅぅ……んはぁ……れろれろ……にゅるにゅる……」

提督(そうして愛を確かめながらも、俺の手は首筋を経て鎖骨をなでてから胸へと到達した。柔らかいそれを優しく揉む)

提督(そしてその先端の桜色の突起を摘み、こねくり回す。まだ開発されていないため反応は薄い)

プリンツ「んふぅ……んあぁ……はぁん……むちゅぅ……」ピクンピクン

提督(しかし、感じてはいるようだ。じれったく思っても、初めての子が相手なら前戯は手を抜いてはいけない)

プリンツ「ぷはっ!アトミラール……む、むねぇ……ちくびぃ……だめぇ……!!」

提督「愛しているよ、プリンツ」

プリンツ「わ、私もでっうひゃぁ!?み、耳舐めちゃダメっ……!!ああ、舌入れないで……!!」

提督(そして指と同じように首筋、鎖骨を経由しながら胸に行くと思わせて転進。脇へ奇襲をかけた)

プリンツ「ひゃん!わ、脇ですか……?くすぐったいですよぅ……はぁっ……!!」

提督(風呂上がりだからだろう。ボディーソープの香りと甘いプリンツの匂いが混じっている)

提督(舌で軽くくすぐるようにしてから、そのまま舌を胸に這わせていく。だがすぐその先端にはいかない)

プリンツ「いやぁ……さきっぽ……焦らさないでぇ……!!切なくておかしくなっちゃいますからぁ……!!」

提督(だが断る。谷間に挟まれるようにしてその底を舐めつつ、もう片方の膨らみへ。プリンツは身を捩り、脚をもじもじとさせている)

提督(十分に焦らした後に、前触れなく乳首へしゃぶりつく。甘噛みし、強く吸い、舌で転がす)

プリンツ「はぁん!!くぅ……アトミラール……変な感じです……!!つぅ……あぁ……!!」ピクン ピクン

提督「じゅるじゅるじゅる……れろれろれろ……」

プリンツ「あ、アトミラール……可愛いです……赤ちゃんみたい……」ニコッ ナデナデ

提督(母性本能を刺激したのか、頬を赤らめ色っぽい吐息を吐きながらも慈愛を湛えた笑みでこちらを優しく見つめている)

提督(そして頭を撫でてきた。今のプリンツはまだ快楽よりも母性を刺激するらしい。開発していくとどうなるのか楽しみだ)

プリンツ「……赤ちゃん、つくりましょうね」

提督「!」

提督(その発言に俺はさらに興奮した。プリンツを孕ませる。素晴らしい事だ。下乳を舐めてそのまま腹へ。臍を舌で抉った)

プリンツ「ひゃっ……!!アトミラール……!!」

提督(そして口をプリンツのお腹から離すと、脚の方へ移動する。プリンツは羞恥の為か内股にして、手で秘所を隠した)

提督「プリンツ……脚を開いて」

プリンツ「これ以上暗くは……なりませんよね……そういえば日中ですし」

提督「ああ。……自分で開いてほしいんだ。手もどかして」

プリンツ「……っ!!……!!……ja」

提督(プリンツは暫く躊躇った後、意を決して脚を少し開いた。そして手もどかし、そのまま顔を覆う)

提督「プリンツ、もっと広く開いて」

プリンツ「!?そ、そんな……恥ずかしいです……!!」

提督「さっき見せつけてきたじゃないか。頼むよ。俺のことが好きなんだろ?」

プリンツ「!!うー……どのくらい開けばいいんですか?」

提督「そうだな……しゃがんだ時みたいに開いてくれ」

プリンツ「ええ!?ちょっと待ってください……!!本気ですか?」

提督「もちろん」

プリンツ「うー……!!……っ!!これで、いいですか……!?」

提督「ああ、バッチリだ……!!」

提督(ピッチリと閉じたプリンツの秘所は、十分に濡れていた。俺は、ゆっくりと手を伸ばし、開いてみた)

提督「……!!」ニチッ クパァ

プリンツ「っ……!!」カァッ

提督(顔は両手で覆われているが、耳まで赤くなっている。プリンツが声を押し殺して恥じらう姿に嗜虐心をくすぐられる)

提督(プリンツのそこは綺麗なピンク色で、ぷっくりと膨らんだクリに、明らかにビスマルクにはなかったものがあった)

提督(少し白みがかったそれが、おそらく処女膜なのだろう。胸が高鳴る。大切なものをこの手で穢すような背徳感)

提督(十分に濡れているようにも見えるがまだ早い。俺はプリンツのクリに舌を伸ばした)

プリンツ「っ!!くぅ……はぁ……!!あぁ……ああ……!!だめぇ……!!」ビクッ ビクッ

提督(口に含み、舌で刺激する。プリンツは腰を震わせ、身を捩る。吐息と喘ぎ声が抑えられていない)

提督(クリを吸い、甘噛みする。それと同時に手を伸ばして胸を愛撫する。それを、激しくしていく)

プリンツ「ま、まってくださいぃ……!!きちゃいます!!きちゃいますからぁ……!!っぁ!!はぁああああ!!」ビクンビクン

提督(絶頂を迎えたプリンツの体が強張って痙攣し、脱力する。愛液の味と匂い。十分に濡れている。本番だ)

提督「プリンツ。入れるよ」

プリンツ「ぁ……イったばっかで……もう少し待ってもらえませんか……?」

提督「無理だ。もう待てない」スッ ピトッ

プリンツ「!! ……分かりました。来てください。……私、とうとうアトミラールと結ばれるんですね」

提督「なるべく痛くないように頑張るよ」

プリンツ「アトミラール……怖いです。キス、してください」

提督(不安そうな表情を浮かべるプリンツにそう懇願される。唇を重ねて舌を絡ませ……奥まで挿入した)

プリンツ「んっ……んふっ……んちゅっ……ん!!んんんんんんんんんん!!」ズッ ブツッ ズププププ

提督(破瓜の痛みに強く俺を抱きしめる。が、それもすぐに緩められた。十分に濡れているため、痛みが少ないのだろう)

提督(しばらく口づけを交わしてから離れる。プリンツは熱っぽくこちらを見つめていた。恥じらいと喜びが浮かんだ微笑みを浮かべている)

プリンツ「うはぁ……熱いのが、入ってきてます。押し広げられちゃう……思ったより痛くなかったです」

提督「ちゃんと前戯したからな。……血が出てるな」

プリンツ「……正真正銘、初めてでしたから。これで私はアトミラールのモノですね」

提督「そうだな。……動くぞ」ユッサユッサユッサ

プリンツ「はい、来てください……んっ!!くぅ!!はぁっ……!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督(慣らすようにピストンする。締りが凄い。ピッチリと閉じていたそこを押し広げて、自分専用に作り替えていく感覚)

プリンツ「んはぁ!!すごいぃっ……!!私のここぉ!!アトミラール専用にぃ!!なっちゃいましたぁん!!」パンパンパン

提督(布団を掴みよがり狂うプリンツに、俺は上体を起こして急所をつけるようにする。さらに、同時に手でクリを愛撫する)

プリンツ「んはぁああ!!だめぇ!!壊れちゃう!!私のここがおかしくなっちゃいます!!」

提督「俺はもう君に狂わされてるんだ!!君も壊れてしまえ!!」

提督(よがり狂うにつれて揺れる胸がまたそそる。胸にも手を伸ばして乳首を強くつまみ、指で弄んだ)

提督(部屋にはプリンツの喘ぎ声といやらしい水音、そして肉と肉がぶつかる淫猥な音が響いていた)

提督(クリ責めのおかげもあり、プリンツはもう上り詰めているようだった。俺も、フィニッシュに向けてさらに激しく責め立てる)

プリンツ「ああああ!!だめぇ!!きちゃうぅ!!あいしてます!!アトミラール!!だいすきです!!っぁああああ!!」ビクンビクン

提督「っプリンツ……!!くっはぁ……!!」ビュルルルルルルルルルルルル

提督(最近していなかったことに加えて、焦らすに焦らされていたからだろう。今までで一番長く量が多かった)

プリンツ「ああああああ!!はっ……あぁ、熱い……アトミラールのがいっぱい……」

提督「っ……プリンツ、俺も愛している」

プリンツ「アトミラール……キスしてください……んちゅっ……」

提督(しばらくキスを続けて、絡み合う。そして、一通り満足した後、モノを引き抜いた)

提督(赤い血と白い精液、そして透明な愛液が混じり合ったものがプリンツの秘所から溢れ、俺のモノとの間で糸をひく)

提督(改めて、プリンツと致したことを実感した。達成感と満足感に満たされる。この子は、正真正銘俺だけのものだ)

提督(しばらく二人で並んで寝そべる。余韻に浸っていた。そして、どちらからともなく二回戦目の準備を始める)

提督(唇を交わし、手が互いの体を愛撫する。脚は組まれ、互いの体をこすり合う。俺も臨戦態勢になってきた)

提督「プリンツ……舐めてくれないか」

プリンツ「Ja……もちろんです。んちゅ……はぁむ……れろれろれろ、ぺろぺろぺろ……んちゅ、じゅる。じゅぷぷぷぷ」

提督(プリンツの唇が先端に吸い付き、優しく舌で舐めてくる。そして徐々に飲み込まれていき、根元までがすっかりと飲み込まれてしまった)

プリンツ「じゅるじゅる、んふぅ……じゅぷじゅぷじゅぷ」

提督(勢いよく吸われ、淫らに頭を前後される。熱い舌と柔らかい唇に扱かれ、愛撫され、頭がおかしくなりそうだ)

提督(俺は再び快楽に飲み込まれていく。プリンツの熱っぽい瞳はちらりとこちらを見上げ、表情を窺ってきた)

提督(快楽に表情がとろける俺を確認すると、満足げに目を細めた。俺に奉公することに喜びを感じているようだ)

提督(腰が浮く。もうそろそろ限界だ。俺は、そのままプリンツの口も俺のモノにしたいと思った)

プリンツ「んふぅ……ほろほろいへはふは?」

提督「いや、プリンツ。そのまま続けてくれ。……飲んでくれないか?」

プリンツ「!!はひ……♪じゅぽじゅぽじゅぽ、じゅるじゅるじゅる」

提督(容赦ない口淫、まるで俺のすべてを吸い出そうとしているかのようだった。耐えられることなく限界を迎える)

提督(プリンツの頭を掴むと思いっきり喉奥にまで突っ込む。そして、己を解放した)

提督「うっ……!!」ビュルルルルルルルル

プリンツ「んぐっ!?ふっ……うぅ……んはぁ……」

提督(喉奥に突っ込まれ、ぶちまけられたことで少し苦しそうにしたが、それでもえずくことは無かった)

提督(もの引き抜くと、プリンツの口からはいろいろなものでぐちゃぐちゃになったものが少し溢れた)

プリンツ「んふっ、ぺろ……ふふふ。……ごくん」ニヤッ

提督「!!」

提督(それを妖しく舐めとると、流し目でこちらを見る。薄く微笑み、目をつぶって顎をあげた)

提督(そして喉元が良く見えるように上を向くと、ゴクンと咥内にたまっているであろう俺のモノを飲み込んだ。喉が動く)

提督(言いようもない征服感を感じた。プリンツはもう完全に俺のモノになったというような感覚だ。理性がさらに溶けていく)

プリンツ「アトミラール、どうでしたか?上手くできましたか?」

提督「ああ、とてもよかったよ。流石に要領がいいな」

プリンツ「ありがとうございます♪……」ジッ

提督「どうした?」

プリンツ「……私、もう一度してほしいです」

提督「これで終わりにするとでも思ったか?」

プリンツ「!!」パァッ

提督(そのまま、69の体勢になる。プリンツに舐められながら、プリンツのを舐める)

提督(未だにピッチリと閉じているそこはしかし、もう簡単に指や舌を奥まで受け入れる)

提督(プリンツの秘所をせめ、プリンツにモノを責められる。さらに下腹部に感じる大きな膨らみ。それで、準備は万端になった)

提督「プリンツ、騎乗位ってわかるか?」

プリンツ「んちゅっ……はい、分かります。……上に乗ればいいんですよね?」

提督「そうだ」

提督(横たわる俺を、プリンツがまたぐ。そして膝立ちになって位置を調整。俺はモノをプリンツのそこにあてがう)

プリンツ「うっはぁあ……!!」ヌプッズププププ

提督(プリンツは胸を揺らして快感に堪えながら、奥まで飲み込んだ。そしてゆっくり動き始める)

プリンツ「んっ……はぁ……ああっ……」ヌップヌップヌップ プルンプルン

提督(快感に顔を蕩けさせ、胸をいやらしく揺らし、髪を振り乱しながら腰を振る。暫くその光景を楽しんだ後、俺は腰を打ち付けた)

プリンツ「んあぁ!?はぁっ……!!ああ!!だめぇ!!」

提督(容赦なく突きあげる。先端が子宮に当たる感覚、プリンツが後ろにのけぞり、胸が張られ、一際大きく揺れた)

提督(だがそれでも容赦しない。そのまま突き上げ続ける。プリンツはそれでも頑張っていたが、ついに耐えられなくなった)

提督(俺にしなだれかかるように倒れてきて、ただひたすら耐え続ける。だが、それも長くは続かない)

プリンツ「おかしくなっちゃう!!あとみらーる!!なにかきて、おかしくなっちゃう!!……っああああ!!」ビクンビクン

提督「っぁ……はぁ……!!」ビュルルルルルルルル

提督(プリンツが絶頂を迎えるとともに、中が締まる。それで限界を迎えた俺も再びプリンツの中で果てた)

プリンツ「はぁ……はぁ……アトミラール……すごいです……」

提督「プリンツ、愛しているよ」ダキッ ナデナデ

プリンツ「アトミラール……!!私もです!!ふふっ」

提督(しばらく抱き合い、やがてプリンツが膝立ちになってモノを引き抜いた。白濁液が溢れ、内股を伝う)

プリンツ「……赤ちゃん、出来ちゃうかもしれないですね」

提督「!……そうだな」

プリンツ「名前を考えてあげなくちゃいけませんね。どうしましょうか」

ガチャン

提督「……!!」

プリンツ「えっ!?……貴女ですか」

提督(ドアを開ける音に驚き、そちらを向く。ああ、そうだろうな。窓の外を見れば、もう暗い。そろそろ帰投するころだった)

提督(頭の中が真っ白になる。一気に現実へ引き戻される。ドアを開け、その青い目を見開き驚愕の表情を浮かべていたのは)

ビスマルク「……!!」

提督(俺の妻だった)

提督「ビスマルク……!!」

ビスマルク「アトミラール……プリンツ……なんで……!?」

プリンツ「……何か用ですか?悪いんですけど、あまり人に見られたくないので……終わるまでどっか行っていてくれませんか?」ギロリ

ビスマルク「っ!!ふざけないで!!今すぐ夫から……アトミラールから離れなさい、プリンツ!!」キッ

プリンツ「夫ぉ?どの口が言うんですか。貴女の夫はあのキモデブでしょうに。アトミラールは私の夫です」

ビスマルク「なっ!?」

プリンツ「私はアトミラールと愛を囁き合って、肌を重ねました。貴女のような娼婦と違ってちゃんとはじめてを捧げたんです」ニタァ

ビスマルク「……!!」ギリッ

プリンツ「そもそも、貴女のようなビッチはアトミラールにふさわしくないんです。分かったらさっさと立ち去りなさい」

ビスマルク「……アトミラールは、こんな私でも受け入れてくれた。愛してくれた!!」

ビスマルク「貴女にふさわしいとかふさわしくないとか言われる筋合いはないわ!!いいからどけ!!」ズカズカズカ ドン

プリンツ「っ!?何をっきゃあ!!」ドサッ

ビスマルク「アトミラール……!!これが貴方の答えなの?貴方の望んだことなの!?」ギロッ ウルッ

提督「ビスマルク……俺は……」ガクガクガク

ビスマルク「私のことは……もう愛してないの……?なら、そう言ってよ!!」ポロポロポロ

提督「っ!!違う!!俺は君を愛してる!!」

ビスマルク「アトミラール……!!」パァッ

プリンツ「このっ……よくも!!」バッ

ビスマルク「痛っ……!!離しなさい!!」ドサッ

プリンツ「誰が離すか!!」グググ

ビスマルク「今のを聞いていたでしょ!?アトミラールは私を愛しているのよ!!泥棒猫はさっさと消えなさい!!」

プリンツ「優しいアトミラールが面と向かって嫌いなんて言えるわけないでしょ!!アトミラール!!アトミラールは私が好きなんですよね!?」

提督「っ!!そうだ……君を……愛してる……!!」

プリンツ「ほら!!聞いたでしょう?ビッチ!!アトミラールが本当に愛しているのはこの私です!!」

ビスマルク「それこそ、アトミラールのやさしさでしょ!?レイプ魔にまでそう言ってあげる必要はないわよ!!」

プリンツ「誰がレイプ魔だ!!これは愛のあるセックスだ!!キスもいっぱいしたし、一回目はアトミラールが上になってくれたんだもの!!」

ビスマルク「ふざけないで!!脅迫か何かしたんでしょ!!いいから早く私の上からどいて、出ていきなさい!!」ガシッ グッ

プリンツ「い!?痛い痛い!!離せ!!」ガリッ

ビスマルク「っ!?この……!!」グググッ

提督「止めてくれ……」

提督(ビスマルクがプリンツを突き飛ばし、プリンツがビスマルクを押し倒す。そしてビスマルクが髪を引っ張り、プリンツがひっかく)

提督(俺はそんなキャットファイトを見たくはなかった。すべては、俺の責任だった。胃が焼けるように痛い)

プリンツ「ちっ!!かみ殺すぞ!!」ギリッ

ビスマルク「はっ!!やって見なさい!!その首へし折ってやるわ!!」ガシッ グググッ

提督「止めてくれ、二人とも……!!」

プリンツ「アトミラール!!この女に言ってやってください!!貴方が好きなのは私だって!!お前とは離婚してプリンツと結婚するんだって!!」

ビスマルク「ふざけないで!!アトミラール!!現実を教えてやって!!貴方が愛しているのは妻であるこの私だって!!離婚なんてしないって!!」

提督「俺は……っ!?おえっげほっげほっ!!」ビチャッ

ビスマルク「アトミラール!?」

プリンツ「っ!?アトミラール!?」

提督(視界が暗転していく。吐血したことだけは理解できた。……最後に見たのは、驚愕するビスマルクとプリンツだった)



ビスマルク(アトミラールが吐血して気絶した後、私とプリンツはすぐに病院に連絡し、車で連れて行った)

ビスマルク(医者の診断によると、アトミラールの病状はストレスによる胃潰瘍とのことだった)

ビスマルク(幸い、手術の結果、大事ないとのことだった。しかし、安静にしている必要がある)

ビスマルク(戦況も安定していたこともあり、アトミラールは入院するため一足先に日本へ戻った)

ビスマルク(私たちも少し遅れて日本の拠点へ帰還できた。今日は休暇を得ることができたために、お見舞いのために病院を訪れた)

ビスマルク(いけるための花も買ってきた。暇をつぶすための本も持ってきた。好きだと言っていた推理小説だ)

ビスマルク(……いろいろあったけど、私はアトミラールと一緒に生きていきたい。プリンツとのことはなかったことにする)

ビスマルク(そんな事、今は考えたくない。プリンツとは話どころか、顔を合わせることもしていない)

ビスマルク(ただただ、アトミラールが早く回復してくれることを祈るだけだ。早く話をして、思いっきりキスをしたい)

ビスマルク「アトミラール、失礼するわね」

友「お前……!!」

ビスマルク「少将……!!来ていたのね」

友「……聞いたよ。ストレス性の胃潰瘍らしいな」

ビスマルク「ええ……」

友「こいつも、本当に苦労人だな。俺が少しでも肩代わりしてやれればいいんだが」

ビスマルク「……」

友「なあ、ビスマルク。そろそろこいつを解放してやってくれないか?」

ビスマルク「……。ど、……どういうことなの?」

友「ストレスが何か、心当たりがあるんじゃないのか?」

ビスマルク「っ……あれは、プリンツが……」

友「オイゲンが何だ。あいつはむしろこいつを支えてくれている。……どう考えても、ストレスはお前だ」

ビスマルク「ち、違うわ!!アトミラールは私を赦して、受け入れてくれたもの!!愛しているって言ってくれたもの!!」

友「こいつの性格からして、そうだろうな。だが心でどう思っていても、現実的にこいつは倒れるほどストレスを受けているんだ」

友「俺もあの時のお前の言葉もあって様子を見ようと思っていたんだが……やはり無理らしい」

ビスマルク「……!!」

友「お前がしたことを考えれば、当たり前だ。頼むから、こいつを解放してやってくれ。いいな?」

ビスマルク「……」ジワッ ポロポロポロ

友「本当にこいつのことが大切なら、お前の愛が本物なら、きっとそうしてくれると信じている」

ビスマルク「……帰るわ。これを、かわりに渡しておいて」

友「……分かった」

ビスマルク「……っ!!」スタスタスタ

ビスマルク(気がついたら、家に帰ってきていた。そのままベッドに倒れ込む。涙が止まらなかった)

ビスマルク(……少将の言うことは、正しいのかもしれない。アトミラールも、プリンツのことが好きだと言っていた。けど、私を選んだと)

ビスマルク(……アトミラールとプリンツがセックスしていたのを思い返すだけで、気分が最悪になる)

ビスマルク(アトミラールへ対する怒りと悲しみ、失望を感じている。プリンツに対する敵意と憤怒、嫌悪感は抑えきれない)

ビスマルク(アトミラールだって、私がいるのにプリンツとしたのにという気持ちはある。……けど、私がしたことに比べれば、マシだ)

ビスマルク(アトミラールは、私を愛していると言った。けど、私はあの時、あの男のほうが良いと言ってアトミラールの元を去った)

ビスマルク(きっかけは私の愚かさゆえだとしても、そうせざるを得なかった。……誰になんと言われようとも、そう思っている)

ビスマルク(けど、そんな事アトミラールには関係ない。アトミラールからしてみれば、私が裏切ったことに変わりない)

ビスマルク(そもそも、先にしたのは私だ。そんな私が、アトミラールを非難する権利はない)

ビスマルク(アトミラールは、あの男の所まで来てくれて、殴られて、蹴られて、銃で撃たれてまで助けてくれた)

ビスマルク(裏切り者の私を赦して、愛してくれた。私は、もはや言葉にできないくらいあの人が好きだ)

ビスマルク(だからこそ、あの人の幸せを願っている。その為ならば、何でもできる)

提督『俺たちは、もう駄目なのかもしれないな』

ビスマルク(いつかのアトミラールの言葉がリフレインする。……あの人の幸せを私が壊しているのなら、私は……)



プリンツ「プリンツ・オイゲン、ただいま帰還しました。任務完了です」

長門「ああ、ご苦労だった。そうだ、オイゲン。お前の申請していた休暇は承認されたぞ」

プリンツ「本当ですか!?やったぁ!!」

プリンツ(ようやくアトミラールのお見舞いに行ける!!本当は付きっきりで看病してあげたいんだけど……)

プリンツ(何を買っていけばいいかな?やっぱり音楽とか?ウォークマンにいろいろ入れて持って行こう!)

プリンツ(何を入れようか悩みながら部屋に戻る。……その、途中だった)

瑞鶴「オイゲン」

プリンツ「瑞鶴さん。戻られたんですね、お疲れ様です。どうしました?」

瑞鶴「ちょっと話があるの。来て」

プリンツ「……?はい」

プリンツ(連れられて屋上まで来る。ということは誰かに聞かれたくない話題ということだ。けど、身に覚えがない)

プリンツ「……あの、何でしょうか?」

瑞鶴「提督さんが倒れた時さ、貴女とビスマルクが一緒に居たらしいじゃん」

プリンツ「そうですよ」

瑞鶴「……何をしてたの?」

プリンツ「……何、とは?」

瑞鶴「お話でもしていたのならそう答えればいいだけじゃん。ってことは言いたくないことをしていたんでしょ?」

プリンツ「……何が言いたいんですか?」

瑞鶴「提督さん、ストレス性の胃潰瘍だってね。……ストレスって、何だろうね?」

プリンツ「あのお立場ですから、いろいろあるのでしょうね」

プリンツ(クソビッチに酷い事されたりとか)

瑞鶴「それもあるだろうけど、私は違うと思うんだよね」

プリンツ「へぇ……じゃあ何だというんですか?」

瑞鶴「……アンタじゃないの?そのストレス」

プリンツ「……私?はは、何を言うのかと思ったら……私が?ありえませんね」

瑞鶴「勿論、アンタだけのせいじゃないだろうけどね。……提督さんってさ、結婚してるでしょ?けど、かなり強引に迫っていたよね」

プリンツ「……」

瑞鶴「そういうのは止めなよ。提督さんは優しいから、いろいろ悩んだりしちゃうんだよ。傷つけないようにって」

プリンツ「アトミラールは私を好きだといってくれました」

瑞鶴「けど、受け入れてはくれなかったでしょ?俺にはビスマルクがいるって」

プリンツ「っ……」

瑞鶴「……私も、前にやっちゃったんだよね。それで、翔鶴姉にすごく怒られた。けど提督さんは変わらず私と仲良くしてくれた」

プリンツ「……私じゃなくて、悪いのは全部ビスマルクです。何も知らずに、知ったような口を聞かないでください!!」

瑞鶴「そうだね、何も知らないよ。……けど、アンタだって何も知らないでしょ?提督さんのことは」

プリンツ「いえ、分かってます!!誰がアトミラールを支えていたと思っているんですか!?」

瑞鶴「いや、分かってない。提督さんが、ビスマルクがいるからって断っているってことはそういうことなんだよ」

プリンツ「どういう事だというんですか!?」

瑞鶴「どんな事情があるにせよ、それを踏まえたうえで提督さんはビスマルクを選んだんでしょ?」

プリンツ「それは……アトミラールが優しいから……!!」

瑞鶴「あの人が、憐れみやらなんやらで人を愛すると思った?貴方がやっていることは提督の気持ちを無視したことでしょ」

瑞鶴「提督のことを自分に都合がいいように解釈して、それで自分を正当化しているつもり?だとしたら、アンタは最低の屑よ」

プリンツ「っ!?」

瑞鶴「これ以上あの人を苦しめないで。……納得できないこともあると思うけど、恋愛なんて、そんな理不尽なことでしょ?」

瑞鶴「誰かが選ばれてそれ以外は皆選ばれない。そういう……クソッタレな世界なんだから」

プリンツ「……わ、私が?アトミラールを苦しめている……?」

瑞鶴「そうよ。こんなことを続けていても、いずれ提督さんはきっぱりとアンタを振るでしょうね」

瑞鶴「でも、それまできっとたくさん悩むわ。悩んで、苦しむわ。私は、提督さんに苦しんで欲しくない」

瑞鶴「提督さんを苦しめるのなら、貴女は敵よ。もしそうなら、私は容赦しない。分かっておいて」

プリンツ「私が……アトミラールの……敵……!!」

プリンツ(ビスマルクや、あの男のような、敵……?私が、アトミラールを苦しめている……?)

提督『だ、駄目だプリンツ……!!』

提督『くっ……俺には、ビスマルクが……』

プリンツ(アトミラールの言葉が思い出される。あそこまでして、まだああ言えるのならそれは……)

プリンツ(それは本当にビスマルクを愛していたということ……いや、私も分かっていた)

プリンツ(アトミラールがビスマルクのことを好きなことぐらい、分かっていた。でも……)

プリンツ(あいつが相応しくないから、だから相応しい私が。そう思っていた……)

プリンツ(けど、私が好きな人を、少なくとも自分の中では正当化して手に入れるチャンスだと考えなかったか?)

プリンツ(その考えが少しもなかったか?……否定、しきれない。だとすれば、私はあの男と同じことをしている)

プリンツ(愛する二人を引き裂いてまで、自分の片思いの相手を寝取ろうとしている……吐き気が込み上げてきた)

プリンツ「……っ!!」ダッ

瑞鶴「プリンツ!!……」

プリンツ(近くのトイレに駆け込む。胃の中の物を全部出してしまったと思うほど吐いた)

プリンツ(涙が止まらない。口を濯いで、なんとか部屋に戻る。そのままベッドにもぐりこんだ)

プリンツ(ひとしきり泣いて、それで少しは落ち着くことができた。考えたくないけど、考えなくちゃいけない)

プリンツ(あの時の瑞鶴さんの目には、大切な人を守るという信念が宿っていた。私も同じ気持ちだから、分かる)

プリンツ(瑞鶴さんがあの時の私なら、さしずめ私はあの男といったところか……随分な立場の変わりように自嘲する)

プリンツ(なら……私は消えなくちゃならない。私は、アトミラールの幸せを壊してしまったのだから)

プリンツ(愛する妻とやり直そうとしているアトミラールを、自分に都合のいい解釈をした私が台無しにしてしまったのだから)

プリンツ(私は最低の屑女だ。けど、この気持ちは……アトミラールを愛する気持ちは本物だ)

プリンツ(あの人の幸せを心から願っている。だから……だから、私は……)

プリンツ「……」ポロポロポロ

プリンツ(……けど、最後にお見舞いくらいしたい。それぐらい、いいよね)



提督「……」パチッ

提督(入院してもうすぐ一週間だ。だいぶ元気になった。いろいろあった疲れを取ったと考えれば悪くない)

提督(寝不足だったこともあってほとんど寝て過ごしてしまったが……見舞客が来てくれるのは嬉しいものだな)

提督(心細いのが大分救われた。入院初日には両親が、その後も毎日友人や同僚が来てくれた。つい昨日は帰ってきて早々に友が来てくれたし)

提督「さて、コーラでも買いに行きがてら少し散歩でもするかなっと。っ!?」バッ

プリンツ「っ!?あ、アトミラール……!!」カタカタカタ

提督「……プリンツ」

提督(起き上がった瞬間に視界に入って驚く。ドアから顔だけ出して覗いていたのは、プリンツだった。思い出されるのはあの時のこと)

提督(俺は、混乱したプリンツの誘惑に負けてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった)

提督(目を逸らしたい現実だが、どうにかしなくてはならない。そのタイミングが予想より早かっただけだ)

提督(どうすればいいのか。何も考えていなかったが、とりあえず話をするしかない。そうすればすべきことが見えるかもしれない)

提督「……久しぶりだな。その……元気だったか?」

プリンツ「アトミラール……はい。その……すいませんでした」

提督「いや、俺が悪いんだ、あれは……」

プリンツ「違います!!悪いのは、私です……もう二度と、アトミラールとビスマルク……姉さまの邪魔をしたりしません」

提督「っ……プリンツ?」

プリンツ「私は……私は、て、転属を希望しました……!!」ジワァ

提督「!?な、何だって!?」

プリンツ「ドイツに戻ります……もう、二度と会うことはありません。だから、どうか赦してください」ポロポロポロ

提督「ま、待ってくれプリンツ!!どういうことなんだ!?説明しt」

プリンツ「ごめんなさい、アトミラール……!!さようなら……!!っ!!」ダッ

提督「プリンツ!!待ってくれ!!行かないでくれ!!」

提督(プリンツは震えながら涙を流し、口元を抑えながら一方的にそう言い切ると走り去ってしまった)

提督(もちろんすぐに追いかけたが、廊下に出た時にはもう姿が見当たらなかった。エントランスまで行っても、姿は見当たらない)

提督(病院前の道まで出ても、見つけることは出来なかった。裸足で飛び出した俺を追いかけてきた看護師に謝りつつ、自分の病室戻る)

提督(先ほどのプリンツの話、本当だろうか?いや、嘘を言う必要性がない。……何も、考えられない)

提督(部屋に戻ったところで、机の上に置かれた大きな封筒に気がついた。開けると、中には手紙とビスマルクの結婚指輪)

提督(そしてビスマルクの署名が済んでいる離婚届が入っていた。再び衝撃が俺を襲う。あの時のトラウマも誘発された。震える手で手紙を開く)

[アトミラールへ

あの後、いろいろ考えた結果、私は故郷に戻って修道女になる事にしました。

きっかけは私の愚かさの為でした。それで、いつか貴方が言ったようにもう駄目になってしまったのでしょう。

今回の件で私も気がつきました。これ以上一緒に居ても、お互いにただ辛いだけです。ですから、すべて終わりにしましょう。

私のせいであなたをここまで苦しめてしまって本当にごめんなさい。謝っても謝り切れません。

どうか私のことは忘れて、貴方の新しい、本当の幸せを見つけてください。

さようなら]

提督「……」

提督(……最悪の結末を迎えた。俺は、自身の愚かさゆえにすべてを失ってしまった。死にたい気分だ)

提督(昼食が配膳されても、食べる気がしなかった。もはや何も考えられない。そうして、ボーっとしているときだった)

元帥「やあ、中将。失礼するよ」

提督「げ、元帥閣下……!!どうなされたんですか!?」

元帥「我が軍期待の若手が入院したと言われれば、見舞いに来ないわけがないだろう?まあ、ごたごたで遅くなってしまったがね」

提督「そんな、わざわざご足労頂くほどでは……!!」

元帥「なぁに、謙遜するな。私は君にそれだけ期待しているんだ。ほれ、見舞いのメロンだ」

提督「あ、ありがとうございます。ご期待に沿えるよう、引き続き精進してまいります」

元帥「ああ、頼むよ。……ところで、何か悩みでもあるのかね?」

提督「な、悩みですか?」

元帥「さっきの君はまるで抜け殻の様だったぞ。思いあまって死んでしまわないかと心配になるほどだ」

提督「そんな!!そんなことは……いえ、元帥。実は相談したいことがあるのです」

元帥「私で良ければ、話を聞こう」

提督「……これはプライベートのことで、あまり詳しくは話せません。それでも、聞いてくださいますか?」

元帥「もちろん。ただ、具体的なアドバイスはできなくなるぞ」

提督「ありがとうございます。……ついこの間、私は酷い過ちを犯した結果、取り返しのつかない事になってしまったのです」

元帥「ふむ……」

提督「このままではいけない事だけは分かります。私も、それだけは嫌です。けど、どうすればいいのか分からないんです」

提督「どうするのが正解なのか分かりません。分からないんです……私は……どうすればいいのでしょうか?」

元帥「……ふーむ。一つ聞いておきたいのだが、それは金がらみのことか?もし助けが必要なら私にできることはしよう」

提督「いえ、金がらみのことではありません。物や金が絡んだりする話ではないのです」

元帥「なるほど……ふむ……なら、君がしたいようにすればいいのではないか?」

提督「私がしたいように……?」

元帥「どうするのが正解か分からないと言っていたがね。世の中、何をすれば正解だというようなことは無い」

元帥「そう言ったことを考えないで、君のしたいことをすればいい。あまり周りを気にしすぎずにそうしてみるのも一つの手だ」

提督「正解はない……周りを気にしないで、したいことを……」

元帥「君の人柄からすると、そういうことを悩みすぎるのではないかと思ってね」

元帥「まあ、私も事情が分からないから的外れなことを言っているかもしれない。あくまで参考程度にしておいてくれ」

提督「はい……分かりました。ありがとうございます」

元帥「気にしないでくれ。……さて、君の顔も見れたことだし、すまないが、失礼するよ。ここ一ヵ月でいろいろあったせいで忙しんだ」

元帥「それと、困ったことがあったら何でも言ってくれ。あまり一人で抱え込まないようにな」

提督「はい、ありがとうございます。本日はお忙しいところ、わざわざありがとうございました」

提督(俺の、したいこと……周りを気にしないで、俺のしたいことをすればいい……)

提督(それは、決して許される事でない。人の道に背くことだろう。……だが、それがなんだ)

提督(そうだ。昔はそういうことも普通にあったし、現代でも形を変えて存在する)

提督(もともと、先に勝手をしたのは俺じゃない。あの二人だ。なら、何を躊躇う必要があるのだろうか)

提督(やってやろう。……すくなくとも、あの二人が本気で拒否しない限りは、多少強引でもやってやる)

提督(俺は電話を取り出すと、もう二度とかけることは無いだろうと思っていた番号を入力した)



ビスマルク(正式に良心的兵役拒否を申請した私は、司令部で待機することになった。審理が終わるまでの間、缶詰だろう)

ビスマルク(もう何も考えたくなかった。いっその事、死んでしまいたかった。それもいいかもしれない)

ビスマルク(あの人が見ている所で死んでしまったら、あの人を傷つける。けど、見ていない所でなら)

ビスマルク(どうせ汚れたこの身だ。背負う十字架がもう一つ増えたところで地獄行きは変わらない)

ビスマルク(少なくとも、この生き地獄よりはマシだろう。人はぽっかりと胸に穴が開いたまま生きていくことはできない)

ビスマルク(布団に寝そべりながらボーっとしていたところで、足音が聞こえた。それが、私の部屋の前で止まる)

ビスマルク「……?どちら様かしら?」バッ

ビスマルク(……返事もなしに、入ってくるわけでもない。もしかして、殺されたりするのだろうか)

ビスマルク(なら……それなら、それでいい。きっとアトミラールには帰国したと伝えられるだろう)

ガチャッ

提督「……二度目があるとは思わなかったぞ、ビスマルク」

ビスマルク「っ!?アトミラール!!」スクッ

ビスマルク「どうして……ここに……入院しているんじゃ……」

提督「そんなことはどうでもいい。大事なのは貴様の、二度目の裏切りだ」

ビスマルク「っ……」

提督「お前はかつて卑劣な裏切りをして俺の前から去った。その報復として殺してもいいほどだったのに、俺はお前を赦して、愛した」

ビスマルク「……」

提督「それだというのにまたお前は俺を裏切り勝手にどこかへ逃げるというのか?俺の元を去るというのか!?」

ビスマルク「っ……それが、私たちの為でしょ?私の存在はもう貴方にとって毒でしかないわ。私も、もう辛いの」

提督「はっ!!俺も辛いさ!!辛くなったら綺麗事ばかり並べてそう逃げ出すならもうそれでいい!!」

提督「だが、もしお前が俺のことを本気で愛しているのなら今ここで逃げるようにいなくなることだけは止めろ!!」

ビスマルク「っ!!私のせいで貴方は傷ついて、倒れたわ!!私が居なければ貴方はプリンツと何の気兼ねもなく一緒になれるじゃない!!」

ビスマルク「私は、貴方を本当に愛していて、大切に思っているからこそ自分の一番嫌なことを進んでするのよ!!」

ビスマルク「貴方が私にそこまで残って欲しいのであれば、残りましょう!!けど、それは一体何のため!?」

ビスマルク「私という毒を近くに置いておくのは何のため!?私は、貴方のためにいったい何ができるというの!?」

提督「……素直になれ。それが、俺のためにできることだ」

ビスマルク「っ!!素直って……!!私は、貴方が好き。愛しているわ。けど、傷つけたくない……!!」

ビスマルク「私があんなことをしたから、アトミラールを傷つけた。あの時、私は貴女にとっての毒になり果ててしまったのよ」

ビスマルク「言っていたじゃない……もうダメなのかもって。そんなことないって思いたかったけど、やっぱりダメだったのよ……」

提督「俺はもう、お前がどこか知らない場所で生きているのが嫌だ。ビスマルク、殺してしまいたいほど憎らしい……!!」

ビスマルク「……!!」

提督「だからお前を逃がさない!!どこかへお前が逃げるというのなら、俺がお前を殺す。それほどに、愛しているんだ」

ビスマルク「……それは、愛じゃないわ。そんなものが、愛であってほしくない」

提督「いや、愛だ。俺はお前が好きなんだ。君が俺の隣で笑っていてくれれば俺は幸せなんだ」

提督「君の気高い精神も、美しい体も、全部俺だけのモノにしたい。君に俺を愛してもらいたいんだ」

ビスマルク「っ!!言っていることが分からないわよ!!憎いと言ったと思ったら隣で笑っていれば幸せって!!どっちなのよ!?」

提督「言葉にしても伝えられない、この感情は。それほどまでに愛しているんだ」

ビスマルク「……私は、貴方を不幸にするわ。この体も、心も、穢れてる」

提督「そんなことない。君は俺を幸せにしてくれる。そう信じてる」

ビスマルク「でも、駄目よ……そう言って貴方は倒れたじゃない。プリンツのことだって、どうするつもりなのよ?」

ビスマルク「プリンツは……いい子、でしょう?きっと私より貴方を幸せにしてくれるわ」

提督「……君の本心を話してみろよ。本当にそう思っているのか?」

ビスマルク「ええ!!貴方の幸せを、心から!!」

提督「なら、欲望を言ってみろ!!どうしたい?お前は本当に俺から離れたいのか?」

ビスマルク「っ……ええ!!」

提督「嘘だ!!」

ビスマルク「嘘じゃない!!」

提督「ならなんでそんなに涙を流して、辛そうな顔をしている?」

ビスマルク「そ、それは……っ」

提督「ビスマルク……」スタ スタ スタ

ビスマルク「い、嫌!!来ないで!!」ジリ ジリ ジリ

提督(今にも泣きそうな顔で後ずさるビスマルクへ歩み寄る。そのまま手を伸ばし、思いっきり抱きしめた)

提督(柔らかい、女の子の体だ。サラサラの金髪が心地良い。震えるその肩を優しく撫でる。ビスマルクの、爽やかな匂い)

提督「好きだ、愛してる」

ビスマルク「あっ……っ……ぐすっ……うぅ!!」ギュッ

提督「どうしたい?」

ビスマルク「アトミラールと、いたい……!!貴方が好き……!!愛してる……!!」

提督「一緒に来てくれるな」

ビスマルク「Ja……Ja!!」コクコク

提督「っ、良かった……!!……ビスマルク、一つ言わなくちゃいけないことがある」

提督(ビスマルクは、俺の声音が変わったことに気がついたのか、少し不安そうにそう言った)

ビスマルク「……何?」ジッ

提督「プリンツのことだ」

ビスマルク「!!……何?」

提督「君は、彼女をどうしたい?」

ビスマルク「どうって……別に、復讐とかを考えているわけじゃないわ」

提督「……あの時言ったが、俺はプリンツも愛しているんだ」

ビスマルク「……それで?」

提督「プリンツとも、一緒になりたい。……俗にいう、ハーレムってやつだ」

ビスマルク「……!!」ハッ

提督「君に、それを受け入れてもらいたい」

ビスマルク「……本気で言っているの?」

提督「ああ。君たちだって勝手をしてきていたんだ。なら俺だって一つぐらいいいだろう?」

ビスマルク「……嫌って言ったら?」

提督「いいって言ってくれるまで君を説得する」

ビスマルク「どうやって?」

提督「二人纏めて愛せるって証明して」

ビスマルク「愛せるって……んむっ!?」

提督(ビスマルクの唇を奪う。特に抵抗もなく、受け入れられた。舌を絡ませ、体を愛撫する)

ビスマルク「んふぅ……はむぅ……」ナデナデ

提督(しばらくすると、ビスマルクも気分がのってきたのか俺の体を撫で始めた)

提督(そして脚を絡ませ、自らの秘所を足に擦り付け、脚で俺のモノを刺激してくる)

提督(俺はビスマルクの下着の中に手を突っ込んだ。もう濡れていたそこを責める。クリを摘み、中に入れて弱いところを刺激する)

ビスマルク「んっ……はぁ……」ピクン

提督「……認めてくれる気になったか?」ズチュズチュ

ビスマルク「全然よ……ふぅ……あぁ……」ビクン

提督「なら、君がイったら俺の勝ちだ。認めてくれよ」

ビスマルク「な、何それ!?そんなの認めないわよ……!!第一、私が勝つのにどうすればいいのよ……!?」

提督(頑固なビスマルクの心を解かすために、俺はその場にしゃがみ込む。目の前にビスマルクの濡れた秘所がある)

提督(そのままいやらしく指で責める。恥丘を覆う陰毛を撫で、クリを擦り、Gスポットとポルチオまで指が……届いた)

ビスマルク「っ……はぁっ……くぅ……!!」ギロッ

提督(ちらりとビスマルクを見上げると、顔を赤らめながらも歯を食いしばり俺を睨みつけていた)

提督(ここはプリンツにやられた戦法を使わせてもらう。責め続けて、イきそうになったところでやめた)

ビスマルク「ふー……ふー……?」

提督「認めてくれる気になったか?」

ビスマルク「……貴方が私の立場だったらどう思うのかしら?」

提督「俺も似たような立場かと思うが、それでも君が好きでたまらない」

ビスマルク「っ……!!」

提督(無言で見つめ合う。言葉にはしないが、明らかに全然違うと言いたげだ。不満と罪悪感がないまぜになった複雑な表情)

提督「……ビスマルク、そこに座れ」

ビスマルク「……」ストン

提督(ビスマルクは無言でベッドの端に腰かける。開き気味の脚が期待感を示していた)

提督(表情も冷たい感じを出そうとしているが、顔が綻ぶのを抑えきれていない。期待に目を輝かせている)

提督(俺はそのまま秘所に口づけすると思わせて、臍に舌をねじ込む。そして胸に顔を埋めた)

ビスマルク「そ、そっち……?んふっ……はあっ……」

提督(胸を揉み、舐める。先端の突起の近くまで責めるが、そこまではいかない。焦らし続ける)

提督(ついにビスマルクは自分で俺の口元にその硬く張った先端を差し出すように身を捩る。だが、避ける)

ビスマルク「ねぇ……焦らさないで……おかしくなりそう……」

提督「……俺はとっくにおかしくなってる。君がプリンツとのことも受け入れてくれたら、イかしてあげよう」

ビスマルク「っ……ダメ……」

提督「そうか。なら、お預けだな」

ビスマルク「……うぅ」モジモジ

提督(もう少しだけせめてから、再びキスをする。そして耳や首筋を舐めたり、甘噛みしたりする)

提督「俺の愛、分かってくれたか?」

ビスマルク「ん……意地悪だから分からないわ……」

提督「それは君が俺に意地悪をしてくるからだ」

ビスマルク「んふぅ……好きな人が他の女ともなんて、酷いと思わない……?」

提督「君だって酷いことをしたじゃないか。お互い様だと思わないか?」

ビスマルク「でも……今は貴方だけじゃない……それに、あれだってしたくてしたわけじゃ……」

提督「利子の分も含めてこれで手打ちにするんだ。君を蔑ろにするわけじゃない。同じくらい愛してる。いいだろう?」

ビスマルク「っ……でも……」

提督「……なら、もっと誠意を込めてお願いするよ」

提督(いよいよ、ビスマルクの秘所に攻撃をしかける。しかし、敏感な所は避ける。最初は太もも、脚の付け根、そして恥丘)

提督(焦らしに焦らされたビスマルクは、自ら胸を揉もうとする。それを、手を掴んで阻止する)

提督「何をしようとしているんだ?」

ビスマルク「っ……それは……」

提督「それは?」

ビスマルク「……アトミラールが意地悪するから!!……胸を、自分で慰めようとしたの」カァッ

提督「どうやって?」

ビスマルク「どうやってって……!!っ……揉んだり、つまんだりよ……」

提督「どこを揉んで、どこをつまむんだ?」

ビスマルク「っ!!……胸と……乳首よ……」

提督「ほぅ……ここをせめて欲しいのか?」フゥ

ビスマルク「っ!!……は、はい」ゾクゾク

提督「なら、プリンツとのことを受け入れてくれ」

ビスマルク「そ、それはダメ……」

提督「何で?」

ビスマルク「……貴方を独り占めしたいから」

提督「……君はほかの男と楽しんだのに?」

ビスマルク「それはっ……やりたくてやったわけじゃないって……それに、貴方だって一回プリンツとしたでしょ……?」

提督「……独り占めしたいらしいが、君は俺を自分のモノにしたいのか?」

ビスマルク「そうよ……!!」

提督「……悪いが、それはダメだ。俺は、プリンツにも手を付けてしまった。君を忘れられないように、あの子も忘れられない」

ビスマルク「そ、そんなの……最低よ……」

提督「その分、他で挽回するよ。だから、な?」

ビスマルク「……」

提督(やはりこれだけのことだ。心の壁は高く厚い。もっと心を解かさなくては)

提督「胸、切ないんだったよな?」

ビスマルク「えっ?あっ!!はぁああん!?……す、すごいぃ」ビクン

提督(先端をせめる。甘噛みしただけで嬌声が漏れた。焦らせば感度が上がるのは本当らしいな)

提督(そのまま舌で弄び、吸う。ビスマルクは快楽に身を捩らせ、俺の頭を強く抱いてきた)

提督(だが、イかさない。まだまだ焦らす。勝負はこれからだ)

ビスマルク「はぁ……はぁ……な、なんで止めちゃうの……?」

提督「君が俺の頼みにいいよと言わないからだ」

ビスマルク「……当たり前じゃない。嫌よ……」

提督「そうか……」スクッ

ビスマルク「!!……ごくっ」ジッ

提督(ビスマルクの目の前で立ち上がる。目の前に来た俺のモノに目が釘付けになった。口が少し開く)

提督「イかせてほしいか?」

ビスマルク「……」コクン

提督「口で言ってくれないと分からないな」

ビスマルク「っ……イ、イきたいわ……意地悪しないで、イかせて……」

提督「イかせたら認めてくれるな?」

ビスマルク「……考えてあげる」

提督「そうか。なら、どうすればいいか分かるな?」グイッ

ビスマルク「!!あむ。じゅるじゅるじゅる、れろれろれろ」

提督(少し前に突き出した腰に、ビスマルクはおあずけされていた犬のように俺のモノを咥え込んだ)

提督(丁寧に舐めまわし、奉公する。そのまま奉公を続けて、暫くしてちらりとこちらを窺ってそのまま口を離した)

提督(唾液の糸が垂れる。物欲しそうな顔でこちらを上目遣いに伺うビスマルクに、征服欲を満たされた)

提督「……」

ビスマルク「……まだ、続ける?」

提督「どうしてほしい?」

ビスマルク「……い、いれてほしいわ。もう、限界なの。貴方が欲しい」クチッ クパァ

提督(自らの手で秘所を広げて見せるビスマルク。その眼にはハートが浮かんでいるようだ。切なげに眉を寄せ、男を誘うような表情を浮かべている)

提督「……プリンツのこと、良いな?」

ビスマルク「そんなこと、今はなさないでよ……」

提督「大事なことだ」

ビスマルク「……考えておくわ」

提督「……横になれ」

ビスマルク「!!はい……♪」

提督(期待と悦びに蕩けた表情をほころばせ横になる。いれてもらえるだろうと思っているのだろうが、まだダメだ)

ビスマルク「あん!!ふぁ……はぁ……!!」

提督(俺は挿入することなくビスマルクの秘所を舐める。軽く周りを舐め、クリを舌先で弄び、舌の平で舐め上げる)

提督(そして中に挿入し、淫らな音を立てて吸う。ビスマルクの体が震え、腰が浮く。行きそうなのだ。止める)

ビスマルク「はやくぅ……いれてぇ……♪」トロン

提督「君が、いいよと言ったら入れて、イかしてやる」

ビスマルク「!?そんな……こんな生殺し、酷いわ……!!」モジモジ

提督「ビスマルク、愛してるよ。本当だ。絶対に君を寂しがらせたりしない。約束する」

ビスマルク「でもぉ……やだぁ……!!」

提督「そうか……なら、もっと誠意を込めてお願いしなくてはな」

提督(そうして、行く寸前までクンニや手マンをすることを繰り返す。ビスマルクはよがり狂いながらもいけないもどかしさに堪えていた)

ビスマルク「ふぐぅ……私が……私が居ればいいじゃない……!!」

提督「前まではな。けど、プリンツを知って、あの子の心を知った。プリンツは、俺の恩人でもある。欲しくなってしまったんだ」

ビスマルク「そんな……!!」

提督「君が、少しだけ譲歩してくれればみんなで幸せになれる。俺が、して見せる。だから、頼む」

ビスマルク「だ、だめぇ……!!」

提督(ビスマルクはさすがの精神力で耐えていた。しかし、どんなことにも、限界がある)

提督(ビスマルクが本気で嫌なら、逃げれば良かったのだ。それをしない時点で、勝負は決まっていた)

提督(何度繰り返したか分からないこの責めと問答。だんだんとビスマルクの返答は濁っていく。そして、遂にこの時が来た)

ビスマルク「はぁー……はぁー……。……わ」

提督「……何だって?」

ビスマルク「……いいわ、赦してあげる。プリンツともっていうの。だから……だから、いれて……?」ハァー ハァー

提督「そ、そうか、ありがとう……!!ビスマルク、愛してるよ」

ビスマルク「私も愛してる……!!だからぁ……はやくぅ……!!」クパァ

提督「……君は、俺のモノだな?」

ビスマルク「そうよ、私は、貴方のモノ……!!だから、はやくして……!!切なくて、おかしくなりそう……!!」

提督「分かった。……絶対に後悔させない。ありがとう」ツプッ

ビスマルク「き、きたぁっああああああああ!!……っはぁ!!」ズププププ ビクンビクンビクン

提督(あまりに焦らし過ぎたせいで、挿入だけで意識が飛ぶほどの絶頂に達したらしい。目を見開き、声を詰まらせながら痙攣していた)

提督(そのまま、快楽でおかしくするつもりで腰を振る。強く締まったそこは、とろけるような快楽を伝えてくる)

提督(暫くされるがままだったビスマルクは、突如息を吹き返したかのように強く抱きしめてきた)

提督(脚で腰に組み付かれ、がっちりとホールドされる。ビスマルクは、俺の耳元で荒い息をついていた)

ビスマルク「あたまっ……おかしくなっちゃう……動かないで……!!」

提督「ダメだ。君が愛しすぎて、止まらない」パンパンパンパン

ビスマルク「あ、あとみらーるぅ……ほんとに……ダメだからぁ……っ!!ああああ!!」

提督(懇願するビスマルクに対し、俺は強引に腰を振る。こちらもずっとお預けだったのだ。そう簡単に止められない)

提督(獣のように嬌声をあげてよがり狂うビスマルクに、ひたすら己を刻み込む。お前は俺のモノだと教え込む)

提督(そうして俺が絶頂を迎えるころには、ビスマルクは息も絶え絶えになっていた)

提督「くぅ……中に出すぞ……!!」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「はっああああ!!……はぁっ……あふぅ……」ビクンビクン

提督「……ビスマルク、大丈夫か?」

ビスマルク「……こんなになったのって、はじめて」ピクッ ピクッ

提督「喜んでもらえたのなら何よりだ」

ビスマルク「……いうべきなのか、分からないんだけど。アトミラール、貴方あの男よりも全然上手になってるわ」

提督「!!そうか……」

ビスマルク「……本気で、プリンツともこういう関係になるの?」

提督「ああ。……嫌か?」

ビスマルク「もちろん、嫌よ……」

提督「……止めて欲しいかい?」

ビスマルク「……私に二言はないわ。嫌だけど、貴方がしたいようにして。私も、覚悟を決めたわ」

提督「ビスマルク……!!」

ビスマルク「もっとも、プリンツが受け入れるかどうかは別問題よ。もしあの子が嫌がったら、強引にするのは止めて」

提督「もちろんだ。君にだって強引にしていないだろう?」

ビスマルク「どうかしら……けど、言ったことはちゃんと守ってね。……私を、ちゃんと愛して。後悔させないで」

提督「ああ。……じゃあ、行くとするか」

ビスマルク「どこへ?」

提督「俺たちの拠点、プリンツの所だよ。先にシャワーを浴びるかい?」

ビスマルク「……今日じゃなくてもいいんじゃない?まだ説得されたりないんだけど……」モジモジ

提督「プリンツは明日の朝ドイツへ向けて発つんだ。転属を希望したらしい。今日の夜の列車でここ、ドイツ軍司令部へ来る」

ビスマルク「えっプリンツが……!?」

提督「やはり知らないか。プリンツが昨日見舞いに来た時も、君がドイツに帰ることを知らなかったみたいだしな」

ビスマルク「プリンツが……なんで……?」

提督「君と俺との間を邪魔してごめんなさいと謝っていたよ。泣いて、震えていた」

ビスマルク「……」

提督「プリンツが俺たちの拠点を離れる前に話をしなくてはならない。君のことは大佐に話を通してある。来てくれるな?」

ビスマルク「ええ」

提督「……そうだ、ビスマルク。これを」スッ

ビスマルク「!!結婚指輪……持ってきてくれてたの?」

提督「これは君だけのものだからな」

ビスマルク「アトミラール……Danke……!!」ギュッ



プリンツ「……」

プリンツ(ここでやるべきことは全部終わらせた。荷物も纏めた。後は夜の列車でドイツ軍司令部まで行くだけだ)

プリンツ(そして向こうで一泊して朝の飛行機で大陸へ渡る。後は本国まで列車で帰還だ)

プリンツ(こうしてここの司令部の屋上からこの拠点を見渡していると、本当に終わりなんだという気分になった)

プリンツ(考えると気分が悪くなる。だから何も考えないようにした。ひたすら敵を殺す。ただ、それだけだ)

プリンツ(もう誰かを好きになることは二度とない。もう御免だった。こんなにひどい気分になるのなら、恋愛なんていらない)

プリンツ(……甘ったるい私好みの赤ワインを、瓶のままグイッと飲む。苦いのは嫌だけど、これは甘い葡萄の味がして好きだ)

プリンツ(お酒を飲まなきゃやっていられなかった。アルコールに溺れる人間の気持ちが今ならよくわかる)

プリンツ(現実がこんなに辛いなら、酔っていなきゃやっていられないんだ。私も、本当に辛くて……もう嫌だった)

プリンツ「……から、か」

プリンツ(これを飲み終わったら出発しようと思っていたんだ。少し早いけど、ここにいるといろいろ思い出して嫌だ)

プリンツ(いや、もう日本と太平洋が嫌だった。早くドイツへ帰りたい。一刻も早くここから去りたい)

プリンツ(空き瓶を持って階段を下りる。少しふらふらするけど問題ない。廊下を歩いてエントランスへ向かう。そのときだった)

プリンツ「……っ!?」ビクッ

提督「……プリンツ」

ビスマルク「……」

プリンツ「あ……なんで……入院しているはずじゃ……」

提督「君もビスマルクのような反応をするんだな」

ビスマルク「誰だって入院しているはずの人がいたらそう聞くわよ」

提督「ふむ……確かにな」

プリンツ「……!!」カタカタカタ

プリンツ(今、一番見たくない光景だった。アトミラールがビスマルクと一緒に並んでいるところ。それだけは見たくなかった)

プリンツ(気分が悪くなる。吐き気が込み上げてきた。……私は、こんな最悪な気分なのに、あの女は!!)

プリンツ(あんな最悪の売女がこんなに幸せな思いをしてどうしてあんなに頑張った私がこんなにひどい目に!!)

プリンツ(怒りで狂ってしまいそうだった。もう何もかも嫌だった。この酒瓶で殴り殺してやりたい)

プリンツ(けど、そんなことをしたらアトミラールが……頭がおかしくなりそうだ。あんなの、見たくない)

提督「プリンツ、昨日ぶりだな」

プリンツ「あ……アトミラール……ごめんなさい……ごめんなさい……うぁっ!!」ダンッ

プリンツ(私は逃げるように後ずさる。けど、足がもつれて転びそうになる。瓶を落として壁に手をついた。何とか転ばずにすむ)

提督「プリンツ!!」ダキッ

プリンツ「っ……!!」

プリンツ(駆け寄ってきたアトミラールに抱きかかえられる。それが、嫌だった。泣いてしまいそうだ)

プリンツ(私のはじめてを捧げたんですよ!!なのにどうして私よりそのビッチが選ばれるんですか!?)

プリンツ(責任を取ってください!!そんな女と離婚して、私と結婚してください!!)

プリンツ(貴方が大変なとき、支えていたのは誰だと思っているんですか!?私は今、死にたいぐらい最悪な気分です!!)

プリンツ(恩を仇で返すつもりじゃないのなら早く私を妻にしてください!!さもなければ、全部皆に言ってしまいますよ!?)

プリンツ(言ってしまいそうだった。私の抱えている不満を全部ぶちまけてしまいそうだった)

プリンツ(けど、そんなことをしたらアトミラールを困らせるだけだ。そんなのは、嫌だった。本能的に手が動いた)

プリンツ「っ!!Nein!!」ドンッ

提督「っ!?」

プリンツ(アトミラールを突き飛ばす。その事実にショックを受ける。壁に寄りかかりながら後ずさった。もう、アトミラールを見れなかった)

プリンツ「っ……!!」ダッ

プリンツ(惨めな醜態をさらす前に、ここから逃げなくちゃいけない。気がついたら、体が動いていた)

プリンツ(諦めなくてはいけない人と、殺したいほど憎い敵に背を向けて、走る。その一歩を踏み出した瞬間だった)

提督「待ってくれ!!」ダキッ

プリンツ「っ!?」

プリンツ(アトミラールに後ろから抱きかかえられた。心が……悲鳴をあげる)

プリンツ「は、離してくださいアトミラール!!止めてください!!」

提督「嫌だ!!」

プリンツ「っ!!このままじゃ私、おかしくなっちゃいます!!いけないのに!!諦めなくちゃいけないのに!!」

提督「プリンツ……!!」

プリンツ「諦められなくなっちゃいます!!この気持ちは、アトミラールを苦しめるだけなのに!!」

プリンツ「っ……ずっと、好きでした……!!アトミラールがその人と結婚する前から、ずっと……!!」

プリンツ「けど、アトミラールが結婚して……!!諦めなくちゃって思っていたら、あんなことが起きて……!!」

プリンツ「アトミラールを支えている間に、想いは強くなっていって……!!その人の酷い行いを知って、私の方が相応しいって思って……!!」

プリンツ「でも、アトミラールはあの人が好きで……!!私の気持ちはアトミラールを苦しめるだけで!!だから!!」

プリンツ「だから、その人とどうかお幸せに!!私は消えます!!それでいいんです!!アトミラールが幸せなら、それで私も……私も……っ!!」ジワッ

プリンツ「私も、しあわせです……!!だから、離してください……!!」ポロポロポロ

提督「プリンツ!!……愛してる」

プリンツ「っ!!??」

プリンツ(心臓が、止まった)

プリンツ「な、なんで……そんなことを……!!私を、からかっているんですか……!?」フルフルフル

提督「馬鹿め、本心だよ。心から愛している。好きだ、プリンツ」

プリンツ(……それを言われたら、もうダメだった。封印が、解けてしまった。Alles kaput(何もかもお終いだ))

プリンツ「……っ!!私も!!私も愛しています!!アトミラールが好きです!!ずっと一緒に……ずっと一緒にいたいです……!!」クルッ ギュッ

プリンツ(思いが溢れた。抑えきれない。アトミラールが好き。それを我慢することができなかった)



プリンツ「うぅ……うぅ!!うわああああん!!ああああああん!!」

提督(俺の胸に顔を埋めて泣きじゃくるプリンツを抱きしめる。プリンツもまた俺の服を強く掴む)

提督(本当に辛い思いをさせてしまった……俺は、いったいどれだけこの子を傷つけてしまったのか)

提督(だが……これからは俺が何をしてでもこの子を守る。きっと幸せにして見せる。……だから)

提督(だからもう一度だけ、傷つけることを赦してくれ……プリンツ……暫くして、プリンツが泣き止んでから話しかける)

提督「プリンツ……落ち着いたか?」

プリンツ「はい……愛してます。もう放しません」ギュッ

提督「俺もだ。……君に、言わなくちゃいけないことがある」

プリンツ「……何ですか?」

提督「俺の、今の望みについて……君と、ビスマルクのことだ」

プリンツ「っ!!……望み、ですか?」チラッ

ビスマルク「……」

提督「ああ。……プリンツ、愛している。君と一緒に歩んでいきたい。心の奥底からそう思っている」

提督「……それと同じくらいビスマルクのことも愛している。彼女とも一緒に歩んでいきたいんだ」

プリンツ「……え?えっと……」ジッ

提督「君とビスマルク、二人が欲しい。二人を愛して、二人に愛してもらいたい。二人に俺と一緒に居てもらいたい」

プリンツ「……!!そんな……」ウルッ

提督「人として最低なことを言っている自覚はある。けど、そうせずにはいられないんだ」

プリンツ「……そうですよ。すごく残酷ですよ。変です。普通じゃありません」ギュッ

提督「プリンツ……頼む、どうかそうすることを認めてくれ。君とビスマルク、二人とも大好きでたまらないんだ」

提督「約束する。必ず君を後悔させない。きっと幸せにして見せる。だから、赦してくれないか」

プリンツ「……ビスマルク、姉さまと……話をさせてください」

提督「!」

ビスマルク「構わないわ。……私も、話をしなくちゃと思っていたの」

提督「分かった。……俺は、席を外した方がいいか?」

プリンツ「……いえ、大丈夫です」

提督(プリンツは涙を拭うと、俺から離れてビスマルクに向き直った。ビスマルクもジッとプリンツを見つめている)

提督(しばらく無言の時が続く。青い瞳と緑の瞳が交差した。剣呑な雰囲気だ。ようやく、プリンツが口を開いた)

プリンツ「私は、貴女に憧れていた。理想の人だと思っていた。強く美しく、気高い人だと思っていたから」

プリンツ「……どうして、あんな穢らわしい裏切りをしたの?私は、貴女とアトミラールを祝福していたのに……」

プリンツ「貴女が……好きだったのに!!」

ビスマルク「……私も、あの時の私を……殺してやりたいぐらい嫌い。本当に後悔しているわ」

プリンツ「そんなこと、今ならなんとでも言える!!あそこでアトミラールが来なかったら、こうしてここにいることもないくせに!!」

ビスマルク「っ……」

プリンツ「はっ!!黙っていないで答えたらどう!?」

ビスマルク「……っ!!来ないわよ……!!来たくても、来れるわけないわよ!!」

ビスマルク「あんなことして、赦してもらえるだなんて思えるほど浅ましくないもの!!」

ビスマルク「あの男は……セックスだけは本当に上手かったの!!アトミラールともう結ばれることがないと勘違いして……!!」

ビスマルク「それでヤケクソでアイツに抱かれて、でもその後でアトミラールに告白されて……!!」

ビスマルク「どうすればいいか分からなかった……相応しくないと思っても、好きな人から告白されたのよ……?」

ビスマルク「断るなんて……できなかった……!!」

プリンツ「Scheißversager(最悪の欠陥人間め)!!」

ビスマルク「っ!!うるさい!!貴方なら断れたとでも言うの!?」

プリンツ「私ならヤケクソで誰かと、しかもよりにもよってあんなのと寝るなんてするか!!」

ビスマルク「強引にされたのよ!!」

プリンツ「反撃しなかったから結局やられたんでしょ!?それはもう受け入れているも同じだ、ビッチ!!」

ビスマルク「何も知らないくせに……!!」

プリンツ「知らないし、知りたくもない!!それで、その後はどうなの!?どうしてあんなひどいことをしたの!?」

ビスマルク「っ……!!それは、……あの男とセックスしているのを見られて、あの男に酷いセリフを言わされたからよ!!」

プリンツ「なんでそんなことをした!!なんでそんなことを言った!!意味わからない!!」

ビスマルク「私だって!!私だって、今考えれば分からないわよ……あいつに快楽を教え込まれて……」

ビスマルク「アトミラールの労わるような優しいセックスじゃ満足できなくて、でも言い出せなくて……」

ビスマルク「満足できないだなんて、そんな事言えるわけないじゃない……そう考える自分自身が嫌だった」

ビスマルク「毎晩のように泣いたわ。妊娠した子が誰の子だとか考えたくもなかった」

ビスマルク「言えるわけないわ。アトミラールに、この子は貴方の子じゃなくてあの整備士の子なのだなんて……!!」

ビスマルク「そうやって不安とストレスと、欲求不満と罪悪感ばかりが募っているところに、あの男が現れて」

ビスマルク「ダメだと分かっていたけど、強引にされて、抵抗らしい抵抗もできなくて!!」

ビスマルク「結局、抱かれて、しかも見られて。言わなきゃ止めるとか言われて、気持ちいいのでおかしくなってた私は……」

ビスマルク「あ、アトミラールに……酷いことを言って……!!あとで正気に戻った時は、あの男と車の中だった……!!」

ビスマルク「もう全部終わりなんだって思った。もう私は、この人を頼るしかないんだって、思った」

ビスマルク「だから、あの日アトミラールが私を探して、来てくれて、本当に嬉しかった。救われた」

ビスマルク「私は、もう二度とあんな愚かなことはしない。この心も、体も、全てアトミラールに捧げる。そう誓ったの」

プリンツ「綺麗事を……!!そんなことを言っても、お前の罪はなくならない!!」

ビスマルク「っ!!……分かっているわよ。私だって、分かってる……」ギュッ

提督「……プリンツ。君が俺とビスマルクのために去ろうとしたように、ビスマルクもまた俺と君のために去ろうとしていたんだ」

プリンツ「えっ……!?」

提督「君なら、俺を自分より幸せにできると。泣きながらそう言っていた。……君と、同じだったよ」

プリンツ「貴女が……そんなことを……」

ビスマルク「……」

プリンツ「……私は、女として嫌です。愛する人が他の女ともなんて、耐えられません。貴女は、それでいいんですか?」

ビスマルク「……私だって大歓迎ってわけじゃないわ。嫌よ……でも、優しいアトミラールがそうなるまで追い詰めてしまったのは、私だから」

ビスマルク「だから、貴女さえ良ければ、私は受け入れるわ」

プリンツ「っ!……」

提督「受け入れて、くれるかい?」

プリンツ「……私が本気で嫌だって言ったら、どうしますか?そうなるぐらいなら、すべてを捨ててドイツへ帰ると言ったら?」

提督「何とかして説得する。もう君とビスマルクがいない生活は考えられない。……俺の一回限りの我が儘、受け入れてくれ」

プリンツ「……私が、アトミラールの頼みに嫌というと思いましたか?って言いたいところですけど、今回ばかりは……決断できません」

プリンツ「できるわけないですよ……こんなの、普通じゃない……アトミラール、好きです。愛してます」

プリンツ「おかしくなるほど好きなんです。……だから、もっと私をおかしくしてください。私が、はいって言いたくなるようにしてください」ジッ

提督「!……分かった」

提督(プリンツの、その寂しそうな期待しているような。縋るような表情を浮かべた顔を見れば、どうすればいいのか分かった)

提督「プリンツ、愛してる」ギュッ

プリンツ「あ……ちゅっ」ギュッ

ビスマルク「っ……」

提督(プリンツを抱きしめる。プリンツは腕を首にまわしてきた。そして、キスされる)

提督(目を閉じていないから、視界に入る。その様を見せつけられるようになったビスマルクは、傷ついたように表情を曇らせた)

提督「……ん、プリンツ、ちょっと待ってくれ」

プリンツ「はふっ……どうしましたか?」

提督「ビスマルク、すまないが先に戻っていてくれないか?」

ビスマルク「……結構、くるものね。分かったわ。けど……帰ってきたら、ね?」

提督「ああ」

プリンツ「ダメです、帰らせません」

提督「!?ぷ、プリンツ……?」

プリンツ「ビスマルク……姉さまに、見せつけてください。私を愛する所を。そうしたいです」

ビスマルク「っ!!」

提督「そ、それは……」

提督(酔っているからだろうか。大胆ってレベルじゃないことを言い始めるプリンツ。どうしようか……)

プリンツ「姉さまも見ていた方が安心できるんじゃないですか?自分の知らない所でされるよりは、ナニをしているのか知れていいでしょう?」

ビスマルク「……分かったわ。なら、お望み通り見ててあげる」

提督「っ……し、しかし……」

プリンツ「アトミラールも私達二人を同時に愛すると言ったんですから、それぐらいの覚悟はありますよね?」ジッ

提督「っ!!……分かった。では、仮眠室に行こうか」

プリンツ「はい。……あ、その前に司令部に連絡しなくちゃ」

提督(……俺も男だ。覚悟を決めた。ふらつきながら歩きつつスマホを取り出したプリンツをお姫様抱っこする)

提督(そして複雑な表情でこちらを見つめるビスマルクにアイコンタクトしつつ、仮眠室へ向かう)

提督(部屋に着くころにはプリンツの電話も終わっていた。俺は、プリンツを下ろすと、手伝おうとするプリンツを断りつつ、布団を敷いた)

提督(見られていることに抵抗を感じる。でも、俺も男だ。覚悟を決めた。プリンツを抱き寄せ、唇を貪る)

プリンツ「あふぅ……んちゅ……にゅるにゅる……」

ビスマルク「……」

提督(甘いワインの味がする。舌を絡ませ、体を愛撫。気分がのってきた。手を、背中や頭からヒップへと移し、脚で刺激する)

提督(この子もまた俺の女だ。この甘い匂いも、元気な声も、柔らかな金髪も、雪のように白い肌も、健気な精神も、俺だけのものだ)

プリンツ「んはぁ……アトミラール……もっと触ってください。直接、触れてください」

提督(スカートの下に手を入れ、ショーツの下に手を潜り込ませる。濡れているそこを直接愛撫した)

提督(プリンツの手が俺のベルトを緩める。ズボンの前ボタンを外す。手をパンツに突っ込み、直接、怒張した俺のモノに触れる)

提督(俺はプリンツを布団に横たえる。期待に熱っぽい吐息を吐くプリンツの服を剥ぎ、ブラを強引にずらす)

プリンツ「あんっ!!アトミラール……獣みたいですよ……?ふぁっ!!」プルンッ ドキドキドキ

提督(プリンツの胸を揉み、先端の突起を摘まんでこねくり回す。口付けし、舌で弄び、強く吸う)

プリンツ「んはぁ……ああ……!!はふぅ……なんか、ぞわぞわします……!!んあぁ……」

提督「続けていれば胸でイけるようになるらしい。そうなるまで調教してやるからな」

プリンツ「あぁ……私、アトミラールに調教されて……アトミラール好みの女にされちゃうんですね……!!」

提督「嫌か……?」

プリンツ「まさか!してください、アトミラール。私を、貴方好みに調教して……?」

提督「!!」

提督(そんなことを言われたら、耐えようもない。俺はプリンツの上にの馬乗りになると、大きく張ったモノを露出させる)

プリンツ「……!!」ゴクッ

ビスマルク「……!!」ゴクッ

提督「プリンツ、胸で奉公してくれ」

プリンツ「は、はい……♪」

ビスマルク「っ……」モジモジ

提督(顔を赤らめ、胸で俺のモノを挟み込み、扱く。俺もプリンツの胸の突起を責め続けた。プリンツと見つめ合う)

提督(プリンツははにかみながら頬を赤らめる。花も恥じらう初心な乙女のようなそれと、パイズリのギャップが素晴らしい)

提督(ふと、ビスマルクの方を見る。椅子に座った彼女は胸を押さえて顔を歪ませていた。しかし、頬を赤らめてもじもじとしている)

提督(目が、合った。切ないと訴えかけてくる視線。悲しげな表情が心に訴えかけてくる)

プリンツ「ん……ぺろ」

提督「っ!?」

プリンツ「ぺろぺろぺろ……よそ見しないで、こっちを見て……?」

ビスマルク「っ……アトミラール……!!」

提督(プリンツがパイズリをしつつ、頭を起こして舌を伸ばす。そして俺のモノの先端を舐めた)

提督(視線を落とすと、責めるような上目遣いと目が合う。ちろちろと伸びる舌が艶めかしい)

提督(わざといやらしく見えるようにしている。俺のことを誘惑していることは明らかだった)

プリンツ「んっ……アトミラール……そろそろ私も大切な所を気持ちよくしてもらいたいです」

提督「っ!ああ、分かった」

提督(プリンツの懇願するような声に俺は、プリンツの上をどく。そして足元に回ると、スカートをあげた)

プリンツ「あぁ……はぁん……ふぅっ……アトミラール……」

提督(プリンツ下着の上からそこを愛撫する。黒いレースの下着は湿っていた。クロッチをずらし、秘所を露出させる)

提督(相変わらず無毛のそこはピッチリと閉じている。手で優しく撫でて、開く。焦らしてからクリをせめる)

プリンツ「ふぁ……はぅ……んくっ……んん……ああ!!」ビクン

提督(露出させ、指でなまわし、いじくりまわす。そして指を中に挿入した。Gスポットを責める。ポルチオまでは、一度イかせないと指が届かなそうだ)

提督(ねちねちといやらしく責める。プリンツの体がもじもじと動き、腰が上がってくる)

プリンツ「あふっ……!!いい……!!いいです、アトミラール……!!気持ちいい……!!」ピクン ピクン

ビスマルク「はぁ……はぁ……」モジモジ

提督(十分に前戯ができたところで、いよいよ挿入する。そのままプリンツにのしかかろうとしたところで、止められた)

プリンツ「ま、待ってください、アトミラール……!!上に、乗せてくれませんか?」

提督「上に?分かった」

プリンツ「ふふ、Danke, アトミラール」ニタァ

提督(プリンツは妖艶な笑みを浮かべると寝そべった俺の上にまたがり、膝立ちになる。そして自らの秘所に俺のモノをあてがう)

プリンツ「ここでもキス、しちゃいましたね……?アトミラール」クチッ

提督「ああ、そうだな……!!」

プリンツ「はふっ……ビスマルク姉さま、見てますか……?」

ビスマルク「っ!?」

提督「!!」

プリンツ「ほら。アトミラールのここ、こんなに大きくて固い……ここに入れたら、きっとすごい……!!」ズリュッ ズリュッ

ビスマルク「な、何のつもりなのよ……?」

プリンツ「わかりますよ、同じ女だから。これが欲しくて、切なくて、たまらないんでしょう?」ニヤッ

ビスマルク「っ……!!」

プリンツ「アトミラールの、立派ですよね。女の幸せは、愛する男に抱かれることだと思いません?……これは、私のです」

ビスマルク「ふざけないで……!!あなただけの物でないでしょ!!」

プリンツ「いいえ、今だけは私のモノですよ。ほらぁ……見てくださぁいぃ……っ!!」ズッヌプププププ

提督「うっ……ぐっ……!!」

ビスマルク「あぁ……っ……!!」ブルブルブル

プリンツ「っ、はぁ……奥まできたぁ……赤ちゃんの部屋、ノックされてる……!!」

ビスマルク「くっ……!!」ギロリッ

プリンツ「ふふ……二回目ですね、アトミラール……どうですか、私の中は……?」

提督「っ……すごい締まりだ……!!最高だよ……!!」

プリンツ「ありがとうございます……!!じゃあ、動きますね……?くっ……はぁあ……!!」ヌップ ヌップ

ビスマルク「……!!」

提督(プリンツが淫らに腰を振る。いやらしい水音と嬌声、肉と肉がぶつかる音が響く)

提督(プリンツは蕩けた表情で快感に酔いしれており、胸が動きにつれて誘うように揺れる)

提督(その光景を見せつけられているビスマルクは、大切なものを失ったかのような泣きそうな表情だった)

提督(しかし、頬は紅潮し、息は荒い。意識してかしていないか分からないが、手が秘所にのびていた)

プリンツ「あ、アトミラール!!今は!!今は私だけをっ!!見てください!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督「プリンツ……!!」

プリンツ「む、胸が切ないです……!!どうか触れて、慰めて……?お情けをください……!!」

提督「っ!!」

提督(手を伸ばして、胸に触れる。その柔らかくも張りのある胸を揉みしだき、先端の固い突起を摘まみ、弄る。)

提督(快感が昇りつめてきた。こちらからも腰を打ち付け、突き上げる。一際大きな嬌声が響いた)

プリンツ「ああああ!!いい!!いいです!!アトミラール!!私、狂っちゃいます!!」

提督「プリンツ!!プリンツ!!」

提督(必死で腰を動かす。自身の愛を打ち込むように、何度も何度もそうした)

プリンツ「来ちゃう!!何か来ちゃう!!アトミラール!!愛してます!!愛してるって言ってください!!」

提督「プリンツ、愛してる!!大好きだ!!」

プリンツ「来ちゃう……来ちゃう……っ!!はぁああああああ!!」ビクンビクン

提督「くっ……うっ……!!」ビュルルルルルルルル

提督(プリンツに腰を押し付け、奥で果てる。プリンツを孕ませる行動、本能的にそうしてしまう)

提督(もたれかかってきたプリンツを優しく抱きとめる。互いに求めるように唇を重ねた)

プリンツ「んちゅ……はぁむ……れろれろ……」

ビスマルク「……」

提督(互いの愛を確かめ合い、満足する。口を離し、しばらく見つめ合った。そしてプリンツが膝立ちになる)

プリンツ「はぁ……あふぅ……」ズリュッ ヌプッ ブピュッ

ビスマルク「っ……!!」

提督(プリンツの秘所からモノが引き抜かれた。秘所から白濁液がドロリと俺の下腹部に垂れた)

プリンツ「アトミラールの愛が、もったいないです……ん、じゅる、ぺろぺろ」

提督(その白濁液をプリンツが吸い、舐めとる。そして、手が俺のモノを扱き始め、すべてを舐めとったプリンツが吸い付く)

提督(快楽に再び俺のモノが怒張する。プリンツは口を離し、愛おしげな眼差しで見つめた)

プリンツ「あは……♪まだ足りないみたいですね。どうぞ、もう一度私を使ってください」クパァ

ビスマルク「な!?待ちなさい!!もう一回したでしょ!!次は、私の番よ!!」

プリンツ「……雰囲気が台無しですよ。今は私が愛してもらっているんです。後でにしてください」

プリンツ「それまでは、さっきみたいにはしたなく自分で自分を慰めていてください。独り占めはしませんから」

ビスマルク「っ!!」

提督「プリンツ、独り占めはしないって……?」

プリンツ「私は、何処までもアトミラールについて行きますよ。仕方ありませんから、ビスマルク姉さまも一緒ってのも受け入れます」

提督「プリンツ……!!ありがとう、きっと幸せにする」

プリンツ「はい!……楽しみにしていますからね」

ビスマルク「……でも、だからってまたこんな生殺しなんて。……酷いわ。雰囲気が大事なら私を先に帰らせなさいよ」

プリンツ「一回で満足できると思っていましたか?もう二回はしてもらいたいところです……また?」

提督「っ!!」

ビスマルク「アトミラール……」ジッ

提督「俺も、男だ。こういうことをするからには、二人とも満足させてみせる。とりあえず、まずはプリンツだ」

ビスマルク「そんな……」

プリンツ「アトミラール!!という訳です、姉さま。そこで見ていれば、少しでもアトミラールと私の苦しみが分かるんじゃないですか?」

ビスマルク「うぅ……二人とも満足させるって言ったからね?してくれなかったら……分かってるでしょうね?」

提督「分かってる。さあ、プリンツ。覚悟はいいな?」

プリンツ「はい……♪来てください……!!」



提督(あれから、プリンツとビスマルク相手に何とか二人とも満足させることに成功させた。……はずだ)

プリンツ「はぁ……はぁ……あふぅ……」ピクン ピクン

ビスマルク「はぁ……はぁ……すごいぃ……」ピクン ピクン

提督(とりあえずプリンツを手マンとクンニで容赦なくイかせ続けた。そしてバックで挿入してフィニッシュ)

プリンツ『あぁ……あふぅ……』グッタリ ビクンビクン

ビスマルク『はぁ……はぁ……アトミラールぅ……』キュンキュン

提督『ふぅ……よし、ビスマルク。来てくれ』

ビスマルク『っ!!はい……!!んふぅ……んちゅっ……れろれろ……』パァッ ダキッ

提督(そしてずっと自分で自分を慰めていたビスマルク相手に、こちらはちゃんとキスから前戯をしっかりとした)

ビスマルク『アトミラール……上に乗らせて……?』

提督『!!いや、俺が上になるよ』

ビスマルク『さっきプリンツを上に乗せていたじゃない……私の方が上手いわ。ね?証明させて』

プリンツ『……!!』ピクッ

提督『いや、君を俺のモノだって刻み付けたいんだ』

ビスマルク『っ!!で、でも……』

提督『ビスマルク、愛してるよ』グイッ

ビスマルク『あっ……んっはぁああ……!!入ってくる……!!』ズプッ ヌプププププ

提督(そしてプリンツに触発されてか騎乗位をしたがるビスマルクをなだめて、何とか正常位で一発)

提督『っ……!!』パンパンパン

ビスマルク『ああ!!おくぅ!!おくすごいぃ!!きちゃうぅ!!』ズップズップズップ

プリンツ『……ごくっ』ドキドキドキ

提督(プリンツと違ってポルチオにもしっかり反応するので、本気でせめられればプリンツより弱かった)

提督『ビスマルク……!!』ビュルルルルルルルル

ビスマルク『ああああああ!!っはぁ……!!はぁ……はぁ……』ビクンビクンビクン

提督『ふぅ……』

ビスマルク『アトミラール……んちゅっ、んふっ……にゅるにゅるにゅる』

提督『……んは。愛してるよ、ビスマルク』

ビスマルク『んふっ。私も、アトミラール。……ねえ、もう一回しましょ?』

提督『……もちろんだ』

提督(だがその分快楽の要求量が多いので、挿入以外でイかせるのを頑張らなくてはならなかった)

ビスマルク『あぁ……だめぇ……!!ちくびだめぇ……!!きちゃう!!きちゃうからぁ……っぁああああ!!』ビクンビクン プシャァッ

提督『胸を弄られて潮を吹きながらイくか。君は本当に変態だな』

ビスマルク『はぁい……わたしはぁ……むねをいじられてイく……へんたいですぅ……』ビクッ ビクッ

提督(胸も良く開発されているため、なんとか単調にならずに十分にイかせることに成功した)

提督『くっ……はぁ……!!』ビュルルルルルルルル

ビスマルク『ああああああ!!っ……ち、ちがうの……ちょっといまは……びんかんになっちゃってるだけで……ほんとは、もっとぉ……』ギュッ

提督『十分気持ちよかったよ。万全な時の君にして貰うのが楽しみだ』

ビスマルク『アトミラール……』

提督(イかせ続けていたおかげもあり、なんとか戦うことができた。万全の状態だったらと思うと……)

プリンツ『……アトミラール』

提督『プリンツ?』

プリンツ『さっき私、あと二回はって言いましたよね?まだあと一回残ってるんですけど……』

提督『終わりだと思ったか?おいで』

プリンツ『!!はい……♪』

提督(そこである程度回復してきたプリンツがねだってきたので、再び前戯から頑張って正常位で果てる。何とか満足させることに成功した)

プリンツ『ああ……ああ……もう、おかしくなっちゃいました……あとみらーるなしでいきていけません……』ピクン ピクン

提督『俺も君なしじゃ生きていけないよ』

ビスマルク『……』ジッ

提督『ビスマルク……四つん這いになれ』

ビスマルク『はい……♪』

提督(そしてプリンツが息も絶え絶えになっている所で、回復しつつあるビスマルクが回復しきる前に撃破するため攻勢を開始する)

ビスマルク『だめぇ!!アナルでイっちゃう!!変態になっちゃう!!』

提督『お前はすでに変態だ、ビスマルク!!我慢しなくていいからイけ!!』

ビスマルク『違う!!違うぅ!!違うの!!私はっ!!私はぁっ!!ああああああ!!』ビクンビクンビクン

提督『くっはぁ……!!』ビュルルルル

提督(四つん這いにさせて羞恥心を刺激しながら前戯でイかせて弱らせ、最後はアナルセックスで撃破した)

提督(そして今につながる。二人とも布団の上にぐったりと倒れて荒い息をついている。俺は、もう限界だった)

提督(ためていた分以上に搾り取られた。あの二人と同じくらい俺も荒い息をしてぐったりしているだろう)

提督(何も考えられず息を整えていると、二人が動く気配がする。そして近づいてきた)

提督(そのまま這いよってきて、それぞれ俺の左右に別れる。なんと、ダブルフェラしてきた。男の性か、また大きくなってきてしまう)

ビスマルク「んはっ……れろれろれろ……んちゅ……じゅるじゅるじゅる」

プリンツ「ぺろぺろぺろ……れろれろれろ……ちゅっ……にゅるにゅるにゅる」

提督「……もう一回するか?」

ビスマルク「じゅる……いえ、今日はもういいわ。十分満足した。これはただのお掃除よ」ニコッ

プリンツ「ちゅばっ……アトミラールも限界ですよね。ありがとうございます、たくさん愛してくれて」ニコッ

提督「!」

提督(この二人は、もう俺のものだ。人として最悪?言ってろ。何があっても、俺はこの二人が自分から去らない限り、手放さない)

提督(こんな美人を二人も侍らせて、男冥利に尽きるというものだ。絶対に三人で幸せになってやる)

提督「そうか……少し休んだら、家に帰るか」

ビスマルク&プリンツ「「Ja!!」」



提督(戦争が終わって数か月が経とうとしていた。人々は平和を享受していた。世界は復興しつつある)

提督(深海棲艦の脅威は消え去り、俺たちも平和を謳歌していた。なんと素晴らしいのだろう)

提督(艦娘達はごく一部を除いて復員した。有事の際にはまた再招集されることになっているが、その日が来ないことを祈る)

提督(ビスマルクとプリンツもまたドイツ軍を退役した。そして、今では俺と共に日本で暮らしている)

提督(いろいろと大変なこともあるが、それでも幸せに暮らしている。そんなある日のことだった)

プリンツ「アトミラール。ちょっといいですか?」

提督「ああ。どうしたんだ?」

プリンツ「その……私の両親に会ってくれませんか?」

提督「君の両親と?」

プリンツ「はい。日本で結婚するって連絡をしたんです。それで、会いたいって言われて……」

プリンツ「私も、会ってもらいたいです。……良いですか?」

提督「もちろんだとも。俺も是非、挨拶させてほしい」

プリンツ「アトミラール!!ありがとうございます!!……それで、その時に結婚式をしたいんですけど、いいですか?」

提督「結婚式!!」

提督(いきなりの話にびっくりする。思えば結婚式は挙げていなかった。いや、あげられていなかったの間違いか)

提督(ウェディングドレスを着るのは女の子の夢だとも聞く。ちょうどいい機会だ。俺も、プリンツと結婚式をしたかった)

プリンツ「……ダメですか?」シュン

提督「まさか!!大歓迎だよ!!」

プリンツ「本当ですか!!」パァッ

提督「ただ、ビスマルクにも話をしなくてはな」

提督(という訳でビスマルクに話をする)

ビスマルク「そうね。里帰りがてら、プリンツとドイツを案内してあげるわ。……まさか、置いていくとか言わないでしょうね?」

提督「まさか!なあ、プリンツ」

プリンツ「ええ、もちろん三人で一緒に行きましょう!ただ、一日だけ私の実家に行かせてください」

ビスマルク「分かったわ。なら私はその時に親戚の所へ挨拶に行ってくる」

ビスマルク「……結婚式には出られないけど、心から祝福しているわ。これからもよろしくね」

プリンツ「ありがとうございます、姉さま!こちらこそよろしくお願いします!」

提督(という訳で、三人でドイツへ行くことになった。いつか行ってみたいと思っていたんだ。楽しみだった)

提督(しかし、両親へ挨拶か……ビスマルクの両親はもう亡くなられていたから、そういったことをしたことは無かったが……)

提督(客観的に見れば、俺は二股をかけている最低男だ。プリンツの両親になんといえばいのだろうか……)

プリンツ「アトミラール、ちょっといいですか?……どうしたんですか?」

提督「ああ。……君のご両親になんといえばいいのかと思ってな」

プリンツ「そんなの、私と結婚しますって言えばいいだけですよ。普通にお喋りすればいいんです」

プリンツ「きっと皆、アトミラールを好きになります。だって、アトミラールですから」

提督「だといいが……」

プリンツ「……余計なことは、言わなくていいですよ」

提督「プリンツ……」

プリンツ「私達の幸せの形は、他人には理解できないでしょう。それが、私の家族であっても」

プリンツ「だからこそ、言う必要はありません。大丈夫です。私を幸せにしてくれるのでしょう?なら、それだけ言えば十分です」

提督「……分かった。ありがとう、プリンツ」

プリンツ「Bitte schön!……ところでアトミラール、ちょっとお願いしたいことがあるんです」

提督「どうしたんだ?」

プリンツ「私の実家に行った時、私が料理を作るんですけど……ドイツ流の作法があるんで、一緒に練習してくれませんか?」

提督「そうなのか?もちろんだ。むしろ、こちらからお願いしたい」

プリンツ「はい、ありがとうございます!」

提督(こうして、練習がてら今日の夕食を一緒に作る。のかと思ったが、調理は全部プリンツがやった)

プリンツ「はい、できました!ではお願いしますね」ゴトン

提督「あ、ああ!任せてくれ」

ビスマルク「腕の見せ所よ、アトミラール」

提督(ドイツでは、どうやら一家の主人がこういった塊肉の料理を切って取り分けるらしい)

提督(まあ、分かっていれば簡単だ。問題なくこなすことができた)

提督「よし、これでどうだ?」

プリンツ「さすがです、アトミラール!!」

ビスマルク「Sehr gut!!まあ、心配していなかったけどね」

提督(そして、とうとうドイツへ行く日が来た。飛行機で約半日かけてドイツへ向かう。そこら辺の街並みでさえ俺にとってはとても洒落て見えた)

提督(二人の案内でドイツを観光して回った。城や教会を見て回り、料理や酒を堪能する)

提督(それと、日本でのマクドナルドのようにケバブの店があることに驚く。あれはトルコとかの料理だと思っていたが、ドイツでも人気なのか)

提督(こうして存分にドイツ観光を楽しんでいたら、とうとうプリンツの両親の元へ挨拶に行く日が来た)

ビスマルク「じゃあ、明後日ね。結婚式、頑張って」

提督「ああ、ありがとう。また明後日」

プリンツ「Danke!また明後日です!」

提督(親戚の所へ向かったビスマルクと別れ、プリンツの故郷へ向かった。とても緊張する)

提督(何か粗相があったらどうしようかと心配していたが、杞憂で済んだ。プリンツの家族はとても良くしてくれた)

提督(料理の切り分けも上手くできたと思う。日本での暮らしなど、いろいろなことを話した)

提督(娘を頼むと言われ、任せてくださいと答えた時は義母が涙を流していた。プリンツも家族と抱き合って泣いていた)

提督(そのままプリンツの実家に泊まる。そして翌日、結婚式だ。準備を済ませて教会へ向かった。プリンツは、あとから来る)

提督(祝いに来てくれたのはプリンツの家族と友人達だ。俺の家族は、死んだことにせざるを得なかった。心が痛いが、仕方がない)

提督(時間になり、結婚式が始まる。瀟洒たウェディングドレスを纏い、バージンロードを父親と歩んでくるプリンツ)

提督(その姿はとても美しくて、見惚れてしまう。感動に震えた。二人で壇上に並ぶ。讃美歌を斉唱し、聖書の朗読を聞く)

提督(そしてプリンツと二人で永遠の愛を宣言し、そのベールをあげて、キスをする)

提督&プリンツ「「私達は、夫婦として、喜びの時も、悲しみの時も、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も」」

提督&プリンツ「「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います」」

神父「では、誓いの口づけを」

提督「……」コクッ スッ

プリンツ「……」パチッ クイッ ドキドキドキ

提督(ベールをあげる。とても神聖なことをしている気分になった。プリンツは顎をあげ目を閉じている)

提督「……ん」チュッ

プリンツ「んっ……」

提督(初々しいソフトなキスだった。だが、時間が長かったと思う。よくわからない。プリンツが愛おしくてそれどころではなかったのだ)

提督(キスの後、神父が結婚の宣言をした。結婚証明書にサインをして、讃美歌を歌う)

提督(すべてが終わって、いよいよ退場だ。プリンツと腕を組み、エスコートしながら歩く)

プリンツ「アトミラール」ジッ

提督「どうした?」

プリンツ「ずっと夢だったんです、結婚式。私、今とっても幸せで、感動しています」ニコッ

提督「俺もだよ」ニコッ

提督(皆、笑っていた。やはり、結婚式はこうでなくては。幸せで、笑顔が溢れていなくては)

提督(無事に結婚式が終わり、披露宴という訳ではないが出席してくれた人達と早い夕食を取る)

提督(そのまま泊っていきたい気分だったが、ビスマルクが待っている。丁重に挨拶して、出発した)

提督「ビスマルク!」

ビスマルク「やっと来たわね!どうだった?」

プリンツ「最高でした……!!やっぱり結婚式はいいですよね!!幸せな気持ちになりました!!」

提督「ああ!!プリンツのウェディングドレス姿は最高だったよ!!」

ビスマルク「良かったわね!!……」

プリンツ「Danke!!」

提督「ああ!!じゃあ行くとするか。……」グイッ

プリンツ「はい!」スタスタスタ

ビスマルク「ええ。……っ!?」

提督「……ビスマルク。いろいろあったにせよ、俺は君との結婚式も本当に良かったと思っているよ」

ビスマルク「アトミラール……!!っ!!」ダキッ

提督「ビスマルク」ギュッ

提督(無事にビスマルクと合流してまた観光。そして、帰国だ。思い返してみればドイツに来れて良かった)

提督(プリンツの両親に挨拶できたし、結婚式ができるとは思わなかった。最高の気分だった)

提督(また来たい。いや、必ずまた来る。俺は帰りの飛行機の中でそう思いながら眠りについた)



提督(帰国し、日常に戻って一月ほどの経った後。いつものように愛し合い、挿入するためにゴムを付けようとしていた時だった)

プリンツ「アトミラール……私、ゴムなしでしてほしいです」ジッ

提督「プリンツ?」

プリンツ「……アトミラールの赤ちゃんが欲しいです」モジモジ

ビスマルク「えっ!?」

提督「プリンツ……!!君は、まだ若い。そう早まることはないぞ?」

プリンツ「でも、赤ちゃんが欲しいんです……ダメ、ですか?」チラッ

提督「そうか……俺も欲しいと思っていたんだ。頑張ろうな」

プリンツ「アトミラール……!!はい!!」パァッ

ビスマルク「……」

提督(プリンツの言葉に、本能が刺激された。そのまま、乱暴にプリンツに挿入した。そして、一心不乱に腰を振る)

提督「プリンツ……!!プリンツ……!!」パンパンパン

プリンツ「アトミラール!!す、すごいぃ!!熱くて……アトミラールを感じる……!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督(プリンツを孕ませることしか頭になかった。生で中出ししてしまう。もう……止められない)

提督「くっ……はぁ……!!」ビュルルルルルルルル

プリンツ「ああああああああ!!……っ!!はぁ……はぁ……」ビクンビクン

提督「はぁ……はぁ……プリンツ……」ズルッ

プリンツ「なか……熱いです……アトミラールのが、たくさん……」ゾクゾク ブピュッ

提督「……!!」ゾクゾクゾク

提督(ぐったりとしたプリンツの秘所からモノを引き抜く。一緒に白濁液が噴き出た。プリンツは、この後ピルを飲まない)

提督(そうすれば、プリンツは孕むかもしれない。子宮に達した俺の精子がプリンツの卵子と混じり合い、着床するかもしれな)

提督(それは、男としてとても興奮する行為だった。プリンツを孕ませる。俺の中の本能が満たされる)

プリンツ「アトミラール……頑張りましょうね……」

提督「ああ……」

提督(その日以来、プリンツと子作りを始めた。ゴムなしのセックス。愛を確かめるだけでなく、お互いの子供を作る行為)

プリンツ「アトミラール!!アトミラール!!胸ぇ!!胸をもっと虐めてください!!」ヌップヌップヌップ

提督「プリンツ……!!騎乗位で腰を振りながらおねだりとは、お前も随分淫乱になったな……!!」パンパンパン モミモミモミ

プリンツ「あぁっ!!アトミラールが!!私をそうしたんですよ!!セキニンとってください!!」ヌップヌップヌップ

提督「プリンツっ……ぐっ!!」ギュッ ビュルルルルルルルル

プリンツ「ち、ちくびぃいいいい!!やああああああ!!はぁ……はぁ……」ビクンビクン ブプッ

提督(ゴムありの時とは比べものにならない快感。プリンツを孕ませる。ただ、それだけに夢中になりそうだった)

プリンツ「後ろからぁ!!のしかかられて……ふぐぅ!!ケモノみたい!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督「孕め、プリンツ!!俺の子を孕め!!」パンパンパン

プリンツ「はぁい!!孕みます!!孕ませてください!!アトミラールとの、赤ちゃんをっぁああああ!!」ビクンビクンビクン

提督「っ!!……プリンツ……愛してる」ベチン ビュルルルルルルルル

プリンツ「あふぅ……はぁ……はぁ……私も……愛してます……」グッタリ ドロッ

提督(プリンツの秘所から白濁液が垂れる。肩を震わせ荒い息を吐くプリンツが愛おしかった。今すぐにでも抱きしめたい)

ビスマルク「……」ギュッ

提督(だが、さすがに気がついた、ビスマルクの様子がおかしいことに。……とてもつらそうな顔をしていた)

提督「……ビスマルク?どうした」

ビスマルク「アトミラール、私……いえ、何でもないわ」

提督「ビスマルク……」チュッ

ビスマルク「んっ……ふぅ……れろれろれろ……んちゅ……」

提督「……ビスマルク、君はとても辛そうだ。何かあるなら言ってくれないか?君の力になりたいんだ」

ビスマルク「んふ……大丈夫。本当に大丈夫よ、アトミラール」ニコッ

提督「……そうか。もう一度、いいかい?」サワッ

ビスマルク「ええ、もちろん……!!」キュン

提督(その後、ビスマルクとの繋がりを感じたくて、抱き締め、まじり合った)

提督(すべてが終わって、二人は俺の左右で眠っていた。ビスマルクのことを、考える)

提督(……俺が思うに、ビスマルクはプリンツと俺が子作りを始めたころから様子がおかしくなった)

提督(最初はビスマルクも子供が欲しくなったのかと思ったが、そう言ってくることもない)

提督(それとなくビスマルクともしたいと言ってみたら、まだ早いとやんわりと断られた)

提督(だが、ビスマルクはプリンツに生中出しをすると毎回悲しそうな顔をしている)

提督(気になるが、それ以外に特におかしいことは無かった。だが何かに悩んでいるのは確かだ)

提督(どうにかしてビスマルクの助けになりたい。しかし、どうすればいいのか分からない)

提督(そして、そうこうしているうちに最高のニュースが届いた。それは、日曜日の朝、惰眠を貪っているときだった))

プリンツ「アトミラール、起きて!!アトミラール!!」

提督「ん……プリンツ?どうしたんだ?」

プリンツ「アトミラール!!これ、見てください!!」スッ

提督「んー?……っ!!プリンツ!!」

提督(差し出されたものは体温計にも見えるソレ。ラインが、二つ浮き出ていた。それが意味することは……!!)

プリンツ「私、妊娠しましたよ!!」ダキッ

提督「プリンツ……!!よくやってくれた!!」ギュッ

プリンツ「はい!!」

提督(プリンツはとても喜んでいた。俺も、とても嬉しかった。そして、ビスマルクも祝福してくれた)

ビスマルク「おめでとう、プリンツ!アトミラール!!」

プリンツ「ビスマルク姉さま、ありがとうございます!!」

提督「ああ、ありがとう!!」

提督(三人で一緒になって以来、最悪になっていたビスマルクとプリンツの関係は少しづつ改善されていった)

提督(そして、今では以前ほどではないにせよかなり良好な関係に戻っていた。心配していたが、良かった)

プリンツ「見てください!!これが母子健康手帳ですよ!!」

ビスマルク「ふふ、良かったわね!!……」ギュッ

提督「……!!」ハッ

提督(今、理解した。何がビスマルクを苦しめているのか。どうして気がつかなかったのか)

提督(馬鹿か俺は……話をしなくてはならない。俺はその後、タイミングを見計らってプリンツに頼みごとをした)

提督「プリンツ」

プリンツ「どうしたの?」

提督「今日、ビスマルクと二人で出かけてきたいんだが……いいかい?」

プリンツ「もちろん。……何か話さなくちゃいけないことがあるんでしょ?」

提督「っ!……よくわかったな」

プリンツ「姉さまの様子がおかしいことには私も気がついていたから。……姉さまのこと、よろしくお願いしますね」

提督「ああ、まかせてくれ」

提督(こうして俺はその晩ビスマルクと二人で出かけることとなった。2人っきりのデートだ)

プリンツ「では、行ってらっしゃい。アトミラール、ビスマルク姉さま」

提督「行ってくるよ」

ビスマルク「行ってくるわ」

提督(車で出かける。クラシックを聴いてレストランでディナーを済ませる。そして、そのまま夜景を見に行った)

ビスマルク「すごい……」

提督「君の為の宝石箱だ。ってのは、クサすぎるか」

ビスマルク「アトミラールに言われるのなら、悪くないわね」

提督「そうか。……」

ビスマルク「……何か、言いたいことがあるんでしょ?」

提督「っ!わかるか……」

ビスマルク「誰だと思っているの?私は、貴方の妻よ」

提督「そうだったな。……子供のことだろう?君が悩んでいるのは」

ビスマルク「やっぱり……分かっちゃう?」

提督「……俺は、君にどうしてあげられる?」

ビスマルク「……私は、いいのかしら。一度堕胎した私に、子供を身籠る資格なんて……あるのかしら?」

提督「あるとも」

ビスマルク「っ!!……どうして、そう思うの?」

提督「償いは何も子供を作らないことじゃない。君がそう思うのも分かるが、だからって子供をつくってはいけないわけないよ」

ビスマルク「……そうかしら?」

提督「そうだとも。俺たちはちゃんと立派に育て上げる。きっとできる。だから、心配しなくていい」

ビスマルク「アトミラール……」

提督「ビスマルク」ギュッ

ビスマルク「あっ……」

提督「ビスマルク、俺は君が好きだ。君に俺の子供を産んで欲しい。頼むよ」ササヤキ

ビスマルク「っ…… J, ja……!!」コクリ

提督「ありがとう……!!」チュッ

ビスマルク「こ、こちらこそ……んぅ!!ん……ちゅっ……」ギュッ

提督(そのままビスマルクと口づけする。互いに強く抱きしめ合い、愛撫し合い、舌を絡ませ合う)

提督(そこで周りに他のカップルがいることに気がつき、赤面しつつ車に戻った。)

提督(ビスマルクを連れてホテルに行く。シャワーを浴びるのももどかしい。部屋に入ってすぐビスマルクを抱き寄せる)

提督(キスをして、ベッドに押し倒し、服を脱がせた)

ビスマルク「あ、アトミラール……汗とかかいてるから、シャワーが浴びたいわ」

提督「我慢できない。良い匂いだから大丈夫だよ」クンクン

ビスマルク「は、恥ずかしいからにおいを嗅がないで……んっ!!」カァッ ビクン

提督(ショーツをずり下ろして、露わになった秘所に吸い付いた。それからじっくりと前戯をしてよがらせる)

提督(何度もイかせてすっかり体ができあがったビスマルクにフェラをさせつつ、自分を慰めさせた)

提督(互いに準備がばっちりできたところで、ビスマルクにおねだりさせる)

提督「どうしてほしいか言ってみな」

ビスマルク「っ!!恥ずかしいわ……」

提督「聞きたいんだ。まだ止めたくはないだろう?」

ビスマルク「……入れてちょうだい」カァッ

提督「違うだろう?孕ませてください、だ」

ビスマルク「!!……は、孕ませてください」ゾクゾクゾク

提督「なら、脚を広げて、自分で開いてくれ」

ビスマルク「もう……!!これで、いいかしら?」クニッ クパァッ

提督「ああ、完璧だ……!!」

ビスマルク「んっ……ふぁああ……!!入ってくる……!!奥まで……入ってる……!!」ズプッ ヌプププププ

提督「ビスマルク……!!子宮がおりてきているみたいだな……?」コツン コツン

ビスマルク「ああ!!も、もっと……もっと私を愛して、孕ませて……?」ビクン

提督「いいだろう……!!」

提督(そのままねちっこくせめる。よがるビスマルクを見ていると精子がたまっていくようだ)

提督(もうこれ以上は無理だというほどまで耐え、いよいよフィニッシュするためにせめたてていく)

提督「ビスマルク!!中に出すぞ!!お前を孕ませてやる!!」パンパンパン

ビスマルク「ああ!!きて!!きてぇ!!あなた!!私を孕ませて!!赤ちゃんを頂戴!!」ズッチュズッチュズッチュ

提督(きゅっと締まる感覚。俺は、この子を孕ませてやるんだ。この子のすべてを、……取り返すんだ)

提督「孕め!!孕め!!孕め!!っ……孕めええええ!!」ベチン ビュルルルルルルルル

ビスマルク「Ja!!Ja!!産んであげる!!産んであげるからっあ、ああああああああ!!」ビクンビクビクン

提督(ビスマルクの一番奥深くで果てる。直接子宮内に注ぎ込むような感覚。本能が満たされる)

ビスマルク「はぁ……はぁ……アトミラール」

提督「……どうした?」

ビスマルク「抱きしめて。キスして」ジッ

提督「もちろんだ」ギュッ

提督(もちろん一回で終わるわけがなかった。その日、結局俺たちはホテルに泊まった。そして翌朝、軽く朝食を取ってから帰宅する)

提督「ただいま」

ビスマルク「ただいま」

プリンツ「おかえりなさい、アトミラール。ビスマルク姉さま」

ビスマルク「プリンツ、あのね……私も、アトミラールと子供をつくることにしたの」

プリンツ「そうですか!頑張ってくださいね!」

ビスマルク「ええ!ありがとう!」

提督(靴を揃えて家に上がる。そしてビスマルクに続いてリビングへ入ろうとしたところだった)

プリンツ「……」グイッ

提督「っ!?」

提督(プリンツに引っ張られる。いきなりのことに俺は反応できない。そのまま壁ドンの体勢になった)

提督「ぷ、プリンツ?」

プリンツ「朝帰りとは聞いていませんでしたよ?」ジッ

提督「す、すまない……!!」

プリンツ「したんですよね?セックス。それも、生で中出しの子づくりセックスですよね?」

提督「そうだ……!!」

プリンツ「それが悪いとは言いませんが、一晩寂しく過ごした私をどう慰めてくれるのか……期待してますからね?」

提督「!!ああ、もちろんだ。プリンツ」チュッ

プリンツ「んっ……ちゅぅ……もう、これだけじゃ足りませんからね!!……朝ごはんは作っておいたんですけど……食べてますよね?」

提督「君が作ってくれたものを食べないわけがないだろう?いただくよ」

プリンツ「!!じゃあ、用意しますね♪」

提督(慰めについては後日、プリンツと一緒に二人っきりでお泊りデートに行くことで満足してもらえた。行先は温泉だった)

提督(混浴の時、周りの男の視線が気に食わなかったが、男として誇らしくもあった。プリンツにも喜んでもらえてよかった)

提督(ともかく、こうして俺はビスマルクとも子づくりを始めた。そして、その努力はすぐに報われた)

ビスマルク「アトミラール、話があるの」モジモジ

提督「どうした?」

ビスマルク「あのね……できたの!!」

提督「ビスマルク……!!良かった!!やったな!!」

ビスマルク「ええ!!アトミラール……貴方と私の赤ちゃんよ!!」

提督(本当にうれしかった。俺とビスマルクの子供だ。いつか穢されてしまった思いが、報われた気がした)

プリンツ「おめでとうございます!!アトミラール!!ビスマルクお姉さま!!」

ビスマルク「ありがとう、プリンツ!!」

提督「ありがとう!!……二人とも、はじめての子育てで大変だろうが、俺もできることは何でもする」

提督「だから、三人で一緒に頑張ろう!!」

ビスマルク&プリンツ「「Ja!!」」

提督(それから数か月。プリンツとビスマルクはともに母子ともに健康で、お腹の子もすくすくと成長していた)

プリンツ「あ、今お腹を蹴ったよ。アトミラール」

提督「おお、そうか!元気な子だな!」ナデナデ

プリンツ「そうだね、ふふ。早く生まれておいで。パパもママも待ってるからね」ナデナデ

ビスマルク「はい、夕食ができたわよ」スタスタ

提督「ビスマルク!できたら呼んでくれっていったろ?君は妊娠しているんだから」スクッ

ビスマルク「不安なのはわかるけど、あまり過保護にしないで。何度も言ったと思うけど、妊婦は体を動かさないとダメなのよ」コト コト

プリンツ「そうですよ。運動しないと、つわりとかいろいろ酷いことになるんだから」

提督「そ、そうか……そうだったな……すまない……」

ビスマルク「謝らないで。私を気遣ってくれたんでしょ?その気持ちは嬉しいわ!」

提督「そう言ってもらえると、幸いだ。……君も、随分お腹が大きくなってきたな」

ビスマルク「ええ、そうね。早くこの子に会いたいわ」ナデナデ

提督(いろいろとあって大変だった。それに、今の俺たちは人から見れば普通じゃないだろう。だが……)

提督「なあ、ビスマルク。プリンツ。俺は今、本当に幸せだ!!」

ビスマルク「どうしたのよ、いきなり」

プリンツ「何かあったの?」

提督「いや、言いたくなったんだ」

ビスマルク「そう。私も、とっても幸せよ!!」ダキッ

プリンツ「私も幸せです!!」ダキッ

提督(二人が満面の笑みで俺の腕に抱き付いてくる。両腕に感じる、大切な二人の体温が心地いい)

提督(願わくは、この幸せが永遠と続きますように。そのためなら俺は努力を惜しまない。俺は、改めて強くそう思った)

どうも、作者です

長らく続いてしまいましたが、これにて完結です
今まで読んでいただきまして、ありがとうございました

いろいろとおかしなところや至らぬところがあったかと思いますが、
よろしければアドバイスなど頂ければ幸いです

あるか分かりませんが、もしあった時の参考にさせていただきたいです
書いてみたいネタがいくつかあるので、かければいいなと思います

後は少し思いついたけど本編で書けなかった小ネタを書き込む予定です

本当にありがとうございました


楽しめて読めたけど、次回作ってことでもいいから加賀みたいなNTRその後みたいな


友と飛龍のエロはやく!

>>880 >>882 が、頑張ります!

ドイツ軍はまあこういう話なら登場せざるを得ないということで出しました

実はドイツ軍はもう少し出番がある予定だったんですが寄り道過ぎるし、
オリキャラは嫌われるかなと思ってカットしました
名前付きが出たのもその名残です

ヨゼフィーネ・メンゲレ大佐の元ネタは皆さんご存知のヨーゼフ・メンゲレ博士です
私は某陽炎が大活躍するノベライズのファンなので、
艦娘の出自はその設定を使わせていただいております

しかし、適正で採用されるなら不採用になる人もいるはず
彼女もまた採用されず、しかし納得がいかなかったため採用された友人だったプリンツを調べて
何が問題だったのかを調べようとしたのです
その結果どうなったかはまあ、読んでいただいた通りです

ドイツ軍は終戦に伴って本国へ帰還しました
プリンツとビスマルクは退役したので、
どこにいるかは把握されていますが何をしているかは特に調べられていません

まあ、もしバレたとしたら問題になるんじゃないかと思いますが、
あの二人なら何とかして隠し通すのでしょう

瑞鶴はすでに失恋から立ち直っていたので、
恐らく新しい恋を見つけていずれ誰かと幸せになると思います
ハーレムについては知りません
提督たちは周りにひた隠しにしているのでばれないでしょう
今はたぶんペンフレンドくらいなのだと思います

もし瑞鶴がハーレムを知ったらどうなるかは分かりません
想いが反転するのか、それなら自分もとなるのか
恐らく提督の対応次第ですけど提督は受け入れないと思います

整合性については申し訳ありません
自分なりに取れているつもりだったのですが、完全に私の力不足です

このSSは
プロローグ "おかしくなった提督の妄想"

一部 "取り返す"
起 実はNTRれておかしくなっていた提督
承 おかしくなった提督と健気なプリンツ
転 提督が正気に戻る
結 ビスマルクを取り返す

二部 "二人と提督"
起 無事に取り戻した提督とプリンツの略奪決意
承 徐々に関係を進展させるプリンツと悩みつつもビスマルクを選ぶ提督
転 極限状態に加え選ばれなかったプリンツが強引に迫って関係を持ってしまう
結 提督の決断

エピローグ"その後"

って感じでした

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年12月22日 (木) 21:39:34   ID: F2XGK0mQ

プリンツも寝取られそうやな

2 :  SS好きの774さん   2016年12月26日 (月) 12:34:01   ID: ME0rzQT9

提督クズやんか

3 :  SS好きの774さん   2016年12月30日 (金) 04:29:54   ID: PP9eNG3Z

あんだけの事があって、それを引きずったなら普通は行為に及ぶ際、寝取られた現場がフラッシュバックして不能、もしくはそれに近い状態に普通はなる。
まあ、やっぱ創作の中のキャラだからな。

4 :  SS好きの774さん   2016年12月31日 (土) 03:54:43   ID: U21RX_qT

プリンツに激しく萌えた
プリンツ寝とられだけは勘弁してください…何でもしまかぜ…

5 :  SS好きの774さん   2017年01月06日 (金) 12:15:58   ID: Skv8tRno

いちいち蒸し返すくらいなら最初から格好つけんなよ
俺ならその場で二人もろとも処分するわ

ち○ぽに勝てないとかアホらしい...辞めたら?艦娘

6 :  SS好きの774さん   2017年01月20日 (金) 00:55:19   ID: 0bq3PTsw

オレは好きだよ ハッピーエンド どんな形であれよかったよかった

7 :  SS好きの774さん   2017年01月22日 (日) 18:43:54   ID: PCYpQewD

ベストエンドだと思う。ここまで読んできてよかった!

8 :  SS好きの774さん   2017年01月25日 (水) 17:46:15   ID: LxDrEFCk

ビスマルクが最後までニナパープルトンみたいで気持ち悪かった

9 :  SS好きの774さん   2017年03月30日 (木) 09:59:44   ID: yorROfGu

提督が鬱陶しいとしか思わなかった
後半はつまらなくて適当に読んでしまった

10 :  SS好きの774さん   2017年05月31日 (水) 02:39:22   ID: zZc7o_4-

そんな簡単に割り切れる事でもなかろうに。
それよりありえた未来の話はまだですか‥

11 :  SS好きの774さん   2017年06月08日 (木) 00:35:00   ID: xGIzuR-t

オイゲンが幸せなら何でもいいさ。

12 :  SS好きの774さん   2019年02月12日 (火) 04:03:05   ID: RArUYlFK

ここまで話を組み上げたのは才能の塊だと思うけどなぁ……。
面白かったよ、本当に。

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