金髪女「せーんせ」ギュッ 先生「ひぃっ!」 (36)

※百合です。苦手な方は読まないほうがいいです。
 それでもよい方は、どうぞ。









11月上旬



~夜道~


金髪女「ひひっ、今帰り?」

先生「びびびびっくりさせないでください!」

金髪女「いやー、歩いてるの発見しちゃったからさ」

先生「夜道でいきなり抱きつくのはどうかと思いますが……」

金髪女「いいじゃん。ウチも先生も女同士なんだから」

先生「そういう問題じゃ……」

金髪女「ひひっ。……って、あー! 先生またコンビニ弁当買ってる!」

先生「う……」

金髪女「コンビニ弁当ばっかり食べてたら、体に悪いんだよ!」

先生「疲れちゃって、作る元気が無いんです……」

金髪女「ふーん。先生、ウチ達に規則正しいご飯食べろってうるさかったのに」


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先生「お、大人はそう簡単にいかないんです!」

金髪女「えー、大人だからきっちり出来るんじゃないのー?」

先生「う、うぅ……ぐうぅ……」

金髪女「ひひっ、冗談だよ! 先生が忙しいの知ってるって!」

先生「忙しいといいますか、悩みの原因の大半が、貴女みたいな生徒のせいですけどね」

金髪女「えー、ウチみたいな良い子が先生の手を煩わせるなんてしてないよー」

先生「どの口がそんな言葉を……」

金髪女「ひひっ。先生、ぶっちゃけウチが卒業して寂しかったでしょ?」

先生「そうですねー。貴女が卒業してから、少し静かになりましたね」

金髪女「だと思って、こうして週二日以上は会いに来てあげてるけどね」

先生「……あはは」

金髪女「今日はお鍋の材料持ってきたんだよ。作ってあげるから一緒に食べよ?」

先生「お鍋!」

金髪女「しかも、先生の大好きな肉団子いっぱい作ってきたよ」

先生「に、肉団子……」ゴクッ

金髪女「先生の好きな餅入りとか、柚子入りとか」

先生「……」グゥ~

金髪女「ひひっ、早く帰ってつくろーね」

~先生家~



先生「な、何か手伝うことはありますか?」

金髪女「んー、とくにないよー。先生は風呂でも入っててよ」

先生「で、ですが……」

金髪女「いいって。いつも言ってんじゃん。ウチは先生に作ってあげたいの」

先生「でも……いつも作ってもらってばかりで申し訳ないといいますか」

金髪女「んー、だったらさー」

先生「はい! 何ですか? 何します?」

金髪女「今晩も泊まるからさ、そん時に一緒の布団で寝ようよ」

先生「へ?」

金髪女「今日寒いじゃん? ちょうど先生がいい抱き枕になりそーって思って」

先生「抱き枕……ですか?」

金髪女「ひひっ。やっぱ……ダメ?」

先生「はあ……いいですけど」

金髪女「うぇっ!? マジで!?」

先生「ふふっ。一緒に寝たいなんて、金髪女さんって意外と子供っぽかったんですね」

金髪女「お、おぉ……。やっぱ鈍いな……」

先生「へ?」

金髪女「先生が彼氏作れない理由、なんとなくわかったかな」

先生「ふええ!? か、彼氏がいないのは私の勝手です!」

金髪女「ひひっ。先生まだまだ若いんだから、焦らなくてもいいよ」

先生「ふんっ、金髪女さんだって彼氏いないんでしょ」

金髪女「んー、ウチには先生がいるから、彼氏なんていらないし」

先生「あらら、そんなこと言って、彼氏できないの私のせいにしちゃダメですよ」

金髪女「……ひひっ。全部先生のせいだもーん」

先生「ところで本当に手伝い、いらないんですか?」

金髪女「うん。いいよ。先生疲れてるでしょ。それに、下ごしらえは家でやってきたし。あとは仕上げだけ」

先生「それじゃあ、お言葉に甘えましょうか……」

金髪女「でも、さっきの約束忘れないでよ」

先生「分かってますよ。一緒に寝るんですよね」

金髪女「ひひっ。分かってるね」







~3時間後~


先生「ごちそうさまです」

金髪女「ふいー、食べた食べた」ゲフッ

先生「こら、汚いですよ。女の子なんですから」

金髪女「ひひっ、先生しかいないから別にいいもーん」

先生「まったく……」

金髪女「んー、せんせー」ギュッ

先生「うん? なんですかー?」

金髪女「先生暖かいなぁーって」

先生「ふふっ。金髪女さんも暖かいですよ」

金髪女「んー。むふふ」

先生「本当にどうしたんですか? 今日はいつもより甘えんぼといいますか」

金髪女「……別になんもないもん」

先生「まったく……これでも貴女の担任だったんですよ? 隠し事なんてお見通しですよ」

金髪女「……昨日」

先生「うん」

金髪女「親に反対された……」

先生「反対?」

金髪女「……大学」

先生「うん?」

金髪女「教育大学行って、教師になりたいって……でもダメだって……無駄だって」

先生「……」

金髪女「確かにウチ頭悪いよ……でも……っ」

先生「……教師に、なりたいんですね」

金髪女「先生みたいに、なりたくて」

先生「あはは、なんだか恥ずかしいですね」

金髪女「……でも、なれない……」ギュッ

先生「諦めちゃうんですか?」

金髪女「……諦めたくないよ。やっと夢……見つけたんだもん」

先生「金髪女さん……」

金髪女「……グスッ」

先生「……今だから言っちゃいましょうか」

金髪女「え?」

先生「私、金髪女さんのこと嫌いでした」

金髪女「……へ?」

先生「あ! ご、誤解しないでくださいね! 今は大好きですよ! 大切な人です!」

金髪女「っ……! う、ウチも……好きだもん……」

先生「まぁ、嫌いといいますか……怖かった、ですね」

金髪女「言うこと聞かなかったから?」

先生「それもありますけど、一番怖かったのは……目が怖かった」

金髪女「……」

先生「何してもいい、周りの人に迷惑や危害を加えても、どうとも思わない……そんな目が」

金髪女「……あの時は……ね」

先生「金髪女さんの友達も皆そんな目をしてて、余計に怖かったですね」

金髪女「アイツらは……まぁ、ウチと同類だし。だからダチになったんだもん」

先生「担任を任されたとき、正直逃げたかったです。」

金髪女「……ウチも先生のこと、最初はウザかったと思ってたし」

先生「知ってますよ。面と向かって言われちゃいましたし」

金髪女「先生泣きそうな顔してた」

先生「家に帰って泣きました」

金髪女「マジで……? ごめん」

先生「でも、やっぱり逃げたくなかった。きちんと向き合いたかった」

金髪女「うん、知ってる。先生、ウチらのこと最後まで見ていてくれたもんね」

先生「……今もちゃんと、見てますよ」

金髪女「先生……?」

先生「生徒と教師の関係は、卒業してはい終わり……そんなわけありません。ずっとずっと貴女は、私の生徒です」

金髪女「……えへへ。嬉しいなぁ」

先生「だから、金髪女さんが勉強苦手なのは知っています。御両親も、そのことで大学を反対したのでしょう」

金髪女「……うん」

先生「だったら、勉強して勉強して、見返すんです」

金髪女「見返す……」

先生「これだけ賢くなったんだから無駄なんかじゃないって、言ってやるんです」

金髪女「……できるかな」

先生「できます! なんだったら私も手伝います!」

金髪女「え……先生が?」

先生「はい! 勉強でもなんでも見ますよ!」

金髪女「ちょ……先生落ち着いて! なんか変なスイッチ入ってる!」

先生「あ……ごめんなさい……」

金髪女「ひひっ。先生、熱くなったら変なキャラなるよね」

先生「ううぅ……」

金髪女「でも……嬉しい。先生がウチのこと真剣に考えてくれて」

先生「だって……大切な生徒ですから……うぅ」

金髪女「……うん。ウチ、もう一回親と話してみる」

先生「だ、だったら私も一緒に行きましょうか!?」

金髪女「いらない! 先生来たらややこしくなる!」

先生「うぅ……すみません」

金髪女「でも、ありがと。元気出た」

先生「えへへ、よかったです」

金髪女「ねぇ、そろそろ片付けしよっか」

先生「あ、そうですね。片付けは私がしますから、金髪女さんはお風呂入ってくださいね」

金髪女「んー、はいはい。甘えよっかな」

先生「どうぞどうぞ」









~風呂場~


金髪女「ーーーっぁはぁぁ……いい湯だ」

金髪女「……なんて、おやじクサ」

金髪女「ホントは先生と一緒に入りたかった……なんてね」

金髪女「そんなこと言える勇気なんて無いっての」

金髪女「一緒に寝よって言うのだって緊張したっての」

金髪女「……あ、そっか今日一緒に寝るんだ」

金髪女「やっべ。顔赤くなるじゃん」

金髪女「それに先生、豆電球点けないと寝れないから、ニヤニヤしてるのバレるじゃん」

金髪女「気持ち悪いって思われないかな……ドン引きとか言われたら、もう死ぬしかないじゃん」

金髪女「でも、今日は抱きつき放題じゃん。匂い嗅ぎ放題じゃん」

金髪女「……ってか、今思ったらこの湯、先生入った後の湯なんだよね」

金髪女「……っ」ゾクゾク

金髪女「って、ウチは変態かよ!!」

金髪女「あー……ホントに最近ヤバイかも」

金髪女「気持ちが抑えらんないもん」

金髪女「先生に彼氏なんかできたら……」

金髪女「……先生」

金髪女「ウチのこと……嫌いにならないよね」






~リビング~


金髪女「ういーっす。風呂、出た……よ?」



先生「もう、だから悩まないでください。私がいつでも相談にのりますよ」

先生「うん、うん。ふふっ、よかった、元気な声になりましたね」

先生「これくらい学校でも素直だったら、私苦労しないんですけどね」

先生「あら、そんなこと言いますか。ふふっ、休み明けのテスト難しくしちゃいましょうかね」

先生「謝っても遅いですよー。ふふふ、怒っちゃいましたからね」

先生「あはは、楽しみにしておきますね。うん、うん、はーい」

先生「いいですよ、いつでも電話してください。はい、おやすみなさい」

先生「……ふう」ピッ




先生「あ、金髪女さん上がったんですね。お風呂上りのデザートなんてどうですか?」

金髪女「あ……うん……もらう」

先生「今日買ったんですよ。じゃーん、シュークリーム!」

金髪女「あ、駅前の行列のできるヤツだ」

先生「えへへ、仕事終わりでしたけど並んじゃいました」

金髪女「そう……なんだ……」

先生「ん? どうかしました? ボーっとしちゃってますよ?」

金髪女「あ……いや、何でも……それより、さ」

先生「うん?」

金髪女「さっきの電話、誰だったの?」

先生「あぁ、今担任を受け持ってるクラスの生徒です」

金髪女「ふ、ふーん」チクッ

先生「入学してからずっと1人でいて、無表情で、自分の心に閉じこもっちゃってる女の子だったんです」

金髪女「心に閉じこもってる……か。何か昔のウチと似てるかも」

先生「そうですね、言われてみれば少し似ているのかもしれません」

金髪女「……で、その子、先生にだけ心開いてくれたの?」

先生「そう……ですね。今はまだ、私としか上手く話せません……でも、気にかけてくれる子がクラスに何人もいます」

金髪女「……」

先生「きっと、すぐに友達ができるようになります!」

金髪女「……うん、そうだね、きっと」

先生「えへへ、すみません、何だか熱くなっちゃいました」

金髪女「先生って熱くなったらカッコよくなるよね」

先生「そ、そんなカッコいいなんて……照れてしまいます」

金髪女「ひひっ、今は顔が真っ赤で可愛い」

先生「からかわないで下さい! もう……」

金髪女「ひひひ、んじゃシュークリームいっただきまーす」

先生「あ、ココア飲みます?」

金髪女「うん、飲む! ありがと」モグモグ





~1時間後~


寝室



先生「じゃあ、電気消しますよ」

金髪女「う、うん」ドキドキ

先生「ふふっ、一緒のお布団で寝るなんて何だか恥ずかしいですね」

金髪女「ウチも……」

先生「今日の金髪女さんは甘えんぼさんですから、いっぱい甘えてもいいんですよ?」

金髪女「え……あ、うん……」ドキドキ

先生「ふふ、ほら、抱き枕なんですから、抱き着いてもいいですよー、なんて……」

金髪女「っ……せんせぇ……」ギュッ

先生「……ぁ」

金髪女「暖かい……先生……」ギュゥゥ

先生「あ、ありがとうございます……」ドキドキ

金髪女「んふふふ……先生ぇ……」ギュゥゥゥ

先生「あらあら……本当に、金髪女さんが高校生だなんて信じれませんね」

金髪女「……ウチ、ずっと先生の生徒がいい」

先生「金髪女さんは、いつでも私の生徒ですよ?」

金髪女「そうじゃなくて……ううん、何でもない」ギュゥ

先生「ふふっ、今日の金髪女さんは可愛いですね」ナデナデ

金髪女「っ……」ドキドキ

先生「でも、いつまでも私にばっかり甘えてたらダメですよー」

金髪女「……なんで?」

先生「いつか好きな人ができて、その人に思いっきり甘えなきゃですよ」

金髪女「……好きな人、か」

先生「んふふ、楽しみですね。金髪女さんの恋人がどんな人か」

金髪女「……先生は、誰か好きな人とかいないの?」

先生「んー、恋愛という意味の好きな人は、いませんね。というか、今まで無縁でしたから……」

金髪女「え、先生ってやっぱり、そーいう経験無いの?」

先生「う……」

金髪女「へぇーへぇー」ニヤニヤ

先生「いいんです! これから素敵な出会いがあるんです!」

金髪女「ひひっ、大丈夫だよ。ウチもまだそういうの経験無いし」

先生「当たり前です。不純なのはいけません。大人になってからです」

金髪女「んー、それもちょっと古いよ先生」

先生「いいんです! まったく、おませさんなんですから」

金髪女「……ねぇ、先生ってもしかしてキスもまだだったり?」

先生「……この会話の流れから察してくれないんですか?」

金髪女「恥ずかしがらなくてもいいじゃん。ウチもしたことないし」

先生「うぅ……あ、ありますよ、キスくらい、し、したことありますよ」

金髪女「え……うそ……誰と?」


先生「だ、誰でもいいじゃないですか!」

金髪女「女性? 男性? どっち?」

先生「だ、男性ですよ、も、もちろん」

金髪女「何歳の時?」

先生「も、もういいじゃないですか! ね、やめましょう?」

先生(本当は、実家で飼ってる猫とキスしたなんて……言えないよぉ……ひぃぃん……)

金髪女「……うん、わかった、やめる」

先生「そうですか」ホッ

金髪女「その代わり、キスってどんなのか教えてよ」

先生「へ……」

金髪女「ウチ、知りたいなぁ。どんな感触で、どんな気持ちになるか……ね?」

先生「えっと……それは」

金髪女「説明できないの?」

先生「あ……え……ざ、ザラザラしてた……?」

金髪女「ザラザラ? なんか、まるで猫か犬みたいな人だね」クスクス

先生「うぐ……」ドキッ

金髪女「ねぇ、せんせー。練習してもいい?」

先生「練習?」

金髪女「先生、キスして」

先生「な、ななな!?」

金髪女「いざ本番の時に焦りたくないから、練習したいの、ね? ダメ?」

先生「ダメに決まってるでしょ!」

金髪女「えー、キスの授業してよー。経験、したことあるんでしょ?」

先生「う……うぅ……ごめんなさい……嘘です。したことありません……」

金髪女「うん。知ってた。だから、意地悪したんだよ、ひひひ」

先生「うぅ……」

金髪女「……でも、初キスの相手が先生だったら、すごく嬉しいな」

先生「え……?」

金髪女「先生は、ウチが初キスの相手だったら……嫌かな?」

先生「金髪女さん……?」

金髪女「……ひひっ、冗談じゃん。本気にしちゃった?」

先生「なっ!? また私をからかいましたね!」

金髪女「ひひひ」


先生「まったく……早く寝ますよ!」

金髪女「あぁん、待ってまだ眠たくないー」

先生「良い子は寝る時間です」

金髪女「えー、別に明日何も無いんだから夜更かししよーよ」

先生「んー……そうだ、明日私も休みですし、暇でしたらどこか行きませんか?」

金髪女「行く! 映画行きたい! あ、それとケーキバイキング!」

先生「いいですよー」

金髪女「えへへー、デートだ」

先生「あら、男性と遊びに行くのがデートなんですよ。私と行ってもデートになりませんよ」

金髪女「……先生って、クソマジメだよね」

先生「く、クソッ……!?」ガーン

金髪女「ウチがデートって言ったらデートなの!」

先生「うぅ……はい」

金髪女「映画はあれ観たい、この前公開した宇宙人のやつ!」

先生「あぁ、あれですね。わかりました」

金髪女「えへへ……明日が楽しみだなぁ」

先生「そういうことですから、早く寝ましょうね」

金髪女「うん!」ギュッ

先生「ふふっ、暖かいですね」

金髪女「……うん、暖かい……」

先生「おやすみなさい、金髪女さん」

金髪女「おやすみ……先生……」






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~2年前~


12月中旬。
雪がチラチラと降る夜。



金髪女「え、ちょっ、どこ行く気……?」

男「どこって、今さら聞くかな。いいことしようよ」

金髪女「約束が違うじゃん! ホテルは行かないて……!!」

男「いいじゃない。ご飯食べて買い物して2万だけじゃ、君も満足しないでしょ?」

金髪女「いや……でも……そんなのしたことないし……こんなのも初めてだし……」

男「だったら、本番はしないから、ね? 後、5万は追加するから」

金髪女「い、いや……だ。帰りたい……」

男「……あのさぁ、ここまで来てそりゃないでしょ」

金髪女「でも……約束……」ビクビク

男「あぁ!?」

金髪女「ひっ!?」

男「ほら、もう戻れないよ。どうせその気だったんでしょ?」

金髪女「ちが……ぅ……」

男「いつまでもガタガタ言うの止めてね。いい加減イラつくよ?」

金髪女「っ……」

男「よしよし、いい子だね。ほら、怖いのって最初だけだから」

金髪女「……っ……助けて……先生……」


金髪女(なんで……なんで、こんな時にあの人の顔が思い浮かんだんだろ……)

金髪女(いつもウチに絡んできて、ウザかったんじゃなかったの……)

金髪女(なんでこんなに……あの人の声が顔が……頭から離れないの……)

金髪女(なんで……なんで……)

金髪女「…………先生……っ」




先生「金髪女さぁぁん!!!」




男「あん?」

金髪女「え……」

先生「やっと……やっと見つけた……ハァハァ」

男「えっと……誰?」

先生「ほら、帰りますよ。こんな時間に外を出歩いてはいけません」

金髪女「せん……せぇ」

男「え、先生?」

先生「すみません。その子に触らないでもらえますか」

男「いや、えっと……これは……」

先生「それとも……警察、行きますか?」

男「あ……え……でもそれは……貴女も困るんじゃ……」

先生「はい?」

男「ほら……その子も、いろいろ問題になったり?」

先生「だったら、なんですか。この子が苦しむことになるなら、私が全てをかけてこの子を守ります」

金髪女「……せんせぇ」

先生「貴方みたいな人間から、私はこの子を守る。たとえ私がどうなってもいい……それが私の、この子にできることだから」

男「わ、わかった……その子には何もしてない、だから、警察は……」

先生「……貴方がこの子にいくら払ったか知りませんが……お返しします。10万ですか、100万ですか?」

男「に、2万……です……」

先生「それでしたら2万お返しします。それと、もう二度とこの子の目の前に現れないで下さい」

男「は、はい……!」

先生「この子の人生を、そんな汚い金で壊させません。消えてください」

男「言われなくても消えるよ……! くそっ……」

先生「……」

金髪女「……先生?」

先生「……っバカ!!」ギュゥゥ

金髪女「わっ……ふ!?」

先生「バカバカ……本当に……バカ……!」ギュゥゥゥゥ

金髪女「っ……先生……痛いよ……っぅ」

先生「もう二度と、こんなことしないでください……」

金髪女「……うん……うん……」

先生「よかった……無事でよかった……」

金髪女「先生ぇ……せん……せぇ……ぅぅえぇええん」

先生「もう……本当にバカなんですから……心配させないでください……。貴女は私の大切な生徒なんですから」

金髪女「ぅええぇえぇえっ……っっひく……ぅぅえぇえ……」



先生「……帰りましょう、ね」

金髪女「っぅん……ぅん……ヒック……っ」

先生「家まで送りますね」

金髪女「……やだ、こんな泣き顔で帰りたくない……先生の家に行く」

先生「ぇえ!?」

金髪女「……ダメ?」

先生「だ、ダメも何も貴女には帰る家があって……え、でも帰りたくないって……!?」

金髪女「……ウチのこと大切じゃないの……?」

先生「ぅ……親御さんに連絡させてください……」

金髪女「そんなのいらないのに……」

先生「いいから連絡させてください!」

金髪女「……うん」

先生「あぁ……親御さんに何て言おう……あぁ……」

金髪女「……えへへ」




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~現在~




金髪女「っは……夢……」

金髪女「昔の事を、夢で本当に見れるんだ……すげぇ」

金髪女(……たしか、あれがきっかけで先生のこと好きになっていったんだっけ)

金髪女(ウチのこと……守ってくれるって……言ってくれたんだよね)

金髪女「えへ、うえへえへへへ」

金髪女「あれ、そういえば先生は……? 一緒に寝てたよね?」

金髪女「せーんせー?」


先生「あぁ、やっと起きたんですね」

金髪女「せんせー、おはー。おほっ、エプロン姿とか先生可愛すぎだよー」

先生「朝ごはん作っていたんです。まったく、もう8時ですよ」

金髪女「え、休日の8時とか早起きすぎ」

先生「早寝早起きです。まったく金髪女さんったら……」

金髪女「今日の朝ごはん何ー?」

先生「話し聞いてないですね……。今日は、金髪女さんの好きなホットケーキですよ」

金髪女「やった! あの美味しいチョコソースある?」

先生「ありますよー」

金髪女「ひひひ、やったね」

先生「顔洗ってきましょうね」

金髪女「うん!」

先生「ふふふ」



ピンポーン♪



金髪女「あれ? 誰か来たよ?」

先生「何でしょう。こんな朝早くから」

金髪女「居留守したらー」

先生「こらこら、いけません。ちょっと出てきますから、早く顔洗ってきなさい」

金髪女「はーい。あ、扉開ける前に、誰が来たか確認したほうがいいよ」

先生「知ってます!」





~玄関~


先生「はーい。どちらさまですかー」

「……1年3組の、黒髪少女です」

先生「え!? 黒髪さん?」


ガチャ


黒髪少女「……おはようございます、先生」ニコッ

先生「お、おはようございます……。朝早くに、どうしたんですか?」

黒髪少女「すみません、何の連絡も無しに来てしまって……どうしても、ここに来て確認したいことがありまして」

先生「確認?」




金髪女「せんせー、結局誰だった……の……?」

黒髪少女「……」ギロッ

金髪女「え、誰?」

先生「あ、この子は」

黒髪少女「先生が担任を受け持つ、1年3組・黒髪少女です。【今の】先生の生徒です」

金髪女「あん?」

先生「え? え? あ、えっと……ほら、この子は昨日、話した子です」

金髪女「あぁ、この子がね……ふーん」

先生「えっと……黒髪さん、この人が」

金髪女「先生が【初めて】受け持ったクラスの生徒、金髪女」

黒髪少女「えぇ、よく知っていますよ。先生からよく話を聞いてますから」

金髪女「え!? ウチの話してるの!?」

先生「わー! わー! 黒髪さん、その話はダメー!」

黒髪少女「クスッ……すみません。【2人だけ】の秘密ですね」

金髪女「……」イラッ

黒髪少女「……ふふっ」

先生「そ、それより確認って何だったんですか?」

黒髪少女「えぇ、確認しときたかったんです。もう、終わりましたよ」

先生「え? え?」

黒髪少女「声がしたから、気になっていましたが……」

金髪女「……」

黒髪少女「貴女とは、少し仲良くなれそうですね」

金髪女「遠慮しとくかな、ウチ年下って苦手なんだよね」

黒髪少女「ふふっ……。それでは、失礼します。朝早くに申し訳ありませんでした」

先生「え、もう帰るんですか? 家でゆっくりしていきませんか?」

黒髪少女「先生のお誘いは嬉しいのですが、迎えが待っていますから」

先生「そうですか……。では、また明後日学校で会いましょう」

黒髪少女「はい。休み明けのテスト、頑張りますね」

先生「ふふっ、はーい」

黒髪少女「それでは、金髪女さんも、またどこかで」

金髪女「へーいへーい」

黒髪少女「では、失礼します」

金髪女「……ねぇ、先生」

先生「はい?」

金髪女「やっぱり、あの子とウチ、少しだけ似てた」

先生「え? え?」

金髪女「【嘘つき】なとことか……とくに」

先生「どういうことですか? ねぇ、金髪女さん?」

金髪女「さぁて、ホットケーキ食べよー!」

先生「教えてくださいよー!」

金髪女「あの子にウチのこと、どんな風に話したか教えてくれたらね」

先生「そ、それはできません!!」





~END~

おしまいです!
ありがとうございました!

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