ディオ「君はジョナサン・ジョースターだね?」 (153)
ダリオ『ディオッ! おれが死んだらジョースター家に行けッ』
ダリオ『おまえは、頭がいいッ! 誰にも負けねえ一番の金持ちになれよッ』クワッ
ディオ(醜く、ズル賢こく、あげく母に苦労をかけさせて死なせた最低の父親だった)
ディオ(一番の金持ちになれだって?)
ディオ(ふさけるな! ぼくが求めているものはそんなものではない!)
ディオ(あなたの『遺産』は受け取ろう)
ディオ(だが、思いどおりには決してならない……)
ディオ(どんな未来が待ち受けていようと、ぼくは気高く生きてやる!)
ディオ(ジョースターの家に迷惑をかけないよう、誰よりも立派な紳士になるッ!)
ディオ「さようなら、父さん…………」
ゴオォ―――ッ
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少年A「イエ――!」グルグル グル
エリナ「かえしてッ! かえしてッ! お人形の手がとれちゃうゥ!!」
少年A「おい、エリナ! このまま人形の服を脱がせてやるぜッ!」
少年B「あそこが本物と同じかどうか見てやるッ!」
ジョナサン「やめろォ!」
少年A「あン?」
ジョナサン「人形をかえしてやるんだッ!」ダァッ
少年B「なんだ!?」
ドガァァ――ン
少年A「この野郎ッ、女の子の前だからってカッコつけやがって……やっつけてやるッ」
ガシィィィン
ジョナサン「ギャッ」
少年B「なんでェ~~、こいつてんで弱いぞッ!」
少年A「ギャハハハハ、助けに入って逆にやれてやがる! おいッ、こいつ誰か知ってるか?」
少年B「知らないね! まさかジョースター家の一人息子じゃあねえだろーな!!」
ジョナサン「うう…」スッ
少年A「あっ……そのハンカチはッ」
少年B「こいつッ、やっぱりジョースター家の一人息子だッ!」
少年A「この野郎お高くとまるんじゃあねェーぜ!」ドガボガ バッ
少年B「思い知れ!」ガス ガスッ
ジョナサン「うっ…くッ」
少年B「金持ちはてめーの敷地内で遊びやがれ!」
少年A「行こーぜ!」
エリナ「あ、あの……」
ジョナサン「ほっといてくれ……ぼくは君に感謝されたくって向かっていったんじゃあないんだッ」
ジョナサン「ぼくが紳士だから助けたんだ……君が女の子で困っていたから助けたんだ……」
ジョナサン「例え負けるとわかっていても、紳士は戦わなくてはならない時があるから助けたんだ」ザッ
ジョナサン「あいつら……思いっきり殴りやがって…………」ボソッ
エリナ「……」
エリナ「……」
エリナ「……」ハッ
エリナ「このハンカチ…………ジョナサン・ジョースター」
少年A「……」コソ
少年B「……」コソコソ
ジョナサン「おい」
少年A「へへ、やったなジョジョ! もうエリナはきみにゾッコンだッ!」
少年B「これで賭けはジョジョの勝ちだぜェ」
ジョナサン「それは結構だがおまえたち、少し強くなぐりすぎだ……見ろ、血がでてる」
少年A「す、すまないジョジョ……だけど、へたに加減して演技だってバレちゃ困るだろ?」エヘ エヘ
ジョナサン「わかってるさ……だから」
ドッガァァ――ン
グシャァッ
少年A「うえぇぇ」
少年B「げえぇ」
ジョナサン「一発ずつでゆるしてやる」
ジョナサン(しかしエリナ……なかなか可愛い娘だったな)
ジョナサン(バカどもから金をまき上げたらそのまま捨てようと思ったが、ちともったい無いか)
ジョナサン「決めたぞ」
ジョナサン「エリナ・ペンドルトンはこのジョジョがいただく」バ――ン
少年A「な、なんだって~~~ッ」
少年B「本気なのかいジョジョ!?」
ジョナサン「もちろん本気さ」
少年A「みんなから『なにマジになってんだよゥ』ってからかわれちまうぜッ!」
ジョナサン「好きに言わせておけばいいさ」
ジョナサン「大体“誰が一番に落とせるか”なんてゲームは相手が不細工面か……」
ジョナサン「ちょっかいだしたくなる程の美人じゃないとやろうと思わない……そしてエリナは不細工ではない」
ジョナサン「他のヤツらだって照れ隠ししているだけであわよくば……なんて思っているはずだぜ」
ジョナサン「だからこそぼくが最短でうばい取るッ!!」
少年A「さすがジョジョ! おれたちが言えなかった事を平然と言ってのけるッ」
少年B「そこにシビれる! あこがれるゥ!」
ジョナサン「すでに種はまかれている……あとは収穫できる時をまつだけでいい」
少年A「お、おいジョジョ、どこへ行くんだいッ」
ジョナサン「家に帰るんだよ」
ジョナサン「今日は新しい『家族』が来るからね、そろそろ戻らないといけないのさ」
少年B「またな――、ジョジョ―ッ」
ジョナサン「……」
ジョナサン(『家族』……か)
ジョナサン(父さんは命の恩人の息子だと言っていたが、冗談じゃない)
ジョナサン(ジョースターの家はぼくのものだッ! その恩人の息子とやらは徹底的に叩き潰してやる)
ジョナサン「うん?」
オクッテイタダキアリガトウゴザイマシタ
コレハコレハ、ゴテイネイニ…
ジョナサン「そうか、あいつが……そこの君」
ディオ「あッ」ハッ
ディオ「君はジョナサン・ジョースターだね?」
ジョナサン「そういう君はディオ・ブランドー」
ジョナサン「みんなからはジョジョって呼ばれている、君もそう呼んでくれてかまわない」
ディオ「ではジョジョ、これからよろしく」スッ
ジョナサン「……」
ディオ「?」
ジョナサン「ああ、こちらこそよろしく……それと」ピィ――――
ダニー「ワンワン、ワン、ハッハッ、ハッハッハッ」
ジョナサン「飼い犬のダニーだ、仲良くしてやってくれ」
ディオ「すまないジョジョ……ぼくは犬が苦手なんだ…………その、あまり近寄らせないでくれないか」
ジョナサン「それはいけないッ、君はこれからこのダニーとも一緒に暮らすんだぜ?」
ディオ「うぅ、そう言われても」
ジョナサン「だいじょうぶ、利巧な犬さ。 自分から歩み寄ればすぐ仲よしになれる……さ」
ディオ「君がそこまで言うなら……ダニーこれからよろしくな」
ジョナサン「ダニー」ニヤッ
ダニー「バゥッ」ガブッ
ディオ「う、うおあぁぁぁぁぁぁっ! 何をするだァーッ! 止めさせてくれッ」
ジョナサン(こいつがクソのようなブランドー家のひとり息子、ディオか!)
ジョナサン(精神的にとことん追いつめ、しっかりと上下関係というやつを仕込んでやる!)
ジョージ「ようこそディオくん! 君は今からわたしたちの家族だ」
ジョージ「わたしの息子ジョジョと同じように生活してくれたまえ」
ディオ「…ジョースター卿、御好意大変感謝いたします」ペコリ
ジョージ「ジョジョも母親を亡くしている……それに同い年だ、仲良くしてやってくれたまえ」
ジョージ「それとディオくん、改めてダニーの事はすまなかったね」
ディオ「いえ…………アマガミをぼくが必要以上に怖がり、暴れてしまったせいだと思いますので」
ジョージ「手当済みとはいえ、荷物を持つには大変だろう……ジョジョ代わりに運んであげなさい」
ジョナサン「はい、父さん」
ジョージ「来たまえディオくん、君の部屋に案内しよう!」
ディオ「すまないがジョジョ、よろしくたのむよ」
ジョナサン「待てよ」ガシィッ
ディオ「うあぁ! ……う……う!!」ギリギリ
ジョナサン「何してんだ? 自分のカバンは自分で持って行けよ」
ディオ「え!?」
ジョナサン「この、こぎたないカバンを自分で持って行け! と言ったんだ、マヌケがッ!!」
ディオ「さっき君は持って行ってくれるって…………」
ジョナサン「ケガは自分のせいだと君が自分で言ったんだ!」グイ
ジョナサン「だったら、荷物を人に押し付けてるんじゃあないぜ!」クル!
ズンッ
ディオ「くげッ! …………ぐぐぐ」
ジョナサン「いいか! ディオ、最初に言っておく!」
ジョナサン「これから君はこの家に住むと事になったからといって、ぼくと対等だと思うなよな」
ジョナサン「君はあくまでジョースター家に転がり込んできた牛のクソだ!」
ジョナサン「ぼくの前でイバらせはしないッ!」
ディオ「そんな…ぼくはただ仲よくしたいだけで」
ジョナサン「もうひとつ! ぼくはグズが嫌いだ!」
ジョナサン「日々安穏と生きているだけの人間には虫酸が走るのだ!」
ジョナサン「この家で暮らしていくつもりなら、しっかりと品格を身につけろよな」バッ
ジョージ「ふたりとも何をしておるのだ? 早く来なさい」
ジョナサン「ハイ、父さん……ディオがカバンを自分で運ぶときかなくて」トントントン
ディオ「…………」
ディオの新生活は期待とは裏腹に、厳しいものとなっていった
ジョージ「またまちがいだぞ、ディオ……6度目、同じ基本的なまちがいなのに6回も、だ」
ディオ「う、うぅ、すみません」
ジョナサン「仕方がないよ父さん、今やっている勉強は彼が独学で学んだものよりずっと難しいんだ」
ディオ「…ジョジョ」パァ
ジョナサン「しかし何度もミスをってのは問題だ…ディオは少し緊張感をもった方がいいかもしれないね」
ジョナサン「一度まちがう度にムチでぶっていく―――と、いうのはどうかな?」
ディオ「ジョジョ!?」
ジョージ「ジョジョ、いくらなんでもそれは……」
ジョナサン「もちろんぼくもぶってくれてかまわない……いや、ぼくはディオの10倍ぶってくれ」
ディオ「ジョジョ……きみは……!」
ジョージ「ジョジョ、ディオのためにそれ程までッ」
ジョージ「わたしも心を鬼にし、ジョジョの『覚悟』に答えよう! ディオ、まずは1回だ」バチン
ディオ「ギャッ!!」
ジョナサン「……」ニヤリ
ディオ「ムシャムシャ、ムシャ、パクバク、ズルベチャ、」
ディオ「あ!」ガシャ!
ジョージ「ディオ、もう少しおちついて食べなさい」
ディオ「す、すみませんジョースター卿……ゆっくり食べるということになれていなくて……」
ジョージ「はっはっは、誰もとったりはせんよ」
ジョナサン「御馳走様」ガタッ
ディオ「!」
ジョージ「ジョジョ、まだ残っているがもういいのか?」
ジョナサン「父さんには悪いけど今のディオとは一緒に食事をとれそうにないからね……このまま失礼するよ」
ディオ「ジョジョ……」
ジョージ「ジョジョは人一倍作法を重視しているからな……」
ディオ「ぼく……明日からはもっと気をつけて食事をとります」
ジョージ「そうしてくれると助かる……なに、それほど難しいことではないさ」
ジョナサン「フフフ」
ジョージ「またまちがいだぞッ、ディオ!」バチン
ディオ「ウグッ!」
・
・
・
ディオ「ハァ……ハァ……」チラ
ジョナサン「……」ジー
ディオ「……うう」カチャ カチャ
ジョナサン(フフフ、ディオのやつかなりまいっているな)
ジョナサン(勉強で心身ともに疲弊し、食事の時でさえくつろぐ事を許されない……)
ジョナサン(やつは今、日常をぼくという『恐怖』に支配されている)
ジョナサン(『詰み』まではあと少しといったところか)
ディオ「あッ」ガシャ!
ジョナサン「フン! マヌケが」
レフェリー「つづいての試合は、みなさんお待たせしました……チャンピョン、ジョナサン・ジョースターッ!!」
レフェリー「彼はその卓越した技巧にくわえ、最近体格もたくましくなってまいりました!」
レフェリー「そして挑戦者……」
ジョナサン「レフェリー、実は紹介したいヤツがいるんだ」ボソボソ
レフェリー「え? うんうん、なるほど」
ワ―― ピ―――
オイ、ナニヤッテンダッ! ピ―――
ハヤクリングヘハイレ! ワ―――
ディオ「?」
レフェリー「みなさん! みなさん! お静かにッ!」
レフェリー「ここにいるチャンピョンから今、新しい友人を招待したいとの申し入れがありましたッ!」
レフェリー「我われはその友人の顔と名前は知っていますが、どんな性格なのかあまり知りません!」
レフェリー「新しい友人を知るのためにも参加してもらうのもいいと思うのですが、いかがでしょうか!」
ワ―― ワ―――
イッタイダレナンダヨォ!
ワ―――
レフェリー「ディオ・ブランドーくんです!」バ――ン
ディオ「な、なんだって――ッ!!」
イイゾ、ヤラセロッ! ワ―――
ワ――― ドンナヤツナンダ?
OK!ミトメテヤルゼ! ワ―――
ディオ「ジョジョ! いったいどういうつもりなんだ!」
ジョナサン「どういうつもりもなにもそのまんまさ……まさか逃げたりはしないよな?」
ディオ「……」ゴクリ
レフェリー「みんなの了解を得た所でブランドーくん、我われのボクシングはガキの遊びじゃあない!」
レフェリー「自分自身にカネを賭けてもらうがいいね?」
ディオ「金を賭けるだって?」
ジョナサン「もちろんかまわないよな、ディオ」チャリチャリチャリ――ン
レフェリー「こ………こんなに!」
ディオ「あ、あれは! ジョースター卿からいただいた一か月分のお小遣い全部だ!」
レフェリー「ブランドーくんどうする? この額で受けて立つかい?」
ディオ(も…もし負ければ、せっかくいただいたお小遣いを全てジョジョに渡すことになる)
ディオ(そんな事になればお小遣いをくれたジョースター卿に申しわけない……でも!)
ディオ(ここでジョジョに屈してはいけない気がする!)
ディオ「ジョ…ジョ…」
ジョナサン「出しな…君の…今月分の…小遣い…を…」
レフェリー「ルールを説明しよう、顔面に一発でもくらえば負け、ノックダウンはもちろん10カウントだッ」
ディオ「よかった、そのルールならロンドンでやってて知っている……やってやる、やってやるぞッ!」バン バン
ジョナサン(ディオの顔つきが変わった!! これは少し注意した方がよそそうだ)
カァ―――ン!
ジョナサン「!」ガシィ
ディオ「!」クル
イケ――ッ、JOJO
ヨソモノモチョットハガンバレイ―ッ!
ジョナサン「まずは、小手調べッ!」バオ―ッ
ディオ(はッ、はやい! ……だけどッ)
ナンダ、アノウゴキハ!? ワ――― ワ―――
ワ――― JOJOノラッシュヲ、カミヒトエデカワシテイルゾ!
ジョナサン(こいつ思ったよりいい動きをする…………だがね! ……)ザッ
ディオ「!」
ジョナサン「よけてるだけでは勝てないぞ、ディオッ!」
ディオ(今…………だ!??)ドボォッ
レフェリー「おぉ~~っと、これは強烈なカウンターッ! 挑戦者ディオ、思わず足をとめてしまった―――ッ!」
ジョナサン(なかなか楽しめたぞディオ……お礼だ、痛みと敗北をしっかりと)
ジョナサン(味わいなッ!)ゴオオン
ベッキィッ
レフェリー「入ったァ――――ッ、勝者ジョナサン・ジョースターッ」
ジョナサン(顔面に一撃! ゲームはぼくの勝利!!)
ジョナサン(しかしまだまだ安心するなよディオ!)
ジョナサン(このままッ!!)
ジョナサン(こいつの!)
ジョナサン(顔を!)
ジョナサン(地面に…………向かって!)
ジョナサン「叩きつけるッ!」ゴギャア!
ウワアアア―――――ァッ
スゴイ! ワ―――
ワ――― サスガチャンピョン!
ディオ「う…うう」
ジョナサン「いい戦いだったディオ……しかしどうやら勝負はぼくの勝ちのようだ」
ディオ「ジョ、ジョ……」
ジョナサン「ぼ、く、の、勝、ち、だ、よ、な」ギロ
ディオ「…………あ…ああ、きみのか…ちだジョ…ジョ」
ジョナサン(フフフ、こうしてみんなの前で決定的な差を見せつけ認めさせる)
ジョナサン(ディオの中には、しっかりと敗北の烙印が刻まれたわけだ)
ジョナサン(決して敵わない『恐怖』! 縋り支えるものなどなにもない!)
ジョナサン(このまましだいにヤツの全てをはく奪し、大人になる頃には感情をなくした機械にしてやるッ!)
そこそこ書き溜めはしてるものの、先は長いので今日はこのへんで
ジョジョとディオ、どっちがどっちか間違えない様(一応)気をつけつつ完走めざしてガンバリマス
ジョルノ「このくそったれ野郎の首から下は、僕の祖父ディオブランドーの肉体なのですッッ!!」
ヴェルリキウン「「「な、何ィィーーーーーッッッ!!!」」」
うん、間違えた。祖父じゃねえわ
少年C・D・E「ワアァ―イ!!」ドタドタ ダダダ
ディオ「おーい、待ってくれ! ぼくも仲間にいれてくれよ!」
少年C「……」
少年D「おい、負け犬やろうが何か言ってるぜ」
少年E「あっちへ行けよ……一人でいると飼い主に叱られちまうぞ」
ディオ「!! ま……待て、それは一体どういう意味だッ!!」ダダッ
少年E「ヘン!」
ディオ「グァ」ゲシャ!
少年C「行こうぜ! 勝手にコイツと遊ぶとジョジョに怒られるぜ!」ケッ
少年D「行こう!」
ディオ「待ってくれ! どうしてここで彼の名前が出てくるんだ!」
ディオ「彼が君たちに何をいったっていうんだよ――――ッ!」
ディオ「ジョジョ! ジョジョ! ジョジョ!! 彼はいったい何をたくらんでいるというのだッ」
ディオ「なぜかジョジョはぼくを陥れる事ばかりしてるように感じるッ!」
ディオ「どんどん追いつめられている気分だッ! くそッ! ジョジョ!」ドッバァァン!
ダニー「ワンワン、ワン!」
ディオ「ち、ちくしょうッ……こんな犬にまでッ!」バッ
ジョージ「ディオ! いったい何をやっているんだ!!」
ディオ「ジョ、ジョ―スタ-卿……」
ジョージ「なるほど、ここでの生活がうまくいかずダニーにあたろうとしていた……というわけか」
ディオ「自分の無力さを犬相手にはらそうとしていたんです……最低です」
ジョージ「……」
ジョージ「うまくいかずダニーにあたりたくなる……ならばまず、ダニーと仲良くなってみてはどうかな?」
ディオ「ぼくが? ダニーと? 無理ですよそれはッ!」
ジョージ「おや、どうしてそう思うのかね」
ディオ「だって……ダニーはジョジョの犬です……それによく訓練もされている」
ディオ「とてもじゃありませんが、ぼくの言う事なんてききませんよ」
ジョージ「ディオ、それは無理矢理言う事をきかせようとするからだよ」
ジョージ「目線を変えてみるんだ、『ダニーにだって意志はあるんだ』と考えるんだ」
ディオ「ダニーにも意志が……?」
ジョージ「よく知らない相手といきなり仲良くなろうとしてもむずかしいものさ」
ジョージ「誰だってそう感じる、ダニーもそうなのさ」
ディオ「……」
ジョージ「まずはエサやりから始めてみるといい」
ディオ「…………ほら、ダニーエサだぞ」
ダニー「ワン! ワンワンワンワン!!」
ディオ「うう、やはり吠えてくるぞッ! でも頑張らないと……」
・
・
・
ディオ「ダニーエサだぞ」
ダニー「ワン、ワンワン!」
・
・
・
ディオ「ダニー」
ダニー「ワンッ」
ジョナサン「ダニー! ダニー! おかしいな、呼べばすぐ来るはずなのに……」
ジョージ「ジョジョ、ダニーならディオと散歩にでかけているよ」
ジョナサン「なんですって!?」
ジョージ「最近はずいぶんと仲良くなれたみたいでね……ほら、ここから様子がみえるぞ」
イクゾ、ダニーッ!!
ワン、ワンワンワン
ジョナサン「…………よく、あそこまで懐いたものですね」
ジョージ「すべてディオの頑張りの成果さ……はじめの頃はエサもうまくやれなかったようだがね」
ジョージ「今ではディオとダニーの間には友情の絆があるようだな」
ジョナサン「友情……犬とですか?」
ジョージ「お前との関係とは違うがそれもまた一つの接し方だ、ジョジョ」
ワンワン
ジョナサン「…………」
カラス「クァッ、カァアアア!」
ディオ「ゲッ! カラスに睨まれて鳴かれたッ!」
ディオ「くそぉ~~ッ、イヤな感じがする……こんな日は早くお屋敷へ帰ろう」
ディオ「今日はお土産もあるしな……へへ、ダニーのヤツ喜んでくれるかな」
ディオ「ただいまもどりました」ガチャ
ジョージ「ディオ!」
執事「ディオさん! ああ、申し訳ございませんッ!」
バ――ン
ディオ「……!!」
ジョージ「あまりひどいなきがらだったので、お前たちには見せず埋葬したよ」
ジョージ「あとでちゃんとした墓標をたててやろう……」
ジョージ「たぶん物取りに入ろうとした盗人が、番犬がじゃまでやったことだと警察はいっている」
ジョージ「なぜこんなむごい殺し方をしたのか理解できんが、警戒を強めなければならん」
執事「だいじょうぶですか? ディオさん」
ディオ「………………ジョジョ……」
執事「ジョジョぼっちゃま? ジョジョぼっちゃまでしたらお部屋の方に……」
ゴオオオオォォォ
バ―――ン
ディオ「ジョォォォジョォォ―――ッ」
ジョナサン「人の名を! ずいぶん気やすくよんでくれるじゃあないか」バッ
ジョナサン「それに思いっきりにぎりしめている拳! いったいそれでどうする気だ?」
ディオ「ダニーが死んだぞッ」
ジョナサン「知っている」
ディオ「生きながら燃やされたんだぞッ」
ジョナサン「それも知っているさ」
ディオ「なら、なぜ君はそうも平然としていられるッ!!」
ジョナサン「悲しんでいるさ……主人以外の人間に頭をたれなければ、こんな事にはならなかった」
ジョナサン「まったく、バカな獣だったよ」
ディオ「ジョジョォ!!」
ディオ「決してゆるさないッ! 君のぼくへのいやがらせなどではない!」
ディオ「ぼくの事などどうでもいいッ!」ウアアア!
ジョナサン「ほほう! 向かってくるのか……逃げずにこのジョジョに近づいて来るのか……」
ジョナサン「そして、その鉄拳により仇をうとうと考えているわけかッ!」クル
ディオ「うおおぉぉッ」ブン
バキィ
ジョナサン「ふん、その程度か」シュゴォォ
メギャア
ディオ「あ…」ドサ
ジョナサン「この前のボクシングの結果をわすれたのか? マヌケがぁ…………」
ディオ「か…かなわない…………」ガクン
ディオ(で…でも負けられない…ダニーの魂の名誉のため、戦わなくてはならない!)
ジョナサン(徹底的に叩きのめしてやるッ! それも正々堂々とな!)
ジョナサン(そうする事によって、ディオ自身の体が覚えるからだッ!)
ジョナサン(ケンカでも人生でも『自分はもうこのジョジョには絶対勝てない』……という事をなッ!)
ディオ「う……うおおあああっ」ビシ
ジョナサン「いくぞッ!」ドアアァ
ゴシャアッ
ジョナサン「いいぞォ! 新たな力がわいてくる、いい感触だッ!」
ディオ「く、うう」
ディオ(やはりかなわない……だが負けられないッ! どんな手を使おうと負けるわけには……ッ)ス
ジョナサン「これで終わりだディオォォ!」
ディオ「今だ!」バッ
ジョナサン「ぬああぁ、め、めつぶしだとぉッ!!」
ディオ「ダニーのために買って来た骨だ……もっとも、君に倒された時に砕け散ってしまったようだけどね」
ジョナサン「み、見えないッ……卑怯な手を使って恥ずかしいとは思わないのか!」ブン! ブン!
ディオ「今のぼくにそれを恥だと思う気持ちはない……あるのはシンプルなたった一つの想い」
ディオ「『勝利をダニーに捧げる』それだけだ…それだけが全てだ」ス…
ディオ「過程や」
バンッ
ディオ「方法なんて……!」
ドガ!
ディオ「どうでもいいんだァ―――ッ」カッ
ドバババババ――――ン
石仮面「ピキッ ピキッ パキパキ」
ズダダ――ン
ジョナサン「こんな! こんなカスみたいなヤツにこのジョジョが……ッ」ズオオオオ
ディオ「な、涙………」
ジョナサン「よくも! このぼくに向かって…このきたならしい阿呆がァ――ッ!!」
バン
ジョージ「ふたりともいったい何事だッ!」
ディオ「ジョースター卿ッ!」
ジョージ「ダニーが死んでかなしいのも分かる!! しかし、だからといってお互いを傷つけあってどうする!」
ジョージ「それで天国のダニーが喜ぶとでも思っているのかッ!」
ディオ「し…しかしジョースター卿!」
ジョージ「いいわけ無用! 許可をだすまで部屋へ入っとれッ、ふたりともだ!」バ!
ジョナサン「…………」キッ
ディオ「…………」グッ
ディオは自分の部屋へ行きねむろうとした…
しかし………
目をとじても意識が薄れることはなく
朝日が部屋に差し込みだすころ
涙をながしつつ、ようやくねむりについた……
ジョジョは――……
ジョナサン(あんな戦法がとれるとは……ディオをみくびっていた)
ジョナサン(奴は、目的のためならば手段をえらばないタイプだ!)
ジョナサン(ダニーを始末し、孤独を与えたが思わぬ反撃を受けた……あなどれん)
ジョナサン(自分の欠点は直線的すぎるところだ、反省しなくては!)
ジョナサン(よりもっと他人を、自分自身をも冷静にコントロールするように成長しなくては………)
そして―――7年の歳月が経過する
ドドドドド
実況「やったァ―――ッ、優勝は我がヒュー・ハドソン校できまりましたァ―――――ッ!!」
実況「試合を決めたジョナサン・ジョ―スターとディオ・ブランドーに惜しみない拍手をッ!!」
ジョナサン「やったなディオ! またまたぼくらのコンビで勝負を決めたなッ!」ガッシ!
ディオ「うん! ジョジョ、圧巻だったよ! 君の走りは!!」
ジョナサン「ありがとう! だがディオ、君のトライあってこそのぼくらの勝利さ!」
実況「ジョナサン・ジョースターは、入学以来すべての授業でNo1の成績を保持!」
実況「とくに考古学の分野ではみごとな論文を発表しています!」
実況「かたやディオ・ブランドーも法律で優秀な成績を修め、すでに様々な法律事務所からオファーが!」
実況「このラグビーの試合もこのふたりあっての優勝! まさに我校の誇りです!」
ジョナサン「この勝利をさっそく父さんに報告しなくっちゃあな」
ジョナサン「ディオ、着替えたら待っていてくれ。 いっしょに帰ろう」
ディオ「……うん」
ディオ「…………」
ディオ(ぼくがお父さん……ジョースター卿の養子になって7年がたった……)
ディオ(今…ジョジョとあんな会話をしていたけど、正直ぼくは彼に対して友情を感じていない……)
ディオ(なぜ!? 彼はあんなにすごくていいやつなのに、友情を感じないんだッ!)
ディオ(7年前の事件のせいか!? ダニーの件でみせた彼の非情さがぼくを恐怖させている!)
記者「ジョジョ! 新聞に君たちの友情について書くけど話してくれないか?」
ジョナサン「友情だって!? ……テレるな」
ジョナサン(友情だと!? きれいごとを並べてニコニコするなよクズどもがッ!)バ――ン
ジョナサン(もうすぐ卒業……財産を法的に自由にできる年齢にもなった!)
ジョナサン(父さんは必要ない……ジョースター家をぼくのものにする!)
ジョナサン「フン」
ジョージ「ジョジョ! ディオ! 優勝おめでとう!」
ディオ「ええ! もう知ってるんですか?」
ジョージ「大学の友人がさっき来て教えてくれたよ」ニコ
ジョナサン「それより父さん、気分はどうだい?」
ジョージ「うむ……だいぶいいよ」ゴホッ、ゴホッ
ジョージ「ただ、せきが止まらないな……今日医者に入院をすすめられたよ」
ジョナサン「入院? それは止めておいた方がいいよ」
ディオ「?」
ジョナサン「病院は施設が悪いくせにもうける事ばかり考えて入院をすすめてくる」
ジョージ「うむ、わたしもことわったよ」
ジョージ「胸の痛みもなくなったし、手のはれもひいたみたいだ……良くなっている」ゴホッ、ゴホッ
ジョナサン「父さんの体は働きすぎでまいっているだけ……家にいるのが一番さ」
ディオ「お父さん……」
ディオ(カゼをこじらせただけなのにこんなに悪くなって……良くなっているとも思えない)
ディオ(ああ! 法律なんぞじゃなく医学を勉強するんだった……でもこれはなおる病気だ!)
ディオ「早く元気になってください、本当に!」
ジョナサン「そうだよ父さん……執事から薬を預かってきてるんだ」
ジョナサン「これをのんで、しっかりなおしてくれ」
ジョナサン「――――」
ディオ「ジョジョは今日もあのうす気味悪い仮面をいじっているのか……」
ディオ(7年前、あの仮面は血に反応し仕掛けが作動した)
ディオ(ジョジョが考古学に興味を持つ切っ掛けは『アレ』だったのだろうが、正直ぼくは意外だった)
ディオ(ジョジョは金にならないものには目もくれないと思っていたからだ)
ディオ(秘密を解き明かせばいくらかの名声は手に入るかもしれない)
ディオ(だが、それだって彼がジョースター家を継げばおのずとついてくるものだ)
ディオ「今は亡き母君が買ったものらしいし、思慕の情でもあるのかもしれないな…………うん?」
執事「ふぅ――、やれやれ」
ディオ「お父さんへの薬かい? ぼくがかわりに運んでおくよ」
執事「ああ、ディオさん。 ありがとうございます」
執事「年をとりたくありませんな……階段をのぼるのがけっこう苦になりました」
ディオ「かまわないさ、これを渡せばいいん…………」
ディオ「!!」
ディオ(この薬……ジョジョが渡していたものと微妙に包み方がちがうッ)
ドドドドド
執事「しかしジョ―スタ卿はしあわせ者ですな」フフフ
ディオ「お父さんがなんだって?」
執事「いえね、ジョジョぼっちゃまもこうしてよく薬を運んでくれるもので」
ディオ「ジョジョが薬を!?」
執事「はい、まことおやさしい息子さん方にめぐまれジョースター卿も鼻が高いでしょう」
ディオ「…………」ゴゴゴ
ディオ(ジョジョが渡していた包み方の違う薬となおる気配のない病気!)
ディオ(……ぼくは今! とても恐ろしい想像をしている!)
ディオ(ジョジョは、自分の本当の父親を殺害しようとしているッ!)
ディオ(…………)
ディオ(いや、流石にどうかしている……実の父親を殺そうとするなんてあるわけないだろ)
ディオ(これはそう……あの時たまたま別の薬だったに違いない)
ディオ「あの……この薬だけど」
執事「はい、薬がなにか?」
ディオ「以前みたものと違う気がするんだが、いくつか種類があったりするのかい?」
執事「いいえ、いつも同じ薬のはずですが」
ディオ「そ、そうか……ならばぼくの勘違いか」
ディオ「…………」ゴクッ
カチャ カチャカチャ
パタン
ディオ「勝手にジョジョの部屋に入ってしまった……これでもう後戻りはできないぞ……!」
ディオ(ジョジョと執事の持っていた包み方の違う薬)
ディオ(…………ぼくは今! とても恐ろしい想像をしている!)
ディオ(ジョジョは、自分の本当の父親を殺そうとしているッ!)
ディオ(病死のように殺害する薬を使って!)
ディオ「でもこれは、全部ぼくの思い過ごしさ…だから…だからきっと……」
ディオ「この話のオチはジョジョの部屋に勝手に入ったぼくが怒られる……ってつまらないものになるはずだ」
ディオ(警戒心の強い彼のことだ……真に大事なものは簡単に見つけられるとも思えないが…)
キョロ
キョロ キョロ
キョロ キョロ キョロ
ディオ(!)
ゴソゴソ カチャ
ディオ「…………」
カチャリ
ジョナサン(ドアのカギが開いている……!!)
ジョナサン「……」ガチャ
ディオ「やあ、ずいぶん遅かったねジョジョ」
ジョナサン「ディオ……!」ギッ
ジョナサン「人の部屋で優雅にティータイムとは……なかなかいい趣味をしているじゃないか」
ディオ「なに、すこしきみを驚かせようと思ってね……まぁ座りなよ」
ジョナサン「…………確かカギをかけていたと思ったが、どうやって開けたんだい?」
ディオ「ロンドンに居たころ知人に鍵開けを教わったのさ……自慢にもならない特技だ」
ディオ「それでジョジョ、砂糖はいくつ入れる?」
ジョナサン「いや、ぼくはこのままで……」
ディオ「……」スッ
ジョナサン「それはッ」ガタッ
ディオ「遠慮するなよジョジョ……『砂糖』はいくつ入れる?」ドドドドド
ジョナサン(バカな! この薬は…………!)
ディオ「ああ、実に巧妙に隠されていた…………だけどね」
ディオ「ぼくには彼のおかげですぐ見つけられる事ができたよ」サラサラ
ジョナサン(ダ、ダニィ―――!!)
ジョナサン(ダニーの写真を使い、死を偲び尊ぶものという心理的ロックをかけたつもりだったが……)
ジョナサン(まさかそれ故に、このジョジョの策がディオに見破られることになるなんてッ)
ディオ「どうした飲まないのかい? 君の部屋にあった『砂糖』を入れただけだよ」
ジョナサン「…………」キッ
ディオ「君はいつもお父さんに薬を運んでいたそうだね」
ジョナサン「……だったらなんだっていうんだ」
ディオ「君への疑惑が確信に変わったよ、ジョジョ」
ディオ「ぼくの思い過ごしであって欲しかったが、本当に……本当に残念だ…………」
ジョナサン「このままいかせると……!」
バシャアァ
ジョナサン「うあああっ! こ、こいつ、あつあつの紅茶をかけやがった!」
ディオ「ぼくがお父さんを守るッ! ジョースター家を守るッ!」ブン
ジョナサン「うげえぇ!!」グワシィツ
ディオ「君がなにを企んでいようとぼくは負けない! そしてもうお父さんには近づけさせんッ!」
ディオ「この薬を分析して必ず刑務所に送り込んでやるぞッ!」ババ―――ン!
ディオ(君がどうでようとぼくは戦うぞ! ぼくはジョースター家のディオ・ジョースターだッ!!)
ジョナサン(もうすこしで全てが手に入るというところだったのに……)
ジョナサン(ディオを始末するのはたやすいが、目的はあくまで完全犯罪!)
ジョナサン(誰にもこのジョジョを怪しまれるようなことがあってもいけないッ!)
ジョナサン(東洋の秘薬は西洋医学で簡単に分析できん……薬の証拠をつかむのに3日はかかるとみた!)
ジョナサン(3日の間にディオをなんとか始末せねば! 殺すッ!)
キリよさげなので今日はここまでで
金・権力>親な小物臭いジョナサンですが、次の回できっと挽回してくれる……はず
ジョジョが部屋にスネークする部分は繋がり不足かと思い急きょさしこんだのですが
前の文章の確認ミスで重複する個所がでてましたスミマセン
業者「だ……だんなあ…あっしがお送りできるのはここまででだ…ここから先はやばい…やばいですゥ!」
業者「よそ者のだんなは知らないだろうけど、何百年も前から決まっているんですぜ!」
業者「呪われた者の住むところで、伝染病がはやる時はいつもここからなんです!」
業者「その名も食屍鬼街<<オウガストリ―ト>>ってんですぜェ!」
ディオ「ああ、よ―く知っているさ…………」ガチャ
ディオ(ジョジョの薬を大学の研究室に分析をたのんだが―――結果は分析不能だった……)
ディオ(そうするとこれは、東洋の薬である可能性が強い)
ディオ(ジョジョはよく論文の発表でロンドンに足を運んでいた……手にいれるとしたらこの場所しかない!)
ディオ(必ずこの入手先から証拠と解毒剤を見つけ出してみせる!)
ディオ「しかし、この街の迷路のような作りは相変わらずだな」フフ
ディオ「ム!」
刺青「へへへ……身なりのいいあんちゃんだ、皮膚ごと身ぐるみをはいでやるぜッ」
ディオ「君たちは…『覚悟はできている人』……なのか?」
ディオ「『悪事』をはたらくという事は、『悪事』を返される危険を常にはらんでいる……」
ディオ「君たちはその『覚悟はできている人』ってわけだ」
東洋人「アナタ何を言ってるね」
ディオ「ぼくには理由がある、それは父を守るため! ジョースター家を守るため!」
ディオ「君らとは戦う『覚悟の核』が違うんだ!」
ディオ「君たちを殺してでも先へ進ませてもらうぞ!」
刺青(普段ならよォ…こんなのは金持ちのアマちゃんのハッタリだと笑い飛ばすところだが……)
刺青(こいつには、やると言ったらやる……『スゴ味』があるッ!)ゴ、ゴクリ
東洋人「何を気どっているね――――――ッ!!」アチャ――ッ
東洋人「東洋の神秘中国拳法、この蹴りをくらってあの世まで飛んでいくね―ッ!」
スピードワゴン「やめろ、二人とも!」
刺青「スピードワゴン!!」
スピードワゴン「そのお方に手を出すことは、このスピードワゴンがゆるさねぇ!」
ディオ「会いたかったよ、スピードワゴン」
スピードワゴン「久しぶりだな、ブランドーさん! 随分大きくなったじゃあないですか!」
ディオ「ロンドンを出てからだ、7年ぶりってところか……ここの住人たちは相変わらずのようだけどね」
スピードワゴン「たしかブランドーさんは貴族の屋敷に世話になってるって話だったよな」
ディオ「ああ、そして今のぼくはディオ・ブランドーじゃない、ディオ・ジョースターだ」
スピードワゴン「へ、あんたがどこの家のお人になろうと関係ねえ!」
スピードワゴン「イカサマポーカーではめられたオレを助けるために、アンタは自分の命をかけてくれた…」
スピードワゴン「名も知らぬゴロツキのためにだ! このスピードワゴン、あの恩は一生忘れないぜッ!!」
スピードワゴン「おれにとってあんたは命の恩人、ブランドーさんだ!」
ディオ「わかった…呼び方くらい好きにすればいいさ、それよりスピードワゴン一つ頼みたい事があるんだ」
スピードワゴン「引き受けたぜッ!」
ディオ「まだ何も言ってないだろう……」
スピードワゴン「ブランドーさんの頼みをおれが断るわけはずないでしょうよ!」
ディオ「まったく、君といるとペースが崩れてしまう…東洋の毒薬を売っている人物を探しているのだが……」
―― 一方ジョジョは…
ジョナサン「仮面の研究ノートはもう一冊作り、ディオの部屋に仕込んでおいた」
ジョナサン「しかも血液のヒミツはディオのノートにだけに書かれているッ」
ジョナサン「これであの仮面は、おれとディオの共同研究だったという事になるわけだ」
ジョナサン「そして、ディオの変死体は研究中の『事故死』とみて捜査は打ち切られる」
ジョナサン「そういう計画だった……」
ジョナサン「だが!」
ジョナサン「おれは手にいれた!」
ジョナサン「石仮面の秘密を! 人間の未知なる力を!」
ジョナサン「待っていろ、ディオ! さいごに笑うのはこのジョジョだ!!」
― ジョースター邸 ―
ジョナサン「どうした執事!? なぜ邸内の明りを消しているッ!」
シュボ!
ディオ「待っていたよジョジョ」バ―ン
ジョナサン「ディオ!」
ジョナサン「………………帰っていたのか、ロンドンから」ニコ
ディオ「昨日のうちにね……君はずいぶんと遅かったな、もう夜明け前だぞ」
ジョナサン「あ、ああ……」
ディオ「解毒剤は手にいれたよ……さっきお父さんに飲ませたばかりだ」
ジョナサン「…………」
ディオ「つまり証拠をつかんだということだ……」
ディオ「ジョジョ、ぼくは気が重い…………仲が良かったとは言えない」
ディオ「それでも兄弟同然に育った君を、お父さんの実子である君を警察へ突き出さなくてはいけないなんて」
ディオ「残念だよジョジョ……本当に」
ディオ「わかってもらえないかもしれないが、これは本心だよ……ジョジョ」
ジョナサン「…………」
ジョナサン「じつに君らしいやさしさだ、理解するよ」
ジョナサン「ディオ、勝手だけど頼みがある……ぼくはケガをしているんだ」
ジョナサン「手当をする時間をくれないか? 手当さえ終わればぼくは警察に自首するよ!」
ディオ「なんだって!?」
ジョナサン「ディオ! ぼくは悔いているんだ、今までの人生を!」
ジョナサン「優しい父と君をまっすぐに見ていられなくなった、おのれの傲慢さを!」
ジョナサン「バカなことをしでかしたよ、実の父に毒を盛って早々に財産を得ようだなんて!」
ジョナサン「その証に自首するためにもどって来たんだ! 罪のつぐないをしたいんだ!」
ディオ(……ジョジョ!)
スピードワゴン「ブランドーさん……気を付けろ! 信じるなよ、そいつの言葉を!」
ジョナサン「ヌム!?」キッ
スピードワゴン「『誰だ?』って聞きたそうな表情してるんで、自己紹介させてもらうがよ」
スピードワゴン「おれぁ、おせっかい焼きのスピードワゴン!」
スピードワゴン「ロンドンの貧民街からブランドーさんが心配なんでくっついて来た!」
スピードワゴン「ブランドーさん! 甘ちゃんのあんたが好きだからひとつ教えてやるぜ!」
スピードワゴン「おれぁ生まれてからずっと暗黒街で生き、いろんな悪党を見て来た」
スピードワゴン「だから悪い人間といい人間の区別は『におい』で分かる!」
スピードワゴン「こいつはくせえッ―! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッ―――ッ!!」
スピードワゴン「こんな悪には出会ったことがねえほどになァ――――ッ」
スピードワゴン「傲慢さが自分を悪人にしただと? ちがうねッ!!」
スピードワゴン「こいつは性根からずぶずぶの悪ってヤツだッ!」
スピードワゴン「ジョースターさん、早えとこ警察に渡しちまいな!」
スピードワゴン「こいつの顔に見おぼえがあるだろッ!!」グイン
ワンチェン「……」
ディオ「ジョジョ、この東洋人が君に毒薬を売った証言をとってある」
ジョージ「話はすべて聞いたよ」
ジョナサン「父さん!」
ジョージ「ジョジョ残念で……ならない…お前にはたくさんの愛情と期待をそそいだつもりだったが…」
ジョナサン「すでにここまでとりかこまれていたとはな……もう、おしまいか…」
ジョナサン「父さん、今日ぼくが逮捕されるって事は、みなが知っているのですか?」
ジョージ「いや、使用人たちにはいっとらんよ…………息子がつかまる姿はみせたくない……」
ジョージ「ここにいる者たちだけだ」
ジョナサン「そうですか……」ニヤリ
ジョナサン「ディオ、逮捕されるよ……だが最後に一つ頼みをきいてくれないか?」
ジョナサン「母の形見の石仮面を君に受けとってほしいんだ……」
スピードワゴン「ブランドーさん、気をつけなせえ…」
ディオ「わかった…受けとろう!」
ジョナサン「ディオ、人間ってのは能力に限界があるなあ」
ディオ「?」
ジョナサン「おれが短い人生で学んだことは…………」
ジョナサン「人間は策を弄すれば弄するほど、予期せぬ壁にぶつかり策が崩れさるってことだ!」
ジョナサン「壁をぶちやぶるには、人間を超えた力が必要になってくる…………」
ディオ「なんのことだ? なにを言っているッ!」クワッ
ジョナサン「おまえが人間をやめるって事だ! ディオ――ッ!!」
警部「仮面をディオ・ジョ―スターに押し付けたッ!!」
ディオ「こ……これは石仮面!!」
スピードワゴン「なんでもいいからヤツをブランドーさんから離すんだッ――ッ」
ジョナサン「光栄に思え! おれの血でおまえは人間を超越するッ!!」ベットリ
ファゴオォ
警官A「はっ!? ……光がっ!?」
スピードワゴン「こ…この光はいったいなんだァ!?」
警部「い、いったい何がおこったんだ……」
警官B「見ろ! ディオ・ジョースターが倒れているッ」
ジョージ「ディオ……!」
スピードワゴン「ジョナサン・ジョースター! 一体どこまで腐りきってやがるんだァ!!」
ジョナサン「落ち着けよ、おれはただディオに『仮面』をかぶせただけだ」
ジョナサン「捕まる腹いせにちょいとばかし転ばしちまったかもしれんが、他に何もしちゃいないさ」
警部「おい、確認を急げ」
警官B「はい!」
警部「ジョナサン・ジョースター、これ以上抵抗するようなら貴様をこの場で射殺する!」
ジョナサン「心配しなくても今更抵抗はしないし、お前たちに危害を加えたりもしない」
ジョナサン「『おれは』な」
警官B「生きています! ディオ・ジョースターは生きています!」
ジョージ「…」ホッ
ディオ「……」ムクッ
スピードワゴン「…………まて、様子が、ブランドーさんの様子が変だ!!」
警官B「大丈夫ですか? 転んだひょうしに頭などうってませんか?」
ディオ「……」ググ...
スピードワゴン「警察のあんちゃん、彼から離れろ―ッ!!」
ドパァ ブシ――ッ
ディオ「…………UREEYYY」
ジョージ「ディオ……」
スピードワゴン「な……なんだこいつはァ――ッ、本当にブランドーさんなのかぁッ!?」
ジョナサン「……くくく」
スピードワゴン「てめぇ、何がおかしいィ!」
ジョナサン「あのお人よしが自ら警官を殺している…これが笑わずにいられるか」
スピードワゴン「黙れ! 彼はあんな事をする人じゃなかった…さっきの仮面が原因としか思えねぇぜ!」
ジョナサン「おれはプレゼントしただけさ…人を超えた力を……素晴らしき石仮面の力をなぁッ!!」
スピードワゴン「石仮面の力だとぉ!?」
ジョナサン「せいぜい気を付けることだ…おれは何人かにあの石仮面を試したが…」
ジョナサン「仮面の力を得たものは例外なく飢えに負け狂暴化するッ!」
警官C「うっ、うわあああ―っ!!」ドオ――ン
ビス バゴッ
スピードワゴン「なんてこったッ、ブランドーさんが…………い、生きている! 頭を撃たれたのに……」
スピードワゴン「おれにはわからねえ……今…なにが起こっているのか、さっぱりわからねえ」
ジョナサン「いいぞ、もっとだ…もっと欲望を解放するんだディオォ!」
ディオ「……渇くんだ」
ディオ「自分でもよくわからない…が…………渇いて渇いて仕方がないんだ」
警部「ぎゃああああ」ドス ドス
ディオ「UUURRRRYYYY!!」ズギュン ズギュン
スピードワゴン「ひ…ひょっとして、人間の中の精気を吸いとっているのか!?」
スピードワゴン「ブランドーさんは人間じゃあないのか? な、何者になってしまったんだ!?」
警官A・C・D・E「うああああああああ」バッ
ディオ「フン」ブオン
警官A・C・D・E「ぎぃああ――っ!!」ドバァ
スピードワゴン「なんてこった……一瞬で警官どもがバラバラにふっ飛ばされちまったぁ……」
スピードワゴン「おれは! 今までの人生で世界各国を放浪しいろんな物を見て来たッ!」
スピードワゴン「だが、こんな化け物はみたこともねえッ!!」
スピードワゴン「頭を拳銃で撃っても死なねえッ! 人間をグチャグチャにする力を持った魔物はよオッ!」
ジョージ「魔物なんかではないさ」
スピードワゴン「に……逃げろッ、ジョースターの旦那!」
スピードワゴン「今のブランドーさんはあんたの息子じゃねえッ! ただの化け物だ!!」
ジョージ「それは違う…どんな姿になってもあの子はディオだ……ディオ・ジョースターだ」
ジョージ「わたしの息子だ」
ディオ「KUWAAAA」ガオン
スピードワゴン「あぶなァ――い! 上から襲ってくるッ!」
グボア!
ジョナサン「やった!」
スピードワゴン「ジョースターの旦那ァ――ッ!!」
ジョージ「ぐ……ディオ…おまえは誰よりもやさしい子だった…………」
ジョージ「こんな事になって一番つらいのはおまえ自身のはず…だ……だが、な…ディオ……」
ジョージ「だから…こそ…立ち上がるんだ……おまえは…誇りたかきジョースター家の男なのだから」
ディオ「お…とう……さ…ん」
スピードワゴン「あの顔は! さっきまでの飢えた野獣のような顔ではないッ!」
スピードワゴン「父親との会話によって、彼本来のやすらぎの顔をとりもどしたんだ!」
ディオ「お父さん……やっと元気をとりもどしたばかりなのに……ぼくはなんてことを…………!!」
ジョージ「ディオ……」ニコリ
ジョージ「自分を…恨まないでやってくれ……わたしが悪かったのだ…………」
ジョージ「ジョジョの優秀さに甘え、しかるという事をしな…かった……」
ジョージ「それ…が、このような惨劇を…うむ結果になった…の…………だろう」
ディオ「お父さん」ウゥ
ジョージ「悪くないぞディオ…息子の腕の中で死んでいくと…………いう……のは」
ジョージ「」
スピードワゴン(おれは家族間の愛情なんて信じてないがよォ!)
スピードワゴン(この二人は違う……たとえ血のつながりはなくとも、最高の親子ってやつだぜ!)
ジョナサン「別れはすんだか、ディオ」
ディオ「……ジョジョ!」キッ
ディオ「おまえのくだらない企みが今の状況を狙っていたのなら、予想以上の効果をあげたぞッ!」
ジョナサン「人のせいにするなよな……父さんを殺したのはおまえじゃないか」
ジョナサン「警官を殺したのもおまえだ」
ジョナサン「今日、ジョースター家でおこった全ての出来事の犯人はおまえなんだよ、ディオォ!」
ディオ「…………」
ディオ「たしかにこの惨状はぼくがおこしたことだ」
ディオ「ならば」
ディオ「全てぼくの手で終わらせよう! ジョジョ、おまえを葬るのに罪悪感なし!」
ジョナサン「できるものならやってみるがいい」
モゾモゾ
スピードワゴン「なんだぁ!? 死体がッ! ブランドーさんに精気を吸いとられた死体が生き返った!」
ガボオン
亡者「ガヴォ、ガヴォ~、血……あったけェ~~血ィィイイ!」
ジョナサン「だがな」ブン
亡者「ぐべェッ」グシャ
ジョナサン「おれはこいつらのように、なまっちょろくはないぞ」ニィ
ディオ「KUWAAAAA!!」ギュオッ
ジョナサン「ムン!」ドン
グボァ!
スピードワゴン「なんてやつだッ……ブランドーさんの攻撃を串刺しにして止めやがった!!」
ディオ「今の攻撃を防いだのは、さすがのパワーだとほめてあげたいところだけど……」
ジョナサン「…………」ビシビシ ベシ ベキ
ディオ「無理をしているのはバレバレだぞ、ジョジョォォォ!」
グニア
ジョナサン「チっ」ガク
ディオ(それにしても、なんておぞましい力だ……自分でも自分の底がわからない……)
ディオ(だが、彼のあの落ち着きよう……明らかになにか策があるって感じだ)
ディオ(ジョジョは怪物になったぼくをどうやって始末するつもりなんだ?)クルッ
ディオ「あの一瞬でスピードワゴンを連れて隠れたか……けど」クン クン
ディオ「そこにいるのは分かっているぞ、カーテンの影なんかにいないで出てきなよ」
ディオ「ぼくたちはもう生きていていい存在ではない…お父さんのもとへ共にいこう」グッ
スピードワゴン「危ねぇ、ブランドーさん!!」
ボオッ
ディオ「UUOOoooooo!!」ゴオオァァ
ジョナサン「父さんのところへ行きたいなら、ひとりで行け」
バァリィ
ディオ「オウゥ! フアアアアアッ」ボッ
ジョナサン「やはりこの火では倒せないか…体を燃やしながらもつっ込んでくるッ!」
シュゴォ
ジョナサン「ぬおぉ」グィ
ディオ「くっ…スピードワゴンを盾に!」
スピードワゴン「ブランドーさぁぁん! かまうこたぁねぇッ、おれごとこいつをやっちまってくれぇぇぇ!!」
ディオ「……ッ」ギリリ
ジョナサン「やさしいやさしいおまえに、お友達を見捨てるなんてできるわけないよなぁディオォォォ」
ジョナサン「しょせん不死身の肉体を手に入れようと、きさまの精神は青二才のままッ!」
ジョナサン「貧弱! 貧弱ゥ!」
スピードワゴン(ジョナサン・ジョースター、こいつはなにを考えてんだ)
スピードワゴン(戦うでも逃げるでもない……まるで…まるで『時間をかせいでいる』かのような……)
ジョナサン「さぁ、上がって来るんだ! ディオ!!」ドン
ディオ「罠なのは百も承知……だが!」
ディオ「ジョジョ! 君を! 君のその野望を! 世の中に放つわけにはいかない!!」ババン
スピードワゴン「ジョナサン・ジョースターッ、おめぇ一体どういうつもりだ!」
スピードワゴン「なぜ、わざわざ脱出不可能な階上へ行くッ!?」
ジョナサン「教える義理はない」
ジョナサン「ディオを始末した後しっかりきさまも殺してやる! そこでおとなしくしていろ」バッ
ジョナサン「皆殺しだ! 館も全焼!! すべての証拠は残さんッ!!」
ジョナサン「残るのは『殺人犯ディオ・ジョースター』という事実のみよ!」
ゴゴオオオオォ
ジョナサン「さぁ、来いッ!!」
ビキビキ ゴバッ
ディオ「URRRRRRY!」メキャン
ジョナサン「ぐぅっ」バギ バギバギ
ディオ「肋の5~6本も折れたか……もうあきらめるんだジョジョ」
ジョナサン「……っ、……ハハ、フフフハフハフハ」
ディオ「なにがおかしい」
ジョナサン「きさまがノコノコきてくれたからだ、ディオぉ…」グッ
ジョナサン「時間だ…時間だけが問題だった……だが、もうその心配すらする必要がなくなった」
ジョナサン「おれがなぜ、上を目指したと思う! おれがなぜ、夜明け前に帰って来たと思う!」
ジョナサン「おれがなぜ、自分も殺されるかもしれないのにきさまを不死身の怪物にしたと思う!!」
ディオ「!!」
ジョナサン「青ざめたな…勘のいいきさまは悟ったようだな…そう……」
ジョナサン「その体の弱点は太陽だ」
ディオ「WOOOOOOOOOOOO!!」
ディオ「太陽の光が当たった部分からぼくの体がきえていくッ!」
ディオ「こ…この激痛! この熱さッ!!」
ジョナサン「フン! 逃れることはできん!」
ジョナサン「きさまはチェスや将棋でいう『詰み』にはまったのだッ!」
ディオ(あ…頭をうごかせ…光が、体を消し去ってしまっても…………下へ…落ちる…よう…に」
ゾバァ
ゴゴゴゴゴゴ
ジョナサン「ちっ、首から上は消しそびれたか……だがどのみち猛火の中では助からん」
スピードワゴン「そんなバカな…………」
スピードワゴン「ブ…ブランドーさん…」
スピードワゴン「そんなバ―――」ザシュ
ジョナサン「そういえばカスの掃除がまだだったな…よろこべ、ディオと同じ場所へおくってやろう」トン
スピードワゴン「ジョナサン・ジョースターああぁぁぁ……!!」
ブオオォォ
ドン
スピードワゴン「」
――――「……」ザッ
今日はここまで
ジョナサン勝利ッ! 第1部完!
いえいえ、もうちょっとだけ続くんじゃ
ジョースター家全焼!
生き残った青年ジョナサン・ジョースター!
ジョージ・ジョースター他、警察官6名死亡!
犯人のディオ・ジョースター未だ行方つかめず!
そして……
ジョナサン「全治2ヵ月…少々ディオをあまくみていたということ……か」
ジョナサン「邸も全焼した、しばらくは病院の世話になるしかないな」
トントントン
ジョナサン「どうぞ」
看護婦「失礼します……よかった、お元気そうですねジョナサン・ジョースター」
ジョナサン「君は…まさかエリナか! エリナ・ペンドルトンか!」
エリナ「ええジョジョ、ほんとうにしばらくです」ジワッ
ジョナサン「君がお父さんの仕事でインドへ行ってしまって以来か……いつもどって来たんだい?」
エリナ「ほんのさっき、病院へは顔をだすだけのつもりだったのですが、あなたが入院したときいて……」
エリナ「それとご家族や邸の事も……ジョジョ! あぁ、ジョジョ!」
ジョナサン「泣かないでおくれ…父さんやディオの事は仕方がなかったんだ……」
エリナ「ですが!」
ジョナサン「それよりも今は君と再開できた喜びをかみしめていたい」
ジョナサン「ぼくたちが別れる時にしたやくそくを覚えてるかい?」
エリナ「ええ、それはもちろん……いけませんジョジョ! だって、こんな時に……!!」
ジョナサン「こんな時だからしたいんだ」
ズキュウゥゥン
ジョナサン・ジョースター氏、ジョースター家を継承し
ペンドルトン家ひとり娘エリナ嬢と結婚!
新婚旅行は2月3日 アメリカへ!
――――「…………」
大西洋上――アメリカ航路
ジョナサン「なにを泣いているんだい?」
エリナ「この涙は幸福の涙です…あなたがここにいることの」
エリナ「だめ…お酒なんて飲んだ事ありませんもの…」
ジョナサン「少しさ…ほんのちょっぴりだけ…」
エリナ「どこへいくのですか、ジョナサン」
ジョナサン「風にあたってくるよ…君はこのまま船室にもどってまっていてくれ」
ジョナサン「富、名声、権力……この世の全てというにはまだ足りんが、おれは確かな力を手にいれた」
ジョナサン「そして美しく従順な女もいる」
ジョナサン「おれはこれからますます高みへと歩みをすすめていくだろう」
ジョナサン「これほど順風満帆な人生というのもなかなかない」
ジョナサン「そう思はないかスピードワゴン?」
スピードワゴン「……気づいてやがったのか」
ジョナサン「こそこそしたネズミのにおいは鼻につくからな」
ジョナサン「しかしよくあの猛火の中で生き延びたものだ……ゴキブリなみのしぶとさよ」
スピードワゴン「ケっ、てめぇを地獄にたたきおとすまでやすやすと死んでたまるかってんだ!」
スピードワゴン「あの夜のみんなの仇……その命でつぐなってもらうぜッ」ウオォォ
ジョナサン「やれやれ品のないヤツだ……みせてやろう、このジョジョの新たな力を!!」ドン
グゥン
スピードワゴン「あぶ」バギャン
スピードワゴン「ヤツの腕がのびやがった! そ、それにこのしびれるような感覚はァ――ッ!!」
ジョナサン「これぞ『仙道』! 波紋エネルギーのパワーよ!」クワッ
スピードワゴン「ぐふ」ドザ
ジョナサン「あの一件のあとツェペリとかいう派手なヒゲのおっさんがたずねて来てなぁ」
ジョナサン「石仮面に対抗する術だと言って、おれに波紋を教えて行ったというわけよ」
ジョナサン「この力はべんりだぞ…たとえば今持っているこのワイン」
スピードワゴン「?」
ジョナサン「何のへんてつもないワインだが、おれが使えば……生命の波紋探知機となるッ」
ジョナサン「やはりな…………ディオ、きさま! 見ているなッ!」
ディオ「ジョジョ…」
ジョナサン「あぁディオ…なんてなさけない姿をしている」
ジョナサン「とてもじゃないが同じ家で育った、幼なじみの姿とはおもえん」
ディオ「この姿はぼくの罪の証! あえて…あえてぼくはこのままでいる」
ディオ「君の言うとおりなさけない姿だ」
ディオ「本来ならあのまま燃え盛る炎のなかで消えていくべきだった……」
ディオ「だが、君が生きている!」
ディオ「ならば、ぼくは何度でも立ち上がろうッ」
ディオ「清めてやるッ、その穢れたる野望!」シュゴォッ
ジョナサン「そんなねむっちまいそうなのろい攻撃で、このジョジョが倒せるかァ――――!?」
ジョナサン「ちょいとでもおれにかなうと思ったのか! マヌケがァ~~~!」
ジョナサン「今度こそ! チリひとつ残さずこの世から消してくれる!!」
ジョナサン「山吹色の…………!」ガッ
スピードワゴン「いまだ! ブランドーさんッ」
ディオ「最後の最後に敗北するのはどちらか―っ」バリ バリ
ジョナサン「波紋……!」ゴァッ
ディオ「いくぞ! ジョジョ!」シュゴアァァ
ジョナサン「疾走ッ!!」ドォッシュウッ
ディオ「WRRRRRRRY!!」バババババ
ジョナサン「目から…自分の体液を……息が…『呼吸』が…できない……」ドサッ
スピードワゴン「ブランドーさん!」
ディオ「スピードワゴン…彼は……ジョジョはどうなった…………」シュ- シュ-
スピードワゴン「ヤツの攻撃でブランドーさんの狙いがそれちまったが、それでもあれは致命傷だ」
スピードワゴン「おそらくもって、数分ってところか…」
ディオ「……そうか」
ディオ(ジョジョ)
ジョナサン『さぁ、上がって来るんだ! ディオ!!』
ジョナサン『このきたならしい阿呆がァ――ッ!!』
ジョナサン『出しな…君の…今月分の…小遣い…を…』
ジョナサン『これから家に住むと事になったからといって、ぼくと対等だと思うなよな』
ディオ(ああ、きみとの思い出はひどいものばかりだ……でも)
ジョナサン『ディオ、着替えたら待っていてくれ。 いっしょに帰ろう』
ジョナサン『だいじょうぶ、利巧な犬さ。 自分から歩み寄ればすぐ仲よしになれるさ』
ディオ『君はジョナサン・ジョースターだね?』
ジョナサン『そういう君はディオ・ブランドー』
ディオ(結局ぼくは君をきらう事ができなかった…な)
――――「この様子じゃ、わたしは必要なかったかな」
ジョナサン「きさまは……そうか、おれははめられていた…というわけ………か」
ジョナサン「ウィル・A・ツェペリ!」
ツェペリ「…自己紹介はいらんようだ」
スピードワゴン「ツェペリさん! ブランドーさんに波紋が…なんとかしてやってくれッ」
ツェペリ「無理だスピードワゴン……それにどのみちディオには消えてもらう約束だっただろ」
・
・
・
スピードワゴン「は!」
ツェペリ「気が付いたかね」
スピードワゴン「おれは…確かジョナサンの野郎に……そうだ! ブランドーさぁぁあててててぇ!」ガタッ
ツェペリ「そのケガじゃ満足に動けんだろ…どれ、意識も戻ったようだし…………パウッ!」ドス
スピードワゴン「お、おお…」
ツェペリ「あれ…指がスベっちゃった……いや、ごめん! スマナイ」
ツェペリ「あらためてわたしはツェペリ男爵だ」
スピードワゴン「おれぁスピードワゴンだ…ツェペリさんとやら、いったいどんな魔法でおれのけがを治したんだ」
ツェペリ「治癒力をたかめたが治ったわけではない…今も君の呼吸が乱れれば……」
スピードワゴン「あでででで! な、なんだぁ!? 急にいたみがッ!!」
ツェペリ「痛みはもとにもどる……言うまでもなかったね」
スピードワゴン「おーぃてててて!」
ツェペリ「……やれやれ、この体たらくでよく『石仮面』の力から生き残れたものだ」
スピードワゴン「あんたァ、石仮面のことを知ってんのかい!?」
ツェペリ「きみよりちょっぴりな…わたしはアレを破壊するために探しておったのだよ」
スピードワゴン「破壊だってぇ!」
ツェペリ「燃え落ちるジョースター邸で目的は達成させてもらった……横で君は死にかけていたがね」
スピードワゴン「待ってくれ! そこにもう一人男はいなかったか!?」
ツェペリ「いたよ。 だが、病院へ行くと言い話もきかずに行ってしまいおった」
スピードワゴン「いや、そっちじゃねぇ! おれがききたいのはブランドーさんの方だ!!」
ツェペリ「スピードワゴン…君からきいた話が本当ならそのジョナサンという男、なんと狡猾で恐ろしい奴よ」
ツェペリ「そしてディオ・ジョースター」
ツェペリ「石仮面の欲望をはねのけるとは、にわかには信じがたい精神力だ」
スピードワゴン「ブランドーさん! どこだッ! ブランドーさぁぁぁん!!」ガラガラ ガラ
ツェペリ「探すのならもう少し奥を探してみなさい……かすかだが命を感じる」
スピードワゴン「…………! 見つけた! ブランドーさんを見つけたぞぉ!!」
ディオ「ス、スピードワゴン…か」
スピードワゴン「ああ! おせっかい焼きのスピードワゴンだぜ! ブランドーさん、よくぞ御無事で!」ブワッ
ツェペリ「きみがディオ・ジョースターか…」
ディオ「……あ、なたは?」
ツェペリ「ウィル・A・ツェペリ」
ツェペリ「君の脳を目醒めさせた石仮面に対し、『とうとう会えたな』とでも言いたいところだが…」
ツェペリ「君の人としての精神に敬意をはらい、『はじめまして』と言っておこう」
ディオ「?」
ツェペリ「そうか…石仮面を探しに来た中国人を」
ディオ「彼には毒薬を作った責があったとはいえ、許される事ではないのは承知しています」
ディオ「それでもぼくは生き延び、やりとげなければいけない理由があった」
ツェペリ「……」
ディオ「ですが今ジョジョの事をあなたに伝える事ができた…それで十分です」
ディオ「さぁ、波紋の力でぼくを滅してください」
ツェペリ「ダメだ」
ディオ「!?」
ツェペリ「あの夜の出来事は石仮面の力が引き起こしたもの……」
ツェペリ「ただの人間であるジョナサンを今の法で裁くことはできん」
ツェペリ「そして、人間のわたしでは彼の野望を止めることはできん」
ツェペリ「君がやるんだ…いや、やらなければならないッ」
ツェペリ「消えるのはその後だ」
ディオ「ぼくが…ジョジョを……」
ツェペリ「正直今の状態では、分のいい賭けとはいいがたい」
ツェペリ「仮に成功したとしても君はその力で更に咎を負うはめになる」
ツェペリ「ただ消滅するより、ずっと酷なことを言っているようだが……」
ディオ「いえ、やります…やらせてください! 彼との決着はぼくが着ける!!」
ツェペリ「そうか…わたしもできうる限り手をかそう」
ディオ「それなら、ツェペリさんはジョジョに会い波紋法を伝授してください」
ディオ「石仮面の力に対抗できるという自信は、必ず隙を生むはずです…そこを……」
スピードワゴン「お~~い! 開けてくれぇ! いい加減おれも話にいれてくれよぉ~~ッ」ドンドン ドン
・
・
・
ジョナサン「まさか…自らの命を捨てて……まで…このジョジョを……しとめに来るとは………」ヒュ-
ジョナサン「その勇気を…認めよう……最後の最期で、おれはおまえに…負けたようだ……」ヒュ- ヒュ-
ディオ「この状況で…まだ勝ち負けにこだわるの……かい?」
ジョナサン「あたりまえ…だ……おれは一番が好きだ………ナンバー1だ…」ヒュ-
ディオ「まったく……君らしいというかなんと…いうか………」
ジョナサン「ディ……オ」
ディオ「なんだい…ジョジョ……」
ジョナサン「つ…ぎ……は…負………け…な………………………」
ディオ「ジョジョ……?」
ジョナサン「」
ディオ「……」
ディオ(ぼくの青春は、君との青春でもあった……)
スピードワゴン「ブランドーさん! しっかりしてくだせぇッ!!」
ディオ(ぼくらは、ふたりでひとりだったのかもしれない…奇妙な友情すら感じるよ…)
ツェペリ「むだだスピードワゴン…もうわしらにできるのは見守る事だけよ」
ディオ(そして今、ふたりの運命は完全にひとつとなった…このままぼくも…………)シュゥゥゥ....
ジョナサン・ジョースター
ディオ・ジョースター
死亡
スピードワゴン「ついにやったッ! ブランドーさんはなしとげたッ!」
スピードワゴン「なのに! ちくしょうッ! 涙がとまらねぇっ!」
ツェペリ「ディオ・ジョースターの真実を、世の人々が知ることはない」
ツェペリ「ならばこそ、われわれが覚えていよう」
ツェペリ「彼の生きた誇り高き人生の物語を」
ツェペリ「今は存分に泣くがよい、スピードワゴン……それは本当の彼を知っている証でもあるのだから」
スピードワゴン「いや、泣いてばかりもいられねぇや……」グス
スピードワゴン「ブランドーさんはエリナ・ジョースターの事を、最後まで気にかけていた」
スピードワゴン「だからその心配事は引き受けてやりてぇのよ」
スピードワゴン「たとえ憎まれ役を買う事になってもな」
ツェペリ「スピードワゴン、君ってやつは………………」
スピードワゴン「ツェペリさん、あんたはどうするんだい」
ツェペリ「そうさのぅ、わしは石仮面のために家族をすてた……その罪滅ぼしかな」
ツェペリ「まさか再び生きて会えるとはおもってなかったから、ちとこそばゆいんだがね」
こうして、石仮面にまつわる2人の少年の
数奇なる運命を追う冒険譚はその幕を降ろす
一人は星を目指し、その身を堕とし
一人は泥をすすり、もう一人を追い続けた
二つの生は並び交わり、ついにはその命を終える
しかし、それはまた新た冒険の時代の始まり
……なのかもしれない
ディオ「君はジョナサン・ジョースターだね?」 完
おわったーーーー
オウガストリ―ト前後で進行が止まってて、起爆剤的気分で完結前から投下しましたがなんとかなるもんだなぁ…
肝心のジョジョとディオのバランスが適当だったので色々拙い個所も多かったと思いますが、
駄文にお付き合いいただきありがとうございました
どちらに言わせるべきか迷い結局「無駄無駄ッ!!」的セリフを入れれなかったのが少し心残りです
PS.最近聞いてる曲がマンネリ気味なのでジョジョ好きのみなさんがお気に入りの洋楽のアルバム等あれば教えてください
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