自分的新約ダンガンロンパ (3)
私立希望ヶ峰学園。一分野にとても優れた人間や、才能の片鱗を覗かせる者達を集め、世界をよりよく導くための学園。
校舎はビル群に囲まれた平地の森に堂々とそびえ立ち、外界からは隔離された別世界のような存在感を感じさせる。
入学すれば成功という名の約束された将来を手に入れることができると言われているが、それを許されるのはスカウトされた者のみ。
誰もが入学をしたいと一度は夢を見て大人になっていく。
そんな学園に僕は今入学をしようとしている。
僕の名前は苗木誠。才能なんて大層な物を持っているわけではなくて、平均的って呼ばれる分類に位置する平凡な高校生だ。平凡と言っても一応取り柄って物はある。
それはどんなことがあっても卑屈にならないこと。それが僕の取り柄だ。
平均的って言ったけど、僕は人よりも運が悪いと思う。幼い頃に攫われかけたこととか、車にはねられて怪我をしたことが何度か。
この前なんてバスジャックに巻き込まれたよ。まぁ、こういうのって悪運っていうんだろうね。普通だったら死ぬような不運なことがあっても僕は絶対に死ぬことはなかった。
逆にそれが僕の自信になったと思う。
どんなに不運なことがあっても自分は生きてしまうという根拠があるのかすらわからない意味不明な自信にね。
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そんなわけもあって、僕は自分が不運であるということなどに対して開き直って生きてきたつもりなんだけど、そんな僕にも運は回ってきた。
希望ヶ峰学園の入学資格が与えられたのだ。
封書が届いた際は家族はみんな驚いたものだ。勿論、僕も大いに驚いた。
でも、一つだけ気がかりなことがあった。
妹に学園の封書が届いたと聞いた時、てっきり僕は毎年抽選で選ばれる超高校級の幸運っていう僕に一番ふさわしくない才能で選ばれたんだと思った。けれど封書に入っていた書類に書いてあったのは超高校級の希望という、希望ヶ峰学園を象徴するかのような肩書き。
そして極めつけは、表向きでは超高校級の幸運として扱われることになり、超高校級の希望という肩書きは極秘であり一切他言無用であるという文言だった。
不運体質って呼んでいいほどの不運な僕が不運な出来事の兆しを感じ取るのにこれは十分な内容だった。
そして、僕は今希望ヶ嶺学園の校門前にいるんだけど、なんとなく自分がここにいることが場違いな気がして一歩踏み出せないでいた。
すーっと深呼吸をしてから未だ生きてきた中で味わったことのない緊張感を?み込み、僕は一歩踏み出した。
その時、僕の肩に誰かの手が乗る感覚がした。
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