男「おのれイケメンめ!!」(242)

男「ぐぬぬ……」

イケメン「それでさ~」ワイワイ

女「えー!ほんとにー!?」キャキャ

男(くそ!女ちゃんと楽しそうにお喋りしやがって!!)

男「ぐぬぬ……」

ギャル「……」

イケメン「そうだ、もしよかったら今度一緒にその映画観に行かない?」

男「なっ!?」

女「えー、どうしよっかなぁ」

男「…………」ハラハラ

イケメン「いいじゃん行こうよ~」

女「んー今度ね!」

イケメン「でた!またそう言ってはぐらかすんだから!」

女「うふふ、そんなことないよー」

男(遠回しに断ったんだよな……?)

男「……」ホッ

男「でもこのままじゃ……」

ギャル「ええ、時間の問題だな」ヒョイ

男「おわっ!!」

男「ギ、ギャルさん!?いきなり何!?」

ギャル「アンタ好きなんだろ?あの子のこと」

男「べ、べつに……そんなこと、ないけど……」

ギャル「いやいや、見ててバレバレだから」

男「ぐっ……そうだとしても君には関係ないだろ!」

ギャル「このままだとイケメンに取られるよ?それでもいいの??」

男「それは……!!」

男「よく、ない」

ギャル「だよねー、私も同じ気持ちだわ」

男「??」

男「同じ気持ちってどういうこと??」

ギャル「あの二人がくっつくのは面白くない」

男「ああ、うん、そういうことか……って、え?なんで?」

ギャル「察しろよバカ」

男「……」

ギャル「はぁ……」

男「もしかしてギャルさん、イケメンのことが……?」

ギャル「ああ」コクン

男「そうだったんだ……なんか意外」

ギャル「意外?」

男「ほらギャルさんって人と群れるの嫌いで一匹狼のイメージが強いから……恋愛とか興味ないのかと思って」

ギャル「アンタ失礼な奴だな」

男「す、すんません」

ギャル「群れるのが嫌いって、そうやってアンタらが決めつけるから孤立してんだろうが」

男「う、それは……」

ギャル「ま、私も愛想悪いし自業自得だけどさ」

男(いつも機嫌悪そうに見えるし、なんせ容姿が派手だから……ついつい敬遠しちゃう部分はあるよなぁ)

ギャル「そんな私に気兼ねなく話しかけてくれる物好きな奴がいてな」

男「え?」

ギャル「それが……イケメンだ」

男「なるほど……だから惚れたんだ」

ギャル「ああ、顔も良くて性格も良いとか惚れない要素がないだろ?」

男「ああ……だからきっと女ちゃんも……」

ギャル「そこでだ!」

男「?」

ギャル「手を組まないか?」

男「はい?」

ギャル「このままあの二人がくっつくのを指くわえて眺めるのは不本意だろ?」

男「それは……うん」

ギャル「じゃあ決まりだ」

男「いやいや、ちょっと待ってくれよ!手を組むったって具体的には何をするのさ!?」

ギャル「それはこれから考える」

男「はあ?」

ギャル「そっちも何かいい案があったら言ってくれ」

男「てか、そんな遠回りしなくてもギャルさんがイケメンと仲良くなってアプローチしたらいいんじゃない?」

ギャル「はあ?それが出来たら苦労しないだろ!それはアンタも同じだろ?」

男「……はい、そうです……」

ギャル「特に私にとっては初めての恋なんだ。慎重にもなる」

男「ええ!?初恋!?」

ギャル「……なにか問題でも?」

男「問題はないけどさ……高校生になって初恋だなんて……」

ギャル「ええ、でも仕方ないじゃないか初恋なんだから」

男(もっと夜の街に繰り出して派手に遊び散らかしてると思ってたけど……意外と真面目なのか?)

男「わかった!ギャルさんの言う通りこのまま二人がくっつくのを見届けるのは俺も辛いし、お互いのために手を組もう!」

ギャル「助かる!」

男「……」

ギャル「……」

男「で、どうする?」

ギャル「とりあえず」

男「とりあえず?」

ギャル「ファミレスで作戦会議しよう」

――放課後 ファミレス

男(なんだこの状況は)

男(茶髪でピアスめっちゃしてて、いつも怖い顔してて無愛想なギャルさん)

男(俺が生きていく上で絶対に関わることのない人種だと思ってたのに……そんな人とテーブルを挟んで向かい合わせで座る日がくるなんて)

ギャル「まず目標を設定しよう」

男「目標?」

ギャル「お互いにとって理想の状況は?」

男「俺は……女ちゃんと恋人になること」

ギャル「うん。私もイケメンと恋人になることが理想だ」

男「ふむ」

ギャル「私の情報によると、アプローチは男性側からする方がいいらしい」

男「なにその情報」

ギャル「動物でも虫でもオスがメスに求愛行動をとるだろ?自然の摂理だ」

男「つまり、俺が女ちゃんにガンガンアプローチしろと?」

ギャル「ええ」

男「無理だ!話しかけるのでさえ緊張するのにアプローチなんて!」

ギャル「そこは頑張ってもらわないと」

男「そもそも興味のない異性からガンガンアプローチされたらギャルさんならどう思う?」

ギャル「ウザい」

男「でしょ!?恋は駆け引きってよく言うし、押せ押せだけじゃだめだって」

ギャル「今まで引きっぱなしじゃない。たまには押さなきゃ!」

男「ぐぬぬ……」

男「他力本願じゃないか!ギャルさんこそアプローチした方がいいんじゃない?」

ギャル「私だって押せ押せでグイグイ行ったことあるし!アンタと一緒にすんな!」

男「それで……結果は?」

ギャル「……」

男「……」

ギャル「怖がられた」

男「ああ……うん」

ギャル「哀れんだ目で見んなし!」

男「そもそも俺がアピールしたところで、イケメンに勝てる要素なんて……」

ギャル「一切ない」

男「イケメンの欠点といったら……チャラいところくらいか?」

ギャル「欠点というほどではないな」

男「ともかく!俺が女ちゃんにアピールするって話は置いておいて違う手を探そう」

ギャル「むー……」

男「じゃあこんなのはどうだ」

ギャル「ほー?」

男「俺はイケメン、ギャルさんは女ちゃんと同性同士それぞれ仲良くなる」

ギャル「ほう」

男「俺はイケメンにギャルさんの事を推すから、ギャルさんは女さんに俺の事を推す」

ギャル「……」

男「それで目標達成!理想の現実へ!」

ギャル「そんな上手くいくわけないだろ」

男「あはは、まぁそうだろうね」

男「でもまず敵を知ることから始めた方がいいと思う」

ギャル「それは一理あるな」

ギャル「でも女と仲良くかぁ……なかなか難しい……」

男「……」

男「じゃあ俺はイケメンと仲良くなる」

男「ギャルさんは女ちゃんと仲良くなる」

男「作戦決行は明日から、それでいい?」

ギャル「ああ」

男「じゃあそういう事でお互い頑張ろう!」

ギャル「ああ、理想のために!」

男「理想のために!」

――翌日 教室

男(イケメンと仲良く……か)

男(モテモテでいけ好かない奴だがこれも理想のためだ)

男「イケメン!」

イケメン「ん?男くんどうしたの?何か用?」

男「単刀直入に言う!友達になってくれ!!」

イケメン「ええ!?」

男「ダメか!?」

イケメン「ダメというか……そういうのって自然となるものだと思うんだけど……」

男「ぐっ……たしかにその通りだ」

イケメン「なにか企んでる?」

男「いや、そんなことないぞ」

イケメン「ふーん」

男(マズい!変に勘ぐられている!)

男「ほらイケメンってモテるだろ?」

イケメン「んー……どうだろう」

男「モテる秘訣を知りたいんだ」

イケメン「男くんはモテたいの?」

男「いや、そういうわけじゃないけど……」

イケメン「……」

男「そりゃモテたい気持ちはあるが、それは意中の人だけで十分というか……」

イケメン「……」

男「とにかく!お前の近くにいて女子との接し方を学びたいんだ!」

イケメン「……」

男(……だめか?)

イケメン「わかった、いいよ」

男「え?マジ!?」

――昼休み

男「イケメン!いつも昼飯はどうしてんの?」

イケメン「ほとんど学食かな」

男「よし、じゃあ一緒に行こう!」

イケメン「う、うん」

男(くくく、困惑してるな。そりゃそうだ)

男(お互いの事よく知らないのにこれから昼飯を共にするんだ)

男(俺だって本当は嫌だ)

男(だがこれも理想の現実のためだ!!)

――食堂

A「イケメンくん!これからお昼なら一緒にどう?」

イケメン「あー今日は先約があってね、ごめんね?」

A「えー!!」

イケメン「また今度誘ってよ!いつでも待ってるから」

A「もー、次は絶対だよ!」

イケメン「うん、約束する」ニコッ

男「……」

イケメン「じゃ、行こうか」

男「ああ」

――

B「イケメンくん!」

イケメン「あはは」

男「……」

――

C「あ、イケメンくんだー」

イケメン「やあ」ニコッ

男「……」

――――
――

男「いや……お前すごいな」

イケメン「え?なにが?」

男「色んな女子に話しかけられるのもそうだけど、一人一人笑顔で対応してて感心した」

イケメン「こうやって色んな子に声かけてもらえると素直に嬉しいんだよ」

男「まぁ悪い気はしないよな」

イケメン「でも……同性からしたら面白くないだろうね」

男「あ、それ自覚してるんだ」

イケメン「うん。実際俺は男友達は少ないし」

男「たしかに、言われてみれば……」

イケメン「だからこうやって男くんが話しかけてくれて、一緒にお昼食べれて嬉しいんだ」ニコッ

男「!!」

男(こ、こいつ、なんてやつだ!不覚にもドキッとしてしまったぜ!!)

――放課後

男「ギャルさん」

ギャル「なんだ?」

男「俺は作戦通りイケメンと接触したけど……」

ギャル「ああ、そうみたいだな」

男「ギャルさんは……今日もずっと一人だったよね?」

ギャル「それについて話がある。ファミレスに行こう」

男「ええ!?今日も??」

ギャル「ほら行くぞ」

男「まじっすか」

――ファミレス

男「ギャルさん、今日女ちゃんと接触した?」

ギャル「……」ウズウズ

男「ギャルさん?」

ギャル「……」ウズウズ

男「……」

ギャル「な、なあ……」

男「なに?」

ギャル「このパフェ……頼んでもいいか?」

男「パフェ?別にいいけど……」

ギャル「本当にいいのか!?」

男「うん、どうぞ」

ギャル「先に言っておくが、一口もあげないぞ?」

男「いらないって!そもそも甘いもの苦手だし」

店員「お待たせしました~パフェDXでございます」

ギャル「わぁ!」キラキラ

男「でかっ!こんなの一人で食べれるの!?」

ギャル「あげないぞ?」ジロ

男「いりません!」

ギャル「じゃあ早速……いっただきまーす!」ウキウキ

男(あれ?)

ギャル「どれどれ~」パク

ギャル「ん~~!おいし~~!」ニコニコ

男(あれれ?ギャルさんがめっちゃ可愛いんですけど……)

ギャル「なに?あげないぞ!」

男「大丈夫、見てるだけでお腹一杯だから」

ギャル「ん~~」ニコニコ

男(そうか笑顔!滅多に見ないし……というか初めて見た)

男(普段のギャップもあって、これは……可愛すぎるというか……すごく良いです)

ギャル「ごちそうさまでした!」

男「あっという間に平らげたね」

ギャル「あと三杯はいける」

男「嘘っ!?マジで!?」

ギャル「マジだ」

男「はえ~……てかギャルさん甘いモノ好きだったんだね」

ギャル「ふん!どうせ似合わないとでも思ったんだろ」

男「いや、ニコニコしながら食べてて可愛かったよ」

ギャル「かわっ!!?」

男「うん、すごくね」

ギャル「……」

男「?」

ギャル「調子に乗ってんじゃねぇよ!!」

男「ええぇぇぇ」

男「あ、そうそう!今日女ちゃんと接触しなかったでしょ?」

ギャル「う……」

男「俺はイケメンと仲良くなろうと努力したのに、そりゃないっしょ!」

ギャル「そもそも!!友達0の私が誰かと仲良くなんて……敷居が高すぎる」

男「それは……まぁ……そうかもしれないけど」

ギャル「ところでイケメンはどうだった?何か聞きだしたか!?」

男「いや、まだそこまで親しくなってないけど」

ギャル「そうか……」

男「でも、思ってたより良い奴かもしれない」

ギャル「だろ!!さすが私が惚れた男なだけある!」

ギャル「外見も内面もカッコいいんだ、イケメンは!」

男「むー」

ギャル「どうした?」

男「どうした?じゃないでしょ!ギャルさんも女ちゃんと仲良くなってくれなきゃ不公平だ!!」

ギャル「そ、そうだな……」

男「むー」

ギャル「明日!明日こそ努力してみる」

男「努力じゃダメだって!思い切って話しかけてみなよ!」

ギャル「どうやって??」

男「友達になろうって」

ギャル「む、むりだ!!」

男「最初からそう決めつけるのは良くない!!」

ギャル「うっ……」

男「きっかけがあれば意外となんとかなるもんだって」

ギャル「そ、そうかな?」

男「そうだよ!」

ギャル「じ、じゃあ頑張ってみようかな……」

男「おお!頑張れギャルさん!!」

ギャル「理想のために!」

男「ああ、理想のために!」

――翌日 教室

男(ギャルさん、ずっとソワソワして女ちゃんをチラ見してるな)

男(頑張れ!ギャルさん!君ならいける!!)

ギャル「……」ガタッ

男(おお!!)

ギャル「……」スタスタ

男(女ちゃんの方……じゃなくて、こっち!?)

ギャル「ちょっと来い」

男「え!?」

ギャル「さっさとしろ」グイッ

男「ええぇぇ」

ギャル「……」グイッ

スタスタ スタスタ

男「ち、ちょっと!もう人もいないし、話ならここでいいっしょ!」

ギャル「あ、ああ」パッ

男「ったく、強引すぎ」

ギャル「悪かった」

男「それでなんの用?」

ギャル「男に頼みがある!!」

男「なに?」

ギャル「私をビンタしてくれ!!」

男「ビン…………ええ!!?」

ギャル「頼むっ!!」

男「ムリムリ!!いくらギャルさんの頼みでも女の子にビンタなんて絶対無理!!」

ギャル「そうでもしないと一歩が踏み出せないんだ!」

男「気負いすぎだって!」

ギャル「だけど!!」

男「とりあえず落ち着こう?」

ギャル「あ、ああ」

男「じゃあ息をゆっくり吸って」

ギャル「すーー」

男「ゆっくり吐いて」

ギャル「はーー」

男「繰り返して」

ギャル「すーー、はーー」

男「ギャルさん」ガシッ

ギャル「な、なんだ?」

男「ギャルさんは見た目の雰囲気は少し怖いけど、中身は普通の女の子となにも変わらない」

ギャル「そんなこと……」

男「ギャルさんと話すようになって日が浅い俺がそう思ったんだ」

ギャル「……」

男「だからきっと大丈夫!話すキッカケさえあれば誰とでも仲良くなれる!」

ギャル「……」

男「そのキッカケだけ、ギャルさん自信が勇気をだして踏み出さなきゃ」

ギャル「……」

男「って!ごめん!思わず肩掴んじゃった!」パッ

ギャル「私自身が……」

男「うん」

ギャル「男、頼みがある」

男「ん?ビンタ以外なら」

ギャル「背中を押してくれ」

男「背中??それって物理的に?」

ギャル「ああ、思いっきり頼む」

男「まぁそれくらいなら……」

男「じゃあいくよ?」スッ

ギャル「ああ」

男「理想のために!!えいっ!!」グイッ‼︎

ギャル「うぉぉぉぉ!!」ダダダダダダ

男「え」

男(勢いのまま走っていっちゃったけど大丈夫か??)

――教室

ガラッ

男(えと、ギャルさんは……)

ギャル「――」

女「――」ニコニコ

ギャル「――!」

男(おお!!なんか上手くいってる感じだ!!)

男(やるじゃん!ギャルさん!)

ギャル「!」チラッ

男(あ、こっち見た)

ギャル「」ニコッ

男「おお……」

男(良かったなぁ……)

男(てか、やっぱり笑顔が可愛いな、ギャルさんは)

――放課後 ファミレス

男「ギャルさん!乾杯しよう!」

ギャル「そんな……大袈裟でしょ」

男「大袈裟じゃないって!一歩踏み出した結果、女ちゃんと仲良くなれたわけだし」

ギャル「そうだな。それに女はとてもいい子だったよ」

男「だろ?」

ギャル「可愛くて清楚で優しい。男が惚れるのも納得だ」

男「うんうん。その分ライバルが多いけどな」

ギャル「女と仲良くなれたのは……男、お前のおかげだ」

男「え?」

ギャル「ありがとう、男」

男「……」ジーン

ギャル「ん?どした?」

男「素直にお礼を言えるなんて、なんていい子なんだ!」

ギャル「は!?バカにすんなし!!」

男「俺も今日はイケメンと過ごしてたんだけど」

ギャル「うん、どうだった?」

男「非の打ち所がないほど良い奴だわ」

ギャル「ふふふ、だろ?」

男「だからこそ複雑なんだよなぁ」

ギャル「複雑?なぜ?」

男「ほら、俺らは元々あの二人が付き合うのを阻止するために手を組んだわけでしょ?」

ギャル「うん」

男「ライバルが良い奴って……」

ギャル「……ああ」

男「しかもあの二人って傍から見ると……」

ギャル「めちゃくちゃお似合いだな……」

男「……」ズーン

ギャル「……」ズーン

ギャル「こらー!理想を忘れるな!!」

男「はっ!!そうだった!!」

ギャル「アンタはライバルが良い奴だったって理由だけで諦められる、その程度の気持ちなのか!?」

男「んなわけない!!」

ギャル「だろ?私もだ」

男「でも敵は強大だぜ?」

ギャル「ふっ望むところだ」

男「じゃあ改めて乾杯しよう」

ギャル「ああ」

男「我々は大きな一歩を踏み出すことができた」スッ

ギャル「……」スッ

男「だがそれで満足してはならない。それも全て……」

ギャル「理想のために!」

男「そう!理想のために!」

カンッ

ギャル「で、明日からどうするのさ??」

男「とりあえず……」

ギャル「とりあえず?」

男「現状維持で」

ギャル「うーん」

男「あ!女ちゃんがイケメンの事をどう思ってるか聞き出せない?」

ギャル「友達0だった私にいきなり恋バナをふっかけろと?控えめにいって無理だ」

男「まぁそうだよなぁ……じゃあ明日は現状維持の方向でやっていこう」

ギャル「そうしよう」

――翌朝 教室

男「なあイケメン」

イケメン「ん?」

男「今日もお昼一緒に食べようぜ!」

イケメン「もちろん!俺はそのつもりだったよ?」

男「はは!嬉しい事言ってくれるじゃないか!」

イケメン「あ、でも一人誘いたい人がいるんだけどいいかな?」

男「誘いたい人……?」

イケメン「男が嫌だっていうなら誘わないけど」

男「いや、別に俺は気にしないよ」

イケメン「本当!?なら誘ってみるよ!いつも二人っきりだと断られちゃうからさ」

男「??」

イケメン「女ちゃーん!」

男「なん、だと……」

女「なに?イケメンくん」

イケメン「今日お昼一緒にどう?」

女「えー……」

イケメン「男くんもいるんだけど、三人でどうかな?」

女「男くん?」チラッ

男「!!」

女「それなら……うん、いいよ」

イケメン「本当に!?やった!!」

女「あ!私も一人誘っていいかな??」

イケメン「ん?全然かまわないよ!」

女「わかった!ギャルちゃーん!!」

ギャル「ん?」

男「なん、だと……」

――昼休み 食堂

イケメン「皆で食べるのって楽しいね」

女「ねー!ほんとほんと」

男「あは、は」

ギャル「……」

イケメン「でもギャルさんも一緒にきてくれるなんて、思ってなかったな」

ギャル「迷惑だったか?」

イケメン「全然!!むしろ逆さ!」

ギャル「逆?」

イケメン「一緒にお昼食べれてすごく嬉しいよ」ニコッ

ギャル「……」プイ

男(おお!俺にはわかる!あれは照れてる顔だ!!)

女「私も最初は嫌われてるんじゃないかって勘違いしてたけど、こうやってお話しするようになったらすごくいい子でね」

ギャル「むー」

女「仲良くなれてすっごく嬉しいの♪」ニコニコ

ギャル「……」プイ

男(よかったなぁ……ギャルさん、本当によかった)

ギャル「で、でも私は愛想も悪いし……」

女「むしろ中身を知ったらそのギャップがたまらないの!」

ギャル「そ、そうか?」

女「うんっ♪」

イケメン「あはは」

男(うんうん)

男(ってあれ?俺……蚊帳の外じゃね?)

男(その後もギャルさんの事で二人は盛り上がって)

男(ギャルさんは終始無表情で照れてて)

男(ぶっちゃけ俺いらねーんじゃね?とか思ったり)

男(ギャルさんをクッションに二人の仲が急接近しちゃうんじゃね?とか思ったりしたまま昼休みが終わった)


――――放課後

ギャル「……」チラッ

男「……」コクン

男(よし、今日もファミレスコースだな)

男(今後について作戦を練り直さねば!)

女「ギャルちゃん!一緒に帰ろ?」

ギャル「!!」

男「!!」

ギャル「え、と……」チラッ

男「」コクン

ギャル「わかった」

女「やった!一緒に帰るのって初めてだね!」

ギャル「そうだな」

男(うんうん、これで良かったんだ)

イケメン「二人ともどこか寄って帰るの?」

男「!?」

ギャル「!?」

女「んー、特にその予定はないけど」

ギャル「……」

イケメン「じゃあさ、美味しいカフェ知ってるんだけど一緒に行かない?」

女「だって、どうする?ギャルちゃん」

ギャル「……」

イケメン「男くん!もし時間があるなら君もどうだい?」

男「お、おれ!?」

男(どうせ俺が行ったところで蚊帳の外だしな……)

男「今日はちょっと用事があって……誘ってくれてありがたいんだけど、ごめん」

イケメン「そっか、残念だよ……」

男「三人で行っておいでよ」

ギャル「……」

女「ギャルちゃんはどうする??」

ギャル「すまないが……私も今日は早く帰りたいんだ」

イケメン「えー、そうなんだ……じゃあ女ちゃん、二人でどう?」

女「ううん、私もギャルちゃんと一緒に帰るよ!ごめんね」

イケメン「あらら、全員に振られちゃった」ショボン

イケメン「じゃあ俺はもう少し学校に残るから、また明日ね!」

女「うん、ばいばい」

男「また明日」

ギャル「……」

女「じゃ、帰ろっか」

ギャル「ああ」

男「じゃあね、二人とも」

女「男くんも帰るなら一緒に行こ?」

男「へ??」

女「いいよね?ギャルちゃん」

ギャル「……」コクン

男(あれぇぇぇ?なんだこの展開)

――――帰り道

女「ねぇ男くん、覚えてる?」

男「な、なにを??」

女「一年生の頃の林間学校で同じ班だったよね」

男「あー……そうだったかなぁ……」

男(嘘です。バッチリ覚えています。むしろそれがキッカケで好きになりました)

女「そうだよ!覚えてないの?」

男「覚えてるよ」

女「えー、本当かなぁ」ヒョイ

男(無邪気に俺の顔を覗き込むとか……反則級に可愛すぎるだろっ!!)

ギャル「へー、二人は一年の時から同じクラスなのか」

女「そうだよ!三年生になっても同じだったら面白いのにね」

男「三年って……来年の話だろ」

女「来年なんてあっという間だよ」

ギャル「もしかして男は一年の頃から――」

男「あー!!!いい天気だなーー!!」

女「??」

男(ギャルさん、なにポロッと爆弾発言しようとしてんだ!?)

ギャル「あ……つい、すまん」

男「謝るとか更に余計だっつーの!」

女「あれ?…………もしかして二人って仲良いの?」

男「!?」

ギャル「!?」

女「この前だって朝から二人で教室を抜け出してたし……」

男(ギャルさんの背中を押した時か!!)

ギャル「そ、それは……」

男「仲良いというか……些細なことから話すようになっただけで」

ギャル「そうそう」

男「そこまで親しい感じではないよねー?」

ギャル「ねー」

女「ふふ、やっぱり仲良しだ」

男「まぁ……仲悪くはないかな」

ギャル「……だな」

女「ねぇ男くん」

男「ん?」

女「今後は私とも仲良くしてくれると嬉しいなー……なんて……」モジモジ

男「!!」キューーン

男「こ、こちらこそ是非仲良くさせて下さい!!」

女「やった!えへへ」

ギャル「おお……!」

女「私こっちだけど、ギャルちゃんは男くんと同じ方向だよね?」

ギャル「ん?ああ、そうだな」

女「じゃあここでお別れだね、二人ともまた明日ね!」

男「うん、また明日!」

ギャル「またな」

――――ファミレス

男「で、結局ここに来るわけだ」

ギャル「今日は物凄い進展したからな!今話し合わないでいつ話すの!?って感じだ!」

男「たしかに……」

ギャル「それにしても、さっきは女といい感じだったな!」

男「そ、そうかな?」

ギャル「もしかして脈ありなんじゃないか?」ニヤニヤ

男「いや、決めつけるのはまだ早い!!」キリッ

ギャル「今後は私とも仲良くしてくれると嬉しいなー……なんて……」モジモジ

男「ああ……あれは可愛かったなぁ……」デレ

ギャル「隅に置けないな!このこの!」ツンツン

男「いやぁ、あはは!」

男「そんなこと言ったらギャルさんだって」

ギャル「ん?」

男「一緒にお昼食べれて凄く嬉しいよ」ニコニコ

男「だったっけ?イケメンのセリフ」

ギャル「ああ……!!あれは効いたなぁ……」

男「前は“怖がられた”って言ってたけどそのイメージは払拭できたんじゃない?」

ギャル「その後も気さくに話しかけてくれたしな!進展しまくりだ!」

男「あはは」

店員「お待たせしました~、パフェDXになります」

コトッ

ギャル「!!?」

店員「ごゆっくりどうぞ~」

ギャル「パフェ!!?」

男「ああ、ギャルさんがお手洗いに行ってる間に頼んでおいた」

ギャル「ぐぬぬ……!ズルいぞ!!」

男「違う違う、これは俺からギャルさんに」スッ

男「進展したお祝いだよ」ニコニコ

ギャル「男……」ジーン

男「さあ、溶けないうちに食べて食べて!」

ギャル「じゃあ遠慮なく……いただきます!」

ヒョイ パク

ギャル「ん~~♪」

男(パフェ食べてる時のギャルさんは可愛いなぁ)ニコニコ

男「」ニコニコ

ギャル「……そんなに見つめられると食べ辛いんだが……」

男「ギャルさんが美味しそうに食べるから微笑ましくて」

ギャル「むー」

男「食べないなら俺がもらっちゃうよ?」

ギャル「だ、だめ!!これは私の!!」パクッ

男「……」

ギャル「ん~~、おいしい♪」

男「ふふ」ニコニコ

ギャル「ご馳走様でした」

男「いえいえ」

男「あ、そうだ!!」

ギャル「ん?」

男「連絡先、交換しない?」

ギャル「……」

男「あ、ごめん、嫌なら無理にとは言わないけど」

ギャル「別にいいぞ」

男「本当!?ありがとう!」

ギャル「でもどうして?」

男「今後ファミレスで集まれなくなるかもしれないし、気軽に相談できた方がいいかなぁ……って思って」

ギャル「え?なんで集まれなくなるんだ??」

男「だって今日みたいに女ちゃんと帰る機会も増えるだろうし」

ギャル「あー…………」

男「俺もイケメンと帰る時間が増えるかもしれないし」

ギャル「……」

男「それに俺らが放課後二人で密会してるのがバレたら、目標達成の妨げになりそうな気がしてさ」

ギャル「わかった。男がそう言うなら従う」

男「うん、だから連絡先交換しよ」

ギャル「ああ」

――――
――

スタスタ

ギャル「悪いな、奢ってもらって」

男「はは!俺が勝手に頼んだし、それにお祝いだから」

ギャル「……ありがとう」

男「?」

男(あれ?なんか不機嫌……?)

男(違う、元気がないような気がする)

男「……」

ギャル「……」

スタスタ

男「?」

ギャル「……」

スタスタ

男(んー?やっぱり様子がおかしい)

男(別に怒ってる感じではなさそうだけど……)

ギャル「……」

スタスタ

男(やっぱり連絡先交換するの嫌だったのかな?)

男(少し躊躇してたもんなぁ……)

ギャル「……」

男「じゃあ俺はこっちだから」

ギャル「ん」

男「また明日ね、ギャルさん」

ギャル「……」

男「ばいばい!」

ギャル「ああ」

男(さて帰宅帰宅っと)クルッ

スタスタ

ギャル「男!」ガシッ

男「ふぇ!?」

ギャル「……」

男「???」

ギャル「えと、その……」

男「んん??」

ギャル「あのな……うーん……」

男「もしかして……やっぱり連絡先交換するの嫌だった?」

ギャル「ちがっ!!……いや、うん、そうかも」

男(マジかー……ショック……)ズーン

男(そうだよな、そんなに親しいわけじゃないし……)ズーン

ギャル「ワガママでごめん……だけどイヤだって思ってしまったんだ」

男「いや、いいよ……俺の方こそデリカシーなかったかも」

ギャル「連絡先を交換することでファミレスで会えなくなるなら、交換なんてしたくない」

男「……ん?……あれ?」

ギャル「こうやって誰かと放課後を過ごすのも、ファミレスに寄るのも初めてだったんだ」

男「……」

ギャル「正直……楽しんでる自分がいて、だから……」モジモジ

男「それって……俺とファミレスで会えなくなるのが寂しいってこと?」

ギャル「はあ!?ちげーし!!」

男「……」

ギャル「パフェが食べれなくなるのがイヤなだけだし!!」

男「ふふ」

ギャル「か、勘違いすんなよ!!」

男「してないしてない」

ギャル「むー」

男「俺らは同志で仲間だから、実際に顔合わせて喜びを共有したいもんな」

ギャル「そうそう!ケータイの画面越しじゃ素っ気ないだろ?」

男「たしかに」

男「わかった。ファミレスでの密会は継続していこう」

ギャル「!」

男「ただやっぱり連絡先は交換しておこう」

ギャル「ああ」コクン

男「ファミレスに呼び出すためのツールとしてあった方が便利だしね」

ギャル「その通りだ」

男「じゃ、そういうわけで今日は解散!!」

ギャル「また明日な」

男「うん、またね」

――――
――

男(まさかギャルさん、ファミレスで会うのを楽しみにしてたなんて)

男(理由はどうあれ嬉しいなぁ)

――翌日 教室

イケメン「男くん!」

男「ん?」

イケメン「前もって言っておくけど、今日のお昼は一緒に食べれないんだ、ごめん」

男「ん?ああ別にいいけど――」

男(まさか!?女ちゃんと!!?)

男「理由を聞いてもいいか?」

イケメン「ほら、一緒にいる時に断った子がいたでしょ?今日はその子と約束があるんだ」

男「あー……なるほど!俺の事は気にせずその子と食べてきなよ!」

イケメン「ああ。その代わりに放課後、時間とれるかな?」

男「放課後?」

イケメン「話したい事があるんだ」

男「話?別にいいけど……」

イケメン「本当!?ありがとう!」

男(あ、一応ギャルさんに連絡しておくか)

男『今日の放課後はイケメンと過ごすことになった。ファミレスは無理そうだからそのつもりで!』

男(送信、っと)

ギャル『わかった』

男(おお、素っ気ないけどギャルさんらしい返事がきた)

男(それにしても、イケメンの話ってなんだ??)

男(少し気になるな……)

――――放課後 カフェ

男「すごいオシャレなカフェだな」

イケメン「だろ?コーヒーがお勧めなんだけど飲める?」

男「ああ、うん……てか高そうだな」

イケメン「全然そんなことないよ!あ、今日は俺が誘ったから奢るよ」

男「え?いや、自分の分は払うから」

イケメン「いいからいいから、その代わり話を聞いて欲しいんだ」

男「うーん、わかった」

イケメン「とりあえず注文を済ませちゃうね」

男「うん」

男「」ズズズ

イケメン「どう?」

男「美味しい……!!」

イケメン「でしょ?」

男「実はコーヒー苦手なんだけど、これはイケるわ」

イケメン「はは、口に合ってよかったよ!」

男「それで」コトッ

男「話ってなんだ?」

イケメン「ああ」

男「……」

イケメン「……」

イケメン「とりあえずこれを見てもらえるかな?」ドサッ

男「これは?」

イケメン「まずは見てくれ」

男「うん」

男(アルバムか?)ペラッ

男「これってもしかしてイケメンの小さい頃の?」

イケメン「ああ」

男「赤ちゃんの頃、めっちゃ可愛いな!!」ペラッ

イケメン「ははは」

男(なんだ?自慢したいのか??)ペラッ

男「あれ?」ペラッ

男(これは…………)ペラッ

イケメン「…………」

男(イケメンが小学生になった頃から徐々に太っていって……)ペラッ

男(中学に上がる頃には……すごい太って……)ペラッ

イケメン「すごいだろ?」

男「信じられない」ペラッ

イケメン「中学時代はその体形のせいで虐められてたんだ」

男「イジメ!!?」

イケメン「必死にダイエットして、トレーニングして今に至る」

男「そう、だったのか……」

イケメン「見た目が変わるだけで周りの対応がガラリと変わるんだ、面白いよな」

男「……」

イケメン「こうして高校デビューに成功したってわけさ」

男「凄い努力したんだな」

イケメン「ああ……」

男「見た目だけじゃなくて、中身もカッコいいなんて……」

イケメン「幻滅……しないのか?」

男「幻滅する要素がどこにある?むしろ逆に好感度上がったよ」

イケメン「やっぱり!思った通り、君はいい奴だな!」

男「はい?」

イケメン「俺にとって太ってた過去はトラウマなんだ。でも君なら受け入れてくれる気がして……」

男「いや、俺以外でも受け入れるって!買い被りすぎだよ」

イケメン「そんなことないよ」

男「……」

イケメン「これを踏まえて本題に入るね」

男「え??これが本題じゃないの?」

イケメン「ああ」

男「本題ってなんだ??」

イケメン「俺は女ちゃんの事が好きなんだ」

男「!!!」

イケメン「君に協力して欲しいと思ってる」

男「き、協力??そんな事しなくてもイケメンなら……」

イケメン「彼女にはどんなにアプローチしても上手に躱されてしまってね」

男「でもイケメンなら協力なんてしなくてもいずれは……」

イケメン「大概の女の子ならね。でも女ちゃんは違うんだ、普通に接してくれた」

男「普通に?」

イケメン「そう。異性としてでもなく、外見でもなく、普通に一人の人間としてね」

男「だから惚れた、と」

イケメン「うん」

イケメン「他の子なら少しアプローチしたら簡単になびくんだけど、彼女は違う」

男「簡単になびく……?」ピクッ

イケメン「そうなると益々欲しくなってしまうのが人の性ってもんだろ?」

男「そんな理由で女ちゃんと付き合いたいのか?」

イケメン「もちろん好きだって気持ちが前提にあるよ」

男「……」

イケメン「どうかな?」

男「悪いが協力はできない」

イケメン「そっか……」

イケメン「困ったなぁ……女ちゃんってガード固いから二人っきりだと断られちゃうんだよなぁ」

男「……」

イケメン「あ!次からはギャルさんも含めて女ちゃんを誘えばいいのか!」

男「!!」

イケメン「それだったら女ちゃんも俺の誘いに乗ってくれるよね!どう思う??」

男「そ、それは……」

イケメン「本当は男くんがいた方が2対2でバランスとれていいんだけど、男くんには断られちゃったし」

男(ギャルさんをダシにして女ちゃんと距離を縮めるだと?)

男(目の前で女ちゃんを口説くイケメン……ギャルさんはそれを目の当たりにして耐えられるのか?)

男(ギャルさんが悲しむ顔は……見たくないな……)

男「イケメン、2対2の方が都合がいいなら俺も協力するよ」

イケメン「本当かい!?」

男「あくまでも人数合わせで同行するだけだ。それ以上は協力しない」

イケメン「それで十分だよ!」

男(そっちの方が、イケメンの行動を監視できるし俺も都合がいい)

イケメン「ほら、俺が女ちゃんを口説いてる時にギャルさんを一人にするわけにはいなないでしょ?」

男「……」

イケメン「君がいてくれるとギャルさんは一人にならなくて済むし、スムーズに事が進むと思うんだ!」

男(俺は女ちゃんが好きで、ギャルさんはイケメンが好き)

男(この構図を知らないから仕方ないし、悪気がないのも分かってるけど……)

男(やっぱムカつくなぁ……)

男(絶対にこいつの思い通りにはさせん!!)

イケメン「男くん!」

男「ん?」

イケメン「明日か明後日、土日で学校休みだけど予定ある??」

男「いや……特にない、かな」

イケメン「じゃあ早速誘っちゃおうかな!」

男「え??誰を……?」

イケメン「女ちゃんに決まってるじゃないか!」

男「!!」

男(すげー行動力だな、おい……っていうか!)

男「女ちゃんの連絡先知ってるの?」

イケメン「うん。前に女ちゃんの友達に聞いたからね」

男「はあ」

男(結局こうやって行動できる奴がモテるんだろうな……感心するわ)

男「で、でもいきなり誘ってOKもらえるのか??」

イケメン「俺一人じゃ無理だろうね、でも男くんがいるから」

男「は?俺がいて何が変わるのさ」

イケメン「なんとなくだけど、男くんがいると成功率が高くなる気がするんだ」

男「なんだそりゃ」

イケメン「それにギャルさんもいるしね!」

男「……」

イケメン「じゃ、ちょっと外で電話してくるからここで待ってて!」

男「あ、ああ」

男「……」ズズ

男「ふぅ」

男「……」ズズズ

イケメン「お待たせ!」

男「ああ、どうだった?」

イケメン「日曜日に水族館に行くことになったよ」

男「水族館……?」

イケメン「知らないのかい?水族館といったら男女の仲が深まる定番デートスポットじゃないか」

男「いや、全然知らない……」

イケメン「薄暗い館内で二人の距離が縮まること間違いなしさ」

男「へぇ……」

男(なんとしても阻止してやんよ!!)

――男 自宅

男「阻止するっていっても……」

男「具体的にどうすればいいんだ?なーんも思いつかない……」

男「とりあえずイケメンと女ちゃんを二人っきりにさせないようにするしか――」

ピロリン

男「ん?メッセージ?」

ピッ

ギャル『明日、昼の12時にファミレス集合で』

男「……」

男「マジか……」

――翌日 ファミレス

ギャル「えーっと」キョロキョロ

男「あ!ここだよ!ギャルさん」

ギャル「おー今日は悪いな、呼び出してちゃったりして」

男「……」

ギャル「あ?どした?」

男「いや、私服のギャルさんが珍しくて……」

ギャル「……おかしいか?」

男「とんでもない!とてもギャルさんらしいなぁと」

ギャル「……」

男(ジーパンにTシャツってシンプルな格好なんだけど……)

男(改めて見ると……こう、なんていうか、スタイル良いな)

ギャル「あんま見んなし!」

男「ご、ごめん」

ギャル「今日呼び出したのは、まさに服装についてなんだ」

男「服?」

ギャル「ほら明日はイケメン達と遊ぶだろ?今までこういったイベントには縁がなくて……その、どうしたらいいのか……」

男「あー……なるほど、イケメンとのデートに備えてオシャレしようと」

ギャル「ちがっ、いや、うん、その通りだ」

男「ギャルさん」

ギャル「なんだ?」

男「自慢じゃないが俺はオシャレとは無縁だ」

男「相談する相手を間違っているとしか思えない」

ギャル「仕方ないだろ!こんなこと話せるの男くらいなんだから!」

男「そう言われても……女物の服なんてよくわからないし……」

ギャル「別にそこまで期待してない。ただ似合うか似合わないか客観的に判断してほしいだけだ」

男「客観的に?どういうこと?」

ギャル「ここでお昼を済ませたらモールに服を見に行くぞ」

男「え!?マジですか……?」

ギャル「マジだ」

男「いや待てよ……ついでに俺も見ておくか……」

ギャル「ああ、その方がいいだろう」ジー

男「なにその哀れんだ目は」

――ショッピングモール

ギャル「まずは男の服からだな」

男「事前に言っておくけど、今そんなにお金持ってないよ」

ギャル「この店なら安くて品揃えも豊富だから、まぁ見るだけ見てみよう」

男「おお……」

――――
――

ギャル「これなんかいいんじゃないか?」スッ

男「そう?」

ギャル「いや、こっちも」スッ

男「うん?」

ギャル「あーでも男のイメージだとこっちの方が……」スッ

男「あー」

男(ギャルさん、めっちゃ真剣に選んでくれてる)

男(なんかこういう一面って女の子らしくて、いいな)

男「買ってきたよー」

ギャル「じゃあ次は私だな」

男「ギャルさんは普段どんな服着てんの??」

ギャル「大体こんな感じだ」

男「可愛い系とかは着ないの?」

ギャル「似合わないから着ない」

男「似合わない?ギャルさんはスタイル良いしなんでも似合いそうだけど」

ギャル「!!」

男「ちょっとフリフリしてる服とか着てみてよ」ニヤニヤ

ギャル「い、いやだ!断る!!」

男「試着だけならいいじゃん!」ニヤニヤ

ギャル「調子に乗んな!!」

男「例えば……これとかどう?」スッ

ギャル「わ、わんぴ……」

男「試着だけでもしてみない?」

ギャル「無理だ!絶対に似合わない!!てか、これ丈が短すぎだろ!!」

男「ミニスカのワンピ、絶対似合うよ!イケメンも喜ぶかもしれないよ?」

ギャル「これはお前の趣味だろ!」

男「ギャルさんさぁ……普段着ないような服を買うために俺を誘ったんでしょ?」

ギャル「ぐっ、それは……」

男「ね?試着だけでもしてみよ?」

ギャル「うう……わ、わかった……」

男「おお!じゃ、店員さんに声かけてくるね!」

ギャル「うう……」

男(無理やり試着室に押し込んだのはいいが……)

男(随分時間かかってんなぁ)

ギャル「うぅぅ……短すぎる……」

男(とっくに着替え終わってるはずなのに)

ギャル「うう……」

男「ギャルさーん、着替え終わってるなら開けてー」

ギャル「む、むりだ!!」

男「着替え終わってんでしょ?」

ギャル「う、うん」

男「じゃあ開けるよー」

ギャル「え?ちょっと待て!まだ心の準備が!」

男「えいっ」シャッ

ギャル「っ!!!」

男「…………」

男「あ……れ……?」

ギャル「……な、なんだよ」

男「あっ!!ギャルさんか!!」

ギャル「はあ!?」

男「あまりにも綺麗すぎて別人かと思った!」

ギャル「きれ!?お、おい、適当なこと言ってんじゃねーよ!」///

男「本音だけど……マジで綺麗だし、可愛いし、どっかのモデルさんみたいで――」

ギャル「え、ちょ……」///

男「とにかく!言葉では言い表せないくらいとても似合ってるよ、ギャルさん」

ギャル「~~!!」シャッ

男「え!?なぜカーテンを閉める?」

ギャル「着替える!!それで今日はもう解散!!」

男「ええぇぇぇ」

――自宅

男(結局……あれからギャルさんは足早に帰っていっちゃったけど)

男(買い物しないでよかったのか?)

男(明日のことでイケメンと女ちゃんが二人きりにならないように対策を練りたかったんだけどな)

男「……」

男「てか上手くコトを運べれば……俺と女ちゃん、イケメンとギャルさんって組み合わせで行動できるかも……」

男「そうなれば最高だけど……」

男「そんな器用に立ち回れたら今まで苦労してないっつーの」

男「でも!せっかくのチャンスだ!!やってやる!!」

――翌朝 駅前

男「あれ?俺が一番最後だ」

イケメン「やあ、おはよう!」

男「おー、朝から爽やかだな」

イケメン「はは、どうもありがとう」

男「女ちゃんもギャルさんもおはよ」

女「おはよ、男くん」ニコニコ

男(ああ!笑顔が尊い!!)

ギャル「……はよ」プイッ

男(うわぁ……なんか不機嫌そう……昨日のこと引きずってるのか?)

男(服装も昨日みたくシンプルなのにしたのか……)

イケメン「さて、揃ったところで出発しようか!」

女「はーい!楽しみだね、ギャルちゃん!」

ギャル「あ、ああ」

――水族館

男「おー!水族館!!思ってた以上にテンションあがる!!」ウキウキ

イケメン「随分楽しそうだね」

男「小さい頃に行って以来だからなぁ」

女「私もすごく久しぶりだから楽しみだったんだ!」

男「へぇそうなの?」

女「うん!あ、男くん!アレなにかな!?」

男「あれは――」

男(一つの水槽を女ちゃんと二人で覗いて……)

男(なにこれ、超楽しいんですけど!!)

女「ギャルちゃんもおいでー!」

ギャル「あ、ああ……」

男「……?」

ギャル「……」

男(まだ不機嫌なのかな?それともイケメンがいるから緊張してる……とか?)

イケメン「女ちゃん、こっちに珍しい魚がいるよ」

女「え?どれどれー?」スタスタ

男「ギャルさんも水族館くるの久しぶりだったりするの?」

ギャル「ああ……久しぶり――」フラッ

男「!?」ガシッ

男「大丈夫!?」

ギャル「ご、ごめん……薄暗いからちょっと躓いただけだ」

男「……」

ギャル「早く行かないとあの二人が」

男「う、うん」

男「何見てるの」ヒョイ

女「あ、男くん」

イケメン「……」チラッ

男(イケメン!お前の思い通りにはさせんぞ!!)

女「あれ??ギャルちゃんは??」

男「え?俺の後ろに……」クルッ

男「あれ?いない……」

女「はぐれちゃったのかな!?」

イケメン「この一本道ではぐれる事はないだろう」

男(そういえばさっきもフラついてたし……)

男(もしかして不機嫌じゃなくて調子悪いんじゃ!?)

男「ちょっと俺、様子見てくる!!」タタタ

女「待って男くん!私も行く!」タタタ

イケメン「……」

男「」キョロキョロ

男「いた!!」

ギャル「ふぅ……」

男「ギャルさん!大丈夫!?」

ギャル「ああ、すまない……ちょっと目眩が」

女「ギャルちゃん!」

イケメン「大丈夫かい??」

ギャル「皆……ごめん、ちょっと貧血みたいで……少し休んだら合流するから皆は先に見て回っててくれ」

女「そんな!ギャルちゃんを一人にしておけないよ!私も一緒にいる!」

男「ギャルさん、とりあえず落ち着いて座れる場所に移動しよう。少し歩ける?」

ギャル「ああ」

女「私に捕まってて!」

ギャル「……ごめん」

男「はい、ギャルさん」スッ

ギャル「野菜ジュース?」

男「本当は鉄分が入った飲み物がいいんだろうけど、それっぽいのはこれしかなくて」

ギャル「ありがとう」

女「ギャルちゃん、落ち着くまで一緒にいるからゆっくりしててね」

ギャル「いや……先に行っててくれ。すぐに合流するから」

女「ダメだよ!せっかく一緒にきたんだから一緒に回ろう?」

ギャル「このまま私に付き合わせるのは私自身が嫌なんだ。頼む、先に行っててくれ」

女「でも!」

男「女ちゃん、イケメンと先に行っててくれる?ギャルさんには俺が付き添うから」

女「え?」

男「イケメン!この後の時間にイルカショーがあるんだ、俺らの分もいい席を確保しておいてくれ」

イケメン「ああ!お安い御用さ!」

男「女ちゃんもイケメンと一緒に席を確保してくれるかな?」

女「で、でも……」

男「ギャルさんは女ちゃんに迷惑かけるのが一番辛いみたいでさ」

男「俺に迷惑かける分には気後れしないでしょ?」

ギャル「ああ」コクン

女「…………」

イケメン「さ、早く行かないと特等席が取られちゃうかもしれない。行こうか、女ちゃん」

男「すぐ追いかけるから先に行ってて」

女「う、うん……わかった……」

ギャル「……」

男「……」

ギャル「イケメンと女、二人っきりになっちゃったぞ。よかったのか?」

男「それは……すぐ追いかければ問題ないっしょ」

ギャル「……」

男「それよりも体調が悪いなら前もって言ってくれればよかったのに」

ギャル「体調は悪くないんだ。ただ……」

男「?」ふ

ギャル「寝不足で……」

男「寝不足?」

ギャル「しょうがないだろ!!楽しみだったんだから!」

男「ギャルさんって遠足の前日に眠れなくなるタイプの人だったのか、意外だ」

ギャル「うるせー!!」

ギャル「……」シュン

男「どうしたの?」

ギャル「私は……何をしてるんだろうな……」

男「??」

ギャル「楽しみにしていたのに自分で台無しにして……すごく惨めだ」

男「そんな!まだ始まったばかりだし、これから楽しめばいいんだよ!」

ギャル「それに……彼は私の事なんてまるで眼中にないみたいだ……」

男「彼?……ああ……それは……」

ギャル「彼もきっと女が好きなんだろ?見てれば嫌と言うほど伝わってくる」

男「……うん」

ギャル「ふふ、当たり前だよな。私なんて無愛想な女より、可愛らしくて愛嬌のある女の方がいいに決まってる」

男「ギャルさん」

ギャル「……」

男「ギャルさんにはギャルさんだけの魅力がある。だからそんなに自分を蔑まないで」

ギャル「気休めならやめてくれ」

男「気休めじゃない、本当にそう思ってるよ」

ギャル「……」

男「たしかに、ギャルさんはいつも堂々としてて無愛想で近寄りがたい雰囲気を持ってる」

ギャル「……」

男「臆病で素直じゃなくて、そのくせに俺に対しては強引でそれが少し面倒くさい」

ギャル「めっちゃ蔑んでくるのな」

男「そんなギャルさんがたまに見せる素直な感情や表情、普段のギャップもあってとても可愛らしくて」

ギャル「!?」

男「そんなギャルさんを見るたびに俺は……」

男(………………俺は?)

男(いや!待て待て、俺は今何を言いかけた!?)

男(俺は……ギャルさんに惹かれていってる……?)

男(いや、そんな、まさか……だって俺には女ちゃんが)

ギャル「?」ジッ

男「!!」

男「とにかく!ギャルさんはもっと自分に自信を持つこと!」

ギャル「自信っていわれてもなぁ……」

男「いつも通り無愛想に堂々としてればいいんだよ!」

ギャル「そうか、そうだよな」

男「うん」

ギャル「今更自分を変えることなんてできないし」

男「うんうん」

ギャル「もう無理に愛想良くするのはやめるよ」

男「え?」

男(振り返れば、今日はぎこちない笑顔が多かったのも愛想良くしてるつもりだったのか?)

ギャル「そろそろ合流しよう、いつまでも二人っきりにさせるわけにはいかない」

男「そうだね」

男「お待たせ!」

女「ギャルちゃん!もう大丈夫!?」

ギャル「ええ、もう大丈夫。心配かけちゃったな」

女「ううん、全然!気にしないで」

イケメン「ギャルさん、元気になってよかったよ」ニコッ

ギャル「ん」

イケメン「そうだ!まだ時間もあることだし、男くんと館内を回ってきたら?二人ともあまり見れなかっただろ?」

女「それなら私も一緒に行く!イケメンくん、席見ててもらえるかな?」

イケメン「え!?あ、ああ、わかった」

男(イェーイ!イケメンざまぁ!!)

男「じゃ、頼んだ」

ギャル「わ、私は!まだ少しフラつくからここにいようかなー……」

男「!?」

ギャル「女、悪いが男と二人で回っててくれないか?」

女「え!?で、でもギャルちゃん」

ギャル「私の体調が良くなったら改めて一緒に回ろう。だから、な?」

女「それなら……うん、じゃあイケメンくん!ギャルちゃんのことお願いしていいかな?」

イケメン「あ、ああ」

男(ギャルさん、もしかして俺と女ちゃんを二人っきりにさせようと)

男(ありがたい!ありがたいんだけど……今度はイケメンとギャルさんが二人っきりか……)

男(何考えてんだ?理想の展開じゃないか)

男「二人ともごめんね。じゃあ行こうか女ちゃん」

女「うんっ!」ニコッ

女「見て見て!この子可愛い~♪」

男「うん、そうだね」

男(でも、魚を見てる女ちゃんの方が可愛いっす)

女「ね、男くん」

男「ん?」

女「こうして二人でいると林間学校のこと思い出さない?」

男「あー……うん」

男「あの時もトラブルで俺と女ちゃん二人っきりになったよね」

女「そうそう!ふふ、懐かしいなぁ」

男(それがきっかけで女ちゃんの事を好きになったんだ、忘れるわけがない)

女「でもよかった」

男「ん?」

女「またこうやってお話しできるようになって」

男「……」

女「林間学校が終わってから接点なくなっちゃって少し寂しかったんだ」

男「え……それって」

女「えへへ、じゃあ戻ろっか!」

男「う、うん」

男「えーと、たしか最前列だったよね」

女「うん!」

男「ギャルさんとイケメンは……」キョロキョロ

男「あっ……」ピタッ

女「ん?」

男(ギャルさんとイケメンが仲良さそうに喋ってる)

男(ギャルさんが笑顔で……)

女「あ!ふふ……待たせて申し訳ない気持ちだったけど、あの二人とっても楽しそうにしてる」

男「そう、だね」

女「男くん知ってた?ギャルちゃんって笑うと凄く可愛いんだよ!」

男「……」

女「男くん?」

男「え?」

女「……」

男(俺だけが知ってるギャルさんの可愛らしい一面が皆にに知られていく……)

男(それはとても喜ばしい事……なのだが……)

男(できたら俺だけが知っていたかったという気持ちもなくはないわけで……)

男(って!!なんておこがましい考えなんだ!)

男(それに)

男(俺は女ちゃん、ギャルさんはイケメン、理想通りの展開じゃないか)

女「男……くん?」

男「ああ、ごめん、ボーっとしてた。二人に合流しようか」

女「……うん……」

男「……」ムスッ

イケメン「はは!見てごらんあの魚!ずいぶん間抜けな顔だね」ニコニコ

男「なにが楽しくてお前と二人で回らなきゃならん」

イケメン「しょうがないだろ?女ちゃんがギャルさんの為に最初っから見て回るって」

男「俺らも付いていけばよかっただろ?」

イケメン「却下だ。それはスマートじゃない」

男「なんだそれ」

イケメン「さあ、行こう!男くん」

男「てかイケメンは女ちゃんの事が好きで狙ってんじゃないのかよ!」

イケメン「俺は勝てない勝負はしない主義なんだ」

男「は?」

イケメン「女ちゃんは君に気があるようだし、ね」

男「はい?いや、それはないだろ!」

イケメン「ははっ、俺が勝手にそう思っただけだから気にしないで」

男(たしかに……女ちゃんは俺に対して好意的な気がする。勘違いだったら嫌だから認めなかったけど……)

男(マジでそうなのか?もしそうなら、夢みたいだ)

男(でも嬉しいはずなのに、少し戸惑ってしまう自分もいて……)

イケメン「ほら、折角だから楽しもうよ!」グイッ

男「ええい!引っ張るな!!」

イケメン「あはは」

男(それになんでコイツはこんなにテンションが高いんだ??)

――駅前

イケメン「今日は楽しかったね!」

女「うんっ!」

ギャル「ああ」

イケメン「まだ時間早いけど、明日から学校もあるしここで解散にしようと思う。どうかな?」

男「賛成!」

男(帰宅して頭の中をゆっくり整理したい)

女「うん、私もそれでいいよ」

イケメン「ギャルさんは?」

ギャル「問題ない」

イケメン「うん、じゃあ解散!また明日ねー!」

男(女ちゃん……ギャルさん……)スタスタ

男(なんで??いつの間にギャルさんが?)

ピロン

男「??」

ギャル『これからファミレス集合な!』

男「マジか……」

男(そういえばイケメンとギャルさんは何の話で盛り上がってたんだろ?)

男(あとでさり気なく聞いてみるか)

――ファミレス

ギャル「よっ!さっきぶり!」

男「よっ!じゃないでしょ……寝不足なら早く帰れば良かったのに」

ギャル「今日は迷惑かけちゃったからな。直接謝りたかったんだ」

男「別にそれくらい……」

ギャル「ごめんね、男」

男「……」

ギャル「それに……ありがとう」

男「え?」

ギャル「飲み物くれて、付き添ってくれて……その……えと……う、嬉しかった……」カァァァ

男(なんだそれ!なんだそれ!!そんなん反則だろ!!可愛すぎるだろ!!)

ギャル「///」プイッ

男「はぅ」キューーン

男「あ、そういえばイケメンと楽しそうに話してたけど……仲良くなれたの?」

ギャル「ん?ああ……醜態晒したら緊張してたのがバカらしくなってね。自然体で話せたと思う」

男「そっか、よかったね」

ギャル「ああ」

男「……」

ギャル「男こそ、少しだけだったけど女と一緒に回れて良かったな」

男「ああ、うん。ギャルさんのおかげだよ。気を使ってくれてありがとう」

ギャル「ああ」

男「……」

ギャル「……」

ギャル「ふわぁぁぁ……」

男「女の子が大口を開けてアクビって……」

ギャル「なんかお前の顔見たら安心しちゃってさ、眠気が一気にきた」

男(それは……喜んでいいのか……?)

ギャル「うーん」スッ

男「え!?ちょっ!ここで寝るつもり!?」

ギャル「5分だけ、頼む……」スヤ

男「ええぇぇぇ……」

ギャル「zzz」

男(テーブルに突っ伏して寝ちゃったよ……)

男(はぁ……ったく……)

男(15分後に起こしてあげるか)

男「それにしても……」

男(綺麗な髪色だな、根元も茶髪ってことは地毛なのか?)

男(睫毛も長いし、鼻筋もスッとしてるし……もしかしてどこかの国のハーフだったりするのかな?)

男(思えばギャルさんの事、知らない事だらけだ)

男(少しづつ知っていけたらいいなぁ……)

男「」ジー

ギャル「zzz」

男「ギャルさん、そろそろ起きて」トントン

ギャル「zzz」

男「ギャルさーん」ユサユサ

ギャル「zz……はっ!!」ガバッ

男「おはよ、ギャルさん」

ギャル「あれ?」キョロキョロ

ギャル「あ、そっか私このまま寝ちゃって……」

男「ヨダレ、めっちゃ垂れてるよ」

ギャル「ふぁ!!?」ゴシゴシ

男「あはははは」

ギャル「あれ?私、どれくらい寝てた??」

男「えーと30分くらいかな」

ギャル「そんなに!?」

男「ああ、おかげで寝顔をじっくり観察できたよ」

ギャル「!!!」

男「とっても可愛い寝顔だったよ」ニコッ

ギャル「~~~!!!」カァァァァァ

男「ふふ」

ギャル「おま!さっきからなんだ!?意地悪だぞ!!」

男「意地悪って……ふふ」

ギャル「!!!」

ギャル「もう帰る!!」プイッ

男「え?本当に?」

ギャル「男なんて嫌いだっ!ベーっだ!!」

男「そっか……パフェDX頼んでおいたんだけど帰るなら仕方ないよね」

ギャル「……!!」

男「勿体無いけど破棄してもら――」

ギャル「た、食べ物を粗末にするな!!」

男「じゃあギャルさん、帰らないで食べてくれる?」

ギャル「まったく、しょうがないから頼まれてやんよ」

男「……」

ギャル「ん~!おいし~♪」

男「」ニコニコ

ギャル「んっ」パクッ

ギャル「~~♪」

男(女ちゃんといると緊張して何を話していいか分からなくなるけど)

男(ギャルさんといると自然体でいられる)

男「ああ……そうか……」

ギャル「ん??」

男(いつの間にか俺は、目の前のこの人の事が好きになってたんだ)

――翌朝 教室

男「おはよ~」

イケメン「あ、男くんおはよう!昨日はどうもありがと」

男「ん?ああ、こちらこそ」

ギャル「……はよ」

男「あ、ギャルさんもおはよ」ニコッ

ギャル「ん」

イケメン「ギャルさん!さっきの話の続きなんだけどさ~」

ギャル「……」

男(……あ?)

男(イケメンのやつ……ギャルさんと親しげに何、話してんだ!?)

男(女ちゃんの次はギャルさんがターゲットか!?)

男(おのれイケメンめ!!)

女「男くんおはよっ」

男「あ、女ちゃんもおはよう!」

男「……」チラッ

男(ギャルさんはイケメンの事が好きだから……このままじゃギャルさんは……)

男(いや、ギャルさんにとっては理想の展開か……元々そういう計画だったじゃないか)

男「はぁ……」

女「……?」

男「……」チラッ

イケメン「――!――!」

ギャル「――――」

男「……むぅ」

女「………………」

――昼休み

女「ね、ギャルちゃん……大事な話があるんだけどいいかな?」

ギャル「大事な話?」

女「うん、できれば二人っきりになれる所で話したいな」

ギャル「うん?わかった」

――――
――

ギャル「それで大事な話っていうのは??」

女「ギャルちゃんは……好きな人いる?」

ギャル「え!!?い、いきなり何を……!?」

女「いる?」

ギャル「そ、それは……」

ギャル「……」

女「イケメンくんが好きなのかな?」

ギャル「それは……」

女「それとも……男くんが好き?」

ギャル「!!!」

女「やっぱりそうなんだね……」

ギャル「ちがっ!!いや、正直……わからないんだ……」

女「?」

ギャル「イケメンの事が好きで、男に相談したのが始まりだった。だけど今は……男といる時間が、その……」

女「そんなのズルいよ」

ギャル「え?」

女「男くんと一緒に過ごしてるうちに好きになっちゃったの?」

ギャル「それは……」

女「なにそれ?そんなの納得できない!」

ギャル「……」

女「私はずっと前から男くんの事を好きだったんだよ?数日一緒にいたくらいで好きになっちゃうアナタとは年季が違うの!」

ギャル「そう、だったのか……」

女「イケメンくんの事も好きなんでしょ?昨日からイイ感じだし、イケメンくんでもいいじゃない!」

ギャル「イケメンは……違ったんだ。恋愛感情だと思っていたけど、それはただの憧れだった」

女「なにそれ!?だから次は男くんってわけ!?」

ギャル「まだ、自分の中でもハッキリしてなくて……こういうのは初めての経験だし」

女「へぇ……そうやって純情なフリして男くんをたぶらかしたんだ」

ギャル「なっ!?」

女「見た目ハデな子が実は……ってやつ?男の子ってそういうギャップに弱いもんね~。ギャルちゃんって意外と計算高いんだね」クスクス

ギャル「な、なにを言ってるんだ?意味がわからない!」

女「とにかく!そんな中途半端な気持ちで男くんに近付かないで!」

ギャル「……嫌だ……」ボソッ

女「は!?」

ギャル「たしかに私の気持ちは女には劣るかもしれない。だけどこのまま男と一緒に居られなくなるなんて、そんなの嫌だ!」

女「……」

ギャル「素直にそう思えるくらい、男といる時間は私にとって特別なものなんだ」

女「じゃあ私が男くんの彼女になったら会うのやめてくれる?」

ギャル「!!?」

ギャル「それは、うん……もちろん……」

女「そっか!じゃあ問題ないかな!」ニコッ

ギャル「……」

女「男くんってきっと私に気があると思うんだよね」

ギャル「!?」

女「でも告白ってやっぱり男の子から言って欲しいじゃない?だからずっと待ってたんだけど……それも今日で終わり」

ギャル「……」

女「だから、ね?ギャルちゃん」ニコッ

ギャル「……」

女「もう男くんとは会わないでね」ニコニコ

ギャル「……」

――放課後

男(今日は特に予定ないし、ギャルさんとファミレスでも行こうかな)

男(すぐそこにいるけど……なんだか気恥ずかしいし、メールでいいかな?)

男『もし予定なかったら今日もファミレス行かない?』

男(送信っと)チラッ

ギャル「!」

男(お、気付いたみたいだ!)

ギャル「……」チラッ

男「」ニコッ

ギャル「……」シュン

男「あれ??」

女「男くんっ!」ヒョコ

男「え!?女ちゃん、どうしたの?」

女「この後時間あるかな?」

男「この後は……」チラッ

ギャル「……」フイッ

男(なんだ?)

女「男くんに大事な話があるの」

男「大事な……話?」

女「うん……だからお願い……この後の時間、私にちょうだい」

男「あ、ああ……わかった」

女「ありがとう!!」

男「えーっと、どこかに移動する?」

女「うん!外に行きたいから帰りの荷物持って行きましょ!」

男「う、うん」

女「それじゃあまた明日ね、ギャルちゃん」ニコッ

ギャル「あ…………」

男『ごめん!俺から誘っておいて申し訳ないんだけど今日は無理かも……また行こうね!』ポチポチ

男(送信っと)

女「誰かにメール?」

男「え?う、うん、ちょっとね」

女「ふーん」

男「……」

男(な、なんか空気が重いような……気のせいか?)

女「さ、行こっ!」

男「うん……」

ギャル「……」

――――
――

男「あれ?どこまで行くの??」

女「えへ、それは着いてからのお楽しみで」

男「??」

女「ささ、行きましょう!」グイッ

男「ええ!?」

男(女ちゃんに腕を組まれた……だと?)

――――

女「到着だよー!」

男「こ、ここは……まさかっ」

女「私の家だよ」

男「ええぇぇぇ!!?」

女「さ、入って入って!」グイグイ

男「ちょっ!ええ!?」

男「お、お邪魔します……」

女「あ!私の両親共働きで夜遅くまで帰ってこないから大丈夫だよ」

男(大丈夫って一体なにがどう大丈夫なんだ?少なくとも俺は全然大丈夫じゃない)

女「じゃあ私の部屋に行こっか」

男「……」

女「でも……男の子入れるの初めてだから緊張しちゃうな」

男「!?」

女「えへへ」

男(ああ!なんだこの状況は!?大事な話があるって、なんでここに!?)

ガチャ

女「はい、どうぞ」

男「おお……!」キョロキョロ

女「あ、あんまり見られるのは恥ずかしい……かな」///

男(ふわぁぁぁ!!すっげぇぇいい匂いがするっ!!)

男(女の子っぽい可愛らしい部屋だし!!)

男(俺の部屋とは違って空気が澄んでる!これはきっと気のせいじゃない!!)

女「えと、その辺に座ってもらえるかな?」

男「うん……」

女「何か飲み物取ってくるね」

男「そんな、お構いなく」

女「あ!私がいない間に物色したらダメだからね!」

男「神に誓ってそんなことはしません!!」

女「ふふふ」

男(落ち着け、落ち着け、落ち着け)ドクンドクン

男(俺は今……女の子の部屋にいる)ドクンドクン

男(しかもずっと片想いしていた女の子の部屋だ)ドクンドクン

男(大事な話って……やっぱりそういう事なのか!?)ドクンドクン

ガチャ

女「お待たせ~」

男「っ!!」ビクッ

女「ふふ、驚きすぎだよ男くん!」

男「ごめん、俺も女の子の部屋に来るの初めてだから緊張しちゃって」

女「本当に!?……なんだか凄く嬉しいなぁ……」ニコッ

男(うあぁぁぁぁ!!可愛いぃぃぃぃ!!)

女「あ、あのね、男くん」

男「う、うん」

女「大事な話っていうのは……その……」

男「……」

女「林間学校で二人で行動した時から、ずっと……私……」

男(林間学校で?そんな……)

女「ずっと男くんの事が好きだったの!!」

男「!!」

男「あ…………」

男(じゃあ女ちゃんと俺はほぼ同時期にお互いを好きになってたってことか!?)

男(なんてこった……)

男「あ……その……」

女「……」

男「俺も……林間学校の時から女ちゃんの事が……」

女「…………」

男「ずっと、ずっと好きだったんだ」

女「ほ、ほんとに!?」

男「うん」

女「それって!じゃあ私たちはずっと両想いだったって事だよね!?」

男「うん」

女「~~~!!」

男「……」

女「嬉しい……すごく嬉しいよぉ……」ウルウル

男「!!!」

男「女ちゃん……」

女「じ、じゃあ……!!私たちは今から……そ、その、恋人同士って事で……いいんだよ、ね?」

男「そ、それは……」

女「……」

男「ぐぐぐ……」

男(ダメだ、流されるな!流されたらダメだ!!言え!!言うんだ!!)

女「男……くん?」

男「ごめん!!」

女「…………え?」

男「女ちゃんとは付き合えない!!」

女「なん、で?…………どうして……?」

男「ずっと好きだったんだ、女ちゃんの事を!それは本当なんだ!本当につい最近までは……」

女「最近……」ピクッ

男「最近……ある一人の女の子が気になってて……」

女「……」

男「だからって女ちゃんのことが好きじゃなくなったわけじゃなくて!」

女「え?」

男「一年も片想いしてたんだ、そんな簡単に気持ちがなくなるわけがない」

女「それなら!」

男「でも……ダメなんだ……」

女「ど、どうして……?」

男「昨日……もう一人の子の事が好きだって、自覚しちゃったから……」

女「昨日……」

女「もし……もしも、今告白したのが私じゃなくてギャルちゃんだったら男くんは受け入れてた?」

男「!!」

男(ギャルさんの事だって分かってたのか……!?)

男「それは……わからない……」

女「ギャルちゃんって部分は否定しないんだ?」

男「うん」

女「ねぇ……どうしてギャルちゃんなの??」

男「それは……とても不器用だけど根は純粋で……そういうところに惹かれたんだと思う」

女「私よりも……ギャルちゃんの事の方が好きなの?」

男「どっちの方が好きとか、そういうのじゃなくて二人の人間を同時に好きな自分が許せないんだ」

女「……」

男「だからもしギャルさんに告白されても返事は保留すると思う」

女「ふふ。私の事は断ってギャルちゃんには保留なんだ?ふふ」

男「あ!!いや、、それは……」

女「ふふふ」

女「ねぇ男くん……確認なんだけど……」

男「うん?」

女「私の事、好きって気持ちはあるんだよね?」

男「…………うん」

女「じゃあ私にも可能性はまだあるってことかな?」

男「それは……日に日にギャルさんへの想いが強くなってるんだ……だから」

女「違う、今後の事じゃなくて今の事。可能性はあるってことだよね?」

男「え??今??ごめん、言ってる意味が……」

女「今だよ、今この瞬間はまだギャルちゃんに負けてないって事だよね?」

男「はい?えと……だけど今後はギャルさんを……」

女「……」シュルシュル

パサッ

男「!!!」

男「お、お、女ちゃん!!一体なにを!!」

女「ごめんね、男くん、はしたないよね」スッ パサッ

男「え?え??」

男(ど、ど、ど、どうして制服を脱ぎ始めたんだ?じゃなくて!!止めないと!!)

男「女ちゃん!!やめるんだ!!」

女「どうして止めるの??私の事、好きなんだよね?」

男「そうだけど!でもこんなの……!!」

女「私、男くんを繋ぎ止める為ならなんでもするよ?」パサッ

男「!!」

女「でも勘違いしないでね?こんなことするの男くんが初めてだから」パサッ

男(女ちゃんが下着だけに……!!なんだよこれ、なんなんだよ!!)

女「男くん……」ピトッ

男「!!!」

女「私の初めて……全部男くんにあげるよ?」

男(なんて柔らかくて……いい匂いなんだ……)ドクンドクン

女「男くんが求める事ならなんだって叶えてあげるよ?」

男(女ちゃんの吐息混じりの甘い声が脳内に響き渡る……)ドクンドクン

女「だから男くん……私だけを見て……」

男「お、女ちゃん……」ドクンドクン

女「男くん、好き……大好き……」ギュゥゥゥ

男「!!!」

男(俺は……俺は、どうしたらいいんだ……)

1.このまま女ちゃんを受け入れる
2.俺はやっぱりギャルさんが……!!

下1に託します

レスがつかないようなので第3のルートで進行します!

男「女ちゃん!やっぱりダメだ!!」グイッ

女「!!?」

男「こんなやり方は間違ってる!!」

女「じゃあどうしたらいいの!?」ジワッ

男「っ……」

女「どうしたら男くんを!!うっ、うう……」ポロポロ

男「ご、ごめん」

女「こんな、事なら……ひっぐ……もっと早く告白を……うぅぅ」ポロポロ

男「…………」

男(女ちゃんがこんなに俺の事を……)

男(そして俺はそんな女ちゃんを深く傷つけてしまった……)

男(俺は……俺は……)

男「ごめん、帰るよ」

女「!!!」

女「男くん……!!待って!!」ポロポロ

男「くっ……ごめん!!」タタタ

――――
――

男「はぁ、はぁ、はぁ」

男(女ちゃんから逃げるように……無我夢中で走った)

男「はぁ、はぁ、はぁ」

男(ここはどこだ?)

男「はぁ、はぁ、はぁ」

男(分からない……けど……どこでもいいや……)

男「はぁはぁ……」ストン

男(今は何も考えたくない……)

??「あれ?こんな所でなにしてるの?」

男「え!?」ビクッ

迷ってレスつけれんかったわ
両方エンド書いてくれや

男「イケメン!?どうしてここに……」

イケメン「どうしてって……カフェに寄った帰りだけど」

男「カフェ……」

イケメン「というか、ずいぶんと酷い顔してるね」

男「え……?」

イケメン「何かあったのかい?」

男「…………」

イケメン「……」

男「いや……なにも、ないよ……」

イケメン「君の顔……昔の自分を見てるようだ……。気持ちの整理がついてない状態なんだろう?」

男「!!」

イケメン「自分の気持ち、感情が分からない時は一回全部吐き出した方がいい」

男「……」

イケメン「俺でよければいくらでも話を聞くよ?」

男「イケメン……」

イケメン「そうだ!よかったら俺の家にこないかい?すぐそこなんだ!」

男「え?いくらなんでも、それは……」

イケメン「いいからいいから!」

男「……」

イケメン「ほらほら、行くよ!」

男「あ、ああ」

――イケメン宅

イケメン「適当にくつろいでくれて構わないよ」

男「あ、ああ」

男(一日に二度も他人の家を訪れる事になるなんて……)

男(女ちゃん……)

イケメン「それで、君が悩んでるのは女ちゃんの事?それともギャルさん?」

男「!!」

イケメン「はは、君はわかり易い反応をするなぁ」

男「なんでもお見通しってわけか?」

イケメン「そんなことないって!」

男「俺は……女ちゃんにずっと片想いしてたんだ」

イケメン「うん、知ってる」

男「やっぱりお見通しじゃないか」

男「じゃあこれは知ってるか?」

イケメン「?」

男「今はギャルさんのことも好きなんだ」

イケメン「え!?」

男「……」

イケメン「男くんとギャルさんが仲良いのは察してたけど、まさか惚れてるとは……さすがに気付かなかったよ」

男「俺自身、自覚したのは昨日だから気付かないのが普通だと思う」

イケメン「昨日!?じゃあ水族館で??」

男「うん」

イケメン「ふむ……」

男「でも何故か……女ちゃんはそれに気付いてたんだ」

イケメン「すごいな、女の勘ってやつか?」

男「……」

イケメン「なるほど、読めてきたぞ」

男「……」

イケメン「女ちゃんに告白されたんだろ?」

男「うん」

イケメン「ここにいるって事は断ったんでしょ?どうしてそんなに悩んでいるんだい?」

男「断ったっていうか……逃げてきた」

イケメン「!?」

男「……」

イケメン「逃げるって……一体なぜ!?」

男「それは……女ちゃんに関わることだから言えない」

イケメン「男くん。俺はこう見えても秘密は絶対に守る主義なんだ」

イケメン「他人に口外しない事を誓うよ。どうか聞かせてくれないか?」

男「…………」

男「女ちゃんの告白を断ったら……その……」

イケメン「うん」

男「突然服を脱ぎだして、迫られた」

イケメン「ええっ!!?」

男「でも俺はギャルさんに気持ちが傾いてるから受け入れられなくて……逃げた」

イケメン「そう……だったのか……」

男「……」

イケメン「女ちゃんがそんな行動を起こすなんて、とても信じられない」

男「別に信じなくてもいいぞ」

イケメン「ごめん、そういう意味で言ったわけじゃないんだ」

イケメン「……」

男「……」

イケメン「そうだ!心を落ち着かせるにはピッタリのハーブティーがあるんだ!今持ってくるよ」スクッ

男「……」

イケメン「すぐ作ってくるから待ってて」

ガチャ バタン

男「……」

――――
――

イケメン「お待たせ、はいどうぞ」コトッ

男「これは……いい匂いだ、たしかに落ち着くかも」

イケメン「冷めないうちに飲むことをお勧めするよ」

男「じゃあ遠慮なく」

イケメン「どうぞ」ニコッ

男「美味しい……!」

イケメン「はは、口に合ってよかったよ」

男「続き話してもいいか?」

イケメン「ああもちろん!今の男くんの気持ちを聞かせてくれ」

男「女ちゃんの様子は明らかにおかしかった。こんな状態でもし俺がギャルさんと接触したら……」

イケメン「ふむ、なるほどね……」

男「それに俺のせいでギャルさんと女ちゃんの仲が悪くなってほしくない」

イケメン「……」

男「ギャルさんにとって女ちゃんは……とく……べつ……」ウトッ

男「は!?あれ?急に睡魔が……」ウトウト

イケメン「きっと色んなことが起きて疲れてるんだよ」

イケメン「少し仮眠をとればいい。ベッドを使っても構わないよ」

男「あ、ああ……」ドサッ

女『男くん……』ギシッ

男(女ちゃん!?あれ!?なんで?)

ギャル『男……』ギシッ

男(え!?ギャルさんも!?)

女『んっ』

ギャル『んんっ』

男(なんだこの感覚……俺の下半身を暖かく包んで……ああ、すげぇ気持ちいい……)

男(そうか、これは夢か)

男(女ちゃんとあんな事があったから衝撃が強すぎて)

男(それにしても……)

男(なんて気持ちがいいんだ……)

男(え??あれ??)

男「!!」ガバッ

イケメン「んっ」ジュブジュブ

男「な、なにしてんだ!?」バッ

イケメン「あ、起きた?」

男「え?ええぇぇぇぇ!!??」

イケメン「ふふ、男くんがいけないんだよ?無防備にこんなに大きくしちゃって」

男「な、な、な、なんで……どうしてこんな事を!!」

イケメン「男くんのココ、苦しそうだったからさ」

男(なにが起きてるんだ!?イケメンに俺の“モノ”を咥えられてた!?なんで!?どうして!?)

イケメン「中途半端じゃ辛いだろ?続き……してあげるよ」スッ

男「ひっ……」

男(逃げなきゃ!!)

男「!?」

男(身体に力が入らない!?)

イケメン「まだ意識も朦朧としてるだろ?大丈夫、身体には害はないから」

男「お、お前は……何を言っているんだ……?」

イケメン「ふふ、さぁ俺に身を委ねて」

男「くっ!や、やめろ!!」

イケメン「女ちゃんでもギャルさんでも好きな方を思い浮かべてていいから」

男「は!?」

イケメン「大丈夫、すぐ終わるよ」スッ

男「やめろ!やめてくれ!!頼むから!!」

イケメン「んむっ」パクッ

男「くそ!力が、入らない」

イケメン「ん、ん、」ジュボジュボ

男「あああ!!」

男(嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!!)

男(こんなの嫌だ!!!)

男「う、あぁ……ああ……」ポロポロ

イケメン「っ!!」ゴクン

男「うう……」ポロポロ

イケメン「はぁっ、すごい量だったよ!こんなに喉に絡みつくなんて、聞いていた以上だ」

イケメン「でも不思議と嫌いな味じゃない」

男「……」キッ

イケメン「涙を流しながら睨まないでくれよ、もっとしたくなっちゃうだろ?」

男「!!」ゾクッ

イケメン「ふふ」

男「ど、どうしてこんな事を……!?」

イケメン「前から興味があったんだ、“コレ”に」

男「……」

イケメン「でも自分のは咥えられないだろ?」

イケメン「ディルドって知ってるかい?」

男「……」

イケメン「それを買ってみたんだけど、どうしても本物が欲しくなっちゃってね」

男「……」

イケメン「それと男くん、俺のこっちの穴も試してみる気はないかい?」

男「!?」

イケメン「この穴もディルドで開発済みさ、男くんがその気ならいつでも使ってくれて構わないよ」

男(あ、身体が動くようになってきた……!!)ピクピク

イケメン「俺としても是非本物を試してみたいんだ」

男「ぐっ」ムクッ

イケメン「もう動けるんだ?」

男(もうこの空間にいたくない!!一秒でも早く抜け出したい!!)

イケメン「じゃあまた明日、学校でね」ニコッ

男「うあああ!!」

タタタタタ

――翌朝 教室

ガラガラッ

男「……」

イケメン「おはよ、男くん」ニコッ

男「……」

女「あ……男くん……」

男「……」

男(本当は学校なんて来たくなかった)

男(だけど俺は昨日、致命的なミスを犯した)

男(ケータイを……イケメンの家に忘れてしまった)

イケメン「ふふ」ニヤニヤ

男「くっ」

――昼休み

イケメン「男くん」

男「っ」ビクッ

イケメン「そんなに身構えないでくれよ」

男「……ケータイは?」

イケメン「ああ、大切に保管してるよ」

男「返してくれ」

イケメン「ごめん、家に置いてあるんだ」

男「は!?」

イケメン「帰りに取りに来てくれるかい?」

男「!!」ドクンッ

イケメン「待ってるよ」スタスタ

男「…………」

男「…………」

ポンッ

男「!!?」ビクッ

ギャル「わ、悪い!驚かせる気はなかったんだ!!」

男「ギャルさん……」ジワッ

ギャル「え!?」

男「ご、ごめん、なんでもないんだ」

ギャル「……」

男「……」

ギャル「男、私に出来ることがあったらなんでも言ってくれ」

男「え……」

ギャル「今のお前は……とても見ていられない……もし出来るならお前を救ってやりたい」

男「……」

男「……」チラッ

女「……」ジーーーー

男(グチャグチャだ……俺の頭の中も、人間関係も、なにもかも)

男(俺に何ができる?)

男(どうしたらよかったのか?)

男(わからない……もう何もわからない、考えたくもない)

男(ただ一つ、はっきりしている事は……)

男(吐き気がするほど嫌悪感を抱いた昨日の“行為”が脳裏にこびりついて離れない)

男(それだけが……今はっきりしている事)

ギャル「男……」

男「大丈夫だよギャルさん。心配しないで」ニコッ

ギャル「う、うん……」

――放課後 イケメン宅

イケメン「いらっしゃい、来てくれると思ってたよ」ニコニコ

男「ケータイを取りに来ただけだ、返してくれ」

イケメン「さ、どうぞ上がって」

男「ここで待ってるから返してくれ」

イケメン「わざわざここまで来て、本当は昨日の続きを期待してるんだろう?」

男「なっ!?」ドクン

イケメン「昨日の快感が忘れられないんだろ?」

男「ちがっ!!」

イケメン「認めなたくない気持ちも痛いほどわかるよ」

男「……」

イケメン「でも君は一人じゃない。俺がずっと側にいてあげる」

イケメン「だからおいで」

――――
――

男「はぁはぁ」

イケメン「すごい良かったよ男くん」

男「はぁはぁ」

イケメン「もう戻れないね」

男「…………」

イケメン「実は前から君の事を狙ってたんだ」

男「!?」

イケメン「その為にわざと女ちゃんを口説いてた」

男「な、なんで」

イケメン「女ちゃんと君がくっつくのを黙って見ていられなかったからさ」

男「……」

イケメン「まさかその中にギャルさんが入り込んでくるとは思わなかったけど」

男「……」

イケメン「今ではそれもどうでもいい事か」

イケメン「男くん、俺は君の事が好きだよ」

男「……」

イケメン「君とならどんな困難も乗り越えられる、そう思ってるんだ」

男「……」

イケメン「あ!そうだ!今度は俺が男くんに挿入してあげるよ!」

男「は!?」

イケメン「大丈夫、とても気持ちいいから」

男「……」

イケメン「これからも二人で楽しんでいこう!ね、男くん」

男「おのれイケメンめ!!」

男「いいさ、とことん付き合ってやる!!」

イケメン「はは!よろしく頼むよ!」

――happy end――

以上!終わります!
展開を決めないまま作り始めたので時間がかかってしまいましたが、正ヒロインとくっつく事ができてホッとしてます。
お目汚し失礼しました!

>>146
レスありがとうございます!
これから二つのルートを書くのは蛇足感が強いので、微妙かなぁと思ってます。
どちらか一方なら需要があれば書こうと思います。

>>169
ギャルで頼む

>>172
了解しました!もしかしたら違う結果になってしまうかもですがやってみますw

男(や、やめろ!イケメン!!)

男(そんな大きいモノ入らないから!!)

男(嫌だ!やめろ!!やめろぉぉぉぉぉ!!!)

「……くん……」ギュゥゥゥ

男「はっ!!!」ビクッ

男(あ、あれ??)

男(なにかとんでもない悪夢を見ていた気がする……)

女「男くん……」ギュゥゥゥ

男「!!?」

男(そ、そうだ!俺は下着姿の女ちゃんに迫られて……!!)

男(あまりにもキャパオーバーな出来事に一瞬意識が飛んでしまってたんだ……)

男(と、とりあえず!)

男(この状況をなんとかしないと……!)

男(女ちゃんを押し除けてここから逃げ出すのは簡単だ)

男(だけど……逃げちゃダメなんだ。先に進む為にも……)

男(俺自身の為にも……しっかりケジメをつけなきゃ!)

男「女ちゃん……もうやめよう」

女「え……」

男「そんな事されても女ちゃんの気持ちには答えられないよ」

女「……」

男「ごめん、だからもう……離れて服を着てくれ」

女「……」スッ

男(やっと離れてくれた!!)

女「ねぇ、一つ聞かせて」

男「う、うん?」

女「もし、、私がもう少し前に告白してたら……男くんは受け入れてくれた??」

男「そ、それは……」

女「お願い!正直に答えて!」

男「うん。喜んで受け入れてたと思う……」

女「……うう……ぐすっ……」ポロポロ

男「!!?」

男(女ちゃん……)

女「うう……やっぱり……納得できない!!そんなのってないよ!!」ポロポロ

男「ごめん」

女「ギャルちゃん……そうだ、ギャルちゃんが全部悪いんだ……」

男「なっ!!それは違う!!」

女「なんで庇うの!?」

男「ギャルさんはイケメンの事が好きなんだ!だからギャルさんは関係ない!」

女「え?」

男「俺が勝手に惚れただけ……ただそれだけなんだ」

女「もしかして……気付いてないの?」ボソッ

男「え?なに?」

女「ううん」

男「……」

女「そっか……そうだったんだ……」

男「女ちゃん、そういう事だから俺はもう帰るよ」

女「やだ」

男「はぁ、女ちゃんあのね」

女「男くんをここで帰したら二度と振り向いてくれなくなる!!」

男「……」

男(どんなに断ってもこれじゃあキリがない……)

男(なるべく穏便に済ませようと思った俺がバカだった)

男(どちらにしろ傷付けてしまうんだ。それならもっと突き放す言い方で……!)

男「……」

男(なんて言おう……)

男(女ちゃん!!なにがあろうと君とは絶対に付き合うことはない!だからもう諦めてくれ!!)

男(これでいいか……?よし……言うぞ……!!)

男「女ちゃん!!」

女「!!」ドンッ

男「うわっ!!??」ドサッ

男(ベッドに押し倒され――)

女「んっ」チュッ

男「!!??」

女「男くん……大、好き……んっ」チュッ

男「!!!」

女「ん……はぁ……ちゅ……」

男「んー!!」バッ

男「ぷはっ!」

女「はぁはぁ……男くん」ウルウル

男「お、女ちゃん!!なにしてんのさっ!!」

女「なにって……キスだよ?」

男「おかしいよ、こんなの間違ってる!」

女「なんでおかしいの?私たち両想いなのに、全然おかしくないよ」

男(だめだ、もうこれ以上この場所にはいられない)

男「……」スッ

女「帰っちゃうの?」

男「うん。女ちゃんが引き止めても俺はもう帰るから」

女「……」

男「さようなら」

女「ねぇ、男くんは初めてのキスだった?」

男「は?」

女「私は初めてだったよ……男くんは?お願い、それだけ教えて」

男「……俺もだよ」

女「本当!?よかったぁ!!」

男「じゃあもう行くから」

女「お互い忘れられないファーストキスになったね!」

男「……」

女「バイバイ男くん、また明日ね」

男「……」スタスタ

男(女ちゃんに告白されて……断ったら強引に迫られて……)

男(あれ?俺はなんで断ったんだっけ)

男「……」ピタッ

男(そうだ、俺はギャルさんに心が傾いてて)

男(ギャルさんと一緒にいる時間がとても心地良くて、とても好きで)

男「……」

男(会いたいな……今、ギャルさんに無性に会いたい)

男「電話しちゃ、迷惑かな?」

男「……」ピッ

男「……」

ギャル『あ……』

男「あ!ギャルさん!ごめん突然電話しちゃって」

ギャル『ど、どうした?』

男「えと……そうだ!ファミレス!放課後に誘ってまだ返事もらってなかったから……その、どうかな?」

ギャル『…………』

男「あ、もし予定があるなら無理にとは……」

ギャル『い、いいの?』

男「え?」

ギャル『私と会ってもいいの?』

男「え?別に問題ないけど……なんで?」

ギャル『いや、だったらいいんだ……』

男「??」

ギャル『今家だから支度したらすぐ行く。先に行って待ってて』

男「わかった!ありがとう!」

――ファミレス

男「……」

男(それにしても遅いな……)

男(女ちゃんの家にいた俺の方が時間かかるはずなんだけど)

男「……」

男(ま、気長に待つか)

ギャル「あ……」

男「……」

ギャル「……」モジモジ

男(なにか背後に気配が……)

男「ん?」クルッ

ギャル「っ!!」ビクッ

男「あ、ギャルさ…………ん?」

ギャル「~~!!」カァァァァァ

男「あれ……その服って……」

ギャル「み、みみみ」

男「この前試着した――」

ギャル「見るなーー!!!」

男「ええーー!?」

男(この服はあの時のミニスカワンピ!!支度ってこの事だったのか)

ギャル「うう……恥ずかしい……丈が短いぃぃ」///

男「めちゃくちゃ似合ってるよ!!すごく可愛い!」

ギャル「っ!!」///

男「そっか、その服買ってたのかぁ……でもどうして今着てきたの??」

ギャル「そ、それは……」

男「それは?」

ギャル「前に男が褒めてくれたから……うぅぅ」///

男「!!」キューン

男(俺のために着てくれたってことか!?)

男(なんだそれ、嬉しすぎるだろ!!)

男「……」ニコニコ

ギャル「み、見るな!!」

男(恥ずかしがって赤面してる姿が)

ギャル「な、なんで黙ってるの?」

男(その声が、その存在が……全てが愛おしい)

ギャル「シカトか!?」

男「好きだよ、ギャルさん」

ギャル「え…………」

男「あ……」

男(やべ、つい本音が……)

男「俺ってそういう服が好きなんだよ、ギャルさん」

ギャル「あ、ああ、服ね!服のことね!」

男「う、うん」

男(ギャルさんはイケメンの事が好きなんだ)

男(ギャルさんに拒まれてこの時間を失ってしまう事が、なによりも怖い……)

男(けど……だけど!)

男「ごめん、服のことじゃない」

ギャル「え?」

男「ギャルさんの事が好きなんだ」

ギャル「!!」

男「ギャルさんと一緒にいるこの時間が、俺の中でいつの間にか特別なモノになってて……それで……」

ギャル「嘘だ……だって女の事は!?」

男「女ちゃんの事は……その……」

ギャル「今日、告白されたんだろ!?」

男「え!?な、なんでそれを!?」

ギャル「それは……女が言ってたから」

男「…………」

ギャル「……」

男「女ちゃんの告白は、断ったよ」

ギャル「!!?」

男「確かに俺は女ちゃんの事がずっと好きだった。今もその気持ちがないと言ったら嘘になる」

男「でもそれ以上にギャルさんの事が好きなんだ」

男「その気持ちに気付いちゃったんだよ」

ギャル「そんな……」

男「ごめん、いきなりこんな事を言われても迷惑だよね」

ギャル「……」

男「ギャルさんがイケメンを好きなのは知ってる」

ギャル「……」

男「ギャルさんに何かを求めてるわけじゃなくて、ただ隠しきれなくなって……それで……」

ギャル「……」

男「ギャルさん?」

ギャル「どうしよう……」

男「え?」

ギャル「最低だ……私……」

男「え、な、なんで?」

ギャル「女の事を考えるとすごく複雑で、だけど……それ以上にどうしようもないくらい、嬉しくて……」

男「ええぇ!!?」

男「で、でもギャルさんはイケメンが……」

ギャル「イケメンは私とは真逆で自分にないモノを持っているから勘違いしてしまってて」

男「勘違い?」

ギャル「憧れだったんだ、ああいう人間になりたいって」

男「憧れ……」

ギャル「イケメンと話すようになって、私が男に対して抱いてる感情とは別物だってハッキリ気付いた」

男「え……それって……」

ギャル「私も男といる時間が、その……す、好きだ」

男「ギャルさん……」

ギャル「私も男と同じように、いつの間にか男の事が……好きになってたんだ」

男「はは……マジか……」

ギャル「ああ、困ったことにな」

男「と、とりあえずパフェでも食べよう」

ギャル「う、うん」

男「……」

ギャル「……」パクッ

男「……」

ギャル「……」パクッ

男「……」

ギャル「……」ピタッ

男「……」

ギャル「あ、あんまり見られると……た、食べ辛いんだけど……」

男「あ、ご、ごめん」

ギャル「いや!いいんだけど!全然!でも……その……」モジモジ

男「はは、は」

――外

男(お互い好きって分かった途端、妙に意識しちゃってギクシャクしてしまった)

男(でもそれは決して嫌な気分ではなく、甘酸っぱい雰囲気でくすぐったい感覚で)

男(そんな空気さえも愛おしいと思ってしまっている)

ギャル「じ、じゃあ、私はこっちだから……」

男「あ、うん」

ギャル「また、明日な」

男「あ!……ギャルさん!」

ギャル「!?」

男「これからは恋人として俺と付き合ってほしい」

ギャル「あ……」

男「ダメ……かな?」

ギャル「そんなの……いいに決まってるだろ!」

男「おお!」

ギャル「でも……私でいいのか?女じゃなくて私なんかでいいのか?」

男「俺はギャルさんがいいんだ」

ギャル「男……」

男「ギャルさん、帰る前に一つだけお願いがあるんだけどいいかな?」

ギャル「なんだ?」

男「抱きしめていい?」

ギャル「は!?……えと、今か?」

男「うん」

ギャル「べ、べ、別にいいけど……」プイッ

男「!!」

男「えと……じ、じゃあ、その、失礼します!」

ギャル「う、うん」

男「」サッ

ギャル「!」ビクッ

男「ギャルさん」ギュゥゥゥ

ギャル「はぅ」///

男(ああ……なんてこった……俺は今ギャルさんを抱きしめてる)

男(とてもいい匂いがするし、なんか落ち着く)

男「……」

女「うう……」///

男「……」

女「あ、あの……もう、これ以上は恥ずかしすぎて……」

男「あっ!ごめん!」バッ

女「う、うん」

――男 自室

男「恋人……恋人かぁ……」ニヤニヤ

男「ついに俺にも彼女ができたのかぁ」ニヤニヤ

男「しかも相手はギャルさんっ!少し前までは怖い存在だったのに……世の中なにがあるかわからないもんだなぁ」

男「……」

男「女ちゃん……」

男「女ちゃんには明日ちゃんと話さなきゃ」

男「……」

男「なんか……俺、最低だな」

男「女ちゃんに告白された日にギャルさんと付き合うなんて……」

男「でもギャルさんを選んだのは俺だ」

男「女ちゃんじゃなくて、ギャルさんを選んだんだ」

>>194
途中から“女”表記に変わってましたが、“ギャル”でした。
失礼しました!

――通学路

男「おはよ、ギャルさん」

ギャル「お、おはよ」カァァァ

男「はは!挨拶だけなのに照れすぎだよ」

ギャル「だって、待ち合わせして登校とか……アレみたいじゃないか……」

男「アレって?」

ギャル「そ、その……こ、こ、こ」

男「こここ?」

ギャル「こ……なんでもない」プイッ

男「恋人みたいってこと?」

ギャル「うう……」カァァァ

男「みたい、じゃなくてちゃんとした恋人だからね!俺とギャルさんは!」

ギャル「わ、わかってる!!」

男「女ちゃんにもちゃんと報告しないとな……」

ギャル「……」

男「……」

ギャル「女には私から言う……というか、私から言わせて欲しい」

男「え……?どうして?」

ギャル「女は気付いていたんだ。私と男が惹かれあってることを」

男「……」

ギャル「だから焦って男に告白したんだと思う」

男「女ちゃん……」

ギャル「…………」

――教室

ガラガラ

女「あっ!男くんおはよっ!!」タタタ

男「女ちゃん……おはよう……」

ギャル「おはよう、女」

女「ギャルちゃんもおはよ……。朝から二人で一緒だったんだ?」

男「う、うん」

ギャル「女、ちょっと話したい事があるんだけど……今時間いいか?」

女「…………」

男「……」

ギャル「男と私について報告があるんだ」

女「!!!」

ギャル「ちょっと来てくれるか?」

女「………………イヤだ」

ギャル「え?」

女「イヤだ」

ギャル「お願いだ女、話を聞いて欲しい」

女「聞きたくないし、知りたくない」

ギャル「女……」

女「男くん!」

男「え?」

女「昨日はごめんね?でも私、嬉しかったよ」

男「う、うれしかった?」

女「あんな風に抱き合ったのもキスしたのも男くんが初めてだったから、緊張したけど……でも嬉しかった」カァァァ

ギャル「は!?」

男「ち、違う!あれは女ちゃんから一方的に!!」

女「でもしたよね?キス。それもたくさん」ニコッ

ザワザワ ザワザワ

男(クラスメイト達が!!)

ギャル「ど、どういうことだ……男?」

男(く、ギャルさんには告白されて断ったとしか言ってなかった……こんな事ならちゃんと言っておくべきだった)

男「ギャルさん、隠す気はなかったんだ!ただ昨日は伝え忘れただけで――」

ギャル「じ、じゃあ本当に女と……!?」

男「それは……でも!俺の意思でしたわけじゃない!」

女「でも男くん拒まなかったよね?」

男「突然のことで頭がパニックになったんだ!」

ギャル「……」

女「それに昨日、男くん言ってくれたじゃない」

男「え?」

女「私のことが好きだって、両想いだって!」

ギャル「!!!」

男「あ、あれは……!!」

女「私も男くんのことが好きだよ、大好きだよ。だから何も問題ないよ?」

ザワザワ ザワザワ

ギャル「……」

男「ギャルさん、違うんだ!ちゃんと理由がある!だから話を――」

ギャル「……」プイッ

男「え……」

ガラガラ

教師「HR始めるぞー、席につけー」

男「くっ!!」

女「ふふ」

ギャル「……」

――休憩時間

男「ギャルさ――」

女「男くんっ」ヒョイ

男「女ちゃん、ごめんギャルさんに用があるんだ」ガタッ

女「やだ!行かないで!」ギュッ

男「なっ!?」

ザワザワ ザワザワ

男(クラスメイトがいる中で腕に抱きつかれて……!!)

男「はっ」チラッ

ギャル「!」プイッ

男「……」

女「行っちゃヤダよ……男くん……」ウルウル

男「わかったから腕を離してくれ」

女「本当?」

男「あ、ああ」

――昼休み

男(よし、昼休みだ!この時間はなんとしてもギャルさんと過ごす!)

女「男くん、一緒に食べよっ!」

ギャル「……」スッ

男「あ!!」

ギャル「……」スタスタ

男「ごめん、女ちゃん!俺はギャルさんに話があるから!」

女「え?じゃあ私も一緒に行く!」

男「いいよ、そっちの方が都合がいい」

女「都合?」

男「うん、ハッキリさせよう」

男「あれ!?」キョロキョロ

女「いない……ね」

男「見失ったか!?」

女「……」

男「ギャルさんが行きそうなところ……どこだ?」

女「どこだろう……」

男「ちょっと探しに行ってくるから、女ちゃんは先にお昼済ませちゃって!」

女「私も一緒に行く!」

男「でも見つかるかも分からないし」

女「それでもいいよ!」

イケメン「ギャルさんは一人になりたいんだ、今はそっとしておいてあげたらいいよ」

男「!?」

イケメン「それよりも……」チラッ

女「?」

イケメン「女ちゃん、この時間だけ男くんを借りてもいいかな?」

女「えっ!?」

イケメン「男くん、久しぶりに二人でお昼でもしないかい?」

男「……ああ、いいよ」

イケメン「じゃあそういう事で、女ちゃんはまた後でね」

女「う、うん……わかった」

男「……」

イケメン「それじゃ行こうか」

男「ああ」

――食堂

イケメン「一体何があったんだい?」

男「……」

イケメン「昨日、学校ではいつも通りだったのにさ」

男「それは……」

イケメン「何となく察しはつくけども、男くんの口から真実を聞きたいと思ってね」

男「……」

イケメン「第三者である俺が協力できることもあるはずだよ、君の力になりたいんだ」

男「は?なんでお前がそこまでしてくれるんだ?」

イケメン「ははは、純粋に君の幸せを願ってるだけだよ」

男「はあ?」

イケメン「今の俺に出来る事といったらそれくらいだしね」

男「??」

――――
――

イケメン「なるほど……」

男「……」

イケメン「ギャルさんと一緒にいるうちに心移りして、付き合うことになったと……」

男「ああ」

イケメン「それにしても……」

イケメン「女ちゃんの心情は察するに余りあるな」

男「……」

イケメン「あと数日早かったら結果は違ってただけにね」

男「女ちゃんには……申し訳ない気持ちしかない……」

イケメン「今朝の様子からして、突き放すのもあまり効果的ではなさそうだけど……どうする気だい?」

男「ギャルさんにも誤解されたままだし、とにかく三人で話し合いするしかないだろ」

イケメン「ふむ」

男「……」

イケメン「わかった、頑張ってね」

男「え?」

イケメン「ん?どうしたの?」

男「なにかアドバイス的なのはないのか?」

イケメン「んー……特にないね」

男「なんだそりゃ!」

イケメン「ちなみに男くんはどうなるのが理想なの?」

男「理想は……女ちゃんに俺らの事を認めてもらった上でギャルさんとも仲良くして欲しい」

イケメン「ははは!ずいぶん欲張りだ!」

男「理想だと言っただろ!茶化すなら聞くな!」

イケメン「ま、俺も出来る限り協力するから!」

男「……」

――放課後

男(帰りのHR終わった瞬間にギャルさんを捕まえる!じゃなきゃまた逃げられるかもしれないし)

「気をつけ、礼」

ガタガタ

ギャル「……」ガタッ

男「ギャルさん!待って!」ガシッ

ギャル「っ!?」

男「あ、ごめん!」パッ

ギャル「……」

男「ちゃんと話し合おう!」

ギャル「……」

男「女ちゃんもいいよね?」

女「……」

男「場所は……俺の家でどうかな?」

ギャル・女「「!?」」

ギャル「男の……」
女「男くんの……」

ギャル「家?」
女「おウチ?」

男「ご、ごめん、落ち着いて話せる場所ってそこしか思いつかなくて……やっぱりイヤだよね?それなら――」

ギャル「行く」
女「行きたい!」

男「え?いいの?」

ギャル「当たり前だろ!私は男の……カ、カノジョなんだから」

女「む……」

女「昨日は私のおウチで今日は男くんのおウチ、ふふ、嬉しいな!男くん、行こっ!」ギュッ

男(また腕を組まれた……)

ギャル「なっ!」

男「はいはい、離れましょう」パッ

――男 自室

男「はい、どうぞ」

女「お邪魔します~」

ギャル「お、お邪魔します」

男「楽にしてていいから」

ギャル「なんていうか……意外と……」キョロキョロ

女「整理整頓されてるんだね」キョロキョロ

男「え?普通こんなもんでしょ?」

女「男の子の部屋ってもっとゴチャゴチャしてるイメージがあったよ」

ギャル「だな」

女「ねー」

男(おっ)

ギャル「あ……」

女「……」

男「えと、なにから話すべきかな……」

男「女ちゃんはもう勘付いてると思うけど――」

ギャル「ちょっと待って男!私から言わせてほしい」

男「……わかった」

女「……」

ギャル「女に……その……報告したい事があるんだ」

女「……」

ギャル「私と男は、昨日から付き合いはじめた」

女「……」

ギャル「私は……女の気持ちを知った上で男と付き合い始めたんだ」

女「……」

ギャル「恨まれても仕方ないと思っている」

ギャル「ごめん。だけど私たちのことを認めて欲しい」

女「……」ポロッ

ギャル「っ!!」

女「……」ポロポロ

男(女ちゃん……)

女「うぅ……み、認めたくないよぉ……」ポロポロ

ギャル「女……」

女「だって……ぐすっ、認めたら全部終わっちゃうんだもん!!」ポロポロ

ギャル「……」

女「ずっとずっと好きだったんだもん!」ポロポロ

ギャル「……」

男「くっ……」

女「ぐすっ、本当は祝福して、あげたい」

ギャル「え?」

女「ギャルちゃんの事も、ぐすっ、好きだから」

ギャル「女……」

女「でもダメなの!どうしても、許せないの!」ポロポロ

ギャル「……」

女「だけど、一番許せないのは……そんな風に思ってしまう自分で……うぅ」ポロポロ

男「……」

女「男くんに迷惑かけて……ギャルちゃんに酷い事言って」ポロポロ

女「うぅぅ……うぁぁぁぁん」ポロポロ

――――
――

男(あれから、少し落ち着いた女ちゃんは帰っていった)

男(ギャルさんも女ちゃんに付き添うように帰った)

男(女ちゃんが泣き崩れる姿を見ると……抉られるように胸が痛くなる……)

男(だけど女ちゃんはもっと苦しんでて、そうさせたのは紛れもなく自分で)

男「仕方ないんだ……」

男「仕方ない……んだよな?」

男「……」

――翌日 教室

男「……」

ギャル「……」

女「……」

イケメン「え!?」

女「うう……」ジワッ

ギャル「女……」

男「……」

イケメン「男くん、ちょっと」ヒソヒソ

男「あ、ああ」

イケメン「朝からどんよりした空気が流れてるけど……どういうこと?」

男「それは……昨日の放課後、三人で話し合ったんだ」

イケメン「うん」

男「俺とギャルさんのことを女ちゃんに報告して、認めて欲しいって」

イケメン「……」

男「そうしたら女ちゃんが泣き出して……今に至る」

イケメン「男くん」

男「なに?」

イケメン「二人の事、俺に任せてもらえないかな?」

男「はあ!?」

イケメン「大丈夫、悪いようにはしないからさ」

男「どうするつもりだ?」

イケメン「女ちゃんを慰めてあげようと思ってね」

男「それは……うん、でもどうやって?」

イケメン「男で受けた傷は男で癒せっていうでしょ?まあ俺に任せてよ」

男「じゃあ頼んだ。……てかギャルさんには何をするつもりだ!?」

イケメン「ギャルさんは女ちゃんとも仲良くしたいんだよね?」

男「まぁ……理想はそうだけど……今の状況じゃ難しいだろ」

イケメン「もしかしたら二人の仲も修復できるかもしれないよ?」

男「マジか!?」

イケメン「うん」

男「でもなぁ……これは俺ら三人の問題だし」

イケメン「その三人でここまで拗れたんだ。事態を好転するには第三者の介入が必須だと思うけど?」

男「……」

イケメン「そして、その役目を担うのに適任なのが俺」

男「たしかに……」

イケメン「女の子を口説くのは俺の得意分野さ!」

男「む……」

イケメン「傷ついた女の子ほど狙い目だし、今回は上手くやれる自信があるよ!」

男「……」

イケメン「じゃ、そういう事で!」

男「あ、ああ……」

――昼休み

男(昼休みになってすぐ、イケメンは女ちゃんとギャルさんを連れてどこかに行ってしまった……)

男(女ちゃんはともかく、なぜギャルさんも?)

男「……」

男(仲直りさせるとも言ってたけど、あいつは一体なにをする気なんだ?)

男「……」

男(ダメだな……)

男(ギャルさんと付き合えて舞い上がってたけど、こういう事態になることは少し考えれば予測できてたはずだ)

男(ギャルさんと付き合うのは……まだ早すぎたのかもしれない……)

男「はぁ……」

――放課後

男(昼休みが終わっても女ちゃんとギャルさんの態度は相変わらずだった)

男(イケメンだけはやけにご機嫌だったが……)

男(あいつに任せてよかったのか?)

男「……」

イケメン「男くん、これから時間あるかな?」

男「え?それは……」チラッ

ギャル「!」プイッ

男(ギャルさんには何故か避けられてるし)

男「わかった。イケメンに付き合うよ」

イケメン「ありがとう!じゃあ移動しようか」

男「移動?」

イケメン「うん、ついてきて!」

――校舎裏

イケメン「到着っと!」

男「え?なんでこんな場所に?」

イケメン「ここが一番相応しいと思ったからさ!」

男「はあ?」

イケメン「ねえ男くん」

男「なんだ?」

イケメン「ずっと好きだった子を悲しませてどんな気持ち?」

男「!!?」

イケメン「聞かせてよ、男くん。どんな気持ちなんだい?」

男「それは……正直に言うと、罪悪感でいっぱいで悲しんでる女ちゃんを見ると胸が痛くなる」

イケメン「じゃあギャルさんと付き合ったこと、後悔してる?」

男「そ、そんなことは……ない……」

イケメン「へえ、後悔してるんだ」

男「違う!ただ少し早まったかな、とは思っているけど」

イケメン「だってさ!ギャルさん!今の聞いてどう思う?」

ギャル「……」サッ

男「えっ!?な、なんでここに!?」

イケメン「俺が呼んだからに決まってるじゃないか」ニコッ

男(こ、こいつ!!何が目的だ!?)

イケメン「女ちゃんも出てきていいよ」

女「……」サッ

男「!?」

イケメン「ふふ」

男「イケメン!お前はなにがしたいんだ!?」

イケメン「なにって、三人が仲良くする方法を提案したいだけだよ」

男「これのどこがそうなるんだ!?」

イケメン「もう二人には了承を得ているよ」

男「了承?意味がわからない!ちゃんと説明しろ!」

イケメン「三人の気持ちを汲んで俺なりに考えたんだ。どうするのがベストなのかを」

男「はあ!?」

イケメン「男くん、二人と恋人にならない?」

男「…………はい?」

イケメン「ギャルさんと女ちゃん、二人と恋人になる気はないかい?」

男「な、な、な、なにを言ってるんだ……!?」

女「男くん!私……このまま終わりなんて、やっぱり諦められないよ」ジワッ

男「女ちゃん……で、でも……」

イケメン「女ちゃんはそれでもいいって言ってるよ」

男「女ちゃんは良くてもギャルさんは」チラッ

ギャル「私は……昨日泣きじゃくる女を見て、初めてできた友達を失いたくないと心から思った」

男「!?」

ギャル「女の男に対する気持ちも痛いほど伝わってきて、もし自分が女の立場だったら……そう考えると、とても耐えられそうにない」

男「ええぇぇ!?」

イケメン「聞いての通り、ギャルさんも納得してくれた」

男「……」

イケメン「あとは男くんの返事次第だね」ニコニコ

男「そ、そんな非常識な!」

イケメン「考えてみなよ」

イケメン「男くんが二人と付き合えば全て丸く収まると思わないかい?」

男「……」

イケメン「しかも相手の二人はそれでもいいと言ってくれている」

男「で、でも」

イケメン「それに女ちゃんに対してまだ好意もあるんでしょ?」

男「!!」

イケメン「やっぱり」

男「……」

イケメン「別にずっと二人と付き合えって言ってるんじゃなくてさ」

男「え?」

イケメン「とりあえず二人と付き合って最終的にどちらかを選べばいいと思うんだよね」

男「……」

イケメン「ギャルさんもそれでいいよね?」

ギャル「ああ」コクン

女「男くん……」

男「ギャルさん、女ちゃん……」

イケメン「さあ、どうする?」

男「二人とも、本当にそれでいいと思ってるの?」

女「私は……このまま終わるくらいなら、その方がいい!」

ギャル「私は最初は戸惑った……だけど……」

ギャル「男と女は一年間ずっと想い合っていたんだ。そこに割って入ったのが私で……」

女「ギャルちゃん……」

ギャル「私は男の事も女の事も好きだ。その二人と仲良く過ごせるならこういう選択も悪くはないと、そう思っている」

男「……」

イケメン「さあ、男くん」

男「わかった。覚悟を決めるよ」

男「女ちゃん、じゃあそういうことで……いいかな?」

女「うん――」

イケメン「ちょっとちょっと!」

男「へ?」

イケメン「ちゃんと告白しなきゃ女ちゃんに失礼じゃないかい?」

男「こ、告白って……イケメン、まさかそれでこの場所を!?」

イケメン「告白といえば校舎裏だろう?」

男「……」

イケメン「ささ、男くん!」

男「告白といっても……」チラッ

イケメン「ギャルさんが気になるかい?ならギャルさんにも改めて告白したらいいさ」

男「……」

男「女ちゃん」

女「……」

男「一年の頃からずっと好きだった。悲しませちゃったけど、それでもいいなら付き合ってほしい」

女「は、はい」ポロポロ

イケメン「わー!おめでとー!」パチパチ

男(こいつ……)

イケメン「ほら、次の人がお待ちだよ!」

ギャル「……」チラッ

男「う……」

男「ギャルさん」

ギャル「ん」

男「ギャルさんに対する気持ちも本物だよ。そこに時間は関係ないと思ってる」

ギャル「うん」

男「好きだよ、ギャルさん。ここからまた始めてくれるかな?」

ギャル「うん!こちらこそよろしくお願いします」ペコ

イケメン「わー!おめでとー!」パチパチ

男「……」

イケメン「じゃあ女ちゃんとギャルさんは、今後の付き合い方について二人で相談して決めたらいいと思うよ」

イケメン「俺は男同士で話したいことがあるから、ここで解散でいいかな?」

――――
――

男「お前なぁ……!!」

イケメン「ふふ、三人が仲良くできる最善な方法だったでしょ?」

男「そうだけど、あまりにも非常識だ!」

イケメン「当事者がそれでいいって言ってるんだから、それでいいじゃないか」

男「むぅ……」

イケメン「ハーレムだよ?男なら誰もが夢見る状況じゃないか!」

男「ま、まぁ……それは否定しないけど……」

イケメン「あ!そうだ!」

イケメン「俺もそのハーレムの一員に加えてくれない?」

男「はあああ!?」

イケメン「ははは!冗談だよ、冗談!」

男「はあ……勘弁してくれよ」

イケメン「はは、は……」

男「それにしても……よく二人を説得できたな」

イケメン「説得って人聞きが悪いなぁ」

男「……」

イケメン「俺はちょっと二人の背中を押してあげただけで、二人ともしっかり考えて決断したことだよ」

男「そうか……俺も中途半端な気持ちじゃダメだな」

イケメン「二人とも平等に愛してあげればいいよ」

男「ああ、もちろん!……努力はする」

イケメン「これからもきっと問題は起きると思うけど、きっちりサポートするからさ!」

男「どうしてそこまでしてくれるんだ?」

イケメン「それは……」

男「?」

イケメン「好きな人には幸せでいてほしいからね」

男「そうか……そういえばお前は女ちゃんの事が……」

イケメン「…………」

男「……」

イケメン「ってのは建前で、本当は楽しそうだからさ!」

男「はあ?楽しそう?」

イケメン「ふふ、男くんが二人相手にどう接するのか今から楽しみだよ」

男「見せ物じゃねーぞ!」

イケメン「はは!それと学校に噂を広めておくから、せいぜい頑張るんだよ!」

男「ええ!?」

イケメン「じゃあね!また明日!」

イケメン「僕のためにもちゃんと幸せになってくれよ、男くん!」

男「はぁぁぁ!?」

イケメン「ばいばい!」

男「くそ、完全に楽しんでるだけじゃないか……」

男「おのれイケメンめ!!」



――終わり――

正ヒロインが潔く身を引くという少し悲しいENDになりましたが以上で終わりとなります。
長々と失礼しました!
ありがとうございます!

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