提督「そっとな、そぉっ……と」
雪風「はい!」
雪風「んしょ、んしょ」
提督「んぎぎ……」
雪風「んむむ~っ」
提督「いで、い、はわわ」
雪風「えいっ!」
提督「んまっ!」
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雪風「抜けました!」
提督「お……ふぅぇ……」
雪風「えへへっ」
提督「こ、これで満足か?」
雪風「いいえ!しれぇの頭には白髪がまだ沢山残ってます!」
提督(歳はまだ30も越えてないのに、悲しいなぁ)
提督「それにしても……何故白髪なんてものを抜きたがる?」
雪風「しれぇの白髪を抜くのが、楽しいからです!」
提督「くっ、良い笑顔してんなぁ」
提督「でも、ダメダメ」
提督「こんなん全部抜いてたらキリ無いし、君はもう昼食を摂りに行きなさい」
雪風「えぇ~!」
提督「ほら、“間宮さん”のランチタイム、あと15分でラストオーダーだよ」
雪風「はわっ、それは大変!」
雪風「あ、でもしれぇは?」
提督「俺はパス……仕事がな」
雪風「……」
提督「……いいから、ホラホラっ」
雪風「は、はいっ」
雪風「食事から戻ったら、白髪抜きの続きですからね!」
提督「はいはい」
雪風「約束ですからね!では……失礼します!」
バタン
ジリリリリリリリン!
提督「はぁ……ちょうどこの時間だと思っていたよ」
『ソロモン海域を遊弋していた第三艦隊は先刻……複数の敵機動部隊と交戦の末、見事これらを打ち破ってみせたそうだ』
提督「はっ……」
『だが、貴官の任されている第二艦隊の動きはどうなっている?依然として、良い知らせが届かんではないか』
提督「と、当方の艦隊は現在……リコリス棲姫麾下の幾重にも及ぶ防衛線によっ」
『言い訳はいい、私が聞きたいのは今後の打開策についてだ』
提督「……恐れながら、中将。これまで重ねて申し上げたように、現時点で保有する第二艦隊の戦力だけでは作戦の遂行は困難を極め」
提督「また、此方に支給される資材がごく限られており、新装備開発の滞りや、糧食の不足による艦娘の士気低下も著しい状態です」
ちょっと晩ごはん食います!
提督「故に私としましては、当艦隊への追補給の実施を具申いたします」
提督「それが叶わぬようでしたら、せめて西方海域に展開している第一艦隊のうち、入渠のため内地入りしている第24駆逐隊だけでも」
『ならん!』
提督「っ……」
『第一艦隊は現在、カレー洋をはじめとした各海域の制圧で手が一杯なのだ』
『今持てる戦力だけで如何に基地攻撃を完遂するか、貴官はそれだけを考えたまえ』
提督「し、しかし……先刻の戦いで、此方も多くの負傷者が……」
『えぇい、貴官の泣き言など最早聞いてはいられんのだ!』
『多少の犠牲を払ってでも、基地攻撃をすみやかに完遂させよ』
『そうでなければ、ガダルカナル上陸の足並みは揃わん』
『貴官の他に、適任はいくらでもいるのだ……それを覚えておけ!』
提督「……は」
ガチャン
提督「“多少”って何だよ……んなこと、できっかよ」
提督「補給のことだって、てめぇらのあからさまな嫌がらせじゃねーか」
提督「若造が手柄を上げんのが、そんなに気に食わね-ってかジジイめ」
提督「畜生……」
……
…………
………………
――翌日
雪風「……」
提督「おや雪風、今日は元気がないな」
雪風「……なんでも、ありません」
提督(昨日約束を破って仕事に戻ったこと怒ってんのかなぁ)
提督「……し、白髪……抜くか?」
雪風「結構です……」
提督「そ、そう」
提督「昨日はあの後、どうしてたのさ?」
雪風「!」
雪風「な、なにも……」
提督「そうか」
提督(……ゲッ、もうあの時間かよ)
提督「す、すまないが、君はまた昼飯に行ってくれないか」
雪風「え、あ、はいっ」
雪風「では……失礼します……」
バタン
提督「ふぅ……」
提督「電話越しにペコペコしている提督の姿なんて、あの子達に見られるわけにはいかないんだよなぁ」
ジリリリリリリン
提督「はぁ、ほらきた」
提督「ったく、小言も大概にしやがれってんだ……」
ガチャ
提督「此方、第二艦隊の……」
『テートク、コチラ工廠だヨ~』
提督「あ、あれっ、工廠の妖精さん?」
提督「どうした?追加の資材なら、上にまた断られ……」
『ソンナことじゃないヨ!むしろ、開発が順調に進んでるんだヨ!』
提督「な……それは本当か!」
『ウン!』
『今朝、九一式徹甲弾の開発がヨウヤク終わっテ、その後も強化型の缶が完成したノ!』
『さっきもネ、流星改の新式発動機がうまくかかったんだヨ!エヘン!』
提督「お……おぉ!凄いじゃないか!」
提督「ここ最近、僅かな資材しか提供できなかったのに……よくやってくれた、ありがとう!」
『エヘヘ……』
『ソレト、雪風に……あのコトは気にしないでって伝えてアゲテ!』
提督「え……ゆ、雪風?」
『実は昨日ノお昼過ぎ、忙しそうダカラって雪風が工廠のお仕事を手伝ってくれたんだけどネ』
提督「……あの子が」
『ソウ!』
『でもカノジョ……手伝ってくれた時ニ、オイルを図面にこぼしちゃったノ』
提督(おいおい……)
『私たちは気にしないでって言ったんだケド、雪風はソレを気に病んじゃったミタイデ……』
『デモ、あの後一から発動機の図面を書き起こしたおかげデ、ヨリ信頼性の高いモノが完成したんダ』
提督「……」
『ダカラ、あの子にはホントに気にしないでって、もう一度伝えてあげて欲しいノ!』
提督「よし、分かった」
提督「雪風にはちゃんと伝えておくから、君たちも一度、二日ほど上陸(休息のための外出の意)してよ」
『エ、イイノ?』
提督「うん。ここのとこ、碌に休みもあげられなかったからなぁ」
提督「作戦が終わったら、上質のボーキサイトを送るよう上に申請しておくから、楽しみにしてな」
『ワーイ!テートクありがとー!』
ガチャン
提督「……」
提督「それにしても……雪風がねぇ」
提督「あの子も日ごろは秘書官としてよく頑張ってくれてるし、たまにはちゃんと労って……」
ジリリリリリリン!
提督「あああああもぉ、今度こそ本物だ畜生!」
……
…………
………………
眠いので今日はここまでです
おそらくは、明日に終わります
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