祥鳳「夜伽にきました」 (94)


夕張「……」

祥鳳「……」

夕張「……いや、まだケッコンしてませんよね?」

祥鳳「……」スッ

夕張「目をそらさないでください!」

祥鳳「い、いいじゃないですか! ここ数日精の付くものばかり食べさせてたのは知ってるんですよ!」

夕張「なー!? し、知ってるなら空気呼んでくださいよ!」

祥鳳「ちょっとだけ、先っちょだけでいいですから」

夕張「多少いちゃつくのは構いませんが、本番は駄目です! ケッコンするまで認めません!」

祥鳳「だって、最近出撃できないんですもん!」

夕張「……」スッ

祥鳳「目をそらさないでください!」

夕張「と、ともかく! いくら祥鳳さんでも特別扱いはできません! 他の皆に示しが付きませんから」

夕張「榛名さんだって行動に移したのは最高練度になってからなんですからね!最高練度になるまでは我慢してください!」

ドア<バタン

祥鳳「……」ムゥ

【18禁ではない】

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474467119


・この物語は
夕張「夜の提督のデータ」
夕張「提督の夜のデータ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409305994/)
榛名「榛名だってイチャイチャしたい」
榛名「榛名だってイチャイチャしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417699343/)
の続きになります。

・この物語は、私の脳内妄想劇場です。あなたの鎮守府の娘たちとは多少相違があるかもしれません

・キャラ崩壊、口調崩壊あります

・書き溜めない

・書くの遅い


――――
――食事処 鳳翔

祥鳳「――って言うんだよ。酷いと思わない?」

瑞鳳「酷……くはないと思う。だって事実ケッコンしてないし」

祥鳳「……」ムゥッ

瑞鳳「むくれたってしょうがないじゃない」

祥鳳「だって……」

瑞鳳「夕張さんだって、前みたいに絶対に認めないとは言ってないんでしょ? ケッコンすれば認めてくれるって言ってるんだから、有難い話だと思うけどな」

祥鳳「それは……そうだけど」

祥鳳「……」ゴクゴク

祥鳳「っぷは……そうじゃなくて」

瑞鳳「え?」

祥鳳「なんて言うのかな……きっと私は自分の力でその場所を得たいの」


瑞鳳「……」モグモグ

祥鳳「夕張さんに与えられたからじゃなくて、自分の力でその場所を作りたい」

瑞鳳「大層な志だこと」

祥鳳「そうじゃないと……本当に提督に好きだと思ってもらえてるのか、わからないから……」

瑞鳳「……」

瑞鳳「でも、提督と夕張さんは相思相愛で」パクッ

瑞鳳「今はそこに榛名さんも加わったわけでしょ?」モグモグ

瑞鳳「ここからさらに割って入るのは難しいと思うけどな」

祥鳳「……やっぱりそう思う?」

瑞鳳「うん。練度が99になれば自動的に椅子は用意してくれるって言ってるんだし、地道に戦果を上げた方が建設的だと思う」

祥鳳「」シュン

瑞鳳「……はぁ。そんなに落ち込まないでよ」

祥鳳「だって……」

瑞鳳「はい。卵焼きたべりゅ?」アーン

祥鳳「たべりゅ……」パクッ

祥鳳「」モグモグ


瑞鳳「……でも、榛名さんだって諦めなかったからそうなれたんだし、頑張れば確率はないわけじゃないかもね」

祥鳳「」パァァァ

祥鳳「づほ~」

瑞鳳「ちょっと、あんまりくっつかないで! お酒臭い!」

祥鳳「」シュン

瑞鳳「まったくもう」

瑞鳳「まあ、頑張ってみたら? どうするつもりなのかはわからないけど……失敗しても愚痴ぐらいなら聞いてあげるし」

祥鳳「あ~励ましてくれる瑞鳳可愛いなぁ……」ギュー

瑞鳳「だからお酒臭いって……もう」ニヘラ


――――
―― 提督の部屋

榛名「……」

榛名(榛名には日課がある)

夕張「むにゃ……」

榛名(毎朝提督と夕張さんを起こすというものだ。そのために部屋の鍵も頂いている)

提督「……んが」

榛名(とはいえ、夕張さんがすでに起きていることが多いのだが……この様子だとどうやら昨晩は相当"お楽しみ"だったらしい)

榛名「……」ムゥ

榛名(まあいいです。せっかくの機会なので榛名も少し楽しませてもらいます)

榛名「……」ジー

榛名(まず、提督の寝顔を舐め回すように焼き付け、視姦する)

榛名「……」スンスン

榛名(次に無防備に眠った彼の胸元に抱きつき、匂いを目一杯堪能)

榛名「ん……」

榛名(濃厚な彼の香りを満喫した榛名は頬を緩めながら、彼の顔に近づき、そっと唇を奪った)

榛名「……はふ」

榛名(その一連の行為に満足した榛名はようやく起こす作業に移った)

榛名「提督、起きてください」ユサユサ

榛名(返事はない。まるで屍のよ……我慢できなくなった榛名はここでもう一度唇を奪う)

夕張「」ジトー

榛名「はっ」

榛名「お、おはおはようございます、夕張さん!」

夕張「おはようございます」


夕張「なんか最近榛名さん変態具合が増してません?」

榛名「そ、そうでしょうか……」メソラシ-

夕張「寝てる間に匂い嗅いだりキスしたり……まあ今更それぐらいでやいやい言うつもりはありませんが……」

夕張「以前のことといい、もしかして睡姦とかしたいんですか……?」ジトッ

榛名「そ、そんなわけないです!」

夕張「ふぅん……」

榛名「そ、それより早く提督を起こしましょう」ユサユサ

提督「ん……」

榛名「提督、朝です!」

提督「……ああ、榛名?」

榛名「はい! おはようございます!」

夕張「おはようございます、提督」

提督「ああ、おはよう」


提督「あー、ねむ……」ハミガキ

夕張「あわわ、寝過ぎた」パタパタ

提督「何だ、慌ただしいな」

夕張「あーすみません提督! 私ちょっと明石さんのところ行きますね!」

提督「ん……悪いことはするなよ」

夕張「しません!」プンスカ

夕張「じゃあお先に……っと、いってきます!」

提督「いってらい」ヒラヒラ

榛名「あの、提督」

提督「んぃ?」ガラガラ

榛名「榛名も今日はお姉様たちと約束があって……」

提督「」フキフキ

提督「……ん。そうか」

榛名「ご一緒できなくて申し訳ありません」

提督「いいよいいよ。たまには姉妹で食べなさい」

榛名「ありがとうございます。では、また執務の時に……失礼します」パタパタ

提督「……ふむ」


――――
――

祥鳳「提督、おはようございます!」

提督「ああ、おはよう祥鳳」

祥鳳「今日もいい天気ですね。ケッコンします?」

提督「確かに良く晴れて、ん……?」

祥鳳「」ニコッ

提督「祥鳳、お前今何か……」

祥鳳「提督、演習や出撃の際には是非私を呼んでください」

提督「え、あ、ああ……検討しておこう」

祥鳳「お願いします。私、頑張りますから」

提督(……気のせいか?)

祥鳳「提督もこれからご飯ですよね? お一人で?」

提督「ああ」

祥鳳「ご一緒しても?」

提督「もちろん」

祥鳳「提督と二人きりなんて、私嬉しいです」ニコッ

提督「……それはどうも。さ、行こうぜ」スタスタ

祥鳳「……」ムゥ


―― 食堂

祥鳳「そういえば、今日は夕張さんと榛名さんはどうしたのですか?」

提督「夕張は明石のところで榛名は金剛たちと一緒」

祥鳳「こんな朝から明石さんのところに行くなんて、また何か作ってるんですか?」

提督「みたいだ。詳しいことは聞いていないんだが……少し不安」

祥鳳「……大丈夫ですよ、きっと」

提督「今の間が全てを物語っているよね」

提督「あいつら技術と知識は確かなんだが……2人揃うとどうもなぁ」

祥鳳「言葉にすると、そうなるって言いますし……あまり悪い方に考えないほうが……」

ドア<バーン

夕張「提督! 無事ですか!?」コーホー

明石「大変です!」コーホー

提督「ちょっと早すぎじゃね?」

祥鳳「あぁ、私も言葉にしてしまったからでしょうか……」

提督「……」アタマカカエ

夕張「ああ、良かった。大丈夫そうですね」コーホー

明石「身体に異常はないですか?」コーホー

提督「……今度は何した?」

夕張「……」コーホー

明石「……」コーホー

提督「……」

夕張「な、何もしてないですよ?」

明石「大変じゃなかったです」

提督「ちょっとそこに正座しろ」


夕張「や、私達って科学には強いけど、化学はあまり馴染みないじゃないですか」

明石「それでちょっと勉強してたんです」

夕張「で、結構知識もついてきたので試しに色々作ってみようかって話になったんですよ」コーホー

明石「それももうすんごいやつです」コーホー

夕張「でも、思いの外難航してしまって」コーホー

明石「2人で話し合っているところで試験薬が入った容器が盗まれまして」コーホー

夕張「慌てて探したら、廊下で割れた器が見つかりました」コーホー

提督「盗まれたって……」

夕張「まあうーちゃんなんですけどね」コーホー

明石「いやぁ、私達じゃ駆逐艦には全然追いつけませんでしたね」コーホー

提督「……で、逃げたはずの卯月がお前にしがみついてるのはなんなの」

夕張「薬の効果、ですかねぇ……?」

明石「でしょうねぇ」


提督「卯月?」

卯月「う~隊長もっとうーちゃんに構って構って~」

提督「えっ」

夕張「いやぁ、悪い気はしませんよね。可愛い!」

パリン

五月雨「」

夕張「はっ」

五月雨「う……ゆ、夕張さんは誰に抱きつかれても良いんですか……?」

夕張「さ、五月雨ちゃん?」

五月雨「あ、あんなにお姉ちゃんって言わせられたのに……」

祥鳳「えっ」

明石「うわぁ」

夕張「わ、ちょ、五月雨ちゃんそれは秘密って!」

五月雨「もう卯月ちゃんにお姉ちゃんって言ってもらえば良いじゃないですか!」

五月雨「夕張さんなんか知らない! きらいっ!」タタッ

夕張「きらっ……!?」

提督「……お前五月雨にそんなことさせてたの?」

夕張「」

提督「夕張?」

夕張「」

明石「……し、死んでる」


夕張「」ウジウジ

卯月「」ギューッ

提督「……あー、さっきの五月雨も薬の影響があると思うか?」

明石「正直なんとも」

明石「何分試験薬なもので……いったいどんな効果なのかちょっと読めなくて」

祥鳳「でも、目標としてた効果はあるはずですよね?」

明石「まぁ……」

明石「深層心理でやりたがってたことをやってしまう薬……的な?」

提督「んなもん作れんのか」

明石「まあ、要は心のタガを外してしまうというか理性を緩くするというか……」

明石「酔っ払うと本音がポロッと出ちゃったり、何も考えずやりたいことやっちゃったりしますよね? あれを強烈に強める感じです」

祥鳳「……何だかわかりませんが、結構危ないもの作ろうとしてません?」

明石「……」

祥鳳「……」

明石「……」ニコッ

提督「いや、ニコッじゃないんだが」

明石「ま、まあ実験では上手くいってなかったので今回もそこまでヤバイことにはなっていないと思います」

夕張「……そうですね」

祥鳳「あ、復活しました?」

夕張「それに、卯月ちゃんや五月雨ちゃんの行動が薬のものだとするなら、少なからず精神に作用する類のものであるとも仮定できますよね」

明石「つまり、私たちの研究の方向性は間違ってはいなかったってことですよね!」

夕張「ですね!」

提督「お前ら本当に反省してんの?」


祥鳳「あの……仮にさっき明石さんが言ったように、今まで我慢してたことをやってしまうような状態に皆さんがなっているとするなら、かなり不味いんじゃ……?」

夕張「まあ……」

提督「まあ……じゃないんだが」

明石「いや、でも! 察するにこれはとんでもないものを作り出してしまったんじゃないかと思うんですよね」

夕張「確かに……改良すればなんかすんごいの作れそうですよね」

祥鳳「と言うか、何故お二人はガスマスクをしているのですか?」

明石「そりゃあ薬を吸い込まないためですけど」

提督「つまり、俺達はもうそれを吸い込んだことになる、と……」

夕石「「……」」スッ

提督「こっち見ろ」

祥鳳「でも、私や提督は特に変わりありませんし……効いている人とそうでない人がいるということに?」

夕張「……」

明石「……」

夕石「「さぁ?」」

提督「貴様ら……」


提督「次よく分からないもの流出させたら床に転がすぞ」

夕張「えっちな意味ですか?」

提督「違う」

夕張「心配しなくても、数日もすれば薬の効果はなくなると思いますし、そもそも何も起きてない可能性もありますよ?」

明石「何かあっても、数日と経たず収束する可能性もあります」

提督「それは根拠があって言ってるんだな?」

夕張「まあ……」

明石「根拠は今から作ります!」

夕張「さっすが明石さん! か、かっこいい……!」

明石「何言ってるんですか! 夕張さんも一緒に決まってるじゃないですか!」

夕張「まあ、そうなるか……」

提督「ああ、そうなるな」

明石「じゃ、ちょっと頑張ってくるので、提督は何かあったら事態の収拾をお願いします!」

夕張「お願いします!」

提督「それはわかったが……事が落ち着いたら、お前らお仕置きだからな?」

夕張「えっちな意味ですか?」

提督「違う」

提督「……罰は考えておく。事態の把握と収拾はこちらでできる限り対応するから、早く解決してくれ」

って感じでだらだらと書いていきたいと思っているので、どうかよろしくお願いします


――執務室

提督「はぁ……すまない榛名、遅くなった」

榛名「いえ、大丈夫です」

提督「……」ジー

榛名「? どうかしましたか?」

提督「いや……」

榛名「そんなに見られると、照れちゃいます……」

提督「……榛名、何か変なことはないか?」

提督「普段なら自制できていることを我慢できないとか、普段しないことをしてしまったりとか」

榛名「……いえ、そのようなことはないと思いますが」

提督「そうか……」

提督「……」

提督「なら、その頭に被った俺のパンツを返してくれないか」

榛名「え、パンツ……ですか?」

提督「そう、頭の上のそれね!」

榛名「頭の……?」

榛名「あ、ごめんなさい。室内では帽子は取らないと、ですよね」

提督「いや、帽子じゃなくて俺のパンツだよねそれ!?」


提督「もうどういうことなの……」アタマカカエ

榛名「頭痛いんです? 撫でてあげましょうか?」

提督「いや……大丈夫」

提督「あー、榛名。変なこと聞くが、榛名は俺の下着とか欲しいと思うのか?」

榛名「? 榛名は提督のものなら何でも欲しいですよ?」

提督「……そうか」

提督(ちょっと、この……これ、薬のせいだよな)

提督(少なくとも普段の榛名なら俺の下着を帽子と言って被ったりはしないし……)

提督「……」フアン

提督「すまん、ちょっと執務任せていいか。少し鎮守府を見回りたい」

榛名「構いませんが……何か問題が?」

提督「夕張と明石がちょっと……」

榛名「あっ……」

榛名「わかりました」


――廊下

提督「出てきたは良い物の……正直もう帰りたい」

提督(薬の効果が読めないっていうのがなんともなぁ……)

提督(卯月と榛名の様子を見る限り、本当に今まで我慢してたことをやってしまうとかか?)

提督(榛名が俺のパンツ被りたがってたとは思いたくないが……)

提督(そもそも、パンツを帽子と言ったのは?)

提督(とぼけていたのか、本当にそのつもりだったのか……)

提督「……」

提督「はぁ……」

祥鳳「あら、提督?」

提督「……祥鳳か。今日はよく会うな」

祥鳳「会いに来てるんですよ?」ニコッ

提督「それはどうも?」

祥鳳「つれないですね……」

提督「バカ言うな。内心ドキドキだっつーの」

祥鳳「へぇ……?」


提督「それでも立場上釣られるわけにはいかないだろ」

祥鳳「頑張りがいがありますね」

提督「……お前最近好意を隠さなくなってきたよね」

祥鳳「? 提督が私達をみんな受け止めてくれるって言ったんじゃないですか。なら、我慢する必要はないですよね?」

提督「それは、そうだが……すまないが、その好意を安易に受け取るわけにはいかない」

祥鳳「だから言ったんですよ? 頑張りがいがありますって」

提督「む……」

祥鳳「ああ…そんな難しい顔をしないでください。提督を困らせたいわけじゃないんです」

祥鳳「ただ、私の気持ちを受け止めて貰えれば……」

提督「それは……お前がその気なら精一杯受け止めさせてもらう。ただし、練度が最高になったらな」

祥鳳「……むぅ」


祥鳳「それで、見回りですか?」

提督「ああ、何かあったら困るし……」

祥鳳「じゃあ私もご一緒しますね」

提督「構わないが、楽しいものではないと思うぞ?」

祥鳳「いいえ、私は、提督と一緒にいられるだけで楽しいですよ。何もしなくても……一緒にいるだけで」

祥鳳「だから、あなたがどこかに行くというのならもちろん私も一緒に行きたいですし、ここにいるというのなら、私もここにいます」

祥鳳「幸い、夕張さんも榛名さんもいないみたいですし? 提督と二人きりなんて、そうありませんから」

祥鳳「駄目、ですか……?」

提督「……そんなこと言われて駄目とは言い難い」

祥鳳「やたっ!」ワーイ

提督「……」

祥鳳「あ……んん、おほん。提督のそういうところ、好きですよ?」

提督「……そいつはどうも」


――――
――

提督「しかし、思ったより騒ぎになってないな」

祥鳳「もしかしたら、私達みたいに効いてない人の方が多いのかもしれませんね」

提督「だといいが……」

赤城「……」スタモグ

提督「あいつ、また食べ歩きして……」

提督「おい、赤城!」

赤城「むぐ……」モグモグ

提督「食べ歩きは行儀が悪いからやめなさいと……」

赤城「」ペコリ

提督(何も持ってない。いつもなら食べ歩きしている時には何かしら抱えてるのに珍しいな。食べ終わったところか?)


提督「まあ今はそれはいい。いつもみたいにアホみたいな量を抱えているわけはないようだしな」

提督「それよりも……何か異常はないか?」

赤城「……」モグ…?

提督「無いなら良いんだが……」

赤城「」モグモグ

祥鳳「あの、赤城さん……人と話す時は食べるの自重した方が」

提督「む、そうだぞ。もうずっと噛んでるみたいだし、飲み込んだらどうだ」

赤城「」フルフル

提督「……できないのか? 何食ってるんだ」

赤城「」フルフル

提督「それも言えない、と……お前まさか、また食料庫から何か」

赤城「」ブンブン

祥鳳「違うみたいですけど……」

提督「じゃあ何で飲み込めないんだ」

赤城「もが……ん……」モグモグ

提督「……」

赤城「……」モグモグ

祥鳳「……」

提督「……とりあえず、飲み込むか出すかしなさい。それじゃ話もできん」


赤城「」ブンブン

祥鳳「嫌みたいですね」

提督「何……? お前やっぱりそれ――」

赤城「」モグモグ

赤城「」ダッ

提督「あ、待て!」ガシッ

赤城「っ!」モグモグ

提督「ふ……いつも逃げられる俺じゃないぞ」

提督「さ、正直に白状しなさい」

赤城「……」ダラダラ

祥鳳「観念した方が良いと思いますけど……」

赤城「むぐ……」モグモグ

赤城「……」モグ

赤城「……」

赤城「……」ベェ

提督「え、飲み込まずに出すなんて珍し、い……」

赤城「……」ベチョベチョ

提督「……」

提督(俺のパンツだこれ……)

赤城「上々ね」

提督「何がっ!?」


提督「あれ、えー……? はぁぁ?」

赤城「……?」

赤城「!」

赤城「洗って返しますね?」

提督「いや、待て。そうじゃない」

提督「や、もちろんそのまま返されても困るわけだけど、そうじゃなくて……」

提督「あー、赤城? それは?」

赤城「提督の下着ですが?」

提督「その"何か?" みたいな顔止めて!?」

祥鳳「……」ホホゥ


提督「やっぱり俺のパンツかよぉ……」ガクッ

提督(えぇ……榛名といいどういうことなの)

提督(何、えぇー……?)

提督「一応聞くが赤城? お前、前から俺のパンツ食べたかったの?」

赤城「はぁ……別にそういうわけではありませんが」

赤城「そもそも……ぷふっ、いくら私だってパンツ食べれませんよ? 私のこと何だと思ってるんですか」クスクス

祥鳳「おぉ……」

祥鳳「今まで提督のパンツモグモグしてた人の言葉とは思えませんね」

提督「はぁ……」

提督「じゃあ何で俺のパンツ食べてたわけ?」

赤城「食べてたわけじゃないんです」

赤城「ただ、こうすると提督の香りを強く感じることができたので……つい」

提督「……パンツモグモグじゃなくて、コートを抱きしめるとかならグッとくるところではあるんだが」


提督「お前それどこから持ってきたの?」

赤城「加賀さんが何枚か持っていたので1つわけてもらいました」

提督「……加賀もなの?」

祥鳳「驚きですねぇ」

赤城「加賀さんはたしか……叢雲さんから貰ったって言ってたような?」

提督「冗談だろ? 叢雲が?」

祥鳳「叢雲さんまで……」

赤城「まあ詳しいことは加賀さんに聞いてください。きっと、訓練場にいますから」

赤城「では、私はこれで……」ススッ

提督「……どういうこと」

祥鳳「赤城さん、また提督の下着モグモグしてますけど……」

提督「……頭痛くなってきた」

今回はここまで
ありがとうございました

待ってる間に祥鳳さんLv99になった

>>35 祥鳳さん99おめでとうございます


龍驤「あーちょっと、キミキミ!」

提督「今度は何……?」

祥鳳「龍驤さんですね」

龍驤「いやぁ、いいとこで会えたわ」

提督「何か用か?」

龍驤「頼みがあるんやけど……」チラッ

提督「何?」

龍驤「……その」

龍驤「……」チラッ

祥鳳「?」

龍驤「キミのパンツ、ウチにもくれないかな?」エヘッ

提督「はぁ!?」

祥鳳「えぇっ!?」


龍驤「いやぁ加賀がね? 胸のとこに入れてたんよ」

提督「は?」

祥鳳「提督の下着を?」

龍驤「そう! だから、ウチも真似してみようかなって……」

提督「何故……」

龍驤「ウチも大きい胸が欲しいからですけどぉ!?」
提督「いや、意味わからん。どうしてそれで大きくなると思ったの?」

祥鳳「加賀さんの真似したからって胸が大きくなるわけじゃないと思いますけど……」

龍驤「じゃあ逆に聞かせてもらうけどさぁ……パンツ入れて胸が大きくならないとは限らなくない!?」

提督「いや、常識的に考えてならないだろ……」

祥鳳「龍驤さん、そんな追い込まれて……」ブワッ

龍驤「同情するならその胸をくださいよぉ!」


提督「まあ落ち着けよ龍驤」

龍驤「パンツくれるん?」

提督「いや、それはあげないけど」

龍驤「はっ、じゃあもう用ないわ! あほー!」ダッ

タタタッ

提督「えぇ……」

祥鳳「なんだったでしょうね」

提督「……少なくとも、結構な人数に薬の影響出ちゃってそうなのはわかった」

祥鳳「でも何でみんな提督の下着を欲しがるのでしょう?」

提督「確かに……わけがわからないな。そもそも何故加賀はそんなことしてるんだ?」

加賀「胸がいっぱいになって幸せを感じるからだけれど」

提督「いや、意味わからんわ」

加賀「そう……」

提督「って、加賀!?」

加賀「はい。あなたの加賀です」


提督「加賀……」プルプル

提督「お前なぁ!」ガッ

加賀「きゃっ」ドン

加賀「急に壁に押さえつけて何……」ハッ

加賀「強姦?いいけれど」

提督「違うわ!」

提督「お前俺のパンツ変なことに使うの止めてくれる!?」

加賀「……」クビカシゲ

提督「とぼけてもなぁ、もうわかってんの!」

提督「赤城に一枚あげたのも! その胸のとこにしまってんのも!」

加賀「……変なことには使ってないわ」

提督「どこが!?」


加賀「大切なものを大事に持っておくことは変なことではないと思うのだけど」

提督「大切なもの……?」

加賀「ええ」

提督「俺のパンツが……?」

加賀「ええ」

提督「……」

提督「ちょっと納得出来ないが、とりあえずパンツ返してくれる?」

加賀「それはここで脱げということ?」

提督「違うけど!?」

加賀「脱がなきゃ渡せないわ」

祥鳳「今提督の下着はどこにあるんです?」

加賀「履いてるわ」

提督「!?!?」

提督「で、でもお前パンツは胸元にしまってるって龍驤が……」

加賀「ええ。ブラの中に詰めて、もう一枚は履いてるわ」

祥鳳「はー……」

提督「じゃあ、あとで、かえして」

加賀「それも無理ね」

加賀「叢雲に提督には返すなって言われてるの」


提督「」フラッ

祥鳳「提督!」ガシッ

提督「っと、すまん」

祥鳳「大丈夫ですか?」

提督「正直しんどい」

加賀「……何だか随分辛そうね」

提督「まあな……」ジトッ

加賀「私が悪いとでも?」

提督「全部が全部とは言わんが」

加賀「……」ハー

加賀「じゃあ言わせてもらうけれど、提督」

加賀「そのポケットからはみ出てる女性の下着は誰の?」

提督「えっ!?」

祥鳳「う、嘘……提督……?」

提督「馬鹿な……これは――」

提督(夕張のパンツだこれ……)

祥鳳「何故近くにいた私の下着を求めてくれなかったんですか!?」

提督「そこ!?」


提督「えー待って……いつから入ってたのこれ……」

祥鳳「覚えてないんですか?」

提督「いや、覚えてるも何も取ってきてないし……」

提督「……」トリアエズシマウ

祥鳳「しまうんですねそれ……」

提督「いや、捨ててくわけにはいかないだろ?」

祥鳳「むぅ……」

加賀「……私はこれで」

提督「ん、ああ……いや、待て!」

加賀「」ダッ

タタタ

提督「俺のパンツ……」


祥鳳「……あの、提督」

提督「……ん?」

祥鳳「下着が欲しいのでしたら、私のを差し上げますけど」

提督「え!? よっ――くはないね。いらないね」

祥鳳「提督が言うのでしたら、何でも差し上げるのに……」

提督「いや、俺は俺のパンツを取り戻したいだけで、他のパンツはいらなえ? 本当に?」

祥鳳「……」

提督「……」

提督「ん、んん! おほん」

提督「さ、見回りの続きをしようか」


タタタッ

夕張「提督~!」

提督「次から次へと……」

夕張「はぁ、あの、私のパンツ持って歩いてるって本当ですか!?」

提督「情報回るの早いな!?」

提督「いや、まあ……何故かポケットに入っててな」
夕張「もう! そんな言い訳しなくていいですよ? 脱ぎたてじゃなくて大丈夫です?」

提督「……大丈夫です」

夕張「え?」

提督「え?」

夕張「……そうね、こうしましょう。私の脱ぎたてあげるので、提督が今穿いてるパンツください」

提督「話聞いてる?」


提督「はぁ……あのさ」

提督「何でお前までパンツ欲しがるわけ!?」

提督「はぁ-もうホントもう……!」

夕張「そりゃ好きな人のパンツは欲しいですよ!」

提督「開き直るな! っと、ちょっと待て。もしかしてお前も薬吸ってない?」

夕張「……」スッ

提督「こっち見ろ」

夕張「だって何か皆楽しそうでずるいじゃないですか!」

夕張「私だって提督と楽しくしたい! パンツも欲しい! 私のパンツも欲しがってほしい!」

提督「……もしかして俺の服にパンツ入れたのお前じゃね?」

夕張「……」スッ

提督「こっち見ろ」

祥鳳「え!? ちょっと待って下さい。じゃあ提督は別に下着を欲しがっていたわけじゃない……?」

提督「ん……まあそうなるよね」

祥鳳「つまり、欲しいのは私……?」

提督「どうしてそうなった」

夕張「欲しいのは私ですよね?」

提督「ちょっと黙っててくれる?」


提督「もうお前早く解毒剤作れよ」

夕張「……ッス」

提督「てか、お前ホントに薬吸っちゃったの? 大丈夫?」

夕張「はぅ……」

夕張「提督が心配してくれてる……」エヘヘ

提督「……」コイツ

「薬を吸った?」

明石「へぇ……それは良いことを聞きました」コーホー

夕張「」ビクッ

明石「こんな身近に良く協力してくれそうなサンプルがいたなんて……」コーホー

明石「さ、油売ってないで戻りましょうね?」コーホー

夕張「待って! 待ってください!」

明石「」チラッ

提督「」コクッ

夕張「」ガーン

祥鳳「……」


提督「大丈夫なのかよこれ……」

祥鳳「……大丈夫、ではないのかもしれませんね。夕張さんもあの様子ですし」

提督「頼りは明石か……」

祥鳳「私も……羨ましくなってきましたし」ボソッ

提督「え?」

祥鳳「……」

叢雲「ねえ、ちょっといい?」

提督「っと、叢雲!?」

叢雲「何? そんなに驚かなくても良いじゃない」

提督「いや、ちょうどお前を探してたんだよ」

叢雲「ふぅん?」


提督「お前、俺のパンツ配ってんの!?」

叢雲「……ああ、その話? それならあんたのパンツ、もういらないから捨てようと思って」

提督「いや、いるよ!?」

祥鳳「下着がなければノーパンになっちゃいますね」

叢雲「別に穿くなとは言ってないわよ。ただ、あんなダッサイ下着なんて捨てなさいな」

叢雲「ほら、私が代わりを買ってきてあげたわ」

叢雲「あんたはコレを穿きなさい」ガサガサ

提督「えぇ……」

祥鳳「え……これって――」

提督(ボクサーパンツ……)

提督「や、おれはトランクス派なんだが……」


叢雲「トランクスなんてオヤジ臭いわ」

提督「む、そういう意見も無くはないが……」

叢雲「そ、それに……えっちなビデオの男の人達だってそういうパンツ履いてるじゃない……」

提督「えっ」

祥鳳「むっ」

提督「……なんて?」

叢雲「~っ、うっさいわね! いいからあんたもこれを穿きなさい! ほら!」ボス

提督「お、おう」

提督「……」ガサ

提督(ホントにボクサーパンツしか入ってない……)
叢雲「明日からそれを穿くこと! それじゃあね!」

提督「むむむ……」

祥鳳「あ、あの提督……」


提督「ん?」

祥鳳「……その、こんなこと言うのはお門違いだってわかってるんですけど」

提督「うん」

祥鳳「みんな欲しい物手に入れて…ずるいです」

提督「……」

提督「え? 欲しい物手に入れてるって……」

提督(皆俺のパンツ持ってただけなんだけど……)

祥鳳「……私も、欲しいです」

提督「パンツが!?」

祥鳳「提督」

提督「はい?」

祥鳳「提督、が欲しいです」

提督「……え」

今回はここまでで
ありがとうございました

おっそい更新で申し訳ないですが、細々と続けていきます
最後までお付き合い頂ければ幸いです


提督「いやな、祥鳳……さっきも言ったが練度が最大になるまでは俺は」

祥鳳「……嫌です」

提督「嫌って」

祥鳳「そういう、業務上仕方なくケッコンする……みたいなのは嫌です」

提督「……」

祥鳳「提督は私がお嫌いですか……?」

提督「そんなことはないが……」

祥鳳「じゃあ慰めてください」

提督「えっと……」

祥鳳「……」スッ

提督「その手は……抱きしめろと?」

祥鳳「……」ジー

提督「まあそれぐらいなら」スッ

ギュッ


祥鳳「もっとちゃんと抱きしめてください」

提督「グイグイくるね……」ギュッ

祥鳳「ん……はふ」

祥鳳「……」

祥鳳「……」スンスン

提督「匂い嗅ぐの止めてもらっていいかな」

祥鳳「ち、違います。呼吸してるだけです」

提督「……にしては何か呼吸荒いというか、スンスンしてるというか」

祥鳳「こ、これはその……む、むむムラムラしてるだけです!」

提督「せめてドキドキにしてくれない!?」

祥鳳「……」ギュッ

提督「あの……」

祥鳳「静かに」

提督「……」


提督(……何か凄い恥ずかしくなってきた)

提督(こんな昼間からいつ人が通るともわからない廊下で何故俺は祥鳳と抱きしめあっているのだろう)

提督(凄い良い匂いするし)

提督(髪の毛さらさらだし)

提督(こんな華奢な見た目してるのに出るとこは出て、それなのに身体はしっかり引き締まっているし)

提督(いつも弓を引いているからだろうか、背中は特にしっかりとした筋肉がついているみたいだ。抱きしめるまでは気付かなかったが……)

祥鳳「んっ……」ピクッ

提督(そっと指でなぞると明らかに脂肪とは違う柔らかさがあるのがわかる)

提督(弓を引く時は服をはだけさせていることが多いが、その時に見た彼女の背中は確かに無駄が無く、美しいものだったことを思い出す)

祥鳳「あ、あの、あの……」

提督「はっ」

提督「す、すまん!」


祥鳳「……っ、うぅ」

提督「祥鳳?」

祥鳳「今ので妊娠したみたいです」

提督「は?」

祥鳳「結婚してください」

提督「いやそれはおかしい」

祥鳳「むぅ……まあ今のでできるわけないですよね」

提督「そりゃあねぇ……」

祥鳳「なので、ちょっと子供を頂いてもよろしいでしょうか?」

提督「よろしくないけど!?」

祥鳳「……」ムスー

ギュー

提督(……いつまでこうしてればいいのこれ)


榛名「……提督」

提督「ほぁっ!? 榛名!?」

榛名「……」

榛名「榛名に仕事を押し付けて祥鳳さんと逢引ですか」

提督「う……いや、榛名! これは違うんだ、その……」

祥鳳「……」ギュー

提督「あ、あれ? 放して祥鳳さん!?」

榛名「……おこです」

提督「へ?」

榛名「榛名、おこですよ」

提督「おこなの……?」

榛名「……」スッ

榛名「榛名にもしてください」

提督「……そうは言っても祥鳳が放してくれないことにはなぁ」

祥鳳「……私は離れませんよ」

榛名「……」プクゥ

提督「うわ、かわいじゃなくて……実際身動きが取れなくてだな、その……」

榛名「なら、仕方ありませんね……」


榛名「……」スススッ

提督「榛名?」

榛名「えいっ」ギュッ

提督「!?!?!?」

提督(榛名は不満顔で俺の後ろに回ったかと思うと、後ろから抱きついてきた)

提督「ちょ、ま、えっ……?」

榛名「ふふっ、ん~……提督の良い匂いがします……」

提督「おっさんの香りしかしないと思うのだが……」

榛名「……」ギュッ

祥鳳「……」ギュー

提督「……なるほど」

提督(これは、ヤバイ)


提督(幸せ過ぎる状況ではあるんだが、ヤバイ)

祥鳳「……」ギュー

提督(前から祥鳳、後ろからは榛名がこれでもかと言わんばかりに身体を寄せてくる。何だこの幸せサンドイッチ)

提督「……」

提督(祥鳳はちょうど俺の肩に顔を埋めるようにして抱きついていた)

提督(まるで濡れ落としたような美しい艶髪は蛍光灯の光を反射して綺麗な輪っかを浮かべている)

提督(腰に回された腕は逃さないとでも言うようにがっしりと固定され、それどころかぐいぐいと力を込めて俺を引き寄せようとしていた)

提督(密着した身体は服越しでもわかるぐらい引き締まり、けれど女性特有の柔らかさと儚さが確かに共存していた)

提督「……」

提督(後ろからは榛名が腕を回し、その身体を押し付けてくる)

提督(腰に祥鳳の腕があるからだろうか、彼女は俺の胸へと腕を回し抱きついていた)

提督(祥鳳とは逆側の肩へと顔を埋め、えへへ、という笑い声が時折聞こえてくるのが凄く可愛い)

提督(身体をぐいぐいと押し付けてくるせいで、俺の身体はさらに祥鳳へと密着してしまう)

提督(前後から襲い来る柔らかさ、そして甘い香り)

提督(……これは、興奮するなという方が無理)


提督「あの、そろそろ、あの……」

提督(もうヤバイ。何がヤバイって身体が反応してしまう)

提督(スタイル抜群の美人に挟まれ、密着され、ここまで耐えた自分を褒めたいぐらいだが)

提督(しかし、この状況で息子がやる気を出そうものなら、それは間違いなく祥鳳にバレる。というか、あたる)

提督「……」コマッタ

夕立「……」

提督「ん……?」

夕立「……」ジー

提督(めっちゃ見られてる)

提督(あ、あれ、いつから?)


提督「」ダラダラ

祥鳳「……?」

夕立「……」ジー

祥鳳「……!」ハッ

祥鳳「……」チラッ

榛名「……」コクリ

祥鳳「夕立ちゃん」オイデオイデ

夕立「ぽい?」

榛名「……」ニコッ

夕立「」パァァァ

夕立「夕立も混ざるっぽーい!」タタッ

提督「……なんじゃと」


提督(笑顔で駆け寄ってきた夕立はもぞもぞと俺と祥鳳の間に潜り込んできた)

ギュッ

夕立「」ンフー

提督(夕立は俺と祥鳳の間に収まると、俺にしがみつき満面の笑みで顔を上げた)

夕立「提督さんと祥鳳さんに挟まれて、夕立ご満悦っぽい!」ニコニコ

提督「天使か」

祥鳳「ですね」

榛名「かわいい」


――――
――

瑞鳳「はぁぁぁ~……」

祥鳳「……」

瑞鳳「それで? 結局?」

祥鳳「夕立ちゃんの可愛さを堪能して、流れ解散に……」

瑞鳳「だめ。ぜんっぜんだめ」

瑞鳳「祥鳳はさぁ、綺麗だよ? 胸だって大きいし、スラっとしててスタイルも良い」

瑞鳳「そんな女性に甘えられたらそりゃあ普通の男の人だったらいちころだよ?」

瑞鳳「でもね、でも……それは榛名さんと被ってるの!」

瑞鳳「単純に可愛い枠には夕張さんがいるし!」

祥鳳「そんなこと言われたって……」

瑞鳳「2人とは違う優位性を示さないと!」


祥鳳「優位性って言われても……艦載機積めるとか?」

瑞鳳「違うでしょ! 女性としての優位性でしょ!」

祥鳳「はい……すみません」

瑞鳳「もう……」

瑞鳳「私が見る限り、提督は甘えられることが多いよね」

瑞鳳「何かをやってあげたり、お願いを聞いてあげたり、さ」

瑞鳳「じゃあ提督の望みは誰が叶えてあげるてるの? 提督は誰に甘えてるの?」

祥鳳「……」

瑞鳳「私の言いたいことわかる?」


祥鳳「つまり、提督が甘えられる存在になれば良い、と?」

瑞鳳「そう!」

瑞鳳「まあ、実は夕張さんに甘えてるかもしれないけどね」

祥鳳「ここでそれ言う!?」

瑞鳳「……あとは叢雲、とか」

祥鳳「叢雲ちゃんか……少しわかる気がする」

瑞鳳「でしょ? 叢雲って初期艦だし」

祥鳳「今日も叢雲ちゃんに薬の影響が出てるって知ってかなりショック受けてた……」

瑞鳳「やっぱり……叢雲って提督にものすんごい信頼されてるよね」

瑞鳳「もちろん、提督が一番愛してるのは夕張さんで、榛名さんも祥鳳もそれに負けないくらい提督に好かれてると思うよ」

瑞鳳「でも、叢雲はそうじゃなくて……なんていうのかな。相棒? とか……それこそ血の通った家族、みたいな雰囲気がある気がする」


祥鳳「むぅ……」

瑞鳳「ともかく! 今となっては練度が98の艦娘はたくさんいるんだから、祥鳳はもっと頑張らないと!」

祥鳳「……」ズーン

祥鳳(たしかに、今や練度が98となったのはわたしだけじゃない)

瑞鳳「夕立ちゃんに北上さんでしょ? それから赤城さんに金剛さんまで!」

瑞鳳「うかうかしてると、先越されちゃうよ!?」

祥鳳「……それは嫌」

瑞鳳「だから、頑張ろ? ね?」

祥鳳「うん……ちょっと方法考えてみる」


――――
―― 工廠

提督「明石、経過はどうだ?」

明石「ああ、提督。何とかはなりそうですよ」

明石「そもそも、持続性もそれほど長くなさそうですし」

明石「とは言っても、今日明日で収束するかっていうのは少し楽観的すぎますが」

提督「……そうか。まあ現状みんなちょっとおかしいぐらいで、それほど危機的状況というわけではないのが不幸中の幸いか」

明石「ですねぇ……まあ提督のパンツはどうなるかわかりませんが」プクク

提督「それには触れないでくれ……夕張は?」

明石「ああ……あはは、その……」チラッ

夕張「うぅ……」

提督「……事態収拾のためとはいえ、あんまりいじめんなよ。お前も同罪なんだからな」

明石「はい……重々承知しています」


提督「夕張、生きてるか?」

夕張「……提督?」

提督「おう」

夕張「うぅ……提督ぅぅ」ブワッ

提督「よしよし、よく頑張ってるな」ナデナデ

夕張「明石さんったら酷いんですよ! まるで私をモルモットみたいに!」

明石「失礼な! ちゃんと艦娘に投与しても問題ないかぐらいは確認してます!」

夕張「まあその辺は信頼してますけど……」

明石「えっ……」

夕張「でも、辛いものは辛いんです!」

明石「……わかりました。じゃあ次からは私に投与してください。交代制でいきましょう」

夕張「あ、明石さん……良いんですか?」

明石「もちろん。今回のことは2人の責任ですから……夕張さんにだけ辛いことをさせるわけにはいきません」

夕張「明石さん……」ジーン

明石「……」ニコッ

夕張「明石さん! 好き!」バッ

明石「はい!」バッ

ギュッ

提督(なにこの茶番……)


提督「……思ったより大丈夫そうだな。引き続き頼む」

夕石「「はい!」」

提督「まあ適度に休憩を挟んで、潰れないようにな」

夕張「わかりました! ちょっとモンスター買ってきますね!」タタッ

提督「……あいつホントにわかってんのか」

明石「あはは……」

提督「……」

提督「ところで明石、前頼んでたアレ。あるか?」

明石「……一応取り寄せましたが、私は良くないと思いますよ? 身体にも悪いですし」

提督「それはわかってるが……うん。誰も居ないところで吸うからさ」

明石「仕方ありませんね……」ゴソゴソ

明石「ストレスも溜まってるのでしょうし、こういう嗜好品も多少は眼を瞑りますが、ほどほどにしてくださいね」ハイ

提督「ああ、ありがとう」

提督「……じゃあ、もう行くな」

提督「重ねて言うけど、間違っても倒れないように」

明石「がってん! です!」


――――
―― 廊下

祥鳳(ちょっと考えてみるって言ったものの……甘えてもらうって、どうすれば良いんだろう)

祥鳳(今までそれなりにアプローチはしてたつもりだけど、それも提督に甘てたってことになるのかな……)

祥鳳「……」

祥鳳「ん……?」

提督「」スタスタ

祥鳳「提督?」

祥鳳(一人で……こんな時間にどこに行くんだろう)

祥鳳「……」

提督「」スタスタ

祥鳳「……よし」

タタッ


――――
―― 鎮守府外れの港

提督「さて……」

提督(この時間、ここには滅多に人が来ないことはリサーチ済み)

提督(明石に少し大きめの椅子も用意して貰ったし……いろいろ予算に都合つける代わりに、だけど)

提督「よっこいしょ」

フカフカ

提督(……こんなところに置いとくには少し上等過ぎるな。この椅子)

提督「もはやソファだろこれ……」

提督(あいつなりに気を使ってくれたのだろうか)

提督「ふむ……」ゴソゴソ

提督「……」ジジッ

提督「……」スゥ

提督「フー……」

祥鳳「……提督?」

提督「」ビクッ

提督「しょ、祥鳳? 何でここに……」アセ

祥鳳「煙草、吸うんですか?」

提督「ん……すまん。今消すな」

祥鳳「ああ、大丈夫です。どうぞ吸ってください」

提督「……そうか? じゃあすまないけど」スパー

祥鳳「今までも吸ってたんですか?」

提督「昔にちょっとな……ここに来てしばらく経った時に1回止めて、また吸い始めたのは最近だ」

祥鳳「……ストレス、ですか?」

提督「どうかな……ここでこうしてお前らと過ごす生活は正直気に入ってるよ。楽しいし」


提督「とはいえ、まあ……こういう時間が少し欲しくなってな」

祥鳳「……身体に悪いですよ」

提督「わかってはいるが……まあ皆の前では吸わないさ。すまんがここで見たことは秘密にしてくれ。もちろん、夕張にも」

祥鳳「夕張さんは知らないんですか?」

提督「ん……あいつは何だかんだ反対しそうだからな」

祥鳳「……」

祥鳳(つまりこれは、2人だけの秘密……ここに来れば提督と2人きりになれるってこと?)

提督「……?」

提督「中に戻ったらどうだ? それとも何か用事か?」

提督「寒いし、身体に障るぞ」

祥鳳「え? どうぞ触ってください。触って?」

提督「違う。そうじゃない」

祥鳳「……」

提督「……なんだ、言い難いことなのか?」

提督「とりあえず、座る?」ポンポン

祥鳳「……ありがとうございます」

ストン

提督「スゥ……」

提督「フー……」

祥鳳「……よし」

祥鳳「あの、提督……」

提督「ん?」

祥鳳「私に、甘えてくれませんか?」

提督「……んん?」

今回はここまで
ありがとうございました


祥鳳「具体的に言うと……」

祥鳳「抱きしめて頭を撫でながら耳元で愛をささやきつつキスをして欲しい、と言ってくれませんか?」

提督「具体的すぎて怖い!」

祥鳳「冗談です」

祥鳳「とりあえず、ハグとかどうです?」

提督「えぇ……? 」

提督「……まあお前の気が済むなら」タバコケシケシ

提督「」スッ

祥鳳「ああ、違います提督。ハグして欲しいんじゃないです」

提督「?」

祥鳳「こうですよ」スッ

提督「わぷっ」

ギュッ

提督(祥鳳は流れるような動作で俺を胸元へと抱き寄せた)

提督(自然、顔が彼女の胸へと沈むような形となる)

提督「!?!?」

提督「しょ、しょむぐ……」

祥鳳「……」ギュッ


祥鳳「よしよし……」ナデナデ

提督「!?!?」

提督(!?!?!?)

祥鳳「……」ナデナデ

提督(すっっごい恥ずかしい)

提督「しょ、祥鳳……?」

祥鳳「提督は頑張りすぎです」ナデナデ

提督「……」

祥鳳「鎮守府のいろんなことを把握して、資材や装備をやりくりして、作戦を考えて、偉い人の命令を聞いて、海域を取り戻して、私達のお願いや我儘も叶えようとしれくて……」

提督「むぐ……それが俺の仕事だ」

祥鳳「そうかもしれません。頑張っている提督は素敵で、かっこ良くて、とても好きですよ」

祥鳳「けど……」

祥鳳「提督も、甘えていいんですよ」

提督「え……」

祥鳳「少しでも辛いなって、疲れたなって思ったら私に言ってください」

祥鳳「こうやってぎゅってして、撫でてあげます」

提督「気持ちは有難いが……これは少し、いや、かなり恥ずかしい」


祥鳳「問答無用です。だって、もう捕まえちゃいましたから」

祥鳳「少なくとも今は全力で甘やかしますよ? 提督が今後甘えてくれないと言うのなら……尚更、ね?」

提督「む……」

祥鳳「ふふ、大丈夫です。提督がどんなにみっともなく甘えてきても、幼児退行しても、私は幻滅したりしませんし、皆にも絶対言いません」

祥鳳「あなたの全てを肯定します」

提督(彼女はそう言うと、俺を抱きしめながら優しく背中を叩き、時折頭をそっと撫でた)

提督(まるでぐずる子供をあやすような、手つき、温もり、声……手慣れた所作に一瞬疑問を覚えるが、思えばそうか、彼女は瑞鳳の"姉"なのか)

祥鳳「よし、よし。大丈夫、大丈夫ですよ」

提督「……」

祥鳳「今まで提督に愛されることを求めてきた私が言うのはおかしいと思うのですが……」

祥鳳「もしかして提督少し辛いなんじゃないかなって思ったんです」

祥鳳「まあそれも瑞鳳に言われたんですけど……」


提督「辛い……? そんなことはない。俺は……むぐっ」

祥鳳「ええ、ええ。提督ならそう仰ると思っていました」ギュー

祥鳳「あなたは優しい。私達が望めばそれを叶えようとしてくれる」

祥鳳「本来ならあなたは、夕張さんだけを愛していれば良かった。いえ、そうあるべきだった」

祥鳳「でも、あなたはそうしなかった……夕張さんも」

提督「……」

祥鳳「希望があるなら縋ってしまうのが人というものです。それはもちろん……私だってそう」

祥鳳「頼っても良いなら、甘えても良いなら、縋っても良いのなら……私達はあなたの、あなた達の優しさに付け込んでる」

祥鳳「それを止めて欲しいとは言いません。自分本位で申し訳ありませんが……」

祥鳳「事実私は、あなたに愛して欲しい」


提督「祥鳳……」

祥鳳「提督が辛くないと仰ることも、きっと本当なのだと思います。あなたは私達のために何かをすることを全く苦にしていない」

祥鳳「あなたがそれぐらい私達を大切に思ってくれていることぐらいなら、私だって察することができるんですよ?」

提督「なら……」

祥鳳「でも、大変じゃないですか?」

提督「大、変……?」

祥鳳「私達のために考えて、悩んで、行動して……辛くなくても、それはきっとあなたの負担になっている」

提督「……」

提督(はっきりと否定はできなかった。彼女たちの我儘やお願い、それを叶えようとすることは可愛いものだが)

提督(だが、"これ"は話が別だ。俺と夕張、榛名や祥鳳……彼女達との関係は、極めて難しい)

提督(受け入れる、とは言った。だが……)

祥鳳「だから……私は提督をたくさん褒めて、甘やかすことにしたんです」

祥鳳「私達の気持ちから逃げ出さず、ずっと、ずぅっと頑張ろうとしてくれるあなたを」

祥鳳「とっても偉いって、素敵だよって」

祥鳳「たくさん……言ってあげたくて」

提督「……」


――――
――

祥鳳「よし、よし」

提督(……かくして)

提督(俺は祥鳳に甘やかされることとなった)

祥鳳「大丈夫、大丈夫ですよ」

提督(の、だ、が……すんごい恥ずかしい!)

祥鳳「……なんだか、まだ硬いですね」

祥鳳「もっとこう……だらっとしても良いですよ? それこそ私にもたれかかるくらいに」

提督「……そうは言ってもだな、祥鳳」

祥鳳「大丈夫ですよ? ここには私しかいません。安心してください」

祥鳳「よし、よし。大丈夫……大丈夫」ナデナデ

提督「……」

提督(優しい声音。そっと撫でられる頭)

提督(顔が彼女の胸元にあるせいで、その柔らかさと甘い香りに頭が弛緩していくようだった)

提督(気付けば俺は、彼女が言うように彼女の身体に沈み込んでいた)


祥鳳「やっぱりお疲れだったんですね」

祥鳳「ただでさえ艦隊運営で忙しいのに……今日だって、いろいろ大変でしたもんね」

祥鳳「それでも、提督は投げ出さず、逃げ出さず……いつも私達に向きあってくれて」

祥鳳「それって、とても素敵なことだと思んです」

祥鳳「凄く格好良いです。あなたが私の提督であることは、私の誇りで、自慢です」

祥鳳「……でも、たまにはこうして休んでも良いんですよ?」

祥鳳「本当に大変だったら、辛かったら……立ち止まっても良いんです」

祥鳳「もう頑張れないって思ったら、私のところに来てください」

祥鳳「私がたくさん抱きしめてあげます」

祥鳳「こうやってぎゅってして、大変なことから守ってあげますから」


提督(……何も言葉が出なかった)

提督(恥ずかしい話だが、こうして彼女に抱きしめられ、頭を撫でられ、優しく囁かれることが心地良くなってきていた)

祥鳳「提督として、弱みなんて見せられないって思ってます?」

祥鳳「ふふっ。でも、もう遅いです」

祥鳳「だって、私はこうして私に甘えてくれる提督をもう知ってしまいましたから」

祥鳳「だから、いつでも私のところに来て良いんです」

祥鳳「辛いことから逃げてきたのだとしても、何かを投げ出してきたのだとしても、私は絶対に提督に幻滅したりしません」

祥鳳「格好悪いなんて思いませんし、馬鹿にしたり、叱ったりもしません」

祥鳳「私は、提督が頑張りすぎて壊れてしまう方が嫌ですから」

提督「……」ギュッ

祥鳳「あ……ふふ。よし、よし」


提督(彼女に寄りかかり、抱きしめ、抱きしめられ、そっと背中を、頭を撫でられる…)

提督(きっと、大人の男としてかなり恥ずかしい姿を晒しているのだと思う)

祥鳳「……大丈夫、もう大丈夫ですよ。ここでは何も頑張らなくて良いんです」

提督(わかってはいるのに、彼女に撫でられ、大丈夫、と繰り返される度どうしようもなく力が抜けていく)

祥鳳「うん。もう大分力が抜けましたね」

提督「ん、重いか? すまん……」

祥鳳「あ! いえ、いいんです。そのまま……」

祥鳳「重いか、なんて……軽いぐらいです。ちゃんとご飯食べてます?」

提督「人並みには食べているはずだが……」

祥鳳「駄目ですよ? 赤城さんぐらい食べないと」

提督「うん。それは無理だな」

祥鳳「ふふ、ですよね」

提督(軽口を叩きながらも彼女は変わらず頭を撫でてくれる)

提督「なんだか……いや」

祥鳳「なんです? 言ってください」

提督「頭撫でるの、上手いなって思って」

祥鳳「あら……お気に召したならたくさん撫でてあげますね?」


提督(そうして彼女に優しく撫でられるうちに、段々と瞼が重くなってきた)

祥鳳「……ありがとうございます、提督」

提督「……」

祥鳳「また、私の我儘に付き合ってくれて」

提督「ん……いや、ありがとな」

祥鳳「……」ニコ

祥鳳「どうぞこのままお休みになってください」ナデ

提督「……」ウトウト

祥鳳「今日みたいに甘えてくれる提督も、とっても素敵です」ナデナデ

提督(彼女の言葉が酷く遠くに聞こえていく)

祥鳳「……良かったら、また――」

提督(襲い来る睡魔に抗えないまま、俺は彼女の温もりに包まれながら眠りに落ちていた)

今回はここまで
ありがとうございました
良いお年を

何だかまた話があらぬ方向に進んでいる気がする……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年09月22日 (木) 23:03:45   ID: cvXgCWF3

新作、おめでとうございます。
兆候はあったが遂に祥鳳にも日の目が・・・
そして榛名の進化・・・

2 :  SS好きの774さん   2016年10月05日 (水) 21:45:34   ID: Gl0y4lnS

赤城さんが…

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