―真姫の家―
真姫「じゃ私はジュースとお菓子取ってくるから待ってて」
穂乃果「分かったー」
真姫「大人しく待っててよ?」
穂乃果「もうー分かってるってー!」
すたすた
穂乃果「・・・・・行ったかな?」
穂乃果「ふふふ、大人しくしてって言われて大人しくする人なんていないよーだ」
穂乃果「犯人が待てって言われて待たないのと一緒だよ」
穂乃果「さてさて、真姫ちゃんの秘密でも探りますか」
穂乃果「机の中は・・・」
がさごそ
穂乃果「うーん・・・参考書と筆記用具しかない」
穂乃果「真姫ちゃん真面目だなぁ。私の机の中なんて指人形とか塗り絵ノートばっかりなのに」
穂乃果「じゃあお次は定番のベッドの下!」
ごそごそ
穂乃果「うーん・・・・・何も無い」
穂乃果「おっかしいなぁ・・・大人しく待っててって言うからには何かあると思ったのに」
穂乃果「ベッドと布団の間には・・・・・」
穂乃果「何も無い。・・・・・ちぇー、骨折り損の草臥儲けだよぉ」
ぼふっ
穂乃果「えへへ、真姫ちゃんの匂い・・・」
穂乃果「すんすん・・・へへへへ」
穂乃果「って、これじゃ変態だよ!」
がさっ
穂乃果「ん?」
穂乃果「何か紙みたいのが擦れる音が・・・」
穂乃果「枕の下かな?」
穂乃果「あ、写真だ!ふふん、真姫ちゃんの秘密はっけーん!」
穂乃果「枕の下って事は、かの有名な夢でもアナタに会いたい的なおまじないだよね」
穂乃果「つまり・・・・・真姫ちゃんの好きな人!」
穂乃果「さてさて、だーれかなっ?」
ぴらっ
穂乃果「おおー!・・・・・お?・・・・・・・・お・・・・・ぁ・・・あれ・・・?」
穂乃果「こ、これ・・・・・わ、私ぃ・・・?」
穂乃果「この前練習の時撮ってもらった私と真姫ちゃんのツーショット写真・・・」
穂乃果「う、ぇ・・・・・あ、こ、これ・・・つまり、真姫ちゃんは私のことが・・・」
穂乃果「あ、あうぅ・・・・・どうしよぉ・・・」
穂乃果「絶対見ちゃダメなのだったじゃん・・・」
たんたんたん
穂乃果「あ、真姫ちゃんの足音が!急いで隠さなきゃ!」
がちゃ
真姫「穂乃果?大人しくしてた?」
穂乃果「大人しくしてたであります!隊長!」ビシッ
真姫「なんなのよ、そのノリは」
穂乃果「あ、あははー」
穂乃果(咄嗟に私の鞄の中に隠しちゃったー!!)
真姫「ふふっ、ほんとバカね」
穂乃果「真姫ちゃんひどーい!」
真姫「ごめんね。ほら、これ穂乃果が好きだと思って作ったわ」
穂乃果「え?あーーー!!フレンチトーストだぁ!」
真姫「そんな大声出さなくても・・・」
穂乃果「うちじゃ頼んでもお母さん作ってくれないもん」
真姫「これくらい自分で作れるでしょ」
穂乃果「面目ない・・・」
真姫「ったく・・・また来てくれれば、いつでも作ってあげるわよ」
穂乃果「ほんと!?」
真姫「ほんとよ。だからそんな顔しないで」
穂乃果「やったー!真姫ちゃん大好きぃ!!」
ぎゅぅ
真姫「はぅ」
穂乃果「んふふー・・・・・ぁ、はっ!!」
ばっ
真姫「どうしたのよ?急に抱きついてきたくせに、突然引き離すなんて」
穂乃果「あ、ごめん・・・」
真姫「な、なに?変な匂いでもしたかしら」
穂乃果「違う!真姫ちゃんはいつもいい匂いだよ!」
真姫「そう。なら何?謝るって事は何かあるのよね」
穂乃果「あ、うぅ・・・・・」
穂乃果(なんだろう・・・真姫ちゃんから好かれてると思うと緊張というか恥ずかしくって・・・・・)
真姫「別に抱きつかれたいわけじゃないけど、そんな離されるのは癪っていうか落ち込むわよ」
穂乃果「あ・・・」
真姫「私、穂乃果に何かした?教えてよ」
穂乃果(・・・・・)
穂乃果「ん!」
ぎゅっ
真姫「ふぁ」
穂乃果「ほら、本当に何も無いよ!心配させてごめんね!真姫ちゃん」
真姫「何よ、それならそうと言いなさいよね。まったく・・・」
穂乃果(どうしよ・・・私、すっごくドキドキしてるかも)
真姫「穂乃果・・・」
穂乃果「にゃ、なにっ!?真姫ちゃん!」
真姫「そろそろフレンチトースト食べなきゃ」
穂乃果「あー!そ、そうだったそうだった!冷めちゃうよね?ごめん!」
真姫「さっ、食べましょ」
穂乃果「うん!いただきます!」
ぱくぱく
穂乃果「んーっ!おいしー!」
真姫「そう。よかったわ」
―翌日―
海未「はい、それじゃ一旦休憩しましょう」
「おー」
穂乃果「はぁはぁ・・・」
にこ「ちょっと穂乃果?あんた今日動きが固いわよ?」
穂乃果「え・・・そうだったかな」
絵里「そうね。リズムには追いついてたけど動きに滑らかさがなかったわ」
穂乃果「ごめん・・・」
絵里「何かあった?」
穂乃果「ど、どうして?」
絵里「どうしてって・・・なんか表情も固いし」
にこ「もしかして、あんたなんかやらかしたんでしょ?」
穂乃果「えっ!?全然!何もないよ!逆に人生にスパイスが何もなさ過ぎて困ってるくらい!」
穂乃果(言えない!真姫ちゃんの秘密を探ろうとして触れてはいけない秘密に触れちゃっただなんて!)
にこ「ぷっ、何よそれ」
穂乃果「へへっ、ごめんね?多分お昼ご飯食べ過ぎちゃったのかも」
絵里「また太ったら困るわ。気を付けなさいね?」
穂乃果「ははーっ、申し訳ございませーん」
絵里「ふふふ」
穂乃果(はぁ・・・・・どうしたものか)
ちらっ
真姫「ん?」
穂乃果(あ、目が合った・・・)
真姫「どうしたの、穂乃果?」
穂乃果(こっち来た・・・はぁぁ、どうしよう。真姫ちゃんが近付くだけで意識しちゃってドキドキが)
絵里「それが穂乃果、お昼食べ過ぎちゃったみたいでね」
真姫「ふーん・・・大丈夫なの?ちょっと失礼」
ぴとっ
穂乃果「ぴゃっ!?」
にこ「・・・・・ぴゃ?」
真姫「変な声出さないでよ・・・まぁ熱はないみたいね」
穂乃果(真姫ちゃんの手が少し冷たくて気持ち良い・・・)
にこ「でも辛かったら保健室にでも行きなさいよ」
穂乃果「ま、真姫ちゃん・・・」
すっ
穂乃果「・・・・・はい、タオル」
真姫「ん?私は汗なら拭いたわよ」
穂乃果「そ、その・・・私のおデコ・・・・・汗かいてたから・・・真姫ちゃんの手に付いちゃって・・・・・汚いから」
真姫「はぁ?穂乃果本当に大丈夫?」
にこ「え・・・なんか重症じゃない?」
絵里「汗なんか気にせず抱きついてくる穂乃果が・・・」
穂乃果(うぅ・・・なんかダメだ・・・・・やっぱ緊張しちゃうよ)
真姫「穂乃果?」
じーっ
穂乃果(真姫ちゃんに見つめられてる・・・ドキドキがうるさいよ・・・・・)
穂乃果「ごめんね・・・なんだか、やっぱり体調悪いみたい」
ふいっ
真姫「え・・・」
穂乃果「保健室行って休んでくるよ」
たったったっ
にこ「ちょっと穂乃果!待ちなさい!送るわよ!」
\大丈夫だからー/
にこ「大丈夫って・・・体調悪いのに走るってどういう神経してるのよ」
絵里「穂乃果の件は私が皆に伝えるわ」
にこ「わかったわ」
絵里「大丈夫かしらね?」
にこ「大丈夫じゃない?ただ何か悩んでるみたいだったけど」
絵里「え?穂乃果は何もないって言ってたじゃない?」
にこ「・・・・・」
絵里「え?」
にこ「真姫ちゃんはどう思う?」
真姫「多分にこちゃんの言う通りだと思うわ」
にこ「でしょ?」
絵里「え?そうなの?」
真姫「穂乃果が急によそよそしくなった気がするわ」
にこ「うーん・・・」
絵里「???」
海未「それでは練習再開しますよー!」
真姫「ごめん。にこちゃん、私穂乃果の様子見てくる」
にこ「了解にこー」
―保健室―
穂乃果「失礼します。先生ー?・・・・・いないみたい」
穂乃果「はぁ・・・」
ぽふっ
穂乃果「どうしたんだろ・・・私」
穂乃果「ダメだなー。こんなんじゃライブ上手く出来ないや」
穂乃果「・・・・・」
がさごそ
穂乃果「真姫ちゃんとのツーショット・・・」
ぴらっ
穂乃果「私、すっごく笑ってる・・・バカみたい」
穂乃果「何も知らないから笑っていられるんだ」
穂乃果「でも今は知ってる・・・」
穂乃果「知らないふりしても笑えないかも・・・」
穂乃果「真姫ちゃんが目の前に来ると恥ずかしくて、それどころじゃないよ」
ぼふっ ごろごろ
穂乃果「何も悩んでないんだ・・・」
穂乃果「だって答えは分かっているんだもの」
穂乃果「私、真姫ちゃんを友達として見れてないんだ」
がらがらっ
穂乃果「え」
―廊下―
すたすた
真姫「心配だわ・・・穂乃果、目を合わせてすらくれなくなって」
真姫「もしかして私のこと嫌いになったのかも・・・」
真姫「そういえば、昨日うちに遊びに来た時も少し変だった」
真姫「あの時から・・・?」
真姫「でも私何かやらかしてたかしら・・・」
真姫「穂乃果に喜んでもらいたくて、穂乃果の好きそうなもの作って、それで喜んでくれて、抱きつかれて・・・・・それでそれで」
真姫「ダメ・・・何も分からない。でも困らせてるのはどう見ても・・・・・私だ」
真姫「今は、とにかくいち早く穂乃果に聞かなくちゃ・・・」
たったったっ
真姫「・・・・・着いたわ」
\・・・・・ってる、・・・・・・・・・・バカみたい/
真姫「穂乃果、何か言ってるの?」
\真姫ちゃんが・・・/
真姫「!!私の名前・・・やっぱりそうだ」
真姫「穂乃果は私のことで悩んでる」
真姫「聞き取りにくいわ・・・壁に耳を付けて」
\私、真姫ちゃんを友達として見れてないんだ/
真姫「え・・・・・」
真姫「そんな・・・嘘っ」
真姫「穂乃果は私のこと友達として見てくれてない・・・?」
真姫「やっぱり・・・・・本当に嫌われて・・・」
真姫「・・・・・っ」
ぐずっ ぽろぽろ
真姫「嫌よ・・・そんなの嫌っ」
がらがらっ
穂乃果「え」
真姫「やだ!」
穂乃果「ま、真姫ちゃん!?」
ずかずか
真姫「やよ!嫌なのよ!そんなの!」
穂乃果「なんで泣い」
ぎゅっ
真姫「穂乃果は私の友達なのよ!この学園に来て出来た初めての友達なの!」
穂乃果「ふぁ・・・・・真姫ちゃ」
真姫「私のこと嫌いになったのなら、そこを直すわ!一生かけて直す!だから友達じゃないなんて言わないでよぉ!」
真姫「うわぁぁぁぁぁあああああああん!!!」
穂乃果「え?え?えええっ!?」
―数分後―
穂乃果「真姫ちゃん?」
なでなで
真姫「やだ・・・穂乃果は私の友達なのよ」
穂乃果「私友達じゃないなんて言わないから、ね?」
真姫「・・・穂乃果は、そうやって・・・・・優しい嘘を言うもの・・・」
穂乃果「嘘じゃないよ」
真姫「嘘。だったらなんで友達じゃないって」
穂乃果「友達じゃないなんて言ってないよ?友達として・・・見れてないって」
真姫「そんなの同じよ!」
穂乃果「・・・・・真姫ちゃんごめんね」
真姫「謝らないでよぉ!バカぁ・・・ひっく」
穂乃果「ち、違うの!謝ったのは友達としての事じゃなくて・・・その・・・・・」
真姫「じゃあ・・・・・なんなのよぉ」
穂乃果「こ、これなんだけど」
ぴらっ
真姫「え?写真?」
穂乃果「見覚え・・・ない?」
真姫「前、練習の時のでしょ?見覚えあるけど、それがどうしたのよ・・・私とはもう写真撮りたくないってわけ?」
穂乃果「違う違う!その・・・昨日、真姫ちゃんがジュースとか取りに行ってる間に真姫ちゃんの部屋で色々探し物しちゃって」
真姫「探し物・・・?」
穂乃果「ま、真姫ちゃんの秘密でも探ろうかなーって・・・・・そしたら、真姫ちゃんの枕の下からこの写真が出てきて・・・」
真姫「うん・・・それで?」
穂乃果「それで真姫ちゃんは私のことが好きなんだなって・・・」
穂乃果「真姫ちゃんの事、意識しちゃって・・・ドキドキしちゃって・・・・・」
穂乃果「なんかもう緊張しちゃって・・・」
真姫「・・・・・・・・・・は?」
穂乃果「ごめんなさい・・・」
真姫「はぁぁぁあああああ!?」
穂乃果「っ!?」
真姫「私、そんなことで号泣しちゃったわけ!?」
穂乃果「そんなことって・・・私は真剣なんだよ」
真姫「その写真はこの前整理してる時に見失ったものよ!」
穂乃果「えええっ!?そうなのぉ!?」
真姫「あー、呆れた・・・もうダメ・・・・・私、今日はもう練習出来る状態じゃないわ」
穂乃果「わ、わー・・・どうしよぉ、恥ずかしいよぉ」
真姫「でも、どうしてそれで友達として見れられなくなるのよ?」
穂乃果「え、い、言わなきゃダメ・・・?」
真姫「言いなさい!」
穂乃果「ううっ・・・・・きに・・・っちゃった、みたい」
真姫「なんて言ったのよ?はっきり言いなさい」
穂乃果「真姫ちゃんの事、好きになっちゃったみたいなの!はーっ、はーっ・・・」
真姫「っ!!」
穂乃果「好きなの!目を見たら照れちゃうし、抱きつくとドキドキしちゃうし、もう本能的に気持ちが高ぶっちゃうの!」
真姫「ほ、本気なの・・・・・?」
穂乃果「これが私の本気だよっ!」
真姫「~っ!!」
穂乃果「真姫ちゃん・・・真姫ちゃんは私のことなんとも思ってないかもしれないけど、私は好きになっちゃったの。ごめんね」
真姫「謝らないで・・・勘違いさせたのも、本気にさせたのも、私なんだし」
がしっ
真姫「私にはその答えに対して返さなきゃいけない正しい想いが薄いかもしれない」
真姫「でも、気付けたの。こんなに泣いちゃったのもそれ程想ってたからだと思う」
真姫「1度しか言わないから、しっかり聞き届けなさいよ。だから、私は・・・」
「好きよ!穂乃果が大好き!」
おわり
―次の日―
真姫「穂乃果穂乃果ぁ」
穂乃果「真姫ちゃ真姫ちゃ!」
いちゃいちゃ
絵里「ほら。やっぱり何もなさそうじゃない」
どやちかぁ
にこ「あ、うん。そうね」
ほんとのおわり
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