僕「目が覚めたら生物兵器に、なんてよくある話だと思ってた」 (51)

15年前 とある遊園地のステージ前

ぼく「いっけー、アカレッド!敵なんてやっつけちゃえ!」

アカレッド「今だ!必殺!カム着火インフェルノォォォォォゥ!!」

敵「ぐあああああ!!」

ぼく「やったーー!」

おとうさん「お前は本当にヒーローが好きだな」

おかあさん「全く誰に似たのかしら(クスクス」

ぼく「あたりまえじゃん!かっこいいんだもん」

おとうさん「――是非大人になってもそのままでいてもらいたいな」

ぼく「うん、ぼく大きくなったら――――」


現在 とある施設の独房

「EMERGENCY, EMERGENCY. From control post to all staff. The arms was opened. The arms was opened. Put on a state of full alert immediately――――」

僕「(どこ・・・・・・ここ・・・・・・)」

僕「(何で僕閉じ込められて銃向けられてんの・・・・・・?)」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474129996

僕「(何でこんなことに・・・・・・)」

「What a joke! It's the second time today!」(何かの冗談だろ?今日2回目だぞ!)

「Don't be loose. It's time to send a cute weapon into a dream again」(気を抜くなよ。今は可愛い兵器ちゃんを寝かしつける時間だぜ)

僕「(日本語じゃない・・・・・・英語?何語?顔からして外人だと思ってたけど、 き、聞き取れないぞこんなの・・・・・・と、とりあえず・・・・・・!?)」

僕「・・・・・・!」

僕「(声が出ない!?喉がおかしいのか、それとも―――!)」

僕「(手が毛むくじゃらだ・・・・・・!手だけじゃない、腕も、首元も、顔も・・・・・・!?)」

※ここからは英語部分も日本語で表記するが主人公にはわからないまま

独房前廊下

博士「何やっとるんじゃ!まだ銃を向けちゃいかん!」

部下「下がっていてください、危険です!」

博士「麻酔は効いとるからしばらくはあまり動けんはずじゃ。これ以上刺激しては――」

部下「しかし、先ほどから少し様子が変で――」

博士「何じゃと?」

独房前

博士「ふむ・・・・・・確かに焦っておるようじゃな。怯えてるようにも見える。さっきとは真逆じゃな。建物一つ壊しておいて、こいつは――」

部下「結局 “これ” は何なんですか?兵器なんですか? どう見てもアニメから飛び出してきたマスコットキャラクターにしか見えませんよ」

博士「立派な生物兵器じゃよ。苦節20年――最初のプロジェクトから数えれば半世紀。初めて“まとも”なものができたんじゃ」

部下「生物兵器として売るには知能が低くないですか。現にもう無茶苦茶やってますし」

博士「部下の癖にしゃしゃり出てきよって・・・・・・。その辺を調教するのが楽しみではないか」

部下「兵器が生みの親より賢くなったらどうするんですか?どこかの映画にもあったでしょう」

博士「お前は心配性じゃな」

部下「あなたが呑気なんです」

博士「ははは。気が長いと言いなさいよ。そうでなきゃ、とっくに君を捨ててるからの。――それより」

部下「?」

博士「さっきからあいつの挙動に、どうも知能の低さを感じられんのじゃが」

僕「(無理!!何この状況!!声でないし、体おかしいし、相手殺る気満々だし、さっきからがやがやうるさいし、挙げ句の果てに何で僕今衣服0%!?この環境で全裸で布団被ってベッドで寝てたってどんだけ!?夢でも有り得ない!!)」


部下「確かに、挙動が麻酔を打つ前と変わってますね。麻酔の副作用じゃないですか?」

博士「強い麻酔使ったからのう・・・・・・」


僕「(あと頼むから日本語で喋って!!)」

僕「(どうしよう、多分下手に動いたら撃たれる・・・・・・。ていうかその前にいまいち体に力が入らない・・・・・・)」


部下「特に大きな動きはないですね」

博士「・・・・・・試しに紙とペンを与えてみるか」

部下「え?」

博士「試しじゃよ、試し。このまま膠着状態も詰まらないからの」

部下「は、はぁ・・・・・・?」

博士「それに、何か実験するなら今がチャンスじゃ。また暴れ出してからでは遅い」

部下「それならもう少し強固な拘束をすれば良かったんですよ。まさか檻だけなんて――――」

博士「刺激を与えたくないと言ったろう。まぁ、閉じ込めてる時点で厳しいが」

部下「――(変な人だ)」


部下「――おい」

下っ端「な、なんですか?」

部下「独房の“あれ”に紙とペンを与えろだとさ」

下っ端「? 何言ってるんですか?」

部下「“開発者”から頼まれたんだ。俺は何も知らない」

下っ端「わ、わかりました・・・・・・」

僕「(・・・・・・え)」

僕「(いきなりスケッチブックとペン渡されたんだけど・・・・・・何すればいいの、これ。何か書きゃ良いのかな。とりあえず着るものよこせ的な事書こう・・・・・・かな)」


博士「・・・・・・もう充分。独房の檻を開けようか」

部下「 正気ですか?第一、まだ与えただけで何も――」

博士「スケッチブックとペンの持ち方を見ろ。左手でしっかり紙を握り押さえ、右手でまるで人間のようにペンを持っている。多少なりとも知性がある証拠じゃろう」

部下「偶然ですよ。ペンの持ち方なんて、誰が教えた訳でもないのに」

博士「そう、“偶然”じゃよ。それでいいんじゃ」

部下「??」


僕「(――――!檻が空いた!え、じゃあ出してもらえる・・・・・・?って、いやいやその前に服だ服!せめて前の下は隠さなきゃだめだって!)」

博士「起きたか」

僕「!」

僕「・・・・・・(えっと、どちら様?じゅ、銃とかは持ってないみたい、だけど)」

博士「近付いても動じない。ますます大丈夫そうじゃな。安定期に入ったのか。・・・・・・ん?」

下っ端A「おい見ろ、普通に話しかけてるぞ」

下っ端B「あのまま顔噛まれたり引っ掻かれたりしてな」

下っ端C「バーカ、ウサギはそんなことしねーよw」

僕「(もう日本語で話してくれる希望は捨てよう・・・・・・(※未だに主人公の僕以外全部英語)。あ、やっば!スケッチブックにも日本語で書いちゃっ――)」

博士「――これは驚いた。誰か小さめのサイズの白衣の余り持ってきてくれない?」

僕「(・・・・・・?)」

博士「あ、これは私が預かるからね」

僕「(え、スケッチブック持ってっちゃうの!?唯一の伝達手段がぁーーー!!)」

廊下

博士「いやぁ、びっくり、びっくり」

部下「棒読みですね。絶対驚いてないですよね」

博士「顔に出てないだけじゃろ」

部下「白衣をどうするんです?」

博士「もちろん、あの子に着せてあげるんじゃよ?それ以外に用法もないじゃろう」

部下「紙とペンを与えたかと思えば、今度は白衣ですか」

博士「まぁ、確かにはだかんぼと分かっちゃえば挙動がおかしくもなるよね」

部下「何なんです、“あれ”がそんなに人間くさくなったと言うんですか」

部下「まるで、人の霊が取り憑いたかのような――――」

博士「もし仮に『その通りだ』と私が頷けば、お前は信じるかの・・・・・・?」

部下「・・・・・・」

部下「え」

10分後。
僕「(やっとちょっと歩けるように・・・・・・)」

僕「(一応、着るものも貰ったけど、さっきの人が出て行ってからまた檻閉まっちゃったし、・・・・・・これからどうなるんだろう)」

博士「歩けるようになった、か・・・・・・さすが回復が早い、早い」

僕「(さっきの人だ・・・・・・また檻開けるのか・・・・・・な?)」


博士「――――コンニチハ」(日本語)


僕「!」

博士「アナタはー、ニホンジン、ですーか?」

僕「(へ、下手だけど日本語だ・・・・・・た、助かった(?))」(コクリ

博士「・・・・・・ふむ、ここまで理解できるなら、大丈夫・・・・・・と信じるかの。今檻を開けるから、待ってなさい」(英語)

僕「(日本語終わったし!!くそ、高校で英語の授業もう少し真面目に受けとくんだった・・・・・・)」

僕「(・・・・・・!檻が開いた――!)」

博士「これから別の場所に連れていくから、ついて来なさい」(指クイッ)

僕「(つ、ついて来いってことでいいのか・・・・・・)」

博士「(さっき厳戒態勢も解くよう言ったし、後はどう説明するか、じゃな・・・・・・)」

僕「(一応中身は日本人だって言ったけど信じてもらえないだろうな・・・・・・。どう説明したらいいんだろう・・・・・・)」

目が覚めてから1時間後。とある施設の会議室

部下「――――まとめると、21歳の日本人男性の記憶と人格がそっくりそのままこの生物兵器の中に入ってる、と?」

博士「そ。お陰で日常生活のイロハを教え込む手間が省けたの」

部下「問題はそこじゃないでしょう!?有り得ないですよこんなの!」

博士「言うと思った。だから偶然だと言っておるんじゃ。これは奇跡じゃよ、奇跡。それに、もともと表に出すことは一切ないプロジェクトなんじゃ。騒ぎ立てても仕方あるまい」

部下「とはいえ――」

僕『プリーズ、ジャパニーズ(何とか伝達手段のスケッチブック戻って来たけど・・・・・・全然話についていけない・・・・・・)』

部下「・・・・・・とりあえず彼に説明するのが最優先じゃないですか。英語すらわからないみたいですし、日本語の文書を」

博士「文書はの、実はもうあるんじゃ」

部下「・・・・・・?なら、日本語と英語を両方話せるスタッフを」

博士「宛はある。もう電話して手配しておいたわ」

部下「そんな、まるでこうなることが分かってたみたいな――!」

博士「文書はいずれ日本政府に渡す日本語版のプロジェクト概要のテキストデータを印刷すればいい。スタッフは偶々この国生まれの日本人がここに務めていただけじゃ。偶然じゃよ。全部」

部下「・・・・・・テキストデータを印刷してきます」

博士「頼むぞ」

僕「(結局僕蚊帳の外か・・・・・・)」

一度ここで切って寝る

次回は通訳ができる美女の御登場からスタートします


うさぎって言われてるけどどんな姿なんだろう

【ここまでのあらすじ】
目が覚めると主人公は何やら見知らぬ施設の檻の中にいた。それだけではなく、彼の体にも異変が。何が起こっているのかを彼に知らせるべく、博士らは急遽説明会を開き、新たな部下を呼び寄せたのだった。


20分後

女部下「すみません、遅くなりました!」

博士「わざわざすまんかったの」

女部下「いえいえ、やっとプロジェクトが本格的に始まるんですもの。こっちの方が大事ですよ」

僕「(誰だろ、あの女の人・・・・・・)」

女部下「それで・・・・・・この子がその兵器くんですか?予想以上にかわいい~~!!もふもふしたい!抱きまくらにして寝たいぃ~~!」

僕「///(す、すごく綺麗だし・・・)」

部下「・・・・・・大丈夫なんですか?」

博士「まぁ、彼女は素晴らしく美人じゃからの。ほれ、兵器くんも彼女を前に照れとる。なかなかメルヘンな光景じゃな」

部下「そりゃあ中身は人間の20歳越えの男ですもんね」

博士「また夢がないことを・・・・・・」


博士「さて、ぼちぼち始めるとするか。時間も時間じゃしな」

部下「もう午前2時を回ってますからね。眠いですよ」

博士「あ、そうそう。ちょっとこれを取り付けるから待っちょれ」

女部下「カメラ・・・・・・ですか?」

博士「なぁに、ただの記録じゃよ」

博士「録画されたかの。えー、2020年9月18日、午前2時11分――秒はまぁいいか。これから完成作にプロジェクトについて説明すると同時に、彼についても色々聞き出すつもりじゃ」

部下「何のための記録です?」

博士「あぁん、雰囲気づくりを遮らんでくれ!」

女部下「またやってるよ・・・・・・」

僕「(・・・・・・撮られると緊張するなぁ)」


女部下「――えーっと、こんばんは?」

僕「!?(日本語・・・・・・!)」

女部下「あ、私は取り敢えずアシスタントと通訳をするわ。・・・・・・よろしくね」

僕「(はい・・・・・・あ、声出ないんだった)」

僕『はい』

女部下「そうそう、そんな感じで言いたいことは紙に書いてくれれば大丈夫だからね」

博士「いいのう。自分もあんな風に世話されてみたいわ」

部下「下心しかありませんね」

博士「うるさい」

すごくおもしろい

女部下「はい、これがプロジェクトの文書よ」

僕「(厚っ・・・・・・)」

女部下「厚いでしょ?さすがにそれを全部読むのはちょっと時間がかかりすぎるから、とりあえず今知っておくべき所に印がつけてあるわ」

女部下「・・・・・・それでも充分多いけど」

僕「(確かに多い・・・・・・。えーっと、まずは――)」(ペラッ


しばらくして。

僕「」

博士「固まっとるな」

部下「いきなり“あなたは生物兵器です”と宣告されたら誰でもああなりますよ。暴れ出さないだけマシです」

僕「(ど・・・・・・えっ、ええ?)」

女部下「大丈夫?理解はでき――」

僕「(無理)」(首を横にフルフル

女部下「――てないみたいね」

女部下「改めて言うと、私たちは実践的に使用可能、かつ教育と育成が可能な生物兵器を開発する極秘のプロジェクトのチームなの」

女部下「目的は軍事と国交関係だけど、そこはさておき、本来は実用化するために必要最低限を“教育”する必要があったんだけど、今の通り、普通の人間の意識が入ったことでそのプロセスが半分は浮いた・・・・・・っていう感じね。ここまで何か質問はあるかしら?」

僕「(あ、ありまくり・・・・・・と、とりあえず)」

僕『なんでこの見た目なんですか』

女部下「あ、そういえば。博士、なんでウサギっぽくしたんでしたっけ?」

博士「ん?助手の意向じゃった気がするが・・・・・・」

女部下「そ、それだけなんですか?」

博士「まぁ外見に関してはほぼ自由だったからの。そこは全部助手に丸投げしたんじゃ」

部下「で、これですか」

博士「まぁ余程モンスターよりかは実用的でマシじゃろう。色々面倒じゃが」

女部下「(事情説明中)・・・・・・だそうで」

僕「(な、なんてアバウトな・・・・・・!)」

女部下「他に質問はある?」

僕『ここはどこですか』

女部下「もう書いてあった・・・・・・。ここは今言ったプロジェクトの研究と開発を行っている最前線の現場よ。この施設は表向きはただの工場になってるわ。会議室とかがあるこの棟はまたちょっと違うけど」

僕「(は、はぁ・・・・・・)」

僕『プロジェクトのこと僕に話しても大丈夫なんですか』

女部下「えっ、一人称“僕”なの、ますますかわい・・・・・・コホン。えーっと大丈夫といえば、大丈夫かな。ちょっとショックかもしれないけれど、あなたはこれから確実に私たちの監視下におかれるし、確実に表の世界で生活するのは厳しいと思うわ。色々な意味で」

僕「(え・・・・・・)」

女部下「あなたが以前、どこでどんな生活をしていたかは私もわからないけど・・・・・・マニュアルに沿えばそういうことになるわ」

僕「(・・・・・・)」

僕「(目が覚めたら――――なんて、よくある作り話だと思ってたのに。改めて思うと、辛いな・・・・・・)」


博士「・・・・・・彼はラッキーじゃな」

部下「は?」

博士「なんの努力もせず英雄になれるんじゃ。これほど名誉溢れることはない」

部下「人生狂わせておいてよく言いますね」

博士「“偶然”に罪があるか。これは世界一幸運な事故。そう捉えるのが一番じゃ」

博士「そろそろこっちからも質問、いいかの」

女部下「? なんですか?」

博士「そこの彼の記憶がどこまであるかを知りたくての。知識の類も含めて」

女部下「――――どう?」

僕「(まだ訊きたいことあったのに・・・・・・)」

僕『だいたい全部そのままだと思います』

女部下「ほぼ覚えているみたいですね」

博士「ならば尋ねたい。ここで目が覚める前、何が起きたのか」

部下「筆談だと面倒な気がします。いっそ端末に文字を打ち込んでもらうとか」

博士「いや、このままで良い。――頼んでくれ」

女部下「は、はい」


僕「(――――やっぱり訊かれると思った・・・・・・。・・・・・・どこから話そうか)」

短いけど今日はこの辺で・・・・・・
次回から回想入ります

【コメント返信】
>>10 >>11
白ウサギで、部下が言っている通りマスコットキャラ風なので背は低め(のイメージ)。
アンティラモンよりかはサマウォのあいつのほうが想像近いかも

>>15
ありがとうございます!
グダグダにならぬよう頑張ります

>>18
二足歩行ウサギも充分モンスターしてて目立つよなぁと書いてから思ってる。後々そこは補正します


【お知らせ】
のんびりまったり更新している本作ですが、枠組みだけ決めて書いてるので方向性が微妙に定まってません(おい)。また、作者はSSはド素人。そこで、以下の迷っている2点について、よろしければコメント下さい、参考にさせていただきます

1.登場キャラにちゃんとした人名をつけるかどうか
2.安価とコンマを入れていいものか


ではおやすみ

きたよこの明確な落とし所も決めてない感じのやつ

少なくとも一人の意見として
1. 人名付いたら眉をひそめる(でも読む)
2. 安価コンマ要素があったらそっと読むの止める

2003年7月

友「次の3連休に旅行に行くだぁ?」

僕「そうそう、せっかく海の日だから熱海のビーチにでも行こうかと」

友「単純すぎんだろ。てか、わざわざ遠くに行かなくても」

僕「近くのはどこも混んでるよ」

友「アホが。熱海はもっと混んでんだろ。きっとシート敷く場所もねぇぞ」

僕「人気の熱い海スポットだから熱海なのかな」

友「ちげぇだろ」


友「で、誰だよ」

僕「は?」

友「誰と行くんだよ」

僕「それは――――」

女友「――あぁ、居た!!ちょっと、なんで電話でてくれないのー?旅行のこと話したかったんだけどー・・・・・・」

友「まさか」

僕「そのまさかだよ」

友「お前な、紛らわしい言い方してんじゃねぇよ!お前ら二人で行くかと思った」

女友「この人と二人で旅行~~?無理無理」

友「だよな」

僕「言い方ひどくない?」

友「いや、お前はどこかヌけてる所があるから少人数の旅行は向いてねぇ。いっそツアーとかじゃないと」

女友「よくトラブルに巻き込まれるからねー。二人でなんて危険危険」

僕「ひどくない?」

友「まぁ、楽しんでこいよ。4年生になってからは忙しいみたいだからな。実質大学生活最後の夏休みになるかもしれないぞ」

僕「もちろんそうするよ」

女友「留年すれば最後にならないんじゃない?」

友「そだな。お前ちょっと留年しろよ、来年も楽しめるぞ」

僕「いろいろシャレにならない」

友「シャレじゃねぇし」

僕「だから、ひどくない?」

女友「結構いじられてるわね」

友「そういうやつだから」

僕「・・・・・・」

友「それにしても良かった。俺てっきり二人ができてると思った。(これでまだチャンスはあるな)」

女友「ないない、あたしもう彼氏いるもん」

友「・・・・・・まじか」

女友「嘘だけど」

友「・・・・・・」

女友「反応面白いね」

僕「そういうやつだから」

友「(ひ ど く な い ?)」

女友「それより、さっきからなんで電話に出なかったの?」

僕「授業中は出れないよ」

女友「もう、真面目くんだなぁ。で、スケジュールはちゃんと決まったの?」

僕「うん、朝の7時ちょうどに、駅で」

女友「結局、新幹線は乗らないの?」

僕「新幹線だとちょっと高いから、普通の電車にしたよ」

友「なんだ、お前にしてはまともな計画立ててんじゃねえか」

僕「何が言いたいのかな?」

友「不吉」

僕「おい」

友「気を付けろよ、絶対当日雨か槍が降るぞ」

女友「槍とか降ったら海行けないじゃん!」

僕「雨でも嫌だし」

僕「とりあえず、他の人にも伝えておくから」

女友「ん、任せた」

友「何、お前言い出しっぺなの」

僕「そうだけど」

友「へぇ・・・・・・」

僕「何が言いたいのかな?」

帰宅後、とあるアパートの一室

僕「ただいまー・・・・・・(といっても一人なんだけど)」

僕「(また水道の広告の磁石来てるよ・・・・・・冷蔵庫に貼っとこ。これで同じのが9個目だよ、全く)」

僕「(他には・・・・・・)」

僕「(・・・・・・何もなし、か。最近親から手紙来ないなぁ。まさか死んでないだろうな・・・・・・)」

僕「(最後に手紙来たのいつだっけ・・・・・・)」(箱パカッ

僕「(これか。今年の2月の――――)」

(ブー、ブー

僕「!(しまった、携帯マナーモードにしたままだ・・・・・・!) っと、もしもし!」

店長『もしもし?』

店長『――――ってなわけで、今夜と土曜日のバイトのシフト空いちゃって。悪いけど来てくれない?』

僕「え、今日は大丈夫ですけど、明後日はちょっと・・・・・・」

店長『ダメかぁ?土日祝日は給料も良いんだぞ?』

僕「どうしても外せない用事があるので――」

店長『珍しいねぇ、いつもならすぐOKするのに。こりゃ雨でも降るかな?』

僕「やめてください」

店長『ははは。んじゃ、土曜の分は他に頼むとして、今夜はお願いするよ。じゃあ、また後で』

僕「は、はい、失礼します」(ガチャ

僕「(はぁ、土曜は旅行の日だってば・・・・・・)」

僕「(外行くならついでに旅行に向けて買い物でもするかな)」

僕「(それにしても、どいつもこいつも不吉だの雨が降るだの・・・・・・僕そんな変なことしてるかな・・・・・・?)」

旅行当日、駅前

女友「ほら、5分遅刻だよ!急いだ急いだ!」

僕「ごめんごめん、自転車の鍵なくしたから走って来たんだよ」

後輩「せんぱぁい、それにしては遅すぎじゃないですか?」

女友「そうね、運動部じゃなくて文化系の軽音部なんかに入ったから足の筋肉も落ちてるんじゃない?」

僕「おまえらも軽音部じゃないか・・・・・・あれ、先輩は?」

女友「あぁ、あの留年先輩ならもう10分遅れるそうで」

僕「やめてやれよ、留学しての留年なんだから」

女友「いいのいいの、本人がネタにしてるんだから。・・・・・・で、はい。君の分の青春18切符」

僕「ありがと」

女友「まぁ、使えるのは明日からなんだけどね」

後輩「だから、はい。今日の分の切符」

僕「どうも」

後輩「お返しは昼食の奢りでいいですよ」

僕「うぐっ・・・・・・あ、あのさ。先輩も遅れてくるんだから、先輩に頼んだ方が――――」

後輩「あの先輩には朝食を奢ってもらいます」

僕「なんとまぁ・・・・・・」

電車内

後輩「いやー本当に奢ってもらえるなんて!ありがとうございます、せーんぱい」

先輩「お、おう、こここれくらい大したことねーよ」

僕「相当高い額買わされたな・・・・・・」

女友「まぁ遅刻した上に先輩の財布探させられて電車に乗り遅れそうになったんだもの。まず逆らえないわね・・・・・・」

後輩「そういえば何で遅れたんですか?」

先輩「んあ?あー、クルマの鍵見つかんなくてよ、急いでチャリこいで来たんだよ」

女友「ぷっ、どこかの誰かさんみたい」

僕「おい」

先輩「ん?お前はまだ免許持ってなかったろ?」

女友「違うんですよ、先輩。こいつはそのチャリの鍵すらなくして走って――――」

僕「言うなってば!」

先輩「まぁ、健康には良さそうだな?」

後輩「ベタなフォローですなぁ」

先輩「これが俺様が留学先で身につけたイギリス式フォロー術よ」

僕「(嘘だ・・・・・・)」

女友「あれ、そういえば君の両親も今イギリスに居るんだっけ?」

僕「違うよ、親はアメリカ」

後輩「へぇ、両親海外に居るんですか!」

女友「こいつのお父さんが凄いお医者さんなんだって。向こうでもやってるんだよね?」

僕「ま、まぁね。(いや、あれは医者には医者だけど・・・・・・)」

先輩「結構詳しいな、お前」

女友「別の人(友)から聞いた話なんですけどね」

僕「(おしゃべり共め・・・・・・)」

『次は、大船、大船――――』

女友「ねぇ、そろそろ近づいて来たんじゃない?」

先輩「まだ駅10個分ぐらいはあるだろ」

後輩「めちゃめちゃ楽しみにしてるんですね」

女友「当たり前でしょ。奇跡的に晴れたんだし、早くおニューの水着で泳ぎたいし・・・・・・」

僕「“奇跡的”ってなんだよ」

先輩「お前、わざわざ新しいの買ったの?どんだけ楽しみだったんだよ」

女友「ち、違うの!普段行けないから良いのがなくて」

先輩「そ、そうなのか・・・・・・?」

僕「(――言えない、楽しみ過ぎて自分も新しい水着買ったなんて・・・・・・)」

先輩「今の言い方だと楽しみじゃなかったことになるぞ」

女友「ちゃんと楽しみにしてました!でもそれとこれとは別です!!」

先輩「そんなムキにならんでも」

後輩「ま、何にせよ楽しみならいいんじゃないんですか?こういうのは楽しんだ者勝ちですよ」

先輩「お前は図々しすぎ」

僕「・・・・・・」

女友「?どうしたの?」

僕「・・・・・・いや、別に」


僕「(・・・・・・楽しんだ者勝ち、か)」




しばらくして、熱海駅 下り線ホーム

『繰り返しお知らせします、NR東海道本線下り線は只今運転を休止して――――』


モブ親「困ったわ・・・・・・どうしましょう」

モブ子「おかあさ、でんしゃこないの?」

モブ親「そうよ。電車が道から外れちゃって大変なんだって――――」


2003年7月19日
NR東海道本線脱線事故発生――――

今回はここまで。次回は回想終了で本編に戻ります
今更ながら、この話はフィクションです。実際の人物や出来事などには一切無関係です

【コメント返信】

>>21
元ネタが自分が見た夢でなんじゃこれ思って衝動的に書きたくなったのじゃ・・・・・・
ここ数日で設定ネリネリしてきました


>>22-31
回答ありがとうございます!
参考にさせていただきます
見た所現状維持が1番らしいのでこのままで行く予定です


ではおやすみなさい


続き期待

僕『――――それから先はよく分かりません。気が付いたらオリの中でした』

女部下「((通訳中))・・・・・・だそうです(通訳、疲れるわ・・・・・・)」

博士「なるほどのォ」

部下「なるほどじゃないでしょう。2003年、2003年ですよ!?そんなわけ――――」

博士「何れにしろ事故があったのは本当じゃぞ」

部下「え」

女部下「知っているんですか?博士」

博士「まぁ、調べればすぐ出てくる事じゃしの。17年前の7月に起きた脱線事故じゃろう?かなりの死傷者が出た、と、当時話題になっての」

女部下「(い、いつ調べたんだろう・・・・・・?)」

部下「(当時話題に・・・・・・?)」

博士「まぁ、二人がまだ小さい頃の事故じゃから、知らなかったじゃろうが」

博士「身元の特定は・・・・・・まぁ簡単じゃろうな。頼んでもいいかの」

部下「――――分かりました」

博士「あぁ、今じゃなくていい。もう今日は遅いしの。えーと、もう3時近くじゃな」

女部下「うわ、そんな時間ですか・・・・・・寝ないと」

博士「あとちょっと我慢せい。・・・・・・よっ」

女部下「あれっ、ビデオカメラ止めちゃうんですか?」

博士「もう十分じゃろ。長いこと録ったし」

部下「うっかり外部に漏らさないで下さいよ?その映像。それと、記録なら最後までやってくださいよ」

博士「誰が漏らすか、こんな貴重なモノを。最後までうんぬんが気になるなら今日の所は終わればいい。・・・・・・あぁ、そうだ、最後に伝えて欲しいことが2つあるんじゃが」

女部下「? な、なんですか?」

僕「(・・・・・・何か話してる気がするけど、さっぱりだ)」

僕「(こっちはもっと訊きたいことが――――)」

女部下「ハロー、大丈夫?」

僕『なんとか』

女部下「伝言2つ預かって来たわ。まず1つはこれからの予定ね」

僕「(予定?)」

女部下「今日は・・・・・・っていうか今夜はここで説明会終わりみたいなんだけど、日が昇ったらあなた、忙しくなりそうよ」

僕「(・・・・・・?)」

女部下「検査とか点検とか観察とか、要するに色々やって色々様子を見るつもりらしいわ。驚くことばかりだろうけど、頑張ってね」

僕「(もう驚き疲れてるんだけど・・・・・・これ以上何を驚けっていうんだ)」

女部下「それともう一つ。今の内に現在の時間を西暦から教えとけって言われたんだけど」

僕「(時間・・・・・・?それなら2003年の7月か、遅くて8月――――)」

女部下「今は西暦2020年9月18日、時刻まで言うと午前2時56分とーー約30秒ね」


僕「(――――)」


女部下「あなたが事故にあってから17年と2ヶ月が経ってるわ。・・・・・・ショックかもしれないけれど」

僕「(――――)」

女部下「反応が・・・・・・仕方ない、か。受け入れられないなら今はそれで良いと思うけれど、これが事実だってこと、今後イヤって程思い知らされるだろうから、覚悟はしておいてね」

女部下「・・・・・・私だって、伝えるの、辛いのよ」


博士「伝言は渡ったかね」

女部下「・・・・・・あ、はい。でも、わざわざここで言う必要あったんですか?伝える身にもなって下さいよ」

博士「遅かれ早かれ痛感することじゃ。早い段階での苦痛ほど早く収まる」

女部下「じゃあもっと早く言えば良かったんじゃ・・・・・・って、あの人は?」

博士「もう一人の部下ならさっき出て行ったぞい」

女部下「は、薄情者・・・・・・」

博士「この兵器を檻に戻したら、お前も寝なさい」

女部下「呼ばれる前まで仮眠してたのに・・・・・・」(ポソ

女部下「って、檻に戻しちゃうんですか!?檻暮らしの兵器ッティですか!?」

博士「檻暮らしのうんたららかは知らんが、まだ様子見段階じゃしの。本人にはとてつもなく悪いが」

女博士「せめて檻外しませんか?」

博士「あの独房でも一番最初の環境に比べたら遥かにマシなんじゃが・・・・・・まぁいいか。あ、檻は開けっ放しにはせんぞ」

女部下「ダメですか・・・・・・」

そして独房

僕「(結局ここか!!)」

僕「(まだ訊きたいことだってあったのに・・・・・・)」

僕「(・・・・・・まだ頭の整理も追いついてないのに)」

僕「(2020年。本当なら僕は38歳、か)」

僕「(いやいやいやいや無理無理無理無理、確かにちょっとさっきの部屋にも未来感はあったけど、さすがにそれは――――)」

僕「(でも、“こんなの”作れちゃうなら、やっぱり・・・・・・?)」

僕「(よく分からなくなってきた・・・・・・今は大人しく寝とこう)」

僕「(起きたらこれ以上に驚くのかな・・・・・・大丈夫かな)」

短いけどキリがいいので今回はここまで
次回から2日目。生物兵器観察プログラムが始まります


【コメ返信】

>>40
ありがとうございます!
挫けぬよう頑張ります



なんかぬいぐるみに変身して戦うホラーっぽいバトル漫画があった気がするが、あんな見た目なのかな

【ここまでのあらすじ】
目が覚めた主人公は、いつの間にか檻の中に閉じ込められていた。その後、自分が生物兵器だという衝撃の事実、さらにここが17年後の未来の世界だということを知る。こうして、彼の不可思議な施設生活が幕を開けるのだった――。

翌朝

僕「(・・・・・・んん・・・・・・)」

僕「(・・・・・・夢じゃなかったのか)」

女部下「あら、起きたみたいね?」

僕「!」

女部下「おはよう、ぐっすり眠れたかしら?」

僕「」

女部下「あ、あぁ。ごめん、これ使って」

僕「(これは・・・・・・?)」

女部下「これからは主にそのタブレット端末を使っての会話になると思うわ・・・・・・えーと、ここで電源を入れて――――で、パソコンと同じように入力して、私が持ってる端末までメッセージを送ればいいの」

僕「(・・・・・・なるほど?)」

女部下「まぁそこは、習うより慣れろってことで。それで、どう?良く眠れた?」

僕『なんtか』

女部下「・・・・・・なんとか眠れたの、かな?(タッチパネルはまだ馴染みがないのかな)」

僕「(文字を打ってる感覚がない・・・・・・)」

女部下「とりあえず、今日からあなたを兵器として“使い物”にするための3つのプログラムの一つ、観察プログラムが始まるわ」

女部下「手始めに色々検査をしたり、行動や生活を観察、監視するの。私はその世話役兼、通訳兼、記録担当よ」

僕『ひとりでやるんですか?』

女部下「そもそも日本語ペラペラなスタッフがほぼ居ないから。聞いたらわかったと思うけど、みんな英語だし」

女部下「それに、この役は私自ら希望したのよ」

僕『みずからですか?』

女部下「あ、漢字変換するならここ押して・・・・・・ここから選んでね。で、そう。私がこの役に立候補したの。あなた可愛いから」

僕「(う・・・・・・なんか複雑)」

女部下「それで、あと2つのプログラムは、教育と実践。まぁその時になったら改めて説明するわ」

僕『そうですか』

女部下「そう・・・・・・(やけに物分りが良いなぁ)」

女部下「あぁ、もう8時過ぎちゃった。移動しないと・・・・・・今檻を開けてもらうから、ちょっと待っててね」

僕『移動?』

女部下「そう。別の場所で検査をするの。檻の中でやるなんて、動物園じゃないんだから」

僕「(は、はあ・・・・・・)」

別室

僕「(検査って聞いて緊張してたけど・・・・・・)」

僕「(まさかの身長測るところから!?)」

女部下「んー、もうちょっと背中くっつけて」

僕「(う・・・・・・しかも他のスタッフなのか、人いっぱい居るし・・・・・・見られてるし)」

女部下「どれどれ・・・・・・120.3cm、ね」

僕「(低っ!!さすがに下がってるとは思ってたけど・・・・・・元は170くらいあったのに)」

女部下「じゃあ、次は体重ね。調べる項目が多いから、テキパキいくわよ」

僕「(まぁ、その流れだよね・・・・・・)」

僕『項目ってどれくらいあるんですか?』

女部下「数自体は覚えてないんだけど・・・・・・まぁ3桁はあったかな。といっても、100やそこらじゃなかった気がするけど」

僕『それを今日一日でやるんですか?』

女部下「まさか。中には長期間かけてやる項目もあるから、数ヶ月はかかるわ」

僕「(数ヶ月!?)」

女部下「だから、やれるものは早めにやっておかないと。さ、体重計に乗って。着てる白衣の分の重さは後で引いておくから」

僕「(・・・・・・なるほど、昨日言ってたしばらく監視下に置かれるってそういう・・・・・・)」

女部下「24.6kgね」

僕「(軽っ!!)」

12:00 施設内食堂

女部下「午前中の検査のノルマは越したわね。やっぱり話の通じる相手だと進行が早い」

僕『午後もこの調子ですか?』

女部下「そうよ。きっと驚くわ」

僕「(もう充分驚いてるんだって・・・・・・)」

女部下「その前に、さすがに私お腹空いたから、今からお昼ご飯食べるの。あなたの分も用意されているのよ」

僕「(用意っていうか・・・・・・食事管理だよね?)」



女部下「いただきまーす」

僕「(待って)」

僕『僕の分が生野菜しかないってどういうことですか?』

女部下「・・・・・・それについては本当にゴメンナサイ・・・・・・。でも、それは最初のうちだけだと思うわ。ウサギと人間両方が食べられるものを選んでテストしてるだけだから」

僕「(・・・・・・なにそれ怖い)」

僕「(でもウサギのエサとか牧草とか出されるよりは・・・・・・マシか)」

僕『これも項目の一つなんですか?』

女部下「もちろん。食生活はしばらく継続して観察していくの。カロリーとかも記録するし、毎日体重も量るわ」

僕「(どっかのテレビ番組みたいだな・・・・・・)」

前回の投稿から半月以上経ってました・・・・・・
とりあえず書き溜めてあった分を出します
かなり間を空けてしまったのであらすじもつけました


【コメ返信】

>>45
漫画、気になってちょっと調べてみた・・・・・・けど
よくわかりませんでした
ただ、ぬいぐるみみたいにふわふわなのは確かです

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