【こち亀SS】『冬来たりなば春遠からじ…の巻』【改訂版】 (27)

~~本屋~~

両津「う~む……このボインたまらねえな!みろよ戸塚!」

戸塚「おおっ!!こりゃいい女だ!!」

両津「へへ……この恥じらいの表情がじつにいいだろ……!」

戸塚「おっ、こっちもなかなかのもんだぜ……!」

両津「ほう、どれ……?」

少年A「みてよおさむちゃん、あのお巡りさんたち……」ヒソヒソ

少年B「うん……ポルノ雑誌なんか立ちよみして恥ずかしくないのかなあ……」

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両津「むっ……☆」

両津「なにみてんだガキども!!さっさとうせろ!!ぶち殺すぞっ!!」

少年たち「ひゃあ~~っ!!!!」

両津「まったく、近ごろのガキときたら……ん?」

戸塚「なんだ?どうした両津?」

両津「なんでこんな時間にガキどもがきてやがるんだ……?」

戸塚「さあな……学校さぼったんじゃねえのか……」

両津「まったく、近ごろの教育はどうなってんだかな……」

両津「ふぁ~あ……おおかた見おわっちまったな……」

戸塚「それじゃ、そろそろいくか……」

両津「ところで、いま何時だ……げっ!?もう夕方じゃないか!?」

戸塚「きょうは班長が非番でたすかったぜ……」

両津「じゃあなオヤジ!またくるぞ!」

ピシャッ

店主「ふう……やっといったか、不良警官どもめ……」

店主「五時間も立ちよみされてお客さんまで追っぱらわれたんじゃ、たまったもんじゃないよ……」

~~

両津「うひょ~~っ!つめたい風がふきやがるな!」

戸塚「みろよ両津、なんだかあやしい雲行きだぜ……」

戸塚「こりゃいまに雪でもふってくるんじゃねえのか……?」

両津「うむ……かもしれんな……」

両津「よし!警らなんかやめて派出所へもどろうぜ!」

両津「こうさむくちゃ酒でものんで温まらなきゃかなわんよ!」

戸塚「へへ……そりゃいいアイデアだ……!」

~~公園前派出所~~

両津「ふう……ただいま帰ったぞ……!」ガラッ

洋子「あっ、おかえり両さん!」

両津「ん……洋子ちゃん、きてたのか……」

洋子「おつかれさま!こんな寒いなかパトロールなんて大変ね!」

両津「ははは……まあな……!」

両津「おい戸塚!わしは洋子ちゃんと話があるからアレの準備たのむぞ!」

戸塚「ちぇっ……」

両津「きょうはいったい何しにきたんだ、洋子ちゃん?」

洋子「中川さんに分からないところを教えてもらいにきたのよ……」

両津「なに……勉強か?」

洋子「ええ、もうすぐ高校受験だから……」

両津「そうか……そういえばもう受験シーズンか……」

洋子「ごめんね両さん、机を使っちゃって……」

両津「なあに、かまわんよ……ゆっくり勉強していけよ!」

両津「ところで洋子ちゃん、寒くはないか?」

両津「なんならこのストーブをもっとそばに……」

洋子「あら……いいの?」

両津「うむ!この大事なときに洋子ちゃんがカゼでもひいたら大変だからな……!」

両津「どうだ?コーヒーでも飲むかい洋子ちゃん?」

洋子「いいわよ!そんなに気をつかわなくても!」

両津「そうか……?なにか用があったら遠慮なくいうんだぞ!」

洋子「うん!ありがとう両さん!」

両津「どれ……いったいどんな問題なんだ?」ヒョイ

両津(…………☆)

洋子「どう?わかる両さん?」

両津「う、うむ……思いだすのに少々時間がかかるがな……は・は・は……」

中川「聞くだけむだだよ洋子ちゃん、先輩にわかるわけが……」

両津「むっ!?なんだ中川その言いぐさは!?」ギュッ

中川「ぐえっ……★」

両津「こいつめ!!後輩のくせにえらそうな口をたたきやがって!!」

中川「だ、だって事実じゃないですかあ……うぐっ……く、くるしい……!!」

中川「ふ、ふう……ゲホゲホ……」

洋子「中川さん!?だいじょうぶ!?」

中川「こっ、殺す気ですか先輩!?なにも本気でしめるこたぁないでしょう!?」

両津「ふん!おまえなんかさっさと二階級特進すりゃいいんだ!」

中川「まったく、先輩のそばにいると本当に寿命がちぢまりそうだよ……」

戸塚「おーい!!ちょっとこい両津!!」

洋子「両さん、台所のほうで呼んでるわよ!」

両津「ん……なんだ……?」

~~台所~~

両津「どうしたんだ、戸塚……」

戸塚「おう両津……おまえも探すのてつだえ!」

戸塚「棚にかくしておいた酒がなくなってるんだが……どこやったかしらねえか?」

両津「さあな、わしはしらんぞ……ん?」

両津「そういえば……こないだ夜勤のときに水谷といっしょに飲んじまったような……」

戸塚「犯人はてめえか!!いますぐ買ってこい!!」

両津「じょっ、じょうだんじゃない!!あの寒いなかをまた歩けってのか!?」

戸塚「なにいってやがる!!自業自得だろうが!!」

戸塚「ほら!さっさといってこい両津!」

両津「どうだ戸塚、ここはジャンケンできめるというのは……」

戸塚「いいかげんにしろ両津!おうじょうぎわが悪いぞ!」

両津「なにを!?ヒラ巡査のくせに巡査長のわしにむかってなんて口のききかただ!」

両津「きさまっ!!今日という今日はただじゃおかんぞ!!」

~~

(ガラスの割れる音)

洋子「なんだか両さんたちのほうがさわがしいわね……」

中川「なあに、いつものことだよ……」

両津「こいつめ!!死ね!!」

戸塚「ぐわーーっ!!!!」

(戸塚、ゴミ箱に頭から突っ込む)

両津「ふん!どうだまいったか!」

戸塚「くそ!!やりやがったなこのやろう!!」拳銃スチャッ

両津「ぎゃあーーっっ★!!!!」

戸塚「ん?どうだ両津?いっぺん死んでみるか?」

両津「わ……わかったよ!!いきゃあいいんだろ!!いきゃあ!!」

~~

洋子「あら?またパトロールにいくの両さん?」

洋子「さっすが両さん!寒さなんてへっちゃらなのね!」

両津「はは……まあな……」

ピシャッ

両津「うひょ~っ!さむい!」

両津「ううっ……たしか公園のうらに自販機があったな……」

両津「ちょっと高くつくが、さむいから酒屋までいくのはよすか……」

~~

両津「ぶわっくしょん!!」

両津「ううっ……本格的にさむくなってきやがった……」

フータロー「あっ、ダンナじゃないですか!」

両津「ん……フータローか……」

フータロー「へへ……ダンナに会えてちょうどよかった!」

両津「なに……本官になにか用でもあるのか?」

フータロー「いやあ……この寒さですからネ、また派出所にいれてもらおうと思いまして……」

両津「だめだっ!きょうは派出所にいれてやることはできん!」

フータロー「そっ、そんなこといわずに!!ねっ!?お願いしますよダンナ!?」

両津「いかんっ!お前なんかがきたら洋子ちゃんの勉強のじゃまだ!」

フータロー「そ、そんなぁ……」

両津「……むっ、とうとう雪がふってきやがった……」

フータロー「たっ、たのみますよダンナ!!この寒さのなか外にいたらカゼひいちゃいますよっ!!」

両津「うるさいっ!!さっさときえろっ!!」拳銃スチャッ

フータロー「ぎゃああーーっっ★!!!!」

~~公園前派出所~~

両津「ふう……」ガラッ

戸塚「おっ、戻ってきやがったか……!」

両津「ほらよ、戸塚……」

洋子「おかえり両さん……あら!もうこんな時間だわ!」

洋子「わたし、そろそろ帰らないと……」

両津「あ、ありゃ、もう帰っちまうのか?」

洋子「ええ、あんまり遅くなるとおばあちゃんが心配するから……」

両津「そうか……だったらフータローをおっぱらうこともなかったかな……」

洋子「中川さん、きょうはどうもありがとう!」

中川「またいつでもおいでよ!」

洋子「それじゃあね両さん!また学校の帰りによるわ!」

両津「なんだったらわしが家まで送ってやってもいいぞ!」

中川「あっ、だったらぼくも!」

洋子「わるいわよ!そんなことまでさせちゃ!」

中川「いいんだよ、どうせここにいたってヒマなんだから……」

寺井(さっきから職務をぜんぶオレに任せっきりにしといてそりゃないだろう……)

~~

洋子「それにしても、きょうはずいぶん冷えるわね……」

両津「ほら、わしのコートかしてやるよ……」スッ

洋子「えっ、いいの両さん?」

中川「心配いらないよ洋子ちゃん、先輩がカゼなんかひくわけないからね……」

両津「そうそう、そういうこと……なに……?」

両津「どういう意味だ!!このバカ!!」ポカッ

中川「あいたっ!!!!」

中川「いたたた……」

両津「だいたいだな、若いおまえがまっさきにコートをぬぐべきなんだぞっ!」ガバッ

中川「うわあっ!?なっ、なにするんですか先輩っ!?」

両津「いっちょまえに温かそうなコートなんかきやがって!わしによこせ!」

中川「や、やめてください先輩……ああっ!!」

(中川、両津にコートをはぎ取られる)

両津「さあ!いこうか洋子ちゃん!」

洋子「え、ええ……」

中川「はっくしょん!!ううっ……」

両津「ところで、洋子ちゃん……」

洋子「えっ、なあに両さん?」

両津「受験勉強もけっこうだがな……」

両津「勉強しすぎて本番まえにカラダをこわさないように気をつけるんだぞ!」

洋子「あったりまえよ!そんなことわかってるわ!」

中川「ちぇっ……先輩ときたら洋子ちゃんにだけは優しいんだからなあ……」

両津「わはは……」

洋子「ふふっ……」

~~

(雪降る路地の光景)

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あとがき

どうしても気に入らない箇所がいくつかあったので、原作連載終了を機に修正して再投下しました。

修正ついでに20パーセントほど増量しました。今回はただの改訂版ですが、次はサザエさんの新作です。

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