妹「何のバイトしてるの?」兄「え?」3(魔王勇者系) (787)

1スレ目(ニュー速VIP) 妹「何のバイトしてるの?」兄「え?」
http://hvip9.blog.fc2.com/blog-entry-854.html

前スレ(SS速報VIP) 妹「何のバイトしてるの?」兄「え?」続
妹「何のバイトしてるの?」兄「え?」続 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352901623/)


一応ジャンルは明らかに魔王勇者なので勝手ながらタイトルに入れました。

前スレが1000になるまで投下したらこちらに投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361199280

調子に乗って1000まで投下してしまった…新参丸出しorz
ブラウザの方から前スレにアクセスしてくれると読めると思います
申し訳ない

どうしよう、前レス最後まで見れてない人がいるのならちょっと前から再投下しようか?

では今晩980あたりから投下します

間ができたので本文開始の986から投下します

C風使い「まだこちらへは戻ってこられないのですか?」

王子『そう…だな…魔王が父上の姿を捨てて魔王に戻ったのならば、戻っても良いかもしれぬな…いや、すぐにでも戻るべきか』

国王『儂はこのナリじゃからのぅ…国は王子に任せて、老後の魔界ライフでも送るとするよ。この村の者達とも話が合うしの』

???『人間界へお戻りになられますか?』

王子『…魔法使い殿か』

???『では、私も護衛として同伴致しましょう』

王子『解呪の魔法の件は良いのか?』

???『ええ。後は地道に解析して、魔法陣を生成するだけなので…資料さえあれば、あとは人間界でも進められます』

王子『そうか。あの時魔王に側近を全て殺されてしまったからな…助かるよ』

???『できれば研究室をお借りしたいのですが…』

王子『おお、良いぞ良いぞ!存分に使いたまえ!私が王位継承できればの話だがな!』

国民大臣「何を仰います!本物の王族なのですから堂々とすればいいじゃないですか!」

王子『退魔大臣が黙ってないだろうな…おそらく、何者かを送り込んでくるはずだ』

国民大臣「…あ…どう…すれば……」

王子『いや?良い助言であるぞ国民大臣。堂々と王に成ろう』

国民大臣「え?し、しかし」

王子『大丈夫だ…では今から向かう』

王子『それと…誕生日おめでとう王孫よ』

C風使い「…はいっ!」

ブツン

国民大臣「……本当に…衝撃的な話ばかりでした……」ヘナヘナ

C風使い「これで、騒動の真実を分かって頂けたでしょうか」

国民大臣「…は、はい!申し訳ありませんでした!」

C風使い「いえいえ。そちらこそ、あまり根を詰めないでくださいね」

国民大臣「ご親切痛み入る」ペコ

C風使い「では」ガチャ

国民大臣「…よし、やる気出た!!まずは近衛隊の制圧だな…なんとか根回しせねば…!」



ー魔界 日和族の里ー

ザッ

兄「門番、か」

側近「では、私はこのへんで」スッ

兄「ああ。すまないな」

妹「行きますかー」



門番「何者ダ」

兄「ん?こいつは……」

日和娘「日和族が独自に開発した魔造ゴーレムです」

日和娘「遠隔操作で動いているので、実際に門番が一人立っているのと変わりません」

日和娘「ただし、戦闘力はすごいですよ」

兄「へぇ…」

門番「…ム、日和娘カ……ドコホッツキ歩イテイタノダ!!」

日和娘「ひあっ!も、申し訳ありません!!」コソッ

門番「………入レ」

兄「え?」

妹「すんなり…だね…?」

友「結果オーライ…なのか?」


ギイイイイイ……


紅友「この中が…日和族の里……あれ?」

友「誰か立ってるな…案内人かな?」

日和族族長「………」フンズ

日和娘「……」ダラダラダラ

コソ

兄(…おい、誰だ?)

日和娘(ぞぞぞ、族長…です…こ、怖い人です…)

兄(あー……)

日和族族長「日和娘」

日和娘「はは、はいっ!」ビクッ

日和族族長「心配したぞ」ハァ…

日和娘「あ……」

日和族族長「ったく…」スタスタスタ

兄「何か、良い人っぽいぞ」

日和娘「…良かったです、怒ってなくて」

スタスタスタ…

日和族族長「日和娘」ニコォ…

兄(あ、これは)

妹(ダメなパターン)

紅友(ですね)

日和族族長「っ馬鹿野郎!!!」ゴツン!

日和娘「はう!!!」



日和族族長「俺らがどんだけ心配したと思ってんだ!!」

日和娘「ご、ごめんなさい……」

日和族族長「……」チラッ

兄「…?」

日和族族長「迷惑をかけて申し訳ない…そしてありがとう。殺さないでくれて」

紅友「…あれ?私達何も話して無いのに…」

日和族族長「日和娘の…16歳の誕生日、そして失踪……発作しかないだろう?わかってるさ」

日和娘「族長……」

日和族族長「ったく、せっかく発作が起きても対応できるよう準備させておいたってのに」

日和娘「…あの、一度発作が起きたら二度と治らない、と…」

日和族族長「……確かにそれは本当だ。だが、日和族は発作を治す方法を長年研究しつづけているのだ」


兄「すみません、それでその方法は見つかったのでしょうか」

日和族族長「…残念ながら、治す方法は今だ無い…」

日和娘「……そう、ですよね……」

日和族族長「だが、止める方法はある」

日和娘「えっ!!」

日和族族長「しかしこの方法は本人や家族との相談がな…ついて来い、見た方が早いだろう」

日和娘「は、はいっ」

兄「……」

日和族族長「ほれ、お前たちもだ。どうせエルフのジジイの使いだろう」

妹友「おお、鋭い」


……


ザッザッ

紅友「一つ聞きたいのですが…人間や、他の魔族との交流を断った理由って、もしかして……」

日和族族長「……そのとおりだ」

日和族族長「発作が起きてしまえば食人族化する。食人族化すると人を襲う」

日和族族長「人を愛す我らにとって、それは耐えられぬ事だったのだ」

兄「…だから、交流を断った…と」

日和族族長「うむ。他の者を傷つけたくないし、我らも、食人族だなどと言われたくは無い」

紅友「なるほど……だから食人族化を治す方法が見つかるまで、こんな魔界の奥地に住んでいる、と…」


妹「そうだったんだ……」

妹友「納得だねぇ~」

日和族族長「……面影がある…な」チラ

兄・妹「「…?」」


ザッ…ザッ


日和族族長「ここだ」

日和娘「ここって、開かずの扉…?」

日和族族長「~~~~」ブツブツブツ

ガコン!ギィィイイイ…

日和娘「わわ!」

日和族族長「入れ」



バタン!

妹友「わあ~石像がいっぱい……」

友「リアル過ぎないか?」

紅友「ちょっと、怖いですね…」

日和族族長「さて、今の段階では発作を治すことはできん」

日和族族長「しかし5年前、なんとか止める方法…いや、魔法が完成した」

日和娘「そうですか!」

紅友「っまさか!日和娘ちゃん!」

日和娘「あ、なあに?」

紅友「この中で、知り合いに似た石像…ない?」

日和族族長「勘が良いなこのお嬢さんは…」

日和娘「え?うーん………あ!」

紅友「…あった?」

日和娘「うん!この石像、4年前に里を出た近所のお姉さんだ!…よく見れば、里から出て行った人達の姿ばかりだ…」

兄「ま…さか!!!」

妹「…こんな…魔法…!!」

日和娘「…え?」



日和族族長「……ああ。5年前、ある魔法使いによって…」


日和族族長「その者の時を止める…石化魔法が完成した」


兄「なるほど、止めるってのは…」

妹「まるごと、その人の時を止めるって事だったんだ…」

日和族族長「そう。この石像たちは皆、発作が起きた者達だ。だからとっさに石化させた」

友「す…げぇ!となると、死にそうな人を石化させて、回復の準備ができたら解除すればいいっつー方法も!」



日和族族長「……問題はここからなのだ……」







日和族族長「……解除魔法が、無い」


紅友「そんな!てことは…」

日和族族長「ああ。もし解除魔法が見つからなければ…永遠にこの者達は石像のまま…だ…」

友「…まじか……」


日和族族長「……そこで本題だ、日和娘よ」

日和娘「あ…」

日和族族長「…まだ見ぬ未来に賭けて自らの時を止めるか、今を生きるか…だ」


日和娘「私…は…ア…」ピクッ

日和族族長「!!!発作だ!!」

兄「っ!!」バッ!

日和娘「ガ、ア、ア、アアア!!!」ミキミキミキ

ガシッ!!ズシン!!

兄「くそ!!!」ガチッ

日和娘「アアアアアアア!!!」バタバタバタ!!

紅友「っ!!」

妹「ど、どうすれば…」


……


日和娘「はぁ…はぁ……うう…」

兄「大丈夫…か?」

日和娘「ぅぅ…食人族になんて…なりたくないっ!!!」

日和族族長「…どうするのだ」

日和娘「お願い…します」

日和族族長「…だろうな、では中央へ」

日和娘「はい…」

妹「あ、中央に描かれてる模様が魔法陣なんだ」

日和族族長「…そうだ……家族との別れはどうする日和娘」

日和娘「………書置きだけ、させてください」

日和族族長「そうか」


……


日和族族長「出来たか」

日和娘「はい…」カサ

日和族族長「確かに受け取った。…では」

日和娘「……っ」クルッ

タタッ

日和娘「あの……」

日和娘「ギュッって…してくれませんか…」

兄「…ああ」ギュッ

日和娘「……」グスッ

妹「このっ……ふぅ」

妹友「……」

友「……」

紅友「……」



日和娘「……」スッ

タタッ

日和娘「……」チラ

日和族族長「……石化魔法、起動」

ブゥウウン…

パキ…パキ…

日和娘「皆さん、本当にありがとうございました」

妹「また会いましょ!」

友「でも、日和娘ちゃん的には一瞬だな!」

日和娘「…そうですね!」

パキ…パキ…

日和娘「兄さん、また、ギュッてしてくださいね…?」

兄「ああ…ああ!もちろんだ!」

日和娘「…えへ」ニコッ


パキン……


友「…いい笑顔だな」

紅友「ええ…」

日和族族長「さて、感傷に浸っている所悪いが移動させるぞ、手伝ってくれ」

兄「あ…はい」

日和族族長「落とすなよ?絶対に落とすなよ?」

兄「ちょっやめてください」



ゴトッ

兄「ふう……待ってろよ」ナデナデ






友「にしてもすげー数だな…お、この石像とかすごいぞ、男女抱き合ってる…」

紅友「夫婦でしょうか、壮絶なドラマがあったんでしょうかね…」

妹友「なんかこの夫婦怪我してない?明らかに致命傷のような気が」

妹「どれどれー?」

兄「日和族族長さん、石化魔法を発明させた人ってどんな人でした?」

日和族族長「そうだな、それも話さねばならぬな…勇者の子よ」

兄「…え?」






妹「お、お、お、お兄ちゃ!お兄ちゃん!!!!!」

兄「どうした!?」バッ!

妹「こ、この、この…せき、ぞ……あ…あ…あ……」

兄「石像がどうし…!!!!!!」







兄「…父さん!!…母さん!!!」

ちょっと微調整加えましたが前スレの986~999です
1000はこのスレのURL張ったんですが、こんなことになるから実質980くらいで終わりなんですね…

書き溜めしてるとちょっとグロくなった。気を付けて
もうちょい先の話だけど

バイト終わったら今日の分は1時までには投下しようと思う

ホラモー寝てたしモー
宣言したって大体嘘だよなあひでぇ
ごめんなさい!


妹「どうして……」

日和族族長「実は君らの父と母は魔王討伐の旅の途中この里に一時滞在した事があってな」

日和族族長「食人族化の事を聞くと、親身になって対処法を探してくれたのだ」

友「その時に…」

日和族族長「そう、石化魔法ができた。まさか自分たちにもかける事になるとは思わなかったろうがね」

日和族族長「そして次に現れたと思ったらひん死の状態、10分ももたない状況だった…しかも毒や呪いもかけられていて」

日和族族長「我らといえど解毒魔法、解呪魔法を同時に、かつ傷を治すなどできなかった…」

日和族族長「すまない、もっと回復魔法の技術があれば…こんなことには…」

兄「…………い、いえ…まだ死んだわけではないので…石化が一番の選択だったと思います……」

妹「…そう、死んでない……まだ…」グス

兄「お、おい?」

妹「よかった…よかったよ……お父さぁん…お母さぁん……」ポロポロ



……


兄「泣きつかれたか…んしょっと」グイ

妹「すー…すー…」

妹友「寝顔かわいいなぁ~でへへ」

兄「おい」

日和族族長「というわけで、今の食人族化の問題を解決できるまで他の里との交流は容易くできんという事がわかっただろう?」

兄「わかりました。エルフ族族長にこの事を話しても?」

日和族族長「そうだな、ここらで事情を話しておいた方が良いかもしれんな」

兄「では伝えておきます」


兄「…父と母を助けるためには…解毒魔法と解呪魔法と回復魔法を同時にかければいいんですか?」

日和族族長「簡単に言わんでくれよ?同時に、という条件だけで難易度が飛躍的にあがるのだ」

紅友「役割分担すればいいのでは?」

日和族族長「確かにその方法は…例えば腕と脚を怪我して、同時に、二人で治すときは有効だ」

日和族族長「場所が違うから互いの魔力が干渉しない。しかし解毒と解呪…どちらも体全体にかけるだろう?」

日和族族長「すると互いの魔力が干渉し合ってしまい、競合という危険な状態に陥ってしまうのだ」

紅友「競合……その状態になるとどんな事が?」

日和族族長「単純に言って、死ぬ」


紅友「ええっ!!」

日和族族長「二人でかけるなら魔力が全く一緒でなければならんし」

日和族族長「一人でかけるなら…解毒と解呪を同時にかける技術が必要だ」

日和族族長「回復魔法は、まあなんとかなるだろう」

日和族族長「前者は魔力が全く同じという奴は双子しかあり得んが…魔法に精通しておる双子なぞ見たこと無いし」

日和族族長「後者は…100年に1人現れるレベルの天才ならできそうだな」


紅友「その…天才と呼ばれる人…探すしか無いんでしょうか…」

日和族族長「いや、探すまでも無いよ。もう見つかっているからな」

友「え!?それじゃあ……」



日和族族長「そこに、いる」ピッ



紅友「………そんな……」

日和族族長「100年に1人と言われる天才魔法使いであり、勇者の妻。それが兄と妹の母君なのだ…」


友「兄…あまり気を落とすな……あれ、兄?」

兄「魔力を同じに……まてよ…いるぞ、それができるヤツが…」ブツブツ

日和族族長「なんと!?どんな天才魔法使いだ!?」


兄「いや、天才でも魔法使いでも…双子でもないんだ」


日和族族長「何!?」


友「え、そんな人いたっけ?老魔法使い先生?」

紅友「あ!…友さん、あの人ですよ!」


友「ぇえ?……っああ!」






兄「エルフ族の、エルフ男」

とりあえずここまで

ぼちぼち投下


日和族族長「ほう、そんな特有魔法を…」

兄「あとは石化魔法の解除…だな……待っててくれ、父さん、母さん…」


紅友「あの、今の所石化魔法解除の研究はどのくらい進ん」



ぐぅ~



紅友「………はう!」カァァ

日和族族長「……わっはっはっは!!!もう昼だな!飯にするか!!」

兄「…はは、緊張感解けたな!さんきゅーな!」

妹友「ぷっ!あっはははは!!!」

友「………いかんいかん、鼻血が…」




……

カチャカチャ

妹「ん…?いい匂い…」ムク

兄「おうおはよう…昼だけど」モグモグ

紅友「これすごいですね、この熱いスープが入ってるのに熱くないなんて…」ズズ…

日和族族長「だろ。しかもそれ、スープ入れたの朝だぜ?」

友「えええ!?」

日和族族長「魔法瓶ってやつだ」

妹友「どんな魔法がかかってるの?」

日和族族長「それがよ、魔法の類はかかってないんだ」

友「え、魔法かかってねーの!?魔法瓶なのに?」

日和族族長「そう。まるで魔法がかかってるかのような瓶で、魔法瓶って名前だ」

紅友「すごいですね…」ズズ…

友「え、ってことは材質と構造だけでこの保温力を持ってるってことか!?」

兄「すげー技術持ってるんだな」

日和族族長「まあな。要るか?」

妹友「くれるの!?」ガタッ

日和族族長「ああ、日和族の特産品みたいなもんだ。冷たい飲み物も入れておくと、長い間冷たいままだぜ」


兄「あ、そりゃいいな」

妹「んー……」ゴシゴシ

兄「妹、何か食うか?」

妹「あ…ごはん……うん」

日和族族長「そうそう、今の石化魔法解除の状況だが…必要な物があるとか言ってたな…」

兄「必要な物……言ってた?」

日和族族長「ああ…俺は石化解除の研究はしてねぇ…いた、あの人に一任してあるから聞くといい」ピッ

兄「えーと」クルッ

紅友「ぶっ!!!」ブシャァ

友「ぐわ!」

兄「……まじか」

妹友「…わーお」

妹「?」モグモグ


老魔法使い「おや、側近殿はおらぬのか?」


妹「ぶっ!!」ドバァ

友「ちょ」

さてゆっくり投下していくわけだが例によってあまり期待しないでおくれ


兄「な、なんでここに!?」

老魔法使い「どうも何も……儂は日和族だった、それだけのことじゃ」

妹「先生が日和族…」

兄「…どーりで魔法に長けてるわけだ……」

友「まじか……何も見えないけど」ベチョ

妹「あ…すいません」

紅友「あわわわわわ」フキフキ



老魔法使い「それで、石化解除の進行状況じゃが…」

兄「必要な物ってなんです?」

老魔法使い「…魔力無効水晶じゃ」

妹「ありましたねそんなの…どう使うんですか?」

老魔法使い「うむ、この世界には微小な魔力の流れがあるのは知っておるかな?」

兄「ああなんとなく…エルフの里は特に強い流れだったな」


老魔法使い「あそこは特異な場所じゃからのぅ…まあそれはよい」

老魔法使い「実は既に石化解除魔法は出来上がっておるのじゃが」

兄「おお!」

老魔法使い「この魔法が繊細な魔法でな、魔力の流れの影響を受けてはならん魔法なんじゃ」

紅友「だから、魔力無効水晶で魔力の流れをカットする…と」

老魔法使い「うむ」

友「まてまて、どんだけの水晶用意しなきゃならないんだ?」

老魔法使い「そうじゃな…ざっと……DEFランク闘技場くらいの大きさかの」

兄「…そうだ!確か無効水晶って半分に割っても、くっつければまた魔力無効が発動するよな?なら小さいものを集めて…」

老魔法使い「…それはやらないほうがよい」

兄「え?」

老魔法使い「確かにその方法だとD魔法使いがやっていたみたいに魔法は防げる」

老魔法使い「しかし今問題としているのは魔力じゃ。少しでも隙間があれば魔力の風が入ってくる」

友「じゃあどでかい魔力無効水晶からドームを削らなきゃなんないの!?」

老魔法使い「そういうことじゃ」

妹友「え、魔法使えば楽にできるんじゃない?」

妹「妹友…魔力無効水晶だってば。魔法効かない」

妹友「おあ…」



兄「しかもそんな大きさの魔力無効水晶なんてあるのか?」

老魔法使い「…魔界のどこかには、存在すると言われておる」

兄「つまりわかんねーのか……」

紅友「で、でも!見つかれば石化を解けるってことですよね!?」

老魔法使い「うむ、そういう事じゃ」

兄「側近にも聞いてみるか…」


兄「……あれ!?先生がここに居るって事は!」

老魔法使い「ん?」

友「どうした」

兄「…ちょっと待っててくれ」

妹「どうし」

シュン!

妹「たの…ってどこ行ったの!?」

老魔法使い「…大丈夫じゃ、すぐ帰ってくるじゃろ」

友「え、なんで分かる…んですか?」

老魔法使い「まあまあ」

もうちょっと、もうちょっとでバトルパートだから……




紅友「ん…」ゴクゴク

友「飲み過ぎじゃないか?」

紅友「だってコレ冷たくておいしいんですよー」

友「まあ確かに」

紅友「族長さん!この魔法瓶にこっちの冷たいジュース入れていいですか?」

日和族族長「もちろんだ」



タタタタ…

妹「…あ、お兄ちゃん」

ザッ

兄「…やっぱりだ…先生の家日和族の里にあったのか…」

兄「なら転移すれば早かったじゃねーかくそ…」

妹「何の話してるの…?」

兄「いやな、俺先生の家にマーキングしてんだよ。で、先生が日和族っつーからもしやと思って転移してみりゃ…な」

妹「先生の家にマーキングしてたんだ」

兄「今度日和族に用がある時は先生のとこに転移するわ…いいだろ先生?」

老魔法使い「まあの」




側近「♪~」ドカッバキッ

魔物「ギエエアアア!」タタタタ…

側近「まだですかね魔王様……ん?」

魔物「グオオ!」

側近「……」ドカ!

魔物「ウグァ!」

バタバタ…


側近「……」ヒョイ

側近「……ハッ!!」ビュン!

ビシッ!!

???「!!」

側近「そこに居るのはわかってますよ?」

???「ウウウウゥ……」スッ


???「……」バサッ

側近「…食人族?…しかし食人族に翼なんてあった」

ヒュオッ!

側近(速い!)シュバッ!!

???「ウアァァァ…」のそ

側近「油断できませんね……」ツー…

側近(ただの食人族かと思えば…感じる魔力は別格ですね…)

???「…」キョロキョロ…

側近「…?」

???「………!」ダンッ!

側近「どこへ…っ!そっちは日和族の里!!」ダンッ!!



ダダダダダダ…

???「…」チラ

側近「この…」

グルッ!ダンッ!

側近「え」

バキッ!!

側近「うっ!!」

ズザァーーッ!!

側近「く……っ!」バッ

シーン…

側近「しまった!!」ダンッ!



……



兄「んじゃあ水晶群を探しにいけばいいんだな?」

老魔法使い「すまんの」

兄「だけど手がかりなしで探せっつってもなぁ…」

老魔法使い「魔力の少ない場所を探すのじゃ」

兄「魔力の少ない場所?」

老魔法使い「うむ。そういう場所は水晶のせいで魔力が消されているからの、自然と魔力が少ないのじゃ」

兄「んー…魔力の少ない場所か…」


妹友「エルフの人に手伝ってもらえば楽ちんだねー」


妹「……さらっと解決したね」

兄「…抜けてるんだか抜けてないんだか…」

妹友「ん?おかしい事言った!?」

日和族族長「いんや、大正解だよ」


門番『警報!!警報!!』

妹「わっ!な、なに!?」

日和族族長「…門番は瞬時に里全体に危険を伝えられるよう拡声魔法がついてある…」

門番『食人族襲来!!翼ガ生エテイルタメ、レベルハ3ダトオモワレ』ガァン!!!

ジジッ…ジジジッ…

門番操縦士『魔造ゴーレムが壊されました!警戒してください!』


日和族族長「3か……」ガタ

兄「何が起こってるんだ?」

日和族族長「食人族化については日和娘から聞いていると思う」

兄「ああ…爪や牙が伸びて、目が変色して最後にはあの食人族になるんだろ?」

日和族族長「…それはまだレベル2の状態だな」

妹「なんですか?レベルって」

日和族族長「食人族化の度合いだ」

日和族族長「レベル1は爪が鋭く伸び、牙ができ、目が変色する。まだ理性はあるほうで、発作を繰り返す」

日和族族長「…日和娘がこれだ」


日和族族長「レベル2は体が変化し、理性はもうない。食人族と聞いて思い浮かぶのが大体レベル2だ」

日和族族長「大抵湧き上がる魔力はレベル2になると落ち着くが…」

日和族族長「稀に魔力が異常に多くレベル2を過ぎるケースがある。このケースがレベル3だ」

友「レベル3になるとどうなるんです?」

日和族族長「そうだな、見た目翼が生えるから分かりやすいが強さは……正直に言おう。鬼族やドラゴンに匹敵する」

妹「えええええ!!魔力が多いだけでですか!?」

日和族族長「日和族の魔力は特殊なのだ…それだけに、稀に出るレベル3は…ヤバイ!」


ぐわああああ!!


日和族族長「っ手伝ってくれ!里の被害が深刻になる前に!」

妹「了解です!」

兄「わかった!友と紅友は残っててくれ!」

友「ああ…気を付けてな……」



「くそっこれがレベル3…ぐあああ!」ブシャッ

食人族Lv3「ウウ…」

ヒュン

ドカァアン!!

食人族Lv3「グッ!?」

妹「あらーあんま効いてない」

妹友「目くらましにはなったよ!」チャキン

妹友「ハアアアッ!」ブンッ

ザク!!

食人族Lv3「グェァアアアア!」

妹友「やばっ抜けな」

ガシッ!

妹友「あ」

妹「妹友!!!」

ガブッ!!!

妹友「っうあああああああ!!!」

兄「ふっ!!!」バキィッ!!!

食人族Lv3「ウオ」フラッ

バッ!

兄「大丈夫か!」

妹友「ど、どーもです…」


食人族Lv3「ウゥゥウ……」


妹「…強いねー」

日和族族長「俺と爺さんで呪縛魔法をかけるからそこを叩け!」

兄「……殺すのか?」

老魔法使い「やむをえんよ…レべル3は……殺すか、殺されるかしかない。それほど強いのじゃ」パァァ

妹友「もうちょっとで引きちぎられるとこだったよ……あ、回復どもです……」

妹「左手まだ動かない?」

妹友「んー感触はあるけど動かないねー。てか朝くっつけたのにそんなすぐ無理だよ!」

妹「うーんそれもそっか」


食人族Lv3「グルァ!」バッ

兄「来たぞ!」




側近「とーーーーーう!!」ヒュオ



バキィ!!!!!

食人族Lv3「グア!!??」ビュン

ドカァン!!!


兄「……側近!?」

はらいてえええええ


妹「側近さん!」

妹友「おおカッケー」

側近「魔王様、こいつの相手は任せてくれませんか?不意打ち食らってちょっとイラっとしたので」

老魔法使い「おお側近殿」

日和族族長「え、誰だ?」

老魔法使い「まあ、こやつらの連れじゃの」

日和族族長「何で一緒じゃなかったんだ?外は危険だろ…」

兄「あはは……」


食人族Lv3「ウウウ…」ガラ…

側近「さっきのお返しです」

食人族Lv3「ウオオオオ!!」バッ

側近「ふっ!」ヒュバ

ガシィッ!!

食人族Lv3「グウウウウ…」ギリギリギリ

側近「久しぶりに…全力で戦えます!!」ニヤァ


兄「側近の戦い…初めて見る」

妹「お兄ちゃんも知らなかったの?」

兄「ああ…なんだかんだで本気は見たこと無いな」

日和族族長「お、おい?加勢しなくていいのか?」

兄「あーいや」

側近「ハアッ!!」

バキィ!!!

食人族Lv3「ウ…オ…オオオッ!!」シュシュシュシュッ!!

側近「っ!」バババババッ

ヒュン

トッ

側近「ッハア!!」ドゴン!


ドガガガガガッ!


側近「まだまだ!」ダンッ!


妹友「すげー今腕に乗った」

兄「…加勢なんてできないですよ」

日和族族長「…何者?」

兄「鬼族ですけど…味方です」

日和族族長「鬼族…通りで…」

いかん進まない、バイトあるからまた夜に
とか言ってると寝落ちするのでまあ…期待しないでください

あかん眠すぎるごめんなさいおやすみなさい

8時まで頑張ります


ドコォン…ガォン……


友「…すげー戦いなんだろうなぁ」

紅友「そうですね…」

友「皆は強ぇなぁ…」

紅友「そうですね…」

友「俺も強けりゃ…」

紅友「友さん」スッ

友「……」

紅友「私は…友さんは…そのままでいいと思ってます」

友「でもよ、紅友ちゃんが危なくなった時守れないんじゃ嫌なんだよ…」

紅友「じゃあ、一緒に強くなりましょう?一緒に魔法の練習を練習して、一緒に…」


ドクン


紅友(…?)


友「…そうだな、色々と落ち着いたら修行だな!」



紅友(首筋…)ゴク


友「そ、そだ……俺さ、このまま魔界でずっと住むってのもいいかなって思ってる…んだよね」



紅友「……」アーン



友「紅友ちゃんは…どう思ってる?」クル

紅友「!!!!」バッ!クルッ


友「紅友ちゃん?」


紅友「す、すいません!ちょっとお手洗いに行ってきます!」

友「あ、うん………まああんだけ飲んでればトイレ行きたくなるわなぁ」





「レベル3だってよ…見に行こうぜ…うわ!」バッ

紅友(いまのって!)タタタタ

「なんだぁ……?」




紅友(うそうそうそうそ!!!)タタタタタ

バッ!

キョロキョロ…

紅友「誰もいない…よね?」


紅友「水魔法」ポワン

ペチャン…


紅友「…」ソロ~


紅友「っ!!!!!」




紅友「目が………!」

ガリッ

紅友「つっ…牙…も……」サワサワ




紅友「うそだ……こ、こんなのって無いよ……」ポロポロ


紅友「どうして…私は日和族じゃ無いのに…も、もしかしてご先祖が!?」

紅友「お、お父さんとお母さんは紛れもない人間…なのはわかってる……あっ!!」

紅友「たしかお母さんのお爺さんが昔大魔法使いだったとか…もしかして…」

スゥゥゥ…

紅友「あ…戻っ…た………」





紅友「そういえば……私の誕生日………明後日だ……」



側近「は、あ、あ、あああああ!!」

食人族Lv3「グオオオオオ!!!」


ガガガガガガガガガ!!!


「が、頑張れえええ!」
「そこだああ!」
「あんたそこだーっつったって分かんねーだろ!」
「まあな!何してるのかさっぱりだ!」


妹「いつのまにかギャラリーが…おにい…あれ?何してるのお兄ちゃん?」

兄「ん?」カキカキ

日和族族長「…もしやそれは…」

兄「覚えた」

日和族族長「…すごいな君」

老魔法使い「ほう」


兄「よし…」


兄「側近ー!ここに突き落とせ!!」


側近「!!…わかりまし」ゲシッ

食人族Lv3「グオ」ヒューン


妹友「おおっムーンサルト!」


ヒュッ

側近「…たっ!!」ゲシィッ!!

食人族Lv3「グゥウ!」ヒュウウ…

ズダァン!


兄「今だ!!起動!!」ブゥン

食人族Lv3「グア!?」パキパキパキ…

むう、5行しか書けなかった…また23時前後に
寝るかもしれないけど。

吉幾三




日和族族長「石化魔法陣をあの時見ただけで覚えて描くとは…」

妹友「すご…」

妹「それにしても…まるで悪魔みたい」コツコツ

老魔法使い「……レベル3…か…」

兄「あ、食人族化を治す魔法はあるのか?」

老魔法使い「…ある……んじゃが」チラ

妹「?」

老魔法使い「…………母君が知っておる」


兄「……そ…っか…」

妹「お母さんが……」

妹友「なるほど、なんにせよ石化解除のための水晶探しが先なんだねっ」

兄「だな」

大丈夫まだ大丈夫…

いつ寝てもいいから頼むからここまで宣言はしてくれ


勇者「どうだ?」

女魔法使い「いたわね、妹とその取り巻き。偶然食人族が門番破壊してくれて助かったわ」パァァ

戦士「流石だなS盗賊。感知スキルぱねぇわ」

S盗賊「まあね、俺は少しでも対象の魔力があればどこに居ても探知できるからな」

女魔法使い「…でもその…何?ヌイグルミ?あんたがそうやって持ってると大分気持ち悪いわ」

S盗賊「仕方ねーだろ…あの家ん中で一番魔力がついてたのコレだったんだから」

勇者「どうでもいいからさっさと捕まえるぞ、賞金が手に入るんだから」

戦士「だな、一人30万Gはウマイ」

女魔法使い「妹は即殺していいんだっけ?」

戦士「そうだっけ?まあ即殺しはしねーな。楽しんでから殺す」グヒヒ

女魔法使い「あっそう」

>>90
了解、寝る時は一言添えます


勇者「…ん?アレは…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


戦士「うお、まじか」

女魔法使い「ちょっとちょっと!アレ行こうよ!」

S盗賊「…ここしばらく探しても見つからなかったのにこんな時にか…」


勇者「……関係ない、奴らを捕えるのが最優先…」







勇者「魔王城は、その後だ」



紅友「はぁ…どうしよう」トボトボ


「……うわ、なんだあれ」
「すげ、浮いてる…」


紅友「…?」



紅友「……!!」ダッ





友「なげーな…」

タタタタタ…

紅友「友さん!」

友「うおっ!」

紅友「アレ見てください!」

友「ああ…え?あれって魔王城か?確か今は沈んでるんじゃ…?」

紅友「とりあえず知らせましょう!」

友「ああ!」ガタッ



「すげーなねーちゃん!鬼族だって?」
「流石だなレベル3とやりあうなんてよ!」
「あのよ、今度鬼族の米持ってきてく」
「おい!今は交流禁止だっつの!」
「ちぇー」

側近「は、はあ」たじっ

兄「さて、また旅の始まりか…」

妹友「エルフの里に戻ってエルフ男さんかエルフ姉さんにお供してもらおう」

妹「だね」



タタタタタ…


友「おーい!」

紅友「みなさん!」

兄「おう、今丁度終わった所…」

コソッ

友(兄、あっち見てみろ!)

兄(え?何が……は!?)

友(なんで魔王城があんな所にあるんだ?お前が制御してるんじゃなかったのか!?)

兄(そ、そのはずだが……)


側近「はっ!?」

スッ

側近(魔王様!)

兄(ああ)

コソッ

兄「皆、俺と側近は魔王城に行ってくる。しばらく待っててくれるか?」

妹・妹友「「私も!」」

兄「いや、お前たちは来るな。俺と側近が様子を見てくる。心配すんな、すぐ戻る」

妹「…ほんと?」

兄「ああ、だから先にエルフの里に行っててくれ。ルートは覚えてるか?」

妹「うん、大丈夫だけど……」

兄「じゃ、後は頼んだ」ポン

妹「あ……うん…」

妹友「…いいなあ」ボソ


側近「急ぎましょう」

兄「ああ」


シュン!!


妹「ほんとに…大丈夫かな…」

妹友「とりあえず任された事はやろうよ」

妹「…そだね…族長さん、エルフの里付近まで転移お願いします」

日和族族長「ん、ああわかった。こっちだ」


紅友「はぁ…はぁ……っ」キュッ

ゴクゴク

友「便利だよな魔法瓶」

紅友「…はい、これは良いものですね」

友「人間界にも広がらねーかなー」

紅友(……喉が渇く…一応コレがあればバレないでしょうけど…)

紅友(友さんには……嘘はつけない……)

紅友(石化……か……)



老魔法使い「では儂は研究に戻るぞよ」シュン


日和族族長「あ、爺さん鍵!…あー…すまんちと待っててくれ」タタッ

日和族族長「転移魔法陣があるとこはここから東に行って赤い家を左だー!」タタタ…

妹「はーい」

妹友「東東っと」

妹「そっち西」

妹友「……た、試しただけだしっ」



タタタ…

ガチャ

日和族族長「…えーと確かこのへん…あったあった」チャリ

ガサッ

日和族族長「……ん?」

ヒュオ

ゴッ!

日和族族長「うっ!」ドサ

ボンッ

日和族族長?「さてと…」


……


妹友「日和族の里は鍵ついてるんだねここ」

妹「やっぱり、勝手に使っちゃダメだからかな…」

紅友(い、言わないと…)


日和族族長?「いやーおまたせ、すみませんねちょっと迷っちゃって」

妹友「ぶはっ族長なのに迷うって面白いっすね!」

日和族族長?「……」ジー

妹「…?あの、何か…?」

日和族族長?「いえいえ!」

ガチャ

日和族族長?「ささ、入って入って」

友「うし、行こう」

ゾロゾロ…

妹友「二回目だねー」


日和族族長?「…行き先…を…」カキカキ




紅友「…あれ?族長さん」

日和族族長?「…ん?ああ私か」

紅友「行き先間違ってません?」

日和族族長?「……」ピク

紅友「エルフ族の里付近なんですから、ここはこうのはずですよ」カキカキ

日和族族長?「お、おお!そうでしたね!」(チッ)

友「おーい何もたもたしてんだー?」スタスタ

紅友「…あ!そうじゃなくて!皆さん聞いてください!あの…実は私…!」


日和族族長?「起動」


妹「え?」

妹友「わ」

バシュン!!

友「うおあぶねっ!」

紅友「…え?」

すまぬ投下したつもりが投下してなかった
>>96の次に↓


勇者「んじゃああの廃村に行って準備してっから」

戦士「俺も」

女魔法使い「何言ってんの、あんたは手伝いなさいよ」

戦士「えーだって俺変化魔法は得意じゃねーし…S盗賊とお前の方が適任だろこの場合」

S盗賊「ま、そりゃそうだね」

女魔法使い「…はー…まあいいわ、行くわよS盗賊」

S盗賊「ほいさ」


で、>>98ですちくしょーめ

もう眠いのでここまでっす

よし投下しようか


日和族族長?「……」


紅友「ぞ、族長…さん?」

日和族族長?「はぁ、あんたのせいで行き先狂っちゃったじゃない」

紅友「っ!?」

友「え…?」

スッ

ドンッ!

紅友「きゃ…」ドサ

友「なにすんだ!」タタッ

友「大丈夫か?」


日和族族長?「ったく」カキカキ

スッ

S盗賊「妹の行き先は?」

ボン

女魔法使い「エルフの里付近よ。入られると厄介だから勇者にすぐ伝えて」

S盗賊「わかった」スタスタ

友「な…なんだお前ら!?近づくなっ!」バッ

S盗賊「…ああ、このへんなら範囲内だな。女魔法使い」ピタ

女魔法使い「はいはい、起動」

友「っどこに飛ばすつも…」


バシュン!




女魔法使い「……転移」

バシュッ!



……


……



ー兄・側近サイドー

シュン!

兄「っと…あれ?」

側近「…門前…ずれましたね」

兄「くそ、この感じ魔力が淀んでるな…何があったんだ…」

側近「とりあえず魔王の間まで急ぎましょう」

兄「だな」




タタタタタタ…

側近「…おかしいですね」

兄「何がだ?」

側近「魔族メイドの姿が一人も見当たりません」

兄「……急ごう」ダンッ!

側近「…はい!」ダンッ!



ダダダダダ……

兄「そろそろ魔王の間……あ!?」

側近「…紅竜!!」バッ


紅竜「はぁ、はぁ…あ」

側近「紅竜!?」

兄「どうした!?何があった!?」

紅竜「魔王娘ちゃんが………」


兄「っ…紅竜休んでてくれ…」スッ

紅竜「う、うん……」



兄「……開けるぞ」

側近「…はい」


ギ イ イ イ イ イ イ …



魔族メイド「あう…あ…あ…」

???「………」


兄「なっ………誰だ!?」

側近「…魔王様気づいてますか?ここにいるだけで魔力が…」

兄「ああ、だからマーキングが外れてたんだ…」



???「あっ………パパだあ!」パッ

魔族メイド「う…」ドサ


兄「……な…に…?」

魔王娘「みてみてパパ!皆と遊ぶうちにおっきくなったよー!」タタッ


側近「っ!」ヒュバッ

魔族メイド「う…側近様…」

側近「何があったのです!?」

魔族メイド「と、突然魔王城が動き出して…それと同時に魔王娘様が…う…」ガク

側近「魔力がほとんど無くなってますね…この場から離れないと…消滅して…!」

側近「でもドアの近くには魔王娘が…っ」

兄「!…よ、よし魔王娘、追いかけっこしよう。ほら、追いかけてこ~い!」ダッ

魔王娘「あは!わーい!!」ダッ!


……

側近「流石です魔王様……無事な魔族メイドはいますか!」

シュッ

魔族メイド「はっ!」

側近「倒れているメイドに魔力を分け与えてください!私も手伝います!」

魔族メイド「承知致しました!」タッ

ちょっと今日はこのへんで

おはようございます

投下ー



側近「魔力を吸う……思い出した!」

側近「たしか大昔に魔力吸収という特異な性質を持ったサキュバスという魔族がいて」

側近「そのせいで魔力のバランスがくずれるから絶滅に追いやられたとか…」

側近「魔王娘は真魔王が連れてきた……そして、真魔王の復活とほぼ同時に魔王娘の覚醒……」

側近「…何を企んでいるのでしょう……」



…ダダダダダダダ

魔王娘「あははははは!」

兄「くっ…離れていても徐々に魔力がとられていく…直に触れられるとどうなることやら…」ダッ!

魔王娘「むー!まてまてー!!」フワッ

ヒューン

兄「ち、飛翔魔法!」フワッ

フラッ

兄「くそっ城内の魔力が不安定なせいでうまく飛べねぇ!」スタッ

兄「…仕方ない!」ダンッ!!



ー獣王宮ー


獣人伝令兵「伝令!南の空に魔王城と思われる城が出現!北東に向かって移動している模様です!」

魔王「……ふ、ふ、ふ、はははははははははは!!」

武闘家「魔王城……?」



ブゥゥゥウン……


武闘家「この魔法陣のせい…なのか」


魔王「そうだ、魔界大結界。東西南北に設置した魔法陣の力でまず魔王城を中心に呼び出す」

魔王「そして魔王城が中心に来た時、魔界大結界は完成する。」

武闘家「完成すると…どうなるんだ?」

魔王「世界中の魔力が魔王城に集まる。そしてその魔力は…全て魔王の魔力となる」

武闘家「なっ!?だとすると、世界中の魔族が死ぬことになるんじゃないのか?魔力を取られると死ぬんだろう魔族は?」

蒼竜「バカね、そんないきなりじゃないわよ。微小に決まってるわよ」

蒼竜「ただし、微小でも世界中から集まるんだからとんでもない魔力になるんだけどね」


魔王「誰が今魔王の座にいるのか知らんが、我以外の魔王はあり得ん!返してもらう…!」




魔王「行くぞ……魔王城へ」



ー勇者サイドー


バシュン!

紅友「わっ!」

友「く…どこだここ……」


戦士「おっきたきた…ん?本命いないじゃん」

S盗賊「すまん、妹と妹友をエルフの里付近に逃しちまった」

勇者「は?」ギロ

S盗賊「っ!すまない!すぐ探して…」

勇者「…別にいいよ」スクッ

S盗賊「え?あ!いや!魔力はもう覚えた!すぐに見つけられ」

勇者「…丁度追いかけっこみたいなゲームしたかったんだ」

勇者「面白いだろ?必死に逃げる姿って」

勇者「つーわけで僕はS盗賊と本命を捕まえに行ってくる」

シュン!

女魔法使い「ごめん勇者!妹と妹友を」

勇者「はいはい、じゃこいつらは君らに任せたから」

ねむいおやすみ

おまたせ…あんまり書き溜めできてないけど



勇者「S盗賊、案内しろ」

S盗賊「わかった、こっちだ」

スタスタスタ…


友(ここは……廃村…か?何も無い、朽ちた家しかない……)


戦士「さて」

紅友「!」ビクッ

友「っ!…俺たちをどうするつもりだ」ギロ

女魔法使い「そうね……こっちの質問に答えてくれたら解放してあげないことも無いかなー」

紅友「…友さ」

友「黙ってて」

紅友「……」

女魔法使い「ひとーつ。兄はどこ?」

友「は?」


女魔法使い「妹・妹友はあの二人が今追いかけたからいいとして」

女魔法使い「一人足らないんだよねー。情報じゃ兄・友・妹・妹友が賞金首なんだけどー。」ピラッ

友「賞金首……俺達は無実だ!こうなってしまったわけを聞いてくれ!」

戦士「……いや俺らはどうでもいいんだよ金さえもらえれば」

紅友「…そんな……」

女魔法使い「ふふっ……」

女魔法使い「で、兄はどこ?」

友「あいつは…知らない」

女魔法使い「ちょっと知らないって事は無いでしょー」

友ま、魔王城が出現したから調査してくるって行っちまったんだよ!」

戦士「……あーあれな」

女魔法使い「まあいいわ。ふたつめ、あんた誰?」

紅友「え?」

女魔法使い「このチラシには入ってないけどあんたは何?」

紅友「…私…は…」

友「……この子は無関係だ。俺を連れて行くのなら俺だけにしてくれ」



戦士「はっはっは、おーけーおーけー!無関係ね!無関係!」


戦士「じゃ、嬢ちゃんはこっちに来て無関係って事を証明してもらおうか!…ふひっ」

女魔法使い「…物好きねぇあんたも」

友「っ……」

戦士「ほら早くこい!」ズカズカ

紅友「ひっ!」


グイッ

紅友「……あ」

戦士「…何のつもりだ」


友「紅友は…渡さない!!」ギュッ

紅友「と、友さん……」


戦士「……はー……」ポリポリ






戦士「…………殺す」シャキン!!!



友「水魔法!散霧!!」ボフッ!!

友「走れ紅友!!村から離れろ!!」

紅友「はいっ!……え?」


戦士「ちっ!女魔法使い!」

女魔法使い「はいはいわかってるわよ、風魔法」ビュオッ!!


戦士「所詮低ランクだな!目くらまししか能のない……あ?」

女魔法使い「…あら?」

戦士「いない……だと?」


女魔法使い「…ちょっとまずいんじゃない」

戦士「……わかってらぁ!探すぞ!!」ダッ!!

女魔法使い「はいはい!」ダッ!!



コソッ


友「行ってくれたか…」スッ

紅友「村から離れろって言っておいての、村に隠れる…ですか」

友「正直賭けだったがな。奴らがバカで助かった、本当に称号持ちかね」

紅友「…ありがとうございました」

友「ん……行こう。バカでも少し考えれば気づく、今のうちに奴らの逆方向に逃げれば時間稼ぎできるはず」

紅友「……その後は……」

友「…まだ考えて無い」


タタッ…











女魔法使い「…まったく、演技するのもつかれるわ」

戦士「くはっ…くはははは!」

女魔法使い「その辺りは勇者と似たもの同士ね。付き合うこっちの身にもなりなさいよ」


戦士「いやーやっぱり…………」





戦士「鬼ごっこは追いかける方が楽しいなあ!!!」

戦士「そろそろ村を出たところかな???もーいいかーい!!もういいよーー!!っと!」クルッ


戦士「さあ、じわじわと追い詰めてやろう!」

女魔法使い「どうでもいいけど、いつもの如くやりすぎて殺さないようにねー」

戦士「くははははははははは!!!!」




ー魔王サイドー

魔族メイド「側近様!!!」


側近「どうしました!?」


魔族メイド「………侵入者……です」

側近「…侵入者!?こんな時にっ」

魔族メイド「いえ、侵入者でもないかもしれません……」

側近「はい?何を…………!!」



側近「魔王が……帰って来たのですね」

魔族メイド「はい……」


側近「…兄さんが危ない!!!」ダンッ!



ぱぱー!どこーーー!?




兄「お前……は……!!!」


魔王「ふむ……まさか貴様が魔王になっていたとは」

邪鬼「ん?確かコイツ……」

蒼竜「ああ、D魔法使いをいい感じに弱らせてくれたヤツね」



兄「D魔法使い……いや……前魔王か!!!」


魔王「おやおや、"現"魔王殿。そんなに激昂してどうした?」


兄「ふざけるな!!貴様のせいで妹は!!!」


魔王「やはり指名手配か!!うむ!そうでないと面白くない!」


兄「てめえ!!」ダンッ!


魔王「……」ニヤ


バキッ!!

ドカァン!!


兄「お前は!!絶対に殺す!!!!」ヒュオ




グチャァアッ!!!



魔王「……」ピクッピクッ




兄「……な…あっけ…ないだと…?」


邪鬼「へぇ、壁にぶっ飛ばしてぶつけた瞬間に追い打ちで渾身の頭部潰しか。グロいグロい」

S盗賊「…え?死んだ……のか?」

蒼竜「んなわけないでしょ」



ドォン!!

兄「がっ!」ヒュン

ズザァァアッ!


魔王「…ふむ、良い攻撃だ……が、その程度か」ジュルジュルジュル


兄「がはっ……な…に!?」


魔王「ふぅ…」コキッコキッ

魔王「……肉体再生。我は絶対に負けん、故に最強なのだ!!」





兄(……なら何故父さんとの戦いで瀕死になった!?何か…コイツを倒す何かがあるはずだ!)

眠いのでここまでっす



魔王「さて、そろそろ城が中心に来るな……」

ヒュン

魔王「む」



魔王娘「あれっ?」




魔王「くっく……久しぶりだな、魔王娘」

魔王娘「……だれ?」

魔王「ふ、それよりそこにパパが居るぞ?」

兄「…なっ!?」


魔王娘「あ、パパいたー!!!」ヒュン

兄「しまっ!!」


魔王娘「あむっ」


兄「ぐ、あああああああああ!!!!!!」ズズズズズズ…



魔王「冥土の土産に教えてやろう。こいつは大昔に絶滅したサキュバスの細胞を手にいれて我が造った……」



魔王「魔造の魔物だよ」



魔王娘「あれー?パパ寝ちゃった?」

魔王「ふん、コイツの使い方も知らんようなヤツに魔王の座を奪われていたとは」



兄「魔造……使い方だと……」ググ…


魔王「おや……そうかお前は人間だったか。道理で魔力が全て吸われても消えないわけだ」

魔王「だが、魔力の無い器に…魔王の力は宿らない!」


魔王娘「あ…う…パパ……おにいちゃん何してるの?」キョトン


兄「な……魔王紋章が……消え……」スゥゥゥ…


邪鬼「…魔王様」ズズズ…




魔王「さあ!我が城よ!我が下僕達よ!!魔王が帰って来たぞ!!!」ブゥン!


ズ ズ ズ ズ ズ ズ




魔王「魔王継承!!!」




兄「く、そぉ!!!!」



…………



魔王「……」スッ

ブゥゥン……

魔王「ふむ、やはりこの紋章は我に相応しい」


魔王娘「…………パパだぁ!」タッ


兄「……魔王娘は魔力を吸い取る……お前だって例外じゃ……」


魔王「わかってないな貴様は!道具と言ったろう……今使い方を教えてやるよ!」バッ


ガシッ


魔王娘「あ……パパ……?」

魔王「頂くぞ……今まで吸い取った魔力を!」

兄「なにっ…」


魔王「魔王の名において命じる!我に魔力を明け渡せ!!!」


魔王娘「ア…ウ……ウアアアアアアアアア!!!!!」

グワッッ!!!


ズ ズ ズ ズ ズ

魔王「素晴らしい!!魔力が満ち溢れてくる!!!」



シュゥゥゥゥ…

兄(魔王娘が…小さく……)

魔王娘「ア……」ブラン


魔王「……ちっやはり失敗作か…残りの魔力も渡せないとは」ブン!

兄「っ!この!」バッ

ガシッ!!

魔王娘「う……」


魔王「まあよい、8割方受け取った。もう貴様らに用は無い………殺せ」


邪鬼「あいよ…鬼剣」チャキ

鬼剣「ギギギギ!!」


兄「く、くそっ!!」




鬼剣「……ギッ!?」


邪鬼「どうした?……ほー、久しぶりだな」クルッ

魔王「ふむ、今だここに居たのか。主人が帰ったぞ?茶でももてなすがよい」






魔王「側近」


側近「…………っ」ギリ


      つづく



側近「…………」チラ

兄「う……」

魔王娘「……」グデ…

スッ

側近「お帰りなさいませ魔王様、再びお目にかかれて光栄です」

魔王「うむ」

武闘家「誰だ?」

蒼竜「魔王の側近であり、四天王の一人の側近よ」

武闘家「ああ、なんか言ってたなそういや」

邪鬼「ケッ、四天王に鬼族は二人もいらねっつの」

魔王「ふ、まあそう言うな……」

邪鬼「それによー、またコイツ人間と共存なんて考えてんじゃねーの?」

側近「……」


魔王「そうだな……そうだ」


スタスタ

側近「!!」


兄「く……」ヨロッ

魔王「まだ立てるのか」

兄「く、くそ……」ヨロヨロ

ヒュッ!

魔王「まあ這いつくばっていろ」ドスッ

兄「うぐぇ!!」

ドサッ

魔王「さて側近よ、人間と共存なぞ腑抜けた考えをまだ持っているか」

ガッ!

兄「ぐぁ…」

魔王「こいつを殺して確認させておくれ」グリ…

兄「ち、きしょ……」



側近「……お言葉ですが魔王様……そのような考えはとうに捨てております」

側近「こやつを魔王にしておいたのも、こうして魔王様が復活した後また魔王となられるようにわざと泳がせていただけです」

兄「な……んだと……」

側近「勇者の剣ももたぬ輩に、魔王様を倒せるはずもありませんから」

兄(勇者の剣……?)

魔王「ハハハハハハハ!!それもそうだなあ!!」




魔王「では殺せ」

側近「はい」

兄「な……」



側近「魔王様、離れてください」

魔王「ふ……」ニヤ

スッ

兄「側……近……お前」

側近「……」


クワッ!

側近「汚らわしい人間風情が私の名を呼ぶな!!」キィィィイイ


ドカン!ドカン!ドカァン!ドカン!ドカァアン!!ズガン!ドカン!ドォン!ドン!ドガン!




……




シュウゥゥウウ……

武闘家「ヒューおっかねぇ、やっと煙が晴れてきた」

邪鬼「ハ!やりすぎじゃねえのか!?跡形もねぇじゃねぇか、城壁に穴空けるほどとは!」

魔王「良し……魔王の間に行くぞ」スッ

邪鬼・蒼竜「「ハッ!」」


側近「……」





妹「……あれ、友さん達遅いね」

妹友「んー?何かあったのかなぁ…」

妹「先行くわけにもいかないし……」

妹友「……でも日和族の里とかもう戻れないしね」

妹「とりあえず待とうか」

妹友「だねー」ドサ

妹「ところでさ、その剣使いやすい?」

妹友「ん?これ?」

妹「そうそれ」

妹友「うーん……いまいち」

妹「え」


妹友「だって安物だし」

妹「なんで良い物使わないの?」

妹友「かっちーん……あたしの財布の中身見せてやろうか?え?」

妹「……あ!ごめんごめん!!!」

妹友「オラッ!どうだオラッ!逆さまにしても何も落ちてこないんだぞ!」

妹「わかった!わかったからほっぺに押し付けないで!」

妹友「逆さまにしても何も落ちてこないんだぞ!」

妹「重要なのはわかったから!」

妹友「逆さまにしてもっ……何も落ちてこないんだぞぉ……」グスン

妹「ごめんて」


妹「むしろ毎日どうやって過ごしてたの」

妹友「そりゃー近くの池で魚とったり森で猪狩ったり」

妹「OH...」グス

妹友「あと妹の弁当から頂いたり」

妹「一気に同情心無くなった。こんな量だったっけ?てなった時はきさまか」

妹友「てへぺろ☆」

妹「……」ゴォ

妹友「あっつい!やめて!あの時は何にも取れなくて限界だったの!」

妹「言ってくれればよかったのに」

妹友「いやでも猪狩るのとか楽しかったし?戦士の称号取れればお金には困らなくなるかなって」

妹「……戦士の称号…」ボシュン

妹友「ちょ、わかりやすっ!無実なんだから戻れるって!」

妹「うん……」

妹友「いい加減この流れもういいよ!」


妹「そだ、その腕見せて」

妹友「あー左腕ね」スッ

妹「…なんというか結構……」

妹友「人間ぽくない?」

妹「……うん、色も少し違うし」

妹友「贅沢言っちゃいけねぇや!少しずつ動くようになってきたし!」グッグッ

妹友「まあでも人前では隠そうかな、しばらく右腕一本で過ごしてたから慣れてるし」スッ


……


妹友「いくらなんでも遅くない?」

妹「だね、さすがにおかしいね」

妹友「でも日和族の里の場所とか知らないしなぁ…」

妹「一回エルフの里に行こうよ。たしかあそこから日和族の里に行けるはずだよ」

妹友「あ…そか」

妹「何もなかったらいいけど、すぐ転移できるはずなのにこんな遅くなるなんて何かあったに違いないよ」

妹友「……こうしちゃいられないね!いこう!」バッ

妹「うん!!」ダッ


ピタッ


妹「わっちょっとどうしたの!?」

妹友「あ……あ……」







妹友「道憶えてない!」

妹「…………」

うーんここまでかなとりあえず



友「はあっ…はあっ…」タタタタタタ

紅友「あ!人が居ますよ!」

友「……人?」

紅友「すいません!」

???「……はい?」

紅友「あの、この辺で隠れられそうな所ってありますか!」

???「なんですか隠れられそうな所って……かくれんぼでもしてるんですか?」

紅友「……あは、そうなんですよ!知り合いの子に無理矢理参加させられて!」

???「はあ、大変ですねあなたも……そうですね……あっちに洞窟だらけの山岳地帯がある。そこいくとまず見つからないでしょう」

紅友「そうですか!ありがとうございます!行きましょう友さん!」

友「ああ!ありがとう!」

???「いえいえどういたしまして~」ニヤ





ボン

女魔法使い「……付き合ってらんないわね………」

鯖落ちしてる間に結構たまったけど、大量投下したら読むのだるいかな?

よし




友「こっちだ」

紅友「え?でもさっき」

友「……こっちに行くんだ」

紅友「……まさか」

友「ああ、ありゃ嘘だった。洞窟なんかありゃしねぇよ……というかなんで魔界に、あんなピンポイントで人が居るんだおかしいだろ」

紅友「さ、先回りされてたなら捕まってもおかしくなかったんじゃ……」

友「わからん……弄ばれてる……んだろうな、かたや称号持ち、こっちはDランクだぜ」ギリ






戦士「うーんバレたな、足跡が向こういってら」

女魔法使い「みたいね。」

戦士「ははっやるねーそうこなくっちゃ」

女魔法使い「さっさと捕まえたら?」

戦士「あー、そうだな。そろそろ遊びは終わりにしようか」






ガササ

友「うーん……森かぁ……」

紅友「でももう戻れませんよね……」

友「ああ……日が暮れる前には抜けたいな」



ドドドドドドド………



友「……なんだこの音」

紅友「滝の音ですね」

友「いってみるか。滝の裏にちょうどいい洞窟あったりしてな」




ドドドドドドドドド

友「なんて期待した俺がバカだったちきしょー」

紅友「こっちが滝の上でしたね……」

友「こりゃ落ちたら死ぬなー」

紅友「なんて呆けてる場合じゃないですよ!ここじゃ逃げ場が……」


ザッザッ


紅友「あ…あ……」

友「………っくそ…」


戦士「そう、もう逃げ場はないよーん」

女魔法使い「観念することね、おとなしく捕まりなさい」



友「俺が捕まれば……どうなるんだ」

女魔法使い「…大逆罪の共犯とされてるから……まあ、このまま逃げ続ければ確実に死刑、今捕まればとりあえずは生きられるわよ」

友「……そうか…この娘は」

女魔法使い「んーとりあえずは捕まえさせてもらうわよ。一緒に居るんだから」

紅友「っ」

戦士「大丈ー夫!その娘には指一本触れないから!」

友「………」


友「一つ、聞きたい」

女魔法使い「どうぞー?」

友「ああ、そっちの」

戦士「俺?なんだ?」


友「あんた、俺が捕まった後……この娘に手は出さないよな?」



戦士「…はっ、当たり前じゃないか!!!」ニコォ



友「…………っ」ギリ

紅友「……」ハッ

紅友「友さん……私は、やられる位なら友さんと死ぬ方がいいです」

友「…………ごめんな、紅友」

紅友「いえ……大好きです」

友「そっか、俺もだ」ギュッ


女魔法使い「ちょっとちょっとなん…」


バッ!!

戦士「あ!?」

女魔法使い「うそ……」





……ドッボーーーン!!!




戦士「しまった!!くそ!呪縛魔法くらいかけとけよ!」

女魔法使い「うっさいわね!!そっちこそこんな事して遊んだのがいけないんでしょ!」

戦士「そもそもお前の誘導がわざとらしかったんじゃねーのか!?」

女魔法使い「あんたこそあの女に下心丸出しだったのがバレてたんじゃない!!」

戦士「ちっ!!」

女魔法使い「ちょっと……これが勇者に知れたら……」

戦士「わ、わかってるよ!死体でも何でもいいから探すぞ!」シャッ…シャッ…

女魔法使い「……浮遊魔法使えないと降りるの大変ね」スー

戦士「うるせぇ!言ってる暇あったら追っかけろ!!」バッ

女魔法使い「浮遊魔法じゃこの川のスピードに追い付けないわよ!浮遊魔法は移動に特化してないんだから!」

戦士「移動に特化した飛翔魔法があるって聞いたが?」

女魔法使い「……あんなクソ難しい魔法修得する暇があったら補助魔法で肉体強化した方がマシよ」

戦士「ふーん」

女魔法使い「これで生きてたら……まんまと逃げられた……ってわけね」

戦士「………ちっ」




……


……


妹「えーと、このルートで……ん?」

妹友「はー、やっぱり覚えられないや」

妹「……妹友」

妹友「5分前からだねー」

妹「こういうのは妹友のがすごいね」

妹友「まっね」

クルッ

妹友「お兄さん何の用かな?」



S盗賊「あら、バレちゃった」ガサ


妹「…っ追っ手ですね?」

S盗賊「ご名答。罪状はわかってるだろ、ちゃっちゃと捕まってくれるとありがたいんだが」

妹友「あたし達は無実だよ!」

S盗賊「……じゃあそれこそ公にでて訴えなくちゃ!言わないと分からないよ?さぁ」

妹友「あ…そっか」

妹「騙されないで妹友、こっちの言い分が通るわけない」

妹友「おっとと」

S盗賊「おいおい、何のための法廷だよ」

妹「……まず、証言者が一人もいない。こっちの味方になる人が一人もいない。」

妹「勝手に無実だと叫んでも見苦しい言い訳にしか見えない」



S盗賊「んーじゃあ仕方ない、力ずくで捕まってもらおうかな」ニヤ


妹友(……何この余裕?……まるで勝ちが決まってるかのような……)

妹「1対2はちょっとやだな。妹友、私が戦うね!」チャキン

S盗賊「……いいだろう!ハァァァァァア!!」キィィィィ



妹友(……!)ピクッ



妹「魔法で来るか……それとも…」ブツブツ

妹友「あぶない!!」バッ


ブォン!!


S盗賊「何!?」

妹「え!?」

妹友「気を付けて妹!!!もう一人いる!!!!」


勇者(やるね、S盗賊があえて魔力を放出して注意を向けたのに)

勇者(抑えた僕の微かな魔力…いや、気配を捕えたのか)



妹「……囮だったのね」

S盗賊「バレるの早!」

妹友「2対2……だね」

S盗賊「でも君ら一人見えないでしょ?2対2とか言ってる場合じゃないよねー」

妹友「不可視魔法ってやつ?」

妹「うん、超高等魔法……使えるってことは、かなり強いよ」

妹友「うへ」

妹「ありがとね妹友。いるって分かってれば、対策は立てれる」

妹「見つからないように魔力を抑えてる以上思い切った攻撃はできないし」

妹「その漏れた魔力を感じることができればそれなりに戦えると思う」

妹友「むう、魔力を感じるとか簡単に言っちゃって……」

妹「妹友のが気配を察知するのには長けてるじゃない。自信持って!」

妹友「ん、わかった!」


スゥゥゥ

勇者「んー、ばれちゃあもう無駄かなー」

妹友「おでましか!」

勇者「ばれちゃー仕方ないなあー、どうすっかなー」

S盗賊「もうちょい遊ぶのか?」

勇者「うん遊ぶー」


妹友「遊ぶて……」

妹「なめられてるね」


勇者「そうだ君、ドラゴン従えてるんだっけ。見せてよ」

妹「はああ!?」

勇者「ドラゴンに乗って逃げたんでしょ?俺見てないから見せてくんない?」

妹「残念ですが今は居ませんよ」

妹友(あはー、紅竜ちゃんは今魔王城だねー)

勇者「…………あ?」ギロ

妹・妹友「「!!!!」」ビク!!!

寝てた…再開



妹「っ!」チャキ

妹友「…」チャキ

勇者「ねぇ呼び出せないの?口寄せとか。使役してるんだから口寄せ契約くらいしてるっしょ」

妹「使役なんてしてません!友達です!!」

S盗賊「ぷっ」

勇者「はぁぁ!?」

S盗賊「友達とか!」


勇者「あはははははは!魔物を友達か!!あっはははははは!!」

妹「何がおかしい!人間と魔物の立場は対等です!」


ヒュオッ!

キィン!!

妹「ぐっ!!」(いきなり剣を抜いてきた!!!)

ギリギリ

勇者「ふざけるな!!魔物は魔物だ!!対等なわけあるか!!!!」

妹友「っこのぉ!!」シャッ

ヒュバッ


妹「……どうしてそんなに魔物を嫌うの!?」

勇者「っは!どうしてかって!?そんなの簡単だ!」

勇者「魔物が嫌いだからだよ!!まあ、ドラゴンは使えそうかな?」

妹友「そんな、理由で!」

む、飯っすー



勇者「もういいやこんなやつら、半殺しにして終わりだ」バッ

キィン!

妹「あ!?が……」グググ……

妹友「どうしたの!?」

フワァ

妹「あ、うあああああああ!!」ペキ…ペキ…

妹友「なにした!!このぉ!!」チャキ

S盗賊「おっと」ヒュッ

妹友「っ危ない!」カァン!

妹「ぐうううううう!!」ギリギリ

勇者「おー大分もつね」

S盗賊「勇者が縛り、俺がクナイを投げる……キミ見たところ片腕だね、いつまで持つかな!?」ヒュッ!ヒュッ!

妹友「くそぉ!!」キン!キン!

S盗賊「まだまだ……」ジャラ

ヒュバババッ!!

妹友(クナイなら有限だ!尽きた時一気に畳み掛ける!)キンキンキンキンキンキン!!!


S盗賊「やるねー片腕でこれだけの量を弾くなん」

妹友(今だっ!!)ダッ!


S盗賊「てねっ!!」ヒュッ!

妹友「なっ!!」





S盗賊「有限だと思ったでしょ?」


妹友「はぁっ!はぁっ!」(あたし狙いだった!!かろうじて避けたけど……)



S盗賊「そしてこれが俺の特有魔法」ジャラララララッ!

妹友「……うそぉ…」

S盗賊「魔力を一時的に物質に変える……つまり俺のクナイの数は……無限だ」

妹友「っ!!」

勇者「いいねーその顔!たまんねーわ」



S盗賊「さあいくぜぇ!!」バッ!


妹友(このままじゃ……そうだ!一か八か……)

妹友「……待った!!!」バッ

S盗賊「む?」ピタ

妹「う…妹友……?」





妹友「ね、ねえ。今あたしが降参したら……助けてくれる?」

妹「……え」



勇者「あははははははは!!これは傑作だ!!ここにきて命乞いか!!」


妹友「……ごめん妹、この人達強すぎるや」


S盗賊「そりゃあ勇者一行だからな」


妹友「勇者!?」

妹「……勇者?」


勇者「ん?そう、俺勇者」

S盗賊「俺とこの人と、戦士と女魔法使いで勇者パーティーさ」


妹友「勇者パーティー……」


S盗賊「そう俺Sランク。今は居ないけど、後の二人は称号持ち」



妹「……勇者……」

妹友「……こりゃ強いわけだ」




勇者「……降参してもソイツはいずれ殺されるわけだが?」

妹友「いいやもう……あたしさえ助かれば」

妹「そんな……」


S盗賊「どうすんだ?」

勇者「くっ……あっはははは!!いいだろう!お前だけは助けてやる!ただ……」

S盗賊「……うん、演技かもしれないからなー。剣を捨てろ」

妹友「わかった」






妹友(…………超肉体活性)ピキピキピキ…



妹友(……剣をわずかに斜めにして………)スッ

妹友(落とす…………)パッ




――妹友(剣が落ちて……)



ヒュゥゥ……



――妹友(跳ねて切っ先が向いた瞬間にっ!!!!)キッ!



コォーン……


妹友「蹴るッ!!!!!!!」ガァン!!!


S盗賊「なにっ!」

ヒュオッ!

勇者「ちっ!」バッ!


パッ

ドサ

妹「はあ、はあっ」



S盗賊「…のやろぉ!!!!」ヒュババババッ!


妹友(見える!)パパパパパパッ!!


ジャラ…

妹友「……」ニヤ

S盗賊「……何……だと…」



妹友「お返しだっ!!!」ヒュバッ!


S盗賊「くそっ!!」ダンッ!


妹友「剣借りるよっ!」チャキン

ダンッ!

S盗賊「な……速…」

妹友「もらったあ!!!」ヒュオ

ちょっと今日はここまでっす




ピタアッ…………


妹友「……く…」ギリギリ


勇者「流石だね、何の魔法かな?飛躍的に速度が上がったけど……」キィィィ

S盗賊「す、すまん助かった」



勇者「正直結構警戒してたんだけどねー。まさか剣を蹴るとはね」


S盗賊「ふぅ………オラァ!!!」ゲシィッ!

妹友「がっはっ!!」

S盗賊「オラッ!!オラァ!!」バキッバキッ!


ドンッ!!


S盗賊「おおっと!!」

妹「……は、離れろっ!!」


妹友「あう……」


妹(勇者の体制を崩せば……呪縛魔法?が解けるは……ず……)

妹(……しまった!この隙にまた不可視魔法で!!)キョロキョロ




勇者(ふ、この距離なら悟られまい……そして)ギンッ


妹友「う、あ、あ、あああああ……」メキメキ…


妹「く、くそぉっ!」ドンッドンッ!!


S盗賊「あっは、雑だねー」


勇者(数撃ちゃ当たる……か?)

ズガァン!

勇者(っと、結構勘は良い方か……でも俺の不可視魔法は完璧だ。その程度じゃ……)

勇者(話にならないな!!これで終わりに…)ググッ


妹友「あああああああああああ!!!」ミシッミシッ

妹「妹友ぉおおお!!!」




ヒュン!!



勇者(!?)バッ

ズカッ!!

勇者(矢!?どこから……いや、俺を狙って!?)

ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

勇者(!!!!)ババッ

ズカズカズカズカッ!!


パッ ドサッ

妹友「う……」


ヒュン!

S盗賊「ちっ!」バッ


妹「!!妹友!!」ダッ


妹友「はぁ、はぁっ…矢ってことは……」



ザンッ!


エルフ姉「よお、随分ピンチじゃねえか」


妹「エルフ姉さん!!!」


スゥゥゥゥ

勇者「……エルフ族か」


エルフ姉「森が騒がしいと思ってきてみれば……追っ手か」

全然書き溜めできてないけど書けた分からゆっくり投下します



妹友「また助けられちゃったなぁ~」

エルフ姉「まだまだだなお前ら」

妹友「面目ないっす」

エルフ姉「でも、さっきの攻防は良かったぜ。何だあれ?」

妹友「あたしの特有魔法っすよ!超肉体活性!動体視力・筋力・脳の回転が上がるんすよ!」

エルフ姉「へぇ、でも……」

妹友「……まだ、長くは続かないっす……」

エルフ姉「だろうねぇ。あと少し続いてたら勝ってたろ」

妹友「ですねぇ、いやー惜しかったっす」


エルフ姉(……あの状態なら、俺より……)


妹「何はともあれ、これで不可視魔法は使えないね」

妹友「だね……あ、妹」

妹「ん?」

妹友「さっきはごめんね、裏切るようなマネして」

妹「だいじょぶだいじょぶ!」

妹友「ほんとに?」


妹「……最初ショックだったけど、後半わかってたから」

妹友「そか、よかった!はい、剣」スッ

妹「んー…いいよ使ってて。私は後衛に回るよ」

妹友「え、いいの?」

妹「妹友の剣飛んでっちゃったからね」

妹友「ん、後で返すね」

妹「ほいほい」



S盗賊「もーいいかなー?」


エルフ姉「ふん、3対2だが逃げなくていいのか?」

勇者「…はぁ?逃げる?逃げたくなるのはそっちでしょ?」

エルフ姉「……あ?」

勇者「一匹増えたくらいで強気になっちゃって……」

エルフ姉「……おいお前ら、こいつは俺がやる。手出すなよ」ギロ

妹・妹友「「は、はいぃ!」」



勇者「まずさー、俺勇者だってこと忘れてない?」

エルフ姉「……何?」

妹「エルフ姉さん……その、勇者……みたいです、その人」

エルフ姉「だからどうしたってんだ」


勇者「あのね、勇者ってことは……」


勇者「最強の人間だってことだよ!!!!」ギンッ


妹「またあの呪縛魔法が!」

エルフ姉「ふん、お前らは隠れてろ」シャッ

妹・妹友「「っ!」」バッ


シャッ…

シャッ…

S盗賊「ち、この状況は……」


「この森でエルフ族に勝とうなんざ100年早ぇ」


S盗賊「なっ!もう声があっちから!?」

勇者「……」


シャッ


「この森に入ってきた事……後悔するがいい」


ヒュン!


S盗賊「うおっ!」バッ

勇者「ちっ」

ドスッ


S盗賊「くそっどこから攻撃されるかわかったもんじゃ」

勇者「お前邪魔」ギン

S盗賊「……え」


勇者「さっきからお前が邪魔で動けないんだよ。だから」

S盗賊「ひ……あ、があああああ!わかった!俺が邪魔なら離れるから!頼むからやめっ」ギリッギリッ


勇者「どうせ俺が本気出したらお前も死ぬんだ。今死ぬか後で死ぬかの違いだ」

S盗賊「な、なら今はやめて」ミキッミキッ


勇者「い や だ」グッ


バキィッ!!

S盗賊「がぼ……」


ボトッ


妹「ひっ!!」



妹友「あいつ……仲間殺しやがった!」


勇者「ふっ……ふふふあはははははははは!!!!」


シャッ

エルフ姉(……何がしたいんだヤツは……とりあえず敵が一人減った、あと一人…)ギリギリ

バシュッ!

エルフ姉(捉えた!!!)


ヒュンッ!


勇者「……」ニヤァ


ピタッ!コロン…

エルフ姉(何!?くそ!)シャッ


勇者「……俺の特有魔法は呪縛魔法じゃない、念力……物体を操れるのさ」

勇者「一度俺が狙ったらもうそれは生きるも殺すも俺の自由だ」

勇者「だが、それだけで俺が最強になったわけじゃない……」


エルフ姉(次は連続攻撃でインターバルや効果範囲を調べて……)ギリギリ


勇者「……俺が最強たる所以を教えてやろう」キィィィィ……



エルフ姉(よし!ここで……はっ!!!!!)


勇者「砕け散れ!!!」バッ


エルフ姉「お前ら逃げろぉーーーーー!!!!!」




妹・妹友「「え」」


勇者「全方位衝撃波!!!!」ズッ……



――











――


ガラッ…

妹「う……なに、が……」

妹友「い……てぇ……」



エルフ姉(く……里、までは届いてない……か……くそ、まさかあんな攻撃するとは……)

エルフ姉(とはいえ、半径500mは吹き飛んだな……とんだ化物だ…)

エルフ姉(考えるんだ……ヤツの威力はすごくても、こっちにはスピードと攻撃密度が)

ズキッ!

エルフ姉(いつっ!くそ、やっぱ無事に済んでなかっ……!!)




エルフ姉(…………スピードもやられたか……)



タタッ

勇者「やあ!」

エルフ姉「っ!!」

勇者「大丈夫かい?足、変な方向に曲がってるけど。」

エルフ姉(弓と矢は!?)バッ

勇者「ん?ああ、お探し物はあそこにあるよ?」

エルフ姉「…………ここまで、か」

勇者「はいどうぞ」ヒョイッ

エルフ姉「!?」


勇者「一発だけ、撃たせてあげるよ!ただ……」


勇者「撃てばその瞬間殺して目をもらう。撃たなかったら半殺しにして目をもらう」

勇者「エルフ族の目は高く売れるからね~。さ、どっちがいい?」



エルフ姉「……貴様如きに……」ボソ


勇者「んー?」

エルフ姉「貴様如きにくれてやるものなど一つも無いっ!!!」バシュッ!


ピタッ


勇者「……残念だよ」ギロ


エルフ姉「爆散」ニヤ

キィィィィ…

勇者「……仕込み矢かっ!!」ギンッ


ヒュンッ……ドォオン……


勇者「だから念力の前じゃ何しても」

エルフ姉「俺の特有魔法は」

勇者「ん?」

エルフ姉「広域魔力探知だ」ニヤ


勇者「何言って……」


ブン!!

勇者「っ!」バッ

妹「はっ!てやぁ!!」シャッシャッ

勇者「ふん」ギン!

妹「がっ!」

勇者「だーから念力の前じゃ」

妹友「じゃー後ろはどうかなぁ?」ヌッ

勇者「ちっ!!」バッ

グイッ!

勇者「!?」

エルフ姉「へへ……逃がすかよ」ググ…

勇者「っこの!!」


ザシュッ!!




バッバッ…

スタッ

勇者「……ちぃ」ペロ



妹「大丈夫ですか!?」

エルフ姉「ああ……右足はイカれちまったがな……」

エルフ姉「それにしても、早めに回復魔法で回復して攻撃態勢整えててくれて助かったぜ」

妹友「これで今日の借りは返したっすよっ!」

妹「でも、なんでこっちの動き分かったんですか?ずっとあの勇者と切羽詰まった感じで……」

エルフ姉「俺の特有魔法、広域魔力探知……魔力があるものならどんな動きも感じる事ができるのさ」

エルフ姉「だから、注意をそらす事に集中したんだ」

妹「妹友、こりゃー借り返せてる?」

妹友「むぅ……」

今日はここまでっす

ううおおおあああやっぱり戦闘描写は地の文無しだとキツイですね
と、言い訳はともかくすみません何とか気を付けます

ちょっと投下


エルフ姉「よっこらせ……いてて!」

妹「エルフ姉さんっ……足が!」

エルフ姉「んあー、さっきので木の下敷きになったっぽいわ。気づかなかったら痛みは感じなかったのにな」

妹「回復魔法っ……」パァァ

エルフ姉「無理しなくてもいいぞ、このレベルは専門家でないと無理だろ」

妹「痛みを和らげるくらいはできますっ」

エルフ姉「……さんきゅな」

妹友「いやーもうちょっと早く助けに行きたかったんだけど、案外あたしの剣が遠くにいっちゃってて……」

エルフ姉「いやいや、お前らが頑張ってくれたおかげで俺たちは助かったんだよ」


勇者「んん?今変な言葉が聞こえたなあ?助かった?」

エルフ姉「ああ…………」





シャッ!シャシャッ!

ザッ!ザン!スタッ!シュタッ!シュタッ!…



エルフ男「あーあー森がひでー事になってるなぁ」



エルフ族族長「全く、最近の若いもんは威力さえあれば良いと勘違いしとる…」



片目エルフ「……別に助けに来たわけじゃねーからな人間」



他エルフ勢
「エルフ姉さん大丈夫ですか!?」
「これでまた森を抜けるルート変わったな……なんてことしてくれんだ!」
「寝てたのに……」



妹「エルフの皆さん!!」

妹友「おぉ」



エルフ姉「一人一人、お前の魔力が見えている……つまり今後お前のすることは全てお見通しというわけだ」

エルフ姉「仲間がいればまだ良かったかもな!」



勇者「……ふん、もう一度蹴散らしてやるよ」キィィ…

エルフ族族長「速撃ち」ダンッ!

ピタッ!

勇者「……無駄だと何度いえば…」

エルフ族族長「ふむなるほど……なら、あの矢じゃな」スッ

エルフ勢「「ハッ!」」ババッ

エルフ勢「「……」」キリキリキリ

ヒュン!ヒュン!ヒュン!

勇者「ふはっ!普通の矢かよ!弾き返してや…」



ドスドスドス!!!!!




勇者「……がっ……バカな……」ヨロ…


エルフ族族長「魔法障壁を埋め込んだ破魔の矢じゃ。貫通や高速撃ちはできず、普通の矢として発射させるしか無いが……」

エルフ族族長「この矢は魔法の類を受け付けない。お主の敗因は特有魔法に頼りすぎた事じゃ。」



妹友「…………」

――――

妹『過去に特有魔法持ちの人と戦ったことあるけど、その魔法に頼りっぱなしで読みやすかったし』

妹『もちろん厄介な特有魔法にも出会った事あるけど、どれも冷静に対処すればどうにかなるものだったよ』

――――

妹友「……なるほどね」

短いけどここまでっす
とりあえず完結するまで地の文はナシで頑張ろうと思います。

完結したら地の文ありで色々と修正いれたものを再投下したいなと思ってたり。



妹友「そういえば、エルフ姉さんは何でその、破魔の矢?で撃たなかったんすか?」

エルフ姉「……や、アレは作るのに時間がかかってだな」

エルフ男「お前さぼったな?」

エルフ姉「ぐ……」

エルフ族族長「ふむ。おぬしは帰って破魔の矢30本作製だのぅ」

エルフ姉「ええーーー!あんな地味な作業勘弁してくれ!」

エルフ男「エルフ妹ちゃんに言うぞ」

エルフ姉「ちきしょー!」




勇者「………てやる……殺してやる……」ブツブツ



エルフ族族長「第二射用意」

エルフ勢「ハッ!!」ババッ

妹「え!殺すんですか!?」

エルフ姉「何言ってんだ、お前は殺されかけてるだろうが。」

妹「……そう…ですけど……」

エルフ族族長「撃て」

妹「待ってください!!!」バッ

エルフ勢「!!??」

妹「ちゃんと話せば理解してもらえ……」


エルフ姉「速射!」バシュッ!

ズダン!


勇者「ぐああああっ!手……があっ!」


エルフ姉「気をつけろよ、後ろから攻撃しようとしてたぞ」


妹友(念力?を使わなかったのかな……いや、妹に攻撃するのに意識がいってたからエルフ姉さんの速射に反応できなかったのかな)


勇者「ふうっ……ふうっ……お前ら全員!!獣人族みてぇにぶっ殺してやるからなぁ!!!覚悟してろぉ!!!」バシュンッ!!


妹友「あ……転移しちゃった」


エルフ族族長「甘いのうお嬢ちゃん……ああいうタイプは絶対に改心せんよ。それどころか恨みをもってまた現れるじゃろう」

妹「……ごめんなさい………」


エルフ姉「そういや、他の奴らはどうした?」

妹「あ!!その話なんですけど……」


……




ー魔界のどこかー


勇者「ぎ、あああああああああ左腕があああっ!!!くそっ!くそおっ!!」

勇者(この俺が転移に失敗だと!?ふざけるな!!!)

勇者(この矢が俺の魔力を乱してるのか!!)ズボッズボッ


勇者「くそっ!……くそっ!!……だから魔物なんざっ……!」

魔物「キキァ!!」バッ

勇者「……」ギロッ

魔物「ギャッ!」ピタッ

勇者「……弾けろ!」ギン!

魔物「ギギッ……ギ……」


グチャアッ!


勇者「………妹…妹友…エルフ族………この腕の借りは必ず返す……ふは、ふはははははははは!!!!」



ーとある洞窟ー





兄「……う」

魔王娘「あ、お兄ちゃん!!」バッ

兄「魔王娘……?」

魔王娘「うっ…うぇっ……」グス

兄「おおおい泣くな!って、洞窟!?」

紅竜「あ……目、覚めたんだ!待ってて、今焼き魚作るから!」スッ


兄「なんだこの状況……えーと……たしか……」


――


側近「汚らわしい人間風情が私の名を呼ぶな!!」

ドカン!ドカン!ドカァン!ドカン!ドカァアン!!ズガン!ドカン!ドォン!ドン!ドガン!


――


兄「そうだ、側近に…………っ!」ギリ










兄「助けられたんだった」



――――
――

ドガァン!

兄「うわっ!!やべ!!」


ヒュゥゥゥ……


兄「く、魔王娘っ…」ギュ


バサッ…バサッ……バサァッ!!

ガシッ!!

兄「紅竜!!」

紅竜「ごめんね手荒くて!我慢してね!」バサアッ!


ビューーン……

――
――――


兄「あの時側近は……」

兄「俺の近くに波動弾を撃ち煙を立たせ」

兄「先に城壁を壊して、遠当てで俺を外に飛ばしたんだ」



兄「すまない側近……ありがとう」




紅竜「えーと、ふぅー」

ボワァ!!!

紅竜「はい!」スッ

兄「なんですかこれ?」

紅竜「?…焼き魚だよ?」

兄「……違ウヨ、これは地獄の業火に焼かれた、かわいそうなお魚さんダヨ」

紅竜「えー」モッサモッサ


魔王娘「紅竜ちゃぁん……」グゥー

兄「…焼いてないのまだある?」

紅竜「そこの桶の中にいるよー、近くに川があってね~、頑張って捕ったんだから!」

兄「すまんな、ありがとう……」スクッ

兄「なんとか動けるな……えーと、串になるもの……」




兄「よっ」ボッ

ジュゥー

魔王娘「……おいしそう」

兄「心配するな、ちゃんと二つ焼いてるから」


兄「……この程度の魔法なら使えるな」

兄「逆に今はこの程度しか使えない……はぁ、こりゃ全快になるまで時間かかるなあ」




魔王娘「はむ、はむ」

兄「ところでここどこだ?」

紅竜「うん、前に魔王娘ちゃんと冒険してた時に見つけたの!いいでしょ!」

兄「確かにいいな。……奥から水の音……この魚はそこから捕ったのか?」

紅竜「ううん!この魚は外の川だよ!洞窟の奥の川は、水はスッゴイきれいだったけど魚は居なかった!」

兄「あ、ソレが洞窟の水か」

紅竜「飲む?どーぞどーぞ!」チャプン

兄「ん……冷たくてうまいな……つーかよ、よく見たら桶に布団に……なんだこれ、寝巻!?お前らココで何してた!?」

紅竜・魔王娘「「えへへー」」

兄「えへへじゃねぇよ……」

今日はここまでっす、勢いに任せて変になってたらゴメソ



兄「外の川に行ってくる」

紅竜「何しにいくのー?」

兄「ちょっと水浴びにな。結構汚れてら」

紅竜「ほーい!」

兄「近いのか?」

紅竜「洞窟出て右の方に行くとあるよー」

兄「あいよ~」




兄「……日が暮れてきてる……大分時間経ってるのか、くそっ……でも魔力ゼロじゃどうしようも無いしな……」

兄「魔王城が見えない……結構遠くまで来てるのか……」



兄「あ、あったあった……膝くらいの緩やかな川だな……」

兄「……遠くてギリギリ見えるけどアレが滝であそこから伸びて…ってことはここは支流だな。ほっ!」

ザバン!!

兄「あ゛~気持ちい~」プカー


兄「ふう……妹達はうまくやってくれてるだろうか……」

スッ

兄「……手のひら…魔王紋章も何も浮かんでこない……はは、魔王の座…とられちまったな……」


兄「……」


兄「……はーやめやめ!」ざばっ



じわぁぁぁ…



兄「うわっ!なっ!?血!?俺どこも怪我は…………違う、上から流れてきてる……」



兄「……」



ざばっざばっざばぁっ!

ダッ!



タタタタタ……




兄「いた!あそこで倒れてるのが……二人か!この出血量から考えると……」


兄「二人合わせてこの量ならなんとかなりそうだが……これが一人の血なら………っとにかく早く助けてやらないと!」



ざっざっざっ!

兄「人間だ……大丈夫ですか!」


兄「……反応がないが……この女の人…は無傷に近いな……」

兄「もう一人の方は……っ!一人だけの血だったか……」

兄「……この女性を守ったのか…?すごいやつだ……」


???「う……あ」


兄「!!っ大丈夫ですか!?起き上がれますか!?」

???「わ…たしより………」




???「友さんは……」

兄「え」



紅友「友さんは……無事ですか……」

兄「紅友ちゃん!!??」

紅友「ぁ…兄…さん?良…かった……これ…で……助かっ……」ガクッ

兄「おい!!!…気を失っただけか……」


兄「………そっそれより!!てことはっ!!!!」ダッ!


ざっ!

兄「……まさ、か……っ」


ゴロン



兄「っ!!!友!!!!」


ビリビリッ!!

グルグルグルッ!!


兄「とにかく止血だっ!なんでこんなときに魔力が無いんだ!!!」

兄「そうだ息は!」





兄「……くっそぉおおおおお!!」

グッ!グッ!グッ!グッ!

兄「帰ってこい!お前が死んだら紅友ちゃんが泣くぞ!!いいのか!!」

ふーっ…ふーっ…

グッ!グッ!グッ!

兄「くそっ!くそっ!くそっ!」

友「……」

グッ!グッ!……

兄「はぁっ!はぁっ!……はぁっ!……はぁっ…………」グッ…グッ……



兄「………なんでだよ……」


兄「ふざけんなよ!!!!」ドンッ!!!


友「ごはっ!!」ビチャビチャビチャッ!!


兄「……ぉ……お?」

友「ハァーッ…ハァーッ…」

兄「…よ、よしっ!!」ガシッ!

ザッザッ

兄「紅友ちゃんっ!!」グイッ!



兄「…どっちも体温が低い!はやく紅竜の所へっ!!!」ダッ!




紅竜「温熱」

パァァァァァ……


兄「………」

紅竜「…紅友ちゃん助かる?」

兄「……ああ、紅友ちゃんに怪我は無いよ。……たぶん、友がかばったから……」

紅竜「……友さん……ありがとう……」

兄「友はすごいやつだよ。この中で、一番強い」

紅竜「…そっかぁ」


チュッ


兄「……お前友が好きだったのか?」

紅竜「違うよー?紅友ちゃんを助けてくれてありがとーって気持ちだよ!」

兄「そうかい」

紅竜「ふっふー、紅友ちゃんに怒られるかなーっ」

兄「怒られるだろうな」

紅竜「あははっ!」



紅竜「あっそうそう」

兄「ん?」


チュッ


兄「……な」

紅竜「だって、兄さんが運んでくれなかったら今頃……ありがとっ!」

兄「………お互い様だよ、お前には何度も助けてもらってるんだ。今も」

紅竜「あそっか。じゃあ返して?」

兄「返し!?」

紅竜「ほらここっ!」

兄「……あー」


チュッ


紅竜「えへへー」

兄「そんなもんでいいなら」

魔王娘「あーー!お兄ちゃん達ずるーい!!私も私もー!!」

兄「……」

ここまです



むくっ


兄「おっ起きたか、大丈夫か?」

紅竜「大丈夫?」

兄「ほれ、とりあえず水飲むか?おいしいぞ」


紅竜「……?」

兄「……どうした?」


ヨロヨロ…


兄「ああ、まだ力が入らないか。よっこらせ」

スタッ

兄「飲めるか?」


ガシッ

兄「ん?」


ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!!


兄「お、おー……」




紅竜「いい飲みっぷり!紅友ちゃん!!」


紅友「………」ボー


紅友「……水」

兄「まだ!?……奥にきれいな川流れてるからそこ行くといいぞ」

紅友「……」タタッ


兄「…ちょっと様子がおかしい。見てくるから紅竜は引き続き友を頼むわ」

紅竜「あいあいさー!」




チョロチョロチョロ……

紅友(水……水……)ガバッ!

ゴクッ!ゴクッ!

紅友(足りない……水じゃない……)ボー


兄「おーい紅友ちゃーん?」


紅友(そう、だ……)フラフラ……


兄「ああいた!本当に大丈夫か?」


紅友「………」ジー


兄「……ああ、この状況?話せば長い事ながら……」

紅友「……」フラフラ

兄「俺も友の傷とかなんで流れてきたとか聞きたいことあるし」

紅友「……」フラフラ…

兄「とりあえず戻って状況整理しない……か……え?」

トスッ

兄「……うーん、こういうのは友の役目のはずなんだがな……」

紅友「兄…さん」

兄「なんでしょか」









紅友「抱きしめてくれませんか」



兄「……紅友ちゃん起きてくれ、寝ぼけるのもここまでだ」ペシペシ

紅友「食べたい……」

兄「腹減ったか?…焼き魚くらいしか用意できねーが」

紅友「おいしそう……」

兄「そうか。じゃあ戻って焼いてや」

紅友「首筋……」ニヤ

兄「あ?」



ガシィッ!!!


兄「な、こ……のっ!!!」

紅友「ふふ、ふふふふふふふふ」

グググ……

兄(なんだこの力は!?女の子の、それも鍛えてない腕が発揮できる力か!?)


兄「しっかりしろ紅友ちゃん!どうし……くあっ!」

バタンッ!

兄「つっ!」

紅友「……」ボー

ギリッ…

兄(くそ、女の子に床に押さえつけられるとは…っ!)


兄(やべーな……こりゃ魔力を筋力に使ってるのか、今の俺じゃ振りほどけねぇ)

兄(近くだからわかる……感じる魔力の量からすると、大体俺の半……まて)

兄(今目の前にいるのは紅友だ!Eランクの紅友ちゃんだ!なんでこんな魔力を!?)ギリギリ


紅友「……」ジー…

兄「その目は……っ!」


兄「日和族だったかっ!しかも発作!」

ガブッ!!

兄「ぐあっ!」


ブチブチッ!!


兄「ぎ、ああああああああああ!!!!」

紅友「んふっ……おいし……」クチャクチャ

兄「はぁっ…はぁっ…嘘だろ、こんな子にやられるとは……」


ピタッ

紅友「……」

兄「はぁ、はぁ……?」

スゥゥゥ…

兄「目の色が……収まった…?」

紅友「あ……」

兄「戻って…来てくれたか……」

紅友「うそ……私……おっおええええええ!!」ビチャビチャ

兄「ちょっひどくね……」



魔王娘「うーん……」ウトウト……

メラメラ…

魔王娘「ハッ……あれぇ?赤い……わっ!燃えてる!紅竜ちゃん!?」

紅竜「zzz………温熱……」メラメラ


ぎああああああ……


魔王娘「紅竜ちゃん!この人燃えてるよう!!起きて起きてぇええええ!うわーん!!」バッサバッサ


紅竜「はっ!ちんすこう!!」

魔王娘「……紅竜ちゃんのばかあ……」

紅竜「え?……あ」


紅竜「……………温熱」パァァァ…

ここまです


兄「…………日和族……だったのか」

紅友「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんな……さ……」グスッ…

兄「なんで黙ってた?発作の事は聞いたばかりだろ」

紅友「それが……私自身も今日知って……」

兄「今日!?」

紅友「はい……なんで今まで前兆が無かったのかわからないですけど……」

兄「……友は知ってるのか?」

紅友「……知らないと思います」

兄「そうか……」

紅友「……ごめんなさい……ごめんなさい……」


兄「とりあえず……何があったんだ?どうして川で倒れてたんだ?友は生きてるが、結構瀕死だったぞ……」


紅友「…はい、実は……」






……


兄「……そう…か……いよいよ賞金首……」

紅友「友さん、相手の嘘を見抜いてました…」

兄「だろうな……それで一か八かで滝に」

紅友「はい……」


兄「……はぁぁ~~~……度胸あるなお前ら……」


紅友「そういえば、兄さんはここで何を…?魔王城の件はどうなったんですか?」

兄「…………ああ………」



……



紅友「え、じゃあ、側近さんが……」

兄「……まあ、元に戻った…だけなんだけどな。……でもなんか……悔しいよ」

紅友「魔王娘ちゃんも……魔造……」


兄「…………」


紅友「…………」


兄「……落ち込んだって仕方がない!魔力を回復して!魔王を倒して!魔王の座を取り戻してやる!話はそれからだ!」

紅友「そうですね、現実を受け止めて…そこからどうするか、ですか」

兄「……紅友ちゃんは……どうするんだ……?」

紅友「……やっぱり、石になって気長に待つことにしますよ!」

兄「そう、か。そうだろうな」

紅友「…それでも正直、なんで日和族なんだろうって思う所はありますけどね。」

兄「お父さんやお母さんは日和族っぽい所あったか?」

紅友「それが、全然なんですよね。唯一覚えているのが、お母さんのお爺さんが大魔法使いだったってくらいですかね」

兄「つまり曾お爺さんか。その人が日和族だったとすると……隔世遺伝ということか」

紅友「隔世遺伝?」

兄「ああ。両親の性質じゃなく、もっと前の世代の遺伝子が現れる場合があるんだ。」

紅友「そうなんですか……」

兄「……でもそれが魔族と人間で成り立つのかどうかは知らないけどな。」




兄(魔族といえば……魔王娘は……魔造とはいえ魔族なんだろうか……)

――魔王『……ちっやはり失敗作か…残りの魔力も渡せないとは』

兄(……殺そうとしたな…人間と違って魔族は魔力イコール生命力だ。全て無くすと死ぬんだ)



紅友「……私、Eランクだから……高度な魔法使うとすぐ魔力が無くなっちゃって……魔力が欲しいって思ってました……けど……」

紅友「こんな魔力……いらない……!」



兄「ん……魔力……まてよ」



兄「紅友ちゃん、今までに魔力が0になったことは?」

紅友「え……と、何度かありますね。高度な魔法に挑戦したはいいけど全魔力持ってかれちゃった時とか……」

紅友「回復魔法の使い過ぎで……あ、友さんを治療した時とか魔力がもうほんとに無くなりました。」

兄「……それなら紅友ちゃんは魔族じゃなくて人間だな。魔族は魔力が生命力だから0にすることなんでできないんだ。」

紅友「…でも」

兄「ああ。それでも発作は起きてるということは……人間と魔族のハーフ……ってことかな」

兄「偶然紅友ちゃんは魔族の血が強く出たって事だろうね」

ちょいここまでっす、もしかしたら23時くらいにまたくるかも


紅友「……その血のせいで特殊な魔力になってて、その魔力のせいで……」

兄「…………まてよ……?」

紅友「…どうしました?」




兄「……そうか、なら別の解決法があるぞ!!」


紅友「え?」







兄「魔王娘に魔力を吸収させればいいんだ!」






兄「魔力が増大して、体の許容量を超えると発作だったな!?なら、許容量を超える前に無くせばいいんだ!」

紅友「…そんなことが」

兄「できる!紅友ちゃんが人間の性質をちゃんと持ってるなら!異常に増える魔力をどんどん吸収して0にしてしまえばいい!!」

紅友「なる……ほど……!!」

兄「よし!そうと決まればっ!!」

あかんおやすみ…



……

友「すぅ……すぅ……」



兄「魔王娘ー…ってなんで友は上半身裸なんだ」


紅友「……ぉぉぅ…」

紅竜「なんでもないよ!別に居眠りして熱加減間違えたとかそんなのじゃないからっ!!」

兄「わかりやすい説明ありがとう」

紅竜「あ」

魔王娘「なにー、おにーちゃん」


兄「実は、魔力吸……………」ピタッ


紅友「…兄さん?」

魔王娘「…?」


兄(魔王娘……魔王城での出来事にショックは受けてないのか…?)



兄「魔王娘、魔王城で何があったか覚えてるか?」

魔王娘「何って……おにーちゃんと追いかけっこしてー……あれ?なんだっけ」


紅竜「あー」

兄「覚えてないのか……ならいい…………よし」


兄「魔王娘、魔獣の……ほら、召喚制御玉から魔力を吸った時あったろ」

魔王娘「うん」

兄「あれと同じことを紅友にしてほしい」

魔王娘「えっいいの?」

兄「ああ。」

紅友「お願いします」


魔王娘「んー、それじゃあ……手だしてー」

紅友「はいっ」スッ


ギュッ

魔王娘「むむむー」ズズズズ……

紅友「……ぁ…ぅ……」


兄「どうだ?」

紅友「魔力をとられるのはキツイですけど……それ以上に、妙にすっきりした気分です」

兄「…そうか!!」

魔王娘「おにーちゃん、どこまでやればいいの?」

兄「そうだな、本当は0よりぎりぎりが望ましいが……残りの魔力も………」




――魔王『……ちっやはり失敗作か…残りの魔力も渡せないとは』

魔王娘「!!!」ビクッ!



兄「どんどん吸ってくれれば……」


魔王娘「いやっ!!!」バッ!

兄「魔王娘!?」

魔王娘「私……失敗作じゃないよう……なんでパパ……いや…捨てないで……」ガタガタ

兄(しまった!思い出しちまった!!!)



兄「待て魔王娘!!お前の力が必要なんだ!!!」

魔王娘「ひつ、よう?」

兄「ああ!魔王娘なら助けられる!魔王娘は居ていいんだよ!」

魔王娘「居て…いい……えへ」

兄「……助けてくれ、魔王娘」

魔王娘「……うん!!!」

兄「よかった…」

魔王娘「…おにーちゃん」ボフッ

兄「おあ…………」ナデナデ


紅友「あ…また……!!」ザワザワ

兄「っと!頼む魔王娘!」

魔王娘「うんっ!」タッ


パァァァァ…

紅友「ああ……う……」シュウウウウウ


兄「これでひとまずは安心か……そうだ、発作が起きたって事は……誕生日おめでとう」



紅友「!!!」



兄「どうした?」



紅友「実は、今日が誕生日じゃないんです……明後日なんです」

兄「……え」



兄「っつーことは……今日より明日が、明日より明後日がひどくなる……のか」

紅友「……おそらく……」

兄「まじか……」


魔王娘「何の話してるの?」

兄「ああ、魔王……娘……」

紅友「……伸びたねー」

魔王娘「???」

兄「一気に12歳くらいになったな……」


兄「まあ、今後これを続けていけばとりあえずは大丈夫だと思う。だから紅友と魔王娘はしばらく一緒に居てくれ」

魔王娘「この人としばらく?」

紅友「ごめんね、嫌かな?」

魔王娘「ううん、いいよ!」

紅友「……ありがとね」ナデナデ

魔王娘「えへへ」ニコ

ここまです

すまぬしばらくはこんなペースになりそうです



兄「そうだ、友の分の飯捕ってきてくれないか?もう安定してきてるから、友は俺にまかせろ」

紅竜「りょっかーい!!」

魔王娘「誰が一番捕るか勝負だねっ!」

紅友「私は……」

兄「魔王娘と一緒、だ」

紅友「そうでした!でも……」

兄「魔王娘、紅竜、このあたりに魔物は?」

魔王娘「いたけど遊ぼーって言ったら逃げちゃった」

紅竜「ほらぁ、波動弾ドッジボールなんてするから」

魔王娘「えー?でもいい感じに避けてくれて面白かったのにー……」

紅竜「そりゃー当たったら死ぬんだから必死に避けるよ」

魔王娘「むぅ…でも紅竜ちゃんだって楽しんでたのにぃ」

紅竜「まぁ……うん」



紅友「……」

兄「ほら、だーいじょーぶ!」

紅友「そうですかね……」


魔王娘「おさかなおさかな~♪」トテテ

紅友「あっ待って!」タタッ

紅竜「よっし勝負だ!」タタタ……



友「すぅ………すぅ………」

兄「……」




兄「友、寝息のリズム少しずれてるぞ」





友「……やっぱばれてるか」



兄「まーな」

友「すげーすげー」ムクッ

兄「いつから聞いてた?」


友「たぶんお前が紅友ちゃんに襲われてたところかな」

兄「たぶん?」

友「服燃やされたのに起きないやつがいるかよ」

兄「あー……」

友「そんときお前の叫び声が聞こえたけど、あんとき俺体中の感覚なくて動けなかったんだよ」

兄「もう大丈夫なのか?」

友「んー……こうやって壁にもたれてるのが精一杯だな」

兄「ほんとに死にかけまくるなぁお前」

友「なんなんだろうな」

兄「ま、死なないんだからすげーよ」



友「……兄」

兄「…………」

友「何が起こってるのか詳しく頼む」

兄「……ああ」


………


友「じゃあ、魔力ほとんど無いの?」

兄「ああ。0に近い……それでも、Eランク並みの魔法は使えるけどな」

友「その状態で俺と同じ魔力かよ……じゃあ全快するのにどれくらいかかるんだ?」

兄「そうだな……1週間はかかるかもしれん」

友「そんなにか!」

兄「……だから、今その追っ手に見つかったらヤバイんだ。どうせSランク以上の称号持ちだろうから」

今日はここまでっす


友「今の状況をまとめると……」



ー兄サイドー

魔王城が何故勝手に出現したか調べるために兄と側近は魔王城に向かう。

すると魔族メイド達が何故か暴走した魔王娘に魔力を吸い取られて瀕死だった。

兄は魔王娘の意識をそらすために追いかけっこをするが、その先で真魔王一派と出会う。

真魔王に気を取られた兄は魔王娘に追いつかれ、魔力を0まで吸い取られ魔王の座を奪われる。

真魔王は魔王娘を利用して魔王娘の吸収した魔力を奪い、兄を殺そうとする。

そこへ側近が遭遇、状況を察した側近は真魔王の四天王に戻り殺すふりをして兄を城外へ飛ばす。

落ちる兄と魔王娘を魔王城で待機していた紅竜が助けこの洞窟で回復。


ー友サイドー

兄が魔王城へ行ったあと、打ち合わせ通りにエルフの里へ転送してもらおうとするも、

既に追っ手に見つかっており妹と妹友は多分無事にエルフの里へ、友と紅友は追っ手につかまり別の場所へ転送。

友・兄・妹・妹友が賞金首であることを告げられ、拘束されそうになるもなんとか逃走。

しかし相手は称号持ち、崖に追い込まれるが死を覚悟で滝壺に飛び込み逃れる。


友「ってことか」

兄「まあ、そういうこっちゃな」


友「追っ手の情報は男3人と女1人だ。女は恐らく魔法使い。男は戦士と盗賊っぽいのと…あと一人はよくわからんのが居たな。」


友「俺達はその魔法使いと戦士に追われてな、残りの二人は妹ちゃんたちを追った」


兄「なら早く助けに!!……いや」

友「ああ……」

兄「今の状況じゃ、俺は足手まといか……」

友「……だな。すまんがそれよりも…」


兄「紅友ちゃんの食人族化を止めないと…か。時間が無いな」

友「……頼む。俺は日和族の里の場所知らないから兄に頼るしか無いんだ」

兄「ああ、大丈夫だ。位置情報は覚えてるから、転移魔方陣さえ書けばすぐ行ける。……の前に」

友「?」


タタタ…

紅竜「とってきたよー!」

魔王娘「いっぱいとれたー!!」


紅友「魔弾で魚を飛ばすなんて……魚とりじゃないです……」


兄「腹ごしらえしようぜ」

紅友「あ!友さん起きたんですね!良かった……!」



~妹サイド~


エルフ姉「……なるほど、魔力無効水晶群を探すのに魔力を見る目がほしいと」

妹「はい!

エルフ姉「で、魔王城にね……だが、連れが転移してこないってのはおそらく……」

エルフ男「その勇者達に捕まってる可能性が高いな……」

妹「……友さん……紅友ちゃん……」

妹友「こんなことやってる場合じゃないよ!戻ろう!」

妹「だね!すいません、日和族の里まで送ってもらえませんか!?」

エルフ姉「わかった。じゃあ俺も行こう」

妹友「あ……でも足が……」

エルフ姉「ああ、おーい!すまん回復頼む!!」

タタタタ……

シュタッ!

エルフ魔法使い「左足の骨折にすり傷多数……急ぎ?」

エルフ姉「ああ」

エルフ魔法使い「なら…エルフ男」

エルフ男「ほいさ」


エルフ魔法使い・エルフ男「「トレース」」


妹「へぇ、回復担当のエルフさんって、顔さえ隠せば本当に魔法使い、って感じだね」

妹友「少し暗そうな人だけどね」


エルフ魔法使い「……治った」


妹友「はやっ!」

エルフ姉「さんきゅ!」

エルフ魔法使い「……まあ、トレースすれば二倍だから……」

エルフ姉「そういえば話によると、エルフ男が要るんだっけ?」

妹「そうですね。申し訳ないですけどお願いできますか…?」

エルフ男「ったりめーよ!魔王様のご父母様なんだろう?」

妹「あー、まあそうなるんですかね。兄が魔王だったなんてまだ実感湧かないですけど」

エルフ姉「っし!じゃあ早速日和族の里までひとっとびだ!!」

ちょい今日はここまでっす

うおおおおお



ー魔王城ー


側近「魔界大結界……ですか……それほどの魔翌力を集めて何をするんです?」

魔王「……我が肉体再生という能力を持っているのは知っているな?」

側近「はっ、もとより存じております。バラバラにされても、魔王様の魔翌力が残っていれば0からでも復活できると」

魔王「そう。だがしかし魔翌力を消費する以上魔翌力が無くなってしまうといくら我といえど消滅してしまう」


側近「……なるほど、だから常に補充してしまえばいいと」

魔王「その通り、もうじき城が大結界の中心に来る。遂に我は不死となるのだ!」




側近(……まずい!このままでは誰も魔王を倒せなくなる!!)



魔王「……ところで側近よ」ニヤ

側近「っ!……はい」






魔王「お前が城から落とした人間にとどめを刺しに行け」



側近「!!!!」


蒼竜「あら?」

邪鬼「ほぉ」

魔王「どうした?なぜそんなに驚く?まさか魔王たる我が……」

魔王「お前の"遠当て"の軌道を読み違えるとでも?」ギロ…


側近「…………っ!」


ザッ!

邪鬼「……やっぱ何にも変わっちゃいねーなお前」

蒼竜「あーあ、残念だわ」

武闘家「よくわかんねーけど演技だったっつー話か」


側近(囲まれた!!!)


邪鬼「同族殺しか……燃えるねえ!!」チャキ

側近(邪鬼……その腰にあるのは鬼剣ね、懐かしい……ならば)


側近「来い鬼剣!!」バッ!!

鬼剣「ギギッ!!!」ヒュンッ!


邪鬼「なっ!?」


パシィッ!

側近(今ならまだ間に合う!!今魔王を殺しまくれば!!)ザン!!


魔王「貴様……!」ガクッ

側近(まずは足を落とし!肉体復活されるまえに急所を攻撃しまくる!!)ザンザンザンザン!!

魔王「ごあ……」


ブゥン……カッ!!


側近(まずいっ!)バッ!!


ドォォオン!!!



ズザッ!

側近(邪鬼の魔法陣……前より展開スピードが上がってるわね)


邪鬼「へえ、やるね。……けど」

蒼竜「……油断しすぎね」ニヤ


パキキ……

側近(っ足が!これは蒼竜の足止めっ!!!)

ブゥン

側近「しまっ!!!」



ドカァァァァァン!!!!



側近「ぐ……こっのおおお!!」バッ!

魔王「……ふ、やはりお前は魔王城に残らせて正解だった」ドン!

側近「ほざけ!!」スカッ!


魔王「だがもう要らぬな」




邪鬼「…戻れ鬼剣」ギン

鬼剣「ギッ!」

バチィッ!

側近「うあっ!!!」

ヒュッパシッ

邪鬼「ふん、この剣はもう俺のもんなんだよ」


側近「な、なぜ……鬼剣は最強の鬼族に引き寄せられるはず!」

邪鬼「はっは!!何故って!?答えを今お前が言ったじゃねーか!!」

側近「っ!!!」


邪鬼「弱くなったな、側近。もはや鬼族最強はこの俺だ」チャキ

遅れてすまない!



魔王「さて側近、この囲まれた状況でどうする?まだ我を殺したいと思っているのか?」

側近「…………」

蒼竜「てか、なんで魔王様にたてつくわけ?昔はちゃんと"側近"やってたでしょ?」

側近「……あなたたちは……人間をどう思ってるの……?」

邪鬼「何言い出すかと思えば……」

蒼竜「…………」

側近「……あれは、勇者がここへ攻め込む前の話」




側近「私は一度、勇者一行と出会っていた」





……

………

側近「ふぅ、魔王様の命令は……この村を壊滅させること……か」

側近「……さっさと終わらせよ…行け」

魔物達「「グルァアア!!!」」ババッ!


魔物だあああああ!!
ぎゃあああああ!
助けてお父さん!お母さん!!!

側近「…………つまらないな」

ザン!ザン!!

魔物「ギエアッ!」

側近「……む」


ゆ、勇者様だ!勇者様が来てくださったぞー!!!
おおおお助かった!!ありがとうございます!!

ああ、無事だったのね!
お母さん!お父さん!
よし、後は勇者様に任せて逃げよう!

タタタタ……





ザッ

勇者(父)「……なぜこの村を襲う」

側近「ふん、魔王様のご命令だ。貴様らには関係ない」

勇者「…………」

側近「勇者一行だな?丁度良い……私は魔王様に仕える側近であり四天王の一人!!」

側近「貴様らまとめて殺してや」





勇者「うるせぇ!!!」ゴツン!!!!

側近「ぁ痛!!!!……?……???」




魔法使い(母)「あーのーね!魔王に言われたからってやるの!?」

側近「……いや私は魔王様の側近で」

勇者「ふん!」ゴチン!!

側近「あう!!」


魔法使い「おーい魔物達!あんたらもう帰んなさい!!」

魔物達「「ギ…!?……グル……ル……」」

魔法使い「帰れ」

魔物達「「ヒィン!!」」

バタバタバタ……


魔法使い「……おっと!忘れてた」タタッ


傷ついた魔物「ギッ!?グルルルル!!」

魔法使い「はいはいじっとしてなさいな」パァァァ…

側近「な……」

魔法使い「よし!もう人間襲うんじゃないわよ!」

傷ついた魔物「……グル……」タッ



側近「……なぜ、魔物を殺さない……」

勇者「殺さなきゃいけない理由でもあるのか?」

側近「ばかな!!私たちはこの村を壊滅させようとしたんだぞ!」

勇者「そうだな」

側近「ならば…」

勇者「でも、止めた」

側近「……わけがわからない」

魔法使い「ほらー、やっぱり理解させるにはあの方法しかないってば!」

勇者「うーんあの方法は賭けにしかならないだろ?なんかやだなあ」

側近(……隙だらけだっ!!!)シュッ!



魔法使い「縛」

キィン!!

側近「がっ!?」


魔法使い「でもあの方法以外に何があるってーの?」


側近(私は鬼族最強だぞ!?単なる呪縛魔法ごとき……!!)ギリギリ


勇者「ああ、そいつは魔法使いの中でもひねくれた奴だから、単純な魔法と思わないほうがいいよ」

魔法使い「ちょっと聞いてるの?それとなによひねくれた奴って」

勇者「予備動作無しで発動させる魔法を理解・開発できる奴なんておめーしかいねぇよ……しかも呪いの類だから解除するには解呪魔法が必要ときた」

魔法使い「それは根暗だと言いたいの?確かに研究にちょっと没頭してた時もあったけど」

勇者「あれがちょっと?一か月部屋にこもってたじゃねーか……」

魔法使い「一か月じゃないわ29日間よ」

勇者「知らねぇよ……つか没頭するのはいいが体洗えよ」

魔法使い「別にいいじゃない」ブー

勇者「いや……お前アレだぞ?兄によ、母さんにご飯持ってけって言ったら「くさいからやだ」だぞ?」

魔法使い「う……でも妹ちゃんは持ってきてくれるし……」

勇者「……よく見ろよな、鼻栓つけてたんだぞ」

魔法使い「鼻っ……」




側近(なんだこれは……)

ここまです

申し訳ない、この土日で進めます


魔法使い「……まーいいや」スッ


側近「っ触るな!!」キッ

魔法使い「お断りー」ガシ

側近(くそ!!)


魔法使い「~~~~」ブツブツ


側近「何をするっ!!」


勇者「ちょっと力を封じさせてもらうよ」

側近「なんだと……」


魔法使い「~~っ!」キィィン!!!


シュゥゥ……


側近「ぐ……なに、を」


魔法使い「今から一週間、人間として過ごしなさい」



側近「……は?」




~街・とある居酒屋~


勇者「というわけで、ちょっとこの子を一週間バイトとして雇ってくんねぇかな?」

店主「ふむ……君、年いくつ?」チラ

側近「………120」ギロ

店主「おうそうか!じゃあ俺は200歳だがっはっは!おっけー採用!!」ビシィ!

魔法使い「相変わらずですね」

店主「はっは!そっちはすこしシワが増」

魔法使い「…炎」ボゥ

店主「イヤア相変ワラズデスナ奥サン」


魔法使い「あなた、そろそろ……」

勇者「おう。じゃ、頼んます」

店主「あいよお!」

勇者「バイト終わったらちゃんと俺の家まで来いよー。でないと迎えに行くからなー。」

側近「……黙れ」

店主「はっはっは!元気いっぱいだなあ!!」



店主「……さて!じゃあ掃除からしてもらおうかな!ほうきの使い方分かるか?」

側近「……」プイ

店主「おーう……」





勇者「……大丈夫かな」

魔法使い「私の師匠ならちゃんとやってくれますよ。」

勇者「それもそうか。んじゃ続きだな……何するんだっけ?」

魔法使い「もう……日和族の里で食人族化について調べて、ついでに今晩のおかずもらって帰宅よ」

勇者「あーそうだったそうだった。救援要請の連絡が来て飛んでったからすっかり忘れちまった……んじゃ」


勇者・魔法使い「「転移」」バシュン!


……


店主「そうそう。やりゃできるじゃねーか」

側近「ぐっ……」

店主「じゃあ次は窓ふきだな!これを水につけて、窓をまんべんなく拭くんだ。」

側近「………」

店主「返事は?」ニコォ

側近「………………はい」

店主「よし!」



側近(どうして人間のゲンコツというものはあんなに痛いんだ!くそ!!)


カランコロン

店主「いらっしゃい!いつものかい?」

老人「うむ……お、新人さんですかい?」

店主「おう!一週間だけだけどな!」

老人「ほう……こりゃまたべっぴんさんで」

店主「よし、じゃあ毎日来るかい?」

老人「……胸が微妙じゃからちょっと」


パリーン!



店主「……その話題はNGのようだ」

老人「うむ。すまんかった」


店主「それにしてもなんか上機嫌だな?何かあったか?」

老人「ほっほ。昨日やっと孫が生まれたのですじゃ」

店主「え!?もう孫!?あんたの娘って年いくつだっけ!?」

老人「もうって……もう31じゃよ。わしに似て晩婚じゃったからの」

店主「あらーそんなに経ってたんだ……くそー俺と結婚してくれるって言ってたのに」

老人「いくらあなたでもそれだけはお断りですじゃ。言いつけますぞ?」

店主「すまん!!!!」

老人「ならば今日はおごりという事で……」

店主「あ、それとこれとは別で」

老人「チッ」

店主「チッって……」



カランコロン

店主「いらっしゃい!すまねえな。君とはまだ話していたいんだが」

老人「丁度いい、かまわんですよ。今日はその報告に来ただけですからの……では」チャリン

店主「そうか。じゃあまた」


………




店主「ふーもう客こねーな……よし、今日はもう帰っていいぞ。」

側近「………」

店主「明日は接客もしてもらうからなー」

側近「せっ……きゃく?」

店主「お客さんの注文聞いて紙に書いて、俺に渡してくれればいいよ」

側近「注文を…聞く……」

店主「おう」


側近「………この私が?人間に?」

店主「ん?」


側近「っいい加減にしろ!!!!!」バン!


店主「……」


側近「なんっなんだ!!勇者といい貴様といい!!100年も生きてないような人間ごときが私を誰だと思っている!!」

店主「……」


側近「私は本当に120歳なんだよ!何が200歳だ!簡単に嘘をつく、そういう生き物なんだろう人間は!!」


店主「すまん」


側近「ハッ!今更」


店主「200歳じゃない。本当は180歳だ」


側近「…は?」

店主「逆に問おうか」



店主「150年も生きてないような鬼族のガキが俺を誰だと思っている」



側近「……な……」



店主「自己紹介してなかったな。俺は日和族で、店主という。人間界に移住してもう100年近くなる」

側近「日和族……」


店主「おかしいと思わなかったか?お前のような鬼族に人間のゲンコツなぞ効くわけないだろ。勇者は別だが」


側近「……なぜ、魔族が人間界で……」

店主「……人間と魔族はな……」

店主「寿命が違う」

店主「魔力が違う」

店主「姿が違う」

側近「……わかっているならなぜ貴様は人間などと……!」


ゴチン!!

側近「ぐっこの……」



店主「いま言った事は、人間を卑下する理由にならないんだよ」

店主「……魔界にも、こういう店あるだろ?何が違うんだ?」


側近「…………」


店主「お前は人間と話をしたことがあるのか?」


側近「………」


店主「だから勇者は俺に託したんだ。お前が、人間というものはどういうものなのかを教える為に」


側近「……」


店主「明日から人間に触れろ。人間と会話をしろ。俺はその仲介をしてやるから」

今日はここまです


……


側近「ここか……人間の家なんかにこの私が……」


魔法使い『そいやああ!』


側近「っ!!」サッ!


勇者『ばかやろおおおおお焦げたああああああ!!!!』

魔法使い『ああっ!?超量水魔法!!!』

勇者『やめてぇ!!!』


ゴゴゴゴゴ……


側近「……」


ザッバアアア!!!!



勇者「うわああああ!!!」ズザァ!

魔法使い「ごめええええん!!」ドサァ!!

勇者「げほっ……ああ、家が水没した……この前は全焼だったし……」

勇者「なんで料理のことになるとからっきしになるの……」ムクッ

魔法使い「うう……」


側近「……馬鹿か貴様ら」


勇者「あ……お、おかえり」

魔法使い「まあ……入ってよ」

側近「水浸しだろう」

魔法使い「それは……炎魔法でかわかすから」

勇者「やめてください」

魔法使い「じゃ、じゃあ何をすればいいの…?」

勇者「何もしないでください」

魔法使い「う……」

側近「天然か?」

勇者「天才と馬鹿は紙一重だからな」

魔法使い「ひどい!」

勇者「ふぅ……兄と妹、あいつん家に避難させててよかった」



勇者「水魔法……集水流」ズズ……

魔法使い「あ、炎魔法じゃなくてそれなら周りの水を吸い取るから結果的に乾くのね」

勇者「結構基本に近いだろ……仮にも魔法使いなんだから覚えとけよな……まあ基本すっとばして超高等魔法使うお前は例外かもしれんけど」

勇者「集めた水はその辺の川に送っとくか……ほっ」ヒュン!

勇者「よし……で、どうだった初めてのバイトは」


側近「……あの店主は日和族だそうだな」


勇者「うん、あの人は人間界に住む日和族でな、コイツの師匠でもある」

魔法使い「あの人からいろんな魔法を教わったの」

勇者「俺は勇者だが……あの人に色んな事を教えてもらって、今の俺があるんだ。」

勇者「あの人に出会えてなかったら、俺は多分普通の勇者として魔族を駆逐する存在になってたと思う。俺も、魔族を人を襲うもの程度にしか知らなかったから」

側近「……人間も、冒険者なるものを魔界に送り込み数々の魔族を殺している」


勇者「そこなんだ」

側近「……?」


勇者「魔族には人を食料とする食人族というのが居るのを知ってる。そいつが人間を襲うから人間は魔族に対して恐怖を抱いてるわけで」

勇者「だから魔族を倒そうと人間側は冒険者なる強者の軍団や勇者を作ったわけだ」

勇者「でも」


勇者「その送り込まれた冒険者の"後"を見たんだが……」ギリ

魔法使い「……」


勇者「殲滅ならまだわかる。しかしアレはどうみても人間とは思えない所業だった……」

側近「魔族の自作自演とでも?」

勇者「そう言うつもりじゃない。だが明らかに魔族と人間とを憎しみ合わせるような……そんな感じがしたんだ。」

魔法使い「信じてください。真実を知るために、私たち勇者一行は動いているんです。」

側近「………二人しかいないだろう」

勇者「いやー他にも居るけどな一応……とにかく、今日は飯食って寝よう。昨日のが余ってるはずだから」

魔法使い「じゃあ早速暖めてくるね」

勇者「やめろォ!!!!」

ちょっとここまでっす。今日の夜も進める……かも。


~次の日~


店主「お、今日も来たね。接客できそうかい?」


側近「……しかし……私が人間などに……」

店主「お、やる気はありそうだね。まずは、日和族と思えばいいんだ。ここが魔界で、お客は日和族。そう思い込め」

側近「……」

店主「それとも、日和族は嫌いかい?日和族を嫌う魔族も少なくないからね」

側近「そんなことはない……私は。」

店主「そうか」

側近「日和族……ここは魔界……」ブツブツ

店主(否定的ではなくなったな)


カランコロン


店主「いらっしゃいませー」

側近「!!……い……いらっしゃ…い………ませ………」ボソ

店主「……空いてる席どうぞ~、何にしますー?」

ハイ寝落ちですすいません。今日はちょっと試験があるので帰ってきたら進めようと思います


……

カランコロン

店主「ありがとうございました~、またお越しくださいませ~」

側近「あ…………ございました」ボソ


店主「うん、できるじゃん!その調子!」


側近「……店主殿は」

店主(……殿?)


カランコロン

店主「らっしゃいませー」

側近「いらっしゃ………ませ」

男「こんちわー、子供用のイスあります?」

店主「そちらにありますよ、ご自由にどうぞ~」

男「あ、じゃあ借りますね」

子供「かいますね~」

店主「はは、それは売り物じゃないよ……ほら、注文聞きにいきな」

側近「っ……」スッ



側近「ご……注文は……どうす…どうなされ…ますか……」

男「おー…新人すか?初々しいねぇ……じゃあとりあえずオレンジジュースとコーヒーで」

子供「……」ジー

側近「オレンジジュース……とコーヒー………で…すね」スッ


クイッ

側近「……?」

子供「……」

男「あれ!?コラコラ離しなさい」

側近「え……と」

子供「ママ……」

側近「!?」

男「…………あー」

店主「あらら、似てんのかい?」


男「うーん、似ては無いと思う。でも雰囲気が似てたりするのかな?子供の勘は鋭いからね」

子供「……ママ」

側近「あ……」

男「すまねぇな、去年母親を亡くしてるんだ。」

店主「……それは」

男「イチ冒険者として魔界に行くよう国からの命令でな……」

側近「国の……命令」

男「ああ。俺の妻は戦士として優秀だった。ランクはAで学校を卒業した」

男「だが、それゆえに通達がきた。」

側近「……」

男「……死んだという知らせも、通達だったよ」

男「返り討ちにあったらしい。あとは教えてもらえなかった。」

店主「……」


側近「魔族を……恨みますか?」


男「………………いや、別に。」


側近「え」

男「向こうからしたら殺しに来てるんだぜ?そりゃ抵抗もするし、こっちが殺されても文句は言えない。でも……」



男「早く終わって……欲しいよなあ……ど、うして……」ポロッ



男「どう、して……魔界と戦争なんかやってるんだ……どうして妻が冒険者なんだ……どうして……」ポロポロ


店主「……おう泣け。ここはそういうのを吐き出すとこだ。どんどん聞いてやる」

男「っぐ、う……う……」

子供「パパ、痛いの?」


側近「……っ!」



…………


店主「今日はなかなか空気が重かったな……ま、こういう日も……」

側近「……」

店主「…どうした?」


側近「……もしかしたら……私の率いる軍隊が……」

店主「殺した人間の中にあの子の母親が居たかもしれない、か?」

側近「しかし魔族だって人間に殺され、悲しんだ!」

側近「店主殿はどうなのだ!?なぜ貴方は人間界に溶け込める!?」


店主「……人間も魔族も、死んだら悲しむ者が居る」

側近「……」

店主「同じじゃないか。馬鹿げてるだろ?お互い。ふたを開けりゃ同じものなのに、中身を知ろうとしない」

店主「故に傷つけあって悲しみあって……みんな本当はやさしいのに」

側近「……」


店主「さ、今日は終わり!ちゃっちゃと帰んな!また明日な!」

側近「……」

ここまでっすー



ガチャ

魔法使い「あーおかえりー」

勇者「おつかれさーん、飯出来てるよ、食べよう」

側近「……」スッ ガタッ

勇者「お、今日は素直だな!」

魔法使い「さー食べましょっ!」ガタ

勇者「うん、いただきます」

側近「……いただきます」






勇者「……んっ!?」


魔法使い「……えっ!?」


勇者「だっ誰だお前!!」ガタッ!

側近「別に。これが私本来の話し方ですよ。あの口調は舐められないようにするためとか、威嚇するための口調でしたから」スッ パクッ

勇者「へ、へぇそうだったのか……てことは、少しは人間について理解できたのか」ガタ

側近「今のところは。……この口調じゃ何を言っても怖くないでしょう?相手を威圧することは大事ですから。だから変えてたんですよ。」モグモグ

勇者「いやでも怖いときは怖いけどなー」パクッ

側近「そうですか?例えば?」

勇者「ほら、君ってあんまり胸が」

側近「は?よく聞こえませんでしたもう一度言ってくださいさあどうぞ」

勇者「ぇゃ……そそそうそれだだだよ!俺にはその方が怖いですハイスミマセン……」


側近「そういうもんですか」

勇者「そういうもんですよ」

側近「……今まで私は間違ってばかりだったんですね……」パクッ

勇者「お互いさまだよ、俺も日和族のあの人に出会うまでは間違ってた」パクッ

魔法使い「おっ」

側近「……つまり……あれ?」モグ…モグ…

勇者「…………ま……さか……」






魔法使い「それ実は私の料理なんだ!!どう!?」

側近「…………」モグ…

勇者「…………」ガクガクガクガク




勇者「ぐわああああああ!!!」バターン!!!

魔法使い「あれ?」

勇者「おまおまおまなにしてくれてん……うぶぇ!」ゴロゴロ

側近「……」ダラダラダラ

魔法使い「うーんそんなにひどい?」

側近「……そそ、そんなことはないですよ」

魔法使い「あなた……良い魔族ねっ!」

側近「ゴーレムあたりがぎりぎり食べられると思います」

魔法使い「あなた……悪い魔族ね……」


勇者「解毒魔法!解毒魔法!解毒魔法!解毒魔法!解毒魔法!解毒魔法!」

少ない書き溜めを投下したので次は少し間が空きます
今日の分を終わるときは今日のうちにその旨を伝えます


……


勇者「ひ、ひどい目に遭った」

側近「よく結婚できましたね」

勇者「まあ………うん」

魔法使い「うーん次こそは…」


ゴンゴンッ!

???「おーい」

勇者「あ、帰ってきた」

側近「?」


ガチャッ

幼兄「ただいまー!!」

幼妹「ただーま!」

魔法使い「はいおかえりー!楽しかった?」

幼妹「楽しかったー!」


幼兄「戦士のおっちゃんまた遊ぼーねー!」

戦士「おう、またいつでも来いや!」

勇者「サンキューな戦士」

戦士「ん、約束通り2日間面倒見てやったぞ……って誰だアンタ」

側近「私ですか?私は……」

戦士「もしかして不倫か!?うわあああ勇者ともあろうものが」

勇者「おい」

魔法使い「うそっ!わ、私とは遊びだったの!?っサイテー!」

幼妹「サイテー!」

幼兄「……あ、サイテー(棒)」


勇者「いやいやいや……それは不倫相手のセリフだろう……」

筆が進まないのでちょっとここまでっす

ちょっとは書き溜めできたかな……投下します



勇者「ま、こいつはホームステイさせてる魔族だ」

戦士「ああそうなの」

側近「……あなたは?」

戦士「おう、俺は勇者パーティーの一人、戦士!!の、はずなんだけどー」

勇者「あー」

戦士「実力差がありすぎてなぁ……たまにいちゃいちゃしだすし……もう付き合いきれねってんで俺は実家に帰って家の手伝いやってる」

側近「そうなんですか……」

戦士「俺はまだいいよ。勇者パーティーにはもう一人魔法使いが居るんだけど……」

戦士「おもっくそ職がかぶってる上に魔法はそこの人が強すぎて活躍皆無ときたからもうね」

戦士「なんかある時"旅に出ます"って言ってどっか行っちゃった」

側近「……何故パーティーに入ったのです……」

戦士「勇者が超適当に選んだんだよな」

勇者「悪かったって……」



幼兄「ねーねー!お姉ちゃんマゾクなのー?」

側近「……そうですよ」

幼兄「マゾクってツノあるんだよね!?見せて見せて!!!」

側近「……ふ、無理です」

幼兄「えー」

勇者「あ、そっか。魔法使いー」

側近「残念ながら私は今力を封じられてるので」

魔法使い「解」


キィン!!


側近「……」

魔法使い「はい」

勇者「よーし見せろ見せろ~~!!」


側近「なぜ貴方も……というかそのためだけに封印を解いたのですか……」

勇者「そういえば鬼族なのに角見てねえなと思って」


側近「……今この子を人質にとれば…」ギロ


勇者「なになに、見せてくれるのか?よーし兄、お前人質になれ!」

幼兄「わーい!」タタタッ

側近「……」

幼兄「ねぇねぇ、ヒトジチって何すればいいのー?」


側近「はぁ……全く、角を見せるのは嫌なんですけどね」





チョコン



勇者「……お、おう……なんかすまんかった」

魔法使い「えらくひかえめね?角といい胸といい」

戦士「ギャハハハハハハハ!!!!」

側近「……やはり人間は皆殺しだ」ユラァ






幼兄「かわいい!」




側近「……え?」ピタッ


幼兄「かわいいよ!わぁーいいなあ!!妹!妹ー!」

側近「え、あ、そん……な…ぜ……」カァァ

幼妹「ん……うん……」フラフラ

魔法使い「あー妹はもう眠くなっちゃってるかぁ」

幼兄「触っていい?触っていいーーー?」ワクワク

側近「あ……だ、だめです!!!」バッ!


幼兄「えぇ……うー」ショボン

側近「う……その……あ!あなたが!」

幼兄「……?」

側近「その……あ、あなたが大きくなって……まだ私の角を……か、かわい…ぃ…と言ってくれるなら……触らせてあげてもいい……ですよ?」カァァ

幼兄「ほんとに!?」

側近「……ええ」

幼兄「やったー!…妹起きろー!」ペチペチ

幼妹「んん~ん……やー」ショボショボ


勇者「ほほう」ニヤニヤ

魔法使い「ふーむ」ニヤニヤ

側近「……なんですか」

勇者「いやー10年後には俺もおじいちゃんかな!」

魔法使い「私もおばあちゃんかー!」

側近「何の話ですか……」

戦士「アッハハハ!こりゃ珍しい!」




…………



~翌日~


店主「……朝早くに来たかと思えば……一週間って話じゃなかったかい?」

側近「いえ……魔界に戻ります」

店主「そうかい……その様子だと、黙って出てきたな」

側近「ええ。……おかしな事で封印解いてそのままなんて間抜けもいいところ」

店主「……」

側近「せいせいしました。人間と馴れ合うためにこんなマネをするなど……」



店主「なら、なぜ力が戻ったその時に戦わないんだ?」

側近「……」

店主「本当は人間について理解できたから、それを伝えようと戻るんだろ?」

側近「……お見通しですか」

店主「ま、バイトは休暇ってことにしといてやるよ。……またな」

側近「……はい」


ダンッ!!タンッ!タンッ!




シュタタタタ……

側近「……!!」ピタッ!




勇者「……行くのか」



側近「…わかってたんですね」

魔法使い「もー…さよならくらい言えばいいのにぃ」

勇者「兄が君の事を気に入ってるんだ、もうちょい居てくれないか」

側近「……お断りです。魔界に戻ります」


勇者「そうか……また会うときも、こうして話ができたらいいな」




側近「……………そうですね」ダンッ!



………

……





魔王「……ふむ、人間が魔族にそのような……」

側近「人間と魔族は同じ立場なのです!一度目線を同じにすれば人間の暖かさを理解できます!」






魔王「………すまなかったな側近。我は誤解していたようだ……」



側近「ま、魔王様……これで」










魔王「貴様にはもう力で縛るしか無いとはな!!!」


側近「……え」


蒼竜「縛氷!!」バッ!

ガチガチガチッ!!

側近「ぐっ!!??」


魔王「長々と人間に染まる話をしおって……もう強制的に契約させるしかないな」


側近「強制的……だと……」


ドサ

魔王「この体を乗っ取った時に懐にあった本だ」

側近「……」

魔王「読んでみると中々面白い魔法が書いてあるではないか」

側近「なんの……話……」



魔王「くっく、これは魔族を相手にする魔法でな」

側近「…………」

魔王「魔法をかける相手の二倍の魔力を消費することで」

側近「…………」




魔王「強制的に魔族契約を結ばせることができる!!!」




側近「………ばかな……そんな事できるわけが……はっ!!!」


側近(トーナメントの時の!D魔法使いがエルフ男を強制的に魔族契約させていたという魔法!!)



ゴォン!!!


武闘家「うおっ!?」


魔王「丁度今!!貴様のクソ長い演説のおかげで魔王城が"中心"に来た!!」


ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ




ーエルフの里ー


エルフ族兵士「族長!!!森が!!」

エルフ族族長「……まずいことになったの……」

エルフ族族長「森の魔力が吸い取られている……」

エルフ族族長「返しの森の機能は、森に流れる特殊な魔力の流れで来る者を惑わせ追い返す……しかしこの状況っ!」


スゥッ

エルフ族族長「全員警戒態勢に入れ!!森による安全は失われた!!毒蟲の発生にも気をつけよ!!」


エルフ族兵士達「「「ハッ!!」」」



ー妹サイドー


~日和族の里~

妹友「わっ!なになに!?」

エルフ姉「……まずい事になったな」

エルフ男「ああ……」

妹「ま、魔王城に魔力が集まってますよね?」

エルフ姉「……急ぐぞ!!」




ー兄サイドー


兄「っ!!これは!!!」

友「なんだなんだ?」

紅竜「……魔力が、魔王城へ集まってるね」

紅友「あの、何が起こってるんです?」

兄「俺たちが持ってる魔力は影響ないが……そこらへんで自然発生している魔力が魔王城に引っ張られてるんだ」

友「……すると何がどうなる?」

兄「まずマーキングが剥がされる。よって転移魔法の類が使えなくなった」

友「なにっ!?」

兄「……あとはおそらく……周囲の魔力が少なくなり、魔物が魔力回復をしようと躍起になる……結果」

兄「魔物が狂暴化する……」

友「え、魔力が少なくなって弱くなるんじゃないの?」

兄「いや、むしろ少なくなったからこそ火事場の馬鹿力、普段Cランクで倒せる魔物も、一つ上のランクの人が必要になるだろう」

友「……もしかしてそれって人間界にも……」

兄「ああ。当然影響出ている……しかも本当にまずいのはこれだけじゃない!」

兄「Aランクレベル以上の魔物は、その魔力保有量から滅多に人を襲いにくることはない……が!!!」

兄「今の状況!魔力が回復できず腹を空かせた高ランクの魔物が一気に暴れるだろうよ……!!」



ー魔王城ー


魔王「が……あ……みなぎる!!!ふはははははははははははははははははははは!!!!!!」


側近「…あ……あ……」


魔王「……」ギロ

側近「ッ!!!く、くそっ!」グッ!グッ!


邪鬼「ふん、馬鹿め」

蒼竜「無駄よ、邪鬼の魔法陣でその氷を強化してるから簡単には外せないわ」



側近「そんな……」




魔王「……契約せよ!逆らう事は許さぬ!我にふさわしい側近となれ!我のためにその魂を捧げよッ!!!!」




キィン!!!!!

にゃーちょっと飯っす

        ┏┓                ┏┓         巛 ヽ.                     ┏┓      ┏┳┓
┏━━━┛┃┏┓        ┏━┛┗━┓  ┏┓ + 〒ー|    ┏┓    ┏┓┏━━┛┗┓┏┓┃┃┃
┗━┓┏━╋┛┗━┳┳┳╋━┓┏━╋━┛┗┳━|  |┳━┛┗┳━┛┗╋━┓  ┏┻┛┗┫┃┃
    ┃┃  ┗┓┏┓┃┃┃┣┓┃┃┏╋┓  +┻ +/ /┻┓  ┏┻┓  ┏┛  ┃┃┃┏━┓┃┃┃
    ┃┃    ┃┃┗╋┻┛┃┃┃┃┃┣┛ ∧_∧/ / .┏┛┃┃┏┛┃┃┏━┛┃┣╋━┛┣╋┫
    ┗/´》〉  ┗┛  ┗━━┻┛┗┛┗┻━(´∀`_/ /  ┗━┻┛┗━┻┛┗━━┻┛┗巛 ヽ┻┻┛
  * | 〒  /⌒ヽ | 〒  ||| ,.へ´_|_ヽ  ,-r、,r/」  f  |||  ∧ ∧,.へ,    〒 ! /⌒ヽ 〒 !
     |  |  ( ´∀`)  |   人l ァ'`・ω・)〉/_ュヘ〈|7  | *   (゚∀゚ `ァ ノ +   |  | ( 个  ) |  |
 +  |  {  |   .|   {  .(__)、   ○〈_}ノ :   |  +  O    /:-一;:、 / /. |    | ./ /*
    ヽ ヽ |   .|.ヽ ヽ (___)  、 〈   く/ ヽ__,」 +    )   ミ;;★:;:;:;ミ/ /   |    |/ /
     ヽ  ヽ,, ´∀`) ヽ  ヽ ´∀`)__ノ ヽ__) /  ,ヘ   | __,, '´ ̄`ヽ__ (・ω・´/ /  (・∀・ / /
 ,.へ ■ヽ ヽ     ー、 ヽ     ー、     /  / |.  | ★((ハヾヽ,.べ, ミ三彡 f  ,-     f+
 l ァ'^▽^) i     ,rュ ', i     rュ ', |||  (   〈  .|  .|  ハ^ω^*`ァノュヘ    |  / ュヘ    |
 ヽ    ○.|    /{_〉,.へ∧ ∧{_〉  << \ ヽ .|  .|   O☆゙ _ノ_,} )   | 〈_} )   |
  |  、 〈 |    〈   l ァ';・∀・)        \ノ |_,,|   ノ´ ̄ゞ⌒'ーァ    ! |||  /    ! |||
||| l__ノ ヽ__)|   ,ヘ. ヽ  ヽ    ○ヽ  +    |__ノ|  )  `7゙(´〈`ー''´     |   /  ,ヘ  |   ガタタタン!!!!

用事ができちゃったのでもうちょいかかります





側近「…………」






邪鬼「さーてどうなったかな~?側近~、元気か」

シャッ!!

邪鬼「あ?」


…ボトッ


側近「気安く口を聞くな。貴様程度が呼び捨てなど甚だしい……」ギロ


邪鬼「ッグオアアアア腕をォォ!!!ッ鬼剣……ハッ!!」

側近「鬼剣とはコレか?」チャキ

鬼剣「ギ、ギギッ!……ギギィ……」

邪鬼「なにぃっ!貴様……」


ヒュバッガシッ!!!

邪鬼「がっ!」ギリギリ

側近「誰に向かって口を聞いている……その口、永劫閉ざしてやっても良いのだぞ?」

邪鬼「あが……たす……」

側近「なんだ」

邪鬼「申し訳……ありません……側近…様……」


側近「……ふん」パッ

邪鬼「げほっ!げほぉっ!」

側近「ハッ!」キュッ

ゲシッ!!!



ドカアァアアン!!

邪鬼「ガッ…ア……」ピクッピクッ


魔王「その辺でやめておけ側近」

側近「……申し訳ありません魔王様」

魔王「少し強すぎた契約だったか!?ここまで変わってしまうとは!ッハハハハハハハ!!!」


蒼竜(……魔族契約は、危険な契約ほど力を増幅させる……側近レベルが契約をするとこうなるのか……)

蒼竜(しかし契約は契約、性格が変わる事なんてないはず……ああ)

――我にふさわしい側近となれ

蒼竜(そういう契約か……ならば内心どう思っていることやら)

もうちょっと書けると思ったけど眠いので今日はここまでです
見てくれてる人ありがとう!遅いけど完結はするよ!

今日から2泊3日で出かけるのでこの金土日は進められないです、ゴメンナサイ


ー人間界・入口ー


ザッザッザッ


???「……」

王子「……なんなのだこの状況は……なぜ王子たる私がおんぶせにゃならんのだ」

???「いやあ、わたしは体力無いので……ほら、そのかわり氷魔法で冷気!涼しいでしょ?」ヒョォォ…

王子「いやそういう問題ではない……転移魔法が使えなくなったのは分かるが、私にこんなことさせてると知れたら君処罰ものだぞ?」

???「その辺はほら、勇者パーティー権限でスルーします」

王子「……いつの話だそれは」

???「あれ?」

王子「とっくに勇者パーティーは新しいのができておるぞ」


???「…ええーーーーっ!!!」


王子「まあ長らく人間界に戻ってなかったらそうなるのはわかるがな」

???「じゃ、じゃあ勇者様と魔法使い様、戦士様は!?」

王子「……王孫からの報告だと、とっくに戦死扱いだ」

???「うそん!!」

王子「わかっておる、だからそれを証明しに人間界に戻るのだ」

???「くっ、わたしが研究している間に……」

王子「引きこもっている間に、の間違いではないか?」

???「やめてくださいよ!あの化け物魔法使い様とは違います!わたしはアクティブなんです!!」

王子「アクティブなら自力で歩きなさい……」

???「それにわたしは僧侶の道を選んだんです!」

王子「……じゃあこれからは僧侶と呼べばいいのか?」

僧侶「そうしてください、勇者パーティーに魔法使い二人は悲しかったです」


王子「しかも片方は史上最強だったか」

僧侶「……わたし、学校じゃ断トツトップで、しかも16歳で卒業して魔法使いの称号を得てちょっといい気になってたんですけど……」

僧侶「先生たちが……」

――え、あの勇者パーティーからお呼びがかかったの?あなた魔法使いでしょ?やめたほうがいいと思うわよ……

――ああ…まあ勇者パーティーなら色々と便利な権限がもらえるしな、い、いいんじゃねぇの?たぶん

――……まあ、何があっても心はしっかり保つんじゃぞ……


僧侶「最初は勇者パーティーに呼ばれたわたしへの嫉妬かと思ったんですけど……」


……




勇者「敵だ!」

僧侶「よしっ…はぁぁぁ火炎魔…」キィィ

魔法使い「炎弾」ドゴン!

僧侶「……」





魔物「キシャーーー!」

僧侶「魔」

ドゴォン!

魔法使い「…あ、氷塊弾!」

勇者「撃ってから言うな」

僧侶「……」





僧侶「……あの!皆さんどこか怪我ありませんか?良かったら回復魔法で」

勇者「お前どっか怪我してんの?」

魔法使い「え?私怪我してるの?」

勇者「だよな」

魔法使い「うん」

僧侶「……」





グルルル!
ケケケ……
キシャァ!


魔法使い「……しまった……」

僧侶「うかつでしたね……ここは魔物の巣、どうしま」

魔法使い「洗濯物出してない……」

勇者「は!?お前ふざけんなよ!!明日の服どうすんだよ!!」

魔法使い「うるさい!別にいいじゃない服の二日や一週間!」ドカァァアン!!


ギャアアアア!
キ…キィィーッ!
キャインキャイン!


僧侶「わーすごーい………………一週間…?」

勇者「お前は慣れてるかもしれんが臭いんだよ!」

魔法使い「慣れてるって何!?臭くないし!むしろフェロモンむんむんだし!」

勇者「その年でフェロモンとか」プッ

魔法使い「……そのフェロモンにつられたのは誰でしょうね~、一昨日兄と妹が寝てるのに襲っ」

勇者「ちょっ黙れそれはあかん」


僧侶「もうやだ」

戦士「俺も」

僧侶「……あ、よろしくです」

戦士「うん」




……

王子「なんというか、災難だな」

僧侶「うう……戦士さんはタイプじゃないし、勇者様と魔法使い様はラブラブだし……」

僧侶「今はこんなおっさんにおんぶされてるとか死にたくなります」

王子「私も子供いるんだが……王国についたら牢獄にぶち込むぞクソババア」

僧侶「ハアアアア!?わたしまだ二十代なんですけどぉーーーーーー!!!!???」

王子「来月で三十路だろう?」

僧侶「ハッ……ぐ……こ、この……うう……それを言ったらあなたはクソジジィじゃないですか!」


王子「ぐっ!……やめよう」

僧侶「……はい」



今日はここまでっすー



カサッ…


僧侶「…………降ろしてください」ポンポン

王子「なんだ、ようやく自力で…」スッ


僧侶「防御魔法・緩衝結界」ボソ

ブゥン……


王子「……私はどうすれば?」

僧侶「しゃがんでてください」

王子「ふむ」スッ


ヒュゥゥ……

ドガン!ドガンドガアァン!!!



モクモク……


バタバタバタ

刺客「「「やったか!?」」」ザッ!

刺客リーダー「王子とはいえ実力は無い!しかし確実に殺せとの命令だ!攻撃やめるな!」ドン!ドン!

刺客「しかしその実力無い王子サマと謎のおんぶ女だろ?弱そうだしこれだけ撃てば跡も…」




ヂヂッヂヂヂヂヂ……


???「…ん?何の音……」

????「!!っ避け……いや防げ!!土魔法・防壁!!」ズズッ!





僧侶「広域雷魔法・千雷」スッ


カカッ!!



ッドォオオオン!!ドォンドォン!!

ドォン!!ドォオン!!ドン!ドォン!ドォン!…



王子「容赦無いな……僧侶のくせに」

僧侶「だからわたしは自慢じゃないですけど本来魔法使いでそれなりに強いんですよ!あの人がおかしいだけであって!」



プス……プス……

刺客「あが……が……」


ピシッ…ガラガラガラガラ……

刺客リーダー「……ちっ雑魚が」


僧侶「あら、少しはやりますね。音を聞いてすぐに弱点属性で壁を作るとは」


刺客リーダー「…護衛だったのか」

王子「まあそういう事だ。私を暗殺しに来る事は予想できたからな、さて……」

刺客リーダー「ま、まて!俺は命令されただけなんだ!許してくれ!何でも喋るから!」

王子「では誰からの命令だ?」

刺客リーダー「そっそれは……これを見てくれればわかる!」カサ

僧侶「手紙?」


刺客リーダー「ああ!人質を取られてるんだ!!……内容に従わないと俺の家族が……」

僧侶「……風魔法」ヒュオ

パシッ

僧侶「……」

刺客リーダー「よ、読んでくれればわかる……」


僧侶「……」


ビリッビリビリビリッ!!!

王子「む?」

僧侶「微かな魔力、トラップね。わたしにこんなものが通用すると思ったの?」







刺客リーダー「……いいや、注意が逸れただけで十分!!召喚!!」


ボン!!


僧侶「……ありゃ、囮だった……」


ヒュッ!

僧侶「っ!!防御結界!強化!!」ジジッ!


ガキィン!!

人型魔物「ガアアアアアアッ!!」ガンガンガンガン!


王子「これは……!」

僧侶「……食人族かっ!それも第三段階のっ!!」




刺客リーダー「あっははははははは!!そいつぁ称号持ちでも倒すのは難しいぜ!!さあどうする!?」


人型魔物「グオオオォッ!!」ッガァン!ガァン!ガァン!


僧侶「……結界が……保たないっ!!」バキッ…バキッ…



刺客リーダー「はははははは!!!強い!強いぞ!!!」



ガァン!ガァン!

僧侶「食人族か……未完成な状態で使いたくなかったんだけど……」

王子「やるのか」

メキ…メキ…

僧侶「…はい、すみませんが防御結界壊れたら呪縛魔法お願いできます?」

王子「ふん舐めるな……5秒くらいなら」

僧侶「……上出来ですっ!」

バリィン!!!!


人型魔物「ガアアアアアッ!!!」バッ


王子「呪縛魔法!!!」キィン!


人型魔物「グッ……グ……オオオオ!!」グググ……


スッ

僧侶「ふぅぅぅぅ……我慢してね」ピト

人型魔物「ガルァアアアア!!!」

僧侶「…………呪術・魔力拡散!!」


ズオッ!!!!


人型魔物「ガッ!?ア……ァ……」ドサ




僧侶「……うまくいってくれるといいんだけどね」


刺客リーダー「…何をしたッ!!!!」


僧侶「食人族は、己の魔力が肉体の許容量を大きく上回る為に変異してしまった日和族」

僧侶「……だから、その魔力を常に拡散させてやる呪いをかけた」



刺客リーダー「日和族が食人族!?な、何を言ってるんだ……」


僧侶「あら?知らずに使役していたの?」


刺客リーダー「ち、違う!!ヤツはこの魔物を使えばうまくいくと…ッ!」



僧侶(ヤツ……後ろがいるのね)

僧侶「それで?うまくいかなかったけど、どうするの?」


刺客リーダー「くっ……クソォッ!!!」ダッ!!


ガサッ!タタタタタ……


王子「……追わないのか?」

僧侶「追っても仕方ないですよ、護衛が離れるわけにも行きませんし」


人型魔物「……う」


僧侶「……この子の事もありますし」

王子「意識が……戻った?」


僧侶「召喚、といってたけど召喚獣じゃないから術者との結びつきは無いみたいね。口寄せに近いかしら……」



人型魔物?「……あ……れ……?わた……し……」シュゥゥゥ

僧侶「よし、体の変化も収まって……あ!!」

王子「……む」プイ

僧侶「……服、貸してあげてください」

王子「……不可抗力だからな」ヌギヌギ

ポイ

僧侶「まぁいいでしょう……んしょ」バサ


人型魔物?「あ……え……?」

僧侶「……何が起こってるのかさっぱりって感じね……わたしの言うことわかる?」

人型魔物?「……」コク

僧侶「よし、貴方の名前は?」ニコ

人型魔物?「あ……日和子……です」


僧侶「日和子ちゃん、あなたの身に何が起こってるか、わかる?」

日和子「……っ!!!……私の誕生日に……皆が襲ってきてっ……!!」

僧侶「落ち着いて……」

僧侶(食人族化を始めたこの子を周りが……て事ね)

僧侶「あなた、歳はいくつ?」

日和子「え……と……16歳…です」


僧侶(外見16歳にはとても見えない……二十歳は過ぎてるはず)

僧侶(予想としては、周りが襲ったって事は石化魔法がまだ出来ていない……つまり5年以上前だから)

僧侶(少なくとも今は21歳以上……記憶は発作が起きた時のまま……ね)


僧侶「日和子ちゃん、わたしは日和族に詳しいの。あなたに何が起こっているかも全て分かってる」

日和子「え……」

僧侶「誕生日の前、目が変色したり牙が生えてきたでしょう?」

日和子「!!」

僧侶「……説明するわ、あなたに何が起こっているか……」

ちょいここまです


日和子「レベル3……」

僧侶「そう、よく見るのはレベル2の食人族。魔物の代名詞とも言えるのがこのあたりよ」

日和子「日和族が……食人族だったなんて……」

僧侶「……あなたにかけた呪いは魔力を奪い続ける呪い。このままだと魔族であるあなたは魔力を失い死ぬ。」

僧侶「呪いを解けばまた食人族へと逆戻り……」

日和子「っ……」

王子「呪いを解いてまた掛ければいいのではないか?」

僧侶「できない事は無いですが……魔力消費が半端無いんですよ。呪いですんでね」

王子「どのくらいだ?」

僧侶「そうですね……わたしの全魔力の半分はもっていきますね」

王子「解呪は?」

僧侶「それも半分です」

王子「…となると…」

僧侶「……ええ、今私の魔力は戦闘も考慮すると4割程度しか残ってません」


王子(…戦闘じゃ1割しか使ってなかったのか……)


僧侶「この子の魔力が尽きる前には9割、解呪して4割、回復して8割、また食人族化する前に呪いを掛けて3割……」


王子「ふむ……ジリ貧というわけか」

僧侶「はい。しかもそうするとなるとわたしは魔力を一切消費できなくなり、護衛もできなくなります。だから急いで……」


僧侶「……完全に食人族化を治す魔法の構築を、頑張らないと。」


日和子「なお…せるの?」


僧侶「うん。あともう少しなんだ。あの魔法使い様が基礎を構築してくれた。あとは仕上げだけ」

王子「……しかし大丈夫か?さっきみたいに襲われる可能性はまだあるぞ?」


僧侶「……日和子ちゃん戦える?」

日和子「えっ……あの……まあそれなりには」

僧侶「ちょっと今魔物が凶暴化してたり賊が出たりしてさ、対応して欲しいんだけど頼める?」

日和子「あ、はい!」

僧侶「ごめんね」

日和子「いえっ!あなたが日和族の為に何かしてくれてるってのはわかりましたから……こちらこそ、すみません」

僧侶「ん、おっけぃ……じゃあ」


僧侶「行こうか」


~妹サイド~


ー日和族の里ー


エルフ姉「この里に転移した直後に転移魔法が使えなくなるたぁ、間一髪だったな」

エルフ男「……そこら中の自然発生している魔力があの魔王城に吸い取られてるな……これじゃあ、返しの森が……」

エルフ姉「エルフ男、里の皆を信じろ。今は俺たちが出来ることをするしかない」

エルフ男「……そうだな……それじゃ、俺たちは魔力の薄い場所を探せばいいんだな?」

妹「はい」

エルフ男「よし、じゃあ」

???「待て」ザッ

妹友「……お?」

妹「……老魔法使い先生!」

エルフ姉「……どっかで見た顔だな……あ、学校か」


老魔法使い「妹、お主に話がある」


妹「……なんでしょう?」




老魔法使い「勇者に、なりたいか?」




妹「……え?」




老魔法使い「無実の罪を着せられ、勇者への道が閉ざされているとしても、まだ勇者を目指すか?」

妹「……」

妹友「ちょっいくら先生でも言っていいことと悪いことが」

妹「はい」

妹友「えー」


老魔法使い「……ならばついてきなさい」

妹「……でも石化解く為に急がなきゃダメなんじゃ……」

老魔法使い「狂暴化した魔物……それにLv3の食人族……倒せるか?」

妹「……」

老魔法使い「そこの君は、強い潜在能力に目覚めたように感じるし」

妹友「え、えへ」テレッ

老魔法使い「エルフの方は元々かなりの実力者のようじゃ」

エルフ姉「……まーな」



老魔法使い「今の状況、強い魔物と出会うはずじゃ。その時に」

妹「……」

老魔法使い「足手まといになるのは、お主じゃ」

妹「……ッ!」


妹友「ちょっいくら先生でも言っていいことと悪いことが以下省略!」

エルフ男「省略してねぇし」


妹「でもっ!これでも十分修行してっ!」

エルフ姉「そうだ!俺がしごいて結構な強さまで育て上げたんだ!」




老魔法使い「お主だけじゃ、目覚めてないのは」



エルフ姉「それを足手まとい……なんだって?」

妹友「……え」




妹友「妹が!?十分強いと思ってるんだけど……」

エルフ姉「……まだ資質に目覚めてないと?」


老魔法使い「……そうじゃ」

妹「……」


妹友「もっと……強くなるの?」

老魔法使い「うむ。じゃから、ついてきなさい」



妹「……お願いします」



ー魔王城ー



魔王「さて……良い"側近"も手に入った事だし……」

側近「……」



魔王「ああそうだ!もう一度、あの命令しよう!」

側近「……」




魔王「クハッ!クハハハハ!!」


蒼竜(……あの命令ね)






魔王「お前が城から落とした人間にとどめを刺しに行け」






側近「……ハッ」


魔王「ああ、取り巻きや邪魔者は殺してかまわん。蒼竜、お前も同行しろ」

蒼竜「はい」



側近「行くぞ蒼竜、乗せろ」

蒼竜「かしこまりました」ボンッ!


バサァッ!


蒼竜「…どうぞ」

側近「うむ」タッ

スタッ!


側近「……いけ」


蒼竜「はっ、しかし私は奴の居場所を知らないので……」

側近「分かっている。私の言うとおりに進め」

蒼竜「ハッ!」


バサッ!バサッ!


蒼竜「つかまってて下さい」

側近「私を誰だと思っている、さっさと行け」

蒼竜「…失礼しました。では」



ビュンッ!!




魔王「……フハッ!ハーーーッハッハッハッハ!!!!!」


とりあえずここまでっす



ー兄サイドー

日和族の里への道・道中


ビクッ!

紅友「う…ウ……」

友「紅友!」

兄「魔王娘頼む!」

魔王娘「うんっ!」

カプッ


ズズズズズズズ……

紅友「ウ……あ……はぁっ……」

シュウウウ……


兄「魔王娘、もういい」

魔王娘「ぷはっ……やっぱり不味い」

兄「え、まずい?」

紅竜「味なんかついてるの?」

魔王娘「うん……」

兄「魔力って美味しくないのか……」

魔王娘「あっそうじゃなくて、なんかね、この人の魔力は美味しくないの」

友「ぇえ?」

魔王娘「今までは美味しかったの」

兄「ってーと、側近とか俺の魔力がか?」

魔王娘「うん」

友「……特殊な魔力だからか?」

兄「多分そういうことなんだろうな。わけわかんねーけど」



紅友「はぁ………はっ!?私また……!」

友「はいはい大丈夫大丈夫~」ギュ

紅友「ふおおおおおおおお」

兄「ケッお熱いこって……」

紅竜「いいなあ……」


兄「……そうだ紅友ちゃん、こいつさぁ、側近と紅竜が学校に入学したとき」

紅友「はい?」

友「ん!?うわああああああああああああやめろおおおおお」

兄「だーまーれ」ガシィ

友「もご!もごごご!!もごおおおお!!」ボカッボカッ!

紅友「入学したとき……なんですか?」


兄『側近さんの大人びた雰囲気…いや紅竜ちゃんも豊満な…ふははははははは』


兄「てな感じで、最初は側近・紅竜目当てだったんだぜ~」

紅友「……」



紅竜「へ、そうなの?」

兄「だったよな~」パッ

友「おま……おま……」

紅友「むぅ……」


紅竜「でも今は、友さんは紅友ちゃんの事が好きなんだよね?」


紅友「!」

友「……まぁ……」

紅竜「紅友ちゃんも、友さんの事が好きなんだよね!」

紅友「わわっ…あう……」カアア


紅竜「ならいいじゃん!うらやましいなぁ!」

兄「爆発しろ…」


兄(っと、皆緊張が解けていい雰囲気になったか?)

兄「よし、じゃあ移動再開しようか。危険な魔物に出会ったら紅竜頼む」

紅竜「あいさー!」



…………



紅竜「…………」


兄「…………」


紅竜「…………えーと」


兄「……………はは、危険な魔物……魔者だけど……紅竜頼める?」


紅竜「……いやぁ……ちょっち厳しいなぁ……ど、どうしたらいい?」


兄「……逃げたい」








側近「逃がさない」



兄「だよなあ……」

友「側近さん!?良かった無事……じゃ……」


蒼竜「私なら一掃できますが?」

側近「……命を受けたのは私だ。お前は同行に過ぎん……しかしそうだな、同族でも相手にしていろ」

蒼竜「かしこまりました」

側近「他は全て私が……」



側近「始末する」



友・紅友「「っ!!??」」


兄「だよなぁ……」

紅竜「……蒼竜見逃してよぉ~」


蒼竜「逃がすと思うか?今度こそ殺してやる」


兄「……」ボソボソ

紅竜「ん~……ぎりぎりかも」

兄「……」ボソボソ

紅竜「……あはは……そうだよね~……」


蒼竜「何を話して……」コォォ…


紅竜「逃げーーーーーーーーーーーる!!!!」ボン!バサアッ!!


ギュン!!!!



蒼竜「……あっはは!!!あんたら残して逃げちゃったよあの子!!!!」

側近「追いかけて殺せ」

蒼竜「……チッそういう事か……ドラゴン同士の戦いに巻き込まれたくないわよね、考えたじゃない!」

ボンッ!バサアッ!!

蒼竜「でも!これで命拾いしたとは思わないことね!側近様はもうあんたらの知ってる側近じゃないんだから!!!アッハハハハハハハ!!!」

ビュン!……


兄「……」


~~

兄『蒼竜一人相手に生き残れるか?』

紅竜『ん~……ぎりぎりかも』

兄『頼む、注意を引き付けてくれ……』

紅竜『……あはは……そうだよね~……』

~~



兄「……すまん、紅竜だけでもどうにか生き残ってくれ……」


友「おい兄!一体何が起きてる!?」

兄「……側近が向こう側についた。多分、魔族契約レベルで」

紅友「…そんな……側近さん!しっかりしてください!!」

兄「無駄だやめろ……」


側近「兄にとどめを刺す……邪魔者は、殺す」ザッザッ

兄(俺狙い……友たちは助かるかも……)


兄「それより逃げるんだ」

友「っそんなことできるわけ…」


側近「……」ダンッ!!


兄「……妹を頼」



 バ キ ァ ッ ! ! !




友「兄ィィイイイイイイ!!!!」

紅友「……やめてください側近さ…っ!!」


側近「邪魔者は、殺す」ギロォ


紅友「…ひっ!!」ガクガク

友「く……そ……ぉ!」ガチガチガチ



ズザアアッ!!ゴロゴロゴロ……

兄(……ああ、これまでだな……これはもう……)


側近「とどめを刺す……」ヒュオ


ドグッ!!

兄「ゴバアッ!!!!」


ドガバキドコバゴドガドガドゴッ!!!!


兄(やべ……痛みが無くなってきた……)


ガシッ!

兄「ァ……ッ!!!」


グググ……


側近「死ね」ギリギリギリギリ

兄「カ……ア゛……!」


友「…めろ………やめろォオオオオ!!!」ダッ!



側近「うるさい……」


ギロッ!!!


友「ひっ!!」ガクンッ!

友「ああっああああああ……っ」ガクガクガク


側近「ふん」ギリギリギリ

兄「ァ…………ガ…………」


友「っ………うあああああああああっ!!!!!」ダッ!!!


ガシッ!

側近「!」

友「あああ兄からっ!!はな、離れろぉおおおおおおっ!!!」グググッ!




側近「……」パッ


ドサッ


兄「っはあっ!!!はあっ!!!はあっ!!!」



友「……ぉお……よ、よし」




側近「邪魔者は……」クルッ




友「………あ」



兄「友逃げろぉおおおおおおお!!!」

紅友「やめてえええええええええ!!!!!」



側近「殺す」





 ズ ン ッ ! ! ! !




兄「友ぉおおおおお!!!」

友「……ガボ……」ボタタタッ

側近「……」ズボッ



ドサ……


兄「ばか、やろ……」


紅友「………あ、ああ……」ザッ…ザッ…



兄「っ!!紅友来るな!!逃げろ!!!」


側近「ふん……」ギロォ!



紅友「………」ザッ…ザッ…



側近「……ん?……威圧!!」ギロッ!!!!




紅友「……もういい……」ザッ…ザッ…



兄「……え」

側近「………馬鹿な」





紅友「……もう、いいよ……」スゥゥ……





側近「ん?目の色が……」





兄「……まさか」





紅友(……湧き上がってくるどす黒い魔力………もういいよ、出てきテ………)


ミシミシミシッ!!





友(……紅………友………?)




紅友(捧ゲよう、この体ヲ……)


ググッ……キリキリキリ……


紅友(受け入レよう……コノ魔力を……)


ゴォォォオオオオ……


紅友(………モウ……抑エナイ…………ソノカワリ)






紅友(………友サンヲ傷ツケタ奴ヲ…………許サナイ!!!!!)




 バ サ ァ ッ ! !







紅友「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」


ビリビリビリビリビリッ!!!!



兄「ぐっ!!!…食人族化っ……第三段階……!」

兄(まだ時間はあるはずなのに……そうか!自ら魔力を呼び起こしたんだ!!!)



側近「……うるさい……うるさい!!!」ダンッ!!


側近「邪魔者は!!!!!殺」

紅友「ガアッ!!!」


バキィッ!!!!


側近「がっ!!!」

ヒュンッ!


側近「くっ!!」クルッ!


ザザザザーーッ!!


側近「ちいっ……」



紅友「……ハァァ…」

側近「はっ!?後…」バッ!

紅友「アアアアーーーッ!!」シャッ!


ドグッ!!!!


側近「ゴバァッ!」ヒュンッ!


ドカァァアアン!!ガラガラガラ……


側近「がはっ……馬鹿な、この私が……」


ヒュオ…


側近「!!!」バッ!!


ガアアアン!!!パラパラパラ……


ザッ!

側近「ちっ」


紅友「……逃ガサナイ……」ズボッ


側近「……逃げる、だと?あり得んな!!!!!」


紅友「ウオアアアアア!!!」ダンッ!!




側近「鬼剣!!!」チャキンッ!







ザンッ!!!!





紅友「……グウウウウウッ!!」


ヒュウウウ…ボタッ


側近「ふっ…腕はもらった、次は右腕だ」





側近「……なにッ!!!!」



ズリュリュリュリュ……


紅友「…………」ニタァ



側近「……馬鹿な、腕が再……」


ヒュオッ!!


側近「しまったっ!!」


バ キ ャ ッ !!!!




側近「ぐぼぁあッ!!」ギュンッ!!


紅友「……逃ガサナイ」バサアッ!!

ビュンッ!!!




兄「……元来た方向に飛んで行った……な……がはっ!!」ボタタタッ!!

友「……」ドクッドクッ

兄「友……なんとかしないと……」ヨロッ


兄「くそ、今の俺の魔力じゃ回復なんざ……っそう、だ!!」


兄「アレを描けば……くそ、書くものが……」ヌルッ


兄「…………」ボタッ……ボタッ……


兄「……あるじゃないか……がはっ!よし、急げ……」フラ…フラ……

書き溜め投下し終わったので今日はここまでっす。

やっぱり進んだので投下




ヒュウウウウウウ……



ザッバァン!!!!






……ザバッ!ポタッポタッ

側近「……げほっ!川か……こうなったら鬼剣で……っ違う!こんな……」


ヒュォォオオ……

側近「……」バッ!


ドパァアアアン!!!

ザァァァァ……

紅友「………ウウ」


側近「……紅友さん……ダメ!人に戻れなく……う……」フラ……


側近「……契約を守らないと……邪魔者は…殺す……」ギンッ


紅友「…ウアアアアアア!!!!」ダッ!

側近「…ハアアアアアアッ!!!」ダッ!


バサッ!!クンッ!


側近「っ!?」スカッ!

紅友「スゥゥ……ガアッ!!」ドンッ!!


ドゴォオオオオオン!!!!


紅友「…ウウウ…」バサッバサッ!


―ザッ!

側近「……波動弾か…口から打つとは、魔物らしいな」


紅友「………」ギロ


側近「……………鬼剣!伸びろ!!!」チャキッ!

鬼剣「ギッ!」ギュンッ!

紅友「!!!」ドスッ!!



紅友「グアッ!………ウオオオオオオ!!」ベキンッ!!!


鬼剣「ギャアアアアア!!」


側近「……鬼剣を折るだと……」


紅友「……ウウ」


鬼剣「ギィィィィ!!!」

側近「うるさい」バキィッ!


紅友「……?」


側近「簡単に折れる剣などもういらん」バキッ!バキッ!

鬼剣「ギェ………」


紅友「……」



側近「さて、そろそろ……本気で終わらせようかな!!!!」キィン!!



紅友「!!ッスゥゥ……カッ!」ゴバッ!!



ドォオオオオオン!!!!


側近「……何かしたか?」

紅友「……アアッ!」ギュンッ!



バキィッ!!!


紅友「………グアアアアア!!」

側近「……ふふ、折れたのは貴様の腕のようだな!!」



側近「特有魔法、超硬化……ふつうの硬化魔法と一緒にするなよ?アレは土魔法で体の皮膚を高質化した土で覆うものだ」パキキ…

側近「防御が強くなるがほぼ動けなくなるし、攻撃へ転化しづらい……対して」

側近「……私の特有魔法・超硬化は直接魔力と体が入り交じり、爪は最強の刃物に、皮膚はあらゆる攻撃を無効化する…そして!!」

シャッ!!


紅友「!!!」


側近「スピードは変わらない!!!」


ズボォッ!!!!


紅友「……グボ……ガッ…」


側近「まさか特有魔法を使わせられるとは思わなかったが……これで終わりだ」

紅友「ッ!!」ダンッ!


ズボッ!


紅友「……グゥ…イタ……イ……」ミキッ…ミキッ…


側近「ふん、また再生か」


紅友「ハアッ…ミズ……ミズ!!!」バサッ!


ギュンッ!


側近「ああ、洞窟の中に飛んで行ってしまったな」ダンッ!!



紅友「……奥ニ…泉ガ……」バサッバサッ!

側近「……もっと私を楽しませろッ!!!」タタタタタ……

眠くなっちゃったので今日はここまでっす
魔王娘の描写ありませんがちゃんと出番ありますので大丈夫です

決して忘れてたわけではありません。決して。ただノリで書いたあとは十分な見直しが必要だと感じました。




紅友「クルナ……」ドガンッ!



紅友「……クルナ!!」ドゴンッ!



……ガラガラガラガラガラ!!


側近「崩して塞いだつもりか!?無駄だ!!硬化した私にとってこの程度の壁など豆腐に等しいッ!!!」ガガガガガガガッ!


紅友「……ミズ……水…」ドォン!ドガァン!


ガラガラガラ!ガラガラガラガラ!


側近「ハハハハハハハハ!無駄だ無駄だアアアアッ!!」




……


……



~洞窟・最奥部~


ドゴォン!……


ドゴォオン!……


ピシッ!!!


ポタッ……ポタッ……



???「……」


ピチョンッ…


???「……」ピクッ



ピチョンッ…


???「……ん…………ふあ……よく寝たなぁ……」ムクッ



ゴォン……ゴォンッ!


???「………あれ、誰かが荒らしてやがるね……ちょうどいい、あたしを半永眠から覚ましてくれたお礼に運動がてら…」


???「食べてあげよう♪」ボヤァ……

スゥゥ……


フッ…




……


側近「アッハハ!!どこだぁ!?」ドゴンッ!



側近「こっちかぁ!?」ガォン!!


フッ!


???「いっただっきまー♪」


側近「!!??」


ガキッ!!

???「硬い!!」


側近「なんだ貴様!?」シャッ!

フッ!

???「んー牙折れちゃった……まあいいか、もう生えたし」ニョキ


側近(…馬鹿な、動きが見えない!?)


側近「……ハアッ!」シャシャッ!


フッ!

???「んーどうしよっかなー」


側近(テレポート…か?しかしノーモーション…だと?)


???「仕方ない、直接吸う方が味を楽しめるんだけどなー♪」スッ


側近(何か撃ってくるか!?)バッ!






???「魔力強奪」




ズズズズズズッ!!!


側近「うっ!ぐ、あ、あ……!!!」スゥ……


???「お、やわらかくなった?」ピタッ



側近「……ハアッ!ハアッ!!っこの!」


フッ!

???「あむ」ガブッ


ジュルルルルルルルル!!!!!


側近「っうああああああああああああああああ!!!!!」


パッ!

側近「……かはっ……」ドサ




???「~~~っおいし~~~!!!この味は鬼族だ!!ひゃーラッキィ♪!!殺すのもったいないな!保存しとこ♪」グイッ


ズルズル……






???「うーん、こうしてみると寝床狭かったんだなぁ……改築しよ♪んしょ」

ドサッ!

側近「……う……」


…ゴォン!…ドォン!

???「もう一人居るな、よーっし♪」フッ!



紅友「……ハァ、ハぁ……友サン…ヲ……守、ル…違う…守レ…ナカッタ……」


フッ!

???「さて、コイツは~~~??」ガブッ


ジュルル……

紅友「!?…ウアアアアああああああ!!!」



???「うっ!ぶぇええええ!!」


ドンッ!


紅友「アうっ!」ズザッ!

???「ぶっ!ぶぇっ!!ぶえええっ!!ぺっ!ぺっ!まっず!!……ああもうっ!」





???「なんだ同族かコイツ!!!」




???「ったく、同族の魔力はクソマズイんだよねもー!」

???「……日和族だったけな、コレは……はぁ」

???「吸血鬼の血に負けた魔族……半分は私のせいか……ごめんね」





???「今、楽にしてあげるから」スッ



???「魔力強奪」ズズズズズズズ……


紅友「……ううううああああああああ!」


???「……」ズズズズズズ……


紅友「ああああああ……助けて……友さん…………」


???「!!!!」ピタッ!!


紅友「……」


???「……意識が、あるのか…?」


紅友「……」


???「………興味深いな……よし」グイッ

ズルズルズル……


……


ー兄サイドー



兄「でき、た!……途中いろんな意味で血が足りなくなって気絶しかけたが……」




兄「石化魔法陣……起動!!!」バッ!


友「ヒューッ……ヒューッ」パキパキ……


兄「すまん友……これが最善の策だ……」


友「……ぁ…に……」パキキ……

兄「……」

友「………紅友を……頼む……な」パキン!!


兄「……ああ……絶対に、皆元に戻してやる……」


フラッ


兄「やべ……血が……足りね……」


ドサッ

兄(……動けねぇな…………あれ?)




兄(魔王娘どこいった…?)



……

ー紅竜サイドー


紅竜「……ここらでいいか」ヒュゥゥ……

バサッ!ズシンッ!!ボンッ!!ポロッ!

紅竜「……あれ?ポロッ?」


魔王娘「いてて」


紅竜「……っえええええええええええ何で!?ナンデ!?」


魔王娘「だって紅竜ちゃん一人で逃げようとして!!」

紅竜「違うよおお!?蒼竜と皆を引き離しただけだよ!?」

魔王娘「……え?」

紅竜「……」

魔王娘「……あは♪」


紅竜「もー……っ!きたっ!」


ズシン!!ボンッ!


蒼竜「……あら、何かと思えば失敗作までいるじゃない」


魔王娘「!!っ……違うもん!おにいちゃんは必要としてくれてるもん!!」


蒼竜「アッハハハハハハハ!!ばかね!!!オマエは失敗作!単に魔力を吸って吐くしか能の無い魔物なんだよ!!」

紅竜「……」

魔王娘「違う!違うもんっ!」ドンッ!!


蒼竜「……ハ、バカバカしい」パシッ



……ドォォオオン!!


蒼竜「ほら、魔力を単に吐くしかできない……本物の魔力の使い方を、教えてあげる」スッ

ゴポポッ……ゴボォッ!


魔王娘「………水が……」


蒼竜「水流弾」ドンッ!


魔王娘「……ひっ!!」



紅竜「炎弾!!」ドンッ!



バシュウウウウッ!!!!!

モクモクモク……



紅竜「失敗作失敗作って……私の友達を悪くいうな!!それに兄さんだけじゃなくて、私も魔王娘ちゃんの事大好きだから!」


魔王娘「……紅竜ちゃん……」

紅竜「……下がってて。これは……私の戦いだから」

魔王娘「………負けないで」

紅竜「……………うん」

ここまですー

本気で書く時間がない
すまぬ


蒼竜「さて……」

紅竜「……」

蒼竜「"炎化"もできないのに勝てると思ってるの?」

紅竜「うるさいな!これからなの!」

蒼竜「あっははは!!無理ね!」




蒼竜「あなたはここで死ぬのに!」ヒョォォォォ!



紅竜「くっ!」ボォッ!!!

紅竜(勝ち目なんて、ない……兄さん達から引き離す事はできた……次は私自身が助からないと)

紅竜(でも、その前に……)


紅竜「ねぇ、どうしてそんなに私の事を嫌うの?」

蒼竜「……」



カサッ

魔王娘(……紅竜ちゃんは離れててって言ったけど、これくらいならいいよね……?)



魔王娘(何の話してるんだろ……)


紅竜「昔は優しかったよ?確かに貴方にはイタズラばかりされてたけど」

紅竜「今ならわかる、あの頃は力の制御が出来てなくて……常に高熱を発してた私に近づけたのは、貴方だけ」

蒼竜「……はっ、何勘違いしてるのかしらね?マゾなの?」

紅竜「ドラゴンの里で一人ぼっちだった私には、それがとても嬉しかった」

蒼竜「……」

紅竜「でも、ある時を境に貴方は魔王…様の配下になって……」


紅竜「……ねぇどうして?昔はそんな冷たい目をしてなかったよ?」



蒼竜「いいわ、冥土の土産に知っていきなさい」




蒼竜「竜玉の事は知ってるわよね?」

紅竜「……ドラゴンは生まれて100年毎に、竜玉のある祠へ行き、お告げを聞く……」

紅竜「そのお告げは絶対……外れた事は一度も無い」

蒼竜「はっ!そう!その通りよ!………私はその竜玉にね、言われたの」

紅竜「……?」


蒼竜「偽りに気づかなければ、仲間の炎で滅ぶであろう」



蒼竜「私は死の宣告を受けたのよ」

紅竜「それが何で……」

蒼竜「わからない!?仲間の炎……つまりアンタに焼かれて死ぬと決められた!!」

紅竜「……でも偽りに気づけば…」

蒼竜「………わかってるわよ……だからその偽りとやらを見抜こうとしてたのよ!」

蒼竜「その時に今の魔王様と出会った」

蒼竜「世界の本当の姿を見たくないか?ってね」


蒼竜「……私は四天王になって!!この世の真実を知ったつもりだった!」



蒼竜「……それでも不安は拭えない……そこである事に気づいたの」

紅竜「……」

蒼竜「あなたを殺してしまえば、滅ぶことは無いってね!!」


紅竜「そんな理由が……」


蒼竜「そうよ、だから……」ギロッ




蒼竜「……死んで!」ビュオオオオッ!!!!



紅竜「断る!!」ゴオッ!!!


バシュウウッ!


蒼竜「……」


紅竜「私が竜玉に言われた事を教えたげるよ」

蒼竜「なに…?」


紅竜「……水の竜を助ける事ができるのは火の竜なり。ってね」


蒼竜「……」


紅竜「……力の差は歴然で、貴方のほうが数倍強いと思う。でも……」


紅竜「昔私は貴方に救われた!私が勝手にそう思ってるだけでいい!だから……」




紅竜「今度は私が助ける番!!貴方を助けたいから魔王城に近づいた!」



蒼竜「…ストーカー?」

紅竜「え?」

蒼竜「…何でもないわよ」


紅竜「でも……私が魔王城に近づいた時には、変な魔王様と側近さんと魔王娘ちゃんしか居なかった」

紅竜「……既にあなた達は人間界に潜伏してた」

紅竜「それから、魔王娘ちゃんと仲良くなって……兄さんがその魔王様を倒して……」

紅竜「私も人間界に行くようになって……そして」

紅竜「また、会えた」


魔王娘(……私と出会う前の紅竜ちゃんて、そんな事があったんだ……)


蒼竜「……あんたみたいなガキに助けてもらう道理は無い」


紅竜「でも!」

蒼竜「うるさい!!!冷気砲!!!!」ゴオッ!!!


紅竜「うっ!」サッ!


パキパキパキパキ!!


紅竜「~~~うあああああああ!!」カチカチカチ……

蒼竜「……腕だけか……次は当てるわよ」

ここまです



魔王娘「あっ!紅竜ちゃんっ……うう」コンッ

魔王娘「……?なんでこんな所に剣が……」

魔王娘「…………」チャキッ




紅竜「はあああああっ!」ボオッ!!

ジュウウウウ……

紅竜「はあっ!はあっ!」


蒼竜「その程度なら溶かす……ね……なら!」ゴポッ!


蒼竜「水刃!!」


紅竜「うわっ!!!!」バッ!!



サンッ!


紅竜「……あぶな……」ツー


蒼竜「100連氷柱」パキパキパキ…

蒼竜「ハッ!」バッ!

ヒュヒュヒュヒュヒュン!!

紅竜「っ高密炎盾!!!」ゴォオオオオオオオッ!!


ジュッ!!ジュジュジュジュジュウウウッ!!


紅竜(蒼竜は私がアレができることを知らない!勝機はソコだけっ!でも……)

紅竜「く……耐えきれな……」


ヒュッ!

ザクッ!!

紅竜「うあっ!!」ガクッ


ザクザクザクザクッ!!!


紅竜「うああああああああああ!!!」


ドサッ


紅竜「う……ぐ……がはっ!」ボタタッ



蒼竜「ふん、他愛もないけど…私だって殺されたくないのよね」スッ


パキパキパキ……

パキパキパキパキパキパキパキパキパキ……


蒼竜「無限氷柱」


ズラッ……



紅竜「あ……あ……」


蒼竜「ばいばい」バッ!!

紅竜「っ!!!」




ドスッ




紅竜「……え?」


魔王娘「はあっ!はあっ!」

蒼竜「……なん、だと……」


魔王娘「うあああーーーーー!!!!」ズボッ!

蒼竜「……がはっ!」

魔王娘「わああああああああ!!」ザンッザンッ!!!

蒼竜「あぐっ!そんな……」


魔王娘「―――やああああああああ!!!」ザンッ!!!!


蒼竜「……す……い」ヨロッ


蒼竜「…………か……」フラ…


ドバッ!!


バシャァッ……


魔王娘「……水になっちゃった……」ペチャッ


魔王娘「……や……った!!やった!!!」


紅竜「魔王娘ちゃんっ!!!!」


魔王娘「紅竜ちゃん!やったよっ!!」







紅竜「違う離れて!!!それは水竜の秘術・水化だっ!!!」


ゴボッ…ズズズ……


魔王娘「…え?」



蒼竜「その通り」ガシッ

魔王娘「ひっ!!!!」


…コォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!


魔王娘「……あう……」パキ…



紅竜「……」

蒼竜「あら、助けに来ないのかしら?このままだとこの子氷のオブジェよ?」

魔王娘「紅…竜……ちゃ……」パキ…パキ…

紅竜「……」


蒼竜「アッハハ!秘術・水化……体を全て水に変換する」

蒼竜「そうする事で一切の攻撃を受けないし……再構築すれば全ての傷も元通り」

魔王娘「そんな……」

蒼竜「残念ねぇ~、これで分かった?あなた達に勝ち目は無い」


蒼竜「もう一度言ってあげるわ!火竜が!水竜に勝てるわけ無いってね!!!!」




紅竜「火竜は水竜に勝てない……それは火の弱点は水だから、同じレベルだと必ず水竜が勝つ」

紅竜「同じレベルでさえない私と蒼竜じゃ私は絶対勝てない」

蒼竜「なんだ分かってたの……なら」


紅竜「竜玉によれば多分、成長した私はあなたを超え、圧倒的な炎によってあなたを滅する」

紅竜「そういうことだよね?」


蒼竜「……」

紅竜「だから、今のうちに私を殺そうとしてるんだよね?」

蒼竜「……」



蒼竜「……そうよ、悪い?私だって死にたくないの」

紅竜「秘術を使えば死なないんじゃなかったの?」

蒼竜「……」

紅竜「良いことばっかりってわけじゃ、無さそうだね」



蒼竜「……まあ確かに秘術にも弱点はあるわね?」


紅竜「レベルの高いドラゴン同士だと、属性が有利な方が勝つ」

蒼竜「……当たり前でしょ」

紅竜「これには決定的な理由がある。それは……」


紅竜「……秘術は、弱点を突かれると発動できない…もしくは、ダメージが通るから」


紅竜「でしょ?」

蒼竜「……」


紅竜「もし私が火竜の秘術・炎化が出来たとしても水竜であるあなたには関係なかった」


蒼竜「あは!!だから何だっての!?あなたは必死に自分が勝てない理由を並べてるだけじゃない!!!!」


紅竜「ううん、これで分かった事が一つだけあるんだよ」





紅竜「私が水属性に弱いように………あなたは雷属性にめっぽう弱い」





蒼竜「……はっ!分かったところで今のあなたにはどうすることも……」



紅竜「……魔力の圧縮完了」バチッ


蒼竜「……え?」








紅竜「雷撃」

ちょっと今日はここまです

読み返して整理してたらすげー時間かかった
とりあえず投下します


バチバチッ……

蒼竜「……ふーん、雷魔法覚えてたんだ」パキ…パキ…


紅竜「うそ、どうして効かないの……」


蒼竜「だから私はドラゴンで唯一、2属性を持ってるドラゴンなのよ…つまり」


蒼竜「"水化"ではなく……このとおり、"氷化"なら……雷属性は弱点にはならないわ」パキン!

蒼竜「ま、弱点じゃなくなるってことと、防御力が上がるだけなんだけどね~。あなたのその付け焼刃程度、痛くも痒くもないわ」

紅竜「氷化……そんな……」

蒼竜「さて、そろそろおしまいにしましょうか」ヒュォォォォオ……


魔王娘「あううっ!!」パキパキパキパキ……


紅竜「ま、待って!!」

蒼竜「……はぁ?」


紅竜「そ、その娘は関係ないから……離して……」

魔王娘「紅竜…ちゃ……」


蒼竜「いやよ、攻撃されたし」


パキン!

魔王娘「あ―――」




紅竜「魔王娘ちゃん!!!」

蒼竜「……さて」




蒼竜「……一応まだ解氷できるわよ?」

紅竜「ならっ!!」

蒼竜「…………あなたがすべきこと、分かるわね?」

紅竜「……わ、かった……」スッ


スタスタ…


紅竜(兄さん、ごめん……)


蒼竜「ふふ、絶対零度」ゴォォ…


紅竜「お願い……その娘は……友達だから……」カチ…カチ…


蒼竜「馬鹿ね、解氷してあげるとは一言も言ってないのに」


紅竜「……ううん、あなたは……」パキパキ……


紅竜「本当…は…」ニコ


パキン……


紅竜「―――」


蒼竜「はい氷像の出来上がり……なんで笑ってんのよ……」


魔王娘「―――」


蒼竜「ふん、まんまと騙されちゃって……始末完了、魔王様の所に帰りますかね」








蒼竜「……」







魔王娘「……う……あ、れ?何が……そうだ、紅竜ちゃん!紅……」コンッ

紅竜「―――」

魔王娘「……えっ?」


魔王娘「紅、竜……ちゃん……」ピトッ

ヒヤッ

魔王娘「っ!!」


魔王娘「そんな、あ…う……ううう……」グスッ

魔王娘「ひっく、うう、うぇ…うぇぇぇぇ……」







バサッ!バサッ!

蒼竜(…………ふん)



ー妹サイド・老魔法使いの家ー



妹「ここは……」

老魔法使い「儂の家じゃ」

妹友「あの~…急がないと……」

老魔法使い「黙ってついてこい」

妹友「はぁ……」


エルフ男(なあ、俺らもついてっていいのか?)

エルフ姉(何も言われなかったし、いいだろ)


老魔法使い「ああ、お主らはちょっと待ってといてくれるか」


エルフ姉「ダメだったな」

エルフ男「そうだな」


ガチャ

妹友「ぉおー、これが老魔法使い先生の自宅……」

妹「あれ、先生って、日和族なの?それとも……」


老魔法使い「……人間じゃよ、因みに日和族族長と同い年じゃい」

妹友「ええ!」

妹「でも、『爺さん』って……」

老魔法使い「あやつが初めて会ったときに爺さんと呼び始めてからずっとそうなのじゃ」


老魔法使い「っと…閑話休題、このオーブに触れるのじゃ」

妹「はい」

妹友「ほいほい」

老魔法使い「うむ……」スッ



バシュッ!



妹友「おお…」

妹「…転移?転移はできなくなったんじゃ……」

老魔法使い「オーブは魔力保有力が強い。あんなのには引っ張れんよ」

妹友「この状況でも、オーブは使えるんだね」

老魔法使い「オーブしか使えん、という事だ。それにオーブは貴重品じゃしの」

妹友「なるほどー」


妹「それにしてもここは……地下?」

老魔法使い「ほれいくぞ」


ガチャ


妹友「お?」

妹「……ここって……」



妹友「……図書館!?」

妹「なんでここに……!?」

老魔法使い「……学校にメテオが落とされた時、兄と側近殿でこの場所を転移させたのじゃ」

妹「……転移できるからって言って、紅竜ちゃんに乗らなかった時か……」


老魔法使い「ここはとても大切な場所なのじゃ」


妹友「そんなになの~?魔法書とか催眠暗示がデフォルトでかかってるとしか思えないよ~」

妹「妹友……敬語使いなよ……」

妹友「あ!ごめ…すいません!!」

老魔法使い「……まあよい……教えよう。図書館の、真の存在理由を……」バッ!





老魔法使い「継承儀式・展開」


ゴゴゴゴゴッ!!!



妹「……えっ!」

妹友「わわっ!」


ゴゴゴゴゴゴゴ……


老魔法使い「この図書館はな、勇者継承の儀式を行う場所なのじゃ」

ヒュンッ!

バサバサバサッ!!

ガタガタガタ!!!


妹友「わわわわわわ!!!」

妹「勇者……継承……」



ガタンッ!!



妹友「……おぉぉ、すごい儀式っぽいのができた……」


老魔法使い「さぁ、中心へ」


妹「ちょ、ちょっと待って!ください!」

老魔法使い「む、不満か?勇者を目指すという志は虚心じゃったのか?」


妹「いやいやいや!!え!?今勇者になるんですか!?」



老魔法使い「そうじゃよ?勇者になりたいのじゃろう?ならばなりなさい」


妹「え!!今!!??」


老魔法使い「今、ここで……じゃ」


妹「だって、勇者は学校のトーナメントで決めるんじゃ無いんですか!?」

老魔法使い「まあの。あれはな、強いものが勇者となるのでは無い」

妹友「えっ」

老魔法使い「勇者の資質を持った者が、必然とトーナメントを勝ち進んでくるだけなのじゃ」

妹「でも私…Sランクにはまだ遠いし……」


老魔法使い「じゃから、トーナメントを勝ち進まなくとも、勇者に成れるなら成れるんじゃよ」

妹友「ええっと?先生!よく分からないのでもう一度お願いします!!」

老魔法使い「お主…よくBランクを維持できたのう……つまり」

妹友「つまり?」



老魔法使い「こやつは勇者になれる。」



妹「…………」ジワッ

妹友「おおお!!やったじゃん妹!!」



妹「……なれるの?勇者に?魔王を、倒せるの?」ポロポロ


老魔法使い「うむ。トーナメントを見てきた儂が保障する」



老魔法使い「お主は力を開花してから勇者になるタイプではない」

妹友「え、なんですかそれ?」

老魔法使い「……先代勇者……こやつの父親は、入学した当時は普通だったが……」

老魔法使い「剣術や魔法を覚えた途端に化け、力を開花……勇者の資質を持っている事が分かった」

妹「お父さん……」


老魔法使い「逆にお主は、今でこそ努力でAランクまで上り詰めてはいるが……まだ氷山の一角でしか無い」

妹友「氷山の一角て……まじか」

老魔法使い「じゃから儂は、このまま待つより外からの刺激を与えた方が良いと考えたわけじゃ」

妹友「へぇ…じゃああのさ!もしあたしがこの勇者の儀式やったらどうなるの!?」

老魔法使い「んーそうじゃなあ……」





老魔法使い「はじけ飛ぶ」

妹友「ひょ?」

ここまですー



老魔法使い「勇者となれないものが勇者継承を行うと、反動が来て内部から破裂する」

妹友「わお……」



妹友「………え、じゃあもし妹が勇者の資質を持ってなかったら……」

老魔法使い「ああ、はじけるかもしれぬな」


妹友「……ちょっ」

妹「妹友」

妹友「あ、危ないよ!!死ぬかもしれな」

妹「妹友!」

妹友「う……」ビクッ!


妹「覚悟はできてる……し、先生だってトーナメントを見て判断した…んですよね?」

老魔法使い「うむ」

妹友「……そう、だね……うん…ごめん!」

妹「よし……お願いします!」


老魔法使い「よし、まず今持っている武器を外しなさい」

妹「…妹友、持ってて」ガチャ

妹友「うん!」

老魔法使い「中心へ」


妹「……はいっ!」


妹友(……もしかしてあたし、すごい場面に直面してる?)


老魔法使い「……勇者、継承」キィィイイン!


ブワッ!!


妹友(うわっ!本棚が消えた!?てか空!?、宙に浮いてる!!ここどこ!!??)


妹「……」


妹友(妹!!……目を瞑ったままだ……何かを感じてるの…?)


妹「……っ!!」バッ!

妹友(腰の横で抜刀するように構えた…?でも、妹の剣は私が持ってるし……え?)


ズズズズズズズ……


妹友(鞘が出来た!?)




老魔法使い「……成功じゃな」



妹「っはああああああ!!!」グッ!


妹友(それでも鞘に剣が無いのに…まるで剣があるかの如く掴んでる……)


老魔法使い「そのまま引き抜くのじゃ!!」


妹「ああああああああああ!!!!」グググッ!


ズ ズ ズ ズ ズ ズ


妹友(っ刀身が!現れて…!?)


妹「はあっ!!」


チャキンッ!!!!


ゴォオン!!!!

妹友「わっ!も、元の場所に戻った……」


妹友「あっ妹!大丈……」



キィィィィン……

妹「……」


妹友「…その剣は……」


老魔法使い「勇者剣の創生に成功したようじゃな。おめでとう。これでおぬしは……」






老魔法使い「勇者じゃ」


妹「これが……勇者の……剣……」

フィィィイイン……



老魔法使い「その剣は代々勇者の……内なる力によって創生される」


老魔法使い「その効果は勇者によって様々。雷を呼ぶ剣であったり、地を裂く剣であったり」

老魔法使い「お主の剣はどの様なものかはまだ分からぬが……だがしかし」

老魔法使い「その剣こそが勇者の象徴……改めて」



老魔法使い「そなたに勇者の称号、授けよう。」


妹「……はいっ!!!」グスッ


妹友「すごい……すごいよ!!!」





老魔法使い「さて次はおぬしじゃ」

妹友「…え?」


妹友「えーと…あの?」


妹「落ち着いて!大丈夫だから!」


老魔法使い「準備はいいかの?」


妹友「まてまてまてーーーい!!どうして今度はあたしが中心に立ってるの!?勇者継承終わったでしょ!?」


老魔法使い「まぁまぁ」

妹友「まぁまぁって何!?ちょっと!武器は外すんじゃないの!?妹の剣持ったままなんだけど!!」


老魔法使い「開始」キィイン!


妹友「聞けよおおおおおおおおおおお!!!」



キィィイイ……


妹友「妹の剣が……光って……なにこれ……」


キィンッ!!!!


妹友「わっ!!!」



妹友「……この剣は……」


老魔法使い「聖剣の出来上がりじゃ」


妹友「え…聖剣!?え、今ので!?」

妹「すごい!」


老魔法使い「うむ。その剣はおぬしと同化して」

妹友「同化したの!?」

老魔法使い「まあ、気持ち的にの」

妹友「!!??」


老魔法使い「なんやかんやでこの図書館の持つ魔翌力をその剣に纏わせたのじゃ。しばらくこの図書館は使わんしの」

妹友「今さらっとすごい事を端折った気がする」


老魔法使い「その剣は、おぬしと同化した事により、おぬしが"敵"と思っているものに対し絶大な力を持つのじゃ。」

妹友「はぁ……」


老魔法使い「ぐだぐだ言ってないで喜べ」

妹友「あれ、なんか妹と扱いが全然違うんですが気のせいでしょうか」

妹「気のせいだよ」

妹友「ううむ……ってか妹の剣もらっちゃった感じなんだけどいいの?」

妹「いいよ!私には新しい剣があるし……聖剣となった私の剣、大事に使ってね!」


妹「戦士さん♪」


妹友「お……おう!!」

ぐわ意識飛んでた…待っててくれてた方すみませんここまでっす

お待たせしました




ガチャ

妹「すいませんお待たせしました!」


エルフ姉「…お、出てき……た?」

エルフ男「……ふむ、これは凄まじい魔力だな…」


妹友「やーまさか勇者になっちゃうなんてねー」

妹「あは、非公式だけどね」


エルフ姉「……勇者?」


妹友「そうなんですよ!!」

妹「勇者継承……しちゃいました」




エルフ姉「ほー、どうりで……」

妹「どうしたんです?」

エルフ姉「いや、なんでもねぇ…つか、勇者ってそんなほいほい出現するのか?」

妹友「どゆこと?」

エルフ姉「ほら、勇者一行と戦ったじゃねぇか俺ら」

妹「……あ」


老魔法使い「…どういう事じゃ?」

妹友「先生…」

妹「…実は…………」







老魔法使い「そやつは勇者ではない」


妹・妹友「えっ!!??」

老魔法使い「勇者継承をするにはほれ、図書館で儀式の間を起動せねばならん」

老魔法使い「その起動方法を知っておるのは儂と王子殿だけじゃ。そしてその王子殿は行方不明」

老魔法使い「前回は王子殿と共に先代勇者、お主の父の勇者継承をした。そして次は今回の勇者継承、この二回しか覚えは無い」


妹「……つまり」



老魔法使い「偽物じゃな。おおかた退魔大臣が強引に勇者と名乗らせたのだろう」


エルフ姉「じゃ、こっちが本当の"勇者一行"ってことになんのか?」

老魔法使い「そういうことじゃな」



エルフ姉「……方や国が認める偽物勇者、方や国に追われる本物勇者……か」



妹「……国に認めてもらうだとかは、もういいです。私は魔王を倒すだけの力を手に入れれば……」

妹友「っと、魔王を倒すのはいいけど、まずは妹のお父さんお母さんを助けるのが先だよね」

エルフ男「魔力無効水晶群を探すんだったな」

妹「あ、そうだったね!行こう!老魔法使い先生!ありがとうございました!!!」





老魔法使い「うむ、人間界と魔界……任せたぞ」



ー洞窟奥地ー


側近「……」ダラン

紅友「友、さん……」ブツブツ

???「この鬼族が友とやらに危害を加えて、コイツが激昂したってところかな」


???「……友とやらが近くに居たりするのかね」



???「……日和族か……」

紅友「……ぅう……うあああああああ!!」ガバッ!!

???「おっと」ガシッ

ダンッ!

紅友「うがああああああああ!!!!」バタバタバタ!!

???「…暴れんじゃないよ……深呼吸しな」

紅友「ううううあああああああ!!」

???「大丈夫、深呼吸だ……息をすることだけに集中しろ」



紅友「あうああ……う……」

???「ほら吸って」

紅友「……」スゥゥ…

???「吐いて」

紅友「……」ハァァ……

???「……私の言葉がわかるな?」

紅友「あう……」

???「…よし、君の名前は?言えるか?」

紅友「……………紅友」

???「紅友ちゃん。君は…日和族だね?」

紅友「……ちが……う」

???「いいや違わない。君は正真正銘、私の血が濃く出た日和族だ。」

紅友「…あなたの……?」


???「うん。私の名は吸血鬼。言うなれば……」




???「日和族の始祖ってとこだ」



紅友「始祖……吸血鬼?」

吸血鬼「話せるようになってきたね。じゃあちょっと昔話を聞いてくれるかい?」

紅友「……はい」




吸血鬼「大昔、サキュバスという種族があった。その種族は魔力の扱いに長けた種族で、魔力吸収という特異な性質を持っていた」

吸血鬼「その中で、ある時サキュバスに突然変異が生まれた」

吸血鬼「そいつは、魔力と肉体が極端に結びついていた。魔力⇔肉体の変換を瞬時に行う化け物だった」

吸血鬼「魔力に"味"を感じていた」

吸血鬼「ゆえに、他の生物の魔力を吸い殺すのがそいつにとっての快楽だった」


吸血鬼「……その行動は、他の魔族の怒りを買った」

吸血鬼「元々疎まれていたサキュバスという種族は責任を問われついに、殲滅された」

吸血鬼「しかし当の本人は逃げた。仲間も何もかもを捨てて」



吸血鬼「人間界へ。」



吸血鬼「逃げるのは容易かった。何せ肉体を消して魔力だけで移動できるのだから。」

吸血鬼「それからというもの、そいつは人に紛れて生きた」

吸血鬼「そいつは学んだ。殺さない事を」

吸血鬼「人から魔力を少しずつ吸いながら生きた」

吸血鬼「いつしかその町では、吸血鬼が出るという噂が生まれていた」





吸血鬼「…そう、その吸血鬼というのが、私」







吸血鬼「そして人間と生活をしている内に私は」





吸血鬼「恋をした」



吸血鬼「生まれて初めて恋をした。」

吸血鬼「相手は、人間界に来て右も左も分からなかった私を拾ってくれた16歳の男の子だった」

吸血鬼「彼の家はしがない農家で裕福では無かったが、私を家族として受け入れてくれた」







吸血鬼「そして一緒に暮らすうちにいつしか本当の家族になっていた」






吸血鬼「私は思い切って、噂になっている吸血鬼が実は自分なんだと告白した」

吸血鬼「かなり驚かれた。当然だろうね、人間ではなく魔族だったのだから。しかし愛する人に嘘をつきたくなかった」


吸血鬼「……彼は理解してくれた。理解した上で変わらず私を愛してくれた」



吸血鬼「子どももたくさん産まれた」


吸血鬼「幸せだった」


吸血鬼「しかしその子達は人間では無かった」

吸血鬼「外見は人間そのものだったが、高い魔力が特徴なだけの魔族だった」



吸血鬼「これが、日和族の始まり」



吸血鬼「最初の100年は色んな事があった」

吸血鬼「私たちの正体がバレて魔界に移ったり、受け入れられてそのまま人間界に住み続けた事もあった」

吸血鬼「私が正体を隠す事でなんとか他の魔族に、嫌われながらも新魔族として受け入れられた」

吸血鬼「……夫はとっくに寿命を終えていた。夫だけは普通の人間なのだから…」



吸血鬼「私は夫の死の事もあり、魔界へ戻り隠れ家を作り、半永眠…50年単位の冬眠みたいなもの…で」

吸血鬼「寝ては起き、寝ては起きを繰り返していた」



吸血鬼「その間日和族は、魔界でも人間界でも増えていった。」



吸血鬼「……私が気づいたのは、二回目の半永眠から目覚めた時。」




吸血鬼「魔界にも人間界にも、食人族という新しい魔族が蔓延っていた」

吸血鬼「……私のせいだと、直感したよ」



吸血鬼「初代日和族や2代目あたりまでは、異質な魔力を持つ私の血を耐える事ができていた」

吸血鬼「…しかし代を重ねるごとに、私の血に耐えることができなくなっていった」


吸血鬼「完全に魔力に負け、食人族へ変化してしまう者が次々に現れていた」


吸血鬼「そして日和族は魔界へ移り、人間と関わる事をできるだけ避けるようになった」



吸血鬼「……わかった?日和族・食人族は全て、私の子孫なの」


紅友「え、と……とりあえずいいですか」

吸血鬼「なに?」



紅友「ということは私のひいひいひい………おばあちゃんって事ですよね?年いくつなん」

ドゴムッ!

紅友「…………お、女の子に顔面パンチって結構容赦無いですね……」ボタボタボタ


吸血鬼「私の子孫だろ、そんぐらいすぐ治る」


紅友「そだ……どうして何もしてないんですか?日和族がこうなったのはあなたのせいなんでしょう?」


吸血鬼「君、結構ぐいぐい来るね!私だってどうにかできるならどうにかしたいよ?子孫だもの」

紅友「なら……」

吸血鬼「…私には、食人族化してしまった奴を安楽死させてやることしか思い浮かばなかったよ」

紅友「……」


吸血鬼「あ、少なくとも君にはかなり興味がある。食人族化しておきながら意識がはっきりしているからね」



紅友「いえ、私は無我夢中で………そうだ!!」

吸血鬼「ん?」

紅友「こんな事してる場合じゃなかった!友さん…っ!」

吸血鬼「まて」ガシッ

紅友「離してくださ……ウ…アアアアアアア!!!」

吸血鬼「あーもー!!落ち着け!!魔力吸収!!」ズッ!


……


紅友「……すいませ………はぁ、はぁ……」

吸血鬼「いいか、興奮するな。冷静になれ」

紅友「…本当は…対処法……知ってるんじゃないですか……?」

吸血鬼「いや、本当に知らない。ただな」





吸血鬼「君は、若いときの私に似ているんだ」



吸血鬼「これは既に試した事なんだけど、食人族化した奴の魔力を奪うと症状が緩和する」


紅友「……知ってます」


吸血鬼「ああそう。でも魔力を奪ったからって解決なんてしないんだ」

吸血鬼「魔力を奪われて……"落ち着く"って所が一番重要なのさ」


紅友「……」


吸血鬼「確か食人族化するのは16歳の誕生日だっけ?」

紅友「……私は少し早かったですけど」


吸血鬼「うん。それは心臓の鼓動がトリガーだからなんだよ」


紅友「え」



吸血鬼「ほら、16歳の誕生日って言ったら、結婚できる年だよね?」

紅友「…そうですね」

吸血鬼「ドキドキするでしょ?」

紅友「……鼓動の、速さ?」


吸血鬼「まーおおむね当たり。…鼓動の総数・速さが食人族化のきっかけなのね」

吸血鬼「前提となる総数に来るのが大体16~18歳、その後は鼓動の速さがトリガーになる」

吸血鬼「君は少し早かったって言ってたね……大方好きな人でもできてドキドキしたから早まったんだよ」


紅友「!!!!!っそ、そんなことウアアアアッ!!!」バサアッ!


吸血鬼「あ、図星だった…ほら落ち着いて、深呼吸」

紅友「ひっひっふー」シュゥゥゥ


吸血鬼「……それは違う……まあいいや」

とりあえずここまでっす
待ってくれてた人ありがとう

お待たせしました、今夜投下しまっす!



吸血鬼「それでね、急激な魔力が湧き上がると興奮状態になるでしょ?だから余計食人族化が進んじゃうんだ」

吸血鬼「そしてそのまま心まで破壊されてしまったら、もう助けようが無い」

吸血鬼「だから、完全に手遅れな食人族は、安楽死させてやるくらいしか無い」


紅友「…そっか」

吸血鬼「本当は食人族化の対処なんて無いよ。だって、それは自分なんだから。」

紅友「……本当は?」

吸血鬼「私がずっと眠ってたから最近の事は知らないだけ。治す方法見つかってる?」

紅友「いえ、それは…日和族の方々が頑張ってくれてるはずです」

吸血鬼「そか…」

紅友「それより本当にあなたはその……私のご先祖様なんですか?」


吸血鬼「……まぁ、百聞は一見にしかずって人間界じゃ言うよね。んしょ」スクッ

吸血鬼「見ててね」


紅友「はぁ……」




吸血鬼「……がぁっ!!!」バサァッ!

ビキビキ……


紅友(赤い瞳…鋭い牙・爪…コウモリのような翼……)


吸血鬼「……そっくりでしょ?食人族に………食人族化した、君に」

紅友「……」


吸血鬼「私もね、見境なく襲う時があるんだ」

吸血鬼「私が眠りから覚めた時とか、特にね」チラ


紅友「あっ!?側近さんっ!!」


吸血鬼「え、知り合いなの!?」

紅友「無事なんですか!?」

吸血鬼「殺しあってたのに相手の心配かよ……生きてるよ」

紅友「そっか……そうだ!友さん!!」

吸血鬼「なんだなんだ!?」

紅友「すみません私戻らないと!」

吸血鬼「……ふーむ?」



ー洞窟の外ー


吸血鬼「んあ、眩し……」

紅友「…あれ、吸血鬼って日光がダメなんでしたっけ?」

吸血鬼「そんなわけないよ。私は普通に人間と暮らしてたし。それは多分、魔力をもらってた時はいつも夜だったから、そういう噂が広がったのよ」

紅友「そうなんですか……」

吸血鬼「で、急ぐのか急がないのか」

紅友「急ぎます!!」タタッ!

吸血鬼「……」フッ!



パッ!

吸血鬼「待て」

紅友「わっ!」

吸血鬼「急ぐなら食人族化……いや、吸血鬼化した方が早いよ?練習にもなるし」

紅友「吸血鬼化…」

吸血鬼「それともまた暴走したいか?」

紅友「……」フルフル

吸血鬼「よし、じゃあまずは―――」


紅友(その瞬間移動は特有魔法…なのかな……)



バサッバサッ


蒼竜(時間かかってしまったわね……側近様…まぁ、あんな奴らすぐに……)





バサッバサッ

蒼竜(……あれ)



スーッ

ボンッ!スタッ!


蒼竜「争った形跡はあるけど誰もいないじゃない……もしかして側近様、魔王城に戻ったのかしら…ん?」



蒼竜「……あっは!なにこれ!石像じゃない!!何故かターゲットも居るし」

兄「……はぁ……はぁ……」


蒼竜「……生きてるってことは……失敗したのね……仕方ない、尻拭いを――」コォォ…



紅友「ハアアアアアアーーーッ!!!」バサァッ!!

蒼竜「!!!」バッ!!


ドゴォン!!!


紅友「この人達に、近づくな……」


蒼竜「……あんたが、側近様を?」

吸血鬼「んにゃ、正確には私かな」


蒼竜(!!…いつの間に後ろに!!??)バッ!!



紅友「兄さん!友さん!……友さん!!???」


兄「その、声は……紅友か……友は……あのままだと確実に死にそうだったから……石化させて…時を止めた……」

兄「すま……ねぇ」

紅友「何言ってるんですか……あなたも死にそうじゃないですか……ありがとうございます……」パァァ…

兄「この、感じは……治癒…魔法か」

紅友「はい…吸血鬼化した今なら、かなり治癒できますよ!」

兄「吸血鬼化……て、なん……」ガクッ

紅友「あ、兄さ…」

兄「すぅ、すぅ……」

紅友「……脅かさないでくださいよ……」


蒼竜「…何、あんた達……食人族レベル3が2体?しかも普通に意識あるなんて」


吸血鬼(それにしても……あの子の上達速度は良いね…好きな人のためかな?♪)

吸血鬼「さあ、なんでだろーねぇ?力ずくで聞いてみたら?」

蒼竜「……いいだろう!!」ヒュォオオオオ!!


吸血鬼「遅いなあ」パッ


蒼竜「なっ!?」

吸血鬼「いただきまーす♪」ガブッ!

じゅるるるるるる!!

蒼竜「ぐ、ああああああああああっ!!水化!!」バシャアッ!

吸血鬼「…む」



ズズズズ…


蒼竜「はあ、はあ……」

蒼竜(なんだこいつは!?あの一瞬で魔力が一気に……)


吸血鬼「…うま♪君ドラゴンかあ♪」ニタア


蒼竜(魔力吸収!?魔王娘以外で……っ分が悪い!ここは一旦…!)バサアッ!

吸血鬼「えー逃げるのー?♪」

蒼竜「氷霧!!」ボフゥッ!!

吸血鬼「……む」パキ…パキ…

吸血鬼(ただの霧じゃない……凍らせる霧か……)


吸血鬼「よっと」バサアッ!!


バサッ!バサァッ!!


吸血鬼「……逃げられた」





ー洞窟・奥地ー


吸血鬼「……さて、とりあえず運んできたはいいものの」


側近「……」

兄「……」

友(石像)「……」


吸血鬼「…しっかし、本当に生きてるのこれ?」コンコン

紅友「あの、あんまりいじらないでくださいね……」

吸血鬼「あいよー……そろそろさ、君の事も教えてくれない?」

紅友「……さっきの…追っ手は……」

吸血鬼「ああそれは安心していいよ、ここは"大丈夫"だから」



紅友「そ、そうなんですか……でも兄さんの治癒をもっとしないと……」

吸血鬼「兄ってのはこの瀕死の奴だよね?」

紅友「は、はい…そうですけど……」


吸血鬼「んしょ」ブシャッ!


紅友「ちょっ何で手首切ってるんですかっ!!」

吸血鬼「何でって、兄って奴に血ぶっかけるためだけど?」ボタボタボタ

紅友「いやいやどうして」


吸血鬼「食人族…もとい吸血鬼の血を体内に入れると、一時的に吸血鬼になる」ボタボタボタ…

紅友「あ……」

吸血鬼「そうすりゃ、傷なんて一気に回復しちゃうよん」


シュゥゥゥ……

兄「う……こ、こは……」

吸血鬼「な?」

紅友「よかった、兄さん………」



……


吸血鬼「なるほど、現状はなんとなく把握した。つまりこの鬼族は今の魔王に操られてる可能性があると」

兄「正確には、魔族契約かな……」

紅友「そうだったん…ですか」

兄「側近に襲われた時紅友ちゃんが助けてくれなかったら、今頃全員死んでたよ…ありがとう」

紅友「私は…無我夢中で……」


吸血鬼「それで?これからどうすんの、元魔王さま?」

兄「……あなたには、紅友にもっと吸血鬼化の制御を教えてあげて欲しい」

兄「あなたの存在が、紅友の存在が、日和族を救う光だ」


吸血鬼「……ふふ、はいよー」

兄「はは、まさか日和族の始祖だなんてな……」



紅友「そだ、紅竜ちゃんと魔王娘ちゃんも探さないと!!」


兄「……君らは、蒼竜とやりあったんだよな?」

吸血鬼「蒼竜……あのドラゴンか」

兄(……逃げ切れているのならいいが……もし……いや、信じるんだ)


兄「とにかく当面としては、皆の事は俺にまかせて、紅友ちゃんはしばらくここで力の使い方をマスターして欲しい」

紅友「いいんですか?」

兄「ああ。そうすりゃ日和族としての大きな希望になるし………大切な人も守れるようになるだろ」チラ

友「――」

紅友「あ……わかりました!」



吸血鬼「君はどうするの?」

兄「……まずは紅竜や妹達と合流して、早く石化解除の為の魔力無効結晶探しと……」

兄「"魔王"を奪還して、側近を助けたい。恐らく側近は魔王と魔族契約していると思う」

兄「これを解除するには…"魔王"になって、強制的に契約破棄させるしかない」


紅友「……その間側近さんは?」


兄「…悪いけど、頼んでもいいか?今の俺じゃ、目を覚ました時とても太刀打ちできねぇ……」


吸血鬼「んじゃ起きたら魔力吸えばいいの?」

兄「死なない程度に……お願いします」

吸血鬼「あいあいさ」



吸血鬼「……ところで、さっき魔力無効結晶って言ったか」ゴソ

兄「ん?ああ言ったけど」




吸血鬼「これの事か?」ゴト



兄「……え」


吸血鬼「私がここを半永眠の場所に選んだ理由は、この洞窟が魔力無効結晶を程よく含んでいるからなんだよ」

吸血鬼「ここに居れば都合よく魔力を消化してくれて、外からは単なる洞窟にしか見えないのさ」

吸血鬼「眠ってるときに発見されて何かされたらたまったもんじゃないからね。ここは最高の隠れ家に――」


兄「あの!!!」


吸血鬼「うおっ!」

兄「……コレ、最大でどのくらいの大きさがありますか!?」

吸血鬼「え、えーと……ここは大体1m四方かな……」

兄「……厳しいか……」


吸血鬼「……石化解除に必要な大きさがあるのか」

兄「ええ、人がその魔力無効結晶の部屋の中に入れるくらいの大きさが必要です」

吸血鬼「でかすぎでしょ……ん?」

兄「……心当たりが?」

吸血鬼「うーん……たしか……あ」


 「ほら、きれいだろう?君にこれを見せたかったんだ」

 「え…と……それでだ……君さえよければなんだけど……」

 「ぼ、僕と――」


吸血鬼「………」カァァ

紅友「え、どうしたんですか?」


吸血鬼「……知ってるけど……教えたくないな……」

兄「…友や日和族の人たちの命がかかってるんだ!教えてくれ!!」

吸血鬼「はぁ……分かったよ……」




吸血鬼「……巨大魔力無効結晶は、人間界にある」




兄「……まじか」

紅友「意外です……」


吸血鬼「場所は……あれ?場所……」

兄「…もしや」

吸血鬼「……すまん、詳しい場所は覚えてない……悪い」


兄「……いえ、ありがとうございます!その情報だけでもかなり大きい!」

兄「さっそく妹達に教えないと!……友も側近も、絶対助けてやるからな」

紅友「…頑張ってください!気をつけて……」

兄「おう!」ダッ!!



タタタタタ……


兄(確か妹達は日和族の里に転移したんだっけ……随分時間たったからわからんが)


兄(友と紅友の言う追っ手とやらが気になるが……いや、どうにかしてでも会わないとな)


兄(魔力は…3割くらい戻ったかな……)


兄(妹…妹友…紅竜…魔王娘……皆無事だろうか……)



……


紅友「……なんで教えたくないんですか?」


吸血鬼「………………プロポーズの場所だから」


紅友「ああ……それは仕方ないですね……」


吸血鬼「……さて!修行するかい?」

紅友「はい!よろしくお願いします!!」

ここまでっす

お待たせしました!今晩22時くらいから投下します



ー日和族の里ー


妹「……」

妹友「どしたん?」

妹「やっぱり、皆を助けに行きたい!」

エルフ姉「……」

妹「魔王城が変なことになってるのも気になるし……」

エルフ姉「ま、好きにしなよ?俺は今勇者サマのお供だしな」

妹友「……エルフ姉さんて、魔王とか勇者とかどう思ってるんですか?」

エルフ姉「ん?あー……いや実はよ、魔王とかどうでもいい奴にとっては結構どうでもよくてなぁ……」

エルフ姉「ほら、人間界でも王様がどうなろーと知ったことじゃねーって奴いるだろ」

エルフ姉「鬼族は結構魔王重視?だったと思うね」

妹友「なるほどー」

エルフ姉「魔族によりけりかな……それでも、目の前に王様が居たらビビるだろ?」

エルフ姉「最初に妹の兄…魔王様に会って紋章を見たときはマジにどうなるかと思ったぜ」


エルフ姉「最初は俺、人間に対して不信感はあったけど、お前らと会ってそれは無くなったし」

エルフ姉「それに先代勇者は、魔者は殺さなかったらしいし。これは他のエルフ族から聞いた話で、その時の俺は信じて無かったんだけどな」

妹「お父さん……」

エルフ男「俺も、エルフ族が平和ならそれでいい…で、俺達は何すればいいんだ?」


妹「あ、はい……友さんと紅友ちゃんの魔力って探せますか」

妹「私たちが出会ったあの偽勇者パーティー……後二人居たはず」


―――――――

S盗賊『俺とこの人と、戦士と女魔法使いで勇者パーティーさ』

妹友『勇者パーティー……』

S盗賊『そう俺Sランク。今は居ないけど、後の二人は称号持ち』

―――――――


妹友「そういえばそうか」

妹「あの場に居なかったって事は…」

妹友「友さん達が……っなら急がなきゃ!!」



エルフ姉「じゃあ俺達がやる仕事はまず友と紅友を探すことと、ついでに結晶探しか」

妹「お願いします!」


エルフ姉「ふぅ……特有魔法、広域魔力探知!」キィン!

エルフ姉「………」


妹「…え、エルフ姉さんの広域魔力探知って大体半径100mくらいじゃないんですか?」

エルフ男「説明しよう。確かに、“全域”に魔力探知を広げれば半径100mの円の範囲を一気に探知できる。」

エルフ男「ただし“全域”ではなく“一方方向”に探知を広げれば別だ。なんつーか……コイツの探知は面積なんだよ」

エルフ男「だから今みたいに、視る幅を肩幅程度にして伸ばせば……約60km先まで探知可能だ」

妹友「すごっ!!」

エルフ男「んで、少しずつ方向を変えていけばかなりの範囲を探知できる」


妹「あ、これで魔力無効結晶も?」

エルフ男「ま、そーゆーこっちゃな」



エルフ男「だからエルフ姉は、エルフの里の見張り担当だったのさ」

妹「なるほど……」

エルフ姉「おまえら気が散るから少し黙れ」


妹・妹友・エルフ男「「「はい」」」



……



エルフ姉「……ん?」

妹「何か分かりましたか!?」


エルフ姉「魔王様の魔力を探知した」


妹「お兄ちゃんの?じゃあもしかしたら…」

エルフ姉「いや……なんか一人みたいだ……それに魔力…かなり減ってる」

妹「えっ」

エルフ姉「方向的には、こっちに向かってるっぽいな……」

妹友「じゃあこっちも行きましょう!」

エルフ姉「だな。合流して現状を報告し合った方がいいだろう」



ー魔王城・魔王の間ー


魔王「……遅い」

邪鬼「ですねぇ…」

武闘家(……)


ガチャッ!


魔王「…む」

武闘家「お、蒼竜」


蒼竜「魔王様!」

魔王「どうした、始末したのだろうな?」

蒼竜「それが……側近様もターゲットも居なくなってまして……」

魔王「何故だ?同行していたのだろう」

蒼竜「……申し訳ありません、紅竜との戦闘で側近様と離れた時に……」

魔王「紅竜は」

蒼竜「もちろん、氷漬けにしました」

魔王「ふむ……」



魔王「…おい邪鬼」ズッ!

邪鬼「はっ……は!?」キィン!!


魔王「……我の命令は絶対だ…いいな」

邪鬼「……はい…」


蒼竜(強制魔族契約……なぜ?邪鬼は魔王様に服従していたはず……)


魔王「蒼竜よ、お前魔族契約のできぬドラゴンで良かったと思っているか?」

蒼竜「……お言葉ですが。魔族契約などしなくとも私どもは魔王様に従順です」

魔王「ふっ……まあそうだな。だが分かってくれ、側近の事があってから少し疑心になっておる…すまぬ」


蒼竜(……)


魔王「さて、魔王城に居るのも飽きた。運動がてら……我自ら兄とやらを殺しに行く」スタスタ

蒼竜「えっ!?」

魔王「邪鬼、ついてこい」ガチャ

邪鬼「ハッ!」

蒼竜「……魔王城はどうします?」


魔王「放置で構わん。魔界大結界で“固定”されている以上、例え魔王城が崩壊してもすぐに元に戻る」

武闘家「すげー」


バタンッ!


武闘家「……」

蒼竜「……」





……





武闘家「……」





蒼竜「……」





……





武闘家「魔王様、魔王城から降りたかな」

蒼竜「知らないわよ」



武闘家「確認するか」ゴソッ


蒼竜「……何それ。水晶玉?」

武闘家「えーと、魔王の魔力、と……ほっ」ブゥン!


蒼竜「……は!?壁に魔王様と邪鬼が映し出されて…!!」

武闘家「うん。今地上に降り立った所だな。さっすが、はええな」


蒼竜「武闘家!?」


武闘家「ああこれ、特注の魔力追尾水晶玉。世界に一つしかねーんだぜー?スーパーレアだぜー?」

武闘家「これに対象の魔力を記憶させれば、どこにいてもモニターできる。いやー便利便利」

蒼竜「……武闘家……もしかして」




武闘家「うん。もしかしなくとも俺、スパイ」


武闘家「おかしいと思わないか?人間なんかが魔王と一緒に行動できるかよ」

蒼竜「……それはずっと思っていたけど……」



武闘家「……俺の特有魔法……認識操作」



武闘家「俺はあの魔王に対して、“武闘家は仲間である”という認識をさせていた」

武闘家「でなければ人間なんかがあんな奴と行動できるわけないだろう」


蒼竜「……魔王様と国王が入れ替わった事、気づいていたの」


武闘家「そりゃそうだ。影からずっと王様を見てきたからな。仕草が違う事にはすぐ気づいたし、それに」

武闘家「この水晶玉で一発だよ。王様の魔力を探知してみたら、王室に居るはずの王様の映像は映らず、魔王の姿が現れたんだからな」



蒼竜「……殺し屋というのも」

武闘家「ああ、それは適当に俺が考えた」



武闘家「俺の本当の役職はな、王族護衛暗部だよ」

蒼竜「どうして本物の国王の護衛をしないの?」

武闘家「やー、その国王直々の命令でさ、親衛隊として潜伏しろってね」


蒼竜「……目的は何?」

武闘家「そりゃー魔界大結界を解く方法を」

蒼竜「違う」

武闘家「ん?」


蒼竜「何故今、私にそんな事をバラす?ずっと水面下で活動すればいいでしょ」


武闘家「……俺は別に、魔王の仲間として潜伏する必要は無かったんだけどな。元々護衛だし」

蒼竜「ならなおさら」

武闘家「理由は二つある」



武闘家「一つ目。なーんか、上層部の考えがおかしくなってきてるんだよな」

蒼竜「……」

武闘家「魔物を討伐する退魔大臣。王の次に決定権を持つ老婆。そいつらがなにやら魔族と人間との戦争を考えている」

蒼竜「……もしかして獣人族の村の虐殺っていうのは」

武闘家「ああ。退魔大臣が称号持ちやSランクの冒険者を雇ってやらせた」


武闘家「……あ、ちなみにスパイってのは王宮上層部に対してでもある」

武闘家「俺は国王直属だからな。退魔大臣も、俺の事は単なる親衛隊としか認識してないだろう」

武闘家「ま、そう認識させたんだがな」

蒼竜「……」

武闘家「だが、老婆には俺の特有魔法が効かなくてなぁ……奴の前では本気で演技するしか無かったんだ」

武闘家「だからバレる前に魔王と行動して離れたのさ」

蒼竜「老婆……あのやたら不気味な奴ね。覚えてるわ……あれ」


蒼竜「もしかして老婆には私たち……」

武闘家「ああ。多分見破られていた」

蒼竜「なのに何もしないって……」


武闘家「そう。お前らは利用されていたかもしれない」


蒼竜「……」




武闘家「んで二つ目は……蒼竜だ」

蒼竜「は?私?」


武闘家「言ったろ。興味あるってな。アレは嘘じゃない」

蒼竜「???」


武闘家「……単刀直入に言おう。俺はお前に惚れている。だからついていった」



蒼竜「……あぁ?」


武闘家「蒼竜が賢者に化けていたとき、結構楽しかったんだぜ?」


蒼竜「……人間ごときに相手するとでも?」


武闘家「まあいいさ。だがこれだけは言っておく」

武闘家「……蒼竜。魔王の下から離れてくれ。いずれ奴に裏切られる前に」



蒼竜「ふざけるな。私は魔王様の行く道を」


武闘家「さっきの強制魔族契約」



武闘家「邪鬼の最後…予想できているんじゃないか?」


蒼竜「…………」



武闘家「薄々勘付いているはずだ。奴は仲間をなんとも思っていない」


蒼竜「使えない奴が仲間なら私も捨てるけど?」

武闘家「……」スッ


ブゥン


武闘家「魔王と邪鬼を映し出しておく。兄との戦闘でさっきの強制魔族契約がどう使われるか……」


武闘家「見てから判断してくれ」


蒼竜「……」



……


タタタタタ…・・・



エルフ姉「……っな!!!」

妹「どうしたんですか?」

エルフ姉「魔王城から凄まじい魔力を持つ奴が降りてきた!…まてよ、あの魔力どっかで……」

妹友「なにごとー」



エルフ姉「……そうだ!トーナメントの時に見た王様の魔力だ」



妹「っ!!!」ピタッ!!

妹友「うわっ!急に止まらないで!!」


妹「アイツだ……私を国王殺しの犯人に仕立て上げた張本人だッ!!!!」ダンッ!!!


妹友「ちょっ!!」

エルフ姉「しまった!追いかけるぞ!」ダンッ!!




邪鬼「召喚・オーガの使い魔」ボンッ!!

オーガ使い魔「ギャァーッ!!」

邪鬼「行け」

オーガ使い魔「ギャッ!ギャッ!」バサバサバサッ!



……



兄「……む」ピタッ


ギャァーッ!ギャァーッ!


兄「オーガの使い魔……?オーガの森なんて無いはずだが……」


ギャギャッ!ギャギャギャ!!


兄「やべ、見つかった……まて、オーガの使い魔は動いてない物には反応しないはず……まさか!!!!」


兄「改造使い魔か!!おそらく魔王の……!」




魔王「ふむ、一人か。連れはどうした」



兄(馬鹿な!!索敵から出現が速すぎる!!!)


邪鬼「索敵後、転移魔法陣を展開する特殊な使い魔だ。良いだろ?」

オーガ使い魔「ギャ…ギャァ……」ピクッピクッ


邪鬼「一回使えば全魔力を使っちまうから使いきりタイプだがな」

兄「っ!……」

魔王「まったく側近め。魔族契約で力の底上げをしたにもかかわらず命令を実行できないとは」


兄(くそっ!!考えろ!どうすれば切り抜けられ――)


魔王「波動弾」ボッ


兄「ッ!!!」バッ!!!


ドォォオオオオン!!

兄「はぁっ!はぁっ……」

ブゥン

兄「魔法陣!?しまっ!」

今日はここまでっす

今晩投下しまっす


ズンッ!!!


兄「ぐあっ!!!!」


邪鬼「圧殺魔法陣。潰れて死ね」


兄「ぎ、ああああああああああ!!」ミシミシ…


魔王「波動弾」ボッ


兄「こっの!!反射魔法・波動弾!!」バッ!


カッ!!

ドォォオオン!!


魔王「……む」


モクモクモク……


魔王「反射魔法とはまた珍しい魔法を使う」

邪鬼「ちゃっかり下方向に反射させて魔法陣も破壊するとは……」


兄(賭けだった……反射魔法は起動が遅い上、攻撃の種類やタイミングが少しでも狂うと反射できない……次は無理だな)


魔王「ならばこれはどうかな?」


兄(……何をするつもりだ……)


魔王「……」ニヤァ


兄(……何だあの笑みは…もしかして!!)バッ!


ヒュンッ!!ザクッ!


魔王「ほぉ……避けたな?良い勘しているではないか。褒めてやる」




タッ!タッ!スタッ!!


兄「……これは避けたと言わねぇよ」ボタタッ!


魔王「いやいや。致命傷ではないなら避けたと言う。たとえ腹部が切り裂かれたとしても」


兄「…治癒魔法」パァァ


魔王「む」

兄「お前とは魔力が無い時にしか出会ってないからな。前回とは違うぜ?」

魔王「ふむ、それは」



兄「っ!!」バッ!!!!


ザンッ!!



兄「地面に切れこみ…爪の形……不可視・無音の何かを操ってやがるな」


魔王「ほお、今度はちゃんと避けたなあ?何故分かるのだ?」

兄「勘だよ」

魔王「ほう」


兄(仕草・表情から読み取っていることがバレないようにしないとな……)


兄(タイミングさえわかればなんとかなりそうだ…だがもしそれがバレたら、完全にやられ――)




ドスッ



兄「…なんだと……がはっ!」



兄「くそっ!!」ガシッ!


兄「火炎!」ボウッ!!


スゥゥゥ…


兄「不可視魔法が解けた……魔造ゴーレムか!?…不可視魔法を付与して動かして――」

魔王「ふむ、惜しいな」

兄「なっ」


ゴォッ!


兄(波動弾か!!)バッ!


ドォオン!!!


兄「もう一体……なるほど……不可視魔法が“解けた”ということは、発動者はゴーレム自身……つまり」


兄「ゴーレムに魔力を与えて自律行動させているのか!!」



魔王「その通り!!不可視と無音は標準機能だ。良いだろう?」

兄「……ハッ、笑えねぇ……が、その程度で俺がやられるとでも?」


魔王「うむ、そうだな。では……」



魔王「その不可視人形千体相手でも同じことが言えるかな?」


兄「千ッ――」


バキィッ!!


兄「がっ!!!波動弾!!」ドンッ!


ガァン!バラバラバラ……


ドカァッ!!

兄「ぐはっ!!ハアッ!」ドンッ!


ボンッ!バラバラバラ……



兄「はぁっ!はぁっ!!」

ブゥン…


兄(ちっ!!不可視人形に気を張り詰めてたら邪鬼から魔法陣が飛んでくるのかよ!!っなら!!)


兄「飛翔魔法!!」ヒュッ!


兄(空に逃げれば――)



魔王「ああ、嘘を言ってしまったな。地上に千体と――」



ヒュンッ



魔王「空にも千体だ」


バキッ!

兄「っ!!」

ドカッ!バキッ!ドゴッ!


兄「っがぁ……」ヒュゥゥ…


ドサッ!!


兄(く……魔造ゴーレムのくせに飛翔魔法も使えるのかっ!!)


邪鬼「…」ブゥン…


兄(魔法陣っ!!休む暇が無い!!!!)バッ!

ゴーレム「…」スッ

バキィッ!!

兄「がはっ!」ドサアッ!!



魔王「どうした、もう終いか?」


兄「……はは」




兄「――舐めんなあああああああああ!!!!」バッ!



兄「風魔法!広域烈風刃!!!」シャッ!!!



ザンッ!!!


ドサドサドサドサ……


兄「はあっ!はあっ!」




魔王「ふむ、結構な数を一瞬で……今の攻撃で一気に半分くらいにはなったな」


魔王「だが」スッ


ズズズズズズ……


ゴーレム「「「……」」」


魔王「これで元通りだ」


兄「っ!!!」



ゴーレム「「「……」」」スウッ

兄(ちっ!また不可視に……ッ!)




――ヒュンッ!



ドスドスドスドスドスッ!!


ドサァッ!!


兄「……え?」


魔王「む」

エルフ姉・エルフ男「「ハアアアアアッ!!」」


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンッ!

ドスドスドスドスドス……


兄「な……」

魔王「矢……正確に人形を…ふむ、エルフか」

兄「エルフ姉!!エルフ男!!」






シャッ!

邪鬼「む、斥力魔法陣!!」ブゥン!

妹友「くっ!!」ピタッ!

兄「妹友!?」

邪鬼「ハッ、惜しかったな」

妹友「……肉体活性!!」キィン!

邪鬼「なにっ!!」


ザンッ!


邪鬼「ぐあああっ!」ボタタッ!

妹友「もういっちょ――」

邪鬼「“強”!!」キィン!


妹友「うわっ!!」グワッ


妹友「っちぃ!」ザザッ!


妹友「…今だっ!!」




妹「はあああああああああっっ!!!!!!」

邪鬼「魔王様!!」


ズバンッ!!


妹友「やった!?」


ズズズ…


妹「ゴーレム!……身代わり!?」



妹友「あんな所に……!」


魔王「ふむ、貴様ら生きていたのか。……王殺しの称号はどうだ?気に入ったか?」


妹「……あっは!!いや~……今はお気に入りの称号ができたからね!そっち使ってるんだ~~!!」


兄(妹……なのか!?雰囲気がまるで……)


魔王「……ふん、強がった所で……また失禁させてやろう」

妹「……」


魔王「……威圧!!!」ゴアッ!!


兄(っ!!なんて魔力……)

エルフ男「な、なな……」ガクガク

エルフ姉「し、しっかりしろエルフ男!!こ、堪えろ!!」





妹「……」ギロォッ!!




魔王「っっっ!!!!!!」



エルフ男「はあっ!はあっ!!」

エルフ姉「収まった……し、しかし今の一瞬……もしかして妹の……」

兄(み、見間違いじゃないよな…!?さっき妹の方が魔王を……!?)



魔王「……ばかな」

邪鬼「ま、魔王様……」


魔王「この我が……恐れた?この、我が?」




魔王「まさか……まさか貴様ッ!!!!!」




妹友「へへっ!妹の新しい称号……それは」



妹友「勇者だ!!!」

今日はここまでっす




兄「ゆ、勇者!!??」

妹「……えっへへ!勇者になっちゃった!!」


魔王「……何故だ!あの"学校"は破壊したはず!!」

妹友「残念だったね!勇者継承に必要なものは間一髪で転移させていたのさ!!」


兄「…え、勇者継承って学校で行うのか!?」

妹友「あの図書館が、勇者継承儀式の場だったんだよ!」

兄「勇者継承の書があるんじゃなくて、そもそもあの場所が勇者継承を行う場だったのかよ……」

兄「儂は知らんとか言っておきながらあの爺さん…!」


スタッ!

邪鬼「魔王様、どうされますか」

魔王「……ハッ、丁度良い……貴様が勇者だというのなら今!貴様を殺せばもう我を邪魔する者はいなくなるわけだ!!」



魔王「く、く、くくくくくく」


妹「……何かされる前にっ!」ダッ!

妹友「よしっ!」ダッ!

エルフ姉「!!」




エルフ姉「一旦戻れ二人とも!!」

妹友「でも」


エルフ姉「っ!!」バシュッ!


ドス!


ゴーレム「……」ガラガラガラ…


妹友「うわっ!目の前に!?」


エルフ姉「そこら中に不可視のゴーレムが攻撃を伺ってんだ!戻れ!!」

妹・妹友「「っ」」ダッ!



魔王「邪鬼、最後に攻撃を受けたのはどいつだ?」

邪鬼「は、勇者とやらの隣の女です」

魔王「……アレを発動しておけ」

邪鬼「ハッ!……」ブツブツブツ



妹「何か唱えてる……こっちも何か行動しないと!」


エルフ姉「わかってる!だがゴーレムの数が……」

兄「任せろ」

妹「お兄ちゃん!?」


兄「俺がゴーレムを一掃する。また復活するだろうがライムラグがあるはずだ」

エルフ男「なるほど」

妹友「おお……じゃあ兄さんの合図でお願いします!」

兄「おう!」




兄「……烈風じっ!」



魔王「メテオ」


兄「なに!?」






ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……





エルフ姉「なっ!?」

妹「メテオ!?そんな!ノーモーションで!?」



魔王「ふ、ふははははははは!!!メテオを陣無しで発動できるとは!」

魔王「やはり魔力はいくらあっても良いものだ!!」


兄「だが奴らも巻き込まれるはず!!」


魔王「ぁあ問題ない。我は魔王城と一体化している」

魔王「我の肉体が消滅すれば魔王城で新たに再生されるのみ」


兄(部下は無視かよ!!!)


兄「くそっ皆集まれ!防御魔法陣を展開する!!」ブウン

妹・妹友「「っ!」」サッ!

エルフ姉(となると……!)



魔王「させると思うか?…邪鬼!」


邪鬼「防御魔法陣・解!!」


パキパキパキ……

兄(防御魔法陣が解除されていく!くそっ奴の解除の方が速い!!)

妹「私もっ!はああああああ!!」ブウン



邪鬼「ふ、無駄な事――」

エルフ姉(――捉えた!!)バシュッ!




ドスッ!!!




邪鬼「ッヌオオアアアアアアア!!!!目…にぃぃぃぃいい!!」

エルフ姉(……間に合え!!)








ッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!







……


……


兄「間に合った……か?皆無事か?」

妹「はぁ、はぁ……ギリギリ……」


妹友「―――ぐっ」


兄「妹友?」



エルフ男「おい、どうし」



妹友「っうあああああああああああああああああああ!!!!」



エルフ姉「なっ!?」


妹友「いぃぃ……ああああああ目……があああああ!!!」





魔王「ちっ、運の良い奴らめ」ジュルジュル

魔王「…だがメテオをまともに食らってもまだ再生可能とは…我ながら素晴らしい」シュウゥゥゥ……



魔王「おい邪鬼……ああ、貴様はメテオのダメージを再生できぬからな」


邪鬼「は……い魔王……さま……申し訳………」


魔王「ふん、邪鬼の呪術・受傷同期で傷をシンクロさせ、メテオで確実に一人は殺すつもりだったのだがね」

魔王「最後に傷をつけた相手のみが対象・発動後の初撃のみしか同期しないというのは、やはり未完成術か」

魔王「しかしまあ」



妹友「ううううう…………」

妹「妹友!!!!!」



魔王「これはこれで面白い」



兄(……邪鬼に傷をつけたのは妹友!エルフ姉が撃った矢が邪鬼の目に命中したから)

兄(奴の呪術で妹友にも同じ傷が!!)


妹友「だい……じょぶ……やられたのは片目だけだから……」ボタボタ

エルフ姉「すまん!俺が奴の罠にはまって……!!」

妹友「でも、エルフ姉さんが崩してくれなかったら……皆メテオで死んでたよ……」

エルフ姉「だけど……!」


魔王「今だ邪鬼」

邪鬼「ハッ……封、印…呪術…陣……」スゥゥ




エルフ姉「……俺が防御魔法陣を手伝ってりゃ、奴の解除を上回ってれば」

ブゥン

エルフ男「エルフ姉!!!!!!!」


エルフ姉「しまっ!……」



シュウゥゥゥ…



兄「……消えた?」




邪鬼「―――」

魔王「……ちっ邪鬼め……肝心な所で死におって」


エルフ姉「……ははっ」ペタン

妹「よ、よかった……」

兄「妹友、立てるか?」スッ

妹友「兄さん……あ、ありがとうございます……なんとか……」


兄(……呪術か……解除してから回復魔法かけないと戻せないな……)

兄(だが今そんな魔力はもう無い……くそ)




妹「エルフ姉さん、立てます?」


エルフ姉「……立てねぇ」


妹「あれ、エルフ姉さんでも腰が抜ける事あるんですね」





エルフ姉「……違う」

妹「え?」

エルフ姉「やられたよ」








エルフ姉「脚の、感覚がねぇ……」

今回はここまで、ギリギリすまぬ…

今晩投下します!




妹「……それってどういう……」

兄「まさか…」

エルフ姉「はは……ま、まじか」

エルフ男「エルフ姉……っ!」





魔王「…ふん、厄介な兄とやらの魔力は使い果たし」

魔王「俊足と呼ばれるエルフの、女の脚は封じた」

魔王「エルフの男の方は大したことは無いようだし」

魔王「片方の女戦士は目を潰した」

魔王「目は戦士にとって生命線であろう?さて」






魔王「一対一だ。"勇者"よ」

妹「っ……」




魔王「火葬・滅線」ボッ!


妹「っ!!!」バッ!!


ジュゥゥゥ……


妹「はあっ!はあっ!」

妹(私の魔法を貫いてきた!!)

妹(……熱線が当たった地面が奥深くまで溶けてる……威力は紅竜ちゃん並かそれ以上!?)




魔王「土葬・剣山」スッ


…ザクザクザクザク!!!


妹友(下から…っ!)バッ!バッ!!


妹友「くっ……広範囲で近づけない……」


ツー……


妹友(まずい…死角からの攻撃が避けられない…っ!)

ミスった…>>729は飛ばしてください
------------------


兄「妹!逃げ……はしない……か」

妹「当たり前っ!!」チャキッ


魔王「ククク……」


妹友「私も戦えるんだから!片目くらい何だ!」バッ!




エルフ姉(……無理だ!辺りにはまだ不可視ゴーレムが居る!)

エルフ姉(ゴーレムの見えない妹や妹友じゃジリ貧は確実!)



妹友「はあっ!」ダッ!

妹「火炎魔法!業炎渦!!」ゴオオオッ!!






魔王「……久々に"戦う"とするか」ユラァ





魔王「火葬・滅線」ボッ!


妹「っ!!!」バッ!!


ジュゥゥゥ……


妹「はあっ!はあっ!」

妹(私の魔法を貫いてきた!!)

妹(……熱線が当たった地面が奥深くまで溶けてる……威力は紅竜ちゃん並かそれ以上!?)




魔王「土葬・剣山」スッ


…ザクザクザクザク!!!


妹友(下から…っ!)バッ!バッ!!


妹友「くっ……広範囲で近づけない……」


ツー……


妹友(まずい…死角からの攻撃が避けられない…っ!)



エルフ姉「何ボサッとしてやがる!妹友!!目の前だあああ!!!」

妹友「っ!!!!」バッ!


ドゴオッ!!


妹友「そ、そうだ……不可視ゴーレムが居るんだった……」










魔王「……外野が口出しするな」ボッ








エルフ男「あぶねえ!!!!」

エルフ姉「え」

妹・妹友「!!!!!!」

兄「エルフ姉!!」








エルフ姉「……え、」







エルフ男「がっは……」ジュゥゥゥ…


エルフ姉「エルフ男ぉおおおお!!」


エルフ男「や、やっと役に立てた、ぜぇ……」ドサッ

エルフ姉「おい…おい!い、今回復してやるから!!」

エルフ男「ぉお……サンキュー……」

兄「俺も手伝うっ!!」







魔王「ふん」



妹友「……の、やろォォォォォオオオ!!!」ダッ!

魔王「剣山」


ザクザクザクザクッ!!


妹友「肉体活性!!」ドクンッ!


シャッシャッシャッ!!


妹友「ハアッ!!」ザンッ!


魔王「む……」ボトッ


妹友(よし!腕を落とした!)


妹「今だ!勇者剣ッ!!」シャッ!


魔王「……土葬・地盤荒」ドゴォンッ!!!!

妹「う!?」ガクッ!


魔王「火葬…」スッ

妹友「っ!波動弾!!」ドンッ!

魔王「滅線」ボッ



妹「あうっ!!」ドサアッ!


ジュウウウ……


魔王「……ふむ、味方を攻撃して我の攻撃を避けるか……」ジュルジュル


妹友(ちっ……もう腕が元に……)

妹友「ごめーんっ!手加減できなかったー!」

妹「だい…じょうぶっ!!ありがと!そんなに痛くない!!」ムクッ

妹友「それはそれで傷つくなあ…」ダッ


スタッ!


妹友「…それより、あたしの攻撃は"受けた"のに、妹の攻撃は"受けない"ようにしたね」ボソボソ

妹「うん、わかってる……多分この剣は効くんだ」

妹友「……よし、ならあたしが隙を作って……!」

妹「まって!考えがあるんだけど……肉体活性……どのくらい続く?」

妹友「えへ、今んとこ10秒……」

妹「……おっけぃ……っ来る!!」



魔王「雷葬・降雷」バチッ


ドォンドォンドォンドォンドォン!!!


妹友・妹「ハッ!!」ダッ!


シャッ!シャッ!


魔王「……交差しながら走る……雷撃をまとめてから避けるつもりか?くだらん」



妹「土魔法!防壁……」


魔王「昇雷」バチッ


エルフ姉(っ!!まずい!!)

妹「!!しまっ……」


ドォオオン!!!!!

妹・妹友「ぁぁあああああああああああっ!!!!」バリバリバリバリィ!!!


――ドサッ!


エルフ姉(下からの攻撃に対応できてない!!多少は下からの魔力で分かるだろうが……)

エルフ姉(感じてからじゃ遅ぇ!!やっぱり俺が……ちくしょう!!)




妹「ぜぇっ!ぜぇっ!た、立てる?」スッ

妹友「よ、よゆ、う!!」ガシッ





エルフ姉(……まてよ……妹友のあの腕……たしか……そうだ!!その手が!!)



エルフ男「はぁ、はぁ……エルフ姉?」



エルフ姉(……おそらくチャンスは一度だけ……しかも大きな賭けだ……だが)

エルフ姉(やるしかねぇ!!!)







エルフ姉「……エルフ男……俺の妹を頼む」



エルフ男「お前……何を……ま、さか!!!」



エルフ姉「なーに、もう俺が居なくても里は大丈夫さ」

エルフ男「馬鹿野郎!!そんな…っ!!」

エルフ姉「迷ってる時間は無いっ!」



――ドゴォン!


妹「うああああああっ!!!」ズザアアアアッ!!

妹友「ぐはああっ!!!」ゴロゴロドサアッ!


兄「妹!妹友!!」







エルフ姉「特有魔法…広域魔力探知」ブゥン


エルフ姉「……速射!」バシュッ!!!



魔王「む?二度目か。死にぞこないはもう[ピーーー]」パシッ


ボンッ!!

エルフ姉「はあっ!!」バシュバシュバシュバシュッ!!


魔王「煙幕か……無駄な事を……」バッ!

ブワッ!



エルフ姉「魔翌力装操!!」ズッ!!

エルフ姉(魔翌力で強制的に体を動かす!!!)シャッ!!



魔王「まだ動けたのか…いい加減に」


ヒュゥゥ……ドスドスドスドスドスドスッ!



エルフ姉「奥義!!!」

訂正
――――――――――――――



魔王「む?二度目か。死にぞこないはもう死ね」パシッ


ボンッ!!

エルフ姉「はあっ!!」バシュバシュバシュバシュッ!!


魔王「煙幕か……無駄な事を……」バッ!

ブワッ!



エルフ姉「魔力装操!!」ズッ!!

エルフ姉(魔力で強制的に体を動かす!!!)シャッ!!



魔王「まだ動けたのか…いい加減に」


ヒュゥゥ……ドスドスドスドスドスドスッ!



エルフ姉「奥義!!!」



パリッ……


兄(魔王の周りに撃った矢が!)




エルフ姉「破魔・封神結界!!」ブゥンッ!




魔王「……」




エルフ姉「俺の命と引き換えに!!貴様をこの地に封じる!!」


エルフ姉「世界が朽ち果てるまでっ!!永遠の時を過ごすがいいっ!!」





…ゴゴゴゴゴゴゴゴオッ!!!!














魔王「くだらん……波動弾」ドンッ!







バリィィィイイイン!!!




エルフ姉「そんなっ!!!……がああっ!!」ドゴオッ!!



…ヒュンッ!


妹友「はあ、はあ……うわ!!」ドンッ!

エルフ姉「うあああっ!!」


ズザザザザアアアァァッ……




妹「エルフ姉さん!妹友っ!!!!」ダッ


スゥゥ…

妹「…はっ!!」バッ!

ドゴオッ!!


魔王「ふむ。良い集中力だ」


妹(くっ!!助けに行こうにもゴーレムがっ!!」)



魔王「……く、ははははははははははは滑稽滑稽!!!!」

魔王「何をしに来たのだ!?エルフ族の奥義とはあんな稚拙なものか!!」


魔王「……いや失礼だな、素晴らしいものであった。評価しよう!!」








魔王「とてもよくできた"芸"だとな!!くはははははははは!!!!」





妹「こ、のぉおおおおおおおおお!!!」ダッ!









エルフ姉「ありがとう」



妹「え!」キキッ!


魔王「……ああ?」




エルフ姉「ご堪能いただき感謝するよ」



妹友「んしょ、んしょ」ザッザッ

エルフ姉「悪いな、重いか?」

妹友「平気っすっ!!」




魔王「……ついに頭がおかしくなったか」



エルフ姉「いや、いやいやいや。私のできる事は全てやった。満足さ」



魔王「そうか。ならばもうこの世に未練はあるまい」



(ゴーレム)「……」ススス…


バッ!!





妹友「……ほっ」ザンッ!!





ゴーレム「ォォォ……」ガラガラガラ……


妹(……今、完全に見切ってた…?)



妹友「んしょっと」ポスッ

エルフ姉「おっとっと」


妹友「兄さん、エルフ姉さんとエルフ男さん頼みますね」

兄「お、おう……なっ、お前それっ!!!!!」


妹友「じゃ……行ってきます!!」ダッ!!






エルフ姉「……ただいま」




エルフ男「……おおばかやろう」



妹友「さて!行きますか!!」

妹「うん!死角は私がカバーする!だから」



妹友「あ、その必要は"もう"無いよ」



妹「…え?なん……」

妹友「……」シャッ!

妹「わっ!!あぶ…」


ゴーレム「ゴォォ…」ドシャッ


妹「え……」


魔王「……昇雷」



妹友「そこ」グイッ

妹「うわっ!」



ドォォオオオオン!!!



魔王「……何?」



妹「……妹友……その眼っ!!!!」


妹友「えへへ」




エルフ男「……ばかやろー……それは禁忌中の禁忌…」

エルフ男「もう二度と里に戻る事は許されないんだぞ……」






エルフ男「眼の"譲渡"はっ……」






エルフ姉「いいさ。片目だけだから生きてはいける」

エルフ男「だが禁忌を犯したエルフはもうエルフとして生きる事は……」

エルフ姉「まあ~、エルフの里以外にも良いところはあるぜ?人間界とか」

エルフ男「……ばかやろう」

エルフ姉「ははっ」




エルフ男「……ばかやろう」

エルフ姉「……ごめん」








妹友「さあ、反撃といこうか!!」ギンッ!!




ここまでっす。また……しばらくかかると思います、すいません

正直序盤のノリが完全に無くなって進んでないってのがあります
完結したいとは思ってますが……
気長に、お願いします






妹友「はっ!」ダンッ!


ザシュザシュザシュザシュッ!!!


エルフ男(すげえ……不可視ゴーレムを次々と……あっという間に魔王に!)



妹友「くらえっ!!」シャッ!

魔王「……エルフの眼を得たのか……小賢しいッ!!」サッ


妹友「波動砲!」ドウッ!


魔王「目くらましだろう?――そこだ」スッ

妹友「っ読まれ……」

魔王「昇雷」パリッ




ッドオオオンッッ!!!


妹友「かっは……」シュゥゥ…

エルフ姉「妹友!!」

妹友「っ……まだまだ!!」ダッ!

妹「私も!」ダッ!



魔王「……フン」クイッ


妹「……」チラッ


妹友「……そっちにゴーレム!!!」


ゴーレム「ォォア!!」グワッ!

妹「…っしまったっ」



バキィッ!!!

妹「あがっ!!!」


妹友「妹ーーーッ!!!」




魔王「…エルフの眼を入れる相手を間違えたな。せめて勇者に眼を渡すべきだったのだよ」



妹友「っこのぉっ!!」ブンッ!

魔王「……いい加減決定的な事を教えてやる」



ザクッ!!!



妹友「なっ……避けない!?」


魔王「我は不死なのだ……どんなに威力があろうと」



魔王「"勇者の剣"でない限りダメージにはならな――」






妹友「……へえ?」







魔王「―――なん、だと……元に…戻らない!?」ボタッ…ボタッ…






妹友「……今、何の剣って言ったの?」



魔王「こ、れは……勇者剣!!??」


魔王「……馬鹿な、貴様は勇者ではないはずだ!!!っがはっ!!」ボタタッ!!




妹友?「……やっと一太刀、」シュウウ……






妹「浴びせられたよ」





――妹友「波動砲!」

――魔王「目くらましだろう?――そこだ」



魔王「っ……あの時かッ!!!」


妹「そう、その時にお互いに変化魔法で化けた」

妹「勇者剣でなければ、こうやってわざと受けてくれると思ったよ」



魔王「……ちいッ!あのゴーレムはわざと……!」



妹友「そ」スタスタ



――妹「……」チラッ


――妹友「……そっちにゴーレム!!!」


――ゴーレム「ォォア!!」グワッ!

――妹「…っしまったっ」



妹友「妹に合図して、あとは演技……いてて」スタスタスタ


魔王(ゴーレムが見えていたからこそ、ダメージを最小限にして吹き飛ばされる事ができたのかッ!)



妹友「さて、と」スッ


妹「終わりだ、魔王」スッ


魔王「……………」







魔王「ばかめ!!爆――」

妹友「ハアッ!!」ザンッ!

魔王「ッ!!」ガクッ!!


妹「一閃!!」シャッ!!!









……ボトッ













魔王の首「……ククッ!」




魔王の首「これで勝ったと思うな!!!アレがある限り!!我は何度でも――」

ドスッッ!!



妹「お父さんとお母さんの、仇!」



………





………




兄「……おつかれ、強くなったな」ナデナデ

妹「んっ」

妹友「あたしもあたしも!」


兄「……」


妹友「……あ、それはやっぱナシっすかー?」






ギュッ!



妹友「ふぉ、ふぉおおおお!?」

妹「え!」


兄「……ありがとうな……妹友ちゃん、片腕の次は、片目まで……」

妹友「あ、いや……この腕じゃなかったら、最後ゴーレムの攻撃に耐えきれなかったと思うし……」

妹友「それに、お礼ならエルフ姉さんに……この眼はエルフ姉さんのものだし」

兄「……それでも、女の子がこんなになってまで……本当にありがとう」

妹友「…うん」



妹「ちょっとお兄ちゃん!私!勇者になったんだからね!!」

兄「おう!おめでとう妹……本当に……父さんを超えたよ」ギュッ

妹「むお、……えへへ」







兄「エルフ姉……」

妹友「エルフ姉さん……」


エルフ姉「待った!俺には別に何の言葉もいらねえ!」


兄「いやいや!この戦いで一番犠牲になったのは……」


エルフ姉「……いいんだ、俺はそろそろ隠居したいと思ってたんだ」

兄「馬鹿な事言うなよ!とりあえず足を……エルフの里に行けば回復できるはずだ!」


エルフ男「無理だ」


兄「な……」



エルフ男「エルフの眼の譲渡は禁忌中の禁忌、エルフ姉といえどもうエルフの里の地にはもう入れない……」


妹友「そんな!エルフ姉さんはあたしのため……皆のために!!」

エルフ男「それでもだ……いかなる理由があろうと、掟を破ったのは事実なんだ……」




妹友「でも!事情を離せば例外として――」

エルフ姉「ダメだ!!」


妹友「エ、エルフ姉さん!?」

エルフ姉「エルフの掟を破ったのは俺が十分分かっている。例外を作るわけにはいかない」

妹友「そんな…!」


エルフ姉「そういう事だ。よっと」スクッ


兄「……え、立って……」

エルフ姉「もう解呪した」

妹・兄「ええ!?」





エルフ男「……!」ギンッ

妹友「……!」ギンッ



エルフ姉「さて、掟を破ったからにはもう隠れて住むしかねぇ」

エルフ姉「俺の眼を渡したから、妹友も魔力無効結晶を探せるだろ」

妹友「あ……」



エルフ姉「……じゃあな」ダンッ!

兄「ちょっ!!」





妹友「……エルフ男さん、追ってください。やっぱりエルフの眼があるとわかっちゃいますね」

エルフ男「……そうだな」ダンッ!!






妹「……妹友ちゃん、何が見えてたの?」



妹友「さっきのエルフ姉さん……本当はまだ、脚は動かないままなんだ」


兄「……強制的に魔力で肉体を動かす、魔力装操か」

妹「そんな……」









妹友「……決めた」

妹「え?」





妹友「あたし、エルフの里の掟を変える!!!」



兄・妹「ええええええ!!??」

ココマデッス

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月26日 (土) 17:57:44   ID: EwGq_7O9

すごく、おもしろいー。

2 :  SS好きの774さん   2015年04月28日 (火) 16:28:52   ID: rzAcmeTY

続きないのかな

3 :  SS好きの774さん   2016年06月07日 (火) 05:07:36   ID: t4gJvS-c

兄いる意味ないし完結もしてないしで時間返してほしいわ

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