飛鳥(ハワイでの仕事が終わって、日本に戻ってきた)
飛鳥「楽園からの帰還……名残惜しいけれど、この国の空気も悪くない」
飛鳥(事務所へ足を運ぶのも、久しぶりだな……みんなと会うのも)
飛鳥「男子三日会わざれば刮目して見よ、なんて言うけれど。果たして女子はどうなんだろうか」
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ガチャ
飛鳥「おはよう――」
梨沙「ふふん♪ どうよこのセクシーポーズ! やっぱりアタシがセクシー担当!」
心「青い、青いぞ若造☆ 見よ、はぁとのせくしぃポーズ☆ くねくね~~」ボイーン
梨沙「くっ……む、胸を揺らすのは反則!」
心「自分の武器を生かさない手はないの♪」
梨沙「~~~! アタシだってあと10年もしたらそのくらいぼんっきゅっぼんになってるもん!」
心「ふはは☆ 遠吠えが心地いいわぁ♪」
梨沙「審査員! 判定は! ハートさんレッドカードで退場でしょ!」キッ
ありす「知りませんよ……」
飛鳥「………」
飛鳥「あぁ、間違いない。ボクは楽園から、俗にまみれた日常へと帰還を果たした」
心「あ、飛鳥ちゃんおかえりー」
ありす「おかえりなさい」
梨沙「あ、おかえりー……ね、飛鳥も反則だと思うでしょ!?」
心「いきなりそんなこと言っても反応できるわけ」
飛鳥「ギルティ」
心「反応するんかいっ!」
梨沙「アタシは信じてたわ! 飛鳥は胸あんまり大きくないもん」
ありす「飛鳥さん……」
飛鳥「……ボクも一瞬で俗にまみれてしまった」
心「それはそれとして……飛鳥ちゃん、ちょっと焼けた?」
飛鳥「あぁ。クリームは念入りに塗ったんだけど、それでもね」
ありす「ハワイの陽射しは強かったようですね」
梨沙「それで、ここの机にさりげなく置いてるこれは? おみやげ?」
飛鳥「イグザクトリィ。キミ達に用意していたぶんだ」
梨沙「やった! ハワイのおみやげ!」
飛鳥「これはご当地のお菓子」
心「わぉ、おいしそう♪」
飛鳥「だいたい悠貴が見繕ってくれたからね。外れはないだろうさ」
梨沙「このキーホルダー、きれいな羽の形してるわね」
飛鳥「それはボクが選んだ」フッ
梨沙「なんでちょっとうれしそうなのよ」
飛鳥「ありすにはハワイの動物図鑑を買ってきた。頼子さんの勧めだ」
ありす「図鑑ですか……いいチョイスです。ありがとうございます」
飛鳥「たまには紙媒体の分厚い本を読むのもいいだろう」
心「ねえ。この細い筒みたいなの、なに?」
飛鳥「水遁の術で使う竹筒。手作りだ」
心「キミらハワイでなにやってたの?」
飛鳥「ハワイでNINJAの誤解を広めることに一役買った。主にあやめが」
梨沙「忍者なら忍びなさいよ……まあ、それはそれとして」
梨沙「モノだけじゃなくて、おみやげ話も聞かせてよね!」
飛鳥「スコールに遭遇した時は、思わずはしゃいでしまったよ。初めて、本物のバケツをひっくり返したような……この星を創り上げた原初の雨を体感したから」
ありす「スコール……映像で見たことはありますけど、実際に体験するとどんな感じなんでしょう」
飛鳥「全てを洗い流され、ボク自身のありのままがさらけ出される気分だった。あれは、よかったな」
ありす「なるほど」
梨沙「なるほど、なの?」
心「風邪ひかなくてよかったね♪」
梨沙「しっかし、ウミガメを探したり、イルカの親子を見たり、溺れかけたり。いろいろあったのね」
飛鳥「後半からの参加だったボクですらこれだ。他の3人は、それこそ数え切れないほどの想い出を作っているだろうね」
ありす「それだけ楽しい旅だったなら、最後の夜は少し寂しかったんじゃないですか?」
飛鳥「あぁ。寂寞を感じなかったと言えば嘘になる。ただ、それを覆いつくせるだけの何かが、あの夜には存在した」
梨沙「それって?」
飛鳥「さあ、うまく言葉では表せないモノさ。Pと二人きりで夜景を眺めたり、砂浜を歩いてみたり……その中で、確かな感動があった」
心「二人きりでハワイの夜景! 砂浜! やーん、スウィーティー☆ はぁともそれやりたーい☆」
梨沙「ハートさん、とりあえず二人きりならなんでもいいとか思ってない?」
心「失礼な! 梨沙ちゃんにはハワイの魅力がわからないのー?」ブーブー
ありす「行ったことあるんですか?」
心「ないけど? ほら、なんかほらロマンチック~って感じじゃん♪ スウィーティーな夜を過ごせそうな」
ありす「なんて感覚的であいまいな……」
飛鳥「でも、心さんの言う通りかもしれないな。あの島には、不思議な魅力があった」
飛鳥「ボクもいつになく舞い上がってしまってね」
梨沙「舞い上がって?」
飛鳥「光と闇のイルミネイトの中で」
心「中で?」
飛鳥「ふと、隣を歩くPにボクの鼓動を感じてほしくて」
ありす「感じてほしくて」
飛鳥「ボクの胸に、Pの手をそっと……あ」
飛鳥「いや、なんでもない」コホン
梨沙「待ちなさい。なんでもないわけないでしょ」
ありす「胸に手を……飛鳥さん、それは」
心「ギルティ☆」
梨沙「ていうか、恥ずかしくなかったの?」
飛鳥「……ええと」
飛鳥「………」
飛鳥「後から思い返すと、少し……いや、かなり恥ずかしいな……」プイ
ありす「その、かなり恥ずかしいことを実行させるほどの魅力が……」
心「ハワイすげえ」
飛鳥「まあ、あれだ」
飛鳥「あれがギルティだというのなら、楽園で原罪を犯したボクらが、あの場に永遠にとどまれなかったのも必然だったということさ」
梨沙「ただのスケジュールの都合でしょうが」
心「ギルティからつなげたのはうまかったぞ☆」
その後
心「プロデューサー♪」
P「なんです?」
心「目つむって☆」
P「いやです」
心「よーし、そのままじっと……っておい☆ 拒否したら話が先に進まないじゃん!」
P「いやですよ……なんか背後に阿修羅が見えますし」
心「黙ってはぁとの鼓動を感じろ☆ もうすっごいバクバクだぞ触らなきゃ損だぞ!」
心「もうめちゃくちゃバクンバクンしてて前代未聞の事態だから!」
P「病院に行きましょうよ」
ありす「Pさん、Pさん」
P「ありす。どうかしたのか」
ありす「少し、お願いがありまして」
P「ああ、いいぞ。なんだ」
ありす「まぶたをですね。ゆっくりでいいので、下のほうへ下ろしていってもらえると」
P「流行ってるのか、それ?」
心「よし♪ はぁとは左目をヤるからありすちゃんは右目を頼むわ☆」
心「協力プレイが勝敗をわける!」
P「俺はゲームのボスキャラかなにかですか」
ありす「ゲーム……なるほど」
P「ゲームが好きなのは知ってるけど、興味を持つのはやめてくれ」
飛鳥「………」
飛鳥「なんだか、過去を掘り返されているみたいで気恥ずかしいな……」
梨沙「うっかり口を滑らせるからよ」
飛鳥「まったくだ」
飛鳥「女子は三日会わざれど、あまり変わってはいないようだね。ハワイに行く前と同じで、騒がしくて落ち着きがない」
梨沙「ずっとハワイにいたほうがよかった?」
飛鳥「いいや。そんなことはないさ。決してね」
梨沙「なんで?」
飛鳥「楽園もいいけれど……住み慣れた故郷があってこそのモノだから」
飛鳥「甘い果実ばかりをかじっていても、味気がないだろう?」
梨沙「えっと……アンタの考えだと、ハワイが楽園で、甘い果実なのよね。じゃあ、ここは?」
飛鳥「そうだな……たとえるなら」
飛鳥「……スナック菓子?」
梨沙「コンビニの?」
飛鳥「うん。コンビニの」
梨沙「ふふっ、なにそれ。いいのか悪いのかわかんないわよ」
飛鳥「そうかな」
梨沙「……ま、アンタがコンビニ好きってことを知ってれば、ちょっとはわかるかもね!」フフッ
梨沙「あ、そうだ。飛鳥、今度水族館連れて行きなさいよ」
飛鳥「水族館?」
梨沙「アタシもウミガメとかイルカとか見たいの! アンタだけ楽しむなんてずるいし!」
梨沙「ありす、この辺でイルカのショーとかやってる水族館って知らない?」
ありす「任せてください。すでにタブレットで検索済みです」
梨沙「さすがありすね!」
心「あ、水族館ならはぁととプロデューサーも行くぞ☆」
P「え、俺も?」
飛鳥「……ふふ」
飛鳥「やれやれ、仕方がないな。日本のイルカに会うのも、また違った趣があるか」
おしまい
おまけ
飛鳥(ハワイでコナコーヒーをたくさん飲んだおかげで、少しは苦味に慣れることができた)
飛鳥「今のボクは、あの苦味さえ心地いいと感じることができる……」
飛鳥(ちょうど喉も渇いたことだし、そこの自販機でコーヒーを買おう)
飛鳥「さて、この自販機の品ぞろえは……」
飛鳥「………あっ」
飛鳥「………」
ピッ
ガガー、ガタンゴトン
飛鳥「ただいま」
心「飛鳥ちゃんおかえり♪」
心「あ、MAXコーヒー飲んでる! いいなあ、それスウィーティーでおいしいよね♪」
飛鳥「……エデンだ」
心「はぇ?」
おまけおわり
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
アイプロ楽しかったです。ハワイ行きたい
シリーズ前作:的場梨沙「で、ハートさんの体重はいくつなのよ」 佐藤心「0キロ☆」
その他過去作
モバP「威勢がいいと異性にモテるらしい?」
モバP「なっちゃんと夏の事務所」
関裕美「自然なプレゼントのねだり方……」
などもよろしくお願いします
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