ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2
ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2 - SSまとめ速報
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の続きです
よろしければそちらから読んでみて下さい
勝手に建てんなks
ルルーシュが帰ってきた。
死んだはずの彼は更なる力と、悲しみを背負うことになる。
ギアスの力を悪用して世界を我がものにしようとするVV、シュナイゼル、そしてシャルルを打倒すべく、ルルーシュは中華連邦の立て直しをはかる。
そして一方、CCとついに結婚を決意。式を控える彼らに、忍び寄る影と光。
世界を巻き込んで進むルルーシュとCC。
果たして、彼らの目的は達成できるのか?
今、新たな物語が始まる。
>>2
ごめん、これは本人だ!
~ラボ~
ロイド「へぇ、ここまで小型化できるもんなんだねぇ」
ラクシャータ「実際あたしらがやってるナイトメア開発と同じ方向性なんだろうさ」
ラクシャータ「まぁ、それでもギアスエネルギー無しじゃ動けないくらいには、オーバーテクノロジー頼りの産物だけどねぇ」
ルルーシュ「ギアスエネルギーか」
ラクシャータ「正確にはギアス結晶と、サクラダイト反応の応用ってとこかしら」
ロイド「ギアス結晶ってやつにも謎は多いねぇ」
ルルーシュ「神根島の時の爆弾は調べられないか」
ロイド「ざぁんねんでした、CCがプロトごと吹き飛ばしちゃったよぉん」
ロイド「ただ、高エネルギーの結晶体なんだろう、それをサクラダイトで増幅している」
ロイド「まぁ逆に考えれば、これに並ぶようなエネルギー源を見つけることで」
ロイド「君の身体への影響は無くなるということだ」
ラクシャータ「血液検査の結果だけど、やっぱり普通の人間と殆ど変わらないわねぇ」
ラクシャータ「採血が面倒って以外は、だけど」
ロイド「まぁ、エナジーフィラーに換算した場合のエネルギー量を計測しておこうよ」
ロイド「それと、腕についたこれのデータも」
ラクシャータ「ルルーシュ、これ本当に何なわけ?」
ラクシャータ「見た感じ武器っぽいというか」
ルルーシュ「ああ、武器なのは間違いない」
ルルーシュ「俺を造った研究所にあった仕様書によれば、これはギアスイーターというらしい」
ロイド「?キャンセラーじゃなく?」
ルルーシュ「実用化こそされては居なかったようだが、存在自体はブリタニア連中にも伝わっていたようだ」
ルルーシュ「それと、俺のようにギアスの力を持つものが見ると」
ルルーシュ「恐怖心というか、妙な不快感に襲われる」
ラクシャータ「相変わらず、ギアスってのはよく分からないわねぇ」
ロイド「イーターって名前からすると、ギアスを食べちゃうって事だろうけど」
ルルーシュ「本来はVVやCCのような、コード保持者が他のコードを奪うときに」
ルルーシュ「食うという表現を使うみたいだ」
ラクシャータ「じゃあ、これをVVとかに使えば、コードを奪えるのかしらね?」
ルルーシュ「使った事が無いから、それは分からない」
ルルーシュ「恐らく、これを造った技術者達はまだ中華連邦の研究施設にいるはずだ」
ルルーシュ「少なくとも、バトレーはいる」
ロイド「バトレーっていう名前には聞き覚えがあるね」
ロイド「確か、クロヴィス殿下のお付きだった」
ルルーシュ「ああ、渡航履歴等も洗ってみたが、ブリタニアに戻った形跡もなく、エリア11から中華連邦に渡った後の消息を絶っている」
ルルーシュ「奴に聞けば、詳しい話も分かるだろう」
ラクシャータ「ま、あたしら側でも調査してみるしかないわねぇ」
ロイド「そ、れ、とぉ」
ルルーシュ「?」
ロイド「せっかくだからぁ、別の武器も作ってみようかなぁと」
ラクシャータ「まあ、武器くらいならナイトメアと変わらない感じだし」
ラクシャータ「ちょっと面白いかも知れないわねぇ」
ルルーシュ「二人とも遊び半分でそんなこと言ってるんじゃ?」
ロイド「まさかぁ」
ロイド「実際のところ、君が打ち倒そうとしているシャルル皇帝も、シュナイゼル殿下も、VVってやつも」
ロイド「その人を守るなにかは必ずあるはずだ」
ロイド「僕の言う武器ってのは、人と戦う物ってより」
ロイド「人でない奴らと戦えるような道具のことさ」
ラクシャータ「ま、例えるなら十得ナイフねぇ」
ロイド「そこ、チープなものに例えない!」
ルルーシュ「そ、そういうことなら任せますけど」
ロイド「まっかせなさぁい」
ラクシャータ「暴走しないように止めてあげるからさ、気長に待ってなさいな」
ルルーシュ「あ、ああ、頼む」
ルルーシュ「まったく、やはり機械を前にするとロイドさんは人格が変わるな」
咲世子「ふふ、左様でございますね」
ルルーシュ「俺の身体の事はCCには言わないでおいてくれ」
咲世子「承知いたしました」
咲世子「ルルーシュ様、恐れながら私からひとつよろしいでしょうか?」
ルルーシュ「?なんだ?」
咲世子「不肖篠崎咲世子、中華連邦に出向いてバトレーという男を探すくらいの事は」
咲世子「出来ると自負しておりますが」
ルルーシュ「……確かにそうだろうな」
ルルーシュ「だが、それをする必要はない」
咲世子「何故ですか?」
ルルーシュ「どの道、お前の考えているように俺の身体を元に戻したり、ギアスの侵食を止める事はできないからだ」
ルルーシュ「残念だが、この身体になっていなければ、俺はとうの昔に死んでいた」
ルルーシュ「それに、この腕の手がかりは他にもある」
咲世子「ほか?」
ルルーシュ「ロロだ」
ルルーシュ「あいつはこの腕の力を知っていたようだ、明確に武器と認識していたしな」
ルルーシュ「いずれ聞いてみればいい、少なくとも今のところ、俺、ロロ、そしてマオ以外にはギアスの契約をして生き残った人間はいないのだから」
咲世子「……!そうでした、うっかりしておりました」
ルルーシュ「?どうした」
咲世子「そのマオ様ですが、昨日空港に到着したとのことで」
ルルーシュ「ここに向かっているのか?」
咲世子「少し観光されるとのことでしたが」
ルルーシュ「ちょうどいい、あいつにも聞きたいことがある」
ルルーシュ「CCが寝ているうちに、会いに行こう」
咲世子「かしこまりました、すぐに支度を」
ルルーシュ「ああ、頼む」
~特区日本 繁華街~
マオ「いやぁ、いい街だなぁ」
マオ「姉さん達が式を挙げる会場を下見しようと思ってたけど……」
マオ「……」
マオ「こんなに大きなところなら、忘れようも無さそうだ」
マオ「へぇ、結婚式のために特別に造ったのかぁ、まあ総督の結婚だし、相手はナンバーズともなれば、注目されるよねぇ」
マオ「ふむふむ」
少女「おかぁさん、あの人ひとりで何言ってるのぉ?」
母親「しっ、見ちゃいけません」
マオ「んー」
ルルーシュ「おい、ものすごく目立っているぞ、マオ」
咲世子「探す手間は省けましたね」
マオ「おお!ルルーシュ、咲世子さん!」
ルルーシュ「相変わらず、自分の世界に入ると周りが見えていないな」
ルルーシュ「元気だったか、マオ」
マオ「ああ、何も変わりないよ」
マオ「ルルーシュこそ、1年会わないうちにまた少し雰囲気が変わったね」
ルルーシュ「そうか?髪を切ったくらいしか差はないはずだが」
マオ「そうかなぁ?前よりは明るくなったように見えるけど」
マオ「そうだ、おめでとうを言わないといけないんだった」
ルルーシュ「落ち着け、マオ」
ルルーシュ「とりあえず場所を移そう、ここは人目につく」
マオ「?まあいいけど」
ごめん、明日6時おきしなきゃいけないので、起きてから書こうと思います。
予定では8時前くらい、結婚式前まで書く予定です。
おやすも
~カフェ~
マオ「ここじゃさっきと変わらなく無い?」
ルルーシュ「少なくとも周りに遠巻きにされるより良いだろう」
ルルーシュ「せっかく咲世子に私服で来させたのに、あれでは無意味になってしまう」
咲世子「ルルーシュ様は有名人ですし」
マオ「それもそっか」
マオ「そういえば、どうしてここに来たの?」
マオ「しかもルルーシュ1人で」
ルルーシュ「いや、確認したいことがあってな」
ルルーシュ「すぐに済む、少しこっちを見ていてくれ」
マオ「?」
ルルーシュ「……起動」
ルルーシュ「どうだ?何か変化はあるか?」
マオ「?いや、全然?」
ルルーシュ「そうか、ありがとう」
マオ「え?それだけ?」
ルルーシュ「ああ、これだけだ」
ルルーシュ「記憶の方はどうだ?戻る気配はあったか?」
マオ「そっちも全然だよ」
マオ「まあ生活には困らないし、このままでもいいとは思っているけど」
ルルーシュ「そうだな」
ルルーシュ「中華連邦の方は、何か変わったことは無かったか?」
マオ「いつも通りさ、相変わらずごちゃごちゃだよ」
マオ「天子様も大変だね、いい感じに担がれてる」
ルルーシュ「大宦官の圧政か」
マオ「中華連邦に住んでもう一年半くらいだけど、そろそろ別の土地に移ろうかと思ってる」
マオ「そもそも、街でルルーシュを見つけなければもっと早く移動してたと思うし」
ルルーシュ「手伝えることがあれば言ってくれ、助けになる」ガタッ
マオ「あれ?もう行っちゃうの?」
ルルーシュ「確認はできたしな」
ルルーシュ「それに、CCには内緒で来てしまったから」
ルルーシュ「そろそろ戻らないと怒られそうだ」
マオ「なるほど!それなら仕方ないね」
ルルーシュ「好きなものを食べていくといい、支払いは済ませておく」
マオ「やったー!」
ルルーシュ「いくぞ、咲世子」
咲世子「はい、マオ様もまたいずれ」
マオ「うん!またねー」
ルルーシュ「……」
咲世子「マオ様に何を確認したかったのですか?」
ルルーシュ「あいつにギアスの力があるかどうかだ」
ルルーシュ「あれば腕を起動した時点で気付くだろう」
ルルーシュ「そもそも、マオがああなった原因は、CCにもよく分かっていないようだった」
ルルーシュ「ギアスの秘密を探るためにも、マオの様子は逐一見ておきたい」
咲世子「見張らせますか?」
ルルーシュ「……いや、その必要はないだろう」
ルルーシュ「場所だけは分かるようにしておいてくれ、仮にギアスが発現せずに残っているような状態であれば」
ルルーシュ「いずれ対処しなければならない」
咲世子「……かしこまりました」
ルルーシュ「あとはナナリーだけだ」ボソッ
咲世子「ナナリー様?」
ルルーシュ「あぁ、いや」
ルルーシュ「俺の弱点になりそうな要素が、という話だが」
ルルーシュ「ナナリーは元気にしているか?」
咲世子「ええ、こちらに来られることをとても喜んでおいででした」
咲世子「会いに行かれたら良いのでは?」
ルルーシュ「……はは、見えないとは思っていても」
ルルーシュ「この身体であまり会いたくないと思ってしまうのは、気にしすぎかな?」
咲世子「あと数日でこちらに到着されますし」
咲世子「ルルーシュ様がどうなさるおつもりだったとしても」
咲世子「向き合う必要はあるかと」
ルルーシュ「……それもそうだな」
ルルーシュ「式の当日に会ってみるよ、前日は移動で疲れているだろうからな」
咲世子「はい、ぜひそう致しましょう」
半端な感じだけどここからナナリーの話の後、結婚式に移ります。
ホントはもう少し書きたいところだけど、Wi-Fiないと書けないんだすまぬす。
また日曜日にお会いしましょー!
~ブリタニア本国 ペンドラゴン 学生寮~
ナナリー(いよいよ、明日はお兄様とCCさんに会える)
ナナリー(元気にしてらっしゃるのかしら)
ナナリー(お兄様が戻ってきて、またお話ができる)
ナナリー(ふふ、楽しみです)
コンコン
ナナリー(あら、こんな時間にどなたかしら)
ナナリー「はい、どうぞ入ってください」
???「おお、やはりナナリーはナナリーだ」
???「私のことを覚えているか?」
ナナリー「?申し訳ないのですが、私目が見えなくて」
???「ああ、そうだった、そうだよな、すまない」
コーネリア「コーネリア・リ・ブリタニアだ」
ナナリー「コーネリア、様?」
ナナリー(たしか、お兄様は記憶喪失ということになっていたはず)
ナナリー(あまり余計なことは言わないようにしないとですね……)
ナナリー(でも、なんでここに?)
コーネリア「ああ、お前の姉だ」
ナナリー「でも、私はただの……」
コーネリア「小さかったから覚えていないのかもしれないが、私は覚えているぞ」
コーネリア「だが、今回はどうでもいいんだ」
ナナリー「???」
コーネリア「聞いているだろうが、お前の兄であるルルーシュが、今度結婚することになった」
コーネリア「ナナリーはこっちに来ていると聞いていたのでな」
コーネリア「せっかくだから、私と一緒にエリア11に連れていこうとここに来たんだ」
ナナリー「え、ええと、あの」
ナナリー「要するに、迎えに来て下さったのですか?」
コーネリア「そういうことだ」
コーネリア「ルルーシュは私の特務騎士でもあり、ラウンズの一員でもある」
コーネリア「その妹ともなれば、移動にも気を遣うだろう」
コーネリア「私ならば、普通に行くよりずっと安全に、エリア入りできる」
コーネリア「というわけで、ここまで来てみた」
ナナリー「それは、お兄様はご存知なのですか?」
ナナリー「私は明日、お迎えが来て下さるものと伺ってましたが」
コーネリア「連絡はこれからする」
ナナリー「い、一応それをお聞きしてからでないと難しいかと」
コーネリア「大丈夫大丈夫、早めに行って驚かせたいんだ」
ナナリー「あ、あはは」
???「姫様、あまり興奮されませぬよう」
コーネリア「ギルフォード、私は別に興奮してなどいない」
ギルフォード「ナナリー様、何も今すぐ行くという話ではございません」
ギルフォード「ただ、どうしても姫様がお顔だけでも拝見したいと」
コーネリア「当たり前だろう!」
ナナリー「ま、まあまあ」
ナナリー「そういうことでしたら、私からお兄様に連絡してみます」
ギルフォード「おお、ありがたい」
ギルフォード「姫様はランペルージ卿のこととなるとすぐに空回りしてしまい」
コーネリア「ギルフォード!」
ギルフォード「姫様、ご兄妹とお話しする時はもう少し姉としての威厳をですね」
コーネリア「分かってはいるんだ、だがユフィはあんなだし、ルルーシュも私のことをお姉ちゃんとは呼んでくれない」
コーネリア「しかし、ナナリーならあるいは、と」
ナナリー「コーネリア様は、お姉様と呼ばれたいのですか?」
コーネリア「ああ、もちろんだ」
コーネリア「というか、甘えてもらいたい!」
ギルフォード「姫様、発言があまりに情けなさすぎます」
コーネリア「いいだろう、私にだって望みくらいあるんだ」
コーネリア「ルルーシュも結婚してしまうし、ユフィは世界中飛び回っていてなかなか帰ってこない」
コーネリア「……私は一人ぼっちだ」
ギルフォード「姫様もご結婚を考えては如何です?」
コーネリア「それはまた別の話だ」
ナナリー「ま、まあ確かに1人だと寂しいですよね」
ナナリー「私もこちらに来たばかりの時は心細かったです」
コーネリア「そうだろうそうだろう」
コーネリア「とりあえずナナリー、これから夕食に行こう」
コーネリア「2人が今までどうしていたのか、ナナリーの知っている事を聞いてみたい」グッ
ナナリー(なんだか距離がとても近いです)
ナナリー「か、構いませんよ」
ナナリー「私の知っていることであれば、ですけど」
コーネリア「そうか!」
コーネリア「やったぞギルフォード、ナナリーが一緒に来てくれると言っている」
ギルフォード「はい、聞いていましたから分かります」
ギルフォード「最近はいつも浮き足立っておられて、私は心配です」
コーネリア「目出度いことなのに、共有する相手がノネットしかいないんだ、仕方ないだろう」
コーネリア「そのノネットも最近は聞いてくれないし」
ナナリー(まあ少し面食らいましたけど、やっぱりお姉ちゃんなのは変わってませんね)
ナナリー(以前はもう少し凛々しかったように思いましたが)
ギルフォード「毎日毎日話せば、誰でもそうなります」
コーネリア「私の弟の結婚だぞ?毎日話して何が悪い?」
ナナリー(……ふふ、今のお姉様の方が面白いですね)
ぐぬぬ、なんか上手く書けない。
ちょっと時間置きます、まとまらん
~控え室~
CC「……」コツコツウロウロ
ルルーシュ「どうした、落ち着きのないやつだ」
CC「外の様子を見たか?」
ルルーシュ「ああ、見たとも」
CC「物凄い数の人だ」
ルルーシュ「そうだな」
CC「何を平然としている、これではまるで見世物ではないか」
ルルーシュ「大体結婚式なんて殆どの場合見世物だろう、少し規模が大きいだけだ」
CC「少し!?」
CC「ああ、私の想定が甘かった、こんな所で辱められるならいっそ延期してしまいたい」
ルルーシュ「そうするか?」
CC「いや、しないけど!」
CC「そんな気分なんだ!」
ルルーシュ「ほらCC、これからドレスを着るんだろう?」
ルルーシュ「あまり動き回ると脚がむくんでしまうぞ」
CC「落ち着かないんだ」
CC「なんとかしてくれ!」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「まあとりあえず座るといい」
ルルーシュ「となり空いてるぞ」
CC「……」コツコツ スッ
ルルーシュ「どうだ?」
CC「あまり変わらない」
ルルーシュ「まあそうか」
ルルーシュ「なあCC」
CC「?」
ルルーシュ「ながい時間を生きるというのは」
ルルーシュ「どういう気分なんだ?」
CC「なんだいきなり」
ルルーシュ「ふと気になってな」
ルルーシュ「思えばそんな経験のある人間はお前しかいないし」
CC「まあそれはそうだろう」
CC「人間かどうかは怪しいがな」
ルルーシュ「どうせまだまだ時間はある、聞かせてくれないか?」
ルルーシュ「楽しかった頃のことだけでもいい」
CC「そうだな」
CC「でも最初は楽しかったぞ、実際」
CC「時間がある分じっくり色々やれた」
CC「私がまだ普通の人間だった頃は読み書きすらも出来なかったし、勉強もしたかったからな」
CC「他にも色々な国を行き来したり、死なない身体のおかげで旅も怖くなかった」
CC「もっとも、途中からは迫害を逃れるための旅になってしまったが」
ルルーシュ「VVとはどこで会ったんだ?」
CC「まだその当時、国の外に出るのは容易ではなくてな」
CC「私はブリタニアから出られず、各地を転々としていた」
CC「そしてある時、私は追い詰められて」
CC「皇帝に献上された」
ルルーシュ「なるほど、その時に」
CC「ああ、どうやら奴は私よりずっと昔からコードを持っていたようで」
CC「助けられたあとは奴の手伝いをしていた」
CC「……」
ルルーシュ「ああ、それ以上はいい」
CC「シャルルやマリアンヌに会う前には、大方のコードが私たちのところにあった」
CC「残りのコードはシャルルとVVが集めた、だから殆どのコードはVVが持っている」
ルルーシュ「お前のコードは」
CC「ん?」
ルルーシュ「いや、お前の持っているコードは」
ルルーシュ「もともとは誰のものだったんだ?」
CC「…もう、名前は思い出せないな」
CC「覚えているのは、妙に優しい奴だったことと」
CC「死に方を探していたくらいだ」
ルルーシュ「死に方?」
CC「時間は残酷なのさ」
CC「目的なく生きるには、この身体は丈夫過ぎる」
ルルーシュ「お前にも、そう思う時はあるのか?」
CC「…そうだな」
CC「ただ、まあ私は」
CC「死ぬほうが怖い、かな」
CC「特に今はな」
コテハン忘れてた
ルルーシュ「それは良かった」
CC「本当にそう思っているのか?」
ルルーシュ「当然だ」
ルルーシュ「そろそろ時間だな、咲世子の所に行こう」
CC「…なぁ、ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
CC「私は、自分で言うのもなんだが」
CC「色々面倒なやつだ」
CC「すぐ怒るし、不機嫌になるし、不安にもなる」
CC「……」
CC「だけど」
CC「これからも、私と一緒に居てくれるか?」
ルルーシュ「…ふふ」
ルルーシュ「ああ、もちろんだ」
ルルーシュ「何より、お前のこういう姿は素直に可愛らしいじゃないか」
CC「う、うるさい!」
ルルーシュ「はは、顔が赤いぞ」ギュ
ルルーシュ「心配するな、これからもずっと一緒さ」
ルルーシュ「行こうCC、新しい契約を結びに」
~会場~
ヴィレッタ(ここか……)
ヴィレッタ(結局当日になってしまった)
ヴィレッタ(まあ、二人とも時期的に忙しいだろうしな)
ヴィレッタ(終わってから話に行けばいいだろう)
ヴィレッタ(正直、少し気まずい)
ヴィレッタ(だが、私だっていつまでも逃げているわけには行かないんだ)
ヴィレッタ(しかし広いところだな、まるでライブのステージだ)
ヴィレッタ(さすがにここで知り合いを探すのは難しそうだ)
ヴィレッタ(…逆に都合がいいか)
ヴィレッタ(どうせあいつらは中央の方の招待席だろうしな)
ジノ「アーニャ、席はこっちじゃないぞ」
アーニャ「……知ってる」
アーニャ「付いてこなくて、いい」
ジノ「そういうわけにいかないだろ」
ジノ「ここはどんな人間がいるか分からないんだ、あまりウロチョロするのはよくない」
アーニャ「……」
マリアンヌ(言うこと聞いてあげたら?)
マリアンヌ(多分だけど、仮にこのまま行っても、ルルーシュたちには会えないわよ?)
アーニャ(でも、記録したい)
マリアンヌ(終わってからでいいじゃない、ね?)
アーニャ「……」
ジノ「どうして急に不機嫌になるんだ?」
アーニャ「皆、私のことを、分かってくれない」スタスタ
ジノ「あ、おい!」
ジノ「皆って誰だよ。全く」
???「……」ブツブツ
ジノ「え?」
???「……」スタスタ
ジノ「なんだぁ?あいつ」
ジノ「1人で喋りながら歩いてると、気持ち悪がられるぞ」テクテク
スザク「ユーフェミア様、飲み物をお持ちしました」
ユーフェミア「ああ、スザク」
ユーフェミア「大丈夫ですよ、ここには私と神楽耶しかいません」
神楽耶「ふふ、まさか結婚式でらいぶが出来るとは思いませんでしたわ」
ユーフェミア「ふふ、そうですね」
スザク「世界的人気の2人だから、ルルーシュたちも喜ぶよ」
スザク「出番は後半だから、時間があいちゃうけどね」
ユーフェミア「間近で見られないのが残念ですね」
神楽耶「ふふふ、あの女が結婚するということは、私の邪魔者が一人減るということですわ!」
神楽耶「ゼロ様!わたくしはまだ諦めていませんわよー」
スザク「は、ははは、まあ程々にね」
スザク(ゼロがルルーシュだとは言えないなぁ)
ユーフェミア(言えませんねぇ)
洗濯終ったので干してきますー、まったりお待ちをー
マオ「お、席はここかぁ」
咲世子「御来場の皆様、本日は……」
マオ(あら、もうそんな時間か)
マオ(なんか僕まで緊張して来ちゃうよ)
ロロ「おや、貴方は」
マオ「ん?」
ロロ「兄さんから聞いてますよ、CCの弟だとか」
マオ「ああ、僕はマオ」
マオ「君は?」
ロロ「ロロです、よろしく」
マオ(なんだろう、不思議な子だなぁ)
ロロ(これだけ目立つイベントだ、どんな事故が起こるかもわからない)
ロロ(この男も情報が少ない、一応見張っておくか)
ロロ(全く、なんで僕が気を回さなきゃいけないんだ)
ロロ(それもこれも、あの二人が警戒心無さすぎるせいだけど……)ブツブツ
マオ(大丈夫かな?この子)
~報道関係者席~
ディートハルト(はぁ、全く面白くない)
ディートハルト(ゼロは大きな作戦をしなくなるし、妙な昇進のせいで現場には出にくくなるし)
ディートハルト(やっと出てきたと思えば総督の結婚報道だとォ?)
ディートハルト(くだらん、実にくだらん)
???「ちょっと、コードに引っかからないようにしなさいよ」
???「でも会長、ここ狭くて……」
???「もう会長じゃないっての!ってか何年会長って呼ぶつもりよ」
???「す、すんません」
???「あ、ディートハルトさん」
ディートハルト「ん?」
ディートハルト「ああ、ミレイさん、だったかな?」
ミレイ「そうです、ミレイ・アッシュフォード」
ミレイ「ほら、あんたも挨拶しなさい」
リヴァル「リヴァル・カルでモンドです」ペコッ
ディートハルト「ああ、そんなにかしこまる必要はないよ」
ディートハルト「君たちもここに呼ばれたのかい?」
ミレイ「はい、あたしたち新郎新婦の同級生みたいなもので」
ミレイ「本当は仕事関係なくくる予定だったんですが」
ミレイ「このバカが周りにいいふらしまして」
リヴァル「謝ったじゃないですかぁ」
ミレイ「うるさい!」
ミレイ「ともかく、今日はよろしくお願いします」
ディートハルト「はは、元気が一番とはよく言ったものだ」
ディートハルト「何もないだろうが、そういう時ほど我々の腕が問われる」
ディートハルト「お互い頑張ろう」
ミレイ「はい!」
ミレイ「ほら、早速カメラ回すわよ」ベシッ
リヴァル「は、はい!」
咲世子「これで、完成です」スッ
CC「完成とはなんだ、完成とは」
咲世子「ふふ、ぱーふぇくとCCですね」
CC「どうだ、変じゃないか?」
咲世子「とてもお綺麗ですわ」
咲世子「ねぇ?ルルーシュ様」
ルルーシュ「そうだな」
ルルーシュ「CC、よく似合っているぞ」
CC「そ、それならいいが」
ルルーシュ「さて、進行はどうなっている?」
咲世子「私が司会をしますので、そろそろ行きます」
咲世子「カレン様からビデオメッセージも頂いてますから、お2人の入場後に流し、その後はケーキ入刀と」
咲世子「お2人の友人代表としてスザク様のスピーチ、そして虐殺☆皇女のミニライブです」
ルルーシュ「分かった、早速向かってくれ」
咲世子「はい、それでは後ほど」コツコツ
CC「私たちは?」
ルルーシュ「はは、せっかくだから」
ルルーシュ「少しCCを眺めてから行こうと思ってな」
CC「なんだ、そんなに気に入ったのか?」
ルルーシュ「……ああ」
ルルーシュ「魔女には見えない」
CC「ふふ、それなら完璧だな」
ルルーシュ(なんだろう、この胸騒ぎは)
ルルーシュ(嫌な予感がする、いや)
ルルーシュ(嫌な感じがする、何か得体の知れない気配が)
ルルーシュ(ロロもいる、警備も強化してはいるが)
ルルーシュ(何事もなく終わってくれよ……)
~会場~
咲世子「それでは、お二方に入場して頂きましょう」
咲世子「新郎新婦、入場!」
ヴィレッタ(……さすがに壮大だな)
ヴィレッタ(イメージだと付き添いでもいるのかと思っていたけど)
ヴィレッタ(さすがにここで付き添いはつけられないか)
キャーキャーワーワー
ヴィレッタ(ははは、私はもっと慎ましい式にしよう)
ヴィレッタ(っと、いけない、今はその事は忘れよう)
咲世子「まずはお二人の共通の友人で」
咲世子「残念ながら今回は参加できないカレンさんからビデオメッセージが届いております」
咲世子「映像、お願いします」
カレン「んー、髪とか変じゃない?」
カレン「だってあいつらの結婚式でしょ?絶対規模大きいじゃない」
カレン「ねぇスザク、笑ってないでどう?ちゃんとしてる?」
カレン「……そう?ならいいんだけど」
カレン「で、いつから撮るの?」
カレン「え?もう撮ってる?バカ、そういうのは先に言いなさいよ」
カレン「後でちゃんと編集しといてよね、恥かくのはあたしなんだから」
ルルーシュ(ばっちり無編集だがな)
CC(まああいつらしくていいか)
カレン「こほん、えールルーシュ、CC、結婚おめでとう」
カレン「あたしも参加したかったけど、まあ話は後でゆっくり聞かせてもらえばいいわ」
カレン「テレビ中継もあるらしいし」
カレン「思えばあたしが家のことで揉めてるときも、大変だった時も」
カレン「2人にたくさん助けられてばかりでした」
カレン「これからはその2人の関係がさらに強くなるってことで」
カレン「まあ、つまり難しいんだけど」ポリポリ
カレン「あたしも、これからはしっかりあんた達の助けになれるように頑張るから」
カレン「あんまり喧嘩とかしないで、仲良くやりなさいよ」
カレン「それと、お互い突っ走るタイプなんだから、あんまり無茶はしないよーに!」
カレン「……スザク、これでいいわ」
カレン「え?あぁ、大丈夫だと思うわ」
カレン「分からないわよ、初めてだものこういうの」
カレン「とにかく、あとよろしくね」プツン
咲世子「以上です」
ルルーシュ(編集くらいしてやればよかったのに)
CC(面白がってそのままにしたんだろう)
咲世子「続きまして……」
ルルーシュ「なあCC」
CC「どうした?」
ルルーシュ「あのケーキは食べられるのか?」
CC「そりゃあ飾りを除けば食べられるんじゃないか?」
ルルーシュ「すごいな、サイズもそうだが」
ルルーシュ「以前のピザを思い出す」
CC「あれと同じさ、パフォーマンスだよ」
CC「ま、私としては」
CC「共同作業という部分はなかなか良いと思ってる」
ルルーシュ「なるほど」
CC「ふふ、見ろルルーシュ」
CC「あそこでマオが……」
CC「…っ!!」バッ
ルルーシュ「どうしたCC?」
バァン
キャアアアアアアアアアア
ルルーシュ「CC!!」
CC「……ルルーシュ、にげ……」
CC「ぐうっ」キィィン
ルルーシュ「CC?CC!」
CC「…………」
ルルーシュ「くそっ!一体誰が……」
ルルーシュ「咲世子!」
咲世子「はい」スッ
ルルーシュ「スザクやユフィ、神楽耶に観客の避難を手伝わせろ、今回のやり方からしてほかの人間に危害はないだろう」
ルルーシュ「お前は犯人を探せ、俺はCCを医務室へ連れていく」
ルルーシュ「ラクシャータを呼んでおけ」
咲世子「かしこまりました」フッ
ルルーシュ「かならず報いを受けさせてやる」
ルルーシュ「CC、もう少し我慢してくれ、すぐに治してやるからな」
アーニャ「………」
ルルーシュ(ん?あそこにいるのは?)
ルルーシュ(まあいい、今はCCだ)タッタッタッ
アーニャ(あれでよかったの?)
~回想~
マリアンヌ(今よ!)
アーニャ(え?)
マリアンヌ(タイミングとしても、ちょうどよかった)
マリアンヌ(行ってくるわ、アーニャちゃん)
アーニャ(で、でも)
マリアンヌ(すぐに戻ってくる、とにかく危険を知らせないと)
アーニャ(あっ……)
ジノ「アーニャ、とりあえずルルーシュの所に行ってみよう」
ジノ「俺たちに出来ることがあるかもしれない」
アーニャ「……うん」
~少し前~
ロロ(思っていた以上にくだらないなぁ)
ロロ(隣の男も……)
マオ「CCー!こっち向いてー!」カシャカシャ
ロロ(写真撮りまくってるだけだし)
ロロ(まぁ、事件が起こらなければ)
ロロ(それが一番いいんだけど)
???「………」スッ
ロロ(ん?なんだ、あいつ)
ロロ(いつの間にここへ、さっきまでは誰も……)
???「ブリタニアに栄光あれ」スチャ
ロロ(……!まずっ……)
ばぁんっ!
キャアアアアアアアアアア
ルルーシュ「CC!!」
ロロ「くっ!奴は……!」
マオ「あっちだ!」
ロロ「え?」
マオ「僕はCCの所へ行く、君はあいつを!」
ロロ「わ、分かった」
ロロ(なんだ急に?人が変わったような……)
マオ(なんだかわからないけど)
マオ(なんだ、この嫌な感じ……)
時間来ちゃった、始めるの遅くなってごめんよ。
ここからはわりとサクサクいけるはず、ちょっと世界にかかわる話だから退屈かもしれないけど読んでくださいなー。
それでは、おやすみなさい、良い夢を!
コーネリア「……む、何事だ」
ナナリー「悲鳴、ですか?」
ギルフォード「ステージで何かあったようですね」
ギルフォード「ここからでは良く見えませんが」
コーネリア「ならば確かめに行こう」
コーネリア「ナナリー、私と一緒に」
コーネリア「1人では危険だ」
ナナリー「はい」
ギルフォード「姫様、わざわざご自身でいらっしゃる必要は」
コーネリア「下の様子を見ろ、どのみち式を続けられるような状態じゃない」
コーネリア「ギルフォード、外のダールトンとグラストンナイツを集めよ」
コーネリア「ルルーシュ達の助けになるのだ」
ギルフォード「は!」
~会場廊下~
タッタッタッ
???「……」ピピッ
???「失敗しました、ルルーシュの始末は出来ませんでした」
???「はい、やはりCC……」
???「……分かりました、このまま第二目標を回収します」
ロロ「待て!」ダッ
???「邪魔が入りました、また連絡します」ピッ
ロロ「誰だか知らないけど」
ロロ「君の身柄を拘束する」
???「残念だけど、それはできない」
ロロ「何?」
???「君では僕に追いつけないさ、ロロくん」シュン
ロロ「!?消えた!?」
ロロ「何者だ、なぜ僕の名前を……」
~ステージ裏手~
ヴィレッタ(CCが撃たれた)キョロキョロ
ヴィレッタ(私も手伝える事があるはず、まずは特派の誰かを見つけなければ)
ヴィレッタ「……いたっ」ゴン
コーネリア「すまない、急いでいたとはいえ」
ヴィレッタ「コーネリア様?」
コーネリア「ん?お前は……」
ヴィレッタ「!いえ、私はどうでも良いのです」
ナナリー「その声は、ヴィレッタさん?」
ヴィレッタ「ナナリー?」
ギルフォード「姫様、我々の移動する速度も考えて行動を……」
コーネリア「すまない、ここで何があったか分からないか?」
ヴィレッタ「え、ええ、多分CCが……」
咲世子(?なぜナナリー様がこんな所に)シュッ
咲世子(……メイドからの報告がない、まさか何かあったのでは……)スタッ
咲世子(仕方ありませんわね、まずはナナリー様を安全な所へ)クルッ
咲世子(!あの男……、もしかして)
???「ここに居られたんですね、ナナリー様」
ナナリー「え?」
コーネリア「なんだ貴様、見たことのない顔だが」
???「ナナリー様、私の雇い主が貴女をお連れするように、との事でしたので」
???「あまり乱暴な真似はしたくありません、大人しく来ていただけませんか?」
ナナリー「……どこへ連れて行かれるのですか?」
???「大丈夫ですよ、貴女もよくご存知の場所だ」
コーネリア「ギルフォード、その不埒な輩を捕らえよ」
コーネリア「口ぶりからして、今回の件に関わっているのは間違いないだろう」
ギルフォード「かしこまりました」
???「……嫌だなぁ、抵抗しないでくれれば、傷付けずに済むのに」
ギルフォード「大人しくしてもらおうか」
???「それは、こちらの台詞ですね」シュン ゴスッ
ギルフォード「ぐっ!?」グラッ
ギルフォード「な、なんだ?」
???「貴方たちじゃ、ついてこられないよ」
???「とりあえず皆眠ってもらえるかな」シュン
コーネリア「来るぞ!」
ヴィレッタ「うっ!」ゴロゴロゴロ
コーネリア「ヴィレッタ!くうっ」バシィッ
???「ほら、やっぱりついてこられない」
???「さぁ、ナナリー様」
ナナリー「………」
咲世子「その手を離しなさい」
???「ん?君は?」
咲世子「篠崎咲世子、ナナリー様をお守りするメイドの1人です」
咲世子「申し訳ございませんが、手加減は出来かねます」シャキン
???「へぇ」
???「オバサンは強そうだ」
咲世子「訂正して下さい、私はまだぴちぴちです」
???「軽口叩いても隙は全く見せないか」
???「じゃ、頑張ってね」シュン
咲世子「!?」ガキィンッ
???「……」
???「すごいね、オバサン」
咲世子(マズい、全く見えない)
咲世子(私の目でも追い切れない)ビリビリ
咲世子(油断のある初撃だから辛うじて反射出来たけれど)
咲世子(これならば食らっておくべきでした、もし本気で来られれば)
咲世子(……私では、勝てない)
咲世子(ナナリー様をお守りするために、出来ることは……)
???「あと何回耐えられるかな?」
咲世子「ふふふ、貴方の力」
咲世子「ギアスの力ですね」
???「……オバサン何者?」
咲世子「さて、私はただのメイド」
咲世子「どうしても知りたければ、力尽くでどうぞ?」
???「望むところだね」シュンッ
咲世子(なんとか挑発して、ここから引き離さないと)
ロロ「……あいつはどこへ」
ロロ「ん?今何か……」
???「いやぁ、ほんとにすごいね」
咲世子「ぐっ……」
???「でももう無理でしょ」
咲世子「ふ、ふふふ、確かになかなか厳しいです」
咲世子「随分とお強いこと……」
???「まああんまり殺すなって言われてるから」
???「生かしておいてあげるよ」
咲世子「あ、ありがとうございます」
咲世子「……!」ヒュンッ
???「おっと、危ない危ない」パシッ
???「悪いけど、そろそろ時間だ」
???「もう寝てていいよ」ガスッ
咲世子「がっ……」
咲世子(ルルーシュ様、ナナリー様、申し訳ございません……)ガクッ
???「さて」
ロロ「今の力」
???「ん?」
ロロ「お前、ギアスが使えるのか」
???「ああ、追いついてきたのか」
???「邪魔はしないでほしいな」
ロロ「生憎と、そういうわけにも行かないので」
???「いや、君は従わざるを得ないさ」
???「僕らの目的は同じなんだからね」
???「それに、僕らが戦っても、お互い損するばかりでしょ」
ロロ「……」
???「だからさ、そこ」
???「どいてよ」
ロロ「……!」ゾッ
ロロ「……」スッ
???「ありがとう」
???「さて」グイッ
ナナリー「……ううっ」グッタリ
???「君は引き続き、ここでスパイを頼むよ」
???「もうすぐ、全部終わるみたいだからね」カツカツ
ロロ「……」
ロロ(なんだ、今の感覚)
ロロ(何故かは分からないけど)
ロロ(……怖い?)
ロロ(……馬鹿な)
~医務室~
ラクシャータ「幸い致命的な傷は負ってないわねぇ」
ラクシャータ「もうすぐ救急車が来るから、あとはあたしがやっておくわよ」
ルルーシュ「致命的な傷?」
ルルーシュ「CCは不死身の身体なのにか?」
ラクシャータ「ええ、不思議なんだけど」
ラクシャータ「傷の治りとか、具合とか」
ラクシャータ「普通の人間よりは、良いんだけど」
ラクシャータ「なんでかは分からない、ただ」
ラクシャータ「今のCCは、何故かものすごく弱ってるってことね」
ルルーシュ「CC……」
ラクシャータ「とにかく、あんたはあんたのやるべき事をしなさい」
ラクシャータ「この混乱収めないと、どうにも動けないでしょ」
ルルーシュ「……ああ、そうだな」
ルルーシュ「あとを頼む」
ラクシャータ「はぁい、任せなさいな」
ルルーシュ(今回の狙いは俺だった)
ルルーシュ(俺を殺そうとする人間は少なくないだろうが)
ルルーシュ(今回の持ち物検査を抜けてくる能力、場合によっては)
ルルーシュ(ギアス、裏にVVかシュナイゼルがいるかもしれんな)
ルルーシュ(まずはどうやって侵入してきたのか解明する必要があるか)
~???~
CC「ここは……?」
???「あら、お目覚めかしら?」
CC「お前は……マリアンヌ?」
マリアンヌ「ハァイ」
マリアンヌ「とりあえずそこ座ったら?ここは欲しいものならなんでも揃うのだから」
マリアンヌ「んー、紅茶が美味しいわ」
CC「お前はここが何処なのか分かるのか?」
マリアンヌ「もちろんよ」
マリアンヌ「ここは貴女の中」
マリアンヌ「頭の中の世界よ」
CC「何だと?」
マリアンヌ「だって私は死んじゃってるのよ?」
マリアンヌ「ここじゃなければ貴女と話すことすらできないわ」
CC「私はどうなった?」
マリアンヌ「今は寝ているわね」
マリアンヌ「仕方ないわ、ルルーシュを庇って撃たれたのだもの」
マリアンヌ「まぁ、たまには休まないとってことよ」
CC「納得できるか」
CC「私に何をしたマリアンヌ」
CC「狙いはなんだ?」
マリアンヌ「まあまあ、そう焦らないで」
マリアンヌ「順を追って話すわ」
マリアンヌ「まず、私がここにいる目的だけど」
マリアンヌ「貴女に色々説明するため、そしてその力を抑えるため」
CC「抑える?力?私のか?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「私は死の間際にギアスの力で精神をこの世界の残した」
マリアンヌ「その時知ったの、ギアスとは一体何なのか、その正体を」
CC「ギアスの正体?」
マリアンヌ「ギアスは、もともと1人の王女が持っていた力なの」
マリアンヌ「少し、昔話をしましょうか」ガサガサ
CC「?どうした本棚なんか漁って」
マリアンヌ「ここにあるの、貴女の記憶の中に」
マリアンヌ「いいえ、正確には貴女のもつコード、Cの中に」
CC「私の?」
マリアンヌ「あったあった、これね」パラパラッ
マリアンヌ「そう、ここ」
マリアンヌ「むかしむかし、生まれながらに不思議な力を持った姫がおりました。
姫の力は人を勇気づけ、時に励まし、悲しみを癒し、そしてなにより、人を喜ばせるものでした。
姫の存在を讃えた人々は、国の名前を輝ける王国、ブリタニアと名付けました。
しかし、姫にも抗えない一つの大きな力がありました。
それは時間です。
姫の力をもってしても、時間だけにはどうしても抗うことが出来ませんでした。
姫は考えました。この力をより多くの人へ、より多くの時代へ遺したい。
より多くの幸せのために使いたいと。
姫は自分の力の研究を始めました。自らの力に名前をつけ、それを一つ一つ纏めて、他者に分け与える研究です。
姫の研究は成功しました。そしてブリタニアの中で信頼のおける人へ、一つずつその力を授けて回ったのです。
彼らは饗団という組織を作り、それぞれが持つ力を使って人の手助けをするようになりました。
国中が饗団を讃え、全ての力をコード化した頃、姫はもう年老いていました。
しかし、姫は一つだけ心配なことがありました。
それはまたしても時間です。
姫の時間は、他の人とは大きく違っていました。
人の時間は余りに短く、また姫の時間を受け入れるほど、人の心は強くありません。
だから姫は、最期に一番大きな能力を、封印することにしたのです。
人の願いを叶える力、人に愛された姫の本当の力を、そして核となるCodeCoreに世界を見守る役目を与えて。
しかし、姫が亡くなって時が経ち、やはり人は大きく道を踏み外していきました。
力を得た人間は姫のことも忘れ、私利私欲のために力をつかい、また奪うようになりました。
CodeCoreは思いました、それならまた力を一つにして、姫を取り戻さなくてはならない、と。」
CC「なんだ?これは」
マリアンヌ「聞いての通りよ、貴女が今まで生きていられた理由でもある」
マリアンヌ「そして、やっぱりこうなっていたのね、と」
マリアンヌ「私はそう思うのよ」パタンッ
CC「???」
マリアンヌ「あくまで落ち着いて聞いてほしい」
マリアンヌ「貴女の今置かれている状況を、ね」
マリアンヌ「CC、貴女のコード、Cは1番最後に生まれたコード」
マリアンヌ「神聖ブリタニア帝国、その起こりは皇暦19世紀の初頭とされているけれど」
マリアンヌ「実は、その遥か昔から、ブリタニアという国はずっと続いているの」
CC「どういうことだ?」
マリアンヌ「貴女の知っていることは、云わば世間に知らされている嘘の一部なのよ」
マリアンヌ「貴女が私達の元を去った理由も、本当は的外れ」
CC「何だと?」
マリアンヌ「あの日、私はVVに」
マリアンヌ「私を殺すようにお願いしたの」
CC「意味が分からない」
CC「マリアンヌ、お前は何を知った、あの当時一体何があったんだ」
マリアンヌ「まず、私がCCとギアスの契約を交わした時」
マリアンヌ「いえ、正確には私は貴女と契約出来なかったの」
マリアンヌ「私の中にあったもう一つのギアスのせいでね」
CC「もう一つのギアス?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「私と、シャルルもだけど」
マリアンヌ「私たちはCodeCoreを受け入れる器としての能力がある」
マリアンヌ「シャルルより私の方が向いていたから、結局は私が器となる予定だった」
マリアンヌ「それが分かったのが、貴女と契約しようとした時」
CC「???」
マリアンヌ「いいから最後まで聞いてちょうだい」
マリアンヌ「貴女のコードがVVに奪われなかった理由」
マリアンヌ「それはとっても単純、奪えなかったの」
CC「奪えない?」
マリアンヌ「ええ、貴女のコードは特別なの」
マリアンヌ「コードギアスを完成させるための最後のピース」
マリアンヌ「封印された王女、いえ記述は姫だったわね」
マリアンヌ「その姫の一番の能力、人を惹き付ける力」
マリアンヌ「貴女のコードは、ほかの全てのコードを管理する為のものなの」
マリアンヌ「当然、さっき読んだ通り、その力は最後に、姫によって封印されている」
マリアンヌ「だから、器の力を持つ私と、貴女は契約することが出来なかった」
CC「それなら、お前のギアスは」
マリアンヌ「ええ、この力はVVとの契約によるものよ」
マリアンヌ「私とVVは、貴女のコードと、私の力を研究することで、コードギアスの完成を目指していた」
CC「シャルルは?」
マリアンヌ「あの人は協力はしてくれたけど」
マリアンヌ「何を考えているのかは分からなかったわ、結果として私達が優しい世界を作りたいという理想で一致していたし」
マリアンヌ「私達は、この世界を利益に囚われることの無い存在」
マリアンヌ「所謂神に統治してもらうことが」
マリアンヌ「優しい世界を作る一番の方法だと考えたわけ」
マリアンヌ「結果、VVの持っていた、いえVのコードが持っていた過去の記憶の一部を読み取り、私の能力である人の心を渡るギアスも分かった」
マリアンヌ「だけど、そこで問題が起きたの」
CC「問題?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「私の能力……器の方ね」
マリアンヌ「その力がナナリーに移ってしまったの」
マリアンヌ「ルルーシュの時は何も無かったから分からなかったけど、どうやらこの能力は私のギアスと同じように」
マリアンヌ「人から人へ渡っていくみたいなの」
CC「ということは、今はナナリーが器の力を?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「私はそのために、死んだのよ」
CC「どういうことだ?」
マリアンヌ「ナナリーに背負わせたく無かったから」
マリアンヌ「器になるということは、自分で居られなくなるということだもの」
マリアンヌ「ルルーシュも、ナナリーも、あの子達にはあの子達の人生を生きて欲しいから」
マリアンヌ「まあ、結果は失敗してしまったけど」
マリアンヌ「ナナリーの記憶は、シャルルが上書きしたわ、あの子の目と脚はそのせい」
マリアンヌ「つまり、VVの目的は奪うことの出来ない貴女のコードと、器であるナナリー」
マリアンヌ「私はそれを止めるためにここにいるの」
CC「どうするつもりだ?」
CC「私がここにいる理由も分からない」
さっきのは前回のあまり分ね、ちょいまちどこまで書いていいのかメモ見ないと忘れる
やたら考察されててやばし!まあその辺は本当は突っ込まれたくないんだけどね、そんなに強調してなかったのによく気付いてしまったというか、うん。
これから書きます!ヒント出しておくとそもそもギアスが効かないはずのCCに対して任意で侵入してるあたりから考えて貰えばいいかも!あとは今日の分があれば想像できる範囲ではあるはず。
触らんでええよ
マリアンヌ「今、現状貴女の身体は所謂休眠状態になっているの」
マリアンヌ「一時的ではあるけど、貴女の中にあるギアスの因子は封印されているようなもの」
マリアンヌ「例えVVがあなたのギアスを欲しがっても、私がここにいる間は奪うことが出来ない」
CC「どうして?」
CC「そもそもVVは私のギアスを奪うことができないんだろう?」
マリアンヌ「ええ、彼自身の力ではね」
マリアンヌ「でも、それ以外ならば可能よ」
CC「それ以外?」
マリアンヌ「ルルーシュの腕の話は聞いたかしら?」
CC「いや、詳しくは」
マリアンヌ「あれがVVの切り札の一端よ」
マリアンヌ「それがルルーシュの手にあるというのも、また皮肉な話だけれど」
>>151
うぃ!でも皆楽しんでくれてるのは変わらないと思ってるからさ!
マリアンヌ「私はVVに見つからないように、何年もあちら側の情報を探ってきた」
マリアンヌ「そして、ギアスイーターと呼ばれる兵器の存在を知ったの」
CC「ギアスイーター」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「あれはね、ギアスという高純度のエネルギーの塊、それ自体を吸収してしまう能力があるの」
マリアンヌ「今まで何人ものクローン体、実験体が運用を試みて失敗していた、理論だけのもののはずが」
マリアンヌ「バトレーという男の研究所で成功したという報告を見たのよ」
CC「バトレー!?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「幸い、その情報は本国に伝わる前に私が消去したわ」
マリアンヌ「不思議なことだけど、バトレー自身もそれを隠したがっているみたいだったし」
マリアンヌ「まぁ、それで」
マリアンヌ「完成したとされるルルーシュのギアスイーターと同じような装置を」
マリアンヌ「VVは未だに研究し続けていた」
マリアンヌ「まだ暫く大丈夫と踏んでいたのだけど」
マリアンヌ「ここ数ヶ月で、また事情が変わったの」
CC「何があった?」
マリアンヌ「今、貴女とルルーシュは中華連邦に何か仕掛けようとしているわよね?」
CC「あ、ああ……」
マリアンヌ「それをVVは知っているはず」
マリアンヌ「なのに、何もアクションを起こさないことが気になって」
マリアンヌ「私は直接こちらに来て調査することにしたの」
マリアンヌ「VVにとって、研究施設の多くある中華連邦は、今の関係性を保っていた方が動きやすいはずだもの」
マリアンヌ「何かある、とね」
CC「それで?」
CC「何かあったのか?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「VVはルルーシュのギアスイーターを知らないこと」
マリアンヌ「それは間違いないと思うわ」
マリアンヌ「そして、それなのに中華連邦を放っておいてまでやりたいこと」
マリアンヌ「結論から言えば」
マリアンヌ「VVはナナリーの中に入るつもりよ」
CC「???意味が分からない」
マリアンヌ「ええ、私も混乱したわ」
マリアンヌ「でも間違いない、アーカーシャの剣を使うつもりだということは」
マリアンヌ「それ以外考えられないわ」
CC「アーカーシャの剣、Cの世界を壊すための武器だったはずだが?」
マリアンヌ「……CC、それはあくまで使い方の一つに過ぎないわ」
マリアンヌ「あの装置は本来、人々の集合無意識であるCの世界と、この世界との境界に干渉する」
マリアンヌ「つまり、人の意識の本質的な繋がりを断ち切る装置なのよ」
CC「本質的な繋がり?」
マリアンヌ「要は装置を起動した人間の意識を強制的に人の脳に焼き付け」
マリアンヌ「Cの世界から隔離し、新しいCの世界をこちら側に作るの」
マリアンヌ「一つの共通意識が、全ての人に作用するようになる」
マリアンヌ「云わば、意識をアップデートする装置」
マリアンヌ「VVはその機能を、ナナリーという個人に使おうとしている」
マリアンヌ「つまり、ナナリーに自分の人格を上書きしようとしている」
CC「ナナリーがVVになる?」
マリアンヌ「ええ」
CC「いや、だが待てマリアンヌ」
CC「VVがCの世界との繋がりの破壊ではなく」
CC「ナナリーに使おうとしている根拠はなんだ?」
マリアンヌ「……やっぱり、そうなるわよね」
CC「当たり前だ」
CC「それに、それができる装置なのだとしたら」
CC「今までいつでもナナリーに使うチャンスがあったはずだ」
CC「あの子は本国の学校に通っていたのだから」
マリアンヌ「いいえ、今までと」
マリアンヌ「今では違うことがあるわ」
CC「なんだ?」
マリアンヌ「ルルーシュが、本当のルルーシュであることよ」
マリアンヌ「そして、貴女のコードを奪うほどに、ルルーシュのギアス能力が順化していること」
CC「……つまり」
CC「ルルーシュが戻ってきたから、奴は計画を実行することにした?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「唯一、貴女からコードを受ける資格をもち」
マリアンヌ「ナナリーを守ろうとするルルーシュがいるから」
マリアンヌ「VVはナナリーになり、ルルーシュに貴女のコードを奪わせたあと」
マリアンヌ「ルルーシュにコードを渡させるつもりよ」
マリアンヌ「貴女と違って、ルルーシュは抵抗できない」
マリアンヌ「ナナリーのために、ルルーシュはコードを諦める」
マリアンヌ「……そして、ナナリーを器に、ギアスは完成する」
マリアンヌ「VVの思うままに、世界は変えられてしまうわ」
CC「……いろいろ納得できないんだが」
CC「コードが欲しいなら、例えば私に対してルルーシュを人質にとったらどうだ?」
CC「私がルルーシュのためにコードをVVに渡すように」
CC「要は、コードを諦めさせればいいんだろう?」
マリアンヌ「そうね、それが出来ればやるでしょうけど」
マリアンヌ「やらないのは、そちらの方が手間がかかる上に、不確定な要素があるからでしょうね」
CC「不確定?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「貴女にとって、ルルーシュがただの人間以上であることは、VVも知っている」
マリアンヌ「だけど、二年前に」
マリアンヌ「貴女はルルーシュではなく、ルルーシュの思いを優先した」
マリアンヌ「もし仮にルルーシュが」
マリアンヌ「俺のことはいい、絶対にコードを渡すな、と言ったら?」
マリアンヌ「また貴女がその言葉を優先してしまったら?」
マリアンヌ「そうされないためにはルルーシュ自身にも、洗脳や意識のアップデートをする必要が出てくる」
マリアンヌ「そして、それは出来ない」
マリアンヌ「なぜなら、貴女はルルーシュと契約していて、ルルーシュのことをよく知っているから」
マリアンヌ「VVにとって、ルルーシュはただの可能性の一つだった、ルルーシュに成り代わって完璧に演じることは」
マリアンヌ「出来ない」
マリアンヌ「そして、もし貴女に気付かれれば」
マリアンヌ「また計画は振り出しに戻ってしまう」
マリアンヌ「皮肉なものよね、貴女のコードを奪うためにルルーシュを利用しようとしていたのに」
マリアンヌ「そのルルーシュがまた計画の中心で邪魔になっている」
マリアンヌ「さあ、ここまで話せば、私が今何故ここにいるのか分かるかしら?」
CC「私にそのVVの計画を説明する以上の意味があるんだな?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「しばらく貴女の力を抑えつけているのは、計画の実行を出来る限り遅らせるため」
マリアンヌ「そして、その間にルルーシュには」
マリアンヌ「中華連邦を押さえ、そのままブリタニアに切り込んでもらう」
CC「切り込む?」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「ルルーシュにVVを殺してもらうの」
マリアンヌ「そのための協力者が、外にいるわ」
CC「ルルーシュは人を殺したりしない」
マリアンヌ「ええ、そうでしょうね」
マリアンヌ「でも、VVは人ではないし、殺すというのもコードを強制的に引き剥がすだけよ」
マリアンヌ「ルルーシュのギアスイーターがあれば、ギアスによる意識のアップデートも効果はない」
マリアンヌ「今ナナリーを人質にとっても、ルルーシュが貴女からコードを奪うことは出来ないもの」
CC「まて、まだ分からないことがある」
CC「それならナナリーを守るのが先じゃないのか?私に何かする前に」
マリアンヌ「いいえ、それは出来ないわ」
マリアンヌ「VVが痺れをきらせて、ルルーシュを殺してしまおうとすれば」
マリアンヌ「だれもVVを止められなくなる」
マリアンヌ「ナナリーを過度に守りすぎる訳にはいかないの」
マリアンヌ「VVがルルーシュの武器に気付く前の、今が最後のチャンス」
マリアンヌ「どのみちナナリーの身体はVVにとっても必要なもの、殺されることは無いわ」
マリアンヌ「だから、私はここに来た」
CC「……ふぅ」ドサッ
マリアンヌ「あら、疲れちゃった?」
CC「……分かるような分からないような、とにかく混乱している」
CC「質問したいことも、まだあるしな」
マリアンヌ「いいわ、どうせ暫くここにいるしかないのだから」
マリアンヌ「少しずつ聞きなさいな」
マリアンヌ「答えられる範囲なら、教えてあげる」
CC「……なぁ、マリアンヌ」
CC「どうしてお前は、ここまで詳しく知っているんだ?」
マリアンヌ「知っているって、VVの計画のこと?」
CC「……あぁ、それでいい」
マリアンヌ「簡単よ」
マリアンヌ「だって、そのナナリーの役が」
マリアンヌ「本来私のやるはずだったところだもの」
CC「……え?」
マリアンヌ「ふふ」カチャカチャ
マリアンヌ「さて、向こうは上手くやってくれているといいけれど」ズズッ
~執務室~
ルルーシュ「全く、どうなっている」カタカタ
ルルーシュ「咲世子とは連絡がとれないし、監視カメラ含め犯人がどうやって侵入したのかも分からない」
ルルーシュ「どういうことだ……」
コンコン
ルルーシュ「誰だ?今忙し……」
ルルーシュ「ロロ?」
ロロ「……」
ルルーシュ「どうした?ロロ」
ロロ「咲世子と他数名がやられた」
ロロ「さっき医務室へ運ぶように手配してきたよ」
ルルーシュ「なに?」
ルルーシュ「ナナリーは?」
ロロ「……」
ルルーシュ「ロロ!」
ロロ「……っ!」ハッ
ロロ「ナナリーは、攫われた」
ルルーシュ「……くっ」ドンッ
ルルーシュ「咲世子たちは無事なのか?」
ロロ「命に別状はないよ」
ロロ「これからどうするの?」
ルルーシュ「……とにかく、まずはこの混乱を収めるのが先決だ」
ルルーシュ「ロロ、お前は広報課の方に向かってくれ」
ルルーシュ「犯人の映像さ極端に少ないが、この国の外に出られる前に」
ルルーシュ「探させる必要がある」
ロロ「……うん、分かったよ」
ルルーシュ(くっ、ナナリー)
ルルーシュ(また医務室か、しかし咲世子が目覚めれば犯人について何か分かるかもしれない)
ルルーシュ(ここにいてもやれる事はほとんど無いし、まずはCCと咲世子の目覚めを待つか)
コンコン
ルルーシュ「今度はなんだ!?」
アーニャ「ご、ごめんなさい」
ルルーシュ「!君は確か……」
ルルーシュ「どうしたんだ?」
アーニャ「貴方に、話すことがあって」
ルルーシュ「……聞こう」
アーニャ「え?」
ルルーシュ「大事なことなんだろう?」
ルルーシュ「聞かせてくれ、俺に話すこととは何だ?」
アーニャ「……何を話しても、信じてくれる?」
ルルーシュ「嘘をつくつもりはあるか?」
アーニャ「……」ブンブン
ルルーシュ「ならば信じよう、話してくれ」
アーニャ「……うん、分かった」
ルルーシュ(……)カツカツ
ルルーシュ(アーニャの言っていたこと、俄には信じ難いが)
アーニャ『私も、全部、知ってるわけじゃない』
アーニャ『だけど』
アーニャ『VVを止めないと、大変なことになる』
アーニャ『それだけは、分かるの』
ルルーシュ(VVのことを知っていた)カツカツ
ルルーシュ(VVの罠という可能性は?)
ルルーシュ(いや、それにしても中華連邦を取らせる意味は無い、むしろアーニャの言っていた)
ルルーシュ(中華連邦を取って向こうに宣戦布告するという流れは)
ルルーシュ(ある意味VVやシュナイゼルの思考とも噛み合っている)
ルルーシュ(奴らにしてみれば、ギアスの研究施設を押さえたこちらは邪魔でしかないだろうからな)
ルルーシュ(だが、ナナリーはなぜ安全だと言いきれる?)
アーニャ『ナナリーは大丈夫、あの子はVVにとっての、鍵、だから』
ルルーシュ(ナナリーが鍵、一体どういうことだ)
ルルーシュ(……ともかく医務室に向かおう)
ルルーシュ(CCとも話し合わなければ)
僕の中の設定と、どこまで情報を伝えられているかが不安なので、前みたいな考察は大歓迎です。
とりあえずの説明話はここで終わりなので、この時点で感じた矛盾、不明点なんかはどんどん書いちゃってください。
出来る限りはまとめたつもりです。
今日はまだ書きます。
~再び医務室~
ルルーシュ「ラクシャータ、いるか?」
ラクシャータ「あ、ああルルーシュ」
ラクシャータ「ちょおっと、マズイ感じかもね」
ルルーシュ「咲世子達のことだろう?話は聞いた」
ラクシャータ「うーん、そっちもあるけど」
ラクシャータ「CC?ルルーシュが来たわよぉ」
ルルーシュ「CCが目覚めたのか?」
ラクシャータ「うん、目覚めたはいいんだけどねぇ」
ルルーシュ「?」
CC「……」ボヤ
ルルーシュ「CC?」
CC「……あの」
ルルーシュ「うん?どうした」
CC「貴方は、どなたでしょうか?」
ルルーシュ「……ラクシャータ、これは一体」
ラクシャータ「聞いての通りよん」
ラクシャータ「この子、記憶喪失みたい」
ルルーシュ「……なんてことだ」
CC「……?」
~中華連邦~
技師「カレンさん、これどこに運べばいいんです?」
カレン「それどこの部品?……ああ、腕はまだ手をつけてないから、向こうのとこにひとまとめにしておいて」
カレン「それと、趙さん呼んできて、ここのコードの書き方訳分からないから」
技師「分かりましたー、すぐ呼んできますー」
カレン「ふぅ、あたしだけってのは不安ねぇ」
カレン「何より言葉が難しいわ、全く、もう少し向こうから連れてくればよかった」
星刻「精が出るな」
カレン「あら星刻、見学?」
星刻「まあそんなところだ」
星刻「完成度はどんな感じだ?」
カレン「どんなもなにも、見ての通り足の一部とむき出しのコックピットブロックだけよ」
カレン「設計自体はラクシャータさんとロイドさんがやってくれてるけど、如何せんこっちの技師さんたちに伝えるのが難しくて」
星刻「迷惑をかけるな、なにせこちらではガン・ルゥ程度のナイトメアしか無かったので」
カレン「ま、そこに関してはグダグダ言っても仕方ないことだから」
カレン「なんとかするわ、それがゼロの命令だからね」
星刻「ゼロ、か」
星刻「なぁ、君はラウンズの部下なんだろう?」
星刻「こんなところに居ても大丈夫なのか?」
カレン「大丈夫よ、私は普通に公務をしていることになってるから」
カレン「それに、あたしはもともと騎士団のメンバーだもの」
星刻「騎士団であり、ラウンズでもある」
星刻「それでは、君の真意はどちらにあるんだ?」
カレン「え?ちょっと今の単語分からないんだけど」
星刻「あ、ああ済まない」
星刻「そちらの言葉で話そう」
カレン「凄いわよね、色々話せて」
星刻「そちらも、日本とブリタニア、二つ分だろう?」
カレン「あー、それはそうなんだけど」
カレン「中華連邦の言葉は日本ともまた違うから本当こんがらがるわ」
カレン「発音も難しいし」
星刻「上達しているさ」
星刻「それで、君の真意はどこにある?」
カレン「真意?」
星刻「ブリタニアと日本、どちらなのか」
カレン「んー」
カレン「もちろん日本、と言いたいところだけど」
カレン「最近は分からないかな」
星刻「わからない?」
カレン「なんというか」
カレン「日本はもちろん取り戻したいけど、だからといってブリタニアを無くしたいって気持ちは薄れてきたかなって」
カレン「なんというか」
カレン「それをしちゃったら、ブリタニアに私達がされた事を、やり返すだけになって」
カレン「いつまで経っても解決しないかなって思ってる」
星刻「いつまでも変わらないか」
カレン「なーんて、口では簡単に言えるんだけどね」
カレン「実際はどうだろ、やっぱりブリタニアを憎んでいる気持ちは」
カレン「完全には無くなってないかな」
星刻「まあ人間そう簡単に割り切れるものでもないさ」
星刻「それより、少し休んできたらどうだ?」
星刻「そろそろ昼時だ、何かあれば私があとでまとめて伝えよう」
カレン「いいの?」
星刻「ああ」
星刻「こういったことには詳しくないので、手伝えないことが歯痒いんだ」
星刻「我が国のためのことなのに、何も出来ないのはな」
星刻「だから、少しくらい役に立ちたい」
カレン「そう……」
カレン「それなら、少し甘えさせてもらおうかな」
カレン「一時間くらいで戻るわ」
星刻「ああ、ゆっくりしてきてくれて構わない」
カレン「ありがと」
カレン(……)
カレン(せっかくのことだから従ってはみたけど)
カレン(あたし、まだこのあたりのことよく知らないのよね)
カレン(山の中だから街があるわけじゃないし)
カレン(ま、外の空気でも吸ってこようかな)
カレン「よし!」
~中華連邦拠点 外~
カレン「んー、こっちの方が日本より暖かいかなー」ノビー
カレン「お腹はあんまり空いてないし、そこらで寝転がりますか」
カレン「お、いい所発見!」
カレン「あぁ~」ゴロン
カレン(……やっぱり、1人で異国ってのは寂しいわね)
カレン(今頃ルルーシュとCCは結婚式かな?あたしも行きたかったけど)
カレン(ま、あの2人を休ませるには働かないとね)
カレン(それにしても)
チュンチュン……チチチ……
カレン(平和よね、驚くほど)
カレン(今、世界の何処かでは相変わらず戦争が起きてる)
カレン(それもこれも、全部ブリタニアが侵略を進めるから)
カレン(だから、あたしもゼロも……ルルーシュも止めたいと思ってる)
カレン(けど、どうやったら止まるんだろう)
カレン(ブリタニアが亡くなったら?日本が完璧に独立したら?中華連邦が生まれ変わったら?)
カレン(そうしたら、人は争わなくなるのかしら)
カレン(……ほんとに、それで全部終わるのかしら)
カレン(ギアスが無くなって、それでも)
カレン(争いが終わらなかったら、あたしは次に)
カレン(何と戦うんだろう)
カレン(ルルーシュとCCは、ギアスが無くなったらどうなるんだろう)
カレン(ふたりともギアスの力で、今生きている)
カレン(てことは、ギアスが無くなったら、二人ともいなくなるってこと?)
カレン(……)
カレン(あーもう、全然分からない)
カレン(何かないのかしら、皆でただ平和に過ごせるだけの世界を作る方法)
カレン(……なんてね)
カレン(あたしももう子供じゃないんだし、そんな夢物語がないことくらい)
カレン(……)
カレン「分かってる、分かってるんだけどなぁ」
カレン「どうにか、ならないのかなぁ」
天子「何がですか?」
カレン「え?」
天子「こんにちは」
天子「すみません、お休みしてたみたいなのに」
カレン「いいえ、それはいいんですけど」
カレン「日本語、分かるんですか?」
天子「ふふふ、少しなら分かります」
天子「それで、カレンさんは何をどうにかしたいのですか?」
カレン「あ、あはは」
カレン「あの、ものすごく子供っぽい考えなんですけど」
天子「見ての通り、わたくしはまだ子供ですから」
天子「ちょうどいいと思いますよ」
カレン「そ、そうですかね」
天子「ええ」
カレン「それなら、ちょっと聞いて貰えますか?」
天子「はい、ぜひ聞かせてください」
天子「なるほど」
カレン「ね?子供っぽいでしょう?」
天子「そんなことないと思いますよ」
天子「もしそういう考えを持たなくなることが大人になるということなら」
天子「わたくしは子供のままでいたいです」
カレン「そ、そうですかね」
天子「……わたくしの話になってしまいますが」
カレン「?」
天子「わたくしが生まれた頃から、この国は弱りきっていて」
天子「争う元気もない国民と、その上に君臨する者達という」
天子「そんな環境以外を体験したことがありません」
天子「たしかに、見かけ上は争いがありません」
天子「でも、けして平和、というわけでもないです」
天子「カレンさん、わたくしは」
天子「争っていることも含めて、生きるという事なのではないかと」
天子「そう思っているんです」
カレン「争うことが、生きること?」
天子「はい」
天子「抵抗する、というのが正しいかもしれません」
天子「現状をただ受け入れるのではなく」
天子「より良いものになるように抵抗する」
天子「限界と思うことも、その壁を乗り越えるために抵抗する」
天子「わたくしたちは今まさに、抵抗するための準備をしているのです」
天子「みなが一様で、争いのない世界は」
天子「平和かもしれませんが、健全ではないと思います」
カレン「……言いたいことは分かりますけど」
カレン「でも、現にその抵抗で」
カレン「死んでる人が、たくさんいるんですよ」
カレン「ここでも、もしかしたら」
カレン「……そう思うと、どうしていいか分からなくなって」
天子「……」
天子「わたくしは、戦う力を持っていません」
天子「いつも、外から皆さんを見ているだけです」
天子「だから、いざとなればこの身を捧げることを厭わないように」
天子「心に誓っています」
カレン「……立派ですよ、天子様は」
天子「うふふ、言葉だけなら言えるんですけどね」
カレン「!」
天子「なかなか難しいです」
天子「でも」
天子「カレンさんが考えていることも、わたくしのこの覚悟も」
天子「まずは持っていることが大事なんじゃないでしょうか」
カレン「持っていることが、大事?」
天子「そうです」
天子「持っていれば、もしかしたら使えるかも知れません」
天子「でも、持ってもいない人は、そもそも使う選択肢もありません」スック
天子「いいじゃありませんか、争いましょうカレンさん」
天子「わたくしも、出来る限りのことをします」
天子「それでもダメなら」
カレン「……ダメなら?」
天子「その時は、また2人で考えましょう」
天子「三个臭皮匠,勝過一个諸葛亮です」
カレン「えっと、三人寄れば文殊の知恵?かな」
天子「それです」
カレン「私達2人だけどね」
天子「じゃあ、まずは3人目を探すところからですね」
天子「……わたくしは、カレンさんたちのお陰で今やっと希望を持てています」
天子「中華連邦を代表して、カレンさんの理想とする世界を作る手助けをすることを、お約束しますよ」
カレン「ふふ、やっぱりお国の代表となると、器が大きいですね」
天子「えへん」
天子「でも」
カレン「でも?」
天子「そんな器の大きな人は」
天子「今1番欲しいものが手に入りません」
カレン「1番欲しいもの?」
天子「はい」
カレン「何が欲しいんですか?」
天子「……あの、とても子供っぽいんですが」
天子「聞いて下さいますか?」
カレン「……ふふ」
カレン「はい、もちろん」
天子「お友達が」ボソボソ
カレン「え?」
天子「お友達が、欲しいんです」
カレン「……」
天子「……」
カレン「ふふっ」
天子「あっ」
天子「カレンさん!何も笑うことはないと思います」
カレン「ふふふ、いや、だって」
カレン「さっきまであんなにしっかり話してたのに」
カレン「と、友達が欲しいものなんて」ククク
天子「し、仕方ないのです」
天子「中華連邦の方々は、みなわたくしを天子としてしか扱ってくれませんし」
天子「むぅ」
カレン「あははは」
カレン「じゃあ、天子様」
天子「なんですか?」
カレン「まずはあたしとお友達になりましょう」
カレン「ちょうどあたしも、お話し相手が居なくて困ってたから」
天子「……」
カレン「天子様?」
天子「あ、いえ」
天子「わたくしお友達というのは」
天子「どういう風にすればいいのかわからなくて」
カレン「……あはははは」
天子「な、なんですか?」
カレン「じゃあ、はい」スッ
天子「あくしゅ?」ギュッ
カレン「そう」
カレン「これで、あたしたちは友達」
カレン「よろしくね、天子ちゃん」
天子「天子、ちゃん」
カレン「だめ?」
天子「い、いえ」
天子「かわいいと思います」
カレン「ふふ、そうでしょう」
カレン「さ、せっかくだから見学していかない?星刻さんもいるし」
天子「いいんですか?」
カレン「もちろん!」
カレン「さ、行きましょ?」
天子「……はいっ!」タッタッタッ
さて、とりあえずここでおしまい。
また次回さよならー
お待たせしました。更新始めます。
~中華連邦 基地宿泊施設~
カレン「んー」ノビー
カレン(こっちはニュースとかやらないのかしら)ピッ
カレン(……バラエティすらないのね、あるのは過去の演説やら中華連邦の歴史やら)
カレン(もしかしたら、そもそもテレビを見られる人自体が少ないのかしら)
カレン(……まぁここが山奥だから電波が来てないだけかもしれないけど)
カレン(にしても、妙な話よね)
カレン(ルルーシュはここにブリタニアのギアス研究所が幾つもあるって言ってたけど)
カレン(別にブリタニアにだって見つかりにくい場所なんて沢山あるだろうし)
カレン(資源云々だってこっちに密輸したりこっちで採取するより、ブリタニアの保有分から出せばいいだろうに)
カレン(なんでわざわざ中華連邦でやるのかしら)
カレン(そもそも、ルルーシュの居ない2年間)
カレン(なんでシュナイゼルもVVもルルーシュ、……CCに何も関わって来なかったのかしら)
カレン(CCが居なくなった方が都合がよかった?)
カレン「あー、もう」
カレン「何か引っかかるのよねぇ」バフッ
カレン「……ベッド硬いなぁ」
カレン(結局、あたしはギアスってものについて全然分かってないのよ)
カレン(ルルーシュ、ゼロとCCに言われるがままにやってるし、実際今までそれでなんとかなってたし)
カレン(……それが不満って訳じゃないけど)
カレン(なんか、大変なところは全部押し付けてるみたいなとこが嫌なのかも)
カレン(……少し調べてみようかしら)ムク
カレン(でもどうやって?紅蓮で中華連邦を動いていたら、さすがに目立っちゃうし)
カレン(んー、研究所の一つでも分かれば、研究データか何かあるかもしれないのに)
カレン(……ちょっと待って)
カレン(こっちで研究したらデータは、一体どうやってブリタニアにいる連中に渡していたのかしら)
カレン(今時手渡し?VVってのは表に出てこないにしても、シュナイゼルは公務もあるでしょ)
カレン(となると、やっぱりブリタニアと繋がってる所があるはず)
カレン(それこそ位置的に日本を経由して送るんだろうけど)ガサゴソ
カレン「あった、持ってきた端末」
カレン(もしそうだとすれば、逆に日本を経由して中華連邦のサーバーに総当りして)カタカタ
カレン(何かやりとりのあった所に研究所があるはず)
カレン(履歴は追えないでしょうね、さすがにそこまで馬鹿じゃないでしょ)
カレン(うー、これって洋上に中継局でもあったら完全に無駄な行為なのよね)
カレン(いやいや、そんな目立つ動き、さすがにしないでしょ)
カレン「頼むわよー、なにかヒントくらい見つかってよね」カタカタ
カレン(……)
カレン(やっぱり特に変な通信は無さそう)
カレン(そもそも規制がかかってないだけの端末が一つあるだけじゃ、全然処理が追いつかない)
カレン(他に何かないかしら、見逃してることは……)
カレン(もし、あたしが隠したいものをこっそり送信するならどうするかしら)
カレン(とりあえずは偽装するわよね、なんてことないものに紛れさせたり、相手にしか分からないような暗号つかったり)
カレン(でも研究データなんて膨大なものを全部暗号化してたら、逆に目立つか)
カレン(そもそも日本と、いえエリア11と中華連邦の関わりなんて無いに等しいはず)
カレン(まだブリタニアの統治下にあるエリア11で中華連邦とってのは)
カレン(……んー)
カレン(よく知らないけど、中華連邦とエリア11って全く何の交流もないのかしら)
カレン(……先にそっちを見てみよ)
カレン(……)ポチ
カレン(へぇ、農産物なんかは輸入してたのね)
カレン(電波とか、情報とかに関しては、さすがにエリア11の記録見てもよく分からないわ)
カレン(ん?サクラダイト?)
カレン(……まあ別に変じゃないか、富士のあたりは世界有数の……)
カレン(ううん、やっぱり変よね)
カレン(だって、特区はブリタニアとしか取引していなかったはず)
カレン(それなのに、どうしてブリタニア側からまた改めて中華連邦に輸出しているのかしら)
カレン(サクラダイトなんて、兵器に使うことも出来るし、表立った争いはないにしろ一応敵国よ?)
カレン(量は大したことないけど、気になる)
カレン(えっと、エリア11の輸出入管理してるのはどの部署だったかな)
カレン(あった……パス?ふふん)
カレン(これでも一応ラウンズ付きなのよ、そのくらいほぼフリーパスだっての)
カレン(こういう時だけは、ブリタニアの役職があるって便利よね)
カレン(ま、あるものは使わないと)
カレン(……遅い)
カレン(くー、でもさすがにここから日本経由してさらにエリア11にアクセスってのはきついかぁ)
カレン(こうなったら衛星でもなんでも使うしかないわ)
カレン(こんなとこでラクシャータさんのワルい知識が発揮されるわけよ)カタカタ
カレン「なんか楽しくなってきたわ」
カレン(……よし、重いは重いけど、なんとか見るくらいなら出来そうね)
カレン(ふーん、普通に取引記録も残ってるんだ)
カレン(……おっ)
カレン(……変よねぇ?ただの輸出入のはずなのに、毎回本国に確認の通信を入れてるなんて)
カレン(表向きは使途不明にならないようにってことらしいけど、あたしにとったら怪しさしかないわ)
カレン(さーて、どこと通信してるのかなぁ?)
カレン(……ふむ)
カレン「車で行けばそこまでかからないかしら」
カレン(まだ使われてる可能性が高いし、危険だろうけど)
カレン(出来ることがあるなら、全部やってみないとね)
カレン「よしっ」
~中華連邦 市街地郊外~
カレン「この辺りね」
カレン(にしても大胆なものね、まあ生活用品とかは必要だろうから仕方ないにしても)
カレン(こんなに民家の近くにあるなんて)
カレン(見た感じ監視カメラどころか見張りすらいなさそう)
カレン(どうしようかしら、最初から潜入する方向でいくか)
カレン(もしくは迷い込んだ振りをするか)
カレン(といってもあたしの外見的に後者はキツそうだけど)
カレン(とりあえずサーモチェック)ビビッ
カレン(変ね、誰もいないのかしら)
カレン(銃は……)カチャ
カレン(うん、とりあえず入ってみましょう)
~研究所内部~
カレン(……)ザッザッ
カレン(普通の民家みたいね)
カレン(今更だけどどこかに隠し通路でもあって、そこから入るってパターンだったら)
カレン(今のあたし相当マズいわね)
カレン(少し焦りすぎたかしら)
カレン(……ま、もうここまで来ちゃったし)
カレン(……ん?)
カレン(なんだろ、なんか一瞬違和感が)
カレン「これ……」
カレン(床に擦れた跡、扇形ってことは……)チラ
カレン「ここが動くってことかしら?」コンコン
カレン(でもかなりホコリが溜まっているわね)
カレン(最近は動かしていないってこと?)
カレン「とりあえずスイッチを探さないとね」
カレン「んー、どこにあるかなー」
カレン「こっちかなー」カチッ
カレン「おっ」
ズズズズっ……
カレン「やりぃ」
~地下~
カレン(なに、この臭い……)
カレン(これじゃまるで……)
カレン「!?」
カレン(何、これ)
カレン「……」ユサユサ
カレン(死んでる……)
カレン(2……いや、3人ね)
カレン(ポッドの中は)
カレン「……こっちもダメか」
カレン「どういうことかしら、あの通信記録は1番新しいやつだったのに」
カレン「通信のあと、割とすぐにこうなったってことか」
カレン「でもどうして……」
カレン「とにかく、データ類が無いかだけでも確認しないと」
カレン「電力は……」カチッ
カレン「あ、まだ来てる」
カレン「機材の方はめちゃくちゃね、でも」
カレン「ここが市街地に近いから爆破は出来なかったか、確かに偽装されてる場所だし、機材壊しちゃえばどうにかなるだろうけど」
カレン「でも残念、こういう施設ならほぼ間違いなく……」ガチャガチャ
カレン「やっぱり、いくつかは破損しちゃってるけど」
カレン「壊すなら木っ端微塵にしないと、残っちゃうわよね、ハードディスク」
カレン「えーっと、こっちから繋いで……」カチャカチャ
カレン「よし、中身はどうかしら……」
カレン「御丁寧に消去してから壊したのね」
カレン「でも」
カレン「こういうのってただ削除しただけじゃ完全に無くならないのよ」カタカタ
カレン「なんとか復元できれば、断片的でも何をやっていたか分かるかも」カタカタ
カレン「……」カチッ
カレン「これね、多分」
カレン「内部のデータだから暗号化とかもされていないみたい」
カレン「えっと、人工的なギアス能力者の……」
カレン「これが前にルルーシュの言ってたやつね」
カレン「それからギアスキャンセラー、それにギアスエア……、いや、イーター?」
カレン「それに……んん?」
カレン「なにこれ、ギアスに関係ないのもあるのね」カチカチ
カレン「脳波によるナイトメアコントロールの研究?こんなのがなんでここに……」カタカタ
カレン「えっ?」カチッ
カレン「一体どういう……」
ピピピッ
カレン「はっ!?」
カレン「って、なんだあたしか」
カレン「電話、もうこんな時に誰よ」
カレン「ってか、電源くらい切りなさいよね、あたし」ピッ
カレン「もしもし?ああ、ラクシャータさん」
カレン「うん、うん、こっちは特に……」
カレン「ええっ!?襲撃?で、ルルーシュとCCは!?」
カレン「……そう、無事なのね、それならいいんだけど」
カレン「え?ああ、うん、ちょっと今外な上に地下で」
カレン「あ、そうだ」
カレン「これから基地に戻るんだけど、そっちで調べて貰いたいものがあるの」
カレン「うん、細かい話はその時、お願い」
カレン「じゃあ、すぐに戻るから」ピッ
カレン「ふぅ」
カレン(一体何が起きてるのかしら、結婚式に襲撃がきて)
カレン(それに……)
カレン(「脳波によるナイトメアコントロールの研究報告」作成者)
カレン「ロイド・アスプルンド……」
カレン「ロイドさん、どうしてギアス研究所に貴方の報告書が残ってるわけ?」
とりあえず今日はここまで、まだもう少しだけカレン視点が続くんじゃよ。
それではまた日曜日に会えたら!おやすも!
~車内~
CC「……ここは……?」
ルルーシュ「ああ、起きたか」
ルルーシュ「すまない、よく寝ているものだからそのまま連れてきてしまった」
CC「え?あの、あ、はい」
CC「あの、ルルーシュ様、わたしたちはどこへ向かっているのですか?」
ルルーシュ「昔俺たちが住んでいた家だ」
ルルーシュ「事件のこともあって、暫く公務はスザクに任せることになったんでな」
ルルーシュ「政庁よりは落ち着くだろう」
ルルーシュ「部屋も咲世子と、……記憶を失う前のお前が定期的に管理していてくれたしな」
CC「記憶を失う前の、わたし」
ルルーシュ「……そろそろ着くぞ」
ルルーシュ「中華連邦での工作が始まるまでは、またここが」
ルルーシュ「俺たちの家だ」
ルルーシュ「さぁ、いこう」
CC「は、はい!」
CC(ルルーシュ様、今までわたしが仕えた人とは、少し違う)
CC(でも、わたしの記憶が無いことでとても悲しんでいらっしゃるわ)
CC(ルルーシュ様のためにも、頑張って思い出さなくちゃ)
ルルーシュ「CC?どうした立ち止まって」
CC「いえ!問題ありません!」
ルルーシュ「???」
~アパートの部屋~
ルルーシュ「懐かしい、というほど前でもないか」
ルルーシュ「まあ住んでいた時を考えれば懐かしいであっているだろう」
CC「それで、わたしのお仕事はなんでしょうか?」
ルルーシュ「仕事?」
CC「はい」
ルルーシュ「ははは、仕事か」
ルルーシュ「今のところはそこに座っていることくらいしかないな」
CC「へ?」
CC「でも、それだとご飯が……」
ルルーシュ「ご飯?」
CC「仕事をしないとご飯が食べられません」
ルルーシュ「……なるほど」
ルルーシュ「それなら、冷蔵庫の中を確認して、何が入っているかここにメモしてくれるか?」
CC「あっ……」
ルルーシュ「?まだなにかあるのか?」
CC「申し訳ございません、わたし、字が書けなくて……」
ルルーシュ「ふむ」
ルルーシュ「それでは、飲みものがなにか入っているか確認して、ここに持ってきてくれ」
CC「かしこまりました!」ダッ
ルルーシュ(……なるほど)
ルルーシュ(仮説でしかないが)
ルルーシュ(CCの記憶喪失、これは普通のものではないな)
ルルーシュ(常識的な知識も同時に失っている)
CC「ルルーシュ様、レイゾウコとはどんなものでしょうか!」
ルルーシュ(これでは記憶喪失というより、一種の退行だ)
ルルーシュ(そして、CCが退行するとすれば)
ルルーシュ(自ずと時期は見えてくるか)
ルルーシュ「CC、ギアスというものに聞き覚えはあるか?」
CC「いいえ、ありませんけど」
CC「それより、レイゾウコが……」
ルルーシュ(察するに、ギアスの契約をする前)
ルルーシュ(身体の治りも遅かったことを考えると、ギアスの力を得る直前の状態になっているということか)
ルルーシュ「扉を開けて、冷たい所が冷蔵庫だ」
CC「わかりました!」ダッ
ルルーシュ(原因は不明だが、今のCCは過去の自分に戻っている)
ルルーシュ(そして、コード保持者としての能力もほとんどない)
ルルーシュ(一体何が起こったのか)
ルルーシュ「……ふぅ、おおかた片付いたか」ノビ
ルルーシュ「日用品の買い込みは手伝って貰えば良かったかな」
ルルーシュ「CCは……」
CC「…………」スゥスゥ
ルルーシュ「疲れて眠っているか」
ルルーシュ「仕方ないやつだ、全く」
ルルーシュ「最後にベッドルームへ運ぶ仕事が追加だな」
ルルーシュ(CCは本調子には程遠い)
ルルーシュ(むしろ体力はかなり落ちているし、思考力も幼い)
ルルーシュ(この現象を解明しないことには、先に進めないな)
CC「……ルルーシュ、さま……」スゥ
ルルーシュ「……はぁ、いい気なものだ」
ルルーシュ「まぁ任せておけ、俺かなんとかしてやる」
ルルーシュ「ん?ラクシャータからか」ピピッ
ルルーシュ「メールか」
ルルーシュ(外で話せるか?直接話したい内容なのか)
ルルーシュ(……CCを1人にするのは少々不安だが)
ルルーシュ(何かメモを……)
ルルーシュ(そうか、文字は読めないかもしれないな)
ルルーシュ(仕方ない、メイド達に見張りを頼もう)
ルルーシュ「ん?」ピピピッ
ルルーシュ「なんだラクシャータ」
ルルーシュ「ああ、これから家を出ようと思っていたところだ」
ルルーシュ「公園?ああ、分かる」
ルルーシュ「……分かった、すぐに向かおう」
ルルーシュ「CC、少しの間待っていてくれ」
~公園~
ルルーシュ「ラクシャータ、いるのか?」
ラクシャータ「ハァイ、こんばんは~」
ルルーシュ「どうした?お前らしくないようにも感じるが」
ラクシャータ「そりゃそうよ、ワケありだから」
ルルーシュ「訳あり?」
ラクシャータ「とりあえずCCの様子はどうなの?」
ルルーシュ「?今のところ分かっているのは」
ルルーシュ「記憶喪失というだけではなく、退行しているようだ、と」
ルルーシュ「恐らくはギアスを手に入れる前の状態にな」
ラクシャータ「原因は?」
ルルーシュ「分からない、そもそもギアスを封印する方法があると聞いたこともない」
ルルーシュ「精密検査をしてみる必要はあるだろうな」
ラクシャータ「なるほどねぇん」
ルルーシュ「それで?そっちの話はなんだ?」
ラクシャータ「まあまぁ、そう焦らないで」
ラクシャータ「あんたさ、中華連邦にいた頃に」
ラクシャータ「奴らの研究施設にいたのよね?」
ルルーシュ「ああ」
ラクシャータ「そこでさ、ナイトメアの研究なんかはされてた?」
ルルーシュ「いいや、見た覚えがない」
ルルーシュ「俺がいたのは人間を狂化する実験を行っていた施設だ、ナイトメア研究とは違う」
ラクシャータ「そうよねぇ……」
ルルーシュ「なんだ、妙に歯切れが悪いな」
ラクシャータ「はい、これ見てもらえる?」ピッ
ルルーシュ「なんだ?ナイトメアコントロール?」
ラクシャータ「そ、あのジェレミアが乗ってたナイトメアの根幹技術」
ラクシャータ「それのおかげで、あいつは1人であれだけのナイトメア、いえKGFを動かしていた」
ルルーシュ「すごい情報だな、これをどこで?」
ラクシャータ「カレンが送って来たのよ」
ラクシャータ「あの子、また無茶してるみたいね」
ラクシャータ「あっちに送ったのは失敗だったかも」
ルルーシュ「それで?これがなんだって言うんだ」
ラクシャータ「一番下、その研究の論文発表者みて」
ルルーシュ「……ロイドさん?」
ラクシャータ「そゆこと~」
ラクシャータ「……はぁ、やんなっちゃうわよもう」
ルルーシュ「……どうした?」
ルルーシュ「かなり参ってるみたいだな」
ラクシャータ「そりゃそうよ」
ラクシャータ「あのとき」
ラクシャータ「疎開にアイツが現れた時」
ラクシャータ「ロイドは知らないって言ったのよ」
ラクシャータ「あいつが脳波コントロール技術の基盤を作ったなら容易に想像つくだろうに」
ラクシャータ「嘘を……ついたのよ」
ラクシャータ「そう思ったら頭ごちゃごちゃしてきちゃってさぁ」
ルルーシュ「ロイドさんは?」
ラクシャータ「部屋でご就寝よ、呑気なもんよね」
ルルーシュ「このことは知ってるのか?」
ラクシャータ「知ってる訳ないわ、さっき来たばかりだもの」
ルルーシュ「……それなら、話は簡単だな」
ラクシャータ「え?」
ルルーシュ「聞くぞ、直接本人に」
ラクシャータ「いや、あんたさ」
ラクシャータ「あたしがここに来た理由、分かってるでしょ?」
ルルーシュ「自分では整理できないから相談しに来たんだろう?」
ラクシャータ「だったら……」
ルルーシュ「だから俺が結論を出した」
ルルーシュ「気になるなら今すぐ叩き起してでも聞こう」
ルルーシュ「俺もついて行ってやる」
ラクシャータ「……」
ルルーシュ「どのみち、誰かの言葉で納得できることでもないだろう?」
ルルーシュ「さぁ、俺も長くCCは放っておけない」
ルルーシュ「戻るぞ、研究室へ」
ラクシャータ「……ほんと!あんたって人の心の機微が分からないわよね」
ルルーシュ「違うな、間違っているぞ」
ルルーシュ「分かっているからこそ、後押しが必要な場面もあるのさ」
ラクシャータ「……スカしちゃって、ムカつくやつ!」
ルルーシュ「ははは、なんとでも言うがいい」
ルルーシュ(ロイドさんが自分の研究成果を忘れる?いや、人間だから絶対は無いが)
ルルーシュ(考えにくい)
ルルーシュ(CCの記憶喪失といい、何か引っかかる)
ルルーシュ(ヒントが得られるかも知れない、とにかく確認しなければ)
~研究室~
ロイド「……あのさ、今何時か分かってる?」
ルルーシュ「すみません、大事な用事なので」
ラクシャータ「……」
セシル「私も呼ばれるなんて、一体何のお話でしょうか」
ルルーシュ「ラクシャータ、あれを」
ラクシャータ「……」
ルルーシュ「ラクシャータ」
ラクシャータ「……分かったわよぉ」
ロイド「これは?」
ルルーシュ「カレンが中華連邦から送ってきたデータです」
ルルーシュ「それに見覚えはありますか?」
セシル「えーっと」
ロイド「無いねぇ、なかなか面白い理論だとは思うけど」
ラクシャータ「……」バンッ
ロイド「な、なんだいラクシャータ!?急に机を叩いたりして」
ラクシャータ「とぼけてんじゃないよ」
ラクシャータ「この論文を書いたのはあんただって、もうネタはあがってんだから」
ロイド「え、えぇ~……」
ロイド「そんなこと言われても、ほんとに覚えがないんだけど」
ラクシャータ「……くっ、あくまでシラを切るのね……」
ルルーシュ「待て、ラクシャータ」
ルルーシュ「実は、この論文には少し気になることがある」
セシル「気になること?」
ルルーシュ「ええ、出された年を見て下さい」
ロイド「……ん?」
ロイド「おかしいよ、だってこの年って」
セシル「ロイドさんはまだ大学に入学していないはずです、よね?」
ラクシャータ「えっ!?」
ルルーシュ「やはり」
ラクシャータ「いつ気付いたの?」
ルルーシュ「初めて見た時からだ」
ラクシャータ「じゃあ早く言いなさいよ!」
ルルーシュ「もちろんこれは論文の改竄が行われていない前提の話だし」
ルルーシュ「妙だな、というだけだったからな」
ルルーシュ「俺は、これが改竄されていないという前提で話します」
ロイド「何故だい?」
ロイド「自分で言うのもアレだけど、そんなのいくらでも変えられるじゃないか」
ルルーシュ「一つにその意味が無いこと、それをするなら、そしてロイドさんがその内容を惚けたいなら」
ルルーシュ「そもそも名前を消すはずです」
ルルーシュ「そして、もう一つ」
ルルーシュ「俺は、ロイドさんが記憶を消されている可能性があると考えています」
ロイド「は?」
ルルーシュ「いや、もっと言えば」
ルルーシュ「ロイドさんだけでなく、大学の人達全員が」
ルルーシュ「セシルさんも含めて記憶を消され、別の記憶に変えられている可能性を考えています」
セシル「私も!?」
ルルーシュ「そうでないと辻褄が合わないんですよ」
ルルーシュ「この論文には実験の結果が残っているでしょう?」
ルルーシュ「仮にロイドさんが超天才で」
ロイド「そこは事実だよねぇ」
セシル「ロイドさん!」
ロイド「あい、すみません」
ルルーシュ「……続けますよ」
ルルーシュ「大学側から資金供与を受け、かつ設備を整えていたとしてもです」
ルルーシュ「当然注目されます、当時は最新鋭の機体がガニメデ、そんな時代に革新技術の研究だ」
ルルーシュ「それなのに、俺達はその技術のカケラも知らない」
ルルーシュ「あまりにおかしい話では無いですか?」
ロイド「んー、まあ違和感あるけどぉ」
ルルーシュ「当然、都合よく人間の記憶を改竄するのは簡単なことではありません」
ルルーシュ「……ひとつを除いて」
ロイド「……なるほどぉ」
ラクシャータ「ギアスが関わってるっての?」
ルルーシュ「たぶんな」
ルルーシュ「少し整理しよう、ラクシャータ」
ルルーシュ「大学のサーバから年代別に出来事を取り出してくれ」
ラクシャータ「あらぁん?総督自ら犯罪教唆?」
ルルーシュ「言葉の綾だ、普通に大学側の発表を見られればいい」
ルルーシュ「それと、ロイドさん、セシルさんは」
ルルーシュ「自分の覚えている限り、大学での活動を書き出して下さい」
ロイド「なんか、ちょっと恥ずかしいけどぉ」
セシル「あ、あはは、そうも言ってられませんよねぇ」
ルルーシュ「何かあるはずです、それを探しましょう」
ラクシャータ「ルルーシュ、あんたは何するのよ」
ルルーシュ「俺は全体を把握する」
ルルーシュ「大学の全員の記憶を変えるだけでも相当なものだが、国を、世界を変えられる訳では無いはずだ」
ルルーシュ「何か工作があったなら、綻びがあるはずだ」
~30分後~
ロイド「はぁ、案外思い出せないものだねぇ」
ロイド「人間の記憶って曖昧なもんだ」
セシル「ですねぇ」
セシル「でも確かに、思い出してみると」
セシル「私、いつロイドさんと出会ったのかしら」
ロイド「ゼミでラクシャータと会った時には」
ラクシャータ「あんたたちは一緒だったわよん、間違いなく」
ロイド「だよねぇ」
ルルーシュ「……」
ラクシャータ「で?見比べて何か分かった?」
ルルーシュ「……いや、サッパリだ」
ロイド「あらら……」
ルルーシュ「というのは冗談で」
ラクシャータ「あのねぇ、ふざけてる場合?」
ルルーシュ「分かるには分かった」
ルルーシュ「だが、これを伝えたら」
ロイド「伝えたら?」
ルルーシュ「セシルさんが傷つくかも知れない、そう思ってたんです」
セシル「私?」
ルルーシュ「今、セシルさんは26歳という認識で間違ってませんよね?」
セシル「え、ええ」
セシル「それが何か?」
ルルーシュ「おそらく、いや間違いなく」
ルルーシュ「セシルさんもロイドさんも」
ルルーシュ「思っているより2年は前に大学に入学されてます」
ルルーシュ「しかも、セシルさんは大学入学前からロイドさんと交流があったはずです」
ロイド「それまたどうして?」
ルルーシュ「これを見てください」
ロイド「それは……ああ、ナイトメアの操作訓練のやつか」
ロイド「当時はまだブリタニアの侵攻も過激だったし、各地でそういうイベントがゲーム感覚であったよねぇ」
ロイド「思えば恐ろしい話だぁ」
ルルーシュ「ロイドさんを基準に考えて年ごとに並べてみると」
ルルーシュ「ここ、この年とこの年の間に訓練の優秀者の発表がありません」
セシル「あら、ほんと」
ラクシャータ「そんなの、偶然じゃない?」
ルルーシュ「これだけならな」
ルルーシュ「セシルさん、あなたの書いた情報の中に」
ルルーシュ「……あった、ロイドさんとははじめデヴァイサーとして仕事を共にしていたとありますよね?」
セシル「え、ええ」
セシル「でも、私はあんまり向いていなかったのでその後は助手として……」
ルルーシュ「そこです」
セシル「え?どこ?」
ルルーシュ「セシルさん、あなたはどこでナイトメアの操縦技術を学んだんです?」
セシル「え?た、たぶん大学でだとは思うけど……」
ラクシャータ「んー、おかしいよねぇ」
ロイド「……はぁ、さすがに僕も変だと感じざるを得なくなってきたよ」
セシル「お二人共、どういうことですか?」
ロイド「だって考えてもみなよ」
ロイド「僕ら3人が一緒になった講義って、病理学と生態物理学だったでしょ?」
ロイド「ゼミもそこの教授から誘われてさ」
セシル「そういえば……でも、ロイドさんはとっくに卒業してて、研究員として……」
ロイド「そうだよ?僕は所謂現役では無かったのさ」
ロイド「でも、君は違うよねぇ?セシルくん」
ロイド「君はどういう経緯で病理学を学びながらナイトメア操縦が出来るようになって、かつ僕の助手をやるようになるんだい?」
セシル「……たしかに」
ラクシャータ「明らかに時間が足りないわよねぇ、出会うまでとその後にさ」
ロイド「ラクシャータをナイトメア研究に引っ張ったのは僕だけど」
ロイド「よく考えたらそれも妙だよねぇ」
ロイド「生態物理学がナイトメアの構造研究の一貫だったとしても」
ロイド「どうして病理学なんて僕が取るんだろうねぇ?」
ロイド「僕が研究してたのは、基本機械工学なのにさ」ズキ
ロイド「気分が悪いねぇ、誰かに頭を弄られてるかもしれないってのはさぁ」
セシル「つまり、ルルーシュくんが、あっ」
ルルーシュ「いいですよ、それで」
ルルーシュ「公務とは違うんですから」
セシル「そ、そう?考えてみれば本物のルルーシュくんとは久々なものだから」
セシル「で、言い難いってのは」
ルルーシュ「はい、おそらく短く見積もってもあと2歳は年上になってしまうかなぁと」
ラクシャータ「あら、もしかしてタメ?」
セシル「ひ、ひぇぇ……」
セシル「た、たしかにショックは大きいかも」
ロイド「僕も33歳くらいってことかな?」
ルルーシュ「そうなりますね」
ラクシャータ「やーいおっさーん」
ロイド「……まあ、別にいいか」
ロイド「それで、どうやら飛ばされた期間があるみたいだけど」
ロイド「これがギアスだとして、ラクシャータがくる前の僕らの大学全員の記憶を書き換えた」
ロイド「その理由を知りたくなるよねぇ」
セシル「ええ、突き止めないと納得できません」
セシル「私の将来設計を狂わせた罪を償わせないと」
ラクシャータ「あらあら、ツッコミ役が燃えてるわ」
ラクシャータ「ルルーシュ、あんた何か案ある?」
ルルーシュ「ギアスキャンセラーがあれば何とかなるかもしれないが」
ルルーシュ「気になることがある」
ラクシャータ「なにさ」
ルルーシュ「この2人は1度ギアスキャンセラーを受けているはずなんだ」
ルルーシュ「2年前に」
ラクシャータ「……たしかに」
ルルーシュ「あの機械が未完成だったとしても、ギアスの波動を打ち消すレベルのものを受けても思い出せないとなれば」
ルルーシュ「何か、余程に強い影響が身体に出そうだと思うんだ」
ルルーシュ「だが、特にギアスの兆候は見られないし、何より俺の腕にも反応はない」
ラクシャータ「ギアスイーターだっけ?それでなんとか出来ないの?」
ルルーシュ「制御できる保証がない、最悪の場合は命の危険に陥る可能性もある」
ラクシャータ「困ったわねぇ」
ロイド「……ルルーシュくん、ギアスの力を強く受けた場合、身体に何か異常をきたすものなのかい?」
ルルーシュ「それは分かりません」
ルルーシュ「俺や、マオのギアスは具体的に分かるような反応は出ませんでした」
ルルーシュ「しかし、今回の件、仮にCCが関与していないとするなら」
ルルーシュ「ギアスの出どころはVVだろうと」
ルルーシュ「そうなると、やつのギアスは外部に影響を与えるタイプになるはずです」
ルルーシュ「つまり、記憶の改竄に関して、何らかの外的な作用が働いているのではないかと思うんです」
ロイド「ふーん、そうなのか」
セシル「ロイドさん?」
ロイド「ラクシャータ、記憶って一体どこに収納されているんだろうね?」
セシル「は?」
ロイド「ほら、いいからいいから」
ラクシャータ「……ったくもう」
ラクシャータ「えーっと、通説では脳よねぇ」
ロイド「だよね」
ロイド「いくら外的な作用っていってもさ、必ずしも見える場所とは限らないと、僕の天才的な頭脳が囁いているんだよ」
ラクシャータ「あんた何言って……」
ラクシャータ「まさか、いや、でも……」
セシル「どういうことですか?」
ロイド「二ブいなぁセシルくん」
セシル「ロイドさんにだけは、言われたくありません」
ロイド「ありゃ、やぶ蛇」
ロイド「脳ってさ、表層は更新され続けて行くけど、記憶領域って大きくは変化しないよねぇ」
ロイド「つまり、長期記憶はってことだけど」
ルルーシュ「……なるほど」
セシル「私たちの脳に、何か影響が出ているかもしれないってことですか?」
ロイド「だぁいせいかい」
ラクシャータ「あんたたち、CTとかいつ撮った?」
ロイド「ここ数年以上不思議なくらい健康でさぁ」
ロイド「健康診断以上のことは、僕もセシルくんも受けて無いはずだよねぇ」
セシル「は、はい」
ロイド「じゃあ、今からやってみようかぁ」
ラクシャータ「どこでよ」
ロイド「もっちろぉん」
ロイド「総督閣下の権限で、中央病院の設備を使うんだよぉ」
ラクシャータ「できるの?」
ルルーシュ「あ、あぁ不可能ではないが」
ロイド「こうなったら徹底究明でしょ」
ロイド「ラクシャータ、使い方は分かるよね?」
ラクシャータ「……はぁ、やればいいんでしょ?」
ロイド「そのとーり!」
~中央病院 ICU~
ラクシャータ「……出来たわよぉ、スキャン結果」
ロイド「おっ、待ってましたぁ」
セシル「なんでそんなに楽しそうなんですか」
ロイド「究明とは、本来楽しいものなんだよぉ」
セシル「それが自分の過去でも?」
ロイド「内容は関係ないさ」
ラクシャータ「……んー」
ラクシャータ「これ、かしらね」ピラ
ルルーシュ「これは?」
ラクシャータ「あー、ここ」
ラクシャータ「向きを変えたら分かりやすいかしらねぇ」クルッ
ルルーシュ「……!」
ロイド「なんだろうねぇ、これ」
セシル「まるで、鳥みたいですね」
ルルーシュ「これはギアスの紋章だ」
セシル「ギアスの紋章?」
ラクシャータ「ちなみに、こっちがセシルのやつね」ピラ
ラクシャータ「はぁ、ほんとに2人ともあるのねぇ、このマーク」
ロイド「これで何かギアスの影響があるってことは確定したね」
ロイド「あとは、これをどうすれば過去の情報が得られるか」
ラクシャータ「あんた、どうにかするつもりなの?これ」
ロイド「もちろん」
ロイド「僕たちの記憶だけでなく、他の人間の記憶まで変えてまで隠したい何かが」
ロイド「そこにはきっとあるからねぇ」
ラクシャータ「ルルーシュ、何か方法ありそう?」
ルルーシュ「俺にもこんな状態になった経験がないから分からないな」
ルルーシュ「しかもキャンセラーで消えないとなると、かなり難しいと言わざるを得ない」
ロイド「んー」
ラクシャータ「ここ、頭の結構奥にあるから」
ラクシャータ「そのせいでギアスキャンセラーが効かなかったのかもよ?」
ルルーシュ「だったとしても、それならその頭の奥まで届くキャンセラーをどうするかだ」
ルルーシュ「残念だが、俺達にはギアスキャンセラーを作る技術がない」
ロイド「え?」
ロイド「あるよ?少なくとも元なら」
ルルーシュ「どういうことです?」
ロイド「そっか、ルルーシュ君はいなかったから分からないだろうけどぉ」
ロイド「たしかに物自体はシュナイゼル殿下に引き渡してしまってはいる」
ロイド「でも、その図面ならラクシャータが作ってくれたやつがあるよ」
ルルーシュ「ど、どうして早くそれを言わないんですか!?」
ロイド「いやぁ、今の今まで忘れてたよ」
セシル「あの後事後処理やルルーシュ君が抜けた穴を埋めるので手一杯でしたものね」
ラクシャータ「まあ確かにあるはあるけどさぁ」
ラクシャータ「あたしらですら、分からないことだらけなのよ?あの機械」
ラクシャータ「実用化の実験含めて、開発に何年かかると思ってんのよ」
ラクシャータ「プロトタイプがあるからってすぐに改良出来るわけないじゃない」
ルルーシュ「それは、そうだな」
ルルーシュ「だが、研究する必要はあるだろう、今後ギアス能力者と衝突する可能性もある」
ロイド「何言ってるのさ二人共」
ラクシャータ「え?」
ロイド「まずは、ここに有能な技師2人と、優秀な助手がいるよねぇ」
ロイド「それに、予算を付けてくれそうな権力者が1人」
ルルーシュ「俺ですか?」
ロイド「もっちろぉん」
ロイド「そしてぇ」
ロイド「実用化にむけた被検体もほら」
ロイド「ここに、いるじゃないか」
セシル「ロイドさん、ですか?」
ロイド「だぁいせいかい!」
ラクシャータ「ちょっと、さすがに無茶よロイド」
ラクシャータ「ギアスキャンセラー自体どんな悪影響が出るか分かったもんじゃないのに」
ラクシャータ「ましてピンポイントで効果の出る装置にしたら、リスクは跳ね上がるわ」
ラクシャータ「しかも部位は脳よ?一歩間違えれば死の危険だって……」
ロイド「ラクシャータ、科学に犠牲は付き物だよ」
ラクシャータ「それ、あんたが一番嫌いな言葉じゃなかったっけ?」
ロイド「それはそれ、これはこれ」
ロイド「数年なんて待てないし、その間に良くないことが起こるかもしれない」
ロイド「それにギアスキャンセラーはサクラダイトを用いた反作用を主軸にしたものだって推測はついてるだろう?」
ラクシャータ「うっ」
ラクシャータ「で、でもそれはあくまでギアス反応が起きた直後の状態を打ち消すためのものでしょう?」
ラクシャータ「今回みたいに影響が出たあとの状態を打ち消すなんて、そう簡単に理論が立つわけ……」
ロイド「ラクシャータ、記憶だよ、脳だよ?」
ラクシャータ「なによ」
ロイド「ギアスがサクラダイトの波動拡散現象によって発動することが出来るということは」
ロイド「少なくとも発動した直後から伝達部分までは波の性質を持っているということだよねぇ」
ロイド「それはルルーシュ君の身体を動かす動力を考えても分かることさ」
ラクシャータ「そりゃあナイトメアと同じように動かしてて、サクラダイト反応を利用してるとすればそうなるけど」
ロイド「でしょ?」
ロイド「でもそうすると妙だよね、ルルーシュ君のギアスに関する情報から見ても、その波動は人体に影響を与えるなかで何か変化するはすだ」
セシル(なにかペラペラ話し始めちゃったわね)コソッ
ルルーシュ(黙って見守りましょう)コソコソ
ロイド「ルルーシュ君、君のギアスの発動条件は?」
ルルーシュ「えっ!?」
ルルーシュ「あ、目を見ることです」
ロイド「他のギアスにも同じような条件があるんだよね?」
ルルーシュ「ええ、恐らくは」
ルルーシュ「もっとも、マオのように常時発動するタイプもあるのでなんとも言えないところですけど」
ラクシャータ「何が言いたいのよ、ロイド」
ロイド「僕はずっと考えていたんだよ、CCさんやルルーシュ君の言っているギアスとは何なのか」
ロイド「だけど、自分の身体に出ている影響を考えると、なんとなく答えが見えてきたのさ」
ルルーシュ「というと?」
ロイド「ルルーシュ君の場合は目だ、つまり視覚情報」
ロイド「マオ君というのはよく分からないけど、恐らくは今回の仮説でいくと途中の段階に関連した情報を読み取っているのだと思う」
ロイド「そして僕にかけられたギアス」
ロイド「要は僕らが集まった段階で全員にかけられればいいわけだから」
ロイド「これは聴覚か視覚情報に関連したもののはずだ」
ラクシャータ「……つまり」
ラクシャータ「ギアスは人間の何らかの感覚を通して発現すると言いたいわけね?」
ロイド「そういうことぉ」
ロイド「そしてぇ」
ロイド「人間は必ず、その受けた刺激を電気信号として脳に送るんだよ」
ロイド「だから、ギアス能力の本質とは」
ロイド「人間の脳に送られる刺激、ひいては電気信号を意識的に変化させる能力と言い換えられるんじゃないかな」
ロイド「ルルーシュ君の場合はたしか……」
ルルーシュ「絶対遵守です」
ロイド「そう、つまり」
ロイド「こうしなければならない、と脳を錯覚させる」
ロイド「まるで自分の意思であるかのようにね」
ルルーシュ「マオの能力はそれを逆算しているようなもの、ということですか」
セシル「えっと、つまり電気信号を逆にギアスの波動のようなものに変換して受け取るってことですかね?」
ラクシャータ「辻褄は合うかもしれないけど」
ラクシャータ「あくまで仮説でしょう?それが正しい保証はないじゃない」
ロイド「辻褄が合うということは、それだけ何か近い理論が働いているという証左だよ」
ロイド「実例もあるわけだし」
ラクシャータ「それで失敗したのが細菌とウィルスだったり、中世の誤った医療だったりするんじゃないの?」
ロイド「そうかもしれないね」
ロイド「でもぉ、今回はキッチリ原因は分かっているんだよ、ギアスだってことはねぇ」
ロイド「ゴールまでの過程はキャンセラーに従えばいいんだろう?」
ロイド「ギアスキャンセラーが逆位相の波を作って打ち消す物なら、その生成法を逆算すれば」
ロイド「自ずと僕らの脳に干渉しているギアスを打ち消す波を放出させられるはずだ」
ラクシャータ「……」
ラクシャータ「まぁ言わんとすることは分からないでもないわ」
セシル(ルルーシュくん、つまりどういうことなのかしら?)
ルルーシュ(多分ですけど)
ルルーシュ(現在こういう記憶だ、という命令が脳にある状態なんですよね)
ルルーシュ(だから、そうではない、という命令を与えればギアスの力を打ち消すことができると)
ルルーシュ(おそらくそういう話です)
セシル(それって、ある意味人工的なギアスってことじゃない?)
ルルーシュ(もともとギアスキャンセラー自体がそういった性質をもつ装置なんだと思います)
ルルーシュ(だからこそ、人工ギアス研究の過程で生まれたのかも)
セシル(な、なるほど)
ルルーシュ(当然まず初めにギアスをかけられた状態というのが必要にはなるので)
ルルーシュ(完全な人工ギアスとは言えないですが)
ラクシャータ「で、それの研究に私も付き合えと?」
ロイド「もちろん」
ラクシャータ「嫌だと言ったら?」
ラクシャータ「あたしが機械工学方面に鞍替えした理由知ってんでしょ?」
ロイド「大丈夫、僕は死んだりしないよ」
ラクシャータ「あのねぇ、あたしが医学研究してた頃よりよっぽど危険性が高いのよ」
ラクシャータ「マウス実験も出来ない、ぶっつけ本番なんて……」
ロイド「できるよ」
ロイド「ねぇ、ルルーシュ君?」
ラクシャータ「……あんた、それはダメだって分かってるわよね」
ラクシャータ「CCが言ってたはずよ、ギアスを使いすぎれば身体を侵食し、やがてギアスの力に囚われるって」
ラクシャータ「あんた、自分の研究のためにこの子を犠牲にするつもり?」
ロイド「違うよ」
ロイド「そっちじゃないさ」
ラクシャータ「はぁっ!?じゃあどっち……」
ロイド「ルルーシュ君の身体を動かすギアス」
ロイド「これは確かルルーシュ君自身のギアスから作られたギアス反応体、所謂ギアス結晶から発生してるんだよね」
ロイド「そのエネルギーを解析すれば、仮説はより強固になる」
ラクシャータ「でもだめよ、それを人に使えるのかって問題が残るじゃない」
ロイド「だから僕にやるんじゃないか」
ラクシャータ「それがダメだって言ってんでしょ!」
ラクシャータ「ギアスの命令を打ち消す、つまり一歩間違えば」
ラクシャータ「少しでも命令が違ってしまったら、あんたの身体にどんな影響が出るか」
ロイド「僕の命は僕のものだよ」
ロイド「それはラクシャータがとやかく言えるものじゃない」
ラクシャータ「……あっそう」プツン
ラクシャータ「ルルーシュ、セシルを連れて先に帰ってくれる?」
ラクシャータ「あたし、まだこのバカと話さなきゃいけないことがあるから」
ルルーシュ「あ、ああ」
ルルーシュ「そのようだな」
ルルーシュ「セシルさん、行きましょう」
セシル「え、でもルルーシュ君……」
ルルーシュ「ここは2人に任せましょう、どのみち俺達では解決できない問題です」
セシル「ロイドさん……」
ロイド「いいよん、ここは僕が何とかしておくからさぁ」
セシル「……」
ルルーシュ「ラクシャータ、後は任せる」
ルルーシュ「どんな結論であれ、俺は2人を尊重するつもりだ」
ラクシャータ「はいはい、わかったからサッサと行って」
ロイド「……で?」
ラクシャータ「なぁにが、で?、よ」
ラクシャータ「あんたの命はあんたのもの?そんなの当たり前よ」
ラクシャータ「でもね、あんた分かってる?あんたが死ねば、それは周りに影響を与えるのよ」
ラクシャータ「自分の命が自分だけで完結出来るもんだと思ってんなら」
ラクシャータ「あたしが叩き直してやるわよ」
ロイド「……ほんと、ラクシャータがカレン君と気が合う理由が分かる気がするよ」
ラクシャータ「何が」
ロイド「君は、煙に巻くような、どこか浮世離れしたような印象を受けるけど」
ロイド「その実、とても現実的だ」
ロイド「僕のゲフィオンディスターバーが構想段階だった時も、現状を再確認し、問題点を一つ一つ改善していったよね」
ロイド「僕自身が科学者というより発明家に近い研究を打ち出している中、君は実に技術屋らしい考えで研究を進めていた」
ロイド「その結論がお互い近いところに出てきているのは、なんとも皮肉なものだけど」
ラクシャータ「何?自慢話でもしたいわけ?」
ロイド「そうじゃないよ」
ロイド「僕はね、さっき言った通りギアスについては考えていたんだ」
ロイド「でも、少々甘く見ていた所もあった、それはルルーシュ君のギアスを知った時に誤解したことが大きい」
ロイド「ギアスとは、直接目に触れる、もしくは至近距離までよらなければ発現しない能力だと考えていたんだ」
ラクシャータ「……」
ロイド「でもどうだろう、さっきの仮説がもしその通りだとするならば」
ロイド「例えば聴覚に働きかけられるとすれば?例えば嗅覚なら?」
ロイド「またそれに準ずる何かで広範囲に影響を与えられるとすれば?」
ロイド「今は様々な伝達手段が存在する」
ロイド「さっき発現した直後から伝達する過程は波動の性質があると言ったけど」
ロイド「それがどこまでかは分からない」
ロイド「ということは、電気信号に置き換えられるまでの過程は今もって謎のままなんだ」
ロイド「視覚情報や聴覚情報なら」
ロイド「テレビは?電話は?ラジオは?」
ロイド「なんなら気付いていないだけで、すでに影響を受けている可能性すらあるわけだ」
ラクシャータ「……言いたいことは分かるわよ」
ラクシャータ「けど、今のところは何も起きてないでしょう」
ロイド「そう、あくまで今は、だ」
ロイド「僕にギアスをかけた連中、今までの話を総合すれば誰だかは見当がつくよね?」
ラクシャータ「……」
ロイド「ブリタニア皇帝の演説なんて、世界中で流れるよ?」
ロイド「それによってギアスを掛けられたら、僕らはどうやって止めればいいんだい?」
ラクシャータ「そんなの、極論すぎて議論に値しない……」
ロイド「でも起こりうる未来だ」
ロイド「少なくとも、僕らは今これを止めるための布石が打てる」
ロイド「広範囲に発現したギアスを観測、演算して消すための力が」
ロイド「これはある意味僕らが手に出来るギアス能力のようなものだよ」
ラクシャータ「……でも、その研究を急いだ結果あんたが死んだら元も子もないでしょ」
ロイド「死なないさ」
ラクシャータ「そんなのっ!」
ロイド「だって、君がいるだろう?」
ラクシャータ「……ロイド」
ロイド「さっきも言った通りさ」
ロイド「僕は発明家だ、実現可能かどうかではなく、可能性を追いかけてしまう」
ロイド「だから、君にはその可能性を正しい道へ進める手助けをして欲しいんだ」
ロイド「どうやら今回は、僕1人じゃ出来そうもないからねぇ」
ラクシャータ「……ばーか、今回も、でしょ」
ロイド「んー、まあそういう捉え方もあるかもね」
ロイド「ラクシャータ、僕は自分の過去が何か大きなものに繋がっているような気がするんだ」
ロイド「それこそ、今暗躍しているであろう奴らの、何か致命的なものへ、ね」
ロイド「僕らはすでに、2年」
ロイド「遅きに失しているんだよ」
ロイド「明日にも取り返しのつかない事態に進展してしまうかもしれない」
ラクシャータ「……」
ロイド「頼む、僕が死ぬかもしれないと言うなら」
ロイド「僕を守ってくれないか?ラクシャータ」
ラクシャータ「……なによ、それ」
ラクシャータ「あんたはナイトじゃなくてプリンセスってわけ?」
ロイド「そうさ、なにせプリン伯爵だからね」
ラクシャータ「……あーバカバカしい」
ラクシャータ「ちなみに、どのくらいの期間で想定してる?」
ロイド「ひと月」
ラクシャータ「あーあ、そんなことだろうと思ってたわよ」
ロイド「現実的な話だと?」
ラクシャータ「そうね、本当なら短くても1年はかかる話だけど」
ラクシャータ「ちょっと裏道と抜け道と近道すれば」
ラクシャータ「半年くらいにはなるかもねぇ」
ロイド「それは1人で?」
ラクシャータ「……そ、1人で」
ロイド「2人ならどうだい?」
ラクシャータ「そうねぇ」
ラクシャータ「意思疎通が完璧で
お互い理解し合ってて、完全な役割分担ができて」
ラクシャータ「かつ有能な助手と資金と権力を併せれば……」
ラクシャータ「案外ひと月くらいかも、ね」
ロイド「じゃあ僕らはとても運がいいね」
ラクシャータ「……そうね、ほんと運がいいわ」
ラクシャータ「ねぇロイド」
ロイド「なんだい?」
ラクシャータ「あたしらはさ、ラブロマンスが似合うようなキラキラして綺麗なもんじゃなくて」
ラクシャータ「血と汗と油と、金属の臭いが染み付いた、泥臭い感じだけど」
ラクシャータ「でも、あたしは結構特派でみんなといたり」
ラクシャータ「……あんたと喧嘩してるの、そこそこ気に入ってる」
ロイド「気が合うね、僕もだよ」
ロイド「思っていたより、他人といるのも悪くない」
ラクシャータ「いいよ、あんたが無茶して死なないように、あたしが面倒見てあげる」
ロイド「さっすがぁ」
ラクシャータ「それで?報酬はどれ位頂けるのかしらねぇ?」
ロイド「えっ……?」
ロイド「僕が無事に生きているだけじゃ?」
ラクシャータ「んー、足りないわよねぇ」
ロイド「お金は?」
ラクシャータ「今以上は要らないかなぁ」
ロイド「えっと、それなら……」
ロイド「うーん」
ラクシャータ「そうねぇ、なにせ命を守るわけだから」
ラクシャータ「あんたの大事なもの、一つ貰うわ」
ロイド「え?それって一体……」
ラクシャータ「考えておきなさいな」
ラクシャータ「さ、とりあえず今日は帰るわよん」グイッ
ロイド「ら、ラクシャータ!?」
ラクシャータ「さぁて、プリンセス伯爵さんは何をくれるのかしらねぇ?」
ロイド「ひ、ヒントは?」
ラクシャータ「あげませぇーん」
ロイド「ど、どうしましょ……」
久々すぎる更新、いっそ何も考えずに当たって砕けようとしたらロイドとラクシャータばっかりになってた。
今後も大まかな流れだけ決めて勢いで書いていくと思うんで、何か齟齬があったらここでもTwitterでもお願いします。見直してはいるんだけど見落としも多いからね……
新しいギアスの展開に合わせることはないです、こっちはこっちで別の時間軸ということでひとつ。
途中であったマリアンヌ矛盾してるじゃねーかの話はなんとなく今回で補足してます。確信は後々書きますが、想像の手助けは出来たかなーといったかんじ。
それではおやすみなさい、良い夢を。
~数日後 中華連邦~
カレン「……はぁ」
天子「どうしたんですか?カレンさん」
カレン「あーら天子ちゃん、また遊びに来たの?」
天子「これでも私、ナンキンジョウタイという奴なのです」
カレン「難しい言葉知ってるのね」
天子「まぁ見張りがいる訳では無いですし、要は政治に口出しできないように、というだけですけど」
天子「だから、ある意味毎日暇なのです」
カレン「なーるほろ」
天子「それでどうしたんですか?」
天子「もう30分くらいそうしてますけど」
カレン「え?マジ?」
カレン「んー、色々分からない事だらけでさ」
カレン「ちょっと怪しい情報が出てきたんだけど、私の勘違いだってことしか言ってくれなくて」
カレン「まぁ向こうに戻ってから聞けばいいんだけどさ」
カレン「もやもやするのよ」
天子「ちょっとわかります、その気持ち」
天子「星刻もわたくしには何も教えてくれないのです」
天子「もう子供ではないのに」
カレン「……」
天子「カレンさん?」
カレン「ああ、ごめんごめん」
カレン「なんかそう考えるとさ」
カレン「あたし難しいこと苦手だし、子供扱いされてる方が楽だなって気持ちもある」
カレン「そんなこと考えてて」
天子「それは……」
天子「いえ、でもやっぱりわたくしは」
天子「自分のこと、周りのことをちゃんと知りたいです」
天子「知らないところで誰かが傷付くのは、もう嫌だから」
カレン「……そうね」
カレン「ん、やっぱり天子ちゃんは偉いよ」ナデ
天子「そ、そうですか?」
カレン「あたしも見習わないと」
カレン「家族をささえられるくらいには、しっかりしたいなぁ」
天子「家族、ですか」
カレン「あ、ごめんなさい」
天子「?」
天子「あ、いえ、別に暗くなっていた訳ではないのです」
カレン「でもご両親は」
天子「ええ、確かにもう居ませんが……」
天子「でも、完全に居ないという訳でもないんです」
カレン「?どういうこと?」
カレン「って、ごめん、あたしズケズケ聞いちゃう癖あるみたい」
天子「いえ、大丈夫ですよ」
天子「実は、私の本当のお母様はもういらっしゃらないのですが」
天子「義理の母がいるのです」
カレン「そうなの?」
天子「ええ……関係が良かったとは言い難いですけど」
カレン「今はその人も……?」
天子「いいえ、ご存命です」
天子「尤も、病に臥せって居られますが」
カレン「病気?」
天子「ええ、そもそも今の大宦官たちがこの国を支配していられるのは」
天子「正確に言えば皇后の代理という立場があるからなのです」
天子「わたくしの補佐をするという立場は、本来皇后であるお義母様が付くべきものですから」
カレン「でもご病気じゃ仕方ないわよね」
天子「……もともと、あの方にとってわたくしはあまり好ましくない存在でしょうからね」
天子「ごめんなさい、結局暗くなってしまいました」
カレン「ははは、それを言ったらあたしのせいなんだから気にしないで」
カレン「でも知らなかったな、よく考えてみればあたしこの国の仕組みとか全然知らないのよね」
天子「ふふふ、それなら一緒にお勉強しますか?」
天子「わたくしも星刻に教わっている所なのです」
カレン「それいいかも、知ってて損ないものね」
天子「お仕事の後で宜しければ星刻にお願いしてみます」
カレン「やったー!天子ちゃん愛してるー」ギュッ
天子「わ、わわっ、恥ずかしいですカレンさん!」
カレン「んー、丁度いいサイズ感よね」
カレン「いいじゃない、ここ男ばっかりでつまらないのよー」
天子「むぅ」
天子「カレンさんは不安にならないですか?女性1人というのは」
カレン「まあずっと1人ってわけじゃないし」
カレン「それに、なんというか」
カレン「そういうの慣れてるのよね、騎士団にいた頃も似たような状態だったし」
カレン「ま、今はみんな必死だからね」
カレン「でも、もしあたしが皆に襲われたら助けてね」
天子「わ、わたくしに出来るかしら」
カレン「頼りにしてるわー」
カレン「あたしもこんなに可愛い子が笑顔でいられる国造りに協力したいもの」
カレン「頑張らないとね」
天子「ごめんなさい、結構お邪魔をしてしまいました」
カレン「へーきへーき、どうせ今はまだ部品の慣らしと調整がメインだもの」
カレン「でも、そのうちもっと大きく進んでくるわ」
カレン「あたしの師匠はすんごい技師でもあるんだから」
また明日か明後日、書きたいと思いまーす(不確定)
おやすみなさい、良い夢を~
~エリア11 政庁~
スザク「……」カリカリ
シャーリー「……」サラサラ
ロロ「……」
咲世子「……」
スザク「…………」カリカリ
スザク「……あの、何か?」
ロロ「別に」
ロロ「兄さんとCCがあんな状態なのでする事がないだけです」
咲世子「私はお手伝いの為に待機しています」
スザク「咲世子さんは休んでいた方がいいんじゃないかと」
咲世子「不覚は取りましたが、生憎とそこまでヤワには出来ておりませんので、ご心配なさらず」
スザク「……そうですか」
シャーリー「……」サラサラ
スザク(めちゃくちゃ居心地が悪い)
スザク「シャーリーも別にここじゃなくて、別の所で仕事してもいいんだよ?」
シャーリー「ううん、大丈夫」サラサラ
スザク「そ、そっか」
スザク(一体何が大丈夫なんだ)
スザク(どうにも、ルルーシュが居ないことで皆妙に浮き足立ってるというか)
スザク(改めて、僕らを動かしてたのはルルーシュなんだと痛感するね、ほんと)
スザク(僕も何か手伝えればと思ってたけど、皆を纏めることはまだできそうもないや)
スザク(でも、これが連日となったら、僕が一番先にダウンしそうだ)
スザク(ただでさえ慣れないデスクワークだし、何か考えないと)
咲世子「何かご用事ですか?」
スザク「え?」
咲世子「いえ、こちらを見ていらしたので」
スザク「………えっと、別に…」ピコン
スザク「!!いや、咲世子さんちょっと外に付き合ってくれるかい?」
咲世子「ええ、もちろんです」
スザク「ロロ、悪いんだけどもしほかの部署から承認依頼が来たら僕に連絡してくれないかい?」
ロロ「別に構わないけど」
ロロ「いいの?これでも僕らは情報部から出向してる」
ロロ「まあわかり易く言えばスパイだけど」
シャーリー「ちょっと、私まで巻き込まないでくださいよ」
ロロ「そう?君は君で何か考えがありそうだけど」
シャーリー「そんなことないです」
ロロ「あ、そ」
ロロ「何でもいいけど、僕らはここでは立場一緒なんだし、普通に喋ってくれない?」
ロロ「歳も君の方が上でしょ」
シャーリー「そういう訳には……」
スザク「と、ともかくよろしく」
スザク「大丈夫、ルルーシュが信じてる2人だから、僕も信じるさ」
スザク「じゃあ、夕方には戻るから」ダッ
咲世子「それではお2人とも、後はおまかせ致します」
咲世子「私も信じてはいますが、ここで不穏な動きをされると」
咲世子「あまり楽しくない展開にならざるを得ないので、そこだけはご注意下さいませ」
ロロ「脅し?」
咲世子「いえ、業務連絡のようなものです」
咲世子「それでは」パタン
ロロ「……はぁ、色々面倒だな」
シャーリー「釘刺されちゃいましたね」
ロロ「……で?」
シャーリー「え?」
ロロ「どこまで踏み込んでるわけ?こっち側に」
シャーリー「こっち側?」
ロロ「……」
ロロ「まぁいいや」
ロロ「それなら、あんたはなんでここに来たの?」
シャーリー「それは、もともと学生時代に過ごした土地ですし」
ロロ「普通に話していいって」
ロロ「元を辿れば同じ情報部、腹の探り合いばっかりしてても仕方ないし」
シャーリー「私は別に……」
ロロ「命令した方がいい?」
シャーリー「……はぁ、分かったわよ」
ロロ「そうそう、素直が一番ってね」
シャーリー「素直から程遠い感じだけどね、あなたも」
ロロ「それはあんたもでしょ」
ロロ「狙いは兄さん?それともCC?」
シャーリー「腹の探り合いはなしなんじゃないの?」
ロロ「探り合いじゃなくて、一方的に聞いてるだけだから」
シャーリー「……」
シャーリー「さっきから兄さん兄さんって、ルルのことでしょ?」
シャーリー「ルルの家族はナナちゃんだけのはずだけど」
ロロ「その辺は色々あるんだよ」
ロロ「信じられないとは思うけど、僕も別にあんたが憎いわけでも、あんたのやりたいことを邪魔したいわけでもない」
ロロ「ただ、立ち位置だけ知りたい」
シャーリー「立ち位置?」
ロロ「今のところ、僕はここの連中の動きを出来るだけ見ておきたい」
ロロ「見極めたいこともある」
ロロ「だから、そのためにもあんたの動きは僕にとって結構重要なんだ」
ロロ「多分、あんたにとって僕がそうであるように、ね」
シャーリー「……」
シャーリー「確かに、信じられないよね」
シャーリー「特に私達みたいな仕事をしてると」
ロロ「……それもそうだね」
シャーリー「そもそも、君と違って」
シャーリー「私に出来ることはそんなに多くないの」
シャーリー「だから気にしなくていいわ、少なくとも誰かの邪魔をする余裕なんて、今の私にはないから」
ロロ「ふーん」
ロロ「あんたさ、情報部についてどう思ってる?」
シャーリー「?」
ロロ「正確に言うと、そこの実質的トップのシュナイゼルのことをさ」
シャーリー「別に、特別なことはないけど」
シャーリー「お会いしたのも1度だけだし、報告も直接は全然」
シャーリー「ここに来る時に、どうしてお話したのか分からないくらい」
ロロ「なるほどね」
ロロ「やっぱり、あんた情報部向いてないよ」
シャーリー「え?」
ロロ「一応訓練や基本はやって来たんだろうけど、実際に体験として身についてない」
ロロ「ま、それならそれでって感じだけど」
シャーリー「ちょっと、どういうこと?」
ロロ「あんたその作業あとどのくらいでできる?」
シャーリー「え、さ、30分くらいだけど」
ロロ「どうやら兄さんのために頑張りたいみたいだし、その手伝いをしてあげるよ」
シャーリー「……信じる根拠は?」
ロロ「あのスザクって人の言葉は?」
ロロ「これでも僕は、あんたよりは兄さんに近い所にいるんだよね」
ロロ「ま、完全に仲間ってわけじゃないけど」
シャーリー「……」
シャーリー「いいわ、確かに君の言うことも正しいし」
シャーリー「でもあまり甘く見ないで欲しいわね、私だって半端な気持ちでここにいる訳じゃないんだから」
ロロ「?怒ってるの?」
シャーリー「そりゃあ、バカにされたら誰だって怒るわよ」
ロロ「ああ、別にバカにした訳じゃないよ」
ロロ「単純に向いてないって思っただけ、向き不向きは誰にでもあるでしょ」
シャーリー「……ムカつく子ね、ほんと」
ロロ「?」
シャーリー「……はぁ、とりあえず見せてもらうわよ、君の言う手伝いってやつ」
ロロ「きっと気に入るよ」
ロロ(この女、思っていた以上に何も知らされていないみたいだ)
ロロ(シュナイゼル側でもないようだし、本当に兄さんの事だけ考えてここに来たんだろうけど)
ロロ(これは兄さんの弱点になる、こいつを何もさせずにここに置いてるのがいい証拠だ)
ロロ(そして、僕の保険には丁度いい、兄さんが失敗した時はこいつを人質にすれば安全に元の立場に戻れる)
ロロ(ごめんね兄さん、でも、僕も生きるために必死なんだ)
ロロ(ここの居心地は昔に比べたらマシだから、上手くいくように協力はするけど)
ロロ(あんまり期待はずれなことすると、すぐ見限っちゃうよ、あまっちょろい兄さんとは違うから)
ロロ(ね?)
シャーリー(何か変だわ、この子)
シャーリー(よく分からないけど、ちょっと怖い……)
シャーリー(……でも、私は逃げない)
シャーリー(確かめなきゃ、ルルのためにも、私のためにも)
短いけど明日早いんでここまで。
次はスザクと咲世子さん。
それでは良い夢を~
~庭園~
スザク「………ふぅ」
咲世子「お疲れのようですね」
スザク「それはもう」
スザク「一時の代わりなら、と思ってましたけど、やっぱりルルーシュが居ないと」
スザク「みんなバラバラな感じですね」
咲世子「それは、きっとルルーシュ様も分かっているはず」
咲世子「それでも、信頼している枢木卿にお願いされたのです」
スザク「はぁ、嬉しいような重いような」
スザク「あ、そうだ」
スザク「抜け出しついでに医務室に行こう、コーネリア様も目覚めているかも」
咲世子「そうですね」
咲世子「ヴィレッタさんも大丈夫かしら」
スザク「そうだね、久しぶりな上に2年間どこに居たのかも直接聞きたいし」
スザク「あの時の状況も詳しく聞かないと」
スザク「とにかく、まずは皆が快復するといいんだけど」
咲世子「……そうですね」
スザク「咲世子さんは、あの時の侵入者のことはよく分からないのかい?」
咲世子「見たことない人間なのは間違いありませんが」
咲世子「およそ人間の動きではありませんでしたし、警戒するに越したことはないかと」
スザク「咲世子さんより?」
咲世子「少なくとも、私より速く動く人間は久しぶりに見ましたわ」
スザク「な、なるほど」
スザク「咲世子さんが居れば大抵の事はどうとでもなりそうな感じだったけど」
スザク「敵が人間の範疇を超えてくると、そうも言ってられなくなるよね」
咲世子「ギアスという不確定要素もあります」
咲世子「これから明確に敵対することも考えて、なんらかの策は必要でしょうね」
スザク「いっそ僕らもギアスの契約をするっていうのはどうだろう?」
咲世子「それは認めてくれそうもありませんね」
スザク「ああ、あの2人なら怒るよね、きっと」
咲世子「それに、ギアスの力を得るには強い思いが必要とのことでしたけど」
咲世子「私にはそういった望みがありません」
スザク「僕は……」
スザク「あれ、あそこにいるのって」
咲世子「あら」
ミレイ「だーかーらー、取材させて貰いたいだけなのよ」
ミレイ「ルルーシュに連絡をとって貰えば、許可は出してくれるはずよ」
職員「で、ですから、まだ事件があってから日も浅く」
職員「総督閣下の安全のためにも、極力政庁内に部外者を立ち入らせないことになっていまして」
リヴァル「そこをなんとかお願いしますよ~」
職員「し、しかし……」
スザク「会長!」
ミレイ「あら!スザク君じゃない」
職員「く、枢木卿」
リヴァル「スザク!」
スザク「ご苦労様、この人たちは僕の友人だ」
スザク「あとは僕が何とかするから、君は持ち場に戻ってくれるかい?」
職員「は、はい、宜しくお願いします」タッ
スザク「……」
スザク「お久しぶりです会長、リヴァル」
ミレイ「もう、会長はやめてよね」
ミレイ「でもほんと久しぶり、いつぶりかしら」
リヴァル「ルルーシュもスザクもブリタニアとこっちを行き来してるから、なかなか会えないもんなぁ」
リヴァル「やっぱりその服似合ってるじゃん」
スザク「ははは、ありがとう」
ミレイ「咲世子さんも元気そうね!」
咲世子「はい、これでも頑丈なのです、私」
スザク「とりあえず、こんな所で立ち話もなんだし」
スザク「今から医務室に行くところなんです、良かったらどうですか?」
ミレイ「医務室?またどうして?」
咲世子「襲撃事件の怪我人がまだ目を覚まして居ないのです」
スザク「事情は分からないけど、その中にヴィレッタさんもいるんです」
スザク「記事に出来るかどうかは分からないですけど、何か分かるかもしれないですし」
スザク「犯人探し、協力していただけると助かります」
リヴァル「お、そういうことなら」
リヴァル「……いや、でもカメラは流石にやめておいた方がいいよな」ピッ
ミレイ「そうね……いい気分の話ではないだろうし」
ミレイ「まぁいいわ、どうせ取材は口実で、ルルーシュに会いに来ただけだもの」
ミレイ「連絡しても全然返事がないから、心配になっちゃって」
スザク「その当たりも道すがら説明しますよ」
ちょっと短いけど、明日はお休みだしもう少し長く行けるだろうということでこの辺で。
ナルトの方もおいおい進めて行くつもりです。なんとか今年中にはどちらも終わらせて、新しいものを書きたいと思ってます。さすがに時間が経ちすぎてこっちもテンションが持たないところもありますし。
まぁここまで付いてきて下さったのなら最後までお付き合い下さいな。
それでは、おやすみなさい、良い夢を~
勝手ながら今日は仕事の準備をしなければならなくなったのでお休みします。
明日は最近の通り少しでも進めますので、ご了承ください。
おやすみなさい、良い夢を~
~医務室~
ミレイ「なるほどねぇ」
リヴァル「皆目覚めないのか?」
ヴィレッタ「……」
コーネリア「……」
スザク「そうみたいだね」
咲世子「ギルフォードさんたちは軽傷だったようですが」
咲世子「お2人は侵入者の攻撃をまともに受けていましたから」
ミレイ「咲世子さんは大丈夫だったの?」
咲世子「こう見えても色々装備しておりますので」
ミレイ(色々ってなんだろう)
咲世子「咲世子は着痩せするタイプなのです」
リヴァル「へぇ……」
ミレイ「くぉら、ヤラシイ目で見るな」ベシ
マオ「おや、みんな揃ってお見舞い?」ガラッ
スザク「あはは、やっぱり気になってね」
咲世子「マオ様、お手伝い頂き感謝します」
マオ「構わないよ、基本的に僕は暇だからね」
マオ「初めまして、ではないよね」
ミレイ「マオさんってことは、二年くらい前の……」
マオ「ミレイさんでしょ、前の写真に比べると、さらに綺麗になったみたいだね」
ミレイ「そ、そんなこと無いですけど」
マオ「そして、隣の君は……」
リヴァル「俺はリヴァル、リヴァル・カルデモンドです」スッ
マオ「よろしくリヴァル」ギュッ
マオ「さて、握手も済んだことだし、せっかくだからそこに座ってよ」
マオ「中華連邦から持ってきたお茶があるんだ、美味しいんだよ~」
マオ「2人の身体はかなり回復してるんだけど」ズズッ
マオ「たぶん事件のショックが大きいんだろうね、なかなか目覚めないのは」
スザク「そういうものなのかい?」
マオ「ルルーシュもそんな感じだったから、分からなくはないんだ」
マオ「身体が元気になっても、心はそう簡単には治らないからね」
マオ「それに、2人とも軍やそれに類する訓練はしてるんだろうけど」
マオ「咲世子さんの話じゃほぼ不意打ちに近い攻撃を受けているし」
マオ「何より女性だからね、大の男が本気で殴ってくればそれだけでも衝撃は大きいさ」
ミレイ「なんだかゾッとしない話よね」
リヴァル「許せないですよね」
マオ「僕もチラッと姉さんを撃ったやつは見たけど」
マオ「とても怖い感じだったよ、なんというか」
マオ「すごく人間味が薄いというか」
スザク「んー」
スザク「咲世子さん、そいつは国外には出てないんだよね?」
咲世子「ええ、船舶、航空機を使っての脱出はないと思われます」
咲世子「それらしき人物がエリア入りする姿は監視カメラに映っていましたが、事件当日からの映像には全く」
咲世子「小型の船での航行はその限りではありませんが」
スザク「ここから小型の船でって言うと」
マオ「ありえるのは中華連邦かな」
マオ「まぁでも、今の中華連邦がブリタニア相手にコトを構えるとは思えないけどね」
咲世子「それに、彼との会話からもブリタニア人ではないかと思います」
マオ「言語のことならその通りかも知れない」
マオ「中華連邦のためにそこまでの危険をおかすほど愛国心が強いなら、伝わらなくても普段通り話すんじゃないかな」
マオ「あの国ではかなりの選民思想を教育するはずだからね、エリートであればあるほど」
マオ「それに、僕が最後に聞いた言葉も、ブリタニアに栄光あれ、だったし」
スザク「全てがフェイクって可能性は?」
マオ「無いとは言い切れないけど」
マオ「それだとわざわざ僕に聞かせたことになるし、微妙じゃない?」
スザク「確かに、どうせアピールするならもっと目立つことをしていたか」
咲世子「でもそうなると不可解な要素もまた増えます」
咲世子「ルルーシュ様の暗殺が目的だったのであれば、失敗した時点で大人しく去るべきなのに」
咲世子「ナナリー様を連れ去るためにわざわざ現場に残っている」
咲世子「あの状況でナナリー様を連れて逃走するリスクを負うなら、もっと別のタイミングを狙うのではないでしょうか」
咲世子「こう言ってはなんですが、ナナリー様はご自身では逃げられないのですから」
ミレイ「え!?」
リヴァル「どういうことだよスザク!」
スザク「あ、そうか、2人には説明し忘れていたね」
スザク「ナナリーは攫われてしまったんだよ」
リヴァル「おい!そんなにアッサリ言えることじゃ……」グイッ
ミレイ「……待って、リヴァル」
リヴァル「会長……」
ミレイ「ごめんなさいね、あなたたちの方が悔しいわよね」
ミレイ「ナナちゃん、無事なの?」
スザク「……分かりません」
スザク「でも大丈夫です、ルルーシュがそう言ってました」
ミレイ「ルルーシュが?」
スザク「まだ説明出来ないと言ってましたけど」
スザク「たぶん、何か情報を持ってるんだと思います」
リヴァル「じゃあルルーシュに聞けばいいじゃないか」
リヴァル「こんな所でウダウダしてないでさ!」
ミレイ「リヴァル!」
ミレイ「あんたはちょっと黙ってなさい」
スザク「まぁ、僕もそうしたいとは思うんだけどね、リヴァル」
スザク「でもルルーシュが今話さないってことは」
スザク「何か理由があるんだと思う」
スザク「だって、他ならぬナナリーのことなんだから」
マオ「そうだよね」
マオ「だから、僕らもルルーシュの手伝いをするために考えているんだよ」
マオ「妹と奥さん、1度に傷付けられて今一番辛いのはルルーシュのはずだからね」
リヴァル「……ごめん、俺」
ミレイ「反省したなら座りなさい、どうせあたしたちじゃ何も出来ないわ」
ミレイ「部外者が外からギャーギャー言っても、何も意味無いわ」
ミレイ「正直悔しいわ」
ミレイ「後輩が困ってるのに、何もしてあげられないなんて」
ミレイ「……」
ミレイ「リヴァル、帰りましょ」
リヴァル「会長……」
ミレイ「もう会長じゃないわ」
ミレイ「ごめんなさい、ちょっと整理したいの」
ミレイ「私達に協力出来ることがあったらいつでも言ってちょうだい、これでも報道人なんだから」
リヴァル「……」
ミレイ「ほら、いくわよ」グイッ
リヴァル「お、俺に出来ることなら何でもするからな!」
ミレイ「病室で騒がないの」ガラッ
バタン
スザク「……あー、やっちゃったよ」
マオ「たぶん、怪我人がいるとはいえ」
マオ「みんな無事だったと思ってたんだろうね」
マオ「ちょっと軽率だったかな、僕も」
咲世子「……私も気が抜けていたのかも知れません」
スザク「2人のせいじゃないよ、やっぱりモヤモヤしたままで」
スザク「……そのことから目をそらしてた僕のせいさ」
スザク「リヴァルの言う通りだよ、ルルーシュに聞けばいいんだ」
スザク「君は何を知っているんだい?って」
スザク「……なんだろうね、親友なのに」
スザク「最近はルルーシュがすごく遠くに居るようで、色々任せ切りになってる」
マオ「スザク……」
スザク「僕もルルーシュと同じものを見られるようになりたいよ」
スザク「出来るかは分からないけど」
マオ「ルルーシュは色々抱えてるからね」
マオ「僕はあんまり気にしてないけど」スクッ
スザク「そうなのかい?」
マオ「僕はもともと記憶ないからね」チャプン
マオ「それに、何もかも分かっていなきゃ相手を理解出来ないってこともないんじゃない?」フリフリ
マオ「咲世子さん、良かったらお湯入れて来てくれる?」
マオ「これ空になっちゃった」
咲世子「かしこまりました」
マオ「……行ったかな?」
マオ「スザク、僕はさ」
マオ「君の感じること、ちょっと分かるんだ」
スザク「?」
マオ「ルルーシュは、僕について何か大事なことを未だに隠してる」
マオ「なんとなく分かるんだ、聞こえてくるというか」
マオ「でも、一緒にいた2年くらいの間、僕は1度もそれを聞かなかった」
マオ「なんでか分かるかい?」
スザク「……いや」
マオ「だって、それがルルーシュの優しさだったからさ」
スザク「優しさ?」
マオ「そう、優しさ」
マオ「ルルーシュは、皆の分の苦労とか、そういうのを背負い込む癖があるんだよね」
マオ「もともとそうだったのか、それとも色々あってそうなったのかは分からないけど」
マオ「でも、そんなルルーシュだから、きっとみんなこう思うんだよ」
マオ「ルルーシュの力になりたいって」
マオ「スザクもそうだろ?」
スザク「……」
マオ「ルルーシュは決して、僕らを信じてない訳じゃない」
マオ「むしろ信じているから、そんな僕らを守るために黙っていることもあるんだ」
マオ「スザク、人を理解するのに必要なのは、相手の考えを100%知ることだと思うかい?」
スザク「……分からないよ」
スザク「僕は分からないんだ、ルルーシュが何を抱えていて、何に苦しんでいるのか」
スザク「少しでもその苦労を……」
マオ「分かって、それでどうするんだい?」
スザク「え?」
マオ「分かっても、スザクがルルーシュになる訳じゃない」
マオ「境遇も違う、考え方だって根本はきっと違ってる」
マオ「でも、僕達人間は同じ目的のために一緒に頑張れるだろう?」
マオ「人を理解するってそういうものだと思うんだよ」
マオ「きっと、こうすればあの人のためになるはず」
マオ「こうやれば、役に立てるはず」
マオ「そりゃあ失敗することだってあるけど」
マオ「でも上手くいった時、1人では出来なかったことができるようになる」
マオ「だから面白いんじゃないか」
スザク「マオ……」
マオ「総督代理のことも悩んでるんだったら」
マオ「ルルーシュならこうする、じゃなくて」
マオ「スザクならどうするのか、考えてみたらどう?」
スザク「僕ならどうするか……?」
マオ「そうさ」
マオ「ルルーシュはスザクなら出来ると思ってお願いしたんだ、僕もスザクなら出来ると思うよ」
マオ「君も、ルルーシュと同じで優しいみたいだからね」
スザク「……うん、ちょっと考えてみるよ」
マオ「あはは、偉そうに言っちゃったけど、僕もまだまだ分からないんだけどね」
マオ「いやぁ恥ずかしいこと言っちゃった」
咲世子「ただいま戻りました」
マオ「さすが咲世子さん、ナイスタイミング」
マオ「ま、もう1杯飲んでいきなよ、スザク」
マオ「なかなかイケてるだろう?このお茶」
スザク「……あはは、そうだね!」
咲世子「うふふ」
次はどうなるかな、実はまだあんまり決まってないんだよね。
マオの原型無さすぎてやばいけど、よく考えたら誰にも原型なんて残ってないから大丈夫だよね。
また明日来ます、ぜひ楽しんで下さいな。
それではおやすみなさい、良い夢を~
ルルーシュ「む」
CC「どうされました?」
ルルーシュ「いや」
ルルーシュ「少し痛かった」
CC「まぁ!申し訳ございません!」
CC「もっと優しくします」
ルルーシュ「ああ、頼む」
ルルーシュ「さすがの俺も、そこは鍛えようがなくてな」
CC「そうですよね……」
CC「でも少しずつ慣れてきてますよ、私も」
CC「やり甲斐があります」
ルルーシュ「そうか……」
ルルーシュ「まぁ慣れるのはいいことだ、引き続き頑張ってくれ」
CC「はい!」
ルルーシュ(CCも随分打ち解けてくれるようになったな)
ルルーシュ(そもそもかつての主人の仕打ちがトラウマのようになっていたのだろうが)
ルルーシュ(まあいい傾向だろう)
ルルーシュ(何かあれば連絡は来るはずだし)
ルルーシュ(この状態のCCを放っておくわけにも行かないからな)
ルルーシュ(……ナナリーを攫った連中が、次にCCを狙ってくる可能性も十分にある)
ルルーシュ「CC、反対側も頼む」
CC「はいはーい、じゃあふわふわしますね」クリクリ
CC「……」フー
CC「よし、耳掃除片方、綺麗になりました」
ルルーシュ(……まぁこれはこれでいいものだ、うん)
ルルーシュ(特区の方は相変わらず変化なしか)
ルルーシュ(中華連邦の方も順調だという話だし)
ルルーシュ(まあ時間がかかるのも仕方ない、今は待ちの1手)
ルルーシュ(つまりはそういうことだ)
CC「大きいのみつけました」
ルルーシュ「取れそうか?」
CC「痛くしないように頑張ります」
ルルーシュ「任せたぞ、CC」
ルルーシュ(俺は決してサボっている訳では無い、じっと機会を伺っているんだ)
ルルーシュ(誰に咎められることでもない)
ルルーシュ(アーニャに聞きたいことが山ほどあるが)
ルルーシュ(あれ以降なぜか避けられているようだし)
ルルーシュ(ナナリー……)
ルルーシュ(だが、今は無事を祈るしかない)
ルルーシュ(ここで慌てても無意味だ、無理にでも落ち着かないとな)
CC「……もう少しです」
ルルーシュ「最後まで気を抜かないようにな」
CC「もちろんです」
ルルーシュ(そう考えると、今のCCは最適だな)
ルルーシュ(もともとこういうマイペースというか、のんきな性格だったのかもしれないな)
CC「取れました!大物です」
ルルーシュ「よくやった、褒めてやろう」ナデナデ
CC「う、うふふふ」ニマ
ルルーシュ「食事にするか」
ルルーシュ「今日は完全にフリーだし、食材もメイドが届けてくれたしな」
CC「それなら私が作りましょうか?」
ルルーシュ「いいさ、どうせすることもないんだ」
ルルーシュ「さっきのお礼もしたいしな」
CC「お、お礼なんて必要ないです!」
CC「私は当然のことを……」
ルルーシュ「CC、前も言ったが」
ルルーシュ「今のお前は奴隷ではない、俺も助けてもらったら礼はするし」
ルルーシュ「もちろんお前の働きには感謝している」ナデナデ
CC「で、でも」
ルルーシュ「すぐに慣れろとはいわないが、そういうものだと納得してくれ」
ルルーシュ「な?」
CC「……は、はい」
ルルーシュ(現状はCCのことも心配だ)
ルルーシュ(ナナリーの捜索も指示している、今は記憶の隅にしまっておこう)
ルルーシュ「CC、何が食べたい?」
CC「そ、それではさっぱりしたものがいいです」
CC「あぶらもの、苦手なので」
ルルーシュ「そうか、それなら……」
CC「な、なにか手伝うことはないですか?」
ルルーシュ「……んー」
ルルーシュ「じゃあ、少しだけ手助けしてもらえるか?」
CC「はい!喜んで!」
ルルーシュ「どうだ?美味いか?」
CC「とっても美味しいです」
CC「食べすぎちゃいそう」
ルルーシュ「そうかそうか、それは良かった」
ルルーシュ「好きなだけ食べてくれ、おかわりもあるぞ」
CC「あ、ありがとうございます」
ルルーシュ「食べ終わって少し休んだら、今日も文字の練習をしよう」
CC「はい!頑張ります」モグモグ
ルルーシュ「ほら、張り切りすぎて零すなよ」
CC「気をつけまふ!」モグモグ
ルルーシュ「はは、全く……」
~夜~
ルルーシュ「そろそろ寝るか、CC」
CC「そうですね」
CC「今日はいろいろな言葉を覚えました」
ルルーシュ「ああ、偉いぞ」
ルルーシュ「そのうち手紙も書けるようになるかな」
CC「てがみ!」
ルルーシュ「楽しみだな」
CC「はい、とっても楽しみです」
CC「それでは、私はあっちで」
ルルーシュ「CC、お前はベッドで寝てもいいんだ」
ルルーシュ「昨日も言っただろう?」
CC「……そうでした」
ルルーシュ「電気、消すぞ」
CC「はい」
ルルーシュ「悪いな、ベッド一つしかなくて」
CC「いえ」
CC「なんだか、不思議と懐かしい感じがします」
ルルーシュ「……早く思い出せるといいな、記憶」
CC「はい」
CC「ルルーシュ様のためにも頑張ります」
ルルーシュ「……そうだな」
CC「ここに来てから」
CC「不思議がいっぱいです」
ルルーシュ「そうか?」
CC「はい」
CC「知らないものだらけで」
CC「不安もありますけど、とても楽しいです」
ルルーシュ「……良かったじゃないか」
CC「ルルーシュ様も、今までのご主人さまとは全然違います」
CC「ご飯もお腹いっぱい食べられて、叩かれなくて」
ルルーシュ「……」
CC「今でも、こんな生活が夢なんじゃないかと」
CC「考えてしまいます」
ルルーシュ「……もしかしたら、夢なのかもしれないな」
CC「……」
ルルーシュ「なぁ、CC」
ルルーシュ「お前はどう思う?」
ルルーシュ「本当に、記憶を取り戻したいと思うか?」
CC「私は……」
CC「思い出したいです」
ルルーシュ「……そうか」
CC「ルルーシュ様はいつも優しい目で私を見て下さいますけど」
CC「でも時々、すごく寂しそうに見えます」
ルルーシュ「……俺は、今のお前もいいと思う」
CC「でも、ルルーシュ様の知っている私は、今の私ではありません」
CC「やっぱり、それは良くないことです」
ルルーシュ「良くない?」
CC「本当の私がいるのなら、私は」
CC「元の私がここに居るべきだと思います」
CC「私はもう、十分楽しみました」
CC「記憶が戻るまでは、出来る限りルルーシュ様のお手伝いをしたいと思います」
ルルーシュ「CC……」
ルルーシュ「まあそう難しく考えるな」
ルルーシュ「いつ記憶が戻るかなんて誰にも分からない」
ルルーシュ「記憶が有ろうと無かろうと、お前はお前だ」
ルルーシュ「俺の大切な相棒だよ」
CC「……はい」
ルルーシュ「もう寝よう、話はまた明日だ」
ルルーシュ「おやすみCC」ナデナデ
CC「……おやすみなさい」
CC「ルルーシュ様の手も、とっても不思議です」
ルルーシュ「そうか?」
CC「はい」
CC「とても」
CC「……安心します」
CC「あったかいです」
ルルーシュ「……そうか」
ぶっちゃけ衝動を抑えられなかった。
うちのSS内でのキャラが崩れなきゃそれでいいよね、うん。
また明日……は分からないけど、この調子で毎日更新を目指して頑張ります。
来週末は大阪まで行くことになってるので、その間だけ更新出来ないと思います。それだけご了承ください。
それでは、おやすみなさい~良い夢を~
~中華連邦~
星刻「……つまり、中華連邦という国の基礎には」
星刻「他民族による連邦制をとりつつも、その実は皇帝を中心とした独裁政治に近い統治システムが根付いている」
星刻「当然反発はあったが、強国ブリタニアによる侵略を意識せざるを得ない過去の情勢から」
星刻「最も数の多い漢民族を束ねる皇帝に従わざるを得なかったという事情もあり」
星刻「今は各民族の武力は大幅に削がれてしまい、現在まで継続されている」
カレン「なるほどねぇ」
カレン「つまり、思っていた以上にこの国自体は若いってことなのね」
星刻「その通りだ」
星刻「王朝自体は存在していたものの、時代ごとに統治者だけでなく、その民族すらも変わっている」
星刻「国土の広さもあって、いつの時代も争いは絶えなかった」
星刻「それを考えれば、皮肉なことだが現状が1番安定しているとも言える」
天子「……」スゥスゥ
カレン「あらら」
カレン「お姫様はおねむみたいね」
星刻「……本当は天子様にこそ学んで欲しいのだが」
星刻「仕方あるまい、政治ごとに興味が湧く年頃でもない」
星刻「時代が時代なら、何不自由ない生活を送れたのだろうに」
カレン「ほんと、まだ子供なのにねぇ」
カレン「あたし、この子をベッドに連れていくわ」ヨイショ
カレン「戻ったら、もう少しこの国のこと教えてくれる?」
星刻「もちろんだ、君に協力できるとしたらこのくらいしかないからな」
カレン「ありがとね」
カレン「……ふぅ」
カレン「天子ちゃんしっかり食べてる?」
カレン「ちょっと軽すぎじゃない?」ツンツン
天子「……にゅふ」スゥスゥ
カレン「ほんと、普通の女の子なのにね」
カレン「まぁお姉さんに任せときなさい、あなたが幸せになる手助けしたげるから」
カレン「……ま、統治者が幸せかは疑問だけど」
カレン「でも、そればっかりはどうしようもないかしらね」
カレン「お互い、生まれた環境に振り回されて辛いよねぇ」ツンツン
天子「ふふ……」スゥスゥ
カレン「でも大丈夫よ、あなたはあたしに似てるもの」
カレン「一緒に頑張りましょ、きっとルルーシュがなんとかしてくれるわよ」
カレン「すごいやつなんだから、強引だけど」
カレン「お待たせしました」パタン
星刻「気にする事はない」
星刻「さて、続きをはじめよう」
カレン「はい、先生!」
星刻「さて、さっきは中華連邦の統治体制に触れたが」
星刻「今はその皇帝もいない」
星刻「ではどうやって国を纏めているのかというと……」
カレン「大宦官ね」
星刻「その通りだ」
星刻「そもそも、大宦官とは何かは知っているか?」
カレン「ええと……」ペラッ
カレン「あった、大元は皇后に仕える役人なのよね」
星刻「まあ大雑把に言えばそんなものだ」
星刻「本来ならばそこまで大きな権力を握ることはないのだが」
星刻「今は状況が特殊なのもあって、かなり歪なことになっている」
カレン「特殊?」
星刻「現在、実際の権力を握っているのは、実は天子様だ」
カレン「え?」
星刻「これは今は亡き皇帝の遺言なんだ」
星刻「だが、天子様は知っての通りまだ幼い」
星刻「当時もそれが問題となり、成人されるまでは皇后が補佐をするということになったんだ」
カレン「へぇ」
カレン「その皇后さんは、自分が権力を握ろうとはしなかったの?」
星刻「どうだろうな、そういう狙いが無かったとは言えない」
星刻「だが、皇后は後宮に召し抱えられる前から身体が弱かった」
星刻「皇帝もそれを考慮して皇后には権力を握らせなかったのだろう」
星刻「言い方は悪いが、二度手間になる可能性もあるしな」
カレン「……さっきから気になってたんだけど、質問いい?」
星刻「?どうした」
カレン「星刻は皇帝さんとか皇后さんとか、嫌いなの?」
カレン「天子ちゃんには様付けなのに」
カレン「2人は呼び捨て?じゃない」
星刻「……そうだな」
星刻「少なくとも良い思い出はない、当然思い入れもない」
カレン「まあ別にいいんだけどさ」
カレン「でもどんな人だって天子ちゃんのご両親でしょ?」
カレン「そんな言い方したらあの子きっと気にしちゃうわ」
星刻「む……」
星刻「だが、天子様にとっても」
カレン「そういうので割り切れると思う?」
カレン「あたしも両親はあんまり好きじゃないけど、悪く言われたら少しは気になるわ」
星刻「……そういうものか」
星刻「ありがとう、気をつけることにする」
カレン「あ、ほんと別にいいんだけどね?ちょっと気になっただけだし」
カレン「で、遮ってごめんなさい、続きお願いできる?」
星刻「あ、ああ」
星刻「ともかく、大宦官はその皇后……陛下の病状悪化を理由に政治に介入してきたんだ」
星刻「最初は他の文官も抵抗はしていたんだが、粛清されたり懐柔され、今や逆らうものはいない」
カレン「んー……」
カレン「なーんかひっかかるのよねぇ」
星刻「ひっかかる?」
カレン「なんというか」
カレン「表面化してないだけで、今も火種というか」
カレン「今の状態をひっくり返す要素はありそうに感じるのよ」
星刻「?どういうことだ」
カレン「要は、逆らいたくても逆らえない人達がいて」
カレン「今この国を動かしてる連中も、言ってしまえば権威をカサにきてるだけでしょう?」
星刻「それはそうだが」
星刻「だが、国全体が疲弊しているからこそ、そういう権威が国民を動かす上では大きな意味を持っているんだ」
カレン「……」トントン
カレン「やっぱり、使える気がするのよねぇ」
カレン「ちょっとあたしに考えがあるんだけど、聞いてくれる?」
星刻「???構わないが……」
カレン「……どうかな?」
星刻「考えたことも無かったな」
星刻「そもそも、皇后…陛下がどういう考えか分からないこと、それに上手くいったとしても国を纏めることが出来るのかということも問題だ」
星刻「カレンが思っている以上に、この国の民族間の争いは根深い」
カレン「その辺は確かに、武力による威圧も必要じゃないかなとは思ってる」
カレン「でも、民族ごとの割合に差がある中で、彼らに発言権が生まれること自体には文句ないんじゃないかしら」
星刻「それは……」
カレン「あたしはブリタニア人と日本人のハーフだから、特区が出来るまでは表向き日本人の血について隠していたけど」
カレン「だからこそ特区が受け入れられた理由も何となくわかる」
カレン「だって、あそこでは望む人はみんな"日本人"になれるんだもの」
星刻「……」
星刻「想像でしかないが」
星刻「恐らくは、双方から批判があるだろう」
星刻「それこそ、これまでの中華連邦、いや中華という地域全体の根本を否定することになる」
カレン「でも、あなた達はもともとそうするつもりなんでしょう?」
カレン「大宦官を退けて」
星刻「君が言っているのは、そういうレベルを遥かに超越している」
星刻「ただでさえこの国は選民思想、中華思想が凝り固まった連中が多いんだ」
星刻「だから、その考えは机上の空論に過ぎない」
カレン「……」
カレン「やっぱりダメかぁ」
星刻「ある意味私たちでは考えもしない」
星刻「研究としては面白いとは思うが」
星刻「今日はここまでにしよう、またいずれ話せればと思う」
カレン「ええ、お願いね」
カレン(ダメなのかなぁ)
カレン(ルルーシュならこういう時どんなことするんだろ)
カレン(あー、やっぱりこういうこと考えるの苦手かも、あたし)ガシガシ
カレン(ナイトメアの設計が終わって、組み立てられるまでなら)
カレン(まだあたしも動ける)
カレン(あたしの考えがもっとまとまれば、ルルーシュがやろうとしてる方向とはズレちゃうけど)
カレン(きっとそれより良い結果になると思う)
カレン(……あくまで天子ちゃんにとって、だけど)
カレン(まぁ一番の肝がただの予想ってのがネックよね)
カレン(……)モヤモヤ
カレン(もう、考えるのやめた!)
カレン(思い立ったらすぐ行動、それがあたしらしいわよね、お兄ちゃん)
星刻(カレンの言っていたこと)
星刻(否定はしたが、たしかに出来るのであれば)
星刻(現状の難関である大宦官が居なければ政治が動かせないという状態からはある程度脱却できる可能性がある)
星刻(だが、どうやって彼らに納得させればいい?)
星刻(それに、天子様のこともある)
カレン『皇后さまってさ』
カレン『もしかして、さっき言ってた漢民族?じゃないとかない?』
星刻「……そんなことが有りうるのか?」
星刻「……がっ」ゴホゴホ
星刻「……ちぃ、病ごときで倒れていられないというのに……」
星刻(文官になるほどの政治の才覚もなく、武官としてはこの身体)
星刻「ままならないな、この世界は……」
ここまで、次回になるかもう少し先かは分からないけど、まーたカレンがしでかします。
とりあえず眠いんで続きは更新をお待ちくださいなー
おやすもー良い夢をー
ルルーシュ「CC、俺は買い物に行ってくる」
ルルーシュ「すぐ戻ってくるが、何かあったら連絡してくれ」
ルルーシュ「電話の使い方はわかるよな?」
CC「はい、バッチリ覚えてます」
ルルーシュ「よし、上出来だ」
CC「でもいいのですか?お買い物なら私が……」
ルルーシュ「いや、ついでにラクシャータたちの所も少し見てくるから」
ルルーシュ「お前はしっかり家を守っていてくれ」
CC「……分かりました、お気を付けて」
ルルーシュ「まぁまぁ、そう拗ねるな」
ルルーシュ「じゃあ行ってくる」
CC「いってらっしゃいませ、ルルーシュ様」
ルルーシュ「さて、出来るだけ早めに帰らないとな」
ルルーシュ(スザクとカレンのことも気になる、それに騎士団にも目を向けなければ)
ルルーシュ(ロイドさんのこともある)
ルルーシュ(やることは山積みだ、一つ一つでもなんとかしないとな)
ルルーシュ(……ん?)
アーニャ「ルルーシュ」
ルルーシュ「あ、ああ」
ルルーシュ「どうしたんだ?こんな所で」
アーニャ「少し話がしたいの」
アーニャ「いい?」
ルルーシュ(そうだ、アーニャにもナナリーのことを聞かなければ)
ルルーシュ(この子も謎が多い、警戒はしていかないとな)
ルルーシュ「……構わないさ、で?何だ?」
アーニャ「信じて貰えるか分からないけど」
アーニャ「私は、普段私以外の人と一緒に生きているの」
ルルーシュ「???話が見えないんだが」
アーニャ「ちょっと違うけど、二重人格みたいな状態なの」
ルルーシュ「……それはまた、大変だな」
アーニャ「本当なの」
アーニャ「で、その人が言っていたことを、ルルーシュにも伝えたいの」
ルルーシュ「……まあせっかくだ、教えてもらおうか」
アーニャ「私も全部知ってるわけじゃないんだけど」
アーニャ「ルルーシュ、あなたはギアスって力を持っているでしょう?」
ルルーシュ「!」
アーニャ「待って、貴方の敵になるつもりはないの」
昨日は寝落ちました、うちかけを載せましたが少し身体がだるいので明日改めて更新します。
すみません、よろしくです。
アーニャ「少しでいいの、話を聞いて欲しい」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「いいだろう、俺も聞きたいことがある」
ルルーシュ「あっちのベンチでいいだろう、この辺りはどこでも人通りは少ないが」
アーニャ「うん……」
ルルーシュ「で?俺に話すこととはなんだ」
アーニャ「貴方と、そしてナナリーのこと」
アーニャ「そして、これから起きるかもしれないこと」
ルルーシュ「……聞こう」
アーニャ「まずは……」
ルルーシュ「……信じ難いな」
ルルーシュ「つまり、このギアスイーターを使ってVVを倒すと」
ルルーシュ「ナナリーは俺にCCのコードを奪わせるための鍵だということだな?」
アーニャ「ええ」
アーニャ「だから、貴方には早く中華連邦のことを解決してもらって」
アーニャ「すぐに本国へ向かってもらう必要があるの」
アーニャ「ブリタニアとしても、中華連邦が新しい体制になったとなれば」
アーニャ「対処する必要が出てくる」
アーニャ「そうすれば、貴方は疑われずにペンドラゴンへ向かうことができる」
ルルーシュ「だが、そこからどうやってVVに会う?」
ルルーシュ「やては殆ど表舞台には出てこない、会うことができなければ俺の腕も使えないぞ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「なんとか言ったらどうだ?」
アーニャ「VVに会うことなら、簡単」
アーニャ「アーカーシャの剣に向かえばいい」
アーニャ「ナナリーも、そこにいるはず」
ルルーシュ「アーカーシャの剣?」
アーニャ「さっき言った、ナナリーに人格を上書きする装置よ」
アーニャ「そこにVVもいる」
ルルーシュ「待て、それはどこを探せばいい?」
アーニャ「あの人は」
アーニャ「ルルーシュなら分かるって」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「曖昧すぎる、信用するには情報が足りんな」
ルルーシュ「不確定要素が多い」
アーニャ「でも、信じてもらうしかない」
アーニャ「もしタイミングを逃せば、ナナリーはナナリーで無くなってしまうのよ」
ルルーシュ「それも気になっていた」
ルルーシュ「それまでナナリーが無事だという保証がない」
ルルーシュ「考えたくはないが、すでにナナリーに上書きしている可能性もあるだろう」
アーニャ「それはないわ」
ルルーシュ「何故だ」
アーニャ「今はCCの力を、VVが感じられない状態にあるから」
アーニャ「アーカーシャの剣は万能じゃないの」
アーニャ「時間制限がある、ナナリーの脳に上書きしたとして、完全にVVの思考を保てるのはそう長くないわ」
アーニャ「だから、ナナリーを人質に取れる状態で、ルルーシュにCCのコードを奪わせないといけない」
ルルーシュ「随分杜撰な計画だな」
ルルーシュ「それにコードを奪わせたところで、そのうちVVは消えていくのなら」
ルルーシュ「おれは待つしかだけで有利になるんだろう?」
アーニャ「どう説明すれば伝わるのか分からないけど」
アーニャ「ルルーシュ、貴方はCCとナナリー、どっちが大切?」
ルルーシュ「それは……」
ルルーシュ「決められないな、どちらも同じくらい大切だ」
アーニャ「それでも決めなきゃいけなくなるのよ」
アーニャ「そうなる前になんとかしたくはない?」
ルルーシュ「それはその通りだが」
ルルーシュ「話を逸らすな」
ルルーシュ「お前はまだ俺の知らない何かを知っているな?」
ルルーシュ「それを隠そうとするあまり、説明にボロが出ていると」クイッ
ルルーシュ「ギアスついでに、俺のギアスも知っているよな?」
ルルーシュ「無理やり聞いてもいい、知っていることを洗いざらい吐け」
ルルーシュ「殺しはしないが、痛い目にはあわせられるぞ?」
アーニャ「……くっ」
アーニャ「……だめ、やっぱり私じゃ」
アーニャ「分かった、ちょっと待ってね」
ルルーシュ「分かっているとは思うが、余計なことをすれば容赦なく組伏せる」
アーニャ「大丈夫」
アーニャ「もう1人の私に出てもらうだけだから」
アーニャ「お願い、マリアンヌさま」キィィィィン
ルルーシュ「!?」
ルルーシュ(この光……!これはギアス!)
アーニャ?「……ふぅ」
アーニャ?「ダメでしょう?ルルーシュ」
アーニャ?「女の子が頑張っているのに、無理やり暴こうなんて」
アーニャ?「そんな子に育てた覚え、母さんにはないけど?」
ルルーシュ「……貴様は誰だ!」
ルルーシュ「俺の母マリアンヌは死んだはずだぞ」
マリアンヌ「そうね、肉体的には死んじゃった」
マリアンヌ「でもね、私はこうして生きているの、この子の中で」
マリアンヌ「といっても、ちょっと無茶してるからタイミングを誤れば消えるハメになるけどね」
ルルーシュ「何故だ!なぜ今更あなたが出てくる」
マリアンヌ「ちょっと違うわね」
マリアンヌ「今更だから出てきたのよ、私は本当なら見ているだけの予定だった」
マリアンヌ「そう、貴方が神根島で無茶をしなければ、今この時点で私の目的は達成されていたはずだもの」
マリアンヌ「VVを破滅させることが、ね」
ルルーシュ「今度は俺に隠さず全てを話してくれるんだろうな?」
ルルーシュ「貴方が、死んだ理由も」
マリアンヌ「やだ、そんなに敵意むき出しにされると怖いわ」
マリアンヌ「ちゃんと話すわよ、私の知っていること全部」
マリアンヌ「まずはナナリーについてだけど」
マリアンヌ「VVが作戦成功を疑わなければ生きていられるはず」
マリアンヌ「逆に言えば、失敗したと思えば、躊躇いなく殺すと思う」
マリアンヌ「本当は、中華連邦攻略なんてやめて、すぐにでもブリタニアにいってほしいとも思っていたけど」
マリアンヌ「貴方たちのやりたいことも尊重してあげたいと思ってね」
マリアンヌ「幸い、私の能力は無防備であれば短い期間コード保持者にも通用するし」
ルルーシュ「……」
マリアンヌ「まだ信じてくれないのね、随分殺伐としちゃって」
マリアンヌ「本当のことよ、私は貴方の母親で、CCは私の親友なんだもの」
ルルーシュ「……それで?」
ルルーシュ「続きを聞かせて欲しい」
マリアンヌ「さっきこの子も話していたけど」
マリアンヌ「VVはCCのコードを求めている、だから貴方と対面する時にCCも一緒の方がいいとも思ったの」
マリアンヌ「これも中華連邦攻略を進めて欲しい理由の一つね、気兼ねがない方が貴方たちも協力してくれるかなって」
マリアンヌ「ナナリーを連れ去られるのは想定内だったし」
ルルーシュ「分からない」
ルルーシュ「ナナリーを誘拐したのは、奴が目的のための算段をつけた、ということではないのか?」
マリアンヌ「ええ、そうだと思う」
ルルーシュ「だとすれば、当然俺やCCへのアプローチも考えているだろう」
ルルーシュ「仮にCCのコードが感じられないとしても、同じようにCCを誘拐すれば、話はもっと簡単に進むはずだ」
マリアンヌ「あら、誰に似たのか本当頭が回るというか、冷静だこと」
マリアンヌ「もちろんその方法も取れると思うわ」
マリアンヌ「それに関しては、ルルーシュという存在そのものが邪魔をしているから無いとは思うけどね」
ルルーシュ「俺が?」
マリアンヌ「貴方はナイトオブゼロ、そしてあなたを呼ぶとなれば、当然シャルルの命令にしないと、VVは動けない」
マリアンヌ「あの人とVVは今あまり上手くいってないの、そのせいで」
マリアンヌ「VVはルルーシュをブリタニアに呼べない」
マリアンヌ「仮にルルーシュが自分から来るように仕向けたとしても」
マリアンヌ「シャルルに疑われること自体を避けたいと思うはずよ」
ルルーシュ「なぜそこまでシャルルを恐れる」
ルルーシュ「……まさか」
マリアンヌ「ええ」
マリアンヌ「アーカーシャの剣を使う間、VVはとても無防備になる」
マリアンヌ「VVの秘密を知っているシャルルなら、その間にコードを奪えてしまうほどにね」
ルルーシュ「秘密?」
マリアンヌ「これはCCにも教える予定は無かったんだけど」
マリアンヌ「さすがは私の息子ね、ちゃんと説明しないと私ですら信じて貰えなさそうだから」
マリアンヌ「でもいい?これを知ったら」
マリアンヌ「貴方はもう、VVを倒すしかなくなってしまうわ」
マリアンヌ「それでも聞く?」
ルルーシュ「無論だ」
ルルーシュ「それも含めて、決めるのは俺だ」
ルルーシュ「それに、どんな絡繰があるにせよ、俺も欲しい」
ルルーシュ「貴方が母さんだという確信もな」
マリアンヌ「……ほんと、そういう所は私に似てるわ」
~中華連邦 後宮~
カレン「天子ちゃん、準備はいい?」
天子「は、はい」
天子「でも大丈夫かしら、こんなことして」
カレン「立ち入り自体は禁じられてないんでしょ?」
カレン「それに、大宦官たちは天子ちゃんとお義母さんの仲が良くないと思ってるんでしょう?」
カレン「だったら、別に面会するのは不思議なことだとしても、それを止めはしないはず」
天子「そ、そうですよね」
天子「でも、そうまでして聞きたいこととはなんなのですか?」
カレン「そりゃもちろん」
カレン「真実よ、もしかしたら」
カレン「ゼロが思うよりずっといい結果になるかもしれない」
カレン「せっかくあたしがここにいるんだもの、出来ることならなんだってやるわ」
カレン「だからごめんね、天子ちゃんに付き合ってもらっちゃって」
天子「わたくしは構いませんけど」
天子「星刻には怒られそうです」
カレン「その時は一緒に怒られましょ」
天子「お願いします、星刻は怒るととっても怖いから……」
カレン「天子ちゃん、あたし普通に見える?」
天子「ええ、どこからどう見てもわたくしの従者です」
天子「ちょっと、なんというか」
天子「ナイスバディすぎますけど」
カレン「あ、あはは、なんか育っちゃったのよねぇ……」
天子「わたくしもそのくらいになるのかしら」
天子「人種の壁を感じます」
カレン「大丈夫よ、天子ちゃん今でもとっても可愛いし」
天子「ま、まぁわたくしは別にそこまで気にしてませんけど!」
天子「ただ、星刻と並んだ時、やっぱり子供のようだなと」
カレン「とりあえずまずは背を伸ばさないとね」
天子「が、頑張ります!」
カレン「それじゃあ早く用事を済ませて、早く寝ないと」
カレン「にしても随分広いところね」
カレン「それに対して全然人がいないわ」
天子「ここは、大宦官たちの心臓です」
天子「仮にあの方が倒れた場合、彼らの権威は失墜し、今は抑えられている貴族達を束ねるのは難しくなるでしょう」
天子「だからこそ、ここには人がいないのです」
天子「誰1人、あの人の姿を知らないように」
カレン「病弱な人なんだったっけ」
カレン「なるほどね、これなら」
カレン「生きてるのか亡くなってるのか、誰にも分からないものね」
カレン「……ん?でもそれなら天子ちゃんが会いに来ることも止めたいんじゃ……」
天子「だから、わたくしもそこが心配だったのです」
カレン「……あちゃー、それは確かに心配だわ」
カレン「天子ちゃん帰る?あたしだけでも後はなんとかなるし」
天子「……いえ」
天子「少し怖いですが、カレンさんがいますもの」
天子「それに、わたくしもお会いしたいのです」
天子「それに形式だけとはいえ、わたくしは大宦官よりここでの立場は上です」
天子「なんとかなります!」
カレン「おお!頼もしい!」パチパチ
さて、今日はここまで。
マリアンヌの言うVVの秘密とはなんなのか、カレンのしようとしていることはなんなのか。
そして、スザクはこのまま置いてきぼりのままなのか?乞うご期待。
明日、明後日はおやすみです、朝早いのに夜が遅いので。
水曜日はもしかしたら昼頃に書けるかもしれないので、暇なときにチェックしてみてください。
それではおやすみなさいー、良い夢を~
カレン「しっかし」
カレン「ほんと、不用心すぎないかしら」
天子「何か嫌な予感がします」
カレン「そうね」
カレン「どこかに護衛がいるのかもしれないし」
天子「いえ、そうではなく」
カレン「あ、あれれ?」
天子「流石に人が少なすぎると思うんです」
天子「これでは、身の回りのお世話をすることもできないと思いませんか?」
カレン「そりゃあ確かにそうだけど」
カレン「広いお屋敷だし、時間も時間だから寝てる可能性もあるんじゃないかしら」
天子「それなら良いのですが」
天子「そろそろ、到着します」
カレン「とりあえず、天子ちゃんはあたしの後ろに居てね」
カレン「危なかったら、すぐに逃げるのよ」
天子「は、はい」
カレン「……ここね?」
天子「そうです」
天子「大きな扉……記憶の頃より大きく感じます」
カレン「開けづらいだけじゃないの、こんなの」
カレン「んぎぎぎぎぎ」ミシィッ
天子「カレンさん、お見せできないお顔に……!」
カレン「どうせ天子ちゃんしかいないからいいのっ……!」
カレン「お……も……い……ぃ!」ギシッ
天子「あ、そうでした」パンッ
天子「こっちに通る用の小さな扉があるんでした」キィッ
カレン「んなばかな!」どんがらがっしゃーん
天子「カレンさん!」
カレン「あ、あはは、いてててて」
天子「大丈夫ですか!?」
カレン「ダイジョブダイジョブ」
カレン「あたし結構頑丈だから」
カレン「そんじゃ、行きますか」
天子「はい、気をつけてくださいね」
カレン「もちのロンよ」
カレン「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
カレン「たのもー!」バァンッ
カレン「……なによ、ここ」
天子「なんの匂いでしょうか……」
カレン「薬草かしらね」
カレン「にしても、ひどい臭い……」
カレン「こんなところに皇后様がいるの?」
???「何者じゃ」
カレン「……あちゃー、居そうじゃないの」
天子「お義母さま!」
皇后「……これはこれは」
皇后「よく妾に会いに来る気になったものじゃ」
皇后「……まぁ、久方ぶりの客じゃ、ゆるりと寛ぐがよい」
皇后「どうせ、やることもないし、の」
カレン「あの、皇后陛下?」
皇后「なんじゃ」
皇后「……む」
皇后「お主、この国のものではないな?」
カレン「はい、そうです」
カレン「少し聞きたいことがあって、ここまで来ました」
皇后「ふむ、いいじゃろう」
皇后「話だけなら聞いてやる、答えるかは妾次第じゃがな」
皇后「天子、妾を起こせ」
天子「は、はい」
皇后「すまぬな異邦人、もはや1人で起き上がることもできぬ」
カレン「構いませんよ」
カレン「それに、話し方も」
カレン「普通にして大丈夫です、天子ちゃんも分かっているはず」
皇后「……」
皇后「……妾の矜持じゃ」
皇后「天子の前では、妾は皇后でおらねばならぬ」
カレン「そう……ですか」
皇后「……じゃが」
皇后「最期くらい、いいかもしれないね」
皇后「天子、こっちへ顔を見せてごらん」
天子「は、はい」
皇后「ふふ、あの方の幼い頃によく似ている」
皇后「あの方も、そんな無垢な瞳で私をよく見ていた」
天子「あの方……?」
皇后「お前の母親だよ」
皇后「異邦人、名前は?」
カレン「カレン……紅月カレンです」
皇后「カレン、お前の顔も見せておくれ」
カレン「……」
皇后「お前も美しいな…私程ではないが」
カレン「あはは、ありがとうございます」
皇后「なにが聞きたい?」
カレン「あなたの出自が」
カレン「……あなたは、もしかして……」
皇后「……そうか」
皇后「カレン、お前の言いたいことは分かった」
皇后「天子も知っているのかい?」
天子「え……?」
カレン「いえ、まだ言っていません」
皇后「そうか……」
皇后「天子、お前もよく聞いておくといい」
皇后「皇帝陛下のお考えと共に、な」
天子「お父様の?」
皇后「いかにも、カレン、お前の言う通りだ」
皇后「私は、すでに滅び去った部族の娘」
皇后「本来ならば、このような立場になることもできない」
皇后「蔑まれる存在だよ」
皇后「私がここで教わったのは、あの方と話すための言葉と、周りのための偉そうな態度だけさ」
天子「……そんな」
カレン「やっぱり」
皇后「どうして分かったんだい?」
皇后「こういっちゃなんだけど、かなりうまくやっていたはずだよ。私は気付かれるような素振りはしてこなかったはずさ」
皇后「こう見えても、ここに来る前は芸人をやっていたんでね」
カレン「あたしは、あなたのことはよく知らないんです」
カレン「ただ、皇帝陛下と大宦官のやり方に違和感があっただけです」
皇后「ほう?」
カレン「いくら天子ちゃんしか直系の子供がいないといっても」
カレン「まだ小さな子に実権を譲るかしらって」
カレン「それに、大宦官たちも今みたいに政治の表舞台に立つのはそれなり以上のリスクがあるはず」
カレン「病気だっていっても、表向きは皇后陛下の命令って言った方が、そんな危険を犯さずに済むのにって」
皇后「……そうだね」
カレン「だから、こんな可能性はないかなと」
カレン「皇后陛下が政治を動かすことに、どうしても許せない事情があるんじゃないか」
皇后「……なるほど」
皇后「お前の言っていることは、殆ど正解だ」
カレン「殆ど?」
皇后「ああ」
皇后「皇帝陛下は、別に私が政治をすることに嫌悪感があったわけじゃない」
皇后「いや、むしろ天子が成長するまでは、私が天子を手助けする手筈だった」
天子「そ、そうだったのですか?」
皇后「2人とも聞いてくれるかい?」
皇后「誰も知らぬまま消え去るはずだった、歴史の一幕を、さ」
皇后「私のいた集落は、京に行っては商売をしたり、私のように芸で金を稼いで細々と暮らしていた」
皇后「だが、流行病のせいでバタバタと人が倒れてな」
皇后「私は若い連中を連れて、宮廷へ向かった」
皇后「流行病といっても、今の医療ならば薬もあり、治療もできる」
皇后「そう大したものでもなかった」
カレン「……それで?」
皇后「幸い、私たちは主に京にいたおかげで感染はしなかった」
皇后「だから皇帝陛下に懇願した、薬と治療費を貸してほしい、部族全てで必ず返すから、と」
天子「願いは聞き入れられたのですか?」
皇后「……いや」
皇后「皇帝陛下は立派な方だった、少数民族には見向きもしない、いや、蔑む連中の多い中」
皇后「きちんと対応してくれようとした」
皇后「だが、大臣たちはこぞって反対した、皇帝陛下といえども、それら全てを捻じ曲げる程我らに肩入れするわけにはいかなかった」
皇后「そうしてしまえば、必ず他の民族からも要求がくる、そうなれば今の国そのものが危険になるからな」
皇后「それだけじゃなかった」
皇后「皇帝陛下はこっそり、集落の子供達だけは京の医者のところまで運ばせ、治療してくださった」
皇后「そして、里親を見つけて、あの子達を生かして下さったんだ」
皇后「おかげで私たちは、民族という括りは無くしたけど、死なずにすんだ」
皇后「……みんな感謝してたよ、当時の私は、あんまり納得出来てなかったけどね」
天子「その子たちは今……?」
皇后「生きてるはずだよ、殆どが自分の生まれなんて知らないだろうけどね」
皇后「……話はそれで終わりじゃないんだ」
カレン「皇后様がここにいる理由、ですよね?」
皇后「その通りさ」
皇后「狙われたのは私達だ、奴らにしてみればここで私たちを殺してしまえば、面倒ごとが一つ減ると思ったんだろうね」
皇后「滅ぼすなら一気にした方がいいだろう?帰る家のなかった私たちは逃げたけど、一人、また一人と」
皇后「日に日に数は減っていった」
皇后「そして、私は最後の一人になった」
皇后「一年くらい逃げていたのかな?もう身も心も疲れきっていた」
皇后「心の中は恨みで一杯だったさ、皇帝陛下への感謝もどっかへすっ飛んでいって」
皇后「どうやって殺してやろうか、ずっと考えていた」
皇后「逃げ回って逃げ回って、結局京のはずれで息を潜めていた時」
皇后「あの方に出会ったんだ」
天子「……それが、お母様……?」
皇后「そうだ」
皇后「もっとも、まだその時は後宮の、ただの女官だったけどね」
皇后「あの方は、私を後宮の侍従達に紛れさせて、匿ってくれた」
皇后「どれだけ危険か、知らないわけはないのに」
皇后「それから、自然と私たちは一緒にいる時間が増えた」
皇后「年は私の方が上だったし、妹が出来たみたいで」
皇后「最初こそ私が一方的に警戒していたけど、それも時間とともになくなっていった」
皇后「たまに舞なんか見せてあげると、それはもう手を叩いて大はしゃぎするんだ」
皇后「天真爛漫で、人懐っこくて」
皇后「皇帝陛下に見初められるまで、そう時間もかからなかった」
皇后「皇帝陛下は私に気付いていたけど、知らないふりをしてくれた」
皇后「恨んでいた気持ちも、時間が癒してくれた、もちろん二人の人柄に触れたおかげで」
皇后「恨むべきは別にいると分かった、ってのもあるんだけどね」
皇后「ごめんね、長々話して」ゴホッ
皇后「天子、水をとってくれないかい?」
天子「水……?」ハッ
天子「カレンさん、わたくしちょっとお水を汲んできます」
天子「お義母さま、少し待っていて下さいね」
カレン「ついていかなくて平気?」
天子「はい、大丈夫です」タッタッタッ
カレン「……」
カレン(やっぱり、そういうことよ、ね)
ここまで。オリキャラしかしゃべってねぇヤベェよヤベェよ……
でも中華連邦は本編じゃほとんどクローズアップされてないし、少しは厚み作らないと薄っぺらくなるから多少は仕方ないよね?
たぶん次で皇后さまは暫くお休みなので、もう少しお付き合い下さい。
それでは、おやすみなさい、良い夢を~
天子「……お待たせしました、お水です」
皇后「ありがとう」
皇后「……ふぅ、こんなに美味しい水は何年ぶりだろうか」
皇后「さて、話を続けようか」
皇后「数年が経ち、やがて二人にも子供が出来た」
皇后「それが天子だ」
皇后「だが、あの方は出産の時にひどく衰弱してしまい、一年を待たずに起き上がることも出来なくなった」
皇后「……今でも忘れない、あの方は私に天子を頼んで、笑顔で逝ってしまった」
皇后「思えば、それが大きな転機だったのかもしれないね」
皇后「程なくして皇帝陛下も病気がちになり、奴が力を持つようになった」
皇后「大宦官、高亥がね」
天子「が、高亥……!」ガタガタ
カレン「天子ちゃん!?」
皇后「奴は狡猾だった」
皇后「皇帝陛下の右腕として長く働いてきた、その信頼を利用したんだ」
皇后「皇帝陛下も奴の政治手腕に頼らざるを得なかった」
皇后「連邦を纏めるために、奴は表に裏に、皇帝陛下のために尽くしているように見えた」
皇后「私は馬鹿だった、高亥が何を考えているのか」
皇后「何を狙っているかも考えず、ただ奴の言う通り皇帝陛下と天子の側に居たんだ」
皇后「気付いたのは、そう、皇帝陛下が亡くなる頃だから」
皇后「……何もかも遅すぎたのさ」
皇后「皇帝陛下も、最期の時には殆ど何も出来ないほど力を奪われていた」
皇后「いや、逆かな」
皇后「中華連邦はかつての、連邦になる前の体制に大きく逆戻りさせられていた」
皇后「……ただ、その実権を握っていたのが高亥だったというだけだ」
皇后「皇帝陛下は飾りだけの存在にさせられた」
皇后「私は皇帝陛下の亡き後、天子を守るために皇后の立場になったのさ」
皇后「……もっとも、私に出来たのは」
皇后「私自身が奴の傀儡と成り下がる代わりに、天子、あんたを朱禁城の外へ出すことだけだったけどね」
天子「……それでは、わたくしは……」
天子「お義母さまに嫌われていたわけでは、無かったのですか?」
皇后「……嫌うもんか」
皇后「あんたは、私の命より大事な、宝物なんだからね」ゴホッ
皇后「……天子、あんたはこの国にいちゃいけない」
カレン「皇后様!」
皇后「いいかい、この一年で、高亥はさらに滅茶苦茶をはじめている」
皇后「ただの役人だった宦官を、皇帝を中心とした支配構造の頂点に置き」
皇后「かつての仲間すら容赦無く粛清して、名実ともにこの国を支配している」
皇后「今の大宦官たちも、奴の出す甘い汁に集るだけの、私と同じ傀儡さ」
皇后「そんなやつが、とうとうこの国を手放そうとしている」
皇后「この国は、もう滅ぶしかない」
皇后「でも、あんたは……」
皇后「それに付き合う必要はないんだ」
皇后「皇帝陛下は、今際の際にこう仰った」
皇后「天子は、天子だけは私達のように」
皇后「権力に振り回されることのない、自由な世界を見せてやって欲しいと」
皇后「私は……もう長くないだろう」
皇后「……カレンも気付いているだろうが」
カレン「皇后様……」
皇后「……ふふ」
皇后「妾はもう、目も見えぬ、味も、触れた感触すらも感じぬのだ」
皇后「だが耳が聞こえて良かったよ、あんた達と話せたのは、きっと」
皇后「……あの方達が、最期にくれた」
皇后「私へのご褒美なんだろうねぇ」
天子「……」
カレン「……皇后様」
カレン「ご無礼を承知で、あたしは」
カレン「あなたに、お願いしたいことがあります」
皇后「……私に出来ることかい?」
カレン「はい」
カレン「あと三ヶ月、いえ、あと一ヶ月」
カレン「なんとしても生き延びて下さい」
皇后「……一ヶ月……」
皇后「長いなぁ、とてつもなく」
カレン「……天子ちゃんのためなんです」
カレン「あなた達がどれだけ苦しい思いをしてきたのか、あたしには想像することしか出来ないけれど」
カレン「お願いします」
天子「カレンさん……!」
皇后「……おまえが」
皇后「天子を守ってくれるのか?私の代わりに」
天子「……お義母さま」ギュッ
皇后「天子……?」
天子「わたくしは、もう」
天子「守られるだけの存在ではありません」
天子「今まで、ずっとわたくしは……」
天子「……っ、私は!守られてきましたが」
天子「今度は私が、お義母さまを守る番です」
天子「私は……」
カレン「……うん」ナデ
カレン「すぐに医者と薬を運ばせます、もちろんこっそり」
カレン「……ごめんなさい、連れ出すことはできませんけど」
皇后「……ふふ、ふふふ」
皇后「いいだろう、これでもしぶとさが売りだからね……」
皇后「今日はもう疲れた、また話そう」
皇后「どうせここはいつも人がいない、おまえ達くらいなら来られるだろう?」
皇后「こっそり、な?」
カレン「……はい」
天子「必ず来ます」
皇后「うむ、苦しゅうないぞ」
がたたっ
カレン「!?」
カレン「天子ちゃん、ここに居て」
カレン「あたし、少し外を見てくるから」ダッ
天子「カレンさん!」
カレン「心配しないで、あたし強いから!」
天子「……カレンさん、大丈夫かしら……」
皇后「……天子」
天子「は、はい」
皇后「もう一つ、いや二つ言い忘れてたよ」
天子「?」
皇后「一つは私からさ」
皇后「ごめんね、本当は近くで見てやりたかったけど」
皇后「私にはあんたを遠ざけるしか、守る方法が思いつかなかった」
皇后「許してくれとは言わない、でも」
皇后「……どうか、わかって欲しい」
天子「……分かっています、私ももう、大人ですから」
皇后「それともう一つ」
天子「……」
皇后「あんたの母さんからさ」
天子「……!」
皇后「どうか、みんなを愛し、愛される子に育ってね」
皇后「私も、そう思ってる、皇帝陛下もね」
皇后「……まぁ、二人の娘だ、きっと心配いらないと思うけどね」
天子「……はい」
天子「私の父、そして……」
天子「二人の母の名に恥じぬよう、これからも頑張ります」
皇后「……ありがとうね……」
皇后「……麗華……」スゥ…
天子「……はい、お母さま」
???「………」
???「……」ピッ
???「はい、予想されていた通りでした」
???「……問題ありません、事前に見張りは眠らせてありますし、監視の映像もここ数時間分、全て問題ないものに差し替えてあります」
???「……はい、もうそろそろ戻らないと、高亥に気付かれてはコトですから」
???「気付かれてはいないはずです、古がヘマをしかけましたが……」
???「……はい、時が来たら……」
古「……で?俺たちは?」
???「……」
古「おい、香凛!」
香凛「うるさいぞ、考え事の邪魔だ」
香凛「さぁ戻るぞ、次に失敗をしたらその刀で首を断ち切ってやる」
古「おいおい、バレてなければ失敗ではないだろう!」
古「っておーい、話を聞けー!」ドタドタ
~天子邸~
星刻「……」
星刻「よもや、本当にカレンの予想通りになるとは、な」
星刻「しかし、天子様を危険な目に遭わせるとは、後でキツく言わねば……」
星刻(だが、止めようと思えば、いつでも止められたのに)
星刻(私は何故止めなかったのだろうな)
星刻(……存外、私もまた真実を知りたい気持ちが優っていたのかもしれない)
星刻「……ともかく、二人を出迎える準備をせねば、な」
星刻「こうなればゼロに任せるばかりではない、我らは我らでこの国の未来を切り拓く」
ちょっと休憩、たぶんまた戻ってくる。
天子ちゃんがメンタルよわよわだと次の展開が嘘くさ過ぎるからと成長話入れたかった。後悔は今の所少しだけ。
次はスザク、ここからはルルーシュ、スザク、カレンの活躍がどうしても必要になるので、スザクくんも悩んでもらわねばならんのだ……すまぬ……
では、少々お待ちください。
~エリア11 政庁 中庭~
スザク「……」
スザク(はー、分からない)
スザク(僕ならどうするか……)
スザク(僕は一体どうしたいんだろうか)
スザク(……もともと、日本を取り戻したい)
スザク(そのために、ブリタニアの内部から世界を変えるつもりだった)
スザク(でも、ルルーシュとユフィのおかげでそれもあとは僕の力がなくても自然になんとかなりそうだし)
スザク(僕は結局、ただ皆について行ってるだけなんだよなぁ)
スザク(僕は、何を……)
???「だーれだ?」
スザク「えっ?えっ!?」
???「さぁ、わたくしが誰なのか」
スザク「ゆ、ユフィだろ?」
ユーフェミア「せいかいでーす」
ユーフェミア「どうしたのですか?こんな所に一人で」
ユーフェミア「ものすごーく難しい顔をしていたようですが」
スザク「……あぁ、いや」
スザク「大したことじゃないんだけど」
スザク「でも少し悩んでて」
ユーフェミア「あら、そうだったのですね」
スザク「……ごめん、ユフィ」
スザク「ちょっと、聞いてくれるかい?」
ユーフェミア「ふふ、お安い御用です」
ユーフェミア「ユーフェミア・リ・ブリタニア、誠心誠意相談に乗りましょう」
スザク「……実はね」
スザク「……って感じなんだ」
スザク「笑っちゃうだろ?」
ユーフェミア「いえ、笑いませんよ」
スザク「えっ?」
ユーフェミア「つまり、今のスザクは無気力症というやつです」
ユーフェミア「夢を叶えたミュージシャンとかが陥るやつです」
スザク「そ、そうかもしれないね」
スザク「ユフィはいつもやりたい事があってすごいと思う」
スザク「僕は、もうやりたい事が何も無いんだ」
ユーフェミア「……本当に、やりたいことはありませんか?」
スザク「……」
ユーフェミア「わたくしはこれまで、やりたい事だけをやろうと努めてきました」
ユーフェミア「でも、疲れることもあります」
ユーフェミア「そして、スザクの今の状態は、そんな時のわたくしにソックリです」
スザク「ユフィにも、やりたい事が無くなることがあるのかい?」
ユーフェミア「もちろんです」
ユーフェミア「やりたいことをやってやって、やり続けて」
ユーフェミア「そうしてやり遂げた後、達成感でいっぱいになると」
ユーフェミア「……なぜか妙に寂しくなるのです」
ユーフェミア「もうやりたい事が無くなってしまった、次は何をしようかって」
ユーフェミア「でも、それはとても自然な事なのです」
スザク「自然なこと……」
ユーフェミア「はい」
ユーフェミア「ですから、スザクは別にすぐ何かを見つける必要はないのではないでしょうか」
スザク「……ははは、それは、そうなんだけどね」
スザク「でも、なんだか僕だけ皆と」
スザク「なんというか、温度が違うんだ」
スザク「それが、何か嫌でさ」
ユーフェミア「……なるほど」
ユーフェミア「つまり、皆の」
ユーフェミア「……スザクの場合はルルーシュの為になる仕事がしたいということですよね?」
スザク「まぁ、そうなるかな」
スザク「ルルーシュにも恩返しをしないとだからね」
スザク「……ま、地道に考えるよ」
スザク「ありがとう聞いてくれて」
ユーフェミア「……ねぇ、スザク」
スザク「なんだい?」
ユーフェミア「もし、わたくしが」
ユーフェミア「ルルーシュの手伝いを出来ることがあると言ったら」
ユーフェミア「あなたは、どうしますか?」
スザク「え?」
ユーフェミア「スザクは、ずっとラウンズとして」
ユーフェミア「ルルーシュと一緒にいましたよね?」
スザク「う、うん」
ユーフェミア「それならば、知っているはず」
ユーフェミア「……ルルーシュが、この2年間」
ユーフェミア「本物のルルーシュでは無かったことを」
スザク「!?」
ユーフェミア「どうしますか?わたくしと来ますか?」
ユーフェミア「きっと、今よりは忙しくなります」
ユーフェミア「……より危険にはなりますが」
スザク「ユフィ、君は一体……?」
ユーフェミア「うふふ、実はわたくしもちょうど」
ユーフェミア「人手が必要だったのです」
ユーフェミア「よく考えたら、スザクはそういう意味では適任でしたね」
ユーフェミア「どうしますか?」
スザク「……」
スザク「僕はラウンズであると同時に、ユーフェミア様の騎士」
スザク「どこまでもついていくよ」
ユーフェミア「それでは、まずはこちらへ」
~医務室~
ユーフェミア「……誰もいませんね」
スザク「医務室ってことは……」
ユーフェミア「はい」
ユーフェミア「わたくしもすぐにお見舞いに来たかったのですが」
ユーフェミア「なかなか来られませんでしたから」
コーネリア「……」
スザク「まだ目が覚めないんだね」
ユーフェミア「はい、それだけの相手だったのでしょう」
ユーフェミア「ですが、お姉様もやられっぱなしということは無いでしょう」ゴソゴソ
スザク「ゆ、ユフィ?」
ユーフェミア「わたくしもそうですが」
ユーフェミア「……二年前から、わたくしたちは、こういう事態にずっと備えていました」
ユーフェミア「なにせ、相手にはわたくしたちとは違って」
ユーフェミア「……ギアス、の力があるかもしれませんから」
スザク「!!!」
ユーフェミア「ありました」
ユーフェミア「お姉様のブローチには小型のカメラが付いていました」
ユーフェミア「そして、そのデータはこのイヤリングの中に記録されています」チャリ
ユーフェミア「行きましょうスザク」
ユーフェミア「お姉様、目が覚めるまではお任せ下さい」
ユーフェミア「やりたい事をやる、それがわたくしですからね」
~政庁 資料室~
スザク「こ、こんなところに来てどうするんだい?」
スザク「それにさっき言っていた……」
ユーフェミア「話は後です」
ユーフェミア「ねぇスザク、わたくしとお姉様が1番疑われないように活動するならどこがいいか」
ユーフェミア「分かりますか?」
スザク「え?」
ユーフェミア「皇女であるわたくしたちが」
ユーフェミア「他の皇族の目から逃れるのに丁度いいところ」
ユーフェミア「わたくしも、そしてお姉様も頻繁に来ても疑われない所」
ユーフェミア「それがここです」
スザク「資料室、かい?」
ユーフェミア「いいえ、正確には政庁自体です」
ユーフェミア「わたくしは虐殺☆皇女の公演や、公務でも頻繁にエリア11に来ます」
ユーフェミア「そしてお姉様は、不慣れなルルーシュのために、同じくよくここに立ち寄りますよね?」
ユーフェミア「ですから、拠点を置くならここしかないと考えました」
ユーフェミア「なにせ、はじめは誰が敵かも分からない状態でしたからね」
ユーフェミア「ルルーシュがこのエリアの総督に任命されるまでの数ヶ月、その間に信頼できる部下達を通して、お姉様はここに作ったのです」
ユーフェミア「わたくしたちが敵と戦うための城の入口を」カチッ
スザク「これは……」
ユーフェミア「ここに来られるのは、限られた人間だけです」
ユーフェミア「さぁ、こちらへ」
スザク「これは、エレベーター?」
ユーフェミア「はい、ここから降りて、そのままもう少し移動します」
ユーフェミア「着いてから、改めて詳しくお話しましょう」
ユーフェミア「気をつけて下さい、かなり高速なので、慣れるまでは気分が悪くなるかも」
スザク「う、うん」
~拠点~
ユーフェミア「……着きました」
機械音声「入室者、ユーフェミア・リ・ブリタニアを確認」
機械音声「他1名は登録されていません、登録されていない入室者がいる場合、1分以内に設定変更コードを入力されずにいると」
機械音声「この施設を閉鎖した上でデータへのアクセス及びシステムへの干渉は全てロックされ、酸素供給がカットされます」
ユーフェミア「コード認証、声紋、ユーフェミア」
機械音声「第一認証完了、続いてランダムワードの読み上げを」
スザク(ここは一体なんなんだ……?)
スザク(ユフィも、まるでいつもの姿とは違う)
スザク(なんだろう、ユフィは何を知っているんだ?)
スザク(ギアスの事は知っているみたいだけど、それも……)
機械音声「コード承認」
機械音声「入室者一名を登録しますか?」
ユーフェミア「お願いします」
ユーフェミア「さぁ、スザクこちらへ」
スザク「あ、う、うん」
スザク「これは……」
ユーフェミア「ここが、私たちの城です」
ユーフェミア「ロロ、来ていたのですね」
スザク「!」
ロロ「なんだ、お姫様、結局この人を連れて来たんだ」
ロロ「最初に声かけてなかったみたいだし、てっきり巻き込みたくないものと思っていたよ」
スザク「どうしてここに……」
ロロ「……簡単さ」
ロロ「僕は所謂、三重スパイだって、それだけだよ」
ユーフェミア「お互い顔は知っていますよね」
ユーフェミア「……おや、訓練室はどなたが?」
ロロ「ああ、シャーリーっていう情報部のやつを、ね」
ロロ「大丈夫、ここにはゲスト扱いで入っているから、あの子1人では入れないよ」
ユーフェミア「シャーリーさんですか、まぁ彼女は信頼してもいいと思いますけど」
ロロ「万が一ってこともあるじゃない?」
スザク「……シャーリーもここに?」
スザク「なぁユフィ教えてくれないか?」
スザク「こんな大掛かりな施設やら何やら」
スザク「何のために、どうやって?」
ユーフェミア「そうですね、何のためか」
ユーフェミア「わたくしたちは、ブリタニアの支配構造の中枢にいる人物」
ユーフェミア「VVを捕らえることを目的としているのです」
ユーフェミア「そこに座って下さい、スザク」
ユーフェミア「貴方には、まず説明しなければならないことが沢山あるのですから」
途中寝落ちからなんとかユーフェミアのところまで進んだぞ!
本当はここ無視して進めようかと思ってたんだけど、後でやってましたーだと薄っぺらいかなと突っ込みました。
ユフィがなぜギアスのことを知っているのか、拠点で何をしようとしているのか、その辺りを考えていて貰えると楽しんで読めると思います。
それではまた明日ー、更新遅れてすみませんでした。
良い夢をー
書いたところ読み返してたらこんな時間に!
開始します。
ユーフェミア「スザク、まずはこれを見てください」ピッ
スザク「えっと……?」
ユーフェミア「これは私たちがギアス結晶と呼んでいるものです」
ユーフェミア「サクラダイトに特殊な処理を施し、ギアスのエネルギーを注入して造られたと考えられています」
ユーフェミア「残念ながら私たちにはこれを複製することも、安全に処理することもできません」
ユーフェミア「他に回収したものを壊そうと実験もしました」
ユーフェミア「……しかし、残念ながら破壊を試みた研究者の方々は、未だに目を覚ましてくれないのです」
スザク「……」
ユーフェミア「これは二年前神根島から回収されました」
ユーフェミア「当時はもっと大きな塊も存在したようですが、どこかへ持ち去られて」
ユーフェミア「ここにあるのは周辺からなんとか掘り起こしたものです」
スザク「この結晶に何かがあるのかい?」
ユーフェミア「大ありです」
ユーフェミア「この結晶は、この世界とは少し違った世界に繋がる鍵となるものなのです」
スザク「少し違った世界?」
ユーフェミア「私たちに情報を提供してくれた方は」
ユーフェミア「そこをCの世界と呼んでいました」
スザク「Cの世界……?」
ユーフェミア「VVが到達しようとしている世界です」
ユーフェミア「そこは私たちこちらの世界のように、個という概念が存在せず」
ユーフェミア「意識の集合体、のような状態で成り立っているのです」
ユーフェミア「私も、うっすらとその記憶があります」
スザク「!ユフィはそのCの世界に行ったことがあるのかい?」
ユーフェミア「はい」
ユーフェミア「行く、という言い方が正しいかは分かりませんけれど」
ユーフェミア「触れたことがあります」
ユーフェミア「そう、ルルーシュにギアスを掛けられた時に」
スザク「……よく分からないな」
ユーフェミア「私とお姉様が帝都で秘密裏に探っていた情報の中にも、Cの世界らしきものがありました」
ユーフェミア「ブリタニアを建国したと言われている女王の話です」
ユーフェミア「かつて、その女王はその集合意識の中から」
ユーフェミア「民衆の意識を聞き分けて話を聞かずとも様々なことを知ったと」
ユーフェミア「また、その意識を操作して人の心を掴んだとも」
ユーフェミア「根拠としては希薄なものですが、私はこの力に似たものを知っていました」
スザク「ギアス……」
ユーフェミア「そうです」
ユーフェミア「Cの世界とは、我々が日々意識すらしていない、無意識が集まって出来たもので」
ユーフェミア「ギアスとはそのエネルギーを使って行使されているのです」
スザク「意識のエネルギー?」
ユーフェミア「今の科学技術で使うことは出来ませんが」
ユーフェミア「それを可能にする力がギアスであると」
ユーフェミア「ギアス結晶はサクラダイト反応を起こすことで、ギアスの源でもある集合意識に対して」
ユーフェミア「強制的に負荷を与えるものらしいのです」
スザク「負荷を与えるとどうなるんだい?」
ユーフェミア「無意識とはいえ、私たちと完全に切り離されている訳ではありません」
ユーフェミア「その負荷は私たちにもかかります」
スザク「それが、共振?」
ユーフェミア「スザクも知っているのですね」
スザク「う、うん、CCに体験させられたことがある」
ユーフェミア「CCさんは特別なのです」
ユーフェミア「彼女はCの世界だけではなく、Cという」
ユーフェミア「所謂死者の精神の塊のようなものにも干渉出来るのです」
スザク「死者の精神?」
ユーフェミア「ええ」
ユーフェミア「私たちが死ぬと、Cに意識は流され」
ユーフェミア「そこで新たな意識として生まれ変わり、またCの世界へと戻る」
ユーフェミア「ここは想像の域を出ませんが、恐らくもともと女王の持っていた能力の一つなのでしょう」
ユーフェミア「そして、VVが欲しているのはまさにこのCに触れる力なのです」
スザク「死者の精神ってことは、誰か死んでしまった人に会いたいとか?」
ユーフェミア「そうです、ただその死者というのが」
ユーフェミア「女王自身だろうというのが私にこの話を教えてくれた方の仰っていたことです」
スザク「その人に会って、一体何がしたいんだろう」
ユーフェミア「目的は色々と考えられるのですが」
ユーフェミア「問題はその過程で全ての人々の意識を支配できてしまうというところにあるのです」
ユーフェミア「今CCさんの持っている力は、ただCに触れるだけのものですが」
ユーフェミア「コードが完成してしまえば、かつての女王のように意のままに力を使えるようになると」
ユーフェミア「そうなればあの時神根島で起こりかけたよりもっと酷い結末が」
ユーフェミア「私たちに待っているのは火を見るよりも明らか」
ユーフェミア「だからこそ、私はVVを捕らえ、それを阻止するために」
ユーフェミア「お姉様と共に活動していたのです」
スザク「……色々言いたいことがあるんだけど、いいかい?」
ユーフェミア「構いません」
スザク「まず、その話が本当に正しいのかっていうことなんだけど」
スザク「確証はないんだろう?」
ユーフェミア「……そうですね、もしかしたら今のVVの野望は別にあるのかもしれません」
ユーフェミア「ですが、以前はそうしようとしていたのは間違いないのです」
スザク「どうしてわかるんだい?」
ユーフェミア「ロロ、あれを出してください」
ロロ「……一応黙って聞いてたけどさ、お姫様」
ロロ「いくら自分の騎士だからって話しすぎじゃない?もしかしたら裏切るかもしれないのに」
ユーフェミア「大丈夫です、スザクはそんなことしません」
ロロ「……」
ロロ「言っとくけど、僕はあんたと心中する気は無いし、ヤバいときは直ぐにあんたのことを見捨てるからね」
ロロ「……はい、これでしょ」
スザク「アーカーシャの剣?」
ユーフェミア「もともとはCの世界との関係を断ち切ることが目的とされていたようですが」
ユーフェミア「その実はこのギアス結晶を用いたCの世界に対する意識的干渉」
ユーフェミア「云わば意識の上書きをするための装置です」
ユーフェミア「神根島の事も考え併せると、これを使用するにはVVにもかなりの負担があると考えられます」
スザク「どういうことだい?」
ユーフェミア「神根島にあった装置はアーカーシャの剣の劣化版のようなもの」
ロロ「……ちなみに、そっちの資料はこれね」
ユーフェミア「こちらは上書きをするのではなく、単にCの世界に強烈な負荷を与えて、それに耐えきれない人間を強制的に狂化状態」
ユーフェミア「……ギアス中毒のような状態にしてしまうものです」
ユーフェミア「これで実際に意識を上書きしなければならない人間の数を減らそうとしたのではないか、と考えられます」
スザク「なるほど」
スザク「まあそれはじゃあ分かったとして、だ」
スザク「このアーカーシャの剣っていう装置をVVが作ろうとしていたことと、VVの狙いになんの関係があるんだい?」
ユーフェミア「この装置を使おうとしていたのはVVだけではありません」
ユーフェミア「この装置の研究を進めていたのは、VVの他に3人いたのです」
ユーフェミア「VVの真の目的を知らされていなかった3人」
ユーフェミア「1人はCCさん、そして1人はお父様」
スザク「シャルル皇帝も?」
ユーフェミア「ええ」
ユーフェミア「そして、私に先ほどまで説明したことを教えて下さり、ルルーシュのお手伝いとVVの野望の阻止を依頼してきた方」
スザク「一体誰なんだい?」
ユーフェミア「ルルーシュとナナリーのお母様である」
ユーフェミア「后妃マリアンヌ様です」
スザク「!?ルルーシュのお母さんは亡くなったはずじゃ」
ユーフェミア「生きているのです、もう肉体は存在しませんが」
ちょっと寝ます、なんかユーフェミアがただの狂信者みたいになってるので、もう少し補足すると思います。
ユーフェミア「スザク、大丈夫ですか?」
スザク「あ、ああ」
スザク「ちょっと色々なことをまとめて聞いたものだから」
スザク「混乱してる、かな」
ユーフェミア「無理もありません、私も外ではここの存在をお首にも出さないようにしていますが」
ユーフェミア「ふとした時に破裂してしまいそうになることがあります」
ユーフェミア「秘密を抱えるということは、誰かを裏切ることでもあるのです」
スザク「ユフィは、ルルーシュを裏切るのかい?」
ユーフェミア「きっと、ルルーシュはそう思うでしょう」
ユーフェミア「ですが、我々が相手にしているのは生半の相手ではありません」
ユーフェミア「ルルーシュは目立ちます、実際暗殺されかけてもいます」
ユーフェミア「だからこそ、私たちはその影から真の敵を討つ準備を整えて」
ユーフェミア「少しでもルルーシュ達の助けになりたいのです」
スザク「助けるために裏切る……嘘をつくか」
スザク「昔ルルーシュがしていたのも、そういうことだったんだろうな」
ユーフェミア「スザク?」
スザク「ユフィ、僕は今まで、ずっと人のために戦っているようで」
スザク「実は誰かに断罪されたがっていた」
ユーフェミア「はい」
スザク「それも少しずつ変わって」
スザク「仲間のために、自分の出来ることをしようと」
スザク「……結果、"自分"というものはまた無くなっていたんだ」
スザク「僕がどうしたいか、ということが」
ユーフェミア「はい」
ロロ(こいつら僕の存在を忘れてるんじゃないだろうな)
ロロ(まぁいい、面倒なことになる前に退散しよう)ソソクサ
スザク「ユフィ、僕にも」
スザク「手伝わせてくれるかい?」
スザク「命令じゃなくて、責任感じゃなくて」
スザク「ただ、知りたいんだ」
スザク「ギアス、というもの」
スザク「この世界が抱えている問題を」
ユーフェミア「もちろん、そのためにスザクをここに呼んだのです」
ユーフェミア「スザク、あなたには今後、行ってもらうところがあります」
スザク「どこだい?」
ユーフェミア「中華連邦です」
スザク「え?カレンもルルーシュもいるのにかい?」
ユーフェミア「はい」
ユーフェミア「もうすぐ、中華連邦で大きな争いが起こります」
ユーフェミア「そして、その影に」
ユーフェミア「VVと、……シュナイゼルお兄様が」
スザク「くわしく、教えてくれ」
ユーフェミア「私達が集めた情報と、現状のブリタニアの勢力図を見て下さい」
ユーフェミア「こちらです」
スザク「ああ!」
~時は戻って~
ルルーシュ「それは、本当なのか?」
マリアンヌ「間違いないわ」
マリアンヌ「私はCの世界にいってこちらに戻ってきた」
マリアンヌ「そしてその過程でプリンセスの持つ、いえ」
マリアンヌ「ギアスに刻まれた記憶を見ることができたの」
ルルーシュ「VVが、最初の姫から直接」
ルルーシュ「ギアスの力を得ていたとすると」
ルルーシュ「奴はどれだけ途方もない時間を生きているんだ」
マリアンヌ「それだけじゃないの」
マリアンヌ「これは私とシャルルとVVが、まだ同じ目的を持っていると思って」
マリアンヌ「協力していた頃にも話していたのだけど」
マリアンヌ「VVのコードは、CCのものや、あの二人がかき集めていたコードとも」
マリアンヌ「少し違うようなの」
ルルーシュ「というと?」
マリアンヌ「コード保持者は、同じくギアスを持つもの、それも順化した存在か」
マリアンヌ「別のコード保持者にコードを奪われる可能性がある」
マリアンヌ「だから、彼らは不用意にギアスの契約はしない」
マリアンヌ「だけど、VVのギアスは」
マリアンヌ「同じくブリタニアの血を引くものにしか奪うことはできないようなの」
ルルーシュ「そうか、奴が必要以上にシャルルのことを警戒するのは」
マリアンヌ「ええ、現状ルルーシュが完全な順化をするまでは」
マリアンヌ「シャルルだけが、VVを滅ぼせる唯一の存在ということになるわ」
マリアンヌ「だけど、順化するのは危険も伴うし、最悪の場合は死よりも恐ろしいことになる」
マリアンヌ「そこで開発されたのが、貴方の腕の」
ルルーシュ「ギアス・イーターというわけか」
マリアンヌ「本来はね、VVの本心に気づいた私が研究させていたのだけど」
マリアンヌ「その後はシュナイゼルの研究機関がそのデータを発掘して完成させたみたいね」
ルルーシュ「母さんはその時?」
マリアンヌ「ふふ、残念ながらVVに見つかって殺されちゃったわ」
ルルーシュ「ということは、やはり母さんは」
マリアンヌ「ええ、不意をつかれて暗殺、ギアスの契約をしていたことで奇跡的に痕跡だけはこの世に残ったけど」
マリアンヌ「だから、今回のことも含めて、VVの破滅は私の復讐でもあるの」
マリアンヌ「ごめんなさい、貴方たちを私の計画に巻き込み、利用してしまって」
マリアンヌ「でも、VVは強大な敵、何も知らずに突撃しても返り討ちに遭うだけ」
マリアンヌ「助言させてくれるだけでもいい、だからルルーシュも」
マリアンヌ「CCと一緒に頑張ってほしいの」
ルルーシュ「そうだ、CCのことも母さんが?」
マリアンヌ「ええ、ナナリーの危険を少しでも遠ざけたかったの」
マリアンヌ「時間が無くてとても急場しのぎの状態になってしまったけど」
マリアンヌ「ごめんなさい、そろそろ時間みたい」
ルルーシュ「時間?」
マリアンヌ「あまり私が表にでると、この子の身体に負担がかかってしまうの」
マリアンヌ「またお話しましょう、今は中華連邦のことに集中して……」フッ
アーニャ「……もどって……きたのね」
待たせてごめんなさい。もうここまで待ったら最後まで、死ぬまで待っててください。
必ず完結させますから。
不定期更新ですが、今後もよろしくお願いします。
ルルーシュ「アーニャ、お前は一体」
アーニャ「話したんでしょ?マリアンヌ様と」
アーニャ「それが全て。もちろん私の演技なんかじゃない」
アーニャ「マリアンヌ様が殺された日、私はその場に居たの」
ルルーシュ「何だと」
アーニャ「マリアンヌ様は死の間際に私の中に逃げてきたの」
アーニャ「そしてそれからずっと、私にこの世界と」
アーニャ「そしてギアスについて教えてくれた」
アーニャ「ルルーシュ、あなたの力が必要なの、協力して欲しい」
アーニャ「VVを止めるためなら、私も貴方に力を貸す」
ルルーシュ「……とりあえず、そちらの言い分は分かった」
ルルーシュ「整理する時間をくれ、どのみち」
ルルーシュ「俺たちが中華連邦を攻略することは待ってくれるのだろう?」
アーニャ「ええ、今の状況は偶然にも私たちに有利だもの」
アーニャ「ブリタニアの中枢に足を踏み入れるための材料にはうってつけ」
アーニャ「ただ気をつけて、あまり時間がないの」
アーニャ「私たちにも、そしてルルーシュ」
アーニャ「貴方にも、ね」
ルルーシュ「どういう意味だ」
アーニャ「ナナリーが心配でしょう?それ以外にある?」
ルルーシュ「……いや」
ルルーシュ「それはそうと、大分印象が違うな」
ルルーシュ「それが本来の君か」
アーニャ「秘密は明かしたわ、後は貴方次第」
アーニャ「じゃあ、またね」テクテク
ルルーシュ「…………」
~研究室~
ルルーシュ「……」
セシル「あら、ルルーシュく……じゃなかった、ランペルージ卿」
ルルーシュ「ルルーシュでいいですよ、セシルさん」
セシル「そういう訳にも……って、大丈夫?顔色があんまり良くないみたいだけど」
ルルーシュ「ええ、ちょっと複雑な事情がありまして」
ルルーシュ「それより、2人の様子を見ようと思って」
セシル「そう?あまり無理はしないようにね」
セシル「結局ギアスキャンセラーの研究はすることで合意したみたいで」
セシル「おっと、案内しますよ、ランペルージ卿」コホン
ルルーシュ「はぁ、好きにしてください」
ロイド「やっぱり薬剤タイプは現実的じゃなさそうだね」
ラクシャータ「ピンポイントな効果を短時間で局所的に、が安全面を考えても」
ラクシャータ「技術的にもいいと思う」
ロイド「僕とセシル君にどうやってギアスを掛けたのかが分かれば」
ロイド「さらに全身出来そうなのに」
ラクシャータ「レーザー治療みたいにキャンセラーの波動を制御する方向性で考えてみるのはどう?」
ロイド「波動だけに?」
ラクシャータ「くだらない事言ってないで、アイデアを出しなさい」
ルルーシュ「失礼します、どうですかロイドさん」
ロイド「おおっとぉ、総督閣下のお出ましだねぇ」
ラクシャータ「丁度いいわ、休憩にしましょ」
ラクシャータ「ルルーシュもコーヒーでいい?」
ルルーシュ「ああ、ありがとう」
セシル「あ、ラクシャータさん、私が淹れますから、ソファで休んでてください!」
ルルーシュ「進捗はどうですか?」
ロイド「んー、構想はあるけど、小型化の問題と」
ロイド「あとは予期せぬ事態に対応する為の推測をしている段階だねぇ」
ラクシャータ「予期せぬ事態なんだから推測できないことばっかりなんだけどね」
ロイド「でも事前に備えることには充分すぎる意味があるさ」
ロイド「それに、必要かは分からないけど」
ロイド「ギアスの力が強ければ強いほど効果の出る兵器も考えちゃったんだぁ」
ルルーシュ「というと?」
ロイド「君のようにギアスエネルギーで動いているのって」
ロイド「多分CC君やVVも同じなんじゃないかと思うんだよねぇ」
ロイド「言わば僕らの血液のように、ギアスエネルギーが循環していると思う」
ロイド「たとえばその力が、彼ら彼女らを不死のごとき生命力、そして不老をもたらしているんじゃないかなって」
ルルーシュ「なるほど、その力を打ち消すことが出来れば」
ラクシャータ「そ、殺せるかは分からないけど、少なくとも弱らせることは可能なハズ」
ラクシャータ「ただもちろん、これは諸刃の剣にもなりうるものだから」
ラクシャータ「あくまで構想の副産物なんだけどね」
ロイド「もし仮に製造して実用化してしまったら」
ロイド「ルルーシュ君、君やCC君に対しても恐ろしい武器になっちゃうからねぇ」
ルルーシュ「……ふむ」
ルルーシュ「ロイドさん、仮にその武器を実用化する場合」
ルルーシュ「たとえば銃弾のように発射することは可能ですか?」
ロイド「そうだねぇ、麻酔銃みたいにギアスを打ち消すなにがしかを注射する形になるかなぁ」
ロイド「なにがしか、をどう作るかって話なるけどねぇ」
ルルーシュ「ラクシャータ、それも並行して作ってくれないか」
ラクシャータ「だからさっきも言ったけど、リスクがあるんだって……」
ルルーシュ「承知の上だ」
ラクシャータ「え、でもアンタ」
ルルーシュ「色々あるが、今後俺たちの前に立ちはだかる相手はギアスの力を使ってくる可能性が非常に高い」
ルルーシュ「もうひとつ、結婚式の襲撃にもギアス能力者が関わっている」
ロイド「そうだったの?」
ルルーシュ「咲世子が圧倒されるほどの力です、こちらに何の武器もなければまた二の舞を演じることになる」
ルルーシュ「大量生産する必要はないが、こちらの奥の手にできる物は少しでも多く持っておきたい」
ルルーシュ「もちろん、その武器の存在も含めて、話はここだけにして欲しい」
ラクシャータ「んー……」
ロイド「分かった、どの道ついでの話だからね」
ロイド「ラクシャータもいいだろう?敵は本当に得体がしれない」
ロイド「もし君が本当に武器の開発に反対だったなら、ルルーシュ君にも教えなかったと思うし、ね」
ラクシャータ「……まあ、たしかにそうかもね」
ラクシャータ「ギアスキャンセラーについて、分からないことが多すぎるってのが今の状態」
ラクシャータ「ロイドとセシルの記憶のためにも、このまま研究は続ける予定だし」
ラクシャータ「武器を作ることには賛成なのよ、実は」
ラクシャータ「ただ、あくまで弱らせる、止めるっていう制圧目的の武器にしたいわぁ」
ロイド「というか、そのくらいしか出来ない可能性が高いんだけどね」
ラクシャータ「茶々を入れない」ビシッ
ロイド「あいてっ」
ラクシャータ「ルルーシュ、あたしは今まで色んなナイトメアも作ったし、武器も開発してきた」
ラクシャータ「それはロイドも、なんならセシルも同じ」
ラクシャータ「当然、その武器で死んだやつもいるわ」
ラクシャータ「でもね、今回はまたちょっと違うのよ」
ラクシャータ「今回は明確に、"アンタたちみたいな"子だけが死ぬかもしれないの」
ラクシャータ「武器は使い手次第、技術も同じ」
ラクシャータ「でも、アンタを殺したり、アンタに殺されるものを作るのは」
ラクシャータ「アタシの流儀に反するわけ」
ロイド「ま、そこは僕も同意かな」
ロイド「キャンセラーの理論を考えると、その力はギアスの逆位相的な存在になるから」
ロイド「あまりに強すぎれば、それは普通の人間にも大きな影響を与える可能性が高いしねぇ」
ロイド「ま、あくまでまだ作れるかもって段階だから」
ロイド「試作してみて、あとはルルーシュ君が決めたらいい」
ルルーシュ「お願いします」
セシル「3人ともコーヒーはいりましたよ~」
ラクシャータ「あら、じゃあアタシ運ぶの手伝うわ」
ロイド「ねぇ、ルルーシュ君」
ルルーシュ「?なんですか」
ロイド「君は人にギアスを使ったことがあるよね?」
ルルーシュ「……はい、極力使わないようにはしてきましたが」
ロイド「僕は、それについて2つ聞いてみたいと思うんだよねぇ」
ルルーシュ「?」
ロイド「ひとつは、僕に使ったことがあるかってこと」
ロイド「どう?」
ルルーシュ「ありません」
ロイド「そっかぁ」
ロイド「もうひとつは、なんで極力使わないことにしたのか」
ルルーシュ「それは……」
ロイド「絶対遵守、そんな力があれば」
ロイド「もっと様々なことが"楽"になったと思うんだよねぇ」
ロイド「そして、それに気付かないほど君は愚かじゃあない」
ロイド「どうしてだい?」
ルルーシュ「……俺は、怖かったんです、この力が」
ルルーシュ「ギアスは人を孤独にする、この力を使い続ければ」
ルルーシュ「俺は誰も信じることが出来なくなると思って」
ロイド「んん~、実に甘ちゃんな意見だねぇ」
ルルーシュ「……」
ロイド「で、もぉ」
ロイド「その甘さは、きっとこれからも君を生かしてくれるよぉ」
ロイド「僕もさ、自分の頭を弄られたかもしれない事について」
ロイド「多少以上に怒っているんだ」
ロイド「だって今まで自分だと思っていたもの、それを形作っていたものが」
ロイド「実は他の人間に作られていた訳だからねぇ」
ロイド「きっと隠された僕の記憶には、何か大事な」
ロイド「隠した人間にとって不都合なことがあるに違いない」
ロイド「ギアスの力は強大だ、人間には扱えきれないほどに」
ロイド「だからこそ、君のようにそれでも人間であろうとする姿は」
ロイド「素直に尊敬するよ、僕は」
ロイド「この世界で、良からぬことを僕らが生まれるずっと前から企んでいる輩がいるなら」
ロイド「僕はそれを打ち砕く手助けがしたい」
ロイド「ま、つまりは君の手助けってことだけどね」
ルルーシュ「ロイドさん……」
ロイド「……なぁんちゃって」
ロイド「ま、僕とセシル君の記憶については僕らに任せて欲しいってことぉ」
ロイド「近いうちに成果は出すよぉ」
ルルーシュ「……はい、宜しくお願いします」
ラクシャータ「ちょっとぉ~アンタたちは砂糖とミルクいるわけ?」
ロイド「僕のにはたあっぷり入れてほしいな~」
ラクシャータ「じゃあ自分の分は自分で入れなさいよね」
セシル「2人が話しているから、ちょっと入りづらく……あいたっ」
ラクシャータ「んもう、余計なこと言わないの」
セシル「す、すみません……」
ルルーシュ「ふふ」
ロイド「ん~美味しいねぇ~」ズズズ
とりあえずここまで、今まで音沙汰なくてごめんなさい。
色々あったのは事実だけど、結果的に逃げていました。
時間が経つ中で自分の考えや感じ方にも大きな変化があり、元の構想だけだと満足と納得のいくものに仕上げられる自信が無かったからです。
僕が書きかけているものについては、エタらせるつもりもありませんでした。落ちたら建て直してまた書けばいいと思いながら、何年も時間が過ぎてしまいました。
また逃げるかもしれません、間も空くかもしれません。
でも、必ずエンディングは迎えさせます。僕が作ってしまった非公式のキャラクターたちにも、そして読んで下さっている皆さんのためにも、それが書き散らした責任だと思うからです。
気が向いたらまたチェックしてみてください。暇な時だけで結構です。
少しでも楽しんで頂けるものを書こうと思います。設定の齟齬は気付きましたら教えてください。
修正できる範囲で頑張ってみようと思います。それでは、また。
このSSまとめへのコメント
待ちわびました。
また面白いもの読ませてください。
wktk
更新まってます!
やっと追いついた…
読んでてwkwkするssで好きです。
…しかし、3期までには完結するのだろうか……
がんばれ♡がんばれ♡
大変面白いので頑張ってください
追いついたから続きはよ
とても好きなssです
更新心待ちにしてます
これは本当に良作これからも気長に待ってますよ
更新楽しみに待ってます( ´∀`)
更新待ってます!
更新待ってるよ
更新楽しみにしてます!
更新待ってるぞ
更新待ってます!
更新待ってます!!
更新まってます
更新待ってます!!
続きを期待して待っています。