花陽「はなよりみち」 (36)

ほのぼの系リハビリ。
あなた視点です。

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路上



テクテク…



花陽「…」テクテク



花陽「…あっ」


花陽「こんにちは!」

花陽「こんなところで会うなんて、偶然ですね!」

花陽「今帰るところだったんですか?花陽もです!」


花陽「よかったら、一緒に帰りませんか?」


花陽「まだまだ暑い日が続きますね…」

花陽「9月になって少しは涼しくなった気もするけど、もう少し秋らしくなってほしいなぁ…」

花陽「何より、秋はお米をはじめいろんなものが美味しい季節ですからね…」ポワポワ


花陽「…じゅるり」


花陽「…あっ!!な、ナシですっ!!今のは無かったことにしてくださいっ!!//」

花陽「うぅ、恥ずかしい…//」

花陽「わ、話題、変えましょう?ね?」

花陽「…え?」

花陽「なんで1人で帰ってたのか、ですか?」

花陽「いつもは凛ちゃんや真姫ちゃんと帰ってるのに…って」

花陽「もしかして、いつも花陽のことストーカーしてたんですか…?」ジトー

花陽「…なんて。ふふっ、冗談です」

花陽「まあでも、確かにそうなんですよね…」

花陽「いつもは誰かと帰っているのに、今日は1人なんです」


花陽「というのも、もうすぐテストが近いのに凛ちゃんが」

花陽「『暑くてやってられないにゃー…』って授業中ずっと寝てるから」

花陽「それに怒った先生が補習の刑を宣告しちゃったんです」

花陽「μ’sの練習もあるし凛ちゃんは補習から逃げようとしたんですけど、結局捕まっちゃって」

花陽「先生はまるで猫を連れていくように補習室へ消えていきました…」


花陽「凛ちゃんらしい?…もうっ」クスッ



花陽「あ、それとね」

花陽「真姫ちゃんと海未ちゃん、新曲作りが難航してるらしくて」

花陽「あとは…穂乃果ちゃんとにこちゃんも…凛ちゃんと似たような事情がありまして…」

花陽「μ’sの9人中5人が、今日の練習に出れなくなっちゃったんです」

花陽「これじゃ練習にもならないから、基礎練だけで今日の練習は切り上げられました」

花陽「え?それならことりちゃんたちと帰ればいいって?」

花陽「甘いです。50回噛んだお米ぐらい甘いです」

花陽「もちろん花陽も誰かと帰ろうとたんですよ?でも…」

花陽「ことりちゃんは穂乃果ちゃんと海未ちゃんを待って遊びに行く予定だったみたいで…」

花陽「絵里ちゃんと希ちゃんは生徒会。実は仕事が溜まってたみたいです」

花陽「凛ちゃんの補習も真姫ちゃんの作曲もいつまでかかるかわからないから、少しは待ってみたんだけど…」

花陽「結局、1人で帰ることにしたんです」



花陽「…まあ、たまには1人も新鮮でいいですよね!」

花陽「いつもはちゃんと見ない景色とか、自然とBGMになってた町の音とか」

花陽「少し暗くなり始めた空を見上げると、こんなに世界は広いんだと考えてしまいます」

花陽「何回も通ってる道のはずなのに、1人だとなんだか感じが違ってて」

花陽「いつもと、違う場所に来ちゃったみたいで…」


花陽「…あっ」

花陽「もしかしたら、あなたが横にいるせいかも?」

花陽「1人じゃなくて、2人でしたね」エヘヘ




テクテク…



花陽「でも、早く家に帰れるのはいいんだけど、夕飯まで時間があいちゃうなぁ…」

花陽「…そうだ!」


花陽「あの、よかったら少し寄り道して帰りませんか?」

花陽「この先にT字路があって、いつもなら右に行って15分ぐらい歩いたら花陽の家なんですけど」

花陽「今日はこのまま、いつもと違う景色を、あなたと見てみたいなぁって」

花陽「…ほんとですか?ありがとうございます♪」

花陽「じゃあ、そうと決まればここを左ですね!

花陽「行きましょう!」





テクテク…



花陽「こっちのほう、家から遠くは無いけど実は来たこと無かったんです」

花陽「理由?うーん…」

花陽「特に何もないことが分かってるからなんですけど…」

花陽「でも今日は、何もないところに何かを見つけてみようと思います!」

花陽「思い付きで行動するのもたまにはいいですよね!」



テクテク…



花陽「そういえば、少し前は散歩番組とか流行ってましたよね」

花陽「お昼に何個か似たような番組はやってましたけど」

花陽「某モヤモヤする番組がゴールデン枠に昇格したぐらいからでしょうか…。見たことありますか?」

花陽「一時期、それを真似した番組が増えてきた時があった気がします」

花陽「最初はその某番組もゴールデンでやっていけるのかとか不安だったけど、今でも深夜時代と変わらず安定して面白い番組ですよね」


花陽「…え?花陽が今何歳かって?」

花陽「15歳ですけど…。モヤモヤする?」

花陽「どこかおかしかったでしょうか…?」

花陽「…まあ、でも」

花陽「そのモヤモヤはきっと、モヤモヤしたままで、いいと思います」

花陽「…あっ」

花陽「駄菓子屋さんがありますね」

花陽「少し小腹も空いてたので、何か買っていきませんか?」





駄菓子屋


花陽「ふむふむ…」

花陽「昔ながらの、といった感じですね」

花陽「最近はデパートの中でも駄菓子屋さんを見るけど、町の駄菓子屋さんって見なくなりましたよね」

花陽「小学生の頃、もらったお小遣いを握りしめて駄菓子屋さんに走ったのを思い出します」

花陽「そこで買ったラムネがマイクの形をした入れ物に入ってて、ずっと大事にしてたっけ…」

花陽「なんだか、しんみりしちゃいますね」


花陽「・・・おっ、これは」ヒョイ

花陽「これはですね、花陽が生まれるずっと前に活躍していたアイドルのブロマイドです」

花陽「駄菓子屋さんって、こういう駄菓子に関係ないものも売ってますよね」

花陽「ブロマイドの他にも、雑誌とか、おもちゃとか」

花陽「そう考えると、昔の駄菓子屋さんは今のコンビニにつながるものがあるかも…」

花陽「コンビニ、最近じゃ10分も歩けば1つは見ますよね」

花陽「ニーズはコンビニのほうが多いし、駄菓子屋さんもコンビニのせいでやりづらいのかもしれません…」

花陽「もしかしたら数十年後には駄菓子屋さんは日本から無くなってしまってるかも」

花陽「しょうがないことだけど、なんだか寂しいです…」





カララッ



花陽「ありがとうございましたー」カララッ


花陽「さて、買ったお菓子、どこで食べましょうか…。…あっ」

花陽「あそこに公園があるので、座って食べていきましょう」

花陽「え?歩きながら食べる?」

花陽「そんなことしたら、海未ちゃんに怒られちゃいますよ?」クスッ





公園


花陽「ふー…」トスッ

花陽「公園のベンチって、なんだかいいですよね…」

花陽「木陰の少しひんやりした感じが大好きです…」

花陽「じゃあ、お菓子を食べましょうか!」

花陽「花陽が何を買ったのか、知りたいですか?」

花陽「それはですね…」ガサガサ

花陽「定番お菓子、うまい棒です!」

花陽「買ったのはめんたい味とコンポタ味!私としてはこの2トップ、絶対に外せません!」

花陽「ちなみに、あなたはうまい棒をどうやって食べますか?」

花陽「普通に大口を開けてほおばる…。それもいいですが、少し花陽は少しはしたない気もするんです」

花陽「絵面的には某モヤモヤする番組の餅吸い名人さんになっちゃいます」


花陽「…すみません、忘れてください」


花陽「まあそれは置いておいて、花陽は普通に食べるのが少し恥ずかしいので…」


花陽「ふんっ!」ペキィ


花陽「さて、成功しているでしょうか…」カサカサ

花陽「…!」

花陽「やりました!成功です!」

花陽「そう、こういう風に、4分割して食べるんです!」

花陽「これならじゃがりこを食べてるのと変わりませんから、何も気にせず食べれちゃうんです」サクサク

花陽「はあぁ…。めんたい味、このしょっぱさがたまりません…」サクサク

花陽「あ、ちなみにコツはうまい棒の中心に少し強めに力を入れることです」サクサク

花陽「本来は机の上で押しあてるの技なんですが、花陽は両手を合わせてでもできるんです」フフン

花陽「気分はさながら、花陽の錬金術師…ってアレ?」

花陽「もう、1本食べ終わっちゃいました…」

花陽「さすが10円のお菓子。内容量はそこまで多くないのが残念ですよね」

花陽「ですが!花陽にはまだコンポタ味が残されているのですっ!」ゴソゴソ

花陽「うまい棒って、なんともいえない中毒性がありますよね…」


花陽「ふんっ!」バキィ


花陽「…あっ」


花陽「…」カサカサ

花陽「…失敗、しちゃいました…」

花陽「袋の中でうまい棒が粉々です…」


花陽「…まあ、味は変わらないからいいんですけど」パクッ

花陽「んん…。コンポタ味、ほのかに感じる甘みがたまりません…」パクパク

花陽「もし4分割に失敗しちゃっても、ごろごろした塊は食べてる感があるのでそれはそれで美味しいです」パクパク

花陽「…負け惜しみとかじゃ、ないですから」パク


花陽「ごちそうさまでした…」フゥ

花陽「…やっぱり、もう一本欲しくなっちゃいますね」

花陽「ここで我慢できずに何本も買っちゃうから太っちゃうんでしょうか…」

花陽「ですが、今日は買いません」


花陽「なぜならっ!」

花陽「花陽にはまだ、心強い仲間がいるからです!」ガサガサ

花陽「じゃんっ!」


花陽「フーセンガムです!」


花陽「オレンジ味とグレープ味で迷いましたが、オレンジにしました」

花陽「これも結構好きなんですけど、弱点があるんですよね…」

花陽「1粒ずつ食べて味を長持ちさせようとすると、最初の方はフーセンが作れないんです」

花陽「なんということでしょう。花陽はフーセンが作りたくてフーセンガムを買っているのに…」

花陽「というわけで、花陽は毎回一気に口に含みます」パクッ

花陽「うん…。いつもの変わらない味ですね。美味しいです」モニュモニュ

花陽「さて、フーセンを作っていくわけなんですが…」

花陽「フーセンが破裂したとき、顔全体にへばりついた経験ってありませんか?」

花陽「花陽はあります。それはもう、何度も」

花陽(でも、それすらフーセンガムの楽しみの1つですよね)プー

花陽(こうやって、どこまで大きくできるか挑戦して)プクー


パァン!


花陽「…割れた後、少しだけ後悔するんです」ベター

花陽「ベタベタするなあ、顔洗わなきゃなあ、って」


花陽「あ、心の声、聞こえてましたか?」


路上



テクテク…



花陽「…さて」

花陽「お菓子も食べ終わり、公園を後にした花陽一行が次に見つけたのは…」

花陽「見つけたのは…」

花陽「…」



花陽「…この辺り、入れるところがないですね」



花陽「見た感じ住宅街ですもんね…」

花陽「コンビニとかはあるんですけどわざわざ道草する場所でも無いですし、入ったらきっとまたお菓子を買っちゃうと思います」

花陽「買えばいいって?いや、そんなのダメですっ!」

花陽「いくらこれから重ね着のシーズンで体型がわかりづらくなるとはいっても、これ以上は太りたくないんですっ!」

花陽「それに、秋本番になったらどうせまた太っちゃうし…」

花陽「はぁ…」

花陽「…?そんなに気にすることない、ですか…?」

花陽「そんなお世辞、いいです…。聞き飽きてます…」

花陽「水着のPVも可愛かった…?…って」

花陽「な、何を言い出すんですかぁっ!!///」

花陽「あ、あれも物凄く恥ずかしかったんですからね!?なのに、にこちゃんたちが無理やり…」

花陽「ううっ…。なんだか、からかって遊んでませんか…?」

花陽「そんなことないって、絶対ウソです…」


花陽「…あっ」


花陽「入れそうなところ、見つけました!」


花陽「花陽をからかった罰です!一緒に入ってもらいますからね!!」





キィ



花陽「…」


花陽「…」キョロキョロ


花陽「…」フムフム


花陽(…今一度花陽の心の声に耳を傾けてください)

花陽(ここがどこだか…わかりますか?)

花陽(…スミマセン、わからないわけないですよね)


花陽(ここは、古本屋のようです)


花陽(お客さんは見たところ花陽とあなたの2人だけ。とても静かな店内です)

花陽(外も閑静な住宅街といった感じでしたし、本屋にワイワイとした雰囲気はいりませんよね)

花陽(その雰囲気が好きなのでこうして心の声であなたに語りかけているわけなんですが)

花陽(聞こえてるでしょうか…?…聞こえてたら、怖いですけど)


花陽(実は、古本屋ってあまり来たこと無いんです)

花陽(街に出れば大きな本屋がありますし、大抵はそこで事が済むので…)

花陽(とはいえ、古本屋は古本屋で良いところがあるのはわかってるんですけど)


花陽(まずは、さっきも言った通りこの静けさです)

花陽(大きな本屋って、正直うるさいんですよね。友達連れとか、子供連れとか)

花陽(批判するつもりはないですし、花陽もそれに慣れているので何とも思わないんですが)

花陽(やっぱり本を嗜む場所は、図書館みたいに静かであるべきだと思うんです)

花陽(そして古本屋にはもう一つ、外せないポイントがあります)


花陽「………」スゥー


花陽(それはこの、古書独特の匂いです)

花陽(おばあちゃんの家の匂いに近いものがあること、わかってもらえますか…?)

花陽(落ち着きますよね…。なんだか、包まれている感じというか…)


花陽「…」フゥ


花陽(…ここにお布団を敷いて寝たら気持ちいいかも、なんて)


花陽(…冗談ですよ?)

花陽(では、古本屋本来の目的を果たすとしましょう)

花陽「…」キョロキョロ


花陽「…!」スッ


花陽「…」パラパラ


花陽「…」ウン


花陽(…さて)

花陽(合計1…2…、5冊の本を選んできました)

花陽(選んだ理由ですか?)

花陽(それはですね…)



花陽(なんとなく、です)



花陽(花陽はこれも古本屋の魅力の1つだと思ってます)

花陽(適当に見て回って、気になったら手に取ってみて)

花陽(普通の本屋ならここで買うかどうか迷うところなんですが、古本屋なら迷わず買っちゃいますね)

花陽(なんでだかわかりますか?)

花陽(理由はズバリ、安いからです)


花陽(新品を1冊買うお金で場合によっては10冊以上の本を買うこともできるんです)

花陽(あまり若い人は古本屋に行かないかもしれないですけど、この辺りはあまりお金を持ってない学生にも嬉しいポイントだと思うんですよね)

花陽(ちなみにこの5冊の合計は450円ほどです。漫画の単行本1冊と同じくらいでしょうか)

花陽(一度にこれだけの数を買うことってあまりないので、少しリッチな気分になっちゃいます)

花陽(では、買ってきます!)




キィ パタン



花陽「…わっ」

花陽「もうすぐ日が暮れちゃいますね」

花陽「今日はこのへんで帰りましょうか」






テクテク



花陽「少し疲れたけど、とってもいい寄り道になりました…」

花陽「収穫もありますし。…ふふっ」カサッ

花陽「こうやって、行くアテも無く歩くだけでも楽しめるんですね」


花陽「…あなたと一緒だったから、楽しめたのかな?」


花陽「…あっ、へ、変な意味じゃないですからねっ!?//」


花陽「変な意味でも構わない…?もうっ、何言ってるんですか」



花陽「…本気にしちゃいますよ?」クスッ

花陽「今度は凛ちゃんと真姫ちゃんとも寄り道して帰ろうかなぁ」

花陽「真姫ちゃん、駄菓子屋なんて入ったことあるのかな?」

花陽「…そんなこと言ったら、怒られちゃうかな」クスッ

花陽「凛ちゃんにも、面白い本を教えてあげたいなぁ」

花陽「本を読むようになれば、授業も少しはマジメに聞くようになる…はず」


花陽「…ふふっ」


花陽「さて、この買った本だけど…」

花陽「少し夜更かししてでも、1冊は今日中に読んじゃいたいかも…」ムムム


花陽「…うん、そうしましょう!」

花陽「今夜は久しぶりの、夜更かし敢行です!」

花陽「早く寝たほうがいい?ふふふ、ご心配には及びません」


花陽「なぜなら、花陽は未だかつて夜更かしに成功したことがないからですっ!」ドヤァ


花陽「…どや顔するところじゃない?あれ?」

花陽「…あっ、いつの間にか家の前まで来てもらっちゃってたんですね」

花陽「もう夜だから?…ありがとうございます!あなたって、優しいんですね♪」

花陽「えっと、それじゃあ…」


花陽「今日は楽しかったです!突然だったのに付き合ってくれてありがとうございました!」


花陽「また会いましょうね!絶対、ですよ?」


花陽「おやすみなさい♪」

おわりです。
下校デートって良いよね…。
では。

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