城島「“下地作り”をはじめた少女たち」 (49)
ガチャ
城島「帰ったで~…」
国分「おかえりー」
山口「オーデどうだった?」
真美「それが…」
伊織「納得いかないわよ!なんでこの伊織ちゃんが落とされるワケ!?」プンプン
やよい「あう~…」
城島「まさかの全滅や……」
松岡「まぁ決めるのは向こうだからな」
伊織「ふん、審査員の見る目がないのよ。それか、あんたたちが疫病神かのどっちかね」
長瀬「リーダーは福の神だよ」
国分「なんやかんやで20年続けられたし」
山口「植物から傷薬作っちゃうくらいだしな」
伊織「!?」
城島「いやいや、はっはっは」
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亜美「兄ちゃん、亜美もっとテレビに出たーい!」
やよい「このままだと今月の給食費が払えません…」
城島「せやなぁ。一体何がアカンのやろ」
国分「リーダー何かやらかしてない?」
城島「なんもしてへんよ。挨拶の時にちょっと傷薬配っとるくらいや」
松岡「大っぴらにやらかしてんじゃねえか」
小鳥「プロデューサーさん。もしかしたら、この宣材写真が原因かもしれません…」スッ
城島「うわっ。着ぐるみやら何やら、変わっとるなぁ」
真美「洗剤?ジャバジャバするの?」
城島「ちゃうって。宣材っちゅうのはオーディションのエライ人に見てもらうもんやねん」
やよい「この写真、社長に褒めてもらったんですー!」
山口「よしよし」ナデナデ
やよい「えへへ♪」
城島「…やよいちゃん持って帰ってもええ?」
伊織「アンタ、やよいに何かしたら一生後悔させてやるわ…」ゴゴゴ
城島「目一杯ご飯食べさせてあげよ思ってな」
松岡「兄弟も一緒にな」
伊織「え? あ…そ、そうね…」
伊織(こういう所は、常識人なのよね)ホッ
長瀬「とりあえず律っちゃんに相談しようよ」
律子「えっ、宣材を撮り直す…?」
城島「せや。この宣材はアカンて」
律子「そりゃあ、私だって今のがベストとは思いませんけれど…」
真美「宣材変えたらお仕事いっぱいだよ?」
やよい「給食費も払えますー!」
山口「だん吉のチューンナップもできる!」
長瀬「つれたか丸も復活できる!」
松岡「それ終わっただろ」
律子「気持ちはわかるけど…新しい衣装を買って、ほとんどお金がないのよ」
国分「そこを何とか!律っちゃん!」
城島「娘のお見合い写真を撮り直すような感じで」ボソッ
律子「私、まだそんな年じゃありません!!」
長瀬「それリーダーでしょ」
松岡「だから早く結婚しろって。オレ心配で夜も眠れねえよ」
城島「今その話ええやん…」
国分「でも、将来の先行投資だと思えばね」
律子「先行投資、ですか……」
律子「…よし、わかったわ。正直厳しいけど、撮り直しちゃいましょう!」
「「わーい!!」」
長瀬「衣装探さなきゃ…」
国分「ジャージ以外で何かあったっけか」
松岡「作業着とクワ忘れんなよー」
城島「僕はあれしかないなぁ」
律子「えっ? 撮るんですか」
山口「プロデューサー兼アイドルですから」
律子「そうと決まればスタジオに連絡を…」
城島「僕はオーデ会場行って、春香ちゃんたちの様子見てくるわ~」ガチャ
国分「リーダー、階段気をつけて」
松岡「転ぶなよー」
城島「そこまで年いっとら……」
ドンガラガッシャーン!!
山口「はい、お約束」
真美「はるるん帰ってきたのー?」
***
千早「宣材、撮り直すんですか」
城島「せや。あたた…」
貴音「前のではいけなかったのでしょうか」
千早「どうなんでしょうね。…春香?」
春香「オーディション緊張しちゃって…。心臓飛び出しそう…」ドキドキ
城島「なら待っとき。手作りのええもん持ってくるからな」
春香「お願いします…」
千早(手作り?)
貴音(食べ物でしょうか)ワクワク
城島「こんなこともあろうかと、準備しといてよかったわ~」タタタ
ドンッ!
城島「おわっはぁ!」ドテッ
?「危ねえんだよ!気をつけろ…って」
城島「す、すんません…」ペコペコ
?「アンタ…もしかして、TOKIOの城島リーダー……!?」プルプル
城島「せやで。君は…?」
冬馬「お、おおおお俺、天ヶ瀬冬馬って言います! 961プロでアイドルやってます!」
城島「おっ、そうなんか~。よろしくな」
冬馬「小さい頃、リーダーが体張っているのをテレビで見て……それがキッカケでアイドルを目指したんでふ!」
冬馬(噛んだ!!)
城島「ほんま? いやぁ、そう言ってもらえると嬉しいわ~」ニコニコ
冬馬(くっ、何て笑顔だ…! こっちまで癒されちまうぜ…)ドキドキ
城島「…っと、春香ちゃんたちが待っとるな。ほな、仕事がんばりや~」タタタ
冬馬「あっ、リーダー…」
冬馬(今はまだ未熟だけど…いつかトップアイドルになって、絶対にリーダーと共演してやるぜ…!!)グッ
***
律子「あ、はい、そうですか…わかりました」ガチャ
山口「どうだった?」
律子「いつものスタジオ、予約でいっぱいらしいです。他にかけてみますね」
城島「ただいま~」
春香「ふぅ…」
松岡「おー、オーディションどうだった?」
千早「プロデューサーの差し入れで落ち着いて臨めました」
長瀬「へー、何もらったの?」
春香「ビワです」
山口「え?島の?」
城島「せや。食べ終わったら、種集めてコーヒーも作ったんよ」
国分「は?」
山口「あれあげたの?本番直前に?」
城島「手作りビワコーヒー意外に人気でなぁ。貴音ちゃんなんて…」
貴音「種…種を集めねば…」キョロキョロ
松岡「元に戻せ」
律子「…はい、そうですか。後でかけ直します」ガチャ
長瀬「空いてた?」
律子「空いてましたけど…ここは予算的に厳しいんですよ。う~ん」
松岡「……」
松岡「おいおい、律っちゃんばかりに任せちゃいけねえよ!こういう時こそオレらプロデューサーの出番だろ!」
城島「松岡の言う通りや!僕らもやったるで!」
「「おうっ!!!!」」
律子(ふふ、プロデューサーも色々考えてはくれてるのよね)
城島「まずは問題は何かってことやな」
国分「そもそも事務所にお金がないんだよね」
山口「そこだよな」
「「………」」
長瀬「紙幣作る?」
山口「作るってどのレベルから?和紙から?」
松岡「いやいや楮からだろ」
城島「じゃあ僕、財務省で許可もらってくるわ~」
律子「ス、ストップ!!ストーップ!!!」
※楮(こうぞ):和紙の原料。DASH村で栽培して和紙を作った。
律子「どうしてそうぶっ飛んだ発想になるんですかっ!」
松岡「そんなにぶっ飛んでた?」
国分「企画いつもこんなもんだよ」
律子(いつもって……)
城島「まあ、律っちゃんの言う通りや。要は写真が取れればええねん」
「「……」」
山口「じゃあ、スタジオ作るか」ポン
松岡「それだな」
国分「いらなくなった機材集めてくるよ」
長瀬「部屋は社長室使いましょう」
城島「じゃあ僕、専門家に聞いてくるわ~」
律子「!?」
────
───
国分「リーダー、ライトの向きこれでいい?」カチャカチャ
城島「ええよー」
山口「おーいカメラの部品足りないぞー。ファインダースクリーンどこだよ」ゴソゴソ
松岡「長瀬、そこの布取って」
長瀬「うす」スッ
カンカンカンカン
キュイ──────ン
社長「き、君たちは私の部屋で何を…?」
城島「スタジオ作るんですー」
社長「えっ」
-スタジオ- ドドーン
城島「ええ感じやな」
山口「我ながらいい出来だ」
国分「家屋とか舟屋に比べれば楽だったね」
松岡「どう、律っちゃん?オレらやる時はやる男だから」フフン
律子「」
長瀬「いいよいいよ~。律っちゃんこっち向いて~」パシャパシャ
小鳥「プロデューサーって何でしたっけ…?」
社長「職人…かな…」
社長(私の部屋が……)ズーン
城島「じゃあ、みんな撮影の準備しいや~」
「「はーい!」」
真美「今度はどういう風に撮ろうかなぁ?」
伊織「ふふふ、私が教えてあげるわ」
亜美「いおりん!」
伊織「いい?アイドルの頂点に立つためには…個性よ!個性が大事なの!」
亜美「おおー!」
真美「でも、個性って?」
伊織「そ、そうね……人より目立ってることかしら?」
真美「なるほど~」フムフム
小鳥「『村に続いて無人島を開拓』かぁ。最近目立ってるわね…この某グループ」
亜美「…でもどうやって?」
伊織「どうやって…?え、えっと…」
伊織「と、とにかく皆をビックリさせればいいのよ!」
真美「そっかー!」
やよい「伊織ちゃんは物知りだねー」
小鳥「『絶滅危惧種を次々発見、専門家も驚き』って、えええっ!?」ギョッ
真美「じゃあじゃあ、真美もみんながビックリするような衣装にするー!」
やよい「例えばどんなの?」
真美「う~ん?それは…」
長瀬「イノシシとか」
伊織「!?」
真美「兄ちゃん、イノシシだとみんなビックリする?」
長瀬「畑に出れば、そりゃあもうビックリだよ!!」
真美「じゃあそれー!」
亜美(畑?)
伊織「…と、とにかく!イノシシでもクマでも何でも来なさいっ!」
真美「さっすがいおりん!」
亜美「いおりん!いおりん!」
伊織「にひひっ♪ スーパーアイドル伊織ちゃんに不可能はないわ!」
松岡「うおおおおぉ!!いおり──んっ!!」
長瀬「いおりんっ!!いおりんっ!!」
城島「みんなで胴上げやー!!」
国分「いおりん!!わっしょい!!」
山口「わっしょい!!わっしょい!!」
「「ワァァァァァァ!!」」
伊織「って、やりすぎよ!!」ペシーン
やよい「わぁ~すごく広いね~」
真美「衣装部屋も作ってあるー! すごーい!」
亜美「いおりん、これ兄ちゃんが縫った衣装なんだってー」スッ
伊織「えっ、手作り?」
シャッ
あずさ「どうですか? 私、太って見えませんか…?」
律子「ぜーんぜん!プロデューサーもそう思いますよね?」
城島「いやぁ~ほんまキレイやな」
松岡「こんな母性に溢れる人なかなかいないっすよ!」
国分「もうねオーラが出てるよね」
山口「俺らには出せない魅力だな」
長瀬「いいっすよ~。こっち向いてくださ~い」パシャパシャ
あずさ「あ、あら~♪」テレテレ
伊織「ふん、鼻の下伸ばしちゃって」
やよい「でも、あずささん素敵だよね」
伊織「そ、そうね…」
伊織「……」
伊織「…作戦変更よ。私たちに足りないのは、大人の色気よ!」
真美「おお~!」
亜美「ボンキュッボンですな!」
伊織「とにかく、あずさに負けないように私たちだってやるわよ!」
やよい「うん!」
真美「カモーン…」
「「フェロモーン!」」
松岡「リーダーちょっと臭うよ」
長瀬「加齢し
城島「フェロモンや」
───────────────
♪ 私はアイドル / TOKIO
作詞:中村恵 作曲:佐々木宏人
───────────────
真美「まずはメイクだね」
やよい「まぶしい…」
伊織「そう、このキラキラメイクであずさに差をつけるのよ!」
亜美「それじゃ、ここをこうして…」ゴソゴソ
?「はぁ~今のメイクは色々あるんやなぁ…」
亜美「お次はバストアップだね!」
真美「いろいろ詰めて……」ギュギュッ
やよい「伊織ちゃん、どうかな?」
伊織「まだまだよ。これくらいは詰めておかないとね!」ギュッギュッ
?「なるほどな~」ギュッ
伊織「そして最後はチラリズム!」
やよい「本当にスカート切ってもいいの…?」
伊織「もちろんよ。思いっきりやってちょうだい!」
亜美・真美「そいやそいやそいやー!!」チョキチョキ
国分「ねぇリーダー知らない?」
山口「さっき着替え部屋入るの見たけど」
松岡「伊織ちゃんたち着替えてんだからそれはねえだろ」ハハハ
長瀬「いいっすよ~こっち向いてくださ~い」パシャパシャ
あずさ「プロデューサーさんはカメラもお上手ですね~」
伊織「お待たせしましたー!」
長瀬「んんっ?」
松岡「おおおおおおっ!?」ビクッ
伊織「あら?刺激が強すぎたかしら?」
真美「んっふっふ~」
亜美「気持ちはわかるけどね~?」
国分「どうなのこれ?」
山口「俺らメイクしないからわかんないよ」
律子「ちょっと!メイクも服装もメチャクチャじゃない!遊んでるんじゃないのよ!?」
伊織「な、何よ。私たちだってマジメに…」
?「お待たせしました~」ヌッ
律子「プロデューサー!これ見てくださ……」
茂子「なんや、どうかしたんか?」
松岡「お前もか────!!」
律子「あなたは何考えてるんですか───!!」
長瀬「律子&茂子」パシャパシャ
***
松岡「化粧は落ちたかー?」
やよい「はい……」
国分「まぁ話はわかったけど…」
伊織「じゃあどうすれば良かったのよ!」
亜美「亜美たち、チョー個性的だったじゃん…」
山口「なるほど、個性か」
松岡「いろいろ考えてると思うけど、とりあえずそこのおばさんに聞いてみな」
茂子「……律っちゃんに怒られてもうた…。どないしよ、達也兄ちゃん」グスッ
山口「知るかよ」
伊織「ねぇ、プロデューサー。個性って何よ」
城島「個性?うーん、個性か…」
真美「うんうん」
城島「個性っちゅうのはあれや、あれ。んー…ここまで出かかっとるんやけど…」
伊織「…頼りにならないわね。それなら別に撮り直さなくたって…」
城島「ま、まあまあ…せっかくやし一緒に考えてみようや」
城島「まず、宣材はみんなを紹介するのに大切な物なんよ。言うてみれば下地や」
やよい「下地?」
城島「せや、何事も基本から始めていかなあかんねん。つまりは土やな」
亜美(土?)
城島「次は土を良くするために石灰撒くんよ。すぐに種植えたらアカンで」
城島「そんで待望の種まきや。時期に合ったものを選んでな~」
城島「あとは毎日水をあげながら収穫の時期を…」ワクワク
真美「兄ちゃん…」
伊織「アンタ何の話してるのよ」
城島「話ずれてもうたけど……個性っちゅうのは“自分らしさ”ちゃうんか?」
城島「誰かのマネやなくて、自分だけの何かを見つけることやと思うよ」
伊織「……」
やよい「プロデューサー…」ジーン
真美「兄ちゃん…」ジーン
城島(決まった……!)グッ
伊織「ふ、ふん。たまにはまともなこと言うじゃないの」
城島「僕もみんなのプロデューサーやからね」ニコッ
山口「そんなシゲちゃんの宣材見る?」スッ
城島「あ、ちょ」
伊織「!? ちょっと!タモリさんのマネしてるじゃないの!!」
国分「おっ Mステ」
松岡「リーダーの写真なら俺も持ってるぞ」スッ
亜美「うわぁ~…。はい、いおりん」スッ
伊織「え、ええ…って、きゃああぁぁぁぁ!? 裸じゃないのよ!」バシーン
城島「そんなことあらへん!必ず僕の顔が…」
伊織「一緒よ!伊織ちゃんに何てもの見せるのよ! この変態!ド変態!変態大人っ!」ゲシゲシ
城島「ひいいい……」
国分「おお、これが噂の」
長瀬「」ゾクゾク
山口「長瀬」
伊織「…これでどう?プロデューサー」
城島「お~、着替えたんか。今度はうさちゃんも一緒やな」
伊織「シャルルよ。コンセプトはナチュラルプリティーな伊織ちゃんね。…どう?」
山口「ナチュラル?」
松岡「ノーメイク?」
国分「自然派アイドル?」
伊織「いやそこじゃなくて」
やよい「うっうー!私はいつもの服で撮ってもらいますー!」
真美「亜美はこのアングルが一番っしょー!」
亜美「真美はこう…ズバーって感じでー!」
城島「みんな、自分らしさ見つかったんやな」ポンポン
伊織「……ええ、そうね」
伊織「いつも通り、いい感じ」クスッ
***
ワイワイ
律子「うん、まずまずってところですかね」
小鳥「まずまずどころか見違えるくらいですよ!事務所にスタジオもできたことですし」
律子「それは予想外というか何というか…」
やよい「プロデューサー!善澤さんにみんなの写真褒められちゃいましたー♪」
城島「はっはっは、頑張った甲斐があったなぁ」
伊織「ふん。まぁね」
長瀬「俺も善澤さんにカメラの腕前褒められたー!」ニッコニッコ
城島「思い出し長瀬。まだまだや、まだまだ」
長瀬「…! リーダー、俺…もっと撮影上手になるから…!」
城島「その意気や!」ガシッ
伊織「え、何よ一体…」
やよい「あの、プロデューサー。手をあげてもらっていいですか?」
山口「こう?」スッ
国分「はい」スッ
やよい「ほら、伊織ちゃんも」
伊織「ええ」スッ
やよい「プロデューサーみんなと一緒に…。うっうー!いきますよー?」
松岡「よくわかんないけど、来い!」
城島「痛くせんといてな…」ビクビク
やよい「ハイ、ターッチ! いぇい!」パーン
長瀬「いええええい!!」
伊織「にひひっ♪」
────
───
城島「…ええかみんな。今日気付いたんやけど、アイドルのプロデュースっちゅうのは野菜作りと一緒なんや」
国分「いい土からはいい野菜ができる。下地が大切なんだよね」
山口「そのためには立派に育つ環境も俺たちが整備しなくちゃ」
松岡「いい野菜(アイドル)を育てるためには、オレらがしっかりと耕(プロデュース)していかねえとな!」
長瀬「みんなと一緒に、最後までやりましょう!アイドルプロデュース!!」
城島「765プロの快進撃はこれからや!! 結束の……ハイ、ターッチ!!」
「「っしゃあ!!!!!」」スパァーン
おわり
以上です。結構いいペースで水路づくり進みそうですね。
前作、
城島「これからが僕たちのはじまりや」もよろしければどうぞ。
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