ブラックジャック「西住流ねぇ」 (55)

BJ×ガルパンです
話を作るためにガルパンの方はいろいろと改変してます
前作
ブラックジャック「艦娘だと?」
ブラックジャック「艦娘だと?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468671833/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1472809837

黒森峰対プラウダ

みほ(まだ戦車のなかに選手が……)

ザブーン

みほ(あと一人……よしつかんだ!)

ゴゴゴゴゴ

みほ(履帯が急に!?あ!?)

グイイイイイイイイイイイ
ブチブチブチブチ

みほ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!――――」

地上

まほ「みほはまだ戻らないのか!?」

エリカ「私も入ります!!……あ!隊長!!副隊長です!!」

まほ「みほ!」

ザブザブ

みほ「お姉……ちゃん?」

まほ「みほしっかり……っ!!」

エリカ「隊長!副隊長!!」

まほ「救急車だ!エリカ救急車を早く!!」

エリカ「どうしたんですか!!」

まほ「それから……みほの右腕を探せ!!早く!!」

エリカ「右腕?うっ!?」

BJ宅

ピンポーン

BJ「ピノコ、出てくれ」

ピノコ「あーい」

ガチャ

ピノコ「どちらちゃまでちゅかぁ~?」

辰巳「やぁピノコちゃんブラックジャックいるかい?」

ピノコ「あ!映画の!んーとんーと、たちゅみちぇんちぇー!」

BJ「誰だったピノコ?……なんだ辰巳じゃないか」

辰巳「久しぶりだね、あの映画の時以来か」

BJ「あぁ、あン時は世話になったね」

辰巳「いやいや、あの映画のおかげで僕も仕事にありつけたからね、お互いさまさ」

辰巳医師:BJの大学時代の級友で現在も付き合いのある数少ない友人。大病院に勤めていたがとある手術をBJに頼み、BJが執刀したことを自ら明かし、無免許医に手術をさせた責任を取らせる形でクビになった。その後はBJの出演する学術映画に無免許医である彼の代わり身として出演した。

BJ「そいつは結構、それで一体何の用だ?」

辰巳「それが、頼みがあるんだよ」

BJ「頼み?どうしたんだ」

辰巳「ある女の子の手術を依頼したいんだ」

BJ「またか?お前も懲りないな、あのピアニスト少年の時を忘れたのか」

辰巳「木村君の時もそうだが、患者のことを考えると君に頼むのが良いと思ったんだ」

BJ「相変わらずお人好しだな、お前さん」

辰巳「とにかく僕の病院へ来てほしい、頼むよ」

BJ「フム……まぁ映画の時の借りもあるしな、とりあえず見に行こう」

辰巳「あぁ!ありがとう、恩に着るよ!」

車内

BJ「で、患者というのは?」

辰巳「16歳の女の子だ、先日とある事故がきっかけで右手を切断したんだが……」

BJ「事故?」

辰巳「そう、戦車道は君も知っているだろう?」

BJ「あぁ、女たちが戦車に乗って戦うやつか」

辰巳「その戦車道だ、僕はいま学園艦で医者をやっててね、彼女はそこの生徒というわけだ」

BJ「学園艦か、つまり今は寄港中ってことかい?」

辰巳「あぁ、この近くの港で停泊してる」

黒森峰学園艦病院

辰巳「彼女が患者である西住みほさんだ」

みほ「西住……みほです……」

BJ「ふむ、まずは診察だな」

………………

BJ「カルテを見る限りは切れたというより捩じ切れたといった方が適切なようだな」

みほ「……」

辰巳「あぁ、彼女は二か月前に戦車道の試合中に川に落ちた仲間を助けていたんだが運悪く腕が戦車に挟まれてしまってね」

BJ「まぁ切断されているとはいえ切断面もきれいに治っているし別段問題はなさそうだ、オレのでる幕じゃあ無いね」

辰巳「そりゃ俺だって腐っても外科医だ、その程度の手術はできるさ」

BJ「なら何故俺を?」

辰巳「これは彼女の母からの依頼なんだが……腕をもう一度付けてほしいそうだ」

BJ「何?」

辰巳「彼女の家は戦車道の家元でね、どうしても彼女もう一度戦車道に戻れるよう腕を繋ぎ直してもらいたいそうだ」

BJ「馬鹿な、犬や猫の足じゃあないんだぜ、切断された直後ならともかく二カ月もたってから腕を付け直すなんざバカバカしくてしょうがない、元の腕も流されてどこにあるか分からないそうじゃないか」

辰巳「まぁそうなんだが……」

BJ「それに俺が家柄とかそういう物が嫌いなのは知っているだろう」

辰巳「そうだったね、いやすまなかったわざわざ来てもらって」

BJ「いくらお前さんの頼みでもこればっかりは断るぜ、じゃあな」

辰巳「あぁ、わざわざありがとう」

辰巳「すまないね、期待させてしまった」

みほ「いいんです……私別に戻らなくても……」

辰巳「とりあえず義手で何とかしよう、戦車道はできないかもしれないが」

みほ「はい」

辰巳「君のお母様にも報告しないと……」

数日後
BJ宅

TV『次のニュースです、学園艦勤務の医師が生徒に対する暴行の疑いで逮捕されました』

TV『逮捕されたのは黒森峰学園艦病院の医院長、辰巳旭容疑者で学園の生徒に対して性的暴行を加えた疑いがあります、調べに対し辰巳容疑者は「身に覚えがない」と容疑を否認しており……』

ピノコ「アッチョンブリケー!!」

ピノコ「ちぇ、ちぇんちぇーーー!!たいへん!!たいへんなのよさ!!!!」

BJ「何だ騒がしい」


ピノコ「たちゅみちぇんちぇーが逮捕されちゃったのよさ!」

BJ「何だと!?」

ピノコ「これ!これ見て!!」

BJ「……まさか」

留置所

辰巳「あぁ、君か……やられたよ、まさかこんな手を使ってくるとは」

BJ「一体どうしたっていうんだ?」

辰巳「例の彼女の親に「手術は無理だ」と言ったらその報復がこれだ、医師免許は剥奪、また無職に逆戻りさ……」

BJ「俺が手術を断ったからか」

辰巳「いや、君のせいじゃないよ、俺が恨みを買ってしまっただけのことだ」

BJ「……待ってろ、すぐにそこから出してやる」

辰巳「え?どうするってのさ」

BJ「俺があの娘の手術をすればいいんだろ?」

辰巳「だがあの時は無理だって」

BJ「あん時は断ったができない手術ではない、あまりやりたくはないがね」

辰巳「ブラックジャック……」

BJ「あの娘の親はどこにいる?」

辰巳「熊本だよ、戦車道の家元だから少し探せばすぐにわかると思う」

BJ「わかった、待ってろよ辰巳」

一週間後
熊本県西住邸

ピンポーン

菊代「はい、どちら様でしょうか」

BJ「私はブラックジャックという者だが、家元はいるか?」

菊代「……お待ちしておりました、どうぞおあがりください」

BJ「私が来るのも想定内か」

―――

菊代「奥様、ブラックジャック先生がお見えになられました」

しほ「お入りください」

BJ「あんたが西住流の家元か」

しほ「えぇ、西住流家元、西住しほでございます」

BJ「アンタか、辰巳を警察にぶち込んだのは」

しほ「辰巳?あぁあの三流医師ですか」

BJ「ふざけるな!手術をしてほしいなら私に言えばいいだろう!!」

しほ「調べたところによると貴方は大金さえもらえばどんな手術もやるとおっしゃっているようですが、その実ポリシーに反する手術は断ることもあるとか」

BJ「だから辰巳を巻き込んだのか」

しほ「手術さえしていただければ良いのです、そうすれば辰巳先生の身は元通りに」

BJ「いいだろう、ただし手術費用は別に貰う、現金で3000万だ」

しほ「すぐに用意させます、みほは市内の総合病院におりますので手術の方はよろしくお願いします」

BJ「それからすぐに辰巳先生を解放しろ、医師免許もだ!」

しほ「わかりました」

総合病院

ガラガラ

BJ「失礼する」

みほ「アナタは確か……ブラックジャック先生、どうしてここに」

BJ「君の手術を行うことになった、君の母親に人質を取られてね」

みほ「人質?」

BJ「なんだ知らんのか、君の母親は辰巳先生を人質に取ったのさ」

みほ「辰巳先生を!?」

BJ「あぁ、彼は今、身に覚えのない事件の容疑者として留置場にいる」

みほ「そんな……お母さん、なんでそんなこと……」

BJ「とにかく、君には私の手術を受けてもらう、腕を繋ぐ手術をね」

みほ「そんなことができるんですか?」

BJ「そのためにわざわざ君と同じ年頃の死体を用意した、さぁすぐにオペを始めるぞ」

オペ室

BJ「これより右腕の移植手術を開始する」

BJ「メス」

スー
スパッ

助手「信じられない、なんて正確な手さばきだ……」

助手2「まるでロボットだ……」

……

BJ「術式終了」

……

西住邸

しほ「それで先生、手術の方は」

BJ「右腕は問題なくつないだ、リハビリ次第では以前とほぼ変わらない程度までには動かせるようになるだろう」

しほ「ありがとうございます先生」

BJ「約束通り辰巳医師を釈放しろ」

しほ「先生、申し訳ありませんでした」

BJ「なんだ、今更土下座なぞしても手術料は負けないぜ」

しほ「分家の者が勝手に致したこととはいえ今回のことは西住流の不始末、大変申し訳ございません」

BJ「分家?どういうことだ」

しほ「言い訳になりますが今回の辰巳先生の一連の事件は私たちのあずかり知らぬところで起きていたのです」

BJ「何?」

しほ「先生がみほの手術を断ったことを知った分家の者が本家である我々に媚びを売ろうと行ったことです、私たちはそれを利用しました」

BJ「……」

しほ「当該の者は昨日付けで破門いたしました、私も先生がおっしゃるなら西住流から離れようと思います」

BJ「なぜ最初からそう言わなかった」

しほ「……我が子可愛さにどうしても先生に手術をしていただきたかったのです」

BJ「ふん、まぁ私としては辰巳が釈放されればあとはどうでもいい、アンタも好きにしなさい」

しほ「先生……」

BJ「さて、私は帰る、後のことはこの病院に任せればいいでしょう」

しほ「先生、本当にありがとうございました」

数カ月後
茨城県某山中

ブロロロロロ

BJ「クソ、なんだってこんな大雨に……ん?あれは……」

キキー

BJ「おいアンタ、どうしたんだこんなところで」

???「あ、アナタは……」

BJ「ん?お前さんは確か西住とかいう……」

みほ「ブラックジャック先生……」

BJ「風邪ひくぜ、乗りな」

みほ「ありがとうございます……」

車内

BJ「お前さんどこへ行こうと?」

みほ「……」

BJ「まさかとは思うが、自殺しに来たんじゃなかろうね」

みほ「!」

BJ「やっぱりな、多いんだよこの辺りは昔から」

みほ「多い?」

BJ「大方山の向こうにある湖で入水自殺でもしようかと考えてたんだろう?昔全く同じことをしようとした妊婦をひろったよ」

みほ「その人はどうなったんですか?」

BJ「さぁ?まぁとにかくこんな大雨の日は……」

ドザー!!!

BJ「やっぱりな、この辺は地盤が緩くてね、土砂崩れが多いんだ、この上に山小屋がある、そこで一晩明かすかね」

みほ「……」

山小屋

BJ「それで、お前さんなんで自殺なんて馬鹿なことを考えたんだ」

みほ「……もう私がいる意味なんてないんです」

BJ「意味がない?」

みほ「私が腕を無くした時、黒森峰は10連覇のかかった大事な試合中でした」

BJ「……」

みほ「私のせいで10連覇は無くなって、お母さん……家元からも破門を言い渡されました……」

BJ「お前さんの右腕はもう動くだろう、なぜ?」

みほ「負けたからです」

BJ「負けたから?」

みほ「撃てば必中、守りは固く、進む姿に乱れ無し」

BJ「なんだそれは」

みほ「西住流の教えです、私はそれを守れなかった」

BJ「……」

みほ「家族にも見捨てられた私にこれ以上どうしろって言うんですか!」

BJ「……これは昔話だがね、あるところに間という少年がいた」

みほ「……」

BJ「彼はある時、母親と大きな事故に巻き込まれてそりゃあもう見るも無残な有様だった」

BJ「両手両足はバラバラ、内蔵もぐちゃぐちゃ、生きているのが奇跡だったが優秀な医者のおかげで一命はとりとめた」

BJ「母親は間少年以上に悲惨な状況でね、生きているのがやっとだった」

BJ「そんなとき、父親は愛人を連れて外国に失踪、母親も死んだ、残された少年はどうしたと思う?」

みほ「どうしたんですか?」

BJ「……復讐を誓ったのさ、事故を起こした責任者たちと父親にね」

BJ「それから彼は必死に生きた、復讐こそが我が命と心に決めてね」

みほ「……」

BJ「最初の数年は血を吐くようなリハビリを行い、人並みの生活を送れるようになった」

BJ「大人になってから何年もかけて当時の責任者をやっと一人見つけた、そいつに復讐し、残りの奴も死より恐ろしい目に合わせてやると誓った」

BJ「……だが結局彼は……私は復讐をやめた」

みほ「どうして?」

BJ「復讐以外に生きがいを見つけたからね、生きようとする人間たちの手伝いをするという」

みほ「生きようとする人の手伝い……」

BJ「私が手術に大金を要求するのは、その患者の覚悟が見たいからだ、医者は神じゃない、だが必死に生きようとする人間の手伝いはできる」

BJ「そうだ、いいものをみせよう、そこに鳥の巣があるだろう」

みほ「部屋の隅のあれですか?」

BJ「そうだ、この中に」

ガサゴソ

BJ「これだ」

みほ「この卵、ひびが」

BJ「そう、この前ここに来た時に地震があってね、卵が落ちちまった、その時一つは完全に割れちまったがあと二つはひびが入っただけ、だが大きな衝撃を受ければ割れちまうような状態だった」

BJ「そこで私はその二つを拾ってひびを骨ワックスで塞いでやったのさ」

みほ「孵るんですか?」

BJ「それは分からないが親鳥は一生懸命に温めてんだ」

みほ「きっと、きっと孵ります」

BJ「そうさ……親鳥は孵ることを信じてる、諦めて卵を見捨てたり、自殺もしない」

みほ「……」

BJ「西住流以外にもアンタがいる場所はあるだろう、諦めて自分を見捨てたりするなよ」

みほ「……はい」

BJ「さぁ、夜も明けた、街まで送ってやるぜ、先に車に乗ってな」



BJ「さぁ、後はお前さんの好きにするといい、できればもう会わずに済むことを祈ってるぜ」

みほ「……私は先生に会いたいです」

BJ「どうして?」

みほ「それは……///」

BJ「ふん、下らない、こんなヤクザな医者なんてやめておけ、それじゃあな」

ブロロロロロ

BJ「まったく柄にもない話をしちまった、あの子の目、恵に少し似ていたからかな」

数カ月後
大洗

麻子「みほ、これ」

みほ「え?何これ?」

麻子「今日おばあの付き添いで病院に行ったら辰巳先生が」

みほ「辰巳先生が?」

みほ「……あっ!ちょ、頂戴!!」

優花里「どうしんですかそんなに慌てて」

沙織「あやしー……まさか辰巳先生からラブレター!?」

華「そういえば以前からのお知り合いだそうでしたね」

みほ「ち、違うよ!!これは……その……」

沙織「みぽりん顔赤―い……獲った!!!」シュパ

みほ「あぁ!!」

沙織「さーて中身は……写真?」

優花里「な、なんだかちょっと怖い人ですね」

華「顔もツギハギだらけですし……俳優さんですか?」

みほ「その人は……お医者さん」

麻子「医者?」

みほ「以前、お世話になったからその……記念に」

優花里「普通は記念にこんなもの貰わないんじゃ」

沙織「みぽりんってこういうのがタイプなんだ……」

華「なんだか意外ですね」

みほ「う……うぅ///」

BJ宅

ピノコ「ヘーックチョイ!!」

BJ「どうしたピノコ、風邪か?」

ピノコ「ちぇんちぇーを噂する女の臭いがするのよさ!」

BJ「おいおい……」

おわり

ガルパンはシナリオがある程度固まってる分前回の艦これよりも大変でした
それが中身にも反映されて前回以上に残念な感じになってしまいました……
ちなみに今回は「二つの愛」「ホスピタル」「山小屋の一夜」が元ネタです

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