シャボン玉「オレが屋根まで飛んだら消えるなんて誰が決めた?」 (31)


少年「えへへ、ストローに液をつけて、と……」チョイッ

少年「フゥーッ」プクーッ



フワァ~……


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少年「シャーボン玉、飛んだ」

少年「屋根まで飛んだ」

少年「屋根まで飛んで」

少年「壊れて消え……ないッ!?」


シャボン玉「ずいぶん驚いてやがるな、小僧」

少年「ぐっ!? なんで消えないの!?」

シャボン玉「オレが屋根まで飛んだら消えるなんて誰が決めた?」

少年「ううう……」

シャボン玉「オレは飛ぶぜ……どこまでもな!」


シャボン玉「なんなら小僧……オレん中に入ってみるかい?」

少年「えっ、いいの?」

シャボン玉「ほれ、入り口作ってやる」

少年「わーい!」

シャボン玉「いくぜ!」フワァァァ


フワァ~……

少年「わぁー、すごいすごい!」

少年「ぼくんちがあんなに小さく見えるよ!」

シャボン玉「オレの飛行能力はこんなもんじゃないぜ! スピードアップだ!」



ギュオォォォッ!


ギュオオオオ……

シャボン玉「うおおおおおお!」

少年「すごいすごい! 光る雲を突き抜けフライアウェイ!」

シャボン玉「フライアウェーイ!」

少年「あっ、ジェット機だ! ヤッホー!」

シャボン玉「あっぶね。ニアミスしちまった」

ギュオオオオ……


ギュオオオオ……

シャボン玉「大気圏外に到着だ」

少年「わぁー、ここが宇宙なんだね」

シャボン玉「ああ、どうだ?」

少年「真っ暗だけど、星がキレイだね~」

シャボン玉「だろ?」

シャボン玉「――ん? なんだありゃ?」

少年「空飛ぶ円盤だ!」




宇宙人A「この地球というらしい星の種族……放っておくと外部に進出して面倒な存在になりそうだな」

宇宙人B「まだ未熟なうちに、俺たちのミサイルでパーッと消しちまおうや!」

宇宙人A「砕けた惑星から、貴重な資源を採取できるだろうしな」

宇宙人B「どっちかっつーと、そっちが本音だよな!」

宇宙人B「さ、とっとと発射しちまおう――」

ドゴンッ!

宇宙人B「なんだっ!? 外から攻撃!?」



シャボン玉「地球に変なもん撃とうとしてるが、んなもん撃たせるかよぉっ!」

少年「そうだそうだ!」

シャボン玉「小僧、俺を内部から操ってくれ! 二人であの円盤をブッ倒すんだ!」

少年「オーケー!」

少年「モードチェンジ! 人型になるんだ!」

シャボン玉「うおおおおおおおおおお!」ブッピガン

シャボン人「よっしゃあ! これで戦いやすくなったぜ!」


少年「シャボンパンチ!」

少年「シャボンキック!」

シャボン人「おりゃああああああ!」ドゴッ バキッ

UFO「…………」グラグラッ



宇宙人A「ぬううっ!」

宇宙人B「こいつら……やりやがる!」

宇宙人B「だが、しょせん俺たちの敵じゃねえぜ! レーザー発射ァッ!」


UFO「…………」バシュッ

ズガァンッ!

シャボン人「ぐおおおおおおっ!」ガクガクッ

少年「うわあああああっ!」ガクガクッ



宇宙人A「ふん、下等生物めが」

宇宙人B「あと一発で粉砕できる! トドメを喰らわしてやる!」


少年「負けるな! シャボン玉!」

シャボン人「分かってるぜ! 全パワー出し切ってやる!」

シャボン人「地球は……消させねえっ!」ブッピガン

少年「シャボンターックル!!!」

ギュオオオオッ!

ズガァンッ!



宇宙人A「バ、バカな……」

宇宙人B「俺たちの船がこんなあっさり貫かれるなんて……!」


宇宙人B「だがッ! このミサイルの自爆機能をオンにしておいた!」

宇宙人B「地球を半壊させるには十分な爆発が起こるだろうぜ!」

宇宙人B「ざ、ざまあみやが……」

ドゴォォォォォンッ!!!





少年「悪者はやっつけたけど、ミサイルは爆発しちゃうって! どうしよう!?」

シャボン玉「…………」


シャボン玉「お前にはオレのシャボン液を塗っておく」ヌリヌリ

少年「え!?」

シャボン玉「この液を塗ってありゃ、大気圏突入も着陸も無傷でできるはずだ」

少年「ちょっと待って! なにいってんのさ!」

シャボン玉「オレは……あのミサイルの爆発を抑える!」

少年「ダメだよ! ぼくも一緒に――」

シャボン玉「お前との宇宙旅行……楽しかったぜ。あばよ!」


シャボン玉「うおおおおおおおおおおっ!!!」ギュゥゥゥゥンッ



ズオッ!!!







少年「シャボン玉ァァァァァッ!!!」


少年「……ただいま」

父「おお、お帰り。いつもより遅かったが、どこ行ってたんだ?」

母「さっき大気圏外で大きな爆発があったっていうニュースが流れてたし、心配してたのよ」

父「おいおい、いくらこの子が活発でも大気圏外までは行けないだろ」

母「フフッ、それもそうね」



少年(シャボン玉……ありがとう……)


シャボン玉飛んだ

宇宙(そら)まで飛んだ

宇宙(そら)まで飛んで

壊れて消えた



少年(だけど……ぼくは君のこと、ずっと忘れないよ……!)







~おわり~

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