モバP「うわっ、またやっちまったぁ」 (61)
『そのままの私を認めてスカウトしてくれた○○さんがいたから…貴方の期待、偽らない今の姿で…応えてみせるわ』
―――[黒真珠の輝き]黒川千秋+
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岡崎泰葉「信じられません…」
頭を抱えるPさんと、困惑する岡崎さん。
何が起きたかはすぐに予想が着いたわ。
岡崎さんのステータスを確認して、その予想は確信へと変わったの。
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[ワンモアステップ]岡崎泰葉+
Lv.70/70 コスト21
成長度 100%
攻 25202(+2000)
守 17516(+2000)
親愛度 300/300 人気度 40/40
特技 これからの気持ち 特技Lv. 10
効果 クールのフロントメンバー及びバックメンバー上位4人の攻 絶大アップ
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一見すると、おかしくないように見えるでしょ?
でも、本当はこうなるはずなの。
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[ワンモアステップ]岡崎泰葉+
Lv.70/70 コスト21
成長度 100%
攻 25282(+2000)
守 17571(+2000)
親愛度 300/300 人気度 40/40
特技 これからの気持ち 特技Lv. 10
効果 クールのフロントメンバー及びバックメンバー上位4人の攻 絶大アップ
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さて、どこが違うか分かるかしら?
……正解は、攻が80、守が55、それぞれ低いのよ。
これが何を意味するかわかるかしら。……わからない人はダメね。もっと勉強しなさい。さもないと彼みたいになるわよ。
……ええ、そうなの。
岡崎さんは非MMになってしまったのよ。
親愛ボーナスを1人分受け取り忘れたのでしょうね。
……ここ最近は何事もなかったから、ようやくしっかりしてくれたと思ったのに。全く仕方のない人だわ。
あら、ごめんなさい。私ったら自己紹介を忘れてたわ。
私は[黒真珠の輝き]黒川千秋+。
かつてはCoの片面極大特技として活躍してたの。コス比だって900代なのよ。……今でも使ってくれている人は少ないと思うけど。
メダルSRが溢れ、絶大特技がスタ10代で手に入るのが今の環境だもの。
せいぜい、フェスのバクメンくらいかしら?
まあ、私のことはこれくらいにして、岡崎さんの様子を見ましょうか。
千秋「こんにちは、岡崎さん。私達のところへようこそ」
泰葉「……あっ、こんにちは」
千秋「これからよろしくね」
泰葉「よろしく……いえ、もしかしたらすぐにお別れすることになるかもしれません」
千秋「あら、どうしてかしら」
泰葉「その……実は先程…………非MMにされてしまったんです。フリトレに出されるかもしれませんので」
千秋「ふふっ、心配しなくても大丈夫よ」
泰葉「どうしてですか」
千秋「岡崎さんは人気度をふられているでしょう。―――失礼だけどあなたのステータスを見させてもらったの。ごめんなさいね。―――人気度をふったアイドルを手放すほど、うちのプロデューサーは裕福じゃないから」
泰葉「人気度ですか……。確かにそうかもしれません。でも、非MM…ですか。……ふぅ」
千秋「ごめんなさいね。彼に代わって謝るわ。実はね、彼は過去にも何度か、非MMアイドルをうみ出しているのよ」
私たちが注意できればいいのだけど、私たちの声は彼には届かないから。
泰葉「……! それは……その、迷惑な話ですね」
千秋「率直にダメなプロデューサーといってもかまわないわ。実際、あまり優秀とはいいがたい人だから」
泰葉「そうですか。……はあ」
千秋「自己紹介をさせてもらわね。[黒真珠の輝き]黒川千秋+よ。ほとんど隠居の身だけど、ここではみんなのまとめ役をやらせてもらってるわ」
泰葉「[ワンモアステップ]岡崎泰葉+です。こちらこそよろしくお願いします」
千秋「期待してるわよ。あなたはうちでは初のバク4特技持ちなんだから」
泰葉「非MMに期待……ですか」
タッタッタッタッ
諸星きらり「Pちゃ~ん」
緒方智絵里「きらりちゃん待って…」ハァ、ハァ
千秋「あら、諸星さん。おはよう」
きらり「千秋ちゃん、おはよっ。……あっれぇPちゃんお疲れ~?」
千秋「ええ、先程ミスをしてしまってね。精神的に疲れてるのよ」
きらり「じゃあきらりが肩揉んだげるー! ぐぃー☆」
智絵里「千秋さん。おはようございます」ゼェ、ゼェ
千秋「おはよう、緒方さん。いつもありがとうね」
智絵里「いえ、そんなことないです。……あれ、そちらの方は新人さんですか?」
千秋「ええ、[ワンモアステップ]岡崎泰葉+さん。バク4持ちの期待のエースよ」
泰葉「えっ、あの、確かにバク4ですが、その……岡崎泰葉です。よろしくお願いします」
智絵里「わあ、すごいですね。[浴衣の華姫]緒方智絵里+です。こちらこそよろしくお願いします。……あっあと、向こうでプロデューサーさんの肩を揉もうとしてるのは[ラブリープリンセス]諸星きらり+ちゃんです」
千秋「……そうね。せっかくだから諸星さんにも紹介しましょうかしら」
智絵里「えっ、きらりちゃんですか?」
千秋「ええ」
智絵里「でも、きらりちゃんは……その」チラッ
泰葉「……?」
千秋「大丈夫よ。岡崎さんは諸星さんと仲良くなれるわ」
智絵里「仲良く? ……あっ、もしかして」
千秋「緒方さん、岡崎さんのことよろしくね」
智絵里「はいっ」
テクテクテク
智絵里「……」
泰葉「……」
智絵里「……えっと、泰葉ちゃんも非MMなの?」
泰葉「えっ、どうしてわかったんです」
智絵里「あっ……それは……えっと。……そ、そういえば、私も非MMなんだよ」
泰葉「あなたもですか……! ……それは大変だったんでしょうね」
智絵里「あっ、うん。そうだね。大変らしいね」
泰葉「……?」
千秋「おまたせ、諸星さんを連れてきたわ」
きらり「おっすおっす。[ラブリープリンセス]きらり+だよ☆」
泰葉「初めまして、[ワンモアステップ]岡崎泰葉+です」
きらり「……」ジー
泰葉「……?」
きらり「…………」ジー
泰葉「…あの、どうかしましたか」
きらり「…泰葉ちゃん、非MMってホント?」
泰葉「……! …はい、でもステータスは決して低くありません。親愛度1つ分だけですし、特技も10です。人気度も―――」
きらり「わぁーっ、仲間だね! きらりも非MMなんだ☆」
泰葉「えっ?」
きらり「きらりはね、Pちゃんに拾ってもらってからずーっとここにいるんだよ。あのね、Pちゃんは優しいの。非MMだからって差別しないし、売り飛ばされたりもしないんだよ。だから、心配なくても大丈夫。よかったね、Pちゃんに拾ってもらえて。非MM同士これから仲良くしようね☆」
泰葉「きらりさんも非MMなんですか……。でも、その……」
きらり「どうしたにぃ?」
千秋「諸星さん、岡崎さんを非MMにしたのは私達のプロデューサーよ」
きらり「あら、いっけなーい。きらりったら早とちりしちゃった。ごめんね、Pちゃんおっちょこちょいだから」
泰葉「はあ。……おっちょこちょいで済ましていいんでしょうか」
千秋「さて、これから他のアイドルにも紹介しようと思うのだけれど、いいかしら岡崎さん」
泰葉「……はい。よろしくお願いします」
……
……
テクテクテク
泰葉「ここのプロデューサーさんは微課金なんですか」
千秋「ええ、だからかしら。ここのアイドルはほとんどがメダルか恒常出身なの」
泰葉「そうなんですか。……あれ? 私を迎えたんですから、Co単ですよね。ということは、ここのプロデューサーさんはきらりP、智絵里Pなんですか」
千秋「いいえ。Pさんはいわゆる担当アイドルがいないの。迎えるアイドルは戦力重視で、ガチャを回すのも気が向いたときね」
泰葉「じゃあ、どうして智絵里さんときらりさんはここに?」
智絵里「えっとね、私を迎えたのは、元々育て屋さんをするためだったみたいなんだけど、Pさんが間違えて非MMにしちゃったの。それで、何度か値を下げて出品したんだけど、そのうちあきらめちゃったみたいで、それいらいずっとここにいるの」
泰葉「途中であきらめてそのままなんて……確かに、あまり優秀な人ではなさそうですね」
智絵里「ふふっ、そうだね」
泰葉「きらりさんは?」
きらり「きらりはね、転売目的で迎えられたんだ。でもPちゃんったら、抱えているうちにきらりを好きになっちゃったの。だからずーっと一緒なんだよ☆」
泰葉「そういうのもあるんですね。……あれ? 担当はいないんじゃ」
きらり「……」
泰葉「……? きらりさん、どうかしましたか」
智絵里「…………あ、プロデューサーさんは”諸星きらり”じゃなくて、[ラブリープリンセス]諸星きらり+ちゃんを好きになったの。……そうだよね、きらりちゃん」
きらり「……! そうだよっ。Pちゃんは他のきらりは持ってないけど、きらりにメロメロなの」
智絵里(泰葉ちゃん、話を合わせて。お願い)ボソボソ
泰葉(かまいませんが)ボソボソ
智絵里「ずっと持ってると愛着がわくことも珍しくないって聞くし。…ねっ、泰葉ちゃんもそういう話きいたことあるよね」
泰葉「ええと……。はい、前にいたプロデューサーさんも、バクメン落ちしたアイドルを持ってました。そういうこともあるんじゃないでしょうか」
きらり「えっへっへっへっ。そうだよねぇ」
智絵里「きらりちゃんはPさんにとっても愛されてるよね。バレンタインやクリスマスにもよく選ばれるし」
「あら、それは智絵里もでしょ?」
速水奏「今年のバレンタインは、きらりと智絵里、それから春菜だったと思うけど」
智絵里「奏ちゃん、おはよう」
奏「おはよう」
千秋「おはよう、速水さん。来たのね」
奏「ええ、きらりちゃんと仲良く話してるのが見えたからね」
きらり「……奏ちゃん、なんで来たのー」
奏「ふふっ、そこの新人さんとお話しがしたくなったの」
きらり「今はきらりが、泰葉ちゃんにみんなを紹介してあげてるんだから、奏ちゃんはいなくても大丈夫だにぃ」
奏「あら、だったら私をそのコに紹介してれないかしら」
きらり「むえー……奏ちゃんなんて嫌い」
奏「あらそう。でも、私はきらりのこと好きよ」
きらり「むえー…………きらり帰る」
タッタッタッ
智絵里「あっ、きらりちゃん。……すみません、千秋さん。わたし、きらりちゃん追いかけなくちゃ」
千秋「待ってくれるかしら緒方さん。諸星さんのことは私に任せてもらえない」
智絵里「えっ、どうしてですか?」
千秋「代わりといってはなんだけど、緒方さんには、岡崎さんにいろいろと話をしてあげて欲しいの。緒方さんや諸星さんのことを」
智絵里「……! ……わかりました。きらりちゃんのこと、よろしくお願いします」
千秋「ええ。……速水さんも、お願いね」
奏「ふふっ、ええ」
タッタッタ
智絵里「……あっ、さっきはありがとうね。話を合わしてくれて」
泰葉「いえ」
智絵里「あのね、きらりちゃんにとって、迎えられた理由は、とってもデリケートな話題なの。だから、これからも、気にしてくれるとうれしいんだけど」
泰葉「いいですけれど」
智絵里「ありがとっ」
奏「さて、自己紹介がまだだかしら。[ミッドナイトレイヴ]速水奏+よ。よろしく」
泰葉「あ、[ワンモアステップ岡崎泰葉]です、よろしくお願いします。えっと、その……」
奏「もしかして、きらりとのことかしら」
泰葉「ええ、はい……」
奏「ふふっ。そうね……説明は智絵里まかせた方がいいかしら?」
智絵里「うん、そうだね。……あのね、きらりちゃんはMMアイドルが嫌いなの」
泰葉「えっ……」
智絵里「きらりちゃんはここに来るまで、非MMって理由で嫌な思いをたくさんしてきたから」
泰葉「もしかして、いじめらたんですか?」
智絵里「わたしの口から言うのはやめておくね。でも、いろいろあったの。それで、非MM以外に心を開けなくなっちゃったの」
泰葉「そうなんですか。……あれ? じゃあ、奏さんはMMなんですか」
奏「あら、もしかして非MMだと思ってた?」
泰葉「はい。その……私に普通に接しているので」
奏「ふふっ。MMであるからって、見方を変えるアイドルばかりじゃないのよ」
泰葉「でも、きらりさんはそういう扱いをされてきたんですよね」
奏「まあ、それは否定できない事実ね」
智絵里「……でも、非MMだからって、必ず不幸になるわけじゃないよ」
智絵里「わたしは非MMだけど、自分を不幸だとは思わないよ。だって、プロデューサーさんが大切にしてくれるから。イベントでもよく選んでもらってるし。フリトレだって、最初の数日を除けば、一度も出されたことないの。―――きらりちゃんだってそうだから。確かに、昔は嫌な目にたくさんあってきたけど。……でもね、バレンタインに選んでもらえたときの、きらりちゃんの笑顔……とっても素敵だったんだよ?」
泰葉「……智絵里さんは非MMにしたプロデューサーさんを憎く思ったりしないんですか」
智絵里「最初の頃はちょっとだけ。……でも、プロデューサーさんがたくさん選んで、大切にしてくれるから、どうでもよくなっちゃったかな」
泰葉「そうですか……」
智絵里「……。えっと、やっぱりきらりちゃんの様子見てくるね。奏ちゃん、泰葉ちゃんのことお願いしてもいい?」
奏「ええ」
智絵里「泰葉ちゃん、またあとでね」
タッタッタッ
……
……
泰葉「……智絵里さんは、非MMであることを気にしてないんですね」
奏「まあ、智絵里はほとんど実害を受けてないから」
泰葉「辛い思いをしてきただろうきらりさんも、今は幸せだそうです」
奏「ふふっ。きらりの場合、少し歪んでる気もするけどね」
泰葉「でも、能力重視で迎えられた私が、選ばれることなんてあるんでしょうか」
奏「さあ、どうかしら」
泰葉「……すみません。独り言のようなものを」
奏「かまわないわ。愚痴を聞かされるのは慣れてるもの。……あら?」
佐城雪美「……」テクテク
奏「雪美ちゃんもこの子が気になってきたのかしら」
雪美「……新人さん?」
奏「ええ、それも将来有望な、ね。人気度もふってもらってるのよ」
雪美「……!」
テクテクテク
雪美「……見て。私の…ステータス」
泰葉「いいんですか? ……!」
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[マーチング☆メロディー]佐城雪美+
Lv.70/70 コスト20
成長度 100%
攻 18248(+2000)
守 18105(+2000)
親愛度 300/300 人気度 40/40
特技 はじめての音色 特技Lv. 10
効果 クールのフロントメンバー及びバックメンバー上位3人の攻守 絶大アップ
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泰葉「……コスト20で18k前半?」
雪美「どう…?」
泰葉「もしかして即特訓? ひどすぎる……」
雪美「……」
奏「……あら」
泰葉「かわいそうに。きっと辛い思いをたくさんしたんでしょうね」
雪美「……」ムスー
泰葉「どうしましたか?」
雪美「……」プイッ、タッタッタッ
泰葉「えっ?」
奏「ふふっ、怒らせちゃったみたいね」
泰葉「私なにかいけないことをしましたか?」
「雪美ちゃんは同情してもらいたかったのではなくて、自慢したかっただけですのよ」
泰葉「自慢……?」
涼宮星花「初めまして、[小悪魔お嬢様]涼宮星花+ですわ。[ワンモアステップ]岡崎泰葉+さんですわね。千秋さんからお話は聞いてます。これからよろしくお願いしますわね」
泰葉「こちらこそよろしくお願いします。……それで、さっきのはどういう意味でしょうか。非MMが自慢ですか…?」
星花「ふふっ。そこではありませんわ。雪美ちゃんの自慢は、人気度です」
泰葉「そういえば、人気度が最大までふられていましたね」
星花「人気度はPさまに大切にされている証ですから。雪美ちゃんにとっては自慢なのですわ」
泰葉「でも、非MMの時点で大切にされてるとは思えませんが……。もしかして、雪美ちゃんもきらりさんと同じように、他のプロデューサーのところから来たんですか?」
星花「いいえ、雪美ちゃんを非MMにしたのはPさまですわ。でも、大切にする方法はひとつだけじゃないのですのよ」
泰葉「ひとつじゃない……イベントで選ばれることですか?」
星花「ふふっ、それもひとつの方法ですわね。でも、私が言いたいのは、別のこと。―――LIVEで活躍させてもらうことですわ」
泰葉「LIVEで活躍……そんな当たり前のことがですか?」
星花「当たり前のことではないのですのよ。………属性が合わない。特技が合わない。ステータスが低い。―――LIVEに出させてもらえないアイドルの方が多いのですから」
テクテク
雪美「P……わたしをたくさん…使ってくれるよ」
奏「あら、雪美ちゃん。戻ってきたのね」
雪美「Pが悪く言われるの……嫌。Pはいい人…だよ。星花もそう思う…よね」
星花「ふふっ、もちろんですわ。―――泰葉さん。実は私も非MMなんですの」
泰葉「あなたもですか……?」
星花「はい。けれど、わたくしは長い間デハフリーダーをつとめさせていただきましたの。今は乃々ちゃんに役目を譲り、隠居の身ですが」
雪美「私も…非MMだけど…現役だよ」
奏「雪美は特訓されて以来、ずっと10人フロントのレギュラーよ」
星花「LIVEに出させてもらえるのは期待されている証であり、とても光栄なことです。それはMM、非MM、どちらであろうとも。どうか泰葉さんも、非MMであることに囚われず、堂々と歌い、踊ってください」
泰葉「……」
……
……
泰葉「奏さん、ここの人たちはたくましいですね」
奏「ふふっ、そうね」
泰葉「私は非MMになってしまったことに不満を抱くばかりだったのに。なんだか恥ずかしいです。こんな私でも活躍できるんでしょうか」
奏「さあ、どうかしらね。私は非MMじゃないから分からないわ。でも、あなたの方が私より高スペックだったと思うんだけど、気のせいかしら」
泰葉「ふふっ、そうでしたね」
ガヤガヤ
奏「あら、ようやく準備できたみたいね」
泰葉「えっ? それってどういう―――」
パパーン
「「「「ようこそ、岡崎泰葉ちゃん」」」」
千秋「あらためて。いらっしゃい、岡崎さん」
由愛「あの、これからよろしくお願いしますね」
晴「あんたバク4なんだろ。すげえな」
雪美「一緒に歌うの……楽しみ」
星花「わたくしが一緒に歌うことは無いでしょうけど、精一杯応援させてもらいますね」
肇「ともに頑張りましょう」
泉「これで私達のユニットが大幅に強化されるわね」
きらり「むえー……」
智絵里「きらりちゃん。ほら、こんなすみっこじゃなくて、みんなのところ行こ?」
あい「ふふ。新しい仲間を迎えるということは、やはり素晴らしいものだね」
千鶴「よ、よろしくお願いします。……気があう人だといいな」
春菜「うう、私の時代が……」
留美「仕方のないことよ、春菜。ずっとセンターにいることなんて誰にもできないもの」
乃々「バク0の森久保はいつになったらセンターやめられますか…?」
奏「驚いたかしら。先にいったコたちに準備してもらってたのよ」
泰葉(期待され、活躍する……)
泰葉「……私、非MMになってすごく不安だったんです。智絵里さんや星花さんの話を聞いたあとでも、不安は消えなくて。でも、私はこんなにも期待されているんですね」
奏「ふふっ、そうね。私も期待してるわよ。次期センターさん」
泰葉「はいっ。…………はじめまして、ワンモアステップ岡崎泰葉です。これから長い間お世話になると思います。精一杯頑張るので、よろしくお願いします!」
……
…………
……………………
……………………
…………
……
千秋「お疲れさま、奏」
奏「お疲れさま、千秋」
千秋「どう。岡崎さんは馴染めそうかしら」
奏「ええ。MM組ともうまくやっていけそうよ。むしろ、きらりの方がダメかもしれないわ。かなり引いてたから」
千秋「そう。まあ……時間をかけてゆっくり見守っていきましょう」
諸星さんのMM組への反発は、非MMであることに対するコンプレックスの裏返しなのだから、そう簡単には消えないでしょうね。
非MMアイドルに注がれる同情の眼差しは、ときにアイドルのプライドをズタズタにしてしまう。
奏「あなたも物好きよね。非MMアイドルなんて面倒くさい存在に、やたら目をかけてるんだから」
千秋「あら、その物好きに協力して、MM組と非MM組の仲を取り持ってるのはどこの誰かしら」
奏「ふふっ、さあ誰かしら」
千秋「ふふっ」
フフフ
アハハ
千秋「……」
奏「……」
千秋「あなたがここに来てくれて本当によかったわ」
奏「そう……」
千秋「あなたのおかげで、MM組と非MM組の距離はずいぶんと縮まったわ」
奏「大したことはしてないわ。ただ、非MMのコに話しかけ続けているだけよ。私が来たときには、ほとんど今の状態だったと思うけど」
千秋「そんなことはないわ。あなたのおかげで、以前はあったMM組の遠慮が、なくなったもの。こればっかりは私じゃ限界があったから。―――非MMの私には」
岡崎さんには言いそびれたけれど、他ならぬ私自身が非MMアイドルなの。それも限りなく、即特訓に近い、ね。
私が彼に迎えられたのは、まだ私が特訓前3桁で取引されていた頃。
安さに釣られ、ステータスを確認せずに落札したのは、彼の表情を見ればすぐにわかったわ。
けれど、彼はあろうことか、そのまま私の特技Lvをあげ始めたの。
それは、彼の面倒くさがりな性分からくるものにすぎなかったけれど。
それでも、大した活躍もさせてもらえず、憐れみや嘲りの視線を浴びながら、様々なプロデューサーのもとを転々としてきた私は、救われた。
千秋「星花なんてMM組とおしゃべりできるまでになったわ。暗い顔をしながら一人でいた頃が嘘みたい」
星花もここに来るまで、辛い思いをたくさんしてきた。
そのせいで、自分に自信を失っていたけれど、今では自分の活躍を誇れるまでになったもの。
奏「ただの自己満足よ」
千秋「それでも、ここが非MMのアイドルとって過ごしやすい場所なのは間違いないわ」
奏「ええ、確かにね。……でも、ここに"あのコ"はいないのよ」
千秋「そうね……」
奏が非MMの世話を焼いているのはここのアイドルなら誰もが知っているけれど、その理由は私しか知らないわ。
奏は、昔いたプロデューサーの元で、あちこちたらい回しにされたあげく、心が壊れてしまったアイドルを見たことがあるという。
そのアイドルはすぐに別のプロデューサーの所へ行ってしまったため、奏が"そのコ"といたのは1週間に満たないそうだけれど。
……でも、奏は"そのコ"のことが忘れられず、ここに来て私がやっていることを知ったとき、自らも何かをしようと思ったそうなの。
奏「……」
千秋「……」
奏「千秋、あなた幸せ?」
千秋「急にどうしたのかしら」
奏「特に意味はないけど、聞きたくなったのよ」
千秋「ふふっ、もちろん幸せよ」
奏「バレンタインにも選ばれず、コス比が低くて、フェスのバクメンにすら使われないのに?」
千秋「ええ。Pさんのそばにいさせてもらえる、それだけで十分だわ」
だって―――
私がここにいるのは、あなたがそのままの私を認めてくれたからなのよ。
例えあなたが私の言葉にこたえてくれることはなくても、私はこの姿で頑張るだけ。
あなたが私に期待してくれた、その事実を胸に、ね
おわり
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