岡崎泰葉「たまには……二人で話すのも悪くないですね」 (23)

泰葉「なんだか普通の話をしてるだけで楽しいです」

泰葉「これまで、おしゃべりを楽しむことなんてあんまりなかったのに……」

泰葉「アイドルになったからでしょうか?」

泰葉「それとも、相手がPさんだからですかね?」

泰葉「ふふっ」


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P「なぁ、泰葉?」

泰葉「はい、何でしょう?」

P「スカウトした俺が言うのも何なんだが……」

P「泰葉は、本当にアイドルになってよかったのか?」

泰葉「それはどういうことでしょうか?」

P「いや、アイドルになる前の仕事だってあった訳だし」

P「芸能界を辞めることだってできた訳だしさ」

泰葉「そうですね……」

泰葉「アイドルになるのが一番よかったのかは、私にも分かりません」

泰葉「もし違う道を選んでいたら、私がどうなっていたかなんて」

泰葉「そんなの誰にも分かりませんからね」

泰葉「でも、私アイドルになってよかったと思ってます」

泰葉「少なくとも、あの頃のままでいるより、ずっとよかったって」

泰葉「私、アイドルになって変われたんです」

泰葉「アイドルになる前は、私、自分は人とは違うんだって思ってました」

泰葉「私が辛い思いをするのは、私がみんなと違うからなんだって」

泰葉「みんなと同じように生きれば、私だって幸せなれるんだって」

泰葉「でも、それは違うんだって分かったんです」

泰葉「みんなも、同じように悩みながら生きてるんだって」

泰葉「アイドルになる前は、周りが大人の人ばっかりで」

泰葉「ただ言うことを聞いてるだけだったから」

泰葉「周りの人の気持ちなんて、私には分からなかったんです」

泰葉「でもアイドルになって、同世代の娘と仕事をして」

泰葉「一緒に笑ったり泣いたりするうちに」

泰葉「みんな同じなんだって気づいたんです」

泰葉「結局、私に足りなかったのは」

泰葉「自分から幸せになろうとする気持ちだったんです」

泰葉「大人の言うことを素直に聞くだけで」

泰葉「自分からは何もしようとしなかった」

泰葉「抵抗して傷つくのは嫌だからって」

泰葉「幸せから逃げていたのは私のほうだったんですね」

泰葉「それと、私アイドルになってから」

泰葉「母に対する考え方も変わりました」

泰葉「正直に言うと、母のことはあまり好きじゃありませんでした」

泰葉「私の気持ちを母は少しも理解してくれない」

泰葉「私はこんなに苦しんでるのに、母は何にもしてくれない」

泰葉「もしかしたら、母は私のことが嫌いなんじゃないかって」

泰葉「そんな風に思ったこともありました」

泰葉「でも、それも違ったんです」

泰葉「あの時、母も必死だったんですよ、きっと」

泰葉「私、幼い頃に父を亡くしてるんです」

泰葉「母は、女で一つで私を育てようとして」

泰葉「父親がいないことを苦にさせたくなかったんでしょうね」

泰葉「私を芸能界に入れたのもそのためなんだと思います」

泰葉「でも、母は不器用だったんです」

泰葉「母には父親と母親を同時にこなす事なんてできませんでした」

泰葉「だから、芸能界にいる私には、厳しくする他なかったんです」

泰葉「厳しくすることが母の不器用な愛情だったんです」

泰葉「きっと私のこの性格も、そんな母に似たんでしょうね」

泰葉「アイドルになって、母の元を離れて」

泰葉「いろんなことを経験していくうちに」

泰葉「そんな風に思えるようになったんです」

泰葉「あっ、すいません、一人で勝手に話しちゃって」

泰葉「Pさんが相手だと、ついつい話しすぎちゃいますね」

P「いや、いいんだ泰葉」

P「俺だって泰葉のことを知れるのは嬉しいし」

P「それに、そんな風に話してくれるって言うのは」

P「俺のことを信頼してくれている証だからな」

泰葉「Pさん……」

泰葉「Pさん」

P「ん?なんだ?」

泰葉「私は、Pさんのこと信頼しています」

泰葉「Pさんは、私のこと信頼してくれますか?」

P「ああ、もちろんだとも」

泰葉「そうですか……」

泰葉「Pさんに話したいことがあります」

泰葉「言おうかどうか迷ってたけど」

泰葉「やっぱりPさんには話しておきたいんです」

P「何でも話してくれ、泰葉」

P「聞いてやるぐらいなら、俺にだってできるからな」

泰葉「じゃあ……言いますね?」

泰葉「実は……私」



泰葉「ウサミン星人なんです」



P「なんだ、そんなこと……」

P「え?」

泰葉「私が幼い頃に、家族で乗っていたう宇宙船が事故に会い」

泰葉「不時着したのがこの地球だったんです」

泰葉「そのときの事故で私は父を亡くしました」

泰葉「残された私と母は、なんとか地球で生きていくために」

泰葉「これまで身分を偽ってきました」

泰葉「でも、嘘をつき続けるのは嫌だから」

泰葉「せめてPさんには、話しておこうと思ったんです」

泰葉「こんな私でも、今までどうりプロデュースしてくれますか?」

P「そ……」

P「そんなの関係ないさっ!!」

P「俺が泰葉をスカウトしたのはな?」

P「泰葉が芸能界にいたからでも、泰葉が地球人だからでもない」

P「俺は泰葉の目を見て、泰葉をアイドルにすると決めたんだ!!」

P「泰葉、一緒にトップアイドルを目指そう」

P「俺たちならやれるだろ?」

泰葉「はい!」

こうして、お互いの信頼を確かめ合った二人は

共に支えあいながら

トップアイドルへの道を歩んでいくのであった

おしまい

一応置いておきますね?

安部菜々「本当に……私でよかったんですか?」
安部菜々「本当に……私でよかったんですか?」 - SSまとめ速報
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あと、泰葉のお父さん、勝手に殺してごめんなさい

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