【艦これ】提督「愛宕と高雄と、俺」 (1000)


< しかいない >







愛宕「今日はもう皆部屋に引っ込んじゃったもの」

高雄「私たちも」

提督「そうだな」

愛宕「でも、まだ寝ないでしょう? 」

提督「そりゃね。……先に風呂でも入ってこいよ、片付けとくからさ」



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【艦これ】高雄「私と」愛宕「私と」提督「俺」
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【艦これ】 愛宕「私と」 高雄「私と」 提督「俺」
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【艦これ】提督「俺と」高雄「私と」愛宕「私」
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【艦これ】提督「俺と」愛宕「私と」高雄「私」
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【艦これ】提督「高雄と愛宕と、俺」
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< ある要港部 >






提督……北海道出身のウイスキー教スコッチ会ニッカ派。好きな色は赤、白、黒、水色

高雄……指輪持ち。ワインは赤派でチェスが得意

愛宕……指輪持ち。鰹のたたきが好きな自称享楽主義者

明石……技術者。指輪を始めとした諸所の問題の発生源。好きな酒はカルヴァドス

加賀……ワク。最近の悩みは赤城に会えないこと

雲龍……被虐主義者。最近つまみづくりがトレンド

天城……和をこよなく愛する空母。酒全般を飲み干す勢い

Littorio……享楽主義者に見えそうで見えない。割と天然で部屋は混沌

瑞穂……基地No.1お淑やか。でもお酒は好き

叢雲……強い。ハートも実力、それから酒にも。日本酒とウイスキーが好き

漣……好きなものは自由とゲーム。洋酒派

海風……料理好き。カシスよりピーチ派

江風……スポーツ全般が好き。ビール派


< 横須賀鎮守府 >






金剛……紅茶党として珈琲党に対抗している。酒より紅茶

霧島……実は割と珈琲が好き。霧島なら赤派

龍田……自称敗北者。酒は楽しむ為に飲む物

時雨……自称運頼み女。焼酎を飲んでいて驚かれるのが悩み事

春雨……スタイルが気になる。お酒はあまり飲まない

浜風……スタイルが気になる。ウイスキー挑戦中

鈴谷……イマドキ、になりたがる。あまりカシスやピーチは好きではない

扶桑……不幸では無くなってきたような気がしている。妹が好き

山城……姉が好き。不幸は酒の肴

鹿島……多忙の極み。割と天真爛漫気味

若葉……甘いものが好き。屋上同盟

GZ……珈琲と甘いものが手放せない。屋上同盟

赤城……酒より肴。しかし団子より花というくらいには文化的





あきつ丸……酒は酔う為に飲む物。別に嫌いではない


こちらでもよろしくお願いします

ありがとうございました

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」 
↓ 
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか? 
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ 
いちいちターキー肉って言うのか? 
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」 
↓ 
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。 
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋 
↓ 
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw 
んな明確な区別はねえよご苦労様。 
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」 
↓ 
>>1「 ターキー話についてはただ一言 
どーーでもいいよ」 
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです 
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ! 
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469662754/)


余談
7 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:06:48.44 ID:10oBco2yO
ターキー肉チーッスwwwwww
まーたs速に迷惑かけに来たかwwwwwwwww

9 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:12:33.84 ID:LxY8QrPAO
>>7
はいNG設定


この速さである
相変わらずターキー肉くん=>>1という事を隠す気も無い模様

31 ◆xmciGR96ca4q sage saga 2016/07/28(木) 12:50:19.79 ID:g6WSU+sH0
昨夜寝ぼけてスレ立てミスったんで憂さ晴らしも兼ねて久々のロイミュ飯でした。書き溜め半分残り即興なんで色々アレかもしれませんがアレがアレなんでアレしてください何でもシマリス(熱中症

建てたら荒れると判ってるスレを憂さ晴らしに建てる
つまり>>1は自分の憂さ晴らしにs速を荒らして楽しんでる

うーん、いつも通りのクズ>>1で安心するわー


< または今がとても幸せか >







鈴谷「あきつちゃんどこ行ってんのかなぁ」

龍田「さぁ? どうせ愉快なところではないでしょうけど」

鈴谷「うん。……なんであんな道選んだんだろ」

龍田「馬鹿だから」

鈴谷「……馬鹿、か」

龍田「同じところに留まって馬鹿なりに楽しめなかったのよ、あれは」

鈴谷「……楽しんでる? 」

龍田「もちろん。これ以上を知らなければ欲しいとも思わないもの」

鈴谷「…………凄いなぁ。それきっとかなり無欲じゃないと言えないセリフだよね」



< (偏)愛されるより(殺したい程)愛したい >






山城「最初はあなたも仲間だと思っていたのに」

龍田「んー? 」

山城「天龍への執着はどうしたのよ」

鈴谷「龍田も大概だと思うけど」

龍田「山城から見ればどんな仲良し姉妹も普通の姉妹だものねぇ」

扶桑「ふん……鈴谷はどちらかというと逃げてる側ね」

鈴谷「ははは……」

龍田「好きなら男じゃなくてもいいんじゃない? 」

鈴谷「まず好きの種類が違うじゃん……じゃん」






金剛「……比叡がいい子でよかったデース」

霧島「上には上が、なのか下には下が、なのか……」


< 夜長に >






叢雲「それにしても……暇ね」

漣「漣が思わず真面目な話しちゃいそうなくらいにはねー」

叢雲「……なんかどうでもいいこと言いなさいよ」

漣「えぇ…………高雄さんと愛宕さん結婚するならどっち? 」

叢雲「愛宕」

漣「なんで? 」

叢雲「忠犬わんこで相手しないと心中しにくるような兵器と誰が結婚したいのよ」

漣「愛宕さんも大概だけどね」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……あいつ、凄いのね」



< 自分たちもまぁ >







漣「まぁ……ああいう感じにしちゃったのもご主人様だし多少はね」

叢雲「じゃあ雲龍姉妹は? 」

漣「雲龍さん」

叢雲「ふーん? 」

漣「雲龍さんとぐうたらして義妹が世話してくれるとか最高じゃん? 」

叢雲「確かに」

漣「……」

叢雲「……」

漣「……まともなのいないね、ここ」


< 正解など、無い >






漣「ご主人様ってヤニカスだよね」

叢雲「そうね」

漣「あれ無ければもっとモテるのに」

叢雲「あれ以上モテなくてもありのままを愛してくれる人が大勢いる今で十分じゃない」

漣「そう? 」

叢雲「私は嫌よ? 自分曲げてまで誰かに合わせるの」

漣「うーん……そうまでして愛したい、愛されたい人がいるんだと思うけどなぁ、漣は」



ありがとうございました


< 黒歴史の話 >







雲龍「あなたたち凄いわよね」

高雄「はい? 」

愛宕「うん? 」

雲龍「私ならあの人を面と向かって罵倒して自分たちのこと売女扱いした女なんて半殺しじゃ済まないわ」

高雄「……まぁ」

愛宕「誰しもそんなこと、あるわよね」

雲龍「自分を殺してやりたいくらいには馬鹿だったわ」

高雄「…………正直私は見る目のないただの間抜けだと思ってましたし」

愛宕「むしろそんな女抱けるあの人の精神疑ったわよ、私は」

雲龍「私もそう思…………つまり最近まで私精神病扱いだったのね」


< 今だけを大切にして >







天城「よくそんな人にお世話になった、なんて言いましたね」

雲龍「改心、ってやつよ」

明石「むしろ洗脳の域でしょ、最初の方なんてガチで嫌ってましたからね」

雲龍「天城もいなかったし誰も本当の意味で仲間ではなかったのよね」

明石「あぁ、そこに付け込まれて好きになっちゃったと」

雲龍「端から見ればそうかもしれないわ」

明石「否定しましょうよー……」

天城「…………ま、そのお陰か所為か知りませんが今の天城もいますし構いませんけれどね」



< 疑ってはいないけれど >






天城「まぁ、いいです。……で? 」

雲龍「うん? 」

天城「何か、あったんでしょう? 」

雲龍「何か? 」

天城「雲龍姉様は馬鹿でド淫乱のピンク頭で救いようの無い間抜けですけれど」

雲龍「いや……そう」

天城「救う価値も無いクズではありませんからね。
……何かしら無いとそれまで嫌っていた存在を好きにはならないのでは? 」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………天城」

天城「はい」

雲龍「私あなたのこと好きよ」

天城「天城もですよ、姉様」

雲龍「それでも言えない。勝手には言えないことだし、私にとって本当に大事な想い出だから」

天城「はぁ」

雲龍「…………私にだってあるのよ? 譲れないもの、絶対に守り通さなければならないモノが」



< 好きの反対は無関心云々 >






雲龍「あなたがあなたでよかった」

提督「あ? 」

雲龍「そのままよ」

提督「あっそ」

雲龍「ええ」

提督「…………お前と仲良くなれたんだから陸奥ともいつか仲」

雲龍「無理ね」

提督「」

雲龍「……嫌う理由の質が違うもの。私はそれだけあなたに興味があったんですよ、最初から」


< 知性があるからこそ抱かれたい豊かさ >






高雄「八月二日の誕生色はペールヨットブルー。
色言葉は“ 知能 ”、“ 責任 ”、そして“ スピーディ ”」

愛宕「バニー」

漣「の日? 」

愛宕「よね? 」

漣「ケッ……乳ばかりでかい小娘がここぞとばかりにアピールしおって」

江風「どンなキャラだよ」

愛宕「大きいのは私の所為じゃないわよ? 」

海風「提督のお陰? 」

愛宕「さぁ? 」



< それは誰も知らない >






漣「や、でもですよ? 」

愛宕「ええ」

漣「漣は明石さんくらいが一番バランスいいと思うんです。
無いのもあれですけど大き過ぎるのはちょっと……」

愛宕「そう? まぁ、私はあの人の好みに近くてよかったと思ってるけど」

漣「それを言われたら言い返せませんけど……でもねぇ、これは」

愛宕「やぁん」






叢雲「で、あなたが人間になれたとして明石レベルまで成長する見通しは? 」

漣「…………」



< 無難に行くならアペロールかな >






提督「今日のカクテルはマルガリータ。ピザじゃないぞ? 」

Littorio「それはマルゲリータ」

提督「おおっと。……カクテルワードは“ 無言の愛 ”」

Littorio「相変わらず強めのお酒が好きですね」

提督「味で選ぶとそうなるんだよ。ウイスキーかテキーラな」

Littorio「ま、Littorioもですけれど……マルゲリータといえば」

提督「あぁ」

Littorio「イタリア王妃の名を名付けたのが由来というのが主流ですよね」

提督「そうだな」

Littorio「それにマルガリータは知りませんが恋人や妻の名を付けたカクテルもあるとか」

提督「だね」

Littorio「それではLittorioの名を冠するカクテルをつくるならどんなレシピに? 」

提督「ん……やっぱグラッパかな」

Littorio「Littorio、好きですけれど……何故? 」

提督「強いアルコール、芯の強い性格。いい香り付け。ゲルマン語源の名前。あとはまぁ……俺が好きだから」



< 神秘の布切れ >






提督「あれ、つーか今日パンツの日じゃね? 」

高雄「そうですね」

提督「……紫」

高雄「いいえ。……どうせ後で確かめるのでは」

提督「当てないとヤれないんだよ、今日は」

高雄「はぁ」

提督「…………ヒント」

高雄「どう出せばいいんですかそれは……」



ありがとうございました


< 何とも言えない >








高雄「八月三日の誕生色はヨットブルー。色言葉は“ 謹言 ”、“ 人脈 ”、そして“ 完璧主義 ”」

愛宕「あなたよね」

高雄「まぁ……そうかもしれないわね」

愛宕「書類の空白なんて適当でいいのよ、適当で」

高雄「そう言われても」

愛宕「それ合わせる為に元の文章変えるとか」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「…………駄目なの? 」

愛宕「…………あの人は、気にしないわよ? 」

高雄「……はい」


< 冗談なのか分かりにくい >







加賀「思うのだけれど」

提督「うん? 」

加賀「あなた面接だとか得意そうよね」

提督「まぁ、苦手では無いだろうな」

加賀「つまらない質問をされたりくだらない話を聞くのは苦痛じゃなくて? 」

提督「いや、よく考えてみろよ。それが多少嫌でも存分に自分語りできるんだぞ? 」

加賀「本当に大切な人にしか私を知ってもらいたくないわ」

提督「違うんだよ。仲がいいと堅い言葉使ってみたりカタカナ語使ったりしにくいだろ? 」

加賀「そうだけれど」

提督「何の気兼ねなく本気で議論したい人間って存在するんだよ、それなりにね」

加賀「……そう」

提督「あぁ。……何でこんな話? 」

加賀「素性を偽ってアルバイトの面接だけ出てみようかと思って」

提督「…………」


< 介抱してください……(意味深) >







提督「今日のカクテルはぁ……ハイボール。まぁ、ド定番で」

天城「自分をイメージしたカクテルを考えてくれると聞きました」

提督「女の子ネットワーク早ぇな」

天城「そうかも」

提督「…………あぁ」

天城「はい? 」

提督「……………………いい? 」

天城「いくらでも。…………次は、お願いしますよ」


ありがとう、ございました……


< 暑さのちょっといいとこ >







雲龍「……暑い」

提督「もっと熱くなる? 」

雲龍「…………絶対、冷やさないでよね」

提督「もちろん。……ん」

雲龍「ぁ……」



< 方便みたいな >






瑞穂「この暑いのによくやりますね」

加賀「あなたも男ができれば、としか言えないわ」

瑞穂「はぁ」

加賀「まぁ、別に女でもいいけれど」

瑞穂「や、瑞穂レズってわけではありませんから」

加賀「バイ? 」

瑞穂「いや、瑞穂も素敵な殿方がいるのなら当然好きになると思いますよ? 」

加賀「山城ですら言いそうね。……つまりいないということだけれど」



< 溜息一つ >






加賀「あれは結構問題あるけれど基本的にハイスペックでしょう」

瑞穂「その問題が大き過ぎるんです」

加賀「それはいいのよ。……あれが基準になるのに“ 素敵な殿方 ”なんて現れると思うの? 」

瑞穂「……」

加賀「高収入、高身長、高学歴、それに身体も鍛えてるし変な知識も豊富。優しさも中々」

瑞穂「……」

加賀「……」

瑞穂「…………何であんな奔放なんでしょうねあの人」



< もし悪魔に魂を売れるのなら >






明石「あのスペックだから奔放になったんじゃないですか? 」

加賀「あぁ」

瑞穂「何か一つ資質を失う代わりに一途になっていただければいいのに」

加賀「……身長? 」

明石「それ身体的なもの殆ど関わりますよね。学歴では? 」

加賀「それも収入と関わるじゃない」

明石「うーん……」

加賀「……」

瑞穂「……まぁ、そんな完璧人間になられても一途だとすればどちらにせよ瑞穂には関係無いんですけどね」


< エロいから >






江風「オリンピックじゃン? 」

Littorio「明日からですね」

江風「スポーツの祭典じゃン? 」

Littorio「祭典が正しいかどうかは兎も角、はい」

江風「テートクって結構スポーツの話するじゃン? 」

Littorio「サッカーと野球ばかりですけれどね」

江風「……なンでイタリア代表のユニだけ買ったと思う? 」

Littorio「さぁ? 」


< それにしても限度が >






高雄「八月四日の誕生色はシアンブルー。色言葉は“ 品格 ”、“ 頂点 ”、そして“ 気高さ ”」

愛宕「品無いわよ? そんなに胸元開けて」

高雄「あなたもじゃない。……品なんてものは見ていてほしい人の評価だけでいいのよ」

愛宕「まぁね~。あの人こっちの方が好きそうだし」

高雄「ええ。…………あれ止めてきなさい」

愛宕「ん? ……そうね」






江風「いや、悪かったよ、悪かったから」

海風「いくらなんでも扇風機の上でスカートばさばさは止めよ? お姉さん泣くよ? 」

江風「分かったってば。出来心だったンだって」


< 束の間の >







雲龍「今日のカクテルはエクスタシィ。中々良かったわ」

提督「あぁ、綺麗に色別れたな」

雲龍「これからもお願いしたいわ」

提督「俺も俺以外がつくったカクテル飲みたいよ」

雲龍「新しいのがあるんだけれど……イエロー? オレンジ? 」

提督「パイナップルはイエローだろう」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……お風呂」

提督「ん」


ありがとうございました


< 悪気の無い方がたちの悪い >






高雄「そういえばまたシーツを無駄にしたんですか」

提督「無駄な時間では無かったけどな」

高雄「はぁ」

提督「ていうか高雄の方が無駄に」

高雄「無駄じゃありませんからね」

提督「あ、そう」

雲龍「…………毒を吐かれたような素のような」


< 常にエロへの勝負をしにいく姿勢を >







高雄「八月八日の誕生色は紺瑠璃。色言葉は“ 直感 ”、“ 素朴 ”、そして“ 勝負 ”。……どうですか? 」

明石「普通になんとかなりそうですよ。配線が変になってるだけなんで」

高雄「そうですか。試しに使ってみるものですね」

明石「経年劣化ってやつですねー。内線なんて私の部屋のも放置ですけど」

高雄「基地内の設備、総点検した方がいいかもしれませんね」

明石「ですね。……ときに高雄さん」

高雄「はい? 」

明石「どうして内線なんて使ったんですか? 提督の声でも聞きたかったとか? 」

高雄「……」

明石「……? 図星? 」

高雄「…………愛宕に電話しながらヤってみたい、と」

明石「うわぁ……」


< あの熱狂はなんだったのか >






漣「基地まわりのポケストップ雑過ぎでしょ」

江風「道祖神二つとなんかよく分からない看板と……石碑か」

漣「海軍関連が石碑だけは駄目だと思うんだよね」

江風「でもこの辺一般人の立ち入り不可だぜ? 」

漣「漣がいるじゃん」

江風「たかが一人の為に動くかよ」

漣「だってさー、ただでさえここに釘付けでもう飽きたしー? 」

江風「いや、じゃあ別にポケストップあっても変わらないじゃン……」



< 下手よりは万倍いい >







提督「今日のカクテルはイエロー・パロット。カクテルワードは“ 騙されないわ ”」

愛宕「あなたがそれつくるのって皮肉? 」

提督「別に誰も騙した覚えは無いが」

愛宕「本当に? 」

提督「むしろ俺が騙されてるまであるね」

愛宕「ふーん? 」

提督「どいつもこいつも恥じらい忘れてさぁ……なんなの? 」

愛宕「あんなにいいと思わなかったのよ。ね? 私たち騙されてる……されてた? 」

提督「うーん……」



< 猛者たち >






提督「お前ら全員の欠点をおしえてやる」

明石「まーた大きく出ましたね、なんです? 」

提督「誰一人として幽霊系を怖がらず映画を見て抱き着く、なんてことが皆無」

明石「まぁ……だって自分が化け物ですもん」

提督「にしてもおかしいだろう、曙とかあの辺は普通に怖がりそうだぞ」

明石「ですね。……あれ、そう考えると本当に誰も怖がりませんね」

提督「江風ですら余裕だしなぁ」

明石「……あれじゃないです? 提督が貧弱だから皆守りたいんですよ」

江風「ナイト侍らせ過ぎだろ……乙女ゲーかよ」




< ホラーと怖い話は少し違う気がする >






江風「ってもね……なンか怖い話とかあるの? 」

提督「知らん」

江風「えぇ……」

明石「リサイクルショップだとかの椅子なんかはですね」

江風「うン」

明石「それを踏み台にして吊った人の霊が取り憑いてたりするんだそうですよ」

江風「へぇ? 」

明石「なのでそれに惹かれて吊る人が出てまたリサイクルショップへ、って感じでリサイクルショップは長続きしないとか」

提督「そうか? 」

明石「や、五秒で考えた嘘ですけど」

江風「えぇ……ホラー映画でも借りてみるかなー」


< きっとそれはとても危う均衡だけれど >






漣「怖い話といえば七不思議とかも」

明石「そんなのもありましたね、そういえば」

漣「と、いうことで当基地の七不思議! 」

明石「はい」

漣「本当につまらない地元トークを誰彼構わず始める妖怪が出る」

明石「不思議でもなんでもないですね」

漣「何故かご主人様に頑なに堕ちない瑞穂さん」

明石「それが普通だと思いますよ」

漣「逆に何故か勝手に靡く女共! 」

明石「そりゃあ誰彼構わず自覚有りの口説きが始まりますからね」

漣「……」

明石「……」

漣「……ご主人様関係外したら七個も無いじゃん」

明石「無くていいじゃないですか。平和が一番ですよ、平和が」


< 怖がりが一番楽しめる >






瑞穂「一番弱いのが提督というのも珍しいですね」

提督「並よりは強いぞ? ただ気分いいものではないだろう」

瑞穂「怨念でもなんでもいわくがあるものですからね」

提督「理不尽系よりはマシだと思うけど」

瑞穂「はぁ」

提督「でもまぁ大体誰かと寝てるしな。仲間がいると心強い」

瑞穂「その場合も何故か誘い出されたり仲間の方が早々に退場するものでは? 」

提督「…………一緒に寝ない? 」

瑞穂「お断りします」



< 母の日擬なこんな日に >






叢雲「まぁ、自分の女だけ戦場に出す程度で嘔吐するメンタルだし仕方ないわね」

愛宕「え、なにそれ初耳なんだけど」

叢雲「……しまった」

愛宕「あの夏のときでしょう? 私が最後の最後でカタワになった」

叢雲「…………そうね。沈むのが怖いのか自分だけ安全なのが嫌なのかは知らないけど一週間くらい夜に」

愛宕「そ。……どうして言ってくれなかったの? 」

叢雲「あいつが嫌がるだろうからよ。自分の醜態見られて喜ぶマゾじゃないし」

愛宕「ふーん……」

叢雲「……」

愛宕「……なんで結婚しなかったの? 」


< 自分というサンプル >






江風「ってもまぁ大概江風もテートク信者だけどね」

明石「いやいやいや……」

江風「ンー? 」

明石「江風さんは本当の信者ってやつを甘く見過ぎですよ」

江風「でも江風だってテートクに恩は感じてるしちょっとやそっとじゃ裏切らない自信あるよ? 」

明石「……」

江風「……? 」

明石「…………高雄さんとか雲龍さんの一番大切にしてそうな小物入れとかケース、絶対に見ない方がいいですよ」

江風「はぁン……? 」


< 理解していればこそ >






江風「でもなー、結局一番怖そうなのは頭の中じゃン? それを見ないとね」

明石「そうですけどそんなもの普通見れませんし」

江風「ンー……」

雲龍「今この場で心臓抉り出して捧げても笑いながら死ねるわよ」

江風「それ凄いけどさ、実際にできるか分からないしできても別にね」

雲龍「そう言われると何も言えないわ」

明石「大概江風さんも毒され過ぎでしょう……うーん」

雲龍「……」

明石「……」

江風「……」






高雄「……私はそんなものが目に見える形で分かるような出来事が起こらないよう祈っていますけれどね」


< みるきー >






提督「っふ…………月遅れ七夕だったの、か」

加賀「ん、そ、うね」

提督「昨日は、外だと人が沢山いたんだろうなぁ」

加賀「ぉ……ふ…………んんっ」

提督「今年も浴衣楽しみだな」

加賀「え、え。…………ん」

提督「…………飲んだ? 」

加賀「最低な。…………すすいでくるわ」



< この世界に祝福を >






提督「ん……なんか今日はやけに噛まれるな。モテ期か? 」

加賀「何を馬鹿な。普段から誘蛾灯並に引き寄せてるくせに」

提督「自分が蛾扱いでいいのかよ」

加賀「飛んで火に入る、でもいいけれどどうせ虫よ」

提督「…………なぁ」

加賀「なにかしら」

提督「俺が死んでも、死ぬなよ? 」

加賀「怒られて心の痛む者のいない世界で何かを気にする必要があって? 」



ありがとうございました


< “ 寝る ” >







雲龍「…………Zzz」

叢雲「食後すぐにこれなのね」

天城「最近は用事が無いときは雨が降っていなければ大体は屋上のハンモックですね」

叢雲「いいご身分ですこと」

天城「まぁ、実際暇ですし」

雲龍「ん…………Zzz」

叢雲「……」

天城「……」

叢雲「……物凄く幸せそうね」

天城「……姉様は寝る、ということにかけてはかなりの方ですから」


< わるだくみ >






天城「あ、そうだ」

叢雲「? 」

天城「折角スマートフォンもいただきましたし……撮りますか」

叢雲「そう」

天城「ん……ふふ」

叢雲「普段からは考えられないくらい微笑ましいわね」

天城「よし。……そういえば」

叢雲「今度は何? 」

天城「最近写真撮ってませんね。集合写真も撮ってみたいです」

叢雲「あいつのことだから忘れてるってこともないと思うけど……あいつのパソコンからスマホに移す? 」

天城「是非に。その代わり姉様の寝顔を移しておきましょうか」



< また行きたい、観光なら >






加賀「長崎には呼ばれないのね」

提督「まぁ、広島の方は行ったしこんなもんだろう」

加賀「そう」

提督「そもそも俺なんか呼んだってどうにもならねぇし」

加賀「殿下の狗だものね。ボスがいるのに小物をもう一度相手にする意味も無い、か」

提督「そういうこと。……間隔三日であんな心痛むところ行きたくないしよかったけどな」



< なんとなく思い付いたので >







加賀「誘蛾灯、なんて言ったけれど」

提督「変なこと覚えてるな。……なに? 」

加賀「花瓶か剣山でもいいわね」

提督「両手に花ってことか? 」

加賀「ええ」

提督「そうか」

加賀「……」

提督「……」

加賀「それだけだけれど」

提督「えぇ……」



< 他人の話は >






加賀「それなら続けるけれど」

提督「いいよもう、どうせ罵倒だし」

加賀「時雨や浜風は兎も角龍田や鈴谷は何故? 」

提督「…………鈴谷はそもそもオレのこと意識してないだろうあれ。単に他の男のレベルが低かっただけだ」

加賀「龍田は? 」

提督「…………」

加賀「あなたの好みストライクって正直ああいうのでしょう? 」

提督「……………………重い」

加賀「そう」

提督「巡り合わせってやつだよたぶん大体。…………面白いか? この話続けるの」

加賀「割と」


< やぶへび >






明石「あ、じゃあ私も」

提督「はぁ……」

明石「男性って」

提督「あぁ」

明石「ヤった次の日とかに、『あぁ、あれに挟まれたんだ……』とか思うって本当ですか? 」

提督「たまにね」

明石「うわぁ……」

加賀「……私も割と思うけれど。あの腕で立たされたのね、とか」

明石「え、マジですか? 」

加賀「ええ。あなたは思わないの? 」

明石「や、そりゃ時々は思いますけど」

加賀「たとえば? 」

明石「あの指で搔きま……いや、私の話はいいんですよ。ね、提督」

提督「いや、俺は明石の話の方が聞きたいけど。……いろんな意味で」


< どう考えてもカバ >






海風「ムーミンの日だったんですよ? 昨日って」

提督「うん? 」

海風「なのに誰も何も言わない……トーベ・ヤンソン、知りません? 」

提督「や、ムーミンは知ってるけどな。あのカバだろ? 」

海風「は? 」

提督「ん? 」

海風「いくら提督でもカバは許せませんね……お借りします」

加賀「どうぞ。襲わないようにね」

海風「それは提督次第です。……行きますよ」

提督「なんだなんだ……ひえー」




江風「姉貴って好きなものには異様に凝るンだよなぁ」

加賀「……そう」

江風「……まぁ、まださすがにテートクの写真に喋りかけたりはしてない、と思いたいけどさ」


< さらに薬草の日でもあった >






江風「ちなみに野球の日だったりもしたンだけどな」

Littorio「まだ柔道の方が分かるレベルでよく分からないスポーツですね」

江風「そりゃイタリアの選手メダル取ってるしな。……一応マエストリとかいたンだけど」

Littorio「? 」

江風「……テートクはテートクでオリンピックも甲子園も観てくれないし。
夏の作戦後に誰か来るならスポーツ好きな子がいいなー」


< 性的嗜好はある種の才能なのかもしれない >







高雄「八月十日の誕生色はハイドレンジアブルー。
色言葉は“ 芸術 ”、“ 才能 ”、そして“ 表現力 ”」

提督「ムーミンパパは孤児院出身らしいぞ」

高雄「はい? 」

提督「いや、何でもない。……ちょっと怖くなってきたよ俺」

高雄「? 」

提督「海風が本当に何かを好きになるのが、さ」

高雄「あぁ……もう遅いのでは? 」

提督「まだ大丈夫だろう? 江風の方が好きだろうし江風がレズになれば俺はどうでもよくなるさ」

高雄「だといいですけれどね」

提督「本当にな。あ、そういやスナフキンは」

江風「ウェイウェイウェーイ! 全ッ然何にもよくねぇンですけどォ?
江風にも選ぶ権利があるンですけどォ? あとスナフキンの話はもう飽きたンですけどォ? 」


< どちらもきっと手の届くところに >






提督「えー、だってほら、女の子は皆お嫁さんに憧れるものだろう? 」

高雄「それはさすがに頭が御花畑なのでは」

江風「それにしたって花嫁二人ってなンだよ意味分かンねぇよ」

提督「海風は絶対イケメン江風を見たいと思うが」

江風「尚更着たくねぇよ。せめて真っ当にお嫁さんに憧れさせてくれ」

提督「ってもなー」

江風「あのさ……」







愛宕「憧れないの? 」

高雄「憧れよりも実質的なものを取るというのも十分女の子、というやつだと思うけれど? 」


< 裸足で駆けてく妖気(を纏ってそう)な >







山城「なんで海になんか……いつも不愉快なことしか起きないところに」

金剛「と、言いつつ大体呼べば遊びに来てくれる山城のこと、大好きデース! 」

山城「ふん……扶桑姉さまのお姿を見たかっただけよ」

時雨「扶桑、飛んでいった帽子追いかけてるけど」

山城「は? ……扶桑姉さまー! 今山城が参りますー! それまでどうかお待ちください! 」

金剛「……」

時雨「……」

金剛「……あ、転んだ」


< 信徒になればたぶんきっと >






扶桑「ふぅ……」

山城「……不幸だわ」

GZ「何故浜辺に来ただけで、帽子が汚れ水着が裂け膝を擦りむくんだ」

山城「……そんなのこっちがききたいわよ」

扶桑「……本当にね。私たちにお祓いって効くのかしら」


< ボートなんて無くても >






あきつ丸「……あれは何故七面鳥を睨みつけているのでありますか」

赤城「瑞鶴さんですか。お腹でも空いているんじゃ」

龍田「鏡でも見ているんじゃないの? よく焼けたなー、って」

霧島「日焼けと肉……なるほど。座布団、はありませんね」

鹿島「何もかも酷過ぎる……まともなのは私だけですか」


< 同好の >






天城「あら、提督はどこへ? 」

高雄「明石さんと映画を観に」

天城「映画? 高雄さんは行かなかったんですか? 」

高雄「ゴジラとFFです、興味が無いので」

天城「あぁ……天城も興味ありませんね」

高雄「ええ」

天城「……こんなことで嫉妬できる生き物だったんですね、天城」

高雄「欲が強いのも化け物らしいじゃないですか。……紅茶でも? 」

天城「いただきます」




< ようやく正常に楽しんでいるような >






山城「はぁ……暑いわね」

時雨「あぁ、パラソルが無いと干上がりそうだ」

山城「……」

時雨「……」

山城「……去年もこの時期は作戦前にこんなことしてたわね」

時雨「一昨年も一昨々年も、だろ? 上はいつもそうさ」

山城「ガス抜き、か」

時雨「…………」

山城「…………」

時雨「…………バレーでもしない? 」

山城「姉さまがいるな……分かったわよやるわよ。先に行ってなさい」


< 印象というレッテル >






赤城「ふ……ごちそうさまでした」

GZ「よく、食べたな」

赤城「暫く自由に食べられませんからね」

GZ「……あぁ」

赤城「艦載機の運用、戦闘海域の風向き、敵生体の特性、何であれ推定通りには運びません」

GZ「そうだな」

赤城「それでも、細やかな幸せで心が潤っていればこそ、僅かなずれを修復できるのです」

GZ「……」

赤城「私にはしたいことが沢山ありますから。その為にはしっかり心を持たないと」

GZ「そうか、さすが赤城だな。私も見習わ……いや、待て」

赤城「はい? 」

GZ「食べること、がしたいことではないのか? 今のままでも変わらないような」

赤城「……」




< 仰ぐ存在には高みにいてほしい >






瑞穂「しかし、大規模な作戦の直前ですよ」

愛宕「あの人の頭の中には一応入ってるから許してあげて」

瑞穂「一応」

愛宕「一応。ついでに言うなら私も一応よ? 」

瑞穂「……」

愛宕「この前広島行ってたでしょう? あの時に色々決めたはずだから大丈夫よ」

瑞穂「……少々無責任ではありませんか、仮にも護国の軍人ともあろう者が」

愛宕「作戦の直前まで遊び呆けて、って? 」

瑞穂「はい」

愛宕「んー……ま、そうね」

瑞穂「はぁ」

愛宕「異動の上申なんてすぐ通るわよ? あの人が無理矢理ここに集めてる面子だし」

瑞穂「いえ…………提督のことは尊敬しているんですよ。と言っても信じてもらえないでしょうが」



< そんなことを言われても >






雲龍「……気を付けなさい」

瑞穂「雲龍さんが提督に想うところが有るのと同じように、瑞穂にも想うものが有るのです」

雲龍「そうじゃなくて」

瑞穂「? 」

雲龍「今のあなた、天城が堕ちる前の様子に似てるから」

瑞穂「はい? ……はい? 」

雲龍「気を付けなさいね、それだけよ」

瑞穂「……」


< 無いものは壊せないけれど >






高雄「……私とあなたは自惚れてもいいとして」

愛宕「ん? 」

高雄「他の方は何故、それからどのようにここに押し留めているのでしょうね」

愛宕「何故ってそれは自分の仲良い相手に囲まれて緩く生きたいからでしょう? 」

高雄「……それはもちろんそうですが」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「はぁ…………何かを無理矢理に押し通す為の布石の一つ」

高雄「…………」

愛宕「あることが自分にとって価値のあるものだと周囲に意識させることで譲歩の価値を上げる作戦の一環、そう言いたいの? 」

高雄「…………」

愛宕「…………たとえそうだとして高雄、あなたどうするのよ」

高雄「……どうも。しないし、できないと思うわ」

愛宕「でしょう? ……精々自惚れて幸せに浸っておけばいいのよ。そのときまで、ね」



< ピロートークには何故か語りたくなるもの >







提督「帰らなくてもよかった? 」

明石「私はいつもあなた次第ですから」

提督「……そ」

明石「ええ」

提督「……」

明石「……」

提督「……瑞穂のこと、頼んだぞ」

明石「はい? 」

提督「本人が嫌がらない限り、こっちに留まるように、さ」

明石「構いませんけど……」

提督「…………俺は別に全能者じゃないし割とリアリスト気取ってるとこあるんだよ」

明石「知ってますよ、色々とね」

提督「あぁ。……だけど、大切だと思えた相手にはできるだけ幸せであってほしいと思うくらいには人間でもある」

明石「……」

提督「俺は卑怯だから自分とあんまり関係無い子が沈もうが狂おうが正直どうでもいい、いいが」

明石「その逆は、ってことですか。……だからなるべく自分の近くに集めて飼い殺しに? 」

提督「……」

明石「……」

提督「…………赤ワインでいい? 」


ありがとうございました


< 中元中は海上っぽいので >






愛宕「おそよー」

明石「あ、おそよーございます」

愛宕「早速で悪いけど扇風機見てもらえる? 調子悪くて」

明石「食堂の? 」

愛宕「そう」

明石「じゃあ、工具持ってきますね。……あ、これお土産です」

愛宕「おねがーい。…………映画のパンフは兎も角、カタログギフト? 」


< その日ばかりはチキンを焼いてくれたり >






高雄「八月十一日の誕生色は桑の実色。色言葉は“ 直感 ”、“ 信念 ”、そして“ 宗教 ”」

天城「そういえば提督の宗教、知りませんね」

提督「この国の一般的人間だよ。実家は仏教だけど新年は神社だしクリスマスも祝うし」

高雄「祝うというより酒盛りでは」

提督「まぁ、そうかな。でもあんまり変わらないだろう、この国では」

天城「あちらでは家族と集まるのでしたか」

提督「そうだね」

天城「ドイツにいたときは誰と祝ったんですか? 」

提督「そりゃお前あっちの友達も大使館員も家族持ちだしな。家族が存在しないのは誰だと思う? 」

天城「……そういえばそうでしたね」



< 暑いからね、頭も >






加賀「日めくりスカートです」

提督「え? あー……加賀にしては相当に丈短いけどそういうのもいいな」

加賀「ありがとう」

提督「あぁ」

加賀「……」

提督「……」

加賀「日めくりスカートです」

提督「……意味分からないんだけど」



< そんな季節 >







漣「かったるいなー……次ってマレーだっけ」

叢雲「あいつが言ってた限りはね。でもどうせ出撃の日に何もかもおしえられるわよ」

漣「や、そこで何もかもおしえられるならいいんだけどね」

叢雲「そこでおしえられたもの以上のことなんてどうせ最後まで知らされないし」

漣「叢雲ちゃんは違うんじゃないの? 」

叢雲「相談されることが無いとは言わないけど、そういうところで贔屓する人間ならここまで信頼しないわよ」

漣「そ。……また生きて帰ってこられるかなぁ」

叢雲「私は帰ってくるわよ。今沈んだら怨念になるくらいには未練があるし」



< こんな日々 >






漣「あーもう、てーかまーたコーミケいーけない」

叢雲「冬は行けたのに行かなかったじゃない」

漣「や、ねぇ? やっぱ家族と団欒をね? 」

叢雲「三百六十五日のどれか一日なら変わらないと思うけど」

漣「じゃあ、今年は行く? 」

叢雲「行かない。同じとは言ったけど一日だって無駄にはしたくないもの」


< 夢の山 >






Littorio「山の日、ですか」

漣「休日とか言われても漣たちには関係無いしどうでもいいよね」

叢雲「そうね」

Littorio「……その割に大量の肉を積んでいましたけれど」

叢雲「は? 」

漣「え? 」






加賀「山の日なので今日は山盛りの焼肉よ」

雲龍「……もう見ているだけで胃がもたれそうなんですが」

天城「……天城はお酒重点で」


< ワシが育てた! >






加賀「あなた、それは私の肉よ」

漣「いいじゃないですかー、どうせまだ沢山ありますし」

加賀「……食べ物の恨みは」

漣「まぁまぁ、ほら、ミッドウェイのときに護衛した仲じゃないですか。ウマーっ! 」

加賀「…………」






漣「……Zzz」

提督「だからって酔い潰すんじゃねぇよまだ九時前じゃねぇか」

加賀「疲れてそうだったし……出撃前に休ませてあげただけです」


< 雪だるま式失言坂 >







提督「今日のカクテルはジントニック。ま、beefeaterってことで」

江風「これ手羽先だけど」

提督「あ? 全裸に剥いて海風のベッド放り込むぞ」

海風「ありがとうございます」

江風「や、江風テートクより強いから」

提督「誰か助けろ」

雲龍「報酬によるわね」

江風「よらねーよ。なンでよりにもよって一番報酬の安そうな女がいるンだよ」

雲龍「安い、ですって? 」

江風「あー、ほら、高級娼婦を安いとは言わない、みたいな」

雲龍「娼婦? 」

江風「いや、だからこれは例えでさ、えーっと」

雲龍「ん? 」







提督「なんでお前の妹あんな楽しいやつなの? 」

海風「だからいいんですよ。……江風の代わりに提督をご招待しましょうか? 」

提督「遠慮しとく。誰かの代わりに呼ばれて喜ぶ程安い男じゃないんでね」


ありがとうございました


< 緊張をほぐす方法 >






提督「は? MOONLIGHTだろうが」

愛宕「ALMONDでしょ」

提督「MOONLIGHTとアーモンド一緒に食えよ。大して変わらないだろう」

愛宕「はっ、お酒の飲み過ぎで味覚おかしくなってるんじゃないの? 」

高雄「朝からまた不毛な」

提督「あ? 不毛なこと以上に楽しいことあるのかよ」

愛宕「無いわね」

高雄「……それはそうかもしれませんけれどさすがに緊張してきた中で朝からこんな話を聞かされる方の身にもですね」


< 目の前でのイチャつき程イライラとするものは >






海風「冷たい緑茶でもどうぞ」

提督「お、さんきゅー」

愛宕「ドイツ語で」

提督「Herzlichen Dank」

愛宕「英語で」

提督「Thank you so much」

愛宕「イタリア語で」

提督「えーっと、Grazie di cuore」

愛宕「じゃあ」

海風「やめません? これ。海風はどうしたらいいんですか」


< ごろにゃーん >






加賀「どこにいると思ったらこんなところにいたのね」

雲龍「? あぁ……この子が迷い込んでいたんです、散歩のつもりだったんですけど」

加賀「この暑い日に散歩? 」

雲龍「? 」

加賀「相変わらずねあなた……綺麗な黒猫」

雲龍「ええ」

加賀「……」

雲龍「……」

加賀「……私も触って大丈夫かしら」

雲龍「たぶん」


< 大体冗談 >






加賀「いたっ」

雲龍「あ、逃げた」

加賀「……噛まれた」

雲龍「……」

加賀「……」

雲龍「……猫鍋なんていりませんからね? 」

加賀「あなたは私をなんだと思っているのよ」


< 確かに魔女と言えないこともない >






Littorio「黒猫というとLittorioの祖国では毎年数万単位で殺されてますよ」

天城「えぇ……」

Littorio「田舎へ行くと未だに不吉の象徴とされているのですね、黒猫は」

天城「この国でもそう言いますけれど……そこまで? 」

Littorio「まぁ、中世から魔女の手先なんて言われてましたから、ヨーロッパ全体で」

天城「Littorioさんは? 」

Littorio「好きですよ? 可愛らしいですし……化け物を呼ぶのが黒猫なのであるならばある意味同族ですから」


< 割とドン引きするレベルの人もいた >






提督「冗談交じりにそういう話をしたことはあるよ、ドイツでも」

Littorio「そういうものですよね」

提督「あぁ。……でも俺の実家の猫の写真で笑ってたし完璧に冗談だったな」

Littorio「祖国の人間も大分そうなってきてますけれど……うーん」


< 搦め手でも正攻法でも、どちらでも >







漣「漣が退役できてかつ人間社会に出てくなら養ってくださいね」

提督「えー、だってお前ら結構貰ってるじゃん」

漣「そうですけどー、やっぱり齧る脛があるといいかなーって、かなり大きい脛だし」

提督「他の脛見つけてこいよ。ロリコンなんて世の中幾らでもいるぞ」

漣「ヤーです。漣はセックスとか面倒なことはまだノーサンキューなんで」

提督「はぁん? お金にはお仕事が付き物ですよ? 漣さん」

漣「仕事ってそれ完璧に風俗とか妾じゃないですか……尚更嫌です」

提督「とりあえず財布にされる俺に言えんのかよそれ」

漣「本気で財布にしたり、とりあえず着いてくだけだと思います? 」

提督「思わない。お前は馬鹿だけどクズじゃないし優しいからな、俺と逆で」

漣「あ、そ、そうですか…………はぁ」


< あなたを支える仕事 >






漣「て、ててゆーかですね提督殿」

提督「おい口調」

漣「…………というかですね、ご主人様」

提督「なに? 」

漣「まるで漣がいつまでもロリって言ってるように聞こえたんですが」

提督「あー、悪い。たぶん美人になると思うよ」

漣「ほほう? なんだかやけに褒めますね」

提督「ただの推測だ。……ま、ぺったんこだろうけどな」

漣「いいですもーん。無駄に重くなって猫背になったりするよりは全然マシ」

提督「それで猫背になったら支えてやるよ」

漣「胸触りたいだけじゃん……」



< 秘密の数は女振り >






提督「あのさ」

Littorio「Aquila? 」

提督「……お前のルート気になるなぁ」

Littorio「ふふ……秘密のある女の方が遊び甲斐あるでしょう? 」

提督「それは認めるけど男って女の子の秘密は全部暴きたいものなんだよ」

Littorio「それなら身体に訊いてみては? 」

提督「そのうちね。……信じていいんだよな? 」

Littorio「さぁ? 」


< どうでもいい雑談 >






提督「まったくもってどうでもいいと思うんだけどさ」

高雄「はい」

提督「戦争が終わったときはお前らを海兵、海経、海機の卒業名簿に捻じ込むらしいぞ」

高雄「はぁ」

高雄「で、何人かは海大にもな」

高雄「そう……」

提督「次の秘密会議で提言されて何事も無く承認される見通しなんだとさ」

高雄「アリバイ工作ですか、国の」

提督「だろうね。学歴だけ付けとけばなんとかなるだろう、みたいな」

高雄「……戦争を終わらせる気があるとも思えないのに」

提督「本当な」


< 至極どうでもいい雑談 >






高雄「と、いうことは一応短大卒業程度の扱いにはなるわけですか」

提督「そうなるな」

高雄「そのまま働けますね」

提督「……そんなに働きたい? 」

高雄「愛宕はそう言ったんでしょう? 」

提督「あぁ、嫉妬を煽りたいとかなんとか」

高雄「それなら私は働きませんよ。……一日中あなたといられるかもしれませんからね、二人で」


< 本当にどうでもいい雑談 >






高雄「ま、そんな先の方にあるかも分からない未来の話をしても仕方ありません」

提督「そうだな」

高雄「……胃腸の調子は万全ですか? 」

提督「は? 」

高雄「去年の夏は夜な夜な嘔吐していたと最近聞きまして」

提督「……叢雲と漣どっちだ」

高雄「さぁ? ……大丈夫ですか? 」

提督「…………よく監視しとけよ、副官」

高雄「ええ。……あなたを苦しませることができていて少し嬉しかったです、嫌な女ですけど」

提督「……ばかおんな」


< 陣中に女を近付けないとかなんとかいうゲンでも担げるものは担ぎたい >






提督「……寝る」

高雄「もうこんな時間ですか。……どうします? 」

提督「一緒に寝よう。……何もしないけど」

高雄「出撃前だから? 」

提督「そう。これが最後とか嫌だし、やる気出るだろう? 」

高雄「私はどんなときでも触れていてほしいですけど……はい。そういうことにしておきましょうか」


ありがとうございました


< ブロロロロー…… >






提督「はぁ……老体にヘリはきつい」

明石「何言ってんですかまったく。本物の老体がまともに執務執れますか」

提督「感じるものは感じるんだよ。……呉が仮の拠点か」

明石「現実逃避はやめてくださいね。明日はタウイタウイですよ」

提督「嫌だ」

明石「嫌だじゃないです」

提督「……嫌だよな? 」

加賀「そう? 揺られる浮遊感って中々好きなのですが」

雲龍「大体寝ていたので」

提督「マイペースは兎も角マニアかお前は。
……呉の大将も出てきてるだろうし挨拶行くか」


< 遠足はまだまだ続く >






龍田「腰が痛いわぁ」

あきつ丸「年寄りくさいな」

龍田「何時間も輸送ヘリ乗ってて痛くならない方がおかしいと思うの」

あきつ丸「痛んだとして口に出すのが年寄りくさいでありますよ」

龍田「艦歴入れればお婆ちゃんだし。……あ」

あきつ丸「もちろん提督殿も来ているでありましょうな」

龍田「……昼食は何かしら」

あきつ丸「提督殿は別だと思うであります」


< 番犬 >






山城「……不幸だわ」

時雨「中々愉快な食事だったじゃないか」

山城「愛宕と陸奥の同席している昼食が? 誰よあんな巫山戯た状況にしたの」

時雨「そもそもあの二人が一緒に来たんだけどね」

山城「女の嫌なところばかり出さないでほしいわね。探る為に笑顔で食事なんて虫酸が走る」

時雨「……ま、そこは割と同意かな」

山城「扶桑姉さまを見なさい。そんなことせずに麗しい笑顔で今日も幸せを分けてくれているわ」

時雨「単に山城が酷い表情になるからじゃ……その顔のことだよ、山城」


< 自分が一緒に寝るしかないが >







漣「この作戦が終わったらご主人様にドッキリでも仕掛けよっかなー」

叢雲「やめときなさいよ。場合によっては周り中敵だらけになるわよ」

漣「それでも仕掛けたいんだよ。まだ唐突なテストの恨み消えてないし」

叢雲「ま、害の無い類のものなら止めないけど……たとえば何するのよ」

漣「定番は寝起きドッキリとかだよね、でもさ」

叢雲「でも? 」

漣「早朝にご主人様が一人で寝ている気がしない」

叢雲「あぁ……」



< 企画 >







漣「誰かが死にましたとか病気系も駄目じゃん? 」

叢雲「洒落にならないのを置いとくとしても私たちちょっとやそっとじゃ死なないものね」

漣「漣が病気で死んだりしたら国中どころか世界的な問題だもん」

叢雲「……色仕掛けも無し、と」

漣「ロリコンなら余裕だったんだけどねー」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……逆ドッキリ? 」

漣「……なるほど」


< 呼ばれる >






天城「お盆に出撃ですか」

雲龍「帰る実家も参る墓も無ければ迎え火で迎える先祖もいないわよ」

天城「そうですけれど」

雲龍「野球もオリンピックも然程興味が無いし」

天城「いえ、単にこの時期の海は嫌だなぁ、と」

雲龍「そういうこと。……何にせよ亡霊だか化け物だかよく分からないのと戦うんだから変わらないものだと思うけれど」


< 会議は踊る >







提督「今日はワインばっか飲んでたなぁ」

加賀「お疲れ様でした」

提督「んー……さんきゅ」

加賀「どうでした? 呉殿とのお話は」

提督「面白いといえば最高にエキサイティングだったかな」

加賀「二度としたくないということね」

提督「よく分かってるじゃん。……寝るわ」

加賀「ええ。……帰ったら楽しく飲みましょうね」


< ある姉妹 >







高雄「なにが『少将殿は結婚しないのですか? 』、よ」

愛宕「中々愉快な話だったわよねぇ、呉のボスとの夕食会」

高雄「私たちの存在なんて明らかに添え物扱いだったし」

愛宕「いいじゃない色目使われたりするより」

高雄「それはそうだけれど」

愛宕「華族出身の血筋、名家から貰った奥様、唸るほどの資産、おまけに苦み走ったいい男。超高得点よ」

高雄「つまり古代から乱暴者だった一族の長ってことじゃない」

愛宕「うん? 」

高雄「強い男が成り上がり成り上がった男に綺麗どころが群がりさらに血を強化する。
それが圧倒的に繰り返されたのが現代の多くの金持ちってこと」

愛宕「高雄って悪酔いするとたまに僻みっぽくなるのよねぇ……ま、確かに間違ってはいないかな」

高雄「…………」

愛宕「目付き酷いわよ」

高雄「…………撫でて」

愛宕「はいはい」


ありがとうございました


< 私待つわ いつまでも待つわ♪ >







龍田「なんて私が言うわけないのにね~ 」

提督「そっすね」

龍田「あの男何考えてるのかしら」

提督「惚れた弱みってやつっすよ」

龍田「顔は悪くないけど絶望的に合わないのよね」

提督「俺も好みストライクじゃない女の子のことが好きになったよ」

龍田「しかも何故か最近派閥みたいなのつくって群れてるし」

提督「群れることもできないやつよりマシっすねー」

龍田「……」

提督「……」

龍田「……興味無い? 」

提督「湧くと思ってるならお前のアタマが沸いてるんだよ龍田」


< たぶん言わない >






龍田「えー、でも好みの女の子が言い寄られてたら嫌じゃない? 」

提督「別に」

龍田「うそぉ」

提督「お前も真っ当に恋愛できてるようで嬉しいよ」

龍田「これが恋愛ならその辺の蛆虫で純愛ラヴストーリーがつくれますよぉ~ 」

提督「ひでぇ女」

龍田「少なくともあなたはそれ言えないわよね」

提督「えーと、ほら……馬鹿が一番馬鹿を分かるって言うだろう? 」


< なんでだろうね >







鈴谷「相変わらず意味分かんないよね、提督と龍田の話」

提督「分からなくていいぞ」

龍田「本当ね」

鈴谷「そうかなぁ、でも楽しそうじゃん? 」

提督「そりゃ、単に龍田のこと好きだからだよ」

龍田「そうねぇ、私もこの人だから意味分からないお話できるわけだし」

鈴谷「ふーん? 寝ないの? 」

提督「寝ないの」

龍田「寝ないの」

鈴谷「寝ないのかー……ふーん? 」



< のーもんだい >






提督「まぁ、固定観念持ち過ぎるのは良くないってことだな」

鈴谷「はぁん? 」

龍田「お風呂で疲れを癒すどころか疲れることもある、みたいな? 」

提督「そうそう」

鈴谷「……それでいいのか高級将校」


< 一晩で分かる人間ってのもつまらないけれど >






提督「ってもな、別に共感とか求めてないし」

鈴谷「共感ってのはさ、相手の気持ちに理解を示すんじゃなくて自分の中の一番それっぽいことと何かを同一視することだよ? 」

提督「ほーん? 」

鈴谷「だけどさー、わっかんないんだよね。提督の言ってることと鈴谷の中の感情って全然同じじゃないから」

提督「……だそうですが」

龍田「知らないわよそんなの。私もあなたのこと分からないし」

提督「…………寝てみる? 」

鈴谷「や、それは遠慮しとくよ」

龍田「寝ないの? 」

鈴谷「寝ないの」

提督「寝ないかー」


< それは最高の >






雲龍「……Zzz」

赤城「機体が浮き上がった途端寝ましたね」

加賀「そういう子なんですよ、彼女」

赤城「見たいものだけを見る、ですか」

加賀「ええ、私にはできない生き方です」

赤城「私にも難しいでしょうね。……加賀さん」

加賀「なんでしょう」

赤城「……こちらに、横須賀に戻る気は無いんですか? 」

加賀「ッ……………………場合によります」

赤城「そうですか。…………いえ、別に責めているわけではありませんけれどね、寂しいだけですから」


< 賛辞、からの >






加賀「…………」

天城「…………赤城さんがいなくなった途端薄気味悪くニヤつくのはやめていただけませんか」


< より黒いのは誰? >






鈴谷「ん? 他人がいいと思った相手にはとりあえず手出してみたくなっちゃう感じ? 」

鹿島「違いますっ」

鈴谷「本当? 」

鹿島「本当ですっ、そもそも誰も殿方に興味なんてなさそうじゃないですか」

鈴谷「まぁ、横須賀の君も提督も呉の大将も皆既婚者みたいなものだしね」

鹿島「でも龍田さんに恋してる少佐さんみたいに選ばなければいるじゃないですか」

鈴谷「や、さっき言った三人のレベル見てるとさ。
…………だからこそ地位とか家柄の無い提督が人気だったんだけど取られちゃったしなぁ」


< 寝顔という無防備 >






天城「……雲龍姉様」

雲龍「…………なに? 」

天城「あと少しでタウイタウイです」

雲龍「そう……眠い」

天城「姉様っていつまでもノンレム睡眠状態みたいですものね」

雲龍「そこまで薄らボンヤリしてないわよ。……それ取って」

天城「はい。……なんですこの小瓶」

雲龍「ローズマリーのアロマ。葛城がくれたのよ」

天城「いい子ですねこの子。……半笑いで寝てますけれど」



< notバトルジャンキー >






愛宕「終戦の日に戦地到着ってのも中々よね」

高雄「皮肉が効いていていいじゃない」

愛宕「皮肉にしては直球なような」

高雄「どうせこの記念すべき日に平和を目指してとかそういうプロパガンダでしょう」

愛宕「それか式典だとかで目眩ししてるかどっちかね」

提督「なんで無駄に穿った見方するんだよ。こんな日でも死ぬ気で働かされてるだけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

明石「……それ、穿つより酷い言い草だと思うんですけど」



< ヒソヒソコソコソ >






提督「今日のカクテルは、無し」

Littorio「当然と言えば当然ですね」

提督「まぁな。……なんでいつの間にか俺の部屋いるの? 風呂上がり襲われちゃうの? 」

Littorio「Aquilaからのお手紙を届けに」

提督「whyじゃなくてhowなんだが……はい、受け取りました」

Littorio「確かに渡しました。……英国からも何やら来ているようですね」

提督「あぁ。……酒でも飲んでく? 」

Littorio「あなたが飲まないのなら意味が。……あまり遅いとAquilaに心配されますから、色々と」

提督「色々、か。……じゃ、また明日な」

Littorio「はい。……では、また」



ありがとうございました


< 余裕が無いと言えない >







提督「はぁ……疲れた」

愛宕「まだ中身の無い訓示を垂れ流して第一陣を送り出しただけではありませんか少将閣下」

提督「うるさい」

愛宕「側近としてこれ程嘆かわしいこともありません」

提督「じゃあなにか? 伊藤整一中将並の名言でも残せと? 」

愛宕「いっそのこと『有事の際、最後には本官も特攻する』など言えばよろしいのでは」

提督「馬鹿を言え。俺が逃げるのはメンヘラとゲイだけだ。あとそいつを匂わせるんじゃねぇよ」

愛宕「そう」

提督「あぁ」

愛宕「……今の迷言じゃない? 高雄に言ってもいい? 」

提督「やめろ馬鹿」


< ある種常連 >







明石「またこの季節がやってきたんですね、酷使の季節が」

扶桑「お疲れ様、としか言いようが無いわね」

明石「本当ね、もうね、なんで私だけなのかと」

扶桑「クローンなんてできないのかしら」

明石「できたとして私の知識と技術が持ち越される可能性は低いですからね」

扶桑「そうなの……」

明石「やるなら完全な複製ですけど……技術も対倫理も全く追い付いていないのが現状なんですよ」

扶桑「……不幸ね」

明石「実際そうでもありませんけどね。…………いらっしゃいませ」

扶桑「……苦労、かけるわね」



< 比例か反比例か >






高雄「ぬるいですね」

提督「まぁ、被害報告とか聞いてる感じもそうっぽいな」

高雄「はい、さすが英国の関わる作戦といったところです」

提督「……そうかもな」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……正直あなたの好みな女だったように思いますね」

提督「まだまともに喋ってない。おまけの軍人とは色々話してるけど」



< ドアを開けたら一秒、あなた真剣な目をしていた~ >






高雄「……では、また明日」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………はぁ、あまりあの人に無駄なことを言わないでくださいね」

あきつ丸「ややもすれば貴様自身がそうであることっ」

高雄「……なんでしょうか、聞き取れませんでしたね」

あきつ丸「……自分にナイフなど効くわけがありますまい。それに頭に血を昇らせるのは戦場において」

高雄「五月蝿いですね……首を落とし心臓を貫き脳を掻き回せば多少堪えるのでは? 」

あきつ丸「…………よくそんなものを携帯している」

高雄「人間の敵にはよく効きますので。……それともあなたは拳銃の方が慣れていますか? 」

あきつ丸「…………」

高雄「…………」

あきつ丸「…………離せ、これ以上関わるなら本当に無駄な処理が増える」


< ぱんぱかぱーん、かーらーの? >






愛宕「あらぁ? こんばんはー」

高雄「……」

あきつ丸「……」

愛宕「良い子はもう寝る時間ですよぉ? 」

高雄「……良い子、であったためしなどないわ」

あきつ丸「同じく」

愛宕「そう? ……だとしてもあの人の前では何があっても永遠に良い子でいなさいね? ばーい」

高雄「…………」

あきつ丸「…………」

高雄「…………」

あきつ丸「…………あの曲がり角で立ち止まっているか、賭けますか? 」

高雄「賭けにならないでしょう、それでは」



< 訪問者には美人であってほしい >






あきつ丸「提督殿、夜分失礼致します」

提督「ん? 何か用? 」

あきつ丸「英国と伊国からの接触があったでありましょう」

提督「さぁな」

あきつ丸「……くれぐれも国益を尊重していただきたい」

提督「はいはい」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「…………自分に提督殿を殺させないでほしいでありますよ」


< ベッドにあなたのいない夜には >






愛宕「そんなもの持ってたの? 」

高雄「艤装が使えない場合があるじゃない」

愛宕「……デートのときも? 」

高雄「さぁ? 」

愛宕「…………高雄じゃなかったら消してるわよ」

高雄「私もあなたが持っていれば消しているわ。……寝ましょうか」

愛宕「ええ。……今頃どんな話してるのかしら」

高雄「くだらない話よ、どうせ」



ありがとうございました


< なんのために生まれて なにをして生きるのか ♪ >






愛宕「今日、八月十八日の誕生色は? 」

高雄「……さぁ? 」

愛宕「健忘症? 」

高雄「…………早朝から出撃だから調べてないの」

愛宕「メイクはしてきたのに? 」

高雄「どっちが大事だと。……………………来たわ」

愛宕「暇人よねぇ、一定の期間に一定の場所に湧くなんて」


< 空も星も月も、海だって肴 >






雲龍「青空……」

天城「青空ですね」

雲龍「嫌な暑さだけれど空を見ていると多少マシ」

天城「飛びたいですね」

雲龍「ええ」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………清々しい青さですね」

雲龍「今日は満月だもの。…………いいお酒をいいシチュエーションで飲みたかった」


< たぶん、本気ではない >







金剛「拠点からの出撃だと紅茶が楽しめていいデスネー」

鈴谷「と、言いつつポッと出の女にキャラを奪われる金剛であった、ちゃんちゃん」

金剛「ノー、これはキャラではありまセーン」

霧島「あまり虐めないでやってくださいね」

鈴谷「分かってるてー、鈴谷その辺は得意だから」

金剛「だから奪われるものも無いデス。私は私でオンリーワーン」

鈴谷「そういえば時間ある? 」

霧島「次までまだ一時間程なら」

鈴谷「じゃあさ、ちょっと相談なんだけど秋コーデのーー」






金剛「……」

提督「相手にされないからって俺のとこ来るなよ……紅茶飲んだら仕事しに行けよな」


< 入れ替わり立ち替わり入り浸り >







提督「久々にキャッチボールしたくなってきた」

江風「お、なになに、野球の話? 」

提督「北海道代表ベスト4とかいつ振りだろう」

江風「いや、この前春準優勝してたじゃン……」

提督「そうだっけ? 」

江風「テートクがあそこの校名変わったって語ってきたンだぜ」

提督「うーん……つーかお前もかよ」



ありがとうございました



決死の覚悟で弾雨の中突き進み敵を倒し、辿り着いた先に待っていた敵が水着着てビーチパラソルや アイスボックス装備で思いっきりバカンス気分だった時の心境


< さらっと >







海風「バイクの日ですね」

提督「あぁ、語呂合わせ」

海風「この暑い季節に単車に乗るのはさぞ気持ちのいいことでしょうね」

提督「そりゃ勿論。あんなに素晴らしい時間も無いさ」

海風「なるほど……じゃあ、今度単車に乗せてくださいね、では」

提督「おう、いいぞ。…………あれ? 」




< 隙有らば、好きならば >






雲龍「またいつの間にか約束して」

提督「いやー……うん、暑くて頭呆けてんのかなぁ」

雲龍「私との約束もまだ残っているんですよ? 」

提督「え? 」

雲龍「この戦争が終わったら二人で逃げて遠くでドレス着せてくれるって」

提督「おう、それは覚えて……ねぇよ馬鹿」




< 紛うことなき >






龍田「あなたに媚びれば外に連れて行ってくれるの? 」

提督「龍田なら言えば連れてくよ」

龍田「あらあら……」

提督「別に海風と遊びに行くのは嫌じゃないぜ? ただ父娘に見られそうなのがね」

龍田「彼女もそれは嫌がりそう」

提督「あぁ。……媚びられたって普通は遊びになんて行かねぇよ。女に困ってないし」

龍田「クズ」

提督「……そうだな」


< 絡新婦の理(偽) >







提督「つーかこのくだり前もやったよな」

龍田「あなたが転生でもしない限り繰り返しが無くなるのは無理ね」

提督「転生できる? 」

龍田「もし死んだら蜘蛛の糸でもなんでも吊るしてあげる」

提督「どうせ電流流したりするんだろう? 」

龍田「まさか。…………逃げられないように縛ることはあるかもしれないけど」


< 英国のどなたかと会って >







GZ「……これだからLimeyは傲慢でいけ好かない」

Littorio「……Krautsめ」

GZ「と、Bismarckがな」

Littorio「……」

GZ「私は祖国を愛しているがそれ以上の感慨は無い。故に他国を蔑む気も無い」

Littorio「……」

GZ「……? 」

Littorio「……よく考えると東洋人を猿呼ばわりしないあたり自分も捨てたものではないな、と」


< 仲が悪いからこそ仲良くなろうとする、みたいな >






GZ「ま、これでMarianneどもまでやってくれば私も、なにかしら思うかもしれないが」

Littorio「マリアンネ? 」

GZ「フランス女のことだ。どうもあれは何を考えているのか分からん」

Littorio「あぁ、Franciaの女狐のことでしたか」

GZ「奴らが好かれているという話は聞かないしな」

Littorio「それを言えばGermaniaもでは? 」

GZ「Italienも大概だと思うが」

Littorio「……」

GZ「……」

Littorio「……EUとは? 」

GZ「やめろ」



< いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! >






江風「なンだなンだ敵襲か? 」

海風「あ、あれ……ひっ」

江風「ン? ……あぁ、ゴキブリ」

海風「なんで江風はそんな平常心なのぉ……」

江風「いや、だって海だともっとエグいし」

海風「あんな早くてゾワゾワしないじゃん……また動いたっ」

江風「そりゃまぁ生きてるし……はいやぁ! 」

海風「べちゃ、べちゃって」

江風「仕方無いじゃン? ……ほら、こンなとこいなきゃいいンだよ、姉貴」

海風「……ありがと」





天城「…………何故廊下の隅っこに異様にグロテスクな物体が? 」

雲龍「…………あ、卵」


<あなた一人の身体じゃないのよ? >







提督「今日も酒はナイトキャップだけか」

愛宕「別に飲んでもいいのよ? 」

提督「や、だってそれで寝坊とか話にならないし」

愛宕「むしろそれでも着いてきてくれる人とそうじゃない人の区別分かりやすくなるんじゃないの? 」

提督「だとしても、さ。……俺の格下げてお前らの格下げるのが一番嫌なことなんだよ」


>>155的なことがあれば >






漣「どう思います? 」

高雄「好機ですよね、舐めてかかってきてくれるならそれだけ勝機が上がります」

明石「彼らがただ私たちや人間の真似をしているのではなく、
知性や文化を持っているという証拠が補強されますね」

Littorio「真面目ですね」

雲龍「私たちとは違って」

愛宕「否定はできないけど……敵にも勝利にも興味が無いだけよ? 」

鈴谷「足柄の前では絶対に言えない言葉だよね、それ」


< 天に星、地に花、人にーー >






愛宕「ねぇ、お姉ちゃん」

高雄「なに? 」

愛宕「宇宙って不思議ね、あんなに手が届きそうなのに」

高雄「ポエムでも出すの? 」

愛宕「単純に思っただけよ。太陽が三つあるような星もあるらしいし」

高雄「どの太陽に吠えればいいのかしら。……星よりも価値のあるものを得たじゃない、ポエム的に言えば」

愛宕「そうね。……また明日」


ありがとうございました


< 朝焼けと >






提督「……フ-」

Warspite「……早起きね、Admiral」

提督「おっと……消そうか? 」

WS「そのままで構いませんよ」

提督「そう? …………朝日っていいよな」

WS「あなたの見ている朝日が私と同じなら、そうかもしれないわ」

提督「同じだろう、たぶん」

WS「そうね。……ならば世界はどうかしら」



< できるならばまだ見つめ合いたい >






提督「フ-……見える世界なんて誰しも違うだろう」

WS「そう? でも同じ世界を見たいと願うことはできる」

提督「願ってるの? 」

WS「どう見えるの? 」

提督「…………全力で遠慮したいね、その目からは」

WS「この私から逃げるつもり? 面白い」

提督「違う」

WS「? 」

提督「お前の国から逃げたいんだよ。面倒くせぇ」

WS「何故? 紅茶もスコーンも、それにScotchもあるわ。お好きでしょう? 」

提督「こっちでも楽しめるし。……お前も付いてくるの? 」

WS「あなたが望み、私の期待に応え、祖国が許すのなら」

提督「……あっそ」


< 鼻腔という弱さ >







提督「……いい香りだね、薄汚い人間の臭いを掻き消すくらいに」

WS「“ 煙草の為なら死ぬ以外のなんでもしましょう ”。
……他人の愉しみにとやかく言う神経は持ち合わせていないの」

提督「あー……チャールズ・ラム? 」

WS「よく御存知ね」

提督「英国が嫌いでそれで異様に詳しいやつがいるんだよ」

WS「ふーん……私のletter、気に入った? 」

提督「実に熱烈に亡命を勧めてくださって。……国が」

WS「私もあなたのこと嫌いじゃないわ、Admiral」

提督「好きでもないくせに。…………謹んで遠慮申し上げます」

WS「何故? 衣食住も安全も、望めばきっと女も手に入るわ」

提督「一番困ってないものだし。……その程度のメリットで俺は動かない、動けない」

WS「そう……評判通り馬鹿なのね」

提督「しがないyellow monkeyですのでね」

WS「…………」

提督「…………」

WS「…………予想通り、汚いのね」



< ロンドン橋は中々落ちない >






WS「自分の心を嘘で満たしても何も変わらないわ」

提督「いいとこ二割くらいだと思うけどな」

WS「へぇ? ちなみに残りは? 」

提督「酒と女と素敵な何か」

WS「カエルとカタツムリと仔犬の尻尾ではなくて? 」

提督「それなら君に砂糖みたいな甘いものがあるとは思えないけど」

WS「あら、私たちはあなたの女も、家族も歓迎する度量と優しさを持っているのよ? 」

提督「そこに甘さなんてあるとは思えないね」

WS「…………」

提督「…………」

WS「…………あなたの溜息、とても魅力的だわ」

提督「…………流し目も嘘の涙も持ち合わせてないけどな、少なくとも今は」


< 男というやつは >







高雄「……なるほど」

江風「あれいいンです? 」

高雄「是非を問われれば答えは決まっていますが」

江風「うン」

高雄「まだ噂の段階ですしね」

江風「でもさぁ、一泊地の責任者が女侍らせてテートクに指揮権ぶン投げってのは」

高雄「いいではないですか。軍内の弱味を握ることができて」

江風「……」

高雄「……働く無能より数段楽ですよ、不愉快な視線さえ耐えれば、ね」


< 食事も飲み物も喉を通る >






浜風「風が」

時雨「強いね」

浜風「……嫌な風です。浦風たちに何も無ければ良いのですが」

時雨「心配無いさ、とは言えないけど」

浜風「……」

時雨「……と、言いつついつもと同じ位には食べるんだね、浜風」

浜風「? 」



< 論点 >






雲龍「よくよく考えなくても牽牛と織女ってぬるいわよね。
神や星のスケールの割に一年に一回チャンスがあるなんて」

天城「何故姉様は彼らを異様に敵視するんです……」

雲龍「セレネとエンデュミオンなんて夢でしか逢えないのよ? 」

天城「でもその人たちは毎日逢えますし……娘が何人いると思ってるんです」

雲龍「夢と現には絶対的な壁があるのよ。エンデュミオンはずっと夢だと思っているわけだし」

天城「はぁ……江島の弁財天と五頭竜は六十年に一度だったはずですがそれでも? 」

雲龍「駄目ね。……というより御神体の話でしょう? 肉と肉が触れ合わないと意味が無いの」

天城「……結局そこに行き着くんですね、姉様は」


< 剣は血を吸うらしい。では銃は? >






提督「よっ」

あきつ丸「……提督殿」

提督「どうした、煙草常習者の女の子は貰い手減るぞ」

あきつ丸「元々期待などしていないでありますよ」

提督「勿体無い。……風強ぇな」

あきつ丸「……どうぞ」

提督「さんきゅ。……何そのジッポ、凄いな」

あきつ丸「…………」

提督「……ん? 」

あきつ丸「…………鬼火、というやつかもしれませんなぁ、フ-」


< 仲間という敵、敵という敵 >






提督「趣味悪過ぎだろう。……なぁ」

あきつ丸「? 」

提督「どうしてここなんだ? 別にシーレーンの確保ならここまで大規模に横須賀と呉、
それから各隷下の要港部の戦力なんていらないだろう」

あきつ丸「知っていることを訊いて他人を試すなど卑怯者のすることであります」

提督「仲間だな」

あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「……Warspiteは、いや英国はどんなことを? 」

提督「…………やっぱ仲間じゃねぇか」


< とある夜更けに >






江風「…………」

海風「…………」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………忘れよう」

海風「でもこの泊地の責任者が現地の遊女引き摺り込むの見」

江風「姉貴」

海風「しかもたぶん未成ね」

江風「姉貴、いや海風」

海風「……なに? 」

江風「オレたちは偶々廊下でそれっぽい何かを見ただけだ。
風とか闇がそう見させたのかもしれないし、アイツが嫌いだからそう思おうとしているのかもしれない」

海風「…………」

江風「…………いいよな? それで」


< キラキラリーン >






海風「……まぁ、いいけど」

江風「うン、じゃあ部屋に戻」

海風「もう一回、もう一回だけ海風って言って? あとオレって言って? 」

江風「…………」



ありがとうございました


< 割と悪くない >







提督「確かに受領した。ご苦労だった」






愛宕「お疲れ様。あのキリッ、ってやつ相変わらず凄いわね」

提督「まぁ、切り替え上手くならないと普段があれだからな」

愛宕「そう? いいお酒飲んでるときとかピロートークのときの表情カッコいいと思うけど」

提督「そんなの執務中にしたら女の子にはキモがられるし男にもキモがられるだろうが」

愛宕「そりゃね」

提督「なんなんだよ……なんならピロートークで今の顔しようか? 」

愛宕「いいわよ? 雰囲気に合ってれば」

提督「へぇ? …………上官部下プレイか」


< 表と裏で使うという意味で >






提督「っと……紳士少将殿に会いに行くか」

愛宕「紳士ねぇ」

提督「陳腐だけど英国人も紳士だしいいだろそれで」

愛宕「二枚舌が別の意味になるんじゃないの? 」

提督「かもな。……来るか? 」

愛宕「イヤ。私娼婦じゃないもの」

提督「そ。……じゃあ、麦茶でも用意しといて。すぐ戻るから」

愛宕「はーい」


< 道すがらつまらない話でも >







提督「お、山城じゃん、おはよう」

山城「……おはようございます」

提督「なに? お前も少将殿に用事あるの? 」

山城「報告に。曲がりなりにも最高責任者ですから。姉様たちの分もまとめて」

提督「そ、お疲れ様。……曲がりなりに? 」

山城「性格は兎も角としてあなたが実務的にまともなのは確かなようね」

提督「そりゃな。普段は横須賀の君とかエースの側だから気づかないかもしれないけど」

山城「あなたも数年前まで所属していたものね。……性格も能力もこのクズ未満だなんて」

提督「ついでに見た目と趣味もな」

山城「本当そうね。…………同意するのは癪だけれど」


< 毒断と変見 >






漣「そういえば最近癒し系って言葉聞かないね」

叢雲「その癒し系が絶滅したんじゃないの」

漣「そうかなぁ、そんなこと言ったら流行ってた頃にもいなかったと思うけど」

叢雲「そもそも癒し系ってどんなのよ、大体ぶりっ子か頭の緩い人間扱いされると思うわ」

漣「そうだけどさぁ」

叢雲「……それとも、癒し系になってみる? 」

漣「ヤだよそんなの。だって仮に周りからも天然物扱いされて可愛がられてもそれ理解できないゆるゆる女でしょ? 」


< 悪い人 >







海風「お姉ちゃん? 」

龍田「そ、江風ちゃんに言ってもらいたくない? 」

海風「はい! 言ってもらいたいです」

龍田「そう、それならまずはアロマをねーー」






龍田「ってことがあったわ。楽しみにしててね? 」

江風「なに余計なことしてくれてンですか龍田さーン……」


< 出落ち >






漣「えー、では海風ちゃんがシスコンなのかどうか考える会を開会いたしまーす」

江風「……」

叢雲「なんの生産性も無いわねこの会」

春雨「なんで春雨も……」

漣「ゲストにオレ様系ヘタレの江風さんをお呼びした今回! メンバーはある要港部一のプリティガール漣ちゃんと」

春雨「あ、春雨はゲストじゃなくてレギュラー側なんだ」

漣「バクに食べさせる夢すらも無いと噂の叢雲ちゃんと齧れば中華な味がすると噂の春雨ちゃんです! 」

叢雲「多少はあるわよ夢くらい」

漣「そう? ご主人様の近くにいられれば他に何もいらないかと思ってた」

叢雲「馬鹿。……………………それにしたって夢じゃない」

江風「あのさ」

漣「うん? 」

江風「……割と真面目に最近ヤバい気がしてきたからやるならガチでやってほしいンだけど」


< 割と贅沢 >






漣「って言われてもねー」

叢雲「そもそもあなたは海風のことどう思ってるのよ」

江風「……姉貴ってさ、ムーミンのときもそうだけど好きになったものは出来る限りモノにしたいタイプなンだよ」

春雨「まぁ、なんとなくそれは分かるかな」

江風「でさ、テートクは手に入りそうで相当に難しいじゃン? 」

春雨「そうだね」

江風「ってことは今の江風とテートクで迷ってるのをなンとか維持したいンだよね、姉貴のこと嫌いじゃないし」

叢雲「……」

漣「……」

春雨「……うーん」

江風「な、なンだよこの沈黙ぅ……」


< カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ >






雲龍「……今度は生きてるわね」

天城「はい。……基地だと皆さん掃除をしっかりしてますし見ませんから新鮮です」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……丁度いい物が無いわ」

天城「……さすがに素手であれを叩き潰すというのは嫌ですね」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……悲鳴でも上げればあの人来てくれるかしら」

天城「遠過ぎますよ……どちらにせよ叩くものが無いですし」



< でも放っておけないし…… >






天城「えーと……えーと……なにも」

雲龍「仕方無いわね…………ッ! 」

天城「おおう……ナイスショット」

雲龍「…………」

天城「? 」

雲龍「…………ティッシュある? 」

天城「ありますけど……あぁ」

雲龍「……怒られるわねこれ」

天城「それは……本に報告書を巻いて叩くのさすがに」



< まぁ、こうなる >






加賀「そんなことをしていたらいつか誰かに恨まれるわよ」

愛宕「この人みたいにね」

加賀「しかもそこからその相手の派閥にも嫌われたり」

愛宕「この人みたいにね」

高雄「噂からイメージが湧いて無根拠に左遷されたりするかもしれませんし」

愛宕「この人みたいにね」

高雄「しかも使い勝手の良い駒扱いされた挙句死ぬまで化け物の世話係にされるかも」

愛宕「この人みたいにね」

雲龍「……なるほど、気を付けます」






提督「ねぇ、おかしいよね? ね? ……俺今真面目に仕事してるだけなんだけど? 雲龍の書類書き直して綺麗にしてるんだけど?
なんでそんな諸悪の根源みたいに言われてるの? ねぇ」


ありがとうございました


< 何度目のこの話だろうか >






加賀「何度も悪いけれど……あなたも大概順応性高いわよね」

Littorio「? 」

加賀「大体の食事どころか箸まで使いこなしてるじゃない」

Littorio「あぁ。……器用な方なんですよ」

加賀「そう」

Littorio「ええ」

加賀「……」

Littorio「……」

加賀「……あなたの食べられない和食を探すのも面白いかもしれないわね。今度外出許可でも出してみましょうか? 」

Littorio「嫌ですよ、そんなに胃は大きくありませんから。……外になら是非呼んでほしいですけれど」


< 時々吹く風の下で >







叢雲「……司令官? 」

提督「ん? 」

叢雲「暇よ」

提督「お前にしちゃ珍しいな」

叢雲「あんたが漣も初雪も深雪も出しちゃったからじゃない。吹雪や綾波なんて来てもいないし」

提督「まぁな。それにしても珍しいと思ったんだ」

叢雲「現地語なんて分からないからテレビもラジオもつまらないし」

提督「オリンピック、はまぁ大して興味も無いか」

叢雲「しかも終わったわよそれ。……殆ど出払ってるから誰も拾えないの」

提督「ってもね。その辺に誰かはいるだろう? 我がメモを見るに例えば」

叢雲「結構よ。……誰とでも連める女に見える? 」

提督「いいや」

叢雲「私にも選ぶ権利があるし」

提督「そうだな。……麦茶と緑茶どっちがいい? 」


< 今年もまた、きっと来年もまた >







叢雲「つめた。……おめでとう」

提督「うん? 」

叢雲「北海道代表」

提督「あぁ。……何とも言えない幕切れだったらしいけどな」

叢雲「私にはよく分からないけど」

提督「…………帰りてぇなぁ」

叢雲「帰ればいいじゃない。誰も止めはしないわよ」

提督「ん……まぁね」

叢雲「家族とも仲悪くないんでしょ? 」

提督「むしろ良い方だろうな。……じゃ、今年は帰るかな」

叢雲「そうしなさい。いつ死ぬか分からないんだから」

提督「……ん」


< 自らに課す約束 >







提督「ま、大丈夫だろう。叢雲がいるから」

叢雲「ふん……あんたが生命の危機に陥るようなら私なんてもう沈んでるわよ」

提督「そうか? 俺が指揮してる艦が強襲されるとかさ」

叢雲「それももう手遅れね。……壁にもならないし背負って泳いだりもしないわよ」

提督「本当だな? 絶対そうしろよ」

叢雲「…………ええ、もちろん」



< 麦茶の氷が溶けだした頃 >







叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……で? どうして私だけ残したのよ」

提督「んー……? 」

叢雲「まさか麦茶飲みながらもうなんとなく決めているようなことを話したかった、なんて言わないわよね」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………あのさ」

叢雲「ええ」

提督「……………………養子にならない? 」

叢雲「……………………え? 」



< 本当勘弁してください >






雲龍「あっ! 」

天城「なんです、またゴキブリでも出ましたか? 」

雲龍「屋上のハンモック外してくるの忘れたわ」

天城「……吹き飛んでいるかもしれませんね」

雲龍「…………あぁ」

天城「……そんなことで膝から崩れ落ちないでくださいよ」


< そもそも冬はどうかな >






江風「オリンピックも終わりかぁ」

海風「四年後もまた観られるかな」

江風「江風たちが生きているか的な? まともに開催できるか的な? 」

海風「両方」

江風「片方はまぁほぼほぼ大丈夫だと思うよ」

海風「どっちの方が? 」

江風「さぁ? 」



< 時々無性に >







龍田「なにこれ」

提督「すりりんごだけど」

龍田「見れば分かるわ。……なんでそんなの食べてるの? 」

提督「好きなんだよすりりんご。時々食べたくなる」

龍田「暑いものねぇ~ ……少し貰うわ」

提督「あぁ、じゃあスプー……」

龍田「ん……手で食べろって言うの? 」

提督「だからスプーンって……まぁ、いいけどさ」



< もちろん座った >






提督「で、何か用? 」

龍田「別に。天龍ちゃんは木曾とどっか行っちゃったし暇だなぁ、って」

提督「そうか」

龍田「たまにはあなたとサシでゆっくりお話したいし」

提督「はーん? ……執務机に座るんじゃねぇよ。変な座り方したら皺できるだろうが」

龍田「そういう問題? 」

提督「そりゃスッとしたスタイルの女の子と服のだらしない子なら考えるまでもないだろ」

龍田「そうね。……なら机に真っ直ぐ座ればいいの? 」

提督「やめろ。……見えるだろうが」



< ただいま代わりに >






漣「魚雷ってさ、億単位の値段するんだって」

叢雲「そうね」

漣「それを冗談でもご主人様に叩き込もうとするってヤバくない? 」

叢雲「別に本気じゃ……本気じゃないわ」

漣「ふーん? ……どしたの? 」

叢雲「別に。……自分で処理しきれなくなったら相談するわよ」

漣「早めにね」

叢雲「ええ。…………なんでも、突然はよくないわ」




< 求婚よりもある意味難しい >






漣「ってことが有ったんですけどー? 」

提督「ほーん」

漣「叢雲ちゃんが言葉だけでも相談するかもしれないなんて言うなんてよっぽどなんですが」

提督「そうだな」

漣「何やらかしたんです? 求婚でもしました? 」

提督「いや別に……でもまぁ似たようなことかもな」

漣「えっ? …………え? 」


ありがとうございました


< これにて終幕 >






高雄「戦果目標は達成したかと」

提督「ん……やっと帰れるのか」

高雄「そうですね。今回のボスの攻撃を躱すことができれば、ですが」

提督「あ? そんなのお前らが沈めて終わっただろう? 」

高雄「WarspiteとAquilaのことですよ」

提督「あぁ……そっち」

高雄「私は何も知りませんけれど……早めに終わらせてくださいね」

提督「あぁ」

高雄「それと」

提督「ん? 」

高雄「……暫くは何も沈めたくありませんから、そのおつもりで」


< 失言クイーン >






江風「ふぁー……これで暫くは演習だけか」

海風「だね」

江風「でも帰ったってオリンピックも甲子園も終わってンだよなぁ」

海風「来年まで待てばいいじゃん」

江風「いや、オリンピックは冬入れても来年じゃ……じゃあさ」

海風「うん」

江風「江風と来年まで会えないとして誰かに待てばいいって言われて落ち着いてられる? 」

海風「それは無理」

江風「な? 嫌だ、ろ…………あぁぁぁぁぁぁぁぁ、なンで自分でこういうこと言っちゃうンだよぉ……」


< 本当にお疲れ様でした >






明石「…………死にそう」

愛宕「お疲れ様」

明石「……どうも」

愛宕「疲労は身体の異常励起でなんとかなるとしても精神はどうしようもないものねぇ」

明石「んー……や、そうでもないんですよそれが」

愛宕「そうなの? 」

明石「身体の異常励起にしたって簡単に言えばアドレナリン分泌させて血管拡張したり血糖値上げてるわけですから」

愛宕「あぁ、セロトニンとか分泌するように意識すれば精神もなんとかなるってことね」

明石「ええ」

愛宕「そう。……しないの? 」

明石「前にしたことあるんですよ、成功もしましたし。ただですね」

愛宕「うん」

明石「あれ物凄く非効率なんですよ。励起したり沈静化させたり繰り返すの。かえって疲れましたねあれ」

愛宕「うーん……難しいものね、中々」


< 誰しも拠り所というものを >






江風「つーかそれ続けてたら依存症状とか出るンじゃないの? 」

明石「いえ、私たちって都合がいいというか肉体的には全くと言って良い程依存症状は出ませんよ」

江風「肉体的には? 」

明石「……何人提督と共依存してると思ってるんですか」

江風「……あぁ」


ありがとうございました


< 揺れる瞳と震える心 >






提督『俺が突然死んだとしてな』

叢雲『ええ』

提督『高雄や愛宕はもういいんだ。俺が何を言おうと自分の意志で生きる……か死ぬかするだろう』

叢雲『そうね』

提督『お前はどうするんだ? 』

叢雲『そんなこと分からないし、あんたに言う必要あるのかしら』

提督『無いさ……無いけどさ』

叢雲『…………』

提督『…………』

叢雲『…………まさか死にそうだっていうの? 』

提督『いいや。……そんな目、するなよ。お前らしくない』


< あるいは最高の >







叢雲『……どうしてそんなつまらない話するのよ』

提督『叢雲も言ったけど俺もいつ死ぬか分からない、なんて考えるとさ、うん』

叢雲『……』

提督『いつか戦争が終わったとしてお前らは全員兵学校とかの海軍系学校の卒業名簿に載る』

叢雲『……そう』

提督『だがそれ以降はどうする? まともに国が助けてくれると思うか? 』

叢雲『知らないわよそんなの』

提督『…………だからさ、お前を俺の養子にしたい』

叢雲『…………まともな戸籍と遺産を遺すっていうの? 』

提督『あぁ。……それとさ』

叢雲『なに? 」

提督『俺の子供はできる可能性が低いだろう? で、俺一人っ子なんだ』

叢雲『……しかも最も近しい女は受け取るまで生きているか分からない、と』

提督『…………時々、墓参りでもしてくれたらなって』

叢雲『…………』

提督『…………お前を縛ることになるかもしれないけどさ、お前にしか頼めないし、頼もうとも思えないんだ』

叢雲『……………………最低ね』


< 八月二十二日 >







提督「あ、そうだ。この後イタリア帰ったりする? 」

Littorio「いえ、その辺はRomaに任せてますし。……信用されてませんからね」

提督「はーん? 」

Littorio「あなたを籠絡して機密を流した、とされる割には利益が少ないものですから」

提督「ははは……悪いな」

Littorio「いえ……ま、だからこそAquilaが派遣されたのもあると思うのです」

提督「どうかな。……ま、適当に楽しみにしとけ」

Littorio「ええ。……このままこちらにいてもいいのですけれどね」

提督「俺が嫌だよ暑いし」

Littorio「……忘れていたのかと」

提督「まさか、単にタイミングがね」

Littorio「艦が悪いのですよね、何故夏に進水させるのか」

提督「知らねぇよ。……誕生日って選べないもんな。毎月一人なら楽なのに」



< 偽らざる >







提督「ん? ……なぁ」

Littorio「なんです? 」

提督「イタリアで地震だってよ、死者も出てる」

Littorio「そうですか」

提督「……」

Littorio「亡くなった方には申し訳ありませんが他人事としか思えませんね。
あなたもそういうタイプだったはずですが」

提督「でも同国人の……いや、なんでもない」

Littorio「はい」


< 祝宴? 宿怨? >






「ーーーー以上だ。乾杯! 」





山城「相変わらず薄汚い声ね」

龍田「ま、さすがにここの責任者なんだから訓示と乾杯の音頭くらいは許してあげないと」

山城「……あの男は? 」

龍田「階級は同じだけど家柄と立場が段違いでしょう?
かたや外地とはいえ重要拠点の長、かたや内地の要港部の長」

扶桑「そもそも作戦責任者はこの泊地の彼だもの立案と監督はあの人だけれど」

山城「…………」

扶桑「……山城? 」

龍田「? 」

山城「…………目が合ったわ、気持ち悪い」



< ちいさな紳士とは言わないがね? >







愛宕「そういえば今回はアメリカあんまり関わってこないわね」

高雄「太平洋以外興味が無い、ということもないでしょうけど」

愛宕「やっぱりパパと約束でもしてるのかしら」

高雄「さぁ……パパ? 」

愛宕「big baby。英国人は未だにそう思ってるんじゃないの? 」

高雄「あぁ……本当にそうかもしれないわね」


< 向き不向き >






Littorio「……」

GZ「……」

WS「……」

Littorio「……」

GZ「……」

WS「……」

Littorio「……AquilaかせめてPolaにしましょうよ。お酒があればなんとかなるでしょうし」



< 噂をすれば >







漣「お、いったいった」

叢雲「ん? 何見てんのよ」

漣「泊地おじさんが女の子にちょっかいかけてるの」

叢雲「白痴? ……そんなこと言ってたらこっち来るわよ」

漣「まさかぁ。ご主人様じゃないけど漣とかかなーりロリっぽいし」

叢雲「でも海風に聞いた感じ未成年でもーー」






江風「あれ? 漣は? 」

叢雲「……愛想笑いと忍耐の実地訓練してるわ」

江風「? 」


< 邦 >






Littorio「あー……生まれる時代を間違えた気がしますね」

WS「何故? 私は祖国の為に自分にしかできないことができて幸せよ」

GZ「そうだな、私も概ね同意だ」

Littorio「祖国の為、ね。……そう」

WS「いいのよ、我が国に来ても。私たちは迷える方をいつでも歓迎します」

GZ「……はっ」

WS「ん? 」

GZ「なにか? 」

WS「……」

GZ「……」

Littorio「……………………ふふ」


ありがとうございました


< 知らない天井ってやつ >







Littorio「……………………頭痛い…………? 」

GZ「暑いコーヒーでも飲むか」

Littorio「えーっと……待って、少しだけ待ってください」

GZ「あぁ」

Littorio「……………………何もしてませんよね? 」

GZ「失礼な。私はレズじゃない」

Littorio「でもどうしてパジャマなの……? 」

GZ「貴様が勝手に脱いで寝たから私が着せただけだ。それともそのまま廊下に放り出せとでも? 」

Littorio「いえ、ありがとうございます。……あの」

GZ「……まだ何かあるのか」

Littorio「…………パジャマ、可愛いですね」

GZ「…………」



< 二度寝の誘惑には辛うじて >






GZ「……何故介抱して部屋に泊めた挙句辱められるのだ」

Littorio「失礼……うん、ごめんなさい。Littorio、変なこと言いませんでした? 」

GZ「たっぷりと聞かせてもらったよ、祖国のこととか」

Littorio「! 」

GZ「……」

Littorio「……」

GZ「……揶揄っただけだ。青褪める必要は無い。殆ど愚痴のようなものだったし」

Littorio「……そう」

GZ「…………ま、ゆっくりしていけ。どうせ今日は撤収の日ではない」



< 羊の皮を被った狼と狼っぽい羊はどちらが罪か >






WS「…………」

提督「ん? 低血圧かなんか? 」

WS「…………分かっていて訊いてるでしょう」

提督「そんなに酒強くないんだな」

WS「Littorioってあなたの子飼いでしょう? 」

提督「子飼い? 」

WS「……ま、それはいいわ。彼女なんてドイツ女の部屋でストリップしてたわ」

提督「えぇ……呼べよ」

WS「わざわざ羊を呼ばなくても欲求は満たされていたもの」

提督「羊? ……ふーん? 」

WS「……なに、その目」


< 淑女という生き物は >






WS「……ま、いいわ」

提督「よくない。……何飲む? 」

WS「紅茶を」

提督「お前が淹れた方が美味いだろう……別にいいけど」

WS「こんな場末の軍施設にある道具で淹れて褒められても嬉しくないの」

提督「左様でございますか」

WS「…………」

提督「…………」

WS「…………今まで何人の女泣かせたの? 」

提督「さぁ? ……今まで何人の男振ったんだ? 」

WS「さぁ? ……興味の無いことは忘れることにしてるのよ」


< 反省会が飲み会以外になったためしがない >






提督「今日はゆっくり赤飲めるな、安物だけど」

あきつ丸「自分にはよく分からないでありますよ」

提督「そうか? ……ま、シェイカーも無いしリキュールも無いからこんなもんか」

あきつ丸「シンプルなものが一番であります」

提督「違いない。……昨日の祝賀会はまともに飲めなかったしなぁ」

あきつ丸「…………お疲れ様でした、提督殿」

提督「ん。……まぁ、本来やるべき仕事しただけだしな、大したことないさ」

あきつ丸「今次の作戦全てを含めて、です。これであのド無能を更迭できる」

提督「俺が指揮して仕事をさせない。現地の娼婦を年単位でくっつけて堕落させる。気の長いことだな」

あきつ丸「それだけかけなければ手を出せない家柄なのでありますよ」

提督「そりゃ知ってるけどさ。……で、次はここ誰の城にするんだ? 」

あきつ丸「殿下は提督殿に任せたいようでありましたが」

提督「お断りしたからな、その代わり去年から異常な程大規模な作戦に駆り出されてる」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「…………ま、おそらく殿下の腹心の者でしょう。これで横須賀の枠が一つ空きます」

提督「ふーん……それで? 俺はもう出世とかいらないんだよ。死ねないし、失えないからな」


< 誰が為、という無価値 >






あきつ丸「それでも護国の為に、なんて言っても意味の無いことでしょうな」

提督「よく知ってるじゃないか。俺も降ろすか? 」

あきつ丸「そちらこそ自分の価値をよく知っている。今の時代性格などに構っていては有能な人間を取り逃がす」

提督「まるで曹操あたりの考え方だな」

あきつ丸「……殿下は覇道ではなく王道を目指しているはずであります」

提督「結果は過程と流れでよく変わるものさ。……注ぐよ」

あきつ丸「どうも。…………高雄と愛宕は? 」

提督「俺の嫁だぜ? 自分たちがいない方がいいときと戻ってくるべきときをよく分かってるんだ」

あきつ丸「それはそれは。…………提督殿や彼女たちがせめてあと一組いれば、と思わずにはいられませんよ、自分は」




< 酒が悪い、たぶん >







提督「や、でもさ」

あきつ丸「? 」

提督「仮に俺が百人いても全員同じ考え方だから下手したら亡命したり民間行く奴出るぞ」

あきつ丸「確かに。……ん? 」

提督「? 」

あきつ丸「…………なにかあれば第一に考える次善が、亡命ということでありますね、今の理論で言えば」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………忘れろ」


ありがとうございました


< 最後まで続けられたかは、さて >






WS「西洋史に造詣が深いと聞きました」

提督「諜報部員にか? 」

WS「……やめて」

提督「おっと失礼……まぁ、趣味レベルだよ」

WS「紳士は趣味にこそ全力と愛を捧げるものよ」

提督「俺紳士じゃないし。……なに? 歴史に興味あるの? 」

WS「歴史にじゃないわAdmiral、あなたに興味があるの」

提督「そうか。……よし、じゃあまずは俺が生まれた町の話をーー」



< 一方端では >






高雄「まるであなたの同類のようね」

あきつ丸「むしろそちらでは? ベタベタと提督殿に絡んで」

高雄「理由が違うもの」

あきつ丸「愛さえあればいいと? 」

高雄「そうよ。あの人に訊いてみなさい」

あきつ丸「それを言われると引き下がるしかないでありますが……ナイフは? 」

高雄「あの人に預けたわ」

あきつ丸「何故提督殿に」

高雄「……“ 高雄がこれを使わないといけなくなったんだったら俺たちの負けだ。そうならないように祈っておけ ”」

あきつ丸「……なるほど」


< 規律は捨てた! 匙も投げた! >






あきつ丸「いや、しかし何故提督殿に預けたのかがよく」

高雄「……刃物好きなのよ、あの人」

あきつ丸「はぁ? 」

高雄「どこぞの金髪ポテト女に装飾された鋏とナイフを頂いて以来らしいですね」

あきつ丸「なるほど。……あの女でもそういうことをするのか」

高雄「彼女がそうする程度にはいい関係だったんでしょう……まったく」


< 弓と弦の関係、というわけでもないか >






加賀「赤城さんと弓を引くのも久方振りですね」

赤城「はい。……どうも的場に立つと心が乱れます」

加賀「分かりますよ、私も。鎮めに来ているはずなの、どうしても邪念が入り込む」

赤城「一つ一つの邪念を見直して、心の形を見定めるべし、ということなのでしょうか」

加賀「…………」

赤城「…………」

加賀「…………」

赤城「…………」

加賀「…………赤城さんに見つめられるとその、邪念ばかり湧くのですが」


< 迷いを射抜け、それがたとえーー >






加賀「ッ……………………駄目ね」

赤城「何か、迷いごとでも有りますか? 」

加賀「有るといえば有りますが……いえ、これは言い訳ですね」

赤城「……蒼龍さんたちと勝負するときはよく当たるのに」

加賀「……勝負のことだけに集中するからでしょうか」

赤城「……呼んできます? 翔鶴さんたちも」

加賀「構いま……いえ、今は赤城さんとだけいたいので、それはまた次に」


< いなくなると寂しいような気もするけれど >






雲龍「……眠い」

瑞穂「戦場仕様の雲龍さんは終わりですか」

雲龍「充電したものを一度に消費するタイプなのよ」

瑞穂「まぁ、それで十分ですけれどね」

天城「……それなら相部屋交換しません? 」

瑞穂「構いませんよ? 明石さんも大概ですから」

天城「姉様の場合朝起こしてシャワー室に追いやって髪を乾かしてセットしないといけませんが」

瑞穂「油と鉄の臭いをなんとか持ち込まないようにさせて部屋に図面をばら撒かないようにさたせて服をちゃんと選ばせないといけませんよ」

天城「……」

瑞穂「……」

天城「……姉様でいいです」


< たぶん溺れる >






雲龍「“ でいい ”なんて失礼ね」

明石「ははは……私は何も言えませんけどね。瑞穂さんから申し出てくれましたし」

天城「酔っていたとしても“ 烈風一機で無制限 ”なんて言う姉にはそれで十分です」

明石「うわぁ……」


< 姉妹だから大切なのではなくて >






雲龍「誰でもってわけじゃないんだから別にいいじゃない……暇ね。カードでもする? 」

天城「大富豪? 」

明石「ブラックジャックで」

瑞穂「コントラクトブリッジ。折角相部屋同士ですし」

雲龍「いいわね。……一番勝率のよかった組で一週間過ごすのはどう? 」

明石「私はいいですけど」

天城「天城も構いませんけれど……天城と瑞穂さんが勝ったらどうするんです」

雲龍「私と天城のペアが負けると思ってるの? 」

天城「……」

瑞穂「……そこで照れるから天城さんはいつまでも天城さんなんですね」


< 大事な人が姉妹だった、それだけのこと >






海風「なんかこの面子っていうのも珍しいよね」

江風「そうか? ……いや、確かにあの基地でもあンま無いか、なンでか知らないけど」

漣「叢雲ちゃんあれで姉妹大好きちゃんだから仕方無いよ。普段は漣たちが独占してるしね」

海風「……だって、いいんだよ? 我慢しなくても」

江風「むしろ姉貴が我慢できるかが心配だよ、江風は」


< 健全な姉妹もどこかには >






春雨「……また、生き残れた」

時雨「そうだね」

春雨「……それとも生き残ってしまったのかな」

時雨「そうかもしれない」

春雨「……」

時雨「……」

春雨「……でも、これでいいんだよね? 」

時雨「それだけは確かさ、きっとね」


< エアリーディング講座とかどこかに無いかな >






浜風「ん……何か言いました? 」

時雨「何も。……よく食べるね浜風、太るよ」

浜風「大丈夫です。死ぬ気でトレーニングするか最悪代謝を励起させるので」

時雨「そうかい。……そのぺたぺたするのやめた方がいいと思うよ」

春雨「…………なんで」

浜風「? ……太るといえばこの前浦風のブラのサイズがまたーー」


< 姉妹じゃなければ健全じゃなくてもいい気がしてきた >






提督「それそれ、そう、うん」

高雄「……はぁ」

提督「いいね、その溜息も」

高雄「……腕を組むのがなんだっていうんです」

提督「おっぱい」

高雄「……物ッ凄く唐突に馬鹿にならないでください、疲れるんですからね、こっちは」


< 焼肉、とかでは絶対に無いかな >






雲龍「カキタレとかマジタレのタレってなんなのかしら」

天城「知りませんよそんなこと」

明石「また唐突な。……なんです? 」

瑞穂「瑞穂も知りませんよ……提督にでも訊いてみたらどうです、よく知ってるでしょうたぶん」


< そのときまでは >






GZ「無能は檻へ、有能は戦へ、か」

Littorio「む……ではLittorioのような凡人はどこへ行けばいいのでしょうね」

GZ「さぁな。……凡人? 」

Littorio「RomaやZaraに任せきりですからね。難しいことは」

GZ「……観戦武官扱いで他国へ赴き、一見重要拠点でもない基地に身を置く身が、凡人? 」

Littorio「監視する必要も無い、ということでしょうね」

GZ「私はRomaにもZaraにも面識があるし、他にも大勢イタリアの者と知己ではあるが」

Littorio「そう」

GZ「……お前程何を考えているか読めない者もいない」

Littorio「何も考えていないですから。…………大体は、ね」


< 情報を制する者が >






GZ「……イタリア政府の思惑なのか知らないが大規模な作戦以外どこにも出ないだろう」

Littorio「そうかもしれませんね」

GZ「流されてあそこにいるとは言うが、信じられると思うのか? 」

Littorio「別に信じてもらう必要が無いですし」

GZ「……」

Littorio「……」

GZ「…………我が国とそちらで交換したい情報があるのだが」

Littorio「…………そう」




< 幸せという利害 >






Littorio「……ね、__さん」

提督「ん? 」

Littorio「Littorioは、お役に立てていますか? 」

提督「ものによるとしか言えないね。
俺はLittorioが近くにいて笑ってくれればそれでいいからその意味では役に立ってる」

Littorio「はい」

提督「それにまぁ……Littorioとこういう関係にあるってのは俺にとって札を増やすことになるし」

Littorio「その件ではLittorioも同じですね」

提督「あぁ。……どうかした? 」

Littorio「……いえ、それだけ聞ければ十分ですよ」

提督「ふーん? 」


< でもどの顔だってきっと好きになるから >






提督「……あぁ、そうだ、これはつまらない独り言なんだけどさ」

Littorio「はい」

提督「俺の地元トークくらいの気持ちで聞いてくれ」

Littorio「……」

提督「俺はLittorioって人間とイタリア政府の書類に載ってるItaliaって兵器は別物だと思ってるから」

Littorio「はぁ」

提督「だから……Italiaさんがドイツにどんな情報を流そうと、英国淑女とどれだけ親密になろうと知らないよ」

Littorio「……」

提督「その代わり、その情報がわざとおしえたものだったりしても俺は責任を取らない。
なんてったってItaliaさんなんて知らない人だからな」

Littorio「……」

提督「……」

Littorio「ふふ……随分と興味深い独り言ですね」

提督「そう? …………じゃあ、我が札幌の話でもする? 」


< 疲れると馬鹿話をしたくなる >






提督「今日も今日とて安物のワインか」

愛宕「トークのアクセントだとでも思っておけばいいのよ」

提督「ん。……敵性体の名前ダサいよな」

愛宕「そう? 」

提督「甲種とか戊種とかよりはいいけどさ。もっとカタカナのカッコいいのにすればいいのに」

愛宕「そっちの方がガキっぽいような気がしますけど? 」

提督「うーん……」


< しぇいくはんど >






愛宕「はぁ……駄目ね、どうも」

提督「何が? 」

愛宕「あなたに長い間触れていないと不安になるの」

提督「手でも握ろうか? 」

愛宕「そうね。……んー」

提督「どう? 」

愛宕「……これはこれで中々新鮮ね」


< それから >






高雄「……何故握手なんてしてるのよ」

提督「流れ? 」

愛宕「流れよね」

高雄「……あなたたち、本当に馬鹿ね」


< 関節握手 >






高雄「あぁ、でもそれなら私の手も握ってください」

提督「いいけど」

高雄「ん……落ち着きます」

提督「そうか? 」

高雄「あなたを感じていないと不安になるもの」

提督「姉妹かよお前ら……姉妹だったわ」



↑ 間接、で

ありがとうございました


< たとえそこが地獄だとしても一瞬の楽しみを >






あきつ丸「……また例の指輪を道具にしたのか」

提督「そりゃあ大事な札の一つだからな。俺はクズ札でも上手く使いたいタイプなんだ」

あきつ丸「……程々にしないと危険でありますよ」

提督「分かってるさ」

あきつ丸「分かっているのなら……いや、意味の無いことを言っているのは理解していますが」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………同族のコミュニティ内で権謀術数にまみれてるのとさ、敵に主導権握られて苦しいの、どっちがマシなのかな」

あきつ丸「…………どちらにせよ、提督殿のすることは変わらないでありましょう? 」


< 宴の後に残っているのは片付けだけ >






提督「……そういやさ、あのボンクラどうなんの? 」

あきつ丸「瑕疵のある者に残された道は二つ」

提督「ん」

あきつ丸「私心を捨てて殿下の、横須賀の狗となること」

提督「俺みたいなものか。もう一つは? 」

あきつ丸「軍に残るにしろ去るにしろ一生日陰者として隅に追いやられて生きること」

提督「そうか。……無能なわんこなんて番犬にもならないよな」

あきつ丸「左様。……可愛げや愛嬌があれば愛玩動物にはなるのでありますが」

提督「……家まで潰すのか? 」

あきつ丸「……さぁ、自分には分かりかねます、が」

提督「が? 」

あきつ丸「そうしないと後が面倒になるでしょうな、おそらく」


< また >






あきつ丸「……では、自分はそろそろ」

提督「ん? 俺らと同じ時間じゃないのか」

あきつ丸「“ 護送 ”がありますので」

提督「はーん? ……まだ捕まってないだろう」

あきつ丸「似たようなものでありますよ、こちらにも色々とあるのです」

提督「逃げられたり消されたら困るもんな。……じゃ、横須賀で」

あきつ丸「はい。……ありがとう、提督殿」

提督「……ん」



< 楽しい我が家へ >






加賀「やっと帰れるのね」

天城「呉と横須賀を経由して、ですけれど」

雲龍「やっと欲求不満も解消できますね」

加賀「そうね」

天城「……それは姉様だけ、と言えなくなった自分が少しだけ悔しいです」


< 三竦み >






Littorio「何故あなたたちとポーカーなんてしなくてはならないのです」

WS「あら、一緒にストリップをした仲じゃない。脱いだのはあなただけだけれど」

GZ「誇りがどうだと呟きながら転んでいた仲間でもあるな」

WS「……」

Littorio「…………それに可愛らしいパジャマ仲間でもありますしね」



< 絶対は無いとは言うけれど >






愛宕「惨めよねぇ、横須賀に着いた途端軍法会議でしょう? 」

高雄「ま、自分の無能と無節操を反省する時間が与えられると思えばいいのよ」

愛宕「でもおかしいと思わないのかしらね、大規模な作戦が成功した後にいきなり召還されるなんて」

高雄「おかしいと思う頭があるならこんなことにはなっていないわ」

愛宕「確かにそうだけど……運命って怖いわよね」

高雄「あなた運命論者だった? 」

愛宕「ロマンティックなことだけならね。……運命というか、運というか」

高雄「……最初に所属したのが横須賀ではなくタウイタウイであったとしたら」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………私が軍法会議だったわ、絶対」


< たぶん現実とあまり変わらない >






雲龍「…………Zzz」

龍田「随分幸せそうな顔ねぇ~ 」

山城「どうせ淫らな夢でも見てるのよ」

龍田「そうかも。……見るの? 」

山城「見ないわよ、私はこのアホ女とは違うの」

龍田「ふーん? プラトニックってやつ? 」

山城「夢で見るだけなんて虚しいじゃない。
可能性が限りなく低くてもそれが現実になるまで負け犬みたいなことはしたくないわ」

龍田「そう……でも物凄く気になるわね、あなたの見る夢」


< 似た者 >






雲龍「…………ん……Zzz」

山城「あなたもよくこれの妹なんてやってるわね」

天城「はぁ」

山城「私なら耐えられないわ。一日中よく分からないことを口走る淫乱女が姉だなんて」

天城「これで中々いいところもあるんですけれどね」

山城「それでも、よ。顔が印象の九割を占めるのと同じように、相手のことは大体プラスマイナスでしか判断できるものじゃないわ」

時雨「…………」






時雨「扶桑もよく山城のお姉さんなんて続けてられるよね」

扶桑「? そういうものでしょう?」

時雨「そうだね。……そうなんだけどさ」


< 誰しもがつくった自分と戦って生きている >






扶桑「それに……嫌な女なのは私の方だもの。むしろ山城にいつか見放されそうよ」

時雨「そうなのかい? 」

扶桑「山城が私の嫌がることをしないと知ってて現状を維持してるのよ、私」

時雨「……」

扶桑「あの子の気持ちを無視して、ぬるま湯の中で笑っているの」

時雨「……でも、そこから進んだら扶桑が不幸になるじゃないか」

扶桑「いえ、きっと並以上の幸せは手に入るわ」

時雨「はぁ……? 」

扶桑「でもね、嫌なのよ。私とパートナーの幸せに釣り合いが取れないのは」

時雨「よく意味が分からないんだけど」

扶桑「私、パートナーとは同じだけの幸せが理想だと思うの。
同じ方向を向いて、時々見つめ合って」

時雨「……」

扶桑「パートナーがずっと私の背中を見ているだけとか、そういうのはイヤ。どうせなら無理矢理の方がいいわ」

時雨「……」

扶桑「……」

時雨「……病気だよね、扶桑も山城も。それにきっと僕も」


< 言われ損 >






扶桑「……まぁ、正直山城ならいいかなって思うこともあるわ」

時雨「え……」

扶桑「私のこと愛してくれそうだし、私もそうだから」

時雨「……なんか割と聞きたくなかったんだけど」

扶桑「折角だし聞いておきなさい。私がこんな話するのなんて滅多にないんだから」

時雨「だから嫌なんだよ……それで? 」

扶桑「もちろん理想はお慕いする殿方と結ばれることだけれど、レズに抵抗も無いわ」

時雨「…………」

扶桑「ま、それだけのことで奥も無いけれど。……山城には内緒よ? 」



< 労働と対価 >






明石「えぇ……マジですか? 」

提督「マジ」

明石「……ちょっといい加減疲れてるんですけど」

提督「手当も出るし横須賀の君に小さい貸し一つできるぞ」

明石「絶対それ釣り合ってないでしょ……偽名で論文? 」

提督「そ、ドイツ語ヴァージョンは俺が翻訳してやるぞ」

明石「しかも世界中にばら撒かれるとか……まぁ、命令なら仕方無いですけど」

提督「その偽名で大分まともな戸籍をつくれる。悪い話じゃないさ」

明石「はぁ。……まぁ、研究をまとめる機会ですし構いませんけどね。手伝ってくれるんでしょう? 」

提督「あぁ。…………手取り足取り、な」


< not物理 >






時雨「……なんだか出撃中よりある意味消耗したような」

春雨「? ……扶桑さんがどうかしたの? 」

時雨「…………」

春雨「…………? 」

時雨「…………姉妹って似るんだなって」

春雨「そう? ……それならもっと似てほしいところがあるんだけどな」



< まともな軍人ってどんな? >







龍田「軍ってまともな人間いないのかしら」

提督「馬ッ鹿じゃねぇの、いるわけないじゃん」

龍田「でもまともな軍人はいるじゃない? 」

提督「まともな人間はまともな軍人にはなれないからな。何も矛盾してない」

龍田「…………至言ね」

提督「ただの事実だよ、これは」


< 藪蛇とかいう強モンス >






金剛「腰がいた……お婆ちゃんじゃないデース! 」

霧島「誰も言ってませんよそんなこと。私も痛みますし」

金剛「そ、そう? いやー、ヘリって中々大変ネー」

霧島「……自分で種蒔くのやめれば誰も言わないのに」



< 一息 >






提督「んー……久々に美味い酒が飲めて満足」

愛宕「呉の大将はさすがね」

提督「あぁ、センスもいいし本人も至ってまとも。超有能だしな」

愛宕「それに比べてあの男は」

提督「……」

愛宕「信じられないでしょう? あれと大将閣下って一応親戚なのよ? かなり遠い姻戚だけど」

提督「まぁ、それはおかしいと思う」

愛宕「あの顔二度と見なくて済むと思うと清々するわ、まったく」

提督「そうかもしれないが……お前悪酔いすると妙に怒りっぽくなるな、知ってたけど」


< それはそれでつまらないと思う >






愛宕「あの目が嫌なのよ、こう、舐め回すような値踏みしてるような」

提督「男にはあんまり分からない感覚だな、それ」

愛宕「少しならいいのよ? 街で二度見されるのとか嫌いじゃないし」

提督「…………」

愛宕「? 」

提督「…………」

愛宕「…………? 」

提督「…………や、服透けて見えないかなって」

愛宕「ばーか」


< 楽なので >






愛宕「…………Zzz」

提督「…………なんなの? 呉に来たら悪酔いしなきゃいけない決まりでもあるの? 」

高雄「そんなものは……私は寝落ちまではしてませんし」

提督「寝落ちしてくれた方が楽だろう大体」

高雄「……どうしますか? 」

提督「放置でいいんじゃない? もう正直面倒くさい」

高雄「あたられるのは私なんですよ……部屋に持っていきますね」

提督「おう、頼む。…………お姫様抱っことは言わないけどせめておんぶだろう、何故肩に担ぐ」


ありがとうございました


< 灯台下暗黒 >






雲龍「アメリカやオーストラリアではセックスレスについての法律があるらしいわ」

天城「はぁ」

雲龍「たとえば週三回以上行為が無いと離婚事由になるとかね」

天城「大変ですね、それは」

雲龍「ということはよ? 私ももっと要求していいんじゃないかしら、ね? 」

天城「してみればいいのでは。ただ」

雲龍「なによ」

天城「……それはそもそも夫婦の間での法では? 」

雲龍「…………」


< (周りが)危険な男 >






漣「もっとね、FPSを布教するべきだと思うんです、この国は」

明石「それ今更布教する意味あるんですか? それなりにプレイ人口いると思いますけど」

漣「キリスト教だってイスラームだって未だに布教してるじゃないですか」

明石「まぁ、確かに」

漣「もういっそ軍主催で大会でもやればいいんじゃないかと、そっからスカウトしてもいいし」

明石「はぁ。……言えば大会くらい参加させてくれると思いますけど」

漣「チッチッチ……ご主人様の立場これ以上悪くしたら漣が的にされちゃいますからケッコーです」



< シン海棲艦 >






提督「なぁ、明石」

明石「何ですか? 」

提督「お前らって何も食べなくても長期に生きていけるし励起すればカロリー消費増進の代わりに高機動で動けるよな」

明石「ですね」

提督「それに大体の敵性体もそんな感じなんだよな? 」

明石「ええ、何度か鹵獲にも成功していますし確かですよ」

提督「…………呉爾羅? 」




< 花屋でも開けばいいと思う >






龍田「髪、伸びたわねぇ~ 」

山城「あなた、いつも天龍に切ってもらっているんだったわね」

龍田「そうよぉ。プロ並に上手いんだから」

山城「まぁ、駆逐の子たちのも切ってるし、軍を出ても安心ね」

龍田「そうね。……あなたや扶桑は何かできるの? 特技でもいいけれど」

山城「え……と、とりあえず姉さまは笑顔が素敵ね」

龍田「そう」

山城「それに人の輪の中心になれるわ」

龍田「そうね」

山城「誰とでもお話が途切れないくらい相手のことを考えていらっしゃるし」

龍田「楽しいものね、彼女と話すの」

山城「あと、物腰も嫋やかでなんと言っても美人よ! 」

龍田「確かに」

山城「……」

龍田「…………キャバ? 」



< 窓ガラスを伝う雫を見ながら >







叢雲「こっちは雨だったのね」

時雨「雨はいつか止むさ」

叢雲「止まなくてもいいと思うけど」

時雨「そうかい? 」

叢雲「雨音好きだもの。落ち着くわ」

時雨「そうだね」

叢雲「…………」

時雨「…………」

叢雲「…………レコードでもあるといいんだけど」

時雨「それじゃあ雨音が聞こえないじゃないか」


< 唐突に >






叢雲「…………」

時雨「…………」

叢雲「…………」

時雨「…………」

叢雲「…………」

時雨「…………」

叢雲「…………カレーパンが食べたいわ」

時雨「…………え? 」


< 建ち済みのフラグ >






浜風「絵になりますね、あれは」

春雨「そうだね」

浜風「あれで好物のことでも話していれば面白いのですが」

春雨「まさか、そんなこと絶対無いよ」


< ボケ返し >






時雨「……あの人といる生活は楽しいかい」

叢雲「……それが誰だかは分からないけど十分満足いく生活ね」

時雨「…………」

叢雲「…………」

時雨「…………」

叢雲「…………」

時雨「…………僕はピロシキの方が好きだよ」


< 乙女心とかいう謎 >






鈴谷「……風邪引いた」

提督「はい、バファリン」

鈴谷「優しさより効果が欲しいんだけど」

提督「うるせぇな。お前なら代謝上げてすぐ治せるだろうが」

鈴谷「それ優しさ皆無じゃん? 」

提督「……意味分かんねぇんだけど大丈夫かお前」




< 訊く相手を考えよう >






提督「面倒くせぇな、熊野でも呼んでこい」

鈴谷「や、それは駄目、本当無理」

提督「あぁ? 」

鈴谷「……普通風邪引いてる人と一緒に寝たがる? 」

提督「……寝たがる? 」

高雄「あなたなら」

愛宕「弱ったあなた面白いものねぇ」

鈴谷「…………」



< スイッチ >






天城「ふふ……これは中々」

雲龍「帯なんて大して変わらないじゃない、何が楽しいのよ」

天城「は? 」

雲龍「! 」

天城「はぁ? なんですって? それでも大和撫子ですか姉様ぁ? 」

雲龍「……もしかしてやってしまった? 」


< サッと忍び寄り >






GZ「ところでAdmiralはJudoが得意だとか」

提督「まぁ、ちいさい頃からやってたし兵学校でも必要だったからな」

GZ「あの長門にも勝ったとか」

提督「おう」

愛宕「つまり寝技が得意なのね」

GZ「……Admiral」

提督「俺じゃなくてあいつ責め……いねぇし」


< それはそれは素敵な笑顔で >







加賀「柔道なんて始めるくらいなら弓を引きなさい」

GZ「アーチェリーなら経験があるが」

加賀「! ……構いませんね、少将閣下」

提督「素出てるぞ。……行ってこい、許可は取っておいてやる」

加賀「ありがとう。さぁ」

GZ「おい、私は別に……おい」






赤城「提督も大変ですね、加賀さんのお守りなんて」

提督「別に。女の子の我儘聞くの好きだしな。……お前も行けよ、行きたいんだろう? 」

赤城「ありがとうございます。……だから好きなんですよ、あなたのこと」

提督「……そ」


< 大体のことは酒でなんとなく例えられる >






加賀「いい? 私たちの場合普通の人間と違って的に届かないなんてことは無いわ」

GZ「そうか」

加賀「でもね、強過ぎても弦が切れてしまうわ」

GZ「繊細なのだな」

加賀「だから……優しく、心を込めて引くの」

赤城「最高級の酒瓶を抱えるように、ですよ」

GZ「なるほど……実に分かりやすい例えだな」


< 男の子だもん >






江風「そっか、テートクって割と強いのか」

提督「割と? 筋力とか動体視力励起しなければ長門にも勝てた俺が、割と? 」

江風「ってもそれが限界じゃン? 」

提督「……お前それドーピング選手に負けたやつにも同じこと言えんの? 」

江風「あぁ、そう言われれば確かにって思わなくも。……テートクも割と負けず嫌いなンだな」


< 仕方無い >






提督「つーかあれだぜ? 俺一応的場にも立てるぜ? 」

江風「じゃあ、なンで立たないのさ」

提督「加賀とか絶対面倒くせぇもん。俺弓引くの嫌いじゃないけど筋トレしたりランニングしてる方が好きだし」

江風「……滅茶分かるわ。でもなンも話広がらねぇし」


< 断固 >







提督「つーか暑いなおい、道民にこれとか死ねってのかよ。頭茹で上がるぞこれ」

高雄「髪も大分伸びましたしね」

提督「あぁ。……いっそ坊主にでもす」

高雄「駄目です」

愛宕「駄目よぉ、絶対駄目」

提督「あぁん? 」

高雄「毛が減ったのなら許しますけど」

愛宕「フサフサなうちは駄目よ? 弄り甲斐無いし」


< いのちのみず >







提督「仕方無い……今日はマッカランの二十一年でも開けるか」

愛宕「わーお、どうしたの? 」

提督「面倒事片付いたからな、当面は。いい酔い方したいんだよ」

叢雲「……」

加賀「……」

赤城「……」

GZ「……」

WS「……」

提督「……シングルだけだぞ」



< 真顔で >






雲龍「ウイスキー教徒、多いのね」

提督「あの中だと叢雲とWarspiteくらいだろう。他のは佳い酒ならなんでもってやつらだし」

雲龍「私みたいな? 」

提督「あぁん? 」

雲龍「あなたにされるなら、どんなことでも受け入れるわ」

提督「……そ、そうか」



< 断腸の >






提督「そ、そもそも一人で楽しみたいと本気で思ってるなら自分の部屋で開けるしな」

雲龍「談話室で開けるとか自殺行為よね」

提督「まぁ、酒なんて皆で楽しむものだしな」

雲龍「……ねぇ」

提督「ん? 」

雲龍「宮城でも、行かない? 」

提督「何で宮城? 一日二日で終わらないじゃん」

雲龍「宮城峡が」

提督「…………そ、それでも行けない、ぞ、クソッ」


< 割と逃げない >






雲龍「あなたの一番嫌いなプレイは? 」

提督「……そこでせめてジャンルは? って言ってくれれば逃げられたんだが」

雲龍「じゃあ嫌いな映画ジャンル」

提督「ノンフィクション。撮った時点でノンフィクションじゃないと思ってるし。
ホテル・ルワンダとかは好きだけど」

雲龍「嫌いな女」

提督「男立てすぎる女。対等でいたいんだよ俺は」



< 嫌いなものではなくて好きなもので語れ云々 >







雲龍「それなら好きな映画ジャンルは? 」

提督「サスペンス。自称ミステリの糞サスペンスは嫌いだけど」

雲龍「好きな女」

提督「ロング長身巨乳」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……照れるわね」

提督「照れるな」



ありがとうございました


< ずつうがいたい >






雲龍「くすぐり……? 」

天城「……」

雲龍「なるほど……へぇ」

天城「……」

雲龍「死ぬこともある……ショック死……蓄積」

天城「……」

雲龍「…………いいじゃない」

天城「…………姉様にスマホを持たせるのは間違いだと言わざるを得ませんね」


< 愛着 >






天城「……それよりも姉様、屋上のハンモックは見に行かなくてもいいんですか? 」

雲龍「あ、忘れてたわ」

天城「飛んでるんじゃないですか? 」

瑞穂「あぁ、そういえば外の木に引っ掛かっていたような」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……どうせ取ってきても、もう」

天城「……新しいのを付け直して差し上げますから」


< いた >






Littorio「台風といえばあの黒猫は大丈夫でしょうか」

加賀「さぁ……猫ってそういう身の危険だとかは察知する動物だと思うけれど」

Littorio「だといいのですけれど」

加賀「……そうね」






雲龍「……あなたも安住の地を奪われたのね、台風に」


< 忌憚無く >






提督「面倒くせぇなぁ、何? ミスコンの出席って」

愛宕「民間との交流ねぇ」

提督「俺美辞麗句で虚言吐くの嫌なんだけど」

愛宕「本音で喋ればいいじゃない」

提督「降格どころか下手したら軍にいられなくなるし酷いと訴えられるぜ? 」

愛宕「何言うつもりなのよ……」


< 夏の終わりのある夜に >






提督「今日の酒は赤霧島、うん、美味い」

高雄「ええ、本当に。……疲れてます? 」

提督「うん……酔った」

高雄「お酒に? 車に? 自分に? 」

提督「高雄。……女かな」

高雄「……もう」


< 涼しい夜は熱く >







高雄「ん……もう、ですか? 」

提督「ずっと我慢してたんだ」

高雄「……お酒は? 」

提督「酒なんてどうでもいいさ」

高雄「そう……私も」

提督「……行こうか」

高雄「……はい」


ありがとうございました


< 何も変わらないという関係でいつまでもいられるといえこと >






提督「ふぅ……」

叢雲「お疲れ様、とでも言えばいいのかしら? 」

提督「いいんじゃないの。……フ-」

叢雲「…………飽きないわねぇ」

提督「セックス? 煙草? 」

叢雲「両方。あと酒と車」

提督「この歳になるとな、男ってそれくらいしか頭に無くなるんだよ。馬鹿になるから」

叢雲「そ」

提督「まぁ、結婚して子供できてもそれなら本物の馬鹿だけどな。……考えてくれた? 」

叢雲「多少はね。……今すぐじゃないんでしょ? 」

提督「あぁ。…………フ-、どんな返事でも、何も変わらないからさ、慎重にな」



< 好み >







叢雲「……でも」

提督「ん? 」

叢雲「あんたが言うくらいだから従った方がいいんでしょうね」

提督「そんなことないさ。先見の明がある方でもない」

叢雲「……」

提督「それにあれだぜ? もしいつか結婚しようと思ったら父親が俺だぜ? 」

叢雲「親無し子よりは結婚しやすいんじゃないの? 社会的地位もあるし」

提督「彼氏が困るって言ってんだよ。叢雲の相手とかよっぽどのやつじゃないと許さないから」

叢雲「あら、私の男の趣味に文句でも? 」

提督「文句しか無ぇよ」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………ふふ、そうかもね、ほんと」


< 逆説的に >






龍田「結局アレ、収監されたのね」

あきつ丸「ま、殿下の政敵たちも梯子を外したでありますからね」

龍田「可哀想ねぇ~ 。誰も、お家の人すら助けてくれないなんて」

あきつ丸「“ お家 ”の方はそれどころではありますまい。
家が無くなるのを防げるなら無能な当主など喜んで捨てる」

龍田「……」

あきつ丸「……」

龍田「……私がそうなったらあなたは助けてくれる? 」

あきつ丸「さて。……ま、そんな相手と友人になることがそもそも無いでありますがね」


< そんな人々 >







Littorio「……よし」






愛宕「気合い入ってるわねぇ~ 」

Littorio「誕生日会は自分で開くものですから」

愛宕「ふーん? 」

Littorio「お酒だけ持ち込んだりお菓子だけ持ち寄ったりはしますけれどね、やっぱりお客様を呼ぶものなのです」

愛宕「なるほど? ……まぁ、それはいいんだけど」

Littorio「? 」

愛宕「……倍くらい足りないと思うわよ、お料理」




< むしろいつまでも聞かなくても >






Littorio「あなたと出会えてよかった」

提督「んー、まだ昼だぜ? 早いんじゃないの」

Littorio「夜になったら酔ってしまいますから」

提督「……そ」

Littorio「本当ですよ? 」

提督「うん。……答え、今聞きたい? 夜がいい? 」

Littorio「いつでも。……なんなら、いつまでも待てますから」



< 不覚にも >






天城「何やってるんですか? 」

雲龍「ハンモックを編んでるの」

天城「姉様ってよく分からない情熱持ってますよね。……でも」

雲龍「できあがる頃にはもうそんな季節じゃない? 」

天城「と、思いますけれど」

雲龍「いいのよ。来年の夢を編んでるんだから」

天城「……な、なるほど」



< それはそれでまぁ割と >







叢雲「こう、割と面白いわよね、誕生日」

漣「叢雲ちゃんがそういうこと言うって珍しいね」

叢雲「私だって感情くらいあるわよ。……でもそうじゃなくて料理が」

漣「んー? 」

叢雲「誰が主役かによってメニュー変わるじゃない? 今日はワインばっか」

漣「まぁ、Littorioさんが主役な上にホスト役もやってるもんね」

叢雲「アメリカのがいなくてよかった気がするわ、今だけは」

漣「……辛そうだもんね、色々と」



< 燃え上がる心 >







提督「やっぱ赤似合うよね」

Littorio「好きな色ですもの」

提督「情熱の赤か血潮の赤か」

Littorio「肉の赤かも」

提督「肉食女子? ……風にでも当たってくるか」

Littorio「ええ。……あなたもエスコート役、様になってますよ」

提督「さーんきゅ」



< 全く不要な幕間劇 >






瑞穂「お料理は逃げませんよ、加賀さん」

加賀「鮮度や温かさは逃げると思うけれど」

瑞穂「…………逃げる前に胃に消えているように見えますけれど」



< 痴識 >







「……耳、弱いんだっけ」

「んっ……つよい、なんて人いないでしょう? 」

「そうかな。……イタリアだと誕生日の日に耳引っ張るんだよな」

「賢くなるんだとか。……いりますか? そんなもの」

「Littorioのことなら知りたい」

「そう? …………耳だけでLittorioのこと、知れませんよ? 」

「夜は長いし。耳から爪先まで、ゆっくり、さ」

「…………ぁ」


ありがとうございました


< 楽しい >






提督「んー……こんなもんか」

Littorio「grazie! ……編み込み? 」

提督「クラウンハーフアップだったかな、割と簡単めなやつだよ」

Littorio「でも器用ですよね。……初めて? 」

提督「あぁ、Littorioの髪でやりたかったから覚えておいたんだ」

Littorio「やった。……どう? 」

提督「及第点。ちょっと時間かかったし」

Littorio「……」

提督「……」

Littorio「……むぅ」

提督「うそうそ、うん、似合ってるよもちろん」


< ことばーにできなーい >







Littorio「……ん」

提督「ん……ガーリーなのも似合うよ」

Littorio「似合うしか言いませんね」

提督「本当だから」

Littorio「褒め方を工夫するのも男性の義務ですよ? 」

提督「で、可愛くなるのが女の子の義務か」

Littorio「ええ。……Littorioは果たしたと思いますけど? 」

提督「そうだな。…………言葉にしない方が、それっぽいかも」

Littorio「ん……ま、それでも伝わりますからね、あなたですし」


< 一瞬の返し >






提督「ツキが無ぇな……フォールド」

雲龍「私もフォールド」

高雄「レイズ」

愛宕「はぁ、微妙ねぇ、フォールド」

加賀「リレイズ」

高雄「そうですか? ……リレイズ」

加賀「……フォールド」

高雄「私だけですか……ハイカードがクイーンなだけだったのですが」

提督「相変わらず意味分かんねぇな高雄の顔」

雲龍「……降りなきゃよかった」

加賀「あなた普通降りないわよそれ、フラッシュじゃない。私はツーペア」

愛宕「私もツーペアでしたー」

提督「つまり能無しは俺だけ、か」

雲龍「種有りなのはあなただけだけれどね」

提督「うーん……? 」


< つまり一位そのものよりも一位を狙うことが >






高雄「もうそろそろ出せるものが無くなってきたのでは? 」

提督「嫌な笑い方だなぁ。……ラフロイグの30年賭けるか」

雲龍「馬鹿でしょうあなた」

提督「40年じゃないしまぁギリギリいいだろう。負けたままとかつまんないし」

雲龍「……私あなたより負けてるんだけれど」

加賀「……私も」

提督「一番じゃないと駄目なの、二番じゃね」

愛宕「はいはーい、今の二番はわた……なによその顔」


< 鳩がバズーカ、みたいな >






提督「なぁ、海風」

海風「な、なんです、か? 」

提督「……」

海風「……ぁ、の」

提督「…………」

海風「…………提と、く? 」

提督「…………叩いてくれない? 」

海風「はい? 」


< 罰ゲームでしたー >






提督「……………………」

海風「もうっ、なんなんですかそれ、やめてくださいね、そういうの」

雲龍「高雄に言いなさいよ。その人は大事なボトル奪られた挙句泣きの一回でも負けただけなんだから」

海風「それを止めない雲龍さんたちもおかしいですから」

雲龍「……あそこでまだ笑ってる姉妹にカードで勝ってから言いなさい」

海風「後で言ってきます。……大体こんなの海風が罰ゲームみたいじゃないですか」

提督「……悪いな」

海風「反省してくださいね? 無理に賭けたりしないこと」

提督「おう」

海風「それから! 」

提督「まだあるの……なに? 」

海風「海風は叩くより叩いてほしいですから、はい」

提督「…………」


< 濃い一日 >






提督「いや、いいよもう……今日あんま飲めない、テンション低い」

天城「大丈夫ですって、大丈夫」

提督「んぁ……ん」

天城「はい、もう一献」

提督「……お前も飲め」

天城「もちろん。……ふふ」

提督「あぁ……なんか熱ある気がする」

天城「お酒で菌を殺しましょう? ね? 」






雲龍「なにあれ」

明石「雲龍さんたちがカードやり始めてからずっと飲んでたんですよ、天城さん」

雲龍「止めなさいよ」

明石「や、なんかスイッチが……途中までは一緒に飲んでたんですけどねー」



< そんなのは置いておいて今日は >






雲龍「なんの集まり? これ」

高雄「長女の会? 」

加賀「私は……まぁ、間違いではないけれど」

瑞穂「一人っ子みたいなものですよね、加賀さんは」

明石「うーん……三原も桃取も計画止まりでしたしね、工作艦」

Littorio「Littorioは間違いのような」

海風「海風も割と違いますし」

明石「それなら高雄さんと愛宕さんも怪しいですよね」

高雄「あれが姉はちょっと」

瑞穂「それを雲龍さんに言えるんですか? 」

高雄「む……」

雲龍「なんなのよあなたたち、私に恨みでもあるの? 」


< 寝落ちはしないタイプ >






提督「……………………」






江風「なンだあれ……妙に目据わってンな」

愛宕「……面倒よぉ、あれ」

江風「うーン? 」

愛宕「体調か機嫌悪いときに無理に飲ませるとあぁなるのよねぇ」

江風「へぇ、両方じゃン。……でも無害じゃない? 」

愛宕「……そうだといいわね、本当」


< だって、ねぇ? >







提督「おう、手伝え」

愛宕「うん? 」

提督「天城ベッドに転がしてこい、後から行く」

愛宕「はーい。……ほらね? 」

江風「あー、確かに」

愛宕「じゃ、私は遊んでくるから」

江風「なンであの流れで滅茶苦茶楽しそうなンすか愛宕さーン……」



ありがとうございました


< 五時以降も夢中 >






提督「んー……眠い、今何時? 」

愛宕「いつも起きてるくらい」

提督「まーじ? 」

愛宕「まじ」

提督「寝る? 」

愛宕「寝る」

提督「また後で」

愛宕「また後で」

提督「うん。…………あぁ、これシーツ変えないと俺のとこ寝れねぇわ」



< ある独り言 >







天城「んん……ん? 」

提督「…………Zzz」

天城「…………愛宕さんはいないのですね」

提督「…………Zzz」

天城「…………」

提督「…………Zzz」

天城「…………今だけは、想っても、いい、ですよね? 」


< 選ぶものは >






提督「…………コーヒー? 緑茶? 」

天城「…………好きですよ」

提督「…………うん? 」

天城「…………意地悪」

提督「…………俺ってそういうやつだろう? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………あなたなんて、苦しんで死ねばいいのに、嫌いです」

提督「…………そうか、風呂、ためてあるよ」


< クリアになって >







天城「……物凄い八つ当たりですよね、昨日の」

提督「無理矢理飲ませてきたのは誰だよ」

天城「それは申し訳ないと思っていますけれど……」

提督「……天城のこと好きなんだぜ? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………それで許せる天城が嫌いです、あなたよりもずっと」



< 同じ >







天城「いや、でもそれにしても、ですよ」

提督「えー、ほら、スポーツの秋とかだよ」

天城「毎日暑い暑いと言いながら道民には辛い夏、なんて言っているような」

提督「……旭岳でも登るか? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「あなたといけるなら…………緑茶って苦いんですね」

提督「…………コーヒーでも苦いと思うぞ」


< いつか、は壊れるけれど >






提督「……雑なハーフアップで悪いな」

天城「いえ、嬉しいですよ。トップなんて普段いじりませんしね」

提督「お前の方が上手い」

天城「……簪は戴いても? 」

提督「当たり前だろう。……壊れたら捨てろよ? 」

天城「…………“ 壊れれば ”、ですよね? 」



< 理想なんて >






江風「江風も男つくってみっかなー」

叢雲「……」

江風「大丈夫だから、姉貴が近くにいるときにこンなこと言わないから、キョロキョロしなくていい」

叢雲「そ、そうよね」

江風「ン。……どう思う? 」

叢雲「どうって言われても」

江風「このなりってのはまぁ置いておいてさ、
軍人とか軍属ばっかだろうけどそういうのと関係してるのいるンだろう? 」

叢雲「まぁ……そうね、何人かは知ってる。我らが少将閣下程病的じゃないけど」

江風「ロリコンはノーセンキューかもだけどどうせ成長する可能性低いならWin-Winじゃね? 」

叢雲「……私はいいわ。基準ができちゃってるし」

江風「ふーン……? 」




< つまりは >






叢雲「そもそもあれよ、あなたは男に何を求めるのよ」

江風「江風より強い男」

叢雲「無理過ぎるじゃない」

江風「じゃあ叢雲はどうなンだよ」

叢雲「私? 私は私より頭がいい男ね。簡単でしょ? 」

江風「それ基準曖昧だよな。……軍事に詳しくなくてもいいの? 」

叢雲「いいわよ? 常識があって軍に理解があって何かに秀でていれば」

江風「…………江風は? 」

叢雲「足りないわね、色々と」


< 割と世の中上手くできてるもの >






江風「つーかさ、テートクって幼馴染とかいないの? 」

提督「いるけど」

江風「その人食ってたりしないのか? 」

提督「お前は俺を……男だぞ」

江風「その人いい人? 」

提督「滅茶苦茶いいやつだぞ、俺が女なら、ってやつだ」

江風「紹介してくンない? 」

提督「……既婚だし子持ちだが」

江風「……はぁ」

叢雲「……これの同期でいい男なんて売れてるわよね、当然」


< だからつまりそういうこと >






雲龍「水着エプロンとか大概明石もドスケベよね、このド変態」

明石「や、だって工廠暑いですし……しかも作業用エプロンですよ? 」

雲龍「男はいいんじゃないの? 」

明石「これがいい男なんて願い下げですよ、分かるでしょう? 」

雲龍「でもあの人は好きじゃない? 」

明石「…………あの人の趣味であの人じゃない男性がいい男性だと思いますか? 」


< 自明 >






Littorio「この世で最も大切なモノを失います」

高雄「ええ」

Littorio「その代わり二番目に大切なモノが二倍になります」

高雄「モノによって数でも量でも大きさでもいいのよね? 」

Littorio「そうね」

高雄「……一番目を半分にしても二番目が及ばないわ」

Littorio「そう? ……ま、言ってみただけです」



< そういう人 >






高雄「と、いう思考ゲームみたいなことを。まぁ、お遊びですね」

提督「ふーん……高雄は? 」

高雄「失うわけにはいきません」

提督「そっか意外だな。……俺はまぁいいよ。お得感あるし」

高雄「え……」

提督「ん? 」

高雄「失うんですよ? 」

提督「大切な物をだろう? ニッカの40年は惜しいけど他のスコッチが増えるならまぁ」

高雄「……この世で最も大切なモノですよね? 」

提督「いや、だから大切な物だろう? 痴呆か? 」



< そういう人を好きになるそういうーー >







Littorio「あれは中々いい惚け方ですね」

高雄「本気であれなのよね。鈍感でも難聴でもないとか言う割に」

Littorio「まぁ、彼も男性ということで。……殿堂入り的な扱いでしょう? よかったわね」

高雄「……ええ」

Littorio「それはいいとして……高雄にとって二番目に大切なものって? 」

高雄「…………私自身と愛宕とあなたと摩耶と鳥海と、あとーー」


< 犬か猫か >






山城「猫ね。構ってちゃんは困るもの」

鈴谷「えー、それ構ってちゃん本人が言うの? 」

山城「は? 」

龍田「馬鹿ねぇ~ 。構ってちゃんだから言うのよぉ」

鈴谷「なるほど? 」

山城「待ちなさい、誰が構ってちゃんですって? 」

鈴谷「山城でしょ」

龍田「自分のこと思い出してみなさいよ」

山城「………………………み、認めないわよ」



< 大丈夫なわけ >







雲龍「孕、って漢字あるじゃない」

天城「ハラ? 」

雲龍「孕むの孕、よ」

天城「あぁ。……どうしてそんな漢字を」

雲龍「あれって長く見てると人間が子供を押さえ付けてるように見えてくるわよね。襲ってるのかしら」

天城「……」

雲龍「乃の左に小さい丸を描けば頭に見えてなおそう見えるわね」

天城「…………頭は大丈夫ですか? 姉様」


< でも嫌いじゃない >






明石「いやー……頭が男子中学生レベルになる故障は直せませんね」

天城「はぁ」

雲龍「直さなくてもいいわよ別に」

明石「雲龍さんですし最初から期待してませんよね? 」

天城「まぁ、姉様ですし。当たり前です」

雲龍「…………馬鹿にされただけ? 」


< 適職とは >






山城「女衒でしょう、あの能力だけは認めざるを得ないわ」

龍田「営業職もできそうね。布団とか壺買わされそう」

鈴谷「調教師? 」

山城「えっ」

龍田「……さすがに私でもドン引きかなーって」

鈴谷「え、だって提督と寝た女の子とか滅茶仕込まれてそうじゃん?
キスとか滅茶上手そうじゃん? リリースが仕事みたいな? え? 」


< 反省、あるいは教訓 >






愛宕「大切な存在って訊かなきゃ駄目よ」

高雄「訊いて私じゃなかったらどうするのよ」

愛宕「私と高雄じゃなかったとしても私か高雄でしょう? 」

高雄「…………あなた、強いのね」

愛宕「弱いのよ、信じる心が強い人程弱いの、強くなりたいから信じるんだし」






< サブタイトル >って無くてもいいですよね……

ありがとうこざいました


< 圧 >






高雄「眠そうですね」

提督「眠いし」

高雄「……寝ますか? 」

提督「とりあえず書類に判捺して一通り目通したらな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………寝ますか? 」

提督「…………寝ます」



< 子守唄は無いけれど >







提督「……膝枕なの? 」

高雄「ベッドなので問題無いかと」

提督「…………膝なの? や、まぁ正確にはふとももだけどさ」

高雄「枕の方がいいんですか? 」

提督「俺ガチで寝るけど、長時間」

高雄「構いませんよ? 」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………さんきゅ」

高雄「…………いいえ」


< 他方では >






雲龍「たかいたかーい」

天城「……」

雲龍「たかいたかーい、とんでっちゃうぞー」

天城「……」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……何故こんなことすることになったのかしら」

天城「……天城が重いなんて姉様が言うから」


< あくまで真面目に >






Littorio「その馬鹿げた行動は兎も角雲龍は言うだけあってスタイルいいですよね」

天城「長身なのが羨ましいです」

Littorio「Littorioたちも大分大きいのですけどね」

天城「もう少し大きければ提督と並んでも様になるのに」

雲龍「私は身長差があるキス、羨ましいけれど」

Littorio「座っていればいいじゃないですか」

雲龍「爪先立ちだとかが味わえないじゃない」

天城「提督に殆ど屈まないようにしてもらうとかはどうです? 」

雲龍「…………なるほど」



< 増える >






愛宕「はーい、聖母高雄」

高雄「うるさい、寝てるじゃない」

愛宕「はいはい」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………本当になにも喋らないの? 」


< 侵食 >






雲龍「グレイ? 」

天城「GLAY? 」

叢雲「little? 」

江風「モハメド・アリ? 」

加賀「ゾーン? 」







明石「まぁ……皆さん分からなくもないですけどね、天城さんが若干提督に染まってきているような」


< 瞬殺 >






雲龍「黒子とかエロいじゃない? 」

海風「好きな人に振り向いてもらえないアピールポイントはどうでもいい人を引き寄せるゴミです」

雲龍「…………ごめんなさいね」

江風「…………いや、納得すンなよそこは」


< とらすとみー >






高雄「九月四日の誕生色はビリジャン。色言葉は“ 好奇心 ”、“ 自発的 ”、そして“ スリル ”」

愛宕「なんか疲れることあったかしら」

高雄「タウイタウイから帰ってきてあまり休んでませんし」

愛宕「そう? 」

高雄「体調が悪いのに無理矢理飲ませて朝まで盛っていた人がいたりもするもの」

愛宕「怒ってる? 」

高雄「……別に」


< 母性? >






提督「……ねむ、い…………Zzz」

愛宕「えぇ……」

高雄「……」

愛宕「……太腿痛くない? 」

高雄「全く。…………代わらないわよ」


< 誰の為にか >






高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……………………さーんきゅ、仕事、しないとな」


< ギアを上げて仕事をしよう、と思ったけれど >






明石「ベタ踏みしないといけないとかつまらな過ぎでしょう」

提督「エアコンとか使わなきゃマシになるだろう」

明石「運転は快適に楽しみたいです」

提督「ベタ踏みしないと駄目なのも割と楽しいし快適じゃないとは言わないだろう」

明石「じゃあ軽買ってくださいよ。布教されますから」

提督「普通にお前がハイトルクなの買えばいいじゃねぇか。俺もそこまで軽知らないし」

明石「回転数実感の為に比較対象をですねーー」






雲龍「……あれで甘えてるんだとしたら私もあれくらい意味不明なこと口走っているように見えてるの? 」

天城「姉様の場合単に話の方向性が行方不明なだけかと」


むしろタイトルがあると楽なんですよね
ただ理想はレス内で全て完結することなので邪道かな、と
でも自分にはまだ厳しいかなとも思うのでこのままにします

ありがとうございました


< この後反抗期待ってまーす >






提督「……ふぅ」

愛宕「はいスポドリ」

提督「さんきゅ。……ほらよ」

漣「まいどー」

愛宕「スマホ? 」

漣「卵の孵化にはランニングですよねー」

愛宕「……」

提督「俺はいいけどな、考え事しながら走ってるだけだし」

漣「お、ラプラス、やるじゃん提督くーん」

提督「よかったな」

愛宕「……パパ? 」



< “ パパ ” >






高雄「パパママはちょっと……パパがいいですか? 」

提督「どうかな。経験無いから分からないな」

愛宕「ねぇ、パパぁ? いいことしましょ? 」

高雄「……」

提督「……父さんの方がいいわ、道踏み外しそうだし」


< 疑惑 >







漣「なんなのこれ」

叢雲「……風で飛んできたんでしょうね、いつだか知らないけど」

漣「……バイブが? 」

叢雲「……誰かが捨てたっていうの? 」

漣「いや、そんなこと……ないけど? 」

叢雲「…………古今東西探偵役が犯人というのは」

漣「違うから! 一瞬考えただけだから! 」



< 知によってこそ人は笑うとか >







漣「あ、猫」

叢雲「先月くらいから住み着いた黒猫ね」

漣「……バイブに興味あるみたいだよ」

叢雲「そうね」

漣「……あ、咥えた」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……無知って怖いわね」

漣「うん。……その方が楽しいこともあるけど」


< 皆が異常者ならばそれは >







鈴谷「大体あれなんだよね、山城とか龍田は世間と擦れ過ぎでしょ」

時雨「擦れる世間なんて無いに等しいと思うんだけどね」

鈴谷「逆に扶桑とか内に溜め込み過ぎ、闇深ってやつ? 」

時雨「あれで内気なのは見た目通りなんだよ。そんなに喋る方でもないし」

鈴谷「時雨はちょっと老成し過ぎだし……まともな人いないのかな」

時雨「…………戦争なんてやっててまともになるかい? まさか自分がまともだとでも? 」



< サガ >






龍田「関わる狭い世間が合わなかったら荒みもするわぁ~」

鈴谷「なるほど? 」

龍田「ま、私は荒んでる気しないけど? 」

鈴谷「それで荒んでないとか世界は修羅? 」

龍田「じゃあ、自称天然ピュアのクソビッチの方がいいっていうの? 」

鈴谷「いいんじゃないの? 男には、さ」



< 勇猛華完 >






鹿島「美しい薔薇には棘がある、ということでしょうか」

龍田「さぁ? 分からないけど不恰好な薔薇にも棘くらいあるわよね」

山城「むしろ棘の配列すら醜いものは売り物にもならないわよ」

龍田「そうよね。美しいものだけ差別よ、特別視し過ぎね」

山城「あなたがそれをできてからしなさいよ」

龍田「してるじゃない。偶然好きになったものが全部綺麗だっただけよぉ」

鹿島「……」

若葉「……微妙な顔をするなら最初から言わなければいいのに」


< 正直なことはきっといいこと >






若葉「そもそも自分に正直にはなれるが他人に誠実であれることは少ないだろう」

鹿島「……若葉さんは、大人ですね」

若葉「精々が達観したと錯覚したガキだが」

鹿島「提督さんの好きなタイプですね」

若葉「若葉も好きだぞ、甘いお菓子をくれるからな、時代はスイーツ男子だ」

GZ「では菓子を焼くから私と話してくれるのか? 」

若葉「まさか。たとえ最高の甘味をくれても嫌いな相手は好かない」

GZ「……そうか」







WS「あなた、感情を隠すのが存外に下手ね」

GZ「うるさい」


ありがとうございました


< 我が城 >






雲龍「……眠い」

天城「また食事の後なのにすぐ寝て」

雲龍「適度に演習とかで運動はしてるしどうせたまってもここかここよ」

漣「チッ、一気に不節制の波が来て皺くちゃの垂れ乳BBAになって死ねばいいのに」

雲龍「そうなったら死ぬわね、確かに」

天城「まぁ、自我も危いですよね」

提督「俺も世界に絶望して吊るわ」

漣「そんな大袈……どこから湧いたエロエロ大魔神」



< ジョークに聞こえない >






叢雲「はーい、司令官さん? 」

提督「……」

叢雲「無言で逃げるな馬鹿提督」

提督「だってお前が変な呼び方するときってさぁ」

叢雲「変なことしなければいいでしょ。……これ」

提督「あぁん? 何その吸殻」

叢雲「外に落ちてたのよ。あんたの銘柄だし」

提督「陸のやつらも吸うだろう。俺はちゃんと携帯灰皿持ってるし同じ場所でしか吸わない」

叢雲「あの海の見える場所に落ちてたんだけど? 」

提督「マジ? ……っかしーな、最近吸った記憶が」

叢雲「ヤニとアルコールで脳味噌溶けてるんじゃないの? 」

提督「違ぇよ、ヤり過ぎで下から出てんだよ」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「…………本当に出てんじゃないの? 頭大丈夫? 」



< 素であろうとキャラであろうと同じ >






提督「ま、今度から気を付けるさ」

叢雲「そうしなさい、あそこ気に入ってるんだから」

提督「おう。……あそこ行ったのか? 」

叢雲「悪い? 」

提督「いいや、俺の好きな場所、叢雲も好きで嬉しいよ」

叢雲「……あっそ」


< 上官に似る >







提督「つーか豆切れてんじゃねぇか、マジかよ」

叢雲「毎日毎日飲んでればそうなるわよね」

提督「いつもは高雄か愛宕が補充してくれてるんだが……仕方無ぇな」

叢雲「それ越えたら本当にクズじゃない。……あの倉庫でしょ? 」

提督「いいよ俺が取ってくるし。……お前らなんかいるか? 」

明石「あ、麦茶も減ってまーす」

加賀「お煎餅を」

瑞穂「緑茶の茶葉もそろそろです」

Littorio「今日はピザなのでチーズの追加を」

江風「コーラ頼むぜ」

海風「シュガースティックも減ってましたよ」

提督「……お、おう、任せろ」

叢雲「……やっぱあんたも大したことないわ。私も行く」


< 部下には似たくない? >






江風「そもそも執務室のソファで大富豪してるような部下はこンなのだよな」

明石「仮にもここの最高機密がある場所なんですがね、海風さんどうぞ」

加賀「軍機でもカードでも頭の中にあるのよ、本当に大事なものは。だから問題無いの」

Littorio「ではそれも大したこと無いでしょうね。はい、革命です」

加賀「……」

瑞穂「あ、返せますよ瑞穂」

加賀「……だそうだけど? 」

Littorio「……ま、あんな上官の女ですから」


< 激しい(意味深) >






愛宕「今年は何か編むの? 」

高雄「さぁ、まだ考えてないわ」

愛宕「私はテーブルクロス編もうと思ってるの」

高雄「そう、どこの? 」

愛宕「あの人の寝室の」

高雄「それはそれは。……それなら枕カバーでも編みますか、昼寝用に」

愛宕「いいわねぇ~ 、あれ古くなってきてるし」

高雄「まぁ……あの部屋に入る布で長持ちするのなんてテーブルクロスかカーテンくらいだもの」


< 自分のを分けたとしても >






漣「うまーい、オレに毎朝味噌汁つくってくれーい! 」

海風「ん、ありがと。……提督はどうですか? 」

提督「いつでも嫁に出せるくらい美味いよ」

海風「出せる、ですか」

提督「だって俺毎朝味噌汁とか嫌だし」






漣「鈍感でも難聴でもないんですよね? 」

提督「おう、その俺がああ言ってるってことだぞ? 」

漣「わーお……つめた」

提督「温かみなんて誰に向けるか決まってるからな、無限じゃねぇーの」


< 掛け値なしに美味い >






叢雲「蒸した芋に塩辛ってあなた」

江風「美味いじゃン? つーか前もこの話しなかった? 」

叢雲「したからよおっさん、はい」

江風「ン? なにこれ? 」

叢雲「明太マヨとカレー粉混ぜたバター」

江風「おおうっ」

愛宕「シャレオツー」

漣「ママー! 」

叢雲「ふん……ベースはどうせ芋だけどね」


< まるで海のような >






提督「んー、そよ風の中佳い酒飲むとか最高だね」

加賀「それと女も」

提督「あぁ。……これ飲んだらな」

加賀「飲みながらではいけないの? 」

提督「いい夜には本気で楽しみたいものなんだよ」

加賀「そう……嫌な夜には? 」

提督「本気で忘れにいくさ、女にな」




ありがとうございました


< 隣に >






加賀「早起きね」

提督「お前もな」

加賀「殿方より遅いのは嫌です」

提督「差別かよ」

加賀「そうよ。……差別をしない人間がいて? 」

提督「差別する人間を差別しないのか、ってやつか。水掛け論だ」

加賀「あなたと永遠に輪廻を巡れるのなら」

提督「そんなに大袈裟な話でもない。……精々」

加賀「ん」

提督「……美味い茶をくれる人間かどうかって程度、お代わり」

加賀「……待ってて、あなた」




< 君は無慈悲な昼の女王 >







高雄「本ッ当救えない馬鹿ですよね」

提督「てへぺろっ☆ 」

高雄「折角朝からまともに仕事始めたと思ったのに」

提督「悪いね」

高雄「……加賀さんたちがいても食べきれない量の炒飯なんてどうするんですか」

提督「冷凍? 」

高雄「味落ちるじゃないですか」

提督「……捨てるか? 」

高雄「冷凍しますけど。……そういうことじゃなくてですね」


< 食後のデザートに知を >






海風「……ぁ」

提督「ん? 」

海風「その、眼鏡、いいですね」

提督「さんきゅ」

海風「……」

提督「……」

海風「……欲しいのに」

提督「……俺は自分が何かを失ってなお誰かに与える程人間できちゃいないよ」




< 夕飯前にはこんな >







提督「…………」

江風「お、今日は珍しく昼過ぎから読書か」

提督「ん? まぁ、一応趣味でもあるしな。本はいいぞ」

江風「や、そのうちな、そのうち。……姉貴知らない? 」

提督「さぁ、あれから見てない」

江風「あれっていつ? まだ近くにいるかも」

提督「……」

江風「……? 」

提督「……海風って、あんなところに黒子あるんだな」

江風「!!?!?!!!?!? 」



< 三時のおやつを食べながら >






瑞穂『提督も損な方ですよね』

提督『んー、何が? 』

瑞穂『嘘が嘘に聞こえなかったり本音が本音に聞こえなかったり』

提督『まぁ……ある程度意識してやってたりもするし自業自得なんだろうさ』

瑞穂『瑞穂にもその誤解、させてくれればいちのに』

提督『嫌だよ』

瑞穂『え……』

提督『誰でもいいけどさ、俺を俺として見てくれる人が欲しいんだ、我儘だけどね』

瑞穂『……それは、嘘? 』

提督『さぁ? 見えるんだろう? 瑞穂にはさ』


< そして今 >






江風「ンだよ嘘かよクソテートクッ」

提督「悪いな、文句は瑞穂にも半分言っとけ」

江風「瑞穂さん悪くないじゃン、テートクがセンチなだけじゃン」

提督「……俺には感傷も許されないと? 」

江風「そうさ。江風はテートクのことが好きだ、尊敬してる。
その責任を受け止めろよ、カッコ悪いトコなンて見せンなよ」

提督「……」

江風「……」

提督「……その俺のこと、好きでいてくれるか? 」

江風「当たり前だろ? テートクのこと嫌いになるなンてよっぽどだぜ? 」


< スウィート・ノベンバーとかその辺かな >






愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……結構面白かったわね」

高雄「……そうね」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「…………失恋、かぁ」

高雄「…………絶望して死にたくならないようなのは失恋とは思えないけれど」

愛宕「だから重いって言われるの。……恋を失うってことなさそうだし、捨てないっていうか」

高雄「……潔く消えるわ、たぶん」


< 暖炉でもあれば綺麗に燃やすけれど >







雲龍「戦場の場合士官の死亡率の二割が部下によるものらしいけれど」

天城「ソースがどこなのかは知りませんけれど……はい」

雲龍「後方の方が多そうよね、“ 誤射 ”」

天城「その場合“ 事故 ”なのでは」

雲龍「面白い話ね」

天城「……」

雲龍「……」

天城「……どなたか、接触してきましたか? 」

雲龍「あなたもあるでしょう? これくらい」


< 一雫の愛で私は >






提督「今日の酒は“ 刻の一滴 ”、まぁ、珍しい割に安い方だな」

天城「学生のお小遣いで買えますね」

提督「あぁ。……ワイン樽ごと買った方がいいかな、ここだと」

天城「そんなこと。あなたがいるから安心して飲めるのですよ」

提督「財布的な? 」

天城「それもあります、が」

提督「あんのかよ」

天城「……バランサーとしてなら、上官でも男でも、夫でも愛人でも、類い稀な方だと思います」

提督「そうかい」

天城「はい」

提督「…………貶してるよな? 」

天城「もちろん。あなたの良さはそんなところにありませんから」



カレー粉バターの場合ぐるぐる混ぜてボイルしたウインナーとかマスタードでもいいかもですね

ありがとうございました


< ルート固(ry >







漣「努力値振らなくても勝てるんなら漣は振らないよ」

雲龍「努力値……? 」

漣「個体値が抜群で禁止級ならいいんですぅ」

天城「禁止級……? 」

漣「つまりベリーキュートでさいつよな漣ちゃんってことです」

叢雲「それなら振った方がなおいいんじゃないの? 」

漣「どうせ使えねーなら意味ねぇですよ、ふん」





< 結婚を周知できない弊害 >







愛宕「未だに合コンとかお見合いの話くるわよね」

提督「まぁな」

高雄「しかも大体十以上若いですよ」

提督「金はあるしな」

愛宕「合コンの連絡で写真とか特徴送ってくるじゃない? あれ見るの楽しくなってきたわ」

提督「そうか」

高雄「若手の高級将校にアプローチしたいだけあって相当レベルは高いですよね」

提督「あぁ」

愛宕「でも一回も行ったこと無いのよね? 」

提督「そうだな、行きたくないし意味も無い」

高雄「……これがメリットよね」

愛宕「ええ。……本当に」



< たからもの >






雲龍「艦載機あげる」

提督「いらねぇよ」

雲龍「何しても、いいのよ? 」

提督「意味分からないんだけど」

雲龍「いらないの? 」

提督「いらない」

雲龍「……うそ」

加賀「……」

提督「……お前らの感覚がおかしいって気付けよ馬鹿共」


< 言葉は口に戻らない、膜も同じ >






提督「面倒くせぇな、もう適当にレズってろよ」

雲龍「それでもいいけど天城が乗り気じゃないのよ」

天城「姉様長いんですもの」

提督「テク磨いとけよ、意識落とせ」

天城「経験が浅いので」

雲龍「同じく、相手が多くないと」

提督「それくらい適当に生きてりゃなんと……忘れろ」

天城「うわぁ……」

雲龍「……男って得ね、膜も無いし」



< 仲が悪かったわけではないけれど >






漣「まぁ、あの辺にご主人様の好みが見えるよね」

叢雲「ん? 」

漣「百合をレズとは言わないよ。レズは嫌いじゃないけど百合って言い方は嫌い」

叢雲「穿ち過ぎじゃあ……そうかもしれないけど」

漣「絶対女同士の友情とか認めてないよね」

叢雲「私とあなたと、長くいたのに? 」

漣「漣と叢雲ちゃん仲良いアピールしてる? ご主人様と仲良いだけじゃない? 」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……あれ、言われてみればあいつが来るまで漣とは別に……あれ? 」


< 心外な >







漣「まぁ、仲人的な何かになったのは確かだよね、なんとも言えないけど」

叢雲「……私はそれでいいわよ。姉妹ばっかりの引き篭もり体質だったし」

漣「漣も叢雲ちゃんと仲良くなれたからいいけどねー」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……あいつの評価ってきっとよくないわよね? あなたの姉妹でも」

漣「なんでだろーね。……漣も食われてると思われてるのかなぁ」


< 範囲が問題 >







愛宕「草食? 」

高雄「肉食じゃあ」

雲龍「草食でしょう、足りないわ」

天城「あれで草食なら外の世界はどんな」

瑞穂「雑食では? 」

江風「でも男には興味無いみたいだしな」







提督「あ? 飲酒男子とかでいいんじゃねぇの、好きなものならなんでもいいし、好きなものならな」

明石「……なるほど」




< 遠く離れて >






愛宕「女ばかりなのにコイバナ、盛り上がらないわね」

明石「コイバナ=、がまかり通ってますから」

加賀「瑞穂や江風はどうなの? 」

瑞穂「提督がその対象ではない以上それ以上はいません」

江風「江風も。テートクは一応尊敬してるしな」

愛宕「……摩耶とかどうなのかしら」

高雄「聞きたいような聞きたくないような……」


< 犯、侵、冒 >






江風「つーか……テートクって似合わないけど蔵書とかDVDのコレクション多いよな」

提督「趣味を本気で楽しめる大人カッコいいだろうが」

江風「悪かないって。……でも本当意外だなって」

提督「メタル聴く天城とか鰹のたたきが好きな愛宕とかもその辺か? 」

江風「うン。……それマジ? 」

提督「マジ」

江風「……ってもそれはテートクに調教されたからに見えるンだよなぁ、良くも悪くも」


ありがとうございました


< 無造作に >






愛宕「んー……ねぇ」

提督「うん? 」

愛宕「目赤いかも」

提督「そうか? ……コーヒー、置いとくぞ」

愛宕「ありがと。……赤くない? 」

提督「ん……赤いかもな」

愛宕「そうよね」

提督「なんかやってた? 」

愛宕「んーん、なんにも」

提督「目薬でも差しとけ。……あとバスタオルで出てくんじゃなぇよ馬鹿、犯すぞおい」



< あの頃は~ >







提督「秋刀魚イェーイ」

漣「イェーイ」

提督「秋イェーイ」

漣「イェーイ」

提督「酒が進むぜイェーイ」

漣「イェ、イェーイ」

提督「大根おろし最高だぜイェーイ」

漣「イェーイ……? 」

提督「イェーイ。……無理に合わせなくてもいいぞおこちゃま」

漣「はぁ? 」

提督「あぁん? 」

漣「…………ふん、秋刀魚で幸せになれるとかBBAの好みですからね、漣はいいんですー」


< ガラガラー >






天城「あっ」

提督「ん? よう、天城も風呂か? 」

天城「し、失礼しましたっ」

提督「別に逃げなくても。なぁ? 」

雲龍「そうよね」

提督「まぁ、お前みたいに全く動じないのもどうかと思うけどさ」

雲龍「と、言いつつ隠しもせず淡々と脱ぐのね」

提督「お前だしな。……先入ってるよ」

雲龍「ええ。……ちゃんと身体洗ってくださいね」


< 安心できるお風呂 >






提督「で、結局お前も入るのか」

天城「まぁ……姉様は兎も角恥じらいの閾値も下がってますから」

提督「そうか」

雲龍「……Zzz」

天城「……これと同じレベルには中々」

提督「男の隣で寝落ちってのはさすがにな」

天城「そもそも殿方がいなくても広いお風呂で寝るというのは」

雲龍「……Zzz」

提督「……天城が起こすよな? 」

天城「……あなたがやってくれるのでは? 」


< 嫌です >






雲龍「…………はっ」

叢雲「…………やっと起きた」

江風「おはよーでーす」

雲龍「おはよう? ……あの人も天城もいない」

江風「しけ込ンでましたよ」

雲龍「……寝過ごした」

叢雲「……よくそんなに寝れるわね」

雲龍「大して趣味も無いもの。好きなことだけして生きていけるのならそれだけでいいわ」

江風「……」

叢雲「……」

雲龍「……………………眠い、どっちかの部屋まで運んでくれない? 」


ありがとうございました


< 相応っていうのは難しいもの >






龍田「八十超えてヴァージンって思うと悲しいわねぇ」

鈴谷「そんなこと言ったら八十超えてるお婆ちゃんとヤってることになる人いるじゃん? 」

龍田「世の中広いってことじゃない? 」

鈴谷「こんなロリババアみたいのが常識よりはマシだけどさ」

若葉「では見た目の年相応にしてみようか? 」

鈴谷「ん? どんな感じ? 」

若葉「……お姉ちゃんあそぼ? 」

鈴谷「はうわっ」

龍田「うわぁ…………そこまで幼いかしら」


< 知らぬが花 >






金剛「はっはっはー、そうデース、皆お婆ちゃんデース」

山城「普通のお婆ちゃんとただのBBAがいるようだけれど」

金剛「あぁん? What do you mean?」

山城「そのまんまよ、お婆ちゃん」

金剛「え? 」

山城「何よ気持ち悪い」

金剛「いやー、何でもないデース。……お婆ちゃん、ふふ」






山城「私や姉さま? “ お姉さん ”に決まってるじゃない。馬鹿なの? 」

霧島「……ですよね」


< 虫鳴く夜に >






提督「今日はフォアローゼスのブラックで」

叢雲「値段の割に、ってやつね」

提督「普通に飲めればいいんだよ。……まだ結構暑いな」

叢雲「あんたとシーレーン防衛の方にいたときはもっと酷かったじゃない」

提督「ん。……祭りやって花火やったら、実家帰ってくる」

叢雲「そ、しっかり休んでお話してきなさい」

提督「養女ができるかもって? 」

叢雲「……そうね、あんたが戻ってくるまでに決めておく」

提督「そうか」

叢雲「…………」

提督「…………暑いな」

叢雲「…………ええ」



ありがとうございました


< 独創性よりも細やかな洗練を >







高雄「九月十三日の誕生色はパープルネイビー。
色言葉は“ 洗練 ”、“ 細やか ”、そして“ 独創性 ”」

愛宕「……眼悪くなりそう」

高雄「編み物なんてそんなものよ」

愛宕「いざとなればなんとかなる身体だしね」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……なんでそんな早いの? 」

高雄「……想い? 」


< 文句は言うけれど >






愛宕「そう言われると、ね」

高雄「速さよりも質だと思うわ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………大体テーブルクロスとか大き過ぎるのよ」

高雄「…………あなたが始めたんじゃない」


< 欲に溺れた目 >







提督「……ん」

天城「……あぁ」

瑞穂「……これが」

提督「……」

天城「……」

瑞穂「……」

提督「……え、なにこれで終わり? 」

天城「ありがとうございます」

瑞穂「感謝しかありません」

提督「……? 」


< ……はい >







雲龍「……でも、今のって天城か瑞穂の身体想像したんじゃないの? 」

提督「……」

天城「え……」

瑞穂「えっ」

提督「……やめろよそういうの」


< なによりも >






明石「ひえー、さっすがですね少将閣下」

提督「ドイツ語に訳すくらいならいつでもするぞ」

明石「冗談も休み休み、じゃないんですよねぇ」

提督「まぁ、ほら、ハワイで親父に」

明石「それこそ冗談でしょうが。……しょっぱい報酬にならないことを祈ってますよ」

提督「ん、俺が保証する、生命に代えても」

明石「はぁ」






愛宕「……ここだと最大級に何よりも重い言葉よね、さらっと言ったけど」



< ずぶ濡れの仔犬のような >






提督「……まぁ、実際訳すのより検閲的な意味の方がデカかったしな」

明石「……やっぱ駄目なとこありました? 」

提督「そりゃな。人間を貶めても賛美し過ぎても。
……俺は嫌いな分け方だけどお前らを貶しても褒めてもいけない」

明石「ようは客観的研究者目線? 」

提督「とも言い切れないけどな。……お疲れ」

明石「それ聞いたらあなたの方が疲れたと思いますけどね」

提督「……傷でも舐め合おうか? 」

明石「別にそん…………その眼に、勝てるわけないじゃないですか」



< 晩夏か初秋か >






愛宕「…………」

高雄「考え事? 」

愛宕「…………んーん、別に」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………今」

愛宕「…………」

高雄「…………門の端、誰か、いた? 」

愛宕「さぁ? 季節外れの害虫か何かじゃないの? 」



< 誰、とかそういう話でもない >







高雄「……下手な軍需系か、あり得ない程力の無い軍人か」

愛宕「……ま、あの人は気付いてるでしょうけど」

高雄「どうかしらね」

愛宕「信じられない? 」

高雄「信じることと愛し慈しみ支えることが同じで、等価だとでも? 」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……ッ」

高雄「……やめなさい、何かあれば、あの人が対処するから」



< 親しき中にも騙り有り >






明石「……やっぱ気分悪いですよ」

提督「そりゃあ盗聴盗撮されてればな、女の子は特に」

明石「そうじゃなくて」

提督「……あ? 」

明石「仲間、というか親しい友人にも、最も愛する女性にも本当のこと言わないなんて」

提督「明石でもそういうこと言うんだな」

明石「ッ…………悪い? 私はただの機械オタクでも我儘女でもないんですよ? そう見えるかもしれませんけどねッ」

提督「…………分かってる、痛い」

明石「…………ごめんなさい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………あれの出処が分かれば、札が増える。それまで、待たなきゃいけないんだよ」


< 彼女が足音を残した後に >






叢雲「…………変わったわね」

提督「…………ガキでもペーペーの甘ちゃんでもないんだよ」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………私は、あなたの味方よ? 」

提督「…………さんきゅ、何よりも心強いよ、お前の存在が」


< どうでもいい話題でも >







雲龍「私たちにも血液型ってあるのよね」

明石「そりゃまぁ、はい」

雲龍「それじゃあ私たちが輸血して回復してを繰り返せば……」

明石「……」

雲龍「……」

明石「……生命、大切にした方がいいと思いますよ」




ありがとうございました


< 思ったことを言ってみるだけ >






提督「褐色っていいよなぁ……」

雲龍「焼く気なんてないわよ」

提督「お前はいいよ、今のままがいい」

雲龍「……そう」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……地黒っていいわよね」

提督「……大して黒くないぞ俺」

雲龍「知ってるわよ。…………いいと思うだけ」

提督「……そうか」


< 極端 >







天城「煩悩百八つで足りますか? 煩悩の塊過ぎません? 」

提督「百個位多いな。酒と女と車と、あと少しで十分だし」

雲龍「そうね、大体煩悩の塊っていうことは一つに固まってるってことよ」

天城「……」

瑞穂「……天は二物を与えず、というか三物以上与え過ぎたというか」


< 本音で語れると思えるのは >







WS「あなた、この国に寄り過ぎなのじゃなくて」

GZ「そっちこそ。……飯は美味いか? 」

WS「……芋女が」

GZ「……」

WS「……」

GZ「……何故か最近お前とばかり酒を飲むな」



< なんとも言えない >







WS「……でも」

GZ「なんだ」

WS「私たち、こうやって飲んでばかりだと陰謀論者に目を付けられそうね」

GZ「……かもな」

あきつ丸「安心しろ」

WS「What’s? 」

あきつ丸「陰謀めいているのではなく単にキャラが近寄りがたいだけであります」

GZ「……ソースは」

あきつ丸「自分でありますね。……説得力があるでしょう? 」

WS「…………」


< 壁 >






叢雲「なめろうってあなた、渋いわね」

海風「提督が好きかなって」

叢雲「好きよ、確か」

海風「そう? ……お酒は? 」

叢雲「あいつなら焼酎ね」

海風「分かった、取ってくるね」






海風「…………最低でもあれに勝たなきゃいけないのかぁ、厳しいなぁ」


< 月が綺麗。ただ、綺麗なだけ >






提督「今日の酒は森伊蔵。ま、こんなもんか」

雲龍「基準が分からないけれど」

提督「つまみがあるならつまみに合うか、無いなら単純に美味いかどうか。
強いて言えばそのときの気分が基準だよ」

雲龍「ふーん? 」

提督「……海風のレパートリーも順調に偏ってきたよな」

雲龍「あなたの所為でね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………モテるって怖いな」

雲龍「最低ね、色々と」



< 四×苦+八×苦=百八 >






雲龍「まぁ、それは私関係無いし自分でなんとかしてくださいね、提督」

提督「分かってるよ」

雲龍「そう? ……酒と女と車さえあればいいのよね? 」

提督「まぁ、そうだ。……あとはまぁ別格として親かな、生きてるうちは」

雲龍「そう。……そのうちで強いて言えば失っていいものは? 」

提督「車だな」

雲龍「即答なのね」

提督「そりゃお前生命の水と生きる意味には比べられねぇよ。趣味筆頭でもな」



< つまらないことは忘れて >







提督「ってもまぁどれも喪う気は無ぇけど」

雲龍「仮にどれか喪うようなら全部喪うような状況よね、きっと」

提督「違いない。……お前焼酎苦手だっけ? 」

雲龍「セーブしてるのよ。……ね? 」

提督「はぁ、今日疲れたし休まな……休まないから抓るんじゃねぇよ」



< 侮れない味わいが >






海風「十五夜ですね」

愛宕「そうねぇ、満月は明後日だけど。……お団子でも食べましょうか」

海風「あるんですか? 」

愛宕「高雄とかがつくってると思うわ、さっきあの人も食べてたし」

海風「なるほど、さすが暦いらずの行事好き集団」

愛宕「あなたも入ってるのよ? 」

海風「嬉しいけど海風はまだまだです。…………色々と、ね」


< 描くのも中々楽しい >






Littorio「可愛らしいですね、これ」

高雄「私は普通のものと餡子のだけなのでそれは叢雲さんのですよ」

江風「ウサギの柄って……芸細かいな」

叢雲「一年に一回なんだからこれくらいいいでしょ? 」

漣「わーい、ウサギだー。……ご主人様は別のウサギ相手にしてるけど」

明石「……そうですね」



ありがとうございました


< どっちもどっち >






雲龍「そういえば白玉、食べてないわ」

提督「俺は食べたぞ。高雄と叢雲がくれた」

雲龍「……そう」

提督「お前が風呂入ってたときだな。……自分がウサギにならなければ食べられたのに」

雲龍「いいのよ? 別に。白玉の代わりの白いものは貰ったし」

提督「朝からひでぇ。……夜白子でも食べる? 」

雲龍「いいわね」


< 住みつく場所を間違えていると思う >







江風「お前、名前は? 」

海風「クロでいいんじゃないの」

江風「安直過ぎない? 」

海風「でも最初に懐いたの雲龍さんだよ? 」

江風「いくら雲龍さンでも……いや待てよ? 」

海風「うん? 」

江風「……そもそもあの人、名前なンて付けると思うか? 」



< >





海風「で、でもほら、加賀さんとかも結構気にしてるみたいだよ」

江風「未だにあの人にだけは懐かないで警戒してるけどな、こいつ」

海風「どうしてだろうね、加賀さんって猫っぽいのに」

江風「同族嫌悪? ……つーかここで猫っぽくない人いる? 」

海風「……」

江風「見た目はいいのに我儘自分勝手で面倒な性格の人ばっかじゃン? 」

海風「……」

江風「……」

海風「……江風じゃない? 」


< 犬? 狗? いぬ? >






江風「ってことがあったンだけど」

加賀「犬だもの」

叢雲「ま、猫よりは犬よね」

Littorio「こいぬちっくでいいと思いますよ」

海風「わんちゃんだもん、絶対」

明石「……どうも海風さんだけ変に聞こえますね。色眼鏡かもしれないですけど」


< 隙を見せたくないだけですから >







天城「はい、姉様」

雲龍「ん? 」

天城「今日の甘味は白玉善哉ですよ」

雲龍「……ありがとう」

天城「別に。昨日は善哉食べられませんでしたから」

雲龍「そう」

天城「はい」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……美味しいわ」

天城「当然です。姉様に差し上げるものですからね」


< きっといつまでも語れる >






漣「いいんですー、漣は美乳なんですぅ」

提督「あぁ? 」

漣「無駄にデカい下品さとかぺったんこのつまらなさとは無縁な美しさなんですぅ」

提督「いいんじゃねぇのそれで。……でもさ」

漣「はい? 」

提督「巨乳フェチも貧乳フェチも形は前提なんだよ。その上で大きさを語ってるんだ」

漣「はぁ」

提督「それを最初から形だけ論ずるとか逃げも甚だしいね。
美って単語は大きさを表すものじゃないし」

漣「……」

提督「……ん? 」

漣「…………いや、普通にキモいなって」



< またたびフレーバーもあるよ! >






明石「無いんです」

瑞穂「はぁ」

明石「確かにここに置いておいたのに、ちゃんと最低限掃除もしてたのに」

瑞穂「まぁ、同室になった頃よりは綺麗ですね」

明石「無い無い無い無い無い……あぁ」

瑞穂「何か大事なものなんですか? 」

明石「そりゃあもう、昨日届いたばかりなんですよ。加賀さんとLittorioさんのもあるのに」

瑞穂「はぁ、瑞穂もお探ししますよ、どんなものですか? 」

明石「猫じゃらしです。カシャカシャ音が鳴る」

瑞穂「分かりまし……え? 」


< どっちが? >






提督「そういや俺浦波に会ったことないんだよね」

叢雲「大体普通よ、大体」

漣「叢雲ちゃんの普通とかあてにならないよね」

提督「俺とお前より確かだろう。……お前はどうなの? 」

漣「漣も大して話したことないですけど普通じゃないです? 」

提督「そうなの? 」

叢雲「漣が普通って言うんだから普通じゃないかもしれないわね、私が間違ってたわ」

提督「姉妹ってなんだ……。幌筵から佐世保行ったらしいんだけど」

叢雲「へぇ? ……そのうち会えるかしらね」

漣「そのうち会えるでしょ、生きてれば」


< 切らないけれど >






提督「そういやそんなモコモコしてて暑くないのか」

叢雲「暑いわよ、かなり」

提督「切らねぇの? 」

叢雲「気に入ってるのよ、今のが」

提督「ふーん」

叢雲「……あんたが切ってほしくても切らないわよ? 」

提督「今の叢雲が好きだからいいよ、訊いてみただけ」

叢雲「……そ」






漣「……スマホって便利だよね、髪型のシミュレーションできたりして」

海風「え、そうなの? 海風もやってみよっかな」


< 論より証拠 >






提督「俺はさ、高雄の泣く顔が好きなわけだよ」

高雄「はぁ? 」

提督「でもね、高雄を泣かせたくはないわけ」

高雄「……意味がよく」

提督「言葉では言いにくいんだけど……分からない? 」

高雄「分かりませんね」

提督「……うーん」

高雄「…………分からせてくれても、いいですけど? 」


ありがとうございました


< 花は散るから美しいと本当にそう思えますか♪ >







WS「あなたたち、喫煙者だったのね」

GZ「時々、な」

あきつ丸「ニコチンも髪の臭いも自分たちの場合どうにかできますからな。それだけはこの身体でよかった」

WS「身体はどうにかなっても私の服は洗わないといけないのよ」

あきつ丸「知らん。近寄らなければいい」

GZ「クズだな、他人のことは言えないが」

WS「クズね」

あきつ丸「知っておりますよ。……それを選んだことも後悔していないであります」


< 戯れ言だと笑ってくれても構いません♪ >







あきつ丸「まぁ、自分は提督殿にいくつもありがたいお言葉をいただいた身でありますからなぁ」

GZ「ほう? 」

あきつ丸「正気のまま狂ってしまうことを選んだだとか、狂気で正気を押さえ込んでいるだとか」

GZ「なるほど、確かにそうだ」

あきつ丸「否定できないでありますね」

GZ「私も……いや、愛国心を狂気と言いたくはないが」

WS「なんにせよ私の服の臭いは……」



< やらない人とか、いるかな >






明石「能力の数値化とかして一体何の意味があるっていうんですかね」

提督「結構あるんじゃねぇの、俺も作戦立案に使うぞ」

明石「既存のものかそれの修正で十分でしょう。新指標とかなら兎も角一人一人のレベル換算って」

提督「ゲームでもつくるのかもな」

明石「それなら馬鹿馬鹿しい限りですね」

提督「いいじゃないか。馬鹿馬鹿しいこと、下らないこと、そういうことをしてるときが一番楽しいものだろう? 」

明石「そりゃあ……や、提督は自分がエロゲとかになったらどうです? 」

提督「遊ぶけど? 」

明石「…………」



< 幸せならば、他にはなにも >






提督「まぁ……そうだな、もっともらしい理由でも考えてみるなら」

明石「ええ」

提督「無能な誰かが仕事をしたと思わせる為に発案したとか」

明石「なるほど」

提督「どこそこの基地に偏りがあるから編成し直す理由にするとか」

明石「身に覚え、というかありえますね」

提督「どこぞの馬鹿がまた反乱を計画したときの為にレベル数値浸透させて混乱させるとか」

明石「や、それで混乱するとか違う類の馬鹿だと思います」

提督「まぁ、そりゃそうか」

明石「……あの人、加賀さんの内偵にも最後は気付きましたし部下には慕われていたみたいですからね、馬鹿ではないですよ」

提督「自分の女守れないのは馬鹿には違いないと思うけどな。……俺がミスったらこれ思い出して笑っとけ」

明石「そうします。……今は全く笑えない冗談ですけど」


< 信頼する、ということを賭けにしてはならない >






提督「いやぁ、でもさ。普通味方だって言われたら信じるものだよな。気付いたってすげぇ」

明石「どの口が。……まぁ、そうありたいですが」

提督「……味方になった敵と敵になった味方、どっちがまだ信用できる? 」

明石「どちらも信用できませんね、敵であった、あるいは敵である事実は揺るぎません」

提督「正解。……ま、俺はそもそも味方にもしねぇし敵にもしねぇけどな、その前に終わらせるのが理想だ」


< 枕カバーとかかな >






瑞穂「何編んでるんですか? 」

愛宕「テーブルクロス」

瑞穂「大きい、というか網目細かいですね」

愛宕「やるならとことん、が信条なの」

瑞穂「瑞穂も何か編んでみましょうか」

愛宕「テーブルクロスとセーターとハンカチとマフラーと手袋とカーテン以外でお願いね」

瑞穂「はい。…………他に何が? 」



< 女子力ってものより気持ちっと思う、マジで >






愛宕「最近つくったものと予約があるものはねぇ」

瑞穂「瑞穂初心者なのですけれど」

愛宕「女の世界で、それも殆ど一人の男の為につくるものでそれが通じると思う? 」

瑞穂「通じませんね、絶対」

愛宕「ね? 頑張って」






明石「……ミニ四駆で喜んでくれる人でよかったですよ、本当」

提督「あ? 」


< 女=人間≠兵士≈兵器≈物 >






漣「いやー、明石さんいると助かりますねぇ」

叢雲「ドライヤーくらい買いなさいよね」

明石「いいんですよ、こういうの好きですから」

叢雲「でも」

漣「いいじゃーん? 物持ちいい方が」

明石「身体の治療費よりトイレやゲームの修理の方が高くつく時代ですからね」

叢雲「……そう考えると、そうね」







加賀「兵器が日用品より安いわけ」

雲龍「加賀さん、ここでは、御法度ですよ」

加賀「悪いわね。……いつまでも、きっと変わらないわ、あの人の前以外では」


< 珍しく、一致 >






加賀「あの黒猫、何故私にだけ懐かないのかしら」

雲龍「さぁ、私には分かりませんね」

天城「猫というのは私たちより匂いに敏感と言いますし」

加賀「……臭う? 」

天城「いえ、合わない匂い、というものもあるとか」

雲龍「人間もそうだ、って説を聞いたことありますよ。遺伝子レベルで相性が決まっているとか」

加賀「眉唾、とも言えないわねそれは」

雲龍「落ち着きますもんね、あの人の匂い」

天城「そうですね」

加賀「ええ」


< いつか >






Littorio「もしかするとLittorioたちのことを人間だと認識していないのかもしれませんよ? 」

加賀「その場合私が人間だと認識されていることになるけれど」

Littorio「よかったですね」

加賀「……複雑な」

Littorio「この身体でなければきっと彼とは出会えなかった、けれどこの身体でなければ真っ当に幸せだった? 」

加賀「正しくジレンマ」

Littorio「……あなたは今幸せ? 」

加賀「当然。……これで満足する気もないけれど、ね」



< 付き合いってね、あるんだよ >






漣「ご主人様って風俗行ったことありますよね」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……え、何嫌がらせ? 」

漣「や、純粋な質問ですけど? 」

提督「ピュアだから許されるってわけじゃねぇんだぞ」

漣「でもご主人様ってピュアですらないですよね? 」

高雄「……』

愛宕「……」

提督「……お前ら怖ぇよ」



ありがとうこざいました


< 激論! カレーのルーはどっち側? >






提督「右だろ」

愛宕「右利きだもの」

高雄「だからこそ左がいいような」

江風「奥側だろ、かきこめよ」

漣「そもそも半々じゃなくて上にルーをかけてですね」

明石「福神漬の絶妙な位置の方が重要ですよ」

加賀「気にしたことなかったわね。……ふむ、今日はカレーにしましょう」

Littorio「相変わらずあなたたちの食とくだらないことにかける情熱は素晴らしいですね……嫌いじゃありませんけれど」


< 貶し生かし >






明石「あなたは」

提督「うん? 」

明石「女の子と釣り合いが取れないから、なんて思ったりはしないんでしょうね」

提督「当たり前だろ、本当に好きなら釣り合う男になるべきだし俺はそうしてきた」

明石「はぁ」

提督「もし、もし仮に努力して無理なら、そう思うかもしれないが」

明石「好き嫌いは兎も角……あなたで釣り合わないなんて富豪の娘とかですよね、たぶん」

提督「さぁな。……褒めてる? 」

明石「貶してるんですよ、一応」


< 本当に羨ましいモノ >






明石「まったく……あれだからできる人間は」

瑞穂「それ、明石さんも大概だと思いますけど」

明石「瑞穂さんは陸上で金メダル取れる逸材だ! とか言われて嬉しいですか? そりゃあ凄いことですけどね」

瑞穂「……なるほど」




< デスクランプと湯気とそれから息遣いと >






天城「失礼します」

提督「ん」

天城「……お仕事、終わりそうですか」

提督「まぁな、俺ってこれでも有能だし」

天城「存じてますよ」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………コーヒー淹れてくれない? 」

天城「はい」




< 舐め合うのは傷か、それとも >






雲龍「…………」

愛宕「大変ね」

雲龍「……何が? 」

愛宕「自分を抑えて妹を焚きつけるなんて」

雲龍「別に。今日は気分が乗らなかっただけよ」

愛宕「そう? 」

雲龍「ええ。……座ったら? 」

愛宕「一緒に飲んでほしい? それともベッドにする? 」

雲龍「どっちでも。……私に嵌っても知らないわよ」


< 暗闇と衣擦れとそれから息遣いと >







天城「私が兵器でも、兵士でも、もしかすると人間でも」

提督「あぁ」

天城「変わらず接してくれるあなたが好きです」

提督「お前は天城だ、それ以外の何かじゃない」

天城「でも……そう、言い聞かせているんですよね、自分に」

提督「…………」

天城「そうだとしてもあなたが好き、あなたの為に生きたい」

提督「…………そ」

天城「はい。…………夜這いまがいのことをする重い女はお嫌いですか? 」

提督「さぁね。…………でも、天城のことは、好きだ」

天城「…………これからもあなたに迷惑をかけます」

提督「俺の方こそ」

天城「…………それでも、お側にいさせてくださいね、時間の許す限り」

提督「長生きは性に合わないんだけどな。……ま、天城みたいな子に言われたら仕方無い、おいで」



ありがとうこざいました


< 誰を見れば誑しレベルがよく分かるか >






愛宕「まぁ、我ながら理想高いし面倒な性格だって自覚はあるわよ? 」

加賀「感情の起伏が少ないと面倒かしらね」

Littorio「背負ったものの面倒さもありますよ」

海風「……中途半端にしか誑してくれないのはどうすれば」

雲龍「私は楽な方? 」

高雄「そんなわけ。……私は忘れませんよ、色々と」

明石「誰、っていうか人数ですよね」






漣「ざんねーん、正解は叢雲ちゃんでしたー。
叢雲ちゃん素直にさせるとかいう魔法使ったんだから皆さんなんて余裕ですよぉ……言いませんけど」


< 人が分かるというか >






明石「眠い……」

雲龍「そうね」

明石「……」

雲龍「……」

明石「……しりとりでもしません? しりとり」

雲龍「林檎」

明石「ゴルバチョフ」

雲龍「浮浪者」

明石「ヤンバルクイナ」






雲龍「…………あなた、変人ね、やっぱり」

明石「…………雲龍さんに言われたくないですよ」



< 実働だと幼女も >






漣「竣工年だと漣って高雄姉妹と同い年なんですよね」

加賀「……何故それを私に」

漣「加賀さんが四つ上だからです」

加賀「……」

Littorio「Littorioは漣より八つ下ですよ」

漣「わーお、ぴっちびちー」

天城「天城たちはさらにそれから四つです」

漣「もう幼女じゃないですか」

海風「海風たちは三十七年だから、九つ違いますね」

加賀「それなりにばらついてるのね。……海風は何故私を基準にしたかのか説明しなさい」



< 元気(意味深) >






雲龍「亭主元気でSがいいとはよく言ったものね」

提督「留守、だろうが」

雲龍「放置プレイはあまり好きじゃないの、言わなかった? 」

提督「言われたけどさぁ」

雲龍「じゃあ、縛り付けてバイブ挿して目隠しして一時間出掛けてみてくれない? 目覚めるかもしれないし」

提督「……目覚めてほしくないからやらない」


< 実際よりも想像が >






加賀「敬老の日ね、労わりなさい」

提督「……真顔で何言ってんだよ」

加賀「下手をするとあなたのお祖母様より歳上ですよ、閣下」

提督「目上は俺だろう? 」

加賀「労ってほしいのならそうしますけれど、真心込めて」

提督「何してくれんの? 」

加賀「言葉ではちょっと」

提督「はーん? ……加賀の思う最高の奉仕ってちょっと気になるな、しなくていいけど」


< それもきっと、願い >






加賀「人間はね、相手に理想を押し付けてそうあってほしいと願うものなのよ」

提督「……」

加賀「願いは無意識に溶け込んで行動になる。行動は良くも悪くも相手や、相手を見る自分を変える」

提督「……」

加賀「人は、願いなんていう不条理の押し付けをせずにはいられないのね」

提督「……」

加賀「……」

提督「……あの話の流れで言われてもなぁ」




< してくれると分かるからこそ >






提督「ま、俺は非力な人間でしかないからな」

加賀「非力……? 」

提督「権力は非力が使う物だよ。……自分の為なら鼻歌交じりで笑いながら敵を殺せる類の非力がね」

加賀「できるでしょう? 」

提督「できるよ、非力だから」

加賀「女は押さえ込んで組み敷けるのに」

提督「心まではできないさ。……お前俺の心まで縛れるか? 」

加賀「できると思いますよ、あなたは優しいもの」

提督「……」

加賀「……私は卑怯で卑屈で、怪力ですから」


ありがとうこざいました


< 笑み >






加賀「……今死ねたらどんなに」

提督「やめておけ、俺が悲しむと分かってて幸せなまま死ねるのか? 」

加賀「あなたがわたしを悼んでくれて、いつまでもトラウマになると分かるからこそ、よ」

提督「……それなら俺も殺せよ、その後生きていたくない」

加賀「それじゃあ意味がないでしょう? 」

提督「……」


< その笑みはきっと何より価値のある >






加賀「……ま、もうできなくなってしまったのですが」

提督「あ? 」

加賀「死ねない身体に感謝することが少しだけ増えた、ということです」

提督「……そうか」

加賀「ええ」


< できたてたい焼き始めました >






提督「じゃんじゃん焼けるぞ食え」

加賀「美味しいわ、割と」

Littorio「たい焼き……おつまみの一種かと」

提督「クリームもあるぞー」

高雄「たい焼きに何かトッピングできないものかしら」

愛宕「フルーツソースとか? 」

明石「また整備するものが増えた……」


< あんやく >






漣「たい焼きの鉄板って……もうなんでもありじゃん」

江風「まぁ、鉄板設備はあるし変えるだけだもンな」

叢雲「この量平らげるってもう三時のおやつとかそんなんじゃないわね」

漣「たい焼きだけに? 」

江風「三十点」

海風「甘い。五点くらいでしょ」

江風「あ? じゃあ四点」

叢雲「三点」

江風「二点」

叢雲「一点」

江風「ゼロ」

海風「そもそも評価にすら値しないよね」

叢雲「そうね」

江風「確かに」

漣「……」


< 抗えない >






愛宕「うふ、私を酔わせてどうするつもり? 」

提督「いや、放置だが」

愛宕「えー? 」

提督「眠いんだよもう……」

愛宕「私は眠くなーい」

提督「可愛い顔しても知らねぇよ。……本当に知らねぇよ」

愛宕「お姉さんとお休みする? 」

提督「その顔やめろ。…………ん」


ありがとうこざいました


< 好きなところ >






愛宕「顔」

高雄「顔」

雲龍「顔」

天城「顔」

叢雲「……」

提督「……お前が変な顔するのやめろ、ネタにできなくなるじゃねぇか」


< 好きじゃないところ >






愛宕「北海道トーク」

高雄「地元の話」

叢雲「札幌がどうとか」

雲龍「北海道の話」

天城「ごめんなさい、地元の話はちょっと」

提督「……」

明石「……ほら、欠点が少ないと思えば」



< 好きなところ:再 >






提督「綺麗で可愛くて背が高くておっぱい大きくて細くてムチムチで俺を好きでいてくれるところ、あとおっぱい大きいところ」







愛宕「私よね? 」

高雄「……」

雲龍「……」

天城「……」

加賀「……」

Littorio「……」

明石「……なんか増えた」


< そういうとこ嫌いじゃない >






江風「江風は結構テートクの地元トーク好きだぜ? 外の話好きだし」

提督「! 結婚しよ? 札幌行こ? 」

江風「はぁ? 」

叢雲「……馬ッ鹿じゃないの? 」


< 本人のあずかり知らぬ >






春雨「編み物率高いよね」

浜風「まぁ……姉妹同士だとか仲のいい子だとか。外に行けないので趣味の幅が狭いですからね」

春雨「秋前からの定番だね」

浜風「浦風なんかは年中ですよ」

春雨「マフラー何本目? 」

浜風「八本目ですね。……手袋は? 」

春雨「七双目」







赤城「マフラーも手袋も、どうも贈る相手が限られる所為か似たり寄ったりの物で我ながら上手くなりました」

GZ「あり過ぎて困るということもあるまい」

赤城「そうですけど……あまりあり過ぎても困ります」

GZ「そうか……赤城がくれるというのなら喜ばない者の方が少ないと思うが」


< 九月二十一日 >






春雨「誕生日なのか進水日なのか、どっちなのかな」

時雨「両方でも片方でもそのどちらでもないでも正しいよ」

春雨「? 」

時雨「春雨や僕がこの身体になって初めて記憶している日なんて覚えているかい? 」

春雨「……忘れた」

時雨「きっと厳密にはその日だと思うけどそんなこと誰も覚えてないと思うんだ」

春雨「そう、だね」

時雨「それに誕生日なんて祝ってくれる人がいなければ何の意味も無いしね」

春雨「うん。……じゃあ、春雨は誕生日でいいや、昨日は楽しかったし」

時雨「……そっか」


< 理由 >






山城「何故か筑摩や大井はあの男と仲良いのよね」

龍田「そりゃあよっぽど好みじゃなければ空気読んで口説かないし」

山城「それでもあれ割と駄目なやつじゃない」

龍田「女の子の趣味分かるから姉妹のプレゼントについて話せるしファッションとかも詳しいじゃない? 」

山城「自分で考えればいいと思うわ。私なら姉さまとお話しする理由にもなるし」

龍田「分かってないわねぇ~ 。普段は自分を構い倒してるのに時々いつの間にか他の人に相談して綺麗になるとこ見せたいでしょう? 」

山城「……姉さまに秘密は」

龍田「というか単に話面白いし。女に目がないのと下半身のだらしなさがクリアできるなら誰にとってもいい相手よ」






若葉「若葉はあの二人の仲が良い方が疑問だが」

時雨「そうだね。本人たちは否定するだろうけど」


< 雰囲気が >






鹿島「龍田さんは随分提督を買ってるんですね」

龍田「あれを無能呼ばわりする方が無理あるでしょう? 」

山城「……そうね、癪だけれど」

鹿島「それでも、ですよ。ココの佐官の方にプロポーズされたんですよね?
好きでいることより愛される方がよくありません? 」

山城「鹿島」

鹿島「はい? 」

龍田「……道が沢山あるのにあえて選ばないだけの人と、目標はあるのに道が無い人、どっちを選ぶ? 」

鹿島「私は選ばせてあげるか道をつくってあげますけど、好きになれば同じです」

龍田「……そ、強いのね」

扶桑「あら、何のはな……出直すわ」


< 色々なものを投げ捨てて残ったもの >






提督「ちょっと待って、凄いことに気付いた」

愛宕「うん? なぁに? 」

提督「地元トークがつまらないのと女癖の悪さってマイナスじゃん? 」

愛宕「まぁ、一般的にはそうでしょうね」

提督「ってことはだぜ? マイナス×マイナスでプラスじゃね? 」

愛宕「馬鹿なの? 女の子は足し引きでしか世の中見ないわよ」

提督「えー」

愛宕「それに」

提督「ん? 」

愛宕「女癖の悪さなんてマイナスのうちにも入らないわ。くだらない話に比べれば」


ありがとうございました


< 本気で誰かを蔑むって中々難しい >






提督「えーっと……言われてみるときついな」

雲龍「試してみてください」

提督「ん…………こう? 」

雲龍「目細めただけね、それじゃあ」

提督「…………あ? 」

雲龍「ガラが悪くなっただけ? 」

提督「……………………何か言え、それでなんとかしてみるから」

雲龍「…………怒らせたりするのってあなた難し過ぎない? 」


< 蔑まれるのはそうでもないけれど >






高雄「何をしてるんです」

雲龍「ゴミを見るような軽蔑の目をしてもらってたの」

高雄「……はぁ」

提督「くだらないのはくだらないんだが中々これが難しくてさ」

雲龍「精神的にキそうだから試してもら……そうその目よ」

提督「はーん? 」


< フラグ >






愛宕「なんだか嫌な予感がする」

加賀「そう? 」

愛宕「女の勘はよく当たりますからねぇ~……どうしましょう」

加賀「その勘で時期や場所は分からないの? 」

愛宕「女の勘はフワッとしていて防止には役立たないんですよ」

加賀「精神的に不安なだけ損じゃない」

愛宕「まぁ、割とどうでもいいことだったりするんですけどね」

加賀「そう。……致命傷以外擦り傷よ、私たちにとっては」

愛宕「でも致命傷多いですからね。……ゴキちゃんが出てるとかその程度だといいなー」


< 今日その日よりも何よりも >






あきつ丸「…………」






山城「気持ち悪いわね、あれだけ機嫌がいいと」

GZ「あれで、機嫌がいいのか」

山城「異常なくらいよ」

龍田「言ってくれば? 気持ち悪いから普段通りにしろって」

山城「私もそこまで鬼じゃないわ」

龍田「ふーん? ま、彼女の機嫌が分かるレベルの仲だものね」

GZ「羨ましいな。……今度Bismarckあたりに訊いてみるか」

山城「五月蝿いわね。……あなたも分かるでしょう? 」

龍田「当たり前じゃない。……本当に言いに言ってたらどうなるか分からなかったわ」


< 評価 >






龍田「あなたは分かりやすいわよ」

山城「そうね」

GZ「そうか? 」

龍田「ええ」

山城「あの金髪女に言ったら鼻で笑われるからやめておきなさい」

GZ「む……そうか」

龍田「むしろBismarckだとか提督の方が何考えてるか分からない分重要なところで酷いことになったりするものよ」

GZ「それはあるな。大きな幼児かと思えば尊敬に値する人物に見えるときもある」

龍田「6:4くらい? 」

山城「7:3くらいでしょう」

GZ「そのようなレベルでは…………いや、そうか、そう見えているのか、お前たちには」


< でもやっぱり一応言ってみる >






山城「その時々ニヤつくのやめなさい、見苦しいわ」

あきつ丸「失礼。……これでいいか? 」

山城「不機嫌に見えるのは極端だけれど……そのままお願いね」

あきつ丸「あぁ」

山城「……何? 」

あきつ丸「何、とは」

山城「何貰ったのって訊いたのよ」

あきつ丸「あぁ。……秘密だ」

山城「は? 」

あきつ丸「山城も自分のプレゼントを提督殿におしえたら怒るだろう? 」

山城「それは……ま、それなら仕方無いわね」

あきつ丸「助かる。…………ありがとう、山城がいてくれて、よかった」

山城「…………そ、ニヤつくよりはマシな顔ね、それなら」



< それから >






龍田「ふーん……? 」

山城「やめなさいその顔。あなたの人を見透かしたような顔嫌いよ」

龍田「私もあなたの何も気付いてないように振る舞うようなつくられた鈍感嫌いよ」

山城「気が合うのね」

龍田「だって親友でしょう? 」

山城「腐れ縁の間違いでしょう? 」

龍田「……」

山城「……」

龍田「……ウイスキーでいいわよね、あきつ丸も扶桑も」

山城「……ええ、肴はつくっておくから天龍も呼んできなさい」


< 年に一度の >






天城「姉様……そわそわしても明日はすぐ来ませんよ」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……寝るわ、寝坊するの嫌だし」

天城「まだ夕食もまだなのですが……」


ありがとうございました


< 騒がしい朝も時々は >






瑞穂「おはようございます、早いですね」

雲龍「おはよう。早く寝たもの」

天城「遠足前の子供という感じでしたね、見たことありませんけれど」

雲龍「たかが遠足程度と同じにしてもらっては困るわ」

提督「おう、お前ガキの遠足にかける想い舐めんなよ。……おはよう」

瑞穂「おはようございます」

天城「おはようございます」

雲龍「おはよう。……よく眠れた? 」

提督「俺は遠足前日もいつも通りにするタイプだったんだよ。……ちょっと来い」

雲龍「? ええ」






瑞穂「何だと思います? 」

天城「ヘアセットでしょうかね。まさかこの時間からしけ込んだりはしないでしょうし」

瑞穂「なるほど」

天城「まぁ……それはあの人の目的の予想であって姉様が抑えられるかは知りませんけれど」


< 何も言えない >






高雄「何日か振りですね、こんなに晴れたのは」

天城「小雨か曇天でどっち付かずでしたものね」

高雄「一気に洗濯しないと」

天城「ええ。……洗濯といえば明石さんのシャツのボタンがーー」






江風「なンかもうさ、うン、所帯染みてるっていうか主婦の集まりかよここは」

海風「ふふ、夫は一人なのにね」

江風「……」


< 慣れ >






提督「お前の髪はいいなぁ、弄り甲斐があって」

雲龍「そう……他のところまで弄ってもいいのよ」

提督「俺もいいぞ? 今日はそれだけになるけど」

雲龍「それは嫌ね」

提督「だろう? 」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……この手際の良さを感じる度に、思うことがあるわ」

提督「……悪いな」


< 愛と不可分の >






Littorio「にゃーん? 」

明石「ふぁぁぁ……かっわいーなぁ」

Littorio「この子、独りなんでしょうか」

明石「さぁ……でもこの辺だとこの子しか見ませんよね」

Littorio「雄猫でも連れてきましょうか? 」

明石「それで相性合わなかったらどうするんです。……ねー? 」

Littorio「そのときはそのときですよ、案外と本能には抗えないものです」

明石「…………それで嫌々できた子供はどうするんですか? 」

Littorio「彼らはきっとそんなことも気にせずに育てますよ。……人間と違って、ね」


< 分かっている >






明石「うーん……でもいくらこの子が可愛くても結婚したりはできませんしねー」

Littorio「雌猫ですものね」

明石「や、単純に猫だからなんですけど」

Littorio「でも明石もネコでしょう? 」

明石「ネっ……いや、仮に私も猫だとしても」

Littorio「愛宕や彼に引き摺り込まれていた記憶があるのですが」

明石「忘れてください、いや本当」

Littorio「Littorioもネコだったら面白かったのに」

明石「だーから猫じゃないですってば」


< このまま、ずっと >






高雄「ねぇ、愛宕」

愛宕「うん? 」

高雄「雲龍さんの好きな食べ物って分かる? 」

愛宕「んー……ん? 」

高雄「何でも食べる健啖家だし本人も和食を中心にかなり上手いから舌はおかしくないはずなのよ」

愛宕「そう言われるとお酒も分からないわね。
ここにいるからウイスキーが多いだけだし」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……これきっと来年もこのままな気がするわ、それではそれでいいけれど」

愛宕「ふふ……去年もこんな話したものね」


< 覚悟、それから誓い >






愛宕「でも、そっか来年かぁ」

高雄「他にいる予定でも? 」

愛宕「んーん、無い、けど」

高雄「けど? 」

愛宕「いつかこの時間にも終わりが来るのよね、致命的な最期が」

高雄「そう、ね。……時々同窓会擬きでもしてみればいいじゃない、ほら今日みたいに誕生日のときとか」

愛宕「きっと楽しいわよね。……高雄は? 」

高雄「私は……」

愛宕「そ。…………その気持ち、変えてみせるんだから」


< 誕生日おめでとーいぇーい >






漣「いやー、このクラッカーいいなぁ、まだまだあるから安心してね? 」

叢雲「何をどう安心しろっていうのよ」

漣「明後日も盛大にぶちかますってことだよ、イェーイっ」

江風「そのときは江風に向かって打つのやめてくれよな」

海風「クラッカーの紐とか紙が絡まった江風……」

江風「……こういうのあるからさ」

漣「えー、だってそれが一番面白いじゃん? 」

江風「江風は面白くねぇよ……マジで」

叢雲「というかあなたは早くそれ捨ててきなさい……お皿に紙屑落ちたわよ」


< 保険は多い程良い >






加賀「コルク抜きは」

瑞穂「ボトル一本開けて置いておいたはずなのですが」

加賀「今日は調子がいいの」

瑞穂「はぁ、自愛も何もありませんね。どうぞ」

加賀「ありがとう、注ぐわ」

瑞穂「あ、どうも」

明石「まともな人潰さないでくださいよ加賀さーん、
ただでさえ今夜は私が落ちたとき介抱できる人が二人消えるんですから」

高雄「……きっと私もそのまともな人、に入ってるんでしょうね」

愛宕「……諦めなさい、もう遅いわ」


< あなたの背後にいつでも >






海風「今夜は提督いないのかぁ」

江風「そうだなぁ、さすがに今日は帰ってこないだろうよ」

海風「うん。……でも江風がいるぜ? くらい言えないの? 」

江風「無い無い。海風の姉貴じゃなかったらもしかすると言ってたかもしれないけどさ」

海風「たとえば誰? 」

江風「そりゃあたまたま一人のテート……いや、言うかもしれないけど冗談で、だぜ? 」

海風「ふーん……? 」

江風「こえーよ姉貴……なンなのもう」


< カーステよりも沈黙を >






雲龍「そういえば鹿島も今日なのよね」

提督「へぇ、そうか」

雲龍「ええ。……それだけだけれど」

提督「確か青葉も今日だぞ」

雲龍「そう」

提督「あぁ」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……何で他人の話してるのかしら」

提督「さぁ? 」



< それでも今夜は >






提督「まぁ、いつまでも話途切れない相手とか真面目な話ばっかの相手ってのも面倒だろう」

雲龍「そうね」

提督「黙っているときの空気が綺麗な相手との関係の方が長続きするはずだ」

雲龍「ええ、暫く二人で黙っていればその関係が分かる、だったかしら」

提督「っていうのは多分キェルケゴールの言い訳だ。話すこと無かったんだろたぶん」

雲龍「そうなの? 」

提督「知らないけどな。……俺はお前と話してるの好きだし終わりなんて見えないよ」

雲龍「……それも言い訳? 」

提督「何の? 」

雲龍「別に。…………別になんでもないわ」


< やっぱりくだらない話でも >






雲龍「……いい風ね、寒いくらいの風が一番好き」

提督「そうか。……ウィンドウの外に髪飛ばさないようにな」

雲龍「下手するとホラーなことになるわね」

提督「あんま得意じゃないんだよ、やめてくれよな」

雲龍「その場で蘇ってあげるわ」

提督「こえぇよ、ふっつーに怖い」



< 憂鬱だって楽しめる、そう大人ならね >






天城「天城、この時間結構好きなんですよ実は」

叢雲「? 」

天城「提督と誰かが外に出て、余り者同士飲んだりカードをしたりするのが」

叢雲「私は余ったつもりもないけど。……まぁ、分からなくもないわ」

天城「こんな時間がずっと続けばいいのに」

叢雲「……そうね」

天城「……」

叢雲「……」

天城「……どうして天城じゃないんでしょう」

叢雲「さぁ? …………それはあなたがあなただからじゃないの」


< 隠す気も無い >






提督「今日はなんかウイスキーばっかだったなぁ」

雲龍「いつものことじゃない」

提督「っても無性にビール飲みたいときとかあるんだけどな、大して量飲む気はしないけど」

雲龍「大丈夫よ、ビールなんて水みたいなものなんだから」

提督「お前それドイツ人の前で言うなよ」

雲龍「それこそ彼らって水の如く浴びるように飲まないの? 」

提督「水だって浴びるようには飲まねぇよ。
……二人っきりでビールだけってのもつまらないだろう? 」

雲龍「そうね。……誰のこと考えたかは訊かないでおいてあげる」

提督「さんきゅ」

雲龍「ええ。…………ま、訊かなくても分かるもの」


< たとえあなたが永遠に失われても記憶だけを抱いて >






提督「髪、切らねぇの? 」

雲龍「切ってほしいの? 」

提督「いや、生活的にさ」

雲龍「慣れたもの。……それに」

提督「うん? 」

雲龍「あなたが初めて私を褒めてくれたところだから」

提督「ーーーー」

雲龍「ふふ……記憶力はいい方なのよ」

提督「…………」

雲龍「…………今夜のことだって、きっと忘れないわ、いつまでも」



< フィナーレにはまだ遠いけれど >






彼に絡み付いて離れない自分を時々俯瞰して、何となく眺めている。

それは単に錯覚で、きっと幸せなときに自分を守る防衛本能なのだけれど。

そのまま彼に溺れて沈んで堕ちて、その幸いの只中から弾き出されてしまうことが本当に恐ろしいから。

それならば、浅ましく、はしたなく、淫らで救い難い愚者を演じていたい。

そしてそれを時々眺めた気になって安心するのだ。

まだ、まだ堕ちきってはいないのだ、と。

彼がいなくなってしまおうともまだ、私は終わらない。

せめて弔って、泣いてみたい。

私をこんなにも幸せにしてくれた男の最期くらい看取れなくて何が愛だろう。

私は、そんなに薄情で自分勝手ではないと、彼が言った言葉をこうやって律儀に守っているくらいには真面目なのだ。






「……また、あとでね」

「ん…………暑いから離れろよ」

「嫌。……嫌? 」

「いーや、別に」

「そ。…………好き」

「俺もだよ。…………またな」


ありがとうございました


< >



< 残骸たちの夜明け >






明石「…………Zzz」

瑞穂「ふぁ……ねむ」

天城「……結局天城たちはずっと起きたままでしたね」

瑞穂「喉が痛いです」

天城「天城もですよ。……緑茶でも淹れてから寝ましょう」

瑞穂「明石さんは? 」

天城「放置でいいと思いますよ。カラオケのソファ中々いいものですし」

瑞穂「ですね」

江風「……Zzz」

海風「……Zzz」

天城「……こっちはどうします? 」

瑞穂「放置で。……江風さんがカラオケ始めたんですしね」



< 多少は元気な人たち >






雲龍「二日連続カラオケとか馬鹿なの? 」

提督「だよなぁ、俺たちは昨日だけだけど」

雲龍「眠いわ、物凄く」

提督「途中で寝てたじゃねぇか。……じゃあまた後で」

雲龍「ええ」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……分かったから、運んでいくから馬乗りになるんじゃねぇよ」


< 現在二十六日の三十時でございます >






天城「……では」

瑞穂「はい。……結局明石さんだけ背負ってきてしまいました」

天城「大丈夫ですか? 」

瑞穂「ええ、多少ぶつけたところで治りますし、どうせ起きないでしょう」

天城「……瑞穂さんも毒されてきましたね」

瑞穂「ボスがあれですからね。……それではまた後で」

天城「はい。……どれくらい寝れるでしょうか」


< いっそまた寝たい時間 >






江風「んぅー……昨日の記憶が無い」

海風「あんなに激しかったのに」

江風「それは嘘。泥酔しててもありえないね」

海風「……シャウトがだよ? 」

江風「そんな曲も入れてないし。……何時? 」

海風「お昼前」

江風「朝飯逃した……」

海風「つくってあげようか? 」

江風「いいよ、ブランチだけで。……叢雲デーかぁ、一番プレゼントに困ったよ」

海風「ふふ……漣ちゃんのクラッカーからちゃんと逃げないとね」

江風「……江風は姉貴の方が怖ぇよ」


< 聞かせる独り言の気力も無い >






提督「あ? ……あぁ? 」

愛宕「うん? 」

提督「うっそだろおい……早過ぎる」

愛宕「? 」

提督「…………ん」

愛宕「見てもいいの? 相当重要な感じだったけど」

提督「超法規的措置ってやつだ、見れば分かる」

愛宕「ふーん? …………え? 」

提督「今年度中だとよ」

愛宕「…………」

提督「…………ちょっと煙草吸ってくるわ、高雄とかがそれ読んでても俺は知らないからな」

愛宕「分かった。……………………はぁ」


< 人生は起承転転転転転転転転転転転転…… >






愛宕「…………」

高雄「…………」

加賀「…………嫌な予感ってこれのことだったのね。女の勘、馬鹿にしていたわ」

愛宕「……まぁ、私は別に? 今更だと思うけど? 」

高雄「……」

愛宕「身体重ねるどころの話じゃないし? もうなんかそういう特殊な家族みたいなものだと思うけど? 」

高雄「……」

愛宕「いっそもう龍田とか山」

高雄「愛宕」

愛宕「……」

高雄「……」

加賀「……指輪の増産、ね」


< ぼんぼやーじゅ! >






愛宕「……どうなるのこれ」

高雄「……どうにもならないというかなるようにしかならないというか」

加賀「……」

愛宕「……加賀さんならいります? 」

加賀「この場合効果や発動理由を知っているから断る理由は無いわね」

愛宕「そう、ですか」

加賀「まぁ、それは一般的理由であって瑣末なことではあるけれど」

愛宕「はぁ」

加賀「……重要なのは、明らかにこの戦争を長引かせたいとしか思っていないはずの帝都がこれを増産することに決めた、ということよ」

愛宕「……」

加賀「……」

高雄「……また、面倒なことになりそうですね」


< 情報の重要性をもう少し >







雲龍「男と酒とセックスと睡眠。随分とシンプルよね」

提督「いいじゃねぇか。他に何かいるか? 」

雲龍「できればあなたでいう車みたいなものが欲しいわね」

提督「そうか。……お前何好きなんだ? 」

雲龍「あなた」

提督「ありがとう。……で? 」

雲龍「思い付かないのよね、料理も編み物もそれなりには好きだし続いてはいるけれど」

提督「じゃあ、ほら、戦闘とか」

雲龍「艦載機ならいつまでも眺めていられるけれどそれが趣味だとして特に今からやることも無いのよね」

提督「…………アロマとか」

雲龍「葛城が好きなのよね、アロマ」

提督「へぇ……葛城に俺のこと言ってるのか? 」

雲龍「“ いい人がいる ”、とだけ」

提督「うっそだろおいそれは…………あんま会わないようにしよ」


< 割と萎えるとき >






愛宕「あの人の肩に噛み跡があったとき」

天城「……あぁ」

高雄「……そうね」

Littorio「……はぁ」

明石「……心当たりある人多過ぎでしょ」



< 続きまして >






天城「髪のセットで明らかにここの誰かに近かったとき」

愛宕「……あぁ」

明石「……確かに」

Littorio「……複雑ですね」

高雄「……私だけある意味楽なのかしら」


< さらに続きまして >






Littorio「少ないかな、と感じたとき」

愛宕「……これだけ人数いればね」

高雄「……十二分にタフなのですけれどね」

明石「……ははは」

天城「……回数なのかそれとも量なのか」



< さらにさらに >






高雄「そういうことがあっても許せてしまう自分を見つけたとき」

愛宕「……優勝ね」

明石「……はぁ」

天城「……惚れた弱味、どころの話ではありませんね」

Littorio「……ある意味で幸せにも思いますけれど」


< 禍福という縄を掴めるのならば >






海風「高雄さんたちお風呂の隅でどうして微妙な顔してるんでしょう」

瑞穂「瑞穂は知りたくないです……まぁ、どうせ提督のことでしょうね」

海風「? それであんな顔するんですか? 全員で」

瑞穂「彼のことだからするんですよ。本当に興味の無い人のことで一喜一憂できるほど心優しい人たちではありませんから」

海風「はぁ」

瑞穂「もちろん瑞穂もですけれどね。……世界の狭さは幸せであり、呪いでもあるのです」

海風「それは瑞穂さんも? 」

瑞穂「ええ。…………普通の殿方に出会って、普通に恋をして、普通に幸せな家庭を築くのは難しい」

海風「じゃあ瑞穂さんは幸せですか? 」

瑞穂「はい」

海風「それでも不幸だと思いますか?

瑞穂「……はい」


< 悩めることこそがきっと >







瑞穂「……正直に言うのなら、瑞穂も分かっているのです」

海風「はぁ」

瑞穂「提督はとても魅力的な殿方であることも、瑞穂たちが普通の人間ではないことも理解しています」

海風「ええ」

瑞穂「だから何人と閨を共にしようと構いません、それで幸せになる人がいるのなら」

海風「……」

瑞穂「籠の鳥よりも自由が無く、ただの家畜同然に理不尽な理由で酷使される」

海風「……」

瑞穂「それがたとえ生まれた意味で、身と魂に染み付いたサガだとしても」

海風「……」

瑞穂「そんな存在であり続ければ心は磨耗していきます、逃げる場所が多少薄暗くとも仕方有りません」

海風「……」

瑞穂「……それでも瑞穂は、高雄さんと愛宕さんの二人、どちらかを選べなかったあの人を認めることはできません」

海風「……」

瑞穂「……」

海風「……何か言ってほしいこと、あります? 」

瑞穂「……なにも」


< 一方こちらでは >







明石「何であそこの二人影みたいなの背負ってお風呂いるんでしょう」

Littorio「それはまぁ……そういうことでしょうね」

明石「はぁ」

天城「……別に気にする必要もありませんよ」

高雄「……何とも言えないわ」

愛宕「……そうね」


< さぁ、今夜も終わりの始まりの終わりと始まりを迎えに行こう >






提督「今日は当然スコッチで。あるものなら何でも空けていいぞ」

叢雲「大盤振る舞いどころの話じゃないわね」

提督「パーティが小さかったからな」

叢雲「普段通りでもこうだったでしょ? 」

提督「そりゃな。…………決めた? 」

叢雲「……………………受けるわ」

提督「…………そっか」

叢雲「正直あんたのこと忘れろって言われてももう無理だし」

提督「……」

叢雲「あんたが背負った業も、遺した呪いも、全部任されてあげるわ」

提督「……」

叢雲「その代わり、司令官? 」

提督「ん」

叢雲「あなたが生きている限り、あなたが呪った存在のことを全力で幸せにすること、逃げないこと。お願いできますね? 」

提督「……もちろん、誓いのキスでもしようか? 」


< 始まったのは、いつの頃だったろう >







叢雲「ふん……あんた、そこまで踏み込む勇気あるの? 」

提督「……お前が養女になることを考えている間、俺にも同じ時間があったんだぜ? 」

叢雲「ふーん? 」

提督「……」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……ま、安心しなさい。私にも無いわ」

提督「……そうか」


< それでも今夜は、この余韻を掻き抱いて終わりたい >






叢雲「大体、今更あんたと何かしようとするのは難しいわ」

提督「まぁ、な」

叢雲「こういうのって何ていうんだったかしら、腐れ縁? 」

提督「絆だろう? 」

叢雲「そうかもね。……もし、あんたと出会わなければ」

提督「あぁ」

叢雲「その辺の“ いい男 ”と普通に幸せになっていた気がするわ」

提督「悪いな」

叢雲「感謝してんのよ、普通じゃつまらないじゃない? 」

提督「そうか? 」

叢雲「そうよ。……あんたとはいつか別れるときまで、同じ方向を見つめていたいわ」

提督「ありがとう。…………俺もだよ、叢雲」



ありがとうございました


< 確かにそう、こんな冗談を口に出してしまうくらいには気分がいい >






漣「ぐっもーにーん、今日もプリティーでキュートな漣ちゃんですよー」

提督「おう、おはよう」

叢雲「おはよう」

漣「そーいえばどうだった? この前はお熱い夜を楽しめた? 」

叢雲「そうね」

漣「えっ」

叢雲「あんたはどう? 私も中々でしょう? 」

提督「そうだな、惚れ直したよ」

漣「えっ……うそ」

叢雲「嘘だと思う? 」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………嘘、だね、うん、嘘だ。証拠は無いけど」

叢雲「それなのにどうして? 」

漣「何年付き合ってると思ってるのさ、ご主人様より付き合い長いんだよ? 目見ればそれくらい分かりますぅ」

提督「さっすが」


< 男なんて好きな女の前では等しく皆 >






漣「まぁ、でも? 割とリアルだし最初は信じかけたけど」

叢雲「そんなにリアル? 」

提督「さぁな。俺とお前の関係なんて外からみたら世話焼きママと出来損ないの息子だし」

漣「実際は兎も角ご主人様って世間的には超絶エリートだと思いますけど」

提督「マザコンにエリートも底辺もあるかよ」

叢雲「いや、そういうことじゃないでしょ?
それともなによ、私の息子はよくできた子ね、なんて言ってほしいの? 」

提督「や、遠慮しとく」


< あぁ、彼女は新しい恋よりも工作好き >






漣「そんなことは兎も角、これでも漣は鈍感だったり難聴だったりはしないんですよ」

提督「今は難聴関係無いじゃねぇか」

漣「まぁ、確かに。……ここで一番鈍感なのって誰だと思います? 」

提督「そりゃお前……待て、たぶん三人一致してるぞこれは」

叢雲「そうね」

漣「はーん? ……せーっの」


< 聞くだけ >






叢雲「というか私の名前はどうするの? 聞いてないと思うけど」

提督「叢雲のままでもいいし自分で決めてもいいぞ、それくらい何とかなる」

叢雲「そう ……でもあんたの苗字になるのよね」

提督「そうだな」

叢雲「あんたの苗字って割と珍しい方だし音の関係で叢雲だと相当なDQNネームかしら」

提督「気にすんな。どうせ俺は叢雲呼びだ」

叢雲「でしょうね」

提督「まぁ、それに……正直花子とか付けられても困る」

叢雲「付けないわよ、さすがに」

提督「そうか? 」

叢雲「あんたが付ける? 」

提督「え、マジでい……いや、やっぱやめとくわ、キモイとか言われそうだし」

叢雲「そうね」

提督「……ひでぇ」



< きっと今以上にしっくりなんて来ないから >






提督「ってもな、今更レイカとかマナミとか言われても困るだろう? 」

叢雲「それ、娘ができたらつけたい名前でしょう? 」

提督「悪いか? 」

叢雲「別に。実際娘になるわけだしね、単にリアル過ぎてキモいってだけよ」

提督「悪いんじゃねぇか……男はね、多かれ少なかれ一度は考えていみるものなんだよ」

叢雲「ちなみに息子なら? 」

提督「もういわないよぜったい、ぼくばかにされたくないもん」

叢雲「そっちの方が馬鹿にされるわよ……」


< ロリババァというものがあるけれど >






加賀「それなら、私は? 」

明石「えー、お姉さんババァ? 」

瑞穂「意味が分からないんですが」

加賀「若作りしてるみたいね」

瑞穂「ですね。……ちなみに瑞穂は? 」

明石「同じくお姉さんババァですね。大体皆さんそうじゃないです? 」

加賀「提督は? 」

明石「若作りおじお兄さん? 」

提督「…………俺ここにいるんだけどなんなの君ら」




< 知っている >






春雨「司令官とか龍田さんってなんとなく似てるよね」

時雨「そう? 分からなくもないけど」

春雨「なんていうかさ、本音を冗談みたいに話しつつ嘘っぽい本音を時々言うみたいな」

時雨「……あぁ、そういうこと、確かにね」

春雨「あんまり嘘とか言わないのにそれっぽく見える感じ? 」

時雨「真実を言わないタイプだね」

春雨「春雨もあんな感じになりたいんだけど」

時雨「んー……難しいね、それは」

春雨「だよね」

時雨「そもそも提督は男性だから別として龍田になりたいかい? 」

春雨「なりたくない? カッコいいしできる女っぽいし司令官っぽいところあるし」

時雨「…………そう? 」


< まだまだ言えるけれど今日はここまで >






龍田「嬉しいこと言ってくれるわねぇ、でもあの人と一番似てるのは私じゃないわぁ」

春雨「そうなんですか? 」

龍田「捻くれてる割に素直で変に優しくて好きなことにひたむきで言葉遊びが好きで見てくれと評判だけはいいダメ人間な性的倒錯者がいるじゃない? 」

春雨「……あぁ」

時雨「……そうだね」


< 無意識に >






明石「そろそろ花火ですか」

天城「去年みたいのはやめてくださいね」

明石「え、なんかしましたっけ私? 」

天城「打ち上げられ始めた花火を眺めつつあれがナトリウムの黄色、緑がバリウム、なんて言われるとは思いませんでしたよ」

明石「ははは……」


< ねだり下手に見せるという技術 >






愛宕「真面目に考えてみたんだけど」

提督「それ絶対真面目じゃないトーンだろう」

愛宕「私があなたに勝っているところってお料理と編み物くらいよね」

提督「はぁ? 」

愛宕「バストとチェストとか比べる必要も無いくらいだし身長とか言語とかも勝てないじゃない? 」

提督「おっぱいと胸板比べんなよ。……芸術的センスとか? 」

愛宕「別に弾けるだけでピアノも大して上手くないわよ」

提督「俺だって別に大して……」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……ね? 」

提督「……で、そんなに褒めてなんだ? 言ってみろよ」


< 折角集まっているので >






Littorio「イスラム圏では一夫多妻が許されていますよね」

提督「そうだな」

Littorio「戸籍にも四人まで。……二人は決まっているとしてあと二人は誰にします? 」

加賀「……」

明石「……」

雲龍「……」

天城「……」

提督「……お前なんなの? これ楽しいの? 」

Littorio「割と」


< どうでもいいけれど割と重要なこと >






提督「お、俺、意味の無い仮定はしないタイプなんだよ」

Littorio「あらあら……それでも最後に一つだけ」

提督「ん? 」

Littorio「そもそも第一夫人はどちらに? 」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……あのさ」


< 長持ちしそうだしね >






江風「そーいやテートクって学生時代は学ランだったのか? 」

提督「学ランだったな、一回くらいブレザーも着てみたかったんだが」

江風「ってことは第二ボタンは? 」

提督「もうそんな時代じゃなかったし未だに着いてるよ」

江風「そっかー、ってかまだ制服あンの? 」

提督「母親がそういうものは保管しておくタイプなんだよ、いい加減黴臭いと思うんだけどさ」

江風「へぇ? ……軍服の第二ボタンさ、江風にくれよ」

提督「あ? 」

江風「いつかテートクも退役するだろ? そのとき、江風も想い出くらい欲しいからさ」

提督「構わねぇけど。……お前は海風みたいになるなよ」

江風「ならないって。単に持ち運びが簡単でテートクらしさが分かるってだけだから、さ」


< ある意味防波堤のような >






漣「とかなんとか言っちゃってー? 」

江風「テートクのことは好きだぜ? それ以上でも以下でも無いけど」

漣「ふーん? 」

江風「……そっちもテートクのこと好きだろ? でも恋愛感情とか無いだろ? 」

漣「それ言われたらどうしようもないけどさー」

江風「……たのむから惹かれないでくれよな。そうなったら江風も自信無くしそうだし」


< 論理の飛躍、頭の吹っ飛び >






愛宕「今までで一番失敗したな、と思うプレイは? 」

提督「ダントツでお前にパパって言わせたこと、もう死ぬ程の黒歴史ってやつ」

愛宕「あれはまぁ……キモかったわね」

提督「酔ってたにしてもあれは無ぇな、あれ以来尖ったのはやめたし」






雲龍「つまりあなたの所為だったのね、あんまり新しいことに応じてくれないのは」

愛宕「いや……えぇ? 」


< 何があったって嫌いなんて絶対ありえない相手だから >






高雄「こんな感じですかね」

江風「おおー」

高雄「割と簡単につくれる部類ですよ、シュシュなんて」

江風「できる人はそう言うンだよなぁ」

高雄「そうかもしれませんが……江風さんがつくるんですか? 」

江風「まぁ……姉貴になンかプレゼントしたくてさ、料理は厳しいし姉貴とゆっくりしたいから」

高雄「そうですか。…………その優しさに付け込むような方ではないと信じておきますよ、私は」


ありがとうございました


< ようやっと >






叢雲「今日の花火、屋台の最初は漣ね」

漣「は? ……は? 」

提督「多数決では二対一、よって可決でごさいます」

漣「うわーん、非民主的だよー、拒否権は無いのかーっ」

叢雲「有るじゃない、多数決で否決されただけで」

提督「実に民主的だろう? そういう反対者が出るところも含めて」

漣「わーわー、司法を守れー」

叢雲「なに言ってんのよ、そもそもこの国は人治国家じゃない」

漣「ほ、法治……」

叢雲「体制側がこれなのよ? 機能してるとでも思ってたの? 」

提督「何で俺にも飛び火……まぁ、美人への判決は甘いかもだけどさ」


< ストロングなウィークポイント >






漣「え、いやそれなら漣にも甘くしてくどさいよー」

提督「メリット無さそうだし」

漣「……ご奉仕しますよ? ご・主・人・様(はぁと)」

提督「や、女は間に合ってるんで、しかもお前は俺の趣味じゃない」

漣「漣持ってるんだけどなー、エドシック・モノポール」

提督「……ほ? 」

漣「ジョンコピング号の超稀少ワインなんだけどなぁ、市場にも殆ど出回らないんだけどなぁ」

提督「……」

漣「今ならプリチーな美少女が注いであげるんだけどなぁ? 」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………叢雲」

叢雲「嫌。……と言いたいところだけど私にも飲ませてくれるなら考えるわ」


< 価値はつくるもの、演出するもの >






漣「さっすがご主人様と叢雲ちゃん、話がわっかるぅ……ヒック」

提督「……嘘泣きとか立派な大人になれないぞ」

漣「でも立派な女にはなれますしね、というかもう必須ですらあるかも」

提督「女の最高の武器は笑顔だろうが」

漣「涙があるからこそ笑顔が際立つんですよ。毎日適当に感謝を乱発して意味が上がりますか? 」

提督「……」

叢雲「……真理ね、くだらない俗世に生きるのならば」


< どうでもいい些末事 >






提督「くっそ面倒い……スピーチとか嫌いなんだよ俺」

高雄「まぁ、然程堅苦しいものでもありませんし。挨拶くらいでしょう? 」

提督「ん。……本当に大したことなかったな」

高雄「はい? 」

提督「この県のミス」

高雄「あぁ……あんなものでは」

提督「そうかな? 」

高雄「むしろ、たかが一県のミスが私に勝てるとでも? 」

提督「自意識過剰は嫌われるぞ」

高雄「あなたに嫌われなければどうということはありません。……お嫌いですか? 」

提督「まさか。……自分の魅力に気付かない女程無様なものは無ぇよ」


< あるいは自分も >






江風「嫌いとか言ってた割によくあンなにこやかに喋れンな」

叢雲「嫌いでも不得意とは言ってないでしょ」

江風「……テートクってできるやつなンだよな」

叢雲「普通家柄が才覚のどちらかが無いと少将まで昇れないわよ」

江風「なーンであれでクズ野郎なのか」

叢雲「それもある意味で才覚よ。……誑しの」

江風「そっか。……………………まぁ、姉貴とか高雄さンどころか叢雲も誑し込むレベルだもンなぁ」


< こんなに佳い夜ならば、聞きたくないこともある >






高雄「お疲れ様でした」

提督「ん、さんきゅ。……あとは花火だけか」

高雄「色々と見送りが」

提督「……」

高雄「……致し方の無いこーー」

提督「……ん」

高雄「んぁ……ぅ……………………っふぁ」

提督「…………つまらないこと、言うなよ。塞ぎたくなる」

高雄「っん。…………それなら、何度でも言いますよ、あなたの為にも、私の為にも」



ありがとうございました


< 激しい夜に後に >






提督「んー……」

高雄「…………おはよう、ございます」

提督「ん、おはよう。……眠い? 」

高雄「……分かるでしょう、あなたが一番」

提督「そりゃな。……もっと砕けない? 」

高雄「これは性格ですので……分からない? 」

提督「分からないな」

高雄「馬鹿。…………そうしてほしいなら」

提督「や、いいけどな。……コーヒーでも淹れるか」



< 薄いけれど、硬い >






江風「つーか野球優勝してんじゃン」

提督「そっすね」

江風「どうでもいい? 」

提督「ってことも無いが……まぁ、強いしな」

江風「薄氷踏んでるレベルのチームだろうが」

提督「勝てばいいんだよ、勝てば。……自分の立場思い返せよ」

江風「江風はテートクのこと信じてるから」

提督「……あ、そう」


< 机上の >






漣「海風ちゃんって江風のこと好きじゃん? 」

海風「? そうだね」

漣「カッコいいのが好きなんだよね? 」

海風「それだけじゃないけど……うん」

漣「生えてたりしたら感想変わる? 」

海風「生え……? ……………………感想は変わるかもしれないけどベクトルが違うだけで好きなのは変わらないんじゃないかな、海風バイだし」

漣「ふーん? 」



< いくらなんでも >






愛宕「はい、お弁当」

提督「さーんきゅ」

愛宕「夜はお家で食べてね」

提督「おう」

愛宕「……私たちのこと、言わないの? 」

提督「言えると思うか? 」

愛宕「思えない」

提督「だろ? 」

愛宕「……言ってくれないの? 」

提督「…………努力はするけどさ」


< 不味いものを口にするくらいなら >






加賀「たこ焼き……たこ焼き……」

江風「な、なンだこれ」

瑞穂「花火にかまけてたこ焼きだけ食べられなかったんだそうですよ」

江風「その程度でこれかよ……自分でつくれば? 」

加賀「……お祭り的な気分で食べるのとは違うのよ」

江風「分かるけどさぁ……江風がつくろうか? 」

加賀「……はっ、目が覚めたわ目」

瑞穂「おかえりなさい」

加賀「目が覚めたわ」

江風「…………」



< きっといつか >






提督「じゃ、行ってくる」

愛宕「お土産よろしくねー」

加賀「お酒でもお酒でもお酒でもいいわ」

提督「はいはい、分かったから待ってる間壁とか食うなよ」

高雄「いってらっしゃい、お気を付けて」

提督「ん。…………今度は一緒に帰ろうな」


< 帝とは常に突き上げを食らうという >






明石「もしかしなくても提督だけがいないのって初めてですか? 」

愛宕「そうねぇ、横須賀のときは何回か帰省してたけど」

明石「どこもかしこも必然的にガールズトークですね」

愛宕「……胃が」

明石「……大丈夫でしょ、ここで愛宕さんに刃向かう馬鹿なんていませんよ、たぶん」


< 今までの悪行を >






天城「…………」

加賀「…………」

叢雲「どうしたの? テンション低いみたいだけど」

瑞穂「提督のコレクションを漁ろうとしたら南京錠付きの棚があったのです」

叢雲「…………馬鹿なの? 当たり前じゃないそんなの」


< いざ行かん、我が故郷へ >






提督「……何でお前いるんだよ」

あきつ丸「少将ともあろう者がLCCに乗って一人で勝手に帰省しようとするのが間違っているであります」

提督「すぐ帰ってくるっての」

あきつ丸「そういう問題ではない」

提督「……俺に気付かれないように尾けろよ、今回もそうだと思ってたのに」

あきつ丸「……それで何度撒かれたと」

提督「無能を寄越すお前らが悪い」

あきつ丸「それを反省して自分が来たのであります」

提督「はぁ……どこまで? 」

あきつ丸「提督殿のご実家近くに」

提督「……まったく」


< ハンモック >






雲龍「できたわ」

天城「お疲れ様です。結構早く終わりましたね」

雲龍「お酒と訓練以外はずっと編んでいたもの」

天城「来年から? 」

雲龍「来年から」

天城「……天城もつくりましょうか」

雲龍「我ながら私ってできる方なのよ? ……あなたにできる? 」

天城「姉様如きには負けられません。……手伝ってくださいますよね? 」

雲龍「……仕方、無いわね」


< 守護天使だとでも思えば >






提督「じゃあな。……空いてる日、あるか? 」

あきつ丸「まぁ、提督殿がこちらにいる間はよっぽどのことが無い限り休暇のようなものであります」

提督「そうか。……じゃ、そのうち連絡しろ」

あきつ丸「はぁ、しかしコンタクトの方法が」

提督「携帯の番号だろうがLINEだろうが把握してるだろう? 」

あきつ丸「……………………いい店を頼みますよ」

提督「おう。……友達がいるときには来るなよ、絶対にな」



< 自明の >






叢雲「あいつがいなくて大丈夫なの? 」

高雄「まぁ……離れることがアクセントだと思えば」

愛宕「死ななければいいわ」

叢雲「…………絶対に死なないと思う? 」

高雄「…………その場合は」

愛宕「私たちが死ぬだけよね」


< 大体なんとかなる >






提督「今日はとりあえず飲み過ぎたな、俺と母親しかいねぇのに」

提督「……」

提督「……」

提督「……」

提督「……」

提督「……ここって瓶いつだっけ。このペースだと置く場所足りないぞこれ」

提督「……」

提督「……」

提督「……」

提督「……」

提督「……寝よ、起きてるの俺だけだし」


ありがとうございました


< いくつになっても >






提督「んあ…………んあ? 」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………まだ八時かよ、大分寝た気がするんだが」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………今日は何つくってくれてるのかなぁ」


< さてではこちらの朝餐は >






江風「露骨にやる気無ぇなおい」

天城「まともにつくっているだけマシですよ」

雲龍「私ならそもそもつくりもしないわね」

江風「……江風が言うのもなンだけどそれでいいの? 」

雲龍「依存って怖いのよ、他に興味が持てなくなるの」

江風「えぇ……」

雲龍「よかったわね。高雄たちが当番制つくってなかったらあなた、レトルトかインスタントだったわよ」

江風「そンときは姉貴に頼むよ。……大丈夫だよな? 」

海風「さぁ? 」

江風「……」

天城「……まぁ、これだけの女社会で仲がいいだけでも奇跡的ですから、それくらいは仕方ありませんね」


< 禁断症状が出る前に >






愛宕「もう毎食フレンチトーストでいいわぁ」

高雄「……そうね」

愛宕「適当にやっても誤魔化せるし」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……電話くらいはいいわよね? 」

愛宕「そりゃあ。…………飲んでたりしたら出ないかもしれないけど落ち込むのはやめてね? 」


< 別に嫌いではない >






Aquila「伯爵ー? その辺にあった海図を知らなーい? 」

GZ「気安いな。……知らん」

Aquila「んー……ん? 」

GZ「なんだ」

Aquila「いいこと、ありました? 」

GZ「何も無いが」

Aquila「もしかしてー、Aquilaと同じ部屋になったから? 」

GZ「そんなわ……いや、あるかもな」

Aquila「ほー? 」

GZ「今までBismarckが相部屋だったんだ、他が誰でも安心できるというものさ」

Aquila「んー……さすがにそれは嬉しくないですねぇ」


< たぶんきっと大体信用していい >






GZ「そもそも……伯爵などと呼ぶな馬鹿」

Aquila「? 伯爵は伯爵でしょー」

GZ「……曲がりなりにも今日は我が祖国統一の日なのだがな」

Aquila「それで? Aquilaと伯爵にとってそれは重要なことなの? 」

GZ「いや……そうでもないな」

Aquila「でしょう? ……本当に嫌ならGrafに戻しますけど」

GZ「別に構わない。……お前に恨まれると部屋が怖いからな」

Aquila「あーら、別に何もしませんよー? …………たぶん」



ありがとうございました


< ハンモックなんて大体そんなもの >






天城「部屋の真ん中に吊るされると少し邪魔ですね」

雲龍「これはこれで中々悪くないわ」

天城「天城が良くないのですが」

雲龍「部屋を行ったり来たりしない限りどうということもないじゃない」

天城「そうですけれど」

雲龍「……じゃ、寝るわ。ひっくり返さないでね? 」

天城「しませんよそんなこと……」


< とある街中の喫煙所にて >






あきつ丸「いいご家族ですな」

提督「……何も言うまい」

あきつ丸「別に好き好んで盗聴などしているわけでは」

提督「…………」

あきつ丸「…………火を」

提督「フ-…………さんきゅ」

あきつ丸「…………申し訳ないとは、思っているでありますよ」


< それはそれで >






あきつ丸「そもそも、提督殿があの要港部を厳重にするから」

提督「あそこで聞けるのなんて喘ぎ声くらいだぞ」

あきつ丸「ピロートークとは中々馬鹿にできないものであるというのが上の考え方でして」

提督「お前はサロン・キティの失敗を知らねぇのかよ」

あきつ丸「この国にラインハルト・ハイドリヒより有能な人間がいるとでも? 」

提督「殿下がいるだろうが」

あきつ丸「まぁ、確かに。……殿下に敵対する者、つまり提督殿を嫌う者は大勢いるであります」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………一本寄越せ、空になった」


< 隙とは隙間から見つかるからこそ隙と言う >






あきつ丸「フ-…………叢雲殿のことでありますが」

提督「文句は言わせねぇよ。対価は払ってる」

あきつ丸「重要な部分を慎重に削った論文程度で」

提督「も、十分だろう? 」

あきつ丸「……自分は提督殿のことを思って」

提督「知ってるよ。……で、それが何の役に立つんだ? 」

あきつ丸「……」

提督「……戸籍くらい、別に帝都の方でも問題視してないだろう? 」

あきつ丸「……それそのものが問題なわけでは」


< 雑踏に紛れて >






あきつ丸「ま、その辺は殿下とお願いしたいであります」

提督「あぁ」

あきつ丸「……それにしても」

提督「何だよ」

あきつ丸「猫すら誑すのでありますね」

提督「や、一応実家の猫だし、ちいさい頃から知ってるし」

あきつ丸「狼と猫の組み合わせは珍しいな、と。それだけですが」

提督「子供ができないのはリアルだろう? ……じゃ、ちょっと友達と会ってくるから」

あきつ丸「お気を付けて。…………自分たち以外の者も見かけました」

提督「おう。…………一応、忠告だけは受け取っておくよ」


ありがとうございました


< 友、あるいは好敵手、あるいは友、あるいは、冗句 >






明石「っと……懲りませんねぇ、誰だか知りませんが」

高雄「自販機の下に盗聴機なんて付けて効果があるんでしょうか」

明石「さぁ? そもそもここに大した機密はありませんがね」

高雄「……」

明石「……ここに楯突くということは、殿下に、横須賀に、帝都に、我が国に喧嘩を売るということです」

高雄「……つまり、内部の誰か、ですね」

明石「あるいはLittorioさんか」

高雄「……」

明石「……もちろん、冗談ですよ? 」



< カメラも無い、たぶん >






愛宕「でも執務室と寝室が完璧に防諜対策されてる時点で割とどうしようもないわよね、他のところに仕掛けても」

明石「ええ、私がいる限り電子系はやめた方が予算の無駄遣いにならないと思うんですけどね」

愛宕「物理で来ても隠れられないじゃない、それこそ龍田あたり買収して間諜にしないと」

明石「私より鉄壁じゃないですか……しかもカラオケまでできましたし」

愛宕「カラオケ? 」

明石「あの部屋、半分くらい私が設計したんですけどね」

愛宕「うん」

明石「本来使えるスペースの半分くらい色々と細工してるんですよ」

愛宕「あー、通りで妙に狭いと思ってたわ」

明石「…………だからヤっても問題無いですよ? 」

愛宕「そ。……聞いてないわよね? 」

明石「そりゃあ……聞きたくもないですって」




< だからこそ、本当に信頼できる存在が >






明石「まぁ、結局殿下が提督の味方だからなんとか誤魔化したりできるわけなんですけどね」

愛宕「その庇護と贔屓が無くなれば大変ね」

明石「……たぶん、というか今の年齢を考えれば殿下の方が寿命は早いですよね」

愛宕「……そうね」

高雄「しかしそもそも殿下は味方ではなく敵ではない、というレベルよ。
横須賀での争いで負けたとき、面倒を省略する代わり彼らの狗になったんだから」

明石「それでも、暫定的な味方ではあります」

高雄「……」

明石「横須賀内部にも、呉にも、佐世保にもいくらでも依怙贔屓の若僧を敵視する人はいるだけです、それ以上を考えるのは提督の仕事ですよ」



< だからそンだけってことだよ >






海風「昼寝すると変な夢見る気がする」

江風「ンー? 」

海風「……我ながら酷い」

江風「姉貴がそう言うってどンだけだよ……」


< 結構法律違反っていう事実は精神に影響するものだと思う >






『えー、速報です。我が国では来年度から婚姻制度に大幅な変更が加えられるとのことです。
具体的には婚姻可能年齢の部分的引き下げ、重婚、多妻、多夫などで、双方の同意があれば保護者等の同意が無くとも十ーー』






海風『はぁぁぁぁぁぁぁぁ……? 』

海風『…………』

海風『…………』

海風『…………』

海風『…………』

海風『…………馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿…………ばか』



< そりゃこうなる >






江風「うわぁ……それは拗らせ過ぎだろさすがに」

海風「こいつ何言ってんだ、みたいな顔しなくても」

江風「こいつ何言ってンだ」

海風「言うのも駄目だよ。……ばか」



< 今夜はあなたと >






提督「今日の酒は……フォアローゼスブラックダブルロック二つ」

あきつ丸「手慣れている」

提督「そりゃあ馴染みだしな。……つーか俺二次会の帰りなんだけど」

あきつ丸「自分がいる店に入ったのは提督殿では」

提督「……俺の行動範囲どれだけ調べたんだよ」

あきつ丸「高雄たちよりは知っているでしょうな……フ-」



< ウィークポイント、あるいはそう>






あきつ丸「ま、自分は提督殿の隣にいさせてほしい、なんて言いませんから」

提督「言われても困る。右も左も埋まってるし」

あきつ丸「……普通は片方だけなわけでありますが」

提督「……」

あきつ丸「……責めますまい、自分のような化け物の日陰者と対等に接していただけるだけで、惚れるには十分ですから」


< あるいは >






あきつ丸「隣にいてくれるだけでは許されない。
愛も見返りも欲しがる欲張りに好かれるのはどんな」

提督「結構楽しいさ、他に何もいらないくらいには」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「…………あなたと、一番最初に出会っていれば」


< るいとも、もしくは同族嫌悪 >






あきつ丸「……それにしても理想主義者、ですな」

提督「個人的には理想主義的リアリストだと思ってるんだが」

あきつ丸「何の違いが」

提督「理想には溺れない、それだけだ。もしくは諦めているとも言える」

あきつ丸「……だからこそ、自分と合うのでありましょうか」



< しかしそれだからこそ、踏み込むには >






提督「はーん? ……寝るかい? どうせ撒ける」

あきつ丸「自分は……あなたを拒めません、断われない」

提督「……場末のラブホでいいのかよ」

あきつ丸「自宅であろうがシティホテルであろうがモーテル擬きであろうが、今更想いは変わりませんよ」

提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……お前の立場は悪くなるが」

あきつ丸「……提督殿程、いや__さん程は変わりません、理想主義的リアリストですから」


< 彷徨えるオラン……暗さ……一般人 >






提督「……ダーツでも行くか」

あきつ丸「構いませんが……未経験ですよ」

提督「狙って撃つのは得意だろう? 」

あきつ丸「…………自分は両手で撃ちますよ、片手ではない」

提督「確実に殺す為か」

あきつ丸「そう、と言えればいいのですが」

提督「あ? 」

あきつ丸「……震える、人を殺すのは、とても、怖い」

提督「…………そうか」

あきつ丸「ええ。…………提督殿を殺すときは、楽には死ねないでありましょうなぁ」


内容で設定を理解できないのはひとえに私の能力不足ですね……
かといって全て説明するのも、と思いますが
精進致します


ありがとうございました


< 前に進むことが絶対に正しいとは >






高雄「今頃お母様のお料理でも食べているのかしら」

愛宕「お料理が趣味ってのも中々女子力というか嫁力というか母親力高いわよねぇ」

高雄「いつかお会いできればいいのだけれど」

愛宕「なるようになるわよ。私は正直このままでもいいわ」

高雄「それは…………ま、ある意味進展しないことが幸せなのかもしれないのよね」


< 言うからといって本心だとは >






愛宕「それより実は女と会ってたりして」

高雄「まぁ……友人の中に女性がいてもおかしくはないわね」

愛宕「それが普通の友達かどうかは分からないじゃない? 」

高雄「……元カノ? 」

愛宕「あるいは、そうね、そんな感じ」

高雄「……構わないわ、私に暴露ないようにしていただければ」

愛宕「諦観どころじゃ……まぁ、あの人も同じこと言いそうだけど」


< なんらの疑問も持たず >






加賀「何も南京錠なんて付けなくても言ってくれれば勝手には飲まないのに」

明石「や、そもそも言わなくても普通は勝手に蔵酒を飲んだりしませんが」

加賀「あれば飲む、飲むならいい酒、当たり前のことよ」

天城「まったくです」

明石「……加賀さんたちが南京錠壊してまで飲むような人じゃなくてよかったですよ」


< 真顔で >






加賀「それは嫌われるどころの話じゃないじゃない」

天城「そうですね。お酒より、大事なことです」

明石「…………」


< 別に嫌いでもないけれど >






愛宕『んー? まぁ、ラヴストーリーなんて現在進行系で主役だし観なくてもいいわぁ』






明石「ってことはSFとかミリタリー系とか軍内のゴタゴタが出てくる社会派とかも観なくてもいいんですかね」

雲龍「あとは官能系も」

明石「うーん、じゃあ日常モノとかも? 」

漣「や、それはあれでしょ、今の自分と違った日常がー、みたいな」

明石「ですかね」

漣「というか……日常モノが本当に日常しか取り扱わなかったら売れないですよ、たぶん」


< 己と友と他人とその他と >






山城「珍しく、あれと話していたわね」

龍田「んー? 別にあの大佐さんのことは嫌いじゃないしお話くらいするわよぉ? 」

山城「普段は適当に受け流して喋らせてるだけじゃない。……何かあったの? 」

龍田「別に。気まぐれ? 」

山城「そ。……まぁ、興味も無いけど」

龍田「えー、ちょーっと冷たくない? 」

山城「いつものこと……というかそれをいつも彼にしてるのよ、あなた」


< 無いモノは壊せないけれど >






山城「……程よく加減して、嫌味に取られないように承認欲求を満たしてあげる」

龍田「……」

山城「時々身体を寄せたりして色仕掛け擬きなこともする、効果的よね」

龍田「……」

山城「しかも……それが懸想している相手ならなおのこと」

龍田「……何が言いたいの? 」

山城「別に。相変わらず性格が悪いって言いたいだけよ」

龍田「……コネクションはどれだけあっても困らないでしょう? 」

山城「あなた自身が認めるところの籠の鳥状態で、
しかもあなた自身に出る気が無いのにそんなものが何の役に立つの? 」

龍田「…………“ 私とコネクションがある ”という状況をつくってあげるのって面白いと思わない? 」

山城「…………」

龍田「私、意味も無く弄んだりはしてないのよ? 一応意味はあるの」

山城「そう…………どちらにせよ、可哀想に」


< すげなくされるよりはいっそ >






龍田「……まぁ、でも? これくらい女ならできて当然やって当たり前のことよ」

山城「その程度でも気に入らない相手と、それも男と話すなんて嫌だけれど」

龍田「世の中いい男は少ないけど都合のいい男は沢山いるのよ? 上手く使いなさい」

山城「……私が言うのもなんだけれど女って酷いのね。女に生まれてよかったわ」

龍田「何言ってるのよ。いい女なんて滅茶苦茶いい男より少ないわよ? より日常が楽しくないかもってことじゃない」

山城「生憎姉さま一人で十分満足してるのよ。……結局上手く敵対してくれる分女の方が楽な気がするわ」


ありがとうございました


< できないことを知っているから >







提督「帰りもお前とか」

あきつ丸「殿下の下命ですから」

提督「……狗同士、傷でも舐め合うかい? 」

あきつ丸「……構いませんが、自分は」



< 本音ではないという分かりやすい嘘を言うという本音 >






あきつ丸「……結構な人数が伊国に派遣されるそうであります」

提督「はーん? 」

あきつ丸「サルディニア周辺の奪還作戦に派遣されるとか」

提督「そりゃあご苦労様です」

あきつ丸「極東にあるいけ好かない同盟国の援助を頼み込んでまで行うのです。
当然国外にいる自前戦力も手元に戻そうとするでしょうなぁ」

提督「だろうな」

あきつ丸「……何も思わないのでありますか? 」

提督「精々使えそうな札用意してやるくらいしかできないからな、慌てても仕方無い」

あきつ丸「……その札をおしえては」

提督「いただけませんね。……こっちに堕ちてくる覚悟、あるのか? 」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「…………分かりやすい本音、時々は言ってみてほしいでありますね」



< 本当に暇なときってさ、うん >






愛宕「んー……ウインク、できる? 」

高雄「ん」

愛宕「反対は? 」

高雄「ん。……あなたは? 」

愛宕「ん、ん」

高雄「……それで? 」

愛宕「これだけ」

高雄「…………」



< 例の猫と >






雲龍「……よく食べるわね」

明石「お腹空いてたんでしょうか」

雲龍「さぁ。……でも野良だもの、その方が多いでしょう? 」

明石「私たち、軍籍持ちには分からないですねぇ」

雲龍「狗の猫と普通の仔猫、ね」

明石「……どちらが幸せなんでしょうか」

雲龍「私とこの子なら私だけれど軍籍持ちの人形とこの子ならこの子ね」

明石「なるほど。…………愚問でしたね」


< 誉め殺しっぽい何か >






加賀「何故あの澄ました仔猫は私にだけ懐かないのかしら」

雲龍「同族嫌悪とか」

加賀「同族……? 」

雲龍「野良の割に艶のある真黒毛、綺麗な黄色い瞳、野生で鍛えられた優美さ」

加賀「殆ど私と似てないわねその特徴」

雲龍「そうですね」

加賀「……あなた」

雲龍「でも、分かりますよね? 」

加賀「…………」


< 刃物よりも使う者の良心云々 >






明石「や、まぁあの指輪なんてお金と資源さえあればつくれるんですよ、本当は」

愛宕「ふーん? それでも大量生産されないってことは適合者が少ないとか? 」

明石「いえ。……あれの発動条件、その一は? 」

愛宕「仮に二つの当該兵装を雌雄とした場合両者を装備した者同士の絆、とも呼べるべき強い繋がりがあること」

明石「正解です」

愛宕「そんなに絆を持ってる、というか人間の上官を好きになる子はやっぱり少ないんじゃないの? 」

明石「もちろん少ないでしょうね。……まぁ、それよりも」

愛宕「ええ」

明石「好かれる存在って決まってるんですよ、あの人は極端だとしても」

愛宕「ふーん」

明石「……たとえば提督だとか横須賀の君だとか、呉の大将だとか。
そういう人たちに戦力が偏るとどうなると思います? 」

愛宕「……なるほど」


< 愛、愛ってなんだろう >






愛宕「ということはその人たちが死んだとき使いにくい兵器が残るってことなのね? 帝都にしてみれば」

明石「そうですね。……それともう一つ」

愛宕「何? 」

明石「あれを装備した者の片方が死んでもそれの効果が永続的なものなのか、他者が装備しても使えるのか、その辺も不明です」

愛宕「…………私は使えると思うわ」

明石「何故ですか? 本当なら喜ぶ人間は多くいますが」

愛宕「それ程の執心を持てる化け物だからこそ、その受け皿は常に必要なのよ」

明石「はぁ」

愛宕「無根拠だけど所詮クスリや洗脳でねじ伏せられるような脆い精神なんてどうとでもなるわ」

明石「分かるような分からないような」

愛宕「いいのよそれで。ただ…………使いたいと思う子がいるかは疑問だけど。それが分かっているだけにね」




< 我が家から我が家へ >






高雄「おかえりなさい」

愛宕「おっかえりー、お土産は? 」

提督「明日くらいに郵送されてくるだろ。……ただいま」

高雄「そんなに? 」

提督「一抱えで足りねぇだろうが。……つーか全員で出迎えられてもな」

高雄「自覚を強く持てるでしょう? 」

提督「本気で言ってんのか? 」

高雄「それこそ本気で言ってるんですか? 」

提督「…………いや」

高雄「はい。……あなただから、こうなんですよ」


< 至極真っ当な反応を >






提督「ふぅ……休んだ休んだ」

叢雲「本当に? 」

提督「本当本当。お前らの相手するのより疲れることなんてそうそう無ぇよ」

叢雲「そうそう……あるのね? 」

提督「そりゃあ俺は一人だからな。……親には言っておいたぞ、養女ができるって」

叢雲「そ。……どうだった? 」

提督「まぁ、最終的には喜んでたよ、孫ができたって」

叢雲「最終的? 」

提督「…………まぁ、俺さ、女には困ったことないんだけど」

叢雲「ええ」

提督「そんな一人息子が彼女より先に成人前の女の子引き取るなんて言えば、な」


< 二度、三度と会える容姿だろうか >






叢雲「……何歳って言ったのよ」

提督「十五」

叢雲「……戸籍上私って十五なのね」

提督「妥当だろう? 」

叢雲「まぁ……そうかしら」

提督「それともあれか? 俺より歳上で言えと? 」

叢雲「ばーか。……いつか、会わせなさいよね、あんたが生きているときに」

提督「当然。……………………当然努力くらいはするさ」


ありがとうございました


< 秋風に当たると割と辛い季節に >







提督「喉痛い」

愛宕「風邪? 」

提督「札幌か飛行機でもらってきたかなこれ」

愛宕「喉が疼くってやつ? 」

提督「邪気喉とか斬新だなおい。……風邪薬くれ」

愛宕「はーい……これ効くの? 」

提督「カフェイン剤か? まぁ、一応な。舌下で溶かせばそこそこは」

愛宕「そ、こんなの買った? 」

提督「や、なんか疲れそうですねって横須賀で能代がくれた、使ってねぇけど」

愛宕「…………もしかして私たちの所為? 」




< 相手が友人だと思ってるかは、さて >






愛宕「でもまぁ、バッドトリップだったのね」

提督「クスリみたいな言い方するなよ。そもそも結構楽しかったし」

愛宕「女の子と会ってたりしたってこと? 」

提督「……」

愛宕「……え? 」

提督「……友達だぞ? たぶんきっと」


< ごちそうさまでしたっ >






江風「ふぅ……食った食った」

天城「今日は愛宕さんでしたし穏やかな味でしたね。天城はこちらの方が好みです」

江風「江風は美味ければ何でもいいンだけどな。
……なンで高雄さンが洒落た感じで愛宕さンが庶民派なンだろう」

天城「さぁ? あれで好きなものが鰹のたたきだだったり結構そんな感じはしますけれど」

江風「おっさんかよ……初めて知ったわ」


< コンプってどうしようもないんだよね >






Littorio「提督の好みが判然としないので舵を取っただけらしいですよ」

江風「はーン? 」

Littorio「お料理が上手すぎるのも考えものですね」






江風「……あれって嫌味だったのかなぁ」

天城「……それはさすがに穿ち過ぎでは」


< 姉(し)に至る病 >






龍田「私と天龍ちゃんじゃあ子供はつくれないのよねぇ~ 」

山城「当たり前じゃない、馬鹿なの? 」

龍田「あなたと扶桑もそうなのよ? 」

山城「子供なんかいなくても姉さまだけで私は幸せよ」

龍田「でも扶桑の子供、見てみたくない? 線の細い、か弱気な、それでいて健気で芯の強い、可愛い子よ? 」

山城「……………………」

龍田「……そこまで葛藤されても困るんだけどぉ? ねぇ、あなたそこまでなの? 嘘でしょ……? 」




< 大体ネタ >






山城「そ、それなら言うけれど」

龍田「ええ」

山城「あなた天龍が彼氏連れてきて平静でいられるの? どれだけクズでも天龍が連れてきた男なのよ? 」

龍田「私が天龍ちゃんを愛してるのと天龍ちゃんが彼氏を愛するのは別でしょう? 」

山城「……あ、あなたはなんだかんだ仲間だと思っていたのにっ、これは裏切りよ」

龍田「えぇ……」


< >





雲龍「なるならどんな妖怪になりますか? 」

加賀「突然ね。……既に妖怪染みた存在だと思うけれど」

雲龍「それ以外ってことで」

加賀「……吸血鬼だと昼間から外で飲むお酒が飲めなくなるわね」

雲龍「そうですね」

加賀「雪女も熱燗くらいしか楽しめそうもないし」

天城「むしろ熱燗こそ楽しめないのでは。……嫌ですね」

瑞穂「……たまにはお酒から離れましょうよ」


< 同性が壁にならないのはそれはそれで悲劇かもしれない >






山城「男男男……どいつもこいつも無いものねだりばかりね」

若葉「ホモに走るのがかなり少ないということはそういうことだろう」

山城「は? 」

若葉「見ているだけで渇きは癒されない。せめて女に逃げるということは、な」

山城「……男なんていなくてもいいってことじゃないの? 」

若葉「仮の話だが、扶桑よりいい男がいてアプローチをしないのか? 扶桑よりいい男がいない、というのは無しで」

山城「……」

若葉「若葉は耐えられないよ。好きな相手に自分を認めさせられないのは」

山城「…………あなた、大人過ぎるわ」



< ジャンプもよく分からなくなってきたし……>






江風「ンー……何観る? 」

海風「提督のコレクションで観てないのも少なくなってきたね」

江風「そろそろストリーミング系放送にでも登録するかなぁ」

海風「Netなんとかってやつ? 」

江風「他にもあるけどさ。……スポーツ少なくなる時期だし」

海風「冬もスポーツはあるよ? CSでもいいんじゃないの? 」

江風「冬は採点競技多いしなぁ……あンまああいうの好きじゃないンだよ」


< 遅行毒 >






雲龍「姉妹レズってあるじゃない」

天城「は、はぁ」

雲龍「あれは姉妹丼って言えるのかしら」

天城「丼かもしれませんけれど丼は誰かが食べないと生ゴミになりますよ」

雲龍「食べる、なんて卑猥ね」

天城「そう思うのは姉様くらいです」

雲龍「……本当に? 」

天城「……実はちょっとだけ」


< 今も、これからも、でき得るのなら過去だって >






高雄「全て……欲しいのです」

提督「……俺は高雄のものだよ」

高雄「そして愛宕や他の人のものでもある」

提督「…………こんなとき、キスで誤魔化せたらな」

高雄「誤魔化してください……他のこと、考えられなくなるくらいに」



ありがとうございました


< 悪気は無い >






江風「体育の日、つまりキャッチボールだ」

提督「え? アイメイトの日? 」

江風「体育の日」

提督「マグロの日? 」

江風「た・い・い・くの日」

提督「んー? 肉団子の日? 」

江風「……そンなにやりたくねぇのかよ」

提督「や、冗談冗談。……グローブ持ってんの? 」

江風「この為に買った」

提督「あ、そう……なんか、悪かったな」



< あとユニが >






愛宕「これが普通の親子の休日なのねぇ~ 」

高雄「父娘だけれど……まぁ、増えているのかしらね」

愛宕「子供にさせたいスポーツは? 」

高雄「ん……水泳ね。全身運動だし男女どちらでもできるし」

愛宕「なるほど? 私はテニスね」

高雄「どうして? 」

愛宕「男女どちらでもいいのもあるし、基本的に身体ぶつけ合うこと無いじゃない? 」

高雄「確かに。テニスもいいわね」

明石「……母親の井戸端会議ですかこれは」


< 嫌よ嫌よは本当に嫌な場合の方が >






雲龍「走るのは全部嫌。疲れるし胸痛いし」

天城「走らないなら……あー、カーリングとか? 」

雲龍「あれはあれで体幹だとかは必要だから走り込みはあるのよ」

天城「……つまりスポーツ全般嫌なんですね」

雲龍「昼寝とかならいいわ、いくらでもしてあげる」


< 当然でしょう? >






提督「大体どんなスポーツでもユニとかってエロいと思うんだよな」

雲龍「好きなのは? 」

提督「バレーかな、やっぱ」

雲龍「へぇ……妥当ね、つまらないけれど」

提督「じゃあ言うけどお前カバディとかチャンバラとか言われたらどうするつもりなんだよ」

雲龍「つまらないって言うわ」

提督「……」


ありがとうございました


< 今更 >






雲龍「そういえば夜の運動会なんて話をするの忘れていたわね」

提督「そのまま永遠に忘れてろよド淫乱」

雲龍「子供ができないって分かってるからこそよ? 分かっていれば避妊くらいするわ」

提督「どっちにしろヤるのかよ」

雲龍「当たり前じゃない、生き甲斐だもの」

瑞穂「えぇ……少し、はしたないと思うのですが」

提督「……お前の生き甲斐それでいいのかよ」


< だって、男の子だもん >






提督「つーか十月十日って字面だけならとつきとおかの方が」

雲龍「ボテ腹プレイ……無理よ」

提督「興味も無ぇよ」

雲龍「本当に? 」

提督「本当に」

雲龍「実は? 」

提督「本当だってば」

雲龍「……しかして実際は? 」

提督「……ちょっとだけ」


< 何をもって普通というかは、さて >






明石「うわぁ……」

提督「マジ引きするんじゃねぇよ。純粋な好奇心ってやつだから」

明石「純粋に引いてるんですよ、この頭が淫水で腐りきった外道に」

提督「エッジ効き過ぎだろう……マジ? 」

明石「マジです」

提督「……女の子ってボテ腹に興味無いの? 一ミリも? 」

明石「はい」

提督「本当に? 」

明石「ええ。……雲龍さん基準とか全世界の女に謝れって感じですよ、ガチで」


< 相容れぬ >






雲龍「そこまで言わなくても……探究心の塊みたいな感じのくせに」

明石「……ま、まぁ? 精神的に絶対無理なのが寝取られ寝取らせだとしたら物理的に不可能なのが妊娠後ですもんね」

雲龍「よく考えてみると安心安全に欠損だとかができるのね」

提督「俺の精神が安心安全じゃないんだが」

雲龍「治るわよ? 」

提督「治ればいいなら艤装でも壊しとけよマゾ女」

明石「まったくです」

雲龍「……? 」


< やるのなら >






加賀「そもそもスポーツの話で弓が出てこない時点で駄目ね」

天城「駄目ですか」

加賀「ええ、駄目よ」

天城「でもちいさい頃からなんて家元だったりしないと中々」

加賀「お金くらいいくらでもあるでしょう? 」

天城「それはまぁ」

加賀「大体北海道なんて土地だらけなんだからなんとかなるわよ」






愛宕「……あくまでこう、井戸端的な話よね? 」

高雄「ええ。というか色々と喧嘩を売り過ぎなような……いつも通りですけれど」





< 叢雲の槍 >






叢雲「槍? 」

提督「おう、槍だよ槍。お前あれどこやったんだ? 」

叢雲「あるわよ? 」

提督「部屋に? 」

叢雲「艤装みたいなものだしいつでも出せんのよ、ほら」

提督「ほあ……マジかよそんなの駆逐艦に装備されてたわけ? 」

叢雲「されてないでしょ。……これ明石もよく分からないって言ってたのよね。
憑座の問題なのか集合的無意識の問題なのか知らないけど」

提督「へぇ……触っていい? 」

叢雲「いいけど」

提督「おおう、重い……切っ先とかマジヤベぇ、ほーう」






漣「……なにこれ? 」

提督「おおう……叩いても投げても大丈夫とか…………なるほど」

叢雲「……そういやあんた刃物マニアだったわね、ミスったわ」




< 知名度勝負だと強い人たち >






加賀「あなたの名前、読み難いわ」

江風「えぇ……今更かよ」

加賀「地名ではなくて自然現象にしろ熟語にしろ知名度が抜群に低いって逆に凄いと思うの」

江風「なンなンですか虐めですか加賀さーン」

加賀「まさか。……ねぇ? 」

天城「ま、まぁ」

瑞穂「はい」

海風「そ、そうですね」



< 言い難いけれど割と得意なもの >






愛宕「はいはーい、私ピッキングできまーす。怪盗でーす」

高雄「投げナイフなら」

明石「正直艤装に誤作動起こすくらいなら余裕ですね」

提督「予算の誤魔……簿記、簿記得意だぞ、俺」






瑞穂「……特技披露大会かと思えば、これは」



< 喜怒哀楽 >






雲龍「ってあれでしょう? 喜悦、怒張、哀願、楽欲」

提督「前三つが酷過ぎる」

雲龍「? 」

叢雲「というかそのスカスカなピンク頭でよく知ってたわね、楽欲なんて」

提督「……ぎょうよくって何だ? 」

叢雲「仏教用語で言うところの願い求めることそのもの、ね。徒然草とかにも載ってるわ」

提督「お、おう……」

雲龍「つまり欲望でしょう? 包んでも大して変わらないわ」

叢雲「ええ。……でも楽欲っていえば実際はーー」






提督「……叢雲の前で不用意に変なこと言うんじゃねぇよ馬鹿」

雲龍「迂闊だったわ。……でもあんなこと予想できる? 普通」


< 鬼気迫る >






愛宕「今日はお鍋でーす。入れたい食材がある人は早めに持ってきてくださーい」






提督「入れたい食材ねぇ……赤色二号でも入れてみるか」

明石「食紅じゃないですかそれ……アマランスとか危険性指摘されてるやつですよそれ」

加賀「やめなさい」

明石「まぁ、身体的に問題無いとは言えいい気分は」

加賀「しないとは言わないけれど、それ、具じゃないわ」

提督「……ジョークなんだけど」



ありがとうございました


< 、という目覚まし >







高雄「朝ですよ」

提督「ん…………」

高雄「今日の朝食は天城さんと海風さんです」

提督「そうか……眠い」

高雄「目の覚めることでも言いましょうか? 」

提督「おう頼む」

高雄「その……」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………? 」

高雄「…………さすがに嘘で言うのは酷いと思ったので、言えません」

提督「ほぁぁぁ? 」


< 誰が食べるのかは、さて >






海風「もう今さらですけど一々量がおかしいですよね。一応朝食なのに」

天城「まぁ、このポテトサラダ一つとってもお皿で見ると引くのは確かです」

海風「仕出し屋さんでもここまで、というかこの量は普通機械ですよね」

天城「ええ、おそらくは」

海風「……」

天城「……」

海風「……つくるときの総量なら兎も角よくこれを一人で食べますね」


<割とガチで >






雲龍「エプロンとポニーとか、そそられないの? 」

提督「んー? そりゃあ男でその組み合わせ嫌いなやつとかいないんじゃねぇの。俺も好きだよ」

雲龍「それは知ってるわ。……あれ」

提督「……海風、ね」

雲龍「惹かれないの? 」

提督「…………あんな娘、欲しいな」

雲龍「そう。…………その頑なさで、酷いことにならないといいわね」


< 朝餐はゆっくり静かに >






加賀「…………」

江風「あ、醤油くれ」

雲龍「……ん」

江風「あっ、箸」

天城「どうぞ」

江風「さンきゅー。……そーいやさーー」






明石「……誰か喋ってあげればいいのに」


< 学芸会だか学習発表会だか >






提督「んー……まぁ、色々とやったかな」

Littorio「たとえば? 」

提督「西遊記とか。オリジナルだとSFも江戸時代もやったな」

Littorio「なるほど」

提督「江戸時代のやつだと主役級だったんだぞ、西遊記は音響だったけど」

Littorio「あなたらしいですね、両極端で」

提督「俺らしい? 」

Littorio「はい。……やりたいことしかやらないあたりが」



< いつでも相手をするとは >






提督「あー、あとそうだ、ピノッキオもやったぞ。端役だったけど」

Littorio「へぇ……それ

雲龍「鼻の代わりにどこが伸びたのかしらね」

提督「……」

Littorio「……」

提督「……ピノッキオ、演ったんだよ」

Littorio「……見たかったですね、はい」


< 不用意な >






愛宕「囲われ夫というかなんというか」

高雄「これ以上囲いが増えないことを祈りたいものね」

漣「間違いなくフラグですねー」

愛宕「……」

高雄「……」

漣「…………あぁ、これがリアルなハイライトさん休業ってやつですか、ふっつーに怖いんですけど」


< まぁ、つまり >






漣「ほ、ほら、ご主人様も言ってるじゃないですか! 女の武器は笑顔だって。笑いましょう? ね? 」

Littorio「でもあれって笑顔だと安売りにならないってことだけにも聞こえますよね」

漣「あぁ、コスト低い通常技みたいな? 」

Littorio「それが強力なのですけれどね」

漣「うーん……」

Littorio「……ま、泣いて落とせる程度の男なら笑顔で落とせますし、笑顔で落とせない男だって笑顔は好きなものなのですが」


< 気付くと新たなものが始まってしまう気がして >






鈴谷「へぇ~ 、着床率ってそんなに高くないんだ」

龍田「らしいわねぇ~ 」

山城「……どうして食堂の席ここしか空いてないのかしら」

扶桑「あっちもあるわよ? GZとBismarckのところ」

山城「二人分空いてないですから。……そもそもあの金髪ゲルマンはあまり好きでは」

鈴谷「ん? なに呼んじゃう? 」

山城「やめなさい、お昼が不味くなるわ」






若葉「そもそも山城が来ると思って皆空けているだろう、あれは」

時雨「ははは……山城も気付いてると思うんだけどね」


< それはきっとどちらも間違っては >






提督「今日は獺祭で」

天城「獺祭書屋主人が由来なんですってね」

提督「正岡子規だよな。……随筆にもそのものずばり『酒』ってのがあった気がするが」

天城「あなたとはまた違ったクズだと思います、偉人に対して失礼かもしれませんが」

提督「人間大体クズみたいなものさ。……彼は日本酒より洋酒の方が好みだったみたいだが」

天城「だからこそ、彼の名前をとった意味があるのかもしれません」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………飲み過ぎだ」

天城「あなたがいるから……ええ、クズに絆されたのか、安心できるからかは分かりませんけれどね」


< 嘘っぽい嘘 >






江風「宝クジ当たった」

高雄「実は古傷が治らなくて痛みます」

加賀「お酒、実はよく分からないの」

海風「江風のベッド下、カメラがあるんですよ」

瑞穂「提督と寝まし……瑞穂としては嘘っぽい嘘なのですけれど」


< 生命の水のその後は >






天城「こぉんないいお酒で酔えるなら……はぁ、なんでも、しちゃいますよぉ」

提督「……なんでも? 」

天城「なーんでも」

提督「…………じゃあ、寝よう。もう遅い」

天城「はぁ…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………おい」

天城「待って。……………………少しだけ、このまま」


< 酔いに任せてしまう夜があっても >






天城「あなたが……いけないんですよ、踏み込んではいけないところまで来てしまうから」

提督「……悪いな」

天城「本当……最低です」

提督「……ん」

天城「……運んでください、天城の部屋まで」

提督「仰せのままに」



< あなたと二人なら >






天城「んっ……ぁ」

提督「……男にしなだれ掛かって腰揺らす女だったかな、天城って」

天城「……あなた、だけなら、そうです」

提督「いつから? 」

天城「無粋な。…………ふふ、お酒臭い」

提督「お前もだろうが。…………どうしてほしい? 」

天城「どうしましょう? 」

提督「俺が訊い……はぁ」

天城「帯が、苦しい、ような……はい」

提督「いい夢見て終われそうなのに…………ま、夢なんて起きてても見られるものだけど、さ」


ありがとうございました


< ぐっもーにん太陽 >






天城「あぁ…………頭痛い」

提督「俺は肩口が痛いけどな。……おはよう」

天城「おはよう、ございます」

提督「……コーヒーでいいよな? 」

天城「ええ。……シャワー浴びてきます」

提督「ついていこうか? 」

天城「いえ……余計頭が痛くなりそうなので。コーヒーお願いしますね」



< ニコニコと >






加賀「…………ッ」

Littorio「おお……当たるものですね」

加賀「…………当てるだけが目的ではないのだけれど」

Littorio「当たらないにこしたことはないでしょう? 」

加賀「そうね。…………やってみる? 」

Littorio「今は遠慮しておきます。見ている方が楽しいので」

加賀「そう、残念ね。…………楽しい? 」

Littorio「かなり」


< 通常運転 >






龍田「大体あれよね、あなた心理防壁が高過ぎるのよ」

山城「どの口が言うのかしらね」

龍田「この口だけど? 触ってみる? 」

山城「いいわよ。ちょっと待ちなさい」

龍田「靴脱ごうとするなんて何なのかしらぁ~ 。触るなら唇以外認めないけど? 」

山城「……チッ」

龍田「もうっ、やめてよね。どうせなら私の靴にキスしてよ」

GZ「…………この国のやつらは一体どうなっているんだ」


< それでも割と許してしまえそうな自分が >






雲龍「ん……Zzz」

明石「……勝手に入ってきて最後まで寝るって」

瑞穂「まぁ、明石さんなら邪険にしないと思ったんでしょう」

明石「そりゃあできませんけどね……私のベッドそんなに広くないのに」

瑞穂「昨日は天城さんだったんですね」

明石「部屋が大丈夫なのに私のとこ来始めたら江風さんに弟子入りでもしますよ」

瑞穂「まぁ、この人に限ってそれは無いでしょうけど……でも単に範囲が広がるだけなら可能性としては」

明石「やめてください、いや本当マジで」


< 割とそういうとこある >







明石「あれ、でも待ってくださいよ。私の ちゃんと鍵閉めましたよ? 」

瑞穂「ノックされたので瑞穂が迎えておきました」

明石「それで私のベッドに入るところまで見ていた? 」

瑞穂「ええ、何か問題でも? 」

明石「えぇ……」


< おかえりも言えればどんなにか >






提督「ふぁ……ねっむ」

天城「寝ていてもよかったのに」

提督「一応高級将校なものでしてね、そのうち昼寝で取り戻すさ」

天城「お身体には気を付けてくださいね」

提督「それなら今度は肩噛む力少しだけ優しくしてくれると助かるよ」

天城「……安心するんです」

提督「それはまぁ……うん、分からないでもないけど」

天城「……」

提督「……」

天城「……」

提督「……」

天城「……いつの日からか、この髪もあなたの為だけに手入れをするようになりました」

提督「…………」

天城「あなたが怖い、あなたの全てが、どんな行動だって怖いのです」

提督「…………」

天城「…………いってらっしゃい、あなた」

提督「…………ん」


< 最近早朝は寒さが身に堪える >






あきつ丸「相変わらず、疲れた顔をしている」

提督「お前と会うからかもな」

あきつ丸「それはそれは」

提督「……まぁ、女の子の我儘聞くのは男の仕事だし」

あきつ丸「部下の面倒を見るのが上官の仕事、なのでは? 」

提督「……少なくとも女の子のメンタルの為に抱いたことは無ぇよ」

あきつ丸「冗談です。…………半分くらいは」


< 結局行き当たりばったりとも言う >






提督「“ 老いが恋愛を妨げるのではなく、恋愛が老いを妨げるのです ”」

あきつ丸「……それで? 」

提督「ココ・シャネルなんだけどな。……ま、そういうことだ」

あきつ丸「ふん……それではまるで女の数だけ生命力を吸い取っているようでありますね」

提督「かもな。逆に俺も取られてる気がするけど」

あきつ丸「……共依存の末路は悲惨でありますよ」

提督「普通の人間の話だろう? それ」

あきつ丸「…………被害も普通の人間より大きいでありましょう、きっと」

提督「そのときはそのとき。……だって俺楽観的な悲観主義者だし」



< 涙の数だけ強くなれるよ♪ >






雲龍「と、言われても困るわよね。泣きたくなんてないし別に強くなろうとも思ってないし」

瑞穂「強くなれれば提督の為になると思いますけれど」

雲龍「駄目よ、強くなり過ぎるとここにはいられなくなるもの」

瑞穂「……加賀さんは? 」

雲龍「あの人は最初からあれだし……政治力ってやつでしょう」

瑞穂「提督なら雲龍さんにも全力を出してくれると思いますけれど」

雲龍「…………そうだと、いいのだけれどね」



< お約束 >







雲龍「あ、でも啼かされるならいくらで

瑞穂「瑞穂が泣かせて差し上げましょうか? 」


< きっと光が眩し過ぎて盲目になるんだ >






加賀「そもそも瑞穂ですら一般女性の常識からは逸脱してるのよね」

漣「というかご主人様から完全に離れてる分漣が一番常識人かもしれませんねー」

加賀「そんなこと……そんなことあるような気がしてきたわ」

漣「最初から男性として見ていない漣とギリギリ江風がその意味では盲目ではないですよー」

加賀「瑞穂は興味があるからこそあれだものね」

雲龍「最初の頃の天城を見せてあげたいわ」

瑞穂「……瑞穂にどうしろと」



< 六条のなんとかさんも割と好き >






叢雲「娘、ということは」

提督「うん? 」

叢雲「源氏物語でいうところの紫の上みたいなものかしらね」

提督「いやいやいや……違うから」

叢雲「本当に? その辺信頼できないのは自覚してるでしょ? 」

提督「……つーかあれだから、俺は葵の上派だから」

叢雲「最初の正式なパートナー……折り合いつかず……最後に雨降って云々……仕事のゴタゴタ云々……」

提督「やめろ」



ありがとうございました


< 全く辛そうに見えない >






漣「へいへーい、ごちそうさまがぁ、きっこえなーいっ」

加賀「……」

漣「おおう!飲みっぷり最高だねおねーさん、どうだもう一杯」

加賀「貰うわ」

漣「ふぁー! おじさん焼き鳥も付けちゃうよ! 大将なんこつと皮! 」

高雄「はい」

加賀「……」

漣「お? もう空けたのかい、はっやいなー、どれ」

明石「……ツッコミどころが有り過ぎるんですけどとりあえずイッキのコールがこれ程虚しい相手もいませんね」



< 隙を見せる意味 >






漣「……自分も飲も。高雄さん、だし巻き卵一つ」

高雄「はぁ……半分食べてますけど私のでよければ。正直もうつくるのが面倒で」

漣「いいですよ別に。……うーん、美味しい」

高雄「……いきなりテンション元に戻すんですね」

漣「あれ疲れるんですよー、加賀さん飲ませても潰れないし」

加賀「もしあれで潰れたら問題になるわね」

高雄「軍が揉み消せないレベルのアルハラなんて」

漣「さっすが権力側」

加賀「でも安心して。あの人以外には潰されたりしませんから」

高雄「つまり誰にも酒では負けない、と」

漣「ふーん……? なるほどなるほど」


< 別にどうでもいいことだけれど >






明石「さらっと言ってましたけど加賀さんでも潰れたフリする女子力はあるんですね」

瑞穂「それは果たして女子力なんでしょうか」

明石「女子力じゃないです? 」

高雄「認めたくはありませんね」

愛宕「でもまぁ……女子力よねぇ」


< 謎 >






明石「提督の財産ってどうなってるんでしょうね」

漣「さぁ? 相当な高給取りなのは確かですけど」

明石「しかもまぁ……なんていうか記録に残らない命令による報酬もあるんですよ」

漣「あー……漣も手伝わされてたんでしょうね、知らず知らずに」

明石「……なのにですね、少な過ぎるんですよ」

漣「少ない? 」

明石「あの人執務室に通帳置いてあってですね、しかも酔ってひらひらさせて見せてくるんです」

漣「はぁ」

明石「あの人の地元の銀行のでしたけどね。……明らかに少なかったんです」

漣「……お酒だとかカラオケの改装費を念頭に置いても? 」

明石「置いても」

漣「うーん…………隠し子とか? 」

明石「…………割と洒落にならない話ですね、それ」


< 解 >






高雄「違いますよ」

明石「はい? 」

漣「わーお……逃げた方がいい感じですか? 」

高雄「別に。……いえ、場合によっては聞かない方がいいのかもしれませんが」

明石「はぁ」

高雄「…………海外の口座にある程度分けてあるんですよ。
この国のものだけだといざというとき大変ですから、それだけのことです」

漣「」

明石「」




< 静かで熱い夜を >






天城「ただ与えてほしいのです、別に奪いたいわけじゃない」

提督「……うん」

天城「……」

提督「……今日のカクテルはピンクレディ。カクテルワードは“ いつも美しく ”」

天城「……あれて、いますか? 」

提督「この上無く。…………まぁ、これで終わるってのはつまらないと思うけど? 」


< 一年で最も素直になる夜に >






提督「誕生日、おめでとう」

天城「……あなただけです」

提督「誕生日を誕生日と言うのは? 」

天城「進水日ですからね。……そうではなくて」

提督「あん? 」

天城「……祝うことを本当の意味で許せるのは」

提督「……雲龍は? 」

天城「姉様は結局のところ姉妹なのか実感が持てませんから。
本当の意味では天城の魂に刻み込まれた何か、ということかもしれません」

提督「はーん? 」

天城「軽んじているわけではありませんが……きっと、天城はあなたに会うまで姉様を真に姉とは思っていませんでした」

提督「……感謝されてる? 」

天城「もちろん。…………あなたのお陰で、信じる意味を知れましたから」


< 明日、目覚めるときはいつもの自分に >






天城「…………その瞳で見つめられると」

提督「ん? 」

天城「いえ…………はぁ」

提督「…………」

天城「…………もし今が夕方で、ここがバーではなく畳の上で、あなたがただの一般人なら」

提督「だとしたら天城は普通に可愛い大学生ってところか」

天城「それなら、もっと素直になれたでしょうか」

提督「さぁね。……後悔してる? 」

天城「いいえ、少しだけ、恨んでいるだけですよ」

提督「俺を? 」

天城「あなたと、運命と、それから幾つか」

提督「…………幸せ? 」

天城「この上無く」



ありがとうございました


< きっと離してくれないから >






瑞穂「今日もあと半分ですか」

漣「一日が過ぎるの早いですねー」

瑞穂「歳を取った、というかなんというか」

漣「ルーティン的な生活だとそう感じるかもしれませんね」

瑞穂「……弓でも始めてみましょうか」

漣「そのときは一人でお願いしますね、マジで」


< どちらが朱でどちらが赤か >






高雄「十月十六日の誕生色はトパーズ。色言葉は“ 入念 ”、“ 慎重 ”、そして“ 優等生 ”」

愛宕「あれで優等生時代があったなんて信じられないわよねぇ~ 」

高雄「外面だけはいいでしょう、今でも」

愛宕「まぁ、そうなんだけど……立場だとか肩書きが無いときにそこまで慎重になる? というか何かできる? 」

高雄「肩書きが無いということは権力も無いということだものね」

愛宕「ええ」

Littorio「外面がよくても芯が優しくても根はクズなのですよ? 」

高雄「……あぁ、そう考えるとそうね」

愛宕「……私たちと出会ってなければ本当にいい父親いい夫だったのかも」


< 温かな紅茶には少しの刺激がよく合う >






Littorio「簡単なゲームをしましょう」

高雄「……あなたの言うゲームは誰かしらがダメージを負うのよね」

Littorio「そんなことは」

愛宕「そんなことあるのよねぇ……大体あの人だけど」

Littorio「彼自身の問題ですよ。……この紙に彼が一番好きだと思う女性の特質を書いてみてください」

高雄「特質? 」

Littorio「ヘアスタイル、ファッション、体型、声、性格。なんでも構いませんよ」

愛宕「それに何の意味があるの? 」

Littorio「記名方式で、それから自分が一番アドバンテージを持っていると思う特質を書いてはいけません」

高雄「……」

愛宕「……」

Littorio「……」

高雄「……なるほど」

愛宕「……面白そうね」



< 夢の塊に積まれた吉夢 >






提督「たわわチャレンジがチャレンジにならないってのはどうなんだろうな」

天城「まぁ……服を変えれば割とどうとでもなりますしね」

提督「そういう意味じゃないし普通はどうとでもならない」

雲龍「あ、乗ったわよほら」

提督「……誰だこいつにスマホ貸した間抜けは」

漣「はーい」

叢雲「私は漣に持っていかれて……っていうかあんたのも乗ってるわよ」

提督「あ? ……返せ変態牛女」

雲龍「力尽くで取り返してみなさいよ、ね? 」

天城「ね? じゃないです。天城のも返してください」


< 他のものを乗せてるかもね >






漣「……で、結局力尽くで取り返しに行くんだよね」

叢雲「当然でしょ、ある意味」

漣「何故か天城さんも連れて行くのが? 仲間とかいらないでしょ」

叢雲「まぁ……でもよかったわね、あなたは乗らなくて。乗ったらあれの中に入ってたわよ」

漣「……すっごい複雑ぅ」


ありがとうございました


< 宴の代償 >






雲龍「…………Zzz」

提督「はぁ…………くっそ眠い」

天城「……はい」

提督「スマホスマホ…………充電無ぇし」

天城「あれだけ放置していれば……ふぁ」

提督「……つーか何かこれ」

天城「……付いてますね、何か」

雲龍「…………ん……Zzz」

提督「…………濡れ過ぎだろこいつ、っていうか変なとこ入れるんじゃねぇよ」


< それは前提としてね >






提督「そもそもこいつはどんだけ寝るんだよ」

天城「寝られるだけ? 」

提督「……顔に何か書いてやろうか」

天城「どうぞ」

提督「うーん…………こいつが嫌がるのって何だ? 」

天城「顔なら割と何でも嫌がるかと。こんなでも女性ですから、一応」


< 起きた >






雲龍「おはよう」

提督「ん……」

雲龍「……? 」

提督「……どうした? 」

雲龍「…………シャワー浴びてくるわ」

提督「おう」






雲龍「……寝てる間にメイクされてるって喧嘩売ってるのよね? そうよね? 」

天城「へ、変ではありませんよ? 」


< 答えでまた >






提督「ほら、見苦しくないように、みたいな」

雲龍「……本気で傷付くのですが、提督」

提督「冗談冗だ……悪かったから」

雲龍「…………何故? 」

提督「いや……お前が嫌がる落書き思い付かなくて」


< チェス程世界が上手くいくのなら >






高雄「どうも今日は……ん」

Littorio「キレがありませんね。……リザインは早い方が恰好が付きますよ」

高雄「だとしても、よ」

Littorio「それもまた指し方ではありますが……チェック」

高雄「あなたのミスくらい誘ってあげるわ」

Littorio「そう? 」

高雄「……待つのも、辛いのも慣れてますから」


< それっぽい >






『あなた……誰? 』

『お前の力が欲しい、俺と共に来い』

『……この山を降りろと言うの? 』

『お前に世界を見せてやる、こんな山奥で枯れるには惜しい存在だ』

『……そう』

『世界に興味、無いか? 』

『…………あなたにならあるわ、ここで暮らさない? 』







提督「雲龍との出会いはこんな感じだな。それから三日は戦ってた」

雲龍「そうね、中々刺激的だったわ」

提督「しかも尖った岩の先の庵に暮らしてたんだぜこいつ」

雲龍「あれはあれで楽しかったわ、雲も綺麗だし」

漣「んなわけあるかーい! ……仮に仙人だったとしたら雲龍さんもう力なんて使えないでしょうね、絶対」



< 声以外にも聴けるものはあるから >






提督「今日は何も足さない、何も引かない」

愛宕「は? 」

提督「……山崎です」

愛宕「……ウイスキーは聴くもの? 」

提督「それは響……ん」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……女の子の声、聴こえてる? 」

提督「まさか。……聴きたいとは思ってるけどさ」


ありがとうございました


< お互いに、何とも >






漣「当基地一のツンデレこと叢雲ちゃんですが」

瑞穂「はい」

漣「実はあれデレしかなくてツンなんて無いんですっ……! 」

瑞穂「あれで、ですか」

漣「漣や瑞穂さんにはそうですけどー、ご主人様にはデレッデレですよあの子」

瑞穂「……怖いですね」

漣「怖いですよー、あの叢雲ちゃんのデレですからねぇ」







提督「……だそうだが」

叢雲「……だそうだけど? 怖いの? 」


< 問一の答えは問二で使いますので >






加賀「あれは中々高等技術なのよ」

海風「はぁ」

加賀「あなたの場合想いがストレート過ぎて成功しないけれどね」

海風「……」

加賀「何か問題ができたとき、会話を誘導して自分の用意した問題を与え、その解決を導いてしまう」

海風「……元々あった問題は一つ、解決した問題も一つ」

加賀「そう。……あなたもそうされないことね」

海風「…………大丈夫、この気持ちをそんな扱いする人、海風の方から願い下げですから」


< 定期にはしたくないが >






提督「んー……」

高雄「……? 」

提督「……駄目だこれ、もう無理」

高雄「熱ですか? 」

提督「それは大したことじゃねぇけど……頭痛ヤバいしホワイトアウトしそう」

高雄「……愛宕? 」

愛宕「ベッドとかその辺は大丈夫」

提督「ん……適当に読んでおけ、サインは明日で大丈夫だろう」

高雄「そんなことはどうでも。……肩、貸しますか? 」

提督「や、そこまでは……おっと」

高雄「……失礼しますね」

提督「やめろよおい……やめて、頼むからお姫様じゃないからぁ……んぁぁぁぁ」


< 仙人でも水くらい飲むと思う >






天城「ユリ根のピザ風チーズ焼きです」

加賀「ありがとう」

明石「もうおつまみの種類無限大ですねー、ここ」

雲龍「皆不味いもので満足できるほど馬鹿舌じゃないのよ」

明石「雲龍さんなら霞でも生きていけそうですけど」

雲龍「あなたね……」

天城「姉様と明石さんも」

明石「ありがとうでーす」

雲龍「ありがとう。…………霞より美味しいわ」

天城「……は? 」

明石「……ふふ」



< 今の自分を苦しめるのは大体過去の自分 >






提督「ドイツ……行きたいな」

愛宕「行けばいいじゃない? 理由くらいなんとでもなるし」

提督「その代わりに失うものが大き過ぎる」

愛宕「私は構わないわよ? 懐かしい故郷みたいなものなんでしょ? 」

提督「俺が構うんだよ……水くれ」

愛宕「はーい」

提督「んぅ…………ドイツは行く場所なんだよ、愛宕」


< 帰る場所 >






提督「あー……でもまぁ、古い教会は俺の定番デートコースなんだがね」

愛宕「寝ましょう? それに聞きたくない」

提督「信徒でもない、大した迷いも無い、そんな一介の東洋人が華のある白人といて不審がられたものさ」

愛宕「……華」

提督「あの頃は……楽しくて楽しくて、楽しくて最低だった」

愛宕「……今こそ、最低じゃない」

提督「うん。…………最低だ」

愛宕「そうね」

提督「…………人生って何で一回なんだろう、何で短いんだろう」

愛宕「だからこそ、なんて陳腐なことは言わないけど、でも」

提督「あぁ」

愛宕「その一回きりのあなたと会えてよかったわ」

提督「…………」

愛宕「…………子守唄でも歌う? 」

提督「いらないよ。…………でも、寝るまで手握っててほしいな」


ありがとうございました


< あるいは幸せ >






提督「…………Zzz」

愛宕「鍛えてる割には貧弱坊やよねぇ」

高雄「病は気から、というか。メンタルは鍛えるのが難しいもの」

愛宕「…………」

高雄「…………男は酔うと弱気になるものよ」

愛宕「…………殆ど飲んでなかった」

高雄「アルコールもウイルスも大して変わらないでしょう? 」

愛宕「明石に怒られるわね、その答え」

高雄「どちらも人を弱くするのは同じよ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………アルコール、ウイルス、男。全部同じね」


< 戦争物は別かもしれなくもない >






WS「ねぇ、伯爵」

GZ「何だ」

WS「私たち、折角この国に来たのに何も楽しんでいないわ」

GZ「私は十分楽しんでいるが」

WS「お酒と食べ物だけじゃない。私は外に行きたいんです」

GZ「映像作品も観ているだろう、それなりに」

WS「映画はやっぱり劇場で観るものでしょう? 本国で一度しか観たことないけれど」

GZ「知るか。お前の感受性の所為だろう」

WS「あなたも劇場で観れば変わるわ、きっと」

GZ「そうか。…………人間が演じる人間に早々感情移入できるとは思わないがな」



< きっと劇場に行くよりも >






WS「……ふーん? 」

GZ「そもそもだな公爵夫人、私たちは気軽に外には行けない」

WS「ん? 私結婚経験は無いのですが」

GZ「大して変わらないだろう……イメージだイメージ」

WS「そう……『The Wolf of Wall Streat』? 」

GZ「は? 」

WS「私はあまり好きではないけれど」

GZ「? 」

WS「知らない? DiCaprioってドイツ系の血が入ってるはずだけれど」

GZ「知らんな」

WS「そ……じゃあ、今日は私の部屋で鑑賞会ね」

GZ「構わないが外に行くのはどうした」

WS「あなたが気軽には出られないって言ったのじゃなくて? 公爵」

GZ「さっきまでは伯爵だと……まぁ、いいさ、どうせ大した用も無いんだ、今からか? 」


< 幾つか質問を >






加賀「猫? 好きよ」

雲龍「猫は私も好き」

Littorio「はい」

加賀「猫に? ……なってみたいわね」

雲龍「猫になれるなら、是非」

明石「はぁ」

加賀「犬? 犬も悪くないわ」

雲龍「犬も好きだけれど狼はもっと好きよ」






Littorio「意味が違って聞こえますね」

明石「や、でも加賀さんは少しマゾっぽいし雲龍さんもあれで動物好きですからねー」


< 変なところで似ているなぁ、とか >






雲龍「だって動物なら楽じゃない。合わせなくてもいいし不躾な視線も無いし」

加賀「そうね」

雲龍「まぁ、合わせればメリットが有るのも人間なのですが」

加賀「同意」

明石「…………」


< 割と疲れる >






雲龍「…………………………………………」





瑞穂「……何です、あれ」

天城「姉様が一輪車に乗っていますね」

瑞穂「それは見れば分かりますけれど……無駄に上手いですね」

天城「去年からずっとしているんですよ。時々呼ばれてコメントを求められます」

瑞穂「コメント……コメント? 」

天城「正確には呼ばれるだけでドリンクを渡すと勝手に着替えてくるのですけれど」

瑞穂「……あぁ、言葉が足りないのは彼女らしいですね」

天城「はい。……あ、姉様今日はーー」



< 戦いたくない相手 >






高雄「勝利にも敗北にも興味の無い人間ね。戦うだけで勝とうともしない、そんな相手の行動は読みにくいわ」

Littorio「まぁ、だからこそチェスでもステイルメイトなんてものがあるわけですからね」

高雄「あとは極度の馬鹿だとか」

Littorio「お話の通じない相手に勝つのは難しいですね、確かに」

高雄「ええ。……何故リバーシ? 」

Littorio「お互いに頭を空っぽにしてできるでしょう? 」


< 確かな体温と不確かな心が >






提督「……病み上がりなんだけど俺」

明石「知りませんよそんなの。……最近私のこと構ってくれてません」

提督「や、別にそれは……風邪移るかも」

明石「そのときは、責任持って看病してください」

提督「……」

明石「理屈を捏ね回して、納得してから動くのはやめにしたんですよ」

提督「……そうか」

明石「あなたは、理性的なのに理屈を信じてくれないから」

提督「……俺が信じるのは自分だけだ」

明石「ええ……だから、私も自分の欲に従うんです」

提督「……」

明石「……嫌? 」

提督「まさか。…………お前に甘えてるだけの男を好きになってくれるような女の子、拒めないよ、俺は」



< 酒でも、飴でも。だって唇だから >






明石「……無意識に口説くのやめればいいのに」

提督「やめられないさ、無意識じゃないんだから」

明石「…………」

提督「せめて苦しむのなら、自分の隣にしてほしいんだ、男って」

明石「……そうやって、女を縛り付けるんですね」

提督「女の子とは反対のやり方だね」

明石「……」

提督「……ん」

明石「…………ライムの味、好きですよ私」



ありがとうございました


< リアリスティックに夢見がち >






提督「コーヒーでいいよな」

明石「ん……どうも」

提督「気にするな、好きでしてる」

明石「…………私のどこがいいんですか? 」

提督「唐突な。……そういうことって恋愛の場面で訊いちゃ駄目なことだろう? 」

明石「全部、って言うくらいには駄目なことくらい分かりますよ」

提督「そ。…………まぁ、ルックスは好みだけどそんなのはどうでもいいか」

明石「瑣末事ですね」

提督「…………色々あるけど強いて挙げるなら」

明石「はい」

提督「嘘が吐けないのに優しい嘘を吐こうとするところ、かな」


< 幸せな眠り姫 >






雲龍「……Zzz」

瑞穂「相変わらず幸せそうな」

天城「幸せなんでしょう」

瑞穂「瑞穂だって眠ること自体は好きですけれどね、たぶんこんなに幸せそうな顔では寝ていないと思うんです」

天城「それはまぁ天城もそうでしょうけれど」

瑞穂「瑞穂もこんなに幸せな顔をできるで

雲龍「! …………おはよう」

天城「おはようございます、姉様」

瑞穂「…………電子機器のような起床ですね、正直怖いです」


< 覚めない幻想、それを現実という >






明石「覚めない夢……幻想があればどうしますか? 」

提督「んー? そりゃあ目一杯楽しむんじゃねぇの? 覚めないんだろう? 」

明石「私は今、その世界にいる気がします」

提督「……」

明石「……覚めない幻想、続けばいいですね」

提督「お前次第だろ。……ユメから逃げていくことは無ぇよ、たぶん」


< 柔らかな微笑みは誰にも見届けられることなく >







高雄「どうぞ、今日はニルギリです」

雲龍「ありがとう。……その配慮が効かない男で残念ね」

高雄「はい? 」

雲龍「あの人、基本的にコーヒーはブラックだし紅茶はストレートじゃない?
砂糖の数もミルクの量も、覚え甲斐が無いわ」

高雄「そうですね。…………………………………………私は、雲龍さんたちも大切ですよ」


< でーん! >






天城「綿あめの製造機って……」

加賀「季節外れにも程があるわね」

天城「そういうことじゃないです」

漣「わーい、わったあめー」

叢雲「こんなのリースで十分じゃない」

明石「そういう問題でもないような」

高雄「……で、本人はいないという」



< 掛け値無しに >






雲龍「そろそろ普通の女じゃあ満足できないんじゃない? 」

提督「……男にとってはね、好きになった女の子は皆特別なんだ。普通の女の子なんていない」

雲龍「よくそんな言葉すぐ出てくるわね」

提督「お前が特別だからだよ」

雲龍「…………そ」



< どんな子でも >






提督「まぁ、ほら、自分を可愛いと理解して甘えてくる女の子はもちろん好きだぜ? でもさ」

雲龍「その逆もいい、と」

提督「男って単純だからね」

雲龍「……私はどっちだと思う? 」

提督「可愛いって理解してる振りをしてる自信無さ気な女の子の振りをしてるただの可愛い子っぽい美人」

雲龍「……そんなに褒められても」

提督「半分くらい文句なんだけど……ま、お前の言うように普通の女の子じゃあ満足できない身体にされたのは本当だし、そんなもんかな」



ありがとうございました


< 性天の癖靂 >






提督「う、嘘だろおい……」

愛宕「んー? 体重計睨み付けて何? 太った? 」

高雄「体型はぱっと見変わりませんが」

提督「……い、一キロも減ってる」

愛宕「はぁ? 」

提督「愛宕、何言ってんだこいつみたいな目で見るんじゃねぇよ。これは一大事だぞお前」

高雄「何か問題でも? 」

提督「筋肉量が相当減ってるってことだぞ高雄、おいヤベぇぞこれは、どうしよ」

愛宕「普通増えて怯えて減って喜ぶものじゃないの? 体重って」

提督「いやいやいや……お前いいのか? このままぶよぶよ太った挙句抱き上げるのもできなくなるんだぞ? あ? 」

愛宕「私はできるし。お姫様抱っこでもなんだって」

高雄「多少太っても評価は変わりませんよ。というかそんなにすぐ筋力は落ちません」

提督「違う、違うんだよ…………ランニング減らして筋トレ増やすか」


< 煽り >






提督「…………」

愛宕「パンツくらい履きなさいよね、何バスローブで座ってるのよ」

高雄「風邪を引くのでさっさと服を着てくださいね」

提督「…………」

愛宕「その程度で何? 見た感じ変わらないならそれでいいじゃない」

提督「は? お前ふざけんなよマジで。お前自分が太ったとして俺に嫌われないかどうかとか怖くねぇのかよ」

愛宕「私はあなたが好き、あなたは私が好き。私は好きな人を信じる。それ以外に何か必要? 」

提督「じゃあメイクもトレーニングも、っつーか自分磨きもやめろよ。……畜生っ! 」

愛宕「……」

提督「……自分の理想の自分くらい誰でも持ってるだろうが」

愛宕「……あなた相当理不尽なこと言ってるの分かってる? 」

提督「分かってるよ…………あぁ」

愛宕「それならいいけど」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……筋トレしてくるわ」

愛宕「はーい、さっさと満足できる体型に戻して帰ってきてねー」


< プライドなんて、無い >






加賀「……よし、そのままよ、そのまま」

雲龍「……」

加賀「あなたの糧は私たちに握られているの、そこのところ理解しなさい」

雲龍「……」

加賀「……いい子ね、ええ」

雲龍「……理解できるとして仔猫に言って聞かせる内容だとは思えませんが」



< まるでゴムボールのように弾まない >






愛宕「私にはあなたしかいないのよ」

提督「あ、そう」

愛宕「もちろんカッコいいあなたの方が嬉しいけど、少しくらい駄目な感じでも私は、私よ? 」

提督「…………ずっとお前の隣に立ちたいの。分かってるだろう? 俺が嫌なんだよ、分からない? 」

愛宕「分かるわよ? ……まぁ、ちょっと遊んでみただけね」


< 観客より >






叢雲「……何これ」

高雄「暫く禁欲して鍛えるのだそうで」

叢雲「はぁ? …………そういえば前も見た気がするわ」

高雄「でしょうね。むしろ不節制の中であれだけトレーニングを積んで維持しているだけでも凄いと思うのですが」

叢雲「極端なのよね、大概」

高雄「ええ。……まぁ、割とその、悪い気もしないのですが」

叢雲「そ。…………努力の方向性は合ってるのよね、方法と程度が極端に馬鹿なだけで」


< 暫くは、たぶんきっと >






提督「はぁ? お前そりゃ酒もナイトキャップだけだしセックスも無いし早寝早起きに決まってるだろ馬鹿」






雲龍「……あなたの所為よあれ」

愛宕「いや、それは……えぇ? 」

高雄「まぁ、無駄に煽って焚きつけたのは愛宕よね」

雲龍「…………」

愛宕「何これ、私が悪いの? 」

天城「……ここでは割と重い罪のような」



< 楽しいからね、仕方無いね >






海風「漣ちゃんと明石さんが引き篭もったと思ったら提督もおかしくなった……」

江風「ゲームと同格扱いされンのはさすがにテートク可哀想だろ……」

海風「普段からリアルがbattlefieldなのにね」

江風「笑えるはな……笑えねぇンだけど」


< たとえそれがやつあたりだとしても >






提督「…………」

叢雲「何やってんのよ無駄に真面目な顔して」

提督「カッコいいだろう? 」

叢雲「私じゃなければそうかもね。……で? 」

提督「お前らのテストつくってんだよ、もう最高にイカす難易度だから」

叢雲「……イライラのぶつけ方間違ってると思うけど」


< 自明の >






提督「今日のカクテルはレッドアイ、カクテルワードなんて知らん」

叢雲「バーテンダー役としてどうなのよそれは」

提督「俺は飲まねぇからな、関係無い。あくまでつくるだけだ」

叢雲「……炭酸水だけってあんた」

提督「飲まないったら飲まない。体型戻すまではな」

叢雲「あんたがそれでいいならいいけど」

提督「……ま、お前が是非飲んでほしいって言うなら飲むけど? 」

叢雲「ばか、言うわけないじゃない。……私の前では死ぬまで自分に納得できるあんたでいなさいよ」

提督「おう。…………お前本当イケメンだな」

叢雲「知らなかったの? 鈍感ね」



BF……インフル……あぁ

ありがとうございました


< これは別れなんかではなく >






雲龍「……絶望、絶望ね。ここを離れるなんて。というかあなたから離れるなんて」

加賀「……来月の一日は江風の誕生日じゃない、宴に参加できないなんて」

天城「……天城が責任を持って監督します」

Littorio「ごめんなさいね、Littorioの祖国の我儘に付き合わせて」

提督「いや、それよりこんな士気低いやつらで大丈夫かよ」

Littorio「ええ。……サルディニアなんてものより、あなたたちの方が大事です。
いざというときには、Littorioが盾になってでも彼女たちを、返します」

提督「…………お前も帰ってこい。祖国に居場所が無くても、誰も待っていなくても、俺は、待ってる」

Littorio「grazie。……いってきます」

提督「あぁ。……頼むぞ」



< 約束 >






Littorio『サルディニアは……祖国にとって非常に重要なのです』

提督『そりゃあ、地理的にはな』

Littorio『あくまで祖国にとって、ですけれど』

提督『…………お前が帰ってきたら、単車でどっか行こうか、三日くらいさ』

Littorio『Littorioの士気ばかり上がってしまいますね、それは』

提督『いいだろう? 帰って来る気になる』

Littorio『全員、返しますから。…………あなたへの愛にかけて』


< それがいつまでも続くのならどれだけ >






高雄「……Littorioや空母組が遠征で、明石さんと漣さんがゲームですか」

愛宕「……静かね」

高雄「あの人はトレーニングと執務、瑞穂さんも叢雲さんも読書」

愛宕「海風姉妹はお料理だったわ」

高雄「…………全員揃ってこそ、なのね」

愛宕「今更気付いたの? 」

高雄「ええ。…………失って始め」

愛宕「高雄? 」

高雄「失言ね。……私たちは、まだ何も失っていないもの」



< 下らぬ些事のその後の >






提督「はぁ、疲れた。陸のやつらマジでふざけんじゃねぇよ」

愛宕「あ、おっかえりー、ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も」

提督「ん」

愛宕「お・さ・け? 」

提督「飯。……普通そこは私、じゃねぇのかよ」

愛宕「セックスもお酒も禁止でしょ? 」

提督「なら酒とか言うなよ。……コーヒー頼む」

愛宕「はーい」




ありがとうございました


< 理由 >






瑞穂「瑞穂も招集されて然るべきだと思うのです」

提督「うん? まぁ、ここからは空母勢が呼ばれたしなぁ」

瑞穂「速戦が狙いの布陣なのでしょう? 何故瑞穂が呼ばれないのか」

提督「そりゃまぁ……あー」

瑞穂「はい」

提督「…………俺が上申したんだよ。お前じゃあ帰ってこられるか分からないってな。怒るなよ? 」

瑞穂「…………」

提督「…………」

瑞穂「…………あなたが、指揮官がそう仰るなら、瑞穂は」


< 全く恰好の付かない >






愛宕「……マスター」

提督「はい」

愛宕「彼女に、これと同じものを」

提督「かしこまりました」

愛宕「……………………」

提督「……………………」

愛宕「……………………」

提督「……………………お客様、あちらのお客様からです」

高雄「ありがとう。……………………愛宕、あなた私の隣に座ってるじゃない」


< でも、それがいい >






高雄「というかあなたも、こんな茶番に付き合わないでいただけますか」

提督「えー? 」

愛宕「えー? 」

高雄「……」

叢雲「……馬鹿ばっか」


< 眠れぬ夜は君のせい♪ >






雲龍「……やる気が微塵も湧かないわ」

天城「今夜しっかり寝ないと作戦が」

雲龍「ただでさえあの人がいないのに他国の、それもLittorioもどうでもよさげな作戦にやる気を出せと? 」

天城「……それは」

雲龍「もちろん役目は果たすわ。……でも、これで沈んだら、浮かばれないじゃない」

天城「姉様は天城が生命に代えてもお守り致しますよ」

雲龍「私やあの人が、それを喜ぶと思うの? 」

天城「少なくとも天城は、喜びます」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……我儘で自分勝手ね、天城」

天城「今更気付いたのですか? ……天城は、天城の世界は、姉様とあの人を想う自己で満ちていますから」


ありがとうございました


< 不規則という生活リズム >






提督「あー……たるい」

高雄「そこ、下方修正ですね」

提督「ん? ……あぁ」

高雄「それとこれはいつも通りに」

提督「はいよ」

高雄「…………紅茶でも淹れますか? 」

提督「頼む」

愛宕「お疲れ? 」

提督「いやー……なんというか疲れてるってより単純にやる気出ねぇの」

愛宕「ふーん? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………禁欲なんて無理なんじゃないの? 」

提督「…………うん」


< 誰の >






高雄「私はよくこれだけもったと思いますが」

提督「っても二、三日だしなぁ」

高雄「いえ、あなた以外が、です」

提督「はぁん? …………はぁ」

高雄「……徐々にお酒とかを増やしていく過程で戻せばいいんですよ、体型なんて」

提督「そうするかな」

高雄「はい」






愛宕「本当よくもったわね。褒めてあげる」

高雄「…………ええ」


< いつもの >






提督「おーい、漣」

漣「はいはーい、なんですデブ人様」

提督「いや、俺滅茶苦茶気にしてたけどデブではねぇから」

漣「そんなこと言ってるとそのうちまーるいお腹の狸じじいかっこ物理かっことじるになりますよ」

提督「かっことか口で言うな。……来るよな? 」

漣「そりゃあもう。ご主人様に誘われて漣が行かないと思います? 」

提督「や、お前暫くゲームで引きこもってたじゃねぇか」

漣「てへぺろ☆ 」

提督「……俺がロリコンじゃなくてよかったな。お仕置きは叢雲にでも任せるか」

叢雲「なんでそこで私なのよ。触れたくもないわ、こんな似非あざとさの塊」

提督「違いない」

漣「えぇー? 叢雲ちゃーん? 」


< 掛け値無しの称賛と本音 >






提督「んなのはいいんだよ」

漣「茶番でしたねー」

提督「お前の所為だろうが。……ラーメン食いに行くぞ」

漣「節制生活はやめたので? もう大分遅いですし食後ですよ? 」

提督「まぁな。俺に禁欲は向いてないことが分かったんだ」

叢雲「……あの頃のは成功してたと思うけど」

提督「そりゃ叢雲に管理されっぱなしだったし。……歩きでいいよな? 」

漣「はーい。あ、ちょっと着替えてきますね、これ汚したくないんで」

提督「ん、正門前な。……………俺を節制させるならお前か母さんじゃないと無理だわ。お前やっぱすげぇな」

叢雲「……物凄く嬉しくないんだけど」


< そしていつもとは違う >






愛宕「なんかもっと静かになったわね」

高雄「話題の中心というか色々なことの中心なのよね、あの人と雲龍さんって」

愛宕「割と人を選んで話すものね、彼ら以外って」

高雄「ええ、雲龍さんは好き嫌いが激しいだの言っているけれどあれで一応会話は許しますから」

愛宕「ん、これ主婦としても会社勤めとしても失格よね」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……いつ帰ってくるのかしら」

愛宕「さぁ? ……まぁ、まだ出て行って十分くらいだしまだお店にも着いてないと思うけど」


< 帰ろう我が家へ!>






提督「…………初めて職務質問とかされたわ」

漣「そりゃあおっさんがこの時間に美少女二人連れ歩いてたらそうでしょ」

叢雲「あの身分証見せたときの顔の酷さったらなかったわね」

提督「そりゃお前ただの警官が高級将校に喧嘩売ったみたいなものだからな」

漣「しかも化け物のお守りですし」

提督「化け物級の美少女、な」

漣「ほう? ご主人様もしかして口説いてます? 」

提督「叢雲をな。化け物級の美少女とそのおまけみたいなの連れてたらそりゃ職質くらいされるわ」

漣「はぁ? 漣の方が叢雲ちゃんより可愛さマックスですけどぉ? 節穴ですかぁ? 」

叢雲「ロリコン受けはまぁあなたよね。……あの人あなたの身分に怯えただけであんた何も説明しなかったじゃない? 」

提督「そりゃあお前ら一応軍機の塊みたいな存在だ……し……な? 」

漣「はっはっはー、ご主人様完璧にあれですねー。権力と金に物言わせて美少女買う鬼畜ロリコン野郎扱いされますよこれは」

提督「」


ありがとうございました


< 割としてみたかったのは秘密 >






漣「突然ですけど家出したことあります? 家出」

提督「いや無ぇけど。……するなよ? 俺の監督責任なんだからな」

漣「しませんよー。これでも今の環境に満足してますから」

提督「あっそ」

漣「そうじゃなくてですね。……無いんです? 」

提督「無ぇよ。俺も俺の親も変な問題抱えてない一般人だし」

叢雲「それが今では、はぁ」

提督「やめろ。今が一般じゃねぇみたい言い方はするな」

漣「い、いやぁ」

叢雲「あんた例外中の例外人間じゃない」

提督「はぁ? 例外じゃねぇよ、特例だ、俺は。ヴェルタースなんとかを楽しめるだけだ」


< 割と素直ではない >






瑞穂「明石さんはゲーム三昧ですし天城さんたちはいませんし……今ならあなたに縋ってしまいそうです」

提督「俺に慰められるのが血迷った行動みたいな言い方するなよ。別に抱くだけが女の子の慰め方じゃねぇ」

瑞穂「その言い方をする男性を信用できるわけが」

提督「や、普通に料理つくったり一緒に酒飲んだりさ」

瑞穂「あなたがそれで終われるんですか? 」

提督「そりゃな。終われないのは女の子の方なんだよ、大体」

瑞穂「さすがに自意識過剰でしょう、それは」

提督「いやぁ、どう思う? 」

瑞穂「…………あなたがその調子でよかったですよ。転んでしまうところでしたから」

提督「そ。……ま、俺は拒まないからさ。何かあったときは、来な」


< 似た者ばかりでもつまらない >






雲龍「この作戦失敗したらどうするのかしら」

天城「さぁ? 」

雲龍「これ割と切実な話よね。まさか私たちもあの島の土になれとか言われたり」

Littorio「それはありませんよ」

天城「Littorioさん」

Littorio「失礼。LittorioもRomaたちと久方振りに会えて嬉しくて」

天城「いえ、そのことは気にしていませんが」

Littorio「そう。……祖国は、そこまでの犠牲を払えません」

雲龍「ふーん? 他国の力借りてまで始めた計画に失敗して巨大な借りをこれ以上大きくできないってこと? 」

Littorio「ええ。今回の編成、ユーロよりもあなたたちの国やアメリカの援軍が多いでしょう? しかも空母ばかり」

雲龍「隣国、というかドイツやフランスの借りを大きくはしたくない、と」

Littorio「はい。まだ必要不可欠な超大国の援軍と極東の島国の方がマシ、ということ」

天城「しかも突撃吶喊はイタリアが行ってイタリアが制圧しなければ、と」

Littorio「旗でも立てるのかは分かりませんが。……ま、そういうことです」

雲龍「つまらないことを。……どうせそのうちまた占領され

天城「姉様。その場合は天城たちまた呼ばれるかもしれませんよ」

Littorio「噂をすれば影、とは違うし……言霊、も違いますが、そうかもしれませんね」

雲龍「そこまで不吉な話だったかしら」

Littorio「ええ。……あそこでRomaも睨んでいますし」

雲龍「あぁ…………あれとあなたが姉妹なのってよく分からないわね」

Littorio「お互い様ですよ。……ね? 」

天城「まったくです」


< それから一言二言あって >






雲龍「………」

Littorio「ごめんなさいね、Romaって真面目なの。Littorioと違って」

雲龍「そ。……私はね、兵器じゃないのよ。兵士でもない」

Littorio「……そう」

雲龍「もちろん人間でもない。……女、なのよ」

Littorio「言わんとしていることは分かります」

雲龍「……Romaに言って分かるかしら」

Littorio「さぁ? あの子が特定の男性と懇ろなのかは知りませんし。……訊いてみます? 」

雲龍「結構よ。…………他人の愛にも寂しさにも興味なんて無いもの」



< そのときはきっと幸せな笑みを >






加賀「これ程生の充足を感じる戦場もありませんね」

赤城「そうですか? 」

加賀「ええ。……まるでボロ雑巾のように扱われるこの状況、最高にハイ、というやつです」

赤城「……」

加賀「大切な人の為ではなく、名誉の為でもなく、そして護国の為でもない。戦場とは本来そうあるべきものです」

赤城「……」

加賀「今の私にとって戦場に余計な感傷など不要ですから。……躊躇無く他人を盾にしてでも帰る理由があるので」

赤城「はぁ。…………………………………………加賀さんにそれができるとは思えませんけれど」


< かぶってしまってはつまらないから >






雲龍「ま、あなたの為なら戦ってあげなくもないわ。国なんて勝手に戦って無くなっても構わないけど」

Littorio「これは嬉しい言葉を」

雲龍「言葉で満足なんてさせないから。……Romaにも言っておきなさい」

Littorio「ええ」

雲龍「報酬はいいお酒で」

Littorio「ワインでも? 」

雲龍「ええ。……贈り物だけど、お酒ならなんでもいい人だし」

Littorio「そう。…………これは、選りすぐりのものを選ばなければいけませんね」


< さすがに自分もそこまでは、というお互いの >






山城「空母組が減って清々するわ。短期間でもね」

龍田「そんなに仲悪かった? 」

山城「別に。ふとした会話であの男の話が出るのが不愉快なだけ」

龍田「ふーん? 」

山城「何故あの男空母組には異様に好かれるのよ、おかしいじゃない」

龍田「あなたと私も時々するでしょう? しかも大体あなたから」

山城「…………不快なことを言わないで」

龍田「あなたがまともに話せる唯一の男で割と理解もあるんだから大切にしておきなさい。そのうち痛い目見るわよ? 」

山城「あなたが八方美人過ぎるんじゃない。……あっちの男は? 」

龍田「あっち? 」

山城「最近信者増やしてるあなたなんかに懸想する趣味最悪男のことよ」

龍田「あぁ。……最近のゴミって喋るのねぇ~、って驚いてたところ」

山城「…………」


< 三者三様に >






あきつ丸「全く、貴様は面倒なやつだな。愛想くらい自分でも使えるというのに」

山城「あら、空母組が招集されたのにかすりもしなかったのね、あなた」

あきつ丸「……自分には別の仕事があるであります」

山城「……」

龍田「地雷の多いあなたも大概面倒よねぇ」

あきつ丸「……そもそも自分は龍田に……いや、山城が面倒ではないとは思わないが」

山城「……あなたには言われたくないと思うわ、これでも」


< 猫に小判 >






江風「ン? なンだ、江風にこれくれるのか? 」

海風「……紙の束? 」

江風「猫が持ってくるっていったら大抵鼠の死体とかだと思ってたンだけどな。……ン? 」

海風「うん? 」

江風「……万札……あぁ、違うこれ玩具の札だ」

海風「誰か落としたのかな、これ」

江風「こンなボロボロになってたらもう遊べないなぁ。……本物ならあれだっけ、半分くらいでも取り替えてくれるンだったか」

海風「それ灰が無いと駄目なんじゃなかった? 」

江風「や、江風そンなに詳しくないし。……いる? 遊ぶ? 」

海風「新品でもいらないよ……」



< それはきっとごっこではなくプレイ >





海風「あ、でもあれだ。そういうのがあれば新婚さんごっこできるよね」

江風「本物でいいじゃ……道具って意味であって関係じゃないからな? な? 」


< お風呂がさらに嬉しくなる季節へ >






明石「あぁー……身体に沁みますー。ここの所属でよかったぁ」

瑞穂「あの明石さんでも工廠に寄り付かなくなったりするんですね」

明石「やー……まぁ、緊急時なら普通に出てきますけど」

瑞穂「部屋でゲームごと消滅するなんて嫌ですものね」

明石「それはさすがに発想ぶっ飛んでませんか」

瑞穂「そうでしょうか。案外と一気に攻め込んだりしてくるような気もしますけど」

明石「……」

瑞穂「……」

明石「さっきの話ですが」

瑞穂「ええ」

明石「ここが、というか提督が好きな理由ですけどね。
仕事の量は減らすどころか増やされますし意味不明なこともされますが」

瑞穂「ええ」

明石「やればいいだけですから。毎日決まった時間に同じだけ働かなくてもいい、ってのは素晴らしいと思うんです」

瑞穂「軍人にあるまじきことですが……フレックスタイムというやつですね」

明石「はい」

瑞穂「……」

明石「……」

瑞穂「……ま、瑞穂も大体同じですよ。あれで彼が人格者で一途であったりすればもっと険悪で……」

明石「ええ」

瑞穂「明石さんとお風呂でこんな話もできなかったかもしれませんし。……完全に良い、とは言えませんけれど、ね」



ありがとうございました


< 割と久々な頂点の気がする >






江風「…………Zzz」

提督「頭痛ぇ、誰だよ祝杯を挙げようパーティとか言い出したやつ……俺だ」

江風「…………ん……Zzz」

提督「つーかソファで寝落ちとか女の子にあるまじき……まぁ、いいけど」

江風「……Zzz」

提督「…………まだ寝れるし部屋連れてってやるか」


< 積み重なる約束と蟠りと >






海風「ありがとうございました。海風が連れて行けばよかったのですが、楽しそうだったので」

提督「や、始めたのも騒いだのも俺だし。……じゃあ、頼むわ」

海風「はい。……あの」

提督「うん? 」

海風「今度、海風もお姫様抱っこ、してくださいね」

提督「……機会があれば、な」


< 誰かがやってくれるのなら喜んで自堕落に >






瑞穂「この三人、というのも珍しいような」

高雄「そうかもしれませんね」

愛宕「瑞穂といると美味しい緑茶が飲めていいわ」

瑞穂「……淹れるんですか? 」

愛宕「淹れてくれないの? 」

瑞穂「ま、構いませんけれど……それなら緑茶に合う茶請けを持ってきましたのに」

愛宕「その辺はほら、ね? 」

高雄「はいはい。……あなたは何も? 」

愛宕「えー……他にやることも無いしカードの用意でもすればいいの? 」


ありがとうございました


< そんな顔をされる謂れが >






漣「ヤった後に一番辛いのは事後処理だって聞いたんですけど本当ですか? 」

叢雲「……なんなのよ突然」

提督「そりゃそうだろう。ピロートークが辛い相手と寝る趣味は無ぇよ」

叢雲「あんたも即答なのね」

漣「ってもですよ? やっぱヤっみてイメージと違うなー、とかありません? 」

提督「幸いにして今までガッカリな女の子はいなかったからな」

漣「ガッカリ? 」

提督「腹がだるんだるんとか毛の処理が適当とか」

漣「なーる。……何人くらいの経験からですか? 」

提督「ん、あぁ……言うわけないだろうが」

漣「……チッ」


< まぁ、気分と体力によるけど >






漣「まぁ、いいです。じゃあ、ヤってるときって何考えてるんですか? 」

叢雲「これまだ続けるの? 」

提督「相手のこと」

叢雲「当然ね」

漣「ほーう? 夕食何かなー、とか考えないんですか? 」

提督「次の日しっかり起きられるかな、とは時々思うな。ラウンドの間に」

叢雲「一ラウンドって考えは無いのね」

提督「相手にとって失礼だろうそれは」

漣「や、そんなこと無いと思いますけど……ほら、ご主人様変態鬼畜野郎ですから焦らして焦らして最後に、ってことありそうですし」

提督「……」

漣「……ご主人様? 」

提督「……疲れるんだよそれ、俺が。焦らすんなら三時間くらいでも十分だしな」

漣「へ? 」

提督「あ? 」

叢雲「うわぁ……」

漣「……ワンラウンド何時間が普通なんです? てっきり漣はもっと……」


< 割といつも通りの >






漣「ふぅー……あれで妙に乙女ちっくなところがいいのかな」

叢雲「良い言い方をするなら一応は誠実なんでしょ、あれでも」

漣「生まれ変わっても惹かれ合いたいとか言われたらさすがにキモかったけど」

叢雲「生まれ変わったとしてそれが今好きな相手とは違うんだから断言できない、とかいいそうね」

漣「さらっと同じなら好きになる、ってところがポイント高いね」

叢雲「私はそうは思わないけど……で、何だったの? これ」

漣「んー、ほら漣もいつか誰かとお付き合いするかもしれないし? 生の情報でもゲットしておこうかなーって」

叢雲「あなたあいつがサンプルになるとでも思ってるの? 」

漣「全く」

叢雲「…………」



< おかえりなさい >






加賀「間に合ってよかったわ」

提督「そりゃまぁ、速戦で決めないと意味無ぇしな」

加賀「こっちから派遣された指揮官の一人から、はい」

提督「せんきゅー。……あいつ」

加賀「渡せば分かるって言っていたけれど、知り合いなのね」

提督「あぁ。同期だよ、海兵の」

加賀「……そ」

提督「ん? どうした」

加賀「あなたでもそんな顔するのね、と」

提督「……あ? 」

加賀「あなたでも、そんな二度と手に入らないものをねだるような顔をするって、当たり前のことに気付いただけです」

提督「…………」

加賀「それだけ。……今日も明日も、期待していいんですよね? 」

提督「あ、あぁ。食って飲んで騒げ。…………お疲れ様」

加賀「はい。……………………ただいま、です」



< はっぴーはろうぃーん >






高雄「あら、間に合うものだったのね」

Littorio「提督は知っていたはずだけれど」

高雄「……」

Littorio「聞いてなかったの? 」

高雄「……まぁ、お料理は十分以上に用意しているけれど」

Littorio「手伝いますよ。……高雄」

高雄「はい? 」

Littorio「ただいま」

高雄「ん、おかえりなさい、Littorio」


< はろうぃんないと >






愛宕「まぁ、ある種楽でいいわよね、曜日なんて気にせずにイベントこなせて」

高雄「その代わり祝日だろうが年末だろうが戦場にもいるけれどね」

愛宕「それはまぁ、仕方無いわ。……それに二日連続宴会騒ぎでも大して太りもしないなんてお得じゃない? 」

高雄「はぁ」

愛宕「まぁ、代謝がいいだけで運動はしないといけないけど。……高雄」

高雄「なに? 」

愛宕「あなた太り過ぎて無理矢理代謝上げてみたことある? 」

高雄「無いわ。体力はほぼ無尽蔵だし泳ぎ続ければなんとか」

愛宕「そ。…………やめた方がいいわよ、あれするの」

高雄「……何があったのよあなたに」



< ホックが浮くとかなんとか宣う >






提督「……ミイラ男ってお前な」

雲龍「女だけれどね。仮装でしょう? 」

提督「まぁ、そうだが。……見えないようにしろよ? 」

雲龍「露出趣味はまだないわ」

提督「まだ、か」

雲龍「大体今は寒いし」

提督「あぁ。……ん? ちょっと後ろ向いてみ」

雲龍「? 」

提督「……下着無しって、マジ? 」



< 『My Best Friend's Wedding』 >






山城「……あなたその映画」

龍田「んー? 観たことあるの? 」

山城「まぁ、ね。そっちは? 」

龍田「何度も。好きなのよぉ~、これ」

山城「……趣味、悪いわね」

龍田「どうして? 」

山城「普通はヒロイン補正で覆るようなことが最後まで覆らないで最後まで期待した観客が何とも言えなくなる話じゃない」

龍田「私はいいと思うけれど。ある意味リアルで」

山城「ふん……まぁ、あなたがラヴコメディなんて観るのが気持ち悪いだけかもしれないわね」

龍田「酷いわぁ。……観る? お酒なら用意してあるけど」

山城「お酒だけ、付き合ってあげる」


< 自分すら騙せない嘘は、とも言うけれど >






龍田「あぁ、あと……愛宕も好きなのよ、この映画」

山城「それは何となく分かるわ」

龍田「趣味が悪いから? 」

山城「そうね」

龍田「……そういえば愛宕は兎も角高雄とはどうなの? あなた」

山城「冗談が時々通じない、というか冗談をわざと本気に取った振りをするのが苦手ね」

龍田「ふーん? 」

山城「まだ雲龍の方が相手しやすいわ」

龍田「そう? 」

山城「ええ。……ロックアイス、取ってくる」

龍田「私の分もおねがーい。……………………自分を騙すのが得意な人って、いるのね。少しだけ、同情するわ」


< 嫌な笑み >






金剛「ヘーイ! お二人さーん、何してるデース? 」

山城「これの趣味が悪……ハロウィンって今日? 」

龍田「そうよぉ~ 。山姥なんて斬新ねぇ」

金剛「No! これはゆ・き・お・ん・な」

山城「あら、真っ白だし頭にあれが……あれは? 」

龍田「天冠、ね」

山城「そうよそれ。あれが無いから変だとは思っていたの」

金剛「幽霊じゃねぇデース」

龍田「私たちもなんかしてみる? 」

山城「この時間から? 用意も無いし無理ね」

金剛「ンー……残念ネー、それは」

龍田「……ね」

山城「イヤ。何か分からないけど絶対嫌」



< 最初からトリックを >






提督「江風の手作りとかトリックとトリート同時体験できるな」

江風「ひっでぇなおい」

提督「じゃあ、俺より美味いのつくってみろよ」

江風「いや、女の為に菓子だけ磨き続けてるようなやつに勝てるかよ」

提督「お前も海風の為に頑張れよ。喜ぶぞ」

江風「そりゃあ喜ぶだろうけどさ」

提督「……来年ってチョコレートつくるのか? それともホワイトデーに本気出すのか? ん? 」

江風「どっちだって言っても弄られるじゃンかそれ……」


< この後トリートも楽しむ人たち >






金剛「oh、great! 新鮮でいいデスネー」

山城「……少し、きついわ」

龍田「結局付き合ってくれるのね。だから好きなのよぉ~ 」

山城「……」

霧島「何というか……男性の前で披露したい完成度ですね」

山城「やめて。女だけだからしたのよ、私」

龍田「提督でも嫌? 」

山城「一番見せたくない男じゃないあれ。……あなた、思ったより身長低かったのね」

龍田「あなたが大きいのよ。……というかあなたよくこんな薄いの着てるわね。もしかして露出趣味でも

山城「無いわよ馬鹿。あなたこそ無駄に胸が強調されるようなーー」



ありがとうございました


< 秘密のある女の子って、いいじゃない? >






山城「……Zzz」

龍田「ふぁ…………眠い」

山城「……Zzz」

龍田「……寝顔はこんなに素直なのに」

金剛「……龍田と同じデスネー」

龍田「起きてたの。 ……まぁ、私もあなたみたいにいつでも素直なら、って思わなくもないわ」

金剛「ふーん? 」

龍田「でも、私には無理。そんな辛くて尊い生き方、私にはできない」

金剛「尊い? 」

龍田「そ。……隠し事の難しい生き方なんて、つまらないわ」

金剛「私にも秘密くらいありますヨー? 」

龍田「…………秘密を共有できる人が現れたとき、そう思えれば、嬉しいかもしれない、そういう生き方なのよ」

金剛「……? 」


< 善処したいと思います >






愛宕「ご飯できたわー」

提督「はいよ」

愛宕「ナデナデしてー」

提督「はいよ」

愛宕「抱っこ抱っこ」

提督「はいよ」

愛宕「これ以上女増やさないでね」

提督「はい……いや……はい」


< あなたと出会えたから、誕生日に意味があるんだ >






江風「なぁ、テートク」

提督「ん? 」

江風「江風にも何かくれよ、プレゼント」

提督「……やっただろう、満足できるかは知らんが」

江風「あれじゃなくてさ。いっつもあるじゃン? 高雄さンとかと出掛けるやつ」

提督「俺はいいけどお前が楽しいとは限らないぞ」

江風「そうだね」

提督「あぁ? 」

江風「だからさ、江風と姉貴とテートクでどっか出掛けよう、そのうち。姉貴の幸せが江風の幸せだから」

提督「……」

江風「姉貴の笑顔が、一番のプレゼントなンだよ。テートクたちのプレゼントには悪いけどな」

提督「……………………お前もしかしてイケメン? 」

江風「今更気付いたのか? 」

提督「まぁな。……人を見る目、養った方がいいかもしれない」


< 反対から結べるように >






雲龍「ボタンダウン、好きなの? 」

提督「まぁな。理由は特に無いが」

雲龍「てっきりネクタイ結んでもらうのに憧れてるのかと」

提督「ボタンで代用はできねぇだろ。……それにネクタイくらいいつでも結んでもらえる」

雲龍「それならさせてくださいよ」

提督「あぁ? 」

雲龍「私、一本だけ持ってるんですからね、ネクタイ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………手首縛る為、じゃないよな? 」

雲龍「さぁ? 」


ありがとうございました


< 毎年ありがちな風景 >






龍田「あの人、今年は何をくれたの? 」

山城「ん、あれ」

龍田「和傘? 」

山城「ええ」

龍田「相変わらずセンスだけはいいのねぇ~ 」

山城「まさか。最悪よ、最悪」

龍田「何かあった? 」

山城「……あんな高いものおいそれと使えないじゃない。
毎年そういうものばかりだし。部屋の空きスペースが無くなっていくわ。なんなのよあのクズ」

龍田「……そ、そう」

扶桑「……きっとあなたと私、今同じ気持ちね」


< これもまた >






扶桑「……しかも」

龍田「んー? 」

扶桑「毎年入ってくるお手紙もあれで全部残してるのよ、彼がくれた寄木細工の箱に」

龍田「……それで一方的に嫌ってるキャラ付けねぇ」

扶桑「それに気付かれてるキャラ付けかもしれないけれど」

龍田「…………」

扶桑「…………」

山城「…………目の前でそんなこと言われても私にはどうしようもないのですが」


< 霍乱 >





山城「そもそも姉さま」

扶桑「え、ええ」

山城「何も嫌っているわけではありません。気に入らないだけです」

龍田「山城はたった一人の特別に選んでくれないと嫌なのよね」

山城「当たり前じゃない。むしろ愛宕や雲龍がおかしいのよ。……それにそれはあなたもでしょう? 」

龍田「まぁ、ね。それだけじゃないけど」

山城「あれにそれ以上望むことなんて私には無いわ。あなたは私より理想が高過ぎるの」

龍田「そんなことないと思うけど。お酒も煙草も減らして、できればやめてほしいわ」

山城「さすがに生きる楽しみ奪うのはどうかと思うけれど」

龍田「私だけ選んでくれるなら私を最高の楽しみにしてあげるもの。できるだけ長く隣にいてほしいのは女として当然じゃない? 」

山城「でもそんなあれのどこが楽しいーー」






扶桑「……雪でも槍でも砲弾でもいらっしゃい。私の用意は万全よ」



< 弱者に悪、強者に善を >






あきつ丸「挑発に乗らずにはいられない性格、難しいものでありますね」

GZ「可愛げがあっていいじゃないか」

あきつ丸「自分たちに可愛げが必要だと? 」

GZ「フ-……ま、あって困るものでもあるまい」

あきつ丸「…………」

GZ「…………」

あきつ丸「…………人の言いにくいこと、言葉にできないことを上手く聞き出すのが得意でありますね、彼は」

GZ「うん? 」

あきつ丸「たとえそれが、“ 答えを創り出してしまうもの ”だとしても。
あれが慕われる理由はそういうところ」

GZ「好意と嫌悪の掏り替え、だと? 」

あきつ丸「いや、何もそこまで……全ての指向性を彼に纏める、と言えば近い」

GZ「……………」

あきつ丸「フ-…………ま、戯言でありますよ、選ばれもせず、追えもしなかった敗残者の」


< more or less >






愛宕「163cm女子とかいう謎の単語を小耳に挟んだんだけど」

漣「あー、高過ぎず低過ぎずスタイルがよくて人気とかいう」

愛宕「女から見てね。……どうなの? 男から見て」

提督「ん? まぁ、いいんじゃないの。自信ある女の子って輝くものだし。無いのは無いので嫌いじゃない」

愛宕「と、まぁ男から見ればどうということもないのが分かるわ」

提督「うん? 」

高雄「……あなたがもし平均身長くらいだとしたら、言い方も変わると思いますよ」

提督「かもな。……で? 」

愛宕「自分の男が自信をくれない女なんて価値が無い、ってこと」

高雄「女の価値は男が、男の価値は女が決めるものですから」

提督「うーん……? 」



< なんとも言えない >






天城「大根の照り焼きです」

提督「おおう、いいな」

天城「大根は発癌性物質を抑制するとも言われていますね」

明石「まぁ、どれだけの意味があるか、ってところですけど。私も手伝ったんですよー」

提督「そうか。……なぁ」

天城「はい? 」

提督「……最近露骨に健康を心配されているような気がするんだが、気のせいか? 」

天城「さぁ? ……ま、気のせいで終わらせる程度の殿方ではないと信じていますよ、ね? 」

明石「そうですね」

提督「……」


< ほろ酔いが一番危ない >






雲龍「あなたって自分で慰めたりするの? 」

江風「はぁ? 」

雲龍「いや、だからオナ

江風「意味は分かってるから、言わなくていいから」

雲龍「そう」

江風「……江風だって精神年齢は雲龍さンと大して変わらないつもりだぜ?
それに戦ったストレスが全部スポーツで解消できるわけでもない」

雲龍「ふーん……それで? 慰めるの? 」

江風「どうしてもストレートに言わせたいのかよ……せめてそういうのは酔い回ってからにしてくれない? マジで」


< 平和が一番、たぶん >






雲龍「難しいわね。だって私あなたより強いもの」

江風「や、そうかもだけど」

雲龍「……どうなの? 」

海風「海風が寝た後に時ど

江風「姉貴ッ! それ以上言ったら嫌いになるぞ」

海風「江風はこんなことで嫌うような子じゃないもん」

雲龍「つまり? 」

海風「気付かれてないと思っ

江風「あーねーきー……天城さン? 」

天城「天城も気になりますねぇー……はははっ」






加賀「……赤霧島」

提督「おう」


ありがとうございました


< もう、堕ちるところも無いんだ >






叢雲「たまには悪くないわね、缶コーヒーなんてものも」

提督「チープなものでも良さはあるからな。……フ-」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……ねぇ」

提督「ん? 」

叢雲「話さないの? あれのこと」

提督「あれ、っていうと養女になったって話か」

叢雲「彼女たちには伝えるべきだと思うけど」

提督「そのうちな」

叢雲「……裏切りだと思う」

提督「かもね。……お前との秘密とこんな裏切り、選ぶならお前だ」

叢雲「…………」

提督「…………ま、お前が言いたいなら言うけどな。覚悟なんてとうの昔に終わらせてる」



< 終わり無き>






叢雲「というか」

提督「あぁ」

叢雲「私の戸籍どうにかなるなら彼女たちのもつくれるじゃないの? 」

提督「戸籍はな」

叢雲「戸籍、は? 」

提督「戸籍を使うなら、高雄たちの代わりに戦うやつがいなくちゃならない」

叢雲「……そうね」

提督「仮にそんなやつがいるなら無理矢理にでも背負わせるけど……いないからな」




< 悪いとは言わない >






愛宕「オープンカーとか興味無いの? 」

提督「そりゃああるが」

愛宕「買わないの? 」

提督「見せびらかしたい女の子と乗るなら欲しいかもな」

愛宕「ふーん? 見せびらかしたくないの? 」

提督「見せびらかす程安くない」

愛宕「……そ」

提督「……そういうところでしおらしくなるの、ずるいと思うよ」


< 乗せられ乗り乗られ >






提督「まぁ、マジな話するとさ」

愛宕「うん」

提督「オープンカーってフォルムがなんか違うと思うんだよ」

愛宕「はぁ」

提督「風とかは気持ちよかったけど」

愛宕「乗ったの? 」

提督「まぁ、助手席だが」

愛宕「誰と? 」

提督「……知りたい? 」






明石「で、何乗ったんです? 」

提督「キラキラし過ぎだろう……BMのM3」


< メタネタ >






漣「漣ああいうの好きじゃない」

明石「好きそうなイメージですけど」

漣「ジャンルとして確立されてなければいいと思いますよ。ほら、ご主人様が前に言ってたしゃないですか」

明石「? 」

漣「尾崎放哉とかの自由律が嫌いって。普通の句と全然違うし自信あるなら俳句って名前使うなとかなんとか」

明石「言われてみると聞いた気も」

漣「そりゃあ偉い人たちが評価したんだから凄いんだと思いますけどね。
……漣ははたからみれば気を衒ってるのにあたかも正統派面するの好きじゃないです」

明石「はぁ。……つまり? 」

漣「叢雲ちゃんやご主人様のいない自分が嫌いってことです。この中なら相対的にまともですから」

明石「なるほど。…………メタの話は? 」


< ときめきは突然に>






海風「では」

提督「ん……」





叢雲「何突っ立ってんのよ、邪魔」

提督「……」

叢雲「……あ? 」

提督「いやぁ……駄目かもしれない」

叢雲「何がよ」

提督「泣き黒子。あれはヤバい、ふと目に入ったんだけど不覚にも色気が」

叢雲「……ふーん」

提督「まずいなぁ……そもそも好きでいてくれる女の子のこと嫌いになれるわけないじゃん」

叢雲「…………勝手にしなさいよもう」


< 夢見るのは自由だから >






時雨「どうも眠いね」

春雨「五月病? 」

時雨「には早……いや、丁度前後に六ヶ月くらいか」

春雨「水泳でもしに行く? 」

時雨「いや、今日はいいよ。さっき鈴谷さんが熊野さんに引き摺られていったからね」

春雨「……」

時雨「目を覚ますのもいいけどなんだか今日はこのまま寝てみたい気分だ」

春雨「お昼寝? 」

時雨「あぁ。……夢で、夏の海に行けるかもしれないから」



< 気怠い午後の一幕 >






Littorio「ピザ味、というのは中々不思議なものですね」

高雄「初めて食べたものでもないでしょう? 」

Littorio「ええ、それなりに好きですよ。……そうではなくて」

高雄「はい」

Littorio「pizzaといっても色々とありますしどのpizzaを念頭に置いているのかな、と」

高雄「なるほど。考えてみればラーメン味やバーベキュー味もよく分かりませんね。
どのスープなのかどの肉なのか、とか」

Littorio「まるで愛のようですね」

高雄「……」

Littorio「……」

高雄「……適当過ぎ」



< これが暖まった後ならば >






雲龍「…………ふあぁ」

明石「雲龍さんに炬燵とかおよそ最悪の組み合わせじゃないですか……誰ですこんなの出してきたの」

瑞穂「瑞穂ではありません。気付いたら、もう」

雲龍「自分で出してきたわよ。私は楽に生きる為なら最大限に努力するの」

明石「自信満々に……ま、私も入りますか」

雲龍「どうぞ」

瑞穂「……」

明石「……」

雲龍「……コーヒー」

瑞穂「……明石さん? 」

明石「入ったばっかなんですけど……仕方無いですねぇ」


< 蝸牛かヤドカリか蓑虫か >






提督「なんだもう出したのか。戦闘衣はあれだけ寒そうなのに」

雲龍「あれは代謝を上げた状態だし他にも色々。人外生物の面目躍如ね」

提督「なら今もしろよ、とは言えないか」

明石「入らないんですか? 」

提督「別に。コーヒー飲んでるし」

瑞穂「蜜柑もありますよ? 」

提督「じゃあ、蜜柑だけ貰う」

雲龍「……こんなにぬくいのに」

提督「だろうな。……道民は大して炬燵に幻想も執着も持ってねぇんだよ。使わない家もかなりある」

明石「へぇー……以外ですね」

提督「暖房点けないで炬燵、ってのはこっちだとよく聞くけど逆もあるってこと」

雲龍「なるほど。……ん」

提督「炬燵に興味無いからって蜜柑までは……はいよ」


< 感じ方か、それとも振舞いか >






雲龍「……Zzz」

瑞穂「見事に寝落ちしましたね」

明石「ええ。随分と可愛らしい寝顔で」

瑞穂「目の前で寝ても安心していられる程信頼されているというかなんというか……」

明石「さぁ。雲龍さんの場合歯牙にもかけていない無害な存在扱いしている可能性もありますけど」

瑞穂「そうではないと信じたいですね。……ですよね? 」

明石「瑞穂さん次第ですよ、それは」



< 悪くない人生を >






漣「ふぉっふぉっふぉっ、雑魚どもめ。塵にしてくれるわぁっ」

叢雲「……そんなゲームだったかしらそれ」

漣「戦車で潰すとか爆撃するとかキャバリーとかシンプルに銃撃とかだけど結局死体だし」

叢雲「そう……十時の方向、岩裏」

漣「お、せんきゅーせんきゅー。ナビタイムせんきゅー」

叢雲「あなたも飽きないわね、毎日毎日」

漣「叢雲ちゃんも大体本読んでるじゃん? 」

叢雲「内容が違うもの」

漣「漣も似たようなものだよ。……生きる意味、なんて大袈裟な話じゃなくて。何が楽しいか、興味があるかって程度」


< 夢に夢を見る >






瑞穂「そういえば他の方たちは? 」

明石「加賀さんと天城さんは漬物がどうとか言ってました」

瑞穂「似合うどころの話ではないですけど似合わないような気もしますね」

明石「漣さんはたぶんゲーム、叢雲さんも引っ込みましたけど……たぶん読書です」

瑞穂「彼女の知的好奇心は一体どこから湧いてくるのでしょうか」

明石「さぁ? ……Littorioさんはそろそろ来ると思いますよ。お風呂ですし」

瑞穂「なるほど。……海風姉妹はまぁ大体二人で行動していますが」

明石「案外と何をしているかは知りませんよね、私たち」

瑞穂「野球のシーズンも終わったようですし」

雲龍「……ん…………ぁぁ…………Zzz」

明石「……この人はどこで何をしていますかね」

瑞穂「さぁ? それこそ謎ですけれど……隣に瑞穂たちがいると嬉しいですね、こんなに幸せな表情を見ていると」



< 臭い、特に死臭は中々取れないもの >






加賀「知識だけで漬けた割にはまずまずね」

天城「経験しなければ分からないこともありますが知識、というのも誰かの経験ではありますから」

加賀「……糠床なんて本当に歳を取った気がするわ」

天城「いいじゃないですか。それだけ死ななかった、ということです」

加賀「……」

天城「……」

加賀「……手、洗わないと」


< はたから見れば >






雲龍「ん……………………何時? 」

Littorio「まだ今日という日が二時間程残っているくらい」

雲龍「そう……眠い」

明石「二時間近く寝ておいて、ですか」

雲龍「私の体内時計はナマケモノ並よ」

瑞穂「……むしろその上位互換のような」

明石「下位では? 」

Littorio「上位でしょう? 」

雲龍「……私から見れば、上位ね」


< 今のところは >






海風「提督は」

江風「ンー? 」

海風「たぶん突然海風のことどう思いますか? って訊いたら即答で好きだ、って答えると思うんだ」

江風「いいことじゃン。その好きがどンなものでもさ」

海風「でもね、それって海風のことをそういう目で見てないからなんだ、きっと」

江風「……じゃあ、たとえば高雄さンが同じこと訊いたら? 」

海風「やっぱり即答、かな」

江風「あぁン? 」

海風「声音も、目の優しさも、次にしてくれることも、違うの、絶対」

江風「…………江風には分からないや、分かりたくもないけど」


< 舐め合う傷が見える限り >






叢雲「……飽きないといえば」

漣「んー? 」

叢雲「あいつも飽きないわよね。この生活」

漣「叢雲ちゃんは飽きたの? 」

叢雲「別に、これでも楽しくやってる、と思うわ。ここ程自由なところも無いし」

漣「ふーん? 」

叢雲「でもあいつは……お互いに傷付けあってその傷を舐め合って、なんてことをずっと続けてる」

漣「……まぁ、漣には分からないよ? ろくでなしのご主人様が考えることは、でも」

叢雲「……」

漣「それが、きっと叢雲ちゃんの求めていたものだと思う、諦めちゃったけど」

叢雲「言ってくれるわね」

漣「FPSって酔ったりするんだ、その所為かも」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……本当に求めていたと思う? 」

漣「さぁ? ……戯言でも、まともでもない、その程度の言葉だよ、漣にとっては。叢雲ちゃんにもそう思える日がくるといいね」


< 終幕には皮肉と言葉遊びと、それから真の愛を >






愛宕「あなた、私のこと嫌いでしょう」

提督「まぁ……好きと同じくらいにはね」

愛宕「そ」

提督「あぁ」

愛宕「……私のこと好きよね、大概」

提督「嫌うところが無い」

愛宕「ふふ……酷い矛盾」

提督「人間矛盾なんていくらでも抱えているものだしな。……お前は」

愛宕「ん? 」

提督「自分のこと割に好きだろう? 」

愛宕「まぁ……あなたがくれる好きの八割分くらいはね」


ありがとうございました


< 重いという禁句 >






愛宕「んー……」

提督「……まだ早い」

愛宕「そ……ん」

提督「…………重いぞ」

愛宕「んふふー? ……ふぁ」

提督「腕痛ぇよ……痛ぇよ、頭押し付けるなら兎も角太腿抓るんじゃねぇ」


< だって、男の子だもん >






愛宕「と、言いつつ毎朝同じ時間に起きちゃうのよねぇ」

提督「無駄に腕痺れさせられたんだが」

愛宕「シャワー浴びて着替えて色々やってコーヒー淹れて朝食かぁ」

提督「左胸鬱血してるんだが」

愛宕「今日は天城の当番ね」

提督「変な姿勢の所為で首痛いんだが」

愛宕「取り敢えずは、まぁ、シャワーね……一緒に入る? 何もしないけど」

提督「……入る」


< きっとそれが分かってしまったときは >






叢雲「あいつのこと、嫌なの? 」

瑞穂「ストレートな……叢雲さんこそどうなのです」

叢雲「漣に言わせれば私は諦めて別の存在になろうとしたらしいわ」

瑞穂「なるほど。…………どうなのでしょう? 」

叢雲「は? 」

瑞穂「分かりませんし、分かろうとも思いませんから」

叢雲「ふーん……? 難儀なものね、お互いに」



< まぁ、もしあればそれはそれで >






雲龍「お背中お流し致しましょうか? 」

提督「……まだ夕方だぞ」

雲龍「夕方に入浴してるあなたに言われたくないわ」

提督「そりゃそうだが。……ん」

雲龍「はい」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……剃ってなければスポンジになったのに」

提督「スポンジ扱いするの前提で言うなよ……しなくていいからな」


< 誰が為、なんて不粋かもしれないけれど >






天城「今はこんなに平穏ですけれど」

加賀「ええ」

天城「二週間程前は地中海でしたしこれからまたどこかへ出撃なのですね」

加賀「何も無ければ、そうね」

天城「不思議なものです、むしろこれが普通のように思えてしまう」

加賀「去年の始めまでこんなものではなかったと? 」

天城「はい。……出撃中と訓練以外での生活に殆ど違いは無いはずなのに」

加賀「……月並な言葉と私の言葉、どっちがいいかしら」

天城「加賀さんの言葉で」

加賀「そ。…………危ない徴候ね。自分の為に死ねなくなってきているわ」

天城「……」

加賀「……」

天城「……加賀さんは? 」

加賀「とうに、それを越えたと思う、かしらね」


< 大体皆我儘だからこそバランスが >






提督「……お前さ」

雲龍「……なに? 」

提督「ピロートークのし甲斐無いよな」

雲龍「ん……? 」

提督「満足したら寝ようとするじゃん」

雲龍「満足する程ヤれたならそれでいいじゃない、面倒な女になりたくないの」

提督「俺が満足してないとは考えないのか? 」

雲龍「私が幸せなんだからあなたも幸せに決まってるじゃない」

提督「えぇ…………いや、まぁ、文句があるわけでもねぇけど」

雲龍「そ。……それとも、二人の未来でも語りあかせばいいの? 」

提督「それは……できればしたくないなぁ」

雲龍「クズ」

提督「……こう、穏やかに眠れる会話がさ」


< 真面目以外な話になってしまうと、こう >






雲龍「仕方無いわね……で? 」

提督「で? 」

雲龍「何を話したいの? 」

提督「何なのお前……ヤリ目のチャラ男かよ」

雲龍「違うけど」

提督「知ってる」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……」

提督「何か言え。……マグロで無表情なお前も見てみたいな」

雲龍「で、結局途中から雌の顔でよがりだして最後は先に寝るのね」

提督「だからお前はチャラ男か。……つーか自分でオチ付けるんじゃねぇよ」


< 分からせる >






雲龍「んん……ねぇ」

提督「あ? 」

雲龍「シーツって何故か興奮するわね」

提督「それお前だけじゃねぇの」

雲龍「こう、肌触りとか、伝わる温かさとか」

提督「いや、それは自分だけの感覚であってさ」

雲龍「そう思う? 本当に? これでも? 」

提督「…………や、今ちょっと思ったかも」


ありがとうございました


< 背中を見る気持ちを >






雲龍「今この一升瓶を振り下ろして監禁しようとしたらどうなるかしらね」

提督「音で気付かれるだろう、誰かしらに」

雲龍「そうかもしれない。でもそうではないかもしれない」

提督「気付かれなくても……いや、そもそも俺が気絶しないとか、逆に死ぬとかな」

雲龍「気絶する、ということにして」

提督「すぐに俺を担いで外に出ないとな。お前といたことなんて暴露てるし」

雲龍「ええ、ここには地下室なんてものも無いしね」

提督「で、まぁ……首尾良くどこかで部屋を見付けて俺を動けないようにして、お前は適当なパートでもするのか」

雲龍「先立つものはいつでも必要よね。あなたのカードも使えないし」

提督「お前が運転できるならそれで逃げて車売るって手もまぁ使えるけどな」

雲龍「だとしてもいつか尽きる程度の小金にしかならないわ」

提督「あぁ。そもそもあいつらなり軍なり公安なりに見付かるだろう」

雲龍「あなたの協力無しには不可能ってことね、つまり」

提督「だな。……それで? 」

雲龍「どれだけ願っても無理ってことを思い出して落ち着きたかったのよ。……じゃあ、私はもう一眠りするから」

提督「そうか。……………………そうか」



< 寒々とした廊下にて >






提督「よう、お帰り? 」

天城「おはようございます。しかしあなたこそお帰りでは」

提督「まぁな。……なぁ」

天城「はい? 」

提督「どうして人生ってやり直せたり分岐したりしないんだろうな」

天城「……姉様が何か? 」

提督「いや、何でもない。雲龍はもう一眠りするってさ」

天城「いつも通りですね。……では」

提督「ん。…………一升瓶放置しておくなよ、色々と危ない」

天城「はい? 」


< シンと冷える朝、陽射しは暖かさも無く >






雲龍「…………」

天城「あら、もう一眠りする予定だったのでは? 」

雲龍「なんとなく目が冴えてね」

天城「はぁ。……あまり難しいことは考えない方がいいと思いますよ」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……何かを愛するのなら、正気なんて要らないのよ、天城。
狂おしい程、なんてものじゃない。どこか確実に狂わされたからこその私」

天城「……」

雲龍「常識は私を救えない、綺麗事は私を助けない、かといって悪は私を壊す、何もしなければ私は照らされない」

天城「だから一緒に狂ってくれる人を捕まえた、と? 」

雲龍「……捕まえきれなかったけれど、そうね」

天城「それは……あぁ、そうだ姉様」

雲龍「なに? 」

天城「何故人生はやり直せたり分岐したりしないのでしょうか」

雲龍「……いつまでも咲き続けていられる花になり切れなかった欠陥品だからか、それとも一人で完結できてしまう完成品だから」

天城「なるほど。……覚えておきます」

雲龍「? 」


< 耳掻きは陽の出ている間に >






愛宕「んー、正座ってあんまり好きじゃないのよね、足痺れちゃったわぁ」

提督「なら耳掻きなんてしなくても」

愛宕「そうねぇ」

提督「あぁ」

愛宕「そもそもあれよ、あなた重いのよ」

提督「んなこと言われてもな。空洞でもつくれって? 」

愛宕「つくれない? 」

提督「風穴くらいなら開けられるかもしれないが」

愛宕「その穴から私の膝が出てそうね」

提督「グロかよ。……お前もしてやろうか? 」

愛宕「風穴? でも私治せちゃうから無理だと思うわ」

提督「ばーか」



< 結果と過程の関係は >






高雄「まぁ、筋肉を増やしてもいないのに重くなるよりはマシですね」

提督「ん? 」

愛宕「なぁに? それ私のこと? 」

高雄「別に。あなたがそう思うんならそうなんでしょう? 」

愛宕「私はどこかの誰かと違って一気に運動して帳尻合わせするタイプじゃないんですぅ。健康にも気を使ってるの」

高雄「はっ……結果が同じならその分自由に楽しめた方がい……い、じゃない? 」

提督「……それはお前」

愛宕「ふふーん、結果が同じ、ねぇ……ふふ、どこまでが過程でどこからが結果なの? 高雄」



ありがとうございました


< 巫山戯ているわけじゃない >







海風「はい、プレゼント」

江風「お、なになに、別に誕生日とかじゃないし。開けていいの? 」

海風「もちろん」

江風「ってもなぁ、この妙に大きい箱かぁ……何が……………………何これ」

海風「Yes-No枕だけど」

江風「……馬ッ鹿じゃねぇの」


< しかしだからこそ >






海風「まぁ、いいや。江風のことは後にするとして」

江風「後もいらねぇよ姉貴」

海風「提督の呼び方を変えるならどれが一番いいと思う? 」

江風「変わり過ぎ……でも、どれ? ってことは選択肢あるのか」

海風「その一。…………パパ? 海風のこと、嫌い? 」

江風「あざといってかロリっぽいのは駄目だろ、テートクには」

海風「その二。……せーんぱい、一緒に遊びに行きません? 」

江風「だからさ」

海風「その三。……__さん、駄目、ですか? 」

江風「それだな。マシなのは」

海風「マシ? 」

江風「あぁ。……姉貴が高雄さンたちに比べてロリっぽいのは動かしよう無ぇだろ、どうしようもない」

海風「むぅ……」


< それでいいんだ >







漣「ポッキー&プリッツの日でありますねー、少将殿」

提督「そっすね漣さん」

漣「女も男もまー、浮かれ騒ぐ日です」

提督「特定の人間はな」

漣「特定の人間でしょう? 」

提督「さぁ? 」

漣「漣的には最高に最高な馬鹿の筆頭ってご主人様なんですけど」

提督「そうか。……俺もだ」


< 下ろす、挟む、溶ける >







愛宕「オフショルダーのニットだとこういうのもできちゃいまーす」

提督「っすね」

漣「……漣はできないんですがそれ」

提督「そっか」

愛宕「んー……」

提督「……ん」



< わーお…… >






鈴谷「ちょっ、熊野? 熊野ぉ? うっそ無理だから、マジ無理無理無理女同士は兎も角ポッキーゲームはそうい







龍田「……」

扶桑「……」

龍田「……山城でよかったわね、姉妹」

扶桑「……そうね」


< たまたま好きになった人が >






時雨「よくやるよね、この一番人がいる時間の談話室で」

春雨「マーキング? 」

時雨「というよりかは牽制かな。鈴谷さんほら、人気あるし」

春雨「人気、ねぇ」

時雨「春雨だってきっと狙われてるさ。それが僕たち側の誰かなのか、それとも人間の士官なのかは分からないけど」

春雨「……それ、時雨ちゃん? 」

時雨「まさか。僕はレズじゃない」

春雨「春雨もだよ。…………とうでもいい士官に許す身体でもないけど」


< 恵方巻の如く >







漣「へいへーい、キース、キース、キース! 」

提督「お前の前でするかよ」

愛宕「私はいいわよ? 」

提督「いやそうじゃなくてさ」

漣「キース、キース、キース! ほら、江風も」

江風「えぇ? ……きーす、きーす、きーす」

漣「もっと声をあげて! 」

江風「キース! キース! キー

提督「うるせぇよ馬鹿、そんなに言うなら、おい」

愛宕「ん? 」

提督「……何でそんな十本近く咥えてるんだよ、萎えるわ」


ありがとうこざいました


< 世界が優しいかどうかは >






雲龍「ん……こんなものね」

海風「ツインテールって子供っぽくありません? 」

雲龍「美少女美女なら大概大丈夫だから安心しなさい。世界はあなたに優しいわ」

海風「はぁ。……雲龍さんもツインテールしたことあるんですか? 」

雲龍「あるわ。思いっきり掴んでバックでヤってもらおうと思って」

海風「それで? 」

雲龍「嫌がってたけど……燃えたわ、適度に痛かったし」

海風「いいなぁ、羨ましいです」

雲龍「またやろうかしら」

江風「……なンでそンなとンでもないこと淡々と話せるンです? 」


< どうもしないのが正解 >






雲龍「それはそうと私はあのツインテハンドルを兎狩りセックスと呼んでいるのだけれど」

江風「もうどこからツッコめばいいンだよ」

雲龍「あなたは突っ込まれる側でしょう? 」

江風「それにもツッコまねぇよ? 」

雲龍「どうせなら三つ編みを手綱にして片腕を引いてヤってほしいのよね」

江風「知らねぇよそンなの」

雲龍「あなたは分かるでしょう? 」

海風「とても」

江風「…………もういっそテートク襲っちゃえよ、と思ったけどそれはそれで嫌だなぁ、次の日どうすりゃいいンだよ」


< 始まりがあれで終わりの始まりであったから >






明石「提督の初恋って誰なんです? 」

提督「幼稚園のときの先生だな。今思えばエロかった気がする」

明石「何歳のときから下半身脳なんです……どんな人でした? 」

提督「普通に綺麗で普通に可愛くて普通に真面目で普通に優しい先生だったよ」

明石「はぁ」

提督「……原風景が彼女だから、今があるのかもしれないなぁ」



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【艦これ】提督「俺と、高雄と愛宕」
【艦これ】提督「俺と、高雄と愛宕」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479046877/)

次の方でもよろしくお願いします

ありがとうございました


< さて、昔の話でも >






提督『ここ、いいか? 』

龍田『上官が来たら席が埋まっていても勧めますよ。……どうぞ』

提督『ん。……君の席でもくれるのかな? 』

龍田『私が椅子になりますね』

提督『なるほど。今度席が空いてなかったら真っ先に君に声をかけるよ』

龍田『女の子を椅子にする趣味でも? 』

提督『男の椅子になる趣味でも? 』

龍田『どう見えます? 』

提督『どう見えていると正解なんだ? 』

龍田『さぁ? 自分で考えてみたらどうです、そういうの得意そうだし』

提督『……あのさ』


< ある意味フルメンバーに近い >






龍田『ねぇ、新入りさん』

提督『戻ってくるまではここにいたんだけどな。……なに? 』

龍田『どうして士官用の食堂に行かないの? 』

提督『どうしてだと思う? 』

龍田『仮説その一、私たちと打ち解けようという中佐殿の粋な計らい』

提督『あぁ』

龍田『仮説その二、私たちの反応を観察して適切な関係を模索している』

提督『なるほど』

龍田『仮説その三……その三は? 』

愛宕『中佐殿は士官仲間と仲良くなれないどうしようもないコミュ症である』

提督『馬鹿にし過ぎだろうが』

龍田『……で、本当は? 』

提督『その中にあるかもしれないだろう? 三は兎も角一と二はありそうだ』

龍田『自分のことでしょう? それとも露骨に一と二であればいいって思ってたの暴露た? 』

提督『……その警戒心は中々及第点、二の観点から見れば』

愛宕『じゃあ、どれでもないのね。ただの気分? 』

提督『ま、そうかな。単に食事は美人とした方が楽しいと思っただけ』

龍田『口説いてるの? 』

提督『さぁ? どう思う? 』

龍田『どう見えていると正解なの? 』

提督『さぁね』

愛宕『あのね』

山城『……あぁ、嫌な予感がする…………不幸だわ』

扶桑『? 』


< 自分に嘘は吐けないと知るとき >






龍田「ファーストコンタクトとしては、中々巫山戯ているわよね」

山城「は? 」

龍田「あの人と初めてまともに喋ったときのこと思い出してたの」

山城「……思えばあのときあなたが着席を許したのが全ての始まりだったのね」

龍田「あなたにしては中々幸運だったじゃない」

山城「本気でそう思う? 」

龍田「これが嘘を言う目に見える? 」

山城「嘘も欺瞞も騙りも溢れているように見えるわね」

龍田「ふーん? 」

山城「……」

龍田「……」

山城「……」

龍田「……ふふ」

山城「……はぁ」

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